撮影レンズ及びこの撮影レンズを有する撮像装置
【課題】広い画角、良好な収差補正、輝度差に対応できるゴーストの少なさを実現可能な撮影レンズ、及び、この撮影レンズを有する撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置に用いられる撮影レンズSLは、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状を有し、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、像側に凹面を向け、負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状を有し、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、を有する。
【解決手段】撮像装置に用いられる撮影レンズSLは、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状を有し、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、像側に凹面を向け、負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状を有し、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズ及びこの撮影レンズを有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像レンズとは、具体的には一般のカメラ用レンズの他、屋内外の安全性を確保する監視用レンズ、移動体機器、例えば車載用の車内外、及び車体本体の映像情報取得用レンズや航空機の保安用途のレンズ、ロボットの眼用レンズ、天測用レンズなどを含む。これらに用いられるレンズには、広い画角、先鋭な解像力、輝度差に対応できるゴーストの少なさなどが要求される。このためには、空気界面の少ない、シンプルで且つ収差の良く補正された光学系が要求される。このような光学系については、例えば、特許文献1に記載されている例がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−268268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の要求に対して、良質な映像を得る手段として、解像力が高いことが最も必要な条件であるが、広い画角を実現すると、コサイン四乗則により視野周辺部の照度が低下するという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、広い画角、良好な収差補正、輝度差に対応できるゴーストの少なさを実現可能な撮影レンズ、及び、この撮影レンズを有する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る撮影レンズは、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状を有し、負の屈折力を有する第1レンズ成分と、像側に凹面を向け、負の屈折力を有する第2レンズ成分と、両凸レンズ形状を有し、正の屈折力を有する第3レンズ成分と、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分と、を有し、次式の条件を満足することを特徴とする。
1.0 < f1/f2 < 2.6
2.9 < f4/f < 4.2
−1.15 < (r4+r3)/(r4−r3) < 0.2
但し、
f:全系の焦点距離
f1:第1レンズ成分の焦点距離
f2:第2レンズ成分の焦点距離
f4:第4レンズ成分の焦点距離
r3:第2レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r4:第2レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0007】
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
0.78 < f3/f4 < 1.30
但し、
f3:第3レンズ成分の焦点距離
【0008】
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
−0.7 < (r6+r5)/(r6−r5) < −0.07
但し、
r5:第3レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r6:第3レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0009】
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
1.61 < (n3+n4)/2 < 1.82
但し、
n3:第3レンズ成分の媒質の屈折率
n4:第4レンズ成分の媒質の屈折率
【0010】
また、このような撮影レンズは、第3レンズ成分と第4レンズ成分との間に絞りを有することが好ましい。
【0011】
また、このような撮影レンズにおいて、第1レンズ成分、第2レンズ成分、第3レンズ成分及び第4レンズ成分の各々は、単レンズであることが好ましい。
【0012】
また、このような撮影レンズは、第1レンズ成分と、第2レンズ成分と、第3レンズ成分と、第4レンズ成分と、から構成されていることが好ましい。
【0013】
また、このような撮影レンズは、結像に寄与する光線の最大画角が120度以上であることが好ましい。
【0014】
また、このような撮影レンズは、負の歪曲収差を有することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る撮像装置は、上述の撮影レンズのいずれかを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、広い画角、良好な収差補正、輝度差に対応できるゴーストの少なさを実現可能な撮影レンズ、及び、この撮影レンズを有する撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図2】第1実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図3】第2実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図4】第2実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図5】第3実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図6】第3実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図7】第4実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図8】第4実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図9】第5実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図10】第5実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図11】第6実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図12】第6実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図13】第7実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図14】第7実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図15】撮像装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る撮影レンズSLは、入射角60度以上(最大画角120度以上)の広角、明るさF/4を越える明るい光学系を実現するために、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状を有し、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、像側に凹面を向け、負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状を有し、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、を有して構成される。また、この撮影レンズSLは、第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4との間に、絞りSが配置されている。なお、以降の説明において、「レンズ成分」とは、1枚の単レンズ(レンズ要素)、若しくは、2枚以上の単レンズ(レンズ要素)を接合した接合レンズを指すものとする。
【0019】
この撮影レンズSLにおいて、物体側より配置される負の屈折力を有する2枚のレンズ成分(第1レンズ成分LC1及び第2レンズ成分LC2)は、広い入射角からの入射光線を少しずつ光軸に沿った小さい角度に変換して絞り位置を通過させる働きを持っている。そして大きい入射角からの光線ほどレンズの端を通るので、正方向に発生してしまう子午像面湾曲を極力少なくするためには、どのレンズも像側に凹面を向けていることが必要であり、更には少なくとも最も物体側に位置する第1レンズ成分LC1については特に入射角が大きいので物体側に凸面を向けたメニスカス形状であることが必要である。
【0020】
また、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2の次に配置される第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4は、絞りSの前後に配置された正のレンズ成分であって、2枚の負のレンズ成分である第1及び第2レンズ成分LC1,LC2により発散された光線を収斂させる働きを持つものである。明るい有効Fナンバーを得るために最低2枚の正のレンズ成分が必要であり、また、第1レンズ成分LC1及び第2レンズ成分LC2で発生する負のペッツバール和を、これらの第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4で発生する正のペッツバール和でキャンセルさせている。
【0021】
それでは、このような撮影レンズSLを構成するための条件について説明する。まず、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(1)を満足することが望ましい。
【0022】
1.0 < f1/f2 < 2.6 (1)
但し、
f1:第1レンズ成分LC1の焦点距離
f2:第2レンズ成分LC2の焦点距離
【0023】
条件式(1)は、発散作用を持つ2つのレンズ成分である第1レンズ成分LC1及び第2レンズ成分LC2の焦点距離比を規定したものである。言うまでもないが、2つの負のレンズ成分の発散作用によって、この撮影レンズSLの全系のバックフォーカスが不足せずに確保される。バックフォーカスを確保する発散状態を保持した状態で、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2の焦点距離の比率を変えた場合、条件式(1)の下限値を超えれば、絞りSから離れた距離にある第1レンズ成分LC1の発散力が相対的に大きくなり、歪曲収差を強く負に誘導する。そのため、この条件式(1)の下限値は、第1レンズ成分LC1の負の屈折力が第2レンズ成分LC2の負の屈折力を下回る要件を規定している。この撮影レンズSLは、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2の屈折力を均等にすることが、一見収差補正上は合理的と思われるが、本発明者は、第1レンズ成分LC1の発散力を第2レンズ成分LC2の発散力より小さめにした方が全系の収差バランスには好ましいことを見出した。
【0024】
条件式(1)の下限値を超えた場合は、歪曲収差が負に出すぎるのと、2つの負のレンズ成分(第1及び第2レンズ成分LC1,LC2)の合計の補正作用が弱くて全系のペツバール和が補正不足になり、補正しきれない。また、条件式(1)の上限値を超えた場合は、過剰な負の歪曲収差は生じないが、第1レンズ成分LC1の作用が弱まり第2レンズ成分LC2に過剰な負担を掛けることからペツバール和が補正過剰になり、子午像面湾曲収差が過剰に正に向かい補正し得ない。
【0025】
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(2)を満足することが望ましい。
【0026】
2.9 < f4/f < 4.2 (2)
但し、
f4:第4レンズ成分LC4の焦点距離
f :全系の焦点距離
【0027】
本実施形態に係る撮影レンズSLは、絞りSより物体側に、前群として、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状の第1レンズ成分LC1、像側に凹面を向けた第2レンズ成分LC2及び両凸レンズ形状の第3レンズ成分LC3よりなる略逆ガリレオ光学系が配置され、この配置によって像面湾曲収差を始めとする収差の補正と、バックフォーカスが適正に確保されている。一方、絞りSより像側の後群として配置されている正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4は、集光レンズとして働いており、全系の合成焦点距離及びFナンバーを適正に補正する働きと、更には前群で残存するコマ収差をバランス良くキャンセルさせる作用と、を有している。
【0028】
条件式(2)はこのような働きをする第4レンズ成分LC4の焦点距離を、撮影レンズSLの全系の焦点距離に対する比として規定するものであり、この条件式(2)の上限値を超える場合は、第4レンズ成分LC4の集光力が弱まるために内コマ収差が強くなり良好に補正し得ない。逆に条件式(2)の下限値を超える場合は、第4レンズ成分LC4の集光力が相対的に強くなり過ぎて外コマ収差が強くなり良好に補正し得ない。
【0029】
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
【0030】
−1.15 < (r4+r3)/(r4−r3) < 0.2 (3)
但し、
r3:第2レンズ成分LC2の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r4:第2レンズ成分LC2の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0031】
条件式(3)は、第2レンズ成分LC2のベンデイング形状を規定するものである。第2レンズ成分LC2のベンディング形状を規定することは、諸収差の中で特にコマ収差をバランス良く補正することに有効である。ここで、この第2レンズ成分LC2は、最も物体側のレンズ面が物体に対して凸面の凹メニスカス形状であることから、この条件式(3)により、最も像側のレンズ面が最も物体側のレンズ面より緩い曲率の両凹レンズまでの形状を取りうるものである。
【0032】
この条件式(3)の下限値を超える場合、第2レンズ成分LC2の像側のレンズ面の凹面の曲率が強い負メニスカス形状となり、それに伴う最も像側のレンズ面の発散作用が強くなりすぎる。そのために、主光線が通る位置よりレンズの縁側を通る光線の発散作用が強くなり、コマ収差が補正できない。また、球面収差が正に増大し、子午像面湾曲も正に増大するので、全系の収差バランスが悪化して収差を良好に補正し得ない。また、この条件式(3)の上限値を超える場合、最も物体側のレンズ面の曲率が最も像側のレンズ面より強くなり、この最も物体側のレンズ面の発散力の強い両凹レンズ形状となるが、この場合は、物体側のレンズ面の発散作用が強すぎるために主光線よりレンズの縁側を通る光線の発散作用が強くなり、コマ収差が補正できない。また、最も像側のレンズ面の発散力が弱くなりすぎるために球面収差が負となりやはり全系の収差バランスを良好に補正し得ない。
【0033】
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
【0034】
0.78 < f3/f4 < 1.30 (4)
但し、
f3:第3レンズ成分LC3の焦点距離
f4:第4レンズ成分LC4の焦点距離
【0035】
条件式(4)は、絞りSを挟む2つの収斂レンズである第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4との関係を規定したものである。本実施形態に係る撮影レンズSLは、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2で画角を稼ぐと共に、第3及び第4レンズ成分LC3,LC4に、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2で発散した光線を収斂させる役割りを担わせている。この条件式(4)が1を挟む値に制限したのは、将に絞りSの前後の収斂作用に対称性を持たせ、この収斂作用を極力均等に分担させることで高次の収差の発生を最小限に防いだことを示している。
【0036】
条件式(4)の下限値を超え、絞りSより物体側に位置する第3レンズ成分LC3の屈折力を強くすると、負の球面収差と第3レンズ成分LC3の周縁を通る光線のコマ収差が悪化して補正し得ない。また、条件式(4)の上限値を超え、相対的に第4レンズ成分LC4の屈折力が強くなった場合は、第4レンズ成分LC4の周縁を通る光線のコマ収差が悪化して補正し得ない。なお、視野全域のコマ収差と球面収差を更に良好に補正するには第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4は、非球面レンズであることが望ましい。絞りSを挟んで第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4の対称の位置に配置された双方の面に少なくとも各1面以上の非球面を施すと良く、特に、第3レンズ成分LC3の物体側の面と第4レンズ成分LC4の像側の面に非球面を施すのが良い。
【0037】
以上の4条件によりにより、入射角60度以上(最大画角120度以上)、明るさF/4より明るい広角レンズ(撮影レンズSL)が実現できる。更には、一層解像特性を高めるために以下の条件を要すると良い。すなわち、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(5)を満足することが望ましい。
【0038】
−0.7 < (r6+r5)/(r6−r5) < −0.07 (5)
但し、
r5:第3レンズ成分LC3の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r6:第3レンズ成分LC3の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0039】
条件式(5)は、第3レンズ成分LC3のベンデイング形状を規定するものである。この第3レンズ成分LC3の像側のレンズ面は、像側に凸面を向け物体側面より曲率半径の小さい両凸レンズ形状である。そのベンデイング形状が条件式(5)の下限値を超える場合、第3レンズ成分LC3の像側のレンズ面の集光力が一層強く働きすぎ、この第3レンズ成分LC3の主点が、前群を構成する第1レンズ成分LC1及び第2レンズ成分LC2に較べて像側に離れることで、バックフォーカスが増大し、ペツバール和が負(補正過剰)に増大し、更には正のコマ収差が残存して、収差バランスを良好に保ち得ない。また、条件式(5)の上限値を超える場合、負のコマ収差が発生して補正し得ない。
【0040】
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(6)を満足することが望ましい。
【0041】
1.61 < (n3+n4)/2 < 1.82 (6)
但し、
n3:第3レンズ成分LC3の媒質の屈折率
n4:第4レンズ成分LC4の媒質の屈折率
【0042】
条件式(6)は、正の屈折力を有するレンズ成分である第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4の平均の屈折率値を規定したもので、全系のペツバール和を良好に保とうとするものである。この条件式(6)の上限値を超える場合は、全系のペツバール和が負(補正過剰)となり好ましくない。またこの条件式(6)、下限値を超える場合は、ペツバール和が正(補正不足)となり好ましくない。なお、この条件式(6)において、第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4が接合レンズであるときは、各レンズ成分の屈折率は、当該レンズ成分に含まれるレンズ要素の屈折率の平均値とする。
【0043】
本実施形態に係る撮影レンズSLを以上のような構成とすることにより、極めて小型で広い視野を持ち、その上で視野全域に渡って良好なる収差補正と、ゴーストが少ない撮影レンズを提供することができる。
【0044】
なお、本実施形態に係る撮影レンズSLは、第1レンズ成分LC1、第2レンズ成分LC2、第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4の各々を、単レンズで構成することにより、解像力の良好な最小限の構成枚数とすることができ、また、大型化を避けることができる。さらに、この撮影レンズSLを第1レンズ成分LC1、第2レンズ成分LC2、第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4のみからなる4群4枚で構成することにより、上記の効果をより発揮させることができる。なお、この場合、この撮影レンズSLは、負の画像歪を許容している。
【0045】
また、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である
【0046】
本実施形態では、4枚及び5枚のレンズ成分で構成した撮影レンズSLを示したが、以上の構成条件等は、6枚以上のレンズ成分を有する構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成、若しくは各レンズ成分の間にレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、上述の実施形態で説明したように、絞りSで分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分、または、変倍時若しくは合焦時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0047】
また、この撮影レンズSLの単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。この場合、前記合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モーター等を用いた)モーター駆動にも適している。
【0048】
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する防振レンズ群としても良い。特に、第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4とを一体で防振レンズ群とするのが好ましい。
【0049】
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を妨げるので好ましい。また、光軸方向に像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモ−ルド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0050】
また、絞りSは上述のように第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4との間に配置されるのが好ましいが、絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
【0051】
さらに、各レンズ面には、フレアやゴ−ストを軽減し高コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。
【0052】
図15は、本実施形態に係る撮影レンズSLが搭載された撮像装置の一例である車載用観察装置10の構成を示している。この車載用観察装置10は、例えば自動車に搭載されて、ウィンドウシールドWを通して車両前方(外部空間)の状況を撮影するために用いられる。この車載用観察装置10は、上述の撮影レンズSLと、この撮影レンズSLの像面に配置された撮像素子1と、撮像素子1より出力された電気信号(画像信号)から被写体の画像を生成する画像処理部2と、この画像処理部2で生成された画像を記憶する画像記憶部3とから構成される。
【実施例】
【0053】
以下、撮影レンズSLの実施例を図面に基づいて説明する。なお、図1、図3、図5、図7、図9、図11及び図13は、各実施例に係る撮影レンズSL(SL1〜SL7)の構成を示している。
【0054】
各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をS(y)とし、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をrとし、円錐定数をκとし、n次の非球面係数をAnとしたとき、以下の式(a)で表される。なお、以降の実施例において、「E−n」は「×10-n」を示す。
【0055】
S(y)=(y2/r)/[1+{1−(κ+1)(y2/r2)}1/2]
+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 (a)
【0056】
なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0である。また、各実施例の表中において、非球面には面番号の右側に*を付している。
【0057】
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係る撮影レンズSL1の構成を示す図である。この撮影レンズSL1は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、像側に凹面を向けた平凹レンズL2からなり、負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL1と像面Iとの間には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第1実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、このカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0058】
この第1実施例において、非球面負レンズL1の像側のレンズ面(第2面)、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面である。ここで、非球面負レンズL1の非球面は主として歪曲収差のコントロールに用いられ、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面及び非球面正レンズL4の像側のレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0059】
以下の表1に、本第1実施例に係る撮影レンズSL1の諸元の値を掲げる。この表1の全体諸元において、fは全系の焦点距離を示し、FNOはFナンバーを示し、2ωは最大画角を示し、ymaxは撮影レンズSLの最大画角に対応する像高を示す。また、レンズデータにおいて、第1欄mは、光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序(面番号)を、第2欄rは、各光学面の曲率半径を、第3欄dは、各光学面から次の光学面までの光軸上の距離(面間隔)を、第4欄νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッべ数を、第5欄ndはd線に対する屈折率を、第6欄nPはP線(λ=940nm)に対する屈折率をそれぞれ示している。また、非球面データには、上述の非球面の円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。なお、上述の全系の焦点距離fを含み、以降に示す焦点距離は全てP線に対する値を示している。また、この表1に示す面番号1〜11は、図1に示す番号1〜11に対応している。また、曲率半径0.0000はレンズ面においては平面を示し、絞りSにおいては開口を示す。また、空気の屈折率1.00000は省略してある。また、最終面(第11面)の面間隔は、像面Iまでの光軸上の距離である。
【0060】
ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、これらの符号の説明及び諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
【0061】
(表1)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.8
2ω=170度
ymax=1.337
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 16.59253 0.69311 46.064 1.8048830 1.7881940
2* 3.38331 1.32030
3 0.00000 0.69311 40.499 1.8090000 1.7903450
4 1.82691 1.67506
5* 6.72973 2.45801 61.201 1.5890000 1.5791350
6 -3.10503 0.42357
7 0.00000 0.42357 絞りS
8 7.33150 2.10997 40.499 1.8090000 1.7903450
9* -3.93088 1.67034
10 0.00000 0.92414 67.817 1.4584400 1.4511770
11 0.00000 0.41592
[非球面データ]
第2面 κ=-0.48343 A4=-2.96197E-03 A6=-3.71395E-05
A8=-7.52975E-06 A10=-4.66440E-07
第5面 κ=-77.877 A4=9.57960E-03 A6=-1.30070E-02
A8=3.48097E-03 A10=-4.99619E-04
第9面 κ=-2.7813 A4=5.03420E-03 A6=-8.86001E-04
A8=9.36497E-04 A10=-2.32748E-04
【0062】
次の表2に、この第1実施例に係る撮影レンズSL1の焦点距離及び上述の各条件式に対応する値(条件対応値)を示す。なお、この表2において、fは全系の焦点距離、f1は第1レンズ成分LC1の焦点距離、f2は第2レンズ成分LC2の焦点距離、f3は第3レンズ成分LC3の焦点距離、f4は第4レンズ成分LC4の焦点距離、f12は第1レンズ成分LC1と第2レンズ成分LC2の合成焦点距離、f123は第1〜第3レンズ成分LC1〜LC3の合成焦点距離、f34は第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4の合成焦点距離を示す。これらの説明は以降の実施例においても同様である。また、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0063】
(表2)
f = 1.000
f1 =-5.520
f2 =-2.312
f3 = 4.039
f4 = 3.530
f12 =-1.352
f123= 9.857
f34 = 2.668
(1)f1/f2= 2.388
(2)f4/f = 3.530
(3)f3/f4= 1.144
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= -1.0
(5)(r6+r5)/(r6−r5)= -0.369
(6)(n3+n4)/2=1.685
【0064】
このように、本第1実施例に係る撮影レンズSL1は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0065】
図2に、この第1実施例に係る撮影レンズSL1の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この諸収差図において、球面収差の縦軸の最高値はH(入射光線の高さ)を示し、像面湾曲及び歪曲収差の縦軸の最高値はω(最大画角の半画角)を示し、コマ収差の横軸の最大値は入射瞳の半径(入射角が0のときは入射光線の高さH)である。また、像面湾曲において、太線(濃い線)はサジタル像面、細線(薄色線)はメリジオナル(タンジェンシャル)像面を示す。なお、寸法の単位はmmで、焦点距離を1mmに正規化してある。また、歪曲収差は、y=f*ωを基準にした収差量を示してある。この図2に示す各収差図から明らかなように、この第1実施例に係る撮影レンズSL1は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。
【0066】
なお、本第1実施例に係る撮影レンズSL1は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0067】
[第2実施例]
図3は、第2実施例に係る撮影レンズSL2の構成を示す図である。この撮影レンズSL2は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL2と像面Iとの間には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第2実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、このカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0068】
この第2実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0069】
以下の表3に、本第2実施例に係る撮影レンズSL2の諸元の値を掲げる。なお、この表3に示す面番号1〜11は、図3に示す番号1〜11に対応している。
【0070】
(表3)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.98
2ω=160度
ymax=1.12544
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 11.20688 0.70418 46.579 1.8039970 1.7874850
2 2.54574 1.42997
3 -5.25816 0.63376 57.674 1.6273770 1.6164400
4 2.25258 1.02924
5* 6.15347 2.46676 61.066 1.5900770 1.5801840
6 -2.96260 0.38730
7 0.00000 0.38730 絞りS
8 4.37539 1.93773 51.234 1.7061580 1.6927140
9* -3.73955 1.83717
10 0.00000 0.84501 64.119 1.5168000 1.4511770
11 0.00000 0.06875
[非球面データ]
第5面 κ=-3.915602 A4=-0.198396E-01 A6=-0.198927E-03
A8=-0.259502E-02 A10=0.631687E-03
第9面 κ=-24.610016 A4=-0.410154E-01 A6=0.319899E-01
A8=-0.140699E-01 A10=0.283445E-02
【0071】
次の表4に、この第2実施例に係る撮影レンズSL2の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0072】
(表4)
f = 1.000
f1 =-4.338
f2 =-2.478
f3 = 3.827
f4 = 3.226
f12 =-1.281
f123=21.078
f34 = 2.454
(1)f1/f2= 1.750
(2)f4/f = 3.226
(3)f3/f4= 1.186
(4)(r4+r3)/(r4−r3)=-0.4
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.350
(6)(n3+n4)/2=1.636
【0073】
このように、本第2実施例に係る撮影レンズSL2は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0074】
図4に、この第2実施例に係る撮影レンズSL2の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図4に示す各収差図から明らかなように、この第2実施例に係る撮影レンズSL2は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第2実施例に係る撮影レンズSL2は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0075】
[第3実施例]
図5は、第3実施例に係る撮影レンズSL3の構成を示す図である。この撮影レンズSL3は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL3と像面Iとの間には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第3実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、このカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0076】
この第3実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0077】
以下の表5に、本第3実施例に係る撮影レンズSL3の諸元の値を掲げる。なお、この表5に示す面番号1〜11は、図5に示す番号1〜11に対応している。
【0078】
(表5)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.8
2ω=170度
ymax=1.139
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 13.46900 0.62937 46.601 1.8040000 1.7874850
2 2.59790 1.42724
3 -4.87325 0.62937 43.993 1.7667600 1.7502500
4 4.87325 1.91030
5* 5.54964 2.01127 47.201 1.7740000 1.7582650
6 -4.11346 0.38461
7 0.00000 0.38461 絞りS
8 14.97804 1.80503 40.499 1.8090000 1.7903450
9* -3.38607 0.46767
10 0.00000 0.83916 67.817 1.4584400 1.4511770
11 0.00000 1.39946
[非球面データ]
第5面 κ=-54.205082 A4=0.217021E-01 A6=-0.212584E-01
A8=0.750408E-02 A10=-0.125401E-02
第9面 κ=-0.312266 A4=0.126942E-01 A6=-0.541059E-02
A8=0.566642E-02 A10=-0.185804E-02
【0079】
次の表6に、この第3実施例に係る撮影レンズSL3の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0080】
(表6)
f = 1.000
f1 =-4.194
f2 =-3.160
f3 = 3.423
f4 = 3.653
f12 =-1.494
f123= 3.606
f34 = 2.545
(1)f1/f2= 1.327
(2)f4/f = 3.653
(3)f3/f4= 0.9370
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.149
(6)(n3+n4)/2= 1.774
【0081】
このように、本第3実施例に係る撮影レンズSL3は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0082】
図6に、この第3実施例に係る撮影レンズSL3の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図6に示す各収差図から明らかなように、この第3実施例に係る撮影レンズSL3は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第3実施例に係る撮影レンズSL3は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0083】
[第4実施例]
図7は、第4実施例に係る撮影レンズSL4の構成を示す図である。この撮影レンズSL4は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL4と像面Iとの間には、赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGの2部材が配置されている。赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第4実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、これらの赤外線カットフィルターFLやカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0084】
この第4実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0085】
以下の表7に、本第4実施例に係る撮影レンズSL4の諸元の値を掲げる。なお、この表7に示す面番号1〜13は、図7に示す番号1〜13に対応している。
【0086】
(表7)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.9
2ω=154度
ymax=1.06
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 18.75428 0.61878 46.576 1.8040000 1.7872350
2 2.57329 1.56070
3 -3.55273 0.61878 59.388 1.5831300 1.5732860
4 3.55273 1.71883
5* 5.54984 1.85633 48.101 1.8066090 1.7904590
6 -4.04764 0.41252
7 0.00000 0.41252 絞りS
8 6.29421 1.92509 59.382 1.5831300 1.5736580
9* -2.96383 0.34377
10 0.00000 0.82504 64.103 1.5168000 1.5083920
11 0.00000 1.13048
12 0.00000 0.36095 67.817 1.4584400 1.4511770
13 0.00000 0.00000
[非球面データ]
第5面 κ=3.4336 A4=-1.43108E-02 A6=5.61028E-04
A8=-1.59606E-03 A10=5.21981E-04
第9面 κ=-17.153 A4=-5.63230E-02 A6=4.66786E-02
A8=-2.16207E-02 A10=4.62065E-03
【0087】
次の表8に、この第4実施例に係る撮影レンズSL4の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0088】
(表8)
f = 1.000
f1 =-3.853
f2 =-3.003
f3 = 3.238
f4 = 3.801
f12 =-1.353
f123= 3.433
f34 = 2.545
(1)f1/f2= 1.283
(2)f4/f = 3.801
(3)f3/f4= 0.852
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.157
(6)(n3+n4)/2=1.682
【0089】
このように、本第4実施例に係る撮影レンズSL4は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0090】
図8に、この第4実施例に係る撮影レンズSL4の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図8に示す各収差図から明らかなように、この第4実施例に係る撮影レンズSL4は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第4実施例に係る撮影レンズSL4は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0091】
[第5実施例]
図9は、第5実施例に係る撮影レンズSL5の構成を示す図である。この撮影レンズSL3は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL5と像面Iとの間には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第5実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、このカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0092】
この第5実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0093】
以下の表9に、本第5実施例に係る撮影レンズSL5の諸元の値を掲げる。なお、この表5に示す面番号1〜11は、図9に示す番号1〜11に対応している。
【0094】
(表9)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.9
2ω=156度
ymax=1.1
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 13.48691 0.62937 46.601 1.8040000 1.7874850
2 2.59790 1.45777
3 -4.83119 0.62937 53.200 1.6940000 1.6811580
4 4.83119 1.76934
5* 13.21178 2.00104 47.201 1.7740000 1.7582650
6 -3.00902 0.48776
7 0.00000 0.48776 絞りS
8 23.63308 1.81730 40.499 1.8090000 1.7903450
9* -3.26043 0.46766
10 0.00000 0.58682 67.817 1.4584400 1.4511770
11 0.00000 1.57336
[非球面データ]
第5面 κ=-347.46757 A4=-0.566711E-2 A6=-0.107324E-01
A8=0.229848E-2 A10=-0.207130E-03
第9面 κ=1.702697 A4=0.177798E-01 A6=-0.23277E-02
A8=0.348462E-02 A10=-0.952961E-03
【0095】
次の表10に、この第5実施例に係る撮影レンズSL5の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0096】
(表10)
f = 1.000
f1 =-4.193
f2 =-3.455
f3 = 3.414
f4 = 3.737
f12 =-1.574
f123= 3.209
f34 = 2.535
(1)f1/f2= 1.214
(2)f4/f = 3.737
(3)f3/f4= 0.914
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.629
(6)(n3+n4)/2=1.774
【0097】
このように、本第5実施例に係る撮影レンズSL5は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0098】
図10に、この第5実施例に係る撮影レンズSL5の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図10に示す各収差図から明らかなように、この第5実施例に係る撮影レンズSL5は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第5実施例に係る撮影レンズSL5は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0099】
[第6実施例]
図11は、第6実施例に係る撮影レンズSL6の構成を示す図である。この撮影レンズSL6は、第4実施例の撮影レンズSL4の物体側に、負メニスカスレンズ形状の保護部材PGを配置した実施例である。この保護部材PGは、内部のレンズ又はカメラを保護する目的と外観を良好に保つ効果を兼ね、保護部材PGを装着せずに撮影レンズSL6を単独で調整や検査した後に保護部材PGを装着しても収差や焦点距離が変化せず性能を保つことができることを狙って設計されている。
【0100】
この第6実施例に係る撮影レンズSL6は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL6の物体側には、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズからなる保護部材PGが配置されており、この撮影レンズSL6と像面Iとの間には、赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGの2部材が配置されている。赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第6実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、これらの赤外線カットフィルターFLやカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0101】
この第6実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第7面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第11面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。また、保護部材PGの物体側及び像側のレンズ面(第1面及び第2面)も非球面である。
【0102】
以下の表11に、本第6実施例に係る撮影レンズSL6の諸元の値を掲げる。なお、この表11に示す面番号1〜15は、図11に示す番号1〜15に対応している。
【0103】
(表11)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.9
2ω=152度
ymax=1.1
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1* 101.00000 0.80000 55.732 1.5311300 1.5220340
2* 87.00000 1.00000
3 18.75428 0.61878 46.576 1.8040000 1.7872350
4 2.57329 1.56070
5 -3.55273 0.61878 59.388 1.5831300 1.5732860
6 3.55273 1.71883
7* 5.54984 1.85633 48.101 1.8066090 1.7904590
8 -4.04764 0.41252
9 0.00000 0.41252 絞りS
10 6.29421 1.92509 59.382 1.5831300 1.5736580
11* -2.96383 0.34377
12 0.00000 0.82504 64.103 1.5168000 1.5083920
13 0.00000 1.13048
14 0.00000 0.36095 67.817 1.4584400 1.4511770
15 0.00000 0.00000
[非球面データ]
第1面 κ=0.0000 A4=2.43056e-04 A6=-1.35170e-06
A8=2.23332e-08 A10=6.42214e-11
第2面 κ=0.0000 A4=2.31722e-04 A6=1.94247e-06
A8=-2.29869e-08 A10=1.15475e-10
第7面 κ=3.4336 A4=-1.43108E-02 A6=5.61028E-04
A8=-1.59606E-03 A10=5.21981E-04
第11面 κ=-17.153 A4=-5.63230E-02 A6=4.66786E-02
A8=-2.16207E-02 A10=4.62065E-03
【0104】
次の表12に、この第6実施例に係る撮影レンズSL6の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0105】
(表12)
f = 1.000
f1 =-3.853
f2 =-3.003
f3 = 3.238
f4 = 3.801
f12 =-1.353
f123= 3.433
f34 = 2.545
(1)f1/f2= 1.283
(2)f4/f = 3.801
(3)f3/f4= 0.852
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.157
(6)(n3+n4)/2=1.682
【0106】
このように、本第6実施例に係る撮影レンズSL6は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0107】
図12に、この第6実施例に係る撮影レンズSL6の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図12に示す各収差図から明らかなように、この第6実施例に係る撮影レンズSL6は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第6実施例に係る撮影レンズSL6は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0108】
[第7実施例]
図13は、第7実施例に係る撮影レンズSL7の構成を示す図である。この撮影レンズSL7は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL7と像面Iとの間には、物体側に凸面を向けた平凸レンズL5からなり、正の屈折力を有し、撮影レンズSL7の射出瞳位置を調整する働きを持つ第5レンズ成分LC5、並びに赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGの3部材が配置されている。赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はなく、若干の収差変動が生ずる。撮影レンズSL7の物体側のメニスカス形状の凹レンズおよび、撮影レンズSL7の像側の正レンズL5についてはわずかな焦点距離の変動及び収差変動が生ずるので、本第7実施例では全系で最適化してある。なお、これらの赤外線カットフィルターFLやカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0109】
また、この第7実施例に係る撮影レンズSL7にも、第6実施例で説明したように、内部のレンズ又はカメラを保護する目的と外観を良好に保つ効果を兼ねた保護部材を配置することができ、この図13に示す撮影レンズSL7の物体側には、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズである保護部材PGが配置されている。
【0110】
この第7実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第7面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第11面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。また、保護部材PGの物体側及び像側のレンズ面(第1面及び第2面)も非球面である。
【0111】
以下の表13に、本第7実施例に係る撮影レンズSL7の諸元の値を掲げる。なお、この表13に示す面番号1〜15は、図13に示す番号1〜15に対応している。
【0112】
(表13)
[全体諸元]
f=1
FNO=2.0
2ω=164度
ymax=1.13
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1* 61.61542 0.42771 55.727 1.5311300 1.5216360
2* 53.30161 0.61676
3 10.66932 0.61005 43.983 1.8085420 1.7911310
4 2.20770 1.37711
5 -3.90659 0.61005 40.499 1.8090000 1.7903450
6 3.90659 1.03410
7* 6.10054 1.80959 24.100 1.8210000 1.7916920
8 -4.08192 0.33553
9 0.00000 0.33553 絞りS
10 14.16615 1.76917 53.200 1.6940000 1.6811580
11* -3.15598 0.12201
12 9.38023 1.31847 46.601 1.8040000 1.7874850
13 0.00000 0.18302
14 0.00000 0.61005 29.897 1.5830000 1.5660830
15 0.00000 1.37361
[非球面データ]
第1面 κ=0.0000 A4=-8.23070e-05 A6=1.65707e-07
A8=7.11465e-09 A10=0.00000e+00
第2面 κ=0.0000 A4=-9.54698e-05 A6=-6.31119e-09
A8=1.16667e-08 A10=0.00000e+00
第7面 κ=-5.4058 A4=-1.15583e-02 A6=-1.91113e-03
A8=-1.69304e-03 A10=6.63133e-04
第11面 κ=-1.9006 A4=6.82071e-03 A6=-6.17520e-03
A8=4.01650e-03 A10=-8.60219e-04
【0113】
次の表14に、この第7実施例に係る撮影レンズSL7の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0114】
(表14)
f = 1.000
f1 =-3.634
f2 =-2.389
f3 = 3.352
f4 = 3.953
f12 =-1.162
f123= 30.299
f34 = 2.502
(1)f1/f2= 1.521
(2)f4/f = 3.953
(3)f3/f4= 0.848
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.198
(6)(n3+n4)/2=1.736
【0115】
このように、本第7実施例に係る撮影レンズSL7は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0116】
図14に、この第7実施例に係る撮影レンズSL7の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図14に示す各収差図から明らかなように、この第7実施例に係る撮影レンズSL7は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第7実施例に係る撮影レンズSL7は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0117】
以上第1実施例から第7実施例の各諸元の値は上述の条件式をすべて満たしているが、少なくとも1つ以上の条件式について、全実施例の上限値と下限値の数値幅に±10%拡げた数値範囲に限っては更なる良好なる収差補正が達成可能であり、一層望ましい。全実施例の上限値と下限値の数値幅に、±5%拡げた数値範囲しか許さない場合は更なる良好なる収差補正が達成可能であり、なお一層望ましい。
【符号の説明】
【0118】
10 車載用観察装置(撮像装置) SL(SL1〜SL7) 撮影レンズ
LC1 第1レンズ成分 LC2 第2レンズ成分
LC3 第3レンズ成分 LC4 第4レンズ成分 S 絞り
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズ及びこの撮影レンズを有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像レンズとは、具体的には一般のカメラ用レンズの他、屋内外の安全性を確保する監視用レンズ、移動体機器、例えば車載用の車内外、及び車体本体の映像情報取得用レンズや航空機の保安用途のレンズ、ロボットの眼用レンズ、天測用レンズなどを含む。これらに用いられるレンズには、広い画角、先鋭な解像力、輝度差に対応できるゴーストの少なさなどが要求される。このためには、空気界面の少ない、シンプルで且つ収差の良く補正された光学系が要求される。このような光学系については、例えば、特許文献1に記載されている例がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−268268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の要求に対して、良質な映像を得る手段として、解像力が高いことが最も必要な条件であるが、広い画角を実現すると、コサイン四乗則により視野周辺部の照度が低下するという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、広い画角、良好な収差補正、輝度差に対応できるゴーストの少なさを実現可能な撮影レンズ、及び、この撮影レンズを有する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る撮影レンズは、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状を有し、負の屈折力を有する第1レンズ成分と、像側に凹面を向け、負の屈折力を有する第2レンズ成分と、両凸レンズ形状を有し、正の屈折力を有する第3レンズ成分と、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分と、を有し、次式の条件を満足することを特徴とする。
1.0 < f1/f2 < 2.6
2.9 < f4/f < 4.2
−1.15 < (r4+r3)/(r4−r3) < 0.2
但し、
f:全系の焦点距離
f1:第1レンズ成分の焦点距離
f2:第2レンズ成分の焦点距離
f4:第4レンズ成分の焦点距離
r3:第2レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r4:第2レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0007】
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
0.78 < f3/f4 < 1.30
但し、
f3:第3レンズ成分の焦点距離
【0008】
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
−0.7 < (r6+r5)/(r6−r5) < −0.07
但し、
r5:第3レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r6:第3レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0009】
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
1.61 < (n3+n4)/2 < 1.82
但し、
n3:第3レンズ成分の媒質の屈折率
n4:第4レンズ成分の媒質の屈折率
【0010】
また、このような撮影レンズは、第3レンズ成分と第4レンズ成分との間に絞りを有することが好ましい。
【0011】
また、このような撮影レンズにおいて、第1レンズ成分、第2レンズ成分、第3レンズ成分及び第4レンズ成分の各々は、単レンズであることが好ましい。
【0012】
また、このような撮影レンズは、第1レンズ成分と、第2レンズ成分と、第3レンズ成分と、第4レンズ成分と、から構成されていることが好ましい。
【0013】
また、このような撮影レンズは、結像に寄与する光線の最大画角が120度以上であることが好ましい。
【0014】
また、このような撮影レンズは、負の歪曲収差を有することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る撮像装置は、上述の撮影レンズのいずれかを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、広い画角、良好な収差補正、輝度差に対応できるゴーストの少なさを実現可能な撮影レンズ、及び、この撮影レンズを有する撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図2】第1実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図3】第2実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図4】第2実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図5】第3実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図6】第3実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図7】第4実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図8】第4実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図9】第5実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図10】第5実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図11】第6実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図12】第6実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図13】第7実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【図14】第7実施例に係る撮影レンズの諸収差図である。
【図15】撮像装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る撮影レンズSLは、入射角60度以上(最大画角120度以上)の広角、明るさF/4を越える明るい光学系を実現するために、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状を有し、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、像側に凹面を向け、負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状を有し、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、を有して構成される。また、この撮影レンズSLは、第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4との間に、絞りSが配置されている。なお、以降の説明において、「レンズ成分」とは、1枚の単レンズ(レンズ要素)、若しくは、2枚以上の単レンズ(レンズ要素)を接合した接合レンズを指すものとする。
【0019】
この撮影レンズSLにおいて、物体側より配置される負の屈折力を有する2枚のレンズ成分(第1レンズ成分LC1及び第2レンズ成分LC2)は、広い入射角からの入射光線を少しずつ光軸に沿った小さい角度に変換して絞り位置を通過させる働きを持っている。そして大きい入射角からの光線ほどレンズの端を通るので、正方向に発生してしまう子午像面湾曲を極力少なくするためには、どのレンズも像側に凹面を向けていることが必要であり、更には少なくとも最も物体側に位置する第1レンズ成分LC1については特に入射角が大きいので物体側に凸面を向けたメニスカス形状であることが必要である。
【0020】
また、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2の次に配置される第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4は、絞りSの前後に配置された正のレンズ成分であって、2枚の負のレンズ成分である第1及び第2レンズ成分LC1,LC2により発散された光線を収斂させる働きを持つものである。明るい有効Fナンバーを得るために最低2枚の正のレンズ成分が必要であり、また、第1レンズ成分LC1及び第2レンズ成分LC2で発生する負のペッツバール和を、これらの第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4で発生する正のペッツバール和でキャンセルさせている。
【0021】
それでは、このような撮影レンズSLを構成するための条件について説明する。まず、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(1)を満足することが望ましい。
【0022】
1.0 < f1/f2 < 2.6 (1)
但し、
f1:第1レンズ成分LC1の焦点距離
f2:第2レンズ成分LC2の焦点距離
【0023】
条件式(1)は、発散作用を持つ2つのレンズ成分である第1レンズ成分LC1及び第2レンズ成分LC2の焦点距離比を規定したものである。言うまでもないが、2つの負のレンズ成分の発散作用によって、この撮影レンズSLの全系のバックフォーカスが不足せずに確保される。バックフォーカスを確保する発散状態を保持した状態で、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2の焦点距離の比率を変えた場合、条件式(1)の下限値を超えれば、絞りSから離れた距離にある第1レンズ成分LC1の発散力が相対的に大きくなり、歪曲収差を強く負に誘導する。そのため、この条件式(1)の下限値は、第1レンズ成分LC1の負の屈折力が第2レンズ成分LC2の負の屈折力を下回る要件を規定している。この撮影レンズSLは、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2の屈折力を均等にすることが、一見収差補正上は合理的と思われるが、本発明者は、第1レンズ成分LC1の発散力を第2レンズ成分LC2の発散力より小さめにした方が全系の収差バランスには好ましいことを見出した。
【0024】
条件式(1)の下限値を超えた場合は、歪曲収差が負に出すぎるのと、2つの負のレンズ成分(第1及び第2レンズ成分LC1,LC2)の合計の補正作用が弱くて全系のペツバール和が補正不足になり、補正しきれない。また、条件式(1)の上限値を超えた場合は、過剰な負の歪曲収差は生じないが、第1レンズ成分LC1の作用が弱まり第2レンズ成分LC2に過剰な負担を掛けることからペツバール和が補正過剰になり、子午像面湾曲収差が過剰に正に向かい補正し得ない。
【0025】
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(2)を満足することが望ましい。
【0026】
2.9 < f4/f < 4.2 (2)
但し、
f4:第4レンズ成分LC4の焦点距離
f :全系の焦点距離
【0027】
本実施形態に係る撮影レンズSLは、絞りSより物体側に、前群として、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状の第1レンズ成分LC1、像側に凹面を向けた第2レンズ成分LC2及び両凸レンズ形状の第3レンズ成分LC3よりなる略逆ガリレオ光学系が配置され、この配置によって像面湾曲収差を始めとする収差の補正と、バックフォーカスが適正に確保されている。一方、絞りSより像側の後群として配置されている正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4は、集光レンズとして働いており、全系の合成焦点距離及びFナンバーを適正に補正する働きと、更には前群で残存するコマ収差をバランス良くキャンセルさせる作用と、を有している。
【0028】
条件式(2)はこのような働きをする第4レンズ成分LC4の焦点距離を、撮影レンズSLの全系の焦点距離に対する比として規定するものであり、この条件式(2)の上限値を超える場合は、第4レンズ成分LC4の集光力が弱まるために内コマ収差が強くなり良好に補正し得ない。逆に条件式(2)の下限値を超える場合は、第4レンズ成分LC4の集光力が相対的に強くなり過ぎて外コマ収差が強くなり良好に補正し得ない。
【0029】
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
【0030】
−1.15 < (r4+r3)/(r4−r3) < 0.2 (3)
但し、
r3:第2レンズ成分LC2の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r4:第2レンズ成分LC2の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0031】
条件式(3)は、第2レンズ成分LC2のベンデイング形状を規定するものである。第2レンズ成分LC2のベンディング形状を規定することは、諸収差の中で特にコマ収差をバランス良く補正することに有効である。ここで、この第2レンズ成分LC2は、最も物体側のレンズ面が物体に対して凸面の凹メニスカス形状であることから、この条件式(3)により、最も像側のレンズ面が最も物体側のレンズ面より緩い曲率の両凹レンズまでの形状を取りうるものである。
【0032】
この条件式(3)の下限値を超える場合、第2レンズ成分LC2の像側のレンズ面の凹面の曲率が強い負メニスカス形状となり、それに伴う最も像側のレンズ面の発散作用が強くなりすぎる。そのために、主光線が通る位置よりレンズの縁側を通る光線の発散作用が強くなり、コマ収差が補正できない。また、球面収差が正に増大し、子午像面湾曲も正に増大するので、全系の収差バランスが悪化して収差を良好に補正し得ない。また、この条件式(3)の上限値を超える場合、最も物体側のレンズ面の曲率が最も像側のレンズ面より強くなり、この最も物体側のレンズ面の発散力の強い両凹レンズ形状となるが、この場合は、物体側のレンズ面の発散作用が強すぎるために主光線よりレンズの縁側を通る光線の発散作用が強くなり、コマ収差が補正できない。また、最も像側のレンズ面の発散力が弱くなりすぎるために球面収差が負となりやはり全系の収差バランスを良好に補正し得ない。
【0033】
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
【0034】
0.78 < f3/f4 < 1.30 (4)
但し、
f3:第3レンズ成分LC3の焦点距離
f4:第4レンズ成分LC4の焦点距離
【0035】
条件式(4)は、絞りSを挟む2つの収斂レンズである第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4との関係を規定したものである。本実施形態に係る撮影レンズSLは、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2で画角を稼ぐと共に、第3及び第4レンズ成分LC3,LC4に、第1及び第2レンズ成分LC1,LC2で発散した光線を収斂させる役割りを担わせている。この条件式(4)が1を挟む値に制限したのは、将に絞りSの前後の収斂作用に対称性を持たせ、この収斂作用を極力均等に分担させることで高次の収差の発生を最小限に防いだことを示している。
【0036】
条件式(4)の下限値を超え、絞りSより物体側に位置する第3レンズ成分LC3の屈折力を強くすると、負の球面収差と第3レンズ成分LC3の周縁を通る光線のコマ収差が悪化して補正し得ない。また、条件式(4)の上限値を超え、相対的に第4レンズ成分LC4の屈折力が強くなった場合は、第4レンズ成分LC4の周縁を通る光線のコマ収差が悪化して補正し得ない。なお、視野全域のコマ収差と球面収差を更に良好に補正するには第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4は、非球面レンズであることが望ましい。絞りSを挟んで第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4の対称の位置に配置された双方の面に少なくとも各1面以上の非球面を施すと良く、特に、第3レンズ成分LC3の物体側の面と第4レンズ成分LC4の像側の面に非球面を施すのが良い。
【0037】
以上の4条件によりにより、入射角60度以上(最大画角120度以上)、明るさF/4より明るい広角レンズ(撮影レンズSL)が実現できる。更には、一層解像特性を高めるために以下の条件を要すると良い。すなわち、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(5)を満足することが望ましい。
【0038】
−0.7 < (r6+r5)/(r6−r5) < −0.07 (5)
但し、
r5:第3レンズ成分LC3の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r6:第3レンズ成分LC3の最も像側のレンズ面の曲率半径
【0039】
条件式(5)は、第3レンズ成分LC3のベンデイング形状を規定するものである。この第3レンズ成分LC3の像側のレンズ面は、像側に凸面を向け物体側面より曲率半径の小さい両凸レンズ形状である。そのベンデイング形状が条件式(5)の下限値を超える場合、第3レンズ成分LC3の像側のレンズ面の集光力が一層強く働きすぎ、この第3レンズ成分LC3の主点が、前群を構成する第1レンズ成分LC1及び第2レンズ成分LC2に較べて像側に離れることで、バックフォーカスが増大し、ペツバール和が負(補正過剰)に増大し、更には正のコマ収差が残存して、収差バランスを良好に保ち得ない。また、条件式(5)の上限値を超える場合、負のコマ収差が発生して補正し得ない。
【0040】
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、次の条件式(6)を満足することが望ましい。
【0041】
1.61 < (n3+n4)/2 < 1.82 (6)
但し、
n3:第3レンズ成分LC3の媒質の屈折率
n4:第4レンズ成分LC4の媒質の屈折率
【0042】
条件式(6)は、正の屈折力を有するレンズ成分である第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4の平均の屈折率値を規定したもので、全系のペツバール和を良好に保とうとするものである。この条件式(6)の上限値を超える場合は、全系のペツバール和が負(補正過剰)となり好ましくない。またこの条件式(6)、下限値を超える場合は、ペツバール和が正(補正不足)となり好ましくない。なお、この条件式(6)において、第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4が接合レンズであるときは、各レンズ成分の屈折率は、当該レンズ成分に含まれるレンズ要素の屈折率の平均値とする。
【0043】
本実施形態に係る撮影レンズSLを以上のような構成とすることにより、極めて小型で広い視野を持ち、その上で視野全域に渡って良好なる収差補正と、ゴーストが少ない撮影レンズを提供することができる。
【0044】
なお、本実施形態に係る撮影レンズSLは、第1レンズ成分LC1、第2レンズ成分LC2、第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4の各々を、単レンズで構成することにより、解像力の良好な最小限の構成枚数とすることができ、また、大型化を避けることができる。さらに、この撮影レンズSLを第1レンズ成分LC1、第2レンズ成分LC2、第3レンズ成分LC3及び第4レンズ成分LC4のみからなる4群4枚で構成することにより、上記の効果をより発揮させることができる。なお、この場合、この撮影レンズSLは、負の画像歪を許容している。
【0045】
また、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である
【0046】
本実施形態では、4枚及び5枚のレンズ成分で構成した撮影レンズSLを示したが、以上の構成条件等は、6枚以上のレンズ成分を有する構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成、若しくは各レンズ成分の間にレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、上述の実施形態で説明したように、絞りSで分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分、または、変倍時若しくは合焦時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0047】
また、この撮影レンズSLの単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。この場合、前記合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モーター等を用いた)モーター駆動にも適している。
【0048】
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する防振レンズ群としても良い。特に、第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4とを一体で防振レンズ群とするのが好ましい。
【0049】
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を妨げるので好ましい。また、光軸方向に像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモ−ルド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0050】
また、絞りSは上述のように第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4との間に配置されるのが好ましいが、絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
【0051】
さらに、各レンズ面には、フレアやゴ−ストを軽減し高コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。
【0052】
図15は、本実施形態に係る撮影レンズSLが搭載された撮像装置の一例である車載用観察装置10の構成を示している。この車載用観察装置10は、例えば自動車に搭載されて、ウィンドウシールドWを通して車両前方(外部空間)の状況を撮影するために用いられる。この車載用観察装置10は、上述の撮影レンズSLと、この撮影レンズSLの像面に配置された撮像素子1と、撮像素子1より出力された電気信号(画像信号)から被写体の画像を生成する画像処理部2と、この画像処理部2で生成された画像を記憶する画像記憶部3とから構成される。
【実施例】
【0053】
以下、撮影レンズSLの実施例を図面に基づいて説明する。なお、図1、図3、図5、図7、図9、図11及び図13は、各実施例に係る撮影レンズSL(SL1〜SL7)の構成を示している。
【0054】
各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をS(y)とし、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をrとし、円錐定数をκとし、n次の非球面係数をAnとしたとき、以下の式(a)で表される。なお、以降の実施例において、「E−n」は「×10-n」を示す。
【0055】
S(y)=(y2/r)/[1+{1−(κ+1)(y2/r2)}1/2]
+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 (a)
【0056】
なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0である。また、各実施例の表中において、非球面には面番号の右側に*を付している。
【0057】
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係る撮影レンズSL1の構成を示す図である。この撮影レンズSL1は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、像側に凹面を向けた平凹レンズL2からなり、負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL1と像面Iとの間には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第1実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、このカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0058】
この第1実施例において、非球面負レンズL1の像側のレンズ面(第2面)、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面である。ここで、非球面負レンズL1の非球面は主として歪曲収差のコントロールに用いられ、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面及び非球面正レンズL4の像側のレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0059】
以下の表1に、本第1実施例に係る撮影レンズSL1の諸元の値を掲げる。この表1の全体諸元において、fは全系の焦点距離を示し、FNOはFナンバーを示し、2ωは最大画角を示し、ymaxは撮影レンズSLの最大画角に対応する像高を示す。また、レンズデータにおいて、第1欄mは、光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序(面番号)を、第2欄rは、各光学面の曲率半径を、第3欄dは、各光学面から次の光学面までの光軸上の距離(面間隔)を、第4欄νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッべ数を、第5欄ndはd線に対する屈折率を、第6欄nPはP線(λ=940nm)に対する屈折率をそれぞれ示している。また、非球面データには、上述の非球面の円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。なお、上述の全系の焦点距離fを含み、以降に示す焦点距離は全てP線に対する値を示している。また、この表1に示す面番号1〜11は、図1に示す番号1〜11に対応している。また、曲率半径0.0000はレンズ面においては平面を示し、絞りSにおいては開口を示す。また、空気の屈折率1.00000は省略してある。また、最終面(第11面)の面間隔は、像面Iまでの光軸上の距離である。
【0060】
ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、これらの符号の説明及び諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
【0061】
(表1)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.8
2ω=170度
ymax=1.337
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 16.59253 0.69311 46.064 1.8048830 1.7881940
2* 3.38331 1.32030
3 0.00000 0.69311 40.499 1.8090000 1.7903450
4 1.82691 1.67506
5* 6.72973 2.45801 61.201 1.5890000 1.5791350
6 -3.10503 0.42357
7 0.00000 0.42357 絞りS
8 7.33150 2.10997 40.499 1.8090000 1.7903450
9* -3.93088 1.67034
10 0.00000 0.92414 67.817 1.4584400 1.4511770
11 0.00000 0.41592
[非球面データ]
第2面 κ=-0.48343 A4=-2.96197E-03 A6=-3.71395E-05
A8=-7.52975E-06 A10=-4.66440E-07
第5面 κ=-77.877 A4=9.57960E-03 A6=-1.30070E-02
A8=3.48097E-03 A10=-4.99619E-04
第9面 κ=-2.7813 A4=5.03420E-03 A6=-8.86001E-04
A8=9.36497E-04 A10=-2.32748E-04
【0062】
次の表2に、この第1実施例に係る撮影レンズSL1の焦点距離及び上述の各条件式に対応する値(条件対応値)を示す。なお、この表2において、fは全系の焦点距離、f1は第1レンズ成分LC1の焦点距離、f2は第2レンズ成分LC2の焦点距離、f3は第3レンズ成分LC3の焦点距離、f4は第4レンズ成分LC4の焦点距離、f12は第1レンズ成分LC1と第2レンズ成分LC2の合成焦点距離、f123は第1〜第3レンズ成分LC1〜LC3の合成焦点距離、f34は第3レンズ成分LC3と第4レンズ成分LC4の合成焦点距離を示す。これらの説明は以降の実施例においても同様である。また、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0063】
(表2)
f = 1.000
f1 =-5.520
f2 =-2.312
f3 = 4.039
f4 = 3.530
f12 =-1.352
f123= 9.857
f34 = 2.668
(1)f1/f2= 2.388
(2)f4/f = 3.530
(3)f3/f4= 1.144
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= -1.0
(5)(r6+r5)/(r6−r5)= -0.369
(6)(n3+n4)/2=1.685
【0064】
このように、本第1実施例に係る撮影レンズSL1は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0065】
図2に、この第1実施例に係る撮影レンズSL1の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この諸収差図において、球面収差の縦軸の最高値はH(入射光線の高さ)を示し、像面湾曲及び歪曲収差の縦軸の最高値はω(最大画角の半画角)を示し、コマ収差の横軸の最大値は入射瞳の半径(入射角が0のときは入射光線の高さH)である。また、像面湾曲において、太線(濃い線)はサジタル像面、細線(薄色線)はメリジオナル(タンジェンシャル)像面を示す。なお、寸法の単位はmmで、焦点距離を1mmに正規化してある。また、歪曲収差は、y=f*ωを基準にした収差量を示してある。この図2に示す各収差図から明らかなように、この第1実施例に係る撮影レンズSL1は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。
【0066】
なお、本第1実施例に係る撮影レンズSL1は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0067】
[第2実施例]
図3は、第2実施例に係る撮影レンズSL2の構成を示す図である。この撮影レンズSL2は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL2と像面Iとの間には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第2実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、このカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0068】
この第2実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0069】
以下の表3に、本第2実施例に係る撮影レンズSL2の諸元の値を掲げる。なお、この表3に示す面番号1〜11は、図3に示す番号1〜11に対応している。
【0070】
(表3)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.98
2ω=160度
ymax=1.12544
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 11.20688 0.70418 46.579 1.8039970 1.7874850
2 2.54574 1.42997
3 -5.25816 0.63376 57.674 1.6273770 1.6164400
4 2.25258 1.02924
5* 6.15347 2.46676 61.066 1.5900770 1.5801840
6 -2.96260 0.38730
7 0.00000 0.38730 絞りS
8 4.37539 1.93773 51.234 1.7061580 1.6927140
9* -3.73955 1.83717
10 0.00000 0.84501 64.119 1.5168000 1.4511770
11 0.00000 0.06875
[非球面データ]
第5面 κ=-3.915602 A4=-0.198396E-01 A6=-0.198927E-03
A8=-0.259502E-02 A10=0.631687E-03
第9面 κ=-24.610016 A4=-0.410154E-01 A6=0.319899E-01
A8=-0.140699E-01 A10=0.283445E-02
【0071】
次の表4に、この第2実施例に係る撮影レンズSL2の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0072】
(表4)
f = 1.000
f1 =-4.338
f2 =-2.478
f3 = 3.827
f4 = 3.226
f12 =-1.281
f123=21.078
f34 = 2.454
(1)f1/f2= 1.750
(2)f4/f = 3.226
(3)f3/f4= 1.186
(4)(r4+r3)/(r4−r3)=-0.4
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.350
(6)(n3+n4)/2=1.636
【0073】
このように、本第2実施例に係る撮影レンズSL2は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0074】
図4に、この第2実施例に係る撮影レンズSL2の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図4に示す各収差図から明らかなように、この第2実施例に係る撮影レンズSL2は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第2実施例に係る撮影レンズSL2は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0075】
[第3実施例]
図5は、第3実施例に係る撮影レンズSL3の構成を示す図である。この撮影レンズSL3は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL3と像面Iとの間には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第3実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、このカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0076】
この第3実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0077】
以下の表5に、本第3実施例に係る撮影レンズSL3の諸元の値を掲げる。なお、この表5に示す面番号1〜11は、図5に示す番号1〜11に対応している。
【0078】
(表5)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.8
2ω=170度
ymax=1.139
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 13.46900 0.62937 46.601 1.8040000 1.7874850
2 2.59790 1.42724
3 -4.87325 0.62937 43.993 1.7667600 1.7502500
4 4.87325 1.91030
5* 5.54964 2.01127 47.201 1.7740000 1.7582650
6 -4.11346 0.38461
7 0.00000 0.38461 絞りS
8 14.97804 1.80503 40.499 1.8090000 1.7903450
9* -3.38607 0.46767
10 0.00000 0.83916 67.817 1.4584400 1.4511770
11 0.00000 1.39946
[非球面データ]
第5面 κ=-54.205082 A4=0.217021E-01 A6=-0.212584E-01
A8=0.750408E-02 A10=-0.125401E-02
第9面 κ=-0.312266 A4=0.126942E-01 A6=-0.541059E-02
A8=0.566642E-02 A10=-0.185804E-02
【0079】
次の表6に、この第3実施例に係る撮影レンズSL3の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0080】
(表6)
f = 1.000
f1 =-4.194
f2 =-3.160
f3 = 3.423
f4 = 3.653
f12 =-1.494
f123= 3.606
f34 = 2.545
(1)f1/f2= 1.327
(2)f4/f = 3.653
(3)f3/f4= 0.9370
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.149
(6)(n3+n4)/2= 1.774
【0081】
このように、本第3実施例に係る撮影レンズSL3は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0082】
図6に、この第3実施例に係る撮影レンズSL3の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図6に示す各収差図から明らかなように、この第3実施例に係る撮影レンズSL3は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第3実施例に係る撮影レンズSL3は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0083】
[第4実施例]
図7は、第4実施例に係る撮影レンズSL4の構成を示す図である。この撮影レンズSL4は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL4と像面Iとの間には、赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGの2部材が配置されている。赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第4実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、これらの赤外線カットフィルターFLやカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0084】
この第4実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0085】
以下の表7に、本第4実施例に係る撮影レンズSL4の諸元の値を掲げる。なお、この表7に示す面番号1〜13は、図7に示す番号1〜13に対応している。
【0086】
(表7)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.9
2ω=154度
ymax=1.06
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 18.75428 0.61878 46.576 1.8040000 1.7872350
2 2.57329 1.56070
3 -3.55273 0.61878 59.388 1.5831300 1.5732860
4 3.55273 1.71883
5* 5.54984 1.85633 48.101 1.8066090 1.7904590
6 -4.04764 0.41252
7 0.00000 0.41252 絞りS
8 6.29421 1.92509 59.382 1.5831300 1.5736580
9* -2.96383 0.34377
10 0.00000 0.82504 64.103 1.5168000 1.5083920
11 0.00000 1.13048
12 0.00000 0.36095 67.817 1.4584400 1.4511770
13 0.00000 0.00000
[非球面データ]
第5面 κ=3.4336 A4=-1.43108E-02 A6=5.61028E-04
A8=-1.59606E-03 A10=5.21981E-04
第9面 κ=-17.153 A4=-5.63230E-02 A6=4.66786E-02
A8=-2.16207E-02 A10=4.62065E-03
【0087】
次の表8に、この第4実施例に係る撮影レンズSL4の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0088】
(表8)
f = 1.000
f1 =-3.853
f2 =-3.003
f3 = 3.238
f4 = 3.801
f12 =-1.353
f123= 3.433
f34 = 2.545
(1)f1/f2= 1.283
(2)f4/f = 3.801
(3)f3/f4= 0.852
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.157
(6)(n3+n4)/2=1.682
【0089】
このように、本第4実施例に係る撮影レンズSL4は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0090】
図8に、この第4実施例に係る撮影レンズSL4の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図8に示す各収差図から明らかなように、この第4実施例に係る撮影レンズSL4は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第4実施例に係る撮影レンズSL4は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0091】
[第5実施例]
図9は、第5実施例に係る撮影レンズSL5の構成を示す図である。この撮影レンズSL3は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL5と像面Iとの間には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第5実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、このカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0092】
この第5実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第5面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第9面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。
【0093】
以下の表9に、本第5実施例に係る撮影レンズSL5の諸元の値を掲げる。なお、この表5に示す面番号1〜11は、図9に示す番号1〜11に対応している。
【0094】
(表9)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.9
2ω=156度
ymax=1.1
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1 13.48691 0.62937 46.601 1.8040000 1.7874850
2 2.59790 1.45777
3 -4.83119 0.62937 53.200 1.6940000 1.6811580
4 4.83119 1.76934
5* 13.21178 2.00104 47.201 1.7740000 1.7582650
6 -3.00902 0.48776
7 0.00000 0.48776 絞りS
8 23.63308 1.81730 40.499 1.8090000 1.7903450
9* -3.26043 0.46766
10 0.00000 0.58682 67.817 1.4584400 1.4511770
11 0.00000 1.57336
[非球面データ]
第5面 κ=-347.46757 A4=-0.566711E-2 A6=-0.107324E-01
A8=0.229848E-2 A10=-0.207130E-03
第9面 κ=1.702697 A4=0.177798E-01 A6=-0.23277E-02
A8=0.348462E-02 A10=-0.952961E-03
【0095】
次の表10に、この第5実施例に係る撮影レンズSL5の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0096】
(表10)
f = 1.000
f1 =-4.193
f2 =-3.455
f3 = 3.414
f4 = 3.737
f12 =-1.574
f123= 3.209
f34 = 2.535
(1)f1/f2= 1.214
(2)f4/f = 3.737
(3)f3/f4= 0.914
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.629
(6)(n3+n4)/2=1.774
【0097】
このように、本第5実施例に係る撮影レンズSL5は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0098】
図10に、この第5実施例に係る撮影レンズSL5の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図10に示す各収差図から明らかなように、この第5実施例に係る撮影レンズSL5は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第5実施例に係る撮影レンズSL5は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0099】
[第6実施例]
図11は、第6実施例に係る撮影レンズSL6の構成を示す図である。この撮影レンズSL6は、第4実施例の撮影レンズSL4の物体側に、負メニスカスレンズ形状の保護部材PGを配置した実施例である。この保護部材PGは、内部のレンズ又はカメラを保護する目的と外観を良好に保つ効果を兼ね、保護部材PGを装着せずに撮影レンズSL6を単独で調整や検査した後に保護部材PGを装着しても収差や焦点距離が変化せず性能を保つことができることを狙って設計されている。
【0100】
この第6実施例に係る撮影レンズSL6は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL6の物体側には、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズからなる保護部材PGが配置されており、この撮影レンズSL6と像面Iとの間には、赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGの2部材が配置されている。赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はないが、若干の収差変動が生ずるので、本第6実施例ではこのカバーガラスCGを含めて最適化してある。なお、これらの赤外線カットフィルターFLやカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0101】
この第6実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第7面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第11面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。また、保護部材PGの物体側及び像側のレンズ面(第1面及び第2面)も非球面である。
【0102】
以下の表11に、本第6実施例に係る撮影レンズSL6の諸元の値を掲げる。なお、この表11に示す面番号1〜15は、図11に示す番号1〜15に対応している。
【0103】
(表11)
[全体諸元]
f=1
FNO=1.9
2ω=152度
ymax=1.1
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1* 101.00000 0.80000 55.732 1.5311300 1.5220340
2* 87.00000 1.00000
3 18.75428 0.61878 46.576 1.8040000 1.7872350
4 2.57329 1.56070
5 -3.55273 0.61878 59.388 1.5831300 1.5732860
6 3.55273 1.71883
7* 5.54984 1.85633 48.101 1.8066090 1.7904590
8 -4.04764 0.41252
9 0.00000 0.41252 絞りS
10 6.29421 1.92509 59.382 1.5831300 1.5736580
11* -2.96383 0.34377
12 0.00000 0.82504 64.103 1.5168000 1.5083920
13 0.00000 1.13048
14 0.00000 0.36095 67.817 1.4584400 1.4511770
15 0.00000 0.00000
[非球面データ]
第1面 κ=0.0000 A4=2.43056e-04 A6=-1.35170e-06
A8=2.23332e-08 A10=6.42214e-11
第2面 κ=0.0000 A4=2.31722e-04 A6=1.94247e-06
A8=-2.29869e-08 A10=1.15475e-10
第7面 κ=3.4336 A4=-1.43108E-02 A6=5.61028E-04
A8=-1.59606E-03 A10=5.21981E-04
第11面 κ=-17.153 A4=-5.63230E-02 A6=4.66786E-02
A8=-2.16207E-02 A10=4.62065E-03
【0104】
次の表12に、この第6実施例に係る撮影レンズSL6の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0105】
(表12)
f = 1.000
f1 =-3.853
f2 =-3.003
f3 = 3.238
f4 = 3.801
f12 =-1.353
f123= 3.433
f34 = 2.545
(1)f1/f2= 1.283
(2)f4/f = 3.801
(3)f3/f4= 0.852
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.157
(6)(n3+n4)/2=1.682
【0106】
このように、本第6実施例に係る撮影レンズSL6は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0107】
図12に、この第6実施例に係る撮影レンズSL6の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図12に示す各収差図から明らかなように、この第6実施例に係る撮影レンズSL6は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第6実施例に係る撮影レンズSL6は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0108】
[第7実施例]
図13は、第7実施例に係る撮影レンズSL7の構成を示す図である。この撮影レンズSL7は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1からなり、負の屈折力を有する第1レンズ成分LC1と、両凹レンズL2からなり、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第2レンズ成分LC2と、両凸レンズ形状の非球面正レンズL3からなり、正の屈折力を有する第3レンズ成分LC3と、絞りSと、両凸レンズ形状の非球面正レンズL4からなり、像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分LC4と、から構成されている。また、この撮影レンズSL7と像面Iとの間には、物体側に凸面を向けた平凸レンズL5からなり、正の屈折力を有し、撮影レンズSL7の射出瞳位置を調整する働きを持つ第5レンズ成分LC5、並びに赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGの3部材が配置されている。赤外線カットフィルターFL及びカバーガラスCGは平行平面の透過部材であって、その有無によって焦点距離の変動はなく、若干の収差変動が生ずる。撮影レンズSL7の物体側のメニスカス形状の凹レンズおよび、撮影レンズSL7の像側の正レンズL5についてはわずかな焦点距離の変動及び収差変動が生ずるので、本第7実施例では全系で最適化してある。なお、これらの赤外線カットフィルターFLやカバーガラスCGが、カラーフィルターやローパスフィルターと光学的に等価に置換されたり、分割されたり兼用されたりしても収差への影響は生じない。
【0109】
また、この第7実施例に係る撮影レンズSL7にも、第6実施例で説明したように、内部のレンズ又はカメラを保護する目的と外観を良好に保つ効果を兼ねた保護部材を配置することができ、この図13に示す撮影レンズSL7の物体側には、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ形状の非球面負レンズである保護部材PGが配置されている。
【0110】
この第7実施例において、非球面正レンズL3の物体側のレンズ面(第7面)、及び、非球面正レンズL4の像側のレンズ面(第11面)は非球面であり、これらのレンズ面は絞りSに対して対称な位置関係のペアで用いられてコマ収差の一層の補正に寄与している。また、保護部材PGの物体側及び像側のレンズ面(第1面及び第2面)も非球面である。
【0111】
以下の表13に、本第7実施例に係る撮影レンズSL7の諸元の値を掲げる。なお、この表13に示す面番号1〜15は、図13に示す番号1〜15に対応している。
【0112】
(表13)
[全体諸元]
f=1
FNO=2.0
2ω=164度
ymax=1.13
[レンズデータ]
m r d νd nd nP
1* 61.61542 0.42771 55.727 1.5311300 1.5216360
2* 53.30161 0.61676
3 10.66932 0.61005 43.983 1.8085420 1.7911310
4 2.20770 1.37711
5 -3.90659 0.61005 40.499 1.8090000 1.7903450
6 3.90659 1.03410
7* 6.10054 1.80959 24.100 1.8210000 1.7916920
8 -4.08192 0.33553
9 0.00000 0.33553 絞りS
10 14.16615 1.76917 53.200 1.6940000 1.6811580
11* -3.15598 0.12201
12 9.38023 1.31847 46.601 1.8040000 1.7874850
13 0.00000 0.18302
14 0.00000 0.61005 29.897 1.5830000 1.5660830
15 0.00000 1.37361
[非球面データ]
第1面 κ=0.0000 A4=-8.23070e-05 A6=1.65707e-07
A8=7.11465e-09 A10=0.00000e+00
第2面 κ=0.0000 A4=-9.54698e-05 A6=-6.31119e-09
A8=1.16667e-08 A10=0.00000e+00
第7面 κ=-5.4058 A4=-1.15583e-02 A6=-1.91113e-03
A8=-1.69304e-03 A10=6.63133e-04
第11面 κ=-1.9006 A4=6.82071e-03 A6=-6.17520e-03
A8=4.01650e-03 A10=-8.60219e-04
【0113】
次の表14に、この第7実施例に係る撮影レンズSL7の焦点距離及び条件対応値を示す。なお、条件式(6)に対する条件対応値は、非球面正レンズL3及び非球面正レンズL4の媒質のP線に対する屈折率から算出している。
【0114】
(表14)
f = 1.000
f1 =-3.634
f2 =-2.389
f3 = 3.352
f4 = 3.953
f12 =-1.162
f123= 30.299
f34 = 2.502
(1)f1/f2= 1.521
(2)f4/f = 3.953
(3)f3/f4= 0.848
(4)(r4+r3)/(r4−r3)= 0.000
(5)(r6+r5)/(r6−r5)=-0.198
(6)(n3+n4)/2=1.736
【0115】
このように、本第7実施例に係る撮影レンズSL7は、上述の条件式(1)〜(6)を全て満足している。
【0116】
図14に、この第7実施例に係る撮影レンズSL7の球面収差、像面湾曲、歪曲収差、及び、コマ収差の諸収差図を示す。この図14に示す各収差図から明らかなように、この第7実施例に係る撮影レンズSL7は、諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることが分かる。また、この第7実施例に係る撮影レンズSL7は、中心波長940nm(P線)、波長範囲±100nmの近赤外線領域で最適化しているが、中心波長587.6nm(d線)の可視光でも収差は補正されている。
【0117】
以上第1実施例から第7実施例の各諸元の値は上述の条件式をすべて満たしているが、少なくとも1つ以上の条件式について、全実施例の上限値と下限値の数値幅に±10%拡げた数値範囲に限っては更なる良好なる収差補正が達成可能であり、一層望ましい。全実施例の上限値と下限値の数値幅に、±5%拡げた数値範囲しか許さない場合は更なる良好なる収差補正が達成可能であり、なお一層望ましい。
【符号の説明】
【0118】
10 車載用観察装置(撮像装置) SL(SL1〜SL7) 撮影レンズ
LC1 第1レンズ成分 LC2 第2レンズ成分
LC3 第3レンズ成分 LC4 第4レンズ成分 S 絞り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、
像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状を有し、負の屈折力を有する第1レンズ成分と、
像側に凹面を向け、負の屈折力を有する第2レンズ成分と、
両凸レンズ形状を有し、正の屈折力を有する第3レンズ成分と、
像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分と、を有し、
次式の条件を満足することを特徴とする撮影レンズ。
1.0 < f1/f2 < 2.6
2.9 < f4/f < 4.2
−1.15 < (r4+r3)/(r4−r3) < 0.2
但し、
f:全系の焦点距離
f1:前記第1レンズ成分の焦点距離
f2:前記第2レンズ成分の焦点距離
f4:前記第4レンズ成分の焦点距離
r3:前記第2レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r4:前記第2レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【請求項2】
次式の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮影レンズ。
0.78 < f3/f4 < 1.30
但し、
f3:前記第3レンズ成分の焦点距離
【請求項3】
次式の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の撮影レンズ。
−0.7 < (r6+r5)/(r6−r5) < −0.07
但し、
r5:前記第3レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r6:前記第3レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【請求項4】
次式の条件を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
1.61 < (n3+n4)/2 < 1.82
但し、
n3:前記第3レンズ成分の媒質の屈折率
n4:前記第4レンズ成分の媒質の屈折率
【請求項5】
前記第3レンズ成分と前記第4レンズ成分との間に絞りを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項6】
前記第1レンズ成分、前記第2レンズ成分、前記第3レンズ成分及び前記第4レンズ成分の各々は、単レンズであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ成分と、前記第2レンズ成分と、前記第3レンズ成分と、前記第4レンズ成分と、から構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項8】
結像に寄与する光線の最大画角が120度以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項9】
負の歪曲収差を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の撮影レンズを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
物体側から順に、
像側に凹面を向けた負メニスカスレンズ形状を有し、負の屈折力を有する第1レンズ成分と、
像側に凹面を向け、負の屈折力を有する第2レンズ成分と、
両凸レンズ形状を有し、正の屈折力を有する第3レンズ成分と、
像側に凸面を向け、正の屈折力を有する第4レンズ成分と、を有し、
次式の条件を満足することを特徴とする撮影レンズ。
1.0 < f1/f2 < 2.6
2.9 < f4/f < 4.2
−1.15 < (r4+r3)/(r4−r3) < 0.2
但し、
f:全系の焦点距離
f1:前記第1レンズ成分の焦点距離
f2:前記第2レンズ成分の焦点距離
f4:前記第4レンズ成分の焦点距離
r3:前記第2レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r4:前記第2レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【請求項2】
次式の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮影レンズ。
0.78 < f3/f4 < 1.30
但し、
f3:前記第3レンズ成分の焦点距離
【請求項3】
次式の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の撮影レンズ。
−0.7 < (r6+r5)/(r6−r5) < −0.07
但し、
r5:前記第3レンズ成分の最も物体側のレンズ面の曲率半径
r6:前記第3レンズ成分の最も像側のレンズ面の曲率半径
【請求項4】
次式の条件を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
1.61 < (n3+n4)/2 < 1.82
但し、
n3:前記第3レンズ成分の媒質の屈折率
n4:前記第4レンズ成分の媒質の屈折率
【請求項5】
前記第3レンズ成分と前記第4レンズ成分との間に絞りを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項6】
前記第1レンズ成分、前記第2レンズ成分、前記第3レンズ成分及び前記第4レンズ成分の各々は、単レンズであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ成分と、前記第2レンズ成分と、前記第3レンズ成分と、前記第4レンズ成分と、から構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項8】
結像に寄与する光線の最大画角が120度以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項9】
負の歪曲収差を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の撮影レンズを有することを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−109052(P2013−109052A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252306(P2011−252306)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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