説明

改札機、及び、改札方法

【課題】情報量の増大に対応可能であり、しかも、装置全体の小型化及び低コスト化が可能な改札機及び改札方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 投入口に投入された券媒体から改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを光学的に読み取る読取部20と、読取部により読み取られた二次元コードに基づいて改札処理を行うCPU200と、改札処理により利用者の通過を許可する旨の判定結果に基づき、投入口の券媒体を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構21と、搬送経路上で券媒体に対して所定の処理を施す穿孔部22及び印刷部23と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、改札機及び改札方法に係り、特に、改札情報に対応したQRコードなどの二次元コードに基づいて改札処理を行う改札機及び改札方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、改札処理の省力化を目的として、改札機が導入されている。この改札機は、利用者が駅構内や遊戯施設などの施設内に入場する場合や、施設内から出場する場合などに、入場券、プリペイドカード、定期券、乗車券などの磁気式の券媒体を取り込み、券媒体に磁気記録された改札情報に基づいて利用者の通行を許可するか否かの改札処理を行う。取り込んだ券媒体は、必要に応じて返却または回収される。また、改札処理において改札情報に基づき、運賃不足、期限切れ、区間外乗車、あるいは、券媒体からの改札情報の読取エラー及び券媒体への改札情報の書込エラー等の理由から通行を許可しない旨の判定に基づき、改札機は、改札通路を閉鎖して利用者の通行を阻止する。
【0003】
最近では、磁気式の券媒体以外にも無線式の券媒体を取り扱う改札機も実用化されている。このような改札機は、磁気の券媒体による改札処理に加え、無線式の券媒体による改札処理を行う。つまり、このような改札機は、無線式の券媒体と交信し、無線式の券媒体から改札情報に基づいて、利用者の通行の可否を判定する。
【0004】
一方で、改札情報に対応したバーコードを印刷した券媒体を用いて改札処理を行う改札機も提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。これらの改札機によれば、光学的にバーコードを読み取る装置を備えており、利用者によって翳された券媒体からバーコードを読み取って対応する改札情報に基づいて改札処理を行うものである。
【特許文献1】特開平6−150094号公報
【特許文献2】特許平9−069174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、空港の搭乗口などに設置される改札機は、航空券や搭乗券といった大型の券媒体の長手方向に沿って伸びる磁気ストライプから磁気記録された改札情報を読み取る必要がある。このため、改札機内の搬送経路が長く、改札機本体の小型化及び低コスト化が望まれている。
【0006】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、情報量の増大に対応可能であり、しかも、装置全体の小型化及び低コスト化が可能な改札機及び改札方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の態様による改札機は、
投入口に投入された券媒体から改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた二次元コードに基づいて改札処理を行う改札手段と、
前記改札手段による改札処理により、利用者の通過を許可する旨の判定結果に基づき、投入口の券媒体を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
搬送経路上で券媒体に対して所定の処理を施す券処理手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の第2の態様による改札方法は、
投入口に投入された券媒体から改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを光学的に読み取り、
読み取られた二次元コードに基づいて改札処理を行い、
改札処理により、利用者の通過を許可する旨の判定結果に基づき、投入口の券媒体を改札機内の所定の搬送経路に沿って搬送する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、情報量の増大に対応可能であり、しかも、装置全体の小型化及び低コスト化が可能な改札機及び改札方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施の形態に係る改札機、及び、改札方法について図面を参照して説明する。
【0011】
図1及び図2に示に示すように、改札機は、筐体1を備えている。このような改札機では、例えば、2台の筐体1を対向配置して、これらの間に利用者が通行可能な改札通路が形成される。なお、一方は、仕切りを形成するものであれば良く、板状部材であっても良いし、柱や柵などであってもよい。
【0012】
すなわち、改札機の筐体1は、投入口2、排出口3、表示部5、スピーカ7などを備えている。
【0013】
投入口2は、筐体1における通行方向上流側に設けられ、施設内への入場時または施設内からの出場時に投入された券媒体を受け取り可能である。投入口2の近傍には、券媒体の投入を阻止するためのシャッタが設けられている。また、排出口3は、筐体1における通行方向下流側に設けられ、投入口2から受け取った券媒体を必要に応じて排出可能である。
【0014】
表示部5は、筐体1における上面に配置され、利用者や係員などに対して種々の案内情報を表示する。スピーカ7は、利用者や係員などに対して種々の案内情報に対応した音声を出力する。これらの表示部5及びスピーカ7は、案内手段としての機能を有している。
【0015】
また、図3に示すように、改札機の筐体1は、上述したような構成のほかに、ドア90や通過検知器9などを備えていても良い。ドア90は、筐体1における改札通路側の側面に配置され、利用者の通行を制御するために開閉可能に構成されている。このドア90は、利用者の通行を許可する場合に改札通路を開放し、また、利用者の通行を阻止する場合に改札通路を閉鎖する。通過検知器9は、筐体1の改札通路側における側面部に配置され、利用者の通行を検知するための出力信号を出力する。
【0016】
図4に示すように、改札機の内部機構において、投入口2付近には、読取部20が配置されている。この読取部20は、利用者によって投入された券媒体に印刷された二次元コードを光学的に読み取るものであり、読取手段としての機能を有している。
【0017】
投入口2と排出口3との間には、投入口2から投入された券媒体を矢印aで示した順方向に沿って排出口3に向けて搬送するための搬送機構21が配置されている。この搬送機構21は、各種搬送ベルト及び搬送ローラなどで規定される搬送経路を有している。このような構成の搬送機構21は、投入口2から投入された券媒体を搬送する搬送手段としての機能を有している。
【0018】
搬送経路上には、投入口2から排出口3に沿い、穿孔部22、印刷部23などが順に設けられている。穿孔部22は、搬送経路を搬送されてきた券媒体に対して必要に応じて穿孔を形成する(パンチ処理)ものであり、穿孔手段としての機能を有している。印刷部23は、搬送経路を搬送された券媒体に対して必要に応じて日時や改札場所名などの所定の情報、また、乗車便名や座席番号などの情報などの改札処理の結果に対応した所定情報を印刷するものであり、印刷手段としての機能を有している。
【0019】
図5に示すように、改札機は、装置全体の制御を司るCPU200を備えている。このCPU200は、券媒体が有する改札情報に基づいて改札処理を行う改札手段及び改札機を構成する各機構の駆動を制御する制御手段としての機能を有している。
【0020】
このCPU200には、メモリ部201が接続されている。メモリ部201は、制御プログラムやROM、券媒体から読み取った情報を記憶するとともに制御プログラムのバッファとして情報を記憶するRAM、運賃情報等を記録している運賃メモリなどで構成されている。
【0021】
また、このCPU200には、読取部20を制御する読取制御回路202が接続されている。CPU200は、読取部20を介して券媒体から読み取った情報を基に利用者の通過の可否を判定する改札処理を行う。
【0022】
さらに、CPU200には、搬送機構21を制御する搬送制御回路203、穿孔部22を制御する穿孔制御回路204、印刷部23を制御する印刷制御回路205、表示部5を制御する表示制御回路206、スピーカ7を制御する音声出力制御回路207、上位機器との間での情報のやり取りを制御する通信制御部208などが接続されている。
【0023】
次に、この実施の形態に係る改札機により改札処理が可能な券媒体について説明をする。すなわち、改札処理可能な券媒体としては、改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードが印刷されたものであり、この改札情報としては、利用者個人のID、券番号、購入金額、有効期間、有効区間、乗車便名、座席区分、発着時刻、発着地、座席番号、搭乗口などの情報が含まれている。これらの改札情報のうち、一部の情報は、利用者及び係員によって目視可能とするために、券面に印刷されている。このような二次元コードは、縦及び横の二方向に情報を持つことが可能であり、情報量の増大に対応可能である。
【0024】
次に、上述した改札機に適用可能な改札処理方法について説明する。なお、ここでは、航空券や搭乗券といった航空機を利用する際に適用される券媒体による改札処理方法について説明する。
【0025】
すなわち、図6に示すように、CPU200は、投入口2に券媒体が投入されたのに基づいて、読取制御回路202を制御して読取部20により、券媒体に印刷された二次元コードを読み取る(ST1)。
【0026】
図7には、この改札機により改札処理が可能な券媒体Tの一例が図示されている。この券媒体Tは、例えば定期券などと同等のサイズであり、その券面には、券媒体Tの投入方向や各種情報が印刷されており、また、改札情報に対応した二次元コードT1も印刷されており、さらには、改札処理の結果に対応した情報を印刷可能な印刷領域T2が確保されている。
【0027】
CPU200は、読取部20により、券媒体から二次元コードの読取処理が完了したのに基づき(ST2、Y)、読み取られた二次元コードに基づいて利用者の改札通路の通過の可否を判定する改札処理を行う(ST3)。CPU200は、二次元コードの読取処理が行えなかった場合には(ST2、N)、表示制御回路206を制御して表示部5にエラー内容を案内するための画面を表示するとともに、音声出力制御回路207を制御してスピーカ7を介してエラー内容を音声により案内する(ST4)。
【0028】
CPU200は、改札処理の結果、利用者の通過を許可する旨の判定を行った場合(判定OK)には(ST5、Y)、搬送制御回路203を制御して搬送機構21を駆動し、投入口2に投入された券媒体を機体内部に取り込む(ST6)。そして、CPU200は、搬送経路に沿って搬送されている券媒体Tに対して必要に応じた所定の券処理を施す(ST7)。例えば、CPU200は、必要に応じて、穿孔制御回路204を制御して穿孔部22を駆動して券媒体Tに穿孔を形成し、また、印刷制御回路205を制御して印刷部23を駆動し、改札処理の結果に対応した必要な情報を搬送されている券媒体に印刷する。
【0029】
図8には、この改札機により券処理が施された券媒体Tの一例が図示されている。この券媒体Tの券面において、印刷領域T2には、改札処理の結果に対応した情報、例えば日時や座席番号などの情報が印刷されているとともに、穿孔T3が形成されている。
【0030】
一方、ステップST5において、CPU200は、改札処理の結果、利用者の通過を許可しないと判定を行った場合(判定NG)には(ST5、N)、表示制御回路206を制御して表示部5にエラー内容を案内するための画面を表示するとともに、音声出力制御回路207を制御してスピーカ7を介してエラー内容を音声により案内する(ST4)。
【0031】
そして、CPU200は、券媒体をさらに搬送経路に沿って搬送方向下流側に向けて搬送し、排出口3から排出した券媒体が利用者によって抜き取られたことを検知したのに基づいて、一連の改札処理を終了する。
【0032】
上述した実施形態によれば、改札情報に対応した二次元コードを読み取って改札処理を行う改札機においては、従来のような高価な無線通信処理装置や磁気処理装置を搭載した装置構成と比較して、装置全体の導入コストを削減することが可能となる。
【0033】
また、上述した改札機においては、磁気処理装置などの消耗品がなく、ランニングコストも削減することが可能となる。特に、投入口付近に読取部を備えたことにより、投入口に券媒体が投入された状態で、改札処理を行うことができ、しかも、改札処理により判定OKの場合のみ搬送機構によって券媒体が搬送される。逆に、投入口に投入された券媒体から二次元コードを読み取れなかった場合や改札処理により判定NGの場合には、券媒体は搬送されず、機体内部に取り込まれない。磁気処理装置を備えた改札機では、いかなる券媒体が投入された場合であっても少なくとも1度は券媒体を機体内部に取り込んで磁気情報の読み取りを試み、読み取った磁気情報に基づいて改札処理を行う必要があったため、磁気処理装置や搬送機構を維持するためのコストがかさむことがある。このため、上述した改札機は、低コスト化に極めて有利な構成である。
【0034】
また、航空券や搭乗券といった大きな情報量の改札情報を有する券媒体について、このような改札情報を情報量の増大に対応可能な二次元コード化し、この二次元コードの読み取りによって改札処理を行う改札機においては、従来の大型券の磁気ストライプから改札情報を読み取る構成の改札機と比較して、搬送経路の短縮が可能であり、装置本体の小型化が可能となる。
【0035】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0036】
上述した実施の形態では、搬送機構より手前に読取部を配置し、判定OKである場合以外は搬送機構による券媒体の搬送を行わないような構成例について説明したが、図9に示すように、搬送経路上に読取部20を配置し、読取部20により二次元コードを読み取れなかった場合や改札処理により判定NGの場合に、投入口2に向けて券媒体を逆搬送するような構成であっても良い。
【0037】
また、上述した実施の形態では、二次元コード化した改札情報に基づいて、改札処理を行う改札機について説明したが、これらをRFID(Radio Frequency Identification)システムに置き換えても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る改札機の外観を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した改札機の筐体の外観の一例を概略的に示す側面図である。
【図3】図3は、図1に示した改札機の他の筐体の外観を概略的に示す側面図である。
【図4】図4は、図1に示した改札機に適用可能な内部構造の一例を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図1に示した改札機の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】図6は、図1に示した改札機に適用可能な改札方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、図1に示した改札機に適用可能な改札前の券媒体の一例を示す図である。
【図8】図8は、図1に示した改札機に適用可能な改札後の券媒体の一例を示す図である。
【図9】図9は、図1に示した改札機に適用可能な他の内部構造例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0039】
T…券媒体 1…筐体 2…投入口 3…排出口 5…表示部 7…スピーカ 20…読取部 21…搬送機構 22…穿孔部 23…印刷部 200…CPU 201…メモリ部 202…読取制御回路 203…搬送制御回路 204…穿孔制御回路 205…印刷制御回路 206…表示制御回路 207…音声出力制御回路 208…通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口に投入された券媒体から改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた二次元コードに基づいて改札処理を行う改札手段と、
前記改札手段による改札処理により、利用者の通過を許可する旨の判定結果に基づき、投入口の券媒体を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
搬送経路上で券媒体に対して所定の処理を施す券処理手段と、
を備えたことを特徴とする改札機。
【請求項2】
さらに、前記改札手段による改札処理により、利用者の通過を阻止する旨の判定結果に基づき、エラー内容を案内する案内手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の改札機。
【請求項3】
さらに、前記券処理手段は、改札処理の結果に対応した所定情報を券媒体に印刷する印刷手段、及び、券媒体に穿孔を形成する穿孔手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の改札機。
【請求項4】
投入口に投入された券媒体から改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを光学的に読み取り、
読み取られた二次元コードに基づいて改札処理を行い、
改札処理により、利用者の通過を許可する旨の判定結果に基づき、投入口の券媒体を改札機内の所定の搬送経路に沿って搬送する、
ことを特徴とする改札方法。
【請求項5】
さらに、改札処理により、利用者の通過を阻止する旨の判定結果に基づき、投入口の券媒体を改札機内に取り込むことなく、エラー内容を案内することを特徴とする請求項4に記載の改札方法。
【請求項6】
さらに、搬送経路に沿って搬送されている券媒体に対して改札処理の結果に対応した所定情報を印刷し、
券媒体に穿孔を形成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の改札方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−90426(P2008−90426A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268164(P2006−268164)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】