説明

改良型適応ビーム形成向けのクラッタフィルタ処理のためのシステム及び方法

【課題】時間遅延補正機能を向上させた超音波撮像システムを提供する。
【解決手段】クラッタフィルタ処理のための方法(132)を提供する。本方法は、フィルタ処理済み素子信号を取得するために素子が発生させた素子信号から血液成分を抽出する工程(134)と、フィルタ処理済みビーム和信号を取得するためにビーム和信号から血液成分を抽出する工程(136)と、フィルタ処理済み素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間、あるいはフィルタ処理済み素子信号とビーム和信号との間、あるいは素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間の時間遅延推定値を計算する工程(138)と、時間遅延推定値を適用し当該素子に関する送信及び受信ビーム形成時間遅延を補正する工程(140)と、を含む。本技法は、この方法により規定されるタイプの機能を可能にするシステム及び装置も提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、全般的には撮像システムに関し、より具体的には超音波撮像システムにおいて画像分解能及びコントラストを向上させるための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは典型的には、撮像対象に1組の波形を送信して反射した1組の超音波信号を受信するためのトランスジューサ素子のアレイを備える。各波形は、所望の方向及び深度で所望の形状をもって送信された正味の波形が集束されるように相対時間遅延を選択して送出される。同様に受信した各信号は、所望の方向及び深度に関する所望の形状をした反射エネルギーに対するシステムの応答を最大化するように個別に遅延を受ける。遅延させた受信信号は加え合わせられて、撮像対象の画像を作成し表示するように処理される。
【0003】
送信及び受信時間遅延(全体として、ビーム形成時間遅延と呼ぶ)は典型的には、音波が既知の等しい速度で身体内を伝播するという前提に基づいて計算される。しかし、組織のタイプ(例えば、筋肉、脂肪、軟骨、その他)が異なるとその対応する音速は大幅に変動することが分かっている。例えば、心臓撮像ではトランスジューサを対象の2本の肋骨の間に配置することによって実施されることが多い。この音響ウィンドウは脂肪と肋間筋からなる複雑な層を包含しており、このため均一音速伝播の前提が妥当でなくなることがある。この前提が成り立たないと、送信及び受信集束が劣化すると共に、画像分解能及びコントラストのロスが生ずることになる。
【0004】
超音波撮像のための時間遅延補正の推定に関する従来の方法では、心臓を撮像する際に信頼性が高い時間遅延推定値が生成される可能性は低い。これらの方法では、個々のトランスジューサ素子信号間、あるいはトランスジューサ素子信号とこれら素子信号の和との間、あるいは様々な下位群トランスジューサ素子信号間で時間遅延差を直接的か間接的かのいずれかで推定している。時間遅延推定方法の概ねすべての方法では、反射の弱い散乱体と比べて反射の強い散乱体の寄与に対してより大きな重みを明示的か黙示的かのいずれかにより与えている。しかし、心臓の内部にある血液プールからの超音波散乱は心臓壁からの散乱と比べてかなり弱い。したがって、心臓の内部を撮像する際には、反射された超音波信号が、超音波ビームのサイドローブ内の反射が強い心臓壁組織により支配され、超音波ビームの主ローブ内の反射が弱い血液により支配されない可能性が極めて高い。したがって、目下の時間遅延推定アルゴリズムでは、補正ビームを誤って反射が強い心臓壁組織に向かってステアリングするような時間遅延補正が生成される可能性が高い。
【0005】
同様の問題は、血管や胆嚢などの強散乱体に取り囲まれた弱散乱物体を撮像する際に生じる。比較する信号の振幅をスケール調整し直してもこの問題は解決されない。例えば、時間遅延推定に信号のサインだけが使用されているような極限を考えてみる。ある具体的なサンプルに対して血液と組織の両方が寄与している場合、当該サンプルのサインは依然として、かなり大きな組織寄与のサインによって支配される傾向となる。振幅をスケール調整し直すことは、時間遅延推定で使用されるサンプルの一部が血液により支配されている場合にだけ役に立つ。
【0006】
一般にカラーフローまたはカラーパワーとして知られる超音波画像内への血流情報の表示は、広範に使用されている医用診断ツールの1つである。しかし撮像深度が深くなると、従来のカラーフロー処理では、特にその内部にビーム形成アベレーション(aberration)が存在するような対象を撮像する場合に、使用可能な血流速度またはパワー信号を抽出することができない。同様に、超音波の減衰は周波数に伴って増加するため、所与の深度において使用可能な血液信号を生成するためにより低い送信周波数を用いなければならず、またこれにより表示させる血流速度やパワー情報の分解能が低下する。
【0007】
一般に、点状の反射体を用いると時間遅延推定の確度及び信頼度が大幅に向上することが認められている。しかしながら、点状の反射体は一般に、生体組織の超音波撮像において利用可能ではない。信号内の血液成分の寄与を増大させる方法によれば、ある組織構造内の微小な血管を時間遅延推定のための近似的点状反射体として使用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0167802(A1)号
【特許文献2】米国特許第5388461号
【特許文献3】米国特許第6485423号
【特許文献4】米国特許第6733455号
【特許文献5】米国特許第6905465号
【特許文献6】米国特許第7128712号
【特許文献7】米国特許第7273455号
【特許文献8】米国特許出願第20040030253号
【特許文献9】米国特許出願第20050277835号
【特許文献10】米国特許出願第20060004287号
【特許文献11】米国特許出願第20060079784号
【特許文献12】米国特許出願第20070112269号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、時間遅延補正機能を向上させた超音波撮像システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡単に述べると、本技法の一態様では方法を提供する。本方法は、素子が発生させた素子信号から血液成分を抽出しフィルタ処理済みの素子信号を取得する工程と、ビーム和信号から血液成分を抽出しフィルタ処理済みのビーム和信号を取得する工程と、フィルタ処理済み素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間、あるいはフィルタ処理済み素子信号とビーム和信号との間、あるいは素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間の時間遅延推定値を計算する工程と、該時間遅延推定値を適用し当該素子に関する送信及び受信ビーム形成時間遅延を補正する工程と、を提供する。本技法によって、この方法により規定されるタイプの機能を可能にするシステム及び装置を提供することができる。
【0011】
本技法の別の態様では、超音波システムを提供する。本超音波システムは、送信モードの間に超音波エネルギーのパルスを発生させかつ受信モードの間に撮像対象から反射されたエネルギーに応答してエコー信号を発生させるようにその各々が別々に動作可能な1組のアレイ素子を備えたトランスジューサアレイと、トランスジューサアレイに結合されておりかつ指向性の送信ビームを発生させるように送信モードの間にアレイ素子の各々に対してそれぞれの時間遅延を伴う別々の送信信号パルスを付与するように動作可能な送信器と、トランスジューサアレイに結合されておりかつ対応する複数の受信信号を発生させるように受信モードの間に振動エネルギーが撮像対象に入射したときにアレイ素子の各々が発生させたエコー信号をサンプリングすると共に前記各エコー信号サンプルに対して別々にそれぞれの受信器時間遅延を課するように動作可能な受信器と、素子信号をフィルタ処理して対応する1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号を取得するため並びにビーム和信号をフィルタ処理して1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号を取得するためのクラッタフィルタプロセッサと、を含む。本システムはさらに、1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号を1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号と、あるいは1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号をビーム和信号と、あるいは素子信号を1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号と比較するための相関器プロセッサと、ビーム形成時間遅延を生成するようにさらに処理するための相関和プロセッサと、を備えたビーム形成器プロセッサを備える。
【0012】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本技法の一態様に従って実現させた超音波システムのブロック図である。
【図2】本技法の一態様に従ったクラッタフィルタ処理における信号をグラフで表した図である。
【図3】本技法の一態様に従ったクラッタフィルタのブロック図である。
【図4】本技法の一態様に従ったビーム和信号のクラッタフィルタ処理のブロック図である。
【図5】本技法の一態様に従って時間遅延推定値を計算するための一例のブロック図である。
【図6】本技法の一態様からの取得に従った例示的な画像表示フレームを表した概要図である。
【図7】本技法の別の態様に従って取得した例示的な画像表示フレームを表した概要図である。
【図8】超音波システムにおける相対時間遅延推定値の計算を可能にする一方法を表した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は全般的には、超音波信号内の血液成分の相対時間遅延を計算することによって超音波システムにおける画像分解能及びコントラストを向上させることを目的としている。本発明の実施形態は全般的には心臓の撮像を目的としているが、腹部(ただし、これに限らない)など別の部位を撮像するために使用することもできる。ここで図1を参照すると、本技法の態様に従った例示的な超音波システム10の概要図を表している。超音波システム10は、収集サブシステム12及び処理サブシステム14を含む。収集サブシステム12は超音波信号を対象16内に送信し、対象16から後方散乱された超音波信号を受信する。次いで、収集した超音波信号を処理サブシステム14によって処理し、対象16の画像が作成される。
【0015】
収集サブシステム12は、撮像手続きの間に患者や対象16に接触させる典型的には音響トランスジューサアセンブリなどのトランスジューサアセンブリ18を含む。トランスジューサアセンブリ18は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、複合(composite)PZT(ただし、これらに限らない)などの材料から製作された複数のトランスジューサアレイ素子を備えることがある。トランスジューサアセンブリ18はツーウェイ(two−way)トランスジューサであり、かつ超音波を対象16内に送信しこれから反射された超音波を受信するように構成されていることに留意すべきである。送信モードにおいてトランスジューサアレイ素子は電気エネルギーを超音波に変換しこれを対象16内に送信する。受信モードにおいてトランスジューサアレイ素子は、対象から受信した超音波エネルギー(後方散乱波)を電気信号に変換する。
【0016】
図示した実施形態では、収集サブシステム12はさらに、送信/受信切り替え回路20、送信器22、受信器24及びビーム形成器26を含む。図示していないが一実施形態では、クラッタフィルタプロセッサがビーム形成器26の不可欠な一部分を形成することがある。別の実施形態ではそのクラッタフィルタプロセッサは、完全に外部にある分離したビーム形成器26として存在することがある。こうした実施形態ではそのクラッタフィルタプロセッサは、ビーム形成器26と動作可能に関連付けされることがある。トランスジューサアレイ18を送信モードや受信モードに切り替えるためにトランスジューサアレイ18に対して送信/受信(T/R)切り替え回路20を結合させている。対象16内へ送信する超音波を発生させるために、処理サブシステム14はビーム形成器26に送信コマンドデータを送る。送信コマンドデータの受信に応答してビーム形成器26は、トランスジューサアレイ18の表面のある点から所望のステアリング角度で出てくる所望の形状のビームを生成させるような送信パラメータを作成する。次いでビーム形成器26は送信パラメータを送信器22に送る。送信器22はこの送信パラメータを用い、T/R切り替え回路20を通じてトランスジューサアレイ18に送るための送信信号をエンコードする。この送信信号は、互いに対してあるレベル及び位相をもつように設定されると共に、トランスジューサアセンブリ18の個々のトランスジューサ素子に提供される。この送信信号は、同じ位相及びレベルの関係で超音波を送出するようにトランスジューサ素子を励起させる。その結果、トランスジューサアセンブリ18を対象16と音響的に結合させたときに、対象16内のある走査面内である走査線に沿って超音波エネルギービームが形成される。この処理のことは、電子走査と呼ぶのが一般的である。
【0017】
次いで、送信された超音波は対象16内部にある組織や血液サンプルから後方散乱される。トランスジューサアレイ素子はこの後方散乱波を、その波を戻している組織までの距離並びに波が戻されるトランスジューサアセンブリ18の表面に対する角度に応じて異なる時点で受信する。上で言及したように、トランスジューサアレイ素子は対象16から後方散乱された超音波信号を受信し、これらの後方散乱信号を電気信号に変換する。引き続いてこの電気信号はT/R切り替え回路20を通って受信器24まで導かれる。受信器24は、受信信号を増幅しかつディジタル化しており、また利得補償など別の機能を提供することもある。各トランスジューサ素子によって様々な時点で受信された後方散乱超音波に対応するディジタル化済み受信信号は、後方散乱波の振幅及び位相情報を保全している。次いで、このディジタル化済み信号はビーム形成器26を通して処理サブシステム14に送られる。処理サブシステム14は、ビーム形成器26に受信コマンドデータを送る。ビーム形成器26は受信コマンドデータを用いてトランスジューサアセンブリ18の表面上のある点からあるステアリング角度(典型的には、走査線に沿って送信された直前の超音波ビームに関する点及びステアリング角度に対応する)で出てくる受信ビームを形成させる。ビーム形成器26は適当な受信信号に対して、制御プロセッサ28からのコマンドデータの命令に従って時間遅延及び集束を実行することによって動作し、対象16内部の走査面内で走査線に沿ったサンプルボリュームに対応する受信ビーム信号が生成される。様々なトランスジューサ素子からの受信信号に関する位相、振幅及びタイミング情報を用いて受信ビーム信号が生成されている。
【0018】
処理サブシステム14は、制御プロセッサ28、復調器30、撮像モードプロセッサ32、走査変換器34及び表示プロセッサ36を含む。制御プロセッサ28は、撮像モードプロセッサ32、走査変換器34及び表示プロセッサ36とインタフェースしている。さらに制御プロセッサ28は、送信及び受信コマンドデータをビーム形成器26に送る役割を担っている。復調器30は、受信ビーム信号を復調し走査面内部のサンプルボリュームに対応するI及びQの復調データ値の対を生成させている。一実施形態では、受信ビーム信号の位相及び振幅を基準周波数と比較することによって復調を実現することがある。I及びQの復調データ値は受信信号の位相及び振幅情報を保全している。
【0019】
復調データは撮像モードプロセッサ32に転送される。撮像モードプロセッサ32はパラメータ推定技法を用い、走査シーケンスフォーマットにおいて復調データから撮像パラメータ値を作成する。撮像パラメータは、例えばBモード、カラー速度モード、スペクトルドプラモード及び組織速度撮像モードなど可能な様々な撮像モードに対応したパラメータを含むことがある。撮像パラメータ値は走査変換器34に渡される。走査変換器34は、走査シーケンスフォーマットから表示フォーマットへの変換を実施することによってパラメータデータを処理している。この変換は、表示フォーマットで表示画素データを作成するようにパラメータデータに対して補間演算を実行することを含む。
【0020】
走査変換された画素データは表示プロセッサ36に送られ、走査変換画素データに対する追加的な任意の空間または時間フィルタ処理を実行し、走査変換画素データに対してグレイスケールまたは色相を付与し、またモニタ38上に表示させるようにディジタル画素データをアナログデータに変換する。ユーザインタフェース40は、モニタ38上に表示されたデータに基づいてユーザが超音波システム10とインタフェースできるようにするための制御プロセッサ28に結合させている。
【0021】
表示プロセッサ36はさらに、画像を表示するための表示モニタ38に結合させている。ユーザインタフェース40は制御プロセッサ28及び表示モニタ38と対話する。制御プロセッサ28はさらに、ウェブサーバ44や遠隔接続インタフェース46を含む遠隔接続サブシステム42に結合させることがある。処理サブシステム14はさらに、超音波画像データを受信するように構成させたデータリポジトリ48に結合させることがある。データリポジトリ48は画像ワークステーション50と対話する。
【0022】
図1に関連して記載した構成要素はディジタル信号プロセッサを備えた回路基板などの専用のハードウェア素子とすることがあり、あるいは市販の出来合いのパーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータやプロセッサまたは特殊なワークステーション上で動作するソフトウェアとすることもある。本発明の様々な実施形態に従って様々な構成要素を組み合わせたり分離させたりすることができる。したがって当業者であれば、上で記載した超音波システム10が一例として提供されたものであり、かつ本技法はいかなる意味でもこの特定のシステム構成に限定されるものでないことを理解されよう。
【0023】
ある種の実施形態では、超音波信号のうち高速移動成分を強調し信号内の低速移動成分を抑制するようなカラーフロー処理を利用することがある。超音波信号内の高速移動成分は血液成分を表すことがあり、また信号内の低速移動成分は組織成分を表すことがある。これらの実施形態では、共通の撮像方向で1組の送信発射が行われることがあり、次いで各発射ごとの受信した素子信号またはビーム和信号がメモリ内に保存されることがある。この1組の発射のことを1組の「クラッタ発射(clutter firing)」と呼ぶ。記憶箇所は、レンジサンプル番号及び発射番号を保存する2次元メモリとして編成されることがある。素子信号またはビーム和信号は発射番号次元(dimension)でフィルタ処理(「スロータイム」フィルタ処理と呼ばれることが多い)されることがある。素子信号またはビーム和信号はレンジ次元でフィルタ処理(「ファストタイム」フィルタ処理と呼ばれることが多い)されることがある。「スロータイム」で高域通過フィルタ処理すると、あるレンジにおいて組織寄与が低下する一方、当該レンジの血液成分は保全されることが理解されよう。さらに、「ファストタイム」でフィルタ処理すると信号のスペクトル含有が修正され、その信号対雑音比を改善したり、当該信号がデシメーションされる前にエイリアシングアーチファクトを最小化することができる。
【0024】
図2は、ファストタイムとスロータイムを表したグラフ表示52である。水平軸54は「ファストタイム」またはレンジ次元を意味しており、また垂直軸56は「スロータイム」または発射番号次元を意味している。信号68、70、72及び74は、大きな高速移動成分が存在する場合に関するM個のクラッタ発射58、60、62及び64に対する1組の受信信号を意味している。破線66でハイライト表示させた黒丸は、ある具体的なレンジに対応する「スロータイム」のクラッタ発射サンプルを意味している。これらのサンプルに対する「スロータイム」での高域通過フィルタ処理は、当該レンジにおいてクラッタ発射信号の低速移動成分を抑制する傾向がある一方、高速移動成分を保全する傾向があることが理解されよう。この「スロータイム」での高域通過フィルタ処理をすべてのレンジにおいて反復することによってM個からなる1組のクラッタフィルタ処理済み信号が得られる。
【0025】
上で記載した実現形態では、トランスジューサの各素子ごとに各送信発射方向についてM個からなる1組のフィルタ処理済み信号が取得される。M個からなる対応する1組のフィルタ処理済みビーム和信号は、同じクラッタフィルタ処理をフィルタ処理していない素子信号の和に適用することによって取得することができる。別法として別の実施形態では、このM個からなる対応する1組のフィルタ処理済みビーム和信号はフィルタ処理済み素子信号の総和をとることによって取得することができる。次いで、各素子及び送信発射方向の各々ごとにフィルタ処理済み素子信号と対応するフィルタ処理済みビーム和信号との間で相対時間遅延を計算することができる。別法として相対時間遅延は、フィルタ処理済み素子信号とビーム和信号との間あるいは素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間で計算することができる。所与の素子及び送信発射方向に関して得られた時間遅延推定値は、例えば時間遅延の平均化や時間遅延の中央値の計算によって合成し、当該素子及び対応する発射方向に関する時間遅延推定値を生成することができる。所与の素子及び発射方向に関する推定値の変動を時間遅延推定値の信頼度の推定値として用いることがあり、これによればビーム形成時間遅延を修正するのに信頼性が高い時間遅延推定値だけを用いることができる。さらに、米国特許出願第US2007/0167802(A1)号に記載されているように、所与の発射方向に関するすべての素子についての推定値を一体で処理しその信頼度を向上させることができる。
【0026】
従来のカラーフロー処理では、所望の「スロータイム」のフィルタ応答を達成するために16回以上ものクラッタ発射が用いられることがある。発射情報を保存するのに要するメモリの量は典型的には、クラッタ発射の数に伴って増大する。図3に関連して詳細に述べることにするが、メモリ内に保存する前に入力信号をデシメーションさせかつM個からなる1組のクラッタフィルタ処理済み信号のうちの1つだけを計算することによれば、必要となるメモリ量を低減することができる。デシメーションによって必要となるハードウェアのコスト及びサイズをかなり削減することが可能である。人体のアベレーションのために時間遅延の空間変動を適正にサンプリングするのに256個以上の素子信号を必要とするため、メモリが少なくなることは素子信号のクラッタ処理において特に有用となり得る。したがって、小クラッタフィルタの実現形態によれば、ビーム形成時間遅延処理を実現する同じ集積回路内にクラッタ処理を含めることが経済的に引き合うことになる。さらにある固定数の記憶箇所に関して、レンジ内でサンプルをメモリ内に保存する前にデシメーションすることによって、時間遅延推定の確度及び堅牢性を向上させることができる。デシメーションフィルタはさらに、サンプリングレートが信号バンド幅の2倍を大きく超えるときに信号の信号対雑音比を向上させるように選択することが可能である。例えば心臓超音波システムでは、典型的な関心対象の信号バンド幅はゼロ周波数から約5MHzまで及ぶことがある一方、そのサンプリングレートは約50MHzであることがある。重みは、有限インパルス応答(FIR)フィルタの設計に関するよく知られる技法に従って選択することができる。本実施形態では、ハードウェアのサイズ及びコストを削減させるように整数値の重みが選択されることがある。
【0027】
図3は、本技法の別の実現形態によるクラッタフィルタ76の概要図である。図示した実施形態では、クラッタフィルタ76は、デシメーションブロック78とクラッタフィルタアキュムレータ86を互いに結合させて含む。デシメーションブロック78はさらに、レジスタ82やデシメータ(decimator)84などのメモリを含むことがある。クラッタフィルタアキュムレータはさらにメモリ88を含むことがある。図示した実施形態では、クラッタフィルタ処理はレンジまたは「ファストタイム」によるフィルタ処理及びデシメーションを含むことがある。図示したように、1組の入力信号S(ここで、i=1、2、3、...、M)が乗算器80において1組の重みと乗算されると共に、得られたサンプルからなる隣接群(「ブロック」と呼ぶことが多い)がレジスタ82において足し合わされる。その後、デシメータ84はブロック内の入力信号の重み付き総和をクラッタフィルタアキュムレータ86に送る。この処理は入力信号内のサンプルの各ブロックごとに反復され、これにより入力信号と比べてサンプル数がより少ない出力信号が生成される。図示したように、クラッタフィルタアキュムレータ86はメモリ88を備えており、この中にデシメーション済み信号が累積されて保存されることがある。クラッタフィルタアキュムレータ86のメモリ88のサイズは、時間遅延推定に寄与するようにオペレータまたはシステムにより自動で選択された所望の最大数のデシメーション済みサンプルを収容できるように選択することができる。第1のクラッタ発射後、時間遅延推定値をそこから生成しようとする1組のデシメーション済みサンプルがメモリ88内に書き込まれることがある。後続のクラッタ発射後、各デシメーション済みサンプルがメモリ88内に保存されている対応するレンジサンプルに加算器87を介して加算されることがある。クラッタ発射のすべてからのデシメーション済みサンプルを加算し終えた後には、メモリは血液成分が強調されたフィルタ処理済み信号(S_f)を包含している。次いでこのフィルタ処理済み素子信号S_fを利用して相対時間遅延が計算されることがある(これについては、図5に関連して記載することにする)。
【0028】
一実施形態では図3に示したような処理が、「ファストタイム」でのフィルタ処理及び「スロータイム」でのフィルタ処理の演算について重みを事前に選択して単一の乗算器80を用いて実施されることがあり、これによればハードウェアの実現形態ではサイズ及びコストが削減され、またソフトウェアの実現形態では計算の複雑さが軽減される。一例では、クラッタ重み[w1、w2、w3]をもつ3回のクラッタ発射並びにデシメーションフィルタ重み[u1、u2、u3、u4]を用いた倍数4によるデシメーションを実現することができる。第1のクラッタ発射後、4つのサンプルの各ブロックに対して重み[w1×u1、w1×u2、w1×u3、w1×u4]を付与することになる。第2のクラッタ発射後は重み[w2×u1、w2×u2、w2×u3、w2×u4]が用いられ、また第3のクラッタ発射では[w3×u1、w3×u2、w3×u3、w3×u4]が用いられる。
【0029】
ビーム和信号は2つ以上の素子信号からなる重み付き総和であることが理解されよう。以下の検討では、簡略とするために重みの総和を1としている。フィルタ処理済みビーム和信号は、図3で取得したようなフィルタ処理済み素子信号を足し合わせることによって取得することができる。別法として、フィルタ処理していない素子信号を足し合わせた後で得られた総和をフィルタ処理することによってフィルタ処理済みビーム和信号を取得することができる。米国特許出願第US2006/0004287(A1)号に記載されているように、ビーム形成時間遅延補正を推定する一方法はビーム和信号を複素信号に変換する。この方法は一例としてのみ選択したものである。2つの実数信号を利用する方法や2つの複素信号を利用する方法など当業者に周知の信号間で時間遅延を推定する別の方法も本発明に等しく適用可能である。図4は、実数のビーム和信号BSを1つの複素(クラッタフィルタ処理済み信号BS_f)に変換する処理90を表している。図示したように、入力された実数のビーム和信号BSは、フィルタ92及び94の対を適用することによって1つの帯域通過解析信号形式に変換される。次いで、解析信号形式の実数部と虚数部並びにデシメーションとクラッタの合成フィルタ重みがクラッタフィルタ96及び98の対に送られることがある。クラッタフィルタ96及び98の対からの出力は、フィルタ処理済みビーム和信号BS_fの実数部と虚数部である。図示した実施形態では、フィルタ処理済みビーム和信号の実数部と虚数部がブロック100において単一の複素信号BS_fとなるように交互配置される。この複素信号は、血液成分が強調されかつ組織成分が抑制されているクラッタフィルタ処理済みビーム和信号BS_fとなる。
【0030】
図5は、ビーム形成時間遅延補正を生成するための処理102を表している。図示した実施形態では、図3で取得したクラッタフィルタ処理済み素子信号(S_f、S_f、...、S_f)の各々が、相関器プロセッサ106、108及び110において図4で取得した基準ビーム和信号BS_fと比較される。相関器プロセッサ106、108及び110の出力は、その各々の位相がフィルタ処理済み素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間の時間遅延に比例する複素数CS、CS、...、CSである。これらの複素数CS、CS、...、CSはさらに、相関和プロセッサ112内において平滑化、フィルタ処理及びマスキング(ただし、これらに限らない)を含む手段によって処理されて、ビーム形成時間遅延補正(Δτ、Δτ、...、Δτ)が生成される。ビーム和データ上で動作する多くの超音波撮像システムに関して利用可能なカラーフロープロセッサ104の出力は、相関和プロセッサ112に対する入力とすることができる。次いで時間遅延補正Δτ、Δτ、...、Δτを用いて送信及び受信ビーム形成時間遅延を修正することができる。
【0031】
図示した実施形態が本発明の単なる一例証を表していることを理解されたい。当業者であれば適当な修正を実施することができる。一例では、撮像システム内の素子信号を複素解析信号に、あるいは複素ベースバンド形式に変換することができる。別の例では、集積回路ではなくソフトウェアプロセッサを用いてクラッタフィルタ処理演算を実行することができる。2つの信号間の相対時間遅延を推定する様々な方法は当業者に周知であり、本発明に等しく適用可能である。
【0032】
一実施形態では、カラーフロープロセッサ104によって血液信号の速度と規模(すなわち、パワー)の推定値が生成される。幾つかの実施形態では、超音波システムによって血液信号の規模の推定値が使用され、パワー推定値があるしきい値を超えるような画素について画像ディスプレイ上に血流速度またはパワー情報を重ね合わせることがある。パワー推定値がしきい値未満である場合は、血流速度やパワー情報を表示させないことがある。さらに、カラーフロープロセッサ104からのパワーフロー推定値は時間遅延推定に対する追加の入力として使用されることがあり、また画像のうち有意の血流を包含する領域を特定するために使用されることがある。システムによってこの追加の入力が使用され、時間遅延推定アルゴリズムにより処理するための有意の血液成分を包含する領域が自動的に選択されることがある。一般的にこれらの領域はレンジ及びビーム方向で不整形であり非隣接であることがある。例えば選択された領域は、必ずしもすべてのビーム方向に関して同じ1組のレンジに対応していない。別の例としてこの領域は、必ずしもすべてのビーム方向を含んでいない。カラーフロープロセッサ出力によって存在する血液成分が少ないと指摘される領域では、信号の組織成分を用いて時間遅延を推定するように、時間遅延推定をクラッタフィルタ処理を用いることなく従来の方式で実行することが可能である。この方法では、有意の血液成分をもつ領域とこれをもたない領域の両者に関して信頼性が高い時間遅延推定値を取得することが可能である。
【0033】
一実施形態では、ビーム和信号または素子信号、あるいはビーム和信号と素子信号の両者において血液成分のサイズを大きくするためにコントラスト薬剤を用いることがある。血流内へのコントラスト薬剤の注入は、血液成分の振幅を組織成分と比べて増大させることによって時間遅延推定値の信頼度及び堅牢性を増大させるために使用されることがある。
【0034】
ある種の実施形態では、オペレータがカラーフロープロセッサから表示される出力を使用して、画像ディスプレイ上で時間遅延推定のための領域を選択することがある。
【0035】
図6は、クラッタフィルタ処理を用いた時間遅延推定の確度及び信頼度の向上のためにカラーフロープロセッサ104の出力を使用する一例を表している。図示したように、画像ディスプレイ114上の関心領域116内にある領域118内においてカラーフロープロセッサによって有意の血流が検出されている。ビーム方向120に関して、隣接組内のサンプルのかなりの部分が有意の血液成分を包含するようにして1組のサンプル124が隣接する組として特定されている。これらのサンプルはクラッタフィルタ時間遅延推定ブロックに対する入力となる。同様に、ビーム方向122に関して1組のサンプル126が特定されている。
【0036】
図7は、図6に示した画像表示フレーム114からある短い時間後の画像表示フレーム128を表している。本図は、ビーム方向120に関してカラーフロープロセッサ104からの新たな出力を用いて計算された時間遅延推定に関する1組の新たなレンジサンプル130を表している。図示したように、ビーム方向122はこのフレームについて有意の血流を有しておらず、したがってこのビーム方向のクラッタフィルタ時間遅延推定は使用されない。
【0037】
図6及び図7では、各ビームごとに隣接する1組のサンプルが選択されるが、別の実施形態では隣接しない組を用いることが可能である。さらに一般的には、カラーフロープロセッサ104の出力を使用して画像内の各サンプルのクラッタフィルタ時間遅延推定に対する寄与に対して重みを付けることが可能である。
【0038】
図8は、本技法の一実施形態に従って超音波信号の送信及び受信ビーム形成時間遅延を補正するための時間遅延推定向けの制御スキーム132を表した流れ図である。図示した実施形態では制御スキーム132は、素子信号から血液成分を抽出しフィルタ処理済み素子信号を取得する工程134と、ビーム和信号から血液成分を抽出しフィルタ処理済みビーム和信号を取得する工程136と、フィルタ処理済み素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間の時間遅延推定値を計算する工程138と、を含む。さらに制御スキーム132は、この時間遅延推定値を適用し当該素子に関する送信及び受信ビーム形成時間遅延を補正する工程140を含む。
【0039】
超音波画像分解能及びコントラスト強調するための上で検討した技法は、心臓画像分解能の向上やカラーフロー感度の向上を含む多くの利点を有する。さらに本技法は、体重が重い患者の腹部撮像など困難な対象、並びに乳腺撮像に関する画像分解能の向上を提供することもできる。
【0040】
本発明のある種の特徴についてのみ本明細書において図示し説明してきたが、当業者によって多くの修正や変更がなされるであろう。したがって添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の範囲に属するこうした修正や変更のすべてを包含させるように意図したものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0041】
10 超音波システム
12 収集サブシステム
14 処理サブシステム
16 対象
18 トランスジューサアセンブリ
20 送信/受信切り替え回路
22 送信器
24 受信器
26 ビーム形成器
28 制御プロセッサ
30 復調器
32 撮像モードプロセッサ
34 走査変換器
36 表示プロセッサ
38 モニタ
40 ユーザインタフェース
42 遠隔接続サブシステム
44 ウェブサーバ
46 遠隔接続インタフェース
48 データリポジトリ
50 画像ワークステーション
52 ファストタイムとスロータイムのグラフ表示
54 水平軸
56 垂直軸
58 クラッタ発射
60 クラッタ発射
62 クラッタ発射
64 クラッタ発射
66 破線
68 信号
70 信号
72 信号
74 信号
76 クラッタフィルタ
78 デシメーションブロック
80 乗算器
82 レジスタ
84 デシメータ
86 クラッタフィルタアキュムレータ
87 加算器
88 メモリ
90 複素変換処理
92 フィルタ
94 フィルタ
96 クラッタフィルタ
98 クラッタフィルタ
100 交互配置ブロック
102 ビーム形成時間遅延補正の生成処理
104 カラーフロープロセッサ
106 相関器プロセッサ
108 相関器プロセッサ
110 相関器プロセッサ
112 相関和プロセッサ
114 画像ディスプレイ
116 関心領域
118 領域
120 ビーム方向
122 ビーム方向
124 サンプル
126 サンプル
130 新たなレンジサンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ処理済み素子信号を取得するために素子が発生させた素子信号から血液成分を抽出する工程(134)及びフィルタ処理済みビーム和信号を取得するためにビーム和信号から血液成分を抽出する工程(136)と、
フィルタ処理済み素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間、あるいはフィルタ処理済み素子信号とビーム和信号との間、あるいは素子信号とフィルタ処理済みビーム和信号との間の時間遅延推定値を計算する工程(138)と、
時間遅延推定値を適用し当該素子に関する送信及び受信ビーム形成時間遅延を補正する工程(140)と、
を含む方法(132)。
【請求項2】
素子信号やビーム和信号から血液成分を抽出する前記工程は、素子信号やビーム和信号をフィルタ処理しかつデシメーションする工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ビーム和信号または素子信号、あるいはビーム和信号と素子信号の両者における血液成分のサイズを増大させるためにコントラスト薬剤を利用する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
血液成分を抽出する前記工程は、血液成分のサイズが組織成分のサイズと比べて有意に小さい領域から血液成分を抽出する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
時間遅延推定値を計算する前記工程は、相関器プロセッサ(106、108、110)内において1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号を1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号と比較する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
血液成分を抽出する前記工程は、素子信号の低速移動成分を抑制し素子信号の高速移動成分を強調する工程またはビーム和信号の低速移動成分を抑制しビーム和信号の高速移動成分を強調する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
素子信号の低速移動成分を抑制し素子信号の高速移動成分を強調するまたはビーム和信号の低速移動成分を抑制しビーム和信号の高速移動成分を強調するようなカラーフロー処理を適用する工程をさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カラーフロー処理は信号のうちの血液成分を有する領域を特定している、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
血流を包含する領域上で時間遅延推定値を計算する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
素子信号の複数の収集に対してクラッタフィルタを適用し1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号を取得する工程と、
ビーム和信号の複数の収集に対してクラッタフィルタを適用し1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号を取得する工程と、
1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号と1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号との間、あるいは1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号と1つまたは複数のビーム和信号との間、あるいは1つまたは複数の素子信号と1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号との間の時間遅延推定値を計算する工程と、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
送信モードの間に超音波エネルギーのパルスを発生させかつ受信モードの間に撮像対象から反射されたエネルギーに応答してエコー信号を発生させるようにその各々が別々に動作可能な1組のアレイ素子を備えたトランスジューサアレイ(18)と、
前記トランスジューサアレイ(18)に結合させており、かつ指向性送信ビームを生成するために送信モードの間にアレイ素子の各々に対してそれぞれの時間遅延をもつ送信信号パルスを付与するように動作可能な送信器(22)と、
前記トランスジューサアレイ(18)に結合させており、かつ受信モードの間にアレイ素子の各々が発生させたエコー信号をサンプルし該各エコー信号サンプルにそれぞれ別の受信器時間遅延を課して対応する複数の受信信号を生成するように動作可能な受信器(24)と、
素子信号をフィルタ処理し対応する1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号を取得するため及びビーム和信号をフィルタ処理し1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号を取得するためのクラッタフィルタプロセッサ(76)と、
ビーム形成器プロセッサ(26)であって、
1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号を1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号と比較するため、あるいは1つまたは複数のフィルタ処理済み素子信号をビーム和信号と比較するため、あるいは素子信号を1つまたは複数のフィルタ処理済みビーム和信号と比較するための相関器プロセッサ(106、108、110)、及び
ビーム形成時間遅延を生成するための相関和プロセッサ(112)、
を備えているビーム形成器プロセッサ(26)と、
を備える超音波システム(10)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−104779(P2010−104779A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241944(P2009−241944)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】