説明

操作画面表示装置、画像形成装置および操作支援方法

【課題】階層化された複数の操作画面を上位から下位へ順々に選択して表示させる操作に手間取った操作者を支援する。
【解決手段】階層化された複数の操作画面を操作入力に応じて選択的に表示する操作画面表示装置に、計数部と支援表示部とを設ける。計数部は、階層における最上位ではない操作画面である予め定められた一つの特定下位画面Q41を表示させる最短の手順の操作に該当しない操作が行われた回数をカウントする。支援表示部は、計数部のカウント値が予め定められた閾値に達したときに特定下位画面Q41を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作画面を選択的に表示する操作画面表示装置、操作画面表示装置を有した画像形成装置および情報機器のための操作支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OA(Office Automation)機器と呼ばれるビジネスユースの情報機器の一つに複合機がある。近年の複合機は、画像形成装置としての基本機能であるコピーやプリントに加えて、イメージ入力、ファクシミリ通信、メール送受、およびドキュメントの保存などに利用可能な多機能周辺機器(MFP:Multifunction Peripherals)として知られている。
【0003】
複合機の操作パネルは、複数の操作画面を選択的に表示するためのディスプレイを有する。複数の操作画面は階層化され、ユーザの使い勝手が良いように各操作画面に配置する操作キーおよび各操作画面の階層順位が選定されている。一般に、操作の項目は大中小というように体系的に分類され、大項目の選択や指定のための操作画面が階層の上位に配置され、より小さい項目の選択や指定のための操作画面がより下位に配置される。そして、操作画面の表示は上位から下位へと切り替えられる。ユーザは、上位の操作画面で適切に操作することにより、所望の下位の操作画面を表示させることができる。
【0004】
複合機を含む情報機器に中には、操作画面における表示に用いられる言語をユーザが複数の言語から選択できるように構成されたものがある。言語選択のための操作画面(以下、言語選択画面という)が用意され、この言語選択画面でのユーザによる操作に応じて言語が切り替わる。この言語を切り替える機能は、理解し得る言語の異なる複数のユーザが情報機器を共同使用する使用環境において有用である。使用するときはいつも母国語に切り替えるユーザもいれば、詳細設定のような不慣れな操作を行うときだけ母国語での表示を望むユーザもいる。
【0005】
通常、操作画面の階層における言語選択画面の順位は最上位ではない。このため、言語の切り替えを望むユーザは、待機画面またはメニュー画面といった上位の操作画面から言語選択画面へと表示が進むように、所定の手順の操作を行わなければならない。この操作にユーザが手間取ることがある。例えば、英語しか理解できないユーザが、日本語表示を英語表示に切り替えようとするとき、日本語で表示される幾つかの操作画面を経て言語選択画面に辿り着く間に試行錯誤をすることは十分にあり得る。
【0006】
言語の切り替えに係わるユーザの負担を軽減する先行技術が特許文献1に開示されている。この技術は、ユーザを特定する個人認証データの入力に呼応して自動的に言語を切り替える。予め個人認証データに対応付けてユーザに適する言語を示す言語特定情報が登録される。個人認証データは指紋認証システムまたは他の個人認証手段によって入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−26972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の先行技術は、適用可能な機器や装置がユーザ認証を行うものに限られる。機器のもつ機能の全部または一部をユーザ認証なしに利用可能な場合には、言語選択画面を表示させようとするユーザが操作に手間取るおそれがある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、階層化された複数の操作画面を上位から下位へ順々に選択して表示させる操作に手間取った操作者を支援することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する装置は、階層化された複数の操作画面を操作入力に応じて選択的に表示する操作画面表示装置であって、階層における最上位ではない操作画面である予め定められた一つの特定下位画面を表示させる最短の手順の操作に該当しない操作が行われた回数をカウントする計数部と、前記計数部のカウント値が予め定められた閾値に達したときに前記特定下位画面を表示する支援表示部とを、備える。
【0011】
操作画面表示装置は、操作の状況を判断して必要に応じて自動的に支援をする機能を実現する。操作者は、特定下位画面を表示させたいときに、特定下位画面よりも上位の操作画面が表示された状態から始めて、最も操作回数の少ない最短の手順の操作を行って特定下位画面を表示させることができる。しかし、特定下位画面に近づかない選択肢を選択したり、下位から上位へ戻ったりというように、最短の手順の操作に該当しない操作が行われることもある。操作に迷った操作者が当てずっぽうの操作を繰り返すこともある。そこで、操作画面表示装置は、最短の手順の操作に該当しない操作が閾値以上の回数繰り返される状況を操作者が操作に迷っている状況とみなし、支援動作として特定下位画面を表示する。
【0012】
好ましい態様において、前記特定下位画面は、前記複数の操作画面に適用する言語をユーザが複数の選択肢から選択するための言語選択画面である。ユーザが言語選択画面を表示させようとする状況として、操作画面に適用されている言語をユーザが理解できない状況が想定される。この状況ではユーザが操作に迷い易いので、言語選択画面の自動的な表示が操作者の大きな支援と成り得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、階層化された複数の操作画面のうちの最上位ではない予め定められた一つの操作画面を表示させようとする操作者が長く手間取るのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る操作画面表示装置を有した複合機の構成を示す図である。
【図2】操作画面表示装置の機能構成を示す図である。
【図3】操作画面および操作キーの階層を示す図である。
【図4】操作画面の一つであるコピー基本画面を示す図である。
【図5】操作画面の一つであるメニュー画面を示す図である。
【図6】操作画面の一つであるユーザ設定画面を示す図である。
【図7】操作画面の一つである環境設定画面を示す図である。
【図8】操作画面の一つである言語選択画面を示す図である。
【図9】操作画面の一つである画面設定画面を示す図である。
【図10】操作画面の一つである優先画面選択画面の状態を示す図である。
【図11】優先画面選択画面の他の状態を示す図である。
【図12】操作画面の一つであるコピー設定画面を示す図である。
【図13】操作画面表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】操作画面表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
操作画面を表示する情報機器の一例として複合機を挙げる。複合機は画像形成装置やファクシミリ装置などとして利用可能なMFPである。例示する複合機は、各種の動作設定のために複数の操作画面をユーザによる操作に応じて選択的に表示する。「ユーザ」という用語は操作者を意味する。操作画面は階層化されているので、下位の操作画面を表示させたいユーザはそれより上位の操作画面で所定の操作を行う必要がある。下位の操作画面のうちの一つは、ユーザが操作画面の言語を選択して言語の切り替えを指示するための言語選択画面である。複合機は、言語選択画面を表示させようとするユーザを支援する機能として、予め“迷子キー”に選定された操作キーが繰り返し押下されたときに言語選択画面を表示する機能を有する。
【0016】
図1にハードウェア構成が示される複合機1は、操作パネル10、イメージスキャナ11、プリンタ12、用紙ストッカ13、電源回路14、制御回路15、画像処理回路16、ファクシミリ通信モデム17、外部接続インタフェース18およびストレージ19を備えており、操作パネル10と制御回路15で構成される操作画面表示装置2を含む。操作パネル10には操作画面を表示するためのディスプレイ21としてLCD(Liquid Crystal Display)が配置されている。イメージスキャナ11はカラー原稿の読取りが可能である。プリンタ13は、両面プリントのためのユニットを備えており、多段形式の用紙ストッカ13から供給される用紙の片面または両面にモノクロまたはカラーの画像をプリントする。電源回路24は複合機1の随所に必要とされる電力を供給する。制御回路15は、制御プログラムを記憶するROM151、制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)152、およびプログラム実行のワークエリアとして用いられるRAM153を有する。画像処理回路16はコピーやプリントにおけるビットマップ展開を含む種々の処理を担う。ファクシミリ通信モデム17は公衆回線による通信に用いられる。外部接続インタフェース18はLANケーブルとの接続に用いられる。ストレージ19はハードディスクドライブのような大容量記憶デバイスである。ストレージ19には、複合機1の制御に係わるデータを記憶するメモリ領域とともに、各種ドキュメントのファイルを保存するメモリ領域であるいわゆるボックスが設けられる。
【0017】
図2のように操作画面表示装置2は、上述のディスプレイ21、入力デバイス22、表示制御部23、計数部24、および支援表示部25を有する。本実施形態の入力デバイス22はタッチパネルである。タッチパネルはディスプレイ21の表示面に重なり、操作者である複合機1のユーザがタッチした表示面内の位置に応じた信号を出力する。表示制御部23、計数部24、および支援表示部25は、画面表示用プログラムとそれを実行するコンピュータとしての上記CPU152とで実現される機能要素である。
【0018】
表示制御部23はディスプレイ21に操作画面を表示させる。表示にはROM151またはストレージ19が記憶する階層化された複数の操作画面のデータが用いられる。ユーザによる操作に応じて表示制御部23によって表示が切り替えられる。表示制御部23は、表示している操作画面内の操作キーに対応する位置を示す信号が入力デバイス22から入力されると、当該操作キーが押下されたと認識する。
【0019】
計数部24は、言語選択画面を表示させるための最短の手順の操作に該当しない操作が行われた回数をカウントする。カウントされる操作は“迷子キー”の押下である。迷子キーは言語選択画面以外の操作画面から予め選ばれた複数の操作画面に配置されている。以下では計数部24によるカウントの値を“迷子カウント値”と呼称する。
【0020】
支援表示部25は、計数部24の迷子カウント値が予め定められた閾値に達するのに呼応して、その時点で表示されている操作画面に代えて言語選択画面を表示する。厳密には表示制御部23に言語選択画面の表示を指示する。言語選択画面は、操作画面に適用する言語の選択肢に対応した複数の操作キーを有する。言語選択画面においてユーザが操作キーを押下すると、その後に表示される操作画面の言語は押下された操作キーに対応した言語になる。
【0021】
以下に、操作画面表示装置2の機能をさらに詳しく説明する。
【0022】
複合機1では複数の操作画面が図3のように階層化されている。本実施形態において最上位とされる第1層の操作画面はメニュー画面Q11である。メニュー画面Q11は後述のコピー基本画面を含む大半の操作画面に配置されたメニューキー201が押下されると表示される。メニュー画面Q11には、五つの項目(「ユーザ設定」「ユーザ保守」「宛先登録」「管理者保守」「リストプリント」)のそれぞれに対応した操作キーが配置されている。2位の第2層は、ユーザ設定画面Q21および他の複数の操作画面Q22,Q23,Q24を有する。3位の第3層には、環境設定画面Q31、画面設定画面Q32、コピー設定画面Q33、およびプリンタ設定画面Q34が配置されている。4位の第4層は、言語選択画面Q41、優先画面選択画面Q42、および優先ファックス選択画面Q43を有する。第2層から第4層の操作画面のそれぞれは、一つ上位の操作画面内の操作キーの押下に呼応して表示される。なお、第2層から第4層において図示の省略された操作画面がある。
【0023】
言語選択画面Q41は第4層の操作画面である。言語選択画面Q41が表示されていない状態において、言語選択画面Q41を表示させるためにユーザが行うべき操作は、まず最上位のメニュー画面Q11を表示させてから、ユーザ設定画面Q21および環境設定画面Q31を順に経て言語選択画面Q41へ進む操作である。ここで、最初にメニュー画面Q11を表示させるのにユーザが手間取るという状況はあまりないと考えられる。すなわち、言語の切替えが可能であることを知っている、ある程度の操作知識を有するユーザであれば、メニューキー201を押下すればよいことに気がつく。過去に言語選択画面Q41を表示させたときのうろ覚えの記憶に基づいて、または当てずっぽうでメニューキー201が押下されるかもしれない。いずれにしてもユーザがメニューキー201を押下すると、メニュー画面Q11が表示される。
【0024】
メニュー画面Q11から言語選択画面Q41へ表示を遷移させる最短の手順は、メニュー画面Q11においてユーザ設定キーを押下し、ユーザ設定画面Q21が表示された後に最初に環境設定キーを押下し、環境設定画面Q31が表示された後に最初に言語選択キーを押下する手順である。本実施形態では、この最短の手順で押下されるべき操作キー以外の操作キーが、図3のように迷子キー300と非対象キー400とに分類されている。図3では迷子キー300が太い一点鎖線で囲まれ、非対象キー400が太い二点鎖線で囲まれている。
【0025】
迷子キー300は、第2層の操作画面のうちで上記最短の手順に対応するユーザ設定画面Q21および当該ユーザ設定画面Q21に従属する操作画面における、上記最短の手順で押下されるべき操作キー以外の操作キーである。「従属する操作画面」という用語は、ある操作画面よりも下位であってかつ当該操作画面からの画面遷移によって表示される操作画面を意味する。具体的には、図3の例において、環境設定画面Q31、画面設定画面Q32、コピー設定画面Q33、プリンタ画面Q34、優先画面選択画面Q42、および優先ファックス選択画面Q43がユーザ設定画面Q21に従属する。
【0026】
非対象キー400は、第1層のメニュー画面Q11および第2層以下の操作画面のうちで上記最短の手順に対応しない操作画面Q22,Q23,Q24における、上記最短の手順で押下されるべき操作キー以外の操作キーである。非対象キー400が繰り返し押下されても言語選択画面Q41は表示されない。すなわち、非対象キー400の押下は、計数部24によるカウントの対象外とされている。その理由は、ユーザが言語選択画面Q41を表示させようとしていないのに言語選択画面Q41を自動的に表示するのは操作の支援に当たらないからである。ユーザがどのような意図で操作をしているかを複合機1が真に判別することはできない。しかし、上記最短の手順からかけ離れた操作が行われている状況はユーザが言語選択画面Q41を表示させようとしている状況ではない確率が大きい。このような考えに基づいて非対象キー400が選ばれている。
【0027】
次に、操作画面の構成を示す図4〜図12を参照して画面遷移の例を説明する。例示では、ユーザが上記最短の手順に沿ってメニュー画面Q11からユーザ設定画面Q21へと操作を進め、その後に操作に手間取っている状況が想定されている。手間取っている状況は、ユーザ設定画面Q21から画面設定画面Q32を経て優先画面選択画面Q42へ進み、優先画面選択画面Q42で設定内容を変更し、さらにその後も最短の手順の操作に該当しない操作キーを押下するというものである。
【0028】
複合機1がユーザによる操作入力を待つ待機状態では、操作パネル10のディスプレイ21において図4に示すコピー基本画面Q10が表示される。コピー基本画面Q10は、メニューキー201、リセットキー202、および他の操作キーやメッセージを表示するための領域203を有する。コピー基本画面Q10が表示された状態で、操作パネル10内の図示しないスタートボタンをユーザが押下すると、コピー動作が開始される。ユーザがメニューキー201を押下すると、コピー基本画面Q10に代わってメニュー画面Q11が表示される。図4中の太い破線の囲みは、囲まれた操作キーが押下されることを表わす。以降の図においても押下される操作キーが図4と同様に太い破線の囲みで表わされる。
【0029】
最短の手順で操作が行われた場合には、図5〜図8で示される操作画面が順に表示される。
【0030】
図5のように、メニュー画面Q11は上記最短の手順に該当するユーザ設定キー211と、非対象キー400である四つの操作キー212,213,214,215とを有する。ユーザがユーザ設定キー211を押下すると、メニュー画面Q11に代わって図6に示すユーザ設定画面Q21が表示される。
【0031】
図6のように、ユーザ設定画面Q21は上記最短の手順に該当する環境設定キー221と、迷子キー300である画面設定キー222と、同じく迷子キー300である二つの操作キー223,224とを有する。図6(A)のようにユーザが環境設定キー221を押下すると図7に示す環境設定画面Q31が表示される。
【0032】
図7のように、環境設定画面Q31は上記最短の手順に該当する言語選択キー231と、迷子キー300である二つの操作キー232,233とを有する。ユーザが言語選択キー231を押下すると環境設定画面Q31に代わって図8に示す言語選択画面Q41が表示される。
【0033】
図8のように、言語選択画面Q41は、切り替え可能な言語の選択肢にそれぞれ対応する六つの操作キー241a,241b,241c,241d,241e,241fを有する。これら操作キー241a〜241fでは言語名がそれぞれ対応する言語で表記されている。全ての言語名を現在の設定で適用されている言語で表記してもよい。例示では、英語、日本語、フランス語、イタリア語、ドイツ語およびスペイン語のいずれかを選択することができる。ただし、言語の種類および数は例示に限らない。ユーザが操作キー241a〜241fのいずれかを押下すると、言語選択画面Q41内の操作キー241a〜241fを除く操作キーの表記が押下に対応した言語に切り替わる。その後、ユーザがキャンセルキー242を押下すると、操作キーの表記が戻される。ユーザがOKキー243を押下すると、以降に表示される操作画面の言語がユーザの選択した言語となる。
【0034】
図6(B)に戻って、ユーザ設定画面Q21においてユーザが迷子キーの一つである画面設定キー222を押下すると、図9に示す画面設定画面Q32が表示される。このとき、計数部24は画面設定キー222の押下に呼応して迷子カウント値に1を加える。ここでは、迷子カウント値が0から1に更新されるものとする。
【0035】
図9のように、画面設定画面Q32は迷子キー300である優先画面選択キー234および優先ファックス選択キー235を有し、上記最短の手順に該当する操作キーを有していない。ユーザが優先画面選択キー234を押下すると、画面設定画面Q32に代わって図10に示す優先画面選択画面Q42または図11に示す優先画面選択画面Q42bが表示される。どちらが表示されるかは、その時点の設定に依存する。図4のコピー基本画面Q10が表示されるデフォルトの設定であれば、図10の優先画面選択画面Q42が表示される。計数部24は優先画面選択キー234の押下に呼応して迷子カウント値に1を加える。これにより迷子カウント値は2に更新される。
【0036】
図10および図11のように、優先画面選択画面Q42,Q42bは迷子キー300である二つの操作キー244,245を有する。優先画面選択画面Q42では操作キー244の強調表示によってコピー優先であることが示され、逆に優先画面選択画面Q42bでは操作キー245の強調表示によってファックス優先であることが示される。操作キー247(OKキー)は、操作キー244,245の強調表示によって示される設定状態の確定をユーザが指示するために設けられている。
【0037】
例えば、図10の優先画面選択画面Q42において設定変更を指示する操作である操作キー245の押下が行われると、優先画面選択画面Q42に代わって図11の優先画面選択画面Q42bが表示される。その後、優先画面選択画面Q42bにおいて操作キー247が押下されたとき、表示制御部23は迷子カウント値が1以上である状態での優先画面選択画面Q42,Q42bにおける設定変更操作(操作キー244,245の押下)が何回行われたかをチェックする。これは、行われた操作がでたらめな操作か意図的な操作かの見極めといえる。設定変更操作が1回であれば、表示制御部23は設定変更を保留して変更内容を記憶しておく。2回以上であれば、表示制御部23は設定変更を確定させるとともに、計数部24に迷子カウント値のクリアを指示する。指示を受けた計数部24は迷子カウント値を初期値の0に戻す。つまり、設定変更の指示が意図的であって、ユーザは操作に迷ってはいないとみなされる。保留された設定変更は後述の言語選択画面Q41のポップアップ表示が行われるときに無効とされ、その際に設定状態は変更指示前の状態とされる。
【0038】
優先画面選択画面Q42,Q42bで操作キー246(キャンセルキー)または操作キー247(OKキー)をユーザが押下すると、優先画面選択画面Q42,Q42bが従属する一つ上位の操作画面である図9の画面設定画面Q32に表示が戻される。その後、リセットキー202が押下されて図4のコピー基本画面Q10に戻るか、メニューキー201が押下されて図5のメニュー画面Q11に戻るかして、さらに図6のユーザ設定画面Q21やそれより下位の操作画面で迷子キー300が押下されると、押下ごとに計数部24は迷子カウント値を1ずつインクリメントする。例えば、図12のコピー設定画面Q33の操作キー236,237,238の押下が計数部24によりカウントされる。
【0039】
予め迷子カウント値に関して迷子状態判定の基準となる閾値(例えば6とか10)が登録されている。ユーザは図示しない環境設定画面において操作支援機能のオンオフを選択するとともに、この閾値を指定することができる。計数部24の迷子カウント値が閾値に達したとき、支援表示部25は図8に示した言語選択画面Q41をポップアップ表示させる。この動作における迷子カウント値と閾値との比較は、ユーザが操作に手間取っている迷子状態であるか否かの状況判断に相当する。
【0040】
ポップアップ表示された言語選択画面Q41においてユーザが何らかの操作を行うと、表示制御部23は計数部24に迷子カウント値のクリアを指示する。計数部24は迷子カウント値を初期値の0に戻す。つまり、ユーザの操作が迷子状態の解消の証しであるとみなされる。また、保留されている設定変更があれば、その設定変更を無効にする。
【0041】
図5に戻って、ユーザがメニュー画面Q11の操作キー212,213,214,215のいずれかを押下しても、計数部24は迷子カウント値を更新しない。操作キー212,213,214,215が上述した非対象キー400に定められているからである。メニュー画面Q11に従属する操作画面において非対象キー400が押下されたときも、計数部24は迷子カウント値を更新しない。
【0042】
以上の動作におけるキー操作に対する応答の概要が図13および図14のフローチャートに示される。
【0043】
言語選択画面Q41をポップアップ表示する操作支援処理は、迷子状態を検出するモード(支援モード)がオンに設定されている場合に実行される(#1)。
【0044】
コピー基本画面Q10または他のモジュール基本画面におけるメニューキー201の押下によって、図3に示した階層化された複数の操作画面の選択的な表示が開始される(#2〜#4)。上記最短の手順に沿う一連の操作が行われると、表示制御部23はメニュー画面Q11から言語選択画面Q41へと順次に表示を切り替える(#5、#7、#9、#11)。
【0045】
メニュー画面Q11において、ユーザ設定キー211以外の他の操作キー(すなわち非対象キー)が押下されると、押下に応じた画面を表示する処理を実行するために、表示制御部23は操作支援処理を抜ける(#4、#9)。
【0046】
ユーザ設定画面Q21において、環境設定キー221以外の他の操作キー(すなわち迷子キー)が押下されると(#8)、計数部24が迷子カウント値をインクリメントする(図14の#12)。それにより迷子カウント値が閾値以上になれば、支援表示部25が言語選択画面Q41をポップアップ表示させる(#13、#14)。迷子カウント値が閾値未満であれば、表示制御部23はユーザ設定画面Q21またはそれに従属する操作画面でのキー押下を監視する(#13、#15)。
【0047】
環境設定画面Q31において、言語選択キー231以外の他の操作キー(すなわち迷子キー)が押下されると(#10)、計数部24が迷子カウント値をインクリメントする(図14の#16)。それにより迷子カウント値が閾値以上になれば、支援表示部25が言語選択画面Q41をポップアップ表示させる(#17、#18)。迷子カウント値が閾値未満であれば、表示制御部23は環境設定画面Q31またはそれに従属する操作画面でのキー押下を監視する(#17、#19)。
【0048】
以上の実施形態において、言語選択画面Q41を強制的に表示させる条件を適宜選定することができる。例えば、メニューキー201の押下以後の迷子キー300の押下の間隔が設定時間よりも短い場合に限って押下の回数をカウントしてもよい。表示制御部23または計数部24に押下の間隔を計時するタイマを設ければよい。また、迷子キー300が押下された後にリセットキー202が押下され、再び迷子キー300が押下された場合に、計数部24の迷子カウント値が閾値未満であっても言語選択画面Q41をポップアップ表示させてもよい。
【0049】
計数部24の迷子カウント値の閾値および操作の時間間隔を計時する上記タイマの閾値を、複合機1に接続された外部の管理装置(例えば、サーバ)からの遠隔操作により設定してもよい。閾値および支援モードのオンオフの設定手段はソフトスイッチに限らず、ディップスイッチまたは他の機械スイッチであってもよい。迷子カウント値の閾値は例示の6や10に限らず、ユーザの使い勝手の良いように適宜設定されるべきものである。
【0050】
ポップアップ表示させる操作画面は言語選択画面Q41に限らず、階層の最上位でない任意の操作画面を支援機能による表示の対象として選定することができる。迷子キー300および非対象キー400を適宜選定することができる。実際の使用状況を調べて分析した結果に基づいて選定してもよい。
【0051】
支援機能をもつ操作画面表示装置2を備える情報機器は複合機1に限らず、階層化された複数の操作画面を選択的に表示する操作部を有するものであればよい。
【符号の説明】
【0052】
1 複合機(情報機器)
2 操作画面表示装置
21 ディスプレイ
23 表示制御部
24 計数部
25 支援表示部
300 迷子キー
400 非対象キー
Q11 メニュー画面(操作画面)
Q21 ユーザ設定画面(操作画面)
Q31 環境設定画面(操作画面)
Q32 画面設定画面(操作画面)
Q41 言語選択画面(特定下位画面として定められた操作画面)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層化された複数の操作画面を操作入力に応じて選択的に表示する操作画面表示装置であって、
階層における最上位ではない操作画面である予め定められた一つの特定下位画面を表示させる最短の手順の操作に該当しない操作が行われた回数をカウントする計数部と、
前記計数部のカウント値が予め定められた閾値に達したときに前記特定下位画面を表示する支援表示部とを、備える
ことを特徴とする操作画面表示装置。
【請求項2】
前記特定下位画面は、前記複数の操作画面に適用する言語をユーザが複数の選択肢から選択するための言語選択画面である
請求項1記載の操作画面表示装置。
【請求項3】
前記計数部は、2位以下の操作画面が表示された状態を最上位の操作画面が表示される状態に戻す操作が行われた後に、前記最短の手順の操作に該当しない操作が行われた回数のみをカウントする
請求項1または2記載の操作画面表示装置。
【請求項4】
前記計数部は、予め定められた時間よりも短い間隔で行われた前記最短の手順の操作に該当しない操作の回数のみをカウントする
請求項1または2記載の操作画面表示装置。
【請求項5】
前記計数部は、前記特定下位画面よりも上位の操作画面のうちの一部である予め定められた操作画面が表示された状態での操作の回数をカウントしない
請求項1または2記載の操作画面表示装置。
【請求項6】
前記計数部のカウント値が前記閾値未満である状態において、予め定められた設定変更操作が行われた場合に、前記支援表示部が前記特定下位画面を表示するのに呼応して、設定変更操作によって変更された設定を元に戻す制御部をさらに備える
請求項1または2記載の操作画面表示装置。
【請求項7】
前記計数部は、
前記特定下位画面が表示された状態で設定変更でない操作が行われた場合か、前記特定下位画面が表示された状態で当該状態を最上位の操作画面が表示される状態に戻す操作が行われた場合か、または前記計数部のカウント値が1以上でかつ前記閾値未満である状態で設定変更操作が複数回行われた場合に、カウント値を初期値に戻す
請求項1または2記載の操作画面表示装置。
【請求項8】
前記計数部は、前記最短の手順の操作に該当しない操作か行われてから次に当該操作が行われるまでの経過時間が予め定められた時間に達した場合に、カウント値を初期値に戻す
請求項1または2記載の操作画面表示装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の操作画面表示装置と、
前記操作画面表示装置によって操作画面が表示される操作パネルと、
前記操作パネルによって操作されるプリンタと、を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
階層化された複数の操作画面を選択的に表示するためのディスプレイを有し、かつ前記操作画面に適用する言語の切り替えが可能な情報機器であって、
階層における最上位ではない操作画面の一つであって前記言語をユーザが複数の選択肢から選択するための言語選択画面を表示させる最短の手順の操作に該当しない操作が行われた回数をカウントする計数部と、
前記計数部のカウント値が予め定められた閾値に達したときに前記言語選択画面を表示する支援表示部とを、備える
ことを特徴とする情報機器。
【請求項11】
階層化された複数の操作画面を選択的に表示するためのディスプレイを有しかつ前記操作画面に適用する言語の切り替えが可能な情報機器のための操作支援方法であって、
前記言語をユーザが複数の選択肢から選択するための言語選択画面の階層における順位が最上位ではない場合に、当該言語選択画面を表示させる最短の手順の操作に該当しない操作が当該言語選択画面以外の操作画面が表示された状態において行われた回数をカウントし、カウント値が予め定められた閾値に達したときに前記言語選択画面を前記ディスプレイに表示させる
ことを特徴とする操作支援方法。
【請求項12】
階層化された複数の操作画面を操作入力に応じて選択的に表示する操作画面表示装置に用いられるコンピュータのためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータによって実行されたときに、
階層における最上位ではない操作画面である予め定められた一つの特定下位画面を表示させる最短の手順の操作に該当しない操作が行われた回数をカウントする計数手段と、
前記計数手段のカウント値が予め定められた閾値に達したときに前記特定下位画面を表示する支援表示手段とを実現させる
ことを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−204790(P2010−204790A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47687(P2009−47687)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】