説明

撮影装置

【課題】水中使用時における誤操作による蓋部の開放を防ぐと共に、陸上使用時における蓋部の開閉操作の操作性を損ねない構造の撮影装置を提供すること。
【解決手段】水中において使用可能な撮影装置1を次のように構成する。少なくとも電源部材119を収納する収納室を密閉する電池蓋部161と、前記収納室を密閉した状態で前記電池蓋部161を固定するロックピン141と、当該撮影装置1が水中にあるか否かを検出する水中検知部材151と、前記水中検知部材151により当該撮影装置1が水中にあると検出された場合、前記電池蓋部161を固定するよう前記ロックピン141機構部を制御するシステムマイコン116と、を具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関し、特に、水中撮影に使用可能な撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水中における撮影を可能とする防水機構を備えたカメラが多く利用されている。このようなカメラに関連する技術として、例えば特許文献1には次のような技術が開示されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示されている蓋装置及びデジタルカメラでは、蓋装置は、筺体に設けられた被保護部材格納室の開口部を防水用パッキングを介して閉鎖可能に設けられた蓋と、この蓋を回動自在に軸支する軸支部と、前記蓋が前記格納室の開口部を含む平面に沿ってスライドしながら当該開口部に接近して閉鎖し、またはスライドしながら当該開口部から離反して開放するように、前記軸支部をガイドするガイド機構と、を備えたことを主たる特徴としている。
【0004】
このような構成を採ることで、特許文献1に開示されている蓋装置及びデジタルカメラによれば、デジタルカメラ等の携帯機器が蓋を閉じた状態において外観不良を来たす虞がなく、防水用パッキングが損傷しにくく長期にわたり良好な防水機能を維持できる。
【0005】
また、水中における撮影を可能とする防水機構を備えるカメラに関連する技術としては、例えば特許文献2には、次のような技術が開示されている。
【0006】
すなわち、特許文献2に開示されているデジタルカメラでは、水中撮影モードの時に、デジタルカメラが所定の水深まで達したことが圧力センサによって検知されると、ターゲットライトが点灯して撮影方向が照らし出される。ターゲットライトを被写体に照射すると、LCDには被写体がスルー画像として合焦表示される。この時のフォーカスレンズの合焦位置がエンコーダによって検出され、検出された合焦位置がマクロ範囲にあるか否かが判定される。合焦位置がマクロ範囲にあると判定されると、CPUはマクロ撮影モードに設定する。また、合焦位置がマクロ範囲にないと判定されると、CPUは通常撮影モードに設定する。
【0007】
このような構成を採ることで、特許文献2に開示されているデジタルカメラによれば、ユーザが撮影モードの切替を行わなくとも、被写体の状況に応じた適切な撮影モードが自動的に設定されるので、操作性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−5783号公報
【特許文献2】特開2005−341029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、水中における撮影では、誤操作によってカメラの電池蓋やメモリカード蓋を開けてしまった場合、当該カメラ内の電気回路が浸水してしまい、撮影画像の喪失及びカメラの故障等、ユーザにとっては取り返しのつかない事故に繋がる恐れがある。
【0010】
しかしながら、誤操作による電池蓋の開放を防ぐ為に、電池蓋やメモリカード蓋の開閉構造を複雑化させてしまうと、陸上使用時における電池蓋やメモリカード蓋の開閉操作を煩雑化させてしまう。
【0011】
このような事情から、現在、水中使用時における誤操作による蓋部の開放を防ぐと共に、陸上使用時における蓋部の開閉操作の操作性を損ねない構造の撮影装置が望まれている。なお、上述した特許文献1及び特許文献2に開示されている技術は、このような要望に応える技術ではない。
【0012】
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、水中使用時における誤操作による蓋部の開放を防ぐと共に、陸上使用時における蓋部の開閉操作の操作性を損ねない構造の撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による撮影装置は、
水中において使用可能な撮影装置であって、
少なくとも電源部材を収納する収納室を密閉する蓋部と、
前記収納室を密閉した状態で前記蓋部を固定するロック機構部と、
当該撮影装置が水中にあるか否かを検出する水中検知部と、
前記水中検知部により当該撮影装置が水中にあると検出された場合、前記蓋部を固定するよう前記ロック機構部を制御する制御部と、
を具備することを特徴とする。
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明の第2の態様による撮影装置は、
水中においても使用可能な撮影装置であって、
少なくとも記録手段を挿入する為のインターフェイスが設けられた収納室を密閉する蓋部と、
前記収納室を密閉した状態で前記蓋部を固定するロック機構部と、
当該撮影装置が水中にあるか否かを検出する水中検知部と、
前記水中検知部により当該撮影装置が水中にあると検出された場合、前記蓋部を固定するよう前記ロック機構部を制御する制御部と、
を具備することを特徴とする。
【0015】
前記の目的を達成するために、本発明の第3の態様による撮影装置は、
水中において使用可能な撮影装置であって、
当該撮影装置に電力を供給する電源部材と、
少なくとも前記電源部材を収納する収納室を密閉する蓋部と、
前記収納室を密閉した状態で前記蓋部を固定するロック機構部と、
当該撮影装置が水中にあるか否かを検出する水中検知部と、
前記水中検知部により当該撮影装置が水中にあると検出された場合、前記蓋部を固定するよう前記ロック機構部を制御する制御部と、
電磁誘導作用を利用した非接触方式によって、前記電源部材の充電を行う為の充電部と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水中使用時における誤操作による蓋部の開放を防ぐと共に、陸上使用時における蓋部の開閉操作の操作性を損ねない構造の撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮影装置のシステム構成の一例を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る撮影装置の一外観例を示す図(上面図、正面図、下面図、側面図)。
【図3】ロック機構の一例を示す図。
【図4】ロック機構によるロックが解除され(アンロックされ)、且つ、電池蓋部が開放された状態の撮影装置の外観を示す図。
【図5】電池蓋部が閉じられた状態であって、且つ、ロック機構によりロックされた撮影装置の外観を示す図。
【図6】水中検知部材の一構成例を示す図。
【図7】本発明の第1実施形態に係る撮影装置のシステムマイコンによる制御のフローチャートを示す図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る撮影装置のシステム構成の一例を示す図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る撮影装置の一外観例を示す図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る撮影装置のシステムマイコンによる制御のフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本第1実施形態に係る撮影装置のシステム構成の一例を示す図である。図2は、本第1実施形態に係る撮影装置の一外観例を示す図(上面図、正面図、下面図、側面図)である。
【0020】
図1に示すように、撮影装置1は、レンズ101と、レンズ駆動回路102と、撮像素子107と、駆動回路109と、SDRAM110と、AF/AEセンサ112と、メモリデバイス114と、TFTディスプレイ115と、システムマイコン116と、スイッチ類117と、バッテリ119と、バッテリチェック回路120と、USBインターフェイス131と、サブCPU133と、ロックピン141と、モータ143と、モータ駆動回路145と、水中検知部材151と、圧力センサ153と、電池蓋部161(図2参照)と、を具備する。
【0021】
前記レンズ101は、被写体の光学像を撮像素子107に集光させるための光学系である。このレンズ101は、システムマイコン116からの指示に応じて動作するレンズ駆動回路102によりその光軸方向に移動される。この動作により、レンズ101のフォーカス状態等を変更することが可能である。
【0022】
前記撮像素子107は、撮像手段としての機能を有し、ベイヤー配列のカラーフィルタが画素を構成する光電変換素子(フォトダイオード等)の前面に配置されてなる撮像領域を有する撮像素子である。この撮像素子107は、レンズ101により集光された光を、各画素で受光して光電変換することで、光の量を電荷量に変換し、さらに電荷をアナログ電圧信号(画像信号)として駆動回路109へ出力する。ここで、本第1実施形態における撮像素子107は、CMOSイメージセンサであり、撮像領域を構成するライン単位で信号の読み出しが可能に構成されている。
【0023】
前記システムマイコン116と共に撮像制御手段としての機能を有する駆動回路109は、システムマイコン116からの指示に応じて撮像素子107の動作制御を行う。
【0024】
前記駆動回路109は、撮像素子107から出力されるアナログの画像信号をデジタル画像信号(以降、画像データという)に変換する。
【0025】
前記SDRAM110は、駆動回路109において得られた画像データや、画像処理部(不図示)において処理された画像データ等の各種データが一時的に記憶される記憶部である。なお、この画像処理部(不図示)は、SDRAM110から読み出した画像データに対し、ホワイトバランス補正処理、同時化処理、色変換処理等の画像処理を施す。さらに、画像処理部は、記録のための画像の圧縮や圧縮された画像の伸張等も行う。
【0026】
前記AF/AEセンサ112は、画像データを用いて被写体輝度(被写体を含む撮影シーンの明るさ)を算出する。被写体輝度を算出するためのデータは、専用の測光センサの出力であっても良い。AF/AEセンサ112は、画像データから高周波成分の信号を取り出してAF(Auto Focus)積算処理により合焦評価値を取得する。なお、AF/AEセンサ112は、専用のセンサを備えてレンズ101の焦点ずれ量を求めることが可能な構成としても良い。
【0027】
前記メモリデバイス114は、例えばカメラ本体に着脱可能なメモリであり、画像処理部(不図示)において圧縮された画像データが記録される。なお、図1の例では画像データを記録するための記録媒体としてカメラ本体に着脱可能なメモリを示しているが、必ずしもカメラ本体に着脱可能なメモリを用いる必要はない。
【0028】
前記TFTディスプレイ115は、例えば液晶ディスプレイ等の表示部であり、画像処理部(不図示)で処理された画像を表示する。
【0029】
前記システムマイコン116は、当該撮影装置1全体を統括的に制御する。
【0030】
前記スイッチ類117は、図2に示すように電源ボタン117a、レリーズボタン117b、各種入力キー117c等の操作部材である。ユーザによりスイッチ類117の何れかの操作部材が操作されることにより、システムマイコン116又はサブCPU133は、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。
【0031】
ここで、電源ボタン117aは、当該デジタルカメラの電源のオンオフ指示を行うための操作部材である。電源ボタン117aが押されたときに、システムマイコン116は、当該デジタルカメラの電源をオン又はオフする。レリーズボタン117bは、1stレリーズスイッチと2ndレリーズスイッチの2段スイッチを有して構成されている。レリーズボタン117bが半押しされて1stレリーズスイッチがオンされた場合に、システムマイコン116は、AE処理やAF処理等の撮影準備シーケンスを行う。また、レリーズボタン117bが全押しされて2ndレリーズスイッチがオンされた場合に、システムマイコン116は撮影シーケンスを実行して撮影を行う。ユーザは、例えば、TFTディスプレイ115において表示されるメニュー画面上で入力キーを用いて撮影時の撮影条件等を設定することが可能である。
【0032】
前記バッテリ119は、撮影装置1の各部の動作に必要な電力を供給するための、例えば2次電池等からなる電源である。バッテリチェック回路120は、バッテリ119を構成する電池の残量を検出する等のバッテリ119の制御を行う。
【0033】
前記USBインターフェイス131は、ユーザ所望の機器を当該撮影装置1にUSB接続する為のインターフェイスである。
【0034】
前記サブCPU133は、スイッチ類117におけるユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。
【0035】
前記ロックピン141は、後述する収納室160を密閉する電池蓋部161の開放を防止するロック機構に係る部材である。前記モータ143は、ロックピン141を移動させる為のモータである。前記モータ駆動回路145は、モータ143を駆動する為の回路である。このロック機構については、後に詳述する。
【0036】
前記電池蓋部161は、少なくともバッテリ119を収納する収納室160(外観からは不可視であるので、図4及び図5において破線で示す)を密閉する開閉可能な蓋体である。この電池蓋部161は、ストッパ部材161aを備える(図2参照)。このストッパ部材161aによって、電池蓋部161を閉じた状態で維持することができる。
【0037】
つまり、前記電池蓋部161は、その蓋体としての構造自体は従来の蓋体と同様である。しかしながら、後述するロック機構を利用することで、従来の撮影装置では不可能である“水中使用時における誤操作による蓋部の開放を防ぐと共に、陸上使用時における蓋部の開閉操作の操作性を損ねない構造の撮影装置”が実現する。
【0038】
なお、前記収納室160内にメモリデバイス114を挿入する為のインターフェイスを設け、バッテリ119に加えてメモリデバイス114を収納可能に構成してもよい。また、収納室160を、メモリデバイス114を収納する為だけの収納室160として構成しても勿論よい。さらには、バッテリ119を収納する為の収納室160と、メモリデバイス114を収納する為の収納室160と、の複数の収納室160を設けても勿論よい。
【0039】
図3は、前記ロック機構の一例を示す図である。
【0040】
図2に示すように撮影装置1の下面に設けられている電池蓋部161は、図3に示すようにモータ駆動回路145により駆動されるモータ143により、モータ軸143a及び歯車143bを介して、ロックピン141によりロック/アンロックされる。
【0041】
詳細には、このロック機構は、所謂ラック・アンド・ピニオン(rack and pinion)と称される機構を利用している。このラック・アンド・ピニオン機構を利用して、前記ロックピン141を、前記電池蓋部161に設けられた穴部161aに抜き差しすることで、アンロック/ロック状態を切り替える。
【0042】
具体的には、ラック・アンド・ピニオンとは、歯車による機構の一種であり、回転力を直線の動きに変換する機構である。詳細には、ピニオンとよばれる小口径の円形歯車(図3に示す歯車143b)と、平板状の棒に歯切りをした(歯がつけられた)ラック(図3に示すロックピン141)と、を組み合わせた機構である。モータ143により歯車143bに回転力が加えられると、ロックピン141が歯すじ設定された末端まで水平方向に動く。なお、この機構は、ラック・ピニオンと略称されることもある。
【0043】
図4は、前記ロック機構が解除され(アンロックされ)、且つ、電池蓋部161が開放された状態の撮影装置1の外観を示す図である。なお、説明の便宜上、撮影装置1の筐体内に収納されている一部の構成部材を可視化させて示している。
【0044】
図4に示すように、ロック機構を解除した後は、電池蓋部161を開放することが可能となる。
【0045】
図5は、電池蓋部161が閉じられた状態であって、且つ、前記ロック機構によりロックされた撮影装置1の外観を示す図である。なお、説明の便宜上、撮影装置1の筐体内に収納されている一部の構成部材を可視化させて示している。図5に示すように、電池蓋部161を閉じた上にロックすると、水中使用時において誤操作により電池蓋部161が開放されることが防止される。
【0046】
前記水中検知部材151は、当該撮影装置1が水中に入れられたことを電気的に検出する部材である。図6は、水中検知部材151の一構成例を示す図である。図6に示すように、水中検知部材151は、水中検知ピン151aと、コンパレータ151bと、を備える。
【0047】
空気中においては、前記水中検知ピン151aには電流が流れていない。従って、前記コンパレータ151bに入力される電圧は、
V+>V−
となる
一方、水中においては、前記水中検知ピン151aは実質的にグラウンドに落ちて電流が流れる。従って、前記コンパレータ151bに入力される電圧は、
V−>V+
となる
このような空気中/水中における前記コンパレータ151bの入力電圧の変化を、前記システムマイコン116が検出して、当該撮影装置1が空気中にあるのか水中にあるのかを判定する。
【0048】
前記圧力センサ153は、当該撮影装置1が水中に入れられたことを、水圧に基づいて検出する圧力センサである。
【0049】
以下、本第1実施形態に係る撮影装置1のシステムマイコン116による制御について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0050】
まず、ユーザにより電源ボタン117aが押されて電源がオンされる(ステップS1)と、システムマイコン116は、前記バッテリチェック回路120により、前記バッテリ119のバッテリ残量を検出する(ステップS2)。
【0051】
前記ステップS2においてバッテリ残量を検出した後、システムマイコン116は、この検出したバッテリ残量が、所定の閾値よりも低いか否かを判定する(ステップS3)。このステップS3をYESに分岐する場合(検出したバッテリ残量が所定の閾値よりも低い場合)、システムマイコン116は、モータ駆動回路145によりモータ143を駆動して、ロックピン141を電池蓋部161に設けられた穴部161aから引き出すことで、電池蓋部161をアンロック状態にする(ステップS4)。
【0052】
このステップS4における処理で電池蓋部161をアンロック状態にした後、システムマイコン116は、当該撮影装置1の電源をオフにする(ステップS5)。
【0053】
一方、前記ステップS3をNOに分岐する場合(検出したバッテリ残量が所定の閾値以上の場合)、システムマイコン116は、水中検知部材151が備えるコンパレータ151bの入力電圧の変化を検出し(ステップS6)、当該撮影装置1の空気中/水中間の状態変化が生じたか否かを判定する(ステップS7)。
【0054】
このステップS7をNOに分岐する場合(当該撮影装置1の空気中/水中間の状態変化が生じていない場合)、電源ボタン117aが押されたか否かを判定する(ステップS8)。このステップS8をYESに分岐する場合(電源ボタン117aが押された場合)、前記ステップS4に移行する。
【0055】
前記ステップS8をNOに分岐する場合、レリーズボタン117bが押されたか否かを判定する(ステップS9)。このステップS9をNOに分岐する場合(レリーズボタン117bが押されていない場合)、前記ステップS2に移行する。一方、このステップS9をYESに分岐する場合(レリーズボタン117bが押された場合)、システムマイコン116は、AE処理やAF処理等の撮影準備シーケンスを行い且つ所定の撮影シーケンスを実行して撮影を行う(ステップS10)。その後、前記ステップS2に移行する。
【0056】
ところで、前記ステップS7をYESに分岐する場合(当該撮影装置1の空気中/水中間の状態変化が生じた場合)、システムマイコン116は、水中検知部材151が備えるコンパレータ151bの入力電圧に基づいて、当該撮影装置1が水中にあるか否かを判定する(ステップS11)。
【0057】
なお、このステップS11においては、水中検知部材151を利用した判定に加えて、前記圧力センサ153の出力に基づいた判定を行ってもよい。このように複数の手段を利用した判定を行うことで、より判定の精度を向上させることができる。
【0058】
このステップS11をNOに分岐する場合(当該撮影装置1が空気中にある場合)、システムマイコン116は、モータ駆動回路145によりモータ143を駆動して、ロックピン141を電池蓋部161に設けられた穴部161aから引き出すことで、電池蓋部161をアンロック状態にする(ステップS12)。その後、当該撮影装置の撮影モードを、陸上使用時に適した“通常モード”に設定して(ステップS13)、前記ステップS8に移行する。
【0059】
一方、前記ステップS11をYESに分岐する場合(当該撮影装置1が水中にある場合)、システムマイコン116は、モータ駆動回路145によりモータ143を駆動して、ロックピン141を電池蓋部161に設けられた穴部161aに挿入することで、電池蓋部161をロック状態にする(ステップS14)。その後、当該撮影装置の撮影モードを、水中使用時に適した“水中モード”に設定し(ステップS15)て、前記ステップS9に移行する。
【0060】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、水中使用時における誤操作による蓋部の開放を防ぐと共に、陸上使用時における蓋部の開閉操作の操作性を損ねない構造の撮影装置を提供することができる。
【0061】
具体的には、本第1実施形態に係る撮影装置は、例えば次のような効果を奏する。
【0062】
・当該撮影装置1が水中に入れられれば自動的に電池蓋部161がロック状態にされる。これにより、誤操作による水中での電池蓋部161の開放を防ぐことができる。
【0063】
・当該撮影装置1が空気中に置かれた場合には、電池蓋部161のロック状態が自動的に解除されるので、ユーザに何ら操作負担を掛けない。
【0064】
・バッテリ119の残量が所定の閾値よりも低くなった場合には、自動的に電池蓋部161をアンロック状態にするので、バッテリ切れの際に電池交換が不可能となる事態を防ぐことができる。
【0065】
[第2実施形態]
図8は、本第2実施形態に係る撮影装置のシステム構成の一例を示す図である。図9は、本第2実施形態に係る撮影装置の一外観例を示す図である。
【0066】
なお、説明の重複を避ける為に、第1実施形態に係る撮影装置との相違点のみを説明する。
【0067】
図8に示すように、本第2実施形態に係る撮影装置1は、第1実施形態に係る撮影装置1が具備していない構成部材として、充電部220と、2次コイル221と、2次コネクタ222と、磁石223と、を具備する。
【0068】
前記バッテリ119は、電源となる電池であり、例えばニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などといった充電可能である二次電池が用いられる。
【0069】
前記充電部220は、2次コイル221に所定の電圧値以上の起電力が励起しているときにバッテリ119の充電を行う。または、2次コネクタ222から出力される直流の電力が入力しているときの充電を行う。また、2次コイル221に生じた起電力および2次コネクタ222から出力される電流は充電部220からバッテリ119の出力端子、即ち本撮影装置の電源入力端子にも導かれており、撮影装置1がスタンド200に載置されているときには、スタンド200をバッテリ119に代わる電源として撮影装置1を動作させることができる。
【0070】
前記2次コイル221は、撮影装置1がスタンド200に載置されているときにスタンド200で発生させた磁界によって起電力が生じるコイルであり、電磁誘導作用を利用する非接触式の充電方式における受電コイルとして機能する。
【0071】
前記2次コネクタ222は、撮影装置1がスタンド200に載置されているときに外部電源から出力される直流の電力が入力されるコネクタであり、接触式の充電方式における受電コネクタとして機能する。
【0072】
また、USBインターフェイス131が2次コネクタ222を介してシリアルデータをスタンド200へ伝送することが可能であり、また、2次コネクタ222を介してUSBインターフェイス131はスタンド200から送られてくるシリアルデータを受信することも可能である。
【0073】
前記磁石223は、撮影装置1がスタンド200に載置されているかをスタンド200が検出するための磁石である。
【0074】
ところで、本第2実施形態に係る撮影装置1は、充電装置を兼ねるスタンド200に載置されることで(図9参照)、所謂非接触式で充電することができる。なお、スタンド200はクレードル(Cradle)とも称される。
【0075】
スタンド200は、図8に示すように、CPU201bと、USBインターフェイス209bと、操作指示部216bと、磁気検出部224と、1次コネクタ225と、1次コイル229と、発振回路228と、AC/DC回路226と、USB端子213bと、AC電源コード227と、を具備する。
【0076】
前記磁気検出部224は、撮影装置1がスタンド200に載置されているか否かを検出する機能を有し、CPU201bに載置状態を示す信号を送信する。
【0077】
前記1次コネクタ225は、撮影装置1がスタンド200に載置されているときに外部電源から出力される電流を2次コネクタ222に入力するコネクタであり、接触式の充電方式における送電コネクタとして機能する。また、1次コネクタ225は2次コネクタ222との接続検出の機能をも有し、その接続状態を示す信号をCPU201bに送信する。
【0078】
つまり、先ず、磁気検出部(磁気検出スイッチ)224は磁石223の磁界を検出し、撮影装置1がスタンド200に載置されているかを検出する。磁気検出部224が磁石223の磁界を検出するときは、1次コネクタ225が突出しているのか、あるいは収納されているのかを判断を行う。磁気検出部224が磁石223の磁界を検出しないときは、撮影装置1がスタンド200に載置されていないと判断される。
【0079】
前記磁気検出部224が磁石223の磁界を検出したとき(撮影装置1がスタンド200に載置されている。)、操作指示部216bである後述のコネクタ用スイッチの操作によって1次コネクタ225が、突出しているのか、あるいは収納されているのかを判断する。
【0080】
前記1次コネクタ225が、2次コネクタ222に接続しているときは接触式の充電方式で電力を撮影装置1に充電する。撮影装置1に充電が終了したら終了させる。1次コネクタ225が、2次コネクタ222に接続していない(収納している)ときは非接触式の充電方式で電力を撮影装置1に充電する。撮影装置1に充電が終了したら終了させる。
【0081】
更に、1次コネクタ225と2次コネクタ222は、撮影装置1とスタンドに設けられるUSB端子を介して、撮影装置1と外部装置との間で画像データの授受を行うためにも使用する。つまり、スタンドに設けられるUSBインターフェイス209bはこれらコネクタを介してシリアルデータを撮影装置1へ伝送することが可能であり、また、前記USBインターフェイス209bは撮影装置1から送られてくるシリアルデータを受信することが可能である。
【0082】
なお、USBインターフェイス209bは、撮影装置1のUSBインターフェイス131と同様のものであり、撮影装置1がこのスタンド200に載置されているときには、USB端子213bにパーソナルコンピュータ等の外部装置を接続してもこの外部装置と撮影装置1のシステムマイコン116との間で各種データの授受を行うことができるものである。
【0083】
前記AC/DC回路226は、商用電源からAC電源コード227を介して供給される交流の電圧を所定の電圧に降圧させると共に直流に整流し、所定の電圧に安定化してスタンド200の各部に電力を供給する。
【0084】
前記発振回路228は、所定の周波数の高周波を発生させる。
【0085】
前記1次コイル229は、発振回路228で発生させた高周波が入力されることによって磁束数が時間経過に応じて変化する磁界を生じさせるコイルであり、電磁誘導作用を利用する非接触式の充電方式における送電コイルとして機能する。撮影装置1の2次コイル221では、この1次コイル229が生じさせた磁界中に置かれることによって起電力が生じる。
【0086】
前記CPU201bは、磁気検出部224と1次コネクタ225とから送られてくる信号を取得し、接触式あるいは非接触式かの充電方式の指示信号をAC/DC回路226に送る。
【0087】
前記操作指示部216bはユーザによって操作される各種キー、スイッチ(コネクタ用スイッチ)、ボタン等を備えて構成される。CPU201bは操作指示部216bに対してなされた操作の内容を取得し、その内容に対応するユーザからの指示を受け取る。
【0088】
以下、本第2実施形態に係る撮影装置1のシステムマイコン116による制御について、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0089】
図7に示す第1実施形態に係る撮影装置1の制御処理のフローチャートとの相違点は、本第2実施形態に係る撮影装置1では、前記ステップS3をYESに分岐する場合(検出したバッテリ残量が所定の閾値よりも低い場合)の、それ以降の処理である。
【0090】
すなわち、本第2実施形態に係る撮影装置1では、前記ステップS3をYESに分岐する場合(検出したバッテリ残量が所定の閾値よりも低い場合)、システムマイコン116は、当該撮影装置1が非接触充電機能を有しているか否かを判定する(ステップS21)。具体的には、例えば、非接触充電に用いる部材を有しているか否かを検出する等により判定すればよい。
【0091】
このステップS21をNOに分岐する場合(非接触充電機能を有していない場合)、第1実施形態に係る撮影装置1と同様に、前記ステップS4に移行する。
【0092】
他方、このステップS21をYESに分岐する場合(非接触充電機能を有している場合)、前記ステップS5に移行する。つまり、電池蓋部161をロック状態にしたまま、電源をオフにする。これは、非接触充電を行うことが可能であれば、バッテリ切れの後も、電池蓋部161を開放する必要性が無い故の処理である。
【0093】
以上説明したように、本第2実施形態によれば、第1実施形態に係る撮影装置と同様の効果を奏する上に、非接触充電機能による利点を最大限利用した撮影装置を提供することができる。
【0094】
以上、第1実施形態乃至第2実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
【0095】
例えば、上述の実施形態では、電池蓋部161のロック機構として、ラック・アンド・ピニオン機構を利用したロック機構を例に説明したが、このロック機構に限られないことは勿論である。例えば、電磁的なロック機構等を採用しても勿論よい。
【0096】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0097】
1…撮影装置、 101…レンズ、 102…レンズ駆動回路、 107…撮像素子、 109…駆動回路、 110…SDRAM、 112…AEセンサ、 114…メモリデバイス、 115…TFTディスプレイ、 116…システムマイコン、 117…スイッチ類、 117a…電源ボタン、 117b…レリーズボタン、 117c…各種入力キー、 119…バッテリ、 120…バッテリチェック回路、 131…USBインターフェイス、 133…サブCPU、 141…ロックピン、 143…モータ、 143a…モータ軸、 143b…歯車、 145…モータ駆動回路、 151…水中検知部材、 151a…水中検知ピン、 151b…コンパレータ、 153…圧力センサ、 160…収納室、 161…電池蓋部、 161a…穴部、 200…スタンド、 201b…CPU、 209b…USBインターフェイス、 213b…USB端子、 216b…操作指示部、 220…充電部、 221…2次コイル、 222…2次コネクタ、 223…磁石、 224…磁気検出部、 225…1次コネクタ、 226…AC/DC回路、 227…AC電源コード、 228…発振回路、 229…1次コイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中において使用可能な撮影装置であって、
少なくとも電源部材を収納する収納室を密閉する蓋部と、
前記収納室を密閉した状態で前記蓋部を固定するロック機構部と、
当該撮影装置が水中にあるか否かを検出する水中検知部と、
前記水中検知部により当該撮影装置が水中にあると検出された場合、前記蓋部を固定するよう前記ロック機構部を制御する制御部と、
を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記収納室には、記録手段を挿入する為のインターフェイスが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記電源部材の電圧を検出し、該検出した電圧が所定値以下か否かを判定するバッテリチェック部を含み、
前記制御部は、
前記バッテリチェック部により前記電圧が所定値以下であると判定された場合に、前記蓋部の前記固定を解除するよう前記ロック機構部を制御した後、当該撮影装置を動作不能状態に設定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
当該撮影装置の電源をオフするための操作部を含み、
前記水中検出部により当該撮影装置が水中にあると判定され、且つ前記操作部において当該撮影装置の電源をオフする操作が為された場合、
前記制御部は、前記蓋部の前記固定を解除するよう前記ロック機構部を制御した後、当該撮影装置を動作不能状態に設定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮影装置。
【請求項5】
水中においても使用可能な撮影装置であって、
少なくとも記録手段を挿入する為のインターフェイスが設けられた収納室を密閉する蓋部と、
前記収納室を密閉した状態で前記蓋部を固定するロック機構部と、
当該撮影装置が水中にあるか否かを検出する水中検知部と、
前記水中検知部により当該撮影装置が水中にあると検出された場合、前記蓋部を固定するよう前記ロック機構部を制御する制御部と、
を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
当該撮影装置に電力を供給する電源部材と、
前記電源部材の電圧を検出し、該検出した電圧が所定値以下か否かを判定するバッテリチェック部と、
を含み、
前記制御部は、
前記バッテリチェック部により前記電圧が所定値以下であると判定された場合に、前記蓋部の前記固定を解除するよう前記ロック機構部を制御した後、当該撮影装置を動作不能状態に設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
【請求項7】
当該撮影装置の電源をオフするための操作部を含み、
前記水中検出部により当該撮影装置が水中にあると判定され、且つ前記操作部において当該撮影装置の電源をオフする操作が為された場合、
前記制御部は、前記蓋部の前記固定を解除するよう前記ロック機構部を制御した後、当該撮影装置を動作不能状態に設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
【請求項8】
水中において使用可能な撮影装置であって、
当該撮影装置に電力を供給する電源部材と、
少なくとも前記電源部材を収納する収納室を密閉する蓋部と、
前記収納室を密閉した状態で前記蓋部を固定するロック機構部と、
当該撮影装置が水中にあるか否かを検出する水中検知部と、
前記水中検知部により当該撮影装置が水中にあると検出された場合、前記蓋部を固定するよう前記ロック機構部を制御する制御部と、
電磁誘導作用を利用した非接触方式によって、前記電源部材の充電を行う為の充電部と、
を具備することを特徴とする撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−233046(P2010−233046A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79519(P2009−79519)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】