撮影装置および撮影方法
【課題】一部を焦点検出用素子に兼用する撮像素子を有する場合であっても、十分な画質を得ることの可能な撮影装置および撮影方法を提供する。
【解決手段】撮像素子103は焦点検出用画素103aを有し、被写体画像と撮像素子の相対的な移動量(a、b)を算出し、撮像素子による1フレームの撮像の完了後であって、次のフレームの撮像開始前に算出された移動量に基づいて撮像素子を移動させ、移動量に応じた切り出し位置103bで画像を切り出す。
【解決手段】撮像素子103は焦点検出用画素103aを有し、被写体画像と撮像素子の相対的な移動量(a、b)を算出し、撮像素子による1フレームの撮像の完了後であって、次のフレームの撮像開始前に算出された移動量に基づいて撮像素子を移動させ、移動量に応じた切り出し位置103bで画像を切り出す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部を焦点検出用素子に兼用する撮像素子を有し、連続して撮像を行うことで動画を撮影する撮影装置および撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子の一部を焦点検出用フォトダイオードに兼用する撮像素子は従来から知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に開示の撮像素子では、焦点検出用に兼用する領域の各画素は2つの画素に分割され、この2つの画素は、それぞれオンチップマイクロレンズを介して、撮影レンズの異なる射出瞳領域(以下「瞳領域」と記載する)を通過した被写体光束を受光する。そして、この異なる瞳領域を通過した2種類の画像信号によって表わされる2つの画像の位相差に基づいて焦点状態が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3592147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示の撮像素子は、1つの撮像素子を撮像と焦点検出に兼用できる点で優れている。しかし、特許文献1に開示の撮像素子は、画像を構成する画素の一部を測距のための画素(AF画素)に置き換えることから、このAF画素の部分の画像が欠損してしまい、画像が劣化してしまう。画像の劣化を防止するためには、AF画素を減らせばよいが、AF画素を減らすとAFの精度を維持することができない。
【0005】
このような欠損画素があると、静止画や動画やライブビュー表示の際に、その部分がノイズのように見えてしまう。特に、ライブビュー表示の際に、画像の拡大表示を行ったり、動画撮影の際に拡大記録を行ったりすると、従来の欠陥画素数よりもはるかに多い画素がAF画素となることから、欠損画素が目立ってしまう。欠損画素の部分を補間法等により補正する方法が考えられる。しかし、補間法等の補正を行った場合にはその位置の画質が常に劣化してしまう。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、一部を焦点検出用素子に兼用する撮像素子を有する場合であっても、十分な画質を得ることの可能な撮影装置および撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮影装置は、動画を撮像可能な撮影装置において、焦点検出用画素を有し、被写体画像を画像データに変換し出力する撮像素子と、上記被写体画像と上記撮像素子の相対的な移動量を算出する移動量算出手段と、上記撮像素子による第1のフレームの撮像の完了後であって、上記第1のフレーム以後に撮像するフレームである第2のフレームの撮像開始前までの間に、上記移動量算出手段によって算出された上記移動量に基づいて、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を変更させる変更手段と、を具備する。
【0008】
第2の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データに基づいてライブビュー表示を行う表示手段と、上記ライブビュー表示を行うにあたって拡大表示を指示するための拡大画像操作手段と、上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段と、を有し、上記拡大表示が指示された際に、上記移動量に基づいて上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を上記変更手段によって変更させ、上記移動量に応じて上記画像データの切り出し位置を上記画像切り出し手段によって変更させ、この切り出し位置を変更した画像データに基づいて上記表示手段にライブビュー表示させる。
第3の発明に係わる撮影装置は、上記第2の発明において、上記第2のフレームは、上記表示手段において、上記第1のフレームの画像の次に表示される画像である。
【0009】
第4の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データに基づいて動画画像の記録を行う記録手段と、上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段と、を有し、上記動画画像の記録が指示された際に、上記移動量に基づいて上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を上記変更手段によって変更させ、上記移動量に応じて上記画像データの切り出し位置を上記画像切り出し手段によって変更させ、この切り出し位置を変更した画像データを記録手段によって記録する。
第5の発明に係わる撮影装置は、上記第4の発明において、上記第2のフレームは、上記記録手段において、上記第1のフレームの画像の次に記録される画像である
【0010】
第6の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記変更手段は、上記撮像素子を上記移動量に基づいて移動させるか、または上記被写体像を形成するためのレンズを上記移動量に基づいて移動させる。
第7の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記変更手段は、拡大表示を行う際に、または拡大表示が指示されたら、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置の変更を実行する。
【0011】
第8の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記移動量算出手段は、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を、ランダムに変更させるか、または規則的に変更させる。
第9の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記移動量算出手段は、上記撮像素子から出力される画像データの画像縮小率に応じて、上記移動量を算出する。
第10の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記移動量算出手段は、所定の縮小率より大きく表示する場合または記録する場合のみ上記移動量を変更し、上記所定の縮小率よりも小さく表示または記録場合には上記移動量を0とする。
【0012】
第11の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段を有する。
【0013】
第12の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、さらに、上記画像データの補間処理を行う補間手段を有する。
第13の発明に係わる撮影装置は、上記第12の発明において、上記補間手段は、フレーム間の平滑処理による補間処理、または1フレームの画像内での補間処理を行う。
【0014】
第14の発明に係わる撮影方法は、イメージャーAF画素を有する撮像素子を用い、連続して撮像を行うことで動画を撮影する撮影方法であって、画像の縮小率に応じて移動量を算出し、1フレームの撮像が完了してから次のフレームの撮像を開始する前に、被写体像と上記撮像素子の相対位置を、上記移動量に応じて変更する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一部を焦点検出用素子に兼用する撮像素子を有する場合であっても、フレーム間で被写体像と撮像素子の相対位置を変更するので、十分な画質を得ることの可能な撮影装置および撮影方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの電気系を主とする全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの撮像素子のフィルタの配列を示す平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの撮像素子の構造を示す図であり、(a)は撮像素子の平面図であり、(b)は撮像素子のB−B断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラにおいて、撮像素子位置移動部の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラにおいて、交換レンズとカメラ本体の同期通信の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラのメインフローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの動画・ライブビュー撮影を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラにおいて、移動量の算出方法を説明する図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの動画用画像処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラのフレーム間NRの処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラの電気系を主とする全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って本発明を適用したデジタルカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。このデジタルカメラは、カメラ本体100と、これに脱着可能な交換式レンズ200とから構成される。なお、本実施形態においては、撮影レンズは交換レンズ式としたが、これに限らず、カメラ本体に撮影レンズが固定されるタイプのデジタルカメラであっても勿論かまわない。
【0018】
交換式レンズ200は、撮影レンズ201、絞り203、ドライバ205、マイクロコンピュータ207、フォトインタラプタ(以下、PIと称す)208、フラッシュメモリ209、マニュアルフォーカス環(以下、MF環と称す)210から構成され、後述するカメラ本体100との間にインターフェース(以下、I/Fと称す)300を有する。
【0019】
撮影レンズ201は、被写体像を形成するための複数の光学レンズから構成され、単焦点レンズまたはズームレンズである。この撮影レンズ201の光軸の後方には、絞り203が配置されており、絞り203は口径が可変であり、撮影レンズ201を通過した被写体光束の光量を制限する。また、撮影レンズ201はドライバ205によって光軸方向に移動可能であり、マイクロコンピュータ207からの制御信号に基づいて、撮影レンズ201のピント位置が制御され、ズームレンズの場合には、焦点距離も制御される。また、ドライバ205は、絞り203の口径の制御も行う。
【0020】
ドライバ205に接続されたマイクロコンピュータ207は、I/F300、PI208、およびフラッシュメモリ209に接続されている。マイクロコンピュータ207は、フラッシュメモリ209に記憶されているプログラムに従って動作し、後述するカメラ本体100内のマイクロコンピュータ121と通信を行い、マイクロコンピュータ121からの制御信号に基づいて交換式レンズ200の制御を行う。
【0021】
フラッシュメモリ209には、前述したプログラムの他、交換式レンズ200の光学的特性や調整値等の種々の情報が記憶されている。I/F300は、交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207とカメラ本体100内のマイクロコンピュータ121の相互間の通信を行うためのインターフェースである。I/F300を介して行うマイクロコンピュータ207とマイクロコンピュータ121間の同期通信については、図5を用いて後述する。
【0022】
交換式レンズ200の外周には、MF環210が回転自在に設けられている。このMF環210は、撮影者が手動でピント合わせを行う場合に操作する操作部材である。PI208は、MF環210の回転に応じてパルス信号を発生し、このパルス信号をマクロコンピュータ207に出力する。マクロコンピュータ207は、PI208からのパルス信号に基づいてMF環210の回転方向、回転速度、回転量等を検出し、この検出結果に応じて、ドライバ205を駆動して、手動によるピント合わせを行う。
【0023】
また、MF環210が操作され、マニュアルフォーカス操作中であることは、I/F300を介して、カメラ本体100内のマイクロコンピュータ121に伝達される。本実施形態においては、MF環210を操作すると、後述する液晶ディスプレイ(以下、LCDと称す)135には、ライブビュー表示が拡大表示されることから、MF環210は、ライブビュー表示を行うにあたって拡大表示を指示、または動画の記録時に画像の拡大を指示するための拡大画像操作手段として機能する。
【0024】
カメラ本体100内であって、撮影レンズ201の光軸上には、メカシャッタ101が配置されている。このメカシャッタ101は、被写体光束の通過時間を制御し、公知のフォーカルプレーンシャッタ等が採用される。このメカシャッタ101の後方であって、撮影レンズ201によって被写体像が形成される位置には、撮像素子103が配置されている。
【0025】
撮像素子103は、各画素を構成するフォトダイオードが二次元的にマトリックス状に配置されており、各フォトダイオードは受光量に応じた光電変換電流を発生し、この光電変換電流は各フォトダイオードに接続するキャパシタによって電荷蓄積される。各画素の前面には、ベイヤー配列のカラーフィルタが配置されている。ベイヤー配列は、水平方向にR画素とG画素が交互に配置されたラインと、G画素とB画素が交互に配置されたラインを有している。さらにそのR画素とB画素の一部は、焦点検出用画素(AF画素)に置き換えられている。この撮像素子103の詳しい構成について、図2および図3を用いて後述する。なお、本明細書においては、撮像素子103から出力される画像信号に基づく信号であれば、A/D変換部107によってA/D変換された信号のみならず画像信号も含めて画像データと称する場合がある。
【0026】
撮像素子103は、撮像素子位置移動部117によって、撮影レンズ201の光軸と直交する面内で、垂直方向および水平方向にシフトさせられる。この撮像素子位置移動部117は、圧電素子の駆動力によって撮像素子103を移動させるためのメカ機構と、圧電素子の駆動制御を行うための回路等から構成される。撮像素子移動部117の詳しい構成について、図4を用いて後述する。
【0027】
撮像素子位置移動部117は、撮影レンズ201によって形成された被写体画像と、撮像素子103の相対位置を変更させる変更手段として機能する。後述するように、マイクロコンピュータ121は、撮像素子103の移動量を算出するので、撮像素子位置移動部117は、撮像素子103による1フレームの撮像の完了後であって、次のフレームの撮像開始前に、算出された移動量に基づいて、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させる(本実施形態においては、撮像素子103を移動させることにより、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させている)。また、この変更手段は、拡大表示を行う際に、または拡大表示が指示されたら、被写体画像と撮像素子の相対位置の変更を実行する。
【0028】
撮像素子103はアナログ処理部105に接続されており、このアナログ処理部105は、撮像素子103から読み出した光電変換信号(アナログ画像信号)に対し、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行い、さらに適切な輝度になるようにゲインアップを行う。アナログ処理部105はA/D変換部107に接続されており、このA/D変換部107は、アナログ画像信号をアナログ―デジタル変換し、デジタル画像信号(以後、画像データという)をバス119に出力する。
【0029】
バス119は、カメラ本体100の内部で読み出され若しくは生成された各種データをカメラ本体100の内部に転送するための転送路である。バス119には、前述のA/D変換部107の他、画像処理部109、AE(Auto Exposure)処理部111、AF(Auto Focus)処理部113、画像圧縮伸張部115、マイクロコンピュータ121、SDRAM(Synchronous DRAM)127、メモリインターフェース(以下、メモリI/Fと称す)129、液晶ディスプレイドライバ(以下、LCDドライバと称す)133が接続されている。
【0030】
画像処理部109は、ホワイトバランス補正(WB補正)、同時化処理、ガンマ・色再現処理、ノイズリダクション処理、オプティカルブラック減算処理(OB減算)、エッジ強調処理等を行い、SDRAM127に一時記憶された画像データを読出し、この画像データに対して種々の画像処理を施す。
【0031】
また、画像処理部109による画像処理として、ライブビュー表示中または動画記録中に、MF環210が操作されると、撮像素子103からの画像の一部を切り出し、拡大画像を生成する。前述したように、撮像素子103の焦点検出用画素は画像を構成する画素でないことから、画素欠陥となってしまう。そこで、本実施形態においては、ライブビュー表示や動画撮影中のように動画の画像データを生成する際には、焦点検出用画素の位置がフレーム毎に変化するように、撮像素子位置移動部117が所定の移動量で撮像素子103を移動させ、画像処理部109が所定の移動量に応じて画像の切り出し位置を変化させ拡大画像を生成する。このように、画像処理部109は、撮像素子から出力される画像データを移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段として機能する。
【0032】
また、画像処理部109は、補間手段としても機能し、画像データの補間処理、たとえば、複数のフレーム間における平滑処理、また1フレームの画像内での補間処理を行い、画像ノイズを低減させる。なお、フレーム間での平滑処理の一例としてのフレーム間NR(Noise Reduction)について、図10を用いて後述する。
【0033】
AE処理部111は、バス119を介して入力した画像データに基づいて被写体輝度測定し、この被写体輝度情報を、バス119を介してマイクロコンピュータ117に出力する。被写体輝度測定のために専用の測光センサを設けても良いが、本実施形態においては、画像データに基づいて被写体輝度を算出する。
【0034】
AF処理部113は、撮像素子103の焦点検出画素に設けられたAFフォトダイオード11b(図3参照)の出力に基づいて、いわゆる位相差法により、撮影レンズ201のデフォーカス方向およびデフォーカス量を算出し、バス119を介してマイクロコンピュータ121に出力する。マイクロコンピュータ121は、算出されたデフォーカス方向およびデフォーカス量を交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207に出力し、ドライバ205によって、撮影レンズ201の自動焦点調節を行う。
【0035】
画像圧縮伸張部115は、画像データの記録媒体131への記録時に、SDRAM127から画像データを読み出し、この読み出した画像データをJPEG圧縮方式に従って圧縮する。また、画像データの再生時に、記録媒体131からの読み出した画像データの伸張処理を行う。なお、本実施形態においては、画像圧縮方式としては、JPEG圧縮方式を採用するが、圧縮方式はこれに限らずTIFF、MPEG等、他の圧縮方式でも勿論かまわない。
【0036】
マイクロコンピュータ121は、このカメラ全体の制御部としての機能を果たし、カメラの各種シーケンスを総括的に制御する。マイクロコンピュータ121には、前述のI/F300以外に、操作部123およびフラッシュメモリ125が接続されている。
【0037】
また、マイクロコンピュータ121は、前述した所定量の算出を行う移動量算出手段として機能する。すなわち、前述したように、ライブビュー表示や動画撮影中のように動画の画像データを生成する際には、焦点検出用画素の位置が、フレーム毎に変化するように、撮像素子103上の被写体画像と撮像素子103のいずれか一方(本実施形態においては、撮像素子103)を、所定の移動量で移動させており、マイクロコンピュータ121は、このときの移動量を算出する。この移動量は、MF環210が操作され拡大画像を生成する際等、撮像素子から出力される画像データの画像の縮小率に応じて異ならせている。具体的には、所定の縮小率より大きく表示・記録する場合のみに移動量を変更し、所定の縮小率より小さく表示・記録する場合には移動量は0としている。
【0038】
操作部123は、電源釦、レリーズ釦、動画釦、再生釦、メニュー釦等、各種入力釦や各種入力キー等の操作部材を含み、これらの操作部材の操作状態を検知し、検知結果をマクロコンピュータ121に出力する。マイクロコンピュータ121は、操作部123からの操作部材の検知結果に基づいて、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。電源釦は、当該デジタルカメラの電源のオン/オフを指示するための操作部材である。電源釦が押されると当該デジタルカメラの電源はオンとなり、再度、電源釦が押されると当該デジタルカメラの電源はオフとなる。
【0039】
レリーズ釦は、半押しでオンになるファーストレリーズスイッチと、半押しから更に押し込み全押しとなるとオンになるセカンドレリーズスイッチを備える。マイクロコンピュータ121は、ファーストレリーズスイッチがオンとなると、AE処理やAF処理等の撮影準備シーケンスを実行する。また、セカンドレリーズスイッチがオンとなると、メカシャッタ101等を制御し、撮像素子103等から被写体画像に基づく画像データを取得し、この画像データを記録媒体131に記録する一連の撮影シーケンスを実行して撮影を行う。
【0040】
動画釦は、動画の撮影を開始させ、また終了させるための釦である。初期状態では動画未撮影状態であるので、この状態で動画釦を押すと動画の撮影を開始し、動画撮影中に動画釦を押すと、動画の撮影を終了する。従って、動画釦を押すたびに、動画の撮影開始と終了を交互に繰り返す。また、再生釦は、記録媒体131に記録されている撮影画像をLCD135に表示させる表示モードを実行させるための操作釦である。
【0041】
メニュー釦はメニュー画面を表示させる。本実施形態においては、マニュアルフォーカス時のMF環210の操作やボタン操作等により、ライブビュー表示を拡大表示するが、そのときの拡大率は、メニュー画面において設定する。勿論、倍率設定用の操作釦を設けても構わない。
【0042】
フラッシュメモリ125は、マイクロコンピュータ121の各種シーケンスを実行するためのプログラムを記憶している。マイクロコンピュータ121はこのプログラムに基づいて当該デジタルカメラの制御を行う。また、フラッシュメモリ125は、被写体輝度に対して適正露光となる露出制御値(ISO感度、絞り値、シャッタ速度)の組合せを示すテーブル(露出条件決定テーブル)、ホワイトバランス補正を行うためのホワイトバランスゲインや、カラーマトリックス係数を記憶している。フラッシュメモリ125は、当該デジタルカメラの動作に必要な各種パラメータやテーブルを記憶しており、マイクロコンピュータ121が前述のプログラムに従って、これらのパラメータを読み出し、各処理を実行する。
【0043】
バス119に接続されたSDRAM127は、画像データ等の一時記憶用の電気的書き換え可能な揮発性メモリである。このSDRAM127は、A/D変換部107から出力された画像データや、画像処理部109や画像圧縮伸張部115等において処理された画像データを一時記憶する。
【0044】
バス119に接続されたメモリI/F129は、記録媒体131に画像データ等を記録し、また記録媒体131から画像データ等を読出しの際のインターフェースである。記録媒体131は、例えば、カメラ本体100に着脱自在なメモリカード等の記録媒体であるが、これに限らず、カメラ本体100に内蔵されたハードディスク等であっても良い。メモリI/F129および記録媒体131によって、撮像素子103から出力される画像データに基づいて動画画像の記録を行う記録手段が構成される。
【0045】
LCDドライバ133は、LCD135に接続されており、SDRAM127や記録媒体131から読み出され、画像圧縮伸張部115によって伸張された画像データに基づいて画像をLCD135において表示させる。LCD135は、カメラ本体100の背面等に配置された液晶ディスプレイを含み、画像表示を行う。画像表示としては、撮影直後、記録される画像データを短時間だけ表示するレックビュー表示、記録媒体131に記録された静止画や動画の画像ファイルの再生表示、およびライブビュー表示等の動画表示が含まれる。なお、圧縮されている画像データを表示する場合には、前述したように、画像圧縮伸張部115によって伸張処理を施した後に表示する。また、表示部としては、液晶ディスプレイに限らず、有機EL等、他の表示パネルを採用しても勿論かまわない。
【0046】
次に、本実施形態における撮像素子の詳細な構成について、図2および図3を用いて説明する。図2(b)は、撮像素子103の平面図であり、図2(a)は、撮像素子103の一部分を拡大した図である。図2(a)において、横方向に画素ナンバとしてア〜タを割り当て、縦方向に画素ナンバとして1〜16を割り当てる。この例では、画素(ア、1)がR画素であり、画素(イ、2)がB画素であり、画素(イ、1)および画素(ア、2)がG画素である。この4画素の組合せが、横方向および縦方向に繰り返され、撮像素子が構成される。なお、各画素内において丸で示した部分は、マイクロレンズを示す。
【0047】
本実施形態における撮像素子の配置は、一部のRまたはBの画像生成用画素を焦点検出用画素に置き換えて配列されている。すなわち、図2(a)に示した例では、画素(エ、4)、画素(オ、5)、画素(シ、4)、画素(ス、5)、画素(エ、12)、画素(オ、13)、画素(シ、12)、画素(ス、13)の合計8個の焦点検出用画素を含んでいる。これらの焦点検出用画素によって、撮像素子103の画面において垂直方向(画素座標1〜16の方向)の位相差を検出可能である。
【0048】
なお、本実施形態においては、撮像素子103の垂直方向に沿っての位相差を検出するように焦点検出用画素を配置したが、これに限らず、水平方向や斜め方向に沿っての位相差を検出するように焦点検出用画素を配置するようにしてもよい。また、本実施形態においては、焦点検出用画素は、R画素やB画素にあたる位置に置き換えていたが、これに限らず、G画素にあたる位置に焦点検出用画素を置き換えるようにしても勿論かまわない。
【0049】
次に、焦点検出用画素の詳しい構造について、図3を用いて、説明する。図3(a)は焦点検出用画素の平面図であり、図3(b)はB−B断面図である。通常のマトリクス状に配置された撮影画像生成用画素ではフォトダイオード(不図示)が配置されているのに対して、焦点検出用画素では、図3(a)に示すように、AF検出用フォトダイオード11bが配置される。このAF検出用フォトダイオード11bは、マイクロレンズ17の光軸よりも、一側に偏って形成される。また、カラーフィルタは、焦点検出用画素では、輝度フィルタ15bが配置される。なお、輝度フィルタ15bは、NDフィルタ、透明フィルタ、グレーフィルタ等で構成され、またフィルタがなく中空となっているものも含まれる。
【0050】
輝度フィルタ15bの上側は、マイクロレンズ17によって覆われている。マイクロレンズ17は、撮影レンズ201の射出瞳19の位置と画素(AF検出用フォトダイオード11b)が略共役になるように、焦点距離とその位置が決められている。また、輝度フィルタ15bの裏面側には遮光部材13が設けられている。この遮光部材13は、射出瞳19の一側のみがAF検出用フォトダイオード11bに到達させ、それ以外の被写体光束を遮光する。なお、図3(b)においては、AF検出用フォトダイオード11bは、マイクロレンズ17の光軸よりも、一側に偏って形成されているが、画像生成用画素と同じような大きさであっても構わない。
【0051】
このように、本実施形態における焦点検出用画素は構成されている。このため、撮影レンズ201の射出瞳19の一部を通過した被写体光束25は、マイクロレンズ17および輝度フィルタ15bを通過し、AF検出用フォトダイオード11b上に投射される。また、被写体光束25以外の光束は、遮光部材13によって遮光され、AF検出用フォトダイオード11b上には投射されない。
【0052】
本実施形態においては、撮像素子103の焦点検出用画素中にAF検出用フォトダイオード11bが配置されていることから、位相差検出による焦点検出が可能となる。すなわち、焦点検出用画素(AF用フォトダイオード11b)は、撮影光学系の異なる瞳領域を通過した被写体光束のうち、一方の瞳領域を通過した光束を受光する位置に配置された第1の焦点検出用画素と、他方の瞳領域を通過した光束を受光する位置に配置された第2の焦点検出用画素とを含んでいる。例えば、図2(a)において、焦点検出用画素(エ、4)は、一方の瞳領域を通過した光束を受光する位置にあり、一方、焦点検出用画素(オ、5)は、他方の瞳領域を通過した光束を受光する位置にある。したがって、所定方向に並んでいる焦点検出用画素の一方の出力と、他方の出力から位相差を求めることができる。
【0053】
なお、焦点検出用画素のAF検出用フォトダイオード11bと遮光部材13の形状は、長方形または正方形をしているが、この形状や大きさは適宜変更できる。AF検出用フォトダイオード11bと遮光部材13の位置を変えると、AF検出用フォトダイオード11bの受光面と共役関係にある瞳の位置を制御することが可能となる。これらの形状は、撮像素子の製造過程において、露光時のマスクを適切に作成すればよい。また、本実施形態においては、遮光部材13を設けているが、マイクロレンズ17により、AF検出用フォトダイオード11bの受光面と瞳領域の共役関係を正確に保持することができれば、遮光部材を設けなくても、AF検出用フォトダイオード11bの形状のみで瞳分割を行うようにしてもよい。
【0054】
次に、撮像素子位置移動部117の構成について、図4を用いて説明する。前述の撮像素子103は、ホルダ403上に配置され、このホルダ403は、固定枠401に保持されている。すなわち、固定枠401にネジ413によって固設された保持板409cと、固定枠401の間に、ボール411を介して、ホルダ403の突起部403aが介挿され、板バネを形成する保持板409cにより押圧保持されている。保持板409a、409bにおいても、同様に、ホルダ403がボールを介して固定枠401に保持されている。
【0055】
また、ホルダ403は、圧電体A405aおよび圧電体B405bによって、上方(図中のY方向)に圧接され、ホルダ403と固定枠401の間には、伸張性のバネA407a、バネB407bが介挿されている。圧電体A405aは、Y方向に伸縮し、圧電体A405aが伸びた際には、ホルダ403をバネA407aの弾性力に抗して上方に押し上げ、圧電体A405aが縮んだ際には、ホルダ403はバネA407aの弾性力によって下方に押下げられる。
【0056】
圧電体A405aには、フレキA415aが接続されており、このフレキA415aを介して給電される。図4に示すように、ホルダ403の左右に、圧電体A405aおよび圧電体B405bが配置され、またホルダ403は、保持板409a〜409c、およびボール411によって保持され、上下方向(Y方向)に沿って移動可能となっている。なお、圧電体B405bの構成と動作は、圧電体A405aと同様であるので、ここでは詳しい説明を省略する。図4には上下方向のみ移動機構のみを示したが、同様に、左右方向(X方向)に沿って移動させる移動機構(不図示)を設ける。
【0057】
次に、カメラ本体100と交換式レンズ200の間でなされる同期通信の一例を、図5を用いて説明する。図5において、横軸は時間の流れを表し、縦軸にそれぞれの処理内容やタイミングを示す。カメラ本体処理において、処理B1では、前フレームで取得した画像データによりライブビュー画像の表示や、AF用のデフォーカス量の算出を行う。また処理B2では、レンズ状態通信により取得したレンズ状態データに基づいて、AF演算や各種設定変更等を行う。
【0058】
垂直同期信号は、各フレームに対応して出力される信号である。撮像・読出しでは、撮像素子103において被写体像を撮像し、この撮像した画像データの読み出しを行う。なお、撮像・読出しが、図5において、菱形形状をしているのは、本実施形態においては、ライブビュー画像の取得時はローリングシャッタを採用しており、画素ラインごとに撮像と読出しを順次行うためである。
【0059】
レンズ通信における通信BLでは、カメラ本体100から交換式レンズ200にレンズ状態データ要求コマンドを送信し、このコマンドは交換式レンズ200のレンズ状態を示すデータをカメラ本体100に送信することを要求する。また通信LBでは、レンズ状態データ要求コマンドに応じて、交換式レンズ200がカメラ本体100にレンズ状態を示すデータを送信する。
【0060】
レンズ通信同期信号は、カメラ本体100において垂直同期信号に応答して生成され、このレンズ通信同期信号はカメラ本体100側のI/F300の同期信号端子より交換式レンズ200に出力される。レンズ位置取得信号は、所定のタイミング、例えば図5に示す例では、撮像素子103における電荷蓄積時間の略中央時点を経過した時点で状態が変化する。
【0061】
また、交換式レンズ200内における処理L1は、レンズ位置取得信号の状態変化タイミングでの撮影レンズ201の位置情報の取得、およびレンズ通信同期信号の受信タイミングでのMF環210の操作状態の検出を行う処理である。また処理L2は、カメラ本体100から受信したレンズ状態データ要求コマンドに応じて、撮影レンズ201の位置情報や、MF環210の操作状態等のレンズ状態データを送信する処理である。
【0062】
図5のタイミングチャートに示すように、本実施形態における同期通信では、垂直同期信号に同期してカメラ本体100内において処理B1を実行し、また、垂直同期信号に同期してレンズ通信同期信号を交換式レンズ200に送信する。
【0063】
カメラ本体100内において処理B1を処理すると、交換式レンズ200に対して通信BLによって、レンズ状態データ要求コマンドを送信する。交換式レンズ200はレンズ状態データ要求コマンドを受信すると、レンズ状態を検出し、通信LBによってレンズ状態データを送信する。カメラ本体100はレンズ状態データを受信すると、処理B2を実行する。
【0064】
また、交換式レンズ200内において、レンズ位置を取得する処理L1はレンズ位置取得信号に同期して実行する。このレンズ位置取得信号は所定のタイミング、前述したように、図5の例においては、撮像素子103の画面中央による電荷蓄積時間の1/2が経過した時点で発生する。交換式レンズ200は、レンズ位置取得信号の状態変化のタイミングでレンズ位置検出回路(不図示)によって撮影レンズ201の位置情報を取得する。これらの同期通信は、全体としては、レンズ通信同期信号に同期して実行される。
【0065】
このように、本実施形態においては、MF環210の回転操作がなされると、PI208からのパルス信号に基づいて、交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207は、処理L2の処理終了時点で、MF環210の回転操作中であることを、カメラ本体100内のマイクロコンピュータ121に送信する。
【0066】
次に、図6ないし図10を用いて、本実施形態におけるデジタルカメラの動作について説明する。図6、7、9、10に示すフローチャートは、フラッシュメモリ125に記憶されたプログラムに従ってマイクロコンピュータ121が実行する。
【0067】
まず、図6に示すフローチャートを用いてメイン動作を説明する。電源釦が操作され、電源オンとなると、図6に示すメインフローが動作を開始する。動作を開始すると、まず、初期化を行う(S1)。ここでは、動画の記録中であるか否かを示す記録中フラグをオフにする。この記録中フラグは、オンの場合には動画を記録中であることを示し、オフの場合には動画の記録を行っていないことを示す。また、交換式レンズ200とカメラ本体100の間で、図5を用いて説明した同期通信を開始する。
【0068】
初期化を行うと、次に、再生釦が押されたか否かを判定する(S3)。ここでは、操作部123の内の再生釦の操作状態に基づいて判定する。この判定の結果、再生釦が押された場合には、次に、再生を行う(S19)。ここでは、記録媒体131から画像データを読出し、LCD135に表示させる。
【0069】
ステップS19において再生を実行すると、またはステップS3における判定の結果、再生釦が押されていなかった場合には、次に、動画釦が押されたか否かの判定を行う(S5)。このステップでは、操作部123において、動画釦の操作状態を検知し、この検知結果に基づいて判定する。この判定の結果、動画釦が押された場合には、次に、記録中フラグの反転を行う(S21)。前述したように、動画釦は押されるたびに、動画撮影開始と終了を交互に繰り返すので、このステップでは、記録中フラグがオフであった場合にはオンに、またオンであった場合にはオフに、記録中フラグを反転させる。
【0070】
ステップS21において、記録中フラグの反転を行うと、次に、動画記録中か否かの判定を行う(S23)。ここでは、記録中フラグがオンか否かに基づいて判定する。すなわち、記録中フラグがオンであれば、動画記録中と判定する。ステップS23における判定の結果、動画記録中であった場合には、動画ファイルを生成する(S25)。ここでは、動画記録が開始したことから、記録用に新しい動画ファイルを生成する。
【0071】
ステップS25において動画ファイルを生成すると、またはステップS23における判定の結果、動画記録中でなかった場合には、またはステップS5における判定の結果、動画釦が押されていなかった場合には、次に、ステップS23と同様に動画記録中であるか否かを判定する(S7)。
【0072】
ステップS7判定の結果、動画記録中でなかった場合には、次に、レリーズ釦が半押しされたか否か、言い換えると、ファーストレリーズスイッチがオフからオンとなったか否かの判定を行う(S9)。この判定は、レリーズ釦に連動するファーストレリーズスイッチの状態を操作部123によって検知し、この検知結果に基づいて行う。なお、このステップでは、ファーストレリーズスイッチがオフからオンに変化したか否かを判定し、変化後にオン状態が維持されている場合には、判定結果はNoとなる。
【0073】
ステップS9における判定の結果、ファーストレリーズが押された場合には、AEを行う(S11)。ここでは、AE処理部111によって、被写体輝度を測定し、絞り値やシャッタ速度等の露出制御値を決め、またLCD135に表示するライブビュー表示を適正露光で行うための制御値を決める。
【0074】
ステップS11においてAEを行うと、次に、撮影を行う(S13)。ここでの撮影は、撮像素子103によって被写体画像の画像信号を取得する。なお、このステップでは、画像データを記録媒体131に記録することはない。
【0075】
撮影を行うと、次に、AFを行う(S15)。ここでは、撮像素子103の焦点検出画素のAF検出用フォトダイオード11bからの画像データに基づいて、いわゆる位相差法による焦点検出を行う。すなわち、垂直方向に沿って配列されたAF検出用フォトダイオード11bの画像データのずれに基づいて、撮影レンズ101のデフォーカス方向およびデフォーカス量を求める。そして、この求めたデフォーカス方向およびデフォーカス量に基づいて、交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207を介してドライバ205が撮影レンズ201のピント位置を制御する。したがって、動画記録中ではない場合に、レリーズ釦が半押しされると、その時点で、撮影レンズ201のピント合わせを1回行う。
【0076】
ステップS9における判定の結果、レリーズ釦がオフ→1st遷移でなかった場合には、次に、セカンドレリーズ(2nd)が押されたか否か、言い換えると、レリーズ釦が全押しされセカンドレリーズスイッチがオンとなっているか否かの判定を行う(S27)。このステップでは、レリーズ釦に連動するセカンドレリーズスイッチの状態を操作部123によって検知し、この検知結果に基づいて判定を行う。
【0077】
ステップS27における判定の結果、セカンドレリーズが押された場合には、静止画撮影を行う(S29)。ここでは、撮像素子103において露光を行い、被写体像に応じた画像信号を取得する。
【0078】
ステップS29において、静止画撮影を行うと、次に画像処理を行う(S31)。ここでは、撮像素子103から画像信号を読出し、画像処理部109が画像信号に基づく静止画の画像データについて画像処理を行い、画像圧縮伸張部115が画像圧縮処理を行う。前述したように、焦点検出用画素のある位置には、撮像用画素のフォトダイオード(不図示)が配置されていないことから、撮像画像生成用の画像信号を取得することができない。そこで、静止画撮影の場合には、焦点検出用画素の周辺の画素の画像データを用いて、補間処理を行うようにしてもよい。
【0079】
静止画用画像処理を行うと、次に、画像処理の施された画像データの記録を行う(S33)。ここでは、画像処理の施された画像データを記録媒体131に記録する。
【0080】
ステップS7における判定の結果、動画記録中であった場合には、次にステップS11と同様にAEを行う(S35)。ここでは、AE処理部111によって、動画撮影やライブビュー表示のための露出制御を行う。
【0081】
続いて、動画・ライブビュー撮影を行う(S37)。ここでは、動画撮影やライブビュー表示用に、撮像素子103によって画像信号を取得する。また、焦点検出用画素による画素欠陥を目立たなくするために、撮像素子位置移動部117によってフレーム毎に撮像素子103を所定移動量だけ移動させる。なお、撮像素子103の移動は、マニュアルフォーカス時のMF環210操作やボタン操作等による拡大ライブビュー表示を行う場合のみ実行するようにしてもよい。この動画・ライブビュー撮影の詳しい動作については、図7および図8を用いて後述する。
【0082】
動画・ライブビュー撮影を行うと、次に、動画用画像処理を行う(S39)。ここでは、動画記録用の画像処理や、ライブビュー表示用の画像処理を行う。また、ステップS37において、撮像素子103を所定量移動させた場合に、安定した画像を表示・記録するために、ステップS37において移動させた移動量に応じて、撮像素子103からの画像データの切り出し位置を変更する。この動画用画像処理の詳しい動作については、図9を用いて後述する。
【0083】
動画用画像処理を行うと、次に、ライブビュー表示を行う(S41)。ここでは、ステップS39において処理された動画用画像データを用いて、LCD135に表示を行う。動画記録中であれば、記録されている動画像を確認することができる。また、焦点検出用画素による画素の欠陥が目立たないように処理されたライブビュー画像を観察することができる。MF環210が操作されるとマニュアルフォーカスモードの場合には、ライブビュー表示を拡大表示するようにしてもよい。この場合、メニュー画面で設定された拡大率で拡大したライブビュー画像を表示する。
【0084】
ライブビュー表示を行うと、次に、ステップS23、S7と同様に、動画記録中か否かを判定する(S43)。この判定の結果、動画記録中であった場合には、動画記録を行う(S45)。ここでは、ステップS39において動画用画像処理された画像データを、ステップS25に生成された動画ファイルを用いて、記録媒体131に記録する。この場合、撮像素子103を移動させ、この移動量に応じて画像の切り出しを行うことにより、画素の欠陥が目立たない画像を記録することができる。なお、MF環210が操作された場合の動画の記録は、通常サイズの画像を記録するようにしてもよいし、また拡大画像を記録するようにしてもよい。
【0085】
ステップS33において静止画記録を行うと、またはステップS43における判定の結果、動画記録中でなかった場合、またはS45において動画記録を行うと、またはステップS15においてAFを実行すると、次に、電源オフか否かの判定を行う(S17)。このステップでは、操作部123の電源釦が再度、押されたか否かを判定する。この判定の結果、電源オフではなかった場合には、ステップS3に戻る。一方、判定の結果、電源オフであった場合には、メインフローの終了動作を行ったのち、メインフローを終了する。
【0086】
ステップS37の動画・ライブビュー撮影のサブルーチンを説明するに先だって、本実施形態における撮像素子103の移動量の算出について、図8を用いて説明する。図8(a)は前のフレームの撮影を示し、図8(b)は今回のフレームの撮影を示す。撮像素子103中には、焦点検出用画素103aが数〜数十画素毎に縦横方向に規則的に配列されている。図8には示してないが、隣接する焦点検出用画素103a間には、数〜数十画素の画像生成用画素が配設されている。
【0087】
本実施形態においては、被写体像の光軸中心103cの位置は移動しないが、撮像素子103はフレーム毎に移動することから、図8の例では、前回のフレームの露光位置(図8(a))103dに対して、今回のフレームの露光位置は上方向にa、左方向bだけ移動する。この移動にあたっては、図8(a)における焦点検出用画素103cの位置に、図8(b)における焦点検出用画素103cの位置が重ならないように、撮像素子103をランダムに移動させる。ランダム移動するために、乱数を発生させて決めればよい。勿論、焦点検出用画素が重ならなければ、規則的な変更としてもよい。また、ベイヤーでの色(例えば光軸中心の色)が常に同じなるようにずらしてもよいし、また異なるようにしてもよい。
【0088】
フレーム毎に撮像素子103を移動させると、フレーム毎に被写体像が移動してしまう。そこで、後述するステップS61(図9参照)において、撮像素子103の移動量分、画像の切り出し位置103bを移動させている。これによって安定した画像を表示し、また記録することができる。
【0089】
なお、カメラ本体100に手振れセンサを設け、この手振れセンサによって検出された手振れを打ち消すように切り出し位置を移動させる所謂電子手振れ補正を行っている場合には、手振れに応じて切り出し位置が変化する。この場合には、切り出された画像における終点検出用画素の位置が、前のフレームと同じ場合にランダムにずらし、異なっている場合には移動量を0としてもよい。
【0090】
次に、ステップS37の動画・ライブビュー撮影の動作について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。動画・ライブビュー撮影のフローに入ると、まず露光位置移動量の算出を行う(S51)。ここでは、前のフレームの焦点検出用画素の位置と、今回撮影するフレームの焦点検出用画素の位置が重ならないように、移動量算出手段として機能するマイクロコンピュータ121が、撮像素子103の位置を水平および垂直方向で移動させるための移動量を算出する。ただし、所定の縮小率よりも縮小表示を行っている場合(例えば、縮小後の画素数が焦点検出用の画素数以下になるような縮小率、図2に示す例では4/16の縮小表示)には、焦点検出用画素が目立たないために、移動量を0とする。拡大表示や拡大画像の記録を行う際には、撮像素子103を移動させることになる移動量とする。もちろん、縮小率や拡大率にかかわりなく、常に移動させるようにしてもよい。また、移動方向としては、水平のみでもよく、垂直のみでもよい。
【0091】
ステップS51において露光位置移動量の算出を行うと、次に、センサ移動を行う(S53)。ここでは、ステップS51において、演算した移動量に基づいて、撮像素子位置移動部117が撮像素子103を移動させる。
【0092】
センサの移動を行うと、次に、露光を行う(S55)。ここでは、撮像素子103の電荷をリセットした後、ステップ35における直前のAEの結果から得られるISO感度と絞り値、および算出した露光時間で露光を行う。露光が終わると、次に、画像データの読み出しを行う(S57)。画像データを読み出すと、元のフローに戻る。
【0093】
次に、ステップS39(図6参照)の動画用画像処理の動作について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。動画用画像処理のフローに入ると、まず切り出しを行う(S61)。ここでは、画像処理部109が、ステップS51において算出した露光位置の移動方向と移動量に応じた位置(図8の切り出し位置103b参照)で画像の切り出しを行う。このとき、電子手振れ補正を行っている場合には、電子手振れ補正による切り出し位置の変更も含めて切り出しを行う。
【0094】
切り出しを行うと、次に、現像処理を行う(S63)。ここでは、画像処理部109が、ベイヤー配列の画像データに対し、OB減算、WB補正、同時化、カラーマトリックス乗算、ガンマ変換、エッジ強調、ノイズ低減(NR)などの画像処理を行う。
【0095】
現像処理を行うと、次に、フレーム間NRを行う(S65)。ここでは、前のフレームの画像と、今回のフレームの画像を用いて、フレーム間で同じ座標の画像のちらつきが低減するように、既知のアルゴリズム等を使用してフレーム間のノイズ低減(NR)を行う。例えば、対応する座標の画素値の差が所定以下になるように平滑化する。このとき、あまり縮小していない場合や拡大している場合には、焦点検出用画素が目立つため、フレーム間NRの強度(平滑化の程度、大きい程ちらつきが減る)を強め、縮小している程、強度を弱めるようにする。このフレーム間NRの詳細については、図10を用いて後述する。フレーム間NRを行うと、元のフローに戻る。
【0096】
次に、フレーム間NRについて、図10を用いて説明する。フレーム間NRに入ると、まず画素番号i=0とする(S71)。画素番号は、例えば、撮像素子103の左上の隅等から、順次、付与する。続いて、画素番号iが画素数よりも小さいか否かを判定する(S73)。後述するステップS81において、処理が終わるたびに1つずつ加算されており、このステップでは、全ての画素について処理がなされたか否かを判定する。
【0097】
ステップS73における判定の結果、画素番号iが画素数よりも小さかった場合には、次に、i番目の画素が焦点検出用画素(AF画素)かつ拡大か否かの判定を行う(S75)。焦点検出用画素の画素位置は焦点検出素子103によって決まっている。ここでは、i番目の画素位置が焦点検出用画素の位置であるか否かを判定する。また、マニュアルフォーカス時等にLCD135に拡大表示を行うので、このステップでは、MF環210が操作され、拡大表示を行うか否かを判定する。
【0098】
ステップS75における判定の結果、AF画素かつ拡大であった場合には、強いフレーム間NRを実行し(S77)、一方、AF画素かつ拡大でなかった場合には、弱いフレーム間NRを実行する(S79)。フレーム間NRを行うことにより画像の平滑化を図ることができる。特に、拡大表示する場合であって、AF画素(焦点検出用画素)の場合には、AF画素の位置から画像信号を取得することができないことから、強いフレーム間NRを利用して画像の平滑化を図り、画素欠陥が目立たないようにしている。
【0099】
ステップS77またはS79においてフレーム間NRを行うと、次に、画素番号iに1を加算し(S81)、ステップS73に戻る。以後、画素番号に1を加算しながら、拡大表示でAF画素の場合には、強いフレーム間NRを施し、いずれでもない場合には弱いフレーム間NRを施す。(ステップS73においてNoと判定され、全ての画素についてフレーム間NRが終わると、元のフローに戻る。
【0100】
このように、本発明の第1実施形態においては、前回のフレームと今回のフレームで焦点検出用画素が重ならないように撮像素子103の位置を移動させるようにしている。このため、焦点検出用画素(AF画素)の部分の画像が欠損しても、この欠損部分がフレーム毎に移動することから、人間の眼には画像が欠けているようには見えない。特に、拡大画像のライブビュー表示や拡大画像の動画記録の場合には、画像の欠損が目立ちやすいが、本実施形態のように、撮像素子103を移動させることにより、十分な質の画像を得ることができる。
【0101】
また、本発明の第1実施形態においては、読出した画像データから切り出す際に、撮像素子103の移動量と移動方向に応じた位置で切り出しを行うようにしている。撮像素子103が移動すると、ライブビュー表示や記録された動画画像も動いてしまうが、切り出し処理によって安定した画像とすることができる。
【0102】
また、本発明の第1実施形態においては、フレーム間NRを行って、画像のノイズ低減を行っている。焦点検出用画素の部分の画像が欠損しているが、フレーム間NRを行うことにより、本実施形態においては、画像の欠損に基づくノイズを低減させて滑らかな画像を得ることができる。なお、ノイズ低減手段としては、フレーム間NRに限らず、例えば、1フレーム内の画像データに基づいて、焦点検出用画素の部分を補間処理してもよく、また、焦点検出用画素の部分を前回の画像データによって置き換えるようにしてもよい。また、同時化の処理等により焦点検出用画素の周辺画素も焦点検出用画素の影響を受ける時には、それらの画素も焦点検出用画素と同様な処理を行うようにしてもよい。
【0103】
次に、図11を用いて、本発明の第2実施形態を説明する。本発明の第1実施形態においては、変更手段によって被写体像と撮像素子の相対的な位置関係を変更するにあたって、撮像素子103を移動させていた。これに対して、第2実施形態においては、変更手段は光学系を移動させることにより、被写体像を移動させ、被写体像と撮像素子の相対的な位置関係を変更するようにしている。すなわち、第1実施形態においては、撮像素子位置移動部117によって撮像素子103を移動させていた。これに対して、第2実施形態においては、光軸移動レンズ202および光軸移動レンズ制御部206を設け、撮像素子103上に形成される被写体像を光軸移動レンズ202によって移動させるようにしている。
【0104】
図11は、本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。第1実施形態に係わる図1に示したブロック図と同様の部材については同一の符号を付し、詳しい説明は省略し、相違点を中心説明する。第1実施形態におけるカメラ本体100には、撮像素子位置移動部117が設けてあったが、第2実施形態においては、撮像素子位置移動部117は省略されている。
【0105】
交換式レンズ200内の撮影レンズ201の光軸上には、光軸移動レンズ202が配置されている。この光軸移動レンズ202は、撮影レンズ201の光軸に対して垂直な面内で上下左右方向に移動可能に構成されている。この光軸移動レンズ202は、光軸移動レンズ制御部206によって、移動される。光軸移動レンズ202が上方向に移動すると、撮像素子103上に形成される被写体像は上方向に移動する。一方、光軸移動レンズ202が下方向に移動すると、撮像素子103上に形成される被写体像は下方向に移動する。左右方向についても同様に被写体像は移動する。
【0106】
光軸移動レンズ制御部206は、マイクロコンピュータ207に接続されており、カメラ本体100内のマイクロコンピュータ121からの指示に従って、光軸移動レンズ制御部206に対して制御命令を出力する。フラッシュメモリ209は、マイクロコンピュータ207のプログラムや各種調整値等を記憶する。各種調整値として、本実施形態においては、光軸移動レンズの202の移動量に応じて、撮像素子103上での被写体の移動量に関する光軸移動関連データが記憶されている。
【0107】
交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207は、カメラ本体100内のマイクロコンピュータから撮像素子103面上での必要移動量に関する情報を受け取ると、フラッシュメモリ209に記憶されている光軸移動関連データに基づいて、光軸移動レンズの移動量を算出し、光軸移動レンズ制御部206によって光軸移動レンズ202の移動を行う。
【0108】
本実施形態における動作は、図6、図7、図9、図10に示したフローと同様の処理がなされる。ただし、図7のステップS51における露光位置移動量の算出にあたっては、上述の光軸移動関連データを用いて、光軸移動レンズ202の移動量を算出する。また、ステップS53においては、センサ移動ではなく、光軸移動レンズ202の移動を行う。
【0109】
このように、本発明の第2実施形態においては、前回のフレームと今回のフレームで焦点検出用画素が重ならないように光軸移動レンズ202を移動させるようにしている。このため、第1実施形態の場合と同様、焦点検出用画素(AF画素)の部分の画像が欠損しても、この欠損部分が移動することから、人間の眼には画像が欠けているようには見えない。本実施形態においては、カメラ本体100側に撮像素子103の移動機構を有さない場合であっても、交換レンズ側で焦点検出用画素欠陥に基づく画像の劣化を防止することができる。
【0110】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、被写体画像と撮像素子の相対的な移動量を算出し、撮像素子による第1のフレームの撮像の完了後であって、第1のフレーム以後に撮像するフレームである第2のフレームの撮像開始前までの間に算出された移動量に基づいて、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させている。このため、焦点検出用画素(AF画素)の部分の画像が欠損していても、十分な質の画像を得ることができる。
【0111】
また、本発明の各実施形態においては、拡大表示がなされる際には、算出された移動量に基づいて被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させ、移動量に応じて画像データの切り出し位置を変更させ、この切り出し位置を変更した画像データに基づいて表示手段にライブビュー表示させるようにしている。拡大画像のライブビュー表示の場合には、画像の欠損が目立ちやすいが、十分な質の画像を得ることができる。また、同様に、動画画像を記録する際には、算出された移動量に基づいて被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させ、移動量に応じて画像データの切り出し位置を変更させ、この切り出し位置を変更した画像データを記録手段によって記録するようにしている。動画撮影の際に十分な質の画像を記録することができる。
【0112】
なお、本発明の各実施形態においては、ライブビュー表示および動画記録の両方で、焦点検出用画素の部分の画像の欠損による画質の劣化を防止するために、被写体画像と撮像素子の相対的位置を変更させていたが、これに限らず、ライブビュー表示の際のみ、また動画記録の際のみのいずれか一方のみとしてもよい。
【0113】
また、本発明の各実施形態においては、被写体画像を拡大する場合に、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させていたが、拡大(または縮小)かに係わらず、常に被写体画像と撮像素子の相対位置を変更するようにしてもよく、いずれかの場合のみ相対位置を変更するようにしてもよい。
【0114】
また、本発明の各実施形態においては、フレーム毎に毎回、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更していたが、人間の目の特性を考慮して、数フレーム毎でもよく、被写体画像と撮像素子の相対位置の変更のタイミングを適宜変更してもよい。また、被写体画像と撮像素子の相対位置の変更にあたっては、フレーム毎にランダムでも規則的でもよい。いずれにしても人間の目の特性を考慮して、焦点検出用画素による画像の欠陥が目立たない範囲で適宜、変更してもよい。
【0115】
また、本発明の各実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラ、デジタル一眼カメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、焦点検出用画素を含む焦点検出素子を有する撮像可能な撮影のための装置であれば、本発明を適用することができる。
【0116】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0117】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0118】
11b・・・AF検出用フォトダイオード、13・・・遮光部材、15b・・・輝度フィルタ、17・・・マイクロレンズ、19・・・射出瞳、25・・・被写体光束、100・・・カメラ本体、101・・・メカシャッタ、103・・・撮像素子、105・・・アナログ処理部、107・・・A/D変換部、109・・・画像処理部、111・・・AE処理出部、113・・・AF処理部、115・・・画像圧縮伸張部、117・・・撮像素子位置移動部、119・・・バス、121・・・マイクロコンピュータ、121・・・クロックジェネレータ、123・・・操作部、125・・・フラッシュメモリ、127・・・SDRAM、129・・・メモリI/F、131・・・記録媒体、133・・・液晶ディプレイドライバ(LCDドライバ)、135・・・液晶ディスプレイ(LCD)、200・・・交換式レンズ、201・・・撮影レンズ、202・・・光軸移動レンズ、203・・・絞り、205・・・ドライバ、206・・・光軸移動レンズ制御部、207・・・マイクロコンピュータ、208・・・フォトインタラプタ(PI)、209・・・フラッシュメモリ、210・・・マニュアルフォーカス環(MF環)、300・・・インターフェース(I/F)、401・・・固定枠、401a〜401b・・・突起部、403・・・ホルダ、405a・・・圧電体A、405b・・・圧電体B、407a・・・バネA、407b・・・バネB、409a〜409c・・・保持板、411・・・ボール、413・・・ネジ、415a〜415b・・・フレキ
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部を焦点検出用素子に兼用する撮像素子を有し、連続して撮像を行うことで動画を撮影する撮影装置および撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子の一部を焦点検出用フォトダイオードに兼用する撮像素子は従来から知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に開示の撮像素子では、焦点検出用に兼用する領域の各画素は2つの画素に分割され、この2つの画素は、それぞれオンチップマイクロレンズを介して、撮影レンズの異なる射出瞳領域(以下「瞳領域」と記載する)を通過した被写体光束を受光する。そして、この異なる瞳領域を通過した2種類の画像信号によって表わされる2つの画像の位相差に基づいて焦点状態が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3592147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示の撮像素子は、1つの撮像素子を撮像と焦点検出に兼用できる点で優れている。しかし、特許文献1に開示の撮像素子は、画像を構成する画素の一部を測距のための画素(AF画素)に置き換えることから、このAF画素の部分の画像が欠損してしまい、画像が劣化してしまう。画像の劣化を防止するためには、AF画素を減らせばよいが、AF画素を減らすとAFの精度を維持することができない。
【0005】
このような欠損画素があると、静止画や動画やライブビュー表示の際に、その部分がノイズのように見えてしまう。特に、ライブビュー表示の際に、画像の拡大表示を行ったり、動画撮影の際に拡大記録を行ったりすると、従来の欠陥画素数よりもはるかに多い画素がAF画素となることから、欠損画素が目立ってしまう。欠損画素の部分を補間法等により補正する方法が考えられる。しかし、補間法等の補正を行った場合にはその位置の画質が常に劣化してしまう。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、一部を焦点検出用素子に兼用する撮像素子を有する場合であっても、十分な画質を得ることの可能な撮影装置および撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮影装置は、動画を撮像可能な撮影装置において、焦点検出用画素を有し、被写体画像を画像データに変換し出力する撮像素子と、上記被写体画像と上記撮像素子の相対的な移動量を算出する移動量算出手段と、上記撮像素子による第1のフレームの撮像の完了後であって、上記第1のフレーム以後に撮像するフレームである第2のフレームの撮像開始前までの間に、上記移動量算出手段によって算出された上記移動量に基づいて、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を変更させる変更手段と、を具備する。
【0008】
第2の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データに基づいてライブビュー表示を行う表示手段と、上記ライブビュー表示を行うにあたって拡大表示を指示するための拡大画像操作手段と、上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段と、を有し、上記拡大表示が指示された際に、上記移動量に基づいて上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を上記変更手段によって変更させ、上記移動量に応じて上記画像データの切り出し位置を上記画像切り出し手段によって変更させ、この切り出し位置を変更した画像データに基づいて上記表示手段にライブビュー表示させる。
第3の発明に係わる撮影装置は、上記第2の発明において、上記第2のフレームは、上記表示手段において、上記第1のフレームの画像の次に表示される画像である。
【0009】
第4の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データに基づいて動画画像の記録を行う記録手段と、上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段と、を有し、上記動画画像の記録が指示された際に、上記移動量に基づいて上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を上記変更手段によって変更させ、上記移動量に応じて上記画像データの切り出し位置を上記画像切り出し手段によって変更させ、この切り出し位置を変更した画像データを記録手段によって記録する。
第5の発明に係わる撮影装置は、上記第4の発明において、上記第2のフレームは、上記記録手段において、上記第1のフレームの画像の次に記録される画像である
【0010】
第6の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記変更手段は、上記撮像素子を上記移動量に基づいて移動させるか、または上記被写体像を形成するためのレンズを上記移動量に基づいて移動させる。
第7の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記変更手段は、拡大表示を行う際に、または拡大表示が指示されたら、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置の変更を実行する。
【0011】
第8の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記移動量算出手段は、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を、ランダムに変更させるか、または規則的に変更させる。
第9の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記移動量算出手段は、上記撮像素子から出力される画像データの画像縮小率に応じて、上記移動量を算出する。
第10の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記移動量算出手段は、所定の縮小率より大きく表示する場合または記録する場合のみ上記移動量を変更し、上記所定の縮小率よりも小さく表示または記録場合には上記移動量を0とする。
【0012】
第11の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段を有する。
【0013】
第12の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、さらに、上記画像データの補間処理を行う補間手段を有する。
第13の発明に係わる撮影装置は、上記第12の発明において、上記補間手段は、フレーム間の平滑処理による補間処理、または1フレームの画像内での補間処理を行う。
【0014】
第14の発明に係わる撮影方法は、イメージャーAF画素を有する撮像素子を用い、連続して撮像を行うことで動画を撮影する撮影方法であって、画像の縮小率に応じて移動量を算出し、1フレームの撮像が完了してから次のフレームの撮像を開始する前に、被写体像と上記撮像素子の相対位置を、上記移動量に応じて変更する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一部を焦点検出用素子に兼用する撮像素子を有する場合であっても、フレーム間で被写体像と撮像素子の相対位置を変更するので、十分な画質を得ることの可能な撮影装置および撮影方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの電気系を主とする全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの撮像素子のフィルタの配列を示す平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの撮像素子の構造を示す図であり、(a)は撮像素子の平面図であり、(b)は撮像素子のB−B断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラにおいて、撮像素子位置移動部の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラにおいて、交換レンズとカメラ本体の同期通信の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラのメインフローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの動画・ライブビュー撮影を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラにおいて、移動量の算出方法を説明する図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの動画用画像処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラのフレーム間NRの処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラの電気系を主とする全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って本発明を適用したデジタルカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるデジタルカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。このデジタルカメラは、カメラ本体100と、これに脱着可能な交換式レンズ200とから構成される。なお、本実施形態においては、撮影レンズは交換レンズ式としたが、これに限らず、カメラ本体に撮影レンズが固定されるタイプのデジタルカメラであっても勿論かまわない。
【0018】
交換式レンズ200は、撮影レンズ201、絞り203、ドライバ205、マイクロコンピュータ207、フォトインタラプタ(以下、PIと称す)208、フラッシュメモリ209、マニュアルフォーカス環(以下、MF環と称す)210から構成され、後述するカメラ本体100との間にインターフェース(以下、I/Fと称す)300を有する。
【0019】
撮影レンズ201は、被写体像を形成するための複数の光学レンズから構成され、単焦点レンズまたはズームレンズである。この撮影レンズ201の光軸の後方には、絞り203が配置されており、絞り203は口径が可変であり、撮影レンズ201を通過した被写体光束の光量を制限する。また、撮影レンズ201はドライバ205によって光軸方向に移動可能であり、マイクロコンピュータ207からの制御信号に基づいて、撮影レンズ201のピント位置が制御され、ズームレンズの場合には、焦点距離も制御される。また、ドライバ205は、絞り203の口径の制御も行う。
【0020】
ドライバ205に接続されたマイクロコンピュータ207は、I/F300、PI208、およびフラッシュメモリ209に接続されている。マイクロコンピュータ207は、フラッシュメモリ209に記憶されているプログラムに従って動作し、後述するカメラ本体100内のマイクロコンピュータ121と通信を行い、マイクロコンピュータ121からの制御信号に基づいて交換式レンズ200の制御を行う。
【0021】
フラッシュメモリ209には、前述したプログラムの他、交換式レンズ200の光学的特性や調整値等の種々の情報が記憶されている。I/F300は、交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207とカメラ本体100内のマイクロコンピュータ121の相互間の通信を行うためのインターフェースである。I/F300を介して行うマイクロコンピュータ207とマイクロコンピュータ121間の同期通信については、図5を用いて後述する。
【0022】
交換式レンズ200の外周には、MF環210が回転自在に設けられている。このMF環210は、撮影者が手動でピント合わせを行う場合に操作する操作部材である。PI208は、MF環210の回転に応じてパルス信号を発生し、このパルス信号をマクロコンピュータ207に出力する。マクロコンピュータ207は、PI208からのパルス信号に基づいてMF環210の回転方向、回転速度、回転量等を検出し、この検出結果に応じて、ドライバ205を駆動して、手動によるピント合わせを行う。
【0023】
また、MF環210が操作され、マニュアルフォーカス操作中であることは、I/F300を介して、カメラ本体100内のマイクロコンピュータ121に伝達される。本実施形態においては、MF環210を操作すると、後述する液晶ディスプレイ(以下、LCDと称す)135には、ライブビュー表示が拡大表示されることから、MF環210は、ライブビュー表示を行うにあたって拡大表示を指示、または動画の記録時に画像の拡大を指示するための拡大画像操作手段として機能する。
【0024】
カメラ本体100内であって、撮影レンズ201の光軸上には、メカシャッタ101が配置されている。このメカシャッタ101は、被写体光束の通過時間を制御し、公知のフォーカルプレーンシャッタ等が採用される。このメカシャッタ101の後方であって、撮影レンズ201によって被写体像が形成される位置には、撮像素子103が配置されている。
【0025】
撮像素子103は、各画素を構成するフォトダイオードが二次元的にマトリックス状に配置されており、各フォトダイオードは受光量に応じた光電変換電流を発生し、この光電変換電流は各フォトダイオードに接続するキャパシタによって電荷蓄積される。各画素の前面には、ベイヤー配列のカラーフィルタが配置されている。ベイヤー配列は、水平方向にR画素とG画素が交互に配置されたラインと、G画素とB画素が交互に配置されたラインを有している。さらにそのR画素とB画素の一部は、焦点検出用画素(AF画素)に置き換えられている。この撮像素子103の詳しい構成について、図2および図3を用いて後述する。なお、本明細書においては、撮像素子103から出力される画像信号に基づく信号であれば、A/D変換部107によってA/D変換された信号のみならず画像信号も含めて画像データと称する場合がある。
【0026】
撮像素子103は、撮像素子位置移動部117によって、撮影レンズ201の光軸と直交する面内で、垂直方向および水平方向にシフトさせられる。この撮像素子位置移動部117は、圧電素子の駆動力によって撮像素子103を移動させるためのメカ機構と、圧電素子の駆動制御を行うための回路等から構成される。撮像素子移動部117の詳しい構成について、図4を用いて後述する。
【0027】
撮像素子位置移動部117は、撮影レンズ201によって形成された被写体画像と、撮像素子103の相対位置を変更させる変更手段として機能する。後述するように、マイクロコンピュータ121は、撮像素子103の移動量を算出するので、撮像素子位置移動部117は、撮像素子103による1フレームの撮像の完了後であって、次のフレームの撮像開始前に、算出された移動量に基づいて、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させる(本実施形態においては、撮像素子103を移動させることにより、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させている)。また、この変更手段は、拡大表示を行う際に、または拡大表示が指示されたら、被写体画像と撮像素子の相対位置の変更を実行する。
【0028】
撮像素子103はアナログ処理部105に接続されており、このアナログ処理部105は、撮像素子103から読み出した光電変換信号(アナログ画像信号)に対し、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行い、さらに適切な輝度になるようにゲインアップを行う。アナログ処理部105はA/D変換部107に接続されており、このA/D変換部107は、アナログ画像信号をアナログ―デジタル変換し、デジタル画像信号(以後、画像データという)をバス119に出力する。
【0029】
バス119は、カメラ本体100の内部で読み出され若しくは生成された各種データをカメラ本体100の内部に転送するための転送路である。バス119には、前述のA/D変換部107の他、画像処理部109、AE(Auto Exposure)処理部111、AF(Auto Focus)処理部113、画像圧縮伸張部115、マイクロコンピュータ121、SDRAM(Synchronous DRAM)127、メモリインターフェース(以下、メモリI/Fと称す)129、液晶ディスプレイドライバ(以下、LCDドライバと称す)133が接続されている。
【0030】
画像処理部109は、ホワイトバランス補正(WB補正)、同時化処理、ガンマ・色再現処理、ノイズリダクション処理、オプティカルブラック減算処理(OB減算)、エッジ強調処理等を行い、SDRAM127に一時記憶された画像データを読出し、この画像データに対して種々の画像処理を施す。
【0031】
また、画像処理部109による画像処理として、ライブビュー表示中または動画記録中に、MF環210が操作されると、撮像素子103からの画像の一部を切り出し、拡大画像を生成する。前述したように、撮像素子103の焦点検出用画素は画像を構成する画素でないことから、画素欠陥となってしまう。そこで、本実施形態においては、ライブビュー表示や動画撮影中のように動画の画像データを生成する際には、焦点検出用画素の位置がフレーム毎に変化するように、撮像素子位置移動部117が所定の移動量で撮像素子103を移動させ、画像処理部109が所定の移動量に応じて画像の切り出し位置を変化させ拡大画像を生成する。このように、画像処理部109は、撮像素子から出力される画像データを移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段として機能する。
【0032】
また、画像処理部109は、補間手段としても機能し、画像データの補間処理、たとえば、複数のフレーム間における平滑処理、また1フレームの画像内での補間処理を行い、画像ノイズを低減させる。なお、フレーム間での平滑処理の一例としてのフレーム間NR(Noise Reduction)について、図10を用いて後述する。
【0033】
AE処理部111は、バス119を介して入力した画像データに基づいて被写体輝度測定し、この被写体輝度情報を、バス119を介してマイクロコンピュータ117に出力する。被写体輝度測定のために専用の測光センサを設けても良いが、本実施形態においては、画像データに基づいて被写体輝度を算出する。
【0034】
AF処理部113は、撮像素子103の焦点検出画素に設けられたAFフォトダイオード11b(図3参照)の出力に基づいて、いわゆる位相差法により、撮影レンズ201のデフォーカス方向およびデフォーカス量を算出し、バス119を介してマイクロコンピュータ121に出力する。マイクロコンピュータ121は、算出されたデフォーカス方向およびデフォーカス量を交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207に出力し、ドライバ205によって、撮影レンズ201の自動焦点調節を行う。
【0035】
画像圧縮伸張部115は、画像データの記録媒体131への記録時に、SDRAM127から画像データを読み出し、この読み出した画像データをJPEG圧縮方式に従って圧縮する。また、画像データの再生時に、記録媒体131からの読み出した画像データの伸張処理を行う。なお、本実施形態においては、画像圧縮方式としては、JPEG圧縮方式を採用するが、圧縮方式はこれに限らずTIFF、MPEG等、他の圧縮方式でも勿論かまわない。
【0036】
マイクロコンピュータ121は、このカメラ全体の制御部としての機能を果たし、カメラの各種シーケンスを総括的に制御する。マイクロコンピュータ121には、前述のI/F300以外に、操作部123およびフラッシュメモリ125が接続されている。
【0037】
また、マイクロコンピュータ121は、前述した所定量の算出を行う移動量算出手段として機能する。すなわち、前述したように、ライブビュー表示や動画撮影中のように動画の画像データを生成する際には、焦点検出用画素の位置が、フレーム毎に変化するように、撮像素子103上の被写体画像と撮像素子103のいずれか一方(本実施形態においては、撮像素子103)を、所定の移動量で移動させており、マイクロコンピュータ121は、このときの移動量を算出する。この移動量は、MF環210が操作され拡大画像を生成する際等、撮像素子から出力される画像データの画像の縮小率に応じて異ならせている。具体的には、所定の縮小率より大きく表示・記録する場合のみに移動量を変更し、所定の縮小率より小さく表示・記録する場合には移動量は0としている。
【0038】
操作部123は、電源釦、レリーズ釦、動画釦、再生釦、メニュー釦等、各種入力釦や各種入力キー等の操作部材を含み、これらの操作部材の操作状態を検知し、検知結果をマクロコンピュータ121に出力する。マイクロコンピュータ121は、操作部123からの操作部材の検知結果に基づいて、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。電源釦は、当該デジタルカメラの電源のオン/オフを指示するための操作部材である。電源釦が押されると当該デジタルカメラの電源はオンとなり、再度、電源釦が押されると当該デジタルカメラの電源はオフとなる。
【0039】
レリーズ釦は、半押しでオンになるファーストレリーズスイッチと、半押しから更に押し込み全押しとなるとオンになるセカンドレリーズスイッチを備える。マイクロコンピュータ121は、ファーストレリーズスイッチがオンとなると、AE処理やAF処理等の撮影準備シーケンスを実行する。また、セカンドレリーズスイッチがオンとなると、メカシャッタ101等を制御し、撮像素子103等から被写体画像に基づく画像データを取得し、この画像データを記録媒体131に記録する一連の撮影シーケンスを実行して撮影を行う。
【0040】
動画釦は、動画の撮影を開始させ、また終了させるための釦である。初期状態では動画未撮影状態であるので、この状態で動画釦を押すと動画の撮影を開始し、動画撮影中に動画釦を押すと、動画の撮影を終了する。従って、動画釦を押すたびに、動画の撮影開始と終了を交互に繰り返す。また、再生釦は、記録媒体131に記録されている撮影画像をLCD135に表示させる表示モードを実行させるための操作釦である。
【0041】
メニュー釦はメニュー画面を表示させる。本実施形態においては、マニュアルフォーカス時のMF環210の操作やボタン操作等により、ライブビュー表示を拡大表示するが、そのときの拡大率は、メニュー画面において設定する。勿論、倍率設定用の操作釦を設けても構わない。
【0042】
フラッシュメモリ125は、マイクロコンピュータ121の各種シーケンスを実行するためのプログラムを記憶している。マイクロコンピュータ121はこのプログラムに基づいて当該デジタルカメラの制御を行う。また、フラッシュメモリ125は、被写体輝度に対して適正露光となる露出制御値(ISO感度、絞り値、シャッタ速度)の組合せを示すテーブル(露出条件決定テーブル)、ホワイトバランス補正を行うためのホワイトバランスゲインや、カラーマトリックス係数を記憶している。フラッシュメモリ125は、当該デジタルカメラの動作に必要な各種パラメータやテーブルを記憶しており、マイクロコンピュータ121が前述のプログラムに従って、これらのパラメータを読み出し、各処理を実行する。
【0043】
バス119に接続されたSDRAM127は、画像データ等の一時記憶用の電気的書き換え可能な揮発性メモリである。このSDRAM127は、A/D変換部107から出力された画像データや、画像処理部109や画像圧縮伸張部115等において処理された画像データを一時記憶する。
【0044】
バス119に接続されたメモリI/F129は、記録媒体131に画像データ等を記録し、また記録媒体131から画像データ等を読出しの際のインターフェースである。記録媒体131は、例えば、カメラ本体100に着脱自在なメモリカード等の記録媒体であるが、これに限らず、カメラ本体100に内蔵されたハードディスク等であっても良い。メモリI/F129および記録媒体131によって、撮像素子103から出力される画像データに基づいて動画画像の記録を行う記録手段が構成される。
【0045】
LCDドライバ133は、LCD135に接続されており、SDRAM127や記録媒体131から読み出され、画像圧縮伸張部115によって伸張された画像データに基づいて画像をLCD135において表示させる。LCD135は、カメラ本体100の背面等に配置された液晶ディスプレイを含み、画像表示を行う。画像表示としては、撮影直後、記録される画像データを短時間だけ表示するレックビュー表示、記録媒体131に記録された静止画や動画の画像ファイルの再生表示、およびライブビュー表示等の動画表示が含まれる。なお、圧縮されている画像データを表示する場合には、前述したように、画像圧縮伸張部115によって伸張処理を施した後に表示する。また、表示部としては、液晶ディスプレイに限らず、有機EL等、他の表示パネルを採用しても勿論かまわない。
【0046】
次に、本実施形態における撮像素子の詳細な構成について、図2および図3を用いて説明する。図2(b)は、撮像素子103の平面図であり、図2(a)は、撮像素子103の一部分を拡大した図である。図2(a)において、横方向に画素ナンバとしてア〜タを割り当て、縦方向に画素ナンバとして1〜16を割り当てる。この例では、画素(ア、1)がR画素であり、画素(イ、2)がB画素であり、画素(イ、1)および画素(ア、2)がG画素である。この4画素の組合せが、横方向および縦方向に繰り返され、撮像素子が構成される。なお、各画素内において丸で示した部分は、マイクロレンズを示す。
【0047】
本実施形態における撮像素子の配置は、一部のRまたはBの画像生成用画素を焦点検出用画素に置き換えて配列されている。すなわち、図2(a)に示した例では、画素(エ、4)、画素(オ、5)、画素(シ、4)、画素(ス、5)、画素(エ、12)、画素(オ、13)、画素(シ、12)、画素(ス、13)の合計8個の焦点検出用画素を含んでいる。これらの焦点検出用画素によって、撮像素子103の画面において垂直方向(画素座標1〜16の方向)の位相差を検出可能である。
【0048】
なお、本実施形態においては、撮像素子103の垂直方向に沿っての位相差を検出するように焦点検出用画素を配置したが、これに限らず、水平方向や斜め方向に沿っての位相差を検出するように焦点検出用画素を配置するようにしてもよい。また、本実施形態においては、焦点検出用画素は、R画素やB画素にあたる位置に置き換えていたが、これに限らず、G画素にあたる位置に焦点検出用画素を置き換えるようにしても勿論かまわない。
【0049】
次に、焦点検出用画素の詳しい構造について、図3を用いて、説明する。図3(a)は焦点検出用画素の平面図であり、図3(b)はB−B断面図である。通常のマトリクス状に配置された撮影画像生成用画素ではフォトダイオード(不図示)が配置されているのに対して、焦点検出用画素では、図3(a)に示すように、AF検出用フォトダイオード11bが配置される。このAF検出用フォトダイオード11bは、マイクロレンズ17の光軸よりも、一側に偏って形成される。また、カラーフィルタは、焦点検出用画素では、輝度フィルタ15bが配置される。なお、輝度フィルタ15bは、NDフィルタ、透明フィルタ、グレーフィルタ等で構成され、またフィルタがなく中空となっているものも含まれる。
【0050】
輝度フィルタ15bの上側は、マイクロレンズ17によって覆われている。マイクロレンズ17は、撮影レンズ201の射出瞳19の位置と画素(AF検出用フォトダイオード11b)が略共役になるように、焦点距離とその位置が決められている。また、輝度フィルタ15bの裏面側には遮光部材13が設けられている。この遮光部材13は、射出瞳19の一側のみがAF検出用フォトダイオード11bに到達させ、それ以外の被写体光束を遮光する。なお、図3(b)においては、AF検出用フォトダイオード11bは、マイクロレンズ17の光軸よりも、一側に偏って形成されているが、画像生成用画素と同じような大きさであっても構わない。
【0051】
このように、本実施形態における焦点検出用画素は構成されている。このため、撮影レンズ201の射出瞳19の一部を通過した被写体光束25は、マイクロレンズ17および輝度フィルタ15bを通過し、AF検出用フォトダイオード11b上に投射される。また、被写体光束25以外の光束は、遮光部材13によって遮光され、AF検出用フォトダイオード11b上には投射されない。
【0052】
本実施形態においては、撮像素子103の焦点検出用画素中にAF検出用フォトダイオード11bが配置されていることから、位相差検出による焦点検出が可能となる。すなわち、焦点検出用画素(AF用フォトダイオード11b)は、撮影光学系の異なる瞳領域を通過した被写体光束のうち、一方の瞳領域を通過した光束を受光する位置に配置された第1の焦点検出用画素と、他方の瞳領域を通過した光束を受光する位置に配置された第2の焦点検出用画素とを含んでいる。例えば、図2(a)において、焦点検出用画素(エ、4)は、一方の瞳領域を通過した光束を受光する位置にあり、一方、焦点検出用画素(オ、5)は、他方の瞳領域を通過した光束を受光する位置にある。したがって、所定方向に並んでいる焦点検出用画素の一方の出力と、他方の出力から位相差を求めることができる。
【0053】
なお、焦点検出用画素のAF検出用フォトダイオード11bと遮光部材13の形状は、長方形または正方形をしているが、この形状や大きさは適宜変更できる。AF検出用フォトダイオード11bと遮光部材13の位置を変えると、AF検出用フォトダイオード11bの受光面と共役関係にある瞳の位置を制御することが可能となる。これらの形状は、撮像素子の製造過程において、露光時のマスクを適切に作成すればよい。また、本実施形態においては、遮光部材13を設けているが、マイクロレンズ17により、AF検出用フォトダイオード11bの受光面と瞳領域の共役関係を正確に保持することができれば、遮光部材を設けなくても、AF検出用フォトダイオード11bの形状のみで瞳分割を行うようにしてもよい。
【0054】
次に、撮像素子位置移動部117の構成について、図4を用いて説明する。前述の撮像素子103は、ホルダ403上に配置され、このホルダ403は、固定枠401に保持されている。すなわち、固定枠401にネジ413によって固設された保持板409cと、固定枠401の間に、ボール411を介して、ホルダ403の突起部403aが介挿され、板バネを形成する保持板409cにより押圧保持されている。保持板409a、409bにおいても、同様に、ホルダ403がボールを介して固定枠401に保持されている。
【0055】
また、ホルダ403は、圧電体A405aおよび圧電体B405bによって、上方(図中のY方向)に圧接され、ホルダ403と固定枠401の間には、伸張性のバネA407a、バネB407bが介挿されている。圧電体A405aは、Y方向に伸縮し、圧電体A405aが伸びた際には、ホルダ403をバネA407aの弾性力に抗して上方に押し上げ、圧電体A405aが縮んだ際には、ホルダ403はバネA407aの弾性力によって下方に押下げられる。
【0056】
圧電体A405aには、フレキA415aが接続されており、このフレキA415aを介して給電される。図4に示すように、ホルダ403の左右に、圧電体A405aおよび圧電体B405bが配置され、またホルダ403は、保持板409a〜409c、およびボール411によって保持され、上下方向(Y方向)に沿って移動可能となっている。なお、圧電体B405bの構成と動作は、圧電体A405aと同様であるので、ここでは詳しい説明を省略する。図4には上下方向のみ移動機構のみを示したが、同様に、左右方向(X方向)に沿って移動させる移動機構(不図示)を設ける。
【0057】
次に、カメラ本体100と交換式レンズ200の間でなされる同期通信の一例を、図5を用いて説明する。図5において、横軸は時間の流れを表し、縦軸にそれぞれの処理内容やタイミングを示す。カメラ本体処理において、処理B1では、前フレームで取得した画像データによりライブビュー画像の表示や、AF用のデフォーカス量の算出を行う。また処理B2では、レンズ状態通信により取得したレンズ状態データに基づいて、AF演算や各種設定変更等を行う。
【0058】
垂直同期信号は、各フレームに対応して出力される信号である。撮像・読出しでは、撮像素子103において被写体像を撮像し、この撮像した画像データの読み出しを行う。なお、撮像・読出しが、図5において、菱形形状をしているのは、本実施形態においては、ライブビュー画像の取得時はローリングシャッタを採用しており、画素ラインごとに撮像と読出しを順次行うためである。
【0059】
レンズ通信における通信BLでは、カメラ本体100から交換式レンズ200にレンズ状態データ要求コマンドを送信し、このコマンドは交換式レンズ200のレンズ状態を示すデータをカメラ本体100に送信することを要求する。また通信LBでは、レンズ状態データ要求コマンドに応じて、交換式レンズ200がカメラ本体100にレンズ状態を示すデータを送信する。
【0060】
レンズ通信同期信号は、カメラ本体100において垂直同期信号に応答して生成され、このレンズ通信同期信号はカメラ本体100側のI/F300の同期信号端子より交換式レンズ200に出力される。レンズ位置取得信号は、所定のタイミング、例えば図5に示す例では、撮像素子103における電荷蓄積時間の略中央時点を経過した時点で状態が変化する。
【0061】
また、交換式レンズ200内における処理L1は、レンズ位置取得信号の状態変化タイミングでの撮影レンズ201の位置情報の取得、およびレンズ通信同期信号の受信タイミングでのMF環210の操作状態の検出を行う処理である。また処理L2は、カメラ本体100から受信したレンズ状態データ要求コマンドに応じて、撮影レンズ201の位置情報や、MF環210の操作状態等のレンズ状態データを送信する処理である。
【0062】
図5のタイミングチャートに示すように、本実施形態における同期通信では、垂直同期信号に同期してカメラ本体100内において処理B1を実行し、また、垂直同期信号に同期してレンズ通信同期信号を交換式レンズ200に送信する。
【0063】
カメラ本体100内において処理B1を処理すると、交換式レンズ200に対して通信BLによって、レンズ状態データ要求コマンドを送信する。交換式レンズ200はレンズ状態データ要求コマンドを受信すると、レンズ状態を検出し、通信LBによってレンズ状態データを送信する。カメラ本体100はレンズ状態データを受信すると、処理B2を実行する。
【0064】
また、交換式レンズ200内において、レンズ位置を取得する処理L1はレンズ位置取得信号に同期して実行する。このレンズ位置取得信号は所定のタイミング、前述したように、図5の例においては、撮像素子103の画面中央による電荷蓄積時間の1/2が経過した時点で発生する。交換式レンズ200は、レンズ位置取得信号の状態変化のタイミングでレンズ位置検出回路(不図示)によって撮影レンズ201の位置情報を取得する。これらの同期通信は、全体としては、レンズ通信同期信号に同期して実行される。
【0065】
このように、本実施形態においては、MF環210の回転操作がなされると、PI208からのパルス信号に基づいて、交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207は、処理L2の処理終了時点で、MF環210の回転操作中であることを、カメラ本体100内のマイクロコンピュータ121に送信する。
【0066】
次に、図6ないし図10を用いて、本実施形態におけるデジタルカメラの動作について説明する。図6、7、9、10に示すフローチャートは、フラッシュメモリ125に記憶されたプログラムに従ってマイクロコンピュータ121が実行する。
【0067】
まず、図6に示すフローチャートを用いてメイン動作を説明する。電源釦が操作され、電源オンとなると、図6に示すメインフローが動作を開始する。動作を開始すると、まず、初期化を行う(S1)。ここでは、動画の記録中であるか否かを示す記録中フラグをオフにする。この記録中フラグは、オンの場合には動画を記録中であることを示し、オフの場合には動画の記録を行っていないことを示す。また、交換式レンズ200とカメラ本体100の間で、図5を用いて説明した同期通信を開始する。
【0068】
初期化を行うと、次に、再生釦が押されたか否かを判定する(S3)。ここでは、操作部123の内の再生釦の操作状態に基づいて判定する。この判定の結果、再生釦が押された場合には、次に、再生を行う(S19)。ここでは、記録媒体131から画像データを読出し、LCD135に表示させる。
【0069】
ステップS19において再生を実行すると、またはステップS3における判定の結果、再生釦が押されていなかった場合には、次に、動画釦が押されたか否かの判定を行う(S5)。このステップでは、操作部123において、動画釦の操作状態を検知し、この検知結果に基づいて判定する。この判定の結果、動画釦が押された場合には、次に、記録中フラグの反転を行う(S21)。前述したように、動画釦は押されるたびに、動画撮影開始と終了を交互に繰り返すので、このステップでは、記録中フラグがオフであった場合にはオンに、またオンであった場合にはオフに、記録中フラグを反転させる。
【0070】
ステップS21において、記録中フラグの反転を行うと、次に、動画記録中か否かの判定を行う(S23)。ここでは、記録中フラグがオンか否かに基づいて判定する。すなわち、記録中フラグがオンであれば、動画記録中と判定する。ステップS23における判定の結果、動画記録中であった場合には、動画ファイルを生成する(S25)。ここでは、動画記録が開始したことから、記録用に新しい動画ファイルを生成する。
【0071】
ステップS25において動画ファイルを生成すると、またはステップS23における判定の結果、動画記録中でなかった場合には、またはステップS5における判定の結果、動画釦が押されていなかった場合には、次に、ステップS23と同様に動画記録中であるか否かを判定する(S7)。
【0072】
ステップS7判定の結果、動画記録中でなかった場合には、次に、レリーズ釦が半押しされたか否か、言い換えると、ファーストレリーズスイッチがオフからオンとなったか否かの判定を行う(S9)。この判定は、レリーズ釦に連動するファーストレリーズスイッチの状態を操作部123によって検知し、この検知結果に基づいて行う。なお、このステップでは、ファーストレリーズスイッチがオフからオンに変化したか否かを判定し、変化後にオン状態が維持されている場合には、判定結果はNoとなる。
【0073】
ステップS9における判定の結果、ファーストレリーズが押された場合には、AEを行う(S11)。ここでは、AE処理部111によって、被写体輝度を測定し、絞り値やシャッタ速度等の露出制御値を決め、またLCD135に表示するライブビュー表示を適正露光で行うための制御値を決める。
【0074】
ステップS11においてAEを行うと、次に、撮影を行う(S13)。ここでの撮影は、撮像素子103によって被写体画像の画像信号を取得する。なお、このステップでは、画像データを記録媒体131に記録することはない。
【0075】
撮影を行うと、次に、AFを行う(S15)。ここでは、撮像素子103の焦点検出画素のAF検出用フォトダイオード11bからの画像データに基づいて、いわゆる位相差法による焦点検出を行う。すなわち、垂直方向に沿って配列されたAF検出用フォトダイオード11bの画像データのずれに基づいて、撮影レンズ101のデフォーカス方向およびデフォーカス量を求める。そして、この求めたデフォーカス方向およびデフォーカス量に基づいて、交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207を介してドライバ205が撮影レンズ201のピント位置を制御する。したがって、動画記録中ではない場合に、レリーズ釦が半押しされると、その時点で、撮影レンズ201のピント合わせを1回行う。
【0076】
ステップS9における判定の結果、レリーズ釦がオフ→1st遷移でなかった場合には、次に、セカンドレリーズ(2nd)が押されたか否か、言い換えると、レリーズ釦が全押しされセカンドレリーズスイッチがオンとなっているか否かの判定を行う(S27)。このステップでは、レリーズ釦に連動するセカンドレリーズスイッチの状態を操作部123によって検知し、この検知結果に基づいて判定を行う。
【0077】
ステップS27における判定の結果、セカンドレリーズが押された場合には、静止画撮影を行う(S29)。ここでは、撮像素子103において露光を行い、被写体像に応じた画像信号を取得する。
【0078】
ステップS29において、静止画撮影を行うと、次に画像処理を行う(S31)。ここでは、撮像素子103から画像信号を読出し、画像処理部109が画像信号に基づく静止画の画像データについて画像処理を行い、画像圧縮伸張部115が画像圧縮処理を行う。前述したように、焦点検出用画素のある位置には、撮像用画素のフォトダイオード(不図示)が配置されていないことから、撮像画像生成用の画像信号を取得することができない。そこで、静止画撮影の場合には、焦点検出用画素の周辺の画素の画像データを用いて、補間処理を行うようにしてもよい。
【0079】
静止画用画像処理を行うと、次に、画像処理の施された画像データの記録を行う(S33)。ここでは、画像処理の施された画像データを記録媒体131に記録する。
【0080】
ステップS7における判定の結果、動画記録中であった場合には、次にステップS11と同様にAEを行う(S35)。ここでは、AE処理部111によって、動画撮影やライブビュー表示のための露出制御を行う。
【0081】
続いて、動画・ライブビュー撮影を行う(S37)。ここでは、動画撮影やライブビュー表示用に、撮像素子103によって画像信号を取得する。また、焦点検出用画素による画素欠陥を目立たなくするために、撮像素子位置移動部117によってフレーム毎に撮像素子103を所定移動量だけ移動させる。なお、撮像素子103の移動は、マニュアルフォーカス時のMF環210操作やボタン操作等による拡大ライブビュー表示を行う場合のみ実行するようにしてもよい。この動画・ライブビュー撮影の詳しい動作については、図7および図8を用いて後述する。
【0082】
動画・ライブビュー撮影を行うと、次に、動画用画像処理を行う(S39)。ここでは、動画記録用の画像処理や、ライブビュー表示用の画像処理を行う。また、ステップS37において、撮像素子103を所定量移動させた場合に、安定した画像を表示・記録するために、ステップS37において移動させた移動量に応じて、撮像素子103からの画像データの切り出し位置を変更する。この動画用画像処理の詳しい動作については、図9を用いて後述する。
【0083】
動画用画像処理を行うと、次に、ライブビュー表示を行う(S41)。ここでは、ステップS39において処理された動画用画像データを用いて、LCD135に表示を行う。動画記録中であれば、記録されている動画像を確認することができる。また、焦点検出用画素による画素の欠陥が目立たないように処理されたライブビュー画像を観察することができる。MF環210が操作されるとマニュアルフォーカスモードの場合には、ライブビュー表示を拡大表示するようにしてもよい。この場合、メニュー画面で設定された拡大率で拡大したライブビュー画像を表示する。
【0084】
ライブビュー表示を行うと、次に、ステップS23、S7と同様に、動画記録中か否かを判定する(S43)。この判定の結果、動画記録中であった場合には、動画記録を行う(S45)。ここでは、ステップS39において動画用画像処理された画像データを、ステップS25に生成された動画ファイルを用いて、記録媒体131に記録する。この場合、撮像素子103を移動させ、この移動量に応じて画像の切り出しを行うことにより、画素の欠陥が目立たない画像を記録することができる。なお、MF環210が操作された場合の動画の記録は、通常サイズの画像を記録するようにしてもよいし、また拡大画像を記録するようにしてもよい。
【0085】
ステップS33において静止画記録を行うと、またはステップS43における判定の結果、動画記録中でなかった場合、またはS45において動画記録を行うと、またはステップS15においてAFを実行すると、次に、電源オフか否かの判定を行う(S17)。このステップでは、操作部123の電源釦が再度、押されたか否かを判定する。この判定の結果、電源オフではなかった場合には、ステップS3に戻る。一方、判定の結果、電源オフであった場合には、メインフローの終了動作を行ったのち、メインフローを終了する。
【0086】
ステップS37の動画・ライブビュー撮影のサブルーチンを説明するに先だって、本実施形態における撮像素子103の移動量の算出について、図8を用いて説明する。図8(a)は前のフレームの撮影を示し、図8(b)は今回のフレームの撮影を示す。撮像素子103中には、焦点検出用画素103aが数〜数十画素毎に縦横方向に規則的に配列されている。図8には示してないが、隣接する焦点検出用画素103a間には、数〜数十画素の画像生成用画素が配設されている。
【0087】
本実施形態においては、被写体像の光軸中心103cの位置は移動しないが、撮像素子103はフレーム毎に移動することから、図8の例では、前回のフレームの露光位置(図8(a))103dに対して、今回のフレームの露光位置は上方向にa、左方向bだけ移動する。この移動にあたっては、図8(a)における焦点検出用画素103cの位置に、図8(b)における焦点検出用画素103cの位置が重ならないように、撮像素子103をランダムに移動させる。ランダム移動するために、乱数を発生させて決めればよい。勿論、焦点検出用画素が重ならなければ、規則的な変更としてもよい。また、ベイヤーでの色(例えば光軸中心の色)が常に同じなるようにずらしてもよいし、また異なるようにしてもよい。
【0088】
フレーム毎に撮像素子103を移動させると、フレーム毎に被写体像が移動してしまう。そこで、後述するステップS61(図9参照)において、撮像素子103の移動量分、画像の切り出し位置103bを移動させている。これによって安定した画像を表示し、また記録することができる。
【0089】
なお、カメラ本体100に手振れセンサを設け、この手振れセンサによって検出された手振れを打ち消すように切り出し位置を移動させる所謂電子手振れ補正を行っている場合には、手振れに応じて切り出し位置が変化する。この場合には、切り出された画像における終点検出用画素の位置が、前のフレームと同じ場合にランダムにずらし、異なっている場合には移動量を0としてもよい。
【0090】
次に、ステップS37の動画・ライブビュー撮影の動作について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。動画・ライブビュー撮影のフローに入ると、まず露光位置移動量の算出を行う(S51)。ここでは、前のフレームの焦点検出用画素の位置と、今回撮影するフレームの焦点検出用画素の位置が重ならないように、移動量算出手段として機能するマイクロコンピュータ121が、撮像素子103の位置を水平および垂直方向で移動させるための移動量を算出する。ただし、所定の縮小率よりも縮小表示を行っている場合(例えば、縮小後の画素数が焦点検出用の画素数以下になるような縮小率、図2に示す例では4/16の縮小表示)には、焦点検出用画素が目立たないために、移動量を0とする。拡大表示や拡大画像の記録を行う際には、撮像素子103を移動させることになる移動量とする。もちろん、縮小率や拡大率にかかわりなく、常に移動させるようにしてもよい。また、移動方向としては、水平のみでもよく、垂直のみでもよい。
【0091】
ステップS51において露光位置移動量の算出を行うと、次に、センサ移動を行う(S53)。ここでは、ステップS51において、演算した移動量に基づいて、撮像素子位置移動部117が撮像素子103を移動させる。
【0092】
センサの移動を行うと、次に、露光を行う(S55)。ここでは、撮像素子103の電荷をリセットした後、ステップ35における直前のAEの結果から得られるISO感度と絞り値、および算出した露光時間で露光を行う。露光が終わると、次に、画像データの読み出しを行う(S57)。画像データを読み出すと、元のフローに戻る。
【0093】
次に、ステップS39(図6参照)の動画用画像処理の動作について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。動画用画像処理のフローに入ると、まず切り出しを行う(S61)。ここでは、画像処理部109が、ステップS51において算出した露光位置の移動方向と移動量に応じた位置(図8の切り出し位置103b参照)で画像の切り出しを行う。このとき、電子手振れ補正を行っている場合には、電子手振れ補正による切り出し位置の変更も含めて切り出しを行う。
【0094】
切り出しを行うと、次に、現像処理を行う(S63)。ここでは、画像処理部109が、ベイヤー配列の画像データに対し、OB減算、WB補正、同時化、カラーマトリックス乗算、ガンマ変換、エッジ強調、ノイズ低減(NR)などの画像処理を行う。
【0095】
現像処理を行うと、次に、フレーム間NRを行う(S65)。ここでは、前のフレームの画像と、今回のフレームの画像を用いて、フレーム間で同じ座標の画像のちらつきが低減するように、既知のアルゴリズム等を使用してフレーム間のノイズ低減(NR)を行う。例えば、対応する座標の画素値の差が所定以下になるように平滑化する。このとき、あまり縮小していない場合や拡大している場合には、焦点検出用画素が目立つため、フレーム間NRの強度(平滑化の程度、大きい程ちらつきが減る)を強め、縮小している程、強度を弱めるようにする。このフレーム間NRの詳細については、図10を用いて後述する。フレーム間NRを行うと、元のフローに戻る。
【0096】
次に、フレーム間NRについて、図10を用いて説明する。フレーム間NRに入ると、まず画素番号i=0とする(S71)。画素番号は、例えば、撮像素子103の左上の隅等から、順次、付与する。続いて、画素番号iが画素数よりも小さいか否かを判定する(S73)。後述するステップS81において、処理が終わるたびに1つずつ加算されており、このステップでは、全ての画素について処理がなされたか否かを判定する。
【0097】
ステップS73における判定の結果、画素番号iが画素数よりも小さかった場合には、次に、i番目の画素が焦点検出用画素(AF画素)かつ拡大か否かの判定を行う(S75)。焦点検出用画素の画素位置は焦点検出素子103によって決まっている。ここでは、i番目の画素位置が焦点検出用画素の位置であるか否かを判定する。また、マニュアルフォーカス時等にLCD135に拡大表示を行うので、このステップでは、MF環210が操作され、拡大表示を行うか否かを判定する。
【0098】
ステップS75における判定の結果、AF画素かつ拡大であった場合には、強いフレーム間NRを実行し(S77)、一方、AF画素かつ拡大でなかった場合には、弱いフレーム間NRを実行する(S79)。フレーム間NRを行うことにより画像の平滑化を図ることができる。特に、拡大表示する場合であって、AF画素(焦点検出用画素)の場合には、AF画素の位置から画像信号を取得することができないことから、強いフレーム間NRを利用して画像の平滑化を図り、画素欠陥が目立たないようにしている。
【0099】
ステップS77またはS79においてフレーム間NRを行うと、次に、画素番号iに1を加算し(S81)、ステップS73に戻る。以後、画素番号に1を加算しながら、拡大表示でAF画素の場合には、強いフレーム間NRを施し、いずれでもない場合には弱いフレーム間NRを施す。(ステップS73においてNoと判定され、全ての画素についてフレーム間NRが終わると、元のフローに戻る。
【0100】
このように、本発明の第1実施形態においては、前回のフレームと今回のフレームで焦点検出用画素が重ならないように撮像素子103の位置を移動させるようにしている。このため、焦点検出用画素(AF画素)の部分の画像が欠損しても、この欠損部分がフレーム毎に移動することから、人間の眼には画像が欠けているようには見えない。特に、拡大画像のライブビュー表示や拡大画像の動画記録の場合には、画像の欠損が目立ちやすいが、本実施形態のように、撮像素子103を移動させることにより、十分な質の画像を得ることができる。
【0101】
また、本発明の第1実施形態においては、読出した画像データから切り出す際に、撮像素子103の移動量と移動方向に応じた位置で切り出しを行うようにしている。撮像素子103が移動すると、ライブビュー表示や記録された動画画像も動いてしまうが、切り出し処理によって安定した画像とすることができる。
【0102】
また、本発明の第1実施形態においては、フレーム間NRを行って、画像のノイズ低減を行っている。焦点検出用画素の部分の画像が欠損しているが、フレーム間NRを行うことにより、本実施形態においては、画像の欠損に基づくノイズを低減させて滑らかな画像を得ることができる。なお、ノイズ低減手段としては、フレーム間NRに限らず、例えば、1フレーム内の画像データに基づいて、焦点検出用画素の部分を補間処理してもよく、また、焦点検出用画素の部分を前回の画像データによって置き換えるようにしてもよい。また、同時化の処理等により焦点検出用画素の周辺画素も焦点検出用画素の影響を受ける時には、それらの画素も焦点検出用画素と同様な処理を行うようにしてもよい。
【0103】
次に、図11を用いて、本発明の第2実施形態を説明する。本発明の第1実施形態においては、変更手段によって被写体像と撮像素子の相対的な位置関係を変更するにあたって、撮像素子103を移動させていた。これに対して、第2実施形態においては、変更手段は光学系を移動させることにより、被写体像を移動させ、被写体像と撮像素子の相対的な位置関係を変更するようにしている。すなわち、第1実施形態においては、撮像素子位置移動部117によって撮像素子103を移動させていた。これに対して、第2実施形態においては、光軸移動レンズ202および光軸移動レンズ制御部206を設け、撮像素子103上に形成される被写体像を光軸移動レンズ202によって移動させるようにしている。
【0104】
図11は、本発明の第2実施形態に係わるデジタルカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。第1実施形態に係わる図1に示したブロック図と同様の部材については同一の符号を付し、詳しい説明は省略し、相違点を中心説明する。第1実施形態におけるカメラ本体100には、撮像素子位置移動部117が設けてあったが、第2実施形態においては、撮像素子位置移動部117は省略されている。
【0105】
交換式レンズ200内の撮影レンズ201の光軸上には、光軸移動レンズ202が配置されている。この光軸移動レンズ202は、撮影レンズ201の光軸に対して垂直な面内で上下左右方向に移動可能に構成されている。この光軸移動レンズ202は、光軸移動レンズ制御部206によって、移動される。光軸移動レンズ202が上方向に移動すると、撮像素子103上に形成される被写体像は上方向に移動する。一方、光軸移動レンズ202が下方向に移動すると、撮像素子103上に形成される被写体像は下方向に移動する。左右方向についても同様に被写体像は移動する。
【0106】
光軸移動レンズ制御部206は、マイクロコンピュータ207に接続されており、カメラ本体100内のマイクロコンピュータ121からの指示に従って、光軸移動レンズ制御部206に対して制御命令を出力する。フラッシュメモリ209は、マイクロコンピュータ207のプログラムや各種調整値等を記憶する。各種調整値として、本実施形態においては、光軸移動レンズの202の移動量に応じて、撮像素子103上での被写体の移動量に関する光軸移動関連データが記憶されている。
【0107】
交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207は、カメラ本体100内のマイクロコンピュータから撮像素子103面上での必要移動量に関する情報を受け取ると、フラッシュメモリ209に記憶されている光軸移動関連データに基づいて、光軸移動レンズの移動量を算出し、光軸移動レンズ制御部206によって光軸移動レンズ202の移動を行う。
【0108】
本実施形態における動作は、図6、図7、図9、図10に示したフローと同様の処理がなされる。ただし、図7のステップS51における露光位置移動量の算出にあたっては、上述の光軸移動関連データを用いて、光軸移動レンズ202の移動量を算出する。また、ステップS53においては、センサ移動ではなく、光軸移動レンズ202の移動を行う。
【0109】
このように、本発明の第2実施形態においては、前回のフレームと今回のフレームで焦点検出用画素が重ならないように光軸移動レンズ202を移動させるようにしている。このため、第1実施形態の場合と同様、焦点検出用画素(AF画素)の部分の画像が欠損しても、この欠損部分が移動することから、人間の眼には画像が欠けているようには見えない。本実施形態においては、カメラ本体100側に撮像素子103の移動機構を有さない場合であっても、交換レンズ側で焦点検出用画素欠陥に基づく画像の劣化を防止することができる。
【0110】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、被写体画像と撮像素子の相対的な移動量を算出し、撮像素子による第1のフレームの撮像の完了後であって、第1のフレーム以後に撮像するフレームである第2のフレームの撮像開始前までの間に算出された移動量に基づいて、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させている。このため、焦点検出用画素(AF画素)の部分の画像が欠損していても、十分な質の画像を得ることができる。
【0111】
また、本発明の各実施形態においては、拡大表示がなされる際には、算出された移動量に基づいて被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させ、移動量に応じて画像データの切り出し位置を変更させ、この切り出し位置を変更した画像データに基づいて表示手段にライブビュー表示させるようにしている。拡大画像のライブビュー表示の場合には、画像の欠損が目立ちやすいが、十分な質の画像を得ることができる。また、同様に、動画画像を記録する際には、算出された移動量に基づいて被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させ、移動量に応じて画像データの切り出し位置を変更させ、この切り出し位置を変更した画像データを記録手段によって記録するようにしている。動画撮影の際に十分な質の画像を記録することができる。
【0112】
なお、本発明の各実施形態においては、ライブビュー表示および動画記録の両方で、焦点検出用画素の部分の画像の欠損による画質の劣化を防止するために、被写体画像と撮像素子の相対的位置を変更させていたが、これに限らず、ライブビュー表示の際のみ、また動画記録の際のみのいずれか一方のみとしてもよい。
【0113】
また、本発明の各実施形態においては、被写体画像を拡大する場合に、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更させていたが、拡大(または縮小)かに係わらず、常に被写体画像と撮像素子の相対位置を変更するようにしてもよく、いずれかの場合のみ相対位置を変更するようにしてもよい。
【0114】
また、本発明の各実施形態においては、フレーム毎に毎回、被写体画像と撮像素子の相対位置を変更していたが、人間の目の特性を考慮して、数フレーム毎でもよく、被写体画像と撮像素子の相対位置の変更のタイミングを適宜変更してもよい。また、被写体画像と撮像素子の相対位置の変更にあたっては、フレーム毎にランダムでも規則的でもよい。いずれにしても人間の目の特性を考慮して、焦点検出用画素による画像の欠陥が目立たない範囲で適宜、変更してもよい。
【0115】
また、本発明の各実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラ、デジタル一眼カメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、焦点検出用画素を含む焦点検出素子を有する撮像可能な撮影のための装置であれば、本発明を適用することができる。
【0116】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0117】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0118】
11b・・・AF検出用フォトダイオード、13・・・遮光部材、15b・・・輝度フィルタ、17・・・マイクロレンズ、19・・・射出瞳、25・・・被写体光束、100・・・カメラ本体、101・・・メカシャッタ、103・・・撮像素子、105・・・アナログ処理部、107・・・A/D変換部、109・・・画像処理部、111・・・AE処理出部、113・・・AF処理部、115・・・画像圧縮伸張部、117・・・撮像素子位置移動部、119・・・バス、121・・・マイクロコンピュータ、121・・・クロックジェネレータ、123・・・操作部、125・・・フラッシュメモリ、127・・・SDRAM、129・・・メモリI/F、131・・・記録媒体、133・・・液晶ディプレイドライバ(LCDドライバ)、135・・・液晶ディスプレイ(LCD)、200・・・交換式レンズ、201・・・撮影レンズ、202・・・光軸移動レンズ、203・・・絞り、205・・・ドライバ、206・・・光軸移動レンズ制御部、207・・・マイクロコンピュータ、208・・・フォトインタラプタ(PI)、209・・・フラッシュメモリ、210・・・マニュアルフォーカス環(MF環)、300・・・インターフェース(I/F)、401・・・固定枠、401a〜401b・・・突起部、403・・・ホルダ、405a・・・圧電体A、405b・・・圧電体B、407a・・・バネA、407b・・・バネB、409a〜409c・・・保持板、411・・・ボール、413・・・ネジ、415a〜415b・・・フレキ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画を撮像可能な撮影装置において、
焦点検出用画素を有し、被写体画像を画像データに変換し出力する撮像素子と、
上記被写体画像と上記撮像素子の相対的な移動量を算出する移動量算出手段と、
上記撮像素子による第1のフレームの撮像の完了後であって、上記第1のフレーム以後に撮像するフレームである第2のフレームの撮像開始前までの間に、上記移動量算出手段によって算出された上記移動量に基づいて、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を変更させる変更手段と、
を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データに基づいてライブビュー表示を行う表示手段と、
上記ライブビュー表示を行うにあたって拡大表示を指示するための拡大画像操作手段と、
上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段と、
を有し、
上記拡大表示が指示された際に、上記移動量に基づいて上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を上記変更手段によって変更させ、上記移動量に応じて上記画像データの切り出し位置を上記画像切り出し手段によって変更させ、この切り出し位置を変更した画像データに基づいて上記表示手段にライブビュー表示させることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
上記第2のフレームは、上記表示手段において、上記第1のフレームの画像の次に表示される画像であることを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データに基づいて動画画像の記録を行う記録手段と、
上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段と、
を有し、
上記動画画像の記録が指示された際に、上記移動量に基づいて上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を上記変更手段によって変更させ、上記移動量に応じて上記画像データの切り出し位置を上記画像切り出し手段によって変更させ、この切り出し位置を変更した画像データを記録手段によって記録することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
上記第2のフレームは、上記記録手段において、上記第1のフレームの画像の次に記録される画像であることを特徴とする請求項4に記載の撮影装置。
【請求項6】
上記変更手段は、上記撮像素子を上記移動量に基づいて移動させるか、または上記被写体像を形成するためのレンズを上記移動量に基づいて移動させることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項7】
上記変更手段は、拡大表示を行う際に、または拡大表示が指示されたら、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置の変更を実行することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項8】
上記移動量算出手段は、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を、ランダムに変更させるか、または規則的に変更させることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項9】
上記移動量算出手段は、上記撮像素子から出力される画像データの画像縮小率に応じて、上記移動量を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項10】
上記移動量算出手段は、所定の縮小率より大きく表示する場合または記録する場合のみ上記移動量を変更し、上記所定の縮小率よりも小さく表示または記録場合には上記移動量を0とすることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項11】
さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項12】
さらに、上記画像データの補間処理を行う補間手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項13】
上記補間手段は、フレーム間の平滑処理による補間処理、または1フレームの画像内での補間処理を行うことを特徴とする請求項12に記載の撮影装置。
【請求項14】
イメージャーAF画素を有する撮像素子を用い、連続して撮像を行うことで動画を撮影する撮影方法において、
画像の縮小率に応じて移動量を算出し、
1フレームの撮像が完了してから次のフレームの撮像を開始する前に、被写体像と上記撮像素子の相対位置を、上記移動量に応じて変更する、
ことを特徴とする撮影方法。
【請求項1】
動画を撮像可能な撮影装置において、
焦点検出用画素を有し、被写体画像を画像データに変換し出力する撮像素子と、
上記被写体画像と上記撮像素子の相対的な移動量を算出する移動量算出手段と、
上記撮像素子による第1のフレームの撮像の完了後であって、上記第1のフレーム以後に撮像するフレームである第2のフレームの撮像開始前までの間に、上記移動量算出手段によって算出された上記移動量に基づいて、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を変更させる変更手段と、
を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データに基づいてライブビュー表示を行う表示手段と、
上記ライブビュー表示を行うにあたって拡大表示を指示するための拡大画像操作手段と、
上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段と、
を有し、
上記拡大表示が指示された際に、上記移動量に基づいて上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を上記変更手段によって変更させ、上記移動量に応じて上記画像データの切り出し位置を上記画像切り出し手段によって変更させ、この切り出し位置を変更した画像データに基づいて上記表示手段にライブビュー表示させることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
上記第2のフレームは、上記表示手段において、上記第1のフレームの画像の次に表示される画像であることを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データに基づいて動画画像の記録を行う記録手段と、
上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段と、
を有し、
上記動画画像の記録が指示された際に、上記移動量に基づいて上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を上記変更手段によって変更させ、上記移動量に応じて上記画像データの切り出し位置を上記画像切り出し手段によって変更させ、この切り出し位置を変更した画像データを記録手段によって記録することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
上記第2のフレームは、上記記録手段において、上記第1のフレームの画像の次に記録される画像であることを特徴とする請求項4に記載の撮影装置。
【請求項6】
上記変更手段は、上記撮像素子を上記移動量に基づいて移動させるか、または上記被写体像を形成するためのレンズを上記移動量に基づいて移動させることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項7】
上記変更手段は、拡大表示を行う際に、または拡大表示が指示されたら、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置の変更を実行することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項8】
上記移動量算出手段は、上記被写体画像と上記撮像素子の相対位置を、ランダムに変更させるか、または規則的に変更させることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項9】
上記移動量算出手段は、上記撮像素子から出力される画像データの画像縮小率に応じて、上記移動量を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項10】
上記移動量算出手段は、所定の縮小率より大きく表示する場合または記録する場合のみ上記移動量を変更し、上記所定の縮小率よりも小さく表示または記録場合には上記移動量を0とすることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項11】
さらに、上記撮像素子から出力される上記画像データを、上記移動量に応じて切り出し位置を変更する画像切り出し手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項12】
さらに、上記画像データの補間処理を行う補間手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項13】
上記補間手段は、フレーム間の平滑処理による補間処理、または1フレームの画像内での補間処理を行うことを特徴とする請求項12に記載の撮影装置。
【請求項14】
イメージャーAF画素を有する撮像素子を用い、連続して撮像を行うことで動画を撮影する撮影方法において、
画像の縮小率に応じて移動量を算出し、
1フレームの撮像が完了してから次のフレームの撮像を開始する前に、被写体像と上記撮像素子の相対位置を、上記移動量に応じて変更する、
ことを特徴とする撮影方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−51463(P2013−51463A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186815(P2011−186815)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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