説明

改変CEA核酸および発現ベクター

本発明は、ポリペプチドをコードする核酸、および癌を予防および/または治療するためのその核酸またはポリペプチドの使用に関する。本発明は、癌の免疫療法で使用するための、腫瘍抗原をコードする外来遺伝子の挿入および発現用の改善されたベクターに関する。そのような外来DNA配列の1つは、改変CEA核酸である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドをコードする核酸、ならびに癌の予防および/または治療におけるその核酸またはポリペプチドの使用に関する。詳細には、本発明は、癌の免疫療法で使用する癌抗原をコードする外来遺伝子の挿入および発現のための改良されたベクターに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高密度マイクロアレイ、SEREX、免疫組織化学分析(IHC)、RT-PCR、in situハイブリダイゼーション(ISH)、およびレーザー走査型顕微鏡のようないくつかの技術の助けによって、原発腫瘍および正常細胞における発現プロファイリングに基づき、分子の同定が著しく進歩したため、過去数年の間に、腫瘍関連抗原(TAA)を用いた癌ワクチンの開発が顕著に進展した(非特許文献1から4)。TAAは、腫瘍細胞によって発現または過剰発現され、かつ1つまたは複数の腫瘍に特異的な抗原であり、例えばCEA抗原は結腸直腸癌、乳癌および肺癌で発現される。Sgroi(1999)らは、レーザー走査型顕微鏡およびcDNAマイクロアレイを組み合わせて使用して、浸潤性でかつ転移性の癌細胞で差別的に発現されるいくつかの遺伝子を同定した。DNAまたはウイルスのようないくつかの送達システムは、ヒト癌に対する治療的ワクチン摂取に用いることができ(非特許文献5)、さらにTAAに対する免疫応答を誘導し、またTAAに対する免疫寛容を壊すことができる。例えばB7.1のようなT細胞補助刺激分子、あるいはIFNγ、IL2、GM-CSF等のサイトカインをコードするトランスジーンを挿入することによって、腫瘍細胞をより免疫原性にすることができる。TAAとサイトカインまたは補助刺激分子との共発現によって、有効な治療ワクチンを開発することができる(非特許文献6から8)。
【非特許文献1】Rosenberg, Immunity, 1999
【非特許文献2】Sgroi et al., 1999
【非特許文献3】Schena et al, 1995
【非特許文献4】Offringa et al., 2000
【非特許文献5】Bonnet et al., 2000
【非特許文献6】Hodge et al., 1995
【非特許文献7】Bronte et al., 1995
【非特許文献8】Chamberlain et al., 1996
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
癌を予防または治療するために免疫応答を刺激するのに有用な試薬および方法が当業界で必要とされている。本発明は、癌を治療する試みにおいて他のやり方で遭遇した困難を克服するような試薬および方法を提供する。詳細には、本発明は、CEAの新規なコード配列を提供する。このヌクレオチド配列、CEA(6D)-1,2は、発現ベクターから発現されたときに、CEAの切断形態の発現を排除する配列の改変を含む。CEAの発現および免疫プロトコルを改良するために、そのような改変配列が当業者に望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、癌を予防および/または治療するために患者に投与するための免疫原性ターゲットを提供する。詳細には、その免疫原性ターゲットは、CEA腫瘍抗原(「TA」)および/または血管新生関連抗原(「AA」)である。1つの実施形態において、免疫原性ターゲットは、トランスフェクトした細胞でのCEA発現を改善する改変CEAヌクレオチド配列(CEA(6D)-1,2)によってコードされている。ある実施形態では、例えば組換えウイルスのような、プラスミドまたは他の送達ベクター内に包含された核酸として、TAおよび/またはAAを患者に投与する。また、例えば補助刺激分子またはアジュバントのような免疫促進剤共にTAおよび/またはAAを投与してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、癌の治療および/または予防に有用な試薬および方法を提供する。
【0006】
1つの実施形態において、本発明は、1つ以上の腫瘍抗原(「TA」)に対する免疫応答を誘導または増強して、癌を予防および/または治療することに関する。ある実施形態では、1つ以上のTAを混合してもよい。好ましい実施形態では、例えば、腫瘍抗原をコードする核酸ベクターの投与の後、宿主細胞においてTAが発現した結果、あるいはペプチドまたはポリペプチドの形態の腫瘍抗原自体の投与の結果、免疫応答が生じる。
【0007】
本明細書において用いられている「抗原」の用語は、抗原が投与された宿主において免疫応答を誘導する分子(例えばポリペプチド)またはその部分である。免疫応答は、抗原の少なくとも1つのエピトープに結合する抗体の産生および/または抗原のエピトープを発現する細胞に対する細胞性免疫応答の誘導を含む。応答は、例えば、高められた抗体産生、抗原への高められた親和性を有する抗体の産生、または増強された細胞性免疫応答(すなわち、T細胞の増加)を生じさせることによる、現在の免疫応答の増強であってよい。あるいは、免疫応答を誘導する抗原は、免疫原性であり、または免疫原と称することができる。本発明の説明において、TAは、「免疫原性ターゲット」を称する。
【0008】
TAは、腫瘍関連抗原(TAA)と腫瘍特異的抗原(TSA)の両方を含み、癌細胞が抗原の供給源である。TAAは、正常細胞で観察されるよりも多量に腫瘍細胞表面で発現されている抗原、あるいは胎児の発育の間に正常細胞で発現される抗原である。TSAは、腫瘍細胞に独特な抗原であり、正常細胞では発現されない。TAは、TAAまたはTSA、その抗原性断片、およびその免疫原性を保持する改変形態をさらに含む。
【0009】
TAは、その発現パターン、機能、またはその起源:癌−精巣(CT)抗原(すなわち、MAGE、NY-ESO-1);メラノサイト分化抗原(すなわち、Melan A/MART-1、チロシナーゼ、GP100);変異抗原(すなわち、MUC-1、p53、CDK-4);過剰発現した「自己」抗原(すなわち、HER-2/neu、p53);およびウイルス抗原(すなわち、HPV、EBV)に基づき、通常5つのカテゴリーに分類される。本発明を実施する目的で、適切なTAは、TAを投与した宿主において抗腫瘍免疫応答を誘導または増強する任意のTAである。適切なTAとして、例えば、gp100(Cox et al., Science, 264: 716-719 (1994))、MART-1/Melan A(Kawakami et al., J. Exp. Med., 180: 347-352 (1994))、gp75(TRP-1)(Wang et al., J. Exp. Med., 186: 1131-1140 (1996))、チロシナーゼ(Wolfel et al., Eur. J. Immunol., 24: 759-764 (1994); 国際公開第200175017号;国際公開第200175016号;国際公開第200175007号)、NY-ESO-1(国際公開第98/14464号;国際公開第99/18206号)、メラノーマプロテオグリカン(Hellstrom et al., J. Immunol., 130: 1467-1472(1983))、MAGEファミリーの抗原(すなわち、MAGE-1、2、3、4、6、12および51;Van der Bruggen et al., Science, 254: 1643-1647 (1991); 米国特許第6,235,525号;CN1319611)、BAGEファミリーの抗原(Boel et al., Immunity, 2: 167-175 (1995))、GAGEファミリーの抗原(すなわち、GAGE-1、2;Van den Eynde et al., J. Exp. Med., 182: 689-698 (1995);米国特許第6,013,765号)、RAGEファミリーの抗原(すなわち、RAGE-1;Gaugler et al., Immunogenetics, 44: 323-330 (1996);米国特許第5,939,526号)、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ−V(Guilloux et al., J. Exp. Med., 183: 1173-1183 (1996))、p15(Robbins et al., J. Immunol. 154: 5944-5950 (1995))、β−カテニン(Robbins et al., J. Exp. Med., 183: 1185-1192(1996))、MUM-1(Coulie et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92: 7976-7980 (1995))、サイクリン依存性キナーゼ−4(CDK-4)(Wolfel et al., Science, 269: 1281-1284 (1995))、p21 ras(Fossum et al., Int. J. Cancer, 56: 40-45 (1994))、BCR-abl(Bocchia et al., Blood, 85: 2680-2684 (1995))、p53(Theobald et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 11993-11997 (1995))、p185 HER2/neu(ERB-b1; Fisk et al., J. Exp. Med., 181: 2109-2117 (1995)、上皮増殖因子受容体(EGFR)(Harris et al., Breast Cancer Res. Treat, 29: 1-2 (1994));癌胎児性抗原(CEA)(Kwong et al., J. Natl. Cancer Inst., 85: 982-990 (1995)、米国特許第5,756,103号;第5,274,087号;第5,571,710号;第6,071,716号;第5,698,530号;第6,045,802号;欧州特許第263933号;欧州特許第346710号;および欧州特許第784483号);癌関連変異ムチン(すなわち、MUC-1遺伝子産物(Jerome et al., J. Immunol., 151: 1654-1662 (1993));EBVのEBNA遺伝子産物(すなわち、EBNA-1遺伝子産物;Rick
inson et al., Cancer Surveys, 13: 53-80 (1992));ヒトパピローマウィルスのE7、E6タンパク質(Ressing et al., J. Immunol.154: 5934-5943 (1995));前立腺特異的抗原(PSA;Xue et al., The Prostate, 30: 73-78 (1997));前立腺特異的膜抗原(PSMA;Israeli, et al., Cancer Res., 54: 1807-1811 (1994));イディオタイプエピトープまたは抗原、例えば、イディオタイプ免疫グロブリン、またはイディオタイプT細胞受容体 (Chen et al., J. Immunol., 153: 4775-4787 (1994));KSA(米国特許第5348887号);キネシン2(Dietz, et al., Biochem Biophys Res Commun 2000 Sep 7;275(3): 731-8);HIP-55, TGFβ-1抗アポトーシス因子(Toomey, et al., Br. J. Biomed. Sci. 2001; 58(3): 177-83);腫瘍タンパク質D52(Bryne J. K., et al., Genomics, 35: 523-532 (1996));H1FT;NY-BR-1(国際公開第01/47959号);NY-BR-62;NY-BR-75;NY-BR-85;NY-BR-87;NY-BR-96(Scanlan, M. Serologic and Bioinformatic Approaches to the Identification of Human Tumor Antigens; Cancer Vaccines 2000, Cancer Research Institute, New York, NY);AAC2-1;またはAAC2-2が挙げられ、「野生型(すなわち、天然ゲノムによって正常にコードされている)、改変型、および突然変異型、ならびにそれらの他の断片および誘導体を含む。これらTAの任意のものを単独で用いても、あるいは共免疫プロトコル(co-immunization protocol)において、別の抗原と組合せてもよい。
【0010】
ある場合には、TAおよび、例えば血管新生関連抗原(「AA」)のような他の抗原の両方で患者を共免疫することが有用であろう。AAは、血管の誘導および/またはそれに続く発達に関連する細胞に関与する免疫原性抗原(すなわち、ペプチド、ポリペプチド)である。例えば、AAは、血管の主要な構造上の構成要素である上皮細胞(「EC」)で発現される。癌である場合、腫瘍を提供する血管内またはその近くでAAが認められることが好ましい。AAに対して患者を免疫すると、抗AA免疫応答がもたらされ、それによって、腫瘍近隣またはその内部で発生する血管新生過程が防止および/または阻害される。
【0011】
例示的なAAとして、例えば、血管上皮増殖因子(すなわち、VEGF; Bemardini, et al. J. Urol., 2001, 166(4); 1275-9; Stames, et al. J. Thorac. Cardiovasc. Surg., 2001, 122(3): 518-23)、VEGF受容体(すなわち、VEGF-R、 flk-1/KDR; Stames, et al. J. Thorac. Cardiovasc. Surg., 2001, 122(3): 518-23)、EPH受容体(すなわち、EPHA2; Gerety, et al., 1999, Cell, 4: 403-414)、上皮増殖因子受容体(すなわち、EGFR; Ciardeillo, et al., Clin. Cancer Res., 2001, 7(10): 2958-70)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(すなわち、vFGF; Davidson, et al., Clin. Exp. Metastasis 2000, 18(6): 501-7; Poon, et al. Am J. Surg., 2001, 182(3): 298-304)、血小板由来増殖因子(すなわち、PDGF-B)、血小板由来上皮細胞増殖因子(PD-ECGF; Hong, et al., J. Mol. Med., 2001, 8(2): 141-8)、トランスフォーミング増殖因子(すなわち、TGF-α; Hong, et al., J. Mol. Med., 2001, 8(2): 141-8)、エンドグリン(Balza et al., Int. J. Cancer, 2001, 94: 579-585)、Idタンパク質(Benezra, R. Trends Cardiovasc. Med., 2001, 11(6); 237-41)、例えばuPA、uPAR、およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-2, MMP-9; Djonov, et al. J. Pathol., 2001, 195(2): 147-55)のようなプロテアーゼ、一酸化窒素シンターゼ(Am. J. Ophthalmol., 2001, 132(4): 551-6)、アミノペプチダーゼ(Rouslhati, E. Nature Cancer, 2: 84-90, 2002)、トロンボスポンジン(すなわち、TSP-1, TSP-2; Alvarez, et al., Gynecol. Oncol., 2001, 82(2): 273-8; Seki, et al. Int. J. Oncol., 2001, 19(2): 305-10)、K-ras(Zhang, et al. Cancer Res., 2001, 61(16); 6050-4)、Wnt(Zhang, et al., Cancer Res., 2001, 61(16): 6050-4)、サイクリン依存性キナーゼ(CDKs; Drug Resist. Updat. 2000, 3(2): 83-88)、微小管(Timar, et al. 2001, Path. Oncol. Res., 7(2): 85-94)、熱ショックタンパク質(すなわち、HSP90(Timar, supra))、ヘパリン結合因子(すなわち、ヘパリナーゼ; Gohji, et al. Int. J. Cancer, 2001, 95(5): 295-301)、シンターゼ(すなわち、ATPシンターゼ、チミジル酸シンターゼ)、コラーゲン受容体、インテグリン(すなわちαvβ3、αvβ5、α1β1、α2β1、α5β1)、表面プロテオグリカンNG2、AAC2-1(配列番号1)、またはAAC2-2(配列番号2)が挙げられ、「野生型(すなわち、天然のゲノムによって正常にコードされている)、改変型、および突然変異型、ならびにそれらの他の断片および誘導体を含む。それらターゲットのいずれも、本発明を実施するのに適しており、単独で用いても、あるいは別の1つまたは他の物質と組み合わせてもよい。
【0012】
ある実施形態では、免疫原性ターゲットをコードする核酸分子を用いる。核酸分子は、1つ以上の免疫原性ターゲット、あるいはその断片または誘導体をコードするヌクレオチド配列(例えば、ATCC寄託されているDNA挿入物中に含まれている)を含むか、またはそれから成る。「核酸配列」または「核酸分子」の用語は、DNAまたはRNA配列を称する。その用語は、限定はされないが、例えば、4−アセチルシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデノシン、アジリジニル−シトシン、シュードイソシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシ−メチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソ−ペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルシュードウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノ−メチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューノシン、5'−メトキシカルボニル−メチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、キューノシン、2−チオシトシン、および2,6−ジアミノプリン等のような、DNAおよびRNAの任意の公知の塩基アナログを含む。
【0013】
単離核酸分子は、(1)供給源の細胞から全核酸が単離される場合、天然において一緒に見出される約50%以上のタンパク質、脂質、炭水化物、または他の物質から分離されたもの;(2)核酸分子が天然で結合しているポリヌクレオチドの全てまたは部分に結合していないもの;(3)天然で結合していないポリヌクレオチドに機能的に結合しているもの;および/または(4)より大きなポリヌクレオチド配列の部分として天然では生じないものである。好ましくは、本発明の単離核酸分子は、ポリペプチド産生またはその治療的、診断的、予防的または研究的用途での使用を妨害するその天然での環境において見出される任意の他の混在核酸分子または他の混在物を実質的に含まない。本明細書において用いられる「天然で生じる」、「天然の」または「天然で見出される」の用語は、例えば核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞等のような生体物質に関連して用いられる場合、天然で見出され、人間によって操作されていない物質を称する。同様に、本明細書で用いられる「天然では生じない」または「非天然の」の用語は、天然では見出されないまたは人間によって合成的に改変されたまたは合成された物質を称する。
【0014】
配列を比較することによって、2つ以上の核酸またはポリペプチド分子の同一性が特定される。当業界で公知であるように、「同一性」は、その分子を構成する単位(すなわち、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基)間の一致によって決定される核酸分子またはポリペプチド間の配列関連性の程度を意味する。同一性は、(もしあれば)特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(すなわちアルゴリズム)によって対処されたギャップ整列(gap alignment)を用いて、2つ以上の配列のより小さな方の配列の一致の割合(%)を評価する。核酸配列間の同一性は、関連配列が、その核酸配列または単離核酸分子にハイブリダイズする能力によっても特定できる。そのような配列を決定する際に、「高ストリンジェントな条件(highly stringent conditions)」の用語および「中ストリンジェントな条件(moderately stringent conditions)」の用語は、その配列が相補的である核酸鎖のハイブリダイゼーションを可能にするが、顕著に不一致な核酸のハイブリダイゼーションを排除する処理条件を称する。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の「高ストリンジェントな条件」の例は、0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、65-68℃、または0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミド、42℃である(例えば、Sambrook, Fritsch&Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, 1989); Anderson et al., Nucleic Acid Hybridisation: A Practical Approach Ch.4 (IRL Press Limited) を参照)。「中ストリンジェントな条件」の用語は、その条件下で、「高ストリンジェントな条件」下で二本鎖が生じるよりも高い割合の塩基対不一致を有するDNA二本鎖が形成され得る条件を称する。例示的な中ストリンジェントな条件は、0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、50-65℃、または0.015M塩化ナトリウム、0.001
5Mクエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミド、37-50℃である。例として、50℃、または0.015Mナトリウムイオンの中ストリンジェントな条件は、約21%の不一致を許容するであろう。ハイブリダイゼーションの間、非特異的および/またはバックグラウンドハイブリダイゼーションを減らす目的で、ハイブリダイゼーションバッファーおよび洗浄バッファー中に他の物質を含めてよい。例として、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSO4、SDS)、フィコール、Denhardt's solution、超音波処理したサケ精子DNA(または他の非相補DNA)、および硫酸デキストランが挙げられるが、他の適切な物質を用いてもよい。それら添加物の濃度およびタイプは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェント性に実質的に影響を及ぼすことなく変更できる。ハイブリダイゼーション実験は、通常pH6.8-7.4で行われるが;標準的なイオン強度条件下で、ハイブリダイゼーションの速度はpHにほとんど依存しない。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、ポリペプチドをコードする核酸配列を細胞に運搬するのにベクターが用いられる。ベクターは、宿主細胞に核酸配列を運搬するのに用いられる任意の分子である。ある場合には、発現ベクターが利用される。発現ベクターは、宿主細胞の形質転換に適しており、かつ導入された核酸配列の発現を誘導および/または制御する核酸配列を含む核酸分子である。限定はされないが、発現は、例えば転写、翻訳、およびイントロンが存在する場合にはスプライシング等の過程を含む。発現ベクターは、通常、ポリペプチドをコードする異種核酸配列に機能的に連結した1つ以上のフランキング配列を含む。フランキング配列は、例えば、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種および/または菌株に由来する)、異種(すなわち、宿主細胞の種または菌株とは別の種に由来する)、ハイブリッド(すなわち、2つ以上の起源に由来するフランキング配列の組合せ)、または合成のものであってよい。
【0016】
フランキング配列は、好ましくは、コード配列の複製、転写および/または翻訳に影響を及ぼし、かつコード配列に機能的に連結している。本明細書で用いられている「機能的に連結」の用語は、機能的関係でのポリヌクレオチドの連結を称する。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合には、そのコー素配列に機能的に連結している。しかしながら、フランキング配列は、それが正確に機能する限り、必ずしもコード配列に隣接する必要はない。したがって、例えば、まだ翻訳されていない転写介在配列が、プロモーター配列とコード配列との間に存在する場合があるが、その場合にもプロモーター配列はコード配列に機能的に連結していると考えられるであろう。同様に、エンハンサー配列はコード配列の上流または下流に位置し、そのコード配列の転写に影響を及ぼす。
【0017】
ある実施形態では、フランキング配列が、標的細胞中で高レベルの遺伝子発現をもたらす転写調節領域であることが好ましい。転写調節領域は、例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、リプレッサー要素、またはそれらの組合せを含む。転写調節領域は、構成性であっても、組織特異的(すなわち、その領域が、1つのタイプの組織または細胞において、他の組織等におけるよりも、高レベルの転写をもたらす)であっても、あるいは調節可能なもの(すなわち、例えばテトラサイクリンのような化合物との相互作用に応答性である)であってもよい。転写調節領域の起源は、フランキング配列が、細胞内で核酸の転写を生じさせることによって細胞内で機能することを条件に、任意の原核生物または真核生物、任意の脊椎生物または無脊椎生物、あるいは任意の植物であってよい。広範囲の転写調節領域を本発明の実施において利用できる。
【0018】
適切な転写調節領域として、CMVプロモーター(すなわち、CMV−前初期プロモーター);真核遺伝子由来のプロモーター(すなわち、エストロゲン−誘導性鶏オボアルブミン遺伝子、インターフェロン遺伝子、グルココルチコイド誘導性チロシンアミノトランスフェラーゼ遺伝子、およびチミジンキナーゼ遺伝子);ならびに主要な初期および後期アデノウイルス遺伝子プロモーター;SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon, 1981, Nature 290: 304-10);ラウス肉腫ウイルス(RSV)の3'長末端反復(LTR)中に含まれるプロモーター(Yamamoto, et al., 1980, Cell 22: 787-97);単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)プロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A. 78: 1444-45);メタロチオニン遺伝子の調節配列(Brinster et al., 1982, Nature 296: 39-42);例えばβ−ラクタマーゼプロモーターのような原核発現ベクター(Villa-Kamaroff et al., 1978, proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 75: 3727-31);またはtacプロモーター(DeBoer et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 80:21-25)が挙げられる。組織および/または細胞タイプ特異的転写制御領域として、例えば、膵臓腺房細胞で活性を有するエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al., 1984, Cell 38: 639-46; Omitz et al., 1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409 (1986); MacDonald, 1987, Hepatology 7: 425-515);膵臓β細胞で活性を有するインシュリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315: 115-22);リンパ系細胞で活性を有する免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al., 1984, Cell 38: 647-58; Adames et al., 1985, Nature 318: 533-38; Alexander et al., 1987, Mol. Cell. Biol., 71436-44);精巣細胞、乳腺細胞、リンパ系細胞およびマスト細胞におけるマウス乳線癌ウイルス制御領域(Leder et al., 1986, Cell 45: 485-95);肝臓におけるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al., 1987, Genes and Devel. 1: 268-76);肝臓におけるα−フェトタンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al., 1985, Mol. Cell. Biol., 5: 1639-48; Hammer et al., 1987, Science 235: 53-58);肝臓におけるα1−抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al., 1987, Genes and Devel. 1: 161-71);骨髄性細胞におけるβ−グロブリン遺伝子制御領域(Mogram et al., 1985, Nature 315; 338-40; Kollias e tal., 1986, Cell 46: 89-94);脳における希突起膠細胞中のミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al., 1987, Cell 48: 703-12);骨格筋におけるミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani, 1985, Nature 314: 283-86);視床下部におけるゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al., 1986, Science 234: 1372-78);およびメラノーマ細胞におけるチロシナーゼプロモーター(Hart, I. Semin Oncol 1996 Feb; 23(1): 154-8; Siders, et al. Cancer Gene Ther 1998 Sep-Oct; 5(5): 281-91)等が挙げられる。他の適切なプロモーターも当業界で公知である。
【0019】
上述したように、エンハンサーも適切なフランキング配列である。エンハンサーは、通常約10-300bp長で、プロモーターに作用して転写を増強させる、DNAのシス作用性要素である。エンハンサーは、通常、配向および位置非依存性であり、制御されるコード配列の5'側および3'側の両方で見出されている。哺乳類遺伝子由来の利用可能ないくつかのエンハンサー配列が公知である(すなわち、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトタンパク質、およびインシュリン)。同様に、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマウイルスエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが、真核プロモーター配列と共に有用である。エンハンサーは、核酸コード配列の5'側または3’側の位置でベクター中に挿入されるが、通常プロモーターの5'側の部位に位置する。他の適切なエンハンサーも当業界で公知であり、本発明に適用できる。
【0020】
本発明の試薬を調製する間に、細胞をトランスフェクトまたは形質転換させる必要がある。トランスフェクションは、細胞による外来または外因性DNAの取り込みを称し、外因性DNAが細胞膜の内側に導入されたときに、細胞はトランスフェクトされる。多くのトランスフェクション技術が当業界で周知である(すなわち、Graham et al., 1973, Virology 52: 456; Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratories, 1989); Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology (Elsevier, 1986); およびChu et al., 1981, Gene 13: 197)。そのような技術を用いて、1つ以上の外因性DNA部分を適切な宿主細胞に導入することができる。
【0021】
ある実施形態において、細胞のトランスフェクションが、その細胞の形質転換をもたらすことが好ましい。細胞の特性に変化が生じた場合に細胞は形質転換され、新規な核酸を含むように改変された場合に形質転換される。トランスフェクションの後、導入された核酸は、細胞の染色体と物理的に一体化することによって、細胞の遺伝子との組換えを生じさせるか、複製されることなくエピソームとして一時的に維持されるか、あるいはプラスミドとして独立して複製してもよい。核酸が細胞の分裂と共に複製する場合、細胞は安定に形質転換される。
【0022】
本発明はさらに、ポリペプチド形態の単離免疫原性ターゲットを提供する。ポリペプチドは単離されているものと考えられ、(1)供給源細胞から単離されたときに、天然において一緒に見出されるポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の物質の約50%から分離されたもの;(2)「単離ポリペプチド」が天然で結合しているポリペプチドの全てまたは部分に結合していない(共有結合または非共有結合によって)もの;(3)天然では結合していないポリペプチドに機能的に結合(共有結合または非共有結合によって)しているもの;または(4)天然では生じないものであってよい。好ましくは、単離ポリペプチドは、その治療的、診断的、予防的または研究的使用を妨害するその天然での環境において見出される任意の他の混在ポリペプチドまたは他の混在物を実質的に含まない。
【0023】
免疫原性ターゲットポリペプチドは、本明細書に記載されているような成熟ポリペプチドであってよく、それが調製される方法によって、アミノ末端メチオニン残基を含んでいても含まなくてもよい。さらに、例えば、免疫原性ターゲットの少なくとも1つの特性または活性(すなわち、活性、抗原性)を有する断片、変異体(すなわち、対立遺伝子、スプライス)、オルソログ(orthologs)、ホモログ(homologues)、および誘導体のような、関連ポリペプチドを含む。また、その配列が由来するポリペプチドの少なくとも部分に対応する配列を有する一連の連続アミノ酸残基も関連する。好ましい実施形態では、ペプチドは、約5−10アミノ酸、10−15アミノ酸、15−20アミノ酸、20−30アミノ酸、または30−50アミノ酸を含む。より好ましい実施形態では、ペプチドは、例えば、MHCクラスI分子での提示に適した9−12アミノ酸を含む。
【0024】
核酸またはポリペプチドの断片は、アミノ末端(リーダー配列を含むまたは含まない)および/またはカルボキシ末端での配列の切断物(すなわち核酸またはポリペプチド)を含む。断片は、変異体(すなわち、対立遺伝子、スプライス)、オルソログ、ホモログ、および親配列と比較して1以上のアミノ酸の付加、置換または欠失を有する他の変異体も含む。好ましい実施形態では、切断および/または欠失は、約10アミノ酸、20アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸、あるいはそれ以上を含む。そのようにして作成したポリペプチド断片は。約10アミノ酸、25アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸、60アミノ酸、70アミノ酸、あるいはそれ以上を含む。そのようなポリペプチド断片は、必要に応じて、アミノ末端メチオニン残基を含む。そのような断片を用いて、例えば、免疫原性ターゲットポリペプチドに対する抗体または細胞性免疫応答を誘起できると考えられる。
【0025】
変異体は、対象配列と比較して、1以上の配列の置換、欠失および/または付加を有する配列である。変異体は、天然のものであっても、または人工的に構築したものであってもよい。そのような変異体は、対応する核酸分子から調製することができる。好ましい実施形態において、変異体は、1から3、または1から5、または1から10、または1から15、または1から20、または1から25、または1から30、または1から40、または1から50、または50より多くのアミノ酸の置換、挿入、付加および/または欠失を有する。
【0026】
対立遺伝子変異体は、ある生物または生物集団の染色体における所定の遺伝子座に位置する遺伝子のいくつかの潜在的な天然の代替形態の1つである。スプライス変異体は、一次転写産物のスプライシングによって生じたいくつかのRNA転写産物の1つから作られたポリペプチドである。オルソログは、別の種由来のものと類似の核酸またはポリペプチド配列である。例えば、マウスのものとヒトのものの免疫原性ターゲットポリペプチドは、お互いにオルソログであると考えられる。配列の誘導体は、置換、付加、欠失を有する、親配列から誘導された配列、または化学修飾変異体である。変異体は、融合タンパク質も含み、それは、1つ以上の他の配列(たとえば異種ペプチド)と、1以上の第一配列(例えばペプチド)との、アミノ末端またはカルボキシ末端での融合物と称される。
【0027】
「類似性」は、類似性が、同一適合(identical matches)および保存的置換適合(conservative substitution matches)の両方を含む関連性の評価を称することを除いて、同一性に関連する概念である。2つのポリペプチド配列が、例えば10/20の同一アミノ酸を有し、残りのアミノ酸が全て非保存的置換である場合、同一性および類似性の割合(%)は共に50%であろう。同じ例において、5つの位置において保存的置換がある場合には、同一性の割合(%)は50%のままであるが、類似性の割合(%)は75%(15/20)であろう。したがって、保存的置換がある場合には、2つのポリペプチド間の類似性の割合(%)は、同じ2つのポリペプチド間の同一性の割合(%)よりも高くなる。
【0028】
置換は、保存的置換であっても、非保存的置換であっても、あるいはそれらの任意の組合せであってよい。ポリペプチドの配列への保存的アミノ酸修飾(および対応するコードヌクレオチドへの修飾)は、親ポリペプチドに類似の機能的および化学的特性を有するポリペプチドをもたらすであろう。例えば、「保存的アミノ酸置換」は、例えばその位置におけるアミノ酸残基のサイズ、極性、電荷、疎水性または親水性にほとんどまたは全く影響を及ぼさず、かつ特に、免疫原性の低下を生じさせないような非天然残基での天然アミノ酸残基の置換を含んでいてよい。適切な保存的アミノ酸置換を表1に示す。
【表1】

【0029】
当業者は、周知技術を用いて、適切なポリペプチドの変異体を特定できる。生物活性(すなわち、MHC結合性、免疫原性)を損なうことなく変化させることができる分子の適切な領域を同定するため、当業者は、その活性に重要ではないと考えられている領域を標的にすることができる。例えば、同じ種または他の種由来の類似活性を有する類似ポリペプチドが公知である場合、当業者は、ポリペプチドのアミノ酸配列を、そのような類似ポリペプチドのものと比較することができる。そのような分析を実施することによって、類似ポリペプチド間で保存されている分子の残基または部分を同定することができる。そのような類似ポリペプチドに対して保存されていない分子領域における変化は、ポリペプチドの生物活性および/または構造に悪影響を及ぼすとは考えられない。同様に、MHCに対する結合に必要な残基が公知であり、改変して結合性を改善することができる。しかしながら、MHCへの結合性を低下させる改変は、ほとんどの場合適切ではない。当業者は、相対的に保存されている領域であっても、その活性を保持しながら、天然残基を化学的類似アミノ酸で置換できることも知っている。したがって、生物活性または構造に重要な領域であっても、その生物活性を損なうことなく、またはポリペプチド構造に悪影響を及ぼすことなく、保存アミノ酸置換を行うことができる。
【0030】
他の好ましいポリペプチド変異体として、対象アミノ酸配列と比較して、グリコシル化部位の数および/またはタイプが変化しているグリコシル化変異体が挙げられる。1つの実施形態において、ポリペプチド変異体は、対象アミノ酸配列よりも多くのまたは少ない数のN−結合グリコシル化部位を有する。N−結合グリコシル化部位は、配列Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr(ここでXと表されているアミノ酸残基はプロリン以外の任意のアミノ酸であってよい)によって特徴付けられる。この配列を作るためのアミノ酸残基の置換は、N−結合糖鎖の付加のための潜在的な新規部位を提供する。あるいは、その配列を除去する置換は、存在するN−結合糖鎖を除去するであろう。また、N−結合糖鎖の再配置を提供し、そこでは、1つ以上のN−結合グリコシル化部位(通常天然のものである)が除去され、かつ1つ以上の新規なN−結合グリコシル化部位が作られる。ポリペプチドのO−結合グリコシル化に影響を及ぼすためには、セリンおよび/またはトレオニン残基を修飾する。
【0031】
別の好ましい変異体として、対象アミノ酸配列と比較して、1つ以上のシステイン残基が欠失され、または他のアミノ酸(例えばセリン)で置換されている、システイン変異体が挙げられる。システイン変異体は、ポリペプチドが、不溶性の封入体の単離後のように、生物活性立体配座にリフォールディングされる必要がある場合に有用である。システイン変異体は通常、天然タンパク質よりも少ない数のアミノ酸残基を有し、かつ通常、対をなしていないシステインによって生じる相互作用を最小限にするために偶数のシステインを有する。
【0032】
他の実施形態において、本発明の単離ポリペプチドは、ポリペプチドの精製を助ける融合ポリペプチド部分を含む。融合は、対象ポリペプチド変異体のアミノ酸末端またはカルボキシル末端のいずれで行ってもよい。融合は、リンカーまたはアダプター分子無しで直接行っても、あるいはリンカーまたはアダプター分子を介して行ってもよい。リンカーまたはアダプター分子は、1以上のアミノ酸残基であり、通常約20から約50アミノ酸残基である。リンカーまたはアダプター分子は、融合部分の分離を可能にするために、DNA制限エンドヌクレアーゼまたはプロテアーゼの切断部位を有するように設計してもよい。一旦構築されると、本明細書に記載の方法に従って、融合ポリペプチドを誘導体化させてもよい。適切な融合部分として、金属結合ドメイン(例えば、ポリ−ヒスチジン領域)、免疫グロブリン結合ドメイン(すなわち、プロテインA、プロテインG、T細胞、B細胞、FC受容体、または補体タンパク質抗体結合ドメイン)、糖結合ドメイン(例えば、マルトース結合ドメイン)および/または「タグ」ドメイン(すなわち、α−ガラクトシダーゼの少なくとも部分、strepタグペプチド、T7タグペプチド、FLAGペプチド、または例えばモノクローナル抗体のようなドメインに結合する化合物を用いて精製することができる他のドメイン)が挙げられる。このタグは、通常、ポリペプチドの発現の際にポリペプチドに融合しており、関心ポリペプチドの配列を宿主細胞からアフィニティー精製するための手段として働くことができる。アフィニティー精製は、例えば、アフィニティーマトリックスとしてタグに対する抗体を用いたカラムクロマトグラフィーによって行うことができる。続いて、必要に応じて、例えば切断用の特定ペプチダーゼを用いる等、様々な手段によって、関心ポリペプチドの精製配列からタグを除去してもよい。下記に説明するように、TAと、例えばケモカインCXC10(IP-10)、CCL7(MCP-3)、またはCCl5(RANTES)のような補助刺激成分との間で融合を行ってもよい。
【0033】
融合モチーフは、例えば小胞体のようなMHCプロセッシングコンパートメントへの、免疫原性ターゲットの輸送を高めることができる。それら配列は、トランスダクションまたはトランスサイトーシス配列と称され、HIV Tat(Kim et al., 1997, J. Immunol. 159: 1666を参照)、Drosophila antennapedia(Schutze-Redelmeier et al. 1996, J. Immunol. 157: 650を参照)、またはヒトピリオド−1(period-1)タンパク質(hPER1; 特に、SRRHHCRSKAKRSRHH)。
【0034】
さらに、ポリペプチドまたはその変異体を、同種ポリペプチドに融合させてホモダイマーを形成し、または異種ポリペプチドに融合させてヘテロダイマーを形成させてもよい。異種ペプチドおよびポリペプチドとして、限定はされないが、融合ポリペプチドの検出および/または単離を可能にするエピトープ;例えば細胞外ドメインまたは膜貫通および細胞内ドメインのような、膜貫通受容体タンパク質またはその部分;膜貫通受容体タンパク質に結合するリガンドまたはその部分;触媒活性を有する酵素またはその部分;例えばロイシンドメインのようなオリゴメリゼーションを促進させるポリペプチドまたはペプチド;例えば免疫グロブリン定常領域のような、安定性を高めるポリペプチドまたはペプチド;ならびにポリペプチドまたはその変異体とは異なる治療活性を有するポリペプチドが挙げられる。
【0035】
ある実施形態において、本発明の組成物において、免疫原性ターゲット、ポリペプチド、またはそれらの誘導体をコードする核酸配列を、例えば細胞表面タンパク質、サイトカインまたはケモカインのような、1つ以上の補助刺激成分と組み合わせてもよい。補助刺激成分は、例えばポリペプチドとして、またはそのポリペプチドをコードする核酸として本発明の組成物中に含めることができる。適切な補助刺激分子として、例えば、CD28結合ペプチドB7.1(CD80; Schwartz, 1992; Chen et al., 1992; Ellis et al., J. Immunol., 156(8): 2700-9)およびB7.2(CD86; Ellis, et al., J. Immunol., 156(8): 2700-9)のような、CD28ファミリー(すなわち、CD28、ICOS; Hutloff, et al., Nature 1999, 397: 263-265; Peach, et al., J. Exp Med 1994, 180: 2049-2058)のメンバーに結合するポリペプチド;ICAMファミリー(すなわち、ICAM-1、-2または-3)のメンバー等のインテグリンファミリーのメンバーに結合するポリペプチド(すなわち、LFA-1(CD11a/CD18); Sedwick, et al. J Immunol 1999, 162: 1367-1375; Wu(e)lfing, et al. Science 1998, 282: 2266-2269; Lub, et al. Immunol Today 1995, 16: 479-483);例えばCD58(LFA-3;CD2リガンド;Davis et al., Immunol Today 1996, 17: 177-187)またはSLAMリガンド(Sayos, et al. Nature 1998, 395: 462-469)のような、CD2ファミリーのメンバー(すなわち、CD2、シグナリングリンパ球活性化分子(signalling lymphocyte activation molecule)(CDw150または「SLAM」; Aversa, et al., J Immunol 1997, 158: 4036-4044)に結合するポリペプチド;熱安定抗原(HSAまたはCD24; Zhou, et al. Eur J Immunol 1997, 27: 2524-2528)に結合するポリペプチド;例えば、4-1BBL(4-1BBリカ゛ント゛; Vinay, et al. Semin Immunol 1998, 10: 481-489; DeBenedette, et al. J Immunol 1997, 158: 551-559)、TNFR会合因子(TNFR associated factor)(TRAF-1;4-1BBリガンド; Saoulli, et al. J Exp Med 1998, 187: 1849-1862, Arch, et al. Mol Cell Biol 1998, 18: 558-565)、TRAF-2(4-1BBおよびOX40リガンド;Arch, et al. Mol Cell Biol 1998, 18: 558-565; Jang, et al. Biochem Biophys Res Commun 1998, 242: 613-620; Kawamata S, et al. J Biol Chem 1998, 273: 5808-5814)、OX40L(OX40リガンド;Gramaglia, et al. J Immunol 1998, 161: 6510-6517)、TRAF-5(OX40リガンド;Arch, et al. Mol Cell Biol 1998, 18: 558-565; Kawamata, et al. J Biol Chem 1998, 273: 5808-5814)、およびCD70(CD27リガンド;Couderc, et al. Cancer Gene Ther., 5(3): 163-75)、CD154(CD40リガンドまたは「CD40L」;Gurunathan, et al. J. Immunol., 1998, 161: 4563-4571; Sine, et al. Hum. Gene Ther., 2001, 12: 1091-1102)のような、TNF受容体(TNFR)ファミリー(すなわち、4-1BB(CD137;Vinay et al. Semin Immunol 1998, 10: 481-489)、OX40(CD134;
Weinberg, et al. Semin Immunol 1998, 10: 471-480; Higgins, et al. J Immunol 1999, 162: 486-493)、およびCD27(Lens, et al. Semin Immunol 1998, 10: 491-499)のメンバーに結合するポリペプチドも適している。
【0036】
1つ以上のサイトカインも、ポリペプチドまたは本発明の組成物内に含まれる核酸によってコードされるもののいずれとしても、適切な補助刺激成分または「アジュバント」となり得る(Parmiani, et al. Immunol Lett 2000 Sep 15; 74(1): 41-4: Berzofsky, et al. Nature Immunol. 1: 209-219)。適切なサイトカインとして、例えば、インターロイキン−2(IL-2)(Rosenberg, et al. Nature Med. 4: 321-327(1998))、IL-4、IL-7、IL-12(Pardoll, 1992; Harries, et al. J. Gene Med. 2000 Jul-Aug; 2(4); 243-9; Rao, et al. J. Immunol. 156: 3357-3365(1996))、IL-15(Xin, et al. Vaccine, 17: 858-866, 1999)、IL-16(Cruikshank, et al. J, Leuk Biol. 67(6): 757-66, 2000)、IL-18(J. Cancer Res. Clin. Oncol. 2001, 127(12): 718-726)、GM-CSF(CSF(Dissis, et al. Blood, 88: 202-210(1996))、腫瘍壊死因子−α(TNF-α)、またはインターフェロン−γ(INF-γ)が挙げられる。当業界で公知の他のサイトカインも本発明を実施するのに適するであろう。
【0037】
ケモカインも利用できる。例えば、腫瘍自己抗原に融合したCXCL10(IP-10)およびCCL7(MCP-3)を含む融合タンパク質が、抗腫瘍免疫を誘導することが分かっている(Biragyn, et al. Nature Biotech, 1999, 17: 253-258)。ケモカインCCL3(MIP-1α)およびCCL5(LANTES)(Boyer, et al. Vaccine, 1999, 17(Supp. 2); S53-S64)も本発明を実施するのに有用であろう。他の適切なケモカインも当業界で公知である。
【0038】
また、抑制的または負の調節免疫機構がブロックされて、免疫応答が増強されることが知られている。例えば、抗CTLA-4(Shrikant, et al. Immunity, 1996, 14: 145-155; Sutmuller, et al. J. Exp. Med., 2001, 194: 823-832)、抗CD25(Sutmuller, supra)、抗CD4(Matsui, et al. J. Immunol., 1999, 163: 184-193)、融合タンパク質IL13Ra2-Fc(Terabe, et al. Nature Immunol., 2000, 1: 515-520)、およびそれらの組合せ(すなわち、抗CTLA-4と抗CD25との組合せ;Sutmuller, supra)での処理が、抗腫瘍免疫応答をアップレギュレートすることが分かっており、本発明を実施するのに適している。
【0039】
それら成分の任意のものを単独で用いても、あるいは他の物質と組合せて用いてもよい。例えば、CD80、ICAM-1およびLFA-3の組合せ(「TRICOM」が、抗癌免疫応答を増強できることがわかっている(Hodge, et al. Cancer Res. 59: 5800-5807 (1999))。他の有効な組合せとして、例えば、IL-12+GM-CSF(Ahlers, et al. J. Immunol., 158: 3947-3958(1997); Iwasaki, et al. J. Immunol. 158: 4591-4601(1997))、IL-12+GM-CSF+TNF-α(Ahlers, et al. Int. Immunol. 13: 897-908(2001))、CD80+IL-12(Fruend, et al. Int. J. Cancer, 85: 508-517(2000); Rao, et al. supra)、およびCD86+GM-CSF+IL-12(Iwasaki, supra)。当業者は、本発明を実施するのに有用な別の組合せに気付くであろう。さらに、当業者は、そのような機構を調節するのに用いることができる付加的な試薬または方法も知っているであろう。それら試薬および方法、ならびに当業者が知っている他のことも本発明を実施するのに利用できる。
【0040】
例えば、自己複製ウイルスレプリコンの使用(Caley, et al. 1999, Vaccine, 17: 3124-3135; Dubensky, et al. 2000, Mol. Med. 6: 723-732; Leitner, et al. 2000, Cancer Res. 60: 51-55)、コドン最適化(Liu, et al. 2000, Mol. Ther., 1: 497-500; Dubensky, supra; Huang, et al. 2001, J. Virol. 75: 4947-4951)、in vivoエレクトロポレーション(Widera, et al. 2000, J. Immunol. 164: 4635-4640);、CpG刺激モチーフの組込み(Gurunathan, et al. Ann. Rev. Immunol., 2000, 18: 927-974; Leitner, supra)、エンドサイトーシスまたはユビキチン−プロセッシング経路(Thomson, et al. 1998, J. Virol. 72: 2246-2252; Velders, et al., 2001, J. Immunol. 166: 5366-5373)、プライム−ブースト法(Gurunathan, supra; Sullivan, et al. 2000, Nature, 408: 605-609; Hanke, et al. 1998, Vaccine, 16: 439-445; Amara, et al. 2001, Science, 292: 69-74)、および例えばサルモネラ属のような粘膜輸送ベクターの使用(Darji, et al. 1997, Cell, 91: 765-775; Woo, et al. 2001 Vaccine, 19: 2945-2954)等の、核酸ベースの免疫の効果を改善するさらなる戦略を用いてもよい。他の方法も当業界で公知であり、いくつかは以下に記載されている。
【0041】
化学療法剤、放射線、抗血管新生化合物、または他の物質も、免疫原性ターゲットを用いた癌の治療および/または予防において利用できる(Sebti, et al. Oncogene 2000 Dec 27; 19(56); 6566-73)。例えば、転移性乳癌の治療において有用な化学療法剤として、シクロホスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ナベルビン、カペシタビンン、およびマイトマイシンC等が挙げられる。例えばサイクロホスファミド+メトトレキサート+5−フルオロウラシル;シクロホスファミド+ドキソルビシン+5−フルオロウラシル;またはシクロホスファミド+ドキソルビシンのような、組合せ化学療法も効果的であることが分かっている。例えばプレドニソン、タキサン、ナベルビン、マイトマイシンC、またはビンブラスチンのような他の化合物も様々な理由で利用されている。乳癌患者の大部分は、エストロゲン受容体陽性(ER+)腫瘍を有しており、それら患者において、化学療法よりも内分泌療法(すなわちタモキシフェン)が好ましい。そのような患者において、タモキシフェン、あるいは第二次療法として、プロゲスチン(酢酸メドロキシプロゲステロンまたは酢酸メゲストロール)が好ましい。アロマターゼ阻害剤(すなわち、アミノグルテチミドおよび例えばレトロゾールのようなそのアナログ)は、腫瘍増殖を維持するのに必要なエストロゲンの効能を低下させ、ある患者では第二次または第三次内分泌療法として用いることができる。
【0042】
他の癌は、異なる化学療法を必要とするであろう。例えば、転移性結腸直腸癌は、通常、カンプトサール(イリノテカンまたはCPT-11)、5−フルオロウラシル、またはロイコボリンを単独でまたは他の薬剤と組合せて用いて治療する。例えばMMP阻害剤のようなプロテイナーゼおよびインテグリン阻害剤マリマステート(marimastate)(British Biotech)、COL-3(Collagenex)、ネオバスタット(Neovastat)(Aetema)、AG3340(Agouron)、BMS-275291(Bristol Myers Squibb)、CGS27023A(Novaritis)、またはインテグリン阻害剤ビタキシン(Vitaxin)(Medimmune)、またはMED1522(Merck KgaA)も用いるのに適している。結腸直腸癌に関連する免疫原性ターゲットの免疫ターゲティングは、それら化学療法剤を用いた治療と組合せて実施することができる。同様に、他のタイプの癌を治療するのに用いられる化学療法剤も当業界で周知であり、本明細書に記載の免疫原性ターゲットと組み合わせることができる。
【0043】
多くの抗血管新生剤も当業界で公知であり、免疫原性ターゲットワクチンと共に投与するのに適している(例えば、Timar, et al. 2001, Pathology Oncol. Res., 7(2): 85-94)。そのような物質として、例えば、増殖因子(すなわちANG-2、NK1、2、4(HGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β))、サイトカイン(すなわち、INF-α、-β、-γのようなインターフェロン、血小板因子4(PF-4、PR-39))、プロテアーゼ(すなわち、切断AT-III、コラーゲンXVIII断片(エンドスタチン)、HmwKalliKrein-d5プラスミン断片(アンギオスタチン)、プロトロンビン-F1-2、TSP-1)、プロテアーゼ阻害剤(すなわち、例えばTIMP-1、-2、または-3のようなメタロプロテーゼの組織インヒビター;マスピン;PAI-1のようなプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター;色素上皮由来因子(PEDF))、タムスタチン(ILEX, Inc.から購入可能)、抗体製品(すなわち、コラーゲン結合抗体HUIV26、HUI77、XL313;抗VEGF;抗インテグリン(すなわち、ビタキシン(Lxsys)))、およびグリコシダーゼ(すなわち、ヘパリナーゼ-I、-III)のような生理物質が挙げられる。抗血管新生性を有することが知られておりまたは考えられている「化学的」または修飾生理物質として、例えば、ビンブラスチン、タキソール、ケトコナゾール、サリドマイド、ドレスタチン(dolestatin)、コンブレスタチンA(combrestatin A)、ラパマイシン(Guba, et al. 2002, Nature Med., 8: 128-135)、CEP-7055(Cephalon, Inc.から購入可能)、フラボン酢酸、Bay 12-9566(Bayer Corp.)、AG3340(Agouron, Inc.)、CGS 27023A(Novartis)、テトラサイクリン誘導体(すなわち、COL-3、Collagenix, Inc.)、ノバスタット(Aeterna)、BNS-275291(Bristol-Mayers Squibb)、低用量の5-FU、低用量のメトトレキセート(MTX)、イルソフラディン(irsofladine)、ラディシコール(radicicol)、シクロスポリン、カプトプリル、セレコキシブ、D45152硫酸化多糖、陽イオン性タンパク質(プロタミン)、陽イオン性ペプチド-VEGF、スラミン(ポリスルホン酸ナフチル尿素(polysulphonated napthyl urea))、VEGFの機能または産生を阻害する化合物(すなわち、SU5416またはSU6668(Sugen)、PTK787/ZK22584(Novartis)、ディスタマイシンA、アンギオザイム(Angiozyme)(ribozyme)、イソフラビノイド(isoflavinoids)、スタウロスポリン誘導体、ゲニステイン、EMD121974(Merck KcgaA)、チロホスチン(tyrphostins)、イソキノロン、レチノイン酸、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、オクトレオチド、2−メトキシエストラジオール、アミノステロール(すなわち、スクアラミン)、グルタチオンアナログ(すなわち、N−アセチル−L−システイン)、コンブレタスタチンA−4(Oxigene)、Eph受容体ブロッキング剤(Nature, 414: 933-938, 2001)、Rh-アンギオスタチン、Rh-エンドスタチン(国際公開第01/93897号)、サイクリック-RGDペプチド、アクチン−ディスインテグリン、ベンゾジアゼペン、ヒト化抗avb3抗体、Rh-PAI-2、アミロライド、p−アミドベンザミジン、抗uPA抗体、抗uPAR抗体、L−フェニルアラニン−N−メチルアミド(すなわち、バチミスタット(Batimistat)、マリマスタット(Marimastat)、AG3340、およびミノサイクリンが挙げられる。多くの他の適切な物質も当業界で公知であり、本発明を実施するのに足りる。
【0044】
本発明はまた、「非伝統的」な癌の治療方法と組合せて用いることができる。例えば、特定の嫌気性細菌の投与が、腫瘍増殖を遅くするのを助けることが近年報告された。1つの研究では、ファージエピソーム上に担持されるトキシン遺伝子を除去するようにクロストリジウム・ノービー(Clostridium novyi)を改変し、結腸直腸癌を有するマウスに投与した(Dang, et al., P.N.A.S. USA, 98(26): 15155-15160, 2001)。化学療法と組合せて、その処置は、動物において腫瘍の壊死を生じさせた。本出願に記載されている試薬および方法を、そのような処置方法と組み合わせてもよい。
【0045】
免疫原性ターゲットをコードする核酸を任意の利用可能な技術によって患者に投与してもよい。核酸を宿主に導入するのにうまく利用されている様々なウイルスベクターとして、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、およびポックスウイルス等が挙げられる。多くのそのようなウイルスベクターが当業界で利用可能であることが理解されるであろう。当業者に広く利用されている標準的組換え技術を用いて、本発明のベクターを構築することができる。そのような技術は、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Sambrook, et al., 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Gene Expression Technology(Methods in Enzymology, Vol. 185, by D. Goeddel, 1991, Academic Press, San Diego, CA)、およびPCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innis, et al. 1990, Academic Press, San Diego, CA)のような一般的な分子生物学の参考文献に記載されている。
【0046】
好ましいレトロウイルスベクターは、レンチウイルスの派生体、ならびにマウスまたは鳥類のレトロウイルスの派生体である。適切なレトロウイルスベクターの例として、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus)(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(Harvey murine sarcoma virus)(HaMuSV)、マウス乳腺癌ウイルス(MuMTV)、SIV、BIV、HIV、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)等が挙げられる。多くのレトロウイルスベクターが、多数の外因性核酸配列を組み込むことができる。組換えレトロウイルスは不完全であるため、感染性ベクター粒子を形成するために助けを必要とする。例えば、レトロウイルス構造遺伝子をコードするヘルパー細胞株によって、その助けを提供することができる。適切なヘルパー細胞株として、φ2、PA317およびPA12等が挙げられる。そのような細胞株を用いて形成されたベクタービリオンを用いて、例えばNIH 3T3細胞のような組織細胞株に感染させて、大量のキメラレトロウイルスビリオンを産生することができる。従来の方法(すなわち注射)またはターゲット細胞集団の近接部位に「プロデューサー細胞株(ウイルス産生細胞株)」を移植することによって、レトロウイルスベクターを投与することができる(Culver, K., et al., 1994, Hum. Gene Ther., 5(3): 343-79; Culver, K., et al., Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol., 59: 685-90); Oldfield, E., 1993, Hum. Gene Ther., 4(1): 39-69)。ウイルスベクターを産生し、さらにターゲット細胞の近傍にウイルス粒子を放出するように、プロデューサー細胞株を遺伝子操作する。放出ウイルス粒子の一部はターゲット細胞と接触し、それら細胞に感染し、本発明の核酸をターゲット細胞に輸送する。ターゲット細胞への感染に続き、ベクターの核酸発現が生じる。
【0047】
アデノウイルスベクターは、特に、真核細胞 (Rosenfeld, M., et al., 1991, Science, 252 (5004): 431-4; Crystal, R., et al., 1994, Nat. Genet., 8(1): 42-51)、真核遺伝子発現の研究(Levrero, M., et al., 1991, Gene, 101(2): 195-201、ワクチン開発(Graham, F., Prevec, L., 1992, Biotechnology, 20: 363-90)、および動物モデル(Stratford-Perricaudet, L., 1992, Bone Marrow Transplant., 9(Suppl. 1): 151-2; Rich, D., et al., 1993, Hum. Gene Ther., 4(4): 461-76) において、遺伝子を輸送するのに有用であることが分かっている。組換えAdをin vivoで様々な組織に投与するための実験的投与経路として、気管内点滴(Rosenfeld, M., et al., 1992, Cell, 68(1): 143-55)、筋肉内への注入(Quantin, B., et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 89(7): 2581-4)、抹消静脈注射(Herz, J., Gerard, R., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90(7): 2812-6)、脳への定位接種(stereotactic inoculation)(Le Gal La Salle, G., et al., 1993, Science, 259(5097): 988-90)等が挙げられる。
【0048】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、高いレベルの感染性、広い宿主域、および宿主細胞ゲノムへの組込み特異性を有する(Hermonat, P., et al., 1984, Proc. natl. Acad. Sci. U.S.A., 81(20): 6466-70)。I型単純ヘルペスウイルス(HSV-I)は、その神経向性の特性のため、特に神経系での使用においてさらに別の魅力を有するベクター系である(Geller, A., et al., 1991, Trends Neurosci., 14(10): 428-32; Glorioso, et al., 1995, Mol. Biotechnol., 4(1): 87-99; Glorioso, et al., 1995, Annu. Rev. Microbiol., 49: 675-710)。
【0049】
ポックスウイルスは、別の有用な発現ベクターである(Smith et al., 1983, Gene, 25(1): 21-8; Moss, et al., 1992, Biotechnology, 20: 345-62; Moss, et al., 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158: 25-38; Moss, et al., 1991, Science, 252; 1662-1667)。ポックスウイルスは、ワクシニアウイルイス、NYVAC、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス(canarypox)、ALVAC、およびALVAC(2)等を含み、有用であることが分かっている。
【0050】
NYVAC(vP866)は、公知または潜在的な毒性因子をコードする6つの非必須領域を欠失させることによって、ワクシニアウイルスのコペンハーゲンワクチン株から派生したものである(例えば、米国特許第5,364,773号および第5,494,807号を参照)。欠失遺伝子座を、外来遺伝子の挿入のためのレシピエント座として操作した。欠失領域は、チミジンキナーゼ遺伝子(TK;J2R);出血性領域(u;B13R+B14R);A型封入体領域(ATI;A26L);血球凝集素遺伝子(HA;A56R);宿主域遺伝子領域(C7L-K1L);および大サブユニット、リボヌクレオチドレダクターゼ(I4L)である。NYVACは、毒性および宿主域に関連する遺伝子産物をコードする18の読取り枠の特異的欠失によって作られた遺伝子組換えワクシニアウイルス株である。NYVACは、TAを発現させるのに有用であることが分かっている(例えば、米国特許第6,265,189号を参照)。NYVAC(vP866)、vP994、vCP205、vCP1433、placZH6H4Lreverse、pMPC6H6K3E3、およびpC3H6FHVBは、それぞれ、VR-2559、VR-2558、VR-2557、VR-2556、ATCC-97913、ATCC-97912およびATCC-97914として、ブダペスト条約の規定に従って、ATCCに寄託された。
【0051】
ALVACベースの組換えウイルス(すなわち、ALVAC-1およびALVAC-2)も本発明の実施に用いるのに適している(例えば、米国特許第5,756,103号を参照)。ALVAC(2)ゲノムが、ワクシニアプロモーターの制御下にあるワクシニアE3LおよびK3L遺伝子を含むことを除いて、ALVAC(2)はALVAC(1)と同一である(米国特許第6,130,066号;Beattie et al., 1995a, 1995b, 1991; Chang et al., 1992; Davies et al., 1993)。ALVAC(1)およびALVAC(2)のいずれも、例えばTAのような外来DNA配列を発現させるのに有用であることが分かっている(Tartaglia et al., 1993 a, b; 米国特許第5,833,975号)。ALVACは、ブダペスト条約の規定に基づき、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC;10801 University Boulevard, Manassas, Va.20110-2209, USA)にATCC登録番号VR-2547として寄託された。
【0052】
別の有用なポックスウイルスベクターはTROVACである。TROVACは、生後1日の雛のワクチン接種の認可を受けている鶏痘ウイルスのFP-1ワクチン株から派生したプラーク−クローン化単離体である弱毒化鶏痘ウイルスを称する。TROVACは、同様にブダペスト条約の規定に基づき、登録番号2553としてATCCに寄託された。
【0053】
「非ウイルス」プラスミドベクターも本発明を実施するのに適している。好ましいプラスミドベクターは、細菌、昆虫および/または哺乳類宿主細胞と適合する。そのようなベクターとして、例えば、PCR-II、pCR3、およびpcDNA3.1(Invitrogen, San Diego, CA)、pBSII(Stratagene, La Jolla, CA)、pET15(Novagen, Madison, WI)、pGEX(Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)、pEGFP-N2(Clontech, Palo Alto, CA)、pETL(BlueBacII, Invitrogen)、pDSR-α(国際公開第90/14363号)およびpFastBacDual(Gibco-BRL, Grand Island, NY)、ならびにBluescript(登録商標)プラスミド誘導体(高コピー数COLE1ベースのファージミド、Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)、Taq-増幅PCR産物をクローニングするように設計されたPCRクローニングプラスミド(例えば、TOMO(商標)TAクローニング(登録商標)キット、PCR2.1(登録商標)プラスミド派生体、Invitrogen, Carlsbad, CA)が挙げられる。細菌ベクターも本発明で用いることができる。それらベクターとして、例えば、シゲラ属、サルモネラ属、コレラ菌、乳酸桿菌属、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、および連鎖球菌が挙げられる(例えば、国際公開第88/6626号;第90/0594号;第91/13157号;第92/1796号;および第92/21376号を参照)。多くの他の非ウイルスプラスミド発現ベクターおよび系が当業界で公知であり、本発明において使用できる。
【0054】
適切な核酸輸送技術として、DNA−リガンド複合体、アデノウイルス−リガンド−DNA複合体、DNAの直接注入、CaPO4沈降、遺伝子銃技術、エレクトロポレーション、およびコロイド分散系等が挙げられる。コロイド分散系は、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、および水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームのような、脂質ベースの系を含む。本発明において好ましいコロイド系は、in vitroおよびin vivoで輸送手段(vihicles)を輸送する際に有用な人工膜小胞であるリポソームである。RNA、DNAおよび無傷のビリオンを水相内に封入し、生物活性形態で細胞に輸送することができる(Fraley, R., et al., 1981, Trends Biochem. Sci., 6: 77)。リポソームの組成物は、通常、リン脂質、特に高い相転移温度を有するリン脂質の組合せであり、通常、コレステロールのようなステロイドと組み合わせる。他のリン脂質または他の脂質を用いてもよい。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度、および二荷陽イオンの存在に依存する。リポソーム作成で有用な資質の例として、例えばホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシド等が挙げられる。特に有用なものは、脂質部分が14−18炭素原子、特に16−18炭素原子を含み、かつ飽和である、ジアシルホスファチジルグリセロールである。例示的リン脂質として、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスファチジルコリンが挙げられる。
【0055】
免疫応答を高めるため、1つ以上のアジュバントと配合して、免疫原性ターゲットを投与してもよい。例示的アジュバントを以下の表に示す:
【表2】

【0056】
本発明の免疫原性ターゲットを用いて、スクリーニングアッセイまたは免疫療法で用いるための抗体を作成することができる。他の用途も当業者に明白である。「抗体」の用語は、当業界で公知であるように、例えば、当業界で公知である方法によって作成した、Fab、Fab2、一本鎖抗体(例えばFv)、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体等の抗体断片を含む。様々なタイプの抗体を調製および利用する方法は当業者に周知であり、本発明を実施するのに適している(例えば、Harlow, et al., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988; Harlow, et al. Using Antibodies: A Laboratory Manual, Portable Protocol No.1, 1988; Kohler and Milstein, Nature, 256: 495(1975); Jones et al. Nature, 321: 522-525 (1986); Riechmann et al. Nature, 332: 323-329(1988); Presta (Curr. Op. Struct. Biol., 2: 593-596 (1992); Verhoeyen et al. Science, 239: 1534-1536(1988); Hoogenboom et al., J. Mol. Biol., 227: 381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222: 581 (1991); Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p.77 (1985); Boemer et al., J. Immunol., 147(I): 86-95(1991); Marks et al., Bio/Technology 10, 779-783(1992); Lonberg et al., Nature 368 856-859 (1994); Morrison, Nature 368 812-13 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995); ならびに、米国特許第4,816,567号;第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;および第5,661,016号を参照)。例えば細胞毒性物質またはトキシン、あるいは例えばジフテリア毒素A鎖、内毒素A鎖、リシンA鎖、クルシン(curcin)、クロチン、フェノマイシン、エノマイシン等のその活性断片のような治療的部分に、抗体またはその誘導体を結合させてもよい。細胞毒性物質は、放射化学物質を含んでいてもよい。抗体およびその誘導体を、in vitroまたはin vivoで使用するために本発明の組成物中に含めてよい。
【0057】
免疫原性ターゲットに相当する核酸、タンパク質、それらの誘導体をアッセイで用いて、患者における疾患状態の存在を特定し、予後を予測し、または化学療法または他の治療方法の有効性を特定することができる。当業界で知られているように実施された発現プロフィールを用いて、免疫原性ターゲットの相対的な発現レベルを特定することができる。発現レベルを基底レベルに関連付けて、その患者が特定疾患に罹っているか否か、その患者の予後、または特定の治療方法が有効か否かを特定することができる。例えば、患者を特定化学療法で治療する場合、患者の組織(すなわち、抹消血)中の免疫原性ターゲットの発現レベルの低下は、その治療方法が宿主中の癌の量を減らしたことを示唆する。同様に、発現レベルが上昇した場合、他の治療方法を用いる必要がある。1つの実施形態では、宿主での発現を検出および定量化するため、当業界で公知であるように、免疫原性ターゲットをコードする核酸に対応する核酸ブローブをバイオチップに結合させてもよい。
【0058】
また、核酸、タンパク質、それらの誘導体、またはそれに対する抗体を、薬剤スクリーニングアッセイでの試薬として用いることも可能である。細胞株、あるいは患者の細胞または組織において、免疫原性ターゲットの発現に対する薬剤候補の効果を評価するために、試薬を用いてもよい。発現プロファイリング技術を、ハイスループットスクリーニング技術と組合せて、有用な化合物の迅速な同定を可能にし、さらに薬剤候補での処理の効果をモニターすることができる(例えば、Zlokamik, et al., Science 279, 84-8 (1998))。薬剤候補は、化学化合物、核酸、タンパク質、抗体、またはそれらの誘導体のいずれであってもよく、また天然のものであっても、合成によるものであってもよい。そのようにして同定された薬剤候補を、例えば、患者へ投与するための医薬組成物として、または更なるスクリーニングアッセイでの使用のために利用できる。
【0059】
宿主への本発明の組成物の投与は、当業者に公知の様々な任意の技術を用いて行うことができる。ヒトおよび他の哺乳類等の患者に投与するための薬剤(すなわち、「医薬組成物」)を作成するために、製薬の従来方法に基づき組成物を加工することができる。医薬組成物は、好ましくは、所定量のDNA、ウイルスベクター、粒子、ポリペプチドまたはペプチド等を含有する投薬単位の形態で作成する。ヒトまたは他の哺乳動物の適切な1日用量は、通常の方法を用いて特定できる。
【0060】
医薬組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレイによって、直腸から、リンパ節内、または局所的に、従来の薬剤的に許容される担体、アジュバント、および運搬体を含む投薬単位製剤で投与することができる。本明細書で用いられている「薬剤的に許容される担体」または「生理的に許容される担体」の用語は、医薬組成物としての核酸、ポリペプチド、またはペプチドの送達を達成または高めるのに適した1以上の配合材料を称する。「医薬組成物」は、治療的効果量の核酸またはポリペプチドを含む組成物である。「効果量」または「治療的効果量」の用語は、効果的な免疫応答を誘導または増強するのに用いられる核酸またはポリペプチドの量を称する。本発明の組成物が、腫瘍の発生から宿主を防御しおよび/または既存の腫瘍を体から排除させる抗腫瘍免疫応答を宿主において誘導または増強することが好ましい。
【0061】
経口投与に関して、医薬組成物は、例えば、カプセル、錠剤、懸濁液、または液体等、任意の形態のいずれであってもよい。液体は、生理食塩水、デキストロースまたは水等の適切な担体を含む組成物として注射によって投与できる。本明細書で用いられている非経口の用語は、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、注入、または腹腔内投与を含む。薬剤の直腸投与用の座薬は、薬剤を、例えば常温では固体であるが直腸温度では液体であるカカオバターおよびポリエチレングリコールのような適切な非刺激賦形剤と混合することによって調製できる。
【0062】
本発明の組成物を用いて宿主を免疫し、あるいは疾患または病気を治療する投薬計画は、疾患のタイプ、年齢、体重、性別、患者の病状、症状の重篤性、投与経路、および用いられる特定化合物等の様々な因子に基づく。例えば、用量当り、1x106の感染性粒子を含む組成物として、ポックスウイルスベクターを投与することができる。したがって、投薬計画は大きく変化するが、標準的方法を用いて、通常通り特定できる。
【0063】
標的免疫原をプライミング工程において最初にある形態で投与し、その後、標的免疫原を別の形態で投与するブースト工程を行う、プライム−ブースト法も利用できる(国際公開第01/30382号)。プライミングおよびブースト工程での標的免疫原の形態は異なっている。例えば、プライミング工程が核酸を用いる場合、ブーストはペプチドとして投与してもよい。同様に、プライミング工程が1つのタイプの組換えウイルス(例えばALVAC)を用いる場合、ブースト工程は、別のタイプのウイルス(例えばNYVAC)を用いることができる。このプライム−ブースト投与法は、強い免疫応答を誘導することが分かっている。
【0064】
本発明の組成物は単独の活性薬剤として投与してもよいが、1つ以上の他の組成物または物質(例えば、他の免疫原性ターゲット、補助刺激分子、アジュバント等)と組合せて用いてもよい。組合せて投与する場合、個々の成分を同時にまたは異なる時に投与される別個の組成物として製剤化してもよく、あるいはそれら成分を1つの組成物として配合してもよい。
【0065】
適切な分散剤または界面活性剤および懸濁剤を用いて、公知の方法に従って、例えば滅菌注射用の水性または油性懸濁液のような注射用調製物を調製できる。注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容される稀釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。用いることができる適切な媒体および溶媒は、水、リンガー溶液、および等張食塩水等である。例えば、ポックスウイルスのようなウイルスベクターを0.4% NaCl中に調製してよい。さらに、滅菌不揮発性油を溶媒または懸濁溶剤として従来から用いている。本目的において、合成モノ−またはジグリセリド等の任意の無刺激性の揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が、注射用調製物の調製に使用できることが分かっている。
【0066】
局所投与に関して、適切な局所用剤形の組成物を、1日当り1から4回、より好ましくは2から3回投与することができる。また、その間薬剤を投与しない日を設けて薬剤を投与してもよい。適切な組成物は、0.001質量%から10質量%、例えば1質量%から2質量%の製剤を含み、10質量%程度であってもよいが、好ましくは5質量%を超えない量であり、さらに好ましくは0.1質量%から1質量%の製剤を含む。局所投与に適した製剤として、皮膚を介した浸透に適した液体または半液体の調製物(例えば、塗布薬、ローション、軟膏、クリーム、またはペースト)、および目、耳、または鼻への投与に適した液滴等が挙げられる。
【0067】
医薬組成物は、固形剤形で調製してもよい(顆粒、粉末または座薬)。医薬組成物は、例えば殺菌のような通常の製薬処理を行ってよく、および/または例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤等の通常のアジュバントを含んでいてよい。経口投与用の固形剤形として、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒剤が挙げられる。そのような固形剤形において、活性化合物を、例えばスクロース、ラクトース、またはデンプンのような少なくとも1つの不活性稀釈剤と混合してもよい。そのような剤形は、通常のやり方として、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤等、不活性稀釈剤以外の付加的な物質も含んでいてよい。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、その剤形は、緩衝剤も含んでいてよい。錠剤および丸薬は、さらに、腸溶コーティングを用いて調製してもよい。経口投与用の液体剤形として、水のような、当業界で通常用いられている不活性稀釈剤を含有する、薬剤的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が挙げられる。そのような組成物は、例えば湿潤剤、香味料、および香料のようなアジュバントを含んでいてよい。
【0068】
本発明の核酸またはポリペプチドを含む医薬組成物は、いくつかの形態の何れの形態であってもよく、いくつかの経路のいずれによって投与してもよい。好ましい実施形態において、非経口経路(皮内、筋肉内または皮下)を介して組成物を投与して、宿主において免疫応答を誘導する。あるいは、組成物をリンパ節(リンパ節内)または腫瘍塊(すなわち、腫瘍内投与)に直接投与してもよい。例えば、用量を0、7および14日目に皮下投与してもよい。TAを含む組成物を用いた適切な免疫方法は、p53(Hollstein et al., 1991)、p21-ras(Almoguera et al., 1988)、HER-2(Fendly et al., 1990)、メラノーラ関連抗原(MAGE-1;MAGE-2)(van der Bruggen et al., 1991)、p97(Hu et al., 1988)、および癌胎児性抗原(CEA)(Kantor et al., 1993; Fishbein et al., 1992; Kaufman et al., 1991)等に関して知られているように、当業界で公知である。
【0069】
投与可能な組成物の好ましい実施形態として、例えば、懸濁液、シロップ、エリキシル剤のような液体調製物中の核酸またはポリペプチドが挙げられる。好ましい注射用調製物として、例えば、滅菌懸濁液またはエマルジョンのような、非経口、皮下、皮内、筋肉内または静脈投与に適した核酸またはポリペプチドが挙げられる。例えば、組換えポックスウイルスを、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース等の、適切な担体、稀釈剤または賦形剤と混合してもよい。また、例えば、等張水溶液、生理食塩水緩衝液で再構成するための凍結乾燥形態で組成物を提供してもよい。さらには、他の抗新生物薬、抗腫瘍薬または抗癌薬および/または抗新生物薬、抗腫瘍薬または抗癌薬の副作用を軽減または緩和する薬剤と共に、本発明の組成物を同時に投与しまたは連続で投与してもよい。さらに、キットは、成分を混合または配合および/または投与するための指示書を含んでいてよい。
【0070】
例示として挙げた以下の実施例によって、本発明およびその多くの利点をより理解できるであろう。
【実施例】
【0071】
実施例1
A.mCEA(6D)リピート1(repeat 1)の改変
組換えCEAの発現の後、細胞中に切断形態のCEAの存在が立証された。この研究は、細胞での発現の後に切断CEAの発現を生じさせないCEAコード核酸配列を作成したことを示す。新規なCEAコード核酸配列CAP(6D)-1,2の作成および発現を以下に説明する。
【0072】
プラスミドp3'H6MCEAはVirogenetics, Inc.から得た。このプラスミドは、部分H6プロモーターの制御下にある6D改変を有するMCEA遺伝子を含む(図1A)。p3'H6MCEAからの912bp NruI-BamHI断片をpUC18にクローン化して、プラスミドpSE1544.9を形成した(pUC18-mCEAリピート1;図1B)。
【0073】
OPC精製したオリゴ配列7524-7526、7528-7533、7535-7537、および7567-7568をキナーゼ処理およびアニールして2つの断片を作成し、それら断片は、連結して、AccIおよびBamHI部位に隣接した464bpの合成改変mCEAリピート1を生じさせる。この合成改変リピート1断片をpSE1544.9 AccI-BamHI中にクローン化して、pSE1616.44(pUC18-mCEA-改変リピート1;図2)を作成した。pSE1616.44の904bp EcoRV-BamHI断片を、p3’H6MCEA EcoRV-BamHI中に戻してクローン化し、pSE1658.15(p3'H6MCEA-改変リピート1;図3)を作成した。
【0074】
B.mCEA(6D)リピート2(repeat 2)の改変
オーバーラップエクステンション(overlap evtension)による遺伝子スプライシングと称される方法を用いて合成改変リピート2断片を作成し、pBluescript-SK+中にクローン化し、pBSmCEA(図4)を作成した。リピート2の改変に用いたオリゴ配列を以下に示す(セクションIV、B)。2つの異なるクローン(pBS-mCEA-3およびpBS-mCEA-8)は、様々な点突然変異を含んでいた。
【0075】
pBS-mCEA-3の697bp BamHI-EcoRI断片をpUC18 BamHI-EcoRI中にクローン化して、pSE1671.8を作成した。pBSmCEA-8の591bp SpeI-Bsu36I断片をpSE1671.8 SpeI-Bsu36I中にクローン化し、pSE1681.1と称されるプラスミドを作成した。オリゴ配列7751(GGACGGTAGTAGGTGTATGATGGAGATATAGTTGGGTCGTCTGGGCC)、および7760(CAGAATGAATTATCCGTTGATCACTCC)を用いた、Quikchange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を用いて、2つの部位PCR突然変異誘発を行って、2つの残りの点突然変異を修正した。修正したクローンを、pSE1686.1(pUC18mCEA改変リピート2;図5)と称する。
【0076】
最近分かったこととして、アラニンコドンが、CEAに含まれるプラスミドp3’H6MCEA中のリピート2の5’末端に存在しない。CEAのアミノ酸配列の整合性を維持するために、CEAの改変リピート2を含むプラスミドpSE1686.1に存在するアラニンコドンがノックアウトされた。これは、オリゴ配列7802(CGTGACGACGATTACCGTGTATGAGCCACCAAAACCATTCATAAC)および7803(GTTATGAATGGTTTTGGTGGCTCATACACGGTAATCGTCGTCACG)、ならびにQuikchange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を用いて行った。得られたプラスミドpSE1696.1(pUC18mCEA改変リピート2;図6)をシーケシングによって確認した。
【0077】
pSE1696.1断片からの694bp Bsu36I-BamHI断片を、pSE1658.15のBsu36I-BamHI部位にクローン化して、改変リピート1および2を結合させた。作成したプラスミドを、p3’H6modMCEA-1st&2ndリピートと称する(図7)。
【0078】
C.ALVACドナープラスミドpNVQH6MCEA(6D1st&2nd)の構築
p3'H6mdoMCEA-1st&2ndリピートからの2.2kb NruI/XhoI断片を、pNVQH6LSP-18のNruI/XhoI部位にクローン化して、pNVQH6MCEA(6D1st&2nd;図8)を作成した。pNVQH6MCEA内に含まれている改変CEA配列(「CAP(6D)-1,2」)を図9に示す。
【0079】
D.改変CEAの発現
細胞での発現の際におけるCAP(6D)-1,2配列の安定性を試験するため、鋳型としてpNVQH6MCRA(6D1st&2nd)、ならびに2つのオリゴ配列(8034LZ:CTGGCGCGCCTTCTTTATTCTATACTTAAAAAGTG;および8035LZ:CTGGTACCAGAAAAACTATATCAGAGCAACCCCAAC)を用いて、隣接するH6プロモーターと共に遺伝子をPCR増幅した。次に、PCT産物を、LacZおよびKILマーカー遺伝子を含むpLZTK1と称されるNYVAC TKト゛ナープラスミド中にクローン化した。ブルー/ホワイトスクリーニング法を用いることによってNYVAC中の組換えウイルスを作成するために、このベクターを特別に作成した。ドナープラスミドpLZTK1mCEA(6D1st&2nd)とNYVACとの間でのin vitro組換えの後、外来CAP(6D)-1,2配列およびマーカー遺伝子を、NYVACゲノム中に組込む。LacZおよびmCEAの両方を含む中間体の組換えNYVACを含むプラークは青色に見えた。数回のプラーク精製を実施した。第2の組換えイベントはマーカー遺伝子を除去し、CAP(6D)-1,2配列のみを含みマーカー遺伝子を含まない組換え体を含む最終の白いプラークをもたらす(図10)。
【0080】
CAP(6D)-1,2配列発現の確認のため、白色および青色の組換えプラークを採取した。各プラークからのウイルスを用いて感染を実施し、細胞DNAまたは細胞溶解物のいずれかを調製するために、感染3日後に細胞を回収した。組換えNYVAC DNAの単離のために、DNAzol(登録商標)試薬(GibcoBRL)を用いた。PCR(PCR条件:95℃(5分間)→[95℃(30秒)→49℃(30秒)→72℃(1分)]30サイクル→72℃(7分)→4℃)を実施して、組換えNYVACゲノム中にCAP(6D)-1,2配列が存在することを確認した。用いたプライマーは、7569LZ(5’ttggatccatggagtctccctcggcc3’フォワードプライマー)および7570LZ(5’ttggatccctatatcagagcaacccc3’リバースプライマー)であり、それらは、完全長の2106bp CAP(6D)-1,2を増幅することができる。
【0081】
最終の白色の組換えプラークPRBC-III-2,3,6,8,9,10のすべてが、PCRにおいて2.1kb CAP(6D)-1,2配列のバンドを示した。PRBC-III-N1は、マーカー遺伝子とCAP(6D)-1,2配列の両方がまだウイルスゲノム中に存在し、青色のプラークであり、CAP(6D)-1,2配列のバンドもPCRで増幅された。vCP 307 DNA(ALVACゲノムに組込まれた天然のCEAを含む)から増幅された顕著なPCRバンドは、非常に弱い完全長CEAのバンドを含む、1.2kbでの切断CEAであった。細胞のみの試料(ウイルス感染なし)を陰性対照として用い、プラスミドpLZTKIMCEA(6D1st&2nd)をPCR反応での陽性対照として用いた。PCRの結果は、目に見える他の切断形態のCEAを全く含まず、組換えウイルスゲノム中の完全長のCAP(6D)-1,2を明白に示した。この結果は、CAP(6D)-1,2が、ALVACゲノム中において、天然CEAと比較してより高い安定性を有することを示唆する。
【0082】
イムノブロットによってタンパク質発現も評価して、CAP(6D)-1,2を発現する細胞中に切断CEAが存在しないことを確認した(図11)。細胞溶解物の単離のため、最初にPBSで細胞を洗浄した後、溶解バッファー(レポーター遺伝子アッセイ;Boehringer Mannheim)を添加し、15分間攪拌した。細胞溶解物を13,000rpmで遠心分離し、ウェスタンブロット分析用に上清を回収した。試料を10%ポリアクリルアミドゲルに装填し、125ボルトで実施した。次にタンパク質をPVDFフィルター膜(Immobilon-P, Millipore)に転写させた。HRP結合マウスCEAモノクローナル抗体(1:1000;Fitzgerald)を用いて、化学発光試薬(DNA Thunder(商標);NEN(商標)Life Science Products)による増幅を利用して、mCEAの発現を検出した。
【0083】
6つの最終の白色のCAP(6D)-1,2組換えプラーク(PRBC-III-2,3,6,8,9,10)の全ておよび1つの中間体の青いプラーク(pRBC-III-N1)が、他の切断形態を含まない単一のCEAバンドを示した(図11)。一方、vCP307プラーク(天然のCEAを発現する組換えALVAC)は、完全長のCEAに加えて、〜60kDa当りの明らかな切断CEA産物を示した。長期間のフィルムの露光によって、CPA(6D)-1,2組換え体にいずれの切断CEAポリペプチドも存在しないことが証明された。CEFを陰性対照として用いた。
【0084】
結論として、様々なタイプのCEAの発現を防ぐために、天然CEAではなくmCEAを用いてCAP(6D)-1,2組換え体を作成した。組換えNYVACから発現されたCAP(6D)-1,2は、PCRおよびウェスタンブロットの両方の方法によって、切断形態のCEAを排除するのに有効であることが証明された。
【0085】
本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、それらを変形または変化させたものも当業者に明白であろう。したがって、添付した請求項は、そのような等価の変化させたものの全てを包含し、それらも本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】部分H6プロモーターの制御下に6D改変を有するCEAコード配列を含むプラスミドp3’H6MCEAの説明図(図A)、およびプラスミドpSE1544.9(pUC18-mCEA)の説明図。
【図2】プラスミドpSE1616.44(pUC18 mCA−改変リピート1)の説明図
【図3】プラスミドpSE1658.15(p3’H6MCEA−改変リピート1)の説明図
【図4】プラスミドpBSmCEAの説明図
【図5】プラスミドpSE1686.1(pUC18 mCA−改変リピート2)の説明図
【図6】プラスミドpSE1696.1(pUC18 mCA−改変リピート2)の説明図
【図7】プラスミドp3’H6modMCEA 1st&2ndリピートの説明図
【図8】プラスミドpNVQH6MCEA(6D1st&2nd)の説明図
【図9】CAP(6D)およびCAP(6D)-1.2のヌクレオチド配列の比較。配列間の相違を下線で示す(A−D)。
【図10】NYVAC DNA中にCAP(6D)-1.2が存在することを確認するためのPCR分析。
【図11】CAP(6D)-1.2を発現する細胞における切断CEAの欠損を示すイムノブロット。
【配列表】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号24および図9に示す核酸配列CEA(6D)-1,2またはその断片を含む発現ベクター。
【請求項2】
プラスミドまたはウイルスベクターであることを特徴とする請求項1記載の発現ベクター。
【請求項3】
ポックスウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデノ随伴ウイルスより成る群から選択されるウイルスベクターであることを特徴とする請求項2記載の発現ベクター。
【請求項4】
ワクシニアウイルス、NYVAC、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス、およびTROVACより成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項3記載の発現ベクター。
【請求項5】
NYVAC、ALVAC、およびALVAC(2)より成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項4記載の発現ベクター。
【請求項6】
追加の腫瘍関連抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の発現ベクター。
【請求項7】
プラスミドまたはウイルスベクターであることを特徴とする請求項6記載の発現ベクター。
【請求項8】
ポックスウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデノ随伴ウイルスより成る群から選択されるウイルスベクターであることを特徴とする請求項7記載の発現ベクター。
【請求項9】
ワクシニアウイルス、NYVAC、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス、およびTROVACより成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項8記載の発現ベクター。
【請求項10】
NYVAC、ALVAC、およびALVAC(2)より成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項9記載の発現ベクター。
【請求項11】
血管新生関連抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の発現ベクター。
【請求項12】
プラスミドまたはウイルスベクターであることを特徴とする請求項11記載の発現ベクター。
【請求項13】
ポックスウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデノ随伴ウイルスより成る群から選択されるウイルスベクターであることを特徴とする請求項12記載の発現ベクター。
【請求項14】
ワクシニアウイルス、NYVAC、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス、およびTROVACより成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項13記載の発現ベクター。
【請求項15】
NYVAC、ALVAC、およびALVAC(2)より成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項14記載の発現ベクター。
【請求項16】
血管新生関連抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の発現ベクター。
【請求項17】
プラスミドまたはウイルスベクターであることを特徴とする請求項16記載の発現ベクター。
【請求項18】
ポックスウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデノ随伴ウイルスより成る群から選択されるウイルスベクターであることを特徴とする請求項17記載の発現ベクター。
【請求項19】
ワクシニアウイルス、NYVAC、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス、およびTROVACより成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項18記載の発現ベクター。
【請求項20】
NYVAC、ALVAC、およびALVAC(2)より成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項19記載の発現ベクター。
【請求項21】
補助刺激成分をコードする少なくとも1つの核酸配列をさらに含むことを特徴とする請求項1、6、11または16記載の発現ベクター。
【請求項22】
プラスミドまたはウイルスベクターであることを特徴とする請求項21記載の発現ベクター。
【請求項23】
ポックスウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデノ随伴ウイルスより成る群から選択されるウイルスベクターであることを特徴とする請求項22記載の発現ベクター。
【請求項24】
ワクシニアウイルス、NYVAC、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス、およびTROVACより成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項23記載の発現ベクター。
【請求項25】
NYVAC、ALVAC、およびALVAC(2)より成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項24記載の発現ベクター。
【請求項26】
配列番号24および図9に示す核酸配列CEA(6D)-1,2またはその断片を含む発現ベクターを、薬剤的に許容される担体中に含む組成物。
【請求項27】
前記ベクターが、プラスミドまたはウイルスベクターであることを特徴とする請求項26記載の組成物。
【請求項28】
前記ベクターが、ポックスウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデノ随伴ウイルスより成る群から選択されるウイルスベクターであることを特徴とする請求項27記載の組成物。
【請求項29】
前記ベクターが、ワクシニアウイルス、NYVAC、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス、およびTROVACより成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項30】
前記ベクターが、NYVAC、ALVAC、およびALVAC(2)より成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項29記載の組成物。
【請求項31】
配列番号24および図9に示す核酸配列CEA(6D)-1,2またはその断片を含む発現ベクターを、宿主に投与することを含む、癌を予防または治療する方法。
【請求項32】
前記ベクターが、プラスミドまたはウイルスベクターであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記ベクターが、ポックスウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデノ随伴ウイルスより成る群から選択されるウイルスベクターであることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記ベクターが、ワクシニアウイルス、NYVAC、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス、およびTROVACより成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記ベクターが、NYVAC、ALVAC、およびALVAC(2)より成る群から選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項36】
配列番号24および図9に示す核酸配列CEA(6D)-1,2を含む単離DNA分子。
【請求項37】
配列番号24および図9に示す核酸配列CEA(6D)-1,2の断片を含む単離DNA分子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−509493(P2006−509493A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−582266(P2003−582266)
【出願日】平成15年4月9日(2003.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/010916
【国際公開番号】WO2003/085087
【国際公開日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【出願人】(502142817)アヴェンティス パストゥール リミテッド (1)
【出願人】(503044204)セリオン バイオロジクス (4)
【氏名又は名称原語表記】Therion Biologics
【Fターム(参考)】