説明

支援システム

【課題】作業者の負担を軽減しつつ、仕分作業の効率を向上させる。
【解決手段】複数の棚のそれぞれについて、棚の位置に応じて分類されるグループと格納する商品とを含む棚情報130を作成する。また、出荷先ごとに準備され当該出荷先に向けて出荷される商品を格納する容器に表示装置5を取り付ける。表示装置5が取り付けられた容器をコンベア3で搬送しつつコンベア3から容器の現在位置を判定部101に転送する。判定部101は、棚情報130と容器の現在位置とに基づいて現在位置において棚から投入可能な商品を特定し、注文情報131に含まれる商品が投入可能な商品に含まれているか否かを判定する。注文情報131に投入可能な商品が含まれている場合、表示制御部102は通信部16を介して当該容器に取り付けられている表示装置5に当該商品の識別子を送信させることにより、当該表示装置5に投入すべき商品として表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数品種の商品が格納されたピッキング棚から商品を取り出して仕分けする作業を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ピッキング棚に格納されている商品を、複数の作業者で分担して、仕分先ごとに仕分けする方法が提案されている。このような技術が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されている技術では、ピッキング棚に設けられている複数の間口に、それぞれピッキング数量表示器と開閉扉とを設け、当該ピッキング棚に隣接してコンベアを配置して出荷用コンテナを順次搬送する。そして、出荷用コンテナが近づくと、当該出荷用コンテナに投入されるべき商品を格納している間口の開閉扉を開けるとともに、当該間口に対応したピッキング数量表示器に投入数を表示する。
【0004】
各作業者は、自身が担当する複数の間口のうち、出荷用コンテナの接近に伴って開閉扉が開いた間口から、ピッキング数量表示器に表示されている投入数の商品を取り出して、当該出荷用コンテナに投入する。出荷用コンテナは、コンベアによって各作業者の間を回覧されるように搬送される。
【0005】
【特許文献1】特許第3516070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように構成することにより、特許文献1に記載されている技術では、ピッキングする必要がある商品であるか否かを開閉扉の開閉動作によって作業者に通知するのである。
【0007】
ところが、特許文献1に記載されている技術のように構成すると、作業者は、出荷用コンテナが搬送されてくるたびに、自身が担当するピッキングエリアに設けられている全ての間口について、開閉扉(あるいはピッキング数量表示器)の状態を確認する必要がある。特に、担当する間口の数が多くなると、作業者の負担は増大し、見落としによる精度低下を招く虞もある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、作業者の負担を軽減しつつ、仕分作業の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、仕分作業を支援する支援システムであって、配置されている位置に応じて複数のグループのいずれかに分類される複数の棚と、前記複数の棚のそれぞれについて、分類されるグループと格納される商品とを示す棚情報を予め記憶しておく記憶手段と、仕分先ごとの注文情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた注文情報に対応して準備された容器を前記複数の棚に対して相対的に移動させる移動手段と、前記容器に取り付けられる表示装置と、前記受付手段により受け付けた注文情報と前記注文情報に対応する容器の位置と前記記憶手段に記憶されている棚情報とに基づいて、前記位置における前記容器に投入すべき商品の存否を判定する判定手段と、前記容器に取り付けられた表示装置に前記判定手段による判定結果を表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る支援システムであって、前記判定手段は、前記受付手段により受け付けた注文情報に対応して準備された容器の位置と前記棚情報とに基づいて前記複数のグループから前記容器の位置に対するグループを選択し、選択したグループに分類されている棚に格納されている商品と前記注文情報に含まれる商品との間に一致する商品が存在する場合に、前記位置における前記容器に投入すべき商品が存在すると判定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2のいずれかの発明に係る支援システムであって、前記判定手段によって容器に投入すべき商品が存在すると判定された場合において、前記表示制御手段は、前記容器に対応する注文情報に基づいて、前記容器に取り付けられている表示装置に前記容器に投入すべき商品の投入数を表示させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係る支援システムであって、前記記憶手段は、商品に関する商品情報を記憶しており、前記判定手段によって前記容器に投入すべき商品が存在すると判定された場合において、前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記容器に投入すべき商品に関する商品情報を前記容器に取り付けられている表示装置に表示させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係る支援システムであって、前記容器に投入される商品の重量を測定する計量手段と、前記容器に投入される商品の数を検査する数検査手段とをさらに備え、前記記憶手段は、商品の単位重量を記憶しており、前記数検査手段は、前記容器に対応する注文情報と前記記憶手段に記憶されている商品の単位重量とに基づいて前記容器に投入すべき商品の重量を求め、前記計量手段により測定された商品の重量と比較することにより、前記数を検査することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係る支援システムであって、前記容器に投入すべき商品として前記複数の棚から作業者が取り出した商品の識別子を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた商品の識別子に基づいて、前記作業者が取り出した商品が前記容器に投入すべき商品に一致しているか否かを検査する品種検査手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明に係る支援システムであって、前記容器に投入すべき商品の前記容器への投入が完了したことを示す完了情報を受け付ける入力手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし7に記載の発明では、配置されている位置に応じて複数のグループのいずれかに分類される複数の棚と、複数の棚のそれぞれについて、分類されるグループと格納される商品とを示す棚情報を予め記憶しておく記憶手段と、仕分先ごとの注文情報を受け付ける受付手段と、受付手段により受け付けた注文情報に対応して準備された容器を複数の棚に対して相対的に移動させる移動手段と、容器に取り付けられる表示装置と、受付手段により受け付けた注文情報と注文情報に対応する容器の位置と記憶手段に記憶されている棚情報とに基づいて、位置における容器に投入すべき商品の存否を判定する判定手段と、容器に取り付けられた表示装置に判定手段による判定結果を表示させる表示制御手段とを備えることにより、表示装置が容器とともに移動するので、当該容器に投入すべき商品が存在しない場合には、当該容器を表示装置の前で停止させる必要がない。したがって、仕分作業の効率が向上する。
【0017】
請求項3に記載の発明では、判定手段によって容器に投入すべき商品が存在すると判定された場合において、表示制御手段は、容器に対応する注文情報に基づいて、容器に取り付けられている表示装置に容器に投入すべき商品の投入数を表示させることにより、投入すべき商品の必要投入数を作業者が容易に確認できるので、仕分作業の精度が向上する。
【0018】
請求項4に記載の発明では、記憶手段は、商品に関する商品情報を記憶しており、判定手段によって容器に投入すべき商品が存在すると判定された場合において、表示制御手段は、記憶手段に記憶されている容器に投入すべき商品に関する商品情報を容器に取り付けられている表示装置に表示させることにより、投入すべき商品を作業者が容易に把握できる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、容器に投入される商品の重量を測定する計量手段と、容器に投入される商品の数を検査する数検査手段とをさらに備え、記憶手段は、商品の単位重量を記憶しており、数検査手段は、容器に対応する注文情報と記憶手段に記憶されている商品の単位重量とに基づいて容器に投入すべき商品の重量を求め、計量手段により測定された商品の重量と比較することにより、数を検査することにより、誤った数の商品が投入されることを抑制できる。したがって、仕分作業の精度が向上する。
【0020】
請求項6に記載の発明では、容器に投入すべき商品として複数の棚から作業者が取り出した商品の識別子を読み取る読取手段と、読取手段により読み取られた商品の識別子に基づいて、作業者が取り出した商品が容器に投入すべき商品に一致しているか否かを検査する品種検査手段とをさらに備えることにより、誤った品種の商品が投入されることを抑制できる。したがって、仕分作業の精度が向上する。
【0021】
請求項7に記載の発明では、容器に投入すべき商品の容器への投入が完了したことを示す完了情報を受け付ける入力手段をさらに備えることにより、作業の進捗管理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0023】
<1. 実施の形態>
図1は、本発明に係る支援システム100が設置される様子を示す図である。また、図2は、支援システム100の構成を示す図である。支援システム100は、物流センター等に配置され、出荷する商品を出荷先ごとに仕分けする作業者を支援するシステムとして利用される。
【0024】
支援システム100は、支援システム100の各構成を制御する制御装置1と、配置されている位置に応じて複数のグループのいずれかに分類される複数の棚2と、容器9を複数の棚2に対して相対的に移動させるコンベア3と、作業者が容器9に投入する商品を一時的に載置するために使用される複数の仮置き台4とを備える。また、支援システム100は、容器9に一対一で取り付けられる表示装置5と、作業者によって携帯されるハンディスキャナ6と、表示装置5との間で無線による通信を行うトランシーバ70と、ハンディスキャナ6との間で無線による通信を行う無線アクセスポイント71とを備える。なお、図2に示すように、トランシーバ70および無線アクセスポイント71は構内LAN8を介して制御装置1と接続されている。
【0025】
図3は、制御装置1の構成を示すバス配線図である。制御装置1は、CPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、操作部14、表示部15および通信部16を備え、一般的なコンピュータとしての機能を有する装置として構成されている。また、図3では図示を省略しているが、制御装置1は、コンベア3および複数の仮置き台4と専用コネクタおよびケーブル等を介して接続されており、これらの構成とデータ通信を行うことが可能とされている。
【0026】
CPU10は、RAM12をワーキングエリアとして使用しつつ、主にROM11に記憶されているプログラム110に従って動作することにより、各種データの演算や制御信号の生成等の情報処理を行う。なお、CPU10によって実現される機能については、後述する。
【0027】
ROM11、RAM12およびハードディスク13は、いずれも各種データを記憶する記憶装置である。ROM11は、読み取り専用の不揮発性の記憶装置であり、主にプログラム110を格納している。RAM12は、CPU10の一時的なワーキングエリアとして使用される記憶装置であり、比較的高速にアクセス可能な揮発性の記憶素子から構成されている。ハードディスク13は、比較的大容量のデータを記憶することが可能な不揮発性の記憶装置であり、本実施の形態では棚情報130、注文情報131および商品情報132を格納しておくために使用される。
【0028】
棚情報130とは、複数の棚2のそれぞれについて、分類されるグループと格納される商品とを示す情報であり、各棚2について、当該棚2が分類されているグループを示す情報(グループ識別子)と、当該棚2が格納している商品を示す情報(商品識別子)とを格納している。本実施の形態では、図1に示すように、エリアAに配置されている複数の棚2aを「グループA」に分類し、エリアBに配置されている複数の棚2bを「グループB」に分類する。すなわち、複数の棚2は、それぞれが配置されている位置(エリア)に応じて複数のグループのうちのいずれかに分類されている。したがって、棚情報130を参照すれば、ある特定の棚2がどのエリアに属しており、かつ、どの商品を格納しているかを判定できる。なお、棚情報130は予めオペレータによって作成され、ハードディスク13に記憶されている。
【0029】
注文情報131とは、注文元と、当該注文元によって注文された商品と、注文された商品の個数(受注数)とを示す情報である。一般に物流センターには、複数の注文元から注文があるため、注文情報131は注文元ごとに生成される。すなわち、図3には1つの注文情報131のみを図示しているが、一般には複数の注文情報131が作成され記憶される。仕分作業では、注文元の注文に応じて商品が仕分けられて出荷されるので、注文元とは出荷先であり、注文された商品とは出荷する商品(容器9に投入すべき商品)であり、受注数とは出荷数(容器9への投入数)である。したがって、注文情報131には、出荷先を個々に識別するための出荷先識別子と、1つ以上の商品識別子と、各商品識別子ごとの投入数とが格納されている。
【0030】
本実施の形態では、注文情報131は、注文元から得られた受注伝票に基づいてオペレータが操作部14を操作しつつ入力するものとする。ただし、注文情報131は、外部の端末装置からネットワークを介して制御装置1に入力(取得)され、ハードディスク13に記憶されてもよい。
【0031】
また、本実施の形態では、作業者によって、注文情報131に対応して容器9が準備される。より詳しくは、注文情報131における各出荷先に対してそれぞれ容器9が割り当てられる。このように構成することにより、ある特定の容器9には、特定の出荷先に出荷する商品が投入されることとなる。
【0032】
商品情報132とは、複数品種の商品のそれぞれに関する情報であり、例えば、商品名称、商品識別子、単位重量を含む情報である。なお、商品情報132はオペレータが操作部14を操作しつつ入力するものとする。また、商品情報132には、製造元(産地)、製造年月日、消費期限等の他の情報が含まれていてもよい。
【0033】
操作部14は、キーボードやマウス、各種ボタン類から構成される。操作部14は、オペレータが支援システム100(制御装置1)に指示を与えるときに操作される。
【0034】
表示部15は、例えば、液晶パネルやディスプレイ装置が該当する。表示部15は、CPU10からの制御に基づいて各種データを画面に表示し、オペレータに様々な情報を提示するする。本実施の形態では、1つの表示部15のみを図示しているが、例えば、各エリアごとに表示部15を設け、オペレータのみならず、各作業者に対しても情報を提供するように構成してもよい。
【0035】
通信部16は、制御装置1を構内LAN8に接続するための、いわゆる通信インタフェースである。通信部16は、ハンディスキャナ6から送信される商品識別子を、無線アクセスポイントおよび構内LAN8を介して受信し、商品識別情報121(図4参照)としてRAM12に転送する。また、CPU10の制御に基づいて、構内LAN8およびトランシーバ70を介して、各表示装置5に表示させる情報を送信する。
【0036】
図4は、制御装置1の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図4に示す判定部101、表示制御部102、品種検査部103および数量検査部104が、主にCPU10がプログラム110に従って動作することにより実現される機能ブロックである。なお、図4では、説明の便宜上、棚情報130、注文情報131および商品情報132について、ハードディスク13からRAM12に読み出された状態で図示している。
【0037】
判定部101は、注文情報131と、注文情報131に対応する容器9の位置と、ハードディスク13に記憶されている棚情報130とに基づいて、当該位置における容器9に投入すべき商品の存否を判定し、判定結果に応じて判定情報120を生成する。すなわち、判定情報120は、各容器9に対応して生成される情報であって、かつ、各容器の位置が変更される(各容器9がエリア移動する)たびに更新される情報である。また、判定情報120には、投入すべき商品の存否を示す情報のみならず、投入すべき商品が存在する場合には、当該投入すべき商品の商品識別子が判定部101によって格納される。
【0038】
詳細は後述するが、判定部101は、操作部14によって受け付けた注文情報131に対応して準備された容器9の位置と棚情報130とに基づいて、複数のグループから容器9の位置に対するグループを選択する。そして、選択したグループに分類されている全ての棚2に格納されている商品と注文情報131に含まれる商品との間に一致する商品が存在する場合に、当該容器9に投入すべき商品が存在すると判定し、一致した商品の商品識別子を判定情報120に格納する。
【0039】
表示制御部102は、通信部16を介して、表示装置5を制御する機能を有する。より具体的には、表示制御部102は、表示装置5に表示させる情報(以下、「表示情報」と称する)を、目的の表示装置5に向けて送信するように通信部16を制御する。表示制御部102の制御によって表示装置5に送信される表示情報としては、例えば、当該表示装置5が取り付けられている容器9に投入されるべき商品に関する情報(商品情報132)、当該商品の受注数(投入すべき商品の数)、品種検査部103および数量検査部104の検査結果等である。
【0040】
品種検査部103は、商品識別情報121に含まれる商品識別子と、判定情報120に含まれる商品識別子とを照合して、これらが一致するか否かを判定し、その判定結果を表示制御部102に伝達する。
【0041】
詳細は後述するが、商品識別情報121はハンディスキャナ6によって読み取られた商品識別子と表示装置識別子とを含む情報である。また、商品識別情報121に含まれている商品識別子は作業者が容器9に投入しようとして準備した商品の商品識別子であり、商品識別情報121に含まれている表示装置識別子は作業者が商品を投入しようとしている容器9に取り付けられている表示装置5の表示装置識別子である。
【0042】
したがって、品種検査部103は、各容器9ごとに作成される複数の判定情報120から、当該表示装置識別子に応じて、目的の判定情報120を特定することができるとともに、当該商品識別子に応じて、作業者が取り出した商品が容器9に投入すべき商品に一致しているか否かを検査できる。なお、検査結果が「正」である場合は、その旨とともに、一致した商品の商品識別子と表示装置識別子とが検査結果として表示制御部102に伝達されるものとする。
【0043】
数量検査部104は、容器9に対応する注文情報131に含まれる投入数と、ハードディスク13に記憶されている商品情報132に含まれる商品の単位重量とに基づいて容器9に投入すべき商品の重量(予定重量)を求める。そして、求めた予定重量と、仮置き台4により測定された商品の重量(重量情報122)とを比較することにより、容器9に投入される商品の数を検査する。数量検査部104は、検査結果を表示制御部102に伝達する。なお、詳細は後述する。
【0044】
図1に戻って、支援システム100が備える複数の棚2には、詳細は図示しないが、商品を格納しておくための格納室と、格納室から商品を取り出すための取出口と、格納室に商品を補充するための供給口とが設けられている。取出口は仕分作業を行う作業者側(表側)に設けられ、供給口は補充作業を行う作業者側(裏側)に設けられる。
【0045】
各棚2には、それぞれ格納される商品の品種が1種ずつ割り当てられており、仕分作業が開始されるまでに、作業者が補充作業を実行することにより各棚2に割り当てられた商品を格納する。それぞれの棚2にどの商品が割り当てられている(格納されている)かは、先述のように、棚情報130に格納され、ハードディスク13に記憶される。
【0046】
複数の棚2は、それぞれ予め決められた配置位置に固定されており、それぞれの配置位置に応じて、各棚2は予め定義される複数のグループのうちのいずれかのグループに分類される。図1に示す例では、配置位置がエリアA内である複数の棚2aはいずれもグループAに分類され、配置位置がエリアB内である複数の棚2bはいずれもグループBに分類される。それぞれの棚2がどのグループに分類されているかは、先述のように、棚情報130に格納され、ハードディスク13に記憶されている。
【0047】
コンベア3は、複数の棚2に隣接して配置され、制御装置1からの制御信号に従って、先述のように、複数の棚2に対して容器9を相対的に移動させる。すなわち、コンベア3は物流センター内で各容器9を搬送する機能を有する。物流センター内における容器9の搬送ルートは、当該容器9が必要なエリア(本実施の形態では全エリア)を通過するように予め決定されており、コンベア3はこの搬送ルートに沿って設けられる。
【0048】
コンベア3の上流側(搬送ルートの始点)には、作業者が容器9をコンベア3に搬入するための入口部が設けられており、一方、コンベア3の下流側(搬送ルートの終点)には容器9を搬出するための出口部が設けられている。
【0049】
本実施の形態における作業者は、容器9に表示装置5を取り付けてから、当該容器9をコンベア3の入口部に搬入する。コンベア3は作業者によって搬入された容器9を所定の搬送ルートに沿って搬送しつつ、搬送速度に基づいて当該容器9の位置を監視し、適宜、制御装置1(判定部101)に伝達する。
【0050】
仮置き台4は、容器9に投入される前の商品を一時的に載置しておくための載置台として、仕分作業を行う作業者によって使用される。本実施の形態では、図1に示すように、各エリアごとに仮置き台4が配置され、配置されたエリア内のコンベア3に隣接して設けられる。各仮置き台4は、配置されているエリアを担当する作業者によって適宜使用される。
【0051】
各仮置き台4は、物品の重量を測定する計量装置としての機能を備えており、載置された商品の重量を測定して、制御装置1に伝達する。制御装置1は、仮置き台4から伝達された商品の重量を、図4に示すように、重量情報122としてRAM12に記憶する。
【0052】
図5は、表示装置5の外観図である。本実施の形態では、各表示装置5は、各容器9に1台ずつ取り付けられ、以後、表示装置5は容器9とともに移動する。すなわち、表示装置5と容器9とは一対一で割り当てられており、表示装置5が容器9に取り付けられることにより両者の物理的な対応付けが行われる。
【0053】
各表示装置5は、内部に制御部50および通信部51を備えるとともに、前面に表示部52を備える。なお、本実施の形態では、表示装置5として、いわゆる「電子ペーパー」と呼ばれる装置を採用するが、表示装置5は、もちろんこのような装置に限定されるものではない。
【0054】
制御部50は、マイクロコンピュータとしての機能を有し、詳細は図示しないが、様々な演算を実行するCPUと、各種データを記憶するメモリとを備えている。なお、制御部50が備えるメモリには、当該表示装置5を他の表示装置5と識別するための識別子(以下、「表示装置識別子」と称する)が予め格納されている。先述のように、各表示装置5にはそれぞれ1つの容器9が対応付けられているため、各表示装置5に格納されている表示装置識別子は、各表示装置5が取り付けられている容器9を個別に識別するための識別子としても機能する。
【0055】
通信部51は、トランシーバ70との間で無線によるデータ通信を行う機能を有する。これにより、各表示装置5は、トランシーバ70および構内LAN8を介して制御装置1との間でデータ通信が可能とされている。通信部51は、主に、制御装置1の通信部16から送信される表示情報を受信して、制御部50に転送する。
【0056】
表示部52は、フルドットの液晶ディスプレイであって、制御部50からの制御信号に応じて、各種データを画面表示する。図5に示すように、表示部52の表示領域には、出荷先表示欄53、投入商品表示欄54、識別子表示欄55およびエリア表示欄56が設けられている。なお、表示部52の表示は、主に制御装置1から送信され当該表示装置5によって受信された表示情報に基づいて、制御部50によって行われる。
【0057】
出荷先表示欄53は、当該表示装置5に割り当てられている出荷先を表示する領域である。詳細は後述するが、本実施の形態において、作業者は、出荷先を示す出荷先識別子と、表示装置5を示す表示装置識別子とをハンディスキャナ6に読み取らせて制御装置1に向けて送信させる。これにより、制御装置1において当該表示装置5と当該出荷先との論理的な対応付けが行われ、制御装置1から出荷先を示す情報が表示情報として当該表示装置5に向けて送信される。そして、当該表示装置5は、自機の出荷先表示欄53に割り当てられた出荷先を表示する。
【0058】
投入商品表示欄54は、当該表示装置5が取り付けられている容器9に投入すべき商品を作業者が特定するための情報(以下、「商品特定情報」と称する)と、当該商品の投入数を示す情報とを表示するための領域である。すなわち、支援システム100は、作業者に対して、投入商品表示欄54によって、当該表示装置5が取り付けられている容器9に、どの商品をいくつ投入するかを指示する。図5に示す例では、商品特定情報として商品名および商品識別子が表示されており、投入数を示す情報として当該商品の受注数が表示されている。
【0059】
なお、投入すべき商品が存在しない場合、投入商品表示欄54には、何の商品についての情報も表示されない。ただし、投入すべき商品が存在しない旨を知らせるメッセージを表示してもよい。また、商品特定情報の内容は、図5に示す内容に限定されるものではなく、商品情報132に基づいて、他の内容を表示するようにしてもよい。また、棚情報130に基づいて、投入商品表示欄54に、当該商品が格納されている棚2を示す情報(棚番号)を表示するようにしてもよい。この場合、作業者は、投入すべき商品を取り出す棚2を容易に把握できる。
【0060】
識別子表示欄55には、先述の表示装置識別子がバーコードを表現した画像として表示される。詳細は後述するが、各表示装置5の識別子表示欄55は、主に、ハンディスキャナ6によって読み取られ、制御装置1に送信される。
【0061】
エリア表示欄56は、表示装置5が存在するエリアを表示するための領域である。エリア表示欄56に表示されているエリア名を確認することにより、作業者は、表示部52に表示されている情報が、自身の担当するエリアに関する情報に正しく切り替わっていることを確認できる。例えば、エリアAを担当する作業者は、エリア表示欄56に「エリアA」と表示されている表示装置5についてのみ、投入商品表示欄54の内容に従って作業を行えばよい。言い換えれば、エリア表示欄56は、制御装置1が当該表示装置5(容器9)の位置を正しく認識しているか否かを確認するための情報を提供する。
【0062】
図2に戻って、ハンディスキャナ6は、作業者によって携帯され、当該作業者の操作により、適宜、バーコードを表現した画像を読み取って、無線アクセスポイント71および構内LAN8を介して、制御装置1に送信する機能を有している。
【0063】
本実施の形態におけるハンディスキャナ6が読み取るバーコードとしては、個々の出荷先を識別するための出荷先識別子を表現したバーコード、個々の表示装置5を識別するための表示装置識別子を表現したバーコード(識別子表示欄55)、および、商品に添付されている商品識別子を表現したバーコードである。
【0064】
以上が、本実施の形態における支援システム100の構成および機能の説明である。次に、支援システム100を用いて仕分作業を行う方法について説明する。
【0065】
図6は、容器準備作業を示す流れ図である。なお、容器準備作業とは、コンベア3に搬入する容器9を準備するための作業である。
【0066】
本実施の形態における容器準備作業において、まず、作業者は、支援システム100に、出荷先識別子と表示装置識別子とを入力する(ステップS1)。具体的には、準備する容器9に割り当てる出荷先の出荷先識別子と、準備する容器9に取り付ける表示装置5の表示装置識別子とをハンディスキャナ6に読み取らせることによりこれらの識別子を入力する。ハンディスキャナ6によって読み取られたこれらの識別子は、無線アクセスポイント71および構内LAN8を介して制御装置1に受信される。
【0067】
ステップS1が実行されると、支援システム100の制御装置1は、入力された出荷先識別子によって識別される出荷先の注文情報131をハードディスク13に記憶されている複数の注文情報131から特定し、特定した注文情報131に、入力された表示装置識別子を格納する。これにより、制御装置1における表示装置5と出荷先との論理的な対応付けが完了する。
【0068】
さらに、制御装置1は、当該表示装置識別子に対応する表示装置5に向けて、当該出荷先識別子によって識別される出荷先(出荷先名称)を表示情報として構内LAN8およびトランシーバ70を介して送信する。このようにして送信された表示情報を受信した表示装置5は、表示部52の出荷先表示欄53に、受信した表示情報に含まれる出荷先を表示する。これにより、ステップS1において表示装置識別子が入力された表示装置5(作業者の手元にある表示装置5)に、ステップS1において出荷先識別子が入力された出荷先が表示される。
【0069】
次に、作業者は、出荷先表示欄53に表示された出荷先を確認し(ステップS2)、正しい出荷先が表示された表示装置5を容器9に取り付ける(ステップS3)。これにより、表示装置5と容器9との物理的な対応付けが行われる。
【0070】
本実施の形態では、出荷先ごとに注文情報131が作成されるので、容器準備作業によって、容器9と、表示装置5と、出荷先と、当該出荷先の注文情報131とが互いに対応付けられることとなる。すなわち、表示装置5が取り付けられた容器9は、当該表示装置5に対応付けられている注文情報131に対応して準備された容器9となる。
【0071】
容器9に表示装置5を取り付けると、作業者は、表示装置5を取り付けた容器9をコンベア3の入口部に搬入する(ステップS4)。これにより、当該容器9に対する搬送が開始されるとともに、コンベア3によって容器9の位置の監視が開始される。
【0072】
次に、作業者は、全ての出荷先について容器9を準備したか否かを確認し(ステップS5)、未だ容器9が準備されていない出荷先が残っている場合には、ステップS1に戻って当該出荷先について作業を繰り返す。一方、全ての出荷先について終了している場合は、容器準備作業を終了する。
【0073】
図7は、支援システム100による表示切替処理を示す流れ図である。
【0074】
コンベア3から伝達される各容器9の位置情報に基づいて、制御装置1の判定部101は各容器9が存在しているエリアを把握している。そして、各容器9がコンベア3によって搬送されることにより、その存在位置が、他のエリアに切り替わったか否かを監視している(ステップS11)。
【0075】
他のエリアに切り替わった容器9を検出した場合(ステップS11においてYes)、判定部101は、複数のグループの中から、当該容器9の位置情報に基づいて、切り替わった先のエリアに割り当てられているグループを選択する(ステップS12)。
【0076】
例えば、図1に示す例でステップS12の処理を説明すると、コンベア3の入口部からエリアAに切り替わった容器9については、切り替わったときの位置情報(エリアA内の位置を示す)に基づいて、切り替わった先のエリアAに割り当てられているグループAを選択する。また、エリアAに存在していた容器9がエリアBに切り替わった場合には、切り替わったときの位置情報に基づいて、切り替わった先のエリアBに割り当てられているグループBを選択する。
【0077】
グループの選択が終了すると、判定部101は、予め作成され記憶されている棚情報130を参照して、全体の棚2の中から、ステップS12において選択したグループに分類されている棚2を特定する。これにより、支援システム100が備える全ての棚2の中から、切り替わった先のエリアを担当する作業者によって商品が取り出される棚2が特定される。
【0078】
例えば、入口部からエリアAに切り替わった場合には、選択されたグループAに分類されている棚2aが特定される。また、エリアAからエリアBに切り替わった場合には、選択されたグループBに分類されている棚2bが特定される。
【0079】
次に、判定部101は、棚情報130を参照して、特定した各棚2bに格納されている商品をそれぞれ特定することにより、切り替わった先のエリアにおいて取り出し可能な商品を特定する(ステップS13)。
【0080】
例えば、エリアAに切り替わった容器9に対しては、エリアAを担当する作業者が商品を投入する。言い換えれば、当該容器9がエリアAに存在している限り、当該容器9にはエリアB等の他のエリアの商品を投入することはできない。ステップS13が実行されることにより、各エリアに存在する各容器9に対して、投入可能商品のリストが作成される。なお、ここでは棚2を特定することにより商品を特定する例で説明したが、選択されるグループごとに、予め投入可能な商品リストを作成しておいてもよい。
【0081】
取り出し可能な商品を特定すると、判定部101は、当該容器9に割り当てられている注文情報131を参照して、当該注文情報131から1の商品を特定する(ステップS14)。ステップS14では、注文情報131に登録されている商品(注文されている商品を意味する)を、ステップS14が実行されるたびに順次に1つ特定する。
【0082】
次に、判定部101は、ステップS14において特定した商品と、ステップS13において特定した商品とが一致するか否かを判定する(ステップS15)。
【0083】
ステップS14において注文情報131から特定された商品は、当該注文情報131における注文元(出荷先)によって注文されている商品であるから、当該容器9に、いずれ投入すべき商品である。一方、ステップS13において特定された商品は、当該容器9の現在位置において投入可能な商品である。したがって、ステップS15は、現在の位置における当該容器9に投入すべき商品の存否を判定する処理に相当する。
【0084】
注文情報131から特定した商品が取り出し可能な商品のリストに含まれている場合(ステップS15においてYes)、判定部101は、一致した商品を当該容器9の判定情報120に登録する(ステップS16)。これにより、判定情報120に当該商品の商品識別子が格納される。
【0085】
一方、注文情報131から特定した商品が取り出し可能な商品のリストに含まれていない場合(ステップS15においてNo)、判定部101は、ステップS16をスキップして、当該商品の判定情報120への登録を実行しない。これにより、切り替わったエリアにおいて(現在位置において)、投入することができない商品が判定情報120に登録されることを防止する。
【0086】
次に、判定部101は、注文情報131に含まれる全商品について処理が終了したか否かを判定し(ステップS17)、未だ判定処理(ステップS15)を行っていない商品が存在する場合には、ステップS14に戻って処理を繰り返す。
【0087】
エリアが切り替わった容器9に対応付けられている注文情報131の全商品について処理が終了すると(ステップS17においてYes)、表示制御部102が判定部101によって更新された判定情報120を参照する。そして、当該判定情報120に登録されている商品識別子に基づいて、商品情報132を参照して当該商品に関する情報(商品名等)を取得するとともに、注文情報131を参照して当該商品の受注数を取得する(ステップS18)。これにより、当該容器9に、現在位置において投入すべき商品のリストと、各商品の受注数(投入数)とが取得される。
【0088】
次に、表示制御部102は、通信部16を制御して、当該容器9に取り付けられている表示装置5に向けて、取得した商品情報と各商品の投入数とを表示情報として送信させる。この表示情報を受信した表示装置5は、表示部52の表示切替を行う(ステップS19)。
【0089】
具体的には、既に投入商品表示欄54に表示していた商品に関する情報と各商品の投入数とを削除して、受信した表示情報に含まれる商品情報と各商品の投入数とを新たに表示する。このとき、表示装置5はエリア表示欄56に表示されているエリア名も、切り替わった先のエリア名に更新する。
【0090】
ステップS19が終了すると、支援システム100はステップS11の処理に戻り、再び、各容器9に対するエリアの切り替わりを監視する状態に移行する。
【0091】
このように、表示切替処理が実行されることにより、各容器9に取り付けられている表示装置5の投入商品表示欄54に表示される商品の名称は、作業者が取り出すべき商品を表す指示情報となる。また、投入商品表示欄54に表示される各商品の投入数は、作業者が取り出すべき当該商品の個数を表す指示情報となる。なお、図5に示す例では、投入商品表示欄54に、投入すべき商品の名称として「潤いシャンプー」、「ケアリンス」および「口紅」が表示され、それぞれ投入数が「10個」、「5個」および「12個」と表示されている。
【0092】
切り替わった先のエリアを担当する作業者は、担当するエリアに搬送されてきた容器9に取り付けられている表示装置5の投入商品表示欄54を確認することにより、容易に、当該容器9に対する仕分作業を確認できる。特に、投入商品表示欄54には、他の作業者(他のエリアの担当者)によって投入されるべき商品に関する情報が表示されることはないので、作業者の見間違え等を抑制できる。
【0093】
また、表示装置5が容器9に取り付けられて容器9と共に移動するので、作業者は、投入商品表示欄54に表示されている指示情報がどの容器9に対する指示情報であるかを正確に把握できる。したがって、従来のシステムのように、表示器の前で、コンテナ(容器)を一旦停止させる必要がなく、仕分作業における時間を短縮することができる。
【0094】
図8は、容器9に対する作業者による仕分作業を示す流れ図である。
【0095】
まず、作業者は各自の担当するエリア内に搬送されてきた容器9に取り付けられている表示装置5の表示を確認する(ステップS20)。このとき、作業者は、エリア表示欄56に表示されているエリア名が各自の担当するエリアと一致しているか否かを確認し、一致している場合に、投入商品表示欄54の表示を確認する。一方、エリア表示欄56に表示されているエリア名と担当するエリア名とが一致しない場合は、表示部52の表示が更新されるまで当該容器9に対する作業は行わずに待機する。
【0096】
次に、作業者は確認した投入商品表示欄54に、1以上の商品に関する情報が表示されていたか否かに基づいて、当該容器9に投入すべき商品があるか否かを判断し(ステップS21)、投入すべき商品が存在しない場合は、当該容器9に対する仕分作業を終了する。
【0097】
一方、投入すべき商品が存在する場合(ステップS21においてYes)、作業者は所持しているハンディスキャナ6に当該容器9に取り付けられている表示装置5の識別子表示欄55(表示装置識別子)を読み取らせる。さらに、作業者は、投入商品表示欄54の表示内容(指示情報)に基づいて、投入すべき商品と、当該商品の個数(投入数)とを確認する(ステップS22)。なお、複数の商品が投入商品表示欄54に表示されている場合、作業者はどれか1つの商品を任意に選択して確認するものとする。
【0098】
次に、作業者は、各自が担当するエリアに配置されている複数の棚2から、確認した商品を格納している棚2を特定し、当該棚2から投入数の商品を取り出し(ステップS23)、取り出した商品を仮置き台4に載置する(ステップS24)。さらに、作業者は所持しているハンディスキャナ6によって、取り出した商品(仮置き台4に載置した商品)のバーコードを読み取って、当該商品の商品識別子を支援システム100に入力する(ステップS25)。
【0099】
ハンディスキャナ6は、商品識別子を読み取ると、ステップS22において読み取った表示装置識別子とともに制御装置1に送信する。この情報を受信した制御装置1の通信部16は、受信した情報に基づいて商品識別情報121を生成し、RAM12に転送する。
【0100】
そして、品種検査部103が生成された商品識別情報121に含まれる表示装置識別子に基づいて、対応する判定情報120を特定する。より詳しくは、当該表示装置識別子によって識別される表示装置5が取り付けられている容器9を特定し、当該容器9に対する判定情報120を特定する。
【0101】
さらに、品種検査部103は、商品識別情報121に含まれる商品識別子で識別される商品が、特定した判定情報120に登録されているか否かを判定することにより、作業者が取り出した商品が投入すべき商品か否かを判定し、検査結果を表示制御部102に伝達する。先述のように、当該検査結果には、品種検査部103による判定結果である「正」「誤」を示す情報と、検査結果が「正」である場合には、商品識別子と表示装置識別子とが含まれる。
【0102】
表示制御部102は、通信部16を制御して、表示装置識別子によって識別される表示装置5(作業者が仕分作業の対象としている容器9に取り付けられている表示装置5)に向けて、品種検査部103の検査結果を表示情報として送信させる。このとき送信される表示情報(検査結果)には、検査結果である「正」「誤」を示す情報と共に、検査結果が「正」である場合には商品識別子が含まれる。
【0103】
このようにして制御装置1からの表示情報を受信した表示装置5は品種検査部103による検査結果を表示する。品種検査部103の検査結果を表示する手法としては、例えば、判定結果が「正」である場合、表示装置5の制御部50は、表示部52を制御して、投入商品表示欄54における該当する商品の欄を強調表示に変更する(例えば該当欄の枠を太枠に変更する等)。一方、判定結果が「誤」である場合、表示装置5の制御部50は、表示部52を制御して、投入商品表示欄54における全商品の欄を強調表示に変更する(例えば反転表示や点滅表示等)。
【0104】
作業者は、ステップS25を実行してハンディスキャナ6に商品識別子を読み取らせた後、表示部52(投入商品表示欄54)の表示に基づいて、取り出した商品が正しいか否かを判断する(ステップS26)。そして、取り出した商品が正しくない場合は、仮置き台4に載置した商品を、当該商品を取り出した棚2に返却して、ステップS22の作業に戻って、再度、投入すべき商品を確認するところから作業をやり直す。
【0105】
このように、支援システム100は、容器9に商品を投入する前に、商品が正しく選択されているか否かを検品して作業者に表示するので、作業者の負担を増大させることなく、誤った商品が容器9に投入されることを防止できる。
【0106】
さらに、品種検査部103による検査結果が「正」である場合、表示制御部102は品種検査部103から検査結果として伝達された商品識別子と表示装置識別子とを数量検査部104に伝達する。これにより、数量検査部104による数量検査が行われる。
【0107】
まず、数量検査部104は、表示装置識別子に応じて、複数の注文情報131から、当該容器9(表示装置5)に対応する注文情報131を特定する。そして、特定した注文情報131を参照しつつ、表示制御部102から伝達された商品識別子によって識別される商品の受注数を取得する。次に、商品情報132を参照して、表示制御部102から伝達された商品識別子によって識別される商品の単位重量を取得する。
【0108】
次に、数量検査部104は、取得した単位重量と受注数との積を演算することにより、当該商品が正しい個数分だけ投入される場合の合計重量(先述の予定重量)を求める。さらに、数量検査部104は、作業者が商品を載置した仮置き台4から受信した重量情報122が、求めた予定重量に一致するか否かを判定する。なお、このときの判定は完全一致ではなく、予め許容誤差を設定しておいて、この許容誤差内であれば一致したと判定してもよい。
【0109】
仮置き台4において測定された重量(重量情報122)と予定重量とが一致しない場合とは、受注数と異なる数の商品が仮置き台4に載置されていることを意味している。すなわち、作業者がステップS23の作業によって取り出した商品の個数が誤っていることを示す。したがって、この場合、数量検査部104は検査結果として「誤」を表示制御部102に伝達する。一方、重量情報122と予定重量とが一致する場合、数量検査部104は検査結果として「正」を表示制御部102に伝達する。なお、数量検査部104からの検査結果には、数量検査を開始するときに、表示制御部102から伝達された商品識別子(検査対象となった商品の商品識別子)と表示装置識別子(検査対象となった商品が投入されようとしている容器9に取り付けられている表示装置5の表示装置識別子)とが含まれる。
【0110】
数量検査部104から検査結果が伝達されると、表示制御部102は、通信部16を制御して、表示装置識別子によって識別される表示装置5(作業者が仕分作業の対象としている容器9に取り付けられている表示装置5)に向けて、数量検査部104の検査結果を表示情報として送信させる。このとき送信される表示情報(検査結果)には、検査結果である「正」「誤」を示す情報と共に、検査結果にかかわらず、検査の対象となった商品の商品識別子が含まれる。
【0111】
このようにして制御装置1からの表示情報を受信した表示装置5は数量検査部104による検査結果を表示する。数量検査部104の検査結果を表示する手法としては、例えば、検査結果が「正」である場合、表示装置5の制御部50は、表示部52を制御して、投入商品表示欄54における該当する商品の欄を削除して、繰り上げ表示を行う(他に投入すべき商品が残っている場合)。一方、検査結果が「誤」である場合、表示装置5の制御部50は、表示部52を制御して、投入商品表示欄54における該当する商品の欄の投入数を強調表示に変更する(例えば反転表示や点滅表示等)。
【0112】
作業者は、ステップS26を実行して商品の品種が正しいことを確認した後、さらに表示部52(投入商品表示欄54)の表示に基づいて、取り出した商品の個数が正しいか否かを判断する(ステップS27)。そして、取り出した商品の個数が正しくない場合は、ステップS22の作業に戻って、再度、投入すべき商品の個数を確認するところから作業をやり直す。ただし、この場合、仮置き台4に載置された商品を全て棚2に返却する必要はない。例えば、不足している数だけ商品を棚2から取り出して仮置き台4に追加載置するか、あるいは、多すぎた数だけ仮置き台4から棚2に商品を返却すればよい。
【0113】
このように、支援システム100は、容器9に商品を投入する前に、商品の個数が正しいか否かを検品して作業者に表示するので、作業者の負担を増大させることなく、誤った数の商品が容器9に投入されることを防止できる。
【0114】
ステップS27においてYesと判断すると、作業者は仮置き台4に載置している商品を全て容器9に投入する(ステップS28)。
【0115】
本実施の形態における支援システム100は、数量検査部104による検査結果が「正」となった状態で、仮置き台4から送信される重量情報122が「0」にリセットされると、当該商品について容器9への投入が完了したと判断する。すなわち、仮置き台4から受信される重量情報122が「0」にリセットされた情報を完了情報とみなす。したがって、仮置き台4が本発明の入力手段に相当する。
【0116】
これにより、支援システム100(制御装置1)は、注文情報131に登録されている商品について、投入が完了した旨を格納する。このようにして、支援システム100では、仕分作業の進捗管理を行うことができる。なお、作業者による投入動作が終了したことを示す情報を、制御装置1に対して作業者自身が入力するための専用のボタン等を設けてもよい。このような専用のボタンを設ける場所は作業者の周囲であればどこでもよいが、例えば表示装置5の投入商品表示欄54の横に設けることができる。その場合、作業者は容器9に商品を投入した後に、投入商品表示欄54に表示されている商品を確認しながら投入終了を入力するようにしてもよい。
【0117】
1つの商品について、容器9への投入が完了すると、作業者は、当該容器9に取り付けられている表示装置5の投入商品表示欄54を確認して、全ての商品について投入が完了しているか否かを判断する(ステップS29)。
【0118】
未だ1以上の商品が投入商品表示欄54に表示されている場合は、全ての商品について投入が終了していないと判断し、ステップS22からの作業を繰り返す。一方、投入商品表示欄54に何の商品についての情報も表示されていない場合は、投入すべき全ての商品について作業が終了したと判断し、当該容器9に対する仕分作業を終了する。
【0119】
以上のように、本実施の形態における支援システム100は、容器9に取り付けられる表示装置5を備えており、容器9への作業内容を示す指示情報(投入商品表示欄54)を当該表示装置5に表示させる。これにより、指示情報を表示する表示装置5が容器9とともに移動するので、当該容器9を何らかの表示器の前で停止させる必要がない。容器9に投入すべき商品が存在しない場合には、従来のシステムに比べて、特に仕分作業の効率が向上する。
【0120】
また、表示装置5に容器9に投入すべき商品の投入数を表示させることにより、投入すべき商品の存否を確認するのと同時に、投入すべき商品の必要投入数も確認できるので、仕分作業の精度が向上する。
【0121】
また、容器9に投入すべき商品に関する商品情報(商品名や商品識別子、あるいは棚2の位置等)を、当該容器9に取り付けられている表示装置5に表示させることにより、投入すべき商品を作業者が容易に把握できる。
【0122】
また、容器9に対応する注文情報131と商品情報132として記憶されている商品の単位重量とに基づいて容器9に投入すべき商品の重量を求め、仮置き台4により測定された商品の重量と比較することにより、投入する商品の数を検査する。したがって、誤った数の商品が投入されることを抑制でき、仕分作業の精度が向上する。
【0123】
また、ハンディスキャナ6により読み取られた商品の商品識別子に基づいて、作業者が取り出した商品が容器9に投入すべき商品に一致しているか否かを検査することにより、誤った品種の商品が投入されることを抑制できる。したがって、仕分作業の精度が向上する。
【0124】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0125】
例えば、上記実施の形態に示した各工程は、これに限定されるものではなく、同様の効果が得られるのであれば、内容や実行順が適宜変更されてもよい。
【0126】
また、制御装置1は、専用コネクタおよびケーブルによってコンベア3および複数の仮置き台4と接続されると説明したが、制御装置1は通信部16を介して構内LAN8を経由してコンベア3および複数の仮置き台4と接続されていてもよい。すなわち、制御装置1とコンベア3および複数の仮置き台4との間でデータ通信が可能であれば、接続形態はどのような形態であってもよい。
【0127】
また、上記実施の形態では、仕分作業を行う作業者がハンディスキャナ6を携帯して、当該ハンディスキャナ6によって商品のバーコードを読み取る例で説明した。しかし、例えば商品のバーコードを読み取る機能を表示装置5に持たせてもよい。あるいは、表示装置5とハンディスキャナ6とを専用のコネクタ等で接続できるように構成してもよい。このような場合には、作業者がハンディスキャナ6を使用して表示装置5の識別子を読み取らせる必要がないので、作業者の負担がさらに軽減される。
【0128】
また、コンベア3の移動距離に応じて容器9の位置に関する情報を取得すると説明したが、各表示装置5にGPSに相当する機能を搭載して、個々の容器9の位置に関する情報を、個々の容器9に一対一で取り付けられている表示装置5からそれぞれ取得するように構成してもよい。あるいは、エリアが切り替わる位置に容器9を検出するセンサを設け、当該センサからの信号に応じて容器9の位置(エリア)が切り替わったことを検出してもよい。例えばコンベア3における容器9の搬送順が固定されている場合(容器9間の追い抜きがない場合)には、このように構成したとしても各容器9の位置を把握することができる。
【0129】
また、数量検査部104は、重量情報122と、商品情報132に格納されている商品の単位重量と、注文情報131に格納されている商品の受注数とに基づいて、作業者によって準備された商品の数量(投入しようとする商品の数量)を検査すると説明した。しかし、数量を検査する手法はこれに限定されるものではない。例えば、ハンディスキャナ6に商品識別子を読み取らせる回数に基づいて検査してもよい。すなわち、3個投入する商品については、ハンディスキャナ6によって商品識別子を3回読み取らせるようにしてもよい。あるいは、表示装置5またはハンディスキャナ6に商品の個数を入力するためのテンキーを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明に係る支援システムが設置される様子を示す図である。
【図2】支援システムの構成を示す図である。
【図3】制御装置の構成を示すバス配線図である。
【図4】制御装置の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図5】表示装置の外観図である。
【図6】容器準備作業を示す流れ図である。
【図7】支援システムによる表示切替処理を示す流れ図である。
【図8】容器に対する作業者による仕分作業を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0131】
100 支援システム
1 制御装置
101 判定部
102 表示制御部
103 品種検査部
104 数量検査部
120 判定情報
121 商品識別情報
122 重量情報
13 ハードディスク
130 棚情報
131 注文情報
132 商品情報
14 操作部
2,2a,2b 棚
3 コンベア
4 仮置き台(計量手段)
5 表示装置
52 表示部
54 投入商品表示欄
6 ハンディスキャナ
9 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕分作業を支援する支援システムであって、
配置されている位置に応じて複数のグループのいずれかに分類される複数の棚と、
前記複数の棚のそれぞれについて、分類されるグループと格納される商品とを示す棚情報を予め記憶しておく記憶手段と、
仕分先ごとの注文情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた注文情報に対応して準備された容器を前記複数の棚に対して相対的に移動させる移動手段と、
前記容器に取り付けられる表示装置と、
前記受付手段により受け付けた注文情報と前記注文情報に対応する容器の位置と前記記憶手段に記憶されている棚情報とに基づいて、前記位置における前記容器に投入すべき商品の存否を判定する判定手段と、
前記容器に取り付けられた表示装置に前記判定手段による判定結果を表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の支援システムであって、
前記判定手段は、前記受付手段により受け付けた注文情報に対応して準備された容器の位置と前記棚情報とに基づいて前記複数のグループから前記容器の位置に対するグループを選択し、選択したグループに分類されている棚に格納されている商品と前記注文情報に含まれる商品との間に一致する商品が存在する場合に、前記位置における前記容器に投入すべき商品が存在すると判定することを特徴とする支援システム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の支援システムであって、
前記判定手段によって容器に投入すべき商品が存在すると判定された場合において、前記表示制御手段は、前記容器に対応する注文情報に基づいて、前記容器に取り付けられている表示装置に前記容器に投入すべき商品の投入数を表示させることを特徴とする支援システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の支援システムであって、
前記記憶手段は、商品に関する商品情報を記憶しており、
前記判定手段によって前記容器に投入すべき商品が存在すると判定された場合において、前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記容器に投入すべき商品に関する商品情報を前記容器に取り付けられている表示装置に表示させることを特徴とする支援システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の支援システムであって、
前記容器に投入される商品の重量を測定する計量手段と、
前記容器に投入される商品の数を検査する数検査手段と、
をさらに備え、
前記記憶手段は、商品の単位重量を記憶しており、
前記数検査手段は、前記容器に対応する注文情報と前記記憶手段に記憶されている商品の単位重量とに基づいて前記容器に投入すべき商品の重量を求め、前記計量手段により測定された商品の重量と比較することにより、前記数を検査することを特徴とする支援システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の支援システムであって、
前記容器に投入すべき商品として前記複数の棚から作業者が取り出した商品の識別子を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた商品の識別子に基づいて、前記作業者が取り出した商品が前記容器に投入すべき商品に一致しているか否かを検査する品種検査手段と、
をさらに備えることを特徴とする支援システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の支援システムであって、
前記容器に投入すべき商品の前記容器への投入が完了したことを示す完了情報を受け付ける入力手段をさらに備えることを特徴とする支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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