説明

操作入力装置

【課題】スライド部材をスライドさせるのに必要な操作荷重を操作方向の違いによって変えることができる、操作入力装置を提供すること。
【解決手段】操作入力を受ける操作入力装置であって、前記操作入力によりスライドするスライドキー30と、両端が固定された4本のコイルスプリング41〜44とを備え、前記操作入力を受けていない初期状態で、コイルスプリング41〜44それぞれの中間部41c〜44cが互いに異なる接点で、スライドキー30を前記初期状態での位置に保持可能な付勢状態でスライドキー30のスライド板の外周に接していることを特徴とする、操作入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力を受ける操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部材のスライド移動に応じた座標信号を出力する座標信号出力装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この座標信号出力装置は、操作部材に連動する可動接点駆動部材を、円周方向に等間隔に配置された複数の弾性部材によって外方に引っ張ることによって、可動接点駆動部材を中央部で保持し、操作部材に初期位置への復帰習性を付与するものである。
【0003】
また、スライド操作可能な可動部材のスライド操作を解除すると、両端部同士が接続された無端状のコイルバネの付勢力で可動部材が初期位置に自動復帰する座標入力装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3130197号
【特許文献2】特許第4292103号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のような従来技術では、両端部同士が接続された一本のコイルバネによって自動復帰機構を実現しているため、360°どの方向にスライド操作しても、その操作荷重が変わらない。
【0006】
そこで、本発明は、スライド部材をスライドさせるのに必要な操作荷重を操作方向の違いによって変えることができる、操作入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
操作入力を受ける操作入力装置であって、
前記操作入力によりスライドするスライド部材と、
両端が固定された少なくとも3つ以上の弾性部材とを備え、
前記操作入力を受けていない初期状態で、前記弾性部材それぞれの中間部が互いに異なる接点で前記スライド部材の外周に接していることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係る操作入力装置は、
操作入力を受ける操作入力装置であって、
前記操作入力によりスライドするスライド部材と、
両端が固定された少なくとも2つ以上の弾性部材とを備え、
前記操作入力を受けていない初期状態で、前記弾性部材それぞれの中間部が互いに異なる接点で、前記スライド部材を前記初期状態での位置に保持可能な付勢状態で前記スライド部材の外周に接していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スライド部材をスライドさせるのに必要な操作荷重を操作方向の違いによって変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態である操作入力装置1の斜視図である。
【図2】上ケース20を取り外した状態での操作入力装置1の分解斜視図である。
【図3】操作入力装置1の断面図である。
【図4】スライドキー30がX(−)方向にスライドした状態を示した図である。
【図5】スライドキー30が斜め方向にスライドした状態を示した図である。
【図6】スライドキー30の移動量Wと操作入力の荷重Fとの関係図である。
【図7】本発明の第2の実施形態である操作入力装置2の斜視図である。
【図8】操作入力装置2の分解斜視図である。
【図9】スライドキー30の動きを検知する検知部の構成図である。
【図10】2本の弾性部材46,47がスライドキー35の外周に接する構成を模式的に示した図である。
【図11】3本の弾性部材46〜48がスライドキー35の外周に接する構成を模式的に示した図である。
【図12】4本の弾性部材46〜49がスライドキー35(36,37)の外周に接する構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。本発明の一実施形態である操作入力装置は、操作者の手指等による力を受けて、その受けた力に応じた出力信号を出力する操作インターフェイスである。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、操作入力に応じた操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0012】
例えば、家庭用又は携帯可能なゲーム機、携帯電話や音楽プレーヤーなどの携帯端末、パーソナルコンピュータ、電化製品などの電子機器に備えられるディスプレイの画面上の表示物(例えば、カーソルやポインタなどの指示表示や、キャラクターなど)を、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0013】
以下、本発明の実施形態である操作入力装置の具体例について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態である操作入力装置1の斜視図である。図2は、上ケース20を取り外した状態での操作入力装置1の分解斜視図である。図3は、操作入力装置1の断面図である。
【0015】
操作入力装置1は、スライドキー30と、4つのコイルスプリング41〜44とを備える。スライドキー30は、操作荷重を操作入力として加えることにより、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系のXY平面に平行な所定の基準面に沿ってスライド可能なスライド部材である。コイルスプリング41〜44のそれぞれは、長手方向の両端それぞれが異なる箇所に固定端として固定された弾性部材である。操作入力装置1は、図2に示されるように、スライドキー30が操作入力を受けていない初期状態で、コイルスプリング41〜44それぞれの中間部が互いに異なる接点でスライドキー30の外周に接している。
【0016】
操作入力装置1は、このような構成を有していることにより、スライドキー30の操作方向の違いによって、スライドキー30をスライドさせるのに必要な操作荷重を変えることができる。すなわち、「スライドキー30の初期状態での位置(初期位置)を起点に、コイルスプリングの中間部とスライドキー30の外周とが接している方向に、スライドキー30をスライドさせるのに必要な操作荷重」と、「スライドキー30の初期位置を起点に、コイルスプリングの中間部とスライドキー30の外周とが接していない方向に、スライドキー30をスライドさせるのに必要な操作荷重」とが、互いに異なるようにすることができる。
【0017】
例えば、図4のようにXY平面上のX(−)方向にスライドしたスライドキー30は、主に1つのコイルスプリング43を横方向からの荷重で弾性変形させているのに対して、図5のようにX軸に対し斜め45°方向にスライドしたスライドキー30は、互いに隣接する2つのコイルスプリング42,43を横方向からの荷重で弾性変形させている。したがって、スライドキー30を同じ移動量だけスライドさせるのに必要な操作荷重は、弾性変形するコイルスプリングの本数が多い分、図4の場合よりも図5の場合の方が、大きくなる。
【0018】
このように、スライドキー30の操作方向の違いによって、操作者がスライドキー30をスライドさせるのに必要な操作荷重を変えることができるので、操作方向に応じて操作者の操作感触を変えることができる。その結果、例えば、操作者が手元を見ずにスライドキー30をブラインド操作しても、目の不自由な人がスライドキー30を操作しても、どの方向にスライドキー30を操作しているのかをその操作者に感覚的に認識させることができる。また、操作方向に応じて操作感触を変えることを簡易な構成で実現できる。
【0019】
次に、操作入力装置1の構成について、より詳細に説明する。操作入力装置1は、図1〜3に示されるように、下ケース10と、スライドキー30と、コイルスプリング41〜44と、上ケース20とを備える。
【0020】
下ケース10は、スライドキー30と、スライドキー30のスライド方向の外周に接して支持された複数のコイルスプリング(操作入力装置1の場合、4つのコイルスプリング41〜44)とが配置される配置面10aを有する基部である。スライドキー30は、配置面10aに沿ってXY平面内の各方向に自在にスライドする。下ケース10は、樹脂製でもよいし、鉄やアルミニウムなどの金属製でもよい。
【0021】
図3に示されるように、スライドキー30は、配置面10aの中央部に段差面として形成されたスライド面10bに沿ってXY平面内の各方向に自在にスライドしてもよい。配置面10aとスライド面10bは、低背化の点で、平面であることが好ましい。
【0022】
スライドキー30がスライドするスライド面10bのZ方向(図3の場合、上下方向)の高さを、スライドキー30に接するコイルスプリング41〜44が配置される配置面10aよりも高くすることによって、スライドキー30のスライド板30bのZ方向の肉厚を薄くできる。スライド面10bに接するスライド板30bの肉厚が薄くなることによって、スライドキー30を軽量化できる。また、線材をコイル状に巻き回したコイルスプリングの中心部までのZ方向の高さに、スライドキー30のスライド板30bの肉厚中心位置が一致するように、スライド面10bの高さを配置面10aよりも高くすると好適である。コイルスプリングの中心高さとスライドキー30のスライド板30bの肉厚中心位置を一致させることによって、スライドキー30のスライド板30bの外周にコイルスプリングの中間部を安定して当接させることができる。
【0023】
スライドキー30は、操作者の力が作用しうる突起部30aを有する操作部である。スライドキー30は、操作者の力が突起部30aに作用することにより、XY平面内を変位する変位部材である。スライドキー30は、下ケース10と上ケース20によってXY平面に平行な方向に移動可能に支持されている。操作者の力が突起部30aに作用されていない待機状態(初期状態)でのスライドキー30の位置を待機位置(初期位置)として、下ケース10と上ケース20は、操作者の力が突起部30aに作用することによって、その待機位置からXY平面に平行な方向に移動できるように支持する。上ケース20は、下ケース10に固定されている。
【0024】
上ケース20の貫通孔20aの内径は、スライドキー30の円形のスライド板30bの外径に比べて小さい。これによって、スライドキー30のスライド板30bを、下ケース10と上ケース20との間に挟んで、XY平面に平行な方向に変位可能に支持することができる(図3参照)。また、ほこりなどの異物が操作入力装置1の内部に入ることを防止することができる。突起部30aが貫通孔20aから突出するように、突起部30aがスライドキー30のスライド板30bに形成されている。これによって、操作者がスライドキー30をスライド方向に操作しやすくなる。
【0025】
コイルスプリング41〜44のそれぞれは、両端を固定端とする弾性部材である。各コイルスプリングがスライドキー30のスライド板30bの外周に互いに異なる接点で接するように、各コイルスプリングの両端は、下ケース10の配置面10aに形成された凸状の取付部(ボス)で固定されている(図4,5参照)。例えば、コイルスプリング41の一方の固定端41aは、取付部11aで固定され、もう一方の固定端41bは、取付部11bで固定される。他のコイルスプリングも同様である。各コイルスプリングの両側の固定端に挟まれた中間部には、線材がコイル状に巻かれて所定値以上の長さを有するコイル部41c〜44cが形成されている。
【0026】
図4は、スライドキー30がX(−)方向にスライドした状態を示した図である。図5は、スライドキー30が斜め方向にスライドした状態を示した図である。コイルスプリング41〜44は、直交座標系の基準点である原点Oとの距離が等しい点を結んでできる仮想的な円の円周方向に並べられている。コイルスプリング41〜44は、スライドキー30の基準点(例えば、スライドキー30の中心点や重心点など)のXY平面上の位置を検出しやすくするという点で、その円周方向に等間隔に配置されることが好ましい。コイルスプリング41〜44は、スライドキー30の外周縁の外側に接した状態で並べられており、X軸正側方向であるX(+)方向,X軸負側方向であるX(−)方向,Y軸正側方向であるY(+)方向,Y軸負側方向であるY(−)方向の4方向に、スライドキー30のスライド板30b外側の円周方向に90°毎に配置されている。X(−)方向は、XY平面上でX(+)方向に対して180°反対向きの方向であり、Y(−)方向は、XY平面上でY(+)方向に対して180°反対向きの方向である。コイルスプリング41は、原点Oに対して正側のX軸上に配置され、コイルスプリング42は、原点Oに対して正側のY軸上に配置され、コイルスプリング43は、原点Oに対して負側のX軸上に配置され、コイルスプリング44は、原点Oに対して負側のY軸上に配置されている。原点Oは、操作荷重を受けていない初期状態におけるスライドキー30の初期位置に相当する。スライドキー30に与える操作荷重を解除すると、スライドキー30の外周に接した状態で配置されたコイルスプリングの弾性力による作用によって、スライドキー30の位置は初期位置に戻る。
【0027】
図4,5から明らかなように、1本のコイルスプリングを横荷重で撓ませて弾性変形させる方向(すなわち、X(+),X(−),Y(+),Y(−)の各軸の4方向)にスライドキー30をスライドさせるために必要な操作荷重に比べて、2本のコイルスプリングを横荷重で撓ませて弾性変形させる方向(すなわち、X軸とY軸に挟まれた斜め45°の4方向)にスライドキー30をスライドさせるために必要な操作荷重は大きいので、XY軸の4方向に操作したときの感覚とそれら各方向に挟まれた斜め4方向に操作したときの感覚とを変えることができる。
【0028】
なお、XY軸の4方向への操作荷重を斜め45°の4方向への操作荷重よりも大きくしたい場合には、コイルスプリングの配置位置を円周方向に45°ずらせばよい。また、コイルスプリングの弾性係数はそれぞれ同じであるが、異なってもよい。例えば、一のコイルスプリングの弾性係数は、該一のコイルスプリングにスライドキー30を挟んで対向する位置に配置されるコイルスプリングの弾性係数と同じくし、該一のコイルスプリングに円周方向に隣接するコイルスプリングの弾性係数と異なるようにする。具体例を挙げれば、スライドキー30を挟んで対向するコイルスプリング41と43の弾性係数を同じにし、スライドキー30を挟んで別の方向で対向するコイルスプリング42と44は、コイルスプリング41と43の弾性係数と異なる弾性係数にする。このように、本発明によれば、各コイルスプリングの円周方向での配置位置や弾性係数を変えることによって、操作荷重の大きさを操作方向に応じて自由に変えることができる。また、スライドキー30のスライド板30bの外周形状を変えても(例えば、円形に限らず、多角形にするなど)、操作荷重の大きさを操作方向に応じて自由に変えることができる。
【0029】
また、操作入力装置1の場合、操作入力を受けていない初期状態で、コイル部41c〜44cのそれぞれが、互いに異なる接点で、スライドキー30をその初期状態での初期位置に保持可能な付勢状態でスライドキー30のスライド板30bの外周に接している。これにより、一定値以上の操作荷重をスライドキー30に加えなければ、スライドキー30が初期位置からスライドし始めないようにすることができる。
【0030】
図6は、スライドキー30の移動量(スライド量)Wと操作入力の操作荷重Fとの関係図である。点直線L1は、各コイルスプリングが各接点でスライドキー30の外周に対して内側に付勢していない状態で接している場合を示し、実直線L2は、各コイルスプリングが各接点でスライドキー30の外周に対して内側に付勢した状態で接している場合を示している。実直線L2の場合、操作入力が付与されていない初期状態で、スライドキー30による一定の初期荷重f1が各コイルスプリングに横方向から付与されている。この横方向からの初期荷重によって、スライドキー30のスライド板30bが各コイルスプリングの中間部に内接するように、各コイルスプリングは撓んだ状態で弾性変形しているため、各コイルスプリングの弾性力(反発力)がスライドキー30の外周に対して内向きに作用している。したがって、実直線L2のように、各コイルスプリングに荷重f1を予め加えておくことによって(予荷重f1を加えておくことによって)、操作者による操作荷重に対してスライドキー30が過敏に反応してスライドすることを防ぐことができる。
【0031】
操作入力装置1の場合、予荷重f1を生じさせるため、図4,5に示されるように、操作入力を受けていない初期状態で、スライドキー30のスライド板30bの外周外側から、各コイルスプリングがスライドキー30のスライド板30bの外周に沿って撓んだ状態で接するように、各コイルスプリングの固定端が11a等の複数の取付部によって位置決めされている。
【0032】
図7は、本発明の第2の実施形態である操作入力装置2の斜視図である。図8は、操作入力装置2の分解斜視図である。上述の実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
【0033】
下ケース60は、スライドキー30と、スライドキー30のスライド方向の外周に接して支持された複数のコイルスプリング(操作入力装置2の場合、4つのコイルスプリング41〜44)とが配置される配置面60aを有する基部である。スライドキー30は、配置面60aに沿って各方向自在にスライドする。下ケース60は、樹脂製でもよいし、鉄やアルミニウムなどの金属製でもよい。
【0034】
スライドキー30は、下ケース60と上ケース70によってXY平面に平行な方向に移動可能に支持されている。スライドキー30のスライド板の上面に上ケース70の下面が接し、スライドキー30のスライド板の下面に下ケース60の配置面60aが接することによって、スライドキー30を、下ケース60と上ケース70との間に挟んで、XY平面に平行な方向に変位可能に支持することができる。突起部30aは、上ケース70の中央部に形成された孔70aを貫通し、上ケース70に収容されたXY変位分離機構(詳細は後述)も貫通し、上カバー100に形成された孔100aを貫通して、上カバー100の上面から露出する。下カバー80は、上ケース70と下ケース60を挟んで固定する。また、操作者の操作性を向上させるため、突起部30aの上部には、操作者の接触面が曲面で形成された接触部50が取り付けられる。
【0035】
コイルスプリング41〜44それぞれの両端は、上ケース70に形成された凸状の取付部(ボス)で固定されている。例えば、コイルスプリング41の一方の固定端41aは取付部76aで固定され、もう一方の固定端41bも同様に上ケース70に形成された取付部(斜視図により不図示)で固定される。他のコイルスプリングも同様である。
【0036】
XY変位分離機構は、Y方向に変位自在に取り付けられたY方向変位部71と、X方向に変位自在に取り付けられたX方向変位部72と、ストッパー73とを備える。X方向に延在するY方向変位部71の上側に、Y方向に延在するX方向変位部72が配置され、X方向変位部72の上側に、Y方向に延在するストッパー73が配置されている。スライドキー30の突起部30aは、Y方向変位部71の中央部にX方向に形成されたスライド溝71aと、X方向変位部72の中央部にY方向に形成されたスライド溝72aと、ストッパー73の中央部にY方向に形成されたスライド溝73aとを貫通する。突起部30aがXY変位分離機構をこのように貫通することにより、スライドキー30のXY平面上でのスライド方向とスライド量を、X方向の変位量とY方向の変位量として取り出すことができる。
【0037】
スライドキー30の動きは操作入力に応じて変化するので、スライドキー30の動きを検知することによって、スライドキー30の動きに対応した操作入力を検出することができる。操作入力の検出によって、検出された操作入力に応じた操作内容を所定のコンピュータに把握させることができる。
【0038】
図9は、スライドキー30の動きを検知する検知部90の構成図である。検知部90は、Y方向変位部71(図8参照)の下面に配置された接触端子95と、接触端子95に接触可能な位置に設けられたY方向に並走する2本の導体パターン91,92と、X方向変位部72(図8参照)の下面に配置された接触端子96と、接触端子96に接触可能な位置に設けられたX方向に並走する2本導体パターン93,94とを備えている。導体パターン91〜94は、フレキシブル基板などの基板に形成されるとよい。この基板には、図示のように、スライドキー30の突起部30aが貫通可能な孔が形成されている。
【0039】
導体パターン91には抵抗膜91bが更に形成され、導体パターン93には抵抗膜93bが更に形成されている。また、導体パターン91の一端に電極91aが形成され、導体パターン92の一端に電極92aが形成される。同様に、導体パターン93の一端に電極93aが形成され、導体パターン94の一端に電極94aが形成される。
【0040】
スライドキー30のY方向へのスライド移動に連動して接触端子95が導体パターン91と92に接触しながら同じY方向の向きにスライド移動するので、電極91aと電極92aとの間の抵抗値を検出することによって、スライドキー30のY方向の変位量を検出することができる。同様に、スライドキー30のX方向へのスライド移動に連動して接触端子96が導体パターン93と94に接触しながら同じX方向の向きにスライド移動するので、電極93aと電極94aとの間の抵抗値を検出することによって、スライドキー30のX方向の変位量を検出することができる。これらの抵抗値の検出手段は、操作入力装置2の外部装置に備えられてもよいし、操作入力装置2の内部に備えられてもよい。
【0041】
したがって、スライドキー30のXY平面上の位置を検知することができるので、スライドキー30を操作した操作者が意図した操作内容を、所定のコンピュータに把握させることができる。
【0042】
また、操作入力装置2の場合、スライドキー30とコイルスプリング41〜44と下ケース60から構成される「キー戻り機構」は、検知部90とXY変位分離機構から構成される「センサ機構」の下部に位置しているため、センサ機構に接触せずに上下方向に貫通する突起部30aを介して大きな上下方向の荷重がスライドキー30に付加されても、センサ機構に荷重が加わることを抑えることができる。なお、キー戻り機構とセンサ機構との位置関係は、操作入力装置2の場合に対して上下逆でもよい。
【0043】
また、操作入力装置2は、スライドキー30の移動に伴って変化する抵抗値を検出することによってスライドキー30の動きを検知するものであったが、スライドキー30の動きを検知する検知方法は、上述の方法に限らない。例えば、スライドキー30の移動に伴って変化する電界強度をホール素子やMR素子などの磁気センサによって検知することによって、スライドキー30の動きを検知してもよいし、スライドキー30の移動に伴って変化する静電容量を検出することによって、スライドキー30の動きを検知してもよい。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。
【0045】
例えば、スライドキー30の外周に接する弾性部材として、上述の実施形態ではコイルスプリングを例示したが、ゴムや板バネでもよい。
【0046】
また、操作入力装置は、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、操作者が触れる面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【0047】
また、上述の実施形態では、コイルスプリングを4本使用した例を示したが、2本又は3本、あるいは5本以上の弾性部材を使用してもよい。図10〜12は、スライド部材の外周と弾性部材との接触状態を模式的に示した図である。
【0048】
例えば、図10に示されるように、2本の弾性部材46,47の中間部46c,47cがスライド部材35の外周に接する構成でもよい。これにより、固定端の方向にスライド部材35をスライド操作するときの荷重を、中間部の方向にスライド部材35をスライド操作するときの荷重に比べて大きくすることができる。また、固定端46aと47aは同一の箇所で固定してもよいし、異なる箇所で固定してもよい。固定端46bと47bについても同様である。
【0049】
また、図11に示されるように、3本の弾性部材46〜48の中間部46c〜48cがスライド部材35の外周に接する構成でもよい。これにより、固定端の方向にスライド部材35をスライド操作するときの荷重を、中間部の方向にスライド部材35をスライド操作するときの荷重に比べて大きくすることができる。また、図10と同様、隣り合う弾性部材の一方の側の固定端は、同一の箇所で固定してもよいし、異なる箇所で固定してもよい。
【0050】
また、図12に示されるように、4本の弾性部材46〜49の中間部46c〜49cが接するスライド部材35(36,37)の外周形状は、円形に限らず、楕円形や、4角形や8角形などの多角形でもよい。また、図示のように弾性部材に接するスライド部材の接点部が円弧状であれば、弾性部材とスライド部材との摩擦を抑えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1,2 操作入力装置
10 下ケース
10a 配置面
10b スライド面
11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14b 取付部
20 上ケース
20a 貫通孔
30,35,36,37 スライド部材(スライドキー)
30a 突起部
41〜44 弾性部材(コイルバネ)
41a,41b 固定端
41c,42c,43c,44c 中間部(コイル部)
46〜49 弾性部材
50 接触部
60 下ケース
70 上ケース
71 Y方向変位部
72 X方向変位部
73 ストッパー
76a,77a,78b,79b 取付部
80 下カバー
90 検出部
91〜94 導体パターン
91a〜94a 電極
91b,93b 抵抗膜
95,96 接触端子
100 上カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力を受ける操作入力装置であって、
前記操作入力によりスライドするスライド部材と、
両端が固定された少なくとも3つ以上の弾性部材とを備え、
前記操作入力を受けていない初期状態で、前記弾性部材それぞれの中間部が互いに異なる接点で前記スライド部材の外周に接していることを特徴とする、操作入力装置。
【請求項2】
前記中間部が、前記初期状態で、前記スライド部材を前記初期状態での位置に保持可能な付勢状態で前記外周に接している、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記中間部が、前記初期状態で、前記外周に対して内側に向けて付勢する、請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記スライド部材の前記中間部に接している外周部分が、円弧状である、請求項1から3のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記弾性部材が、コイルスプリングである、請求項1から4のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記外周が円周であって、
前記弾性部材が、前記外周の円周方向に等間隔に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記弾性部材が、4つである、請求項6に記載の操作入力装置。
【請求項8】
操作入力を受ける操作入力装置であって、
前記操作入力によりスライドするスライド部材と、
両端が固定された少なくとも2つ以上の弾性部材とを備え、
前記操作入力を受けていない初期状態で、前記弾性部材それぞれの中間部が互いに異なる接点で、前記スライド部材を前記初期状態での位置に保持可能な付勢状態で前記スライド部材の外周に接していることを特徴とする、操作入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−159173(P2011−159173A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21541(P2010−21541)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】