説明

擬似立体画像生成装置、擬似立体画像生成プログラム及び擬似立体画像表示装置

【課題】非立体画像が無画部を含んだ画像であっても違和感がなくて現実に近い奥行き感を出すことのできる擬似立体画像生成装置を提供する。
【解決手段】本発明の擬似立体画像生成装置は、非立体画像に座標を設定して座標情報として生成する座標情報生成部2と、非立体画像を構成する各画素の画素値を所定の閾値と比較して閾値より大きい画素からなる領域を有効画像部として検出する有効画像検出部3と、有効画像部の座標に基づいて座標情報を補正して補正情報を生成する座標補正部4と、補正情報に基づいて基本奥行きモデルを算出する第1〜第3基本奥行きモデル算出部7〜9と、有効画像部の上下20%の領域における輝度信号の高域成分を評価する高域成分評価部5、6と、基本奥行きモデルの合成比率を決定して合成する合成部10と、非立体画像のR信号を加算する加算器11とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は擬似立体画像生成装置、擬似立体画像生成プログラム及び擬似立体画像表示装置に係り、特に通常の静止画もしくは動画、即ち奥行き情報が明示的にも又はステレオ画像のように暗示的にも与えられていない画像(非立体画像)から擬似的な立体画像を生成する擬似立体画像生成装置、擬似立体画像生成プログラム及び擬似立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
奥行き情報が明示的に与えられず、またはステレオ画像のように暗示的にも与えられていない2次元の静止画または動画(以下、非立体画像という)から、擬似的な立体画像(以下、擬似立体画像という)を生成する立体表示システムが、数多く発表されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された擬似立体画像作成装置では、始めに非立体画像の1画面における輝度信号の高域成分を算出し、非立体画像の1画面毎のシーン構造を推定する。次に代表的なシーン構造に適応した奥行き感を有する画像を基本奥行きモデルとして複数用意し、推定したシーン構造に基づいて複数の基本奥行きモデルの合成比率を自動的に算出することによって、非立体画像の奥行き感を出すための奥行き推定データを生成していた。生成された奥行き推定データは、どのような画像に対しても違和感がなく、できる限り現実に近いシーン構造をもつように生成されている。
【0004】
ところが、近年では静止画像や動画像をディスプレイに表示する場合に、画面の全てに画像が表示されずに一部に画像がない無画部を存在させている場合が多く、画面サイズと実際の画像サイズとが一致しないことが多かった。一致しない原因としてはディスプレイの画面と表示する画像とのアスペクトサイズや画素数の不一致などがある。
【0005】
図17〜19は上述した状態を示す一例であり、図17に示す画像は上下に無画部があるレターボックスといわれる形式で、図18に示す画像は左右に無画部があるサイドパネルといわれる形式、図19に示す画像は上下左右ともに無画部があるウィンドウと呼ばれる形式である。
【0006】
従来、画面サイズと画像サイズが一致しない場合に元の画像を変形あるいは欠落させることなくディスプレイに表示するためには、図17〜19のいずれかに変換する必要があった。そこで、このような画像変換を行う場合に従来ではフォーマットコンバータが使用されていた。例えば、入力信号が横画素数1024、縦画素数800、アスペクト比4:3の画像で、ディスプレイが横画素数1920、縦画素数1080、アスペクト比16:9の場合には、フォーマットコンバータで図18のサイドパネルの画像信号に変換して表示すると、入力画像をディスプレイの縦サイズに合わせて表示することができる。また、入力画素数を変更しないでディスプレイに表示する場合にはフォーマットコンバータで図19のウィンドウの画像信号に変換してディスプレイに表示していた。
【0007】
さらに、フォーマットコンバータを用いなくてもDVDなどに記録された映画のように近年標準となっている16:9より横長なアスペクト比を持つ画像は、16:9のアスペクト比になるように上下に無画部を付加して図17のレターボックスの画像信号とする場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4214976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来の擬似立体画像作成装置では、図17〜19に示したような無画部を含んだ非立体画像から奥行き推定データを生成しようとすると、以下に示すような課題があった。
【0010】
従来の擬似立体画像作成装置では、非立体画像内の所定領域における画素値の統計量を算定してシーン構造を推定している。具体的な例としては、図20に示す網掛け以外の領域のように、非立体画像の上部約20%の高域成分評価値(上部評価値)と、非立体画像の下部約20%の高域成分評価値(下部評価値)が提示されている。
【0011】
しかしながら、図17に示すレターボックスを非立体画像として同様の処理を行うと、図21に示すように網掛け以外の領域では非立体画像の上部及び下部の約20%はほとんど無画部だけが占めることになってしまう。
【0012】
そのため、非立体画像のシーン構造が変化しても、無画部はシーンによる変化がないので上部評価値と下部評価値の算出値はほぼ固定化され、シーン構造の推定が正しく行われないという問題点が生じていた。
【0013】
また、従来の擬似立体画像作成装置では、基本奥行きモデルタイプ1〜タイプ3の合成比率を変化させて奥行き推定データを生成しているが、図18に示すサイドパネルでは画面の左右が無画部で占められているため、無画部を除いた領域では基本奥行きモデルタイプ2を用いても基本奥行きモデルタイプ3を用いたとしても変化が小さくなり、本来異なるシーン構造であったとしても基本奥行きモデル間で差異が出ないという問題点があった。
【0014】
さらに、図19に示すウィンドウでは画面の上下及び左右に無画部が存在しているので、上部評価値と下部評価値の算出値に基づいて基本奥行きモデルの合成比率を変化させようとしても変化しにくくなり、しかも基本奥行きモデルタイプ1と基本奥行きモデルタイプ2と基本奥行きモデルタイプ3との間の変化も小さくなるので、入力された非立体画像のシーン構造と生成される奥行き推定データとの間の連動性がなくなってしまうという問題点もあった。
【0015】
また、図17〜19では画面の上下及び左右の無画部が均等に配置されているが、図22に示すようにどちらかに無画部が偏っている場合には、画面の中心と画像の中心が一致していないので、シーン構造と奥行き推定データとの間に不一致が生じやすくなってしまうという問題点があった。
【0016】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、非立体画像が無画部を含んだ画像であっても、違和感がなくて現実に近い奥行き感を出すことのできる擬似立体画像生成装置、擬似立体画像生成プログラム及び擬似立体画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成するために、本発明に係る擬似立体画像生成装置は、画像に座標を設定して第1座標情報として生成する座標情報生成部と、前記画像を構成する各画素の画素値を所定の閾値と比較して、前記閾値より大きい画素からなる領域を有効画像部とし、前記有効画像部を示す第2座標情報を検出する有効画像検出部と、前記第2座標情報に基づいて、前記有効画像部の所定領域の座標を示すエリア信号を生成するエリア信号生成部と、前記有効画像部の第2座標情報に基づいて前記第1座標情報を補正して補正情報を生成する座標補正部と、基本となる複数のシーン構造に対応した奥行き値を示す複数の基本奥行きモデルを、前記補正情報に基づいて算出する基本奥行きモデル算出部と、前記エリア信号で指定された前記有効画像部の所定領域における輝度信号の高域成分を評価する高域成分評価部と、前記高域成分評価部による評価に基づいて前記基本奥行きモデルの合成比率を決定し、前記合成比率によって前記複数の基本奥行きモデルを合成して合成基本奥行きモデルを生成する合成部と、前記合成基本奥行きモデルから前記画像の奥行き情報を示す奥行き推定データを生成する奥行き推定データ生成部とを備えていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る擬似立体画像生成プログラムは、画像に座標を設定して第1座標情報として生成する座標情報生成ステップと、前記画像を構成する各画素の画素値を所定の閾値と比較して、前記閾値より大きい画素からなる領域を有効画像部とし、前記有効画像部を示す第2座標情報を検出する有効画像検出ステップと、前記第2座標情報に基づいて、前記有効画像部の所定領域の座標を示すエリア信号を生成するエリア信号生成ステップと、前記有効画像部の第2座標情報に基づいて前記第1座標情報を補正して補正情報を生成する座標補正ステップと、基本となる複数のシーン構造に対応した奥行き値を示す複数の基本奥行きモデルを、前記補正情報に基づいて算出する基本奥行きモデル算出ステップと、前記エリア信号で指定された前記有効画像部の所定領域における輝度信号の高域成分を評価する高域成分評価ステップと、前記高域成分評価ステップによる評価に基づいて前記基本奥行きモデルの合成比率を決定し、前記合成比率によって前記複数の基本奥行きモデルを合成して合成基本奥行きモデルを生成する合成ステップと、前記合成基本奥行きモデルから前記画像の奥行き情報を示す奥行き推定データを生成する奥行き推定データ生成ステップとをコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明に係る擬似立体画像表示装置は、奥行き情報が明示的にも又はステレオ画像のように暗示的にも与えられていない非立体画像から擬似立体画像を生成して表示する擬似立体画像表示装置であって、前記奥行き推定データを生成する請求項1に記載の擬似立体画像生成装置と、前記奥行き推定データと前記非立体画像とを用いて、前記非立体画像のテクスチャのシフトを対応部分の奥行きに応じた量だけ行うことによって擬似立体画像を表示するための別視点画像を生成するステレオペア生成装置と、前記別視点画像と前記非立体画像とを用いて擬似立体画像を表示するステレオ表示装置とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る擬似立体画像生成装置及び擬似立体画像生成プログラムによれば、非立体画像のうち有効画像部を検出し、この有効画像部に対して奥行き推定データを生成するので、非立体画像が無画部を含んだ画像であっても、違和感がなくて現実に近い奥行き感を有する擬似立体画像を生成することができる。
【0021】
また、本発明に係る擬似立体画像表示装置によれば、有効画像部に対して生成された奥行き推定データを用いて擬似立体画像を生成するので、非立体画像が無画部を含んだ画像であっても、違和感がなくて現実に近い奥行き感を有する擬似立体画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用した一実施形態に係る擬似立体画像生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した一実施形態に係る擬似立体画像生成装置の座標情報生成部の構成を示すブロック図である。
【図3】基本奥行きモデルの座標系を説明するための図である。
【図4】本発明を適用した一実施形態に係る擬似立体画像生成装置の合成部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明を適用した一実施形態に係る擬似立体画像生成装置による奥行き推定データの生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用した一実施形態に係る擬似立体画像生成装置による有効画像部の検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】座標補正部による補正情報の計算方法を説明するための図である。
【図8】座標補正部によって補正された座標を説明するための図である。
【図9】座標補正部によって補正された座標を説明するための図である。
【図10】座標補正部によって補正された座標を説明するための図である。
【図11】座標補正部によって補正された座標を説明するための図である。
【図12】基本奥行きモデルタイプ1の立体構造を示す図である。
【図13】基本奥行きモデルタイプ2の立体構造を示す図である。
【図14】基本奥行きモデルタイプ3の立体構造を示す図である。
【図15】本発明を適用した一実施形態に係るステレオペア生成装置によるステレオペアの生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明を適用した一実施形態に係る擬似立体画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図17】レターボックスの画像の一例を示す図である。
【図18】サイドパネルの画像の一例を示す図である。
【図19】ウィンドウの画像の一例を示す図である。
【図20】従来の擬似立体画像生成装置による処理を説明するための図である。
【図21】従来の擬似立体画像生成装置による処理を説明するための図である。
【図22】ウィンドウの画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
[擬似立体画像生成装置の構成]
図1は本実施形態に係る擬似立体画像生成装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る擬似立体画像生成装置は、擬似立体化を行う非立体画像が入力される画像入力部1と、非立体画像に座標を設定して座標情報(第1座標情報)を生成する座標情報生成部2と、非立体画像を構成する各画素の画素値を所定の閾値と比較して閾値より大きい画素からなる領域を有効画像部として検出する有効画像検出部3と、有効画像部の座標に基づいて座標情報を補正して補正情報を生成する座標補正部4と、画像入力部1から入力された非立体画像のうち有効画像部の上部約20%の高域成分評価値(上部の高域成分評価値)を計算によって求める上部の高域成分評価部5と、画像入力部1から入力された非立体画像のうち有効画像部の下部約20%の高域成分評価値(下部の高域成分評価値)を計算によって求める下部の高域成分評価部6と、基本奥行きモデルタイプ1〜タイプ3を記憶して座標補正部4で生成された補正情報に基づいて有効画像部の基本奥行きモデルを算出する第1基本奥行きモデル算出部7、第2基本奥行きモデル算出部8、第3基本奥行きモデル算出部9と、上部及び下部の高域成分評価値に応じて決定される合成比率によって3種類の基本奥行きモデルを合成して合成基本奥行きモデルを生成する合成部10と、合成基本奥行きモデルに非立体画像の赤色信号(R信号)を重畳して奥行き推定データを算出する加算器(奥行き推定データ生成部)11とを備えている。
【0026】
ここで、座標情報生成部2は、非立体画像に座標を設定して座標情報として生成しており、図2は座標情報生成部2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、座標情報生成部2は、水平カウンタ21と、垂直カウンタ22と、差分器23、24とを備えている。
【0027】
水平カウンタ21は、入力された水平同期信号s1を基準にして水平同期信号に対する入力画像の開始位置p1でリセットされ、入力画像の水平サイズwまで1画素毎に1インクリメントされる。
【0028】
垂直カウンタ22は、入力された水平同期信号s1と入力された垂直同期信号s2とを基準にして垂直同期信号に対する入力画像の開始位置p2でリセットされ、入力画像の垂直サイズhまで1ラインごとに1インクリメントされる。入力画像の水平サイズw及び垂直サイズhは外部より入力される。
【0029】
したがって、水平カウンタ21のカウント値は、差分器23で水平サイズwの1/2の値であるw/2との差分を取ることによって、非立体画像の中心を(0、0)とした水平座標xとして出力される。一方、垂直カウンタ22のカウント値は、差分器24で垂直サイズhの1/2の値であるh/2との差分を取ることによって、非立体画像の中心を(0、0)とした垂直座標yとして出力される。このようにして座標情報生成部2は、非立体画像の中心を基準にした座標(x、y)を各画素に設定し、これらの座標x、yと水平サイズwと垂直サイズhを座標情報として生成している。
【0030】
有効画像検出部3は、非立体画像を構成する各画素の画素値を所定の閾値と比較して閾値より大きい画素からなる領域を有効画像部として検出し、座標情報生成部2で生成された座標情報に基づいて有効画像部の座標(第2座標情報)を座標補正部4へ出力している。また、有効画像部の所定領域、例えば上部20%の領域を示す上部エリア信号を生成して上部の高域成分評価部5に出力し、下部20%の領域を示す下部エリア信号を生成して下部の高域成分評価部6に出力している。
【0031】
座標補正部4は、座標情報生成部2から出力された座標情報を、有効画像検出部3より供給された有効画像部の座標に基づいて補正して新たな座標x’、y’と水平サイズw’と垂直サイズh’を補正情報として生成している。
【0032】
第1〜第3基本奥行きモデル算出部7〜9は、基本奥行きモデルタイプ1〜タイプ3をそれぞれ格納しており、この基本奥行きモデルに座標補正部4で生成された補正情報を用いて新たな基本奥行きモデルを算出している。
【0033】
具体的に説明すると、基本奥行きモデルは、非立体画像に対して図3に示す3次元座標系を設定し、以下の4つの式を画面の上半分と下半分とで切り替えることによって生成されている。
【0034】
z1=(r−x−y0.5−{r−(w/2)−(h/2)0.5 (1)
z2=(r−x0.5−{r−(w/2)−(h/2)0.5 (2)
z3=(r−y0.5−{r−(w/2)−(h/2)0.5 (3)
z4=r−{r−(w/2)−(h/2)0.5 (4)
尚、奥行き値Zは球を示す次式
+y+z=r
におけるzの値のことであり、xy平面に画像を置いてz軸方向を奥行きと設定したときの値である。
【0035】
基本奥行きモデルタイプ1は(1)式を用いて各画素の奥行き値Zを求めており、基本奥行きモデルタイプ2では画面上部は(2)式を用い、画面下部では(1)式を用いて各画素の奥行き値Zを求めている。また、基本奥行きモデルタイプ3では画面上部は(4)式を用い、画面下部では(3)式を用いて各画素の奥行き値Zを求めている。ここで求められた奥行き値Zは255−2Zで正規化され、0〜255の8ビットの奥行きデータとして生成されている。
【0036】
ここで、第1基本奥行きモデル算出部7は、補正情報として生成された座標x’、y’、水平サイズw’、垂直サイズh’を(1)式に代入して新たな基本奥行きモデルタイプ1を算出する。同様に、第2基本奥行きモデル算出部8は、(1)式と(2)式に座標x’、y’、水平サイズw’、垂直サイズh’を代入して新たな基本奥行きモデルタイプ2を算出し、第3基本奥行きモデル算出部9は、(3)式と(4)式に座標x’、y’、水平サイズw’、垂直サイズh’を代入することによって新たな基本奥行きモデルタイプ3を算出している。
【0037】
合成部10は、上部及び下部の高域成分評価値に応じて合成比率を決定し、この合成比率に応じて3種類の基本奥行きモデルを合成して合成基本奥行きモデルを生成している。ここで合成部10の構成を、図4を参照して説明する。
【0038】
図4に示すように、合成部10は、下部の高域成分評価値及び上部の高域成分評価値の各値をもとに各モデルの合成比率k1,k2,k3(ただし、k1+k2+k3=1)を決定する合成比率決定部40と、これらの合成比率k1,k2,k3と、基本奥行きモデルタイプ1〜タイプ3とを別々に乗算して合成比率k1,k2,k3による各モデルの線形和を出力する3つの乗算器41、42、43と、これらの乗算器41、42、43の各乗算結果を加算する加算器44とを備えている。
【0039】
[奥行き推定データの生成処理の手順]
次に、本実施形態に係る擬似立体画像生成装置による奥行き推定データの生成処理の手順を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
図5に示すように、ステップS101において、画像入力部1に擬似立体化が行われる非立体画像が入力される。この非立体画像は、通常の静止画若しくは動画であり、奥行き情報が明示的にも又はステレオ画像のように暗示的にも与えられていない画像で、8ビットで量子化されている画像データである。また、この入力画像の画像サイズは、例えば水平720画素、垂直486画素である。
【0041】
次に、ステップS102に移行すると、上述した座標情報生成部2によって非立体画像の中心を基準にした座標を設定し、この座標x、yと水平サイズw、垂直サイズhを座標情報として生成する。そして、ステップS103では座標情報生成部2が生成した座標情報を基に有効画像検出部3によって非立体画像の有効画像部が検出される。
【0042】
ここで、有効画像検出部3による有効画像部の検出処理の詳細手順を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
図6に示すように、ステップS201では非立体画像の1画素毎に画素値と所定の閾値とを比較して2値化していく。例えば、所定の閾値として黒を示す画素値を閾値に設定して1画素毎に比較していき、画素が黒の場合には「1」、黒以外の場合には「0」として2値化していく。これにより画像が表示されていない無画部のうち非立体画像の左右の領域に存在している無画部を認識することができる。
【0044】
次に、ステップS202では1ライン毎に2値化した「1」の値が最初に「0」に立ち下がるエッジの座標xを有効画像部の水平開始座標hacts(y)とし、1ラインで最後に「0」となった座標xを水平終了座標hacte(y)と設定する。例えば、画面の左右に無画部がある図18のサイドパネルの場合には、ステップS201の処理によって画面の左端で「1」が連続し、中央付近では「0」になって右端ではまた「1」となる。したがって、「1」から「0」に立ち下がった座標xを水平開始座標hacts(y)とすることによって有効画像部の左端の座標を設定することができる。また、最後に「0」となった座標xを水平終了座標hacte(y)とすることによって有効画像部の右端の座標を設定することができる。
【0045】
こうして水平開始座標hacts(y)と水平終了座標hacte(y)が設定されると、ステップS203では、ステップS202で判定した1ライン(y行目)についての水平開始座標と水平終了座標が正しいか1画面分判定する。すなわち、y−1行目までの水平開始座標の最小値をhsp(y−1)と設定してy行目の水平開始座標hacts(y)と比較し、小さいほうの値を水平開始座標の最小値hsp(y)とする。すべてのラインについてこの処理を行って最終的な最小値hsp(y)の値を有効画像部の水平開始座標hspとする。同様に、y−1行目までの水平座標の最大値をhep(y−1)と設定してy行目の水平終了座標hacte(y)と比較し、大きいほうの値をhep(y)とする。すべてのラインについてこの処理を行って最終的なhep(y)の値を有効画像領域の水平終了座標hepとする。これにより有効画像部の左端と右端の座標を設定することができる。
【0046】
なお、検出した水平開始座標hacts(y)と水平終了座標hacte(y)とは1ライン毎にリセットされ、1ラインのカウント開始時は水平開始座標hacts(y)と水平終了座標hacte(y)とがhacts(y)>hacte(y)の関係を満たす値が設定される。カウントが開始し、上述したように水平開始座標hacts(y)が検出されると、開始時に設定された値は検出された値に書き換えられる。従って、有効画像部が存在する場合は、座標が検出されるためhacts(y)<hacte(y)の関係を満たす値に書き換えられ、有効画像部が存在しない場合には、設定されたhacts(y)>hacte(y)が保持される。
【0047】
ステップS204では非立体画像の上下にある無画部と有効画像部との識別を行うために、上述したhacts(y)とhacte(y)とを比較してhacts(y)が大きい場合を「1」、小さい場合を「0」として2値化する。したがって、hacts(y)>hacte(y)で2値化することによって、画面の上下にある無画部では「1」となり、有効画像部では「0」となって無画部を検出することができる。
【0048】
次に、ステップS205ではステップS204で2値化した「1」の値が最初に「0」に立ち下がるエッジの座標yを有効画像部の垂直開始座標vspとし、最後に「0」となった座標yを垂直終了座標vepと設定する。例えば、画面の上下に無画部がある図17のレターボックスの場合には、ステップS204の処理によって画面の上端で「1」が連続し、中央付近では「0」になって下端ではまた「1」となる。したがって、「1」から「0」に立ち下がった座標yを垂直開始座標vspとすることによって有効画像部の上端の座標を設定することができる。また、最後に「0」となった座標yを垂直終了座標vepとすることによって有効画像部の下端の座標を設定することができる。
【0049】
こうしてすべてのラインについて上述した処理が終了して1画面分の判定が終わると、ステップS206において、ステップS203、S205で得られた値を有効画像部の水平開始座標hsp、水平終了座標hep、垂直開始座標vsp、垂直終了座標vepとして確定し、ステップS207で座標補正部4へ出力する。またステップS208にて有効画像部の上部20%となる領域を示す上部エリア信号を生成する。具体的に有効画像部の上部20%となる領域の上部エリア信号は、
画面上部20%の領域の水平開始位置=hsp
画面上部20%の領域の水平終了位置=hep
画面上部20%の領域の垂直開始位置=vsp
画面上部20%の領域の垂直終了位置=vsp+(vep−vsp)×0.2
となる。この上部エリア信号はステップS209において上部の高域成分評価部5へ出力される。
【0050】
また、ステップS210では有効画像部の下部20%となる領域を示す下部エリア信号が生成され、下部エリア信号は、
画面下部20%の領域の水平開始位置=hsp
画面下部20%の領域の水平終了位置=hep
画面下部20%の領域の垂直開始位置=vsp+(vep−vsp)×0.8
画面下部20%の領域の垂直終了位置=vep
となる。この下部エリア信号はステップS211において下部の高域成分評価部6へ出力される。こうしてエリア信号と有効画像部の座標(第2座標情報)が出力されると、図6に示した有効画像検出部3による有効画像部の検出処理(図5のステップS103)は終了する。
【0051】
本実施形態の有効画像検出部3は、水平カウンタ21のカウントを基に有効画像部の座標(hsp、hep、vsp、vep)を検出したが、水平カウンタ21及び垂直カウンタ22のカウントを基に検出してもよい。また、周知の黒帯検出方法を用いて、有効画像部の座標を検出してもよい。
【0052】
次に、図5のフローチャートに戻って、ステップS104では座標補正部4は、座標情報生成部2から出力された座標情報を、有効画像部の座標(hsp、hep、vsp、vep)に基づいて補正して、入力された画像の新たな座標x’、y’と有効画像部の水平サイズw’と垂直サイズh’を補正情報として生成する。
【0053】
補正情報の計算方法は、図7に示すように水平開始座標をhsp、水平終了座標をhep、垂直開始座標をvsp、垂直終了座標をvepとすると、
x’=x−(hep−hsp)/2+hsp
y’=y−(vep−vsp)/2+vsp
w’=hep−hsp
h’=vep−vsp
となる。ここで、図8に非立体画像が有効画像部の上下に無画部が存在するレターボックス形式の場合の座標x’、y’を示す。同様に図9に有効画像部の左右に無画部が存在するサイドパネル形式の場合の座標x’、y’を示す。図10に、有効画像部の左右方向かつ、上下方向にそれぞれ対称な大きさで無画部が存在するウィンドウAの場合の座標x’、y’を示し、図11に有効画像部の上下左右方向に対してそれぞれ無画部が存在するウィンドウBの場合の座標x’、y’を示す。この時の有効画像部の水平開始座標hsp、水平終了座標hep、垂直開始座標vsp、垂直終了座標vepの一例を表1に示す。表1において無画部無しとは、有効画像検出部3によって無画部が存在しないと判定された非立体画像の座標x’、y’である。
【表1】

【0054】
このようにして補正情報が生成されると、次にステップS105において基本奥行きモデルを補正する。基本奥行きモデルの補正は、上述した基本奥行きモデルを示す式(1)〜(4)に、補正情報の座標x’、y’、水平サイズw’、垂直サイズh’を代入して新たな基本奥行きモデルタイプ1〜タイプ3を算出することによって行われる。
【0055】
次に、ステップS106では上部の高域成分評価部5が上部の高域成分の評価を行う。画像入力部1に入力された非立体画像の画像データは上部の高域成分評価部5に供給され、ここで上部エリア信号に基づいて非立体画像のうち有効画像部の上部約20%が水平8画素、垂直8画素のブロックに分割され、各ブロック内の点(i,j)における輝度信号をY(i,j)としたとき、各ブロックについて次式
【数1】

【0056】
による計算が行われ、この計算結果の画像上部約20%のブロックについての平均が高域成分評価値(上部の高域成分評価値)として出力される。
【0057】
次に、ステップS107において、上部の高域成分評価と並行して、画像入力部1に入力された非立体画像の画像データは、下部の高域成分評価部6にも供給される。ここで下部エリア信号に基づいて非立体画像のうち有効画像部の下部約20%が水平8画素、垂直8画素のブロックに分割され、各ブロック内の点(i,j)における輝度信号をY(i,j)としたとき、各ブロックについて上記と同じ式による計算が行われ、この計算結果の画像下部約20%のブロックについての平均が高域成分評価値(下部の高域成分評価値)として出力される。
【0058】
こうして上部及び下部の高域成分評価値が算定されると、合成部10はステップS108において基本奥行きモデルタイプ1〜タイプ3の合成比率k1、k2、k3を決定する。この合成比率の決定方法としては、図12に示す球状の凹面を有する基本奥行きモデルタイプ1の使用を基本にしているが、例えば高域成分の算定値が画面上部で少ない場合には、画面上部に空若しくは平坦な壁が存在するシーンと認識して、図13に示す画面上部の奥行きを深くした基本奥行きモデルタイプ2の比率k2を増加させる。また、高域成分の算定値が画面下部で少ない場合には、画面下部に平坦な地面若しくは水面が手前に連続的に広がるシーンと認識して、図14に示す画面上部を遠景として平面近似し、下部については下に行くほど奥行きの小さくなる基本奥行きモデルタイプ3の比率k3を増加させるようにする。具体的な合成比率の決定方法については、特許文献1に開示されており、同様の方法を用いて合成比率を決定することができる。
【0059】
次に、合成比率k1、k2、k3が決定されると、ステップS109において基本奥行きモデルタイプ1〜タイプ3を合成部10で合成して合成基本奥行きモデルを生成する。生成された合成基本奥行きモデルは、ステップS110において、加算器11で非立体画像の三原色信号(RGB信号)のうちの赤色信号(R信号)と重畳され、最終的な奥行き推定データが出力される。ここでは画像入力部1が供給した映像信号に基づいて出力した原画のR信号の1/10を重畳している。加算器11は奥行き推定データを生成する奥行き推定データ生成部である。
【0060】
R信号を使用する理由の一つは、順光に近い環境で、尚且つテクスチャの明度が大きく異ならないような条件において、R信号の大きさが被写体の凹凸と一致する確率が高いという経験則によるものである。更にもう一つの理由としては、赤色及び暖色は色彩学における前進色であり、寒色系よりも奥行きが手前に認識されるという特徴があり、この奥行きを手前に配置することで立体感を強調することが可能になるためである。
【0061】
このようにして奥行き推定データが出力されると、本実施形態に係る擬似立体画像生成装置による奥行き推定データの生成処理は終了する。
【0062】
[ステレオペア生成装置]
上述したように擬似立体画像生成装置によって奥行き推定データが生成されると、奥行き推定データに基づいて別視点の画像を生成することが可能になる。例えば、左に視点移動する場合、画面より手前に表示するものについては、近い物ほど画像を見る者の内側(鼻側)に見えるので、内側すなわち右に対応部分のテクスチャを奥行きに応じた量だけ移動する。画面より奥に表示するものについては、近い物ほど画像を見る者の外側に見えるので、左に対応部分のテクスチャを奥行きに応じた量だけ移動する。これを左目画像、原画を右目画像とすることによってステレオペアを構成することができる。
【0063】
ステレオペアの生成装置の構成を図15のブロック図を参照して説明する。ここでは、入力画像信号に対応する奥行き推定データを8ビットの輝度値Ydで表すものとする。テクスチャシフト部53では、この輝度値Ydについて小さい値、すなわち奥に位置するものから順に、その値に対応する部分の入力画像のテクスチャを(Yd−m)/n画素右にシフトする。ここで、mは画面上の奥行きに表示する奥行きデータであり、これより大きなYdに関しては画面より手前に、小さなYdに関しては奥に表示される。また、nは奥行き感を調整するパラメータであり、これらのパラメータの具体例として、m=200、n=20などが挙げられる。
【0064】
シフトを行うことによる画像中の位置関係の変化によりテクスチャの存在しない部分、すなわちオクルージョンが発生する場合がある。このような部分については、オクルージョン補償部54において、入力画像の対応部分で充填する、若しくは公知の文献(山田邦男、望月研二、相澤清晴、齋藤隆弘:”領域競合法により分割された画像のテクスチャの統計量に基づくオクルージョン補償”、映像情報学会誌、Vol.56,No.5,pp.863〜866(2002.5))に記載の手法で充填する。
【0065】
オクルージョン補償部54でオクルージョン補償された画像は、ポスト処理部55において平滑化などの公知のポスト処理が施されることにより、それ以前の処理において発生したノイズなどが軽減されることによって左目画像として生成され、その一方で入力画像を右目画像とすることによりステレオペアが構成される。これら右目画像と左目画像は、それぞれ右目画像信号生成部56と左目画像信号生成部57により出力される。
【0066】
なお、上記について左右反転することによって、左目画像が原画、右目画像が生成された別視点画像となるステレオペアを構成することができる。
【0067】
なお、上記プロセスにおいて、右目画像を入力画像、他方を生成された別視点画像とするようなステレオペアを構成しているが、左目画像を入力画像、右目画像を生成された別視点画像としてもよく、更には左右どちらについても別視点画像を用いる、すなわち、右に視点移動した別視点画像と左に視点移動した別視点画像を用いてステレオペアを構成することも可能である。更に、2視点以上の表示が可能な表示装置で表示する場合には、その視点数に応じた数の別視点画像を生成することも可能である。
【0068】
上記の奥行き推定及びステレオペア生成法を組み合わせることにより、図16に示す2次元画像の立体視を可能にした擬似立体画像表示装置を構成することができる。図16において、図1及び図15と同一の構成部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図16に示す擬似立体画像表示装置は、擬似立体画像生成装置100で生成された擬似立体画像である奥行き推定データと、画像入力部1に入力された非立体画像とを図15に示した構成のステレオペア生成装置200のテクスチャシフト部53に供給し、これによりステレオペア生成装置200で生成されたステレオペア画像(右目画像及び左目画像)をステレオ表示装置300に供給する構成である。
【0070】
ここで、上記のステレオ表示装置300とは、偏光メガネを用いたプロジェクションシステム、時分割表示と液晶シャッタメガネを組み合わせたプロジェクションシステム若しくはディスプレイシステム、レンチキュラ方式のステレオディスプレイ、アナグリフ方式のステレオディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなどを含む。特にステレオ画像の各画像に対応した2台のプロジェクタによるプロジェクタシステムを含む。また、上記のように2視点以上の表示が可能な表示装置を用いた多視点立体映像表示システムの構築も可能である。また、本立体表示システムにおいては音声出力を装備する形態のものも考えられる。この場合、静止画等音声情報を持たない映像コンテンツについては、映像にふさわしい環境音を付加するような態様のものが考えられる。
【0071】
なお、本発明は、ハードウェアにより図1の構成の擬似立体画像生成装置を構成する場合に限定されるものではなく、図5の手順を実行するコンピュータプログラムによるソフトウェアによって擬似立体画像の生成を行うこともできる。この場合、コンピュータプログラムは、記録媒体からコンピュータに取り込まれてもよいし、ネットワーク経由でコンピュータに取り込まれてもよい。
【0072】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した一実施形態に係る擬似立体画像生成装置及び擬似立体画像生成プログラムによれば、非立体画像のうち無画部を含んでいない有効画像部を検出し、この有効画像部に対して奥行き推定データを生成するので、非立体画像が無画部を含んだ画像であっても違和感がなくて現実に近い奥行き感を有する擬似立体画像を生成することができる。
【0073】
また、本発明を適用した一実施形態に係る擬似立体画像表示装置によれば、有効画像部に対して生成された奥行き推定データを用いて擬似立体画像を生成するので、非立体画像が無画部を含んだ画像であっても違和感がなくて現実に近い奥行き感を有する擬似立体画像を表示することができる。
【0074】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
1 画像入力部
2 座標情報生成部
3 有効画像検出部
4 座標補正部
5 上部の高域成分評価部
6 下部の高域成分評価部
7 第1基本奥行きモデル算出部
8 第2基本奥行きモデル算出部
9 第3基本奥行きモデル算出部
10 合成部
11 加算器(奥行き推定データ生成部)
53 テクスチャシフト部
54 オクルージョン補償部
55 ポスト処理部
100 擬似立体画像生成装置
200 ステレオペア生成装置
300 ステレオ表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に座標を設定して第1座標情報として生成する座標情報生成部と、
前記画像を構成する各画素の画素値を所定の閾値と比較して、前記閾値より大きい画素からなる領域を有効画像部とし、前記有効画像部を示す第2座標情報を検出する有効画像検出部と、
前記第2座標情報に基づいて、前記有効画像部の所定領域の座標を示すエリア信号を生成するエリア信号生成部と、
前記有効画像部の第2座標情報に基づいて前記第1座標情報を補正して補正情報を生成する座標補正部と、
基本となる複数のシーン構造に対応した奥行き値を示す複数の基本奥行きモデルを、前記補正情報に基づいて算出する基本奥行きモデル算出部と、
前記エリア信号で指定された前記有効画像部の所定領域における輝度信号の高域成分を評価する高域成分評価部と、
前記高域成分評価部による評価に基づいて前記基本奥行きモデルの合成比率を決定し、前記合成比率によって前記複数の基本奥行きモデルを合成して合成基本奥行きモデルを生成する合成部と、
前記合成基本奥行きモデルから前記画像の奥行き情報を示す奥行き推定データを生成する奥行き推定データ生成部と
を備えていることを特徴とする擬似立体画像生成装置。
【請求項2】
画像に座標を設定して第1座標情報として生成する座標情報生成ステップと、
前記画像を構成する各画素の画素値を所定の閾値と比較して、前記閾値より大きい画素からなる領域を有効画像部とし、前記有効画像部を示す第2座標情報を検出する有効画像検出ステップと、
前記第2座標情報に基づいて、前記有効画像部の所定領域の座標を示すエリア信号を生成するエリア信号生成ステップと、
前記有効画像部の第2座標情報に基づいて前記第1座標情報を補正して補正情報を生成する座標補正ステップと、
基本となる複数のシーン構造に対応した奥行き値を示す複数の基本奥行きモデルを、前記補正情報に基づいて算出する基本奥行きモデル算出ステップと、
前記エリア信号で指定された前記有効画像部の所定領域における輝度信号の高域成分を評価する高域成分評価ステップと、
前記高域成分評価ステップによる評価に基づいて前記基本奥行きモデルの合成比率を決定し、前記合成比率によって前記複数の基本奥行きモデルを合成して合成基本奥行きモデルを生成する合成ステップと、
前記合成基本奥行きモデルから前記画像の奥行き情報を示す奥行き推定データを生成する奥行き推定データ生成ステップと
をコンピュータに実現させることを特徴とする擬似立体画像生成プログラム。
【請求項3】
奥行き情報が明示的にも又はステレオ画像のように暗示的にも与えられていない非立体画像から擬似立体画像を生成して表示する擬似立体画像表示装置であって、
前記奥行き推定データを生成する請求項1に記載の擬似立体画像生成装置と、
前記奥行き推定データと前記非立体画像とを用いて、前記非立体画像のテクスチャのシフトを対応部分の奥行きに応じた量だけ行うことによって擬似立体画像を表示するための別視点画像を生成するステレオペア生成装置と、
前記別視点画像と前記非立体画像とを用いて擬似立体画像を表示するステレオ表示装置と
を備えていることを特徴とする擬似立体画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−142852(P2012−142852A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−658(P2011−658)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】