説明

改良固体大豆蛋白素材及びその製造方法

【課題】大豆蛋白素材特有の大豆臭及び大豆味を充分に低減した改良固体大豆蛋白素材の提供。
【解決手段】大豆蛋白素材と、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸の酸化物及び二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加物と、を含む改良固体大豆蛋白素材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良固体大豆蛋白素材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大豆に含まれる蛋白質の特性を利用した大豆蛋白素材は、乳化性、気泡性、保水性、保油性、ゲル形成能等の機能特性を有しており、種々の用途に用いられている。例えば、大豆蛋白素材の一つである組織状大豆蛋白には、大豆蛋白原料を加水して加圧加熱下に押し出す、いわゆるエクストルージョンクッキング法により製造される組織状大豆蛋白や、大豆蛋白スラリーを背圧下に加熱流動させオリフィスを通して放出して製造される繊維状構造に優れた組織状大豆蛋白があり、いずれの方法による組織状大豆蛋白も保水力に富み、安価な食品材料としてミンチ肉利用製品等に利用されている。また、他の大豆蛋白素材として、脱脂大豆からホエー成分を除去した濃縮大豆蛋白や、脱脂大豆からホエー及びオカラ成分を除去した分離大豆蛋白などの粉末状大豆蛋白がある。これらはゲル形成能、保水力などの機能を有しており食肉製品、水産練製品などに利用されている。また、豆乳や脱脂豆乳等の大豆蛋白素材は液状又は粉末状の形態で飲用や他の食品に利用されている。
【0003】
しかし、これらの大豆蛋白素材は、一般的に大豆製品特有の大豆臭及び大豆味を有しており、大豆蛋白素材を利用する食品によっては異味異臭として感じられる場合もあった。そこでこれらの風味を改善することがいろいろ試行されてきた。
【0004】
組織状大豆蛋白について、例えば、本願出願人は、特許文献1に開示するように、水蒸気と接触させることを試みている。また特許文献2に開示するように、カルシウムを利用したり、特許文献3に開示するように、カルシウムとマグネシウムを併用することなどを試みている。さらに本願出願人は特許文献4に開示するように炭酸水素化合物又は炭酸化合物を添加する方法を試みている。
【0005】
一方、粉末状大豆蛋白においては、特許文献5に開示するように、有機酸カルシウムを添加したり、特許文献6に開示するように、大豆ホエーを除去することで風味改善を試みている。また、特許文献7に開示するように、中和時間の短縮により菌の増殖と酸化を抑制したり、特許文献8に開示するように、水蒸気吹き込み処理を試みたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3212020号公報
【特許文献2】特開平6‐165644号公報
【特許文献3】特開2001−275576号公報
【特許文献4】国際公開第2006/106702号
【特許文献5】特開平6−141783号公報
【特許文献6】特開平9−94068号公報
【特許文献7】特開2000−69914号公報
【特許文献8】特開2007−82510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜8に開示された技術によって、大豆蛋白素材特有の大豆臭及び大豆味の低減、及びこれらに起因する風味の改善に対する一定の効果は得られているものの、未だ充分ではなく、改良の余地が残されている。
【0008】
そこで、本発明は以上の状況に鑑み、大豆蛋白素材特有の大豆臭及び大豆味を充分に低減した改良固体大豆蛋白素材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、大豆蛋白素材と、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸の酸化物及び二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加物と、を含む改良固体大豆蛋白素材を提供する。
【0010】
上記本発明によれば、大豆蛋白素材に由来する特有の大豆臭及び大豆味を充分に低減することができる。
【0011】
上記改良固体大豆蛋白素材は、蛋白質の含有量が、全量に対して20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。
【0012】
上記大豆蛋白素材は、粉末状大豆蛋白、脱脂豆乳粉末、組織状大豆蛋白又は大豆粉とすることができる。
【0013】
本発明はまた、大豆原料を大豆蛋白素材に加工する過程で、大豆原料に、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸の酸化物及び二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加物を添加する、改良固体大豆蛋白素材の製造方法を提供する。
【0014】
上記製造方法によれば、大豆蛋白素材に由来する大豆臭及び大豆味をより充分に低減した改良固体大豆蛋白素材の製造が可能となる。
【0015】
上記製造方法においては、上記添加物を添加した大豆原料を加熱する工程を備えることが好ましい。これにより、更に風味改良効果が高くなる。
【0016】
上記製造方法においては、上記添加物の添加が、上記添加物を含有する油脂組成物を添加することにより行われるものとすることができる。
【0017】
上記製造方法により得ることのできる改良固体大豆蛋白素材は、大豆蛋白素材に由来する大豆臭及び大豆味が低減したものである。
【0018】
本発明はまた、上記改良固体大豆蛋白素材を用いて調理した食品を提供する。本発明に係る食品は、上記改良固体大豆蛋白素材を用いて調理していることにより、大豆蛋白素材に由来する大豆臭及び大豆味を原因とする風味の悪さが改善されると共に、その食品が本来持つ良好な風味を際立たせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、大豆蛋白素材特有の大豆臭及び大豆味を充分に低減した改良固体大豆蛋白素材を提供することができる。さらに、本発明の改良固体大豆蛋白素材を食品に使用することにより、大豆臭、大豆味が少ない風味良好な大豆蛋白含有食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0021】
〔改良固体大豆蛋白素材〕
本発明の改良固体大豆蛋白素材は、大豆蛋白素材と、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸(以下「高度不飽和脂肪酸」ともいう。)、高度不飽和脂肪酸のエステル体(以下「高度不飽和脂肪酸エステル」ともいう。)、高度不飽和脂肪酸の酸化物及び高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加物と、を含む。このような構成を有することにより、大豆蛋白素材に特有の大豆臭、大豆味を充分に低減することができる。
【0022】
(大豆蛋白素材)
本明細書において、大豆蛋白素材とは、大豆の加工によって得られる大豆由来の蛋白質を含有する素材を意味する。大豆蛋白素材は固体状であることが好ましい。このような大豆蛋白素材には、分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白といった粉末状大豆蛋白、粒状大豆蛋白や繊維状大豆蛋白といった組織状大豆蛋白、豆乳粉末(含脂、脱脂を問わない。)、大豆粉等が含まれる。
【0023】
粉末状大豆蛋白は、脱脂大豆を加工し、蛋白質含量を高めて粉末状とした素材である。粉末状大豆蛋白としては、例えば、分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白が挙げられる。
分離大豆蛋白は脱脂大豆からホエー(酸可溶性糖類及び酸可溶性蛋白質)及びオカラを除去した素材である。分離大豆蛋白の蛋白質含量は、通常、分離大豆蛋白の固形分全量に対して90質量%以上である。分離大豆蛋白は、例えば、脱脂大豆を水に分散させ水抽出して得た抽出液を酸性(等電点付近、例えば、pH約4.5)にpH調整して蛋白質を酸沈殿させ、ホエーを除去した後、カードを回収し、中和したものを加熱殺菌し、乾燥粉末化することにより製造できる。
濃縮大豆蛋白は脱脂大豆からホエーを除去した素材である。濃縮大豆蛋白の蛋白質含量は、通常、濃縮大豆蛋白の固形分全量に対して60〜80質量%である。濃縮大豆蛋白は、例えば、脱脂大豆を酸洗浄又はアルコール洗浄してこれらに可溶性の蛋白質及び糖類を除去した後、中和又はアルコール除去後、加熱殺菌し、乾燥粉末化することにより製造できる。
分離大豆蛋白及び濃縮大豆蛋白の製造において、加熱殺菌は、例えば、100℃以上の高温短時間殺菌を施すことにより行うことができる。また、乾燥粉末化は、例えば、噴霧乾燥等により行うことができる。
【0024】
組織状大豆蛋白は、粉末状大豆蛋白、豆乳粉末、大豆粉等の大豆蛋白素材を更に組織加工して粒状、繊維状等に成型した素材である。組織状大豆蛋白としては、例えば、粒状大豆蛋白や繊維状大豆蛋白が挙げられる。
粒状大豆蛋白は、押し出し成型法等によって粒状に成型した素材である。粒状大豆蛋白は、一軸又は二軸エクストルーダー等の押し出し機を使用して製造することができる。例えば、全脂大豆粉、豆乳粉末、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、脱脂大豆粉、脱脂豆乳粉末、オカラ、脱脂オカラ等の大豆由来の蛋白質を含有する素材を主体とする原料を、押し出し機に投入しバレルを加熱してスクリューで原料を圧送し、原料がシリンダー内部で100℃以上に加圧加熱された状態から押出口に取り付けられたダイより常圧下に押し出し、適当なサイズにカッターやミル等でカッティング若しくは粉砕し、その後公知の乾燥機で乾燥することにより一般に製造できる。
原料の水分、バレルの温度、加圧の程度、加熱の程度は目的とする製品に応じて設定することができるが、組織化温度は、先端バレル温度100〜200℃、好ましくは120〜180℃程度が適当である。押し出し機に供給される原料中の水分は5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%が適当である。
【0025】
繊維状大豆蛋白は、繊維状に成型した素材である。繊維状大豆蛋白は、例えば、脱脂大豆を水に分散させ水抽出して得た抽出液を酸性(等電点付近、例えば、pH約4.5)にpH調整して蛋白質を酸沈殿させ、ホエーを除去した後、回収したカードを主体とする原料を用い、背圧下において100℃以上で加熱流動させオリフィスを通して放出することにより製造できる。
【0026】
豆乳粉末は、浸漬膨潤させた大豆を磨砕、加熱、濾過して得られる濾液を乾燥して得られるものである。本発明に係る大豆蛋白素材として用いる場合は、含脂豆乳粉末であっても、脱脂豆乳粉末であってもよい。
【0027】
大豆粉は、大豆を粉末化した素材である。大豆粉は、例えば、大豆を過熱蒸気処理(120〜150℃、1分)した後、粉砕することにより製造できる(全脂大豆粉)。また、大豆を溶剤(ヘキサン等)抽出法によって大豆油を分離して脱脂大豆とし、加熱して溶剤を除去した後、粉砕することにより製造することもできる(脱脂大豆粉)。
【0028】
(添加物)
本発明に係る添加物は、高度不飽和脂肪酸、高度不飽和脂肪酸エステル、高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物の少なくとも一種からなる。大豆臭及び大豆味をより一層低減する観点から、上記添加物は、高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物の少なくとも一方を含むものであることが好ましい。例えば、高度不飽和脂肪酸と高度不飽和脂肪酸の酸化物とを含む添加物、高度不飽和脂肪酸エステルと高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物とを含む添加物、高度不飽和脂肪酸と高度不飽和脂肪酸エステルと高度不飽和脂肪酸の酸化物と高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物とを全て含む添加物等が挙げられる。
【0029】
高度不飽和脂肪酸は二重結合を3以上有する。これにより、大豆臭及び大豆味が充分に低減された改良固体大豆蛋白素材とすることができる。また、大豆臭及び大豆味をより一層低減できることから、高度不飽和脂肪酸は二重結合を4以上有するものであることが好ましく、二重結合を4〜6有するものであることがより好ましい。
【0030】
高度不飽和脂肪酸は、炭素数が18〜24であるものが好ましく、炭素数が20〜22であるものがより好ましい。炭素数が上記範囲内にあることにより、より効果的に大豆臭及び大豆味を低減できる。
【0031】
高度不飽和脂肪酸としては、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ピノレン酸、ミード酸、エイコサトリエン酸等のトリ不飽和脂肪酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ステアドリン酸等のテトラ不飽和脂肪酸、ドコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸等のペンタ不飽和脂肪酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸等のヘキサ不飽和脂肪酸を挙げることができる。これらの中でも、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸等のω6系統の不飽和脂肪酸が好ましく、アラキドン酸がより好ましい。これらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0032】
高度不飽和脂肪酸エステルとは、例えば、上述した高度不飽和脂肪酸とアルコール類や糖類とのエステルである。アルコール類は、一価及び多価アルコールのいずれでもよい。多価アルコールとしては、例えば、二価のエチレングリコールや三価のグリセリンを挙げることができる。上記高度不飽和脂肪酸と多価アルコールとのエステルである場合、多価アルコールの少なくとも一つのヒドロキシ基と上記高度不飽和脂肪酸のカルボキシ基とでエステル結合を形成していればよい。例えば、多価アルコールがグリセリンの場合、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド(トリアシルグリセロール)のいずれであってもよい。ジグリセリドやトリグリセリドの場合は、少なくとも一つのヒドロキシ基と上記高度不飽和脂肪酸とがエステル結合を形成していればよく、他のヒドロキシ基が上記高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸とのエステル結合を形成していてもよい。
【0033】
高度不飽和脂肪酸の酸化物及び高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物は、それぞれ、上記高度不飽和脂肪酸及び上記高度不飽和脂肪酸エステルを、例えば加熱により、酸化することによって得ることができる。加熱は、40〜200℃において0.1〜240時間の範囲で適宜設定した条件で行うことができる。加熱は、80〜180℃において0.5〜72時間の範囲の条件で行うことが好ましく、例えば、120℃で2時間とすることができる。なお、100℃以下で加熱する場合には、上記高度不飽和脂肪酸又は高度不飽和脂肪酸エステルを水に添加したものを加熱酸化することによって、温度が100℃以上に上昇するのを防止することができる。
【0034】
上記高度不飽和脂肪酸の酸化物及び上記高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物は、具体的な成分として、アルデヒド類、ケトン類、アルコール類、炭化水素、フラン類、有機酸等を含む。更に具体的には、例えば、アルデヒド類として、ペンタナール(Pentanal)、ヘキサナール(Hexanal)、2−ヘプタナール(2−Heptanal)、2−オクテナール(2−Octenal)、2−ノネナール(2−Nonenal)、4−ノネナール(4−Nonenal)、2,4−ノナジエナール(2,4−Nonadienal)、2,4−デカジエナール(2,4−Decadienal)、2,5−ウンデカジエナール(2,5−Undecadienal)、2,4,7−デカトリエナール(2,4,7−Decatrienal)、2,4,7−トリデカトリエナール(2,4,7−Tridecatrienal)等が、ケトン類として、2−ヘプタノン(2−Heptanone)、3−オクタノン(3−Octanone)、2−オクタノン(2−Octanone)、3−オクテン−2−オン(3−Octen−2−one)、2,3−オクタンジオン(2,3−Octanedione)、4−ノナノン(4−Nonanone)等が、アルコール類として、1−オクテン−3−オール(1−Octen−3−ol)、2−メチル−3−オクタノール(2−methyle−3−octanol)、1,2−ヘプタンジオール(1,2−Heptanediol)等を挙げることができる。
【0035】
上記高度不飽和脂肪酸の酸化物又は上記高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物に含まれる成分は、GC分析又はGC−MS分析することで定量及び同定することができる。GC分析やGC−MS分析は、例えば、以下のような分析条件で行うことができる。
装置 :GC;HP5890(Hewlett Packard社)
MS;HP5972(Hewlett Packard社)
カラム :TC−WAX(GL−Science社)
0.25mmI.D.×60m df=0.25μm
昇温条件:40℃で5分保持した後、4℃/min.で昇温し、200℃に到達したら200℃で10分保持する
【0036】
成分の同定は、得られたマススペクトルの値とライブラリー(NBS75K,NIST社)の値、又はライブラリーにはない未知成分に関しては油脂を構成する脂肪酸の酸化分解によって生じる可能性のある理論的なマススペクトルの値及び文献(例えば、Badings,H.T. Neth.Milk Dairy J.,24:145−256,1970年)とを比較することによって行うことができる。
【0037】
本発明に係る添加物は、上記高度不飽和脂肪酸、高度不飽和脂肪酸エステル、高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物の少なくとも一種を油脂に溶解させた油脂組成物の形態であってもよい。油脂組成物には、油脂として、各種動植物、微生物、藻類等から得られたものが市販されておりこれら当業者には公知のものを適宜使用することができる。例えば、ボラージ油、月見草油、ローズヒップ油、ブラックカラント油や魚油、また特開平10−70992、及び特開平10−191886に記載されたアラキドン酸をトリグリセリドの形で豊富に含有する微生物由来の食用油等がある。油脂組成物の上記高度不飽和脂肪酸又は高度不飽和脂肪酸エステルの含有量は、10〜100,000ppm(重量ppmを意味する。以下同じ。)とすることができ、10〜20,000ppmとすることが好ましく、10〜10,000ppmとすることがより好ましい。また、油脂組成物の上記高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物の含有量は、10〜100,000ppmとすることができ、10〜20,000ppmとすることが好ましく、10〜10,000ppmとすることがより好ましい。
【0038】
添加物が油脂組成物である場合、上記高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物は、上記高度不飽和脂肪酸又は高度不飽和脂肪酸エステルを含む油脂を加熱することにより得ることもできる。特に、上記高度不飽和脂肪酸エステルがトリグリセリドである場合には、上記高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物をこのような油脂組成物の形態とすることが好ましい。
【0039】
(改良固体大豆蛋白素材)
本発明の改良固体大豆蛋白素材は、固体状のものである。固体状であることにより、大豆臭、大豆味を効果的に低減することができる。また、本発明の改良固体大豆蛋白素材は、上記添加物以外は、実質的に大豆蛋白素材からなっていることが好ましい。
【0040】
改良固体大豆蛋白素材における蛋白質の含有量は、改良固体大豆蛋白素材全量に対して、20質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。
【0041】
本発明の改良固体大豆蛋白素材は、高度不飽和脂肪酸又は高度不飽和脂肪酸エステルと、高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物とを共に含むことが好ましい。共に含むことによって、持続的に大豆臭及び大豆味を低減する効果が得られる。
【0042】
本発明の改良固体大豆蛋白素材は、高度不飽和脂肪酸又は高度不飽和脂肪酸エステルを改良固体大豆蛋白素材全量に対して、0.01〜1000ppm含有することが好ましい。また、0.05〜500ppm含有することがより好ましく、0.1〜100ppm含有することがさらに好ましい。また、本発明の改良固体大豆蛋白素材は、高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物を改良固体大豆蛋白素材全量に対して、0.01〜1000ppm含有することが好ましい。また、0.05〜500ppm含有することがより好ましく、0.1〜100ppm含有することがさらに好ましい。含有量が少なすぎると風味改良効果が小さくなる傾向があり、含有量が多すぎると不飽和脂肪酸に由来する異味を感じやすくなる傾向にある。
【0043】
上記高度不飽和脂肪酸又は高度不飽和脂肪酸エステルの分析は、例えば、改良固体大豆蛋白素材からヘキサン等を用いて油分を抽出し、抽出した油を「基準油脂分析試験法 参3.2.3−1996」に従い、GC分析する方法により行うことができる。また、上記高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物の分析(定量及び同定)は、上述したGC分析又はGC−MS分析により行うことができる。
【0044】
〔改良固体大豆蛋白素材の製造方法〕
本発明の改良固体大豆蛋白素材の製造方法は、大豆原料を大豆蛋白素材に加工する過程で、大豆原料に上記添加物を添加することを特徴とする。なお、大豆原料とは、大豆又は大豆に由来する食品原料を意味し、大豆に由来する食品原料には、例えば、全脂大豆粉、脱脂大豆、脱脂大豆粉、(全脂又は脱脂)豆乳粉末、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、オカラ、脱脂オカラ等が含まれる。
【0045】
改良固体大豆蛋白素材は、大豆蛋白素材に上記添加物を混合することによって製造してもよいが、大豆蛋白素材に由来する大豆臭及び大豆味をより充分に低減する観点から、大豆原料を大豆蛋白素材に加工する過程で、大豆原料に上記添加物を添加することが好ましい。
【0046】
また、本発明の改良固体大豆蛋白素材の製造方法においては、大豆原料に上記添加物を添加した後に、これらを加熱する工程(加熱工程)を備えることが好ましい。
【0047】
このような加熱する工程を、大豆原料を大豆蛋白素材に加工する最中に新たに設けてもよいが、必ずしも特別な工程を追加する必要はない。大豆原料から大豆蛋白素材への加工においては、必ず大豆原料を加熱する工程があるためである。例えば、大豆蛋白素材が粉末状大豆蛋白や豆乳粉末の場合は、加熱殺菌工程やスプレードライ等の噴霧乾燥工程が挙げられ、大豆蛋白素材が組織状大豆蛋白の場合は加圧加熱下で押し出す工程が挙げられる。これらの工程の前に、大豆原料に上記添加物を添加すればよい。
【0048】
大豆蛋白素材が組織状大豆蛋白の場合、加熱工程前に大豆原料に上記添加物を添加することによって原料中に均一にこの添加物を分散させることができるため、押し出し工程後にこの添加物を噴霧するよりも大豆臭及び大豆味の低減効果はより高くなる。また加熱工程前に添加することにより、更に風味改良効果が高くなる。
【0049】
上記添加物の添加量は、高度不飽和脂肪酸又は高度不飽和脂肪酸エステルが、大豆原料の固形分に対して、0.01〜1000ppmであることが好ましく、0.05〜500ppmであることがより好ましく、0.1〜100ppmであることが更に好ましい。また、上記添加物の添加量は、高度不飽和脂肪酸の酸化物又は高度不飽和脂肪酸エステルの酸化物が、大豆原料の固形分に対して、0.01〜1000ppmであることが好ましく、0.05〜500ppmであることがより好ましく、0.1〜100ppmであることが更に好ましい。添加量が少なすぎると風味改良効果が小さくなる傾向があり、添加量が多すぎると添加物に由来する異味を感じやすくなる傾向にある。なお、大豆原料の固形分とは、大豆原料に含まれる固体成分を意味する。この固体成分は、例えば、大豆原料を遠心分離したときの沈殿成分として特定することができる。
【0050】
〔改良固体大豆蛋白素材を用いて調理した食品〕
以上のように、本発明の改良固体大豆蛋白素材は、大豆蛋白素材の大豆臭及び大豆味が有効に低減され、風味が改良されたものである。したがって、この改良固体大豆蛋白素材を従来の大豆蛋白素材が使用されてきた食品に、従来の大豆蛋白素材に代えて使用することができる。
【0051】
食品としては、例えば、肉製品(ハンバーグ、ミートボール、シュウマイ、肉まんじゅう、ソーセージ、ハム、肉フライ製品等)や魚肉練製品(かまぼこ、ちくわ、はんぺん等)が挙げられる。
【0052】
これによって、従来の大豆蛋白素材を含有する食品に比べると、大豆蛋白素材に由来する大豆臭及び大豆味を原因とする風味の悪さが改善され、その食品本来の持つ良好な風味を際立たせることが可能である。例えば、肉製品では従来の大豆蛋白素材を使用するよりも、より肉製品の肉の風味を際立たせることができる。
【0053】
なお、本発明の改良固体大豆蛋白素材を食品に使用したときの大豆臭及び大豆味の低減効果並びに風味改良効果は、従来の大豆蛋白素材を含有する食品に直接、上記添加物を添加したときと比べて、著しく優れている。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明の実施態様をより具体的に例示する。
【0055】
〔調製例1〕−アラキドン酸及びその酸化物の混合物の調製−
キャノーラ油((株)J−オイルミルズ)にアラキドン酸(純度98%、和光純薬工業(株)販売、ICN製造)を1%(v/v)となるように添加し、調製油を作成した。調製油を120℃で2時間加温し、アラキドン酸及びその酸化物の混合物(以下「添加物1」ともいう。)を得た。
【0056】
添加物1をGC−MSにより分析した。分析の条件は以下のとおりである。
装置 :GC;HP5890(Hewlett Packard社)
MS;HP5972(Hewlett Packard社)
カラム :TC−WAX(GL−Science社)
0.25mmI.D.×60m df=0.25μm
昇温条件:40℃で5分保持した後、4℃/分で昇温し、200℃で10分保持した。
【0057】
GC−MS分析の結果、アラキドン酸とその酸化物に由来するピークが観察された。また、添加物1のアラキドン酸含有量は8000ppmであった。この添加物1を、以下の実施例に用いた。
【0058】
〔実施例1〕−改良固体大豆蛋白素材(粒状大豆蛋白)の調製−
脱脂大豆5kgに、添加物1を配合し、適量加水しながら下記条件で二軸エクストルーダーを用いて常法通り組織化し、改良固体大豆蛋白素材(粒状大豆蛋白)を得た。添加物1は、得られる改良固体大豆蛋白素材(粒状大豆蛋白)全量に対してアラキドン酸が6〜300ppm(実施例1−1〜1−8)の含有量となるように添加した。また、比較例1として添加物1を添加しない脱脂大豆を同様に組織化し、従来の粒状大豆蛋白を得た。
【0059】
組織化条件は以下のとおりである。
使用押出機:幸和工業(株)社製KEI−45−25型二軸押出機
使用ダイス:2mmφ×10穴
処理量:粉体原料流量30kg/h
スクリュー回転数:200r.p.m.
スクリューパターン:標準パターン
一定条件での評価のため組織化品温を170℃となるよう含有させる水を調整し、バレル温度も調節した。
得られた組織化物は、長さ5mm程度となるようダイス出口直後にカッターで切断し、熱風乾燥機にて水分含量が、組織化物全量に対して、8質量%となるよう80℃の熱風で乾燥を行った。
【0060】
実施例1−1〜1−8の改良固体大豆蛋白素材(粒状大豆蛋白)及び比較例1の粒状大豆蛋白を、6倍加水し、25℃で10分間水戻しした後官能評価を行った。官能評価は、10名の専門パネリストにより5点法で風味について試食評価を行った。大豆臭及び酸化臭については、点数が高いほど臭いが少ないことを意味する。総評については、点数が高いほど大豆臭及び酸化臭が少なく、風味良好なことを意味する。結果は、10名のパネリストが付けた点数の平均点で評価した(表1)。表中、「アラキドン酸添加量」は、添加物1のアラキドン酸としての添加量を意味する(以下、同様である。)。
【0061】
【表1】

【0062】
比較例1に対し、実施例1−1〜1−8ではいずれも大豆臭が減少していた。しかしながら、添加物1の添加量が多くなるにつれ、大豆臭は減少するものの、逆に添加物1に由来する不快な酸化臭が感じられるようになり、総評としては実施例1−5を境に低下する傾向になった。
【0063】
〔実施例2〕−改良固体大豆蛋白素材(分離大豆蛋白)の調製−
脱脂大豆フレーク10kgを水100kgに分散させ、ホモミキサーで攪拌しながら50℃で30分間蛋白質成分を抽出した。その後、遠心分離機を用いて不溶物であるオカラを除去して得られた豆乳に、pHが4.5になるまで塩酸を添加し、酸沈殿画分を遠心分離機により回収した。この酸沈殿画分(固形分4kg)を水道水40kgに分散し、更に水酸化ナトリウムを加えてpH7.0に中和した。この中和液に添加物1を添加し、直ちに加熱殺菌(140℃,7秒)し、噴霧乾燥して改良固体大豆蛋白素材(分離大豆蛋白)を得た。添加物1は、得られる改良固体大豆蛋白素材(分離大豆蛋白)全量に対してアラキドン酸が25〜500ppm(実施例2−1〜1−5)の含有量となるように添加した。また、比較例2として添加物1を添加しなかったこと以外は上記と同様にして、従来の分離大豆蛋白を得た。得られた各サンプルの10%溶液を調製し、実施例1と同様に官能評価を行った。
【0064】
【表2】

【0065】
表2のとおり、改良固体大豆蛋白素材(分離大豆蛋白)についても実施例1と同様の傾向が見られた。
【0066】
〔実施例3〕−改良固体大豆蛋白素材(脱脂豆乳粉末)の調製−
脱脂大豆フレーク10kgを水100kgに分散させ、ホモミキサーで攪拌しながら60℃で30分間蛋白質成分を抽出した。その後、遠心分離機を用いてオカラを除去して得た豆乳を直ちに加熱殺菌(140℃,7秒)した。この殺菌液に添加物1を添加し、送風160℃、排風80℃で噴霧乾燥して改良固体大豆蛋白素材(脱脂豆乳粉末)を得た。添加物1は、得られる改良固体大豆蛋白素材(脱脂豆乳粉末)全量に対してアラキドン酸が25〜500ppm(実施例3−1〜3−5)の含有量となるように添加した。また、比較例3として添加物1を添加しなかったこと以外は上記と同様にして、従来の脱脂豆乳粉末を得た。得られた各サンプルの10%溶液を調製し、実施例1と同様に官能評価を行った。
【0067】
【表3】

【0068】
表3のとおり、改良固体大豆蛋白素材(脱脂豆乳粉末)についても実施例1、2と同様の傾向が見られた。
【0069】
〔実施例4〕−各種不飽和脂肪酸の酸化物の添加効果−
不飽和脂肪酸として、アラキドン酸(AA)に換えて、ドコサヘキサエン酸(DHA)(SIGMA社)、エイコサペンタエン酸(EPA)(SIGMA社)、リノール酸(SIGMA社)、リノレン酸(SIGMA社)を用いたこと以外は調製例1と同様の方法により、各種不飽和脂肪酸及びその酸化物の混合物(以下、DHA、EPA、リノール酸、リノレン酸を用いた上記混合物を、それぞれ、「添加物2」、「添加物3」、「添加物4」、「添加物5」ともいう。)を調製した。
実施例1〜3と同様の方法により添加物1〜5を添加した粒状大豆蛋白、分離大豆蛋白、脱脂豆乳粉末を調製し、実施例1〜3と同様の方法でそれぞれ官能評価を行った。表4〜6中、「不飽和脂肪酸添加量」は、添加物1〜5の不飽和脂肪酸としての添加量を意味する。
【0070】
【表4】

【0071】
【表5】

【0072】
【表6】

【0073】
表4〜6のとおり、いずれの大豆蛋白素材においても、二重結合を4以上有する不飽和脂肪酸(AA、DHA、EPA)及びその酸化物の混合物を添加したものについて、大豆臭低減効果が確認された。二重結合を3つ有するリノレン酸及びその酸化物の混合物を添加したものでも大豆臭低減効果を確認できたが、二重結合を2つ有するリノール酸及びその酸化物の混合物では大豆臭の低減効果は確認できなかった。
【0074】
〔実施例5〕−ハンバーグへの添加試験−
実施例1−4で調製した改良固体大豆蛋白素材(粒状大豆蛋白)に、全体が浸漬されるように25℃の水を加え、完全に吸水するように10分間以上放置した。余分な水を切った後、下記配合(表7)のとおり各原料をケンウッドミキサーにて90秒間混合し、ハンバーグ生地を調製した(実施例5−1)。このハンバーグ生地を90gずつ計量し、小判状に成型し、オーブンで200℃8分間(中心温度80℃)焼き蒸し加熱を行い、ハンバーグを製造した。比較として、添加物1を添加していない比較例1の粒状大豆蛋白を水戻しして、そのまま使用して得たハンバーグ(比較例5−1)、及び、調製時に別途添加物1を比較例1の粒状大豆蛋白全量に対してアラキドン酸が50ppmの含有量となるように添加したハンバーグも試作した(比較例5−2)。得られたハンバーグについて実施例1と同様に官能評価を行った。
【0075】
【表7】

【0076】
【表8】

【0077】
表8のとおり、ハンバーグに改良固体大豆蛋白素材(粒状大豆蛋白)を使用すると、従来の粒状大豆蛋白を使用するよりも大豆臭が少なく、ハンバーグの肉本来の風味が際立っていた(実施例5−1、比較例5−1)。ハンバーグ製造時に添加物1を添加した比較例5−2は、いわゆる大豆臭の低減はある程度確認できるが、その効果は実施例5−1に比べて低く、代わりに大豆臭とは異なる不自然な風味が発生しており、ハンバーグとして全体の味のバランスが悪く総評は低くなった。
【0078】
〔実施例6〕−ソーセージへの添加試験−
実施例1−4で調製した改良固体大豆蛋白素材(粒状大豆蛋白)を可能な限り粉末状に細かく粉砕し使用し、下記配合(表9)のとおり、各原料をロボクープで6分間混合し、ソーセージ生地を調製した。このソーセージ生地をケーシング(詰め袋)に充填後、50分間加熱・燻煙し、冷却してソーセージを調製した(実施例6−1)。比較として、添加物1を添加していない比較例1の粒状大豆蛋白を粉砕して、そのまま使用して得たソーセージ(比較例6−1)、及び、調製時に別途添加物1を比較例1の粒状大豆蛋白全量に対してアラキドン酸が50ppmの含有量となるように添加したソーセージも試作した(比較例6−2)。得られたソーセージについて実施例1と同様に官能評価を行った。
【0079】
【表9】

【0080】
【表10】

【0081】
表10のとおり、実施例5と同様の傾向であり、ソーセージに添加物1と粒状大豆蛋白を別途に添加するよりも、予め添加物1を含有させた改良固体大豆蛋白素材(粒状大豆蛋白)を使用した方が、ソーセージの肉本来の風味が際立っており、風味のバランスも優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆蛋白素材と、
二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸の酸化物及び二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加物と、を含む改良固体大豆蛋白素材。
【請求項2】
蛋白質の含有量が、全量に対して20質量%以上である、請求項1に記載の改良固体大豆蛋白素材。
【請求項3】
前記大豆蛋白素材が、粉末状大豆蛋白、脱脂豆乳粉末、組織状大豆蛋白又は大豆粉である、請求項1又は2に記載の改良固体大豆蛋白素材。
【請求項4】
大豆原料を大豆蛋白素材に加工する過程で、大豆原料に、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体、二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸の酸化物及び二重結合を3以上有する不飽和脂肪酸のエステル体の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加物を添加する、改良固体大豆蛋白素材の製造方法。
【請求項5】
前記添加物を添加した大豆原料を加熱する工程を備える、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記添加物の添加が、前記添加物を含有する油脂組成物を添加することにより行われる、請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の改良固体大豆蛋白素材を用いて調理した食品。

【公開番号】特開2012−135280(P2012−135280A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290811(P2010−290811)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(302042678)株式会社J−オイルミルズ (75)
【出願人】(000236768)不二製油株式会社 (386)
【Fターム(参考)】