説明

支承用カバー、支承及び免震装置

【課題】 簡単な構成で、接触板と移動部材との相対移動を阻害することなく、しかも接触面への異物の付着を確実に防止可能な支承用カバーと、この支承用カバーを備えた支承、及びこの支承を備えた免震装置を得る。
【解決手段】 支承用カバー152は、可撓性の布材によって形成され、ホルダー116に取り付けられる第1取付部154と、すべり面112Sの全面を覆うことが可能な被覆部156及び、すべり受け板112の外周(側面)を覆って台部106Bに達するスカート部158を備える。被覆部156は、一旦内側に折り込まれた追従部160が形成されており、すべり面112S上ですべり板122がすべるときに、被覆部156が部分的に伸びてこのすべりを許容する。被覆部156に追従部160を設けるだけの簡単な構成で、すべり面112Sの被覆状態を維持しつつ、すべり面112S上でのすべり板122のすべりを許容することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支承用カバー、支承及び免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
支持部材に対し、ビルなどの構造物(被支持部材)を免震して支持する免震装置が知られている。このような免震装置では、支持部材上の支承によって、被指示部材である上部構造物が支持されると共に、支持部材と上部構造物とが水平方向に相対移動可能とされている。さらに、支持部材と上部構造物との間には、これらの相対移動によって弾性変形する変形部材が配置されている。
【0003】
支承としては、建造物等に固定用部材を介して取り付けたすべり材が、支持部材(又は被支持部材)に取り付けたすべり板上をすべるように構成されたものがある。
【0004】
ところが、すべり板上(接触面)にゴミなどの異物が付着した状態ですべり材がずべると、すべり板とすべり材との間に異物が入り込み、これらに傷がつくおそれがある。
【0005】
これに対し、図7に示すように、特許文献1に記載されたすべり支承体21では、すべり支承用カバー24が設けられており、すべり面22への水やほこりの侵入が防止されている。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の構成では、すべり面22上の水分を吸収するために、防水シート41の下側に保水層42を設けているため、構造が複雑になる。
【0007】
また、すべり面22上への水分付着を未然に防いで保水層42を不要とすべく、防水シート41の外縁を平板状部材23や基礎12に固着する構成も考えられるが、このような構成では、単に固着しただけでは、防水シート41が平板状部材23とすべり支承体21との相対移動に追従せず、この相対移動の抵抗となってしまう。
【特許文献1】特開2001−317228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事実を考慮し、簡単な構成で、接触板と移動部材との相対移動を阻害することなく、しかも接触面への異物の付着を確実に防止可能な支承用カバーと、この支承用カバーを備えた支承、及びこの支承を備えた免震装置を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明では、支持部材又は被支持部材の一方に固定用部材を介して固定される移動部材と、支持部材又は被支持部材の他方に固定され、前記移動部材と対向する面が前記移動部材が移動可能に接触する接触面とされた接触板と、を備え、支持部材上で被支持部材を水平方向に相対移動可能に支持する支承の、前記固定用部材に取り付けられる第1取付部と、前記取付部から延出され少なくとも前記接触面の全面を覆う形状とされた可撓性の被覆部と、前記被覆部の外側で前記接触板に取り付けられる第2取付部と、前記被覆部を部分的に内側に折り込んで形成され接触板と移動部材との相対移動に追従して被覆部での接触面被覆状態を維持可能とする追従部と、を有することを特徴とする。
【0010】
したがって、この支承用カバーの第1取付部を支承の固定用部材に取り付け、第2取付部を同じく支承の接触板に取り付けると、被覆部が支承の接触面の全面を覆う。このため、接触面への異物の付着を防止できる。
【0011】
また、被覆部は可撓性とされると共に追従部が形成されており、接触板と移動部材とが相対移動しても、被覆部がこれに追従して接触面の被覆状態を維持する。したがって、接触板と移動部材とが相対移動したときでも、接触面への異物の付着を確実に防止できる。追従部は、可撓性とされた被覆部の一部として形成されているので、接触板と移動部材と相対移動時に変形し、この相対移動を阻害しない。
【0012】
しかも、追従部は、被覆部を部分的に内側に折り込むだけで形成できるので、簡単な構成となる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記被覆部から延出され接触板の側面を被覆可能とされたスカート部、をさらに有することを特徴とする。
【0014】
したがって、スカート部により支承の接触板の側面まで覆うことができるので、より確実に接触面への異物の付着を防止できる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第2取付部が、前記接触板を前記被支持部材に取り付けるための取付ボルトを挿通可能なボルト挿通孔、を含んで構成されていることを特徴とする。
【0016】
したがって、支承の接触板を被支持部材に取り付けるための取付ボルトを利用し、この取付ボルトを挿通孔に挿通して、第2取付部を接触板に取り付けることができる。第2取付部を接触板に取り付けるための新たな部材が不要となるので、より簡単な構成となる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記第1取付部から前記被覆部に至るように設けられた分割部と、前記分割部又はその近傍に設けられ分割部の左右の部分を接合可能な接合手段と、を有することを特徴とする。
【0018】
したがって、この分割部によって、第1取付部及び被覆部のそれぞれを、この分割部の左右の部分に分けて、支承用カバーを略扇形状に開くことができる。これにより、たとえば支承用カバーの内部を点検等する必要が生じた場合に、支承用カバーを略扇状に開いて、この点検等を容易に行うことが可能となる。
【0019】
分割部の左右の部分は接合手段によって接合できるので、接触面を覆って異物の付着を防止できる。
【0020】
なお、分割部を複数設け、第1取付部及び被覆部のそれぞれが複数の部分に完全に分割される(ただし、第1取付部、被覆部及び第2取付部は連続的に一体化されている)ようになっていてもよい。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記第1取付部に設けられ、第1取付部を前記固定用部材へと締付け可能とする締付部材、を有することを特徴とする。
【0022】
したがって、締付部によって第1取付部を固定用部材へ締付けることで、固定用部材へより確実に取付可能となる。また、第1取付部と固定用部材との隙間を少なくする(好ましくは隙間を無くす)ことで、支承用カバー内部への異物の侵入を防止可能となる。
【0023】
請求項6に記載の発明では、支持部材又は被支持部材の一方に固定用部材を介して固定される移動部材と、支持部材又は被支持部材の他方に固定され、前記移動部材と対向する面が前記移動部材が移動可能に接触する接触面とされた接触板と、前記固定用部材と前記接触板との間で前記接触面の全面を覆うように装着された請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の支承用カバーと、を有することを特徴とする。
【0024】
この支承では、支持部材又は被支持部材の一方に固定用部材を介して移動部材が固定され、他方には、接触板が固定される。この移動部材が被支持部材の荷重を接触板上で支持するとともに、接触板の接触面に対して移動可能となっている。そして、被支持部材の支持部材に対する水平方向への相対移動を、移動部材が接触板上(接触面)を移動することにより許容する。
【0025】
そして、この支承には請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の支承用カバーが装着され、支承の接触面は被覆部によって覆われる。このため、簡単な構成で、接触面への異物の付着を防止でき、接触板と移動部材と相対移動時を阻害することもない。
【0026】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の支承と、支持部材と被支持部材との水平方向の相対移動によって弾性変形する変形部材と、を有することを特徴とする。
【0027】
支持部材と被支持部材とが水平方向に相対移動しようとすると、この移動が支承によって許容される。
【0028】
また、請求項6に記載の支承を備えているので、支承を構成する支承用カバーによって、簡単な構成で、接触面への異物の付着を防止でき、接触板と移動部材と相対移動時を阻害することもない。
【0029】
なお、上記の「被支持部材」としては、本発明のすべり支承を介して支持される構造物であればよく、例えば、オフィスビル、病院、集合住宅、美術館、公会堂、学校、庁舎、神社仏閣、橋梁、競技場、照明灯等を挙げることができる。また、「支持部材」としては、本発明のすべり支承を介して上記の被支持部材を支持するものであればよく、例えば、これら被支持部材のの基礎、土台、地盤等を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明は上記構成としたので、簡単な構成で、接触板と移動部材との相対移動を阻害することなく、しかも接触面への異物の付着を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1には、本発明の第1実施形態の免震装置102を、支持部材の一例である建物基礎106と、被支持部材の一例であるビルの鉄骨架台108(あるいはPC板)との間に配置した状態が示されている。免震装置102は、すべり支承104と、復元部材110とで構成されている。
【0032】
図2にも詳細に示すように、すべり支承104は、支承本体105と、この支承本体105に装着される支承用カバー152とで構成されている。支承本体105は、建物基礎106の台部106B上に固定されるすべり受け板112を有している。台部106Bには取付ボルト107Bが埋設されており、すべり受け板112に図示しない挿通孔に取付ボルト107Bを挿通してナット107Nを螺合することで、すべり受け板112が台部106Bに固定される。
【0033】
すべり受け板112の上面はすべり面112Sとされている。台部106Bの上面は平坦に形成されており、これによって、すべり受け板112(特に、すべり面112S)の平面性が確保されている。
【0034】
また、すべり支承104は、ボルト114によって鉄骨架台108に固定されるホルダー116を有している。ホルダー116の下面には、ボルト114により、上下に2枚のすべり板固定金具118、119が取り付けられている。下側のすべり板固定金具118の内側は中空部とされ、ゴム等の弾性体からなる緩衝部材120を介して、すべり板122が固着されている。すべり板固定金具118とすべり受け板112とは非接触となっているが、すべり板122はすべり受け板112とは接触しており、すべり板122はすべり面112S上をすべるようになっている。なお、すべり板122とすべり受け板112との間には、塗膜で構成される摺動材124が配設され、これらの動摩擦係数を所定の範囲としている。動摩擦係数としては、0.01〜0.09の範囲とすることが好ましい。動摩擦係数の値が0.01未満の場合には、たとえば強風などによっても戸建住宅が水平方向に移動してしまうおそれがあるが、0.01以上とすることで、このような移動は阻止できる。また、動摩擦係数が0.09を超えると、すべり板122とすべり受け板112との摩擦が、戸建住宅と地面との相対移動の抵抗になるおそれがあるが、0.09以下とすることで、この抵抗を少なくし、戸建住宅と地面とを確実に相対移動させることができる。なお、すべり受け板112のすべり面112Sには、必要に応じて、ワックス等の潤滑剤を塗布し、上記動摩擦係数を所定の数値とすることが好ましい。
【0035】
図2及び図3に詳細に示すように、支承用カバー152は、可撓性の布材によって形成されており、ホルダー116に取り付けられる扁平な筒状の第1取付部154を有している。第1取付部154からは、斜め下方へと拡がるように延出され、すべり面112Sの全面を覆うことが可能な被覆部156が形成されている。さらに、被覆部156の外側からは、すべり受け板112の外周(側面)を覆って台部106Bに達するスカート部158が延出されている。なお、本実施形態では、すべり受け板112として四角形のものを挙げているため、被覆部156の外縁及びスカート部158としても、これに対応して四角形とし、支承用カバー152全体として略四角錘状としている。
【0036】
図2から分かるように、被覆部156は、第1取付部154から外側への延出部分の中間において、一旦内側に折り込まれ、さらに外側へと延出されるように畳み込まれた形状とされており、この部分が追従部160とされている。この追従部160によって実質的に被覆部156が伸びるため、図4に示すように、すべり面112S上ですべり板122がすべるときに、被覆部156が部分的に伸び(第1取付部154をはさんでその反対側では縮み)このすべりを許容する。
【0037】
図5に示すように、支承用カバー152には、第1取付部154から被覆部156(追従部160を含む)を経てスカート部158へと至る、1本の直線状の分割部162が形成されており、第1取付部154、被覆部156及びスカート部158をこの分割部162の左右へと分割して、支承用カバー152を略扇状に開くことができるようになっている。
【0038】
また、分割部162の両側には面ファスナー164が取り付けられており、分割部162の左右の部分を接合して、全体として略四角錐状に維持できるようになっている。
【0039】
第1取付部154には締付紐166が設けられており、第1取付部154をホルダー116の周囲に配置した状態で締付けることができる。このように、締付紐166を利用して締付けるだけで簡単に、ホルダー116に対し隙間なく第1取付部154を取り付けできる。
【0040】
図6に示すように、被覆部156の4つの角部156Cのそれぞれからは、内側へ向かって三角形状の取付片168が延出され、取付片168のそれぞれにボルト挿通孔170が形成されている。ボルト挿通孔170には、すべり受け板112を台部106Bに取り付けるための取付ボルト107Bを挿通可能とされている。したがって、ボルト挿通孔170に取付ボルト107Bを挿通してナット107Nを螺合することで、取付片168(第2取付部)が台部106Bに取り付けられる。
【0041】
これに対し、復元部材110は、図1に示すように、円盤状の下フランジ132と、下フランジ132の中央から立設された略円柱状のゴム体136、及びゴム体136の上面に固定された円盤状の上フランジ(図示省略)と、を有している。下フランジ132は、その周囲のボルト114によって台部106Bに固定されている。上フランジ134も、ボルト114によって、鉄骨架台108に固定されている。
【0042】
ゴム体136は、一定サイズに形成され、厚み方向に所定の間隙をあけて積層された複数の金属板142と、これらの間隙に配置されたゴム層144を備えている。ゴム層144を構成するゴムは、さらに、金属板142及び上フランジ134の縁部を取り囲むように周囲に配置されて、ゴム壁146とされており、これらを側方から覆っている。これにより、ゴム層144は紫外線等から保護され、その耐久性が向上されている。ゴム層144及びゴム壁146の具体的材料としては、たとえば、EPDMなどの合成ゴムを挙げることができる。
【0043】
なお、すべり支承104及び復元部材110の数及び位置は、それぞれに求められる作用を果たすことが可能であれば特に限定されない。また、すべり支承104と復元部材110の数が一致している必要もない。また、すべり支承104及び復元部材110を構成している各部材を固定する構造も、特に限定されない。たとえば、上記したボルト114やネジなどの係止部材を用いてもよいが、接着剤等による接着や、物理的な嵌合が可能である場合には、これらの方法でもよい。
【0044】
このような構成とされた第1実施形態の免震装置102では、ホルダー116とすべり受け板112の縁部分との間に支承用カバー152が掛け渡されて配置され、支承用カバー152の被覆部156がすべり面112Sを覆っている。支承用カバー152は、締付紐166によって第1取付部154をホルダー116に締付けて取り付けると共に、ボルト挿通孔170に取付ボルト107Bを挿通してナット107Nを螺合するだけで、容易に支承本体105に装着することができる。支承用カバー152(取付片168)をすべり受け板112に取り付けるための新たな部材が不要となる。
【0045】
また、この免震装置102では、すべり支承104が、建物基礎106上で、戸建住宅の鉄骨架台108を支持している。すべり支承104は、すべり受け板112のすべり面112Sに対してすべり板122がすべるので、たとえば、地震等によって建物基礎106に横揺れが発生したような場合でも、この揺れは鉄骨架台108へ直接的には伝わらなくなる。特に、ホルダー116とすべり板122との間には、ゴム等の弾性体からなる緩衝部材120が介在されているので、たとえば、すべり支承104に偏荷重が作用した場合でも、すべり面112Sと、すべり板122の対向面(下面)とが平行に保たれる。
【0046】
建物基礎106と鉄骨架台108とが水平方向に相対移動すると、復元部材110のゴム体136がせん断変形し、その弾性力が、建物基礎106及び鉄骨架台108に対し復元力として作用する。これにより、建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動が制限されると共に長周期化されるので、これらが相対移動前の位置に戻ろうとすると共に、相対移動のエネルギーが吸収される。
【0047】
また、本実施形態のすべり支承104では、すべり面112Sが支承用カバー152によって覆われるようになっており、すべり面112Sにゴミ、埃等の異物が付着しないようになっている。すべり面112Sの表面性状を良好に維持できるので、すべり面112Sに対するすべり板122のずべりに影響与えない。特に、この支承用カバー152では、スカート部158がすべり受け板112の側面まで覆って台部106Bに達するようになっているので、支承用カバー152の下側を回り込む埃等の侵入を確実に防止可能とされている。
【0048】
また、本実施形態では、締付紐166によって第1取付部154がホルダー116に隙間なく締付けられているので、支承用カバー152内への異物の侵入がより確実に防止されている。
【0049】
図4に示すように、すべり受け板112のすべり面112Sに対してすべり板122がすべるとき、支承用カバー152の追従部160によって被覆部156が部分的に伸びて、支承用カバー152がこのすべりに追従する。これにより、このすべりが許容され、すべりに不用意な抵抗が生じることはない。そして、すべりによってホルダー116及びすべり板122がすべり面112Sの縁部まで移動してしまった状態でも、被覆部156によってすべり面112Sを被覆した状態を確実に維持できる。
【0050】
すべり支承104の使用途中では、支承用カバー152の内部を点検等する必要が生じることがある。この場合には、図5に示すように、面ファスナー164を剥がして第1取付部154、被覆部156及びスカート部158をこの分割部162の左右へと分割する。これにより、支承用カバー152を略扇状に開くことができるので、支承用カバー152の内部の点検等が容易になる。点検等の終了後は、再度面ファスナー164で分割部162の左右を接合すれば、支承用カバー152を全体として略四角錘状とし、すべり面112Sを覆った形状に維持できる。
【0051】
以上の説明から分かるように、被覆部156に追従部160を設けるだけの簡単な構成で、すべり面112Sの被覆状態を維持しつつ、すべり面112S上でのすべり板122のすべりを許容することができる。
【0052】
なお、上記説明では、支承用カバー152として布材で構成されたものを例に挙げたが、すべり面112Sに対するすべり板122のすべりに過度の抵抗を与えない程度の変形追従性を有していれば材質は特に限定されず、たとえば、ポリエステル布地、ターポリン、塩ビ系シート等であってもよい。
【0053】
本発明の追従部160としては、上記では、被覆部156が部分的に内側に折り込まれている形状のものを上げたが、これに限らず、たとえば外側へ折られているものや、蛇腹状とされているものであってもよい。
【0054】
本発明の接合手段としても、上記の面ファスナー164に限られず、分割部162の左右の部分を確実に接合できればよい。たとえば、一般的なファスナーやホックなどでもよい。
【0055】
本発明の締付部材としても、第1取付部154をホルダー116に確実に締付けて取り付けできるようになっていればよく、たとえば、面ファスナーであってもよい。
【0056】
また、上記説明では、本発明の支承として、いわゆるすべり支承104を挙げたが、このすべり支承104としては、積層ゴム体を備えたいわゆる弾性すべり支承でもよい。さらに、いわゆる転がり支承としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態の免震装置を示す一部破断正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のすべり支承を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態のすべり支承を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態のすべり支承をすべり板がすべり面上を移動した状態で示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のすべり支承を分割部で分割した状態で示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態のすべり支承を構成する支承用カバーの底面図である。
【図7】従来のすべり支承装置を示す一部破断斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
102 免震装置
104 すべり支承(支承)
105 支承本体
106 建物基礎(支持部材)
106B 台部
107N ナット
107B 取付ボルト
108 鉄骨架台(被支持部材)
110 復元部材
112 すべり板(移動板)
112S すべり面(移動面)
114 ボルト
116 ホルダー
118 すべり板固定金具
119 すべり板固定金具
120 緩衝部材
122 すべり板
132 下フランジ
134 上フランジ
136 ゴム体
142 金属板
144 ゴム層
146 ゴム壁
152 支承用カバー
154 第1取付部
156 被覆部
156C 角部
158 スカート部
160 追従部
162 分割部
164 面ファスナー(接合手段)
166 締付紐(締付部材)
168 取付片
170 ボルト挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材又は被支持部材の一方に固定用部材を介して固定される移動部材と、支持部材又は被支持部材の他方に固定され、前記移動部材と対向する面が前記移動部材が移動可能に接触する接触面とされた接触板と、を備え、支持部材上で被支持部材を水平方向に相対移動可能に支持する支承の、前記固定用部材に取り付けられる第1取付部と、
前記取付部から延出され少なくとも前記接触面の全面を覆う形状とされた可撓性の被覆部と、
前記被覆部の外側で前記接触板に取り付けられる第2取付部と、
前記被覆部を部分的に内側に折り込んで形成され接触板と移動部材との相対移動に追従して被覆部での接触面被覆状態を維持可能とする追従部と、
を有することを特徴とする支承用カバー。
【請求項2】
前記被覆部から延出され接触板の側面を被覆可能とされたスカート部、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の支承用カバー。
【請求項3】
前記第2取付部が、前記接触板を前記被支持部材に取り付けるための取付ボルトを挿通可能なボルト挿通孔、を含んで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の支承用カバー。
【請求項4】
前記第1取付部から前記被覆部に至るように設けられた分割部と、
前記分割部又はその近傍に設けられ分割部の左右の部分を接合可能な接合手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の支承用カバー。
【請求項5】
前記第1取付部に設けられ、第1取付部を前記固定用部材へと締付け可能とする締付部材、
を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の支承用カバー。
【請求項6】
支持部材又は被支持部材の一方に固定用部材を介して固定される移動部材と、
支持部材又は被支持部材の他方に固定され、前記移動部材と対向する面が前記移動部材が移動可能に接触する接触面とされた接触板と、
前記固定用部材と前記接触板との間で前記接触面の全面を覆うように装着された請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の支承用カバーと、
を有することを特徴とする支承。
【請求項7】
請求項6に記載の支承と、
支持部材と被支持部材との水平方向の相対移動によって弾性変形する変形部材と、
を有することを特徴とする免震装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−9496(P2006−9496A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191095(P2004−191095)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(501270287)エヌアイ帝人商事株式会社 (10)
【Fターム(参考)】