説明

操作ボタン装置および携帯端末

【課題】機能が異なった2つのスイッチと、1つの操作釦とを備え、異なった3種類の操作を可能にした操作ボタン装置および携帯端末を提供する。
【解決手段】操作ボタン装置5は、背面側ケース3の隣接する2つの面6a、7aに形成された凹部4内に配設された第1、第2のスイッチ11、12と、前記2つの面6a、7aに跨って配置されたキー13とを備えている。第1、第2のスイッチ11、12は、個々に操作されたときの信号と、同時に操作されたときの信号が割り当てられることにより異なった3種類の機能を有している。キー13は、第1、第2、第3の操作部17A、17B、17Cを有し、矢印A、B、C方向に押圧操作されることにより、第1、第2のスイッチ11、12を個々にまたは同時に操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDAなどの携帯情報端末、家庭用リモコンやゲーム機などの各種電子機器、電気機器等に用いて好適な操作ボタン装置およびこれを用いた携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スライド型や二軸ヒンジタイプ等の閉状態で画面を確認できる携帯電話機等の携帯端末においては、スペース不足等の理由によりケースの閉状態では操作ボタン装置を操作不可としているものが多く、コンパクトに変形できるというメリットを十分に生かせていない。一方、ケースが閉状態であっても携帯端末を操作できる手段としては、下記のようなものが知られている。
(A) 正面LCD面にキーを配置する
(B) 画面全体をタッチパネルにする
(C) ケースの隣接する2つの面にスイッチをそれぞれ配置し、これらのスイッチを前 記2つの面に跨って配置した所謂サイドキーによって複数の方向から操作する
【0003】
しかしながら、上記(A)または(B)を採用した携帯端末においては、次のような課題があった。すなわち、(A)のLCD面にキーを配置した携帯端末においては、キーの面積分だけLCDの範囲が狭くなる。これにより操作性がよくなる反面、画面が小さくなったり、装置サイズが大きくなる。(B)の画面全体をタッチパネルにした携帯端末においては、押したときの操作感が少ないために、押したか否かの判断がしにくい。また、タッチパネルが汚れたり指紋がつくと視認性が悪くなる、また精度が悪く、意図しない動作をするなどの問題がある。
【0004】
(C)の隣接する2つの面に跨ってサイドキーを設けた操作ボタン装置としては、例えば特許文献1〜3に開示されたものが知られている。
【0005】
特許文献1に開示されている操作押釦装置は、スイッチ押圧部を有する平面操作部と、側面操作部および側面操作部に延設された弾性変形可能なヒンジ部とからなる断面形状がL字型の操作釦と、前記平面操作部の先端に対向するようにケース側に配置されたタクトスイッチとを有し、平面操作部を押圧した平面操作状態または側面操作部を押圧した側面操作状態で前記ヒンジ部が弾性変形するように構成するとともに、側面操作状態で操作釦に当接して操作釦の平面操作部をタクトスイッチ方向に押し下げるガイド部をケース側に設けている。すなわち、特許文献1に記載されている操作押釦装置は、1つのスイッチを作動させるために、平面操作部および側面操作部を備えた略L形の操作釦を備え、ケースの側面方向と正面方向の二方向のいずれの方向からも操作し得るようにしたものである。
【0006】
特許文献2に開示されているキー装置は、上記特許文献1と同様に、1つのスイッチを複数の方向から動作させるために、作用部を有する操作部と、突起部を有する作用部とを備えた弾性部材からなるキートップを隣接する2つの面に跨って配設している。
【0007】
特許文献3に開示されている操作ボタンの構造は、2つのスイッチを機器本体の前面と側面の互いに近い箇所にそれぞれ配置するとともに、これらのスイッチに対応して操作ボタンを前記前面と側面に跨ってかつ2方向に個別的にスライド自在に配設し、前記操作ボタンにより2つのスイッチを個別的に操作可能にしている。すなわち、操作釦を押圧して前面と直交する方向にスライドさせることにより前面側のスイッチを動作させ、側面と直交する方向にスライドさせることにより側面側のスイッチを動作させるようにしている。また、スイッチの誤動作を防止するために、前面と側面にそれぞれ規制ガイドを設け、操作ボタンを前面と垂直な方向にスライドさせたとき、側面側の規制ガイドによって水平(前面と平行)な方向への移動を規制し、操作ボタンを側面と垂直な方向にスライドさせたとき、前面側の規制ガイドによって垂直(前面と垂直)な方向への移動を規制するようにしている。さらに、前面側と側面側のスイッチの機能を同じにした場合は、これらのスイッチを同時に操作してもよいため、この場合は操作釦の操作方向を斜め方向にしてもよいとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−11812号公報
【特許文献2】特開2003−331688号公報
【特許文献3】特開平11−345534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1、2に開示されている操作釦装置およびキー装置は、スイッチと操作釦(キートップ)が1対1の関係であるため、スイッチの数だけ操作釦を配置する必要があり、操作釦の数が増加するという問題があった。
【0010】
特許文献3に記載されている操作ボタンの構造は、機能が異なった2つのスイッチを用いた場合、1つの操作釦で個別に操作するため、上記した特許文献1、2に記載の操作釦装置およびキー装置に比べて操作釦の数を半減できる利点を有している。しかしながら、2つのスイッチを同時に操作することができず、機能数を増加する場合はスイッチや操作ボタンを追加する必要があるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記したような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、機能が異なった2つのスイッチと、1つの操作釦とを備え、異なった3種類の操作を可能にした操作ボタン装置および携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明に係る操作ボタン装置は、ケースの隣接する2つの面にそれぞれ配置された第1、第2のスイッチと、前記2つの面に跨って配置された1つのキーとを備え、前記第1、第2のスイッチは、個々に操作されたときの信号と、同時に操作されたときの信号が割り当てられることにより異なった3種類の機能を有し、前記キーは、前記第1、第2のスイッチを個々に操作可能に、かつ同時に操作可能に構成されているものである。
【0013】
また、本発明に係る操作ボタン装置は、上記発明において、前記キーが、側面視略L字形に形成されることにより、一端が互いに接続された第1、第2アーム部と、前記第1アーム部に設けられ前記第1のスイッチを操作する第1の操作部と、前記第2アーム部に設けられ前記第2のスイッチを操作する第2の操作部と、前記第1、第2アーム部の接続部に設けられた第3の操作部とを備え、前記第3の操作部は、前記第1、第2アーム部に対して斜め方向から操作されることにより前記第1、第2の操作部によって前記第1、第2のスイッチを同時に操作させるものである。
【0014】
また、本発明に係る操作ボタン装置は、上記発明において、前記第3の操作部が凹陥部と斜面のうちのいずれか一方からなるものである。
【0015】
また、本発明に係る操作ボタン装置は、上記発明において、前記ケースが、前記第3の操作部の操作時において、前記第1、第2の操作部を前記第1、第2のスイッチ方向にそれぞれ押し下げる第1、第2のガイド部を備えているものである。
【0016】
また、本発明に係る携帯端末は、ケースの隣接する2つの面にそれぞれ配置された第1、第2のスイッチと、前記2つの面に跨って配置された1つのキーとからなる操作ボタン装置を備え、前記第1、第2のスイッチは、個々に操作されたときの信号と、同時に操作されたときの信号が割り当てられることにより異なった3種類の機能を有し、前記第1、第2のスイッチは、個々に操作されたときの信号と、同時に操作されたときの信号が割り当てられることにより、異なった3種類の機能を有し、前記キーは、前記第1、第2のスイッチを個々に操作可能に、かつ同時に操作可能に構成されているものである。
【0017】
また、本発明に係る携帯端末は、上記発明において、前記キーが、側面視略L字形に形成されることにより、一端が互いに接続された第1、第2アーム部と、前記第1アーム部に設けられ前記第1のスイッチを操作する第1の操作部と、前記第2アーム部に設けられ前記第2のスイッチを操作する第2の操作部と、前記第1、第2アーム部の接続部に設けられた第3の操作部とを備え、前記第3の操作部は、前記第1、第2アーム部に対して斜め方向から操作されることにより前記第1、第2の操作部によって前記第1、第2のスイッチを同時に操作させるものである。
【0018】
また、本発明に係る携帯端末は、上記発明において、前記第3の操作部が凹陥部と斜面のうちのいずれか一方からなるものである。
【0019】
また、本発明に係る携帯端末は、上記発明において、前記ケースが、前記第3の操作部の操作時において、前記第1、第2の操作部を前記第1、第2のスイッチ方向にそれぞれ押し下げる第1、第2のガイド部を備えているものである。
【0020】
さらに、本発明に係る携帯端末は、上記発明において、携帯端末が携帯電話機からなるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、1つのキーで3種類の操作を可能にする。すなわち、キーは、第1、第2の操作部が個々に操作されたときに第1、第2のスイッチを個々に動作させ、第1、第2の操作部が同時に操作されたときに第1、第2のスイッチを同時に動作させる。第1、第2のスイッチは、個々に動作されたときの信号に加えて、同時に動作されたときの信号を割り当てられることで、3種類の機能を付与されているので、機能数に比べてキーおよびスイッチの数を削減でき、省スペース化、さらにはコスト低減を実現することができる。
【0022】
第3の操作部は、操作方向が第1、第2の操作部に対して斜め方向であるため、第1、第2の操作部によって第1、第2のスイッチを同時に動作させることができる。また、 第3の操作部は、凹陥部または斜面からなるため、確実に操作することができる。
【0023】
第3の操作部の操作時において、第1、第2の操作部は、第1、第2のガイド部によって第1、第2のスイッチ方向にそれぞれ押し下げられるため、これらスイッチを確実に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る携帯端末を携帯電話機に適用した一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】操作ボタン装置の正面から見た図である。
【図3】操作ボタン装置の側面から見た図である。
【図4】キーの側面図である。
【図5】操作ボタン装置の非操作時における図1のV−V線断面図である。
【図6】操作ボタン装置を矢印A方向に操作したときの状態を示す図である。
【図7】操作ボタン装置を矢印B方向に操作したときの状態を示す図である。
【図8】操作ボタン装置を矢印C方向に操作したときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る操作ボタン装置を備えた携帯端末を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施例は、携帯端末として開閉式の携帯電話機に適用した例を示す。図1において、携帯電話機1は、薄箱矩形の正面側ケース2および背面側ケース3を備えている。正面側ケース2と背面側ケース3は、図示を省略したヒンジ機構によってその操作面2aおよび表示面3aと直交する方向に相対的に略180°の角度範囲で回動可能に連結されており、不使用時においては、図1に示すように折り畳まれることにより互いに重なり合って操作面2aと表示面3aを互いに密接させている。使用するときは、背面側ケース3を正面側ケース2に対してヒンジ機構の軸線周りに矢印D方向に略180°回動させて開くことにより、操作面2aと表示面3aが同方向を向き、これによって所謂開閉式(折り畳み式)の携帯電話機1を構成している。
【0026】
前記背面側ケース3は、折り畳み状態の携帯電話機1を右手でごく自然に把持したときに親指と人差し指が掛かる位置に形成された凹部4を有し、この凹部4に本発明に係る操作ボタン装置5が配設されている。凹部4は、背面側ケース3の互いに隣接する2つの面(表面)6a、7aを構成する背面板6と側板7の両方にわたって延在するようにL字形に形成されることにより、背面側凹部4Aと、側面側凹部4Bとで構成されている。背面板6と側板7は、略直交している。
【0027】
図2において、凹部4の背面側凹部4Aは、背面板6の幅方向に長い矩形の凹部からなり、3つの側壁、すなわち背面板6の長手方向と直交する2つの長辺側側壁8a、8bと、背面板6の長手方向と平行な短辺側側壁8cとを備えている。長辺側側壁8a、8bは、背面板6の面6aに対して略直交する垂直面に形成されている。短辺側側壁8cは、図5に示すようにナイフエッジ状に形成されることにより、背面板6の面6aに対して略45°の角度で背面側ケース3の内部に向かって傾斜する斜面からなり、後述するキー13の第1アーム部13Aを下方に押し下げるガイド部を構成している(以下、短辺側側壁8cを第1のガイド部8cという)。
【0028】
図3および図5において、側面側凹部4Bは、同じく側板7の幅方向に長い矩形の凹部からなり、3つの側壁、すなわち側板7の長手方向と直交する2つの長辺側側壁9a、9bと、側板7の長手方向と平行な短辺側側壁9cとを備えている。長辺側側壁9a、9bは、側板7の面7aに対して略直交する垂直面に形成されている。短辺側側壁9cは、前記背面側凹部4Aの短辺側側壁8cと同様に、ナイフエッジ状に形成されることにより、側板7の面7aに対して略45°の角度で背面側ケース3の内部に向かって傾斜する斜面からなり、キー13の第2アーム部13Bを下方に押し下げるガイド部を構成している(以下、短辺側側壁9cを第2のガイド部9cという)。なお、側面側凹部4Bは、背面側凹部4Aと同一の大きさに形成されている。
【0029】
図5において、前記操作ボタン装置5は、前記凹部4の背面側凹部4Aと側面側凹部4B内にそれぞれ配設された第1、第2のスイッチ11、12と、これらのスイッチ11、12に対応して前記凹部4に配設された1つのキー13とを備えている。
【0030】
第1、第2のスイッチ11、12は、個々に操作されたときと、同時に操作されたときの機能が異なることにより、合計3つの機能を有している。因みに、第1、第2のスイッチ11、12は、個々に操作されたときの信号が割り当てられることにより、例えば携帯電話機1の表示画面を下スクロールするためのスイッチと、上スクロールするためのスイッチをそれぞれ構成し、同時に操作された場合の信号が割り当てられることにより、上記とは異なった機能を実行するためのスイッチ、例えば表示画面を決定するためのスイッチを構成している。
【0031】
また、第1のスイッチ11は、タクトスイッチからなり、フレキシブルプリント基板14に設けられた固定接点11Aおよび可動接点11Bで構成されている。同じく、第2のスイッチ12もタクトスイッチからなり、フレキシブルプリント基板14に設けられた固定接点12Aおよび可動接点12Bで構成されている。フレキシブルプリント基板14は、前記背面側ケース3内に配設した矩形のフレーム構造15の前記背面側凹部4Aと側面側凹部4Bに対応する2つの面15a、15bに貼着されることにより、前記凹部4側の角部16において直角に折り曲げられ、背面側凹部4Aに対応する面15aに前記第1のスイッチ11が配設され、側面側凹部4Bに対応する面15bに前記第2のスイッチ12が配設されている。第1、第2のスイッチ11、12の固定接点11A、12Aは、フレキシブルプリント基板14の表面に印刷形成した導電箔からなり、可動接点11B、12Bは、固定接点11A、12Aに対向してフレキシブルプリント基板14の表面に設けられた弾性変形可能なドーム状の金属薄膜からなり、通常は固定接点11A、12Aと非接触状態を保持している。
【0032】
前記キー13は、合成樹脂によって側面視略L字状に形成されることにより、一端が互いに接続された略直交する第1、第2アーム部13A、13Bと、これらのアーム部13A、13Bに設けられた第1、第2、第3の操作部17A、17B、17Cを一体に有し、前記背面側ケース3の2つの面6a、7aを跨ぐように前記凹部4内に、図1、図5において矢印A、B、Cの3方向に移動自在に配設されている。矢印A方向は、背面板6の面6aと直交する方向で、第1のスイッチ11を操作する方向、矢印B方向は側板7の面7aと直交する方向で、第2のスイッチ12を操作する方向、矢印C方向は背面板6と側板7の面6a、7aに対して略45°傾斜した方向で、第1、第2のスイッチ11、12を同時に操作する方向である。
【0033】
前記キー13の第1アーム部13Aと第1の操作部17Aは、第1のスイッチ11を操作することにより、例えば携帯電話機1の表示画面を下スクロールするボタンとしてキーアサインされている。第1アーム部13Aは、幅が前記背面側凹部4Aの左右両側壁8a、8b間の間隔より若干小さく設定され、表面が第1のスイッチ11を操作するときの第1操作面20を形成し、先端面に前記背面側凹部4Aの第1のガイド部8cと略同一角度をもって近接対向する斜面21が形成されるとともに、フランジ22が一体に突設されている。フランジ22は、背面板6の下面側に挿入されることにより、第1アーム部13Aが背面側凹部4Aから抜け出すのを防止している。
【0034】
第1の操作部17Aは、弾性を有する材料、例えばゴム等によって台形状に形成され、周囲に一体に突設されたフランジ23を有し、前記第1アーム部13Aの下面に下向きに取り付けられ、下面が第1のスイッチ11の可動接点11Bの頂部に接触している。可動接点11Bは、弾撥力により第1の操作部17Aを上方に付勢することにより前記フランジ22を背面板6の下面に押し付けている。フランジ23は、第1アーム部13Aの前方および左右両側に突出することにより、前記フランジ22とともに第1アーム部13Aが背面側凹部4Aから抜け出すのを防止している。
【0035】
第2アーム部13Bと第2の操作部17Bは、第2のスイッチ12を操作することにより、例えば携帯電話機1の表示画面を上スクロールするボタンとしてキーアサインされている。第2アーム部13Bは、第1アーム部13Aと同一形状に形成され、表面が第2のスイッチ12を操作するときの第2操作面25を形成し、先端面に前記側面側凹部4Bの第2のガイド部9cと略同一角度をもって近接対向する斜面26が形成されるとともに、フランジ27が一体に突設されている。フランジ27は、側板7の下面側に挿入されることにより、第2アーム部13Bが側面側凹部4Bから抜け出すのを防止している。
【0036】
第2の操作部17Bは、前記第1の操作部17Aと同一で、周囲に一体に突設されたフランジ28を有し、第2アーム部13Bの下面に下向きに取り付けられ、下面が第2のスイッチ12の可動接点12Bの頂部に接触している。可動接点12Bは、弾撥力により第2の操作部17Bを上方に付勢することにより前記フランジ27を側板7の下面に押し付けている。フランジ28は、第2アーム部13Bの前方および左右両側に突出することにより、前記フランジ27とともに第2アーム部13Bが背面側凹部4Bから抜け出すのを防止している。
【0037】
第3の操作部17Cは、前記第1、第2アーム部13A、13Bに対して斜め方向(図1、図5の矢印C方向)から押圧操作されることにより前記第1、第2の操作部17A、17Bによって前記第1、第2のスイッチ11、12を同時に操作させるもので、前記第1、第2アーム部13A、13Bを接続する接続部13Cの表面に設けられ、例えば表示画面を決定するボタンとしてキーアサインされている。また、第3の操作部17Cは、矢印C方向からの押圧操作を容易かつ確実にするために、操作面がシリンドリカルな面または半球状の面からなる凹陥部もしくは斜面に形成されている。この場合、図1においては、第3の操作部17Cを背面側ケース3の2つの面6a、7aに対して略45°傾斜した斜面に形成した例を示し、図4および図5においては、シリンドリカルまたは半球状の面からなる凹陥部に形成した例を示している。
【0038】
前記接続部13Cは、第3の操作部17Cが設けられることにより、第1、第2アーム部13A、13Bより薄肉に形成され、撓み変形可能とされている。
【0039】
このようなキー13は、背面側ケース3の内側から凹部4に組み込まれ、しかる後第1、第2のスイッチ11、12がフレーム構造15とともに組込まれる。
【0040】
次に、このような構造からなる操作ボタン装置5の動作について説明する。
図6において、キー13の第1アーム部13Aを矢印A方向に押圧操作すると、キー13は矢印A方向に移動し、第1の操作部17Aが第1のスイッチ11の可動接点11Bを押し下げる。このため可動接点11Bは、弾性変形して固定接点11Aに接触し、これにより第1のスイッチ11がオンして表示画面の下スクロールが行われる。このとき、第2の操作部17Bは、第2のスイッチ12に対して平行移動するため、第2のスイッチ12を動作させることはない。
【0041】
第1アーム部13Aに対する外力を取り除くと、可動接点11Bは弾性復帰して固定接点11Aから離間し、第1のスイッチ11をオフの状態に戻す。これにより表示画面の下スクロールが停止される。第1アーム部13Aに対する外力を取り除くと、キー13は可動接点11Bの弾性復帰により元の位置に復帰する。
【0042】
図7において、キー13の第2アーム部13Bを矢印B方向に押圧操作すると、キー13は矢印B方向に移動し、第2の操作部17Bが第2のスイッチ12の可動接点12Bを押し下げる。このため、可動接点12Bは、弾性変形して固定接点12Aに接触し、これによって第2のスイッチ12がオンして表示画面の上スクロールが行われる。このとき、第1の操作部17Aは、第1のスイッチ11に対して平行移動するため、第1のスイッチ11を動作させることはない。
【0043】
第2アーム部13Bに対する外力を取り除くと、可動接点12Bは弾性復帰して固定接点12Aから離間し、第2のスイッチ12をオフの状態に戻す。これにより表示画面の上スクロールが停止される。第1アーム部13Bに対する外力を取り除くと、キー13は、可動接点12Bの弾性復帰により元の位置に復帰する。
【0044】
図8において、キー13の第3の操作部13Cを第1、第2アーム13A、13Bに対して矢印Cで示す斜め45°方向から押圧操作すると、キー13は矢印C方向に移動し、第1アーム部13Aの斜面21が第1のガイド部8cに当たって下方に押し下げられ、第1の操作部17Aが第1のスイッチ11の可動接点11Bを押し下げ固定接点11Aに接触させる。また、同時に第2アーム部13Bの斜面26が第2のガイド部9cに当たって下方に押し下げられ、第2の操作部17Bが第2のスイッチ12の可動接点12Bを押し下げ固定接点12Aに接触させる。これにより、第1、第2のスイッチ11、12が同時にオンして表示画面を決定する。そして、第1、第2のスイッチ11、12がオンした後、第3の操作部17Cに対する押圧力を取り除くと、第1、第2のスイッチ11、12は可動接点11B、12Bが弾性復帰することにより、元のオフの状態に戻り、キー13を可動接点11B、12Bの弾性復帰により元の位置に復帰させる。
【0045】
このように本発明に係る携帯電話機1においては、1つのキー13と機能の異なった第1、第2のスイッチ11、12とを備え、これらのスイッチを個々にまたは同時に操作することにより、異なった3種類の機能を行なえるようにしたので、キーおよびスイッチが機能数に比べて少なく、省スペース化とコスト低減を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、携帯端末として、携帯電話機1に適用した例について説明したが、これに何ら特定されるものではなく、例えばPDAなどの携帯情報端末、家庭用リモコン、ゲーム機、電子手帳、電子翻訳機、電子辞書、電卓、携帯型オーディオ機器等の各種電子機器や電気機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…携帯電話機、2…正面側ケース、3…背面側ケース、6a、7a…隣接する面、4…凹部、5…操作ボタン装置、8c…第1のガイド部、9c…第2のガイド部、11…第1のスイッチ、12…第2のスイッチ、13…キー、13A…第1アーム部、13B…第2アーム部、13C…接続部、17A…第1の操作部、17B…第2の操作部、17C…第3の操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの隣接する2つの面にそれぞれ配置された第1、第2のスイッチと、
前記2つの面に跨って配置された1つのキーとを備え、
前記第1、第2のスイッチは、個々に操作されたときの信号と、同時に操作されたときの信号が割り当てられることにより異なった3種類の機能を有し、
前記キーは、前記第1、第2のスイッチを個々に操作可能に、かつ同時に操作可能に構成されている操作ボタン装置。
【請求項2】
請求項1記載の操作ボタン装置において、
前記キーは、側面視略L字形に形成されることにより、一端が互いに接続された第1、第2アーム部と、前記第1アーム部に設けられ前記第1のスイッチを操作する第1の操作部と、前記第2アーム部に設けられ前記第2のスイッチを操作する第2の操作部と、前記第1、第2アーム部の接続部に設けられた第3の操作部とを備え、
前記第3の操作部は、前記第1、第2アーム部に対して斜め方向から操作されることにより前記第1、第2の操作部によって前記第1、第2のスイッチを同時に操作させる操作ボタン装置。
【請求項3】
請求項2記載の操作ボタン装置において、
前記第3の操作部が凹陥部と斜面のうちのいずれか一方からなる操作ボタン装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の操作ボタン装置において、
前記ケースは、前記第3の操作部の操作時において、前記第1、第2の操作部を前記第1、第2のスイッチ方向にそれぞれ押し下げる第1、第2のガイド部を備えている操作ボタン装置。
【請求項5】
ケースの隣接する2つの面にそれぞれ配置された第1、第2のスイッチと、前記2つの面に跨って配置された1つのキーとからなる操作ボタン装置を備え、
前記第1、第2のスイッチは、個々に操作されたときの信号と、同時に操作されたときの信号が割り当てられることにより異なった3種類の機能を有し、
前記キーは、前記第1、第2のスイッチを個々に操作可能に、かつ同時に操作可能に構成されている携帯端末。
【請求項6】
請求項5記載の携帯端末において、
前記キーは、側面視略L字形に形成されることにより、一端が互いに接続された第1、第2アーム部と、前記第1アーム部に設けられ前記第1のスイッチを操作する第1の操作部と、前記第2アーム部に設けられ前記第2のスイッチを操作する第2の操作部と、前記第1、第2アーム部の接続部に設けられた第3の操作部とを備え、
前記第3の操作部は、前記第1、第2アーム部に対して斜め方向から操作されることにより前記第1、第2の操作部によって前記第1、第2のスイッチを同時に操作させる携帯端末。
【請求項7】
請求項6記載の携帯端末において、
前記第3の操作部が凹陥部と斜面のうちのいずれか一方からなる携帯端末。
【請求項8】
請求項6または7記載の操作ボタン装置において、
前記ケースは、前記第3の操作部の操作時において、前記第1、第2の操作部を前記第1、第2のスイッチ方向にそれぞれ押し下げる第1、第2のガイド部を備えている携帯端末。
【請求項9】
請求項5〜8のうちのいずれか一項記載の携帯端末において、
携帯端末が携帯電話機である携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−262755(P2010−262755A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110671(P2009−110671)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】