操作装置
【課題】全体の小型化が可能であり、操作性がよい操作装置を提供する。
【解決手段】複数の選択項目を有する2以上の設定モードを備え、所定の設定モードを選択し、所定の選択項目を選択するための操作装置10であって、回転操作が可能で、かつ、回転中心の軸方向に沿って移動可能に配設したダイヤルノブ16と、ダイヤルノブ16の回転方向および回転量を検出する回転操作検出手段と、ダイヤルノブ16の軸方向に沿った移動位置を検出する押込位置検出手段と、押込位置検出手段によって検出した移動位置に応じて複数の設定モードのうち予め設定された所定の設定モードに変更するとともに、回転操作検出手段によって検出したダイヤルノブ16の回転操作に応じて選択した設定モード中の選択項目を変更する変更手段と、を備えた構成としている。
【解決手段】複数の選択項目を有する2以上の設定モードを備え、所定の設定モードを選択し、所定の選択項目を選択するための操作装置10であって、回転操作が可能で、かつ、回転中心の軸方向に沿って移動可能に配設したダイヤルノブ16と、ダイヤルノブ16の回転方向および回転量を検出する回転操作検出手段と、ダイヤルノブ16の軸方向に沿った移動位置を検出する押込位置検出手段と、押込位置検出手段によって検出した移動位置に応じて複数の設定モードのうち予め設定された所定の設定モードに変更するとともに、回転操作検出手段によって検出したダイヤルノブ16の回転操作に応じて選択した設定モード中の選択項目を変更する変更手段と、を備えた構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少ない操作部数で多機能な操作が可能な操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の空調装置用操作装置は、車内の温度調節を行う温度設定モードの切換操作部と、車内への送風量調節を行う風量設定モードの切換操作部と、車内への吹出口調節を行う風向設定モードの切換操作部とを備えている。そして、これら切換操作部は、それぞれ回転操作が可能なダイヤルノブにより構成されている。また、操作装置は、これら切換操作部の他に、空調装置を動作および停止するためのスイッチや、コンプレッサを動作および停止するためのオンオフスイッチからなる操作部を備えている。
【0003】
ダイヤルノブやスイッチなどの操作部は、ある程度の小型化は可能である。しかし、この操作装置を実際に操作する乗員の多くは運転者である。そのため、操作部を小型化した場合には、運転者が位置を確認するために、運転中に何回も視点を変える必要があるため好ましくなく、逆に大きい方が好ましい。しかし、3個のダイヤルノブと複数のスイッチとを搭載した場合には、操作装置が大型化して外観が悪くなる。
【0004】
そこで、特許文献1では、各設定モードの切り換えをプッシュスイッチによって変更する構成とし、1個のダイヤルノブで選択している設定モード中の選択項目を変更可能とした操作装置が提供されている。
【特許文献1】特開2006−199199号公報
【0005】
しかし、この特許文献1の操作装置では、プッシュスイッチを操作してモード変更を行った後に、ダイヤルノブに手を延ばして(変更して)選択項目を変更する必要がある。そのため、1つの設定モードの選択項目を変更する際に、2箇所のスイッチの位置を確認する必要があるため、やはり操作性が悪いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、全体の小型化が可能であり、操作性がよい操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の操作装置は、複数の選択項目を有する2以上の設定モードを備え、所定の設定モードを選択し、所定の選択項目を選択するための操作装置であって、回転操作が可能で、かつ、回転中心の軸方向に沿って移動可能に配設したダイヤルノブと、前記ダイヤルノブの回転方向および回転量を検出する回転操作検出手段と、前記ダイヤルノブの軸方向に沿った移動位置を検出する押込位置検出手段と、前記押込位置検出手段によって検出した前記ダイヤルノブの移動位置に応じて複数の設定モードのうち予め設定された所定の設定モードに変更するとともに、前記回転操作検出手段によって検出した前記ダイヤルノブの回転操作に応じて選択した設定モード中の選択項目を変更する変更手段と、を備えた構成としている。
【0008】
この操作装置によれば、回転可能かつ軸方向に移動可能にダイヤルノブを設け、ダイヤルノブの軸方向の移動位置によって複数の設定モードのうち所定の設定モードを変更可能に選択できる。そして、この状態で、ダイヤルノブを回転させることにより、選択した設定モード中の選択項目を変更することができる。よって、ダイヤルノブの数は勿論、選択用のプッシュスイッチの数も削減できる。その結果、全体の小型化を図ることができるとともに、設計(デザイン)の自由度も向上できる。しかも、所定の設定モード中の選択項目を変更する際には、ダイヤルノブの位置を1回確認するだけで良いため、操作性を飛躍的に向上することができる。
【0009】
この操作装置では、前記押込位置検出手段は、前記ダイヤルノブに固定した可動電極と、前記可動電極の対向位置に設けた固定電極と、前記可動電極と固定電極との間隔の変化によって生じる電気的変化を検出することにより、前記ダイヤルノブの押込位置を可動電極と固定電極とが非接触状態で検出する検出回路と、を備えることが好ましい。このように、可動電極と固定電極とが接触しない構成とすることにより、押込位置を検出するために物理的な作用を無くすことができる。よって、スムーズなダイヤルノブの操作が可能になるうえ、接点部分がないため信頼性および耐久性を向上できる。
【0010】
この場合、前記ダイヤルノブの把持部を、前記可動電極に対して電気的導通が可能な導通部とし、前記検出回路は、固定電極を介して入力される電気的変化により、人体の接触状態および非接触状態を検出することが好ましい。このようにすれば、振動が加わったり、意図しない物理的外力が加わることにより、ダイヤルノブが回転しても、選択項目が変更されることを防止できる。そして、このように構成するために、可動電極側に複雑な電気回路や電源を設ける必要がないため、簡単に構成することが可能である。
【0011】
また、前記ダイヤルノブは、前記押込位置検出手段を配設した基板に回転可能および軸方向に移動可能に保持されるもので、前記基板に固定され、前記ダイヤルノブを保持するベース部と、前記ダイヤルノブを基板に対して離反する方向に付勢するスプリングと、前記スプリングの端部と基板との間に配設したボール部材と、前記ダイヤルノブの基板に対する離反を規制するホルダーと、を備えることが好ましい。このようにすれば、ダイヤルノブを安定状態で回転および進退させることができる。また、ダイヤルノブは、軸方向に押圧力を負荷し、進出した第1移動位置から押し込んだ第2移動位置に移動させた状態で、負荷を解除すると、スプリングの付勢力によって第1移動位置に戻る。そのため、この第1移動位置を、頻繁に使用する可能性が高い設定モードに割り当てることにより、更に利便性の向上を図ることができる。
【0012】
なお、この操作装置は、車両の空調装置の設定を変更するために適用することにより、特に有効である。即ち、車内の温度調節を行う温度設定モード、車内への送風量調節を行う風量設定モードおよび車内への吹出口調節を行う風向設定モードを備え、各設定モードの選択項目を変更して車内の空調を行う空調装置の操作装置において、前記構成とすることが好ましい。
【0013】
この場合、ダイヤルノブをスプリングの付勢力で第1移動位置に保持する構成では、第1移動位置で変更を可能とする設定モードは、温度設定モードのように、オートモードおよびマニュアルモードのいずれでも使用するものに設定することが好ましい。また、第2移動位置で変更を可能とする設定モードは、車内への送風量調節を行う風量設定モードや車内への吹出口調節を行う風向設定モードなど、オートモードを選択している場合に使用頻度が極めて少ないものに設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の操作装置では、1個のダイヤルノブの軸方向の移動位置によって複数の設定モードのうち所定の設定モードを変更可能に選択できるうえ、所定の設定モードを選択した状態で、ダイヤルノブを回転させることにより、選択した設定モード中の選択項目を変更することができる。よって、ダイヤルノブの数は勿論、モード選択用のプッシュスイッチの数も削減できるため、全体の小型化を図ることができるとともに、設計(デザイン)の自由度も向上できる。しかも、所定の設定モード中の選択項目を変更する際には、ダイヤルノブの位置を1回確認するだけで良いため、操作性を飛躍的に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
本発明に係る実施形態の操作装置10は、図1に示すように、例えば車両のインストルメントパネルに装着された液晶パネル1の下部に配設され、複数の選択項目を有する2以上の設定モードを備えた空調装置の設定モードおよび選択項目を変更するためのものである。
【0017】
まず、車両の空調装置は、コンプレッサから吐出された冷媒を車外側熱交換器、減圧弁および車内側熱交換器へと流動させる冷房サイクルと、車内側熱交換器、減圧弁および車外側熱交換器へと流動させる暖房サイクルとを備えている。そして、これら冷房サイクルと暖房サイクルとは、本発明の操作装置10の操作によって四方弁が動作されて、切り換えられる。また、車内の温度調節、車内への送風量調節および車内への吹出口変更も、同様に操作装置10の操作によって切り換えられるものである。
【0018】
また、液晶パネル1は、本発明の操作装置10の操作による空調装置の動作の設定状態を表示するものである。この液晶パネル1には、上側に温度設定モードの選択項目である設定温度を示す温度設定表示部2が設けられている。この温度表示部の下側には、風向設定モードの選択項目である吹出口(方向)を示す風向設定表示部3が設けられている。この風向設定表示部3の下側には、風量設定モードの選択項目である吹出口からの送風量を示す風量設定表示部4が設けられている。そして、風向設定表示部3の右側には、風向設定および風量設定を車内のセンサの検出値に基づいて自動変更するオートモード、および、前記設定を乗員によって手動変更するマニュアルモードの選択状態を示す変更設定表示部5が設けられている。
【0019】
そして、本実施形態の操作装置10は、空調装置の機能であるオートモードおよびマニュアルモードを変更する。また、温度設定モード、風向設定モードおよび風量設定モードのうち、所定の設定モードを選択し、かつ、各設定モードで予め設定された複数の選択項目を、所定の項目に変更するためのものである。
【0020】
具体的には、第1実施形態の操作装置10は、5個のスイッチ11〜15と、1個のダイヤルノブ16とを備えている。
【0021】
各スイッチ11〜15は、押圧操作により一対の接点が接触し、押圧操作を解除することにより接点が離反する常開のプッシュスイッチからなる。そのうち、最上部に位置するオンスイッチ11は、空調装置の動作を開始するためのものである。その下部のオフスイッチ12は、空調装置の動作を停止するためのものである。その下部のエアコンスイッチ13は、コンプレッサの駆動および停止を順番に変更するためのものである。その下部のオートスイッチ14は、空調装置の制御を自動のオートモードに設定するためのものである。その下部のモードスイッチ15は、風向設定モードの選択項目を変更するためのものである。具体的には、このモードスイッチ15は、操作前の状態がオートモードの場合、操作によりマニュアルモードに変更し、かつ、風向設定モードの選択項目を、操作前の選択項目の次の項目に変更するものである。また、操作前の状態がマニュアルモードの場合、操作によりマニュアルモードを維持し、かつ、風向設定モードの選択項目を、操作前の選択項目の次の項目に変更するものである。
【0022】
前記ダイヤルノブ16は、図2(A)に示すように、プリント基板27に固定したベース部32に対して外嵌するように装着し、その外周部をホルダー34により離脱不可能に規制することにより、プリント基板27に対して回転可能で、かつ、回転中心の軸方向に沿って移動可能に配設したものである。そして、このダイヤルノブ16の回転方向および回転量を後述するマイコン42により検出し、該マイコン42を介して温度設定モードまたは風量設定モードの選択項目を変更する。また、このダイヤルノブ16の軸方向に沿った移動位置をマイコン42により検出し、選択項目を変更する設定モードを、温度設定モードおよび風量設定モードのいずれかに変更するものである。
【0023】
具体的には、ダイヤルノブ16は、下端開口の円筒形状をなす樹脂製のもので、その開口端には可動電極部17が設けられている。この可動電極部17は、樹脂の表面に導電性メッキを施すことにより、該ダイヤルノブ16に固定した状態で設けられている。具体的には、この可動電極部17は、図2(B)に示すように、開口端から周方向に所定間隔をもって設けた回転検出用可動接点部18と、開口端面からなる円環状の押込検出用可動接点部19とを備えている。そのうち、回転検出用可動接点部18は、径方向外向きに突出する6個の突片20が設けられ、各突片20の先端部に設けられている。また、このダイヤルノブ16の外周部は、乗員が回転操作を行うための把持部21を構成する。この把持部21は、表面に可動電極部17に対して電気的導通を可能とするために導電性メッキを施した導通部としている。
【0024】
また、ダイヤルノブ16には、開口端面の対向位置に、一対の付勢手段配設部22が設けられている。この付勢手段配設部22は、開口端面から閉鎖端に向けて円形状をなすように延びるもので、その内部には、ダイヤルノブ16をプリント基板27に対して離反する方向に付勢するスプリング23と、該スプリング23の端部と基板との間に位置されるボール部材24とが配設されている。また、ダイヤルノブ16の内部には、別体の回転子25が配設されている。これらダイヤルノブ16と回転子25とは、ダイヤルノブ16の内周部に設けたスライド溝48と、回転子25の外周部に設けた凸部49との係合により、一体的に回転可能で、かつ、ダイヤルノブ16の回転中心の軸方向に沿って移動可能に取り付けられている。この回転子25には、その開口端に径方向内向きに突出する係止爪部26が設けられている。
【0025】
前記プリント基板27は、図2(C)に示すように、ダイヤルノブ16の可動電極部17の対向位置に設けた固定電極部28を備えている。この固定電極部28は、周方向に所定間隔をもって複数設けた回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6と、これらの内部に位置する円環状をなす押込検出用固定接点部30とを備えている。即ち、本実施形態では、6個の回転検出用可動接点部18に対して、それぞれ3個の回転検出用固定接点部29A1,29B1,29C1〜29A6,29B6,29C6を設けた構成としている。また、プリント基板27には、一対のホルダー固定孔31が設けられている。
【0026】
前記ベース部32は、下端開口の円筒状をなす樹脂製のもので、その外周部の開口端面に軸方向に延びるネジ孔が形成され、プリント基板27に対してネジ止めにより固定されるものである。このベース部32の開口端の外周部には、段状をなすように係止溝33が設けられている。この係止溝33には、ダイヤルノブ16を組み付けた状態で、回転子25の係止爪部26が係止する。これにより、回転子25は、ベース部材32に対して回転可能および軸方向に移動不可能に保持される。従って、回転子25と一体的に回転するダイヤルノブ16は、回転子25を介してベース部材32に回転可能に保持される。
【0027】
前記ホルダー34は、ダイヤルノブ16の突片20の表面を覆う表面被覆部35と、該表面被覆部35の外端縁から突片20の側面を覆うように突出した側面被覆部36とを備えた円環状のものである。そして、このホルダー34の側面被覆部36には、プリント基板27のホルダー固定孔31を貫通する一対の固定片37が設けられている。そして、このホルダー34の表面被覆部35がダイヤルノブ16の突片20に係合することで、ダイヤルノブ16をベース部材32に対して軸方向に沿った外向きの移動を規制する構成としている。
【0028】
このようにベース部32、回転子25およびホルダー34を介して装着したダイヤルノブ16は、回転子25を介してのベース部32による保持、および、ホルダー34の表面被覆部35による突片20の被覆により、プリント基板27に対して回転可能に保持される。また、ダイヤルノブ16は、ボール部材24を介したスプリング23の付勢力により、プリント基板27に対して離反した第1移動位置に付勢されている。さらに、ダイヤルノブ16は、プリント基板27に向けて押圧されると、回転子25の外周面でガイドされた状態で、スプリング23の付勢力に抗して回転中心である軸方向に沿って近接した第2移動位置に移動できる。また、その押圧が解除されると、スプリング23の付勢力によって第2移動位置から第1移動位置に移動され、ホルダー34により外向きの移動が所定位置で規制される。なお、第1移動位置では、ダイヤルノブ16の可動電極部17とプリント基板27の固定電極部28との間に、所定の隙間S(例えば0.3mm)が形成され、非接触状態を維持する。
【0029】
前記プリント基板27は、図示しない別体の制御基板に接続されている。この制御基板には、図3に示すように、回転検出用固定接点部29A1〜29A6に接続される第1回転操作検出回路38と、回転検出用固定接点部29B1〜29B6に接続される第2回転操作検出回路39と、回転検出用固定接点部29C1〜29C6に接続される第3回転操作検出回路40と、押込検出用固定接点部30に接続される押込操作検出回路41とが実装されている。また、制御基板には、スイッチ11〜15の操作、各検出回路38〜41を介して検出したダイヤルノブ16の操作に基づいて、液晶パネル1および空調装置を構成する各機構(駆動部品)を制御する制御部としてマイコン42が実装されている。
【0030】
各検出回路38〜41は、それぞれ図4に示すように、発振器43に並列接続された比較器44(EXOR回路)を備えている。そして、第1回転操作検出回路38の比較器44の入力部Yには、回転検出用固定接点部29A1〜29A6が接続されている。また、第2回転操作検出回路39の比較器44の入力部Yには、回転検出用固定接点部29B1〜29B6が接続されている。また、第3回転操作検出回路40の比較器44の入力部Yには、回転検出用固定接点部29C1〜29C6が接続されている。また、押込操作検出回路41の比較器44の入力部Yには、押込検出用固定接点部30が接続されている。さらに、比較器44の出力部Zには、複数の波形をマイコン42が読込可能な一定の電圧値に変換するための積分回路45が接続されている。
【0031】
そして、マイコン42は、回転検出用可動接点部18と、回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6と、回転操作検出回路38〜40とで、ダイヤルノブ16の回転方向および回転量を検出する回転操作検出手段の役割をなす。また、押込検出用可動接点部19と、押込検出用固定接点部30と、押込操作検出回路41とで、ダイヤルノブ16の軸方向に沿った移動位置を検出する押込位置検出手段の役割をなす。さらに、マイコン42は、押込操作検出回路41を介して検出したダイヤルノブ16の移動位置に応じて、具体的には、非移動位置では温度設定モードの選択項目(温度設定)を変更可能とし、押込位置では風量設定モードの選択項目(風量設定)を変更可能とし、かつ、回転操作検出回路38〜40を介して検出したダイヤルノブ16の回転方向および回転量に応じて温度設定モードまたは風量設定モードの選択項目を変更する変更手段の役割をなす。
【0032】
次に、マイコン42によるダイヤルノブ16の接触検知、回転検知および押込検知の作用について具体的に説明する。
【0033】
まず、比較器44には、発振器43からの電圧がそれぞれ入力されている。そして、ダイヤルノブ16に人体が触れていない状態では、図5(A)に示すように、比較器44の入力部XYのいずれにも同一の方形波が入力される。従って、両入力部での入力が合致(オン・オンまたはオフ・オフ)し、比較器44の出力部Zからの出力はオフ信号(0V)となる。その結果、積分回路45からマイコン42への出力もない。
【0034】
そして、図5(B)に示すように、ダイヤルノブ16に人体が触れると、導電性メッキが施された把持部21により、可動電極部17を構成する回転検出用可動接点部18および押込検出用可動接点部19が人体と導通する。この状態では、回転検出用可動接点部18および押込検出用可動接点部19に対向するプリント基板27の固定電極部28を構成する回転検出用固定接点部29および押込検出用固定接点部30が、人体を介して接地された状態と等価となる。これにより、比較器44の入力部Yでは静電容量が増加した状態となり、入力部Yに入力される方形波の立ち上がり、および、立ち下がりが遅れる。その結果、比較器44の出力部Zからの出力波形は、その遅れに対応した周期が短い方形波となる。そして、積分回路45では、その出力を一定の電圧値に変換し、マイコン42に出力する。その結果、マイコン42は、この信号の入力の有無により、人体が接触しているか否かを検出できる。
【0035】
また、ダイヤルノブ16が時計回りに回転されると、可動電極部17を構成する回転検出用可動接点部18が時計回りに回転する。これにより、回転検出用可動接点部18に対向する回転検出用固定接点部29A1〜29A6、回転検出用固定接点部29B1〜29B6および回転検出用固定接点部29C1〜29C6が順番に切り換えられる。即ち、上述のように、回転検出用可動接点部18と対向する回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6が接続された回転操作検出回路39,39,40は、マイコン42に対して信号を出力するため、マイコン42には、回転操作検出回路38,39,40の順番で信号が入力される。逆に、ダイヤルノブ16が反時計回りに回転されると、回転操作検出回路40,39,38の順番で信号が入力される。そのため、信号が入力される順番により、ダイヤルノブ16の回転方向を検出することができる。また、同一の回転操作検出回路38〜40からの入力数により操作(回転)量を検出することができる。
【0036】
さらに、ダイヤルノブ16が押し込まれると、図5(C)に示すように、人体がダイヤルノブ16に触れた場合と同様に、可動電極部17が人体に導通し、プリント基板27の固定電極部28の押込検出用固定接点部30が人体を介して接地された状態と等価となる。しかも、可動電極部17と固定電極部28との隙間Sが小さくなるため、押込操作検出回路41の比較器44の入力部Yの静電容量は更に増加する。これにより、入力部Yに入力される方形波の立ち上がり、および、立ち下がりが更に遅れる。その結果、積分回路45からマイコン42に入力される信号は、人体がダイヤルノブ16を触れた場合より大きくなる。よって、マイコン42は、その入力信号の大きさにより、ダイヤルノブ16を押し込んだ状態であるか否かを検出できる。
【0037】
このように、本実施形態の構成によれば、マイコン42は、検出回路38〜41を介して可動電極部17と固定電極部28との間隔(隙間S)の電気的変化を検出し、信号の入力の有無によりダイヤルノブ16に人体が触れているか否かを検出できる。また、回転操作検出回路38〜40の入力順番および入力数により、ダイヤルノブ16の回転方向および回転量を検出できる。さらに、押込操作検出回路41から入力される信号の強弱により、ダイヤルノブ16を押し込んでいるか否を検出することができる。
【0038】
そして、本実施形態では、入力信号の強弱を判断するためのしきい値を記憶部であるメモリ46に記憶している。そして、入力信号がしきい値より低い場合、即ち、ダイヤルノブ16を押し込んでいない状態では、オートモードおよびマニュアルモードのいずれでも共通して変更を受け付ける温度設定モードの設定温度を変更する。また、入力信号がしきい値より高い場合、即ち、ダイヤルノブ16を押し込んでいる状態では、マニュアルモードでしか変更しない風量設定モードの選択項目を変更する。
【0039】
次に、マイコン42による制御について具体的に説明する。
【0040】
まず、オンスイッチ11が操作されることにより、空調装置の始動操作がなされると、マイコンは、ステップS1で、メモリ46に記憶した各データを初期化する。ここで、この初期化とは、スイッチ11〜15およびダイヤルノブ16の操作を検出する待機時間(例えば10msec)等のデータを全てリセットする。また、メモリ46から前の制御内容を読み込み、同様の条件で制御を開始する。即ち、前の制御条件がオートモードである場合にはオートモードで制御を開始し、前の制御条件がマニュアルモードである場合にはその時の選択項目(設定条件)で制御を開始するものである。
【0041】
ついで、ステップS2で、待機時間が経過するまで待機する。そして、待機時間が経過すると、ステップS3のスイッチ操作判定処理と、ステップS4のダイヤル操作判定処理とを並行処理する。そして、これらの操作判定処理が終了すると、ステップS5で、判定したスイッチ11〜15およびダイヤルノブ16の操作に基づいて制御内容を決定してメモリ46に記憶した後、ステップS6で、その制御内容に対応する制御信号を空調装置および液晶パネル1に出力する。
【0042】
次に、ステップS3のスイッチ操作判定処理について具体的に説明する。
【0043】
ステップS3において、オンスイッチ11の操作を検出した場合には、既に空調装置の制御を実行しているため、誤操作であると判断して、その操作を受け付けない。また、オフスイッチ12の操作を検出した場合には、空調装置の制御を停止する。また、エアコンスイッチ13の操作を検出した場合には、コンプレッサを動作させていない場合には動作させ、動作させている場合には動作を停止する。また、オートスイッチ14の操作を検出した場合には、オードモードで制御を実行している場合にはオートモードを継続し、マニュアルモードで制御を実行している場合にはオートモードに制御を変更する。また、モードスイッチ15の操作を検出した場合には、オートモードで制御を実行している場合にはマニュアルモードに変更するとともに風向を変更し、マニュアルモードで制御を実行している場合にはマニュアルモードを継続するとともに風向を変更する。
【0044】
次に、ステップS4のダイヤル操作判定処理について具体的に説明する。
【0045】
このダイヤル操作判定処理では、マイコン42は、図7に示すように、まず、ステップS4−1で、押込操作検出回路41との接続ポートを読み込み、その入力信号Vcomとしきい値とを比較する。そして、入力信号Vcomがしきい値以上である場合にはステップS4−2に進み、変更する設定モードを風量設定モードに変更してステップS4−4に進む。また、入力信号Vcomがしきい値未満である場合にはステップS4−3に進み、変更する設定モードを温度設定モードに変更してステップS4−4に進む。
【0046】
ステップS4−4では、回転操作検出回路38〜40との接続ポートを読み込み、検出順番の向きを判断する。そして、第1回転操作検出回路38、第2回転操作検出回路39、そして、第3回転操作検出回路40の順番である場合にはステップS4−5に進み、アップカウントで回転操作検出回路38〜40から入力される信号の入力数によって操作量を判断してステップS4−9に進む。また、検出順番の向きが異なる場合にはステップS4−6に進む。
【0047】
ステップS4−6では、検出順番の向きが、第3回転操作検出回路40、第2回転操作検出回路39、そして、第1回転操作検出回路38の順番である場合にはステップS4−7に進み、ダウンカウントで操作量を判断してステップS4−9に進む。また、検出順番が異なる場合にはステップS4−8に進み、方向不定、即ち、ダイヤルノブ16の回転操作なしと判断してステップS4−9に進む。
【0048】
ステップS4−9では、カウント数を決定してメモリ46に記憶した後、ステップS4−10で、カウント数と各設定条件との関連付けを行うダイヤル位置決定を行ってリターンする。
【0049】
次に、ステップS4のダイヤル操作判定処理による液晶パネル1の遷移について説明する。
【0050】
例えば空調装置をオートモードで制御を行っており、ダイヤルノブ16を操作していない状態では、液晶パネル1は、図8の上段中央に位置する通常状態の表示である。この状態で、ダイヤルノブ16を押し込むことなく時計回りに回転(S4−3→S4−5)させると、図8の上段右側に示すように、温度設定モードの設定温度が1℃上げられる。また、ダイヤルノブを押し込むことなく反時計回りに回転(S4−3→S4−7)させると、図8の上段左側に示すように、温度設定モードの設定温度が1℃下げられる。
【0051】
一方、図8の上段中央の通常状態で、ダイヤルノブ16を押込操作する(S4−2)と、図8の下段中央に示すように、風量設定モードの風量設定表示部4と、オートモードの選択状態を示す変更設定表示部5とを表示し、温度設定表示部2および風向設定表示部3は消灯した状態となる。なお、この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、上段中央の通常状態に戻る。即ち、本実施形態では、ダイヤルノブ16を押込操作しただけでは、オートモードからマニュアルモードへの変更はしないように構成している。
【0052】
また、ダイヤルノブ16の押込状態で、更に時計回りに回転(S4−2→S4−5)させると、図8の下段右中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風量設定モードの風量設定が1レベル上げられる。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段右端に示すように、温度設定表示部2および風向設定表示部3が再び点灯され、設定が確定(ステップS5)される。
【0053】
さらに、ダイヤルノブ16の押込状態で、更に反時計回りに回転(S4−2→S4−7)させると、図8の下段左中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風量設定モードの風量設定が1レベル下げられる。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段左端に示すように、温度設定表示部2および風向設定表示部3が再び点灯され、設定が確定(ステップS5)される。
【0054】
なお、以上の例では、設定温度を1℃変更した後にダイヤルノブ16の操作を止めて、その設定を確定するようにしているが、ダイヤルノブ16の回転操作量を増やして、設定温度2℃や3℃およびそれ以上変更した後にダイヤルノブ16の操作を止めて、その温度にて設定を確定することも可能である。勿論、これは風量設定モードにおいても同様である。
【0055】
このように、本実施形態の操作装置10では、回転可能かつ軸方向に移動可能にダイヤルノブ16を設け、ダイヤルノブ16の軸方向の移動位置によって複数の設定モードのうち所定の設定モードを変更可能に選択する構成としている。そして、この設定モード選択状態で、ダイヤルノブ16を回転させることにより、選択した設定モード中の選択項目を変更する構成としている。よって、ダイヤルノブ16の数は勿論、選択用のスイッチの数を削減できる。その結果、全体の小型化を図ることができるとともに、設計(デザイン)の自由度も向上できる。しかも、設定モードを変更した後、引き続いてその設定モード中の選択項目を変更する際には、ダイヤルノブ16の位置を1回確認するだけで良いため、操作性を飛躍的に向上することができる。
【0056】
また、本実施形態では、可動電極部17と固定電極部28とを非接触状態に保持し、その間の電気的静電容量の変化により押込(第2移動)位置を検出できるようにしている。そして、このように物理的な接触作用を無くすことにより、スムーズなダイヤルノブ16の操作を実現できる。しかも、摩擦による損傷に伴う電気的な検出精度の低下を防止できるため、信頼性および耐久性を向上できる。また、可動電極側に複雑な電気回路や電源を設ける必要がないため、簡単に構成することが可能である。しかも、電気的変化が生じない場合には、マイコン42は操作を検出できないため、振動が加わったり、意図しない物理的外力が加わることにより、ダイヤルノブ16が回転しても、選択項目が変更されることを防止できる。
【0057】
さらに、本実施形態では、ダイヤルノブ16がプリント基板27から離反した第1移動位置を、頻繁に使用する可能性が高く、かつ、オートモードおよびマニュアルモードの両方で使用する温度設定モードの温度設定を変更するように割り当てている。また、ダイヤルノブ16がプリント基板27に近接した第2移動位置を、オートモードを選択している場合に使用頻度が極めて少ない車内への送風量調節を行う風量設定モードの風量設定を変更するように割り当てている。そのため、乗員の操作性を向上することができる。
【0058】
図9および図10は第1実施形態の操作装置10の変形例を示す。この変形例では、図9に示すように、ダイヤルノブ16の押込状態で選択項目を変更する設定モードを、吹出口を変更する風向設定モードとした点で、第1実施形態と相違している。なお、下端に位置するスイッチ15’は、風向設定モードの代わりに風量設定モードを変更する構成としている。この変形例では、マイコン42により第1実施形態と同様に制御される。
【0059】
そして、空調装置をオートモードで制御を行っており、ダイヤルノブ16を操作していない状態では、液晶パネル1は、図10の上段中央に位置する通常状態の表示である。この状態で、ダイヤルノブ16を押し込むことなく、時計回りに回転させると、図10の上段右側に示すように、設定温度が1℃上げられ、反時計回りに回転させると、図10の上段左側に示すように、設定温度が1℃下げられる。
【0060】
一方、ダイヤルノブ16を押込操作すると、図10の下段中央に示すように、風向設定モードの風向設定表示部3と、オートモードの選択状態を示す変更設定表示部5とを表示し、温度設定表示部2および風量設定表示部4は消灯した状態となる。
【0061】
そして、この押込状態で、更に時計回りに回転させると、図10の下段右中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風向設定モードの風向設定が、予め設定された順番の次のモードに変更される。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段右端に示すように、温度設定表示部2および風量設定表示部4が再び点灯され、設定が確定される。
【0062】
また、押込状態で、更に反時計回りに回転させると、図10の下段左中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風向設定モードの風向設定が予め設定された順番の前のモードに変更される。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段左端に示すように、温度設定表示部2および風量設定表示部4が再び点灯され、設定が確定される。
【0063】
このように構成した第1実施形態の変形例は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0064】
図11および図12は第2実施形態の操作装置10を示す。この第2実施形態では、図11に示すように、ダイヤルノブ16の押込状態を2段階で検出可能とし、第1段階の押込状態で風向設定モードの風向設定を変更可能とし、第2段階の押込状態で風量設定モードの風量設定を変更可能とした点で、第1実施形態と大きく相違している。なお、第2実施形態では、ダイヤルノブ16と回転子25との間に、押込状態を節度により認識できるように凹凸部を設けることが好ましい。また、マイコン42は、第1実施形態と同様に、押込操作検出回路41からの入力信号の大きさにより、ダイヤルノブ16を触ったのみの非押込位置(第2移動位置)、1段階押し込んだ第3移動位置、2段階押し込んだ第1移動位置を検出可能に構成している。さらに、ダイヤルノブ16により風量設定モードおよび風向設定モードを変更可能とすることに伴い、第1実施形態に示す下端のスイッチ15は設けていない。
【0065】
この第2実施形態では、空調装置をオートモードで制御を行っており、ダイヤルノブ16を操作していない状態では、液晶パネル1は、図12の上段中央に位置する通常状態の表示である。この状態で、ダイヤルノブ16を押し込むことなく、時計回りに回転させると、図12の上段右側に示すように、設定温度が1℃上げられ、反時計回りに回転させると、図12の上段左側に示すように、設定温度が1℃下げられる。
【0066】
また、ダイヤルノブ16を1段階押込操作すると、図12の中段中央に示すように、風向設定モードの風向設定表示部3と、オートモードの選択状態を示す変更設定表示部5とを表示し、温度設定表示部2および風量設定表示部4は消灯した状態となる。
【0067】
そして、この1段階押込状態で、時計回りに回転させると、図12の中段右中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風向設定モードの風向設定が、予め設定された順番の次のモードに変更される。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、中段右端に示すように、温度設定表示部2および風量設定表示部4が再び点灯され、設定が確定される。
【0068】
また、1段階押込状態で、反時計回りに回転させると、図12の中段左中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風向設定モードの風向設定が予め設定された順番の前のモードに変更される。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、中段左端に示すように、温度設定表示部2および風量設定表示部4が再び点灯され、設定が確定される。
【0069】
さらに、ダイヤルノブ16を2段階押込操作すると、図12の下段中央に示すように、風量設定モードの風量設定表示部4と、オートモードの選択状態を示す変更設定表示部5とを表示し、温度設定表示部2および風向設定表示部3は消灯した状態となる。
【0070】
そして、この2段階押込状態で、時計回りに回転させると、図12の下段右中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風量設定モードの風量設定が1レベル上げられる。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段右端に示すように、温度設定表示部2および風向設定表示部3が再び点灯され、設定が確定される。
【0071】
また、2段階押込状態で、反時計回りに回転させると、図12の下段左中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風量設定モードの風量設定が1レベル下げられる。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段左端に示すように、温度設定表示部2および風向設定表示部3が再び点灯され、設定が確定される。
【0072】
このように構成した第2実施形態の操作装置10は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができるうえ、更にスイッチの設置数を削減できる。
【0073】
図13は第3実施形態の操作装置10を示す。この第3実施形態では、ダイヤルノブ16の押込位置を機械的なプッシュスイッチ52のオンオフ状態により検出するようにした点で、第1実施形態と大きく相違している。
【0074】
図13(A)に示すように、ダイヤルノブ16は、下端開口の円筒形状をなす樹脂製のものである。この第3実施形態のダイヤルノブ16には、第1実施形態と同様に、付勢手段配設部22が設けられ、その内部にスプリング23とボール部材24とが配設されている。また、本実施形態のダイヤルノブ16には、閉鎖端部の中央から内向きに突出するスイッチ作動部47が突設されている。このダイヤルノブ16の内部には、別体の回転子25が配設されている。これらダイヤルノブ16と回転子25とは、ダイヤルノブ16の内周部に設けたスライド溝48と、回転子25の外周部に設けた凸部49との係合により、一体的に回転可能で、かつ、ダイヤルノブ16の回転中心の軸方向に沿って移動可能に取り付けられている。
【0075】
そして、本実施形態では、第1実施形態のような可動電極部17は、ダイヤルノブ16には設けられていないうえ、把持部21にも電気的導通を可能とするための導電性メッキも施されていない。代わりに、回転子25の下端に、径方向外向きに突出するフランジ部50が設けられ、このフランジ部50の下面に、図13(B)に示すように、可動電極部である回転検出用可動接点部18が設けられている。また、回転子25には、ダイヤルノブ16のスイッチ作動部47を貫通させるための貫通孔51が設けられている。さらに、ダイヤルノブ16に配設したボール部材24は、スプリング23とフランジ部50との間に位置するように配設されている。
【0076】
一方、プリント基板27は、図13(C)に示すように、ダイヤルノブ16の可動電極部17の対向位置に、固定電極部である回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6が設けられている。そして、円環状をなす押込検出用固定接点部の代わりに、中心に位置するようにスイッチ作動部47により押圧されることにより、一対の接点が接触し、押圧操作を解除することにより接点が離反する常開のプッシュスイッチ52が配設されている。なお、図13(C)中、第1実施形態の押込検出用固定接点部30と同様の位置には共通接点部53が設けられている。この共通接点部53は、径方向外側に位置するいずれかの回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6との間にかけて、対向する回転検出用可動接点部18が位置することにより導通が可能となり、マイコン42に信号を出力するためのものである。
【0077】
なお、ベース部32は、外周部に係止溝33を設けていない点で第1実施形態と相違する。また、ホルダー34は、第1実施形態と同様に、表面被覆部35と側面被覆部36とを備え、側面被覆部36に固定片37を設けたものである。
【0078】
このように構成した第3実施形態のダイヤルノブ16は、非押込状態ではプッシュスイッチ52がオフ状態を維持する。そして、この状態で、回転検出用可動接点部18、回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6および共通接点部53により、ダイヤルノブ16の回転操作を第1実施形態と同様にして検出すると、その回転方向に従って、オートモードおよびマニュアルモードのいずれでも変更を受け付ける温度設定モードの設定温度を増減する。
【0079】
また、乗員がダイヤルノブ16の押込操作を行うと、プッシュスイッチ52がオン状態となる。そして、この状態で、ダイヤルノブ16の回転操作を検出すると、その回転方向にしたがって、風量設定モードまたは風向設定モードの選択項目を変更する。
【0080】
なお、本発明の操作装置10は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、第3実施形態では、1個のプッシュスイッチ52だけで構成しているため、第1移動位置と第2移動位置しか検出できない構成であるが、2以上のスイッチを配設することにより、2以上の移動位置を検出することも可能である。このようにすれば、第2実施形態のように、1個のダイヤルノブ16で3種の設定モードを変更することが可能となる。
【0082】
また、前記実施形態では、本発明の操作装置10を車両の空調装置の設定条件を変更する場合を例に挙げて説明したが、車両用空調装置に限られず、種々の機器に適用することが可能であり、いずれに適用しても同様の作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る第1実施形態の操作装置を車両空調装置に適用した状態を示す正面図である。
【図2】(A)は操作装置の断面図、(B)はダイヤルノブの底面図、(C)はプリント基板の平面図である。
【図3】操作装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の操作検出回路の構成を示すブロック図である。
【図5】(A),(B),(C)は操作検出回路の入出力波形を示すグラフである。
【図6】マイコンによる制御を示すフローチャートである。
【図7】図6のダイヤル操作判定処理を示すフローチャートである。
【図8】ダイヤル操作判定処理による液晶パネルの遷移を示す概略図である。
【図9】第1実施形態の変形例を示す正面図である。
【図10】ダイヤル操作判定処理による変形例の液晶パネルの遷移を示す概略図である。
【図11】第2実施形態の操作装置を車両空調装置に適用した状態を示す正面図である。
【図12】ダイヤル操作判定処理による第2実施形態の液晶パネルの遷移を示す概略図である。
【図13】(A)は第3実施形態の操作装置の断面図、(B)は回転子の底面図、(C)はプリント基板の平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1…液晶パネル
2〜5…表示部
10…操作装置
11〜15…スイッチ
16…ダイヤルノブ
17…可動電極部
18…回転検出用可動接点部(回転操作検出手段)
19…押込検出用可動接点部(押込位置検出手段)
21…把持部
23…スプリング
24…ボール部材
25…回転子
27…プリント基板
28…固定電極部
29A〜29C…回転検出用固定接点部(回転操作検出手段)
30…押込検出用固定接点部(押込位置検出手段)
32…ベース部
34…ホルダー
38〜40…回転操作検出回路(回転操作検出手段)
41…押込操作検出回路(押込位置検出手段)
42…マイコン(回転操作検出手段,押込位置検出手段,変更手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、少ない操作部数で多機能な操作が可能な操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の空調装置用操作装置は、車内の温度調節を行う温度設定モードの切換操作部と、車内への送風量調節を行う風量設定モードの切換操作部と、車内への吹出口調節を行う風向設定モードの切換操作部とを備えている。そして、これら切換操作部は、それぞれ回転操作が可能なダイヤルノブにより構成されている。また、操作装置は、これら切換操作部の他に、空調装置を動作および停止するためのスイッチや、コンプレッサを動作および停止するためのオンオフスイッチからなる操作部を備えている。
【0003】
ダイヤルノブやスイッチなどの操作部は、ある程度の小型化は可能である。しかし、この操作装置を実際に操作する乗員の多くは運転者である。そのため、操作部を小型化した場合には、運転者が位置を確認するために、運転中に何回も視点を変える必要があるため好ましくなく、逆に大きい方が好ましい。しかし、3個のダイヤルノブと複数のスイッチとを搭載した場合には、操作装置が大型化して外観が悪くなる。
【0004】
そこで、特許文献1では、各設定モードの切り換えをプッシュスイッチによって変更する構成とし、1個のダイヤルノブで選択している設定モード中の選択項目を変更可能とした操作装置が提供されている。
【特許文献1】特開2006−199199号公報
【0005】
しかし、この特許文献1の操作装置では、プッシュスイッチを操作してモード変更を行った後に、ダイヤルノブに手を延ばして(変更して)選択項目を変更する必要がある。そのため、1つの設定モードの選択項目を変更する際に、2箇所のスイッチの位置を確認する必要があるため、やはり操作性が悪いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、全体の小型化が可能であり、操作性がよい操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の操作装置は、複数の選択項目を有する2以上の設定モードを備え、所定の設定モードを選択し、所定の選択項目を選択するための操作装置であって、回転操作が可能で、かつ、回転中心の軸方向に沿って移動可能に配設したダイヤルノブと、前記ダイヤルノブの回転方向および回転量を検出する回転操作検出手段と、前記ダイヤルノブの軸方向に沿った移動位置を検出する押込位置検出手段と、前記押込位置検出手段によって検出した前記ダイヤルノブの移動位置に応じて複数の設定モードのうち予め設定された所定の設定モードに変更するとともに、前記回転操作検出手段によって検出した前記ダイヤルノブの回転操作に応じて選択した設定モード中の選択項目を変更する変更手段と、を備えた構成としている。
【0008】
この操作装置によれば、回転可能かつ軸方向に移動可能にダイヤルノブを設け、ダイヤルノブの軸方向の移動位置によって複数の設定モードのうち所定の設定モードを変更可能に選択できる。そして、この状態で、ダイヤルノブを回転させることにより、選択した設定モード中の選択項目を変更することができる。よって、ダイヤルノブの数は勿論、選択用のプッシュスイッチの数も削減できる。その結果、全体の小型化を図ることができるとともに、設計(デザイン)の自由度も向上できる。しかも、所定の設定モード中の選択項目を変更する際には、ダイヤルノブの位置を1回確認するだけで良いため、操作性を飛躍的に向上することができる。
【0009】
この操作装置では、前記押込位置検出手段は、前記ダイヤルノブに固定した可動電極と、前記可動電極の対向位置に設けた固定電極と、前記可動電極と固定電極との間隔の変化によって生じる電気的変化を検出することにより、前記ダイヤルノブの押込位置を可動電極と固定電極とが非接触状態で検出する検出回路と、を備えることが好ましい。このように、可動電極と固定電極とが接触しない構成とすることにより、押込位置を検出するために物理的な作用を無くすことができる。よって、スムーズなダイヤルノブの操作が可能になるうえ、接点部分がないため信頼性および耐久性を向上できる。
【0010】
この場合、前記ダイヤルノブの把持部を、前記可動電極に対して電気的導通が可能な導通部とし、前記検出回路は、固定電極を介して入力される電気的変化により、人体の接触状態および非接触状態を検出することが好ましい。このようにすれば、振動が加わったり、意図しない物理的外力が加わることにより、ダイヤルノブが回転しても、選択項目が変更されることを防止できる。そして、このように構成するために、可動電極側に複雑な電気回路や電源を設ける必要がないため、簡単に構成することが可能である。
【0011】
また、前記ダイヤルノブは、前記押込位置検出手段を配設した基板に回転可能および軸方向に移動可能に保持されるもので、前記基板に固定され、前記ダイヤルノブを保持するベース部と、前記ダイヤルノブを基板に対して離反する方向に付勢するスプリングと、前記スプリングの端部と基板との間に配設したボール部材と、前記ダイヤルノブの基板に対する離反を規制するホルダーと、を備えることが好ましい。このようにすれば、ダイヤルノブを安定状態で回転および進退させることができる。また、ダイヤルノブは、軸方向に押圧力を負荷し、進出した第1移動位置から押し込んだ第2移動位置に移動させた状態で、負荷を解除すると、スプリングの付勢力によって第1移動位置に戻る。そのため、この第1移動位置を、頻繁に使用する可能性が高い設定モードに割り当てることにより、更に利便性の向上を図ることができる。
【0012】
なお、この操作装置は、車両の空調装置の設定を変更するために適用することにより、特に有効である。即ち、車内の温度調節を行う温度設定モード、車内への送風量調節を行う風量設定モードおよび車内への吹出口調節を行う風向設定モードを備え、各設定モードの選択項目を変更して車内の空調を行う空調装置の操作装置において、前記構成とすることが好ましい。
【0013】
この場合、ダイヤルノブをスプリングの付勢力で第1移動位置に保持する構成では、第1移動位置で変更を可能とする設定モードは、温度設定モードのように、オートモードおよびマニュアルモードのいずれでも使用するものに設定することが好ましい。また、第2移動位置で変更を可能とする設定モードは、車内への送風量調節を行う風量設定モードや車内への吹出口調節を行う風向設定モードなど、オートモードを選択している場合に使用頻度が極めて少ないものに設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の操作装置では、1個のダイヤルノブの軸方向の移動位置によって複数の設定モードのうち所定の設定モードを変更可能に選択できるうえ、所定の設定モードを選択した状態で、ダイヤルノブを回転させることにより、選択した設定モード中の選択項目を変更することができる。よって、ダイヤルノブの数は勿論、モード選択用のプッシュスイッチの数も削減できるため、全体の小型化を図ることができるとともに、設計(デザイン)の自由度も向上できる。しかも、所定の設定モード中の選択項目を変更する際には、ダイヤルノブの位置を1回確認するだけで良いため、操作性を飛躍的に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
本発明に係る実施形態の操作装置10は、図1に示すように、例えば車両のインストルメントパネルに装着された液晶パネル1の下部に配設され、複数の選択項目を有する2以上の設定モードを備えた空調装置の設定モードおよび選択項目を変更するためのものである。
【0017】
まず、車両の空調装置は、コンプレッサから吐出された冷媒を車外側熱交換器、減圧弁および車内側熱交換器へと流動させる冷房サイクルと、車内側熱交換器、減圧弁および車外側熱交換器へと流動させる暖房サイクルとを備えている。そして、これら冷房サイクルと暖房サイクルとは、本発明の操作装置10の操作によって四方弁が動作されて、切り換えられる。また、車内の温度調節、車内への送風量調節および車内への吹出口変更も、同様に操作装置10の操作によって切り換えられるものである。
【0018】
また、液晶パネル1は、本発明の操作装置10の操作による空調装置の動作の設定状態を表示するものである。この液晶パネル1には、上側に温度設定モードの選択項目である設定温度を示す温度設定表示部2が設けられている。この温度表示部の下側には、風向設定モードの選択項目である吹出口(方向)を示す風向設定表示部3が設けられている。この風向設定表示部3の下側には、風量設定モードの選択項目である吹出口からの送風量を示す風量設定表示部4が設けられている。そして、風向設定表示部3の右側には、風向設定および風量設定を車内のセンサの検出値に基づいて自動変更するオートモード、および、前記設定を乗員によって手動変更するマニュアルモードの選択状態を示す変更設定表示部5が設けられている。
【0019】
そして、本実施形態の操作装置10は、空調装置の機能であるオートモードおよびマニュアルモードを変更する。また、温度設定モード、風向設定モードおよび風量設定モードのうち、所定の設定モードを選択し、かつ、各設定モードで予め設定された複数の選択項目を、所定の項目に変更するためのものである。
【0020】
具体的には、第1実施形態の操作装置10は、5個のスイッチ11〜15と、1個のダイヤルノブ16とを備えている。
【0021】
各スイッチ11〜15は、押圧操作により一対の接点が接触し、押圧操作を解除することにより接点が離反する常開のプッシュスイッチからなる。そのうち、最上部に位置するオンスイッチ11は、空調装置の動作を開始するためのものである。その下部のオフスイッチ12は、空調装置の動作を停止するためのものである。その下部のエアコンスイッチ13は、コンプレッサの駆動および停止を順番に変更するためのものである。その下部のオートスイッチ14は、空調装置の制御を自動のオートモードに設定するためのものである。その下部のモードスイッチ15は、風向設定モードの選択項目を変更するためのものである。具体的には、このモードスイッチ15は、操作前の状態がオートモードの場合、操作によりマニュアルモードに変更し、かつ、風向設定モードの選択項目を、操作前の選択項目の次の項目に変更するものである。また、操作前の状態がマニュアルモードの場合、操作によりマニュアルモードを維持し、かつ、風向設定モードの選択項目を、操作前の選択項目の次の項目に変更するものである。
【0022】
前記ダイヤルノブ16は、図2(A)に示すように、プリント基板27に固定したベース部32に対して外嵌するように装着し、その外周部をホルダー34により離脱不可能に規制することにより、プリント基板27に対して回転可能で、かつ、回転中心の軸方向に沿って移動可能に配設したものである。そして、このダイヤルノブ16の回転方向および回転量を後述するマイコン42により検出し、該マイコン42を介して温度設定モードまたは風量設定モードの選択項目を変更する。また、このダイヤルノブ16の軸方向に沿った移動位置をマイコン42により検出し、選択項目を変更する設定モードを、温度設定モードおよび風量設定モードのいずれかに変更するものである。
【0023】
具体的には、ダイヤルノブ16は、下端開口の円筒形状をなす樹脂製のもので、その開口端には可動電極部17が設けられている。この可動電極部17は、樹脂の表面に導電性メッキを施すことにより、該ダイヤルノブ16に固定した状態で設けられている。具体的には、この可動電極部17は、図2(B)に示すように、開口端から周方向に所定間隔をもって設けた回転検出用可動接点部18と、開口端面からなる円環状の押込検出用可動接点部19とを備えている。そのうち、回転検出用可動接点部18は、径方向外向きに突出する6個の突片20が設けられ、各突片20の先端部に設けられている。また、このダイヤルノブ16の外周部は、乗員が回転操作を行うための把持部21を構成する。この把持部21は、表面に可動電極部17に対して電気的導通を可能とするために導電性メッキを施した導通部としている。
【0024】
また、ダイヤルノブ16には、開口端面の対向位置に、一対の付勢手段配設部22が設けられている。この付勢手段配設部22は、開口端面から閉鎖端に向けて円形状をなすように延びるもので、その内部には、ダイヤルノブ16をプリント基板27に対して離反する方向に付勢するスプリング23と、該スプリング23の端部と基板との間に位置されるボール部材24とが配設されている。また、ダイヤルノブ16の内部には、別体の回転子25が配設されている。これらダイヤルノブ16と回転子25とは、ダイヤルノブ16の内周部に設けたスライド溝48と、回転子25の外周部に設けた凸部49との係合により、一体的に回転可能で、かつ、ダイヤルノブ16の回転中心の軸方向に沿って移動可能に取り付けられている。この回転子25には、その開口端に径方向内向きに突出する係止爪部26が設けられている。
【0025】
前記プリント基板27は、図2(C)に示すように、ダイヤルノブ16の可動電極部17の対向位置に設けた固定電極部28を備えている。この固定電極部28は、周方向に所定間隔をもって複数設けた回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6と、これらの内部に位置する円環状をなす押込検出用固定接点部30とを備えている。即ち、本実施形態では、6個の回転検出用可動接点部18に対して、それぞれ3個の回転検出用固定接点部29A1,29B1,29C1〜29A6,29B6,29C6を設けた構成としている。また、プリント基板27には、一対のホルダー固定孔31が設けられている。
【0026】
前記ベース部32は、下端開口の円筒状をなす樹脂製のもので、その外周部の開口端面に軸方向に延びるネジ孔が形成され、プリント基板27に対してネジ止めにより固定されるものである。このベース部32の開口端の外周部には、段状をなすように係止溝33が設けられている。この係止溝33には、ダイヤルノブ16を組み付けた状態で、回転子25の係止爪部26が係止する。これにより、回転子25は、ベース部材32に対して回転可能および軸方向に移動不可能に保持される。従って、回転子25と一体的に回転するダイヤルノブ16は、回転子25を介してベース部材32に回転可能に保持される。
【0027】
前記ホルダー34は、ダイヤルノブ16の突片20の表面を覆う表面被覆部35と、該表面被覆部35の外端縁から突片20の側面を覆うように突出した側面被覆部36とを備えた円環状のものである。そして、このホルダー34の側面被覆部36には、プリント基板27のホルダー固定孔31を貫通する一対の固定片37が設けられている。そして、このホルダー34の表面被覆部35がダイヤルノブ16の突片20に係合することで、ダイヤルノブ16をベース部材32に対して軸方向に沿った外向きの移動を規制する構成としている。
【0028】
このようにベース部32、回転子25およびホルダー34を介して装着したダイヤルノブ16は、回転子25を介してのベース部32による保持、および、ホルダー34の表面被覆部35による突片20の被覆により、プリント基板27に対して回転可能に保持される。また、ダイヤルノブ16は、ボール部材24を介したスプリング23の付勢力により、プリント基板27に対して離反した第1移動位置に付勢されている。さらに、ダイヤルノブ16は、プリント基板27に向けて押圧されると、回転子25の外周面でガイドされた状態で、スプリング23の付勢力に抗して回転中心である軸方向に沿って近接した第2移動位置に移動できる。また、その押圧が解除されると、スプリング23の付勢力によって第2移動位置から第1移動位置に移動され、ホルダー34により外向きの移動が所定位置で規制される。なお、第1移動位置では、ダイヤルノブ16の可動電極部17とプリント基板27の固定電極部28との間に、所定の隙間S(例えば0.3mm)が形成され、非接触状態を維持する。
【0029】
前記プリント基板27は、図示しない別体の制御基板に接続されている。この制御基板には、図3に示すように、回転検出用固定接点部29A1〜29A6に接続される第1回転操作検出回路38と、回転検出用固定接点部29B1〜29B6に接続される第2回転操作検出回路39と、回転検出用固定接点部29C1〜29C6に接続される第3回転操作検出回路40と、押込検出用固定接点部30に接続される押込操作検出回路41とが実装されている。また、制御基板には、スイッチ11〜15の操作、各検出回路38〜41を介して検出したダイヤルノブ16の操作に基づいて、液晶パネル1および空調装置を構成する各機構(駆動部品)を制御する制御部としてマイコン42が実装されている。
【0030】
各検出回路38〜41は、それぞれ図4に示すように、発振器43に並列接続された比較器44(EXOR回路)を備えている。そして、第1回転操作検出回路38の比較器44の入力部Yには、回転検出用固定接点部29A1〜29A6が接続されている。また、第2回転操作検出回路39の比較器44の入力部Yには、回転検出用固定接点部29B1〜29B6が接続されている。また、第3回転操作検出回路40の比較器44の入力部Yには、回転検出用固定接点部29C1〜29C6が接続されている。また、押込操作検出回路41の比較器44の入力部Yには、押込検出用固定接点部30が接続されている。さらに、比較器44の出力部Zには、複数の波形をマイコン42が読込可能な一定の電圧値に変換するための積分回路45が接続されている。
【0031】
そして、マイコン42は、回転検出用可動接点部18と、回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6と、回転操作検出回路38〜40とで、ダイヤルノブ16の回転方向および回転量を検出する回転操作検出手段の役割をなす。また、押込検出用可動接点部19と、押込検出用固定接点部30と、押込操作検出回路41とで、ダイヤルノブ16の軸方向に沿った移動位置を検出する押込位置検出手段の役割をなす。さらに、マイコン42は、押込操作検出回路41を介して検出したダイヤルノブ16の移動位置に応じて、具体的には、非移動位置では温度設定モードの選択項目(温度設定)を変更可能とし、押込位置では風量設定モードの選択項目(風量設定)を変更可能とし、かつ、回転操作検出回路38〜40を介して検出したダイヤルノブ16の回転方向および回転量に応じて温度設定モードまたは風量設定モードの選択項目を変更する変更手段の役割をなす。
【0032】
次に、マイコン42によるダイヤルノブ16の接触検知、回転検知および押込検知の作用について具体的に説明する。
【0033】
まず、比較器44には、発振器43からの電圧がそれぞれ入力されている。そして、ダイヤルノブ16に人体が触れていない状態では、図5(A)に示すように、比較器44の入力部XYのいずれにも同一の方形波が入力される。従って、両入力部での入力が合致(オン・オンまたはオフ・オフ)し、比較器44の出力部Zからの出力はオフ信号(0V)となる。その結果、積分回路45からマイコン42への出力もない。
【0034】
そして、図5(B)に示すように、ダイヤルノブ16に人体が触れると、導電性メッキが施された把持部21により、可動電極部17を構成する回転検出用可動接点部18および押込検出用可動接点部19が人体と導通する。この状態では、回転検出用可動接点部18および押込検出用可動接点部19に対向するプリント基板27の固定電極部28を構成する回転検出用固定接点部29および押込検出用固定接点部30が、人体を介して接地された状態と等価となる。これにより、比較器44の入力部Yでは静電容量が増加した状態となり、入力部Yに入力される方形波の立ち上がり、および、立ち下がりが遅れる。その結果、比較器44の出力部Zからの出力波形は、その遅れに対応した周期が短い方形波となる。そして、積分回路45では、その出力を一定の電圧値に変換し、マイコン42に出力する。その結果、マイコン42は、この信号の入力の有無により、人体が接触しているか否かを検出できる。
【0035】
また、ダイヤルノブ16が時計回りに回転されると、可動電極部17を構成する回転検出用可動接点部18が時計回りに回転する。これにより、回転検出用可動接点部18に対向する回転検出用固定接点部29A1〜29A6、回転検出用固定接点部29B1〜29B6および回転検出用固定接点部29C1〜29C6が順番に切り換えられる。即ち、上述のように、回転検出用可動接点部18と対向する回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6が接続された回転操作検出回路39,39,40は、マイコン42に対して信号を出力するため、マイコン42には、回転操作検出回路38,39,40の順番で信号が入力される。逆に、ダイヤルノブ16が反時計回りに回転されると、回転操作検出回路40,39,38の順番で信号が入力される。そのため、信号が入力される順番により、ダイヤルノブ16の回転方向を検出することができる。また、同一の回転操作検出回路38〜40からの入力数により操作(回転)量を検出することができる。
【0036】
さらに、ダイヤルノブ16が押し込まれると、図5(C)に示すように、人体がダイヤルノブ16に触れた場合と同様に、可動電極部17が人体に導通し、プリント基板27の固定電極部28の押込検出用固定接点部30が人体を介して接地された状態と等価となる。しかも、可動電極部17と固定電極部28との隙間Sが小さくなるため、押込操作検出回路41の比較器44の入力部Yの静電容量は更に増加する。これにより、入力部Yに入力される方形波の立ち上がり、および、立ち下がりが更に遅れる。その結果、積分回路45からマイコン42に入力される信号は、人体がダイヤルノブ16を触れた場合より大きくなる。よって、マイコン42は、その入力信号の大きさにより、ダイヤルノブ16を押し込んだ状態であるか否かを検出できる。
【0037】
このように、本実施形態の構成によれば、マイコン42は、検出回路38〜41を介して可動電極部17と固定電極部28との間隔(隙間S)の電気的変化を検出し、信号の入力の有無によりダイヤルノブ16に人体が触れているか否かを検出できる。また、回転操作検出回路38〜40の入力順番および入力数により、ダイヤルノブ16の回転方向および回転量を検出できる。さらに、押込操作検出回路41から入力される信号の強弱により、ダイヤルノブ16を押し込んでいるか否を検出することができる。
【0038】
そして、本実施形態では、入力信号の強弱を判断するためのしきい値を記憶部であるメモリ46に記憶している。そして、入力信号がしきい値より低い場合、即ち、ダイヤルノブ16を押し込んでいない状態では、オートモードおよびマニュアルモードのいずれでも共通して変更を受け付ける温度設定モードの設定温度を変更する。また、入力信号がしきい値より高い場合、即ち、ダイヤルノブ16を押し込んでいる状態では、マニュアルモードでしか変更しない風量設定モードの選択項目を変更する。
【0039】
次に、マイコン42による制御について具体的に説明する。
【0040】
まず、オンスイッチ11が操作されることにより、空調装置の始動操作がなされると、マイコンは、ステップS1で、メモリ46に記憶した各データを初期化する。ここで、この初期化とは、スイッチ11〜15およびダイヤルノブ16の操作を検出する待機時間(例えば10msec)等のデータを全てリセットする。また、メモリ46から前の制御内容を読み込み、同様の条件で制御を開始する。即ち、前の制御条件がオートモードである場合にはオートモードで制御を開始し、前の制御条件がマニュアルモードである場合にはその時の選択項目(設定条件)で制御を開始するものである。
【0041】
ついで、ステップS2で、待機時間が経過するまで待機する。そして、待機時間が経過すると、ステップS3のスイッチ操作判定処理と、ステップS4のダイヤル操作判定処理とを並行処理する。そして、これらの操作判定処理が終了すると、ステップS5で、判定したスイッチ11〜15およびダイヤルノブ16の操作に基づいて制御内容を決定してメモリ46に記憶した後、ステップS6で、その制御内容に対応する制御信号を空調装置および液晶パネル1に出力する。
【0042】
次に、ステップS3のスイッチ操作判定処理について具体的に説明する。
【0043】
ステップS3において、オンスイッチ11の操作を検出した場合には、既に空調装置の制御を実行しているため、誤操作であると判断して、その操作を受け付けない。また、オフスイッチ12の操作を検出した場合には、空調装置の制御を停止する。また、エアコンスイッチ13の操作を検出した場合には、コンプレッサを動作させていない場合には動作させ、動作させている場合には動作を停止する。また、オートスイッチ14の操作を検出した場合には、オードモードで制御を実行している場合にはオートモードを継続し、マニュアルモードで制御を実行している場合にはオートモードに制御を変更する。また、モードスイッチ15の操作を検出した場合には、オートモードで制御を実行している場合にはマニュアルモードに変更するとともに風向を変更し、マニュアルモードで制御を実行している場合にはマニュアルモードを継続するとともに風向を変更する。
【0044】
次に、ステップS4のダイヤル操作判定処理について具体的に説明する。
【0045】
このダイヤル操作判定処理では、マイコン42は、図7に示すように、まず、ステップS4−1で、押込操作検出回路41との接続ポートを読み込み、その入力信号Vcomとしきい値とを比較する。そして、入力信号Vcomがしきい値以上である場合にはステップS4−2に進み、変更する設定モードを風量設定モードに変更してステップS4−4に進む。また、入力信号Vcomがしきい値未満である場合にはステップS4−3に進み、変更する設定モードを温度設定モードに変更してステップS4−4に進む。
【0046】
ステップS4−4では、回転操作検出回路38〜40との接続ポートを読み込み、検出順番の向きを判断する。そして、第1回転操作検出回路38、第2回転操作検出回路39、そして、第3回転操作検出回路40の順番である場合にはステップS4−5に進み、アップカウントで回転操作検出回路38〜40から入力される信号の入力数によって操作量を判断してステップS4−9に進む。また、検出順番の向きが異なる場合にはステップS4−6に進む。
【0047】
ステップS4−6では、検出順番の向きが、第3回転操作検出回路40、第2回転操作検出回路39、そして、第1回転操作検出回路38の順番である場合にはステップS4−7に進み、ダウンカウントで操作量を判断してステップS4−9に進む。また、検出順番が異なる場合にはステップS4−8に進み、方向不定、即ち、ダイヤルノブ16の回転操作なしと判断してステップS4−9に進む。
【0048】
ステップS4−9では、カウント数を決定してメモリ46に記憶した後、ステップS4−10で、カウント数と各設定条件との関連付けを行うダイヤル位置決定を行ってリターンする。
【0049】
次に、ステップS4のダイヤル操作判定処理による液晶パネル1の遷移について説明する。
【0050】
例えば空調装置をオートモードで制御を行っており、ダイヤルノブ16を操作していない状態では、液晶パネル1は、図8の上段中央に位置する通常状態の表示である。この状態で、ダイヤルノブ16を押し込むことなく時計回りに回転(S4−3→S4−5)させると、図8の上段右側に示すように、温度設定モードの設定温度が1℃上げられる。また、ダイヤルノブを押し込むことなく反時計回りに回転(S4−3→S4−7)させると、図8の上段左側に示すように、温度設定モードの設定温度が1℃下げられる。
【0051】
一方、図8の上段中央の通常状態で、ダイヤルノブ16を押込操作する(S4−2)と、図8の下段中央に示すように、風量設定モードの風量設定表示部4と、オートモードの選択状態を示す変更設定表示部5とを表示し、温度設定表示部2および風向設定表示部3は消灯した状態となる。なお、この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、上段中央の通常状態に戻る。即ち、本実施形態では、ダイヤルノブ16を押込操作しただけでは、オートモードからマニュアルモードへの変更はしないように構成している。
【0052】
また、ダイヤルノブ16の押込状態で、更に時計回りに回転(S4−2→S4−5)させると、図8の下段右中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風量設定モードの風量設定が1レベル上げられる。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段右端に示すように、温度設定表示部2および風向設定表示部3が再び点灯され、設定が確定(ステップS5)される。
【0053】
さらに、ダイヤルノブ16の押込状態で、更に反時計回りに回転(S4−2→S4−7)させると、図8の下段左中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風量設定モードの風量設定が1レベル下げられる。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段左端に示すように、温度設定表示部2および風向設定表示部3が再び点灯され、設定が確定(ステップS5)される。
【0054】
なお、以上の例では、設定温度を1℃変更した後にダイヤルノブ16の操作を止めて、その設定を確定するようにしているが、ダイヤルノブ16の回転操作量を増やして、設定温度2℃や3℃およびそれ以上変更した後にダイヤルノブ16の操作を止めて、その温度にて設定を確定することも可能である。勿論、これは風量設定モードにおいても同様である。
【0055】
このように、本実施形態の操作装置10では、回転可能かつ軸方向に移動可能にダイヤルノブ16を設け、ダイヤルノブ16の軸方向の移動位置によって複数の設定モードのうち所定の設定モードを変更可能に選択する構成としている。そして、この設定モード選択状態で、ダイヤルノブ16を回転させることにより、選択した設定モード中の選択項目を変更する構成としている。よって、ダイヤルノブ16の数は勿論、選択用のスイッチの数を削減できる。その結果、全体の小型化を図ることができるとともに、設計(デザイン)の自由度も向上できる。しかも、設定モードを変更した後、引き続いてその設定モード中の選択項目を変更する際には、ダイヤルノブ16の位置を1回確認するだけで良いため、操作性を飛躍的に向上することができる。
【0056】
また、本実施形態では、可動電極部17と固定電極部28とを非接触状態に保持し、その間の電気的静電容量の変化により押込(第2移動)位置を検出できるようにしている。そして、このように物理的な接触作用を無くすことにより、スムーズなダイヤルノブ16の操作を実現できる。しかも、摩擦による損傷に伴う電気的な検出精度の低下を防止できるため、信頼性および耐久性を向上できる。また、可動電極側に複雑な電気回路や電源を設ける必要がないため、簡単に構成することが可能である。しかも、電気的変化が生じない場合には、マイコン42は操作を検出できないため、振動が加わったり、意図しない物理的外力が加わることにより、ダイヤルノブ16が回転しても、選択項目が変更されることを防止できる。
【0057】
さらに、本実施形態では、ダイヤルノブ16がプリント基板27から離反した第1移動位置を、頻繁に使用する可能性が高く、かつ、オートモードおよびマニュアルモードの両方で使用する温度設定モードの温度設定を変更するように割り当てている。また、ダイヤルノブ16がプリント基板27に近接した第2移動位置を、オートモードを選択している場合に使用頻度が極めて少ない車内への送風量調節を行う風量設定モードの風量設定を変更するように割り当てている。そのため、乗員の操作性を向上することができる。
【0058】
図9および図10は第1実施形態の操作装置10の変形例を示す。この変形例では、図9に示すように、ダイヤルノブ16の押込状態で選択項目を変更する設定モードを、吹出口を変更する風向設定モードとした点で、第1実施形態と相違している。なお、下端に位置するスイッチ15’は、風向設定モードの代わりに風量設定モードを変更する構成としている。この変形例では、マイコン42により第1実施形態と同様に制御される。
【0059】
そして、空調装置をオートモードで制御を行っており、ダイヤルノブ16を操作していない状態では、液晶パネル1は、図10の上段中央に位置する通常状態の表示である。この状態で、ダイヤルノブ16を押し込むことなく、時計回りに回転させると、図10の上段右側に示すように、設定温度が1℃上げられ、反時計回りに回転させると、図10の上段左側に示すように、設定温度が1℃下げられる。
【0060】
一方、ダイヤルノブ16を押込操作すると、図10の下段中央に示すように、風向設定モードの風向設定表示部3と、オートモードの選択状態を示す変更設定表示部5とを表示し、温度設定表示部2および風量設定表示部4は消灯した状態となる。
【0061】
そして、この押込状態で、更に時計回りに回転させると、図10の下段右中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風向設定モードの風向設定が、予め設定された順番の次のモードに変更される。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段右端に示すように、温度設定表示部2および風量設定表示部4が再び点灯され、設定が確定される。
【0062】
また、押込状態で、更に反時計回りに回転させると、図10の下段左中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風向設定モードの風向設定が予め設定された順番の前のモードに変更される。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段左端に示すように、温度設定表示部2および風量設定表示部4が再び点灯され、設定が確定される。
【0063】
このように構成した第1実施形態の変形例は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0064】
図11および図12は第2実施形態の操作装置10を示す。この第2実施形態では、図11に示すように、ダイヤルノブ16の押込状態を2段階で検出可能とし、第1段階の押込状態で風向設定モードの風向設定を変更可能とし、第2段階の押込状態で風量設定モードの風量設定を変更可能とした点で、第1実施形態と大きく相違している。なお、第2実施形態では、ダイヤルノブ16と回転子25との間に、押込状態を節度により認識できるように凹凸部を設けることが好ましい。また、マイコン42は、第1実施形態と同様に、押込操作検出回路41からの入力信号の大きさにより、ダイヤルノブ16を触ったのみの非押込位置(第2移動位置)、1段階押し込んだ第3移動位置、2段階押し込んだ第1移動位置を検出可能に構成している。さらに、ダイヤルノブ16により風量設定モードおよび風向設定モードを変更可能とすることに伴い、第1実施形態に示す下端のスイッチ15は設けていない。
【0065】
この第2実施形態では、空調装置をオートモードで制御を行っており、ダイヤルノブ16を操作していない状態では、液晶パネル1は、図12の上段中央に位置する通常状態の表示である。この状態で、ダイヤルノブ16を押し込むことなく、時計回りに回転させると、図12の上段右側に示すように、設定温度が1℃上げられ、反時計回りに回転させると、図12の上段左側に示すように、設定温度が1℃下げられる。
【0066】
また、ダイヤルノブ16を1段階押込操作すると、図12の中段中央に示すように、風向設定モードの風向設定表示部3と、オートモードの選択状態を示す変更設定表示部5とを表示し、温度設定表示部2および風量設定表示部4は消灯した状態となる。
【0067】
そして、この1段階押込状態で、時計回りに回転させると、図12の中段右中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風向設定モードの風向設定が、予め設定された順番の次のモードに変更される。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、中段右端に示すように、温度設定表示部2および風量設定表示部4が再び点灯され、設定が確定される。
【0068】
また、1段階押込状態で、反時計回りに回転させると、図12の中段左中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風向設定モードの風向設定が予め設定された順番の前のモードに変更される。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、中段左端に示すように、温度設定表示部2および風量設定表示部4が再び点灯され、設定が確定される。
【0069】
さらに、ダイヤルノブ16を2段階押込操作すると、図12の下段中央に示すように、風量設定モードの風量設定表示部4と、オートモードの選択状態を示す変更設定表示部5とを表示し、温度設定表示部2および風向設定表示部3は消灯した状態となる。
【0070】
そして、この2段階押込状態で、時計回りに回転させると、図12の下段右中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風量設定モードの風量設定が1レベル上げられる。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段右端に示すように、温度設定表示部2および風向設定表示部3が再び点灯され、設定が確定される。
【0071】
また、2段階押込状態で、反時計回りに回転させると、図12の下段左中側に示すように、変更設定表示部5がマニュアルモードに変更されるとともに、風量設定モードの風量設定が1レベル下げられる。この状態で、ダイヤルノブ16の押込操作を止めると、下段左端に示すように、温度設定表示部2および風向設定表示部3が再び点灯され、設定が確定される。
【0072】
このように構成した第2実施形態の操作装置10は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができるうえ、更にスイッチの設置数を削減できる。
【0073】
図13は第3実施形態の操作装置10を示す。この第3実施形態では、ダイヤルノブ16の押込位置を機械的なプッシュスイッチ52のオンオフ状態により検出するようにした点で、第1実施形態と大きく相違している。
【0074】
図13(A)に示すように、ダイヤルノブ16は、下端開口の円筒形状をなす樹脂製のものである。この第3実施形態のダイヤルノブ16には、第1実施形態と同様に、付勢手段配設部22が設けられ、その内部にスプリング23とボール部材24とが配設されている。また、本実施形態のダイヤルノブ16には、閉鎖端部の中央から内向きに突出するスイッチ作動部47が突設されている。このダイヤルノブ16の内部には、別体の回転子25が配設されている。これらダイヤルノブ16と回転子25とは、ダイヤルノブ16の内周部に設けたスライド溝48と、回転子25の外周部に設けた凸部49との係合により、一体的に回転可能で、かつ、ダイヤルノブ16の回転中心の軸方向に沿って移動可能に取り付けられている。
【0075】
そして、本実施形態では、第1実施形態のような可動電極部17は、ダイヤルノブ16には設けられていないうえ、把持部21にも電気的導通を可能とするための導電性メッキも施されていない。代わりに、回転子25の下端に、径方向外向きに突出するフランジ部50が設けられ、このフランジ部50の下面に、図13(B)に示すように、可動電極部である回転検出用可動接点部18が設けられている。また、回転子25には、ダイヤルノブ16のスイッチ作動部47を貫通させるための貫通孔51が設けられている。さらに、ダイヤルノブ16に配設したボール部材24は、スプリング23とフランジ部50との間に位置するように配設されている。
【0076】
一方、プリント基板27は、図13(C)に示すように、ダイヤルノブ16の可動電極部17の対向位置に、固定電極部である回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6が設けられている。そして、円環状をなす押込検出用固定接点部の代わりに、中心に位置するようにスイッチ作動部47により押圧されることにより、一対の接点が接触し、押圧操作を解除することにより接点が離反する常開のプッシュスイッチ52が配設されている。なお、図13(C)中、第1実施形態の押込検出用固定接点部30と同様の位置には共通接点部53が設けられている。この共通接点部53は、径方向外側に位置するいずれかの回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6との間にかけて、対向する回転検出用可動接点部18が位置することにより導通が可能となり、マイコン42に信号を出力するためのものである。
【0077】
なお、ベース部32は、外周部に係止溝33を設けていない点で第1実施形態と相違する。また、ホルダー34は、第1実施形態と同様に、表面被覆部35と側面被覆部36とを備え、側面被覆部36に固定片37を設けたものである。
【0078】
このように構成した第3実施形態のダイヤルノブ16は、非押込状態ではプッシュスイッチ52がオフ状態を維持する。そして、この状態で、回転検出用可動接点部18、回転検出用固定接点部29A1〜29A6,29B1〜29B6,29C1〜29C6および共通接点部53により、ダイヤルノブ16の回転操作を第1実施形態と同様にして検出すると、その回転方向に従って、オートモードおよびマニュアルモードのいずれでも変更を受け付ける温度設定モードの設定温度を増減する。
【0079】
また、乗員がダイヤルノブ16の押込操作を行うと、プッシュスイッチ52がオン状態となる。そして、この状態で、ダイヤルノブ16の回転操作を検出すると、その回転方向にしたがって、風量設定モードまたは風向設定モードの選択項目を変更する。
【0080】
なお、本発明の操作装置10は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、第3実施形態では、1個のプッシュスイッチ52だけで構成しているため、第1移動位置と第2移動位置しか検出できない構成であるが、2以上のスイッチを配設することにより、2以上の移動位置を検出することも可能である。このようにすれば、第2実施形態のように、1個のダイヤルノブ16で3種の設定モードを変更することが可能となる。
【0082】
また、前記実施形態では、本発明の操作装置10を車両の空調装置の設定条件を変更する場合を例に挙げて説明したが、車両用空調装置に限られず、種々の機器に適用することが可能であり、いずれに適用しても同様の作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る第1実施形態の操作装置を車両空調装置に適用した状態を示す正面図である。
【図2】(A)は操作装置の断面図、(B)はダイヤルノブの底面図、(C)はプリント基板の平面図である。
【図3】操作装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の操作検出回路の構成を示すブロック図である。
【図5】(A),(B),(C)は操作検出回路の入出力波形を示すグラフである。
【図6】マイコンによる制御を示すフローチャートである。
【図7】図6のダイヤル操作判定処理を示すフローチャートである。
【図8】ダイヤル操作判定処理による液晶パネルの遷移を示す概略図である。
【図9】第1実施形態の変形例を示す正面図である。
【図10】ダイヤル操作判定処理による変形例の液晶パネルの遷移を示す概略図である。
【図11】第2実施形態の操作装置を車両空調装置に適用した状態を示す正面図である。
【図12】ダイヤル操作判定処理による第2実施形態の液晶パネルの遷移を示す概略図である。
【図13】(A)は第3実施形態の操作装置の断面図、(B)は回転子の底面図、(C)はプリント基板の平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1…液晶パネル
2〜5…表示部
10…操作装置
11〜15…スイッチ
16…ダイヤルノブ
17…可動電極部
18…回転検出用可動接点部(回転操作検出手段)
19…押込検出用可動接点部(押込位置検出手段)
21…把持部
23…スプリング
24…ボール部材
25…回転子
27…プリント基板
28…固定電極部
29A〜29C…回転検出用固定接点部(回転操作検出手段)
30…押込検出用固定接点部(押込位置検出手段)
32…ベース部
34…ホルダー
38〜40…回転操作検出回路(回転操作検出手段)
41…押込操作検出回路(押込位置検出手段)
42…マイコン(回転操作検出手段,押込位置検出手段,変更手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の選択項目を有する2以上の設定モードを備え、所定の設定モードを選択し、所定の選択項目を選択するための操作装置であって、
回転操作が可能で、かつ、回転中心の軸方向に沿って移動可能に配設したダイヤルノブと、
前記ダイヤルノブの回転方向および回転量を検出する回転操作検出手段と、
前記ダイヤルノブの軸方向に沿った移動位置を検出する押込位置検出手段と、
前記押込位置検出手段によって検出した前記ダイヤルノブの移動位置に応じて複数の設定モードのうち予め設定された所定の設定モードに変更するとともに、前記回転操作検出手段によって検出した前記ダイヤルノブの回転操作に応じて選択した設定モード中の選択項目を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記押込位置検出手段は、
前記ダイヤルノブに固定した可動電極と、
前記可動電極の対向位置に設けた固定電極と、
前記可動電極と固定電極との間隔の変化によって生じる電気的変化を検出することにより、前記ダイヤルノブの押込位置を可動電極と固定電極とが非接触状態で検出する検出回路と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記ダイヤルノブの把持部を、前記可動電極に対して電気的導通が可能な導通部とし、
前記検出回路は、固定電極を介して入力される電気的変化により、人体の接触状態および非接触状態を検出するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記ダイヤルノブは、前記押込位置検出手段を配設した基板に回転可能および軸方向に移動可能に保持されるもので、
前記基板に固定され、前記ダイヤルノブを保持するベース部と、
前記ダイヤルノブを基板に対して離反する方向に付勢するスプリングと、
前記スプリングの端部と基板との間に配設したボール部材と、
前記ダイヤルノブの基板に対する離反を規制するホルダーと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項1】
複数の選択項目を有する2以上の設定モードを備え、所定の設定モードを選択し、所定の選択項目を選択するための操作装置であって、
回転操作が可能で、かつ、回転中心の軸方向に沿って移動可能に配設したダイヤルノブと、
前記ダイヤルノブの回転方向および回転量を検出する回転操作検出手段と、
前記ダイヤルノブの軸方向に沿った移動位置を検出する押込位置検出手段と、
前記押込位置検出手段によって検出した前記ダイヤルノブの移動位置に応じて複数の設定モードのうち予め設定された所定の設定モードに変更するとともに、前記回転操作検出手段によって検出した前記ダイヤルノブの回転操作に応じて選択した設定モード中の選択項目を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記押込位置検出手段は、
前記ダイヤルノブに固定した可動電極と、
前記可動電極の対向位置に設けた固定電極と、
前記可動電極と固定電極との間隔の変化によって生じる電気的変化を検出することにより、前記ダイヤルノブの押込位置を可動電極と固定電極とが非接触状態で検出する検出回路と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記ダイヤルノブの把持部を、前記可動電極に対して電気的導通が可能な導通部とし、
前記検出回路は、固定電極を介して入力される電気的変化により、人体の接触状態および非接触状態を検出するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記ダイヤルノブは、前記押込位置検出手段を配設した基板に回転可能および軸方向に移動可能に保持されるもので、
前記基板に固定され、前記ダイヤルノブを保持するベース部と、
前記ダイヤルノブを基板に対して離反する方向に付勢するスプリングと、
前記スプリングの端部と基板との間に配設したボール部材と、
前記ダイヤルノブの基板に対する離反を規制するホルダーと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−302004(P2009−302004A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158031(P2008−158031)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】
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