説明

操作ボタンの取付構造及び該操作ボタンの取付構造を備えた電子機器

【課題】組み立てにかかる工数が増加することを防止できる操作ボタンの取付構造及び該操作ボタンの取付構造を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器としてのAV機器1はケース2と操作ボタンの取付構造14を備えている。取付構造14は操作ボタン11と印刷配線板19と接点ゴム21と第1押さえ部31と第2押さえ部32を備えている。操作ボタン11はケース2に変位自在に設けられている。印刷配線板19はケース2内に収容されている。接点ゴム21は印刷配線板19の一対の接点20a,20bを電気的に接続可能なボス部26を備えている。第1押さえ部31はケース2のフロントパネル18aから印刷配線板19に向かって立設している。第2押さえ部32は接点ゴム21の平板部25からフロントパネル18aに向かって凸状に形成されて第1押さえ部31との間に操作ボタン11のヒンジ部34を挟む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、AV機器などの各種の電子機器の操作ボタンの取付構造及び該操作ボタンの取付構造を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、CD(Compact Disk)などの光ディスクに記録された情報を読み出して、再生する電子機器としてのAV機器は、ケースと、該ケース内に収容されかつ前記CDなどの光ディスクをクランプして該光ディスクから情報を読み出す再生部と、前記ケースの表面に設けられかつ各種の操作を行う際に用いられる操作部とを備えている。
【0003】
ケースは、箱状に形成されている。前述した操作部は、前記ケースの外側に露出するとともに前記ケースに対して変位自在に設けられて使用者などに押圧される操作ボタンと、該操作ボタンが押圧されたか否かを検出する接点構造と、を備えている。
【0004】
前記操作ボタンは、ケースに対して変位自在に設けられて使用者などから押圧操作される本体部と、該本体部をケースに対して変位自在とするヒンジ部とを備えている。ヒンジ部が、柱状に形成され、かつ本体部の外表面から凸に形成されている。操作ボタンは、例えば、ヒンジ部がケースと後述する印刷配線板上のハウジング部材との間に挟まれて、ケースに変位自在に取り付けられる。ハウジング部材は、ケースと同様に絶縁性で硬質な合成樹脂で構成されている。
【0005】
接点構造は、前述したケース内に収容された印刷配線板上に形成されかつ互いに間隔をあけて配された一対の接点と、弾性体により前記接点に接離自在に設けられたボス部とを備えている。ボス部の平面形状は、円形等である。ボス部は、ゴムなどの弾性変形自在な合成樹脂に導体で構成される粉などが混入されて得られる。即ち、ボス部は、導電性のゴムとなっている。
【0006】
前述した接点構造は、操作ボタンの本体部が押圧されると、該本体部によりボス部が弾性体の弾性復元力に抗して前記一対の接点に向かって押圧される。すると、接点構造は、ボス部が一対の接点の双方に接触して、該一対の接点が互いに電気的に接続する。このように、接点構造は、ボス部が一対の接点同士を電気的に接続するか否かで、前述した操作ボタンの本体部が押圧されたか否かを検出できるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した構成の従来の操作ボタンの取付構造では、例えば、それぞれが硬質な合成樹脂で構成されたケースとハウジング部材との間にヒンジ部を挟みこんで、操作ボタンを取り付けるので、成形時などのケースやハウジング部材の歩留まりによって、ケースとハウジング部材との双方にヒンジ部が密に接触して、操作ボタンが操作しにくくなったり、ケースとハウジング部材との双方とヒンジ部との間の隙間が大きくなって、操作ボタンがケースに対してがたついたりすることがあった。このため、従来の操作ボタンの取付構造では、ケースとハウジング部材との双方と操作ボタンのヒンジ部との間の隙間を調整する工程が必要となって、組み立てにかかる工数が増加する傾向であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、例えば、組み立てにかかる工数が増加することを防止できる操作ボタンの取付構造及び該操作ボタンの取付構造を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の操作ボタンの取付構造は、ケースに変位自在に支持されたボタン本体と、このボタン本体に連なりかつ前記ボタン本体が前記ケースに対して変位することを許容するヒンジ部とを有した操作ボタンと、前記ケース内の印刷配線板に重ねられ、かつ弾性材料で構成されているとともに、弾性変形することで前記印刷配線板上に形成された一対の接点同士を電気的に接続するボス部が設けられた接点ゴムと、を備えた操作ボタンの取付構造において、前記ケースに設けられた第1押さえ部と、前記接点ゴムに設けられかつ前記第1押さえ部との間に前記ヒンジ部を挟む第2押さえ部と、を備えたことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を説明する。本発明の一実施形態にかかる操作ボタンの取付構造は、例えば硬質な合成樹脂で構成されたケースに設けられた第1押さえ部と、ゴムで構成された接点ゴムに設けられた第2押さえ部との間に操作ボタンのヒンジ部を挟むようにすることで、成形時などに寸法に狂いが生じても、接点ゴムに設けられた第2押さえ部の弾性変形量がそれに応じて変化して、ガタを生じることなく、かつ第2押さえ部が弾性変形して第1押さえ部とヒンジ部とが過度に密に接触させることなく、操作ボタンを取り付けることができるようにしている。こうすることで、操作ボタンの取付構造は、ケースと接点ゴムとの双方と操作ボタンのヒンジ部との間の隙間を調整する工程が必要なくなり、組み立てにかかる工数の増加を防止することができる。
【0011】
第1押さえ部が、ケースの本体部から立設した柱状に形成されても良い。この場合、第1押さえ部が、第2押さえ部との間に操作ボタンのヒンジ部を確実に挟むことができる。
【0012】
第2押さえ部が、接点ゴムの平板部から立設した凸状に形成されても良い。この場合、第2押さえ部が、第1押さえ部との間に操作ボタンのヒンジ部を確実に挟むことができる。
【0013】
複数のボタン本体を備え、ヒンジ部が互いに隣り合うボタン本体同士を連結しても良い。この場合、組み立て時に、複数のボタン本体を一つの部品として取り扱うことができるので、組み立てにかかる手間即ち工数を削減することができる。
【0014】
接点ゴムを印刷配線板との間に挟んで覆うハウジング部材を備えても良い。この場合、接点ゴムのボス部や第2押さえ部を除く大部分が変形することを防止できるので、当該接点ゴムの変形可能な部分をボス部や第2押さえ部などに限定することができる。したがって、操作ボタンを操作したときに、確実に一対の接点同士を電気的に接続できるとともに、第1押さえ部と第2押さえ部との間にヒンジ部を挟み込んで、操作ボタンを確実に取り付けることができる。
【0015】
本発明では、前述した操作ボタンの取付構造を備えた電子機器としても良い。この場合、電子機器は、前述した操作ボタンの取付構造を備えているので、ケースと接点ゴムとの双方と操作ボタンのヒンジ部との間の隙間を調整する工程が必要なくなり、組み立てにかかる工数の増加を防止することができる。
【実施例】
【0016】
本発明の一実施例を、図1ないし図6に基づいて説明する。本発明の一実施例に係る電子機器としてのAV(Audio-Visual)機器1は、移動体としての自動車のインストルメントパネル(以下、インパネと呼ぶ)などに装着される。以下、後述するCDやMDの表面と平行でかつこれらのCDやMDの出し入れする方向と平行な矢印Yを奥行き方向と呼び、CDやMDの表面と平行でかつ前記奥行き方向Yに対し直交する矢印Xを幅方向と呼び、前記奥行き方向Yと幅方向Xとの双方に対し直交する矢印Zを厚み方向と呼ぶ。
【0017】
AV機器1は、図1に示すように、ケース2と、再生装置としてのCD(Compact Disk)プレーヤ3と、再生装置としてのMD(Mini disc)プレーヤ4と、ラジオ放送を受信するAM/FMチューナ5と、表示部6と、操作部7とを備えている。
【0018】
ケース2は、合成樹脂で構成された本体部としてのフロントパネル18aと、板金で構成されたケース本体18bとを備えて、箱状に形成されている。ケース2は、ケース本体18bの図1中手前側にフロントパネル18aが取り付けられた状態で、前述したインパネに取り付けられる。ケース2は、ケース本体18bが前述したインパネに取り付けられて、フロントパネル18aが外部に露出しかつ乗員(使用者ともいう)に相対する。ケース2の図1中手前側に位置するフロントパネル18aには、CD用挿入口8と、MD用挿入口9と、操作部用孔13(図2に示す)とが開口している。
【0019】
CD用挿入口8は、内側にCDを通して、該CDをケース2即ちCDプレーヤ3に出し入れする。MD用挿入口9は、内側にMDを通して、該MDをケース2即ちMDプレーヤ4に出し入れする。操作部用孔13は、前記フロントパネル18aを貫通している。操作部用孔13即ちフロントパネル18aは、操作部7の後述する操作ボタン11を収容するとともに、前記前面2aに対して直交する奥行き方向Yに沿って、当該操作ボタン11を移動自在に支持する。
【0020】
CDプレーヤ3は、ケース2に挿入されたCDの情報を読み出して、音声として出力する。MDプレーヤ4は、ケース2に挿入されたMDの情報を読み出して、音声として出力する。AM/FMチューナ5は、ラジオ放送を受信して、音声として出力する。これらのプレーヤ3,4及びチューナ5は、操作部7に設けられた後述する操作ボタン11等を使用者が押圧することによって動作する。
【0021】
表示部6は、前述したフロントパネル18aに取り付けられた蛍光表示管などからなる情報を表示する表示パネル10を備えている。表示部6は、表示パネル10に再生中のCDやMDのプログラムやチューナ5が受信中の放送局名などの情報を表示する。
【0022】
操作部7は、一つの複合スイッチ12と、操作ボタンの取付構造(以下、単に取付構造と記し、図2乃至図4に示す)14などを備えている。複合スイッチ12は、前記フロントパネル18aの外表面に対し直交する方向に沿って移動自在に設けられ、かつフロントパネル18aの外表面に対し直交する軸芯回りに回転自在に支持された操作ノブ15などを備えている。操作ノブ15は、フロントパネル18aから突出する方向に付勢されているとともに、前記フロントパネル18aなどに係止して該フロントパネル18aから脱落することが規制されている。
【0023】
複合スイッチ12は、操作ノブ15が押圧されることで、AV機器1全体の電源をオン・オフし、操作ノブ15が軸芯回りに回転されることで、再生中又は受信中のプログラムの音量を調整するために用いられる。
【0024】
取付構造14は、図2乃至図4に示すように、操作ボタン11と、印刷配線板19と、接点ゴム21と、ハウジング部材30と、第1押さえ部31と、第2押さえ部32とを備えている。
【0025】
操作ボタン11は、図1に示すように、前記フロントパネル18aに幅方向Xに沿って直線上に並べられて配置されている。操作ボタン11は、図2及び図3に示すように、複数のボタン本体33と、複数のヒンジ部34とを一体に備えている。ボタン本体33は、円板状の正面板16と、この正面板16の外縁から立設した筒部17とを備えて、有底筒状に形成されている。ボタン本体33即ち操作ボタン11は、正面板16が前面2aと平行でかつ該前面2aより外側に露出する状態で、操作部用孔13内に収容されている。操作ボタン11のボタン本体33は、正面板16が前面2aから突没自在に、前記操作部用孔13即ちケース2にスライド自在に支持されている。
【0026】
ヒンジ部34は、棒状の連結部35と、ジグザグ形状のジグザグ部36とを備えている。連結部35は、ボタン本体33の筒部17の正面板16から離れてケース2の内側寄りの縁部から、ボタン本体33の外周方向に直線状に延在している。ジグザグ部36は、一端が互いに隣り合うボタン本体33のうち一つのボタン本体33の連結部35の端に連なり、他端が他のボタン本体33の連結部35の端に連なっている。こうして、ジグザグ部36即ちヒンジ部34は、互いに隣り合うボタン本体33同士を連結している。
【0027】
また、前述したヒンジ部34は、連結部35と、ジグザグ部36とに亘って、ボタン本体33よりも厚みが薄くかつ幅も狭く形成されて、弾性変形自在となっている。ヒンジ部34は、弾性変形することで、ボタン本体33がケース2に対して奥行き方向Yに沿って移動即ち変位することを許容する。
【0028】
印刷配線板19は、ケース2内に収容されている。印刷配線板19は、前面2aの近傍に配されている。印刷配線板19は、絶縁性の基板24と、該基板24の表面に形成された配線パターンとを備えている。基板24は、その両表面が前記前面2aと平行に配されている。基板24には、図示しない各種の電子部品などが実装されている。配線パターンは、銅などの導電性の金属で構成されている。配線パターンは、箔状に形成されて、基板の表面に貼り付けられている。配線パターンは、前述した電子部品同士を予め定められたパターンにしたがって電気的に接続している。
【0029】
また、配線パターンは、一対の接点20a,20bを含んでいる。一対の接点20a,20bは、複数(対)設けられている。一対の接点20a,20bは、それぞれ、操作ボタン11のボタン本体33に対応して設けられている。ボタン本体33一つに対して、一対の接点20a,20bが対応している。一対の接点20a,20bは、対応する操作ボタン11のボタン本体33と、奥行き方向Yに沿って、並べられている。
【0030】
一対の接点20a,20bは、それぞれ、前述した配線パターンの一部であり、勿論、印刷配線板19の基板24のフロントパネル18a側の表面に設けられている。一対の接点20a,20bは、互いに間隔をあけている。即ち、接点20a,20b同士は、電気的に絶縁されている。
【0031】
一対の接点20a,20bは、ボス部26の後述する収容孔27内に位置付けられている。一対の接点20a,20bは、対応する操作ボタン11のボタン本体33が押圧されたか否かを検出する検出回路に接続している。一対の接点20a,20bは、互いに電気的に接続されると、前記検出回路に向かって対応するボタン本体33が押圧されたことを示す情報を出力する。
【0032】
接点ゴム21は、絶縁性と弾性との双方を有する合成樹脂(弾性材料としてのゴムなど)で構成されている。接点ゴム21は、印刷配線板19の基板24のフロントパネル18a側の表面に重ねられている。接点ゴム21は、平板部25と、ボス部26とを備えている。平板部25は、平板状に形成され、印刷配線板19の基板24の表面に重ねられて、該印刷配線板19と密に接触する。勿論、平板部25は、印刷配線板19の前述した配線パターンに重ねられている。
【0033】
ボス部26は、平板部25が印刷配線板19に重ねられた際に、一対の接点20a,20bと重なって、当該接点20a,20bと対応する位置に設けられている。則ち、ボス部26は、接点20a,20bと同数(則ち複数)設けられている。ボス部26は、図5に示すように、接点20a,20bを囲むとともに前記平板部25を貫通した収容孔27と、該収容孔27の内縁から立設した立設部28と、立設部28の端に連なる接離部29と、導電部23とを備えている。
【0034】
収容孔27の平面形状は、丸形である。収容孔27は、一対の接点20a,20bを収容する。立設部28は、収容孔27の縁からフロントパネル18a即ち操作ボタン11のボタン本体33に向かって延在している。立設部28は、収容孔27の全周に設けられている。立設部28は、操作ボタン11のボタン本体33に向かうにしたがって収容孔27の内径が小さくなる方向に、傾斜している。即ち、立設部28は、外形が裁頭円錐状に形成されている。
【0035】
接離部29は、円板状に形成されており、立設部28の操作ボタン11のボタン本体33寄りの端に連なっている。接離部29は、奥行き方向Yに沿って、対応する操作ボタン11のボタン本体33と並ぶ位置に配置されて、当該ボタン本体33のフロントパネル18aから離れた側の端が表面上に重ねられる。
【0036】
前述した接離部29は、ボス部26則ち接点ゴム21が弾性変形していない中立状態では、一対の接点20a,20bと間隔をあけている。接離部29は、ボス部26則ち接点ゴム21が弾性変形していない中立状態では、操作ボタン11のボタン本体33の正面板16をフロントパネル18aの外表面よりも突出させる。接離部29は、ボス部26則ち接点ゴム21の弾性復元力に抗して、一対の接点20a,20bに向かって押圧されると、導電部23を一対の接点20a,20bの双方と接触させる。このように、接離部29は、弾性変形していない中立状態で、導電部23を印刷配線板19の基板24と一対の接点20a,20bとの双方から間隔をあけさせるとともに、立設部28が主に弾性変形することで、導電部23を一対の接点20a,20bの双方に接触可能にしている。
【0037】
導電部23は、ゴムなどの弾性を有する合成樹脂にカーボンなどの導体で構成される粉が混入されて構成されている。即ち、導電部23は、導電性と弾性との双方を有する。導電部23は、円板状に形成されており、接離部29の接点20a,20bと相対する表面に印刷されて形成されている。このため、導電部23は、一対の接点20a,20bの表面と平行に配置される。
【0038】
導電部23は、主に立設部28などが弾性変形していない中立状態では、一対の接点20a,20bの双方と間隔をあける。導電部23は、主に立設部28などの弾性復元力に抗して、操作ボタン11のボタン本体33から一対の接点20a,20bに向かって押圧されると、これらの一対の接点20a,20bの双方に接触して、該一対の接点20a,20b同士を電気的に接続する。また、ボス部26は、収容孔27と立設部28と接離部29と導電部23が互いに同軸に配されている。
【0039】
ハウジング部材30は、ケース2のフロントパネル18aと同様に、合成樹脂で構成されている。ハウジング部材30は、図2に示すように、平板状の本体部37と、複数のボス部通し孔38と、複数の押さえ部通し孔39とを備えている。本体部37即ちハウジング部材30は、接点ゴム21とケース2との間に設けられ、接点ゴム21上に重ねられて、当該接点ゴム21の平板部25を覆っている。
【0040】
ボス部通し孔38は、接点ゴム21のボス部26と1対1で対応して設けられ、かつ本体部37を貫通して設けられているとともに、内側にボス部26を通している。押さえ部通し孔39は、接点ゴム21に設けられた第2押さえ部32と1対1で対応して設けられ、かつ本体部37を貫通して設けられているとともに、内側に第2押さえ部32を通している。
【0041】
前述したハウジング部材30は、本体部37が接点ゴム21の平板部25に重ねられ、かつボス部通し孔38内にボス部26を通しているとともに、押さえ部通し孔39内に第2押さえ部32を通して、印刷配線板19との間に接点ゴム21を挟んで、当該接点ゴム21の平板部25を覆う。そして、ハウジング部材30は、接点ゴム21の大部分としての平板部25が弾性変形することを規制する。
【0042】
第1押さえ部31は、互いに隣り合う操作ボタン11のボタン本体33同士を連結したヒンジ部34のジグザグ部36の中央及び端に位置するジグザグ部36の端部に対応して設けられ、これらのジグザグ部36の中央及び端に位置するジグザグ部36の端部の総数と同数設けられている。第1押さえ部31は、図2などに示すように、ケース2のフロントパネル18aから該ケース2の内側即ち印刷配線板19に向かって立設した柱状に形成されている。
【0043】
第2押さえ部32は、互いに隣り合う操作ボタン11のボタン本体33同士を連結したヒンジ部34のジグザグ部36の中央、及び端に位置するジグザグ部36の端部に対応して設けられ、これらのジグザグ部36の中央及び端に位置するジグザグ部36の端部の総数と同数設けられている。第2押さえ部32は、図2などに示すように、接点ゴム21の平板部25からケース2に向かって凸状に形成されている。第2押さえ部32は、裁頭円錐状に形成されて、ハウジング部材30の押さえ部通し孔39内に通されている。第2押さえ部32は、接点ゴム21と一体に形成されて、当該接点ゴム21と同様に弾性材料としてのゴムなどで構成されている。
【0044】
前述した第1押さえ部31と第2押さえ部32は、図4及び図5に示すように、互いの間に、互いに隣り合う操作ボタン11のボタン本体33同士を連結したヒンジ部34のジグザグ部36の中央、端に位置するジグザグ部36の端部を挟んで、操作ボタン11をケース2に対して固定する。なお、第2押さえ部32は、第1押さえ部31との間にヒンジ部34のジグザグ部36の中央、端に位置するジグザグ部36の端部を挟むと、勿論、接点ゴム21の平板部25に没する方向に弾性変形する。即ち、第2押さえ部32は、第1押さえ部31との間にヒンジ部34のジグザグ部36の中央、端に位置するジグザグ部36の端部を挟むと、これらのジグザグ部36の中央及び端部を第1押さえ部31に向かって押圧する弾性復元力を生じる。
【0045】
前述した構成の取付構造14は、図6に示すように、操作ボタン11のボタン本体33が使用者により押圧されることにより、接点ゴム21のボス部26の主に立設部28の弾性復元力に抗して、操作ボタン11のボタン本体33が、ボス部26の接離部29を導電部23が一対の接点20a,20bに近づく方向に押圧する。すると、ヒンジ部34が弾性変形して、操作ボタン11のボタン本体33が奥行き方向Yに沿ってケース2の奥に向かって移動して、ボス部26の導電部23が一対の接点20a,20bの双方に接触して、一対の接点20a,20b同士を電気的に接続する。
【0046】
取付構造14は、操作ボタン11のボタン本体33が使用者などから押圧されなくなると、図5に示すように、接点ゴム21のボス部26の主に立設部28の弾性復元力によって、導電部23が一対の接点20a,20bの双方から離れるとともに、接点ゴム21のボス部26の接離部29がボタン本体33を押圧して、ボタン本体33をフロントパネル18aから突出させる。
【0047】
このように、操作ボタン11のボタン本体33が操作されることにより、ケース2内に収容された各種プレーヤ3,4やチューナ5等が動作する。
【0048】
本実施例によれば、ケース2のフロントパネル18aに設けられた第1押さえ部31と、ゴムで構成された接点ゴム21に設けられた第2押さえ部32との間に操作ボタン11のヒンジ部34を挟んで、操作ボタン11をケース2に取り付けている。このため、成形時などに第1押さえ部31や第2押さえ部32の寸法に狂いが生じても、接点ゴム21に設けられた第2押さえ部32の弾性変形量がそれに応じて変化して、ガタを生じることなく、かつ、第2押さえ部32が弾性変形するので、過度にヒンジ部34を第1押さえ部31に密に接触させることなく、操作ボタン11を取り付けることができる。
【0049】
したがって、取付構造14は、組み立て時に、ケース2のフロントパネル18aと接点ゴム21との双方と操作ボタン11のヒンジ部34との間の隙間を調整する工程が必要なくなり、組み立てにかかる工数の増加を防止できる。
【0050】
また、第1押さえ部31が、ケース2のフロントパネル18aから立設した柱状に形成されている。このため、第1押さえ部31と第2押さえ部32とを確実に近接させることができ、第1押さえ部31が、第2押さえ部32との間に操作ボタン11のヒンジ部34を確実に挟むことができる。さらに、第2押さえ部32が、接点ゴム21の平板部25から凸の凸状に形成されている。このため、第1押さえ部31と第2押さえ部32とを確実に近接させることができ、第2押さえ部32が、第1押さえ部31との間に操作ボタン11のヒンジ部34を確実に挟むことができる。
【0051】
また、操作ボタン11が、複数のボタン本体33を備え、ヒンジ部34が互いに隣り合うボタン本体33同士を連結している。このため、組み立て時に、複数のボタン本体33を一つの部品として取り扱うことができるので、組み立てにかかる手間即ち工数を削減することができる。
【0052】
接点ゴム21の平板部25を印刷配線板19との間に挟んで覆うハウジング部材30を備えている。このため、接点ゴム21のボス部26や第2押さえ部32を除く平板部25の大部分が変形することを防止できるので、当該接点ゴム21の変形可能な部分をボス部26や第2押さえ部32などに限定することができる。したがって、操作ボタン11のボタン本体33を操作したときに、確実に一対の接点20a,20b同士を電気的に接続できるとともに、第1押さえ部31と第2押さえ部32との間にヒンジ部34を挟み込んで、操作ボタン11をケース2に確実に取り付けることができる。
【0053】
AV機器1は、前述した取付構造14を備えているので、組み立て時に、ケース2と接点ゴム21との双方と操作ボタン11のヒンジ部34との間の隙間を調整する工程が必要なくなり、組み立てにかかる工数の増加を防止することができる。
【0054】
前述した実施例では、ヒンジ部34が互いに隣り合うボタン本体33同士を連結し、弾性変形することで、ボタン本体33を移動(変位)自在としている。しかしながら、本発明では、図7に示すように、ヒンジ部34がボタン本体33同士を連結せずに、操作ボタン11が一つのボタン本体33で構成されて良い。さらに、本発明では、ボタン本体33がスライド移動せずに、図7に示すように、ヒンジ部34などを中心として回転することで、ケース2に対して変位自在となっていても良い。なお、図7において、前述した実施例と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図7では、ヒンジ部34は、円柱状に形成されて、操作ボタン11のボタン本体33のケース2の奥寄りの端から当該ボタン本体33の外側に向かって凸に形成されている。そして、第1押さえ部31に前述したヒンジ部34を収容可能な凹み43が形成されている。そして、ヒンジ部34は、そのヒンジ部34自身を中心としてボタン本体33が回転することを許容して、当該ボタン本体33即ち操作ボタン11がケース2に対して変位することを許容する。
【0056】
この図7に示す場合において、前述した実施例と同様に、ケース2のフロントパネル18aに設けられた第1押さえ部31と接点ゴム21に一体に設けられた第2押さえ部32との間にヒンジ部34を挟むので、組み立て時に、ケース2と接点ゴム21との双方と操作ボタン11のヒンジ部34との間の隙間を調整する工程が必要なくなり、組み立てにかかる工数の増加を防止できる。
【0057】
また、前述した実施例では、第1押さえ部31をケース2のフロントパネル18aから立設した柱状に形成している。しかしながら、本発明では、第1押さえ部31をケース2のフロントパネル18aから立設した柱状に形成せずに、種々の形状に形成しても良い。さらに、前述した実施例では、第2押さえ部32を接点ゴム21の平板部25から凸の凸状に形成している。しかしながら、本発明では、第2押さえ部32を接点ゴム21の平板部25から凸の凸状に形成せずに、種々の形状に形成しても良い。
【0058】
前述した実施例では、電子機器として自動車に取り付けられるAV機器1を示している。しかしながら、本発明では、AV機器1に限らず、種々の電子機器に適用しても良い。
【0059】
前述した実施例によれば、以下の取付構造14が得られる。
【0060】
(付記) ケース2に変位自在に支持されたボタン本体33と、このボタン本体33に連なりかつ前記ボタン本体33が前記ケース2に対して変位することを許容するヒンジ部34とを有した操作ボタン11と、
前記ケース2内の印刷配線板19に重ねられ、かつ弾性材料で構成されているとともに、弾性変形することで前記印刷配線板19上に形成された一対の接点20a,20b同士を電気的に接続するボス部26が設けられた接点ゴム21と、を備えた操作ボタンの取付構造14において、
前記ケース2に設けられた第1押さえ部31と、前記接点ゴム21に設けられかつ前記第1押さえ部31との間に前記ヒンジ部34を挟む第2押さえ部32と、を備えたことを特徴とする操作ボタンの取付構造14。
【0061】
付記によれば、ケース2に設けられた第1押さえ部31と、ゴムで構成された接点ゴム21に設けられた第2押さえ部32との間に操作ボタン11のヒンジ部34を挟んで、操作ボタン11をケース2に取り付けている。このため、成形時などに第1押さえ部31や第2押さえ部32の寸法に狂いが生じても、接点ゴム21に設けられた第2押さえ部32の弾性変形量がそれに応じて変化して、ガタを生じることなく、かつ、第2押さえ部32が弾性変形するので、過度にヒンジ部34を第1押さえ部31に密に接触させることなく、操作ボタン11を取り付けることができる。したがって、組み立て時に、ケース2と接点ゴム21との双方と操作ボタン11のヒンジ部34との間の隙間を調整する工程が必要なくなり、組み立てにかかる工数の増加を防止できる。
【0062】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例にかかる取付構造を備えたAV機器を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたAV機器の取付構造の要部を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示されたAV機器の取付構造の要部を示す斜視図である。
【図4】図3に示された取付構造の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】図3中のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図5に示された操作ボタンが押圧操作された状態を示す断面図である。
【図7】図2に示された取付構造の変形例の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 AV機器(電子機器)
2 ケース
11 操作ボタン
14 操作ボタンの取付構造
18a フロントパネル(本体部)
19 印刷配線板
20a,20b 接点
21 接点ゴム(弾性体)
25 平板部
26 ボス部
30 ハウジング部材
31 第1押さえ部
32 第2押さえ部
33 ボタン本体
34 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに変位自在に支持されたボタン本体と、このボタン本体に連なりかつ前記ボタン本体が前記ケースに対して変位することを許容するヒンジ部とを有した操作ボタンと、
前記ケース内の印刷配線板に重ねられ、かつ弾性材料で構成されているとともに、弾性変形することで前記印刷配線板上に形成された一対の接点同士を電気的に接続するボス部が設けられた接点ゴムと、を備えた操作ボタンの取付構造において、
前記ケースに設けられた第1押さえ部と、前記接点ゴムに設けられかつ前記第1押さえ部との間に前記ヒンジ部を挟む第2押さえ部と、を備えたことを特徴とする操作ボタンの取付構造。
【請求項2】
前記ケースが前記操作ボタンを変位自在に支持する本体部を備え、かつ、前記第1押さえ部が前記本体部から前記印刷配線板に向かって立設した柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の操作ボタンの取付構造。
【請求項3】
前記接点ゴムが、前記印刷配線板上に重ねられる平板部を備え、かつ、前記第2押さえ部が前記平板部から前記ケースに向かって凸状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の操作ボタンの取付構造。
【請求項4】
前記ボタン本体を複数備え、かつ、前記ヒンジ部が互いに隣り合う前記ボタン本体同士を連結していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の操作ボタンの取付構造。
【請求項5】
前記印刷配線板との間に前記接点ゴムを挟み、かつ、当該接点ゴムを覆うハウジング部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の操作ボタンの取付構造。
【請求項6】
ケースと、
前記ケース内に収容された印刷配線板と、
前記ケースに変位自在に設けられた操作ボタンを有し、当該操作ボタンが前記ケースに対して変位されることで、前記印刷配線板の一対の接点同士を電気的に接続可能な操作ボタンの取付構造と、を備えた電子機器において、
前記操作ボタンの取付構造として、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の操作ボタンの取付構造を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−251183(P2008−251183A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87132(P2007−87132)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】