説明

操作スイッチおよび携帯端末

【課題】本動作開始前の第一次信号出力機能を確実に容易に達成することができる操作スイッチおよび該操作スイッチを備えた携帯端末を提供し、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【解決手段】表面の中心以外の部位が押下操作されると該押下部位が沈み込んで全体が傾斜する回転操作体14と、該回転操作体14の裏面側で前記中心以外の部位に対応配置されて前記押下を検知する2段ドームスイッチ24を有し、前記2段ドームスイッチ24は、前記回転操作体14の押下操作による前記押下部位の沈み込みを検知する第1検知部と、該沈み込みよりさらに深い沈み込みを検知する第2検知部とを備えた
操作スイッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)やデジタルカメラなどのHMI部(Human Machine Interface)に用いられるような操作スイッチおよび該操作スイッチを備えた携帯端末に関し、特に音楽、画像データの検索などに使われる多方向入力が可能な操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転を検出する回転検出機構と多方向入力を検出する多方向入力装置を有する2段階スイッチユニットが提案されている(特許文献1参照)。
この2段階スイッチユニットは、回転検出機構の下部にある多方向入力装置が、上下左右とセンターの決定の5方向を検出する。その5方向の入力装置には、ドーム型の反転バネ(以降ドームスイッチと記す)が使われている。
【0003】
さらに、この2段階スイッチユニットは、上部に回転式JOGを備え、下部にドームスイッチを備えて、その間またはドームスイッチ最下部にフレキやメンブレンを配置した構成となっている。
【0004】
また、回転部と別の位置の押し部を使い、第一次信号と第二次信号の取得を省スペースで実現する2段スイッチユニットが提案されている(特許文献2参照)。この2段スイッチユニットは、第一次信号を予め出して、現在どこが触れられているかディスプレイに表示することができる。
【0005】
しかし、この2段スイッチユニットは、本来の信号を出す以前に事前に機器を事前準備させることや、機器の操作性向上、小型化、待機時間を減らすといった機能については考慮されておらず、この機能を前記2段スイッチユニットで実現しようとすると、調整の難しさ、ばらつき、部品点数の増加などでコストが高くなるまたはユニットが大型化するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−286353号公報
【特許文献2】特許第03996144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑み、本動作開始前の第一次信号出力機能を確実に容易に達成することができる小型の操作スイッチおよび該小型の操作スイッチを備えた携帯端末を提供し、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、表面の中心以外の部位が押下操作されると該押下部位が沈み込んで全体が傾斜すると共に回転可能に支持される操作体と、該操作体の裏面側で前記中心以外の部位に対応配置されて前記押下を検知する複数のドームスイッチと、前記操作体の回転を検知する回転スイッチとを有し、前記ドームスイッチは、前記操作体の押下操作による前記押下部位の沈み込みを検知する第1検知部と、該沈み込みよりさらに深い沈み込みを検知する第2検知部とを備えた操作スイッチであることを特徴とする。
【0009】
これにより、浅い沈み込みを検知する第1検知を確実に容易に達成することができる操作スイッチを提供することができ、利用者の満足度を向上させることができる。
【0010】
この発明の態様として、前記ドームスイッチを被覆する被覆シートと、該被覆シートに前記ドームスイッチを接着する接着部とを備え、前記接着部は、前記被覆シートにおける前記ドームスイッチの前記第1検知部との対向部分を避けて設けることができる。
これにより、ドームスイッチが意図しないところへ移動することや、ドームスイッチの姿勢が意図せず変化することを接着により防止できるとともに、第1検知部の検知動作を良好にすることができる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記ドームスイッチが収納される孔が設けられたスペーサシートを備え、該前記接着部は、前記スペーサシートの前記孔の周囲部と、前記ドームスイッチの頂点部と対向する部分に設けることができる。
【0012】
これにより、ドームスイッチ部分に塵が入り込むことを防止することができる。特に、僅かなタッチを検知できる程度に第1検知部で検知する沈み込み量を微小にしても、塵の入り込みを防止することで検知精度を維持するとともに、信頼性を保持することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記第1検知部と前記第2検知部にそれぞれ接触および離間する複数の接点を有して前記第1検知部の検知と前記第2検知部の検知とを伝達する回路を備え、前記ドームスイッチは、前記第1検知部が複数備えられるとともに、該第1検知部の少なくとも1つを対応する前記接点から離間させて支持する支持部が備えられ、前記回路は、前記第1検知部の複数が前記各接点に接触したときに第1検知部の検知を伝達する構成とすることができる。
【0014】
これにより、製造誤差等によって1つの第1検知部が接点に常時接触する状態になっても、残りの第1検知部が接点に対して接触および離間でき、第1検知を確実に検知することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記回路は、該第1検知部が前記接点に接触し、かつ前記第2検知部が前記接点に接触したときに第2検知部の検知を伝達する構成とすることができる。
これにより、第1検知部に加えて第2検知部も確実に検知することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記操作体の裏面側で前記ドームスイッチとの間に、前記操作体を保持するホルダを備え、該ホルダは、前記操作体の中心以外の部位が押下操作された際に該部位に対応配置された前記ドームスイッチを押下するように沈み込み、かつ、他のドームスイッチとの対応部位の前記ホルダが連動して沈み込んで検知されることを防止する連動防止手段を備えることができる。
【0017】
これにより、第1検知のための前記押下部位の沈み込み用のストロークが非常に短い構成であって敏感に押下検知できるようにしても、押下したい第1検知部と別の第1検知部が連動して押下検知してしまうことを防止できる。従って、軽い押下を敏感に検知し、かつ押下されていない部位での誤検知を防止することを両立させることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記ホルダは、前記操作体の押下操作の力で弾性変形する変形許容素材により形成され、前記連動防止手段は、該変形許容素材により形成された前記ホルダのうち前記各ドームスイッチとの対応部位の間に存在する変形許容部により構成されることができる。
【0019】
これにより、素材の変形によって押下操作の力を別の第1検知部に及ぼさないようにできる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記ホルダは、前記ドームスイッチ間に押下操作の伝達を防止する溝孔が設けられ、前記連動防止手段は、該溝孔により構成されることができる。
これにより、ホルダに伝わる押下操作の力を溝孔で分断することができ、押下操作の力を別の第1検知部に及ぼさないようにすることができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記ドームスイッチは、ドーム形状に形成されたドーム形状部を有し、前記第1検知部は、前記ドーム形状部の側方に設けられて通常は回路から離間しており前記ドーム形状部が凸側から凹側へ軽く押下されると前記回路に接触して通電する側方接触部により形成され、前記第2検知部は、前記側方接触部が接触した状態で前記ドーム形状部の凸側から凹側へさらに強く押下されると前記ドーム形状部が凹凸逆の状態となって前記ドーム形状部の頂点裏側が回路に接触して通電する頂点裏側接触部により形成されることができる。
これにより、敏感に検知する第1検知と、しっかり押下されたことを検知する第2検知を簡単な構成により低コストで実現することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記押下操作が意図しない衝撃によって瞬間押下された際に押下検知しないように排除する瞬間押下検知排除手段を備えることができる。
これにより、利用者の押下とは考えられない瞬間的な押下を検知対象から排除することができる。従って、この操作スイッチが設けられた携帯機器が利用者の意図しない衝撃によって意図せず動作してしまうことを防止できる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記瞬間押下検知排除手段は、前記第1検知部に設けられた接触部と回路との間に配置された介在体で構成され、該介在体は、連続的な負荷に対して柔軟に変形し瞬間的な負荷に対して変形しない素材により構成されることができる。
【0024】
前記連続的な負荷に対して柔軟に変形し瞬間的な負荷に対して変形しない素材は、例えば低反発発泡ウレタンや、通常やわらかく衝撃を受けると硬化する「d3o」と呼ばれる素材で構成するなど、衝撃検知を防止しつつ利用者の押下を検知できるようにする素材で構成することができる。
この態様により、衝撃を利用者の押下操作と誤検知することを確実に防止できる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記瞬間押下検知排除手段は、予め定めた所定時間以下の通電検知を排除する電気回路により構成することができる。
前記電気回路は、1μsなどの短時間の検知を排除できるローパスフィルタで構成するなど、衝撃による信号を排除できる回路により構成することができる。
この態様により、衝撃を利用者の押下操作と誤検知することを確実に防止できる。
【0026】
またこの発明は、前記操作スイッチと、該操作スイッチにより操作入力された入力信号に従って制御動作を実行する制御手段と、該制御手段の制御信号に従って情報出力を行う出力手段とを備えた携帯端末とすることができる。
【0027】
前記制御手段は、CPUなど適宜の制御処理を実行できる装置により構成することができる。
前記出力手段は、画像表示を行う表示装置とするなど、出力を行う適宜の装置により構成することができる。
前記携帯端末は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)やデジタルカメラなど、携帯可能な適宜の端末により構成することができる。
【0028】
この発明により、押下の程度によって2段階に検知することができる検知スイッチを利用した携帯端末を提供できる。従って、例えば第1検知で準備動作を行って第2検知で指示動作を実行する携帯端末を提供することができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明により、第1検知を確実に容易に達成することができる操作スイッチおよび携帯端末を提供することができ、利用者の満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】操作スイッチを備えたデジタルカメラの正面図。
【図2】操作スイッチの外観斜視図。
【図3】操作スイッチを上方から見た分解斜視図。
【図4】操作スイッチを下方から見た分解斜視図。
【図5】操作スイッチの斜視断面図。
【図6】2段ドームスイッチの説明図。
【図7】操作スイッチを備えたデジタルカメラの構成を示すブロック図。
【図8】ホルダとドームスイッチの位置関係を示す説明図。
【図9】操作側ユニットと検知側ユニットの斜視図。
【図10】実施例2のホルダを示す正面図。
【図11】実施例3のホルダを示す正面図。
【図12】実施例4の操作ボタンを上方から見た分解斜視図。
【図13】実施例4の操作ボタンを下方から見た分解斜視図。
【図14】実施例4の操作ボタンの斜視図。
【図15】実施例5のホルダの正面図。
【図16】実施例6のホルダの正面図。
【図17】実施例7の2段ドームスイッチと周辺固定接点の説明図。
【図18】実施例8の操作スイッチを下方から見た分解斜視図
【図19】接着カバーフィルムおよびスペーサの拡大分解斜視図
【図20】ドームスイッチ周辺の接着構造の説明図。
【図21】実施例9のドームスイッチ周辺の接着構造の説明図。
【図22】実施例10の基板と回路構成の説明図。
【図23】実施例11のドームスイッチと回路構成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は操作スイッチ10を備えたデジタルカメラ1の正面図である。デジタルカメラ1は、上面右側に撮影開始用のシャッタボタン3が設けられており、図示省略する背面にカメラレンズが設けられている。
【0033】
デジタルカメラ1正面には、表示器2が設けられており、その右横に隣接して操作スイッチ10が設けられている。この操作スイッチ10は、デジタルカメラ1の撮影条件等の設定用スイッチ、及び保存された写真の選択用スイッチなどに用いられる。操作スイッチ10の上方には、メニュー画面などを表示器2に表示するためのメニューボタン4が設けられ、操作スイッチ10の下方には、撮影画像を表示するための再生ボタン5が設けられている。
【0034】
次に、操作スイッチ10の構成について説明する。図2は操作スイッチ10の外観斜視図を示し、図3は操作スイッチ10を上方から見た分解斜視図を示し、図4は操作スイッチ10を下方から見た分解斜視図を示し、図5は操作スイッチ10の斜視断面図を示し、図6は2段ドームスイッチ24の説明図を示す。
【0035】
前記操作スイッチ10は、図3に示すように、上方から回転操作体14と、エンコーダ用可動接点板15と、導電片16,17,18と、ホルダ19と、ホルダ連結板20と、押子21と、シート22と、ドームスイッチ23,24と、基板25と、ベース26とを備えて構成される。
【0036】
回転操作体14は合成樹脂性の材料で円盤状に形成され、その円盤状の中央部軸方向に押子挿通孔27が貫通されており、環状のキャップ形状となっている。この回転操作体14の上面には、径方向に細長く延びる多数の滑り止め突起28が等分配設されている。また、回転操作体14の下面には、環状の平面部と、下向きに突出する内周フランジ29と外周フランジ30とで囲まれる環状凹部31が形成されている。この環状凹部31の内面には、複数の円弧形帯状の突部32が周方向に等分して一定間隔毎に突設されている。また、その内周側に複数の小さな軸部33が周方向に等分して突設されている。
【0037】
さらに、内周フランジ29の外周面には、軸方向に沿って凹状に形成された凹溝34が周方向に等分して備えられている。また、押子挿通孔27に相当する内周フランジ29の内周面には、回転操作感触用の凹凸面35が形成されている。この凹凸面35は周方向に12個の凹凸が交互に形成されており、この凹凸がエンコーダの位相信号と一致するように構成されている。さらに、内周フランジ29の下端には、ホルダ19を挟んでホルダ連結板20に連結するための複数の係止突起36が等分して突設されている。ホルダ19を挟んでホルダ連結板20に取り付けられた回転操作体14は、ホルダ19に対して自在に回転することができる。
【0038】
前記回転操作体14の内面に形成される環状凹部31には、エンコーダ用可動接点板15が嵌合して取り付けられ、内周フランジ29の下端には、ホルダ連結板20が嵌合して取り付けられる。
【0039】
エンコーダ用可動接点板15は、前記環状凹部31に嵌合可能な大きさの環状の導電金属板により形成されている。エンコーダ用可動接点板15の平面周方向には、エンコーダ信号出力用に、前記円弧形帯状の突部32と対応させて嵌合可能な略同形状の開口部37が一定間隔毎に開口されている。同様に、該開口部37の内周側には、前記軸部33と対応させて該軸部33と略同形状の軸孔38が開口されている。この軸孔38は、前記軸部33に嵌合する。さらに、エンコーダ用可動接点板15の内周面には、前記凹溝34と対応させて該凹溝34と略同形状の内周凸部39が形成されている。この内周凸部39は、前記凹溝34に嵌合する。
【0040】
これにより、エンコーダ用可動接点板15に形成した開口部37と軸孔38と内周凸部39とを、回転操作体14の下面側に形成されている突部32と軸部33と凹溝34とにそれぞれ対応させて押込むように嵌合させて一体化することができる。そして、図5の斜視断面図に示すように、回転操作体14の下面側にエンコーダ用可動接点板15が嵌合して固定される。
【0041】
この場合、回転操作体14の下面に取り付けられたエンコーダ用可動接点板15の下面に露出する平面部が摺接面40(図4参照)となり、ここに後述する上接触子16a,17a,18a(図3参照)が接触する。このため、摺接面40は平面的で凹凸がないように形成されている。つまり、エンコーダ用可動接点板15の摺接面40と、開口部37を貫通する突部32の先端露出面とが同一平面になるように構成されている。これにより、摺接面40に対する後述する上接触子16a,17a,18aの安定した接触性を確保している。
【0042】
導電片16,17,18は、導電金属板により形成されている。
このうち、共通導電片16は、基端部に例えば3個の取付孔16cを有している。そして、該基端部から自由端側にかけて二股に分かれ、そのうちの一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子16aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子16bとしている。
【0043】
第1導電片17は第1信号検出用として設けられ、前記共通導電片16と同様に基端部に取付孔17cを有している。基端部から二股に分かれた自由端側の一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子17aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子17bとしている。
【0044】
第2導電片18は第2信号検出用として設けられ、前記共通導電片16と同様に基端部に取付孔18cを有している。基端部から二股に分かれた自由端側の一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子18aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子18bとしている。
【0045】
そして、これらの導電片16,17,18の上接触子16a,17a,18aが、一定の弾性力を持って上述した摺接面40に摺接する。また、各導電片16,17,18の自由端側は、内周側と外周側とに並列させて長く延出させている。これら3個の導電片16,17,18は、後述するホルダ19に保持されて周方向に3等分して配設される。
【0046】
前記摺接面40の外周側は常に導通して一定の信号が得られる共通接触子側となり、内周側は間欠的な信号が得られるパルス信号出力側となる。このため、共通導電片16は外周側が上接触子16aになり、該上接触子16aが摺接面40の回転軌跡上で常に導通する共通接触子になる。また、第1導電片17と第2導電片18は内周側が上接触子17a,18aになり、該上接触子17a,18aが摺接面40の回転軌跡上で各開口部37と間欠的に接触し、ロータリエンコーダとしてのパルス信号を出力する接触子になる。
【0047】
また、導電片17,18は、上接触子17a,18aの自由端側をさらに二股に分けている。これにより、分割した接触子によって安定した弾性作用が得られ、接点に接触する場合に滑らかな接触作用が得られる。
【0048】
ホルダ19は、POM樹脂(POM:ポリオキシメチレン)、ABS樹脂(ABS:acrylonitrile butadiene styrene)、またはこれらの混合樹脂などの軟性材料により、前記回転操作体14の環状凹部31を平面的に閉鎖可能な大きさの環状体に形成されている。このホルダ19は、後述するベース26に非回転に支持されている。このホルダ19の上面には、前記各導電片16,17,18を嵌合して固定するための3本の突起42が周方向に3等分して突設されている。これらの突起42に、前記各導電片16,17,18の各取付孔16c,17c,18cを嵌合させることで、ホルダ19の上面に各導電片16,17,18が取り付けられる。これにより、上接触子16a,17a,18aは接触に適した斜め上向きに延出した状態に取り付けられる。また、ホルダ19の上面には、周方向に3等分して開口された円弧形帯状の下接触子挿通孔43,44,45が開口されている。該下接触子挿通孔43,44,45には、前記下接触子16b,17b,18bを下向きに挿通させる。これにより、接触子16b,17b,18bがホルダ19の下面より接触に適した斜め下向きに延出する。
【0049】
ホルダ19の上面外周側には、環状平面部46(図3参照)が形成されている。この環状平面部46は、回転操作体14の外周フランジ30の下端と対応する。さらに、環状平面部46の内周側には、環状に突出する環状縁部47が形成されている。この環状縁部47は、回転操作体14の外周フランジ30の内周面と対応する。同様にホルダ19の上面内周側には、ホルダ内周フランジ48が突設されている。このホルダ内周フランジ48は、回転操作体14の内周フランジ29の外周面に接触対応する。これにより、回転操作体14とホルダ19とが安定して対応する。
【0050】
また、ホルダ19は、回転操作体14の下面と該ホルダ19の上面との対向面間に形成される環状凹部31(図4参照)の開放面を平面的に閉鎖するものである。これにより、上述した上接触子16a,17a,18aが摺接面40に弾性変位して安定して接触するための閉鎖空間を確保している。この閉鎖空間により、環状凹部31に、円滑な接触性を維持させるために注入されているグリスが漏れることを防止している。さらに、この環状凹部31は、下方のベース26側と押下ストローク長さ以上離れた上方の空間位置に形成されているため、この押下ストロークから塵が侵入し難くなり、防塵効果の高い接点構造となる。
【0051】
また、ホルダ19の外周面には、外向きに突設された4つの保持片49が周方向に90度毎に配置されている。該保持片49は、後述するベース26に保持される。さらに、ホルダ19の下面には、押下突起50が周方向に90度毎に4つ突設されている。この押下突起50は、4方の押下位置に対応して設けられている。さらに、ホルダ19の下面内周側には、後述するホルダ連結板20を収納しガイドする環状収納凹部51が形成されている。そして、該ホルダ19は、各導電片16,17,18を保持した状態で、後述するホルダ連結板20により回転操作体14に連結される。
【0052】
ホルダ連結板20(図4参照)は、前記ホルダ19の環状収納凹部51に収納可能な大きさの金属製の環状円板に形成されている。その環状円板の周方向には、前記回転操作体14の各係止突起36と対応する位置に複数開口して係止孔52が形成されている。この係止孔52に、回転操作体14の係止突起36が嵌合して係止される。このホルダ連結板20の嵌合係止作用により、回転操作体14、ホルダ19、ホルダ連結板20が、この順に積層状態に連結される。
【0053】
また、回転操作体14の中央部には、操作者が指先で回転操作体14を回転操作したときに、その回転操作感触が明瞭に得られる感触機構が備えられている。この感触機構は、回転操作体14の中央部に開口されている押子挿通孔27と、ここに挿通される後述する押子21とから構成される。
【0054】
上述の押子21は、合成樹脂性の材料により円柱状に形成され、回転操作体14の押子挿通孔27に挿通される。その円柱状の軸方向と直交する水平方向には、横孔53が形成されている。この横孔53には、押子21の内部から外向きに付勢するコイルスプリング54と、該コイルスプリング54の両端に対設される球体55とが介在される。
【0055】
これにより、押子21を回転操作体14の押子挿通孔27に挿通させて取り付けたとき、コイルスプリング54の両端に位置する球体55が押子挿通孔27の回転操作感触用の凹凸面35と対応し、該球体55が回転操作体14に対して一定の付勢力を付与する。この付勢力により、回転操作体14を回して押下操作位置に回転操作する際に、その都度、球体55が凹凸面35に沿って進退し、付勢力が変化するため回転操作体14の回転抵抗を異ならせる。これにより、明瞭なクリック感が得られる。またこの場合、横孔53の内部にコイルスプリング54及び球体55を介在させることができるため、押子21の配設スペースを有効に利用することができる。
【0056】
さらに、横孔53の貫通位置に対し、周方向に90度異なる押子21の外周面両側には、該押子21の下端及び外周面を開放面とする昇降ガイド用の凹部56が軸方向に形成されている。この凹部56が、後述するベース26の押子ガイド片74により押下方向にガイドされる。また、下面中央には、押下位置に対応して押下突起57が突設されており、該押下突起57が後述するドームスイッチユニット58の中央スイッチS1(図3参照)を押下する。
【0057】
前記ホルダ19の下方には押下ストローク空間19B(図5参照)を隔ててドームスイッチユニット58が対設されている。
【0058】
前記ドームスイッチユニット58は、シート22、ドームスイッチ23,24、基板25をこの順に積層して一体化したものである。下層の基板25をベース26の上面に貼り付けることで、ベース26の上面にドームスイッチユニット58が搭載される。
【0059】
基板25は、プリント配線基板であり、中央部に中央固定接点60(60a,60b)を有し、その周辺の4方に周辺固定接点61(61a,61b,61c)を有している。さらに、周辺固定接点61と重ならない周方向には、共通固定接点59aと第1固定接点59bと第2固定接点59cとが3等分して備えられている。
【0060】
そして、1個の中央固定接点60に対応させて1段ドームスイッチ23を搭載し、4個の周辺固定接点61に対応させて2段ドームスイッチ24を搭載し、これらの上面をシート22で覆って基板25の定位置にドームスイッチ23,24が動かないように貼り付けている。これにより、押子21が押下される押下位置に対応して設置される中央スイッチS1と、回転操作体14が押下される各押下位置に対応して設置される4個の周辺スイッチS2が構成される。
【0061】
2段ドームスイッチ24は、図6(A)の正面図に示すように、略円形の外周4箇所を切り欠いた形状を有しており、外周に2つのコモン接点24bと2つの第1接点24cが設けられ、中央に第2接点24aが設けられている。2つのコモン接点24bは、中央に第2接点24aを挟んで対称に対向配置されている。2つの第1接点24cは、中央に第2接点24aを挟んで対称に対向配置されている。この2つのコモン接点24bと2つの第1接点24cは、90度ずつ交互に配置されている。2段ドームスイッチ24の第2接点24aが設けられている中央の湾曲部分は、反転バネとして機能する。このため、2段ドームスイッチ24の頂点が所定ストローク押下されると、その周囲の湾曲部分が反転バネとなって凹凸入れ替わり、第2接点24aがその下の第2接点61a(図3参照)に接触する。
【0062】
詳述すると、図6(A)のA−A断面を示す図6(B)に示すように、2段ドームスイッチ24は、中央の第2接点24aが頂点となり、2つのコモン接点24bが下端に位置して常時接点61b(図3参照)に常時接触する。
【0063】
そして、押下操作されていない通常状態のとき、図6(B)のB−B部分の拡大図を示す図6(C)に示すように、2つの第1接点24cは、第1接点61cと僅かな隙間(クリアランス)を空けて離間している。
【0064】
また、中央の第2接点24aは、押下操作されていない通常状態のとき、第2接点61aと十分な隙間(クリアランス)を空けて離間している。
【0065】
図3に示す1段ドームスイッチ23は、中央の接点23aが頂点となり、2つのコモン接点23bが下端に位置して常時接点60bに常時接触する。接点23aは、押下操作されていない通常状態のとき、接点60aから十分な隙間(クリアランス)を空けて離間している。
【0066】
ベース26は、回転操作体14より少し大きい金属円板により形成されている。ベース26の中央部には、前記押子21の両側凹部56に係合可能な押子ガイド片74が底面より起立突設されている。押子ガイド片74と対応する上方の基板25及びシート22との対応位置には、それぞれ貫通する位置に退避口64,65が設けられ、押子ガイド片74の起立突設を妨げないようにしている。さらに、共通固定接点59aと第1固定接点59bと第2固定接点59cとに対しても、これらが上面に露出するように、シート22に退避口66が設けられ、下接触子16b,17b,18bとの接触を可能にしている。
【0067】
さらに、該ベース26の外周側には、その4方の底面より逆凹形状の昇降ガイド片77が起立突設されている。この昇降ガイド片77は、逆凹形内に上述した前記ホルダ19の保持片49を係合させている。これにより、押下ストローク長さを昇降することができる。この4方の昇降ガイド片77に保持片49がそれぞれ係合保持されることにより、ホルダ19に保持される最上部の回転操作体14は、押下時に押下された方向に対応して傾動する。従って、回転操作体14は、回転操作体14全体としては僅かに傾動することで、傾動により一定の押下ストローク量だけ沈み込んだ部分が周辺スイッチS2を押下し、スイッチとして機能する。
【0068】
図7は、このように構成された操作スイッチ10を備えたデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。
【0069】
デジタルカメラ1は、制御部82に接続して、ローパスフィルタ81、操作ボタン3,4,5、電源部86、表示器2、フラッシュ83、カメラ部84、および記憶部85が設けられている。
【0070】
ローパスフィルタ81には、操作スイッチ10が接続されている。このローパスフィルタ81は、操作スイッチ10の1段ドームスイッチ23や2段ドームスイッチ24から瞬間的な通電(例えば1μs以下)による信号を受け取った場合に、この信号をカットして検知しないようにし、それ以上長い時間の通電による信号のみを制御部82に伝達する。これにより、衝突等によって操作スイッチ10が瞬間的に押下操作された場合に誤動作しないようにしている。
【0071】
操作ボタン3,4,5(図1に示したシャッタボタン3、メニューボタン4、再生ボタン5)は、ユーザに押下操作された押下信号を制御部82に伝達する。
電源部86は、各部に電力を供給する。
【0072】
表示器2は、制御部82の制御信号に従って画像を表示する。この画像には、カメラ部84で撮影している画像や、撮影して記憶部85に保存した画像、あるいはメニュー画像などとすることができる。
【0073】
フラッシュ83は、制御部82の制御信号に従ってストロボ発光する。
カメラ部84は、制御部82の制御信号に従って撮影し、撮影画像を制御部82に伝達する。
【0074】
記憶部85は、制御部82の制御信号に従ってデータの読み書きを行う。このデータには、カメラ部84で撮影された撮影画像データ、およびメニュー画面などを表示するプログラムなど、適宜のデータとすることができる。
【0075】
この構成により、デジタルカメラ1は、操作スイッチ10や操作ボタン3,4,5の操作に従って動作し、フラッシュ83による照明、カメラ部84による撮影、表示器2への撮影画像の表示など、撮影に必要な動作を実行することができる。
【0076】
次に、デジタルカメラ1を使用する利用者によって操作スイッチ10が操作された際の動作を説明する。
図8は、ホルダ19とドームスイッチ23,24の位置関係を示す説明図であり、図9は、操作スイッチ10を操作側ユニットU1と検知側ユニットU2とに分離した状態の斜視図である。
【0077】
ここで、操作側ユニットU1は、回転操作体14、導電片16,17,18(図3参照)、ホルダ19、および押子21により構成されている。検知側ユニットU2は、ドームスイッチユニット58、およびベース26により構成されている。
【0078】
操作スイッチ10が押下待機している状態では、図3,4に示したドームスイッチユニット58に備えられている5個のドームスイッチ23,24が半円形のドーム型を有し、その中高部が各押下突起50,57の下端と対向している。これらのドームスイッチ23,24は上方からの押下力に対応して上下方向に弾性変位し、押下力を受けたときに凹み、押下力が開放されると復帰し、元の高さ位置にもどるとドーム型になって、次の押下に備えられる。また、ドームスイッチ23,24と対応する基板25の固定接点は、押下されていないため非導通で検知信号は出力されない。
【0079】
図9に矢印Y3で示すように押子21が押下操作された場合には、その押下力を受けて押子21が押下ストローク分だけ沈み込み、中央の1段ドームスイッチ23を押す。そして、該一段ドームスイッチ23が、その押下方向の中央固定接点60に平面的に接触して導通させ、中央固定接点60からの中央押下信号を出力させる。そして、押子21の押下力を開放すると、1段ドームスイッチ23が弾性復帰し、押下突起57を介して押子21を上向きに押し上げて元の位置に戻す。
【0080】
また、図9に矢印Y1(Y1a〜Y1d)で示すように回転操作体14が押下操作された場合には、その押下操作された特定位置(Y1a〜Y1d)での押下力を受ける。矢印Y1(Y1a〜Y1d)に示すように1段階押下された状態になると、回転操作体14は押下突起50(図8)を介して特定位置に対応する2段ドームスイッチ24を押し、該2段ドームスイッチ24の第1接点24cが、その押下方向の第1接点61cに平面的に接触して導通させ、該第1接点61cからの第1信号を出力させる。
【0081】
ここで、押下前の第1接点24cと第1接点61cの隙間が非常に小さいため、回転操作体14をかるく押下しただけで第1接点24cと第1接点61cが接触、導通し、第1信号を出力する。
【0082】
また、ホルダ19が軟性材料により形成されているため、回転操作体14の一部が押下される際にホルダ19が湾曲し変形する。このため、押下された部分の押下突起50がしっかりと下方へ沈み込みながらも、その90度となりにある他の押下突起50がつられて沈み込むことを防止できる。
【0083】
すなわち、各押下突起50の間にはホルダ19を形成する軟性材料の領域が存在しているため、この領域が変形して隣の押下突起50まで押下力が伝わりにくいようにできる。
【0084】
このようにして検知した第1信号は、上述したローパスフィルタ81越しに制御部82へ伝達されるため、衝突当による瞬間的な信号であれば動作信号とならないようにカットされる。
【0085】
第1信号を受けた制御部82は、準備動作を実行する。この準備動作は、例えば表示器2の表示を消去した待機状態から、表示器2にカメラ部84からの撮影画像をリアルタイム表示する撮影待ち準備状態に移行する、あるいは表示器2にメニュー画面を表示して該メニュー画面のうち押下操作された第1接点24cに対応するコマンド部分を点滅等によって解るように表示するなど、適宜の動作とすることができる。
【0086】
図9の矢印Y2(Y2a〜Y2d)に示すように、回転操作体14がさらに強く押下されると、第1接点24cが第1接点61cに接触した状態のまま、2段ドームスイッチ24の頂点となる第2接点24a部分が下方へ押され、この第2接点24aが凹凸逆になり、第2接点24aが第2接点61aに接触、導通し、第2信号を出力する。
【0087】
この第2信号は、上述したローパスフィルタ81越しに制御部82へ伝達されるため、衝突当による瞬間的な信号であれば動作信号とならないようにカットされる。
【0088】
第2信号を受けた制御部82は、指示された動作を実行する。この指示された動作は、例えば表示器2に表示している再生画像を順次切り替える、フラッシュの有無やホワイトバランスなどの撮影モードを切り替える、時刻設定などの設定操作を行うなど、適宜の動作とすることができる。
【0089】
その後、利用者による回転操作体14の押下力が開放されると、2段ドームスイッチ24が弾性復帰し、押下突起50を介してホルダ19を上向きに押し上げる。これにより、回転操作体14は元の位置に戻る。
【0090】
また、回転操作体14を回転操作した場合、この回転操作体14に組み込まれたエンコーダ用可動接点板15が同方向に回転し、このエンコーダ用可動接点板15の摺接面40に、ホルダ19に固定されている非回転の上接触子16a,17a,18aが接触してロータリエンコーダとしての位相信号を検出する。また、この摺接面40は同一平面に形成してあるため、摺接面40に対する上接触子16a,17a,18aの安定した接触性を確保している。
【0091】
一方、共通固定接点59aと第1固定接点59bと第2固定接点59cを備えた基板25に対しては、下接触子16b,17b,18bが何れも非回転で常に接触した状態を維持する。これにより、上接触子16a,17a,18aから得られる信号とにより回転操作体14が回転操作された位置、回転方向、回転速度の信号が検出される。また、回転操作体14が回転操作されたときは、押子21に設けられたコイルスプリング54の両端に位置する球体55が押子挿通孔27の回転操作感触用の凹凸面35と対応し、回転操作体14に対して一定の付勢力を付与して回転抵抗を与えるため、回転操作体14を30度ずつ回す度にクリック感が得られ、回動操作したことが操作者の手に明瞭に伝達される。またこの際、前述した感触機構の回転操作感触部分と、接点部分とは隔離されているため、互いの消耗粉により接点部分が悪影響を受けるようなことはない。
【0092】
以上の構成および動作により、本動作開始前の第1信号の出力機能を確実に容易に達成することができる操作スイッチ10を提供することができ、利用者の満足度を向上させることができる。
【0093】
ホルダ19は、軟性素材により形成されているため、第1信号の検知のためのストロークとなる第1接点24cと第1接点61cとのクリアランスを非常に小さくして敏感に押下検知できるようにしても、押下したい第1接点24cと別の第1接点24cが連動して押下検知してしまうことを防止できる。従って、軽い押下を敏感に検知し、かつ押下されていない部位での誤検知を防止することを両立させることができる。
【0094】
また、5方向の入力装置となるドームスイッチ23,24のうち、センターを除く4方向の2段ドームスイッチ24を、状来の単純な丸型や小判(楕円)型ではなく、第1接点24cとコモン接点24bを有する特殊な形状にしたため、従来のようにフレキやメンブレンのスイッチ部を介在させる必要なく、安価で、信頼性の高い、第1信号の出力を実現することができる。
【0095】
また、1つの2段ドームスイッチ24により押下の強さの違う第1信号と第2信号を検知できるため、押下操作時の作用点を2段ドームスイッチ24の頂点と押下突起50との接触部のみの1箇所にでき、安定した動作を容易に得ることができる。
【0096】
また、2段ドームスイッチ24は、第1信号を出力するまでは、押下操作に抵抗する弾性力が2箇所のコモン接点24bに由来するもののみであるため、軽い押下力で容易にスイッチONすることができる。そして、第1信号の出力後に第2信号を出力するまでは、押下操作に抵抗する弾性力が、2つのコモン接点24bと2つの第1接点24cに由来する状態となって強くなる。このため、しっかり押下しないとスイッチONにならず、利用者は第1信号に要する押下力と第2信号に要する押下力の差を明瞭に認識し使い分けることができる。
【0097】
また、ローパスフィルタ81により衝撃によるスイッチONを排除する構成にしたため、意図しない誤動作を防止することができる。特に、第1信号が検知された際に準備動作を実行する構成であっても、衝撃であれば準備動作をしないということができるため、デジタルカメラ1の電源部86のバッテリーが消耗してしまうことを防止できる。
【0098】
また、操作スイッチ10は、中央方向の1段ドームスイッチ23と4方向の2段ドームスイッチ24とにより5方向スイッチとして機能し、またエンコーダ用可動接点板15と導電片16,17,18により回転スイッチとして機能するため、回転式JOG/多方向入力複合スイッチとして機能することができる。
【0099】
また、回転式JOG/多方向入力複合スイッチとして機能するために操作スイッチ10が平面視円形に構成されており、多方向入力の位置(2段ドームスイッチ24の位置)が操作スイッチ10の形状からはわからないようになっていて、どの回転位置でも多方向入力できる構成になっているが、利用者は入力したい方向を容易に正しく入力できる。すなわち、操作スイッチ10の形状から押下すべき位置が正確には解らず少しずれた位置を利用者が押下しても、敏感に反応する2段ドームスイッチ24は、利用者の意図した方向(位置)のものが最初に押下検知でき、これによって利用者の意図した方向を容易に正しく入力することができる。
【実施例2】
【0100】
次に、実施例1で説明したホルダ19の変形例について説明する。
図10は、実施例2のホルダ19Aを示す正面図である。
図示するように、ホルダ19Aには、90度毎に均等配置された押下突起50のそれぞれの間に、溝孔41aが設けられている。この溝孔41aは、押下突起50の側方位置から半径方向外側へ伸びて外周へ突き抜ける形状に形成されている。ホルダ19Aは、実施例1と異なり、合成樹脂性の材料で形成されている。その他の構成は、実施例1と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0101】
このように構成した場合も、実施例1と同一の効果を得ることができる。ホルダ19Aは実施例1よりも硬い材料で構成されているが、押下操作されて1つの押下突起50が沈み込む際の力は、溝孔41aにより分断され、隣の押下突起50が連動して沈み込むことを防止できる。
【実施例3】
【0102】
また実施例3として、実施例1のホルダ19を図11の正面図に示すホルダ19Bとしてもよい。
このホルダ19Bも、実施例2と同様、合成樹脂性の材料で形成され、90度毎に均等配置された押下突起50のそれぞれの間に、溝孔41bが設けられている。この溝孔41bは、押下突起50の側方位置から外周へ向かって半径方向へ伸びているが、外周までは突き抜けない形状に形成されている。
この場合も実施例2と同一の効果が得られる。
【実施例4】
【0103】
次に、実施例4で説明した操作ボタン10と回転検知の方法を異ならせた実施例4について説明する。
【0104】
図12は、実施例4の操作ボタン110を上方から見た分解斜視図を示し、図13は操作ボタン110を下方から見た分解斜視図を示し、図14は操作ボタン110の斜視図を示す。
【0105】
この実施例4の操作ボタン110は、非接触式で回転検知を行うものであり、カバー体191と、回転操作体114と、磁性回転体192と、ホルダ連結板120と、摺動リング194と、ホルダ119と、押子121と、シート122Aと、シート122Bと、1段ドームスイッチ123と、2段ドームスイッチ124と、基板125と、ベース126とがこの順で接続されて構成されている。
【0106】
磁性回転体192は、回転操作体114の裏面の円形溝114aに嵌合されて.一体化される。磁性回転体192の外周に設けられた凸部192aは、回転操作体114の凹部114bに嵌合し、これによって回転操作体114と磁性回転体192が一体となって回転動作する。
【0107】
ホルダ119には、摺動リング194が当接され、さらにホルダ連結板120が搭載される。このホルダ連結板120の係止孔120aには、ホルダ119の係止突起119aが挿通されて係止される。このホルダ119は、実施例1のホルダ19と同じく軟性材料により形成されている。
【0108】
ホルダ119には、回転操作体114が回転可能に搭載され、この回転操作体114を挟むようにしてカバー体191が装着される。カバー体191の下面に設けられた係止突起191aは、ホルダ119に設けられた係止溝119bに非回転に係止される。
【0109】
カバー体191の中央に設けられた孔191bには、押子121が挿通され、該押子121の先端が上方へ突出する。ここまでのカバー体191、回転操作体114、磁性回転体192、ホルダ連結板120、摺動リング194、ホルダ119、および押子121により、操作側ユニットU101が形成される。
【0110】
ベース126の上面には、基板125が搭載される。この基板125には、実施例1と異なり、ホール素子199が2つ設けられている。この基板125に1段ドームスイッチ123および2段ドームスイッチ124が搭載されて、シート122A,122Bで被覆される。ここまでのベース126、基板125、1段ドームスイッチ123、2段ドームスイッチ124、およびシート122A,122Bにより、検知側ユニットU102が形成される。
【0111】
この検知側ユニットU102には、ベース126に設けられた昇降ガイド片126aにホルダ119の保持片119cが取り付けられて、操作側ユニットU101が傾動可能に装着され、図14の斜視図に示すように操作スイッチ110が完成する。
【0112】
このように構成された操作スイッチ110の詳細な構成および動作は実施例1と同様であり、回転操作体114の回転検知の方法だけが異なっている。すなわち、回転操作体114が回転操作されると、磁性回転体192も同時に回転する。この磁性回転体192は、磁性がNS交互に入れ替わる構成となっているため、この磁性の入れ替わりを2つのホール素子199により検出する。これにより、回転方向や回転速度を検出できるようになっている。
【0113】
1段ドームスイッチ123および2段ドームスイッチ124を含めて、その他の構成は実施例1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
このように構成した場合でも、実施例1と同一の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0114】
次に、実施例4で説明したホルダ119の変形例について説明する。
図15は、実施例5のホルダ119Aを示す正面図である。
図示するように、ホルダ119Aには、90度毎に均等配置された押下突起150のそれぞれの間に、溝孔141aが設けられている。この溝孔141aは、押下突起150の側方位置から半径方向外側へ伸びて外周へ突き抜ける形状に形成されている。ホルダ119Aは、実施例4と異なり、合成樹脂性の材料で形成されている。その他の構成は、実施例4と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0115】
このように構成した場合も、実施例4と同一の効果を得ることができる。ホルダ119Aは実施例4よりも硬い材料で構成されているが、押下操作されて1つの押下突起150が沈み込む際の力は、溝孔141aにより分断され、隣の押下突起150が連動して沈み込むことを防止できる。
【実施例6】
【0116】
また実施例6として、実施例4のホルダ119を図16の正面図に示すホルダ119Bとしてもよい。
このホルダ119Bも、実施例5と同様、合成樹脂性の材料で形成され、90度毎に均等配置された押下突起150のそれぞれの間に、溝孔141bが設けられている。この溝孔141bは、押下突起50の側方位置から外周へ向かって半径方向へ伸びているが、外周までは突き抜けない形状に形成されている。
この場合も実施例5と同一の効果が得られる。
【実施例7】
【0117】
上述した各実施例は、ローパスフィルタ81により衝撃による信号を排除する構成にしたが、緩衝材Kによって衝撃による信号を排除する構成にしてもよい。
図17(A)は2段ドームスイッチ24と周辺固定接点61(61a,61b,61c)の周辺を示す一部断面拡大斜視図である。
【0118】
2段ドームスイッチ24の第1接点24cと第1接点61cとの間には、コ字型の緩衝材Kが挟まれた状態となって、図17(B)に示すように取り付けられる。
【0119】
図17(C)のC−C矢視断面図に示すように、緩衝材Kは、第1接点24cと第1接点61cの隙間に挟まっており、コ字型の2本の足部Kaが第1接点24cに接触している。
【0120】
緩衝材Kは、低反発発泡ウレタンや、通常やわらかく衝撃を受けると硬化する「d3o」と呼ばれる素材で構成するなど、連続的な負荷に対して柔軟に変形し瞬間的な負荷に対して変形しない素材により形成されている。
【0121】
その他の構成は、上述した各実施例と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0122】
このように構成した場合でも、上述した各実施例と同一の効果が得られ、衝撃による信号を検知対象から排除することができる。
すなわち、衝撃が付与されて第1接点24cが第1接点61cに高速に接触しようとしても、緩衝材Kが変形しないため、第1接点24cは第1接点61cに接触せず信号が出力されなくなる。
利用者が押下操作した場合には、ゆっくりとした押下力が連続的に付与されるため、緩衝材Kが変形し、両足部Kaの間位置で第1接点24cが第1接点61cに接触し、信号が出力される。
【実施例8】
【0123】
図18は、実施例8の操作スイッチ10Aを下方から見た分解斜視図を示す。
この操作スイッチ10Aは、ドームスイッチユニット58Aに、実施例1で説明したシート22の代わりに、接着カバーフィルム22Aとスペーサ22Bが設けられている。
この接着カバーフィルム22Aとスペーサ22B以外の構成は、実施例1と同一であるため、同一要素に同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0124】
図19は、接着カバーフィルム22A、スペーサ22B、1段ドームスイッチ23、および2段ドームスイッチ24の拡大分解斜視図である。
接着カバーフィルム22Aは、カバーフィルム層22A1と接着層22A2の2層構造に形成されている。
【0125】
カバーフィルム層22A1は、PETフィルムで形成されている。このカバーフィルム層22A1は、退避口64A,66Aといった接続用の孔が設けられており、それ以外の部分を全体的に被覆するシートである。
【0126】
接着層22A2は、両面テープ、あるいはカバーフィルム層22A1に印刷技術によって塗布された糊層により形成されている。この接着層22A2は、周辺シート部201に、退避口64A,66Aといった接続用の孔が設けられるとともに、変位性向上孔203が設けられて構成されている。この変位性向上孔203は、2段ドームスイッチ24の各第1接点24cの対向位置にそれぞれ設けられている。変位性向上孔203は、円弧と直線からなる略D型の形状であり、直線部分が内側に、円弧部分が外側になるように2つ並列配置されている。
【0127】
また、2つの変位性向上孔203の間には、接着層22A2の接点接着部202が設けられている。この接点接着部202は、長方形板が厚み方向へ湾曲した形状であり、略円形となる周辺スイッチS2の中心(2段ドームスイッチ24の頂点の対向位置)を通って該周辺スイッチS2の外周一端から他端までを橋渡しするような状態に形成されている。このため、周辺スイッチS2の接点接着部202の両横に変位性向上孔203が位置する構成となる。
【0128】
この構成により、接点接着部202が周辺シート部201に繋がる両端部は、2段ドームスイッチ24のコモン接点24bの対向位置となる。また、接点接着部202の両横に位置する各変位性向上孔203は、2段ドームスイッチ24の第1接点24cの対向位置となる。
【0129】
スペーサ22Bは、周辺シート部251に、退避口64B,66Bといった接続用の孔と、1段ドームスイッチ孔252と2段ドームスイッチ孔253とが設けられている。
【0130】
1段ドームスイッチ孔252は、1段ドームスイッチ23より若干大きい形状である。2段ドームスイッチ孔253は、2段ドームスイッチ24より若干大きい形状である。
【0131】
4つの2段ドームスイッチ孔253は、2つずつのペアとなってそれぞれのペアが連通孔261により連通されている。そして、1段ドームスイッチ孔252と連通孔261は、連通孔262により連通されている。
【0132】
この連通孔261、262により、スイッチを押下したときに空気の流れる道(エアパス)ができ、1段ドームスイッチ孔252と2段ドームスイッチ孔253の押下動作をスムーズに実行することができる。
【0133】
このように構成された操作スイッチ10Aのドームスイッチユニット58Aにおいて、接着層22A2は、図20(A)の平面図にハッチングで示すように、周辺スイッチS2の周囲全体にわたってスペーサ22Bに接着されるとともに、2段ドームスイッチ24のコモン接点24bから中央までに接着される。
2段ドームスイッチ24の第1接点24cの対向位置には変位性向上孔203が設けられているため、接着層22A2は、第1接点24cに接着されない。これにより、第1接点24cが自由に動作でき、2段ドームスイッチ24による2段階の押下操作の検出を精度よく行うことができる。
【0134】
図20(B)のD−D矢視E−E部分拡大端面図に示すように、2段ドームスイッチ24は、第1接点24cが変位性向上孔203により接着されずに自由に動作できるため、微小な変位を正確に実行して押下検知することができ、また押下解除されても容易に復帰することができる。
【0135】
周辺スイッチS2における2段ドームスイッチ24の周囲は、カバーフィルム層22A1によって被覆され、さらに接着層22A2の周辺シート部201によって接着されているため、防塵機能を発揮することができる。すなわち、2段ドームスイッチ24は、周囲にスペーサ22Bが存在し、上下がカバーフィルム層22A1と基板25で挟まれている状態である。そして、基板25の上面とスペーサ22Bの下面が完全に接着されていることで、下面から防塵が浸入することがない。また、スペーサ22Bの上面とカバーフィルム層22A1の下面が完全に接着されていることで、上面から防塵が浸入することもない。
【0136】
さらに、スペーサ22Bおよび連通孔261,262の存在により、1つの2段ドームスイッチ24が押下されたとき、連通孔261,262から空気が移動して他の2段ドームスイッチ24の周囲にまで入れるため、気圧により押下操作が妨げられるといったことを防止できる。
【0137】
このように、接着カバーフィルム22Aでドームスイッチ23,24を被覆してその接着層22A2により隙間無く周囲を接着して防塵機能を高め、かつ、接着層22A2にのみ変位性向上孔203を設けることで2段ドームスイッチ24の微小なON/OFF検知の安定動作を実現することができる。
【実施例9】
【0138】
図21は、実施例9の操作スイッチ10Aの接着構造の説明図を示す。図21(A)は、ドームスイッチユニット58Aの平面図を示し、図21(B)は、F−F矢視G−G部分拡大端面図を示す。
この実施例9は、接着層22A2以外は実施例8と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0139】
接着層22A2は、実施例9での接点接着部202が、略円形の接点接着部207に変わっている。そして、その接点接着部207の周囲に、変位性向上孔203の代わりとなる変位性向上孔208が設けられている。その他の構成は実施例9と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0140】
この場合も、実施例9と同一の効果を奏することができる。すなわち、2段ドームスイッチ24の第1接点24cの周辺には変位性向上孔208が存在しているため、接着により第1接点24cの動作が妨げられることがなく、良好な押下検知を行うことができる。また、周囲が隙間無く完全に接着されているため、高い防塵性能を得ることができ、防塵による性能低下を防止することができる。
【実施例10】
【0141】
図22は、上述した各実施例における基板25,125の回路構成を工夫した実施例10の説明図である。この実施例10における基板以外の構成要素は、上述した各実施例と同一のものを採用できるため、その詳細な説明を省略する。
【0142】
図22(A)は、基板325の平面図を示す。この基板325は、プリント配線基板であり、中央部に中央固定接点360(360a,360b)を有し、その周辺の4方に周辺固定接点361(361a,361c)を有している。さらに、周辺固定接点361と重ならない周方向には、共通固定接点359aと第1固定接点359bと第2固定接点359cとが3等分して備えられている。
【0143】
このように構成された基板325は、1個の中央固定接点360に対応させて1段ドームスイッチ23(実施例1の図3参照)を搭載し、4個の周辺固定接点361に対応させて2段ドームスイッチ24(実施例1の図3参照)を搭載し、これらの上面をシート22(実施例1の図3参照)で覆って基板325の定位置にドームスイッチ23,24(実施例1の図3参照)が動かないように貼り付けている。これにより、押子21(実施例1の図3参照)が押下される押下位置に対応して設置される中央スイッチS1(実施例1の図3参照)と、回転操作体14(実施例1の図3参照)が押下される各押下位置に対応して設置される4個の周辺スイッチS2(実施例1の図3参照)が構成される。
【0144】
図22(B)は、周辺固定接点361の形状と回路構成を示す説明図である。
周辺固定接点361は、中央に第2接点361aが設けられており、その外側に2つの第1接点361cが第2接点361aを中心にして対称(図示左右対称)に配置されている。また、第2接点361aを中心にして第1接点361cと90度異なる位置に、2つの支持受け部361bが設けられている。この2つの支持受け部361bは、第2接点361aを中心にして対称(図示上下対称)に配置されている。従って、第2接点361aを中心にして、支持受け部361bおよび第1接点361cが4方に配置されている。
【0145】
2つの支持受け部361bには、2段ドームスイッチ24のコモン接点24bが載置される。この支持受け部361bは、図示するようにどの回路にも接続されておらず、通電しない構成となっている。このため、2段ドームスイッチ24のコモン接点24bは、2段ドームスイッチ24の位置および高さを定める(あるいは姿勢を定める)支持部として機能する。
【0146】
2つの第1接点361cには、2段ドームスイッチ24の第1接点24cが近接配置される。この2つの第1接点361cと2つの第1接点24cとのそれぞれの間は、2段ドームスイッチ24のコモン接点24bが支持受け部361bに正しい姿勢で載置されていると、ほぼ均等に離間する状態となる。これは、2段ドームスイッチ24が、2つの第1接点24cよりも2つのコモン接点24bが下方へ突出するように構成されており、1つの平面上に2段ドームスイッチ24が置かれると、2つのコモン接点24bが接地して2つの第1接点24cが離間する構成となっていることによるものである。
【0147】
第2接点361aは、第2接点24aに対して十分に離間して対向している。この第2接点361aと第2接点24aとの離間距離は、第1接点361cと第1接点24cとの離間距離よりも広く構成されている。
【0148】
そして、基板325(図22(A)参照)には、第1接点回路K1と第2接点回路K2とが設けられている。第1接点回路K1は、2つの第1接点361cに繋がる回路である。この第1接点回路K1は、2つの第1接点361cのそれぞれに、2段ドームスイッチ24の2つの第1接点24cが接触している状態になると、金属製の2段ドームスイッチ24に通電してスイッチONの状態となり、第1検知の検知ができる。従って、1つの第1接点361cに2段ドームスイッチ24の2つの第1接点24cが接触しても、他方が離間している以上は通電せず、スイッチOFFのままとなる。
【0149】
第2接点回路K2は、2段ドームスイッチ24の第1接点24cと第2接点24aに繋がる回路である。この第2接点回路K2は、2段ドームスイッチ24の中心が強く押下されて第2接点24aが第2接点361aに接触すると、すでに第1接点361cに2段ドームスイッチ24の2つの第1接点24cが接触していることから、金属製の2段ドームスイッチ24の第1接点24cと第2接点24aとの間で通電する。この通電によってスイッチONの状態となり、第2検知の検知ができる。
【0150】
以上の構成および動作により、製造時のバラツキによる不具合を防止でき、歩留まりを向上させることができる。すなわち、第1接点回路K1は、2段ドームスイッチ24の2つの第1接点24cが両方ともそれぞれの第1接点361cに接触しているときに初めてスイッチONとなって第1検知を行うため、製造時のばらつきで1つの第1接点24cが第1接点361cに常時接触している状態となっても、問題なくスイッチON/OFFを検知することができる。特に、実施例1のシート22に両面テープ等で2段ドームスイッチ24を接着して配置を定める場合、接着のズレ等によって2段ドームスイッチ24が傾くことがあるが、このような場合でも問題なく動作できる。従って、良好に動作するドームスイッチユニットを容易に作製することができる。また、歩留まりが良いために低価格で大量に提供することができる。
【0151】
また、2段ドームスイッチ24は、第1接点24cよりも支持部としてのコモン接点24bが下方へ突出しているため、製造時のばらつきによって2つの第1接点24cが両方とも第1接点361cに接触したままの状態になってしまうことを防止できる。すなわち、コモン接点24bが支持部として2段ドームスイッチ24の高さを保持し、第1接点24cを第1接点361cから離間させるために、精度よい第1検知を確実に実行できるドームスイッチユニットを容易に提供することができる。
【0152】
また、第2接点回路K2は、2段ドームスイッチ24の第2接点24aが第2接点361aに接触し、かつ第1接点24cが第1接点361cに接触している場合にスイッチONとなって第2検知する構成であるため、第2検知を確実に実行することができる。特に、両方の第1接点361cに第2接点回路K2が繋がっているため、第1接点24cがどちらか1つでも第1接点361cに接触していれば第2検知を実行できる。
【0153】
このようにして、少ない部品点数で押圧強度の異なる2段階の検知を精度よく確実に実行できるスイッチユニットを提供することができる。
また、2段ドームスイッチ24の加工精度とシート22(実施例1の図3参照)の貼り付け精度に対する要求をゆるやかにでき、製造を容易化することができる。
【実施例11】
【0154】
図23は、形状の異なる2段ドームスイッチ424を用いた実施例11の説明図である。
図23(A)は、2段ドームスイッチ424の平面図を示し、図23(B)は、図23(A)のB−B部分拡大A−A断面図を示す。
【0155】
2段ドームスイッチ424は、リング状の支持部424bと、円形で中央が凸となるように湾曲している本体部425とが2つのアーム部426で接続されて構成されている。
【0156】
リング状の支持部424bは、図23(B)に示すように、底面全体が平面上に接触する。
【0157】
アーム部426は、支持部424bから上方へ立ち上がって内側へ屈曲する逆L字の断面を有し、本体部425近傍位置に下方へ凸となる第1接点424cが設けられている。
【0158】
本体部425は、逆皿型に形成されており、下面中央に下方へ凸となる第2接点424aが設けられている。
【0159】
図23(C)は、周辺固定接点461の形状と回路構成を示す説明図である。この実施例11の周辺固定接点461は、実施例10の周辺固定接点361から支持受け部361bが除かれた形状である。すなわち、第2接点461aは、実施例10の第2接点361aと同一であり、第1接点461cは、実施例10の第1接点361cと同一である。
【0160】
周辺固定接点461の第2接点361aおよび第1接点461c以外の表面は絶縁部材で覆われており、その上に2段ドームスイッチ424が載置されている。2段ドームスイッチ424の第1接点424cは、第1接点461cに対向して近接配置されており、第2接点424aは、第2接点461aに対向して配置されている。
【0161】
第1接点回路K1は、実施例10と同様に、2つの第1接点361cに繋がる回路である。また、第2接点回路K2は、実施例10と同様に、2段ドームスイッチ424の第1接点424cと第2接点424aに繋がる回路である。
【0162】
周辺固定接点461の中央が押下されると、まず2つの第1接点424cが第1接点461cに接触し、第1接点回路K1がスイッチONとなる。さらに周辺固定接点461の中央が押下されると、第2接点424aが第2接点461aに接触し、既に第1接点424cが第1接点461cに接触していることによって第2接点回路K2がスイッチONとなる。
【0163】
以上の構成により、製造時のバラツキによる不良品の発生を抑制することができ、押圧力の異なる2段階の検知を精度よく実行でき、実施例10と同一の効果を得ることができる。
【0164】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の携帯端末は、実施形態のデジタルカメラ1に対応し、
以下同様に、
出力手段は、表示器2に対応し、
操作体は、回転操作体14,114に対応し、
回転スイッチは、エンコーダ用可動接点板15、共通導電片16、第1導電片17、および第2導電片18により構成される接触式の回転検出部、または磁性回転体192とホール素子199で構成される非接触式の回転検出部に対応し、
ドームスイッチは、2段ドームスイッチ24,124に対応し、
ドーム形状部は、2段ドームスイッチ24,124の湾曲部分に対応し、
側方接触部および第1検知部は、第1接点24cに対応し、
頂点裏側接触部および第2検知部は、第2接点24aに対応し、
連動防止手段は、押下突起50,150の間部分、または溝孔41a,41b,141a,141bに対応し、
ドームスイッチの対応部位は、押下突起50,150に対応し、
変形許容部は、押下突起50,150の間部分に対応し、
電気回路は、ローパスフィルタ81に対応し、
瞬間押下検知排除手段は、ローパスフィルタ81または緩衝材Kに対応し、
制御手段は、制御部82に対応し、
被覆シートは、カバーフィルム層22A1に対応し、
接着部は、接着層22A2に対応し、
スペーサシートは、スペーサ22Bに対応し、
ドームスイッチの頂点部と対向する部分は、接点接着部202の中心部または接点接着部207に対応し、
第1検知部との対向部分は、変位性向上孔203,208に対応し、
孔の周囲部は、周辺シート部251に対応し、
ドームスイッチが収納される孔は、2段ドームスイッチ孔253
に対応し、
接点は、第2接点361a、第1接点361c、第2接点424a、および第1接点424cに対応し、
支持部は、支持部424bおよびコモン接点24bに対応し、
回路は、第1接点回路K1および第2接点回路K2に対応し、
介在体は、緩衝材Kに対応し、
押下部位は、矢印Y1a〜Y1dの対応部位に対応し、
変形許容素材は、POM樹脂、ABS樹脂、またはこれらの混合樹脂に対応し、
連続的な負荷に対して柔軟に変形し瞬間的な負荷に対して変形しない素材は、低反発発泡ウレタン、または、通常やわらかく衝撃を受けると硬化する「d3o」と呼ばれる素材に対応し、
所定時間は、1μsに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
この発明は、携帯電話機やPDAやデジタルカメラなど、適宜の装置の操作入力手段として用いることができる。
【符号の説明】
【0166】
1…デジタルカメラ、2…表示器、10,110…操作スイッチ、14,114…回転操作体、15…エンコーダ用可動接点板、16…共通導電片、17…第1導電片、18…第2導電片、19,19A,19B,119,119SA,119B…ホルダ、24,124…2段ドームスイッチ、24a…第2接点、24b…コモン接点、24c…第1接点、41a,41b,141a,141b…溝孔、50,150…押下突起、81…ローパスフィルタ、192…磁性回転体、199…ホール素子、K…緩衝材、22A1…カバーフィルム層、22A2…接着層、22B…スペーサ、202,207…接点接着部、203,208…変位性向上孔、251…周辺シート部、253…2段ドームスイッチ孔、361a…第2接点、361c…第1接点、424a…第2接点、424b…支持部、424c…第1接点、K1…第1接点回路、K2…第2接点回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の中心以外の部位が押下操作されると該押下部位が沈み込んで全体が傾斜すると共に回転可能に支持される操作体と、
該操作体の裏面側で前記中心以外の部位に対応配置されて前記押下を検知する複数のドームスイッチと、
前記操作体の回転を検知する回転スイッチとを有し、
前記ドームスイッチは、
前記操作体の押下操作による前記押下部位の沈み込みを検知する第1検知部と、該沈み込みよりさらに深い沈み込みを検知する第2検知部とを備えた
操作スイッチ。
【請求項2】
前記ドームスイッチを被覆する被覆シートと、
該被覆シートに前記ドームスイッチを接着する接着部とを備え、
前記接着部は、前記被覆シートにおける前記ドームスイッチの前記第1検知部との対向部分を避けて設けられた
請求項1記載の操作スイッチ。
【請求項3】
前記ドームスイッチが収納される孔が設けられたスペーサシートを備え、
該前記接着部は、前記スペーサシートの前記孔の周囲部と、前記ドームスイッチの頂点部と対向する部分に設けられた
請求項2記載の操作スイッチ。
【請求項4】
前記第1検知部と前記第2検知部にそれぞれ接触および離間する複数の接点を有して前記第1検知部の検知と前記第2検知部の検知とを伝達する回路を備え、
前記ドームスイッチは、
前記第1検知部が複数備えられるとともに、該第1検知部の少なくとも1つを対応する前記接点から離間させて支持する支持部が備えられ、
前記回路は、
前記第1検知部の複数が前記各接点に接触したときに第1検知部の検知を伝達する構成である
請求項1、2または3記載の操作スイッチ。
【請求項5】
前記回路は、
該第1検知部が前記接点に接触し、かつ前記第2検知部が前記接点に接触したときに第2検知部の検知を伝達する構成である
請求項4記載の操作スイッチ。
【請求項6】
前記操作体の裏面側で前記ドームスイッチとの間に、前記操作体を保持するホルダを備え、
該ホルダは、前記操作体の中心以外の部位が押下操作された際に該部位に対応配置された前記ドームスイッチを押下するように沈み込み、かつ、他のドームスイッチとの対応部位の前記ホルダが連動して沈み込んで検知されることを防止する連動防止手段を備えた
請求項1から5のいずれか1つに記載の操作スイッチ。
【請求項7】
前記ホルダは、前記操作体の押下操作の力で弾性変形する変形許容素材により形成され、
前記連動防止手段は、該変形許容素材により形成された前記ホルダのうち前記各ドームスイッチとの対応部位の間に存在する変形許容部により構成された
請求項6記載の操作スイッチ。
【請求項8】
前記ホルダは、前記ドームスイッチ間に押下操作の伝達を防止する溝孔が設けられ、
前記連動防止手段は、該溝孔により構成された
請求項6記載の操作スイッチ。
【請求項9】
前記ドームスイッチは、
ドーム形状に形成されたドーム形状部を有し、
前記第1検知部は、
前記ドーム形状部の側方に設けられて通常は回路から離間しており前記ドーム形状部が凸側から凹側へ軽く押下されると前記回路に接触して通電する側方接触部により形成され、
前記第2検知部は、
前記側方接触部が接触した状態で前記ドーム形状部の凸側から凹側へさらに強く押下されると前記ドーム形状部が凹凸逆の状態となって前記ドーム形状部の頂点裏側が回路に接触して通電する頂点裏側接触部により形成された
請求項1から8のいずれか1つに記載の操作スイッチ。
【請求項10】
前記押下操作が衝撃によって瞬間押下された際に押下検知しないように排除する瞬間押下検知排除手段を備えた
請求項1から9のいずれか1つに記載の操作スイッチ。
【請求項11】
前記瞬間押下検知排除手段は、前記第1検知部に設けられた接触部と回路との間に配置された介在体で構成され、
該介在体は、連続的な負荷に対して柔軟に変形し瞬間的な負荷に対して変形しない素材により構成された
請求項10記載の操作スイッチ。
【請求項12】
前記瞬間押下検知排除手段は、予め定めた所定時間以下の通電検知を排除する電気回路により構成した
請求項10記載の操作スイッチ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つの操作スイッチと、
該操作スイッチにより操作入力された入力信号に従って制御動作を実行する制御手段と、
該制御手段の制御信号に従って情報出力を行う出力手段とを備えた
携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−146358(P2011−146358A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55474(P2010−55474)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【特許番号】特許第4539787号(P4539787)
【特許公報発行日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】