説明

支持金具、耐火材配置用底板支持構造、長尺物貫通部防火処置方法

【課題】設置、解体等の作業が容易でケーブル等の敷設状況にも容易に対応できる支持金具等を提供する。
【解決手段】支持金具10は、本体11の上部から張出部13が張り出し、下部から張出部15が張出部13と逆側に張り出した形状を有する。張出部13には下方に突出する一対の係止片131が形成される。張出部15には上方に突出する一対の保持片151が形成される。支持金具10はケーブル70が貫通する構造体40の開口部50に設けられ、開口部50に耐火材90を配置するための底板80を支える棒材20またはチャンネル材22を脱落することなく保持する。棒材20またはチャンネル材22は、開口部50に固定した枠体60に取り付けた一対の支持金具10の間に架け渡される。棒材20の場合は端部21を一対の保持片151の間に配置する。チャンネル材22の場合は側壁221を下方に向けて保持片151に被せるように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブル等の長尺物がコンクリート床などの構造体を貫通する部分で、防火処置用の耐火材を配置するための底板を支持する支持材を支える支持金具、およびこれを用いた耐火材配置用底板支持構造、さらには長尺物貫通部防火処置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の床などの構造体をケーブルなどの可燃性の長尺物が貫通する箇所では、防火性能の観点から、構造体と長尺物の隙間を耐火材で防ぐ必要がある。
【0003】
このような防火処置の例としては、開口部に支持金具を設け、支持金具に支持材を取り付け、長尺物が通る箇所を開口とした底板を支持材に載せて所定の深さに配置し、底板に耐火ブロックなどの耐火材を配置するものがある。
【0004】
図9は従来の支持金具100の例を示す図である。図に示すように、支持金具100はZ状の形状を有し、本体101の上部に、本体101から張り出す張出部103が形成され、下部に本体101から張出部103と逆方向に張り出す張出部105が形成される。張出部105には穴部1051が形成される。支持金具100にはチャンネル材等の支持材200が取り付けられる。支持材200の端部には穴部201が設けられており、この穴部201と前記の穴部1051との位置を合わせ、図9(b)に示すようにねじ300を用いたねじ止めを行なうことにより、支持材200が支持金具100に取り付けられる。支持材200は粘着テープ等の接着剤により支持金具100に取り付けられる場合もあり、その例が、特許文献1に記載されている。
【0005】
図9(c)に示すように、支持材200の両端に取り付けた一対の支持金具100をケーブル400が貫通する開口部500の対向する辺に取り付けることにより、ケーブル400を避けつつ支持材200を開口部500に架け渡し、支持材200の上に上記の底板(不図示)を載せ、当該底板に耐火ブロック等の耐火材(不図示)を配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−207818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これにより開口部の防火処置を行なうことができるが、支持材の支持金具への取り付けはねじを用いるので、ドライバー等の工具が必要になり面倒である。粘着テープ等接着剤による取り付けも、接着面の清掃等が必要になる。解体時にも、ドライバーなどの工具を用いてねじを外す必要があったり、接着剤による接着を無理やり引き剥がす必要があるので、支持材の取り外しが面倒である。さらに、支持材を強固に固定するので支持金具の設置後、支持材の位置の微調整も難しい。
【0008】
また、支持材はケーブル等を避けて配置されるが、上記の支持材は幅広となって面積をとり、配置や本数などケーブル等の敷設状況によってはケーブル等を避けて配置することが難しい場合もある。ケーブル等の敷設状況の変更にも対応しづらい。
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、設置、解体等の作業が容易でケーブル等の敷設状況にも容易に対応できる支持金具等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達するための第1の発明は、長尺物が貫通する構造体の開口部に設けられ、前記開口部に耐火材を配置するための底板を支える支持材を保持する支持金具であって、上部から第1の張出部が張り出し、下部から第2の張出部が前記第1の張出部と逆側に張り出し、前記第2の張出部の両側に上方に突出する一対の保持片が形成され、一対の前記保持片の間に前記支持材としての棒材を配置して前記第2の張出部から脱落することなく保持したり、あるいは前記支持材としてのチャンネル材を側壁を下方に向けつつ前記保持片に被せるように配置して前記第2の張出部から脱落することなく保持することを可能としたことを特徴とする支持金具である。
【0011】
上記構成により、保持片により支持材を脱落することなく保持するので、支持材をねじや粘着テープにより取り付けることがなく、設置や解体の際の取り付け、取り外しが容易である。また、ねじ等による固定を行なわないので、支持材の位置の微調整が容易である。さらに、支持金具に支持材を固定せず保持片により保持するので、棒材を支持材として用いる場合、対向する開口部の辺において位置をずらして配置した支持金具の間で、棒材を斜めに配置することなども容易で、様々なケーブルの敷設状況に適用することができ、敷設状況の変更にも対応が容易である。
また、保持片で棒材を保持しこれを支持材として用いることにより、細い棒材を使用して支持材の占有面積を小さくでき、ケーブルの本数が多い場合やケーブルの本数が増える場合にも容易に対応可能である。一方、上記のように保持片でチャンネル材を保持してこれを支持材として用いることにより、チャンネル材の上面で底板が支持されるので、支持される面積が広がり底板がより安定して支持される。これらはケーブルの敷設状況に応じて選択すればよい。
【0012】
前記第2の張出部に一対の穴部が形成され、端部が折り曲げられる一対の脚部を有する、前記棒材が前記保持片の上方へ移動し脱落することを防止するための脱落防止金具が、前記脚部の前記端部が前記穴部に挿入されることで取り付けられることが望ましい。
【0013】
かかる構成により、脱落防止金具を用いて棒材の脱落をより確実に防ぐことができる。また、脱落防止金具の取り付けについてもねじ等が不要で、取り付け、取り外しが容易である。
【0014】
前記支持金具は、前記開口部に固定され上端部にフランジが形成される枠体の内面に沿って設けられ、前記第1の張出部に下方に突出する係止片が形成され、前記係止片により前記フランジに係止可能であることが望ましい。
【0015】
かかる構成により、開口部に枠体を取り付けて防火処置を行なう場合でも、支持金具の枠体への取り付けについてねじ等が不要となり、取り付けや取り外し、位置の変更などが容易にできるようになる。
【0016】
前記第1の張出部と前記第2の張出部は張り出す長さが異なり、前記支持金具を上下反転させて前記第1の張出部の前記係止片で前記支持材を保持し前記第2の張出部の前記保持片で前記フランジに係止可能とすることにより、前記支持金具を異なる幅の前記フランジに係止可能とすることが望ましい。
【0017】
かかる構成により、支持金具を上下反転させて用いることで様々な幅のフランジを有する枠体への取り付けが可能となる。
【0018】
前述した目的を達するための第2の発明は、長尺物が貫通する構造体の開口部に耐火材を配置するための底板を支える耐火材配置用底板支持構造であって、前記開口部に上端部にフランジが形成される枠体を固定し、前記枠体の内面に沿って耐火材を配置するための底板を支える支持材を保持する支持金具を設け、前記支持金具は、上部から第1の張出部が張り出し、前記第1の張出部に下方に突出する係止片が形成され、下部から第2の張出部が前記第1の張出部と逆側に張り出し、前記第2の張出部の両側に上方に突出する一対の保持片が形成され、一対の前記保持片の間に前記支持材としての棒材を配置するか、あるいは前記支持材としてのチャンネル材を側壁を下方に向けつつ前記保持片に被せるように配置して、前記第2の張出部から脱落することなく保持し、前記係止片により前記フランジに係止されることを特徴とする耐火材配置用底板支持構造である。
【0019】
上記構成により、保持片により支持材を脱落することなく保持するので、支持材をねじや粘着テープにより取り付けることがなく、設置や解体の際の取り付け、取り外しが容易である。また、支持材の取り付けはねじ等を用いた固定を行なわないので、支持材の位置の微調整が容易である。さらに、支持金具の枠体への取り付けについてもねじ等が不要となり、取り付けや取り外し、位置の変更などが容易にできるようになる。
また、支持材を保持片により固定せず保持するので、棒材を支持材として用いる場合、対向する開口部の辺において位置をずらして配置した支持金具の間で、棒材を斜めに配置することなども容易で、様々なケーブルの敷設状況に適用することができ、敷設状況の変更にも対応が容易である。また、細い棒材を用いて支持材の占有面積を小さくでき、ケーブルの本数が多い場合やケーブルの本数が増える場合にも容易に対応可能である。一方、上記のように保持片でチャンネル材を保持してこれを支持材として用いることにより、チャンネル材の上面で底板が支持されるので、支持される面積が広がり底板がより安定して支持される。これらはケーブルの敷設状況に応じて選択すればよい。
【0020】
前記第2の張出部に一対の穴部が形成され、一対の前記保持片の間に前記支持材としての棒材が配置され、端部が折り曲げられる一対の脚部を有する、前記棒材が前記保持片の上方へ移動し脱落することを防止するための脱落防止金具が、前記脚部の前記端部が前記穴部に挿入されることで前記支持金具に取り付けられることが望ましい。
【0021】
かかる構成により、脱落防止金具を用いて棒材の脱落をより確実に防ぐことができる。また、脱落防止金具の取り付けについてもねじ等が不要で、取り付け、取り外しが容易である。
【0022】
また、一対の前記保持片の間に前記支持材としての棒材が配置され、前記棒材が、前記支持金具が取り付けられる辺の法線方向に対して斜めに配置されることも望ましい。
【0023】
このように、棒材を斜めに配置することにより、ケーブルの大きさや形状、位置など様々なケーブルの敷設状況に応じて棒材を配置でき、ケーブルの敷設容量を増加させることができるとともに、敷設状況の変更にも対応が容易である。
【0024】
前述した目的を達するための第3の発明は、長尺物が貫通する構造体の開口部において、第1の張出部が上部から張り出し、前記第1の張出部に下方に突出する係止片が形成され、下部から第2の張出部が前記第1の張出部と逆側に張り出し、前記第2の張出部の両側に上方に突出する一対の保持片が形成される支持金具を、前記開口部に固定され上端部にフランジが形成される枠体の内面に沿って、前記係止片により前記フランジに係止して複数設ける工程(a)と、前記長尺物の敷設状況に応じて、支持材としての棒材を一対の前記保持片の間に配置しつつ、または支持材としてのチャンネル材を側壁を下に向けて前記保持片に被せて配置しつつ、一対の略対向配置された前記支持金具の間に前記支持材を架け渡す工程(b)と、前記支持材の上方に、底板を配置する工程(c)と、前記底板の上方に、耐火材を配置する工程(d)と、を具備することを特徴とする長尺物貫通部防火処置方法である。
【0025】
上記の構成により、保持片により支持材を脱落することなく保持するので、支持材をねじや粘着テープにより取り付けることがなく、設置や解体の際の取り付け、取り外しが容易である。また、支持材の取り付けはねじ等を用いた固定を行なわないので、支持材の位置の微調整が容易である。さらに、支持金具の枠体への取り付けについてもねじ等が不要となり、取り付けや取り外し、位置の変更などが容易にできるようになる。
また、支持材を保持片により固定せず保持するので、棒材を支持材として用いる場合、位置をずらして配置した支持金具の間で、棒材を斜めに配置することなども容易で、様々なケーブルの敷設状況に適用することができ、敷設状況の変更にも対応が容易である。また、細い棒材を用いて支持材の占有面積を小さくでき、ケーブルの本数が多い場合やケーブルの本数が増える場合にも容易に対応可能である。一方、上記のように保持片でチャンネル材を保持してこれを支持材として用いることにより、チャンネル材の上面で底板が支持されるので、支持される面積が広がり底板がより安定して支持される。これらはケーブルの敷設状況に応じて選択すればよい。
【0026】
前記第2の張出部に一対の穴部が形成され、前記工程(b)では、一対の前記保持片の間に支持材としての棒材が配置され、端部が折り曲げられる一対の脚部を有する、前記棒材が前記保持片の上方へ移動し脱落することを防止するための脱落防止金具が、前記脚部の前記端部が前記穴部に挿入されることで前記支持金具に取り付けられることが望ましい。
【0027】
かかる構成により、脱落防止金具を用いて棒材の脱落をより確実に防ぐことができる。また、脱落防止金具の取り付けについてもねじ等が不要で、取り付け、取り外しが容易である。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、設置、解体等の作業が容易でケーブル等の敷設状況にも容易に対応できる支持金具等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】支持金具10について示す図
【図2】支持金具10の取り付けおよび棒材20の配置を示す図
【図3】支持金具10にチャンネル材22を配置する例を示す図
【図4】脱落防止金具30の取り付けを示す図
【図5】底板80の配置を示す図
【図6】耐火材90の設置を示す図
【図7】支持金具10および棒材20、支持金具10およびチャンネル材22、支持金具100および支持材200の配置の例を示す図
【図8】支持金具10を上下逆転させて用いる例を示す図
【図9】従来の支持金具100の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の支持金具等の実施形態について説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態の支持金具について説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の支持金具10では、本体11の上部に、本体11から張り出す張出部13(第1の張出部)が形成され、本体11の下部に、本体11に対して張出部13と逆側に張り出す張出部15(第2の張出部)が形成される。
【0032】
張出部13の先端部には、張出部13から下方に突出する係止片131が、張り出し方向と直交する幅方向の両側部に一対設けられる。また、張出部13には、穴部133が幅方向に2つ形成される。
【0033】
張出部15の先端部には、張出部15から上方に突出する保持片151が、上記の係止片131と同様、幅方向の両側部に一対設けられる。また、張出部15には、上記の穴部133と同様、穴部153が幅方向に2つ形成される。
【0034】
また、張出部13が本体11から張り出す長さ(図のAで示す)は、張出部15が張り出す長さ(図のBで示す)と異なり、若干長くなっている。
【0035】
次に、図2〜図6を用いて支持金具10を用いた開口部の防火処置の例について説明する。
【0036】
開口部の防火処置については、まず、構造体の開口部に枠体を固定して、当該枠体に複数の支持金具10を取り付け、支持金具10の間に支持材を架け渡す。
図2は支持金具10の取り付けおよび棒材(支持材)20の配置を示す図である。図2(a)は支持金具10を取り付け棒材20を配置した開口部50を上から見た図、図2(b)は図2(a)の線C−Cに沿った断面図、図2(c)は支持金具10で棒材20を架け渡した箇所を示す斜視図である。
【0037】
図に示すように、枠体60は構造体40の開口部50に固定され、上端部にフランジ61が形成される。フランジ61は開口部50の外側に張り出す。枠体60は長方形状の平面を有するが、これに限ることは無い。
【0038】
支持金具10は、フランジ61に引っ掛けるようにして枠体60の内面に沿って複数取り付ける。このとき、張出部13の係止片131により支持金具10がフランジ61に係止される。
【0039】
そして、枠体60の対向する辺に取り付け略対向配置した支持金具10の間に、支持材である棒材20を架け渡す。このとき棒材20の両端部21、21を、それぞれ支持金具10の張出部15の一対の保持片151の間に配置するようにして張出部15に載せる。
以上の枠体60、支持金具10、棒材20により、耐火材を配置するための後述する底板を支持する底板支持構造2(耐火材配置用底板支持構造)が形成される。棒材20は、張出部15の両側の保持片151により幅方向に脱落しない。
【0040】
なお、棒材20の上面は両端部21、21では保持片151の上端より低い位置にあるが、それ以外の中間部では保持片151の上端より高い位置にある。後述する底板の配置時に、棒材20の(中間部の)上面で底板を確実に支持させるとともに、保持片151が底板に接触することによる損傷を防ぐためである。なお、棒材20の形状はこれに限ることは無い。例えば上記の棒材20は角棒であるが、丸棒などでもよい。但し、角棒は転がったりすることがなく配置状態が安定する。
【0041】
なお、本実施形態の支持金具10は、棒材20を配置するだけでなく、その他の支持材を配置して脱落しないよう保持することが可能である。
図3はその例を示すもので、支持金具10に支持材としてチャンネル材22を配置する例を示す図である。図3(a)、図3(b)は支持金具10へのチャンネル材22の配置を示す図、図3(c)は支持金具10を取り付けチャンネル材22を配置した場合の開口部50を上から見た図である。
【0042】
図に示すように、支持材としてのチャンネル材22を側壁221を下に向けつつ支持金具10の保持片151に被せるように配置する。すると、側壁221は保持片151により幅方向に係止され、チャンネル材22が支持金具10から脱落することなく保持される。後述する底板は、チャンネル材22の上面により支持される。
【0043】
ここでは、棒材20を配置するものとして支持金具10等の説明を行なうが、支持材として棒材20を用いるかチャンネル材22を用いるかはケーブル等の敷設状況に応じて決定すればよい。これについては後述する。
【0044】
開口部の防火処置の説明に戻る。次に、支持金具10に、棒材20が保持片151の上方へ移動し脱落することを防止するための脱落防止金具を取り付ける。
図4は脱落防止金具30の取り付けを示す図である。図4(a)は脱落防止金具30を示す図、図4(b)、(c)は脱落防止金具30の取り付けを示す斜視図、図4(d)は脱落防止金具30の挿入箇所の断面図である。
【0045】
図に示すように、脱落防止金具30では、上面31の幅方向の両側部に下方に突出する一対の脚部33が形成される。脚部33の端部333は折れ曲がっており、この端部333を図4(b)、(c)に示すように張出部15の穴部153に挿入することで、脱落防止金具30が支持金具10に取り付けられる。脱落防止金具30の上面31は保持片151により支えられ、一対の脚部33の間に棒材20の端部21が配置される。脱落防止金具30(上面31)により、棒材20が上方に移動し保持片151を乗り越えて脱落することがなくなる。
【0046】
脱落防止金具30は、折り曲げた端部333を穴部153に挿入するので、脚部33が張出部15に引っ掛かることにより支持金具10に容易に取り付けられ、取り外しも容易である。後述する耐火材の設置後は、耐火材や底板により押さえつけられるので、脱落防止金具30が外れることもない。解体時には、脱落防止金具30を取り外した後棒材20を撤去する。
なお、この場合でも棒材20は保持片151や脚部33の間に配置されるだけであり固定はされない。また、棒材20の両端部21、21以外の上記した中間部の上面は、脱落防止金具30の上面31と同程度の高さあるいはこれより高い位置にある。
【0047】
次に、棒材20の上にケーブル70の通過箇所を開口とした底板を設置する。
図5は底板80の配置を示す図である。図5(a)は底板80を設置した開口部50を上から見た図、図5(b)は図5(a)の線D−Dに沿った断面図、図5(c)は底板80を配置した開口部50を示す、図5(a)の線E−Eを断面とした斜視図である。
【0048】
図に示すように、耐火性を有し、ケーブル70の通過箇所に対応する部分を切り欠いた半割り状の部材80a、80aを、ケーブル70の通過箇所となる開口81が形成されるように切り欠き部を合わせつつ棒材20の上に設置して底板80とする。底板80は棒材20の上面で支持される。
【0049】
最後に底板80の上に耐火材を設置する。
図6は耐火材90の設置を示す図である。図6(a)は耐火材90を設置した開口部50を上から見た図、図6(b)は図6(a)の線F−Fに沿った断面図、図6(c)は耐火材90を設置した開口部50を示す、図6(a)の線G−Gを断面とした斜視図である。
【0050】
図に示すように、耐火ブロックなどの耐火材90を、ケーブル70と枠体60の間を埋めるように配置する。このようにして、構造体40でケーブル70が貫通する開口部50の防火処置がなされる。
【0051】
図7は支持金具10と棒材20、支持金具10とチャンネル材22、および従来の支持金具100と支持材200の開口部50における配置例である。図7(a)、(b)は支持金具10と棒材20の開口部50における配置例、図7(c)は支持金具10とチャンネル材22の開口部50における配置例、図7(d)は従来の支持金具100と支持材200(チャンネル材)の開口部50における配置例である。なお、図7(d)では開口部50近傍の構造体40に直接支持金具100を取り付けている。
【0052】
図7(a)と図7(b)に示されるように、本実施形態の支持金具10では、支持材としてチャンネル材より細い棒材20を保持片151の間に配置して保持することにより、同じ開口部50の面積であっても、支持材200としてチャンネル材を用いる場合に比べて支持材の占有面積を減らし、より多くのケーブル70を通すことができる。即ち、開口部50で多くのケーブル70が貫通している場合や、ケーブル70の本数が増える場合にも容易に対応可能である。また、図7(d)に示すような保持片151を有しない従来の支持金具100と支持材200の組み合わせではできなかった、枠体60(開口部50)の対向する辺において位置を若干ずらして設けた支持金具10の間で、支持金具10が取り付けられる辺の法線方向に対して棒材20を斜めに架け渡すといった配置も可能で、図7(a)の上部に示すように、ケーブル70の大きさが異なるものが混在する場合などでも、ケーブル70の大きさの違いに合わせて棒材20を斜めに配置できる。
【0053】
このように、棒材20を斜めに架け渡すことができるので、ケーブル70の大きさだけでなく、ケーブル70の位置等の敷設状況に応じた棒材20の配置が可能で、図7(b)に示すように、ケーブル70が偏って敷設されたり、ケーブル70の本数が多い場合などでも、ケーブル70を避けて棒材20を架け渡すことが容易である。従って、様々なケーブル70の敷設状況に応じて配置でき、敷設状況の変更に対応することも容易である。
【0054】
一方、図7(c)に示すように、本実施形態の支持金具10では、支持材としてチャンネル材22を保持片151に被せるように配置して保持することもでき、この場合、支持材の占有面積は図7(a)などのように棒材20を用いる場合に比べ増加するが、支持材により底板が支持される面積が広がるので、底板がより安定して支持される。なお、チャンネル材22もまた、棒材20と同様固定されていないので、チャンネル材22の着脱は容易である。支持材として棒材20を用いるかチャンネル材22を用いるかはケーブル70等の敷設状況に応じて選択すればよい。なお、上記のようなチャンネル材22の配置は、棒材20を支持金具10の一対の保持片151の間に配置した上で行なうことも可能である。
【0055】
また、本実施形態の支持金具10は係止片131と保持片151が同様の構成を有する。従って、支持金具10を上下反転させて用いることも可能である。このような支持金具10の使用例を示す図が図8である。図8(a)は図2等を用いて説明した張出部13を上にして支持金具10を用いる例を示す図、図8(b)は支持金具10を上下反転させて張出部15を上にして用いる例を示す図である。
【0056】
図8(b)に示すように、支持金具10を上下反転させて用いる場合でも、支持金具10を枠体60のフランジ61に引っ掛けるようにして取り付けることができ、このとき張出部15の保持片151により支持金具10をフランジ61に係止することができる。
また、張出部13の係止片131の間に先程の棒材20を先程と同様に配置することができる。棒材20は張出部13の両側の係止片131、131により幅方向に脱落しない。さらに張出部13には張出部15と同様の一対の穴部133が設けられているので、この穴部133に先程の脱落防止金具30を取り付けることができ、これにより棒材20が上方に移動し係止片131を乗り越えて脱落することもなくなる。チャンネル材22についても先程と同様にして配置でき、係止片131により脱落を防ぐことができる。
【0057】
加えて、張出部13と張出部15では張り出す長さが異なるので、枠体60のフランジ61の幅に合わせて上下を定めて支持金具10を用いることで、支持金具10の取り付けをフランジ61の幅に合わせて好適に行なうことができる。即ち、張出部13の張り出し長さAと略同じ幅のフランジ61を有する枠体60については、図8(a)に示すように張出部13を上にして支持金具10を取り付ければよく、張出部15の張り出し長さBと略同じ幅のフランジ61を有する枠体60であれば、図8(b)に示すように張出部15を上にして支持金具10を取り付ければよい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、支持金具10の保持片151により棒材20やチャンネル材22を脱落することなく保持するので、ねじや粘着テープにより取り付けることがなく、設置や解体の際の取り付け、取り外しが容易である。また、ねじ等による固定を行なわないので、棒材20やチャンネル材22の位置の微調整が容易である。さらに、支持金具10に棒材20を固定せず保持片151により保持することで、位置をずらして配置した支持金具10の間で、棒材20を斜めに配置することなども容易で、様々なケーブル70の敷設状況に適用することができ、敷設状況の変更にも対応が容易である。
【0059】
さらに、一対の保持片151の間で細い棒材20を保持しこれを支持材として用いることにより、支持材の占有面積を小さくでき、ケーブル70の本数が多い場合やケーブル70の本数が増える場合にも容易に対応可能である。一方、保持片151でチャンネル材22を保持してこれを支持材として用いることにより、チャンネル材22の上面で底板80が支持されるので、支持される面積が広がり底板80がより安定して支持される。これらはケーブルの敷設状況に応じて選択すればよい。
【0060】
また、脱落防止金具30を用いて棒材20の脱落をより確実に防ぐことができる。脱落防止金具30の取り付けについてもねじ等が不要で、取り付け、取り外しが容易である。
【0061】
さらに、支持金具10の枠体60への取り付けについても、係止片131で支持金具10をフランジ61に係止可能であるので、ねじ等が不要となり、取り付けや取り外し、位置の変更などが容易にできるようになる。
【0062】
また、前述したように支持金具10は上下反転させて用いることが可能で、かつ張出部13と張出部15の長さが異なるので、支持金具10を上下反転させて用いることで様々な幅のフランジ61を有する枠体60への取り付けが可能となる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る支持金具等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、枠体60を省略して支持金具10を開口部50に直接取り付けることも可能で、その場合は係止片131を省略した支持金具を用いて、あるいは支持金具10の係止片131を折り取って、張出部13を開口部50近傍の構造体40に取り付けつつ支持金具を開口部50の内面に沿って配置すればよい。
【符号の説明】
【0064】
2………底板支持構造
10、100………支持金具
13、15、103、105………張出部
20………棒材
22………チャンネル材
30………脱落防止金具
33………脚部
40………構造体
50………開口部
60………枠体
61………フランジ
70………ケーブル
80………底板
90………耐火材
131………係止片
151………保持片
133、153………穴部
200………支持材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺物が貫通する構造体の開口部に設けられ、前記開口部に耐火材を配置するための底板を支える支持材を保持する支持金具であって、上部から第1の張出部が張り出し、下部から第2の張出部が前記第1の張出部と逆側に張り出し、前記第2の張出部の両側に上方に突出する一対の保持片が形成され、一対の前記保持片の間に前記支持材としての棒材を配置して前記第2の張出部から脱落することなく保持したり、あるいは前記支持材としてのチャンネル材を側壁を下方に向けつつ前記保持片に被せるように配置して前記第2の張出部から脱落することなく保持することを可能としたことを特徴とする支持金具。
【請求項2】
前記第2の張出部に一対の穴部が形成され、
端部が折り曲げられる一対の脚部を有する、前記棒材が前記保持片の上方へ移動し脱落することを防止するための脱落防止金具が、前記脚部の前記端部が前記穴部に挿入されることで取り付けられることを特徴とする請求項1記載の支持金具。
【請求項3】
前記支持金具は、前記開口部に固定され上端部にフランジが形成される枠体の内面に沿って設けられ、前記第1の張出部に下方に突出する係止片が形成され、前記係止片により前記フランジに係止可能であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の支持金具。
【請求項4】
前記第1の張出部と前記第2の張出部は張り出す長さが異なり、前記支持金具を上下反転させて前記第1の張出部の前記係止片で前記支持材を保持し前記第2の張出部の前記保持片で前記フランジに係止可能とすることにより、前記支持金具を異なる幅の前記フランジに係止可能としたことを特徴とする請求項3に記載の支持金具。
【請求項5】
長尺物が貫通する構造体の開口部に耐火材を配置するための底板を支える耐火材配置用底板支持構造であって、
前記開口部に上端部にフランジが形成される枠体を固定し、
前記枠体の内面に沿って耐火材を配置するための底板を支える支持材を保持する支持金具を設け、
前記支持金具は、
上部から第1の張出部が張り出し、前記第1の張出部に下方に突出する係止片が形成され、下部から第2の張出部が前記第1の張出部と逆側に張り出し、前記第2の張出部の両側に上方に突出する一対の保持片が形成され、
一対の前記保持片の間に前記支持材としての棒材を配置するか、あるいは前記支持材としてのチャンネル材を側壁を下方に向けつつ前記保持片に被せるように配置して、前記第2の張出部から脱落することなく保持し、
前記係止片により前記フランジに係止されることを特徴とする耐火材配置用底板支持構造。
【請求項6】
前記第2の張出部に一対の穴部が形成され、
一対の前記保持片の間に前記支持材としての棒材が配置され、
端部が折り曲げられる一対の脚部を有する、前記棒材が前記保持片の上方へ移動し脱落することを防止するための脱落防止金具が、前記脚部の前記端部が前記穴部に挿入されることで前記支持金具に取り付けられることを特徴とする請求項5記載の耐火材配置用底板支持構造。
【請求項7】
一対の前記保持片の間に前記支持材としての棒材が配置され、
前記棒材が、前記支持金具が取り付けられる辺の法線方向に対して斜めに配置されることを特徴とする請求項5または請求項6記載の耐火材配置用底板支持構造。
【請求項8】
長尺物が貫通する構造体の開口部において、第1の張出部が上部から張り出し、前記第1の張出部に下方に突出する係止片が形成され、下部から第2の張出部が前記第1の張出部と逆側に張り出し、前記第2の張出部の両側に上方に突出する一対の保持片が形成される支持金具を、前記開口部に固定され上端部にフランジが形成される枠体の内面に沿って、前記係止片により前記フランジに係止して複数設ける工程(a)と、
前記長尺物の敷設状況に応じて、支持材としての棒材を一対の前記保持片の間に配置しつつ、または支持材としてのチャンネル材を側壁を下に向けて前記保持片に被せて配置しつつ、一対の略対向配置された前記支持金具の間に前記支持材を架け渡す工程(b)と、
前記支持材の上方に、底板を配置する工程(c)と、
前記底板の上方に、耐火材を配置する工程(d)と、
を具備することを特徴とする長尺物貫通部防火処置方法。
【請求項9】
前記第2の張出部に一対の穴部が形成され、
前記工程(b)では、一対の前記保持片の間に支持材としての棒材が配置され、端部が折り曲げられる一対の脚部を有する、前記棒材が前記保持片の上方へ移動し脱落することを防止するための脱落防止金具が、前記脚部の前記端部が前記穴部に挿入されることで前記支持金具に取り付けられることを特徴とする請求項8記載の長尺物貫通部防火処置方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−147588(P2012−147588A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4435(P2011−4435)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000165996)株式会社古河テクノマテリアル (23)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】