説明

改修用手すり及び手すり改修システム

【目的】 既存の手すりが寿命がなくなると、既存の手すりは支柱も含めて完全に撤去し、更新していた。既存の支柱の撤去に伴う粉塵、騒音、廃棄物の発生しない手すりか改修システムを提供する。
【構成】 既存の手すりを診断して支柱強度がもたないと判断されると、既存の手すりの完全撤去するしかないかを選択し、完全撤去しないと判断すると、ステップS4で本発明による改修を行なう。ステップS5で完全無撤去するかしないかを選択し、完全無撤去とすると実施例1又は2、完全無撤去としないとすると実施例3又は4となる。実施例1〜4の何れも既存の支柱は残し、新支柱を立てる。それ故、既存の支柱を除去する際に生ずる粉塵、騒音、廃棄物は発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置されている下地がコンクリートである既存手すりを設けたバルコニー、フェンス等における手すりの改修に適する手すり改修システム及びこの手すり改修システムにより選択された手すり改修工法により設けられた改修手すりに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手すりには鉄、アルミニウムなど金属材料製が多用されている。これらは正確な形状に製作し得る。大量生産に適する。アルミニウム製の場合特に意匠的にすぐれた外観となる等の利点がある。一方、例えば鉄筋コンクリートの建物等の躯体の寿命は30年〜50年程度である。ところが、環境負荷により上記金属材料は腐食する。鉄は特に早期に腐食するので、上記建物の寿命に比べるとかなり短い期間で腐食する。
【0003】
そこで、手すりを取り換える。手すりを改修する等の発明考案がなされている。
【特許文献1】特開昭57−89053号公報
【特許文献2】特開昭58−113459号公報
【特許文献3】特開昭57−174574号公報
【特許文献4】実開昭58−191233号公報
【特許文献5】特公平7−21237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存手すりを全部除去して行われる改修手すり工事では、既存手すりの撤去を行い新規の手すりを設置することになる。
既存手すりの解体は、a.格子、b.笠木・笠木受け、c.支柱・支柱補強材の取外しの工程を経る。しかし、この方法では埋め込み作業があり、特にc.以降は時間と費用がかかる。
【0005】
そこで、旧支柱(既存の手すり)を新支柱として用いて上述の特許文献に示す手すり改修工法が種々提案されている。しかし、上記の提案では既存の手すりの支柱以外を出来る限り除去して手すりを改修しようとしている。
【0006】
しかし、このような改修を行う場合居住者がいる場合が多く、既存の支柱を用いるとしても居住者は騒音になやまされる。また、支柱を撤去する場合は更に粉塵騒音の発生をどのように抑制するかという課題及びコンクリート廃棄物の処分という課題がある。
【0007】
本発明は、既存手すりを極力残して、新規手すりを設置する工法である。そして、既存手すりが全く不可とされる程度に老朽化していた場合においても、既存手すりにかかわりなく手すりを改修できる工法である。そして、この工法に用いる改修用手すりを提供するものである。この工法を行うことによって、工期の短縮、柱除去時の切断機の騒音を無くし、解体費用の削減が図れる。
【0008】
また、他の本発明は、既存手すりの支柱が耐久的に寿命が見込まれないような場合において、既存の支柱を撤去することなく格子、笠木を除去して新たな手すりを設置可能な手すり改修システム及び改修手すりを提供するものである。
【0009】
先にのべた特許文献に記載の改修手すりは既存の手すりの支柱にカバー部材をかぶせて該支柱を補強するものと概括できる。このような工法はカバー部材の製作に多大のコストがかかる。また、必ずしも工事が簡単ではない。
【0010】
そこで、他の本発明は既存の支柱を利用する手すりの改修において簡単に新手すりに改修できる手すり改修システム及び改修手すりを提供することを目的とするものである。
【0011】
本発明では上述のように手すり改修システム及び改修手すりが多様に提供されている。特に、本発明では既存の手すりの状態にかかわらず提供できる改修手すり及び手すり改修工法がある。また、本発明の他の改修手すり及び手すり改修工法は従来例とは著しく異なっている。
【0012】
そこで、手すりを改修する前に躯体及びその躯体に備えられている手すりの診断が行われる。本発明は全く新規な改修手すりを提供するものであるため、躯体及び手すりの診断から始まり、施工の準備、施工完成に到る過程を示すシステムが新規且つ有用なものである。
【0013】
本発明は新規且つ有用な手すり改修システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願に係る第1の発明はコンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもたないと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもたないと判断されると、既存手すりの完全無撤去とするかしないかを判断をする段階と、
c.既存手すりを完全無撤去とすると決定する段階と、
d.既存手すりを完全無撤去とすると決定された場合に既存手すりを撤去しないで、新手すりを設ける段階と、
を有し、見込方向において既存の手すりとは異なる位置に新手すりを立設し、新手すりの支柱と既存の手すりの笠木とを固定することを特徴とする手すりの改修システムである。
【0015】
本出願に係る第2の発明は既存の笠木を蔽うと共に新くぐり抜け防止材を支持する新笠木を新支柱又は既存の笠木に固定したことを特徴とする第1の発明に記載の手すりの改修システムである。
【0016】
本出願に係る第3の発明はコンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもたないと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもたないと判断されると、既存手すりの完全無撤去とするかしないかを判断をする段階と、
c.既存手すりを完全無撤去としないと決定する段階と、
d.既存手すりを完全無撤去としないと決定された場合に既存手すりのくぐり抜け防止材を撤去して、新手すりを設ける段階と、
を有し、見込方向において既存の手すりとは異なる位置に新手すりを立設し、新手すりの支柱と既存の手すりの笠木とを固定することを特徴とする手すりの改修システムである。
【0017】
本出願に係る第4の発明はコンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもたないと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもたないと判断されると、既存手すりの完全無撤去とするかしないかを判断をする段階と、
c.既存手すりを完全無撤去しないと決定する段階と、
d.既存手すりを完全無撤去しないと決定された場合に既存手すりの笠木、くぐり抜け防止材を撤去して支柱を残して新手すりを設ける段階と、
を有し、既存の手すりの支柱とは異なる位置に新支柱を立設し、新支柱で新笠木、新くぐり抜け防止材を支持することを特徴とする手すりの改修システムである。
【0018】
本出願に係る第5の発明は既存の支柱を結ぶ線上に新手すりの支柱を立設し、新笠木と既存の支柱とを結合固定したことを特徴とする第4の発明に記載の手すりの改修システムである。
【0019】
本出願に係る第6の発明はコンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもつと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもつと判断されると、支柱以外の改修が必要かどうかが判断される段階と、
c.支柱以外の改修が必要と判断される段階と、
d.支柱以外を撤去する段階と、
e.支柱にブラケットを設け、ブラケット及び新笠木で新くぐり抜け防止材を支持する工程と、
を有し、支柱にブラケットの根本を固定すると共にブラケットの先端にて新くぐり抜け防止材の下縁を支持し、新くぐり抜け防止材の上縁を支柱に固定した新笠木で支持することを特徴とする手すりの改修システムである。
【0020】
本出願に係る第7の発明はコンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもつと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもつと判断されると、支柱以外の改修が必要かどうかが判断される段階と、
c.支柱以外の改修が必要と判断される段階と、
d.支柱以外を撤去する段階と、
e.夫々の支柱に夫々複数のブラケットを設け、ブラケットで新くぐり抜け防止材を支持する工程と、
を有し、支柱にブラケットの根本を固定すると共にブラケットの先端にて新くぐり抜け防止材を支持することを特徴とする手すりの改修システムである。
【0021】
本出願に係る第8の発明は既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりであって、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材と、既存の支柱に固定された笠木と、を有する既存の手すりと、
b.既存の手すりとは見込方向の異なる位置において前記躯体に立設した新支柱と、
c.新支柱に支持される新くぐり抜け防止材と、
d.新支柱と既存の笠木を連結する既存手すりと新手すりの連結部材と、
を有することを特徴とする改修手すりである。
【0022】
本出願に係る第9の発明は新支柱は既存の手すりを設けた面の見込方向両側で壁面に沿う方向の同一位置において、躯体に夫々立設された新支柱と、壁面に沿う方向の同一位置に立設された見込方向の2本の新支柱を連結して互に固定する支柱連結部材と、を有することを特徴とする第8の発明に記載の改修手すりである。
【0023】
本出願に係る第10の発明は新支柱及び既存の支柱上部を蔽って新支柱に固定されると共に新くぐりぬけ防止材の上部を支持する新笠木を有することを特徴とする第8又は第9の発明に記載の改修手すりである。
【0024】
本出願に係る第11の発明は既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりからくぐり抜け防止材を除去した既存の手すりの部材であって、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、既存の支柱に固定された笠木と、を有し、既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材のない既存の手すりと、
b.既存の手すりとは見込方向の異なる位置において前記躯体に立設した新支柱と、
c.新支柱に支持される新くぐり抜け防止材と、
d.新支柱と既存の笠木を連結する既存手すりと新手すりの連結部材と、
を有することを特徴とする改修手すりである。
【0025】
本出願に係る第12の発明は新支柱は既存の手すりを設けた面の見込方向両側で壁面に沿う方向の同一位置において、躯体に夫々立設された新支柱と、壁面に沿う方向の同一位置に立設された見込方向の2本の新支柱を連結して互に固定する支柱連結部材と、を有することを特徴とする第11の発明に記載の改修手すりである。
【0026】
本出願に係る第13の発明は新支柱及び既存の支柱上部を蔽って新支柱に固定されると共に新くぐり抜け防止材の上部を支持する新笠木を有することを特徴とする第11又は第12の発明に記載の改修手すりである。
【0027】
本出願に係る第14の発明は既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりから既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材と、既存の支柱に固定された笠木と、を除去され、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、
b.既存の手すりとは異なる位置において前記躯体に立設した新支柱と、
c.新支柱に支持される新くぐり抜け防止材と、
d.新支柱に支持される新笠木と、
を有することを特徴とする改修手すりである。
【0028】
本出願に係る第15の発明は既存の支柱と新支柱は新笠木を介して結合され固定されていることを特徴とする第14の発明に記載の改修手すりである。
【0029】
本出願に係る第16の発明は既存の支柱と新支柱は一直線上に配置されていることを特徴とする第15の発明に記載の改修手すりである。
【0030】
本出願に係る第17の発明は既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりから既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材と、既存の支柱に固定された笠木と、を除去され、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、
b.既存の支柱に固定され見込方向に突出するブラケットと、
c.ブラケットの先端に下縁が支持された新くぐり抜け防止材と、
d.既存の支柱に固定され新くぐり抜け防止材の上縁の上に突出し、新くぐり抜け防止材の上縁を支持する新笠木と、
を有することを特徴とする改修手すりである。
【0031】
本出願に係る第18の発明は既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりから既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材と、既存の支柱に固定された笠木と、を除去され、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、
b.既存の支柱に上下方向で夫々固定され見込方向に突出する複数のブラケットと、
c.下側のブラケットの先端に下縁が支持され、上側のブラケットで上部が支持された新くぐり抜け防止材と、
を有することを特徴とする改修手すりである。
【発明の効果】
【0032】
解決しようとする問題点は既存の手すりの除去に多大な労力と作業が周囲に及ぼす環境負荷である。また、手すり改修に際して、効果的な選択肢を増加させることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
発明を実施するための最良の形態は後述の実施例1に示される。
【実施例】
【0034】
以下の説明において耐用年数とは物理的な耐用年数をいうものであって、法定耐用年数との考え方は含まれていない。
【0035】
以下の説明においてくぐり抜け防止材とは、手すり子を並列した格子、ガラス板、金属板、等のパネル、ぬき、平げた、たすき等の支柱と笠木に囲まれた範囲に設けられる部材をいう。くぐり抜け防止材は人等がくぐれない機能を有するが、併せて、手すりの補強、室内を外部からの遮蔽、意匠等の機能を持つものもある。
【0036】
先ず、手すり改修工法の全体構成(手すり改修システム)についてのべる。手すり改修の要請の原因は手すりの老朽化、又は格子をガラスにしたい等のデザイン変更等である。
【0037】
図1は手すり改修システムの実施例のフローチャートである。先ず、ステップS1で躯体の診断を行う。この診断により建屋の躯体の残りの見込耐用年数がどの位かの判断がされる。そして、残りの見込耐用年数があるかどうかが判断され、残りの見込耐用年数がない、又は建物改修の価値ない程度に残りの耐用年数が少ないと判断されるとステップS−1に進む。
【0038】
ステップS1−1では手すりの改修をするかどうかが判断される。この場合、手すりの耐用年数が少ないとしても手すりの支柱が耐久性があるときは実施例5又は6を採用し、そうでないときは手すりは改修することなく放置され終了する。
【0039】
ステップS1で躯体の残りの見込み耐用年数があると判断されると手すりの診断に入り、ステップS2に進む。
【0040】
ステップS2では手すりの状態が診断される。ステップ2では手すりの状態が強度上充分に使用に耐えるかどうかが診断される。
【0041】
ステップS2では支柱強度を判断して支柱の腐食、損傷により耐久的に限度ではないかと推測される場合又は、支柱を補強しても耐久期間はわずかしかのびず、残りの耐久期間が補強に要する費用に見合わないというような場合にはステップS3へ進む。ステップ2で支柱強度が耐久的にまだ充分使用可能と判断されるとステップS2−1へ進む。
【0042】
ステップS2−1では手すりの支柱を除く部分の改修が必要か否かが判断される。ここでは格子、笠木の損傷の程度又は残りの耐久年数の程度若しくはデザインを変更したい等の希望等により改修の必要性が判断される。ここで、格子、笠木の損傷とは、強度上と美観上のものを含む。即ち、強度上はもつが曲り、表面のきず等も損傷に含めて考えられる
ステップS2−1で支柱以外の改修が必要ないと判断されると手すりの改修をしない。
【0043】
ステップS2−1で支柱以外の改修が必要であると判断されるとステップS2−2に進む。
【0044】
ステップS2−2で本発明によるかどうかが選択される。本発明による手すり改修を行う場合はステップS2−3ヘ進む。ステップS2−2で本発明による手すりの改修を行わない場合は在来工法による。ここで在来工法によれば笠木、格子等の損傷した部材の修理又は部材の交換による修復又は支柱のみを残して笠木、格子を撤去して例えば先に述べた特許文献に示す工法が採用される。
【0045】
ステップS2−3では既存の手すりを完全無撤去で行うかどうかが判断される。完全無撤去で行うとすると実施例1又は2もしくは7が選択される。完全無撤去で行われないときは、格子、笠木を撤去して既存の支柱を用いた実施例5又は6が実行される。
【0046】
ステップS2で既存の支柱が耐久的に強度がもたないと判断されるとステップS3においては本発明を適用した工法で手すりを再現させるか、在来工法による手すりの完全撤去を行うかどうかを判断する。在来工法による手すり改修工法で手すりを再現する場合は手すりを完全撤去する。
【0047】
ステップS3で本発明の手すりの改修工事を行う場合はステップS4,S5へ進む。
【0048】
ステップS4で本発明による手すり改修を行うことが決定されるとステップS5へ進む。
【0049】
ステップS5で手すりを完全無撤去(既存の手すりをそのまま残す)の場合は本発明の実施例1又は2もしくは7で施工する。
【0050】
ステップS5で完全無撤去でない場合はステップS6へ進む。
【0051】
ステップS6では格子部分のみ撤去するかどうかが選択される。ステップS6で格子部分のみ撤去するとすれば、本発明の実施例3で施工する。格子部分のみ撤去するだけでなく笠木を撤去する場合は支柱のみ残すことになりステップS7へ進む。
【0052】
ステップS7で既存の支柱を利用するかどうかが選択される。ステップS7で既存の支柱を利用することが選択されると既存の支柱をカバー部材で補強する在来工法が採用される。在来工法とは例えば先にのべた特許文献に示される工法である。ステップS7で既存の支柱は残すがこの支柱は新手すりの支柱としての利用はしないという選択がされると本発明の実施例4で手すりの改修が施工される。
【0053】
以上の説明ではくぐり抜け防止材としては格子の例を挙げたがパネルその他であっても同様に本システムは採用される。
【0054】
(従来から設置している手すりの説明)
図3に示すように、全体を符号1で示す手すりは支柱2、格子3、笠木4及び後述するこれら部材を締結して一体とする締結部材を有する。ここで、格子3に代えて、板材としてガラス、不燃性板材例えば薄鋼板等も用いられる。この明細書においては格子その他の板材の何れか1つをくぐり抜け防止材と称するものとする。
【0055】
支柱2は間隔をおいて複数躯体のベランダのコンクリートの外縁5に根本を埋め込まれてコンクリート又は他の接着剤等で固められて外縁5上に立設されている。ここで、ベランダは外縁5と一体構成の鉄筋コンクリートである。
【0056】
図5に断面を示すように支柱2は本材6と芯材7とを有する。支柱の本材6はその断面が方形の中空筒であって内隅にタッピング穴(条溝であるが断面が中心角が270度程度の円形又は角形で口部が溝の内接円の直径よりも小さい断面である。以下同じ)6aを備えている。本材6の各辺6bの中央部内側に夫々設けた2本の突条6cに接するように断面が円形の中空筒の芯材7が挿入されている。本材6と芯材7は本材6と芯材7を貫通する穴にブラインドリベット11を打ち込み締結されている。このリベット11の位置は辺6bのうちの1つの中央で2つの突条6cの間である。
【0057】
本材6はアルミ押出し型材である。芯材7はステンレス製である。図4に示すように芯材7は本材6の下端から下方に突出し、突出部分の全部が外縁5に埋め込まれている。芯材7の上端は格子3の下桟3b近くと同高とされている。本材6は下端が外縁5の上面5aに接し、上端は笠木受け15まで同断面の型材である。
【0058】
格子3は上部に横架される格子受け3aと下部に横架される下桟3b間に上下方向にわたる手すり子3cの両端部をこれら格子受け3a、下桟3bに接して、格子受け3a、下桟3bに手すり子3cをかしめ、溶接等で締結してなる。格子受け3aは隣り合う支柱2上に夫々設けた笠木受け15の端部に少し離れて横に両端が位置し、笠木受け15に対して上方向にずれている(図6参照)。下桟3bは隣り合う支柱2間にわたる長さを有する。図7に示すように、格子受け3aと手すり子3cは格子受け3aを挿通するタッピングねじ16を手すり子3cのタッピング穴3c−1(図5参照)にねじ込み固定してある。下桟3bは下桟3bを挿通する図示されないタッピングねじをタッピング穴3c−1にねじこみ、手すり子3cを固定してある。手すり子3cは人等がくぐり抜けられない間隔をもって並列している。
【0059】
既存の手すり1の施工は以下のとおりである。外縁5に設けた穴5fに芯材7を挿入し、穴5fと芯材7間にモルタル又は接着剤を充填する。モルタル又は接着剤が固化後に本材6を芯材7に挿入するがその際、本材6の下端から丸ベース8を挿入しておく。
【0060】
支柱2が外縁5に立設されると、図4に示すように先ず丸ベース8を外縁5に着座させる。丸ベース8はナイロン(登録商標名)製である。丸ベース8は外周が円形で中心に支柱2の本材6の外形とほぼ同断面の穴を有する。
【0061】
次に笠木受け15を各支柱2に夫々取り付ける。
【0062】
図6は手すり端部の躯体立面部5bへの取り付けを示す正面図である。支柱2に笠木受け15を介して笠木4を取り付ける構成については、躯体立面部5bに近い図示以外の中間の支柱2に関しても同構成である。図7は手すり上部を見込方向の垂直面で切る断面図である。笠木受け15はその下面が支柱2の上端に接している。笠木受け15はその中間部が支柱2の上端に接して限定的に両側で笠木4に沿って突出している。何れの笠木受け15も支柱2上では支柱2の上端に接した上で笠木受け15を挿通して支柱2のタッピング穴6a(図5参照)にねじ込まれたタッピングねじ9により支柱2に固定されている。笠木受け15を挿通するタッピングねじ18は笠木4の下部材4cにねじ込まれて笠木受け15は笠木4に固定されている。
【0063】
図7は図4の上部を拡大して示す図面である。格子受け3aの断面は図7に示すように格子受け3aは浅い溝形であって溝側を上にして笠木4の下部材4cの中央部に上方へ向ってへこめた凹部4dに嵌め込まれている。格子受け3aを貫通してタッピングねじ17を笠木4の下部材4cにねじ込み格子受け3aと笠木4が締結されている。
【0064】
図4、図5に示すように、下桟3bは支柱本材6にアングル材のブラケット13を介して固定されている。即ち、ブラケット13の一方のフランジを本材6に当接してブラインドリベット12でもって本材6とブラケット13を締結してある。ブラケット13の他方のフランジ上に下桟3bを載置し、下桟3bと該他方のフランジを小ねじ14で締結してある。
【0065】
笠木4は断面が上方に向って凸な円弧形の天面を有する中空のアルミ押出し型材で出来ている。笠木4はベランダの室内から見て左右の対向する立面部5b近くの間にわたって横架される。笠木4は継目のないアルミ押出し型材の一本物が用いられる場合と、端面を突合せて用いられる場合とがある。端面を突合せる場合は支柱2の中心に一致させて突合せる。
【0066】
図7に示すように笠木4には両側の側板部4b間の下部材4cが上方へ向って、タッピングねじ16と干渉しないように凹部4dが設けてある。
【0067】
笠木受け15は図6に示すように支柱2から両側へ、はみ出すようにのびている。図示されないが中間の支柱2において笠木受け15は同様に支柱2の両側にはみ出させる。
【0068】
笠木受け15が支柱2上に取り付けられた後は、笠木4の嵌合部4aを笠木受け15の両縁に沿って嵌め込む。これによって笠木受け15の上面15aと笠木の両側の嵌合部4a間の下部材4cが接触する。次に図6に示すように支柱2外の笠木受け15のある位置において、笠木受け15を下方から上方へ挿通してタッピング18を笠木4の下部材4cにねじ込み、笠木4と笠木受け15とを締結する。次に、隣りあう支柱2間において1つの格子3を夫々取り付ける。格子3は垂直状態よりわずかに傾けて格子受け3aを笠木4の凹部4dに嵌め込み、下桟3bを見込方向に移動してけんどん式に下桟3bをブラケット13上にのせる。そして、小ねじ14を下桟3bを挿通してブラケット13にねじ込む。及び格子受け3aを挿通してタッピングねじ17を笠木4の下部材4cにねじ込む。
【0069】
図6に示すように、立面部5bへの手すり1の取り付けは本例では笠木4がブラケット19を介して立面部5bに固定されることによる。図6に示すように笠木4の広幅の溝となっている嵌合部4a(図7参照)に丁度幅が一致するアングルのブラケット19の一方のフランジを挿入し、他方のフランジを立面部5bに当接させる。
【0070】
そして下から上へブラケット19の一方のフランジを挿通してボルト21を笠木4の下部材4cに固定したポップナット22(図6参照)にねじ込み、ブラケット19の一方を笠木4に固定してある。ポップナット22は笠木4の見込方向の幅の中央に一箇所設けてある。ブラケット19の他方のフランジを立面部5bに当接させ該他方のフランジを挿通して立面部5bにアンカー23を挿入固定し、このアンカー23でブラケット19を立面部5bに固定してある。笠木4の端部にはエンドキャップ4Aが嵌め込まれている。エンドキャップ4Aは笠木4の端部が丁度内側に嵌合する形状である。エンドキャップ4Aと笠木4の側板部4bを挿通するブラインドリベット4fによりエンドキャップ4Aは笠木4に固定されている。
【0071】
尚、上述では手すりの躯体への取り付けを立面壁としたが手すりの端部の躯体への取り付けは、躯体の態様に従って施工される。そして手すりの躯体への取付部材をユニット化して手すりを躯体へ取り付けることもできる。
[実施例1]
【0072】
実施例1は手すり改修システムにおいてステップS2で支柱の強度がもたない、もつに拘らず、既存の手すりを完全無撤去で行われる手すり改修方法である。フローチャートのステップS5(支柱の強度がもたない場合)で能動的な判断がされた場合に実行される。また、支柱の強度がもつ場合において、ステップS2−3において既存の手すり(支柱以外の改修が必要)を完全無撤去と決定した場合に実施例1は実行してもよい。
【0073】
図8は改修手すりの見込方向の断面を示す。図9は図8の水平断面図である。説明としては工程順に説明し、完成した改修手すりの理解に及ぶようにする。
【0074】
図8に示すように外縁5の上面5a及び内外側の側面5cに夫々接するアングル形状のベース24を外縁5に取り付ける工事を行う。
【0075】
先ず、ベース24の上にベース24のフランジ24aの予め穴明してあるボルト穴24bの位置に合せて外縁5の上面5a側にドリルで基礎ボルト穴をあける。このとき、ボルト穴24b又はボルト穴24bに嵌合した治具を用いて該基礎ボルト穴をあけると好適である。
【0076】
ボルト穴24bを挿通して外縁5の上面5aにあけた穴にアンカー25を挿入しこのアンカー25を該穴に固定する。このアンカー25は周知のもので該穴外に出ているおねじにねじ込まれたナットを呼び込むと該穴内でアンカー25が拡径するもの、芯材をたたき込むことによりアンカーを奥で拡径するもの等何れでもよい。これによりベース24を外縁5に固定する。
【0077】
ベース24のフランジ24a上には予め中空円筒形の芯材26の下端が溶接により固定されている。ここで、ベース24、芯材26はステンレス鋼材製である。従って、ベース24が外縁5に固定されると芯材26が立設される。この芯材26の位置は図9に示すように、既存の支柱2の近くである。即ち、外縁5の見込方向の幅のほぼ中心に既存の手すり1があり、既存の手すり1の見込方向の両側の対称位置又はほぼ対称位置に芯材26が立設されることになる。
【0078】
芯材26に断面が中空方形の新たな支柱(新支柱という)27,28が挿入される。この嵌合は静合程度の嵌合である。即ち、新支柱27,28の内矩と芯材26の外径のはめ合い公差が静合程度である。新支柱27,28はアルミ押出し型材又はステンレス鋼材製である。アルミ押出し型材の場合は既存の支柱2と同様に四隅にタッピング穴を設ける(図示省略)。新支柱27,28の一辺の中心から芯材26の中心に向って図示されないブラインドリベットを打ち込み、新支柱27,28が芯材26から抜けないようにする。
【0079】
図8に示すように新支柱27,28の上端は既存の支柱2の高さと等しくてもよく、大略等しくてもよい。笠木4と新支柱27,28を結合するために連結具29を用いる。新支柱27,28の上端にはアングル状の連結具29の一方のフランジが当接し、他方のフランジは既存の笠木4の側板部4bに当接する。そして、連結具29の一方のフランジを新支柱27,28の上端に固定すると共に他のフランジを笠木4に当接して固定する。
【0080】
連結具29の一方のフランジの新支柱27,28への固定は新支柱27,28がアルミ押出し金型の場合、該一方のフランジを挿通するタッピングねじを新支柱27,28のタッピング穴にねじ込み行われる。新支柱27,28がステンレス製の場合は連結具29の一方のフランジを新支柱27,28の上端に溶接にて固定するか、該一方のフランジに設けた、例えば方形の嵌合突部を新支柱27,28の内側に挿入して固定される。連結具29の他方のフランジは、他方のフランジを挿通する小ねじ30を笠木4の側板部4bに固定した図示しないポップナットにねじ込み固定される。
【0081】
笠木4と新支柱27,28を既存の笠木4に結合した後、又は前に新支柱27と新支柱28を連結する。この連結方法は新支柱27,28の対向面の間隔と同長さの柱連結部材31を連結個所に挿入して柱連結部材31の両端を新支柱27,28の対向面に当接させて保持し、予め新支柱27,28を横断してあけてある小ねじ用の穴を挿通してねじ部材32を柱連結部材31にねじ込む。ここで、柱連結部材31にはその端面から長手方向にめねじ又はタッピング穴が設けられており、めねじの場合はねじ部材32は小ねじであってこのめねじにねじ込まれる。柱連結部材31に設けられている穴がタッピング穴の場合はねじ部材32はタッピングねじであってこのタッピング穴にねじ込まれる。当然柱連結部材31の位置即ち新支柱27,28の位置は内外部方向から見て手すり子3c間である。即ち、連結部材31は手すり子3cのない位置をとおっている。なお、既存の手すりが格子でなく、格子の位置にパネルを設けてある場合は、パネルに連結部材31を挿通できる穴を設ける。
【0082】
次に外部側の新支柱28にブラケットを取り付ける。ブラケットは笠木4に近い側の上ブラケット33とベース24に近い側の下ブラケット34がある。下ブラケット34の底部を除いて両ブラケット33,34は水平断面が同様である。
【0083】
図9の一部を拡大した図10に示すように、ブラケット33,34は新支柱28が丁度はまり込む溝形部33a,34aの底板中央に板面が垂直なステー部33b,34bが設けてある。ステー部33b,34bの先端には壁面と平行するフランジ33c,34cが設けてある。
【0084】
図8、図10に示すように、下ブラケット34には底部34dが設けてある。この底部34dはステー部34b及びフランジ34cの下端にわたって一体に設けてある。底部34dは水平な板状であって底部34d上にはフランジ34cに平行なリブ34eが設けてある。上ブラケット33には壁面に平行なフランジ33eがステー部33bから壁面に沿う方向の両側にのびている。フランジ33eの高さは上ブラケット33の全高さと等しい。
【0085】
下ブラケット34は溝形部34a、ステー部34b、フランジ34c、底部34d、リブ34eを有する一体部品である。上ブラケット33がアルミ押出し型材の場合は底部34dを該型材に溶接して下ブラケット34としてもよい。又、下ブラケット34はアルミダイキャストにより一体成形することもできる。上ブラケット33はアルミダイキャスト又はアルミ押出し型材製である。
【0086】
図10に示すようにブラケット33,34は夫々溝形部33a,34aを外部側から新支柱28に嵌め込み、溝形部33a,34aの穴、新支柱28の穴及び芯材26(下部ブラケット34のみ)の穴を挿通して通しボルトナット35により新支柱28とブラケット33,34は夫々固定される。通しボルトナット35のボルト35aは首下以下の長さが溝形部33a,34aの溝幅方向の外矩寸法と等しい円筒部35bと、円筒部35bから縮径したおねじ部35cを有し、おねじ部35cにナット35dがねじ込まれる。
【0087】
隣接する新支柱28,28に固定したブラケット33,34にパネル又はガラス板等のくぐり抜け防止材36が嵌め込まれる。くぐり抜け防止材36は例えば高さが1040ミリメートル程度である。くぐり抜け防止材36を垂直に保持した状態でその下縁36a側から左右の上ブラケット33,33のフランジ33c,33e間を挿通して下降させ、下縁36aを下ブラケット34のフランジ34cとリブ34e間に嵌合して底部34dに着座させる。そして、くぐり抜け防止材36の上縁36b側と新支柱28間に図示されないくさびを挿入してくぐり抜け防止材36の上縁36b側を上ブラケット33のフランジ33cに押しつける。なお、くさびで、くぐり抜け防止材36の上部を固定する場合は上ブラケット33のフランジ33eを省略してもよい。
【0088】
くぐり抜け防止材36の側縁36cが立面部5b近くに来る位置では立面部5bのすぐ近くで外縁5に前述したベース24を固定して芯材26に新支柱27,28を挿入固定し、新支柱27,28を既存の笠木4に固定すると共に新支柱27と28を柱連結材31で連結した後に、新支柱28にブラケット33,34を固定する。そしてブラケット33,34でくぐり抜け防止材36を支持する。即ち、立面部5bに接近して新支柱27,28を立設する全体的な工程は中間柱となる新支柱27,28を立設する工程と同様である。尚、立面部5bに近接して設ける新支柱27,28を取り付けるベース24の壁面に沿う方向(見付方向)の幅は中間部の新支柱27,28を取り付けるベース24の幅よりも適宜小さくしてもよい。
【0089】
図11は実施例1の完成した手すりを室内側からより見る正面図である。
【0090】
上述のように、この実施例1によれば、既存の手すりの支柱の強度に拘らず、既存の手すりを完全無撤去であっても、新たな手すりを既存の手すりに重ねて設けることができた。
【0091】
見込方向で新支柱27,28を並列して立設し下端側を躯体に固定し、且つ、新支柱27,28は上端が既存の笠木4に剛結されているので、新支柱27,28を併せて強度が大きい。更に新支柱27,28を柱連結材31で連結したので、新支柱27,28を併せた支柱としての強度は極めて大きく剛性がすぐれる。従って、笠木4に人が寄り掛って、既存の支柱2がこの荷重に耐えられないか、耐えられない恐れがあっても、笠木4は新支柱27,28に支持されている。新支柱27,28は見込方向の2本が荷重を受けるので剛で強い感じがする。
【0092】
また、既存の手すりを解体したりすることが全くない。従って既存の手すりの解体の工数が0である。そして、新設する場合も躯体に加える加工はアンカー25でベース24を外縁5に固定するだけである。そのため、外縁5に垂直方向にコンクリートドリルを装着した電動工具を用いて穿孔するだけであり、容易且つ短時間で、粉塵を殆ど発生することなく、アンカー25の取り付けができる。従って、モルタルとか接着剤とかをもちいて立設した既存の支柱とは異なり、養生のために待機するという時間が不要である。このことは、また、新しい手すりを施工するベランダを有する住居に居住者がいる場合においても、施工時間が短いということからして居住者に対する工事に伴う負荷が殆どない。
【0093】
また、既存の手すりの支柱が耐久的に使用限度近いとしても既存の手すりの支柱を除去しないので、既存の手すりを除去する際に、支柱の根本回りの外縁をコンクリートブレーカで粉砕して取除く際に発生する粉塵、騒音がない。また、支柱を除去時に切断する工法によれば切断機の使用に伴う騒音を無くせる。また、廃棄物の発生がきわめて少ない。
【0094】
実施例1によれば主要な効果は次のとおりである。
(1)既存の手すりを解体する費用及び解体工期がない。
(2)既存の手すりをそのまま残すので既存の手すりを切断・除去時の騒音がない
(3)新しいデザインの手すりとなる。
(4)ベランダ側からの作業が可能で足場の設置が不要となる。
(5)産廃量が削減される。
(6)既存の手すりの支柱が耐久的に強度が見込まれない場合も、既存の笠木が新支柱で支持されることにより、結果的に既存の支柱も補強され、既存の笠木、格子の支持も確保されることになる。
(7)既存の手すりがある状態で作業するので高階にあるベランダの手すりの改修において作業者は心理的に作業し易い。
【0095】
上述の実施例1では新支柱27,28の上端を先に笠木4に固定し、その後、柱連結部材31で新支柱27と28を連結したが、この順序は逆に柱連結部材31で新支柱27と28を連結した後に新支柱27,28の上端を笠木4に固定してもよい。
【0096】
また、新支柱28へのブラケット33,34の取り付けは現場での取り付けとしたが予め、手すり製造工場又は施工者の事業務所等で、取り付けておいてもよい。
【0097】
また、新支柱27,28と既存の笠木の連結具29の取り付けは予め、新支柱27,28に手すり製造工場又は施工者等の事業所等で取り付けてもよい。
【0098】
また、柱連結部材31は予め手すり製造工場又は施工者等の事業所で、新支柱27又は28の何れかに取り付けておいてもよい。
【0099】
上述のように予め手すり製造工場又は施工者の事業所等で仕組(サブアセンブリ)んでおくことにより、現場での工期を短縮できる。
【0100】
上述の説明においてくぐり抜け防止材36はガラス、パネル等とのべたが、格子でもよい。格子の場合は格子受けと下桟間を手すり子で結合した竪格子形式のものを用いることができる。パネルに代えて用いるガラスの場合は少なくとも上縁、下縁は溝形の条材を嵌め込む。この溝形の条材の材質はステンレス鋼、メッキされた鉄材、真鍮材等の金属材料を用いるのが好適である。
【0101】
くぐり抜け防止材36がガラス板である場合、くぐり抜け防止材をブラケットで支持する部分にはブラケットにグレージングビードを係止してグレージングビードでガラス板を保持してもよい(後述実施例3参照)。尚、上記ガラス板のブラケットで支持する部分は硬化後、弾性を保持するシール剤を充填してもよい。
【0102】
実施例1は図1、図2で示される手すりの改修システムにおいて選択された工法として重要である。ただし、改修手すりとして、自体は既存の手すりを完全に撤去(撤去後の笠木は用いる)しても、一部撤去しても、撤去しなくても何れの場合も施工できるものである。
[実施例2]
【0103】
実施例2は実施例1に既存の笠木及びくぐり抜け防止材の上縁を一つの一体の笠木で蔽ったものである。図12は実施例2の見込方向の縦断面図で手すりの上部を示している。
【0104】
図12に示すように新笠木37は見込方向の幅が新支柱27の内部側の側面(室内に面する面)とくぐり抜け防止材36の外部側の側面間の距離よりも大きい。且つ、新笠木37は内部側の新支柱27からくぐり抜け防止材36の両側からはみ出している。新笠木37は外部材(表面材)37aの垂直な両側板37a−1,37a−2間を結ぶ中間部(上部)が上方へ凸な大円弧部37a−3である。見込方向における両側板37a−1,37a−2が該大円弧部37a−3に連続して大円弧部37a−3よりも小さい円弧部37a−4により、滑らかに両側板37a−1,37a−2に接続され、既存の笠木4よりも見込方向の幅が広いものである。
【0105】
新笠木37の上面及び側面の曲面構成の板状の外部材37aの下側の構成は内部側(図の右側)から外部側へ向って次のとおりである。内部側の側板37a−2から外部へ向って内フランジ37bが設けてある。大円弧部37a−3の下側から既存の笠木4の上部に接する突条のリブ37c(本例では2本)が設けてある。外部側の側板37a−1の内部側にリブ37dを設けてある。外部材37a、フランジ37b、リブ37c,37dは図12の紙面に直交する方向に延在している。新笠木37はアルミ押出し型材製である。新支柱27,28の上端に一辺が固定された連結具29の他辺は既存の笠木4の側板部4bに当接しブラインドねじ56により夫々固定されている。
【0106】
外部側の連結具29には新笠木37を既存の笠木4に取り付けるための連結材50が取り付けられる。連結材50は連結具29の一方の水平なフランジ上にのせられるフランジ50dと、ガラス溝を構成するための断面溝形の溝形材部50aと、新笠木37のリブ37dを係止するための係止条溝50cを設けるために設けた断面鍵形の突条50bと、くぐり抜け防止材36がガラス板等の板材である場合において、くぐり抜け防止材36の上縁を固定するためのグレージングビード38を係止するための突条50e、及び同じくグレージングビード39を係止するための係止条溝50fとを有する。突条50eと係止条溝50fは溝形材部50aの口部に対向して設けてある。連結材50は一体のアルミ押出し型材である。連結材50は新笠木37の全長にわたるように配設されている。連結材50と新笠木37の外部側の側板37a−1との間には組立上必要な隙間gが設けてある。また、係止条溝50cとリブ37dの嵌合は組立上必要なガタ(隙間)が設けてある。
【0107】
新笠木37を組付ける前には、連結材50を連結具29に組付ける。このとき、外部側の連結具29の一方のフランジ上にフランジ50dを載置して、連結具29を挿通して小ねじ57をフランジ50dにねじ込む。これによって連結材50は既存の笠木4に対して固定される。なお、本例の連結具29は長手方向の長さが新支柱27,28の同長さよりも大きい。連結具29は長手方向において新支柱27,28の両側からはみ出ている。また、連結材50は新笠木37と同長さとしてもよい。
【0108】
次にくぐり抜け防止材36、新笠木37を取り付けるが何れが先であってもかまわないし、夫々が別個に連結材50に連結可能となっている。
【0109】
新笠木37は既存の笠木4の内部側の角円部4eよりも少しフランジ37bが上方にくるように、外部側を下げ内部側を持ち上げた状態で、リブ37dの先端を係止条溝50cの口部に合わせ、新笠木37を内部側へ移動するとリブ37dは係止条溝50cに嵌まり込む。ここで、リブ37dと係止条溝50cの嵌合部を中心にして新笠木37を図12において時計回りに回動すると、フランジ37bは既存の笠木4、内部側の連結具29の竪フランジ等に当ることなく降下して、内部側の連結具29の水平なフランジ上に着座する。そして、新笠木37を外部側へ押すと、フランジ37bの縁が連結具29の隅で連結具29の竪フランジに当る。ここで内部側の連結具29を挿通して小ねじ58をフランジ37bにねじ込み、新笠木37を既存の笠木4に対して固定する。
【0110】
新笠木37の取り付け法としては次のような方法もある。連結材50を連結具29に取り付けないで、新笠木37のリブ37dに連結材50の係止条溝50cを嵌め込み新笠木37で連結材50を支持した状態で、既存の笠木4へ下ろしてくると新笠木37のフランジ37bが内部側の連結具29の水平なフランジ上に着座する。また、連結材50のフランジ50dが外部側の連結具29の水平なフランジ上に着座する。内部側及び外部側の連結具29の夫々の水平なフランジを挿通して、小ねじ57,58を外部側においては、連結材50のフランジ50dにねじ込み、内部側においては、新笠木37のフランジ37bにねじ込む。
【0111】
新笠木37が既存の笠木4を蔽って取り付けられると、リブ37cは既存の笠木4の上部に接する。これによって、新笠木37は見込方向の幅が広くなったけれども、手すり上面がたわむことが抑制される。
【0112】
ガラス板はグレージングビード38,39に弾力を持って挟持固定される。この際、グレージングビード38を突条50eに係止しておく。そして、ガラス板をガラス溝に挿入後にグレージングビード39を係止条溝50fに係止する。又は、先ず、ガラス板上縁にグレージングビード38,39を介して新笠木37を保持してガラス板をブラケット33,34に支持させる工程の後半に新笠木37を取り付けてもよい。
【0113】
実施例2によれば、手すり上部の外観がすぐれる。一体物である新笠木で手すり上部の各部材が直接又は間接に固定されるので、手すり上部が強固となる。新笠木37をアルミ押出し型材とした場合、手すり上部の関係位置が正確に定まる。実施例1で用いた上ブラケット33の省略が可能となる。
[実施例3]
【0114】
実施例3は本発明の手すり改修システムにおけるステップS6で格子部分のみ撤去すると決定した場合に行われる。その他の点は実施例1又は実施例2と同様である。格子部分のみ撤去の実施例3についてのべる。
【0115】
先ず、既存の手すりからの格子の完全撤去についてのべる。笠木4と格子受け3aを締結してあるタッピングねじ17を外す。
次に格子3の下桟3bの取り外しはブラケット13と下桟3bを締結してある小ねじ14を取り外す(図4、図5参照)。なお、格子受け3a、下桟3bの取り外しの順序は何れが先でも差支えはない。最後に格子3の下側を見込方向に移動して下桟3bがブラケット13から外れる位置までもってくる。そして、格子3を引き下げると、格子受け3aは笠木4の凹部4dから外れ、格子3は取り外せる。
【0116】
かくして笠木4、支柱2から外すと格子3を取り外せる。
【0117】
上述した格子の取り外しは、ねじ類を取り外す作業が主である締結の解除作業である。従って、騒音、粉塵の発生がない。また、取り外した格子はそのまま再利用又は再生可能である場合又は腐食等で用いられない場合もある。
【0118】
次に格子が腐食等によりもはや耐久性がない場合に有効な格子の他の除去方法についてのべる。用いるものは例えば電動カッタ等である。先ず手すり子3cと格子受け3aの連結部を取り外す。この連結部は格子3が鉄製の場合は多くが格子受け3aと手すり子3c端部を突き合せて溶接してある。また、鉄製の格子の小数、アルミ製の格子の大部分は、格子受け3aと手すり子3cは格子受け3aに設けた穴に手すり子3cを嵌合して中空の手すり子3c端部を拡大するかしめをして締結してある。
【0119】
従って、この部分から格子受け3aと手すり子3cを分解はできない。そこで、既存の手すりを分解しないで、立設された状態のまま、電動カッタ等で格子受け3aの下面に沿って手すり子3cを切断する。その後、下桟3bをブラッケト13を介して支柱2に固定してある小ねじ14を取り外す。なお、ブラケット13の支柱2に固定しある側を支柱2側に残して、ブラケット13を切断してもよい。その後は実施例1と同じ工法で新手すりを立設する。
【0120】
この実施例3によると図13に示すように既存の格子はなく、くぐり抜け防止材36が室内側より見える。
【0121】
この方法によれば、格子を撤去する作業時間が短い利点がある。そして、既存の格子が汚損していても刷新できる。また、既存の格子のデザインが陳腐化しても、斬新なデザインの格子に変更できる。
[実施例4]
【0122】
次に柱のみを残して施工する本発明の実施例4について説明する。既にフローチャートのステップS7で説明したように、既存の支柱2が耐久上から見て腐食、損傷により使用できない場合等に本発明の実施例4は適用される。
【0123】
特に既存の支柱2が耐久上から見て使用できない場合に従来であると支柱2を撤去していることである。既存の支柱2がコンクリートの外縁5に埋め込まれている場合、コンクリートブレーカで支柱2回りの外縁5のコンクリートを破碎して除去しなければならないことである。特に、高階のベランダではこの破碎片が建物外へ落下しないようにしなければならない。このため、足場を設けて天幕地でベランダを遮断したりするため、手すり改修工事では工事が大変であると共にコストもかかる。また、コンクリートブレーカによる外縁5の破碎は慎重に行わねばならない。外縁はベランダの強度メンバーの一部をなしていることもあり、大きく破碎してクラックをベランダに生じさせてはならないからである。コンクリートブレーカにより外縁5を破碎しないで多数の穴を支柱2の芯材回りにあけて芯材を取り外すこともできるが作業時間が多大にかかる。
【0124】
また、上記コンクリートブレーカによる作業は著しい騒音と粉塵の発生が生ずるため居住者がいる住居での作業には適しない。既存の支柱を切断する方法によれば著しい騒音と粉塵が発生する。
【0125】
また、カバー部材で既存の支柱を蔽う在来工法は既存の支柱が耐久的に充分でないが補強すれば使用可能である場合に有効であるがどの程度耐久性が向上するか不明である。そして、支柱が耐久的にもはや使用不可能である場合は採用できない。
【0126】
そこで実施例4では既存の支柱2を残して格子、笠木、笠木受け等を除去する。格子を除去する工法は先にのべた格子をそっくり取り外す工法(実施例3の前段の説明参照)によるのでここではその説明を省略する。
【0127】
図7を参照して、格子3を取り外した後は、笠木受け15と笠木4を締結してある総てのタッピングねじ18をねじ戻して外す。これによって笠木4を持ち上げると、笠木受け15に嵌合している嵌合部4aが笠木受け15から外れる。そこで笠木4を取り除く。次に笠木受け15を支柱2に締結してあるタッピングねじ9をねじ戻す。これによって笠木受け15は支柱2から外される。残ったのは支柱2のみである。しかし、この支柱2は強度的に耐久性がないとされたものの躯体から取り外すとすれば、既にのべたように問題点が発生する。そこで、支柱2はそのままとしておく。
【0128】
図14は実施例4の完成した手すりの見込み方向の縦断面図であって図15のA−A断面を示す。図15は同手すりの水平断面図である。以下、外縁5上に既存の支柱2のみが残った後からの作業を工法順に説明する。
【0129】
既存の手すりが分解されて支柱2が外縁5上に立設された状態である。この場合、支柱2には格子3の下桟3b両端を固定していたブラケット13はそのままでもよく、除去してもよい(図14、図15はブラケット13を除去した状態)。
【0130】
図15に示すように、既存の支柱2,2の近くで、既存の支柱2,2を結ぶ直線上で外縁5上に新支柱41,41を立てる。新支柱41,41の立設方法は次のとおりである。新支柱41,41を立てる位置において外縁5上から芯材42よりもやや大径の穴5eを外縁5にあける。この穴明けは例えば、コンクリート用のカッタ(コアドリル、ホルソー等)による。穴5eに芯材42を挿入する。芯材42はステンレス製の丸パイプである。芯材42の長さは次にのべる支柱本材43の内側に挿入して丁度嵌合するが嵌合する長さは支柱本材43の長さよりも短い。本例では芯材42の上端は下部ブラケット44の上縁に達する程度である。芯材42の断面は既存の支柱2を構成する中空パイプの芯材7と同形同寸法でもよく、又、他の形状寸法でもよい。芯材42を穴5eに挿入する前又は挿入した後に芯材42と穴5e間の隙間に接着剤を充填する。接着材としては種々のものが用いられるが例えばエポキシボンド(商品名)が用いられる。接着剤の固化後に芯材42の外周に支柱本材43を挿入する。ここで、芯材42、支柱本材43は既存の支柱2の芯材、本材と同断面形の条材を用いてもよく、又他の断面の条材を用いてもよい。
【0131】
なお図15に示す新支柱41,41の本材43の断面は単純に中空方形の場合もあるが本例は既存の本材6と同断面のものを用いた。
【0132】
本材43が芯材42に嵌合された後に、本材43に丸ベース(既存の丸ベース参照)8を挿入して外縁5上に着座させる。その後、本材43と芯材42を図示されないブラインドリベットで結合する。このリベットは本材43の一辺中央の穴及び芯材42の半径方向の穴に挿入施工される(既存の支柱2の本材6と芯材7をリベット結合するのと同様)。立設された新支柱41,41の頂面は既存の支柱2の頂面と同高さにある。
【0133】
次に新支柱41,41の上端から挿入して、新支柱41,41にブラケット44を夫々取り付ける。ブラケット44は根本部44aが新支柱41の外周に嵌合する方形である。根本部44aからは外部側へ向って片持梁状に梁部44bが突出している。梁部44bの先端にはくぐり抜け防止材36を支持する受け部44cが立設してある。受け部44cは壁面に沿う方向の条溝44dを有するがこの条溝44dは図15に示すように板部44eで分れている。この条溝44dの下側の底は梁部44bの先端である。板部44eは板面が見込方向で新支柱41の中心をとおる垂直面上に位置している。
【0134】
ブラケット44は根本部44aを新支柱41の外周に嵌合した後に、根本部44a、新支柱41の本材43、芯材42を貫通する通しボルトナット45より新支柱41に固定される。この通しボルトナット45の方向は壁面に平行する方向であり、通しボルトを貫通する穴はブラケット44、本材43、芯材42に予めあけておいてもよく、また現合でもよい。
【0135】
くぐり抜け防止材36が耐水合板、アルミ板、耐火材等の場合には図14(a)に示すように、ブラケット44,44の条溝44dにくぐり抜け防止材36の下縁36aの両端部を嵌合する。
【0136】
くぐり抜け防止材36の上縁36bは新笠木48の下面に設けた図14の紙面に直交する方向の条溝48eの口部に嵌合する。
【0137】
くぐり抜け防止材36がガラス板の場合は(1)ガラス板に縁取りを設ける。(2)ガラス板単体としてグレージングビードで取り付ける2つの方法が選択できる。
ガラス板に縁取りを設ける場合は、ガラスのくぐり抜け防止材36の下縁に断面が溝形鋼の形状をした条材の溝が丁度嵌合するようにする。このような条材の縁取り部材はステンレス鋼製とする。この縁取り材は新笠木48の条溝48eの口部、ブラケット44の条溝44dの口部に丁度嵌合するようにする(図示されない)。
ガラス板単体としてグレージングビードで取り付ける場合はブラケット44の先端を拡大して示す図14(b)のように条溝44dを構成する部分に設けた突条44fに係止したグレージングビート46、条溝44gに嵌め込んだグレージングビート47により該ガラス板を挟持する。ガラス板は条溝44dの底にガラスまくら44hを介して着座させる。図14(b)に示す条溝44dの紙面に直角方向(壁面に平行する方向)の長さはガラス板を支持できるだけの必要な長さとする。また、隣接する新支柱41に夫々設けたブラケット44間にわたって条溝44dを設けてもよい。
【0138】
くぐり抜け防止材36のガラス板の上縁がグレージングビードで支持される場合は、図14(c)に示される。
【0139】
新笠木48にガラス板のくぐり抜け防止材36を取り付ける場合には、新笠木48の図14(a)で示した条溝48e口部には対向して突条48f、条溝48gが設けてある。突条48fには図14(b)に示したグレージングビード46と同断面のグレージングビード46が嵌合している。条溝48gには同じく図14(b)に示したグレージングビード47が嵌合している。グレージングビード46,47でもってガラス板のくぐり抜け防止材36の上縁を挟持している。
【0140】
くぐり抜け防止材36は何れも、上縁を新笠木48の外部側に下向きに開口する条溝48eに挿入して持ち上げて下縁を条溝44dに下して支持される。即ち、取り付けはけんどん式である。また、新笠木48を新支柱41に取り付ける際に、条溝48eを予めブラケット44で支持したくぐり抜け防止材36の上縁36bに嵌め込むように新笠木48を降下させてもよい。
【0141】
新笠木48は中空筒状のアルミ押出し型材製である。新笠木48の新支柱41への取り付け部は既存の支柱2への笠木4の取付部と同様である。ただし、既存の支柱2、新支柱41が異なる断面の場合は、夫々の支柱へ新笠木48を取り付けるための笠木受け15の構成は一般に異なる。
【0142】
本例では既存の支柱2と新支柱41が同一断面である。そこで新笠木48を新支柱41及び既存の支柱2に取り付ける場合は、既存の笠木受け15と同断面のアルミ押出し型材の新笠木49を用いる。図16に示すように新笠木受け49は断面が浅い溝形である。この新笠木受け49は実施例1〜3で説明したものと同一である。新笠木受け49の長さは新支柱41の両側へ限定的に延出されている。新支柱41と既存の支柱2が近接している場合新笠木受け49は両支柱2,41にわたるように設けてもよい。また、新笠木48は新支柱41、既存の支柱2上を連続してわたっているので、既存の支柱2上の既存の笠木受け15はそのまま新笠木受けとして新支柱41上の新笠木受け49と併せて新笠木48支持するようにしてもよい(図示されない)。更に、新笠木48と同長の新笠木受け49を各支柱2,41に夫々わたらせて設け、夫々の支柱2,41に固定してもよい。
【0143】
新笠木受け49がタッピングねじ9でもって夫々新支柱41、既存の支柱2の上端に固定された後に、新笠木48の嵌合部48a(既存の笠木4の嵌合部4aに同じ)を既存の笠木受け15、新笠木受け49の両端上部の両側に嵌め込む。その後、各笠木受け15,49を貫通してタッピングねじ18を新笠木48にねじ込む。
【0144】
図17は実施例4の改修工法により改修された改修手すりの内部側より見る正面図である。
【0145】
この実施例4によれば、既存の支柱は撤去しないため、既存の支柱取り外しに伴う、粉塵、騒音の発生、コンクリート片の落下防止対策工事等がなく、比較的撤去容易な格子、笠木等の取り外しだけで手すりを新しくできる。新手すりは見込方向幅が実施例1に比べて小さくてすむ。既存の支柱及び新支柱を笠木受けで連結した場合には、既存の支柱に耐久的に強度が残っている場合は新支柱、既存支柱を併せて手すり支持の強度剛性が向上する。また、既存の支柱が耐久的に強度が不足する場合は新支柱によって補強される。なお、既存の支柱と新笠木を連結しないでも改修手すりのセミカバー工法として採用できる。この場合、既存の支柱2は外縁5上に立設されたまま放置される。
【0146】
実施例4では新支柱を既存の支柱の近くに立てたが新支柱の位置は任意に選択できる。また、既存の支柱の補強を兼ねない場合は新支柱の位置は見込方向において既存の支柱を結ぶ線上とは異なる位置に設けてもよい。
[実施例5]
【0147】
本発明の工法は躯体の診断、手すりの診断を含みシステム化してある。このシステムにより上記実施例1から4及び実施例5もしくは実施例6又は在来工法の何れかが選択される。
【0148】
図1のフローチャ−トで示すようにステップS2−2においては既存の手すりの支柱が強度上もつが、支柱以外の改修は耐久的には必要がないがデザインの点で手すりを変えたい。又は、既存の手すりの支柱が強度上もつが支柱以外の格子、笠木等が耐久上から見て改修が必要な場合で本発明による改修を行なうことを選択する。そこで、ステップS2−3において、既存の手すりの完全無撤去による手すり改修でない手すり改修工法を選択した場合、又は、ステップS1−1において、手すり改修工法を選択した場合、新支柱を立てないで行う改修工法が本発明の実施例5である。
【0149】
在来工法では、(1)既存の支柱が板状柱の場合に板状柱を下地材を介して割形柱カバーで両側から包囲した改修工法(特開昭57−89053号公報参照)。(2)既存の支柱の両側から一対の支柱カバーを嵌め込み固定した改修工法(特開昭58−113459号公報参照)。(3)既存の支柱の外側に固定補助支柱を被嵌した改修工法。この改修工法では固定補助支柱を補強する補強アームを設けている(特開昭57−174574号公報)。(4)既存の支柱に左右一対の取付体を相向して添設し、既存の支柱を蔽う支柱本体を取付体の嵌合溝に嵌め込んで取付体を既存の支柱2に結付け固着してある(実開昭58−191233号公報参照)。等がある。
【0150】
これらの在来工法は既存の支柱にカバー類をかぶせて新支柱としている。これらの従来例では既存の支柱に合せて、この支柱にかぶせるカバーを製作し、既存の支柱にかぶせるということを必須の構成としている。
【0151】
しかし、この既存の支柱が耐久的に強度が見込める場合又は既存の支柱を補強すれば耐久性を回復するという場合に支柱全体を蔽う工法はコストが高い。そこで、本発明の実施例5では既存の支柱が耐久的に強度が見込める場合にコストがかからず、且つ新たなデザインとなる手すりを提供可能ともするものである。
【0152】
既にのべたように、この実施例5では診断により、既存の支柱2は耐久的に強度が充分あると見込まれる場合の選択肢である。
【0153】
既にのべたように既存の手すり1から格子3、笠木4等を除去し、格子3を支持していたブラケット13を既存の支柱2から除去する。この除去は既存の支柱2の外表面に突出物がないようにする。そのため、突出物があるときは例えばデイスクグラインダ等で削除する。
【0154】
かくして、実施の形態4と同様にして既存の支柱2に実施例4で説明したブラケット44を取り付け、既存の支柱2のみとなった後は、取り外してある笠木受け15を既存の支柱2に取り付ける。ブラケット44によりくぐり抜け防止材36であるパネル又はガラス板の下縁を支持して、パネル又はガラス板の上縁を実施例4で用いた新笠木48で支持する。新笠木48は上記笠木受け15に嵌合固定する。これらの詳細な説明は実施例4のくぐり抜け防止材36がパネル又はガラス板の場合についての説明を援用する。
【0155】
この実施例5によれば、格子、笠木等の何れもが腐食、機械的損傷等により耐久的に対策が必要と判断され且つ支柱のみは耐久的に強度が充分であると判断された場合において、既存の支柱に取り付けたブラケットと新笠木でパネル又はガラス板等の外装板材を支持するので、新たな手すりのデザインを自由に選択できる特性を持つ前述各実施例の利点を有すると共に使用される部材が少なく、部材のコストが安い。また、組立も簡単で組立費用も安い。
[実施例6]
【0156】
躯体の耐用年数がない場合は当然手すりの改修は不要となるが、躯体の耐用年数が著しく短いと認められても居住しなければならない場合において、ステップS1−1において、手すりの耐久性があるかが判断される。手すりの支柱が少なくとも耐久的にもつと判断されると実施例5又は6が採用される。実施例6は実施例5と同様のステップにおいても採用される。
【0157】
この実施例6は既存の支柱2のみとし、この支柱2の下部にブラケット44を設ける工程までは実施例5と同様である。この実施例6では図18に示すように手すりの下部でブラケット44を支柱2に取り付けた後は上部ブラケット53を支柱2の上部に設ける。
【0158】
上部ブラケット53は図19に示すような水平断面である。図19において、上部ブラケット53は根本部53aが略図で示す支柱2の外周に嵌合する方形である。根本部53aが支柱2に嵌合された後に根本部53a、支柱2を横方向にボルトナット54を貫通し締め込んで上部ブラケット53は、支柱2に固定される。上部ブラケット53の根本部53aからは外方へ向って片持梁状に梁部53bが突出している。梁部53bの先端には、くぐり抜け防止材36を支持する受け部53cが設けてある。受け部53cには上下方向の条溝53dを有する。この条溝53dにくぐり抜け防止材36の左右の両側の縁が嵌合できる。条溝53dは隔板53eで左右に隔てられている。下部ブラケット44は既にのべたとおり、くぐり抜け防止材36の下縁を支持する底部が設けてある。
【0159】
支柱2に下部ブラケット44を取り付けた後に上部ブラケット53を支柱2に取り付ける。支柱2への上部ブラケット53の取り付けは、くぐり抜け防止材36側縁を条溝53dに嵌め込み、くぐり抜け防止材36の下縁両側を下部ブラケット44の条溝44dに嵌め込む。なお、上部ブラケット53よりも上方において支柱2とくぐり抜け防止材36間に実施例1と同様に図示されないくさびを挿入する。
【0160】
上記においてくぐり抜け防止材36がガラスの場合において、図18(a)には図示されないがブラケット44で支持するときは、ガラスの四周の縁は破損防止のために溝形鋼形の金属条材等でカバーする。くぐり抜け防止材36がガラスの場合は図18(b)のようにしてもよい(詳細は実施例4の図14(b)の説明を参照)。
【0161】
本例では既存の支柱2に取り外してある笠木受け15を固定した後に、この笠木受け15に取り外してある笠木4を取り付ける。これによって、既存の笠木4が復元される。
【0162】
この実施例6によれば、既存の支柱が耐久的に強度が見込まれる場合において、既存の支柱に下部ブラケットを取り付けてくぐり抜け防止材36の下部を支持し、くぐり抜け防止材の上部を上部ブラケットで支持するだけであるから、新たな格子を簡単に更新できる。くぐり抜け防止材36と、ブラケット44,53が必要なだけでコストが安い特徴がある。
[実施例7]
【0163】
実施例6において上部ブラケット53(符号53Aとする)、下部ブラケット44(符号44Aとする)を見込方向の垂直面で二つ割りとして、根本部で支柱2を抱き合せてボルトナット55により締結すると、既存の手すりの分解は一切なく、新手すりに改修される。これは、図1のステップS2−3において既存の手すりの完全無撤去による工法である。図20は実施例7の上部ブラケット53A、下部ブラケット44Aの水平断面である。図において見込方向の垂直な合せ面SLで分割され、ボルトナット59で分割された各片を結合してある。その他はブラケット53、44と夫々同様である。
【0164】
上述では笠木は既存の笠木4を用いた構成である。
【0165】
また、ガラス板を実施例5で説明したと同様に新笠木48で支持してもよい。
【0166】
この実施例7によれば、既存の支柱が耐久的に強度が見込まれる場合において、既存の支柱に下部ブラケットを取り付けてくぐり抜け防止材36の下部を支持し、くぐり抜け防止材36の上部を上部ブラケット又は新笠木で支持するだけであるから、格子を外さなくてもよい。又は更に、既存の笠木、格子に手を付けることなくして手すりを改修もできるので、工事期間が最小で、笠木、格子に手を加えない工事によれば、発生する廃棄物は生じなくすることも可能である。
【0167】
実施例はくぐり抜け防止材を既存の支柱よりも外部側(室内より見て)に設けたが内部側(同)に設けてもよい。
【0168】
各実施例において、新設するくぐり抜け防止材は見込方向において既存の支柱よりも外部側に配設したが、既存の支柱よりも室内側になるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明の手すり改修システムのフローチャートである。
【図2】図1につづくフローチャートである。
【図3】既存の手すりの内部側より見る正面図である。
【図4】既存のてすりの見込方向の面で切る縦断面図である。
【図5】図4の水平断面図である。
【図6】手すりの壁側端部を示し内部側より見る正面図である。
【図7】手すり上部の見込方向の面で切る縦断面図である。
【図8】本発明の実施例1の見込方向の面で切る縦断面図である。
【図9】図8の水平断面図である。
【図10】図9の一部拡大図である。
【図11】実施例1の改修工法により完成した手すりの内部側より見る正面図である。
【図12】実施例2の手すりの上部を示し、見込方向の面で切る縦断面図である。
【図13】実施例3の改修工法により完成した手すりの内部側より見る正面図である。
【図14】(a)は実施例4の見込方向の面で切る縦断面図であって図15のA−A断面図、(b)はガラス板の下部の支持を示す縦断面図、(c)はガラス板の上部の支持を示す縦断面図である。
【図15】図14(a)の水平断面図である。
【図16】図14(a)の上部の拡大図である。
【図17】実施例4の改修工法により完成した手すりの内部側より見る正面図である。
【図18】(a)は実施例6の見込方向の面で切る縦断面図、(b)はガラス板の下部の支持を示す縦断面図である。
【図19】図18(a)の一部拡大水平断面図である。
【図20】実施例7のブラケットを示す水平断面図である。
【符号の説明】
【0170】
1…手すり
2…支柱 2b…辺
3…格子 3a…格子受け 3a−1…両縁上面 3b…下桟 3c…手すり子 3c−1…タッピング穴
4…笠木(既存) 4A…エンドキャップ 4a…嵌合部 4b…側板部 4c…下部材 4d…凹部 4e…角円部 4f…ブラインドリベット
5…外縁 5a…上面 5b…躯体立面部 5e…穴 5f…穴
6…本材 6a…タッピング穴 6b…本材の各辺 6c…突条
7…芯材
8…丸ベース
9…タッピングねじ
11…ブラインドリベット
12…ブラインドリベット
13…ブラケット
14…小ねじ
15…笠木受け 15a…上面
16…タッピングねじ
17…タッピングねじ
18…タッピングねじ
19…ブラケット
21…ボルト
22…ポップナット
23…アンカー
24…ベース 24a…フランジ 24b…ボルト穴
25…アンカー
26…芯材
27…新支柱
28…新支柱
29…連結具
30…小ねじ
31…柱連結部材
32…ねじ部材
33…上ブラケット 33a…溝形部 33b…ステ−部 33c…フランジ 33e…フランジ
34…下ブラケット 34a…溝形部 34b…ステ−部 34c…フランジ 34d…底部 34e…リブ
35…通しボルトナット 35a…ボルト 35b…円筒部 35c…おねじ 35d…ナット
36…くぐり抜け防止材 36a…下縁 36b…上縁 36c…側縁
37…新笠木 37a…外部材 37a−1,37a−2…側板 37a−3…大円弧部 37a−4…円弧部 37b…フランジ 37c…リブ 37d…リブ
38…グレージングビード
39…グレージングビード
40…ねじ部材
41…新支柱
42…芯材
43…本材
44…ブラケット 44A…下部ブラケット 44a…根本部 44b…梁部 44c…受け部 44d…条溝 44e…板部 44f…突条 44g…条溝 44h…ガラスまくら
45…通しボルトナット
46…グレージングビード
47…グレージングビード
48…新笠木 48a…嵌合部 48b…条溝 48c…突条 48d…条溝 48e…条溝 48f…突条 48g…条溝
49…新笠木受け
50…連結材 50a…溝形材部 50b…突条 50c…係止条溝 50d…フランジ 50e…突条 50f…係止条溝
51…グレージングビード
52…グレージングビード
53…上部ブラケット 53A…上部ブラケット 53a…根本部 53b…梁部 53c…受け部 53d…条溝 53e…隔板
54…ボルトナット
55…ボルトナット
56…ブラインドねじ
57…小ねじ
58…小ねじ
59…ボルトナット
S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7…ステップ
S1−1,S2−1,S2−2,S2−3…ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもたないと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもたないと判断されると、既存手すりの完全無撤去とするかしないかを判断をする段階と、
c.既存手すりを完全無撤去とすると決定する段階と、
d.既存手すりを完全無撤去とすると決定された場合に既存手すりを撤去しないで、新手すりを設ける段階と、
を有し、見込方向において既存の手すりとは異なる位置に新手すりを立設し、新手すりの支柱と既存の手すりの笠木とを固定することを特徴とする手すりの改修システム。
【請求項2】
既存の笠木を蔽うと共に新くぐり抜け防止材を支持する新笠木を新支柱又は既存の笠木に固定したことを特徴とする請求項1に記載の手すりの改修システム。
【請求項3】
コンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもたないと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもたないと判断されると、既存手すりの完全無撤去とするかしないかを判断をする段階と、
c.既存手すりを完全無撤去としないと決定する段階と、
d.既存手すりを完全無撤去としないと決定された場合に既存手すりのくぐり抜け防止材を撤去して、新手すりを設ける段階と、
を有し、見込方向において既存の手すりとは異なる位置に新手すりを立設し、新手すりの支柱と既存の手すりの笠木とを固定することを特徴とする手すりの改修システム。
【請求項4】
コンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもたないと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもたないと判断されると、既存手すりの完全無撤去とするかしないかを判断をする段階と、
c.既存手すりを完全無撤去しないと決定する段階と、
d.既存手すりを完全無撤去しないと決定された場合に既存手すりの笠木、くぐり抜け防止材を撤去して支柱を残して新手すりを設ける段階と、
を有し、既存の手すりの支柱とは異なる位置に新支柱を立設し、新支柱で新笠木、新くぐり抜け防止材を支持することを特徴とする手すりの改修システム。
【請求項5】
既存の支柱を結ぶ線上に新手すりの支柱を立設し、新笠木と既存の支柱とを結合固定したことを特徴とする請求項4に記載の手すりの改修システム。
【請求項6】
コンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもつと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもつと判断されると、支柱以外の改修が必要かどうかが判断される段階と、
c.支柱以外の改修が必要と判断される段階と、
d.支柱以外を撤去する段階と、
e.支柱にブラケットを設け、ブラケット及び新笠木で新くぐり抜け防止材を支持する工程と、
を有し、支柱にブラケットの根本を固定すると共にブラケットの先端にて新くぐり抜け防止材の下縁を支持し、新くぐり抜け防止材の上縁を支柱に固定した新笠木で支持することを特徴とする手すりの改修システム。
【請求項7】
コンクリート支持部材に根本を埋設して固定された支柱を有する手すりの改修システムにおいて、
A.支柱の強度が耐久的にもつかもたないかを判断する段階と、
a.支柱の強度が耐久的にもつと判断された段階と、
b.支柱の強度が耐久的にもつと判断されると、支柱以外の改修が必要かどうかが判断される段階と、
c.支柱以外の改修が必要と判断される段階と、
d.支柱以外を撤去する段階と、
e.夫々の支柱に夫々複数のブラケットを設け、ブラケットで新くぐり抜け防止材を支持する工程と、
を有し、支柱にブラケットの根本を固定すると共にブラケットの先端にて新くぐり抜け防止材を支持することを特徴とする手すりの改修システム。
【請求項8】
既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりであって、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材と、既存の支柱に固定された笠木と、を有する既存の手すりと、
b.既存の手すりとは見込方向の異なる位置において前記躯体に立設した新支柱と、
c.新支柱に支持される新くぐり抜け防止材と、
d.新支柱と既存の笠木を連結する既存手すりと新手すりの連結部材と、
を有することを特徴とする改修手すり。
【請求項9】
新支柱は既存の手すりを設けた面の見込方向両側で壁面に沿う方向の同一位置において、躯体に夫々立設された新支柱と、壁面に沿う方向の同一位置に立設された見込方向の2本の新支柱を連結して互に固定する支柱連結部材と、を有することを特徴とする請求項8に記載の改修手すり。
【請求項10】
新支柱及び既存の支柱上部を蔽って新支柱に固定されると共に新くぐりぬけ防止材の上部を支持する新笠木を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の改修手すり。
【請求項11】
既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりからくぐり抜け防止材を除去した既存の手すりの部材であって、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、既存の支柱に固定された笠木と、を有し、既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材のない既存の手すりと、
b.既存の手すりとは見込方向の異なる位置において前記躯体に立設した新支柱と、
c.新支柱に支持される新くぐり抜け防止材と、
d.新支柱と既存の笠木を連結する既存手すりと新手すりの連結部材と、
を有することを特徴とする改修手すり。
【請求項12】
新支柱は既存の手すりを設けた面の見込方向両側で壁面に沿う方向の同一位置において、躯体に夫々立設された新支柱と、壁面に沿う方向の同一位置に立設された見込方向の2本の新支柱を連結して互に固定する支柱連結部材と、を有することを特徴とする請求項11に記載の改修手すり。
【請求項13】
新支柱及び既存の支柱上部を蔽って新支柱に固定されると共に新くぐり抜け防止材の上部を支持する新笠木を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の改修手すり。
【請求項14】
既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりから既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材と、既存の支柱に固定された笠木と、を除去され、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、
b.既存の手すりとは異なる位置において前記躯体に立設した新支柱と、
c.新支柱に支持される新くぐり抜け防止材と、
d.新支柱に支持される新笠木と、
を有することを特徴とする改修手すり。
【請求項15】
既存の支柱と新支柱は新笠木を介して結合され固定されていることを特徴とする請求項14に記載の改修手すり。
【請求項16】
既存の支柱と新支柱は一直線上に配置されていることを特徴とする請求項15に記載の改修手すり。
【請求項17】
既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりから既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材と、既存の支柱に固定された笠木と、を除去され、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、
b.既存の支柱に固定され見込方向に突出するブラケットと、
c.ブラケットの先端に下縁が支持された新くぐり抜け防止材と、
d.既存の支柱に固定され新くぐり抜け防止材の上縁の上に突出し、新くぐり抜け防止材の上縁を支持する新笠木と、
を有することを特徴とする改修手すり。
【請求項18】
既存の手すりを改修した改修手すりにおいて、
a.立設された既存の手すりから既存の支柱に固定されたくぐり抜け防止材と、既存の支柱に固定された笠木と、を除去され、コンクリートの躯体に埋設固定された既存の支柱と、
b.既存の支柱に上下方向で夫々固定され見込方向に突出する複数のブラケットと、
c.下側のブラケットの先端に下縁が支持され、上側のブラケットで上部が支持された新くぐり抜け防止材と、
を有することを特徴とする改修手すり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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