説明

撮影装置

【課題】 低価格で、かつレリーズスイッチを不要とすることのできる撮影装置を得る。
【解決手段】 少なくとも撮影によって得られた画像を表示画面に表示するLCD(液晶ディスプレイ)38と、前記表示画面が指先によって接触されたとき、当該接触されている領域の位置座標を検出するタッチパネル60を備えると共に、CPU40により、タッチパネル60によって検出された前記位置座標に基づいて接触面積を導出し、導出した前記接触面積が所定の第1閾値以上であり、かつ前記第1閾値より大きな値とされた所定の第2閾値未満である場合に撮影準備が指示された第1指示状態であるものと判断する一方、前記接触面積が前記第2閾値以上である場合に撮影が指示された第2指示状態であるものと判断し、前記第1指示状態であると判断した場合に撮影準備を実行する一方、前記第2指示状態であると判断した場合に撮影動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に係り、特に、少なくとも撮影によって得られた画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面が指先によって接触されたとき、当該接触されている領域の位置座標を検出するタッチパネルと、を有する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)エリアセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージ・センサ等の撮像素子の高解像度化に伴い、デジタルカメラ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant,携帯情報端末)等の撮影機能を有する情報機器(以下、「撮影装置」という。)の需要が急増している。
【0003】
また、この種の撮影装置には、撮影画像等の画像や、各種機能を設定するためのメニュー画面、操作スイッチ等を表示するための表示装置が搭載されているものが多く、更には、当該メニュー画面により表示されたメニューや操作スイッチ等から所望のものを、表示装置の表示画面上に指先によって触れることにより指定可能なタッチパネルが表示装置の表示画面上に設けられているものもある。
【0004】
ところで、撮影装置には、通常、レリーズスイッチ(所謂シャッター)が設けられており、当該レリーズスイッチを押圧操作することにより撮影動作が実行される。そして、現在の撮影装置の殆どは、レリーズスイッチに対する中間位置まで押下される状態(所謂、半押し状態)と、当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下される状態(所謂、全押し状態)の2段階の押圧操作が検出可能に構成されており、半押し状態が検出されたタイミングで自動露出制御や自動合焦制御等の撮影準備が実行され、その後、引き続き全押し状態への移行が検出されたタイミングで撮影動作が実行されるものとされている。
【0005】
しかしながら、撮影装置は携帯性が重視されるものであり、小型軽量で、かつ低価格のものが好まれる傾向にあるため、その構成部品は少ない方が好ましい。
【0006】
そこで、部品点数を削減するために適用できる技術として、特許文献1には、表示画面に文字や図形を表示するCRT表示手段と、前記CRT表示手段の表示画面にタッチしたとき、当該タッチ位置の座標及びタッチ強度を検知するタッチパネルと、それぞれ所定の処理機能が割り付けられた複数のファンクションキーが配列された入力手段と、前記タッチパネルにより検知された座標、タッチ強度、及び前記入力手段によりキー入力されたファンクションキーのキーコードを主制御部へ送出する入力制御部とから構成され、デジタルデータ出力用画面からデジタルデータの出力箇所を選択し、出力要求を行うとデジタルデータを出力するデジタルデータ出力機能を備えて成る表示監視装置において、前記デジタルデータ出力用画面に表示された出力箇所へのタッチ強度を2段階(強度1、強度2)に判別するタッチ強度判別手段と、前記タッチ強度判別手段による判別結果に基づいて、前記デジタルデータの出力箇所の選択か、前記デジタルデータの出力要求かを判定する判定手段とからなるデジタルデータリモート操作手段を備えた技術が開示されている。
【0007】
この技術を撮影装置に適用して、前記タッチ強度判別手段による2段階の判別対象を、撮影準備が指示された段階及び撮影動作が指示された段階の2段階とすることにより、レリーズスイッチの役割をタッチパネルにて行わせることができ、この結果としてレリーズスイッチを設ける必要をなくすることができる。
【特許文献1】特開平6−282378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、タッチ位置の座標に加えてタッチ強度も検出することのできるタッチパネルを用いる必要があるため、タッチパネルとして高価なものが必要となり、必ずしも低価格化に寄与することができるとは限らない、という問題点があった。
【0009】
なお、この問題は、デジタル撮影を行う撮影装置に限らず、銀塩式カメラでも起こり得る問題である。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、低価格で、かつレリーズスイッチを不要とすることのできる撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の撮影装置は、少なくとも撮影によって得られた画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面が指先によって接触されたとき、当該接触されている領域の位置座標を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルによって検出された前記位置座標に基づいて接触面積を導出する面積導出手段と、前記面積導出手段によって導出された前記接触面積が所定の第1閾値以上であり、かつ前記第1閾値より大きな値とされた所定の第2閾値未満である場合に撮影準備が指示された第1指示状態であるものと判断し、前記接触面積が前記第2閾値以上である場合に撮影が指示された第2指示状態であるものと判断する判断手段と、前記判断手段によって前記第1指示状態であると判断された場合に撮影準備を実行し、前記判断手段によって前記第2指示状態であると判断された場合に撮影動作を実行する実行手段と、を備えている。
【0012】
本発明の撮影装置は、少なくとも撮影によって得られた画像が表示手段の表示画面に表示されるものとされており、前記表示画面が指先によって接触されたとき、当該接触されている領域の位置座標がタッチパネルによって検出される。なお、上記表示手段には、液晶ディスプレイ、プラズマ・ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ等の各種ディスプレイが含まれる。また、上記タッチパネルには、電磁誘導方式、静電結合方式、抵抗膜方式、静電容量方式等の接触されている領域の位置座標を検出することのできるタッチパネルが含まれる。
【0013】
ここで、本発明では、面積導出手段により、前記タッチパネルによって検出された前記位置座標に基づいて接触面積が導出され、判断手段により、導出された前記接触面積が所定の第1閾値以上であり、かつ前記第1閾値より大きな値とされた所定の第2閾値未満である場合に撮影準備が指示された第1指示状態であるものと判断される一方、前記接触面積が前記第2閾値以上である場合に撮影が指示された第2指示状態であるものと判断される。なお、前記第1指示状態は、レリーズスイッチが半押し状態とされている状態に対応する状態であり、前記第2指示状態は、レリーズスイッチが全押し状態とされている状態に対応する状態である。従って、前記第1閾値及び前記第2閾値は、表示画面に対する接触者が、表示画面への指先の接触状態として、半押し状態への移行、及び全押し状態への移行を意識的に行うことのできる値を適用することが好ましい。
【0014】
そして、本発明では、実行手段により、前記判断手段によって前記第1指示状態であると判断された場合に撮影準備が実行され、前記判断手段によって前記第2指示状態であると判断された場合に撮影動作が実行される。
【0015】
このように、本発明の撮影装置によれば、少なくとも撮影によって得られた画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面が指先によって接触されたとき、当該接触されている領域の位置座標を検出するタッチパネルを備えると共に、前記タッチパネルによって検出された前記位置座標に基づいて接触面積を導出し、導出した前記接触面積が所定の第1閾値以上であり、かつ前記第1閾値より大きな値とされた所定の第2閾値未満である場合に撮影準備が指示された第1指示状態であるものと判断する一方、前記接触面積が前記第2閾値以上である場合に撮影が指示された第2指示状態であるものと判断し、前記第1指示状態であると判断した場合に撮影準備を実行する一方、前記第2指示状態であると判断した場合に撮影動作を実行しているので、レリーズスイッチに代えて、接触されている領域の位置座標のみが検出できる安価なタッチパネルを用いることができ、この結果として、低価格で、かつレリーズスイッチを不要とすることができる。
【0016】
なお、本発明の前記面積導出手段は、前記表示画面の所定の一部領域のみを対象として前記接触面積を導出するものとしてもよく、この場合、前記表示画面の前記一部領域を示す画像を表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段を更に備えてもよい。
【0017】
また、本発明の前記判断手段は、前記第1指示状態である場合に、前記タッチパネルによって検出されている前記位置座標の重心が所定量以上ずれた場合に前記第1指示状態の解除が指示されたものと判断するものとしてもよい。
【0018】
また、本発明は、前記接触面積の変化速度を導出する速度導出手段と、前記速度導出手段によって導出された前記変化速度が所定速度以上である場合にシャッタ速度を通常より速くなるように設定するシャッタ速度調整手段と、を更に備えてもよい。
【0019】
また、本発明の前記判断手段は、前記接触面積が前記第2閾値以上である期間が所定の第1期間以上である場合に前記第2指示状態であるものと判断し、前記判断手段によって前記第1指示状態であるものと判断されている期間が所定の第2期間以上となった場合に前記第1期間が所定期間だけ長くなるように設定する期間調整手段を更に備えてもよい。
【0020】
また、本発明は、装置本体の振動方向及び振動量を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記振動方向及び前記振動量に基づいて前記第1閾値及び前記第2閾値を調整する閾値調整手段と、を更に備えてもよい。なお、上記検出手段には、ジャイロセンサ及び加速度センサが含まれる。
【0021】
また、本発明は、予め定められた複数の接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を、対応する接触者を示す接触者情報に対応付けて予め記憶した記憶手段と、前記タッチパネルによって検出された前記位置座標により示される、前記表示画面に接触された指先の指紋に基づいて接触者を特定する特定手段と、を更に備え、前記判断手段は、前記特定手段によって特定された接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を用いて前記判断を行うものとしてもよい。なお、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、フレキシブル・ディスク等の可搬記録媒体やハードディスク等の固定記録媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置等の各種記憶手段が含まれる。
【0022】
更に、本発明は、前記特定手段によって特定された前記接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を、当該接触者による接触に応じて前記面積導出手段により導出された前記接触面積に応じて適正化する適正化手段を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、少なくとも撮影によって得られた画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面が指先によって接触されたとき、当該接触されている領域の位置座標を検出するタッチパネルを備えると共に、前記タッチパネルによって検出された前記位置座標に基づいて接触面積を導出し、導出した前記接触面積が所定の第1閾値以上であり、かつ前記第1閾値より大きな値とされた所定の第2閾値未満である場合に撮影準備が指示された第1指示状態であるものと判断する一方、前記接触面積が前記第2閾値以上である場合に撮影が指示された第2指示状態であるものと判断し、前記第1指示状態であると判断した場合に撮影準備を実行する一方、前記第2指示状態であると判断した場合に撮影動作を実行しているので、レリーズスイッチに代えて、接触されている領域の位置座標のみが検出できる安価なタッチパネルを用いることができ、この結果として、低価格で、かつレリーズスイッチを不要とすることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、静止画像の撮影を行うデジタル電子スチルカメラ(以下、「デジタルカメラ」という。)に適用した場合について説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の外観上の構成を説明する。
【0026】
デジタルカメラ10の正面には、被写体像を結像させるためのレンズ21と、撮影時に必要に応じて被写体に照射する光を発するストロボ44と、撮影する被写体の構図を決定するために用いられるファインダ20と、が備えられている。また、デジタルカメラ10の上面には、電源スイッチ56Bと、モード切替スイッチ56Cと、が備えられている。
【0027】
なお、モード切替スイッチ56Cは、撮影を行うモードである撮影モード及び被写体像を後述するLCD38に再生するモードである再生モードの何れかのモードに設定する際に回転操作される。
【0028】
一方、デジタルカメラ10の背面には、前述のファインダ20の接眼部と、撮影された被写体像やメニュー画面等を表示する液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)38と、LCD38の表示画面上に設置された感圧式のタッチパネル60と、十字カーソルスイッチ56Dと、が備えられている。なお、十字カーソルスイッチ56Dは、LCD38の表示領域における上・下・左・右の4方向の移動方向を示す4つの矢印キーを含んで構成されている。また、タッチパネル60は、LCD38の表示画面における指先によって接触されている領域の位置座標を検出し、当該位置座標を示す座標情報(以下、「接触座標情報」という。)を所定分解能(ここでは、水平方向に1000ドットで、垂直方向に1000ドットの分解能)で出力するものとされている。
【0029】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、LCD38の表示画面の予め定められた一部領域に対応するタッチパネル60表面上の領域(以下、「レリーズ操作領域」という。)を、撮影を実行する際に押圧操作されるレリーズスイッチとして兼用している。
【0030】
本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、一例として図2に示されるように、上記レリーズ操作領域に対する指先Yの接触面積Mが所定の第1閾値以上であり、かつ当該第1閾値より大きな値とされた所定の第2閾値未満である場合(図2(A)に示される状態)に撮影準備が指示された第1指示状態(以下、「S1状態」という。)であるものと判断し、接触面積Mが第2閾値以上である場合(図2(B)に示される状態)に撮影が指示された第2指示状態(以下、「S2状態」という。)であるものと判断する。
【0031】
そして、デジタルカメラ10では、S1状態であるものと判断した場合にAE(Automatic Exposure、自動露出)機能が働いて露出状態(シャッタ速度、絞りの状態)が設定された後、AF(Auto Focus、自動合焦)機能が働いて合焦制御され(本発明の「撮影準備」に相当。)、その後、S2状態であるものと判断されると露光(本発明の「撮影動作」に相当。)が行われる。
【0032】
更に、デジタルカメラ10の背面には、LCD38にメニュー画面を表示させるときに押圧操作されるメニュースイッチと、それまでの操作内容を確定するときに押圧操作される決定スイッチと、直前の操作内容をキャンセルするときに押圧操作されるキャンセルスイッチと、が備えられている。
【0033】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の電気系の要部構成を説明する。
【0034】
デジタルカメラ10は、前述のレンズ21を含んで構成された光学ユニット22と、レンズ21の光軸後方に配設された電荷結合素子(以下、「CCD」という。)24と、入力されたアナログ信号に対して各種のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部26と、を含んで構成されている。
【0035】
また、デジタルカメラ10は、入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「ADC」という。)28と、入力されたデジタルデータに対して各種のデジタル信号処理を行うデジタル信号処理部30と、を含んで構成されている。
【0036】
なお、デジタル信号処理部30は、所定容量のラインバッファを内蔵し、入力されたデジタルデータを後述するメモリ48の所定領域に直接記憶させる制御も行う。
【0037】
CCD24の出力端はアナログ信号処理部26の入力端に、アナログ信号処理部26の出力端はADC28の入力端に、ADC28の出力端はデジタル信号処理部30の入力端に、各々接続されている。従って、CCD24から出力された被写体像を示すアナログ信号はアナログ信号処理部26によって所定のアナログ信号処理が施され、ADC28によってデジタル画像データに変換された後にデジタル信号処理部30に入力される。
【0038】
一方、デジタルカメラ10は、被写体像やメニュー画面等をLCD38に表示させるための信号を生成してLCD38に供給するLCDインタフェース36と、タッチパネル60の作動の制御を行うタッチパネルインタフェース62と、デジタルカメラ10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)40と、撮影により得られたデジタル画像データ等を一時的に記憶するメモリ48と、メモリ48に対するアクセスの制御を行うメモリインタフェース46と、を含んで構成されている。
【0039】
更に、デジタルカメラ10は、可搬型のメモリカード52をデジタルカメラ10でアクセス可能とするための外部メモリインタフェース50と、デジタル画像データに対する圧縮処理及び伸張処理を行う圧縮・伸張処理回路54と、を含んで構成されている。
【0040】
なお、本実施の形態のデジタルカメラ10では、メモリ48としてフラッシュ・メモリ(Flash Memory)が用いられ、メモリカード52としてスマートメディア(Smart Media(登録商標))が用いられている。
【0041】
デジタル信号処理部30、LCDインタフェース36、タッチパネルインタフェース62、CPU40、メモリインタフェース46、外部メモリインタフェース50及び圧縮・伸張処理回路54はシステムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU40は、デジタル信号処理部30及び圧縮・伸張処理回路54の作動の制御、LCD38に対するLCDインタフェース36を介した各種情報の表示、タッチパネルインタフェース62を介したタッチパネル60の作動の制御及びタッチパネル60からの接触座標情報の取得、メモリ48及びメモリカード52へのメモリインタフェース46ないし外部メモリインタフェース50を介したアクセスを各々行うことができる。
【0042】
一方、デジタルカメラ10には、主としてCCD24を駆動させるためのタイミング信号を生成してCCD24に供給するタイミングジェネレータ32が備えられており、CCD24の駆動はCPU40によりタイミングジェネレータ32を介して制御される。
【0043】
更に、デジタルカメラ10にはモータ駆動部34が備えられており、光学ユニット22に備えられた図示しない焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータの駆動もCPU40によりモータ駆動部34を介して制御される。
【0044】
すなわち、本実施の形態に係るレンズ21は複数枚のレンズを有し、焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズとして構成されており、図示しないレンズ駆動機構を備えている。このレンズ駆動機構に上記焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータは含まれるものであり、これらのモータは各々CPU40の制御によりモータ駆動部34から供給された駆動信号によって駆動される。
【0045】
更に、前述の電源スイッチ56B、モード切替スイッチ56C、十字カーソルスイッチ56D、メニュースイッチ等の各種スイッチ(同図では、「操作部56」と総称。)はCPU40に接続されており、CPU40は、これらの操作部56に対する操作状態を常時把握できる。
【0046】
また、デジタルカメラ10には、ストロボ44とCPU40との間に介在されると共に、CPU40の制御によりストロボ44を発光させるための電力を充電する充電部42が備えられている。更に、ストロボ44はCPU40にも接続されており、ストロボ44の発光はCPU40によって制御される。
【0047】
次に、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の撮影時における全体的な動作について簡単に説明する。
【0048】
まず、CCD24は、光学ユニット22を介した撮像を行い、被写体像を示すR(赤)、G(緑)、B(青)毎のアナログ信号をアナログ信号処理部26に順次出力する。アナログ信号処理部26は、CCD24から入力されたアナログ信号に対して相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理を施した後にADC28に順次出力する。
【0049】
ADC28は、アナログ信号処理部26から入力されたR、G、B毎のアナログ信号を各々12ビットのR、G、Bの信号(デジタル画像データ)に変換してデジタル信号処理部30に順次出力する。デジタル信号処理部30は、内蔵しているラインバッファにADC28から順次入力されるデジタル画像データを蓄積して一旦メモリ48の所定領域に直接格納する。
【0050】
メモリ48の所定領域に格納されたデジタル画像データは、CPU40による制御に応じてデジタル信号処理部30により読み出され、所定の物理量に応じたR,G,B毎のデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行うと共に、ガンマ処理及びシャープネス処理を行って8ビットのデジタル画像データを生成する。
【0051】
そして、デジタル信号処理部30は、生成した8ビットのデジタル画像データに対しYC信号処理を施して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(以下、「YC信号」という。)を生成し、YC信号をメモリ48の上記所定領域とは異なる領域に格納する。
【0052】
なお、LCD38は、CCD24による連続的な撮像によって得られた動画像(スルー画像)を表示してファインダとして使用することができるものとして構成されており、LCD38をファインダとして使用する場合には、生成したYC信号を、LCDインタフェース36を介して順次LCD38に出力する。これによってLCD38にスルー画像が表示されることになる。
【0053】
一方、前述したように、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、タッチパネル60表面上のレリーズ操作領域を、撮影を実行する際に押圧操作されるレリーズスイッチとして兼用しており、レリーズ操作領域に対する指先の接触面積に応じてS1状態であるものと判断された場合にAE機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御され、その後、引き続きS2状態であるものと判断されたタイミングで、その時点でメモリ48に格納されているYC信号を、圧縮・伸張処理回路54によって所定の圧縮形式(本実施の形態では、JPEG形式)で圧縮した後に外部メモリインタフェース50を介してメモリカード52に電子化ファイル(画像ファイル)として記録する。
【0054】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の撮影時におけるレリーズ操作に関係する処理について説明する。なお、図4は、当該処理のためにデジタルカメラ10のCPU40によって実行されるレリーズ関連処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ48の所定領域に予め記憶されている。
【0055】
まず、ステップ100では、レリーズ操作領域を示す画像(以下、「レリーズ操作領域マーク」という。)を表示するようにLCDインタフェース36を介してLCD38を制御する。
【0056】
図5には、上記ステップ100の処理によってLCD38の表示画面38Aに表示されるレリーズ操作領域マークMの表示状態例が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、レリーズ操作領域マークMとして矩形状の画像を適用しており、LCD38の表示画面38Aの右上角点近傍に、スルー画像に重ね合わせた状態で表示している。同図に示されるようなレリーズ操作領域マークMが表示されると、ユーザは、レリーズ操作領域マークMの表示範囲内に対し、撮影準備の実行を指示する際には接触面積が上記第1閾値以上で、かつ上記第2閾値未満となるように指先にて接触し、更にその状態から引き続き撮影動作の実行を指示する際には接触面積が上記第2閾値以上となるように指先による押圧力を変化させる。
【0057】
そこで、次のステップ102では、タッチパネル60からのレリーズ操作領域マークMの表示範囲内の位置を示す接触座標情報の入力待ちを行い、次のステップ104では、タッチパネル60から入力された接触座標情報に基づいて、指先のタッチパネル60表面に対する接触面積を示す接触面積Mと、当該接触面積における重心位置を示す接触重心位置P1を導出する。
【0058】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、上記接触面積Mを、タッチパネル60から入力されている接触座標情報に含まれる、レリーズ操作領域マークMの表示範囲内に位置される位置座標の数(指先が接触されているドットの数)を合算することにより導出しているが、これに限らず、例えば、タッチパネル60から入力されている接触座標情報に含まれる、レリーズ操作領域マークMの表示範囲内に位置される位置座標により示されるドット群の輪郭部を検出し、当該輪郭部の面積を接触面積Mとして演算により導出する形態等とすることもできる。
【0059】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、上記接触重心位置P1として、タッチパネル60から入力されている接触座標情報における、レリーズ操作領域マークMの表示範囲内に位置される位置座標により示されるドット群の輪郭部を検出し、当該輪郭部の水平方向中心線と垂直方向中心線との交点の位置を導出するものとしているが、これに限らず、例えば、上記輪郭部の正確な重心位置を導出する形態等とすることもできる。
【0060】
次のステップ106では、上記ステップ104において導出した接触重心位置P1をメモリ48の所定領域に記憶し、次のステップ108では、上記ステップ104において導出した接触面積Mが上記第1閾値以上となっているか否かを判定して、否定判定となった場合は上記ステップ102に戻り、肯定判定となった場合にはS1状態への移行が指示されたものと見なしてステップ110に移行する。
【0061】
ステップ110では、前述したようにAE機能により露出状態を設定した後、AF機能により合焦制御を行い、次のステップ112では、この時点でタッチパネル60から入力されている接触座標情報に基づいて、上記ステップ104と同様の方法で接触重心位置P2を導出する。
【0062】
次のステップ114では、上記ステップ106の処理によって記憶された接触重心位置P1をメモリ48から読み出し、当該接触重心位置P1と上記ステップ112において導出した接触重心位置P2との差の絶対値が所定量以上となっているか否かを判定し、肯定判定となった場合は、S1状態への移行を指示した時点と現時点とでユーザの指先の位置が所定量以上ずれ、ユーザによってS1状態の解除(キャンセル)が指示されたものと見なして上記ステップ102に戻る一方、否定判定となった場合にはステップ116に移行する。
【0063】
すなわち、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、一例として図6(A)に示されるようなS1状態への移行を指示したときの指先の接触重心位置P1が、図6(B)に示されるように接触重心位置P2に移動することをもって、S1状態の解除を指示することができるものとされている。
【0064】
なお、上記ステップ112の処理の実行時点で指先がタッチパネル60から離れている場合もあるが、この場合に本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、接触重心位置P2として予め定められた値を設定することにより、上記ステップ114において強制的に肯定判定となるようにしている。これにより、ユーザの指先がタッチパネル60から離れることによってもS1状態を解除することができる。
【0065】
ステップ116では、この時点でタッチパネル60から入力されている接触座標情報に基づいて、上記ステップ104と同様の方法で接触面積Mを導出し、次のステップ118では、上記ステップ116において導出した接触面積Mが上記第2閾値以上となっているか否かを判定して、否定判定となった場合は上記ステップ110に戻り、肯定判定となった場合にはS2状態への移行が指示されたものと見なしてステップ120に移行する。
【0066】
ステップ120では、前述したように、この時点でメモリ48に格納されているYC信号を圧縮・伸張処理回路54によって圧縮した後にメモリカード52に電子化ファイルとして記録することにより撮影動作を実行し、その後に上記ステップ102に戻る。
【0067】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、少なくとも撮影によって得られた画像を表示画面に表示する表示手段(ここでは、LCD38)と、前記表示画面が指先によって接触されたとき、当該接触されている領域の位置座標を検出するタッチパネル(ここでは、タッチパネル60)を備えると共に、前記タッチパネルによって検出された前記位置座標に基づいて接触面積を導出し、導出した前記接触面積が所定の第1閾値以上であり、かつ前記第1閾値より大きな値とされた所定の第2閾値未満である場合に撮影準備が指示された第1指示状態(ここでは、S1状態)であるものと判断する一方、前記接触面積が前記第2閾値以上である場合に撮影が指示された第2指示状態(ここでは、S2状態)であるものと判断し、前記第1指示状態であると判断した場合に撮影準備を実行する一方、前記第2指示状態であると判断した場合に撮影動作を実行しているので、レリーズスイッチに代えて、接触されている領域の位置座標のみが検出できる安価なタッチパネルを用いることができ、この結果として、低価格で、かつレリーズスイッチを不要とすることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、前記表示画面の所定の一部領域(ここでは、レリーズ操作領域)のみを対象として前記接触面積を導出するものとしているので、レリーズ操作の誤検出を防止することができる。
【0069】
特に、本実施の形態では、前記表示画面の前記一部領域を示す画像(ここでは、レリーズ操作領域マークM)を表示するように前記表示手段を制御しているので、レリーズ操作の誤操作を防止することができる。
【0070】
更に、本実施の形態では、前記第1指示状態である場合に、前記タッチパネルによって検出されている前記位置座標の重心が所定量以上ずれた場合に前記第1指示状態の解除が指示されたものと判断しているので、利便性を向上させることができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、ユーザによる指先の接触面積の大きさに応じてS1状態への移行及びS2状態への移行を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、タッチパネル60への接触時における指先の指紋形状の潰れ具合に応じてS1、S2各状態への移行を行う形態とすることもできる。すなわち、S1状態への移行の指示時における指紋形状が図7(A)に示されるものである場合、S2状態への移行の指示時には、S1状態への移行の指示時に比較して指先による押圧力が増加するため、一例として図7(B)に示されるように、僅かではあるが指紋形状が全体的に潰れた(広がった)状態となる。従って、当該指紋形状の潰れ具合に応じてS1、S2各状態への移行のタイミングを検出することができる。
【0072】
[第2の実施の形態]
本第2の実施の形態では、接触面積Mの変化速度に応じてシャッタ速度を調整する場合の形態例について説明する。なお、本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成は上記第1の実施の形態に係るものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0073】
以下、図8を参照して、本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10の撮影時におけるレリーズ操作に関係する処理について説明する。なお、図8の図4と同一の処理を行うステップには図4と同一のステップ番号を付して、説明を省略する。
【0074】
ステップ109では、CPU40に内蔵されている不図示のタイマによる計時を開始する。
【0075】
そして、ステップ119Aでは、上記ステップ109の処理によって開始したタイマによる計時時間が所定時間以上となったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ119Bに移行して、この時点で設定されているシャッタ速度を所定速度(ここでは、設定されているシャッタ速度の30%に相当する速度)だけ増加させた後にステップ120に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ119Bの処理を実行することなくステップ120に移行する。
【0076】
すなわち、本第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10では、一例として図9(A)に示されるように、S1状態からS2状態への移行の速度が予め定められた速度以上である場合には、被写体の移動速度が速い場合であると見なしてシャッタ速度を通常の設定値より速くすることにより、撮影画像のぶれの発生を防止するようにしている。これに対して、一例として図9(B)に示されるように、S1状態からS2状態への移行の速度が上記予め定められた速度より遅い場合には、通常のシャッタ速度でも撮影画像のぶれが発生することはないものと見なして通常のシャッタ速度のままで撮影を行うものとしている。
【0077】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、接触面積の変化速度を導出し、導出した前記変化速度が所定速度以上である場合にシャッタ速度を通常より速くなるように設定しているので、被写体の移動速度が速い場合であっても、撮影画像のぶれの発生を防止することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、S1状態からS2状態への移行の速度が予め定められた速度以上である場合のシャッタ速度の増加量を固定値とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、S1状態からS2状態への移行の速度が速くなるほどシャッタ速度の増加量を多くする形態とすることもできる。この場合、より適切なシャッタ速度を設定することができるので、撮影画像の画質を、より向上させることができる。
【0079】
[第3の実施の形態]
本第3の実施の形態では、接触面積が第2閾値以上である期間が所定の第1期間以上である場合にS2状態への移行が指示されたものと判断する一方、S1状態であると判断されている期間が所定の第2期間以上となった場合に上記第1期間が所定期間だけ長くなるように設定する場合の形態例について説明する。なお、本第3の実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成も上記第1の実施の形態に係るものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0080】
以下、図10を参照して、本第3の実施の形態に係るデジタルカメラ10の撮影時におけるレリーズ操作に関係する処理について説明する。なお、図10の図4と同一の処理を行うステップには図4と同一のステップ番号を付して、説明を省略する。
【0081】
ステップ109では、CPU40に内蔵されている不図示のタイマによる計時を開始し、次のステップ109Aでは、上記ステップ109の処理によって開始したタイマによる計時時間が所定の第2期間以上となったか否かを判定して、肯定判定となった場合はステップ109Bに移行し、上記第1期間として予め定められた長期間(ここでは、0.3秒)を設定した後にステップ110に移行する。一方、上記ステップ109Aにおいて否定判定となった場合にはステップ109Cに移行し、上記第1期間として、少なくとも上記長期間より短い期間として予め定められた短期間(ここでは、0.1秒)を設定した後にステップ110に移行する。
【0082】
なお、ステップ118において否定判定となった場合には上記ステップ109Aに戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ119Cに移行する。
【0083】
ステップ119Cでは、上記不図示のタイマによる計時を再び開始し、次のステップ119Dでは、上記ステップ119Cの処理によって開始したタイマによる計時時間が上記ステップ109B又はステップ109Cによって設定された第1期間以上となったか否かを判定して、肯定判定となった場合はステップ120に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ119Eに移行する。
【0084】
ステップ119Eでは、この時点でタッチパネル60から入力されている接触座標情報に基づいて、上記ステップ104と同様の方法で接触面積Mを導出し、次のステップ119Fでは、上記ステップ119Eにおいて導出した接触面積Mが上記第2閾値以上となっているか否かを判定して、肯定判定となった場合は上記ステップ119Dに戻る一方、否定判定となった場合には上記ステップ102に戻る。
【0085】
すなわち、本第3の実施の形態に係るデジタルカメラ10では、一例として図11に示されるように、S1状態とされている期間が上記第2期間以上となった場合には、ユーザの疲労に起因して指先の接触面積が不安定な状態になるものと見なして、S2状態への移行が指示されたものと判断する接触面積の状態の維持期間を、他の場合より長くなるように設定しており、これによって、ユーザの疲労に起因するS2状態への誤移行を防止するようにしている。
【0086】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、前記接触面積が前記第2閾値以上である期間が所定の第1期間以上である場合に前記第2指示状態であるものと判断するものとする一方、前記第1指示状態(S1状態)であるものと判断されている期間が所定の第2期間以上となった場合に前記第1期間が所定期間だけ長くなるように設定しているので、ユーザの疲労に起因するレリーズ操作の誤検出を防止することができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、S1状態とされている期間が第2期間以上である場合の第1期間の設定値を固定値とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、S1状態とされている期間が第2期間以上であり、かつ長くなるほど第1期間の設定値を大きくする形態とすることもできる。この場合、より適切に第1期間を設定することができるので、ユーザの疲労に起因する誤検出を、より適切に防止することができる。
【0088】
[第4の実施の形態]
本第4の実施の形態では、装置本体の振動方向及び振動量の検出結果に基づいて前記第1閾値及び前記第2閾値を調整する場合の形態例について説明する。
【0089】
まず、図12を参照して、本第4の実施の形態に係るデジタルカメラ10’の電気系の要部構成を説明する。なお、図12の図3と同一の構成要素には図3と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0090】
同図に示すように、本第4の実施の形態に係るデジタルカメラ10’は、上記第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10に比較して、CPU40に電気的に接続されたジャイロセンサ58が新たに設けられている点のみが異なっており、本実施の形態に係るデジタルカメラ10’のCPU40は、ジャイロセンサ58から入力される信号に応じて、装置本体の振動方向及び振動量を把握することができる。
【0091】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10’においても、上記第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10と同様のレリーズ関連処理プログラム(図4参照。)が実行される。
【0092】
ところで、本実施の形態に係るデジタルカメラ10’では、ジャイロセンサ58によって検出された装置本体の振動方向及び振動量に基づいて、レリーズ関連処理プログラムで用いられる第1閾値及び第2閾値を調整する閾値調整機能が搭載されている。
【0093】
次に、図13を参照して、閾値調整機能を実行する際の本実施の形態に係るデジタルカメラ10’の作用を説明する。なお、図13は、ジャイロセンサ58によって検出された装置本体の振動量が所定量以上となった場合にデジタルカメラ10’のCPU40によって実行される閾値調整処理プログラム(割り込みプログラム)の処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムもメモリ48の所定領域に予め記憶されている。
【0094】
同図のステップ200では、ジャイロセンサ58から入力されている装置本体の振動方向及び振動量に基づいて、次に示すように第1閾値及び第2閾値を調整する。
【0095】
すなわち、上記振動方向にタッチパネル60への押圧方向の成分が含まれる場合には、上記振動量に応じた値だけ第1閾値及び第2閾値の各値を低減させる。これに対し、上記振動方向にタッチパネル60への押圧方向の逆方向の成分が含まれる場合には、上記振動量に応じた値だけ第1閾値及び第2閾値の各値を増加させる。
【0096】
なお、第1閾値及び第2閾値の調整が終了すると本閾値調整処理プログラムを終了する。
【0097】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、装置本体の振動方向及び振動量を検出する検出手段(ここでは、ジャイロセンサ58)を備える一方、前記検出手段によって検出された前記振動方向及び前記振動量に基づいて前記第1閾値及び前記第2閾値を調整しているので、当該第1閾値及び第2閾値を装置本体の振動状態に応じた適切な値に調整することができ、この結果として、レリーズ操作の誤検出を防止することができる。
【0098】
なお、本実施の形態では、本発明の検出手段としてジャイロセンサ58を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、加速度センサを適用する形態とすることもできる。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0099】
[第5の実施の形態]
本第5の実施の形態では、予め定められた複数の接触者(ユーザ)に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を、対応する接触者を示す接触者情報に対応付けて予め記憶しておき、タッチパネル60によって検出された位置座標により示される、LCD38の表示画面に接触された指先の指紋に基づいて接触者を特定し、特定した接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を適用する場合の形態例について説明する。なお、本第5の実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成も上記第1の実施の形態に係るものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0100】
本第5の実施の形態に係るデジタルカメラ10では、前述したように、予め定められた複数のユーザに対応する第1閾値及び第2閾値が、対応するユーザを示す情報に対応付けられてメモリ48の所定領域に閾値データベースとして予め記憶されている。
【0101】
図14には、当該閾値データベースDBのデータ構造の一例が模式的に示されている。同図に示されるように、本実施の形態に係る閾値データベースDBでは、対応するユーザの指紋の特徴を示す指紋特徴情報と、対応するユーザに好適な第1閾値及び第2閾値とが、ユーザ毎に記憶されて構成されている。なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、上記指紋特徴情報として、レリーズ操作を行う指として予め定められた指(ここでは、右手の親指)の指紋の2次元形状を示す情報を適用している。
【0102】
次に、図15を参照して、本第5の実施の形態に係るデジタルカメラ10の撮影時におけるレリーズ操作に関係する処理について説明する。なお、図15の図4と同一の処理を行うステップには図4と同一のステップ番号を付して、説明を省略する。
【0103】
上記ステップ102において肯定判定となった場合はステップ103に移行し、閾値設定処理ルーチン・プログラムを実行する。以下、図16を参照して、当該閾値設定処理ルーチン・プログラムについて説明する。
【0104】
同図のステップ300では、この時点でタッチパネル60から入力されている接触座標情報に基づいて、ユーザの指紋に対応する、閾値データベースDBに記憶されている指紋特徴情報と同形式の指紋特徴情報を導出する。
【0105】
次のステップ302では、上記ステップ300において導出した指紋特徴情報を閾値データベースDBに対して検索し、次のステップ304にて、閾値データベースDBにユーザと同一人物と見なすことのできる指紋特徴情報が存在するか否かを判定して、肯定判定となった場合はステップ306に移行する。
【0106】
ステップ306では、上記ステップ304において同一人物と見なすことのできるものとした指紋特徴情報に対応する第1閾値及び第2閾値をメモリ48から読み出し、次のステップ308にて、読み出した第1閾値及び第2閾値を、これ以降の処理で用いる閾値とするように設定した後、本閾値設定処理ルーチン・プログラムを終了する。
【0107】
一方、上記ステップ304において否定判定となった場合にはステップ310に移行し、これ以降の処理で用いる第1閾値及び第2閾値として予め定められたデフォルト値を設定し、その後に本閾値設定処理ルーチン・プログラムを終了する。なお、本閾値設定処理ルーチン・プログラムが終了すると、レリーズ関連処理プログラム(図15参照。)のステップ104に移行する。
【0108】
一方、上記ステップ108において肯定判定となった場合はステップ109Dに移行し、上記閾値設定処理ルーチン・プログラムにおいて適用するように設定された第1閾値を微調整した後に、微調整後の第1閾値に閾値データベースDBにおける対応するユーザの第1閾値を更新し、その後にステップ110に移行する。
【0109】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、上記第1閾値の微調整として、直前のステップ104の処理によって導出された接触面積Mが、適用するように設定された第1閾値及び第2閾値の中央の値となるように第1閾値を導出することによって行っている。
【0110】
一方、上記ステップ118において肯定判定となった場合はステップ119Dに移行し、上記閾値設定処理ルーチン・プログラムにおいて適用するように設定された第2閾値を微調整した後に、微調整後の第2閾値に閾値データベースDBにおける対応するユーザの第2閾値を更新し、その後にステップ120に移行する。
【0111】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、上記第2閾値の微調整として、直前のステップ116の処理によって導出された接触面積Mが、適用するように設定された第2閾値より所定値(ここでは、適用するように設定された第1閾値及び第2閾値の差の半分の値)だけ大きくなるように第2閾値を導出することによって行っている。
【0112】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、予め定められた複数の接触者(ユーザ)に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を、対応する接触者を示す接触者情報(ここでは、指紋特徴情報)に対応付けて記憶手段(ここでは、メモリ48)により予め記憶しておき、前記タッチパネルによって検出された前記位置座標により示される、前記表示画面に接触された指先の指紋に基づいて接触者を特定し、特定した接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を適用するようにしているので、実際のユーザに応じた好適な閾値を適用することができ、この結果として、レリーズ操作の誤検出を防止することができる。
【0113】
特に、本実施の形態では、特定した前記接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を、当該接触者による接触に応じて導出された接触面積に応じて適正化しているので、第1閾値及び第2閾値を適正なものに逐次更新することができ、この結果として、それ以降のレリーズ操作の誤検出を防止することができる。
【0114】
なお、上記各実施の形態に係るデジタルカメラ10、10’の構成(図1,図3,図12参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0115】
また、上記各実施の形態において説明した各種処理プログラムの処理の流れ(図4,図8,図10,図13,図15,図16参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、各ステップの処理順序の変更、不要なステップの削除、新たなステップの追加等を行うことができることは言うまでもない。
【0116】
また、上記各実施の形態において示したレリーズ操作領域マークMの表示状態(図5参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0117】
更に、上記各実施の形態では、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、本発明は、PDA、携帯電話機、パーソナル・コンピュータ等、表示手段と、当該表示手段の表示面上に配置されたタッチパネルとを有する撮影装置であれば如何なるものにでも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラの外観を示す外観図である。
【図2】実施の形態に係る接触面積と第1閾値及び第2閾値との関係の説明に供する概略側面図である。
【図3】第1〜第3、第5の実施の形態に係るデジタルカメラの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係るレリーズ関連処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施の形態に係るレリーズ操作領域マークMの表示状態例を示す概略図である。
【図6】実施の形態に係る接触重心位置の変化の説明に供する概略側面図である。
【図7】タッチパネルへの接触時における指先の指紋形状の潰れ具合に応じてS1、S2の各状態への移行を行う場合の形態例の説明に供する概略図である。
【図8】第2の実施の形態に係るレリーズ関連処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係るレリーズ関連処理プログラムの処理の説明に供するグラフである。
【図10】第3の実施の形態に係るレリーズ関連処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係るレリーズ関連処理プログラムの処理の説明に供するグラフである。
【図12】第4の実施の形態に係るデジタルカメラの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図13】第4の実施の形態に係る閾値調整処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第5の実施の形態に係る閾値データベースのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図15】第5の実施の形態に係るレリーズ関連処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】第5の実施の形態に係る閾値設定処理ルーチン・プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0119】
10、10’ デジタルカメラ
24 CCD
38 LCD(表示手段)
40 CPU(面積導出手段、判断手段、実行手段、表示制御手段、速度導出手段、シャッタ速度調整手段、期間調整手段、閾値調整手段、特定手段、適正化手段)
48 メモリ(記憶手段)
58 ジャイロセンサ(検出手段)
60 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも撮影によって得られた画像を表示画面に表示する表示手段と、
前記表示画面が指先によって接触されたとき、当該接触されている領域の位置座標を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルによって検出された前記位置座標に基づいて接触面積を導出する面積導出手段と、
前記面積導出手段によって導出された前記接触面積が所定の第1閾値以上であり、かつ前記第1閾値より大きな値とされた所定の第2閾値未満である場合に撮影準備が指示された第1指示状態であるものと判断し、前記接触面積が前記第2閾値以上である場合に撮影が指示された第2指示状態であるものと判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記第1指示状態であると判断された場合に撮影準備を実行し、前記判断手段によって前記第2指示状態であると判断された場合に撮影動作を実行する実行手段と、
を備えた撮影装置。
【請求項2】
前記面積導出手段は、前記表示画面の所定の一部領域のみを対象として前記接触面積を導出する
請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記表示画面の前記一部領域を示す画像を表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段
を更に備えた請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記第1指示状態である場合に、前記タッチパネルによって検出されている前記位置座標の重心が所定量以上ずれた場合に前記第1指示状態の解除が指示されたものと判断する
請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の撮影装置。
【請求項5】
前記接触面積の変化速度を導出する速度導出手段と、
前記速度導出手段によって導出された前記変化速度が所定速度以上である場合にシャッタ速度を通常より速くなるように設定するシャッタ速度調整手段と、
を更に備えた請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の撮影装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記接触面積が前記第2閾値以上である期間が所定の第1期間以上である場合に前記第2指示状態であるものと判断し、
前記判断手段によって前記第1指示状態であるものと判断されている期間が所定の第2期間以上となった場合に前記第1期間が所定期間だけ長くなるように設定する期間調整手段
を更に備えた請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の撮影装置。
【請求項7】
装置本体の振動方向及び振動量を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記振動方向及び前記振動量に基づいて前記第1閾値及び前記第2閾値を調整する閾値調整手段と、
を更に備えた請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の撮影装置。
【請求項8】
予め定められた複数の接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を、対応する接触者を示す接触者情報に対応付けて予め記憶した記憶手段と、
前記タッチパネルによって検出された前記位置座標により示される、前記表示画面に接触された指先の指紋に基づいて接触者を特定する特定手段と、
を更に備え、
前記判断手段は、前記特定手段によって特定された接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を用いて前記判断を行う
請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の撮影装置。
【請求項9】
前記特定手段によって特定された前記接触者に対応する前記第1閾値及び前記第2閾値を、当該接触者による接触に応じて前記面積導出手段により導出された前記接触面積に応じて適正化する適正化手段
を更に備えた請求項8記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−93967(P2007−93967A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282855(P2005−282855)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】