説明

改良された通気性低輻射率金属化シート

水蒸気透過性金属化複合シートは、水蒸気透過性シートを少なくとも1つの金属層および少なくとも1つの外側有機コーティング層でコートすることによって形成される。本複合シートの水蒸気透過性は、出発シートの水蒸気透過性の少なくとも約80%である。本複合シートは、高い水蒸気透過性および良好な熱バリア性を持ちながら、空気および液体水浸透に対するバリアを提供する。本複合シート材料は、屋根ライニングおよびハウスラップのような建築構造ラップとしての使用に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造で熱バリアとしての使用に好適な改良された水蒸気透過性および熱バリア性を有する金属化シートに関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気透過性(通気性)金属化シートを建築構造でハウスラップとして使用することは当該技術で公知である。金属化シートは、同時に空気および液体水に対するバリアを提供し、そして建物のエネルギー効率を高めながら、水蒸気にシートを通過させ、こうしてシートの後に設置される断熱材での結露を防ぐ。ジョーンズ(Jones)らに付与された特許文献1は、プレキシフィラメント状(plexifilamentary)フィルム−フィブリルシートをカレンダー掛けし、引き続き真空金属化することによって製造された低輻射率(low emissivity)の水蒸気透過性金属化ポリエチレンシートを記載している。アヴェラネット(Avellanet)に付与された特許文献2は、その上に少なくとも1つの金属化層を有する、蒸気透過性または不透過性であることができる浸透およびエネルギーバリアを記載している。スクワイアーズ(Squires)らに付与される特許文献3は、微小孔性フィルムの下層とフィラメント状のポリマー布、例えば、水蒸気透過性の反射金属コーティングが付いているスパンボンド布でできた最上層とを含む通気性の建物隔膜を記載している。上記の通気性金属化シートは赤外放射線を反射することによって熱バリアを提供するが、それらは空気および水分への暴露時に金属層の酸化を受けやすい。酸化された金属層は一般に、相当する金属より高い輻射率を有し、熱バリアとしてそれほど有効でない。加えて、薄い露出された金属層は、加工、設置など中に損傷され得る。
【0003】
アブリル(Avril)らに付与される特許文献4は、金属層を第1ポリマーフィルム層上に蒸着させ、そして該金属層を第1ポリマーフィルム層と第2ポリマーフィルム層との間に挟むことによって形成された反射フィルム層を含む、ハウスラップおよび屋根材アンダーレイのような建設布としての使用に好適である液体不透過性、水蒸気/ガス透過性の積層布を記載している。該フィルム層は金属層を使用中の損傷から守るが、水分不透過性であり、そして所望の水蒸気透過性を与えるために金属化後に微小穿孔される。
【0004】
有機ポリマーでコートされた金属化不織布もまた、ハウスラップのような、建設最終用途向けに知られている。しかしながら、ポリマーコーティングは、非コート金属化不織シートと比較して水蒸気透過性を著しく低下させる方法を用いて付けられる。ブラウン(Brown)らに付与される特許文献5は、反射層および通気性織物層を含んでなる断熱膜を外側クラッディング層とフレームとの間の空洞へ導入する工程を含む建物の断熱化方法を記載している。金属化層は場合により、金属表面を保護するためにプラスチックまたはワニスの保護層でコートされてもよい。
【0005】
水蒸気透過性シートがエアナイフ・コーティング、フレキソ印刷、グラビアコーティングなどのような従来の方法を用いて実質的に全体表面にわたってコートされる場合、コーティングはシートの水蒸気透過性を低下させる。出発シートが開放構造を有し、高度に通気性である場合、シートは、アパレルのような、ある種の最終用途で有用であるために十分な水蒸気透過性をコーティング後に保持することができる。例えば、カラー(Culler)に付与された特許文献6に記載されている布は、金属化されそして疎油性コーティングでコートされた後に通気性および水蒸気透過性の両方である。しかしながら、出発水蒸気透過性シートが、不織布および建設工業でハウスラップまたは屋根ライニングとして使用される他のシートのような、非常に低い通気性の高度に閉ざされた構造を有する場合、従来のコーティングはシート表面上の孔の著しいカバリングをもたらす。これは、出発シートより著しく低い水蒸気透過性を有する被覆シートをもたらす。これは、同時に空気および液体水による浸透に対するバリアを形成しながら水蒸気に対しては望ましくは透過性である、ハウスラップおよび屋根ライニング製品では望ましくない。
【0006】
ハウスラップおよび屋根ライニングのような建設用途向けの液体水に対する高いバリア、高い水蒸気透過性、および良好な熱バリア性を有する金属化シートを提供することは望ましいであろう。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,999,222号明細書
【特許文献2】米国特許第4,974,382号明細書
【特許文献3】国際公開第01/28770号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第1400348号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0136078号明細書
【特許文献6】米国特許第5,955,175号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1実施形態によれば、本発明は、金属化複合シートであって、水蒸気透過性シート層であって、第1および第2外面、ならびに少なくともシート層の前記第1外面上の少なくとも1つの多層コーティングを有し、シート層が不織布、織布、不織布−フィルムラミネート、織布−フィルムラミネート、水蒸気透過性フィルムおよびそれらの複合体の少なくとも1つを含んでなり、水蒸気透過性シート層の第1外面が微小穿孔フィルム、織布および不織布よりなる群から選択された多孔質シートであり、前記多層コーティングが、シート層の第1外面に隣接した約15ナノメートル〜200ナノメートルの厚さを有する第1金属コーティング層と、金属層上に蒸着された約0.2マイクロメートル〜2.5マイクロメートルの厚さを有する、有機ポリマー、有機オリゴマーおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択された材料を含有する組成物の外側有機コーティング層とを含んでなる水蒸気透過性シート層を含んでなり、複合シートの水蒸気透過速度(MVTR)が金属およびコーティング層を蒸着させる前に測定されたシート層のMVTRの少なくとも約80%である金属化複合シートに関する。
【0009】
代わりの実施形態では、本発明の金属化複合シートは、シート層と金属コーティング層との間の水蒸気透過性シート層の第1外面上に蒸着された、約0.02マイクロメートル〜2マイクロメートルの厚さを有する、有機ポリマー、有機オリゴマーおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択された材料を含有する組成物の中間有機コーティング層をさらに含んでなる多層コーティングであって、中間および外側有機コーティング層の組み合わせた全厚さが約2.5マイクロメートル以下である多層コーティングを有することができる。
【0010】
本発明の別の実施形態は、第1および第2外面ならびに少なくとも1つの多層コーティングを有する多孔質フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート層を含んでなる金属化複合シートであって、該多層コーティングが、フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート層の第1外面上に蒸着された約15ナノメートル〜200ナノメートルの厚さを有する金属コーティング層であって、前記金属がアルミニウム、銀、銅、金、錫、亜鉛、およびそれらの合金から選択された層と、金属層上に蒸着された約0.2マイクロメートル〜1マイクロメートルの厚さを有する架橋ポリアクリレートを含有する組成物の外側有機コーティング層とを含んでなり、多層コーティングが、孔を実質的にカバーされないままにしてフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートの外面を実質的にカバーする金属化複合シートに関する。
【0011】
本発明の別の代わりの実施形態は、第1および第2外面ならびに少なくとも1つの多層コーティングを有する多孔質フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート層を含んでなる金属化複合シートであって、該多層コーティングが、前記フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート層の第1外面上に蒸着された約0.02マイクロメートル〜1マイクロメートルの厚さを有する架橋ポリアクリレートを含有する組成物の中間有機コーティング層と、前記中間有機コーティング層上に蒸着された約15ナノメートル〜200ナノメートルの厚さを有する金属コーティング層であって、前記金属がアルミニウム、銀、銅、金、錫、亜鉛、およびそれらの合金から選択された層と、金属層上に蒸着された約0.2マイクロメートル〜1マイクロメートルの厚さを有する架橋ポリアクリレートを含有する組成物の外側有機コーティング層とを含んでなり、多層コーティングが、孔を実質的にカバーされないままにしてフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートの外面を実質的にカバーする金属化複合シートに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
用語「不織布」、「不織シート」、「不織層」、および「不織ウェブ」は本明細書で用いるところでは、編布または織布とは対照的に、ランダムに配置されて特定可能なパターンなしに平面の材料を形成する個々のストランド(例えば繊維、フィラメント、または糸)の構造体を指す。用語「繊維」は本明細書では、連続フィラメントだけでなくステープルファイバーも含むために用いられる。不織布の例には、メルトブローンウェブ、スパンボンド不織ウェブ、フラッシュ紡糸ウェブ、梳毛ウェブおよびエアレイドウェブをはじめとするステープルベースのウェブ、スパンレースウェブ、および2つ以上の不織ウェブを含んでなる複合シートが挙げられる。
【0013】
用語「織シート」は本明細書では、交差するたておよびよこストランドのパターンを織ることによって形成されたシート構造体を指す。
【0014】
用語「スパンボンド繊維」は本明細書で用いるところでは、溶融した熱可塑性ポリマー材料を紡糸口金の複数の細かい、通常円形の毛管から繊維として押し出し、押し出された繊維の直径が延伸することによって次に急激に減らされて、そして次に繊維を急冷することによって溶融紡糸される繊維を意味する。
【0015】
用語「メルトブローン繊維」は本明細書で用いるところでは、溶融加工可能なポリマーを高速ガス(例えば空気)流れ中へ溶融流れとして複数の毛管を通して押し出すことを含んでなる、メルトブローすることによって溶融紡糸される繊維を意味する。
【0016】
用語「スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布」(「SMS」)は本明細書で用いるところでは、2つのスパンボンド層間に挟まれた、そしてそれらに接合されたメルトブローン繊維のウェブを含んでなる多層複合シートを指す。追加のスパンボンドおよび/またはメルトブローン層を複合シート、例えばスパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンドウェブ(「SMMS」)などに組み入れることができる。
【0017】
用語「プレキシフィラメント状」は本明細書で用いるところでは、ランダム長さの、そして約4ミクロン未満の平均フィルム厚さおよび約25ミクロン未満の中央フィブリル幅の、多数の薄い、リボンのような、フィルム−フィブリル・エレメントの三次元統合ネットワークまたはウェブを意味する。プレキシフィラメント状構造体では、フィルム−フィブリル・エレメントは、構造体の縦軸と略同延に整列し、それらは構造体の長さ、幅および厚さの全体にわたって様々な場所で断続的に一体化し、不規則な間隔で分離して連続の三次元ネットワークを形成する。プレキシフィラメント状フィルム−フィブリル・エレメントの不織ウェブは、本明細書では「フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート」と言われる。
【0018】
本明細書で用いるところでは、用語「テープ」は、スリットフィルムから形成された偏平ストランドのような、偏平ストランドを指す。
【0019】
本明細書で用いるところでは、用語「金属」には、金属だけでなく金属合金も含まれる。
【0020】
用語「壁システム」は本明細書では建築構造での壁を指すために用いられる。壁システムには、内部ライニングおよび外側スキン層、ならびに内部ライニングと外側スキン層との中間の他の壁エレメントが含まれる。中間エレメントは、垂直の木製植込ボルトのような支持フレームエレメント、少なくとも1つの空隙、断熱材料、任意の蒸気バリア層、および本発明の水蒸気透過性金属化複合シートを含むことができる。
【0021】
用語「屋根システム」は本明細書では建築構造での屋根を指すために用いられる。屋根システムには、傾斜した木製垂木、外部屋根材料および他の屋根エレメントのような支持屋根フレームエレメントが含まれる。屋根システムは、暖かい屋根システム(warm roof systems)と冷たい屋根システム(cold roof systems)とに分類することができる。冷たい屋根システムでは、他の屋根エレメントは、任意の蒸気バリア層、少なくとも1つの空隙(それは屋根裏部屋空隙であることができる)、張り板(battens)または中空でない野地板のような支持屋根フレームエレメントと外部屋根材料との中間のエレメント、本発明の水蒸気透過性金属化複合シート、および内部天井レベルの上方に、根裏部屋空間の床レベルに設置された断熱材料を含むことができる。暖かい屋根システムでは、他の屋根システムは、冷たい屋根システムについてリストされたものに加えて、屋根裏部屋天井および(屋根裏部屋空間の床レベルでの代わりに)屋根裏部屋天井の上方に設置された断熱材を含むことができる。他の屋根エレメントは、具体的な屋根エレメントに依存して、支持屋根フレームエレメントと外部屋根材料との中間にある、または屋根裏部屋空間の方を向いている支持屋根フレームエレメントの側面に貼り付けられる、または隣接屋根フレームエレメントの間に設置されるなどであることができる。
【0022】
一実施形態では、本発明は、水蒸気透過性シート層の少なくとも一面に少なくとも1つの金属層を、およびシート層と反対側の金属層の面上に少なくとも1つの薄い有機コーティング層をコートすることによって形成された金属化水蒸気透過性複合シートに関する。コーティングは好ましくは、その水蒸気透過性を著しく低下させることなくシート層を実質的にコートする条件下に蒸着技術を用いて真空下に形成される。複合シートは、高い水蒸気透過性、および良好な熱バリア性を有する。複合シートはまた、ハウスラップおよび屋根ライニングのような建設最終用途でもまた重要である、液体水による侵入に対する高いバリア(高い静水頭)を提供するように選択することもできる。本発明の複合シートによって提供される特性のバランスは、建設工業で使用される現在入手可能な金属化シートよりも優れている。本発明の複合シートは、既存または新規建造物での使用に好適である薄い、強い、通気性の空気および熱バリアを提供する。本発明の複合シートは、壁および/または屋根システムで熱バリアとして使用されるとき、新規建造物および修復建物に対してより高いエネルギー効率を義務付ける建築法規を満たすのに有益である。
【0023】
本発明の複合シートは、次の構造体:シート/M/L2、シート/L1/M/L2、およびシート/L1/M/L2/M/L3など(ここで、シートは水蒸気透過性シート層であり、Mは低輻射率の金属層であり、L1、L2、およびL3は、有機ポリマーもしくは有機オリゴマー、またはそれらのブレンドを含んでなる有機コーティング層である)を含む。省略形「L1」は本明細書では、その上に金属層を蒸着させる前にシート層の表面上に蒸着される任意の中間有機コーティング層を指すために用いられる。中間コーティング層は、中間コーティング層を含まない複合シートと比較して複合シートの熱バリア性を向上させることが分かった。複合シートは、上記構造体でのL2およびL3のような金属層を覆う少なくとも1つの有機コーティング層を含む。2つ以上の金属層を有する複合シート構造体では、個々の金属層は同じまたは異なる金属から形成されることができ、同じまたは異なる厚さを有することができる。同様に、2つ以上の有機コーティング層を有する構造体では、個々の有機コーティング層は同じまたは異なる組成物および/または厚さを有することができる。各金属層は、隣接金属層が同じまたは異なるものであることができる、2つ以上の隣接金属層を含んでなることができる。同様に、各有機層は、隣接有機層が同じまたは異なるものであることができる2つ以上の隣接有機層を含んでなることができる。シート層は、上記の構造体におけるように、一面上に、または次の構造体:L2/M/シート/M/L2、L2/M/L1/シート/L1/M/L2などにおけるように両面上にコートされることができる。
【0024】
本発明の一実施形態では、水蒸気透過性シートの一面または両面は、繊維表面または有機および金属層でコートされている多孔質フィルムのような、多孔質外面を含んでなる。有機および金属層は、孔をカバーすることなく、コートされる面上の繊維またはフィルムの露出面または「外」面だけがコートされるように多孔質表面上に蒸着される。これは、コートされた面上のシート層の外面から見られたときに露出している繊維表面だけでなく、繊維間の隙間空間または孔の壁の内側面を含むが、布の内部構造中の繊維の表面は非コートのままである。
【0025】
本発明の複合シートを形成するために好適な水蒸気透過性シート層は、一般に換気に対してバリアを提供すると考えられる、約5〜約12,000ガーレー(Gurley)秒、さらに約20〜約12,000ガーレー秒、さらに約100〜約12,000ガーレー秒、さらに約400〜約12,000ガーレー秒のような、比較的低い通気性を有することができる。あるいはまた、水蒸気透過性シート層は比較的高い通気性を有するように選択することができ、例えばそれらのシートは、通気性がフレーザー(Frazier)通気性範囲に入って、5秒未満のガーレー・ヒル(Gurley Hill)通気性を有する。比較的高い通気性の複合シートは、少なくとも約35g/m/24時間、さらに少なくとも約200g/m/24時間、さらに少なくとも約600g/m/24時間の水蒸気透過度、および少なくとも約20cmHO、さらに少なくとも約50cmHO、さらに少なくとも約100cmHO、さらに少なくとも約130cmHOの静水頭を有することができる。ハウスラップとして使用される場合、複合シートは好ましくは少なくとも約35N/cmの引張強度を有する。
【0026】
好適な水蒸気透過性シート層は、織られた繊維もしくはテープのシートのような織布、またはフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート、スパンボンド不織シート、スパンボンド−メルトブローン不織シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織シートのような不織布を含む多孔質シート、ならびに不織布もしくは織布またはスクリム層および微小孔性フィルム、微小穿孔フィルムもしくは水蒸気透過性モノリシックフィルムのような水蒸気透過性フィルム層を含むラミネートである。出発シート層は、従来のコーティング方法を用いてコートされた水蒸気透過性シートを含んでなることができる。例えば、建設工業で現在使用されるシートには、ポリマーフィルム層でコートされ、微小穿孔された織テープのシートが含まれる。シート層は、様々なポリマー組成物から形成されてもよい。例えば、建設工業で使用されるシートは典型的には、ポリプロピレンもしくは高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリエステル、またはポリアミドから形成される。
【0027】
一実施形態では、水蒸気透過性シートは、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デラウェア州ウィルミントン)(E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.(Wilmington,DE))から入手可能な、タイベック(Tyvek)(登録商標)フラッシュ紡糸高密度ポリエチレンのようなフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状ポリオレフィンシートである。好適なフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状フィルム−フィブリル材料はまたポリプロピレンから製造されてもよい。水蒸気透過性シートは、フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートと、フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートおよび溶融紡糸スパンボンドシートを含んでなるラミネートのような、1つもしくはそれ以上の追加の層とのラミネートであることができる。プレキシフィラメント状フィルム−フィブリル・ストランド材料のウェブ層を形成するためのフラッシュスピニング法は、それらの内容が参照により本明細書によって援用される、米国特許第3,081,519号明細書(ブレイデス(Blades)ら)、同第3,169,899号明細書(スチューバー(Steuber))、同第3,227,784号明細書(ブレイデスら)、同第3,851,023号明細書(ブレサウザー(Brethauer)ら)に開示されている。
【0028】
水蒸気透過性シートは、商業的に入手可能なハウスラップまたは屋根ライニング製品であることができる。建築構造で使用されるフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートには、タイベック(登録商標)スプロ(SUPRO)屋根ライニング、タイベック(登録商標)ホームラップ(HomeWrap)(登録商標)、タイベック(登録商標)コマーシャルラップ(CommercialWrap)(登録商標)が含まれる。水蒸気透過性シート層として好適な他のハウスラップ製品には、一面上を白着色ポリエチレンでコートされ、そして穿孔されている高密度ポリエチレン・スリットフィルムの織布であるエア−ガード(Air−Guard)(登録商標)ビルディングラップ(Buildingwrap)(ファブレーン社、オンタリオ州ノースベイ(Fabrene,Inc.,North Bay,Ontario)によって製造される)、一面上をコートされ、そして穿孔されているポリプロピレン・スリットフィルムの織布であるピンクラップ(Pinkwrap)(登録商標)ハウスラップ(Housewrap)(オーエンス・コーニング、オハイオ州トレド(Owens Corning,Toledo,OH)によって製造される)、微小穿刺され、そして波状面を有するクロス−プライ積層ポリオレフィンフィルムであるピンクラップ・プラス(Pinkwrap Plus)(登録商標)ハウスラップ(オーエンス・コーニング、オハイオ州トレドによって製造される)、一面をコートされ、そして穿孔されている高密度ポリエチレンフィルムの織布であるタフ・ラップ(Tuff Wrap)(登録商標)ハウスラップ(セロテックス・コーポレーション、フロリダ州タンパ(Cellotex Corporation,Tampa,FL)によって製造される)、表面上に小さいくぼみを生み出すためにエンボス化された不織スクリムに接合されたポリオレフィンシートであるタフ・ウェザー・ラップ(Tuff Weather Wrap)(登録商標)(セロテックス・コーポレーション、フロリダ州タンパによって製造される)、一面をコートされ、そして穿孔されているポリプロピレン・スリットフィルムの織布であるグリーンガード・ウルトラ・アモラップ(Greenguard Ultra Amowrap)(登録商標)(アモコ、ジョージア州スミュルナ(Amoco,Smyrna,GA)によって製造される)、無色透明コーティングでコートされた非穿孔の不織膜であるウェザーメイト(Weathermate)(登録商標)プラス・ハウスラップ(Plus Housewrap)(ダウ・ケミカル・カンパニー、ミシガン州ミッドランド(Dow Chemical Company,Midland,MI)によって製造される)、およびコートされたスパンボンド・ポリプロピレンシートであるタイパー(Typar)(登録商標)ハウスラップ(リーメイ、テネシー州オールド・ヒッコリー(Reemay,Old Hickory,TN)によって製造される)が含まれる。
【0029】
幾つかのケースでは、実質的に非通気性である水蒸気透過性シート層を使用することが望ましいかもしれない。例えば、水蒸気透過性シート層は、不織布もしくは織布またはスクリムと微小孔性フィルムまたはモノリシックフィルムである水蒸気透過性フィルム層とのラミネートを含んでなることができる。一般に、1つもしくはそれ以上の水蒸気透過性フィルム層が外側不織布もしくは織布またはスクリム層間に挟まれ、そして金属および有機コーティング層は、外側コーティング層が複合シートの外面を形成するように外層の少なくとも1つ上に蒸着される。かかる一実施形態では、水蒸気透過性フィルム層は、2つのステープルファイバー不織層、もしくは2つの連続フィラメント不織層、または2つの織布間に挟まれる。外側布またはスクリム層は同じまたは異なるものであることができる。
【0030】
水蒸気透過性モノリシック(非多孔質)フィルムは、薄い、連続の、水蒸気透過性の、そして実質的に液体不透過性フィルムとして押し出すことができるポリマー材料から形成される。フィルム層は、従来の押出コーティング法を用いて第1不織または織基材層上へ直接押し出すことができる。好ましくは、モノリシックフィルムは、約3ミル(76マイクロメートル)以下の厚さ、さらに約1ミル(25マイクロメートル)以下の厚さ、さらに約0.75ミル(19マイクロメートル)以下の厚さ、さらに約0.60ミル(15.2マイクロメートル)以下の厚さである。押出コーティング法では、押し出された層および基材層は、層間の接合を向上させるために、一般にフィルム層の完全な凝固の前に、2つのロール(加熱されたまたは非加熱の)間に形成されたニップに一般に通される。第2不織または織基材層を、第1基材と反対側のフィルムの面上でニップ中へ導入してモノリシックフィルムが2つの基材層間に挟まれた水蒸気透過性の、実質的に非通気性ラミネートを形成することができる。
【0031】
水蒸気透過性モノリシックフィルムの形成に好適なポリマー材料には、ブロックポリエーテルエステルコポリマーのようなブロックポリエーテルコポリマー、ポリエーテルアミドコポリマー、ポリウレタンコポリマー、ポリ(エーテルイミド)エステルコポリマー、ポリビニルアルコール、またはそれらの組み合わせが含まれる。好ましいコポリエーテルエステルブロックコポリマーは、参照により本明細書によって援用されるハグマン(Hagman)の米国特許第4,739,012号明細書に開示されているような、ソフトなポリエーテル・セグメントとハードなポリエステル・セグメントとを有するセグメント化エラストマーである。好適なコポリエーテルエステルブロックコポリマーには、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デラウェア州ウィルミントン)によって販売されるハイトレル(Hytrel)(登録商標)コポリエーテルエステルブロックコポリマー、およびDSMエンジニアリング・プラスチックス(オランダ国ヘールレン)(DSM Engineering Plastics(Heerlen,Netherlands)によって製造されるアーニテル(Arnitel)(登録商標)ポリエーテル−エステルコポリマーが含まれる。好適なコポリエーテルアミドポリマーは、米国ニュージャージー州グレン・ロックのアトケム社(Atochem Inc.of Glen Rock,N.J.,USA)から名称ペバックス(Pebax)(登録商標)で入手可能なコポリアミドである。ペバックス(登録商標)は仏国パリのエルフ・アトケム株式会社(Elf Atochem,S.A.of Paris,France)の登録商標である。好適なポリウレタンは、米国オハイオ州クリーブランドのB.F.グッドリッチ・カンパニー(The B.F.Goodrich Company of Cleveland,Ohio,USA)から名称エスタン(Estane)(登録商標)で入手可能な熱可塑性ウレタンである。好適なコポリ(エーテルイミド)エステルは、ホエッセレ(Hoeschele)らの米国特許第4,868,062号明細書に記載されている。モノリシックフィルム層は多層水蒸気透過性フィルム層よりなることができる。かかるフィルムは、上記の通気性の熱可塑性フィルム材料の1つもしくはそれ以上よりなる層と共押出されてもよい。
【0032】
ポリオレフィン(例えばポリエチレン)と微粒子充填材との混合物から形成されたもののような、溶融押出され、薄いフィルムへキャストまたはブローされ、そしてフィルムの最上面から底面まで連続的に広がる不規則形状の微小孔を形成するために一軸か二軸かのどちらかで延伸されている、微小孔性フィルムは当該技術ではよく知られている。米国特許第5,955,175号明細書は、約0.2マイクロメートルの公称孔径を有する微小孔性フィルムを開示している。微小孔性フィルムは、熱または接着積層のような当該技術で公知の方法を用いて不織層または織層間に積層することができる。
【0033】
微小穿孔フィルムは、微小穿孔が典型的には直径で約0.1mm〜1.0mmであることを示唆している、欧州特許出願公開第1 400 348 A2号明細書に概略的に開示されているように、ポリマーをフィルムへキャストまたはブローし、引き続きフィルムを機械的に穿孔することによって形成される。
【0034】
本発明によれば、金属および有機コーティング層は、シートの水蒸気透過性を実質的に低下させない方法を用いて多孔質シート上に蒸着される。コーティングは、材料の孔開口部を実質的にカバーされないままにしながらシート材料の実質的に全体表面にわたって蒸着される。本発明の一実施形態によれば、水蒸気透過性シート層は繊維不織布または織布を含んでなる。あるいはまた、水蒸気透過性シート層は布−フィルムラミネートであることができ、ここで、布はラミネートの外面を構成し、またはラミネートの外面は微小穿孔フィルムであることができる。金属および有機コーティング層は、布のケースでは、ストランド間の隙間空間または孔をコーティング材料によって実質的にカバーされないままにしながら、複合シートのコートされた表面上の個々の布ストランドの露出面が実質的にカバーされるように、布または微小穿孔フィルム上に蒸着される。「実質的にカバーされない」とは、繊維間の隙間空間の少なくとも35%がコーティングなしであることを意味する。一実施形態では、有機コーティング層の組み合わせた全厚さは不織ウェブの繊維の直径未満である。非繊維シートについては、シート表面上の表面孔の少なくとも35%は実質的にカバーされない。これは、出発シート材料の水蒸気透過性の少なくとも約80%、さらに少なくとも約85%、さらに少なくとも約90%である水蒸気透過性を有するコートされた複合シートを提供する。
【0035】
非コート出発シートの水蒸気透過性に対してコートされた複合シートの水蒸気透過性を比較するとき、対照として使用される出発シートは、水蒸気透過性が比較されつつある具体的な複合シートを製造するために使用される出発シート材料と実質的に同等であるべきである。例えば、コートされたシートを製造するために使用される同じロール、ロットなどからのシートサンプルが出発シートの水蒸気透過性を測定するために使用されるべきである。シート層のあるセクションは、マスクされたセクションがコーティングプロセス中にコートされないようにコーティング前にマスクすることができ、測定はシートの隣接する非コートおよびコート部分から採取されたサンプルについて行われる。あるいはまた、非コートサンプルはシート層の初めおよび/または終わりから採取し、同じロールから製造されたコートされたサンプルと比較することができる。
【0036】
コーティングは孔上方で不連続であるから、水蒸気透過性は有意に影響を受けない。当該技術で公知の真空蒸着法が金属および有機コーティングを蒸着させるために好ましい。金属および有機コーティングの厚さは、約0.15以下、さらに約0.12以下、さらに約0.10以下の輻射率を有する複合シートを提供する範囲内に好ましくは制御される。
【0037】
外側有機コーティング層の厚さおよび組成物は、シート層の水蒸気透過性を実質的に変えないことに加えて、それが金属化基材の輻射率を有意に増加させないように選択される。外側有機コーティング層は好ましくは、約0.15g/m〜1.9g/mの有機コーティング材料に相当する約0.2μm〜2.5μmの厚さを有する。一実施形態では、外側コーティング層は約0.2μm〜1.0μm(約0.15g/m〜0.76g/m)の厚さまたは約0.2μm〜0.6μm(約0.15g/m〜0.46g/m)の厚さを有する。中間コーティング層が使用される場合、中間層と外側有機層との組み合わせた厚さは好ましくは、水蒸気透過性シートの表面上の孔が実質的にカバーされないように約2.5μm以下、さらに約2.0μm以下、さらに約1.5μm以下である。一実施形態では、中間層と外側有機コーティング層との組み合わせた厚さは約1.0μm以下である。構造シート/L1/M/L2については、中間コーティング層は好ましくは、約0.015g/m〜1.5g/mに相当する、約0.02μm〜2μmの厚さを有する。一実施形態では、中間コーティング層は約0.02μm〜1μm(0.015g/m〜0.76g/m)、または約0.02μm〜0.6μm(0.015g/m〜0.46g/m)の厚さを有する。追加の金属および有機層が蒸着される場合、各有機コーティング層の厚さは、有機コーティング層すべての組み合わせた全厚さが約2.5μm以下、または約1.0μm以下であるように調節される。外側有機コーティング層が薄すぎる場合、それは金属層を酸化から保護せず、複合シートの輻射率の増加をもたらすかもしれない。外側有機コーティング層が厚すぎる場合、複合シートの輻射率は増加し、より低い熱バリア性をもたらし得る。
【0038】
幾つかのケースでは、中間有機コーティング層が非常に薄い、例えば約0.02μm〜0.2μm(約0.015g/m〜0.15g/m)であることが好ましいかもしれない。かかる一例は、シート層がフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状または他の不織シートであって、プレキシフィラメントまたは繊維が約500nmもしくはそれ未満である特徴をそれらの表面上に有する不織シートを含んでなる場合である。これは、マクロ粗さ特徴が繊維それ自体(山および谷)および繊維間の間隙によってもたらされる不織シートの表面「マクロ粗さ」よりはるかに細かい。図2Aは、単一の非コート高密度ポリエチレン・プレキシフィラメントの表面上の非晶性エリア(暗い)および結晶性ラメラによってもたらされる表面特徴を示す原子間力顕微鏡写真(AFM)である。結晶性ラメラは約25nm厚さおよび120〜450nm長さである。シートのマクロ粗さが金属化およびコーティングによって有意に変わらないことが重要である。なぜならば、そうすることが繊維間の隙間空間の減少またはブロッキングおよびシートの水蒸気透過性の減少をもたらすからである。非常に薄いポリマー層は、繊維シートのマクロ粗さに影響を及ぼすことなく個々の繊維の表面上に存在するミクロ粗さを平滑化するであろう。フラッシュ紡糸ポリエチレンのケースでは、コーティング層は、約25nm厚さであるポリエチレンのラメラ微結晶ほどに少なくとも厚いことが必要であろう。図2Bは、約25nm厚さのポリアクリレートポリマーの蒸着層でコートされた高密度ポリエチレン・プレキシフィラメントの表面のAFMである。図2Bを図2Aと比較すると、コートされたプレキシフィラメントの表面は、シートのマクロ粗さに影響を及ぼすことなく、ポリアクリレートコーティングによって平滑化されたことが分かる。一般に、繊維または他の表面の平均ミクロ粗さ特徴より厚い有機コーティングL1は繊維表面の平滑化をもたらすであろう。この平滑化効果は、個々の繊維表面上により滑らかな金属層をもたらし、それによってL1を含まないシートと比較して複合シートの輻射率を低下させるかもしれない。例えば、約0.025μm〜0.2μmの厚さを有する中間コーティング層L1がフラッシュ紡糸ポリエチレンシートに好適である。
【0039】
有機コーティング層に好適な組成物はポリアクリレートポリマーおよびオリゴマーを含む。コーティング材料は架橋された化合物または組成物であることができる。有機コーティング層を製造するために好適な前駆体化合物には、真空適合性(vacuum compatible)のモノマー、オリゴマーまたは低MWポリマーおよびそれらの組み合わせが含まれる。真空適合性のモノマー、オリゴマーまたは低MWポリマーは、熱分解または重合を受けることなくエバポレーターで容易に蒸発するのに十分なほど高い蒸気圧を有するべきであり、そして同時に真空システムを圧倒するほど高い蒸気圧を有するべきではない。蒸発の容易さは、分子量およびモノマー、オリゴマーまたは低MWポリマー間の分子間力に依存する。典型的には、本発明で有用な真空適合性のモノマー、オリゴマーおよび低MWポリマーは、約1200以下の重量平均分子量を有することができる。本発明で使用される真空適合性のモノマーは好ましくは、単独でか光開始剤を用いてかのどちらかで放射線重合性であり、ヒドロキシル、エーテル、カルボン酸、スルホン酸、エステル、アミンおよび他の官能基で機能化されたアクリレートモノマーを含む。コーティング材料は、疎水性の化合物または組成物であってもよい。コーティング材料は、本発明の好ましい一実施形態によれば、架橋性、疎水性、および疎油性のフッ素化アクリレートポリマーまたはオリゴマーであってもよい。真空適合性のオリゴマーまたは低分子量ポリマーには、上記のように機能化されたジアクリレート、トリアクリレートおよびより高分子量アクリレート、脂肪族、脂環式または芳香族オリゴマーまたはポリマーならびにフッ素化アクリレートオリゴマーまたはポリマーが含まれる。本発明で有用な、非常に低い分子間相互作用を示すフッ素化アクリレートは、約6000以下の重量平均分子量を有することができる。好ましいアクリレートは、高速重合を提供するために、分子内に少なくとも1つの二重結合、好ましくは少なくとも2つの二重結合を有する。本発明のコーティングで有用であるアクリレートの例およびアクリレートの平均分子量は米国特許第6,083,628号明細書および国際公開第98/18852号パンフレットに記載されている。
【0040】
本発明の複合シートの金属層を形成するのに好適な金属には、アルミニウム、金、銀、亜鉛、錫、鉛、銅、およびそれらの合金が含まれる。金属合金は、合金組成物が低輻射率複合シートを提供する限り、他の金属を含むことができる。各金属層は約15nm〜200nm、または約30nm〜60nmの厚さを有する。一実施形態では、金属層は、約15〜150nm、または約30〜60nmの厚さを有するアルミニウムを含んでなる。金属層の形成方法は当該技術では公知であり、抵抗蒸発、電子ビーム金属蒸着、またはスパッタリングを含む。金属層が薄すぎる場合、所望の熱バリア性は達成されないであろう。金属層が厚すぎる場合、それはひびが入り、薄片になって剥がれ得る。一般に、所望の熱バリア性を提供するであろう最低の金属厚さを用いることが好ましい。本発明の複合シートがハウスラップまたは屋根ライニングとして使用される場合、金属層は赤外線を反射するか、または赤外線をほとんど放たず、エネルギー損失を低減しそして建物を夏にはより涼しく、冬にはより暖かく保つ熱バリアを提供する。
【0041】
材料の熱バリア性は、その輻射率によって特性化することができる。輻射率は、ある表面によって放射される単位面積当たりのパワー対同じ温度の黒体によって放射されるそれの比である。黒体はそれ故1の輻射率を有し、完全な反射体はゼロの輻射率を有する。輻射率が低ければ低いほど、熱バリア性は高い。各金属層および隣接する外側有機コーティング層は好ましくは、金属層の実質的な酸化が全くないように空気または酸素への暴露なしに真空下に順次蒸着される。磨かれたアルミニウムは0.039〜0.057の、銀は0.020〜0.032の、そして金は0.018〜0.035の輻射率を有する。非コートアルミニウムの層は一般に、空気および水分への暴露時にその表面上に薄い酸化アルミニウム層を形成する。酸化物フィルムの厚さは空気への継続する暴露と共に数時間は増加し、その後酸化物層は、酸素と金属層との接触を防ぐまたは著しく妨げて、さらなる酸化を減らす厚さに達する。酸化されたアルミニウムは約0.20〜0.31の輻射率を有する。アルミニウム層を大気へ曝す前に外側有機コーティング層を蒸着させることによりアルミニウムの酸化の程度を最小にすることによって、複合シートの輻射率は、アルミニウムの非保護層と比較して著しく改良される。外側有機コーティング層はまた、ロールハンドリング、輸送および最終用途設置中に金属を機械的摩耗からも保護する。
【0042】
図1は、真空下の有機および金属層でのシート層の蒸着コーティングに好適な装置10の略図である。次に続く説明で、モノマーという用語は、揮発できるモノマー、オリゴマー、および低分子量ポリマーを指すために用いられる。真空チャンバー12は真空ポンプ14に連結され、それはチャンバーを所望の圧力まで排気する。好適な圧力は2×10−4〜2×10−5トル(2.66×10−5〜2.66×10−6kPa)である。水蒸気透過性シート20は、巻出ロール18からガイドロール24経由で、矢印「A」で示される方向に回転する、冷却された回転ドラム16上へフィードされる。ドラム16の表面速度は一般に1〜1000cm/秒の範囲にある。シートは、幾つかの蒸着ステーションを通過し、その後それはガイドローラー26によって回転ドラムの表面からほぐされ、コートされた複合シートとして巻取ロール22によって巻き取られる。ドラム16は、有機コーティングを形成するために使用中の特定モノマーに特有の温度に冷却され、モノマーの凝縮を容易にするために−20℃まで冷却することができる。ロール18からの巻出後に、シート層は任意のプラズマ処理装置36を通過し、そこでシートの表面は、金属またはモノマーコーティングをその上に形成する前にシートの表面上の吸着された酸素、水分、およびいかなる低分子量化学種をも除去するためにプラズマに曝される。基材の表面エネルギーは一般に、コーティング層による表面の湿潤化を向上させるために修正される。プラズマ源は、低周波数RF、高周波数RF、DC、またはACであってもよい。好適なプラズマ処理法は米国特許第6,066,826号明細書、国際公開第99/58757号パンフレットおよび国際公開第99/59185号パンフレットに記載されている。
【0043】
中間有機層は場合により、金属層を蒸着させる前にシート層上に形成される。一実施形態では、有機モノマーは、溜め40から超音波噴霧器42を通って液体モノマーを供給されるモノマーエバポレーター28によって水蒸気透過性シート層上に蒸着され、超音波噴霧器では、ヒーター(示されていない)を用いて、モノマー液体は、シート層上に蒸着される前の重合または熱分解の可能性を最小にするために、瞬時に気化する、すなわち、フラッシュ蒸発する。モノマー、オリゴマーまたは低分子量ポリマー液体またはスラリーは、参照により本明細書によって援用される米国特許第5,547,508号明細書に記載されているように、それを蒸気として真空チャンバー中へ注入する前に好ましくは脱ガスされる。フラッシュ蒸発およびモノマー蒸着法の具体的な態様は、それらのすべてが参照により本明細書に援用される、米国特許第4,842,893号明細書、同第4,954,371号明細書、および同第5,032,461号明細書に詳細に記載されている。
【0044】
フラッシュ気化したモノマーは、シートの表面上に凝縮し、液体モノマーフィルム層を形成する。モノマーコーティング層は、複合シートが出発シート層の少なくとも約80%の水蒸気透過性を有するようにシート層の孔を実質的にカバーしないほど十分に薄い。凝縮した液体モノマーは、放射線硬化手段30を用いてシート上への凝縮後約ミリ秒以内に凝固する。好適な放射線硬化手段には、凝縮した層の重合または架橋を引き起こすことによってモノマーフィルム層を硬化させる電子ビームおよび紫外線源が含まれる。電子ビーム銃を用いられる場合、電子のエネルギーは、参照により本明細書に援用される米国特許第6,083,628号明細書に記載されているようにその全体厚さでコーティングを重合させるために十分であるべきである。モノマーおよびオリゴマー層の重合または硬化はまた、米国特許第4,842,893号明細書、同第4,954,371号明細書および同第5,032,461号明細書に記載されている。あるいはまた、オリゴマーまたは低分子量ポリマーは冷却で同時に凝固することができる。室温で固体であるオリゴマーまたは低MWポリマーについては、硬化は、参照により本明細書に援用される米国特許第6,270,841号明細書に記載されているように必要とされないかもしれない。
【0045】
中間有機層を蒸着させた後、コートされたシート層は次に金属化システム32に移動し、そこで金属層が、凝固したそして場合により硬化した有機層上に蒸着される。抵抗金属蒸発システムが用いられる場合、金属化システムはワイヤフィード44から金属のソースを絶えず提供される。
【0046】
金属化工程に続いて、外側有機コーティング層が、エバポレーター128、モノマー溜め140、超音波噴霧器142、および放射線硬化手段130を用いて中間ポリマー層について上に記載されたのと類似の方法で蒸着される。外側有機コーティング層の組成物は、中間有機コーティング層と同じものまたはそれとは異なるものであることができる。場合により、シート層の金属または有機被覆面は、追加の有機または金属コーティング層をその上に蒸着させる前にプラズマ処理することができる。
【0047】
コーティングの厚さは、蒸着法に用いられるフラッシュエバポレーターのライン速度および蒸気フラックスによって制御される。コーティング厚さが増加するにつれて、電子ビームのエネルギーは、電子がコーティングを透過し、そして効果的な重合を達成するために調節されなければならない。例えば、10kVおよび120mAでの電子ビームはアクリレートコーティングを2μm厚さまで効果的に重合させることができる。
【0048】
2つ以上の金属層および/または3つ以上の有機層が望まれる場合、追加のフラッシュ蒸発装置および金属化ステーションを真空チャンバーの内部に追加することができる。あるいはまた、シート層は図1に示される装置での第1パスでコートし、引き続きコートされたシートを取り出し、それを第2パスで装置に通すことができる。あるいはまた、別個の装置を金属化および有機コーティング工程のために用いることができる。当業者は、シート層の裏面上にコーティングを付けることが望ましい場合、要望通り独立して操作することができる、追加のプラズマ処理装置36、モノマーエバポレーター28、128、放射線硬化手段30、130および金属化システム32と共に、第2回転ドラム16を真空チャンバー12内に追加できることを認めるであろう。かかる二重ドラムコーティングシステムは、参照により本明細書に援用される国際公開第98/18852号パンフレットの図1に例示されている。金属層の有意な酸化を防ぐために、コートされたシートを真空チャンバーから取り出す前に有機コーティングが金属層上に蒸着されることが好ましい。加工コストを最小にするために有機コーティング層および金属層をワンパスで蒸着させることが最も好ましい。
【0049】
本発明の金属化複合シートは、建築構造での屋根および壁システムでの使用に特に好適である。複合シートの高度に反射する金属化表面は、断熱材の性能を高め、そして壁および屋根システムのエネルギー効率を向上させ、こうして建物所有者のために燃料コストを低減する低い輻射率表面を提供する。追加の便益には、寒冷気候での壁および屋根構造体内側での凝縮の最小化ならびに夏季中に過度の熱からの建物の遮蔽が含まれる。本発明の一実施形態では、水蒸気透過性複合シートは壁または屋根システムで使用され、約0.15以下の輻射率、少なくとも約600g/m/24時間の水蒸気透過度、および少なくとも約100cmの静水頭を有する。複合シートは好ましくは、金属化面が空隙に隣接するように壁または屋根システムに設置される。あるいはまた、金属化面の反対面が空隙に隣接することができる。それらの間に空隙を形成する複合シートと第2表面との間の距離は好ましくは少なくとも約0.75インチ(1.9cm)である。空隙に隣接した金属化複合シートの設置は、それに放射エネルギーをほとんど放たせないまたは放射エネルギーを反射させることによって熱バリアとしての複合シートの有効性を最大にすると考えられる。金属化面が大面積にわたって建築構造の中空でない成分と密に接触している場合、エネルギーは伝導によって建物成分を通って移動するかもしれないし、金属化シートの有効性は低下するであろう。傾斜した屋根建設では、金属化面が屋根裏部屋空間の方へ下を向くように複合シートを設置することはまた、ほこり、よごれなどの蓄積によって起こり得る熱バリア性のいかなる低下も最小にする。
【0050】
図3は、本発明の金属化複合シートをハウスラップとして利用するフレーム構造建物での壁システム50の略図である。合板のような野地板層51は、建物の耐荷力フレームを形成するフレームエレメント53の外側に取り付けられる。垂直フレームエレメント53は典型的には木材(例えば木製植込ボルト)で形成されるが、ある種の建設では金属で形成され得る。本発明による通気性金属化複合シート55は野地板51の外面に取り付けられる。幾つかの建築構造では、野地板51は使用されず、金属化複合シート55はフレームエレメント53に直接取り付けられる。建物の外装を形成する外側スキン57(例えば煉瓦、コンクリートブロック、繊維強化セメント、石など)は、メタルストラップ59によって金属化複合シートから分離されてそれらの間に空隙61を形成する。木簡または他の間隔保持部材がメタルストラップ59に取って代わることができる。金属化複合シートは好ましくは、空隙の方を向く複合シートの表面がシートの金属化面であるように設置される。あるいはまた、複合シートは、金属化面が空隙と反対方向を向いて設置することができる。内部ライニング63(例えば石膏ボード)が建物の内壁を形成する。断熱材65は、隣接するフレームエレメント間および内部ライニングと野地板層との間(または野地板層が使用されない場合内部ライニングと複合シートとの間)の壁中に設置される。壁構造は場合により、空気漏れバリアおよび内部ライニングと断熱材料との中間の蒸気バリア層66を含む。層66は対流熱損失を防ぎ、かつ、家の中で発生する過度の水分が断熱材中へ浸透するのを防ぐ。金属化複合シートの高い水蒸気透過性は、水蒸気が矢印「B」の方向に複合シートを通過するのを可能にし、そこでそれは空隙61中で分散され、こうして断熱材での水分凝縮を防ぐ。低い通気性および高い静水頭を有する金属化複合シートについては、それはまた風および水の透過を防ぐ。
【0051】
図4a〜4Cは、本発明の金属化複合シートを含むフレーム構造建物での屋根システムの略図である。図4Aは、内部屋根裏部屋空間60が住むのに適していない「冷たい屋根」システムの例を例示する。金属化複合シート55は、傾斜した屋根フレームエレメント(例えば木製垂木)67より上に設置される。断熱材料65は、内部天井71のレベルより上のおよびそのレベルに隣接した屋根裏部屋根太(示されていない)の間に設置される。任意の蒸気バリア70は、断熱材65と内部天井71との中間に設置することができる。間隔保持部材(張り板)76は金属化複合シートの上面に隣接して置かれ、外部屋根材料73(例えば、タイルなど)は間隔保持エレメント上に設置される。金属化複合シートの上に、そして間隔保持エレメント(張り板)76と外部屋根材料との間に張り板空隙74がある。屋根システムの頂上部は75で示される。金属化複合シート55は水蒸気透過性であり、層79として描かれる金属および有機コーティング層でコートされたシート層77を含む。複合シート55は、金属化面が屋根裏部屋空間の方を向くように設置される。
【0052】
図4Bは、張り板システムの代わりに完全板張りデッキを含む冷たい屋根システムのある部分の断面である。金属化複合シート55は、好ましくは金属化面79が内部屋根裏部屋空間60の方へ下を向いて、垂木67のトップ上に設置される。中空でない屋根デッキ64(例えば合板)が金属化複合シートにわたって設置され、外部屋根材が中空でない敷板にわたって設置される。外部屋根材の例には、屋根材下敷にわたって置かれたタイルまたはアスファルトこけら板のような外側屋根材料73と共にアスファルト被覆フェルトまたは他の屋根材下敷材料68が挙げられる。図4Cに示される完全板張りデッキの別の実施形態では、金属化シート55は、金属化面79が好ましくは屋根裏部屋空間60の方へ下を向いて、垂木67の下側に取り付けられる。複合シートは、金属化面79が屋根裏部屋空間と反対方向を向いて設置することができるが、金属化面上でのほこりおよびよごれの蓄積は時間と共に輻射率の増加および熱バリア性の低下をもたらし得る。
【0053】
金属化複合シートはまた、図4Dに示されるような屋根裏部屋根太88のトップ上に設置することもできる。複合シート55は好ましくは、上述の理由のために、金属化面79が、内部屋根裏部屋空間60と反対を向いて、そして断熱材料65の方へ、下を向いて設置される。空隙78は好ましくは断熱材と金属化複合シートとの間に提供される。
【0054】
熱バリアとして機能することに加えて、本発明の金属化複合シートは、ハウスラップおよび/または屋根ライニングとして設置されたときに電磁周波数放射線(EMF)から建物を保護することができる。本複合シートは、EMFが建物の中にまたはそれから伝達され得ないように、入ってくるおよび/または出ていくEMF信号を減衰させる。アルミニウム箔または他の金属シートを使用できるが、かかるシートは通気性ではなく、そのことはそれらを建物ラップとして望ましくないものにする。標準的なハウスラップおよび屋根ライニング設置方法を、EMF遮蔽の便益を達成するために用いることができる。最も完全な保護のためには、複合シートは、壁および屋根すべてでラップとして設置されるべきである。
【0055】
試験方法
次に続く非限定的な実施例では、次の試験方法を用いて様々な報告される特性および性質を測定した。ASTMは米国材料試験協会(American Society of Testing Materials)を意味する。ISOは国際標準化機構(International Standards Organization)を意味する。TAPPIはパルプ製紙業界技術協会(Technical Association of Pulp and Paper Industry)を意味する。
【0056】
ロール形でシート層を使用する実施例については、3サンプル(S1、S2、およびS3)を、各ロールの初め、中間、および終わりに採取し、複数の測定をこれらのサンプルのそれぞれについて行い、静水頭、ガーレー・ヒル間隙率(Gurley Hill Porosity)、MVTR、および輻射率測定について平均した。
【0057】
坪量(BW)は、参照により本明細書によって援用される、ASTM D−3776によって測定し、g/m単位で報告する。
【0058】
静水頭(HH)は、参照により本明細書によって援用される、ISO 811を用いて測定し、水のcm単位で報告する。この試験は、静荷重のもとでの液体水の浸透に対するシートの抵抗を測定する。100cmサンプルをシャーリー静水頭試験機(Shirley Hydrostatic Head Tester)(シャーリー・ディベロップメンツ社、英国ストックポート(Shirley Developments Limited,Stockport,England)によって製造された)に取り付ける。水を、3点の漏洩が表面上に現れるまでサンプルの一面に向かってポンプ送液する。静水頭を、各実施例につき合計18サンプルについて測定し、測定値を平均して実施例で報告する平均HHを得た。
【0059】
ガーレー・ヒル間隙率はガスに対するシート材料のバリアの尺度である。具体的には、それは、ある一定の圧力勾配が存在する材料のある面積をある容量のガスが通過するためにどれだけ要するかの尺度である。ガーレー・ヒル間隙率は、ローレンツェン・アンド・ウェットレ・モデル121Dデンソメーター(Lorentzen & Wettre Model 121D Densometer)を用いてTAPPI T−460 om−88に従って測定する。本試験は、100立方センチメートルの空気が、約12.45cmの水の圧力下に2.54cm直径サンプルを通して押し出される時間を測定する。結果は秒単位で表され、通常ガーレー秒と言われる。ガーレー・ヒル間隙率は、各実施例につき合計18サンプルについて測定し、測定値を平均して実施例で報告する平均ガーレー秒を得た。
【0060】
輻射率は、材料の吸熱性および反射性の尺度であり、シートサンプルの金属化面が放射線源の方を向いてモデルAE D&S輻射計(Model AE D&S Emissometer)(デバイシス・アンド・サービシズ・カンパニー、テキサス州ダラス(Devices and Services Company,Dallas,TX)によって製造された)を用いてASTM C1371−98およびASTM C408−71に従って測定した。検出器を82℃に加熱し、低い輻射率(反射性、輻射率=0.07)および高い輻射率(吸収性、輻射率=0.89)を有する標準で較正した。機器を各測定の初めおよび終わりに、そして少なくとも30分毎に較正した。輻射率を、各実施例につき合計27サンプルについて測定し、測定値を平均して実施例で報告する平均輻射率を得た。3つの輻射率測定値を、各S1、S2、およびS3サンプルにつきロール幅の両エッジおよび中央に近い3エリアのそれぞれから得た。合計27の輻射率測定のために毎回新たなS1、S2、およびS3で、同じ測定を3回繰り返し、それらを平均して実施例で報告する平均輻射率を得た。
【0061】
熱抵抗(R)は、平行の境界表面を有する単一の反射性空隙(「空気腔」)を通しての熱流量の尺度であり、EN ISO 6946に従って輻射率から計算し、mK/Wの単位で報告する。
=1/(h+h)、
ここで、h:熱移動係数(伝導、対流)、
:熱移動係数(放射)である
=Ehro
E=(1/ε+1/ε−1)−1およびhro=4σT
E:輻射率グレード
ro:黒体の放射による熱移動係数
σ:ステファン−ボルツマン(Stefan−Boltzmann)定数(5.67・10−8Wm−2−4
:表面およびその周囲の平均熱力学的温度
水平伝熱:h=1.25W/m2Kまたはh=0.025/d、>1.25W/m2Kの場合
垂直上向き伝熱:h=1.95W/m2Kまたはh=0.025/d、>1.95W/m2Kの場合
d:空気腔の厚さ
ε、ε=空気腔を取り囲む表面の輻射率。
【0062】
実施例では、RはT=283°K、d=50mm、ε=シートの輻射率、およびε=0.9(煉瓦壁の輻射率)について計算する。ミネラルウールについて0.38W/mKの熱伝導率を用いてミネラルウールの等価厚さを計算した。
【0063】
遮蔽有効性は、−dBの単位で報告する、電磁周波数(EMF)放射線をブロックする材料の能力の尺度であり、
遮蔽有効性=−10log10(P/P
(ここで、Pはサンプルを通して伝達された放射電力であり、Pはサンプルに入射した放射電力である)と定義される。−dB=100の遮蔽有効性は、P/Pの比がファクター1010だけ減少したことを意味する。PおよびPは、エルガル・セット19−A同軸遮蔽有効性試験機(Elgal SET 19−A Coaxial Shielding Effectiveness Tester)およびヒューレット−パッカード8753Cベクトルネットワーク分析器(Hewlett−Packard 8753C Vector Network Analyzer)を用いてASTM D4935−99(平面材料の電磁遮蔽有効性を測定するための標準試験方法(Standard Test Method for Measuring the Electromagnetic Shielding Effectiveness of Planar Materials))に従って測定した。測定は、信号発生器の方を向く複合シートの金属化面で行った。遮蔽有効性は、上記の式を用いて計算した。
【0064】
水蒸気透過速度(MVTR)は、材料の水蒸気透過性の尺度であり、23℃および85%相対湿度の条件下、参照により本明細書によって援用されるASTM F1249に従って測定し、g/m/24時間の単位で報告する。MVTRは、各実施例につき合計9サンプルについて測定し、測定値を平均して実施例で報告する平均MVTRを得た。
【0065】
シート層の引張強度はASTM D5035−90に従って測定する。
【0066】
蒸着された有機層の厚さは、透過型電子顕微鏡法を用いて凍結ミクロトーム検体について測定し、マイクロメートル(μm)単位で報告する。
【0067】
金属層の厚さは、透過型電子顕微鏡法を用いて凍結ミクロトーム検体について測定し、ナノメートル(nm)単位で報告する。
【実施例】
【0068】
下に定義される省略形を次に続く実施例で使用する。
モノマー/オリゴマー組成物:
1.TRPGDA=トリプロピレングリコールジアクリレート
2.SR606=反応性ポリエステルジアクリレート
3.SR9003=プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート
4.HDODA20%C18=ヘキサンジオールジアクリレートとステアリン酸モノアクリレートとの混合物(重量で80/20)
5.ゾニール(Zonyl)(登録商標)TM/TRPGDA=重量で80/20のゾニール(登録商標)TM/TRPGDA(ここで、ゾニール(登録商標)TMはフッ素化メタクリレートオリゴマーである)。
【0069】
TRPGDA、SR606、SR9003、HDODA、およびステアリン酸モノアクリレートは、サートマー・カンパニー(Sartomer Company)(ペンシルバニア州エクストン(Exton,PA))から商業的に入手可能である。ゾニール(登録商標)TMフッ素化メタクリレートオリゴマーはイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デラウェア州ウィルミントン)から入手可能である。上記の省略形はまた実施例で、相当するモノマーを硬化させることによって形成されたポリアクリレート層についても用いる。
【0070】
実施例1〜8で使用するシート層は表Iにリストされ、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デラウェア州ウィルミントン)から入手可能である。
【0071】
【表1】

【0072】
HW1、HW2、CW1、およびRF1は金属化されない。HWM1およびHWM2はアルミニウム層で金属化され、2.5(約36nm厚さのアルミニウム層)の複合光学密度を有し、フレキソ印刷法を用いて1.5g/m有機ラッカーコーティングでコートされる。
【0073】
実施例1
この実施例は、シートが本発明に従ってコートされ、金属化された時に、低い通気性を有する水分透過性不織シートの水蒸気透過性が実質的に変化しないことを実証する。
【0074】
表Iで上にリストされた、HW1、HW2、CW1、およびRF1のロールサンプル(460m長さ×41cm幅)を、真空コーティング/金属化機で様々なポリアクリレート層でコートし、アルミニウムで金属化して表IIにリストされる構造体を形成した(ここで、Al=アルミニウムであり、L1、L2、およびL3はTRPGDA、SR606、HDODA20%C18、SR9003、およびゾニール(登録商標)TM/TRPGDAから選択されたジアクリレートである)。2つ以上のポリアクリレート層を含有する構造体で、ポリアクリレート層の組成物は幾つかの実施例では同じものであり、他では異なった。Al厚さは22か36nmかのどちらかであり、ポリマー層厚さ(L1、L2、L3)は0.5μmであった。
【0075】
真空コーティング/金属化機の真空チャンバーは、プラズマ処理ステーション、一蒸着ステーション、および一金属化ステーションを含んだ。コートされたサンプルはそれ故、蒸着される層の数に依存して、2または3工程で製造した。
【0076】
第1工程では、非コートシート層のロールを大気に開口した真空チャンバー中に巻出し位置で入れた。ポリプロピレンフィルム・リーダーでスライスした後、基材を機械によって巻出し位置から巻取り位置へ装着した。真空チャンバーを次に閉鎖し、10−2〜10−3トルに排気した。ロールを91m/分で巻き出し、シート層の一表面を、300WでのAr/N(80/20)プラズマで処理した。プラズマ処理後直ちに、アルミニウム層、引き続いて硬化させながらアクリレートモノマーまたはモノマーブレンドを蒸着させてシート層/Al/L2のロールを形成した。あるいはまた、アクリレートモノマーまたはモノマーブレンドをフラッシュ蒸発させ、シート層のプラズマ処理表面上へ凝縮させた。シート層を、ゾニール(登録商標)TM/TRPGDA組成物の蒸着中に、冷却ドラム上で約−15℃〜−20℃に冷却した。冷却は他のモノマー組成物については用いなかった。モノマー蒸気を、真空チャンバーの外側に置いたフラッシュエバポレーターで発生させ、加熱パイプおよびノズルスリットを通して真空チャンバーへ引き込んだ。シート層の表面と接触するとすぐに、モノマー蒸気は薄い液体層へ凝縮し、それを次に電子ビームによって硬化させて繊維の表面上に約0.5μm厚さのアクリレートポリマー層を得た。硬化後に、真空チャンバーをガス抜きし、ポリアクリレート被覆シート層(シート層/L1)のロールを真空チャンバーから取り出した。
【0077】
第2工程では、コートされたロール(シート層/L1)を巻出し位置へ入れ、チャンバーを10−4トル未満までポンピングした。コートされたシートを91m/分で巻き出し、アクリレート被覆面を第1工程におけるようにプラズマ処理し、引き続きアルミニウムで真空金属化し、その後直ちに同じまたは異なるアクリレートまたはブレンドの0.5μm厚さの第2層を金属層のトップ上に蒸着させ、硬化させてコートされた金属化シート(シート層/L1/Al/L2)を形成した。シートを、金属化中に、冷却ドラム上で約−15℃〜−20℃に冷却した。典型的なモノマーフィード速度は約14g/分であった。真空チャンバーを次にガス抜きし、コートされたシート材料のロールを取り出した。コーティングが構造シート層/L1/Al/L2/Al/L3に蒸着されたサンプルについては、第2工程を繰り返してアルミニウムの第2層およびアクリレートポリマーの外層L3を蒸着させた。
【0078】
複数のサンプルを、各ロールの初め、中間、および終わりから入手し、上記の試験方向を用いて特性を測定し、それらの相当する非金属化前駆体シートと比較した。特性データを、対照サンプル(アクリレートまたは金属コーティングなしのシート層)および様々な組み合わせの金属およびアクリレートコーティングを有する本発明のサンプルについて下の表IIに報告する。
【0079】
【表2】

【0080】
表IIのデータは、本発明に従って製造したサンプル(シート層/Al/L2、シート層/L1/Al/L2、およびシート層/L1/Al/L2/Al/L3)の通気性、水蒸気透過性、および静水頭が出発シート層と比較して実質的に変化しなかったことを実証する。本発明のコートされた/金属化サンプルは、ハウスラップおよび屋根ライニングのような建設最終用途で重要であるシートの他の特性に有意に影響を及ぼすことなく出発シート層よりかなり良好な熱抵抗(より低い輻射率)を提供する。これらの観察は使用されたアクリレートモノマーとは無関係であった。測定し、そして表IIに報告しない他の特性は引張強度(縦方向および前後方向)、ミューレン(Mullen)破裂、エルメンドルフ(Elmendorf)、およびネイル引裂であり、それらはすべてのケースで対照の正常変動の範囲内にあることが分かった。
【0081】
実施例2および比較例2
この実施例は、ハウスラップとしての使用に好適な本発明のコートされた金属化シートを、タイベック(登録商標)レフレックス(Reflex)(登録商標)ハウスラップ、現役の市販金属化ハウスラップと比較する。
【0082】
HW1を実施例2aおよび2bのための出発シート層として、ならびにHW2を実施例2cのための出発シート層として使用して、実施例1について上に記載したように実施例2a、2b、および2cをポリアクリレートでコートし、アルミニウムで金属化して表IIIに示す構造体を提供した。比較例2aおよび2bはそれぞれ、市販の金属化ハウスラップ・レフレックス(登録商標)3460Mおよびレフレックス(登録商標)3480Mである。
【0083】
【表3】

【0084】
表IIIのデータは、本発明のサンプル(実施例2a〜2c)が対照サンプルHW1およびHW2と同じガーレー・ヒル間隙率、水蒸気透過速度および静水頭を実質的に有するが、比較例2aおよび比較例2bの金属化サンプル(シート層の繊維間の隙間空間をまたカバーする金属層をカバーする有機コーティングを有する)が対照サンプルHW1およびHW2と比較して低下したMVTR(それぞれ、約33%および37%低下)、減少したガーレー・ヒル間隙率(それぞれ、約64%および156%)を有することを例示する。本発明の実施例および比較例は、対照サンプルと比較して有意に変わらない静水頭を有する。
【0085】
市販の金属化ハウスラップ・サンプルと比較して著しくより高いMVTRに加えて、本発明の実施例は、市販の金属化ハウスラップ製品と比較して、複合シートと組み合わせて約19〜38%の空気腔の熱抵抗の向上に相当する、約40〜50%より低い輻射率を有する。これは、ミネラルウール断熱材の等価厚さで29〜38%向上に相当する。本発明の複合水蒸気透過性シート層の非常に薄い金属および有機コーティング層は、現役のHWM1およびHWM2(レフレックス(登録商標))材料についての16〜17mmと比較して、19〜22mmのミネラルウール断熱材に等しい断熱性の向上を提供した。
【0086】
実施例3
この実施例は、本発明に従って製造された金属化シートの輻射率に対するシート層および金属層間の中間ポリマーコーティング(L1)の使用の影響を示す。
【0087】
30.5cm×30.5cmの大きさがあるCW1ハウスラップのサンプルを、金属化またはポリマー蒸着後に、サンプルが一機械から他の機械への移動中に空気に曝されるように、別個の金属化機および真空フラッシュ蒸発機を用いてコートしおよび/または金属化した。サンプルを実施例1に記載したようにプラズマ処理した。10、50、および100nmの異なる金属層厚さを有する金属化サンプルを、金またはアルミニウム金属を用いて形成した。ポリアクリレート層の厚さは約0.5μmであった。ポリマー蒸着および/または金属化の後に、輻射率をサンプル全域にわたって多数の場所で測定した。構造体およびそれらの特性を下の表IVに示す。
【0088】
【表4】

【0089】
表IVのデータは、シート層と金属層との中間にポリアクリレート層を有するサンプルが、中間ポリアクリレートコーティングなしの同じシート層および金属層厚さを有する相当するサンプルよりかなり低い輻射率を有することを示す。0.5μm厚さのポリマー層はシート層中の繊維表面のミクロ粗さを平滑化し、それによってその輻射率を向上させると考えられる。
【0090】
実施例4
この実施例は、金属化シートの輻射率に対する外側ポリアクリレートコーティング層(L2)の影響を実証する。
【0091】
コートされた金属化シートサンプル(30.5cm×30.5cm)を実施例3に記載したように製造した。両サンプルを、金属およびポリマーコーティング層の厚さがすべてのサンプルについて実質的に同じものであることを確実にするために、SR606での同じコーティング作業、引き続くアルミニウムでの同じ金属化作業の間に製造した。コートされたサンプルの構造および輻射率を下の表Vに示す。
【0092】
【表5】

【0093】
表Vのデータは、L2ありのサンプルが同じ金属化およびコーティング作業で、しかしL2なしで製造されたサンプルと比較したときにより低い輻射率を有することを示す。
【0094】
実施例5
この実施例は、金属化シートの輻射率に対する外側コーティング層の特定ジアクリレート組成物の影響を実証する。
【0095】
構造シート層/L1/Al/L2を有するコートされたロールサンプルを、実施例1で上に記載した方法を用いてL1およびL2として様々なポリアクリレート組成物で製造した。中間および外側ポリアクリレート層は0.5μmの厚さを有し、アルミニウム層の厚さは36nmであった。アクリレート組成物がTRPGDA、SR606、SR9003であるとき、L1=L2であった。L2がゾニール(登録商標)TM/TRPGDAであるとき、L1はSR606およびSR9003であった。
【0096】
表VIは、L2として使用されたジアクリレートのタイプに対してサンプルの輻射率を比較する。
【0097】
【表6】

【0098】
表VIのデータは、外側ポリマー層(L2)に使用されるジアクリレートの選択がコートされたシートの輻射率を決定するのに役割を果たしていることを示す。輻射率での最良の性能はSR9003およびゾニール(登録商標)TM/TRPGDA(80/20)で観察された。輻射率はL2=SR9003であるときは0.10もしくはそれ以下であったが、それらはL2=ゾニール(登録商標)TM/TRPGDA(80/20)であるときは一貫して0.10未満であった。L2でのアクリレートの化学構造およびL2の厚さが、輻射率が測定される近IR、IRおよび遠IR領域でのその吸収によって輻射率に影響を及ぼすと考えられる。フルオロカーボンは炭化水素と比較したときに近IR領域でより少なく吸収するように見える。なぜならば、炭化水素C−H結合の上色は当該領域にあり、そして強度がより強いからである。
【0099】
実施例6
この実施例は、真空金属化および外側ポリマー層L2の真空蒸着の両方を真空下に、L2を蒸着させる前に金属層を大気に曝すことなく実施することの影響を実証する。
【0100】
真空コートされた金属化サンプル30.5cm×30.5cmを、中間および外側ポリアクリレート層が0.5μmの厚さを有し、そして50nm厚さのアルミニウム層を中間ポリアクリレート層にわたって蒸着させて製造した。ポリアクリレートモノマーはSR606であった。表VIIに詳述する構造を有するサンプルを製造した。各構造体を2つの異なる方法によって製造した。空気に曝されるサンプルは、実施例3に記載するように3工程で製造した。アルミニウム層を、酸化アルミニウム層がアルミニウム表面上に形成させるように外側ポリアクリレート層でコートする前に数時間空気に曝した。空気に曝されなかったアルミニウム層を有するサンプルは、金属およびモノマー蒸着/硬化工程の間中にチャンバーをガス抜きすることなくアルミニウム層および外側ポリアクリレート層が同じ真空チャンバーで蒸着されるように、実施例1に記載したように2工程で実施した。これらのサンプルのアルミニウム層は空気に曝されず、それ故酸化アルミニウムは、たとえあったにしても、L1またはL2を通った酸素および水分拡散によって生成できたにすぎなかった。
【0101】
【表7】

【0102】
表VIIのデータは、有機コーティングを蒸着させる前に金属化サンプルを空気に曝すことなく真空でコーティングおよび金属化工程を行うと、より低い輻射率(改良された熱バリア)を有する金属化シートを提供することを実証する。これは金属表面上でのかなりの酸化物形成を防ぐことによって達成されると考えられる。
【0103】
実施例7および8
これらの実施例は、本発明の金属化複合シートの電磁周波数に対する改良された遮蔽有効性を実証する。
【0104】
すべてのサンプルを、図5および6に示される構造体によってノートされるように22または36nmのアルミニウム厚さで実施例1に従って製造した。中間および外側ポリアクリレート層の厚さは0.5マイクロメートルであった。図5は、本発明の金属化されたおよびコートされたHW1材料、HW1、およびHWM1についてのEMF遮蔽有効性対EMF周波数のプロットである。図6は、本発明の金属化されたおよびコートされたHW2材料、HW2、およびHWM2についてのEMF遮蔽有効性対EMF周波数のプロットである。
【0105】
非金属化HW1およびHW2サンプルは、EMF放射線を実質的に通し、それ故EMF遮蔽を全く提供しない。本発明の金属化複合シートは、約20〜45dBの遮蔽有効性でのかなりの改良を示し、それはHW1およびHW2より100〜32,000倍多い遮蔽に相当する。現役の金属化シートHWM1およびHWM2もまたEMF放射線に対して遮蔽を提供するが、本発明の複合シートほど有効ではない。構造体HW1/SR606/Al(36nm)/SR606/Al(36nm)/SR606およびHW2/SR606/Al(36nm)/SR606/Al(36nm)/SR606が約50dBの遮蔽有効性または非金属化対照より100,000倍多い遮蔽を提供して、より厚い金属層のサンプルが最高度の遮蔽を提供した。
【0106】
驚くべきことに、中間有機コーティング層(L1)を含むサンプルは一般に、中間コーティング層を含まないサンプルより良好な遮蔽を提供する。連続の768μm厚さのアルミニウム箔層(図6)は本発明の複合シートの通気性を持たないが、それは約100dBの最良の遮蔽有効性を提供する。
【0107】
実施例9
この実施例は、様々なハウスラップを出発水蒸気透過性シート層として使用する本発明の金属化複合シートの製造を実証する。
【0108】
水蒸気透過性シート層として使用された市販のハウスラップ製品は、ピンクラップ(登録商標)ハウスラップ(オーエンス・コーニング、オハイオ州トレド)によって製造された)、グリーンガード・ウルトラ・アモラップ(アモコ、ジョージア州スミュルナによって製造された)、タイパー(登録商標)ハウスラップ(リーメイ、テネシー州オールド・ヒッコリーによって製造された)、およびウェザーメイト(登録商標)プラス・ハウスラップ(ダウ・ケミカル・カンパニー、ミシガン州ミッドランドによって製造された)であった。
【0109】
約2フィート×4フィート(0.61m×1.22m)の寸法を有するハウスラップ・サンプルを、実施例1に記載した方法を用いて金属化し、コートした。金属化され、コートされたサンプルについての構造はシート/L1/Al/L2であり、ここで有機層L1およびL2はSR9003モノマーを使用して製造し、それぞれ0.5μmのコーティング厚さを有した。アルミニウム層は約36nm厚さであった。
【0110】
輻射率、水蒸気透過性および通気性を表VIIIに報告する。対照サンプルは非コートハウスラップ・シートである。
【0111】
【表8】

【0112】
表VIIIの結果は、MVTRが出発ハウスラップと比較して金属および有機コーティングによって著しく変わらないことを実証する。金属化サンプルの輻射率は、対照と比較して83〜92%だけ向上した。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の複合シートを形成するために好適な装置の略図である。
【図2A−2B】それぞれ、非コートおよびポリアクリレート被覆高密度ポリエチレン・プレキシフィラメントの表面特徴を示す原子間力顕微鏡写真である。
【図3】本発明による壁システムの略図である。
【図4A−4C】本発明による屋根システムの略図である。
【図4D】屋根裏部屋の根太上への金属化複合シートの設置を例示する略図である。
【図5】実施例7の複合シートならびに現役の金属化および非金属化ハウスラップについての遮蔽有効性対EMF周波数のプロットである。
【図6】実施例8の複合シートならびに現役の金属化および非金属化ハウスラップについての遮蔽有効性対EMF周波数のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属化複合シートであって、
水蒸気透過性シート層であって、第1および第2外面、ならびに少なくともシート層の前記第1外面上の少なくとも1つの多層コーティングを有し、シート層が不織布、織布、不織布−フィルムラミネート、織布−フィルムラミネート、水蒸気透過性フィルムおよびそれらの複合体の少なくとも1つを含んでなり、水蒸気透過性シート層の第1外面が微小穿孔フィルム、織布および不織布よりなる群から選択された多孔質シートであり、前記多層コーティングが、
シート層の第1外面に隣接した約15ナノメートル〜200ナノメートルの厚さを有する第1金属コーティング層と、
金属層上に蒸着された約0.2マイクロメートル〜2.5マイクロメートルの厚さを有する、有機ポリマー、有機オリゴマーおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択された材料を含有する組成物の外側有機コーティング層と
を含んでなる水蒸気透過性シート層
を含んでなり、
複合シートのMVTRが金属およびコーティング層を蒸着させる前に測定されたシート層のMVTRの少なくとも約80%である金属化複合シート。
【請求項2】
前記多層コーティングが、
シート層と金属コーティング層との間に、水蒸気透過性シート層の第1外面上に蒸着された約0.02マイクロメートル〜2マイクロメートルの厚さを有する、有機ポリマー、有機オリゴマーおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択された材料を含有する組成物の中間有機コーティング層
をさらに含んでなる、請求項1に記載の金属化複合シートであって、
中間および外側有機コーティング層の組み合わせた全厚さが約2.5マイクロメートル以下である金属化複合シート。
【請求項3】
外側有機コーティング層が約0.2マイクロメートル〜1マイクロメートルの厚さを有し、そして中間有機コーティング層が約0.02マイクロメートル〜1マイクロメートルの厚さを有し、そして有機コーティング層の組み合わせた全厚さが約1.5マイクロメートル以下である、請求項2に記載の金属化複合シート。
【請求項4】
シート層の第2外面上に蒸着された、請求項1〜3のいずれか一項に記載の第2多層コーティングをさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化複合シートであって、有機コーティング層の組み合わせた全厚さが約2.5マイクロメートル以下である金属化複合シート。
【請求項5】
多層コーティングが、孔を実質的にカバーされないままにして多孔質シートの外面を実質的にカバーする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化複合シート。
【請求項6】
少なくとも約20cmHOの静水頭および少なくとも約35g/m/24時間のMVTRを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化複合シート。
【請求項7】
約0.12以下の輻射率を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化複合シート。
【請求項8】
金属がアルミニウム、銀、銅、金、錫、亜鉛、およびそれらの合金よりなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化複合シート。
【請求項9】
金属がアルミニウムである、請求項8に記載の金属化複合シート。
【請求項10】
水蒸気透過性シート層が不織布を含んでなる、請求項1に記載の金属化複合シート。
【請求項11】
水蒸気透過性シートがスパンボンド布、スパンボンド−メルトブローン布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド布、フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート、およびそれらの複合体よりなる群から選択された不織布である、請求項1に記載の金属化複合シート。
【請求項12】
前記水蒸気透過性シート層の第1面が穿孔フィルムである、請求項1に記載の金属化複合シート。
【請求項13】
水蒸気透過性シート層が織られたテープの織布を含んでなる、請求項1に記載の金属化複合シート。
【請求項14】
水蒸気透過性シートが不織布−フィルムラミネートおよび織布−フィルムラミネートよりなる群から選択され、そしてフィルムが微小孔性フィルム、穿孔フィルムおよび非多孔質水蒸気透過性フィルムよりなる群から選択される、請求項1に記載の金属化複合シート。
【請求項15】
外側有機コーティング層が架橋ポリアクリレートを含んでなる、請求項1に記載の金属化複合シート。
【請求項16】
中間および外側有機コーティング層がそれぞれ架橋ポリアクリレートを含んでなる、請求項2または3に記載の金属化複合シート。
【請求項17】
水蒸気透過性シート層がフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化複合シート。
【請求項18】
フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートがスパンボンド不織布に積層され、そして多層コーティングがフラッシュ紡糸シート上に蒸着される、請求項17に記載の金属化複合シート。
【請求項19】
外側有機コーティング層がフッ素化アクリレートオリゴマーを含んでなる、請求項1に記載の金属化複合シート。
【請求項20】
第1および第2外面ならびに少なくとも1つの多層コーティングを有する多孔質フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート層を含んでなる金属化複合シートであって、該多層コーティングが、
フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート層の第1外面上に蒸着された約15ナノメートル〜200ナノメートルの厚さを有する金属コーティング層であって、前記金属がアルミニウム、銀、銅、金、錫、亜鉛、およびそれらの合金から選択された層と、
金属層上に蒸着された約0.2マイクロメートル〜1マイクロメートルの厚さを有する架橋ポリアクリレートを含有する組成物の外側有機コーティング層と
を含んでなり、
多層コーティングが、孔を実質的にカバーされないままにしてフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートの外面を実質的にカバーする金属化複合シート。
【請求項21】
第1および第2外面ならびに少なくとも1つの多層コーティングを有する多孔質フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート層を含んでなる金属化複合シートであって、該多層コーティングが、
前記フラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シート層の第1外面上に蒸着された約0.02マイクロメートル〜1マイクロメートルの厚さを有する架橋ポリアクリレートを含有する組成物の中間有機コーティング層と、
前記中間有機コーティング層上に蒸着された約15ナノメートル〜200ナノメートルの厚さを有する金属コーティング層であって、前記金属がアルミニウム、銀、銅、金、錫、亜鉛、およびそれらの合金から選択された層と、
金属層上に蒸着された約0.2マイクロメートル〜1マイクロメートルの厚さを有する架橋ポリアクリレートを含有する組成物の外側有機コーティング層と
を含んでなり、
多層コーティングが、孔を実質的にカバーされないままにしてフラッシュ紡糸プレキシフィラメント状シートの外面を実質的にカバーする金属化複合シート。
【請求項22】
中間コーティング層が約0.025マイクロメートル〜0.2マイクロメートルの厚さを有する、請求項21に記載の金属化複合シート。
【請求項23】
請求項1、2、3、20または21のいずれか一項に記載の金属化複合シートを含んでなる建築構造での屋根システム。
【請求項24】
請求項1、2、3、20または21のいずれか一項に記載の金属化複合シートを含んでなる建築構造での壁システム。
【請求項25】
建物の壁または屋根に請求項1に記載の金属化複合シートを設置する工程を含んでなる建物を通り抜けるEMF放射線の透過の低減方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−510640(P2008−510640A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530133(P2007−530133)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/030291
【国際公開番号】WO2006/024013
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】