説明

支持部材及び光電変換モジュール

【課題】光電変換素子を個別に交換することのできる支持部材及び光電変換モジュールを提供することにある。
【解決手段】支持体20の外周面20a全体を覆う中心電極21を形成して、太陽電池素子13をソケット12に挿入すると、中心電極21の挟入部21aがチューリップ形状の挟持板19に挟持されて、中心電極21の基端部21bが陽極端子18のフランジ部18bに接触し、陽極端子18と中心電極21とが電気的に接続されるようにした。また、ソケットケース14の内周面14aに、全周方向にわたって突出する断面凸曲面状の陰極端子15を形成して、太陽電池素子13をソケット12に挿入すると、外周電極24が陰極端子15の表面を摺動して、陰極端子15と外周電極24とが電気的に接続されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材及び光電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池は、多種の太陽電池が開発されており、その中でもシリコンを用いた太陽電池が注目を集めている。特に、多結晶シリコンを用いた太陽電池やアモルファスシリコンを用いた太陽電池が、産業用や家庭用として実用化されている。
【0003】
一般的な太陽電池モジュールは、導電性部材からなる接続線によって互いに接続された、P型及びN型等の半導体層からなる光電変換層を有する複数個の太陽電池素子が、ポリビニルブチラール(PVB)等から形成されて光透過性及び絶縁性を有する封止材によって封止されている。そして、この封止材が、光透過性を有するガラス等からなる裏面部材と、光透過性を有する樹脂フィルム等からなる表面部材とによって挟持されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−31519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の太陽電池モジュールでは、表面部材と裏面部材との間で複数の太陽電池素子を封止材によって封止した構造であるため、各部材を分離することは容易ではなかった。すなわち、封止材によって封止された複数の太陽電池素子を、個別に交換することは困難であった。そのため、個々の太陽電池素子の光電変換効率が低下しても、太陽電池モジュール全体を交換するようにしていた。あるいは、光電変換効率が低下した光電変換素子をそのまま使用し続けるようにしていた。その結果、太陽電池モジュール全体を交換する場合には、光電変換効率の低下していない光電変換素子まで廃棄するという無駄が生じてしまっていた。また、光電変換効率の低下した光電変換素子を使用し続ける場合には、太陽電池モジュール全体の発電電力が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、光電変換素子を取付け・取り外しができ、光電変換素子を交換することのできる支持部材及び光電変換モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる支持部材は、第1電極と第2電極との間に光電変換層が挟まれた光電変換素子の一端部を着脱自在に保持して、前記一端部の前記第1電極と接続する第1接続端子を備えた。
【0007】
これによれば、第1接続端子が光電変換素子の一端部を保持するだけで、第1電極を第1接続端子に電気的に接続させることができる。また、光電変換素子の一端部を、第1接続端子から取り外すだけで、第1電極を第1接続端子から離間することができる。従って、光電変換素子を取付け・取り外しができ、光電変換素子を交換することができる。
【0008】
この支持部材において、前記第1接続端子が前記光電変換素子の一端部を保持するときに前記第2電極と接触して、前記光電変換素子の一端部を前記第1接続端子から取り外すときに前記第2電極から離間する第2接続端子をさらに備えるようにしてもよい。
【0009】
これによれば、第1接続端子が光電変換素子の一端部を保持するだけで、第1電極及び第2電極を、それぞれ第1接続端子及び第2接続端子に電気的に接続させることができる。さらに、光電変換層の一端部を第1接続端子から取り外すだけで、第1電極及び第2電極を、それぞれ第1接続端子及び第2接続端子から離間させることができる。従って、光電変換素子をより容易に取り外し・取付けすることができる。
【0010】
この支持部材において、前記光電変換素子の他端部を着脱自在に保持する保持部をさらに備えるようにしてもよい。
これによれば、光電変換素子を一端部と他端部との2点で保持することができるため、光電変換素子をより安定して保持することができる。
【0011】
本発明にかかる支持部材は、第1電極と第2電極との間に光電変換層が挟まれた光電変換素子の一端部を着脱自在に保持して、前記一端部の前記第1電極と接続する第1接続端子と、前記光電変換素子の他端部を着脱自在に保持して、前記他端部の前記第2電極と接続する第2接続端子とを備えた。
【0012】
これによれば、第1接続端子が光電変換素子の一端部を保持するだけで、第1電極を第1接続端子に電気的に接続させることができる。また、第2接続端子が光電変換素子の他端部を保持するだけで、第2電極を第2接続端子に電気的に接続させることができる、そして、光電変換素子の一端部及び他端部を、それぞれ第1接続端子及び第2接続端子から取り外すだけで、第1電極及び第2電極を、それぞれ第1接続端子及び第2接続端子から離間することができる。従って、光電変換素子を取付け・取り外しができ、光電変換素子を交換することができる。また、光電変換素子を一端部と他端部との2点で保持することができるため、光電変換素子をより安定して保持することができる。
【0013】
本発明にかかる光電変換モジュールは、上記の支持部材を複数備え、前記支持部材に着脱可能に支持される複数の光電変換素子を備えた。
これによれば、光電変換素子を取付け・取り外しすることのできる支持部材を複数設けたため、例えば不良になった光電変換素子を個別に交換することができる。これによって、従来のように光電変換モジュール全体を交換したり、不良になった光電変換素子を使用し続けたりすることを回避することができる。
【0014】
この光電変換モジュールにおいて、前記各光電変換素子は、棒状に形成されて、管状の前記光電変換層の内側面に前記第1電極が形成されるとともに、前記管状の光電変換層の外側面に管状の前記第2電極が形成されるようにしてもよい。
【0015】
これによれば、各光電変換素子の光電変換層が管状構造になっているため、第1電極を挟んで2層構造となる。従って、太陽光を受光する面積を増大させることができ、効率的に太陽光を受光することができる。そのため、各光電変換素子の発電電力を増大させることができる。
【0016】
この光電変換モジュールにおいて、前記各支持部材は、前記光電変換素子が嵌合される凹部を備えるようにしてもよい。
これによれば、支持部材の凹部に光電変換素子が嵌合されるようにしたため、この凹部によっても光電変換素子を保持することができる。従って、光電変換素子を好適に保持することができる。
【0017】
この光電変換モジュールにおいて、前記各光電変換素子は、管状に形成されて、管状の前記光電変換層の内側面に管状の前記第1電極が形成されるとともに、前記管状の光電変換層の外側面に管状の前記第2電極が形成されるようにしてもよい。
【0018】
これによれば、各光電変換素子の光電変換層が管状構造になっているため、第1電極を挟んで2層構造となる。従って、太陽光を受光する面積を増大させることができ、効率的に太陽光を受光することができる。そのため、各光電変換素子の発電電力を増大させることができる。
【0019】
この光電変換モジュールにおいて、前記各支持部材は、前記光電変換素子の中央に形成される空洞部に嵌合して、前記光電変換素子を保持する嵌合部を備えるようにしてもよい。
【0020】
これによれば、支持部材の嵌合部が光電変換素子の空洞部に嵌合されるようにしたため、この嵌合部によっても光電変換素子を保持することができる。従って、光電変換素子を好適に保持することができる。
【0021】
この光電変換モジュールにおいて、前記光電変換層は、ケイ素化合物を含有する液体材料から形成されるようにしてもよい。
これによれば、ケイ素化合物の含有する液体材料から光電変換層を形成するようにした。液体材料中に不純物が略均一に分布しているため、不純物が略均一に分布された光電変換層を形成することができる。従って、光電変換素子のどの面で太陽光を受光しても略一定の光電変換効率を得ることができる。その結果、各光電変換素子の品質を向上させることができる。
【0022】
この光電変換モジュールにおいて、前記光電変換層は、前記第1電極と接して形成される第1導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と前記第2電極とに挟まれて形成される第2導電型半導体層とを備えるようにしてもよい。
【0023】
これによれば、第1導電型半導体層及び第2導電型半導体層を備えた光電変換素子を、個別に交換することができる。
この光電変換モジュールにおいて、前記光電変換層は、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層とに挟まれて形成される真性半導体層をさらに備えるようにしてもよい。
【0024】
これによれば、第1導電型半導体層、第2導電型半導体層及び真性半導体層を備えた光電変換素子を、個別に交換することができる。また、真性半導体層により、第1導電型半導体層と第2導電型半導体層とによって形成される内部電界領域の幅を拡張することができる。これによって、太陽光の受光により光電変換層内に生じる電子−正孔対が、その内部電界領域によって分離されて再結合されることなく、第1導電型半導体層及び第2導電型半導体層に移動することができるため、広範な光スペクトルを利用した高効率な発電を行うことができる。
【0025】
本発明にかかる光電変換モジュールは、導電体と、前記導電体を包む光電変換層と、前記光電変換層を包む導電膜とを含む光電変換素子を基台に固定する光電変換モジュールであって、前記基台上に第1端子と第2端子を有し、前記第2端子が挟持板を含み、前記第1端子が前記光電変換素子の前記導電体に接し、前記第2端子が前記光電変換素子の前記導電膜に接し、前記挟持板が前記導電膜の外周の少なくとも2箇所に接触することを特徴とするものであってもよい。
【0026】
これによれば、導電体と、前記導電体を包む光電変換層と、前記光電変換層を包む導電膜とを含む光電変換素子の基台への着脱が自在となるため、例えばこの光電変換素子が損傷した場合に、交換が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。図1は、太陽電池モジュール10を説明するための概略斜視図であって、図2は、ソケット12を説明するための断面図である。
【0028】
図1に示すように、太陽電池モジュール10の四角板状の基台11の太陽光Lを受光する受光面11aには、格子状に配列された複数のソケット12と、各ソケット12に挿着された光電変換素子としての複数の太陽電池素子13が備えられている。
【0029】
図2に示すように、ソケット12には、それぞれアルミニウム等の光反射性を有する導電性材料で形成された有底筒状のソケットケース14が備えられている。ソケットケース14の内周面14aは、光反射性を高めるために光鏡面仕上げされて、その内周面14aの一部には、その全周方向にわたってソケットケース14の軸心C側に突出する断面凸曲面状の第2接続端子を構成する陰極端子15が形成されている。図3に示すように、陰極端子15は、太陽電池素子13がソケット12に挿入されるときに、その表面が太陽電池素子13の外周面(後述する外周電極24:図3参照)と摺接可能なサイズで形成されている。
【0030】
ソケットケース14の底部14bには、ソケットケース14の軸心Cを中心軸とする円形孔14hが形成されて、底部14bの外側には、外方に延びる接続端子16が一体形成されている。そして、各ソケット12の接続端子16が、図示しない共通の陰極線に電気的に接続されて、その陰極線が外部負荷に電気的に接続されている。
【0031】
ソケットケース14の底部14bに形成された円形孔14hには、絶縁性樹脂等から形成されて円板状に形成された絶縁板17が嵌合されている。絶縁板17の中心位置には、貫通孔17hが形成されている。その貫通孔17hには、十字状に形成されて第1接続端子を構成する陽極端子18が挿通されている。陽極端子18は、絶縁板17の貫通孔17hに挿通される基端部18aと、基端部18aに形成されて貫通孔17hよりも大きい径からなるフランジ部18bと、フランジ部18bの受光面11a側の面に延出形成された嵌合部としての先端部18cとから構成されている。先端部18cは、後述する太陽電池素子13の支持体20の空洞部20hに嵌合可能なサイズに形成されている。そして、各ソケット12の陽極端子18の基端部18aが、図示しない共通の陽極線に電気的に接続されて、その陽極線が外部負荷に電気的に接続されている。
【0032】
ソケットケース14の内側には、陽極端子18のフランジ部18bと絶縁板17との間に挟持されたチューリップ形状の挟持板19が、受光面11a側に延びるように取付けられている。
【0033】
太陽電池素子13には、その中央に軸心Cを中心軸とする円筒状に形成された支持体20が備えられている。支持体20は、例えば各種ガラス材料等の無機材料、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート等の可撓性樹脂材料で形成されている。そして、太陽電池素子13がソケット12に挿入されると、支持体20の空洞部20hに、陽極端子18の先端部18cが嵌合されて、太陽電池素子13がソケット12に保持されるようになっている。
【0034】
その支持体20の外周面20aには、軸心C側から順に、第1電極としての中心電極21、第1導電型半導体層としてのP型半導体層22、第2導電型半導体層としてのN型半導体層23及び第2電極としての外周電極24が積層されている。
【0035】
中心電極21は、支持体20の外周面20a全体にわたって均一な膜厚で積層された導電体である。また、中心電極21は、仕事関数の大きい導電性材料(例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、Sb含有SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の無機酸化物、あるいはポリチオフェンやポリピロール等の透明導電樹脂等)によって形成されている。
【0036】
この中心電極21は、導電性材料を利用した蒸着法やスパッタ法等の気相プロセスによって形成してもよく、あるいは導電性材料を含む液状体に、支持体20を浸漬する液相プロセスを利用し、外周面20aの全体に形成した液状膜を乾燥することによって中心電極21を形成するようにしてもよい。
【0037】
そして、太陽電池素子13がソケット12に挿入されると、中心電極21の一端部(挟入部)21aが、前記挟持板19に着脱自在に挟持されて、太陽電池素子13がソケット12に保持されるようになっている。また、太陽電池素子13がソケット12に挿入されると、支持体20及び中心電極21の各基端部20b,21bが、陽極端子18のフランジ部18bの上面に接触して、陽極端子18と中心電極21とが電気的に接続されるようになっている。
【0038】
なお、中心電極21は、太陽電池素子13をソケット12に着脱するとき、すなわち中心電極21の挟入部21aを、挟持板19及び陽極端子18に対して摺動させるときに、その中心電極21が、支持体20から剥離しない程度の膜密度や膜厚によって形成されている。
【0039】
P型半導体層22は、中心電極21の挟入部21aを除く外周面全体にわたって均一な膜厚で積層されたシリコン層である。本実施形態のP型半導体層22を構成するP型半導体層材料は、周期表の3B族元素を含むシラン化合物の液体材料である。詳述すると、P型半導体層材料は、一般式Siで表される環系を有する液状体の前記シラン化合物に、ホウ素(B)を含有する化合物を添加し、これに紫外線を照射した後、トルエン等の溶媒で希釈し、フィルタを通した液体材料である。
【0040】
ここで、前記一般式SiのXは水素元素及びハロゲン元素のうち少なくとも一種の元素を表し、nは5以上の整数を表し、mはn、2n−2または2nの整数を表す。また、ホウ素を含有する化合物としては、例えばホウ素原子を含有するシラン化合物、ジボラン、テトラボラン、ペンタボラン、ヘキサボラン、デカボラン、トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリフェニルホウ素等を利用することができる。また、希釈に使用する溶媒としては、シラン化合物及びホウ素の少なくとも1種を含有する化合物を溶解し、ホウ素単体又はホウ素を含有する化合物を溶解し、且つ溶質と反応しないものであれば特に限定されない。
【0041】
また、シラン化合物としては、具体的には、1個の環状構造を有するものとして、シクロトリシラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン等を利用することができる。また、2個の環状構造を有するものとして、1、1’−ビシクロブタシラン、1、1’−ビシクロペンタシラン、1、1’−ビシクロヘキサシラン、1、1’−ビシクロヘプタシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロペンタシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロヘプタシラン、 1、1’−シクロペンタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロペンタシリルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロヘキサシリルシクロヘプタシラン、スピロ[2、2]ペンタシラン、スピロ[3、3]ヘプタタシラン、スピロ[4、4]ノナシラン、スピロ[4、5]デカシラン、スピロ[4、6]ウンデカシラン、スピロ[5、5]ウンデカシラン、スピロ[5、6]ウンデカシラン、スピロ[6、6]トリデカシラン等を利用することができる。その他には、上記化合物の骨格の水素原子を部分的にSiH基やハロゲン原子に置換したシラン化合物を利用することができる。また、これらのうちの2種以上を混合して利用することもできる。
【0042】
これらのシラン化合物は、不活性ガス雰囲気中で焼成することによって、シリコン膜に変換される。この際の焼成温度としては、一般に到達温度が約550℃以下の温度ではアモルファス状のシリコン膜が、それ以上の温度では多結晶状のシリコン膜が得られる。アモルファス状のシリコン膜を得たい場合は、到達温度を、300℃〜550℃程度にすることが好ましく、350℃〜450℃程度にすることがより好ましい。到達温度が300℃未満の場合は、シラン化合物の熱分解が十分に進行せず、十分な特性のシリコン膜を形成できない場合がある。焼成を行う場合の雰囲気は窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス、もしくは水素等の還元性ガスを混入したものが好ましい。
【0043】
N型半導体層23は、P型半導体層22の外周面全体にわたって均一な膜厚で積層されたシリコン層である。本実施形態のN型半導体層23を構成するN型半導体層材料は、周期表の5B族元素を含むシラン化合物の液体材料である。詳述すると、N型半導体層材料は、一般式Siで表される環系を有する液状体のシラン化合物に、リンを含有する化合物を添加し、これに紫外線を照射した後、トルエン等の溶媒で希釈してフィルタを通した液体材料である。
【0044】
ここで、リンを含有する化合物としては、例えばリン原子を含有するシラン化合物、リン原子を含有する変性シラン化合物、ホスフィン、ジホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等を利用することができる。また、希釈に使用する溶媒としては、シラン化合物及び黄リン等のリン単体またはリンを含有する化合物を溶解し、且つ溶質と反応しないものであれば特に限定されない。また、シラン化合物については、P型半導体層22に利用されるものと同様である。
【0045】
外周電極24は、N型半導体層23の外周面全体にわたって均一な膜厚で積層された導電膜である。また、外周電極24は、中心電極21と同様に、仕事関数の大きい導電性材料(例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、Sb含有SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の無機酸化物、あるいはポリチオフェンやポリピロール等の透明導電樹脂等)によって形成されている。
【0046】
この外周電極24は、導電性材料を利用した蒸着法やスパッタ法等の気相プロセスによって形成してもよく、あるいは導電性材料を含む液状体に、N型半導体層23を形成した支持体20を浸漬する液相プロセスを利用して、N型半導体層23の外周面全体を覆う液状膜を乾燥することによって形成するようにしてもよい。そして、太陽電池素子13がソケット12に挿入されると、外周電極24が前記陰極端子15に接触して、陰極端子15と外周電極24とを電気的に接続するようになっている。そして、前述のように各ソケット12の陰極端子15(接続端子16)が、図示しない共通の陰極線に電気的に接続されて、その陰極線が外部負荷に電気的に接続されている。
【0047】
なお、外周電極24は、太陽電池素子13をソケット12に着脱するとき、すなわち外周電極24を陰極端子15に対して摺動させるときに、その外周電極24が、支持体20(N型半導体層23)から剥離しない程度の膜密度や膜厚によって形成されている。
【0048】
また、太陽電池素子13は、その先端部13aが受光面11a及びソケット12の先端面12aよりも突出されるサイズに形成されている。図4に示すように、太陽光Lは、各太陽電池素子13の先端部13aから太陽電池素子13内部に入射されて、ソケットケース14によって反射されるようになっている。そして、太陽光Lは、ソケットケース14内で内部反射を繰り返して、絶縁板17側に出射されるようになっている。
【0049】
このように、太陽電池素子13内に太陽光Lが入射されると、大部分の太陽光Lは光電変換層(P型半導体層22及びN型半導体層23)で吸収される。すると、光電変換層内において光励起キャリア、すなわち電子−正孔対が生成され、その電子がN型半導体層23側に、正孔がP型半導体層22側に移動することにより太陽電池素子13の光電変換層内に電界が生じる。そして、N型半導体層23側に移動した電子が外周電極24によって収集され、P型半導体層22に移動した正孔が中心電極21によって収集されるようになっている。さらに、各太陽電池素子13の外周電極24は、陰極端子15を介して接続端子16と電気的に接続され、外周電極24で収集された電子が、全てのソケット12の接続端子16に電気的に接続される陰極線(図示しない)によって収集されるようになっている。また、各太陽電池素子13の中心電極21は、陽極端子18と電気的に接続され、中心電極21で収集された正孔が、全てのソケット12の陽極端子18に電気的に接続される陽極線(図示しない)によって収集されるようになっている。そして、その陰極線と陽極線を外部負荷(図示しない)に接続することにより、その外部回路に電流が流れて太陽電池モジュール10全体で発電した電力を外部負荷に供給できるようになっている。
【0050】
続いて、太陽電池素子13を長期間にわたって使用し、例えば太陽電池素子13の光電変換効率が所定の値以下に低下したときには、図5に示すように、太陽電池素子13の先端部13aを把持して、太陽電池素子13をZ方向に移動させて中心電極21の挟入部21aを挟持板19から抜脱する。また、太陽電池素子13をZ方向に移動させて、陽極端子18の先端部18cと、太陽電池素子13の支持体20の空洞部20hとの嵌合状態を解除する。これによって、中心電極21及び外周電極24を、それぞれ陽極端子18及び陰極端子15から離間させることができ、太陽電池素子13をソケット12から取り外すことができる。
【0051】
そして、新しい太陽電池素子13をソケット12に挿入して、中心電極21の挟入部21aを挟持板19に挟入させるととともに、陽極端子18の先端部18cを支持体20の空洞部20hに嵌合させる。すると、太陽電池素子13の中心電極21及び外周電極24が、それぞれ陽極端子18及び陰極端子15に接触して電気的に接続される。これによって、複数の太陽電池素子13のうち、不良になった太陽電池素子13をそれぞれ個別に新しい太陽電池素子13に交換することができる。さらに、口金や配線等を要することなく、太陽電池素子13を抜差しするだけで、陽極端子18及び陰極端子15との接続・離間が可能であるため、より簡単に太陽電池素子13を交換することができる。従って、個々の太陽電池素子13が不良となった場合に、従来のように太陽電池モジュール10全体を交換する必要がなく、不良になった太陽電池素子13を個別に交換することができるため、コストを低減することができる。また、太陽電池素子13を光電変換効率が低下したまま使用し続けることを回避することができるため、太陽電池モジュール10全体の光電変換効率を所定の値に維持することができる。その結果、安定した発電電力を外部負荷に供給することができる。
【0052】
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、太陽電池モジュール10に、太陽電池素子13を個別に支持して、太陽電池素子13の中心電極21及び外周電極24とそれぞれ電気的に接続される陽極端子18及び陰極端子15を形成したソケット12を設けた。これによって、複数の太陽電池素子13のうち、不良になった太陽電池素子13をそれぞれ個別に新しい太陽電池素子13に交換することができる。従って、個々の太陽電池素子13が不良となった場合に、従来のように太陽電池モジュール10全体を交換する必要がなく、不良になった太陽電池素子13を個別に交換することができるため、コストを低減することができる。また、太陽電池素子13を光電変換効率が低下したまま使用し続けることを回避することができるため、太陽電池モジュール10全体の光電変換効率を所定の値に維持することができる。その結果、安定した発電電力を外部負荷に供給することができる。
【0053】
(2)本実施形態によれば、支持体20の外周面20a全体を覆う中心電極21を形成した。そして、太陽電池素子13をソケット12に挿入すると、中心電極21の挟入部21aが挟持板19に挟持されて、中心電極21の基端部21bが陽極端子18のフランジ部18bの上面に接触し、中心電極21と陽極端子18とが電気的に接続されるようにした。
【0054】
従って、太陽電池素子13をソケット12に挿入し、挟持板19に挟入部21aを挟持させるだけで、中心電極21と陽極端子18とを電気的に接続させることができる。その結果、口金や配線等を要することなく、太陽電池素子13を交換可能にすることができる。
【0055】
(3)本実施形態によれば、ソケットケース14の内周面14aに、全周方向にわたって突出する断面凸曲面状の陰極端子15を形成した。そして、太陽電池素子13をソケット12に挿入すると、外周電極24が陰極端子15の表面を摺動して、外周電極24と陰極端子15とが電気的に接続されるようにした。
【0056】
従って、太陽電池素子13をソケット12に挿入するだけで、外周電極24と陰極端子15を、確実に電気的に接続することができる。その結果、外周電極24と陰極端子15を接続するための配線等を要することなく、より簡単な構成で太陽電池素子13を交換することができる。
【0057】
(4)本実施形態によれば、陽極端子18を、基端部18aと、フランジ部18bと、先端部18cとから構成した。そして、太陽電池素子13をソケット12に挿入すると、陽極端子18の先端部18cが支持体20の空洞部20hに嵌合されるようにした。これによって、挟持板19に加えて、陽極端子18によって太陽電池素子13を支持することができるため、より好適に太陽電池素子13を支持することができる。
【0058】
(5)本実施形態によれば、ソケットケース14を光反射性部材で形成した。従って、太陽光Lが太陽電池素子13内部に入射されると、太陽光Lは、ソケットケース14内で内部反射を繰り返すようになっている。その結果、太陽電池素子13の長さ分だけ、太陽光Lを受光する面積(有効面積)を増大させることができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図6及び図7に従って説明する。図6は、太陽電池モジュール30を説明するための概略斜視図であって、図7は、太陽電池素子13の支持構造を説明するための断面図である。なお、第2実施形態でも、長さは異なるが、第1実施形態で説明した太陽電池素子13と同様の構造を有する太陽電池素子を使用するため、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
図6に示すように、太陽電池モジュール30の基台31は、四角板状のベース部32と、そのベース部32の両側に形成された左側取付板33,右側取付板34とから構成されている。左側取付板33の右側取付板34と対向する対向面33aには、所定の間隔を置いてX方向に並設された複数のソケット36が形成されている。また、右側取付板34の左側取付板33と対向する対向面34aには、図7に示すように、ソケット36と対向する位置にそれぞれ挟持体38が形成されている。
【0061】
そして、太陽電池素子13の基端部13b(支持体20の基端部20b)側がソケット36に挿着されるとともに、太陽電池素子13の先端部13a側が挟持体38によって保持されるようになっている。
【0062】
詳述すると、ソケット36には、それぞれ絶縁性樹脂で形成された有底筒状のソケットケース40が備えられている。ソケットケース40の底部40bには、ソケットケース40の軸心Cを中心軸とする円形孔40hが形成されている。その円形孔40hには、十字状に形成される第1接続端子を構成する陽極端子42が嵌合されている。陽極端子42は、ソケットケース40の円形孔40hに挿通される基端部42aと、基端部42aの先端側に形成されて円形孔40hよりも大きい径からなるフランジ部42bと、フランジ部42bの先端側の面に形成された嵌合部としての先端部42cとから構成されている。先端部42cは、太陽電池素子13の支持体20の空洞部20hに嵌合可能なサイズに形成されている。そして、各ソケット36の陽極端子42の基端部42aが、図示しない共通の陽極線に電気的に接続されて、その陽極線が外部負荷に電気的に接続されている。
【0063】
ソケットケース40の内側には、陽極端子42のフランジ部42bとソケットケース40の底部40bとの間に挟持されたチューリップ形状の左側挟持板43が、右側取付板34側(Y矢印方向)に延びるように取付けられている。
【0064】
そして、太陽電池素子13の基端部13b側がソケット36に挿入されると、支持体20の空洞部20hに陽極端子42の先端部42cが嵌合されるとともに、左側挟持板43に中心電極21の挟入部21aが着脱自在に挟持されて、太陽電池素子13がソケット36に保持されるようになっている。また、太陽電池素子13がソケット36に挿入されると、支持体20及び中心電極21の各基端部20b,21bが、陽極端子42のフランジ部42bの上面に接触して、陽極端子42と中心電極21とが電気的に接続されるようになっている。
【0065】
一方、ソケット36と対向する位置に設けられる挟持体38は、導電性材料から構成されるとともに、断面四角柱状のベース部38aと、左側取付板33側(反Y矢印方向)に延びるようにベース部38aの先端側に取付けられた第2接続端子を構成するチューリップ形状の右側挟持板38bとから構成されている。右側挟持板38bは、太陽電池素子13が挿入されると、その太陽電池素子13の外周電極24を着脱自在に挟持するとともに、その外周電極24と電気的に接続するようになっている。そして、各挟持体38のベース部38aの基端が、図示しない共通の陰極線に電気的に接続されており、その陰極線が外部負荷に電気的に接続されている。
【0066】
太陽光Lは、太陽電池素子13の外周面の上半分部分13cから太陽電池素子13内部に入射されて、各種層(外周電極24、N型半導体層23、P型半導体層22及び中心電極21)を通過して太陽電池素子13の外周面の下半分部分13d側から出射されるようになっている。
【0067】
このように、太陽電池素子13内に太陽光Lが入射されると、大部分の太陽光Lは光電変換層(P型半導体層22及びN型半導体層23)で吸収される。すると、光電変換層内において光励起キャリア、すなわち電子−正孔対が生成され、その電子がN型半導体層23側に、正孔がP型半導体層22側に移動することにより太陽電池素子13の光電変換層内に電界が生じる。そして、N型半導体層23側に移動した電子が外周電極24によって収集され、P型半導体層22に移動した正孔が中心電極21によって収集されるようになっている。さらに、各太陽電池素子13の外周電極24は、右側挟持板38bを介してベース部38aと電気的に接続され、外周電極24で収集された電子が、全ての挟持体38のベース部38aに電気的に接続される陰極線(図示しない)によって収集されるようになっている。また、各太陽電池素子13の中心電極21は、陽極端子42と電気的に接続され、中心電極21で収集された正孔が、全てのソケット36の陽極端子42に電気的に接続される陽極線(図示しない)によって収集されるようになっている。そして、その陰極線と陽極線とを外部負荷(図示しない)に接続することにより、その外部回路に電流が流れて太陽電池モジュール10全体で発電した電力を外部負荷に供給できるようになっている。
【0068】
続いて、太陽電池素子13を長期間にわたって使用し、例えば太陽電池素子13の光電変換効率が所定の値以下に低下したときには、太陽電池素子13を把持して図7においてY矢印方向に太陽電池素子13を移動させて、挟持体38の右側挟持板38bの底部38cに当接させる。すると、中心電極21の挟入部21aが左側挟持板43から抜脱されるとともに、陽極端子42の先端部42cと、太陽電池素子13の支持体20の空洞部20hとの嵌合状態を解除される。これによって、太陽電池素子13の基端部13bをソケット36から取り外すことができる。次に、太陽電池素子13を傾斜させて、反Y矢印方向に移動させると、太陽電池素子13の先端部13aを挟持体38の右側挟持板38bから抜脱させることができる。
【0069】
そして、新しい太陽電池素子13を、その先端部13aが挟持体38の右側挟持板38bの底部38cに当接するまで右側挟持板38bに挟入する。次に、太陽電池素子13を水平にして、その基端部13bをソケット36に挿入して、中心電極21の挟入部21aを左側挟持板43に挟入させるととともに、陽極端子18の先端部18cを支持体20の空洞部20hに嵌合させる。すると、太陽電池素子13の中心電極21及び外周電極24が、それぞれ陽極端子42及び右側挟持板38bに接触して電気的に接続される。これによって、複数の太陽電池素子13のうち、不良になった太陽電池素子13をそれぞれ個別に新しい太陽電池素子13に交換することができる。さらに、口金や配線等を要することなく、太陽電池素子13を抜差しするだけで、陽極端子42及び右側挟持板38bとの接続・離間が可能であるため、より簡単に太陽電池素子13を交換することができる。従って、個々の太陽電池素子13が不良となった場合に、従来のように太陽電池モジュール10全体を交換する必要がなく、不良になった太陽電池素子13を個別に交換することができるため、コストを低減することができる。また、太陽電池素子13を光電変換効率が低下したまま使用し続けることを回避することができるため、太陽電池モジュール30全体の光電変換効率を所定の値に維持することができる。その結果、安定した発電電力を外部負荷に供給することができる。
【0070】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態によれば、太陽電池モジュール30に、太陽電池素子13を個別に支持するソケット36及び挟持体38を設けた。また、そのソケット36には、太陽電池素子13の中心電極21と電気的に接続される陽極端子42を形成するとともに、挟持体38には、太陽電池素子13の外周電極24と電気的に接続される右側挟持板38bを形成した。これによって、複数の太陽電池素子13のうち、不良になった太陽電池素子13をそれぞれ個別に新しい太陽電池素子13に交換することができる。従って、個々の太陽電池素子13が不良となった場合に、従来のように太陽電池モジュール30全体を交換する必要がなく、不良になった太陽電池素子13を個別に交換することができるため、コストを低減することができる。また、太陽電池素子13を光電変換効率が低下したまま使用し続けることを回避することができるため、太陽電池モジュール30全体の光電変換効率を所定の値に維持することができる。その結果、安定した発電電力を外部負荷に供給することができる。
【0071】
(2)本実施形態によれば、太陽電池素子13を、その先端部13a及び基端部13bが挟持体38及びソケット36によってそれぞれ支持されるようにした。これによって、太陽電池素子13を、先端部13a及び基端部13bの2点で支持することができるため、図6におけるY方向に長く延設された太陽電池素子13でも安定して支持することができる。
【0072】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1実施形態では、陰極端子15を、ソケットケース14の内周面14aに形成する構成にした。これに限らず、例えば、陰極端子15を、挟持板19や陽極端子18の近傍に形成してもよく、太陽電池素子13をソケット12に挿入するときに、陰極端子15と外周電極24とが接触する位置であればよい。
【0073】
・上記第1実施形態におけるソケット12を図8に示す支持部材50のように変更してもよい。すなわち、ソケット12のソケットケース14を省略してもよい。詳述すると、例えば上記第1実施形態と同様に、陽極端子18の先端部18cが支持体20の空洞部20hに嵌合されるとともに、中心電極21の基端部21bと陽極端子18のフランジ部18b上面とが接触されて電気的に接続されるようになっている。また、フランジ部18bの下面には、絶縁性樹脂からなる絶縁層51が形成されている。絶縁層51は、陽極端子18の基端部18aが嵌合される円形孔51hが形成されている。その絶縁層51には、その両側から突出されてZ方向に延びるように形成されるチューリップ形状の挟持板52が形成されて、その挟持板52によって太陽電池素子13の外周電極24が着脱自在に挟持されるようになっている。また、挟持板52を導電性材料によって形成することによって、外周電極24と挟持板52が電気的に接続されるようになっている。そして、挟持板52の反Z矢印方向側の一端には、外方に延びる接続端子54が一体形成されて、その接続端子54が、図示しない共通の陰極線に電気的に接続されて、その陰極線が外部負荷に電気的に接続されるようになっている。これによって、太陽電池素子13のより広い面積を、基台11の受光面11aよりも上側に露出させることができるため、より多くの太陽光Lを直接受光することができる。なお、接続端子54には少なくとも2つの挟持板52が設けられており、これらが太陽電池素子13の外周電極24である導電膜を挟む、すなわち、導電膜の少なくとも2箇所に接触することで、太陽電池素子13を基台11に固定することが好ましい。
【0074】
・上記第2実施形態におけるソケット36を、図9に示すように、ソケットケース40と左側挟持板43とを省略して形成するようにしてもよい。また、ソケットケース40のみを省略して形成するようにしてもよい。これによって、部品点数を低減することができるため、生産コストを低減することができ、さらに太陽電池モジュール30の生産性を向上させることができる。
【0075】
あるいは、図10に示すように、太陽電池素子13の基端部13bを図8に示す支持部材50によって支持するようにして、太陽電池素子13の先端部13aを絶縁性樹脂からなる保持部としての挟持体56によって支持するようにしてもよい。すなわち、中心電極21及び外周電極24と、支持部材50(陽極端子18及び挟持板52)との電気的な接続部を、基端部13b側に集中させて配置するようにしてもよい。
【0076】
・上記各実施形態では、支持体20を管状に形成するようにしたが、これに限らず、例えば支持体20を棒状に形成するようにしてもよい。なお、太陽電池素子13を一点で支持する場合には、例えば図11に示すように、断面略T字状に形成された陽極端子58の先端面58aに凹部59を形成して、その凹部59に太陽電池素子13の基端部13bを嵌合させて太陽電池素子13を保持することが好ましい。また、太陽電池素子13を二点で支持する場合には、図12に示すように、断面矩形状に形成された陽極端子60の先端面60aに凹部61を形成して、その凹部61に太陽電池素子13の基端部13bを嵌合させて太陽電池素子13を保持することが好ましい。
【0077】
・上記各実施形態では、支持体20の断面及び外形を、それぞれ断面が円形状であって、外形が棒状に具体化した。これに限らず、断面形状が楕円形状であってもよい。また、断面形状が多角形状や一部に平面を有する形状であってもよい。あるいは、外形が螺旋形に曲折した形状であってもよい。なお、これらの場合、太陽電池素子13の形状に合わせて、太陽電池素子13を支持するソケットや挟持体の形状を変更する必要がある。
【0078】
・上記第1実施形態では、陽極端子18と挟持板19を別部材で構成したが、これら陽極端子18と挟持板19を一体形成して、挟持板19に外部負荷に接続される陽極線(図示しない)を接続する構成にしてもよい。
【0079】
・上記第1実施形態では、ソケットケース14を光反射性を有する導電性材料で形成するようにしたが、これに限らず、例えばソケットケース14を光透過性を有する導電性材料で形成するようにしてもよい。
【0080】
・上記第1実施形態における太陽電池素子13の先端部13a(基台11の受光面11a側)を平面状に形成したが、これに限らず、例えば太陽電池素子13の先端部13aを半球面状に形成するようにしてもよい。すなわち、支持体20を棒状として、その先端部側を半球面状に形成する。そして、その支持体20の外周面に、中心電極21、P型半導体層22、N型半導体層23及び外周電極24を形成して、先端部側が半球面状に形成された中心電極21、P型半導体層22、N型半導体層23及び外周電極24を形成する。これによって、光電変換層(P型半導体層22及びN型半導体層23)は、太陽が移動して太陽光Lの入射角度が変化しても、効率的に太陽光Lを受光することができる。また、太陽光Lが入射される太陽電池素子13の先端部13a側の表面積を、上記第1実施形態の場合の受光表面積に比べてπ/2倍、すなわち約1.5倍に増大させることができる。その結果、上記第1実施形態の場合に比べて各太陽電池素子13の発電電力を増大させることができる。
【0081】
・上記第2実施形態における基台31を、アルミニウム等の光反射性を有する金属材料から構成するようにしてもよい。これによって、基台31のベース部32の太陽光Lと対向する面に入射した太陽光Lを太陽電池素子13に反射させることができる。これによって、太陽光Lを効率的に太陽電池素子13に入射させることができるため、発電電力を増大させることができる。
【0082】
・上記各実施形態では、支持体20の外周面20aに、中心電極21、P型半導体層22、N型半導体層23及び外周電極24の順に積層するようにした。これに限らず、支持体20の外周面20aに、中心電極21、N型半導体層23、P型半導体層22及び外周電極24の順に積層するようにしてもよい。
【0083】
・上記各実施形態では、中心電極21の外周面に、光電変換層(P型半導体層22及びN型半導体層23)を一層形成するようにした。これに限らず、例えば光電変換層を多層に積層した、いわゆるタンデム構造にしてもよい。この場合、特に、禁制帯幅の異なる複数の光電変換層を積層することによって、太陽光Lの入射側の光電変換層から順に短波長の光を利用して発電し、より長波長の光はより内周の光電変換層で利用することができる。その結果、太陽光Lの各波長域の光エネルギー、特に長波長までの光エネルギーを電気エネルギーに変換することができるため、上記実施形態の単結合の場合に比べてより高い光電変換効率を得ることができる。
【0084】
・上記各実施形態では、光電変換層をP型半導体層22及びN型半導体層23からなるpn接合構造としたが、これに限らず、例えばP型半導体層22とN型半導体層23との間に真性半導体層を挟んでpin接合構造としてもよい。この真性半導体によって、P型半導体層22及びN型半導体層23のpn接合の実質的な幅、すなわち内部電界領域を拡張することができる。従って、太陽光Lの受光により真性半導体層内に生じる電子−正孔対が、その内部電界領域によって分離されて再結合されることなく、それぞれN型半導体層23及びP型半導体層22に移動することができるため、広範な光スペクトルを利用した高効率な発電を行うことができる。
【0085】
・上記各実施形態では、支持体20を絶縁材料によって構成したが、これに限らず、支持体20を導電性材料、例えば中心電極材料によって構成してもよい。これによれば、支持体20の外周面20aに、別途中心電極21を形成する必要がなく、部品点数も減らすことができることから、太陽電池素子13を小型化することができる。
【0086】
・上記各実施形態では、支持体20の外周面20a全体に光透過性を有する中心電極21を形成するようにしたが、これに限らず、例えば中心電極21に代えて光反射性を有する電極を支持体20の外周面20aに形成するようにしてもよい。
【0087】
・上記各実施形態では、P型半導体層材料及びN型半導体層材料をシラン化合物から構成したが、これに限らず、例えばシリコン及びカーボンからなる高分子化合物から構成するようにしてもよい。また、シリコン及びゲルマニウムからなる高分子化合物から構成するようにしてもよい。あるいは、シリコン、カーボン及びゲルマニウムからなる高分子化合物から構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1実施形態における太陽電池モジュールを説明するための概略斜視図。
【図2】同じく、ソケットを説明するための断面図。
【図3】同じく、ソケットと太陽電池素子を説明するための断面図。
【図4】同じく、太陽電池素子の受光を説明するための断面図。
【図5】同じく、太陽電池素子の脱着を説明するための断面図。
【図6】第2実施形態における太陽電池モジュールを説明するための概略斜視図。
【図7】同じく、太陽電池素子の支持構造を説明するための断面図。
【図8】別例における太陽電池素子の支持構造を説明するための断面図。
【図9】別例における太陽電池素子の支持構造を説明するための断面図。
【図10】別例における太陽電池素子の支持構造を説明するための断面図。
【図11】別例における太陽電池素子の支持構造を説明するための断面図。
【図12】別例における太陽電池素子の支持構造を説明するための断面図。
【符号の説明】
【0089】
L…太陽光、10,30…太陽電池モジュール、11,31…基台、12…支持部材としてのソケット、13…光電変換素子としての太陽電池素子、15…第2接続端子を構成する陰極端子、18,42,58,60…第1接続端子を構成する陽極端子、19…挟持板、20…支持体、20h…空洞部、21…第1電極としての中心電極、22…第1導電型半導体層としてのP型半導体層、23…第2導電型半導体層としてのN型半導体層、24…第2電極としての外周電極、38…挟持体、38b…右側挟持板、43…左側挟持板、50…支持部材、52…第2接続端子を構成する挟持板、56…保持部としての挟持体、59,61…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極との間に光電変換層が挟まれた光電変換素子の一端部を着脱自在に保持して、前記一端部の前記第1電極と電気的に接続する第1接続端子を備えたことを特徴とする支持部材。
【請求項2】
請求項1に記載の支持部材において、
前記第1接続端子が前記光電変換素子の一端部を保持するときに前記第2電極と接触して、前記光電変換素子の一端部を前記第1接続端子から取り外すときに前記第2電極から離間する第2接続端子をさらに備えたことを特徴とする支持部材。
【請求項3】
請求項2に記載の支持部材において、
前記光電変換素子の他端部を着脱自在に保持する保持部をさらに備えたことを特徴とする支持部材。
【請求項4】
第1電極と第2電極との間に光電変換層が挟まれた光電変換素子の一端部を着脱自在に保持して、前記一端部の前記第1電極と電気的に接続する第1接続端子と、
前記光電変換素子の他端部を着脱自在に保持して、前記他端部の前記第2電極と接続する第2接続端子とを備えたことを特徴とする支持部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の支持部材を複数備え、前記支持部材に着脱可能に支持される複数の光電変換素子を備えたことを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の光電変換モジュールにおいて、
前記各光電変換素子は、棒状に形成されて、管状の前記光電変換層の内側面に前記第1電極が形成されるとともに、前記管状の光電変換層の外側面に管状の前記第2電極が形成されることを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の光電変換モジュールにおいて、
前記各支持部材は、前記光電変換素子が嵌合される凹部を備えたことを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項8】
請求項5に記載の光電変換モジュールにおいて、
前記各光電変換素子は、管状に形成されて、管状の前記光電変換層の内側面に管状の前記第1電極が形成されるとともに、前記管状の光電変換層の外側面に管状の前記第2電極が形成されることを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の光電変換モジュールにおいて、
前記各支持部材は、前記光電変換素子の中央に形成される空洞部に嵌合して、前記光電変換素子を保持する嵌合部を備えたことを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか1つに記載の光電変換モジュールにおいて、
前記光電変換層は、ケイ素化合物を含有する液体材料から形成されることを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれか1つに記載の光電変換モジュールにおいて、
前記光電変換層は、前記第1電極と接して形成される第1導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と前記第2電極とに挟まれて形成される第2導電型半導体層とを備えたことを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項12】
請求項11に記載の光電変換モジュールにおいて、
前記光電変換層は、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層とに挟まれて形成される真性半導体層をさらに備えたことを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項13】
導電体と、前記導電体を包む光電変換層と、前記光電変換層を包む導電膜とを含む光電変換素子を基台に固定する光電変換モジュールであって、
前記基台上に第1端子と第2端子を有し、
前記第2端子が挟持板を含み、
前記第1端子が前記光電変換素子の前記導電体に接し、
前記第2端子が前記光電変換素子の前記導電膜に接し、
前記挟持板が前記導電膜の外周の少なくとも2箇所に接触することを特徴とする光電変換モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−250857(P2007−250857A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72661(P2006−72661)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】