説明

改良されたアクティブ・マトリックス回路を備えるOLEDディスプレイ

多色画像を生成させるためのOLEDディスプレイは、アドレス可能な色の異なる3つの色域画素(20r、20g、20b)と、アドレス可能な第4の色域内画素(20w)を含んでいて、各画素は、第1の電極と、第2の電極と、これら電極間に設けられた1つ以上の発光層とを含む独立にアドレス可能な有機発光ダイオード(10r)を備える複数の画素と;アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素のうちの少なくとも2つのための独立したパワー・トランジスタ(140r)であって、第1の電圧源と第2の電圧源(V1、Vc)の間でアドレス可能なその色域画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路と;アドレス可能な第4の色域内画素のためのパワー・トランジスタであって、第3の電圧源と第4の電圧源(V2、Vc)の間でアドレス可能なその第4の色域内画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路とを備えていて、第1の電圧源、第2の電圧源、第3の電圧源、第4の電圧源のうちの少なくとも3つが異なる電圧レベルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLEDディスプレイにおいて画素を駆動するためのアクティブ・マトリックス回路に関する。
【背景技術】
【0002】
最も簡単な形態の有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスは、正孔を注入するためのアノードとして機能する第1の電極と電子を注入するためのカソードとして機能する第2の電極の間に配置された有機エレクトロルミネッセンス媒体で構成されている。有機エレクトロルミネッセンス媒体は正孔と電子の再結合をサポートして光を発生させる。このようなデバイスは、一般に有機発光ダイオードまたはOLEDとも呼ばれる。基本的な1つの有機EL素子が、アメリカ合衆国特許第4,356,429号に記載されている。ディスプレイ(例えばテレビ、コンピュータのモニタ、携帯電話のディスプレイ、ディジタル・カメラのディスプレイ)として役立つ画素化されたOLEDディスプレイを構成するには、個々の有機EL素子を画素としてマトリックスのパターンに配置することができる。これらの画素は、すべてが同じ色を出すように製造してモノクロ・ディスプレイにすること、または多数の色を出すように製造して例えば3画素赤、緑、青(RGB)ディスプレイにすることができる。この明細書では、画素は個別の最小単位であると見なされ、独立に刺激して光を発生させることができる。そのため赤画素、緑画素、青画素は、3つの異なる画素であると見なされる。
【0003】
4つの異なるカラー画素を備える構成のカラー有機ELディスプレイも最近報告されている。赤、緑、青、白という4つの異なるカラー画素を有する1つのタイプのディスプレイは、RGBW設計として知られている。このような4画素ディスプレイの例が、アメリカ合衆国特許第6,771,028号、アメリカ合衆国特許出願公開2002/0186214 A1、2004/0113875 A1、2004/0201558 A1に示されている。このようなRGBWディスプレイは、赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタを備えた白色有機EL発光層を用いて構成することができる。白色画素の領域は、フィルタなしにされる。この設計は、色の異なる画素の間で有機エレクトロルミネッセンス媒体をパターニングする必要がないため、製造プロセスが簡単化されるという利点を有する。さらに、フィルタなしの白色画素が含まれていることで、それぞれ赤画素、緑画素、青画素のための赤フィルタ、緑フィルタ、青フィルタを備える白色有機EL発光層を持つ同様のRGBディスプレイと比べて少ない電力消費で、完全には飽和していない色の表示が可能になる。
【0004】
アクティブ・マトリックス回路を用いて駆動されるOLEDディスプレイも知られている。アクティブ・マトリックス回路は、一般に、能動回路素子(例えば、画素1つにつき存在する多数のトランジスタと1つ以上のキャパシタ)と、いろいろな信号線(例えば、1つの画素行または画素列に共有されるデータ線、走査線、電力線)を含んでいる。アクティブ・マトリックス式OLEDディスプレイの各画素には少なくとも1つのパワー・トランジスタが設けられている。パワー・トランジスタは、データ線に供給されるデータ信号に応答して画素の有機EL素子に流入する電流を調節する。パワー・トランジスタは、電圧源に電気的に接続されている電力線から電流を取り込む。この電流は、画素の有機EL素子の第1の電極と有機EL媒体へと流れる。次に、有機EL媒体とアクティブ・マトリックス回路の上に配置された第2の電極が第2の電圧源に電気的に接続されて電流路が完成する。アクティブ・マトリックス回路によって駆動される有機ELディスプレイの例が、アメリカ合衆国特許第5,550,066号、第6,281,634号、第6,456,013号に示してある。
【0005】
しかしアクティブ・マトリックス回路を用いて駆動されるOLEDディスプレイでは、画素が最高レベルの強度のとき、電力線に電気的に接続された電圧源と、第2の電極に電気的に接続された電圧源の間の電圧差が、その電力線に接続されたすべての画素に電力を供給するのに十分な大きさでなければならない。この電圧差または電圧低下は、有機EL素子と少なくとも1つのパワー・トランジスタの間に分配される。したがって1つ以上の画素がより低いレベルの強度で動作ですることがあると、供給される電圧は必要以上の大きさになる。この場合、これら画素内のその1つ以上のパワー・トランジスタでの電圧低下の割合が大きくなる。電力消費は電流と電圧低下の関数であるため、この過剰な電圧低下によって電力効率が悪くなる。
【0006】
色の異なる画素が同じ電力線に接続されたアクティブ・マトリックス式OLEDディスプレイが、例えばアメリカ合衆国特許第6,456,013号に示してある。また、隣り合った画素列が同じ電力線を共有するアクティブ・マトリックス式OLEDディスプレイがアメリカ合衆国特許第6,522,079号に示してある。同様に、RGBW型アクティブ・マトリックス式ディスプレイに関し、同じ電力線が、色の異なる画素または隣り合った行の画素によって共有される例が、アメリカ合衆国特許第6,771,028号に示してある。しかし1本の電力線に接続された色の異なる画素に必要とされる電圧レベルが色ごとに異なっている場合には、この構成も電力効率が悪くなるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、電力効率が改善されたOLEDディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、多色画像を生成させるため、
a)アドレス可能な色の異なる3つの色域画素と、アドレス可能な第4の色域内画素を含んでいて、各画素は、第1の電極と、第2の電極と、これら電極間に設けられた1つ以上の発光層とを含む独立にアドレス可能な有機発光ダイオードを備える複数の画素と;
b)アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素のうちの少なくとも2つのための独立したパワー・トランジスタであって、第1の電圧源と第2の電圧源の間でアドレス可能なその色域画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路と;
c)アドレス可能な第4の色域内画素のためのパワー・トランジスタであって、第3の電圧源と第4の電圧源の間でアドレス可能なその第4の色域内画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路とを備えていて、第1の電圧源、第2の電圧源、第3の電圧源、第4の電圧源のうちの少なくとも3つが異なる電圧レベルを提供するOLEDディスプレイによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に、本発明によるアクティブ・マトリックス式OLEDディスプレイのアクティブ・マトリックス駆動回路の概略回路図が示してある。このディスプレイは、異なる4色の画素を有するRGBW型OLEDディスプレイである。RGBW型OLEDディスプレイは、従来のRGB型ディスプレイと比べると、色域内画素を利用して電力消費を減らすタイプのディスプレイの一例である。このようなRGBW型OLEDディスプレイ装置は、異なる少なくとも4色の画素を用いてカラー画像を表示することができる。RGBW型OLEDディスプレイでは、色の異なる画素のうちの少なくとも3つ(例えば画素20r、画素20g、画素20b)は色域画素であり、色の異なる光を出す。その色が、このディスプレイの色域を決定している。色域画素は、例えば、赤色、緑色、青色の光を発生させることができよう。この場合、画素20rは赤色光を発生させる構成にされ、画素20gは緑色光を発生させる構成にされ、画素20bは青色光を発生させる構成にされる。2つ以上の色域画素をさまざまな強度で発光させると、色域内の他の色を発生させることができる。これらの新しい色は、色域内カラーと呼ばれる。このようなRGBW型OLEDディスプレイは、色域内画素である少なくとも1つの追加の画素(例えば画素20w)も備えていて、色域内カラーの光(例えば白色)を出す構成にされている。白色という用語は、本発明では、見る人がほぼ白色であると認識するあらゆる発光を指すのに用いる。白は、他の3つの色域画素の色のほぼ中間にあるため、色域内画素の色として最も好ましい。しかし本発明が白色画素に限定されることはなく、他の色(例えばより青、緑、赤、黄、ピンク、シアンに見える色)も使用することができる。これらの色域内画素は、色域画素のうちの少なくとも1つよりも効率がよく、一般に、すべての色域画素よりも効率がよい。(cd/A)を単位として測定できる効率は、単位電力(例えばワット(W)を単位として測定できる)によってデバイスから発生する光の量として決まる。デバイスの電力消費は、(望む輝度を発生させるのに必要な電流)×(印加された電圧と、有機発光ダイオード、ならびにその有機発光ダイオードと電圧源の間に電気的に接続されたあらゆる回路部品を電流が流れた後の電圧の差(V))によって決まる。RGBW型ディスプレイでは、色域内カラーは、色域内画素を1つ以上の色域画素と組み合わせてさまざまな強度で発光させることによっても表示できる。このようにして、RGBW型OLEDディスプレイは、色域内カラーを改善された電力効率で表示することができる。
【0010】
図1に、アクティブ・マトリックス駆動回路の回路図をいくつかの画素行と画素列に関して示してある。限られた数の行と列しか図示していないが、当業者であれば、この回路をより多数の行と列に拡張することができよう。このアクティブ・マトリックス駆動回路は、信号線(例えば選択線113、キャパシタ線114、データ線112r、データ線112g、データ線112b、データ線112w、電力線111r、電力線111g、電力線111b、電力線111w)からなる。これらの信号線は、図示してあるように1つの画素行または画素列に共通であり、その行または列の画素を駆動する構成にされている。このアクティブ・マトリックス駆動回路はさらに、選択トランジスタ120r、パワー・トランジスタ140r、記憶用キャパシタ130rなどの部品を備えており、1つ以上の信号線と組み合わされて画素20rの有機発光ダイオード10rを駆動する構成にされている。他の画素にも、その画素の各有機発光ダイオードを駆動するための同様の部品が設けられている。共通の上部電極がすべての有機発光ダイオードのカソードに接続されて回路が完成している。この共通する上部電極は、電圧源Vcに電気的に接続されている。しかし本発明が、上部電極が共通しているこの場合に限定されることはない。例えばこの上部電極が1つの画素列だけに共通しているようにし、各画素行には異なる上部電極を設けることもできる。これらの電極には同じレベルの電圧、または異なるレベルの電圧を供給することができる。個別の上部電極が個々の行に設けられた構成や、各画素に専用の独立した上部電極が設けられた構成も実現できる。
【0011】
電気的接続という用語は、この明細書では、導電体を通じて直接に接続されていること、またはスイッチ、トランジスタ、ダイオードなどの部品を通じて間接的に接続されていることを意味するのに用いる。電力線111r、電力線111g、電力線111bは電圧源V1に電気的に接続され、電力線111wは電圧源V2に電気的に接続されている。この実施例の回路は、カソードが共通の接続線に接続され、アノードがパワー・トランジスタに接続されることで有機発光ダイオードが特定のバイアスにされているが、当業者であれば、逆の構成にすることもでき、それも本発明の範囲に含まれる。
【0012】
駆動回路は、従来技術でよく知られているように動作する。各画素行は、その行に関係する選択線(例えば選択線113)に電圧信号を印加することによって選択される。すると各画素の選択トランジスタ(例えば選択トランジスタ120r)がオンになる。各画素の明るさのレベルまたはグレー・スケール情報は、データ線(例えばデータ線112r)に設定されている電圧信号によって制御される。すると各画素の記憶用キャパシタ(例えば記憶用キャパシタ130r)が、その画素に関係するデータ線のレベルの電圧まで充電され、次の画像フレームの間にその行が再び選択されるまでデータ電圧を維持する。記憶用キャパシタ130rは、パワー・トランジスタ140rのゲート端子に接続されている。パワー・トランジスタ140rは、記憶用キャパシタ130rによってゲート端子に維持されている電圧レベルに応答してソース端子とドレイン端子と有機発光ダイオード10rを流れる電流を調節し、そのことによって画素の明るさを制御する。次に、電圧信号を選択線に印加することによって各行が非選択状態にされ、選択トランジスタがオフになる。次に、データ線信号の値が次の行にとって望ましいレベルに設定され、次の行の選択線がオンになる。これがすべての画素行について繰り返される。
【0013】
このようになっているため、選択線は、1つの画素行を分離してその画素行にグレー・スケール情報がロードされるようにする機能を持つ信号線である。データ線は、グレー・スケール情報を画素に供給する信号線である。このグレー・スケール情報は、電圧信号または電流信号の形態にすることができる。電力線は、電力を画素の有機発光ダイオードに供給し、少なくとも画素行が選択線によって選択されていない間はその画素の明るさのレベルを維持する信号線である。一般に、電力線は、画素が光っているときは常に電力を有機発光ダイオードに供給する。さまざまな構成、回路部品、信号線を持つ従来から知られている多くの異なるタイプの回路配置は、これらの基本的な機能を果たす信号線を用いて構成されており、当業者であれば、こうした別のタイプの回路配置に基づいて本発明を実施することができよう。そのため、本発明がここに図示した特別な回路配置に限定されることはない。こうした別の配置としては、例えば、アメリカ合衆国特許第6,091,203号、第6,501,466号、第6,535,185号、第6,774,877号に記載されている電流ミラー型回路や、アメリカ合衆国特許第6,229,506号に記載されている画素回路、アメリカ合衆国特許出願公開2004/0222746 A1に記載されている画素回路などがある。
【0014】
V1とV2は、電圧源Vcの電圧レベルとは異なるレベルに維持された電圧源である。すでに説明したように、色域内画素である画素20wは、色域画素である画素20r、画素20g、画素20bよりも効率的になるように構成されている。したがって、望むピークの明るさを得るのに必要な画素20wの有機発光ダイオードにおける電圧低下の大きさは、画素20r、画素20g、画素20bのうちの少なくとも1つにおける必要な電圧低下の大きさよりも小さい。OLEDデバイスは理想的なダイオードではない。理想的なダイオードは抵抗を持たないため、そのダイオードをオンにする電圧よりも印加電圧を大きくしなくても無限の電流を流すことができる。他方、OLEDデバイスは、電流密度が大きくなるほど大きな印加電圧を必要とすることが知られている。より効率的なデバイスは、同等の明るさを実現するのに必要な電流がより少ない。色域内画素が色域画素とほぼ同じ発光面積を持つ場合には、色域内画素が必要とする電流密度はより小さいであろう。したがってより小さな電圧を供給することができる。
【0015】
色の異なる画素の発光面積が互いに同じではないディスプレイを設計すると望ましいことがしばしばある。色の異なる画素の発光面積を変えることにより、色の異なる画素のそれぞれに望むレベルの明るさを実現するのに用いる電流密度も変化する。OLEDデバイスの輝度効率は使用を続けていくうちに低下することが知られており、その低下速度は、電流密度が小さいほど小さい。したがって色の異なる1つ以上の画素の発光面積を個別に調節することにより、使用に伴う低下速度を調節することができる。したがって色の異なる1つ以上の画素の発光面積を調節し、色の異なるどの画素の輝度もディスプレイの寿命までの期間を通じてほぼ同じ速度で低下していくようにすることが好ましい。典型的な画像では色域画素の色(飽和色としても知られる)は色域内の色よりも出現頻度が少ないため、色域内画素は一般に色域画素よりも頻繁に使用される。したがって色域内画素の発光面積は、1つ以上の色域画素の発光面積よりも広いことが好ましい。RGBW型OLEDディスプレイで画素の発光面積を調節するというこの考え方は、アメリカ合衆国特許出願公開2004/0201558 A1に記載されている。このようにすると電流密度がさらに低下し、したがって必要とされる供給電圧が小さくなる。したがって本発明により色域内画素に独立した電圧源を設けると、色域画素よりも大きな発光面積を持つ色域内画素を備えるOLEDディスプレイでは電力消費がさらに少なくなる。
【0016】
したがって本発明によれば、色域内画素(ここでは画素20w)に印加される電圧はV2-Vcという値であるが、この値は、色域画素(ここでは画素20r、画素20g、画素20b)に印加される電圧(V1-Vc)よりも小さい。ディスプレイに供給すべき異なる電圧レベルの数を減らすことが望ましい。したがって、図示したように、色域画素の効率が互いにわずかに異なっているとしても、これら色域画素の電力線には同じ電圧レベルを供給することが好ましい。したがって3つの電圧レベル(V1、V2、Vcと表記される)だけを電力線と共通の上部電極とに供給する必要がある。しかし色域画素の1つに関係する電力線にさらに別の電圧レベルが供給される場合には、本発明によっていくつかの利点がさらに実現される。
【0017】
当業者であれば、すでに説明した上部電極が共通でない別の構成を実現することができよう。この場合には、複数の電圧レベルを複数の上部電極に供給すること、または複数の電圧レベルを複数の上部電極と複数の電力線の両方に供給することができる。このような別の構成は、本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0018】
同じ色(例えば赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W))を持つ複数の画素が複数の行と列に存在することができる。同じ色を持つすべての画素は同じ電圧レベルに接続されることが好ましい。例えば図示したように、所定の画素列にすべての赤色画素が含まれ、したがってその列全体が同じ電力線に接続されることが好ましい。同様に、4番目の画素列ごとに同じ色の全画素が含まれるようにすることができる。したがって4番目ごとの画素列の電力線もまとめて接続することができる。異なる列の電力線の接続は、図示してあるように、ディスプレイの一方の側において画素領域の外側で、これらの電力線をまとめて1本の接続線と電気的に接続することによって実現できる。本発明のこの好ましい実施態様ではすべての色域画素の電力線が1つの電圧源に接続され、色域内画素の電力線が第2の電圧源に接続されているため、その異なる電力線に2つの異なる電圧源を接続する必要がある。これは、ディスプレイの一方の側に沿って画素領域の外側で色域画素の複数の列の電力線をまとめて電気的に接続し、ディスプレイの他方の側に沿って画素領域の外側で色域内画素の複数の列の電力線をまとめて電気的に接続することによって実現することが好ましい。
【0019】
図2は本発明の一実施態様によるディスプレイの概念図であり、このディスプレイのさまざまな部分と区画のレイアウトと接続が示してある。このディスプレイは、画素領域30と、接続領域40と、選択線ドライバ50と、データ線ドライバ60を備えている。選択線ドライバ50は、すでに説明したように、各行の選択線(図示せず)を選択的にアクティブにする機能を有する。データ線ドライバ60は、すでに説明したように、各列のデータ線(図示せず)にデータ信号を供給する機能を持つ。画素領域30には、ディスプレイの発光画素が含まれる。画素領域30外の領域は非発光領域である。接続領域40には、複数の接続パッド(例えば接続パッド41、接続パッド42、接続パッド43)が設けられている。これら接続パッドは、ディスプレイを外部電源(図示せず)または制御回路(図示せず)に電気的に接続するワイヤまたはケーブルを接合する場所として機能する。例えば接続パッド41は電圧源Vcの接続部として機能し、接続パッド42は電圧源V1の接続部として機能し、接続パッド43は電圧源V2の接続部として機能する。すべての接続パッドをディスプレイの一辺に沿って形成することで、ディスプレイの非発光領域のサイズを小さくするとともに、接続プロセスを簡単化することが好ましい。それぞれの電圧源を1つの接続パッドに電気的に接続できるが、アメリカ合衆国特許第6,531,815号に記載されているように、複数の接続パッドを利用して1つ以上の電圧源を低抵抗値で電気的に接続することもできる。
【0020】
接続パッド42は、色域画素の電力線(例えば電力線111r、電力線111g、電力線111b)に電気的に接続される。この電気的接続は、ディスプレイの一方の側において画素領域30の外側でなされる。これは、例えば図示してあるように、ディスプレイの接続領域40と同じ側で、画素領域30と接続領域40の間にすることができる。接続パッド43は、色域内画素の電力線(例えば電力線111w)に電気的に接続される。この電気的接続も、ディスプレイの一方の側において画素領域30の外側でなされる。これは、例えば図示してあるように、ディスプレイのデータ線ドライバ60と同じ側で、画素領域30とデータ線ドライバ60の間にすることができる。
【0021】
画素20r、画素20g、画素20b、画素20wの駆動に用いる本発明の駆動回路のいくつかの部分のレイアウト図を図3に示してある。図3は、さまざまな回路部品(例えば選択トランジスタ120r、記憶用キャパシタ130r、パワー・トランジスタ140r)の構成とレイアウトを示している。駆動回路の部品は、公知の集積回路技術と薄膜トランジスタ技術を利用して製造される。選択トランジスタ120rは、従来技術でよく知られた方法を利用して第1の半導体領域121から形成される。選択トランジスタ120rは、二重ゲート型トランジスタとして示してあるが、本発明をうまく実施する上でその必要はなく、単一ゲート型トランジスタも利用できる。同様に、パワー・トランジスタ140rは、第2の半導体領域141に形成される。第1の半導体領域121と第2の半導体領域141は、同じ半導体層から形成されることが好ましい。この半導体層は、シリコン(例えば多結晶シリコンまたは結晶シリコン)が好ましいが、アモルファス・シリコンでもよい。従来から知られている他の無機と有機の半導体材料も使用できる。この第1の半導体領域121は、記憶用キャパシタ130rの一方の側も形成している。第1の半導体領域121と第2の半導体領域141の上には窒化ケイ素などの材料からなる絶縁層(図示せず)が存在していて、選択トランジスタ120rのゲート絶縁体と、パワー・トランジスタ140rのゲート絶縁体と、記憶用キャパシタ130rの絶縁層を形成している。選択トランジスタ120rのゲートは、第1の導体層の中に形成された選択線113の一部から形成される。パワー・トランジスタ140rは、独立したパワー・トランジスタのゲート143を有する。このゲートも第1の導体層の中に形成されていることが好ましい。記憶用キャパシタ130rの他の電極は、キャパシタ線114の一部として形成され、やはり第1の導体層から形成されることが好ましい。電力線111r、電力線111g、電力線111b、電力線111w、データ線112r、データ線112g、データ線112b、データ線112wは、第2の導体層から形成されることが好ましい。1本以上の信号線(例えば選択線113)が少なくとも1本以上の他の信号線(例えばデータ線112r)を横断することがしばしばある。そのためこれらの信号線を複数の導体層から製造し、窒化ケイ素などの材料からなる少なくとも1つの中間絶縁層(図示せず)が間に配置されているようにすることが好ましい。有機発光ダイオードの第1の電極181は、パワー・トランジスタ140rに接続される、窒化ケイ素などの材料からなる絶縁層(図示せず)が、第1の電極181と第2の導電層の間に位置している。
【0022】
層間の接続は、絶縁層に穴(またはビア)をエッチングすることによってなされる。その穴とは、例えば、データ線112rを第1の半導体領域121に接続するビア122である。同様に、ビア142は、パワー・トランジスタのゲート143を第1の半導体領域121に接続し、ビア146は、第2の半導体領域141を電力線111rに接続し、ビア145は、第2の半導体領域141を第1の電極181に接続している。
【0023】
第1の電極181は、有機発光ダイオードの有機エレクトロルミネッセンス媒体への電気的コンタクトを提供する機能を持つ。第1の電極の周辺部の上に画素間誘電体層を形成して電極の縁部を覆うことで短絡を減らせる。このような画素間誘電体層は、アメリカ合衆国特許第6,246,179号にも記載されている。開口部182を画素間誘電体層の中に第1の電極181の上方に来るようにして形成し、第1の電極181を有機発光ダイオードの有機エレクトロルミネッセンス媒体と接触させる。画素20rの発光面積は、第1の電極181のうちで有機エレクトロルミネッセンス媒体と接触している面積によって規定される。そのため発光面積は、第1の電極181の面積から誘電体材料で覆われた全面積を差し引いた値になる。したがってここに説明したような画素間誘電体層を使用する場合には、発光面積は、画素間誘電体層の開口部(例えば開口部182)の面積である。このような画素間誘電体層を用いることが好ましいが、本発明をうまく実現するのにそれが必須なわけではない。
【0024】
好ましい一実施態様では、色域画素の発光領域で発生した光の経路にカラー・フィルタ素子(図示せず)が配置されているため、発生した光の色はフィルタされた後に見る人に到達する。色域内画素には、場合によっては、透明な装填材料、または色をわずかに変えるためのカラー・フィルタ素子を取り付けることができる。あるいは、色域内画素のための透明な装填材料またはカラー・フィルタ素子を取り付けることなく、本発明をうまく実施することもできる。
【0025】
図3に示した本発明の好ましい一実施態様では、色域内画素(画素20w)の発光領域は、すでに説明したように、色域画素(画素20r、画素20g、画素20b)の発光領域よりも大きくされている。色域画素の発光領域は、(図示したように)互いにほぼ同じにしてもよいし、互いに変えてもよい。OLEDデバイスは理想的なダイオードではなく、より大きな電流密度ではより大きな電圧が必要とされるため、色域内画素の発光領域を色域画素と比べて大きくすることで、色域内画素が必要とする電圧を色域画素が必要とする電圧よりもさらに小さくする。
【0026】
各画素の有機発光ダイオードに供給される電流は、その画素のパワー・トランジスタによって調節される。例えばパワー・トランジスタ140rが、画素20rの有機発光ダイオードに供給される電流を調節する。発光面積として利用できる面積を増やすため、または画素をより大きな密度または解像度で形成するため、基板上の表面積に対するパワー・トランジスタのサイズを小さくすることが望ましい。各トランジスタには、長さと幅を持ったチャネル領域が設けられている。このチャネル領域は、ゲート電極によって覆われる半導体領域の面積である。例えばパワー・トランジスタ140rは、図示してあるように、幅がW1で長さがL1のチャネル領域を有する。同様に、画素20wのパワー・トランジスタ140wは、幅がW2で長さがL2のチャネル領域を有する。チャネル長は、トランジスタのゲートのいずれかの側にあるこのトランジスタの2つの端子に挟まれたチャネルの大きさである。チャネル幅は、チャネル長に垂直なチャネル領域の大きさである。
【0027】
パワー・トランジスタを通過する電流は、よく知られた以下の式で与えられる。
I = (μ×C'ox/2) × (W/L) × (VGS - VTH)2 (式1)
ただしμはキャリアの移動度であり、C' oxは単位面積あたりのゲート容量であり、Wはチャネル領域の幅であり、Lはチャネル領域の長さであり、VGSはトランジスタのゲート端子とソース端子の間の電圧であり、VTHはトランジスタの閾値電圧である。
【0028】
動作中は、VGSの値は、データ線から受け取ったグレー・スケール情報に従って変化する。しかし色域内画素は色域画素よりも効率が大きいため、色域内画素から望ましいピークの明るさを発生させるのに必要な電流は、色域画素から望ましいピークの明るさを発生させるのに必要な電流よりも少ない。したがって色域内画素のチャネル長に対するチャネル幅の比(W/L)は、色域画素のチャネル長に対するチャネル幅の比よりも小さいことが好ましい。これは、すべての画素で望ましいピークの明るさを実現するのに必要なVGSの値を同じかほぼ同じに維持しながら実現することができる。これは、図示してあるように、色域内画素のチャネル幅(例えばW2)を色域画素のチャネル幅(例えばW1)よりも短くすることによって実現できる。すると色域内画素のパワー・トランジスタはサイズが色域画素のパワー・トランジスタと比べて小さくなる。
【0029】
さらに、データ電圧源(図示せず)を用いてデータ線に供給されるグレー・スケール情報を生成させる。データ信号が電圧信号の形態で供給される場合には、中間グレー・スケール・レベルは、このデータ電圧源から発生する中間電圧レベルによって表わされる。すべての色域画素と色域内画素のチャネル長に対するチャネル幅の比が同じであったなら、各画素の各グレー・スケール・レベルのためのすべての中間電圧レベルに対応するため、このデータ電圧源からより多くの中間電圧レベルを発生させる必要があったろう。この場合、色域内画素では、利用可能な中間電圧レベルのほんの一部しか使用されないことになろう。しかし色域内画素のチャネル長に対するチャネル幅の比が色域画素のチャネル長に対するチャネル幅の比よりも小さくなるようにデバイスを構成することにより、中間電圧レベルの数を減らして全画素で同じ数のグレー・スケール・レベルを実現することができる。好ましい1つの構成では、チャネル長に対するチャネル幅の比を適切に調節することにより、色域内画素と1つ以上の色域画素で同じ電圧レベルを用いる。
【0030】
最後に、望ましいピークの明るさを実現するのに必要な電圧レベルは大きくなるため、色域内画素のチャネル長に対するチャネル幅の比が色域画素のチャネル長に対するチャネル幅の比よりも小さくなるようにデバイスを構成することにより、色域内画素に供給されるグレー・スケール情報に含まれるノイズの影響を減らす。このようにすると、パワー・トランジスタに供給される電圧信号の変動の形態になったノイズの大きさは、データ信号そのものの大きさと比べて小さくなる。
【0031】
すべての色域画素でチャネル長に対するチャネル幅の比を同じにできるが、この比は互いに異なっていてもよく、それでも上記の利点のうちの1つ以上が得られる。図3に示した実施例では、L1とL2はほぼ同じ値になるようにしてあるのに対し、W1とW2は違う値にしてある。しかし長さを違う値にして幅を同じ値にしたり、長さと幅の両方を違う値にした他の実施例も用いることができる。
【0032】
図3のOLEDディスプレイのさまざまな層の線X-X'に沿った鉛直方向の配置を示す断面図を図4に示してある。図4から、画素20r、画素20g、画素20b、画素20wが基板100の上に形成されていることがわかる。これらの画素は、電気的に刺激すると、それぞれ光280r、280g、280b、280wを出す。絶縁層202と、絶縁層204と、絶縁層207を含むアクティブ・マトリックス回路層200が示してある。第1の電極(例えば第1の電極181)の縁部の上に画素間誘電体層160が形成されていることもわかる。図示してあるように光を基板を通して見る場合には、第1の電極は、非常に透明なインジウム-スズ-酸化物などの材料で構成することが好ましい。しかし本発明がこの構成に限定されることはなく、反対方向に光が出るデバイスを構成することもできる。その場合、第1の電極は、反射性のアルミニウムまたは銀などの材料で構成することが好ましい。
【0033】
各画素はさらに、有機EL媒体210の一部を含んでいる。本発明をうまく実施できる有機EL媒体210層の構成は多数ある。有機EL媒体に関し、すべての画素が利用する波長の光を出す広帯域光源または白色光源を用いて画素間の有機EL媒体をパターニングしなくても済むようにできる。その場合、色域画素用に光の通路にカラー・フィルタ素子(例えばカラー・フィルタ素子230r、カラー・フィルタ素子230g、カラー・フィルタ素子230b)を設けて広帯域光源または白色光源から望む色の光を発生させ、マルチ-カラー・ディスプレイにする。有機EL媒体と同じ白色光または広帯域光を発生させる画素(例えば画素20w)はフィルタなしにすることができる。その場合、場合によっては透明な充填剤230wをカラー・フィルタ素子の代わりに配置することができる。白色光または広帯域光を発生させる有機EL媒体のいくつかの例が、例えばアメリカ合衆国特許第6,696,177号に記載されている。しかし本発明は、各画素が別々にパターニングされた1つ以上の有機EL媒体層を持っていて、特定の画素が異なる色を出す場合にも適用できる。有機EL媒体210は、いくつかの層で構成されている。すなわち、正孔注入層211と、正孔注入層211の上に配置された正孔輸送層212と、正孔輸送層212の上に配置された発光層213と、発光層213の上に配置された電子輸送層214である。より少ない層、またはより多くの層を有する有機EL媒体210の別の構成を利用して本発明をうまく実施することもできる。順番が逆になった有機EL媒体層も従来技術で知られており、本発明に適用することができる。有機EL媒体層は、従来技術で知られているように、有機材料として小分子材料またはポリマー材料を含んでいる。有機EL媒体層は、従来技術で知られているいくつかの方法のうちの1つ以上の方法で堆積させることができる。そのような方法として、例えば、真空チェンバー内で熱を利用した蒸着、ドナー基板からのレーザー転写、スピン・コーティングによる溶媒からの堆積、インク・ジェット印刷装置の利用などの方法がある。
【0034】
有機EL媒体210の上には第2の電極220が形成される。図示してあるように光を基板を通して見る構成では、この電極は反射性が大きいことが好ましく、金属(例えばアルミニウム、銀、マグネシウムと銀の合金)で構成することができる。しかし光を反対方向から見る別の実施態様では、この電極は非常に透明でなければならず、薄い金属(例えば厚さが25nm未満の銀)、または透明な導電性酸化物(例えばインジウム-スズ-酸化物)、またはこれらの組み合わせで構成される。第2の電極220は、電子の注入を促進するリチウムなどの材料からなる電子注入層(図示せず)も備えることができる。有機EL媒体210のある領域が第1の電極(例えば第1の電極181)と第2の電極220の間を流れる電流によって刺激されると、有機EL媒体210のその領域から光が出る。
【0035】
たいていのOLEDデバイスは、水分と酸素の一方または両方に敏感であるため、一般に不活性雰囲気(例えば窒素やアルゴン)中で、金属製またはガラス製のカバーを利用した封止手段(図示せず)を用いて乾燥剤(例えばアルミナ、ボーキサイト、硫酸カルシウム、粘土、シリカゲル、ゼオライト、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、ハロゲン化金属、過塩素酸塩)とともに密封される。封入と乾燥のための方法としては、アメリカ合衆国特許第6,226,890号に記載されている方法などがある。さらに、封止には、障壁層(例えばSiOx、テフロン(登録商標))や、無機層/ポリマー層を交互にした層が従来技術で知られており、当業者であれば本発明に適用することができよう。
【0036】
図1と図3に示した実施例は、ストライプのパターンに配置した画素を示している。ストライプ・パターンでは、同じ色の画素が同じ列または行に並んでいる。しかし本発明がこの場合に限定されることはなく、色の異なる画素が同じ行または列に配置された別のパターンも本発明に適用することができる。特に有用な1画素配置パターンは、異なる4つの色の画素が、2行2列の長方形に配置された四角形パターンである。四角形パターンは、異なる4つの色の画素がすべて互いに接近している点で有利である。そのため、ある画像またはある画像の一部の1つ以上の画素が光っていないとき、バンド状の欠陥が認識されにくくなる。
【0037】
3つの色域画素(画素20r、画素20g、画素20bが含まれる)と1つの色域内画素(画素20w)からなる四角形パターンの配置を駆動するのに用いる本発明の別の実施態様による駆動回路の一部のレイアウト図を図5に示してある。画素20r、画素20g、画素20b、画素20wは、赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光、白色(W)光をそれぞれ発生する構成にできる。しかし本発明がこれえらの特定の色に限定されることはなく、当業者であれば、他の色も本発明に適用することができよう。
【0038】
電源を画素20r、画素20g、画素20b、画素20wに接続するため、2本の異なる電力線(例えば電力線111xと電力線111w)を用意する。上記の実施例と同様、色域内画素(画素20w)は電力線111wに電気的に接続される。特に、パワー・トランジスタ140wは、図示してあるようにビアを通じて電力線111wに電気的に接続される。この別の実施態様では、色域画素(例えば画素20r、画素20g、画素20b)は電力線111xに接続される。電力線111xと電力線111wは2つの異なる電圧源(図示せず)に電気的に接続されるため、色域内画素に印加される電圧の大きさは、電力線111xに接続された色域画素に印加される電圧の大きさちょりも小さくなる。
【0039】
電力線111xを画素20gに接続できるようにするには、電力線111wを横断せねばならない。これは、導電性ブリッジ144によって実現することが好ましい。導電性ブリッジ144は、電力線とは異なる導電層に形成されていて、ビア149を通じて電力線111xに接続され、ビア147rとビア147gを通じて画素のパワー・トランジスタに接続される。導電性ブリッジ144は、選択線と同じ導電層に形成されることが好ましい。同様に、データ線112rと選択トランジスタ120rの間を、データ線112bを横断して接続せねばならない。これは、導電性ブリッジ124を用いて実現される。この導電性ブリッジ124は、ビア125を通じてデータ線112rに電気的に接続され、ビア127を通じて選択トランジスタ120rに電気的に接続されているからである。導電性ブリッジ124は、データ線とは異なる導電層に形成されていて、選択線と同じ導電層に形成されることが好ましい。図示してあるように、同様の導電性ブリッジが画素20gに設けられている。
【0040】
この構成では、図3のストライプ・パターンで示した4本の電力線ではなく、異なる4つの色の画素に2本の電力線しか用意していないため、電力線が基板上で占めるスペースが少なくなる。したがって画素をより密に詰めることができ、そのことによってより高い解像度のディスプレイが可能になる。また、特に光を基板を通じて見る場合には、解像度を一定に維持し、画素の発光面積を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明によるディスプレイのアクティブ・マトリックス駆動回路の回路図である。
【図2】本発明の一実施態様によるディスプレイのレイアウトと配線である。
【図3】本発明によるディスプレイの画素を駆動するのに使用される駆動回路の素子の構成とレイアウトである。
【図4】図3のディスプレイを線X-X'に沿って切断した断面図である。
【図5】本発明の別の一実施態様によるディスプレイの画素を駆動するのに使用される駆動回路の素子群の構成とレイアウトである。
【符号の説明】
【0042】
10b 発光ダイオード
10g 発光ダイオード
10r 発光ダイオード
10w 発光ダイオード
20b 画素
20g 画素
20r 画素
20w 画素
30 画素領域
40 接続領域
41 接続パッド
42 接続パッド
43 接続パッド
50 選択線ドライバ
60 データ線ドライバ
100 基板
111b 電力線
111g 電力線
111r 電力線
111w 電力線
111x 電力線
112b データ線
112g データ線
112r データ線
112w データ線
113 選択線
114 キャパシタ線
120r 選択トランジスタ
121 第1の半導体領域
122 ビア
124 導電性ブリッジ
125 ビア
127 ビア
130r 記憶用キャパシタ
140r パワー・トランジスタ
140w パワー・トランジスタ
141 第2の半導体領域
142 ビア
143 パワー・トランジスタのゲート
144 導電性ブリッジ
145 ビア
146 ビア
147g ビア
147r ビア
149 ビア
160 画素間誘電体層
181 第1の電極
182 開口部
200 アクティブ・マトリックス回路層
202 絶縁層
204 絶縁層
207 絶縁層
210 有機EL媒体
211 正孔注入層
212 正孔輸送層
213 発光層
214 電子輸送層
220 第2の電極
230r カラー・フィルタ素子
230g カラー・フィルタ素子
230b カラー・フィルタ素子
230w 透明な充填剤
280b 光
280g 光
280r 光
280w 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多色画像を生成させるため、
a)アドレス可能な色の異なる3つの色域画素と、アドレス可能な第4の色域内画素を含んでいて、各画素は、第1の電極と、第2の電極と、これら電極間に設けられた1つ以上の発光層とを含む独立にアドレス可能な有機発光ダイオードを備える複数の画素と;
b)アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素のうちの少なくとも2つのための独立したパワー・トランジスタであって、第1の電圧源と第2の電圧源の間でアドレス可能なその色域画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路と;
c)アドレス可能な第4の色域内画素のためのパワー・トランジスタであって、第3の電圧源と第4の電圧源の間でアドレス可能なその第4の色域内画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路とを備えていて、上記第1の電圧源、上記第2の電圧源、上記第3の電圧源、上記第4の電圧源のうちの少なくとも3つが異なる電圧レベルを提供するOLEDディスプレイ。
【請求項2】
多色画像を生成させるため、
a)アドレス可能な色の異なる3つの色域画素と、アドレス可能な第4の色域内画素を含んでいて、各画素は、第1の電極と、第2の電極と、これら電極間に設けられた1つ以上の発光層とを含む独立にアドレス可能な有機発光ダイオードを備える複数の画素と;
b)アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素のうちの少なくとも2つのための独立したパワー・トランジスタであって、第1の電圧源と第2の電圧源の間でアドレス可能なその色域画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路と;
c)アドレス可能な第4の色域内画素のためのパワー・トランジスタであって、第3の電圧源と第4の電圧源の間でアドレス可能なその第4の色域内画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路とを備えていて;
d)上記第3の電圧源と上記第4の電圧源の電圧レベルの差が、上記第1の電圧源と上記第2の電圧源の電圧レベルの差よりも小さいOLEDディスプレイ。
【請求項3】
アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素が、それぞれ、赤色光、緑色光、青色光を発生させ、アドレス可能な第4の上記色域内画素が、白色光を発生させる、請求項2に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項4】
上記アクティブ・マトリックス回路が、アドレス可能な色の異なる3つの色域画素のための独立したパワー・トランジスタであって、上記第1の電圧源と上記第2の電圧源の間でアドレス可能なその色域画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含む、請求項2に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項5】
上記第2の電圧源と上記第4の電圧源が同じである、請求項2に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項6】
電力線が、アドレス可能な色の異なる上記色域画素のそれぞれのパワー・トランジスタに付随していて、電流を上記第1の電圧源からそのパワー・トランジスタを通じて対応する有機発光ダイオードに流し、上記第2の電圧源に供給する、請求項2に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項7】
アドレス可能な色の異なる上記色域画素のそれぞれのパワー・トランジスタに付随する上記電力線がまとめて接続されている、請求項6に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項8】
アドレス可能な色の異なる上記色域画素のそれぞれのパワー・トランジスタに付随する上記電力線がディスプレイの一方の側にまとめて接続されている、請求項6に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項9】
電力線が、アドレス可能な第4の色域内画素のパワー・トランジスタに付随していて、電流を上記第3の電圧源からそのパワー・トランジスタを通じて対応する有機発光ダイオードに流し、上記第4の電圧源に供給する、請求項2に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項10】
アドレス可能な複数の第4の色域内画素をさらに含んでいて、そのアドレス可能な第4の複数の色域内画素に付随するそれぞれの電力線がまとめて接続されている、請求項9に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項11】
アドレス可能な複数の第4の色域内画素をさらに含んでいて、そのアドレス可能な第4のその複数の色域内画素に付随するそれぞれの電力線がディスプレイの一方の側にまとめて接続されている、請求項9に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項12】
多色画像を生成させるため、
a)アドレス可能な色の異なる3つの色域画素と、アドレス可能な第4の色域内画素を含んでいて、各画素は、第1の電極と、第2の電極と、これら電極間に設けられた1つ以上の発光層とを含む独立にアドレス可能な有機発光ダイオードを備える複数の画素と;
b)アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素のうちの少なくとも2つのための独立したパワー・トランジスタであって、それぞれが、チャネル長に対するチャネル幅の比が第1の値であるチャネル領域を持っていて、アドレス可能なその色域画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路と;
c)アドレス可能な第4の色域内画素のためのパワー・トランジスタであって、チャネル長に対するチャネル幅の比が第2の値であるチャネル領域を持っていて、アドレス可能なその第4の色域内画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含むアクティブ・マトリックス回路とを備えていて;チャネル長に対するチャネル幅の比の上記第1の値と、チャネル長に対するチャネル幅の比の上記第2の値が異なっているOLEDディスプレイ。
【請求項13】
チャネル長に対するチャネル幅の比の上記第1の値が、チャネル長に対するチャネル幅の比の上記第2の値よりも大きい、請求項12に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項14】
上記アクティブ・マトリックス回路が、アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素すべてのための独立したパワー・トランジスタであって、それぞれが、チャネル長に対するチャネル幅の比が同じであるチャネル領域を持っていて、アドレス可能なその色域画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節するパワー・トランジスタを含む、請求項12に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項15】
アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素のうちの少なくとも2つのための独立したパワー・トランジスタが、上記第1の電圧源と上記第2の電圧源の間でアドレス可能なその色域画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節しており、アドレス可能な上記第4の色域内画素のためのパワー・トランジスタが、上記第3の電圧源と上記第4の電圧源の間でアドレス可能なその第4の色域内画素の有機発光ダイオードを流れる電流を調節しており、上記第3の電圧源と上記第4の電圧源の電圧レベルの差が、上記第1の電圧源と上記第2の電圧源の電圧レベルの差よりも小さい、請求項12に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項16】
上記第2の電圧源と上記第4の電圧源が同じである、請求項15に記載のOLEDディスプレイ。
【請求項17】
アドレス可能な色の異なる上記3つの色域画素が、それぞれ、赤色光、緑色光、青色光を発生させ、アドレス可能な第4の上記色域内画素が、白色光を発生させる、請求項12に記載のOLEDディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−532245(P2008−532245A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558043(P2007−558043)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/005393
【国際公開番号】WO2007/050113
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】