説明

撮影装置

【課題】 少なくともプロジェクタ機能に関する操作を行うことができる遠隔操作部を備え、かつ発熱源の放熱を確実に行うことができる撮影装置を提供する。
【解決手段】 投影装置及び撮像装置を収容する筐体3と、前記筐体3に着脱可能な遠隔操作部19と、前記遠隔操作部19が取り付けられる前記筐体3の領域の一部または全部に設けられる放熱部45とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタユニットを備えた撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタユニットを備えたカメラ用であって、カメラ本体に直接触れることなくプロジェクタ機能に関する操作を行うことができるカメラ用リモコンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−249960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクタユニットを備えた撮影装置において投影像を投影する場合には、プロジェクタ機能に関する操作の際に装置本体に直接触れることにより投影像がぶれるのを防止するために、遠隔操作を行うことができるリモコンが必要とされている。また、プロジェクタユニットの光源からの発熱等は撮影装置内の温度を上昇させ、投影像のコントラスト低下の要因となるため、発熱源の放熱を確実に行う必要がある。
【0005】
本発明の目的は、少なくともプロジェクタ機能に関する操作を行うことができる遠隔操作部を備え、かつ発熱源の放熱を確実に行うことができる撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮影装置は、投影装置及び撮像装置を収容する筐体と、前記筐体に着脱可能な遠隔操作部と、前記遠隔操作部が取り付けられる前記筐体の領域の一部または全部に設けられる放熱部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の撮影装置によれば、少なくともプロジェクタ機能に関する操作を行うことができる遠隔操作部を備え、かつ発熱源の放熱を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係るカメラの外観を示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るカメラの外観を示す斜視図である。
【図3】筐体からリモコンを取り外した状態を示す図である。
【図4】カメラの筐体内の各ユニットの配置位置を示す概略図である。
【図5】第2の実施の形態に係るカメラの外観を示す斜視図である。
【図6】第3の実施の形態に係るカメラの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る撮影装置としてのカメラについて説明する。図1は、第1の実施の形態に係るカメラ1の外観を示す正面図である。図1に示すように、カメラ1は、後述する撮像ユニット39、プロジェクタユニット41及び電池室43(図4参照)等を収容する筐体3を備えている。筐体3の前面には、被写体光をカメラ1内部に導く撮影窓5、フラッシュ光が射出されるフラッシュ窓7、及びプロジェクタ投影窓9が設けられている。また、カメラ1の上部には、レリーズ動作を指示するシャッタボタン11、カメラ1の電源をオンオフする電源スイッチ13、及び通信窓部15a等が設けられている。通信窓部15aの内部には、後述するリモコン19からの操作信号を受信するためのインターフェースである通信部15が設けられている。
【0010】
図2は、第1の実施の形態に係るカメラ1の外観を示す背面斜視図である。図2に示すように、筐体3の背面には、液晶ディスプレイ17、及び嵌め込み機構もしくはマグネットなどにより筐体3に対して着脱可能なリモコン19が設けられている。
【0011】
図3は、筐体3からリモコン19を取り外した状態を示す図である。リモコン19は、カメラ1が有するカメラ機能及びプロジェクタ機能に関する操作を行うことができる遠隔操作部材21、及び通信窓部23aを備えている。通信窓部23aの内部には、遠隔操作部材21による操作内容を示す各種の操作信号を通信部15へ送信するためのインターフェースである通信部23が設けられている。遠隔操作部材21から出力される操作信号は、リモコン19の筐体3への装着の有無にかかわらず、通信窓部23a及び15aを介して筐体3側に送信される。操作信号の送信は例えば赤外線通信等の光を用いた通信により行われる。遠隔操作部材21は、拡大縮小ボタン25、モードボタン27、切換ボタン29、メニューボタン31、削除ボタン33、マルチセレクタ35、及びOKボタン37を含んで構成されている。なお、この実施の形態に係るリモコン19は、カメラ機能及びプロジェクタ機能に関する操作を行うことができる遠隔操作部材21を備えているが、少なくともプロジェクタ機能に関する操作を行うことができる遠隔操作部材を備えていればよい。
【0012】
拡大縮小ボタン25は、カメラ1がカメラとして機能するカメラモードに設定されている場合には、撮影光学系のズーミング調整、および液晶ディスプレイ17に再生表示中の画像の拡大縮小操作に用いられ、カメラ1が投影像を投影する投影モードに設定されている場合には、投影像のズーミング操作に用いられる。
【0013】
モードボタン27は、カメラモードの場合には、被写体を撮影する撮影モードと撮影した画像を再生する再生モードとの間の切換操作に用いられ、投影モードの場合には、投影像の各種設定を行うための調整モードの起動操作に用いられる。調整モードでは、例えば投影像の焦点状態、光量、画角、および台形補正等の調整を行うことができる。切換ボタン29は、カメラモードと投影モードとの間の切換操作、投影モードにおける調整モードの終了操作に用いられる。メニューボタン31は、カメラ1の各種機能を選択、設定するためのメニュー画面を液晶ディスプレイ17に表示させる際に用いられる。削除ボタン33は、記録媒体に記録されている画像データを削除する際に用いられる。
【0014】
マルチセレクタ35は、カメラモードの場合には、液晶ディスプレイ17に表示されているメニュー画面上の各種メニューを選択操作するために用いられる。また、再生モードの場合には、液晶ディスプレイ17に再生表示中の画像のコマ送りまたはコマ戻しするために用いられ、投影モードの場合には、スクリーンに投影中の投影像の切換操作に用いられる。OKボタン37は、マルチセレクタ35で選択された内容を決定するために用いられる。
【0015】
図4は、第1の実施の形態に係るカメラ1において、内部に収容されている各ユニットの配置を示す正面図である。カメラ1の内部には、被写体光をカメラ1内部に導く撮影光学系(図示せず)及び撮影光学系を介した被写体光を撮像するための撮像素子(図示せず)等を有する撮像ユニット39、投影像を投影するための投影光学系(図示せず)等を有するプロジェクタユニット41、撮像ユニット39及びプロジェクタユニット41に電力を供給するバッテリを収容する電池室43が設けられている。
【0016】
カメラ1が撮影モードに切換えられている場合には、撮像ユニット39において、撮影光学系を介した被写体光をCCDやCMOS等により構成される撮像素子による撮像、撮像素子から出力された撮像信号に対する画像処理、画像処理後の画像データの記録媒体(図示せず)への記録等が行われる。一方、カメラ1が投影モードに切換えられている場合には、プロジェクタユニット41において、投影用の光源であるLED(図示せず)の点灯、記録媒体に記録されている投影用画像データに応じた投影用画像の液晶パネル(図示せず)への表示、投影光学系を介した投影用画像の光学像のプロジェクタ投影窓10からの投影等が行われる。
【0017】
ところで、カメラ1には、図3に示すように、プロジェクタユニット41のLEDの点灯により生じる熱を筐体3外に放出するために、リモコン19が取り付けられる筐体3の領域の下部に放熱部材45が設けられている。放熱部材45は、撮影窓5等が設けられている筐体3の前面と対向する筐体3の背面であって、プロジェクタユニット41のLEDが設置されている位置近傍に設けられており、例えば、アルミ、銅や、微量の銅を添加したアルミ等の金属などの熱伝導性に優れた熱伝導性材料により構成されている。よって、放熱部材45は、リモコン19が筐体3に装着されているときには外観できず、リモコン19が筐体3から取り外されたときには二次外観として出現する。したがって、プロジェクタ機能に関する操作の際にカメラ1本体に直接触れることによる投影像のぶれを防止するためにリモコン19を取り外して使用したとき、プロジェクタユニット41のLEDからの熱は、放熱部材45に伝導され、筐体3(カメラ1)外に放出される。
【0018】
第1の実施の形態に係るカメラ1によれば、リモコン19が取り付けられる筐体3の領域の下部に熱伝導性材料に構成された放熱部材45が設けられているため、プロジェクタユニット41のLED等の発熱源の放熱を確実に行うことができる。即ち、従来のプロジェクタ機能を有する機器のように放熱部材から筐体を介して機器外に放熱するのではなく、放熱部材から直接カメラ1外に放熱することができるため、効率良い放熱を行うことができる。また、放熱部材45がリモコン19を取り外した場合のみ二次外観として出現する位置の設けられているため、美観を損なうこともない。
【0019】
次に、図面を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る撮影装置としてのカメラについて説明する。図5は、第2の実施の形態に係るカメラ1aの構成を示す図である。なお、第2の実施の形態に係るカメラ1aにおいては、第1の実施の形態に係るカメラ1の構成と同一の構成についての説明を省略し、同一の構成には同一の符号を用いて説明を行う。
【0020】
図5に示すように、筐体3の背面には、嵌め込み機構もしくはマグネットなどにより筐体3に対して着脱可能なリモコン47が設けられている。なお、図5では、筐体3からリモコン47を筐体3から取り外した状態を示している。リモコン47は、液晶ディスプレイ17、遠隔操作部材21、通信部23、及び通信窓部23aを備えている。
【0021】
また、カメラ1aには、プロジェクタユニット41のLEDの点灯により生じる熱及び電源部43から生じる熱を筐体3外に放出するために、リモコン47が取り付けられる筐体3の領域の下部に放熱部材48が設けられている。放熱部材48は、撮影窓5等が設けられている筐体3の前面と対向する筐体3の背面であって、プロジェクタユニット41のLEDが設置されている位置及び電源部43の位置近傍に設けられており、熱伝導性材料により構成されている。放熱部材48は、図3に示す放熱部材45と同様に、リモコン47が筐体3に装着されているときには外観できず、リモコン47が筐体3から取り外されたときには二次外観として出現する。したがって、リモコン47を取り外して使用したとき、プロジェクタユニット41のLEDからの熱及び電源部43からの熱は、放熱部材48に伝導され、筐体3(カメラ1a)外に放出される。
【0022】
第2の実施の形態に係るカメラ1aによれば、第1の実施の形態に係るカメラ1における効果に加えて、筐体3の背面の下部全体に放熱部材48が設けられているため、電源部43からの熱も放熱することができる。また、リモコン47が液晶ディスプレイ17を備えているため、スクリーンに投影されている画像を液晶ディスプレイ17に表示させることにより、ユーザーはリモコン47を用いて液晶ディスプレイ17に表示される画像を観ながら投影に関する操作を行うことができる。
【0023】
次に、図面を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る撮影装置としてのカメラについて説明する。図6は、第3の実施の形態に係るカメラ1bの構成を示す図である。なお、第3の実施の形態に係るカメラ1bにおいては、第1の実施の形態に係るカメラ1の構成と同一の構成についての説明を省略し、同一の構成には同一の符号を用いて説明を行う。
【0024】
カメラ1bは、図6に示すように、液晶ディスプレイ17を備え、液晶ディスプレイ17を筐体3に対して図中矢印方向に回動可能な移動部材50を備えている。移動部材50は、例えば蝶番等により構成される支持部51により、筐体3背面の左端部、即ち撮影時または投影時にカメラ1bを載置する載置面に対して直交方向を回動軸として筐体3背面に対して回動可能に支持されている。
【0025】
また、カメラ1bには、プロジェクタユニット41のLEDの点灯により生じる熱及び電源部43から生じる熱を筐体3外に放出するために、移動部材50が筐体3側に回動したときに接触する筐体3の領域の一部、及びリモコン19が取り付けられる筐体3の領域の一部に放熱部材52が設けられている。放熱部材52は、図5に示す放熱部材47と同様の構成を有しているため、詳細な説明を省略する。移動部材50を筐体3に対して回動させたとき、リモコン19を取り外したとき、または支持部50及びリモコン19の両方が筐体3に接触していないとき、プロジェクタユニット41のLEDからの熱及び電源部43からの熱の少なくとも一方は、放熱部材52に伝導され、筐体3(カメラ1b)外に放出される。
【0026】
第3の実施の形態に係るカメラ1bによれば、第1及び第2の実施の形態に係るカメラ1,1aにおける効果に加えて、液晶ディスプレイ17(移動部材50)を筐体3に対して回動可能に支持する支持部51を備えているため、移動部材50を筐体3に対して回動させたとき、撮影時または投影時にカメラ1bを載置する載置面上での安定性を向上させることができる。
【0027】
なお、第3の実施の形態においては、カメラ1bの載置面上での安定性向上のためカメラ1の載置面に対して直交方向を移動部材50の回動軸としているが、他の方向を回動軸としてもよい。また、全方位に回動する回転自在な蝶番等により構成される支持部を備えた移動部材を設けることもできる。この場合には、カメラ1bを載置面上に載置した際に、撮影時においてはカメラ1bのチルト調整機構として、投影時においては投影角度を任意に定める投影角度調整機構として移動部材を機能させることができる。
【0028】
また、第2及び第3の実施の形態に係るプロジェクタユニット、撮像ユニット及び電源部は、第1の実施の形態に係るプロジェクタユニット、撮像ユニット及び電源部と同一の位置に配置されているが、何れの位置に配置されてもよく、配置位置を変更した場合においても放熱効果に変化はない。
【0029】
また、上述の各実施の形態においては、リモコンが取り付けられる筐体の領域の一部に放熱部材を備えているが、リモコンが取り付けられる筐体の領域の全部(全面)に放熱部材を備えることもできる。この場合には、放熱部材が設けられる領域を大きくすることができるため、より高効率で放熱を行うことができる。
【0030】
また、上述の各実施の形態においては、熱伝導性材料により構成された放熱部材を備えているが、例えば縞模様、波模様、蛇腹模様等に形成された凹凸部を有する部材により構成された放熱部材を備えることもできる。この場合には、放熱部材が凹凸部を有しているため、放熱部材の表面積を大きくすることができ、高効率で放熱を行うことができる。また、リモコンが取り付けられる筐体の領域の一部または全部を、他の筐体の領域に比して薄く形成することもできる。この場合においても、薄く形成された領域が熱を伝導する放熱部として機能し、高効率で放熱を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
プロジェクタユニットを備えた撮影装置として産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…カメラ、3…筐体、5…撮影窓、7…フラッシュ窓、9…プロジェクタ投影窓、11…シャッタボタン、13…電源スイッチ、15,23…通信部、17…液晶ディスプレイ、19…リモコン、25…拡大縮小ボタン、27…モードボタン、29…切換ボタン、31…メニューボタン、33…削除ボタン、35…マルチセレクタ、37…OKボタン、39…撮像ユニット、41…プロジェクタユニット、45…放熱部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影装置及び撮像装置を収容する筐体と、
前記筐体に着脱可能な遠隔操作部と、
前記遠隔操作部が取り付けられる前記筐体の領域の一部または全部に設けられる放熱部と、
を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記放熱部は、被写体光を前記撮像装置に導く開口が設けられる前記筐体の面と対向する面に設けられることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記遠隔操作部は、前記撮像装置により撮像された画像を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記撮像装置により撮像された画像を表示する表示部と、
前記表示部を前記筐体に対して回動可能に支持する支持部とを更に備え、
前記放熱部は、前記表示部が前記筐体側に回動したときに接触する前記筐体の領域の一部または全部に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2記載の撮影装置。
【請求項5】
前記放熱部は、熱伝導性材料により構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記放熱部は、凹凸部を有する部材により構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記筐体の一部の領域は前記筐体の他の領域に比して薄く形成されており、前記一部の領域が前記放熱部をなすことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−191270(P2010−191270A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36652(P2009−36652)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】