説明

改質システムおよび燃料電池システム

【課題】燃焼器側からの燃料または燃焼ガスの逆流を抑制させる改質システムおよび燃料電池システムを提供する。
【解決手段】改質システムは、燃料を空気で燃焼させる燃焼器2と、燃焼器2に空気を供給させる空気供給装置3と、改質用燃料を改質させる改質装置4と、収容室10をもつ筐体1と、収容室10を換気させる換気流を発生させる換気装置6と、制御部100とを有する。制御部100は、空気供給装置3に不具合が発生するとき、燃焼器2側の燃料または燃焼排ガスが収容室10に逆流することを抑制するように、換気装置6の作動を停止または逆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システム等に使用される改質システム、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、システムの筐体の内部を隔壁によりガス経路室と非ガス経路室に隔離し、可燃性を有するガスが流通するガス経路室の内部を換気ファンで換気する燃料電池システムが提案されている。このものによれば、換気に要する消費電力を低減させることができる。
【0003】
特許文献2には、換気用吸気口と、換気用排気口と、換気用吸気口から吸引した空気を換気用排気口から放出させる換気ファンと、燃料原料を改質させてアノードガスを生成させる改質部と、アノードガスとカソードガスとで発電する燃料電池とを有する燃料電池システムが開示されている。このものによれば、可燃ガスを含む可能性のある排気ガスを、換気ファンによる換気用空気流にも、同伴させて希釈させながら排気する。これにより可燃ガスを含む可能性のある排気ガスが換気用の吸気口に吸入されることが抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-329515号公報
【特許文献2】特開2007-48704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した技術によれば、燃焼器からの逆流を抑制させるためには、必ずしも充分ではない。殊に、特許文献2に係る技術によれば、燃焼空気ブロアが故障した場合においても換気ファンが回転しており、従って換気ファンの回転に基づく吸引換気作用が継続しているため、改質部の燃焼器における可燃性をもつガスを筐体の内部に吸い込んでしまうおそれがあり、好ましくない。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、燃焼空気ブロア等の空気供給装置に不具合が発生するときであっても、燃焼器からの燃料または燃焼排ガスの逆流を抑制させるのに有利な改質システムおよび燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る改質システムは、(i)可燃性をもつ燃料を空気で燃焼させる燃焼器と、(ii)燃焼器に空気を供給させる空気供給装置と、(iii)燃焼器に基づく加熱により改質用燃料を改質させる改質装置と、(iv)燃焼器、空気供給装置および改質装置を収容する収容室をもつ筐体と、(v)外部の空気を収容室に吸引し、収容室の空気を外部に放出させて収容室を換気させる換気装置と、(vi)空気供給装置に不具合が発生するとき、燃焼器側の燃料または燃焼排ガスが収容室に逆流することを抑制するように換気装置の作動を停止または逆動させる制御部とを具備する。
【0008】
燃焼器は可燃性をもつ燃料を空気で燃焼させるものである。燃料としては、燃料原料そのものでも良いし、燃料原料を改質させた水素ガスまたは水素含有ガスでも良い。燃焼器における燃焼は、固体高分子形の燃料電池システムにおける改質装置を加熱させる燃焼であっても良いし、あるいは、固体酸化物形の燃料電池システムにおける改質装置を加熱させる燃焼であっても良い。空気供給装置は、燃焼器に空気を燃焼用空気として供給させるものであり、ポンプ、ブロア、ファン等のいずれでも良い。換気装置は、外部の空気を収容室に吸引し、収容室の空気を外部に放出させて収容室を換気させるものであり、ファン、ブロア、ポンプ等のいずれでも良い。
【0009】
改質システムが運転されるときには、可燃性をもつ燃料が燃焼器に供給されると共に、空気供給装置から空気が燃焼器に供給される。これにより燃焼器において燃料が空気により燃焼する。この場合、燃焼器における燃焼により改質装置が改質反応に適するように加熱される。このように改質システムが運転されているとき、予想外の事情等が発生する可能性があるため、空気供給装置に不具合が発生する可能性がないとはいえない。このように空気供給装置に不具合が発生しているとき、換気装置が継続して作動している場合には、換気装置の作動により発生する吸引作用により、燃焼器側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが収容室に逆流するおそれがある。この場合、システムの円滑な運転には好ましくない。
【0010】
そこで本発明によれば、空気供給装置に不具合が発生するとき、制御部は、換気装置の作動を停止または逆動させる。このように換気装置の作動を停止させれば、換気装置の作動による吸引作用の発生が抑えられ、燃焼器側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが収容室に逆流するおそれが抑えられる。あるいは、換気装置の作動を逆動させれば、換気装置の作動による吸引作用の発生が抑えられるばかりか正圧化を促進でき、燃焼器側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが逆流するおそれが抑えられる。なお、燃料または燃焼排ガスは、燃料および/または燃焼排ガスという意味である。空気供給装置に不具合とは、燃焼器側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが収容室に逆流するおそれを引き起こす不具合を意味する。
【0011】
本発明に係る燃料電池システムは、(i)可燃性をもつ燃料を空気で燃焼させる燃焼器と、(ii)燃焼器に空気を供給させる空気供給装置と、(iii)燃焼器に基づく加熱により改質用燃料を改質させる改質装置と、(iv)改質装置で改質されたガスをアノードガスとして供給されて発電する燃料電池と、(v)燃焼器、空気供給装置、改質装置および燃料電池を収容する収容室をもつ筐体と、(vi)外部の空気を前記収容室に吸引し、収容室の空気を外部に放出させて収容室を換気させる換気装置と、(vii)空気供給装置に不具合が発生するとき、燃焼器側の燃料または燃焼排ガスが収容室に逆流することを抑制するように換気装置の作動を停止または逆動させる制御部とを具備する。
【0012】
そこで本発明によれば、空気供給装置に不具合が発生するとき、制御部は、換気装置の作動を停止または逆動させる。このように換気装置の作動を停止させれば、換気装置の作動による吸引作用の発生が抑えられ、燃焼器側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが収容室に逆流するおそれが抑えられる。あるいは、換気装置の作動を逆動させれば、換気装置の作動による吸引作用の発生が抑えられるばかりか正圧化を促進でき、燃焼器側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが逆流するおそれが抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気供給装置に不具合が発生するとき、制御部は、換気装置の作動を停止または逆動させるため、換気装置の作動による吸引作用が抑えられる。よって、燃焼器側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが収容室側に逆流するおそれが抑えられる。このためシステムの保護性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係り、システムを模式的に示す断面図である。
【図2】実施形態1に係り、システムの制御部が実行する制御の一例を示すフローチャートである。
【図3】実施形態2に係り、システムを模式的に示す断面図である。
【図4】実施形態3に係り、システムを模式的に示す断面図である。
【図5】実施形態4に係り、システムを模式的に示す断面図である。
【図6】実施形態5に係り、システムを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
空気供給装置における不具合の発生を検知するセンサ等の不具合検知要素が設けられていることが好ましい。この場合、不具合検知要素の不具合検知信号が制御部に入力されると、制御部は空気供給装置の作動を停止または逆動させる指令を空気供給装置に出力する。停止の概念は、完全停止を含むと共に、収容室における換気機能が無視できる程度の実質的な停止を含む意味である。収容室における換気機能が無視できるように空気供給装置が超微速(定格運転時における換気装置の出力の10%未満または5%未満)で作動するとき、これは実質的な停止の概念に含まれる。
【0016】
上記した不具合検知要素としては、空気供給装置が燃焼器に供給する空気の流量を測定する流量センサ、空気供給装置が燃焼器に供給する空気の圧力を検知する圧力センサ、空気供給装置の送風羽根を回転させる駆動部の回転数を検知する回転数センサ等のうちの少なくとも一つを採用できる。これらのセンサの検知した物理量が指令値と大きく異なるとき、制御部は、空気供給装置において不具合が発生していると判定することができる。
【0017】
(実施形態1)
図1は実施形態1の概念を示す。改質システムは、固体高分子形の複数の燃料電池を組み付けたスタック7を併有している燃料電池システムでもある。改質システムは、収容室10を有する筐体1と、可燃性をもつ燃料を空気で燃焼させるバーナである燃焼器2と、燃焼器2に空気を供給させるポンプ、ブロア等の空気供給装置3と、燃焼器2に基づく加熱により改質用燃料を改質させる改質装置4と、収容室10を換気させる換気流を発生させる換気装置6とを有する。
【0018】
筐体1の収容室10は、燃焼器2、空気供給装置3、改質装置4、換気装置6、スタック7を収容している。可燃性を有する燃焼用燃料を燃焼器2に供給する燃焼用燃料通路20が収容室10に配置されている。改質用燃料を改質装置4に供給する改質用燃料通路40が収容室10に配置されている。空気供給装置3は、収容室10の空気を吸引させるための吸引口31と、空気供給機構32とをもつ。吸引口31は収容室10に位置しており、殊に、筐体1の吸気口11と換気装置6との間に位置している。ここで、空気供給装置3に内蔵されている空気供給機構32が作動して回転すると、収容室10の空気は吸引口31から吸引され、燃焼用空気として空気供給通路34を介して燃焼器2に供給され、燃焼器2における燃焼反応に使用される。なお燃焼用燃料および改質用燃料としてはガス状が好ましい。
【0019】
図1に示すように、スタック7のカソードからカソードガス通路70が延設されている。カソードガス通路70にはカソードガスを加湿させる加湿器71と、収容室10内の空気をカソードガスとして加湿器71を介してスタック7のカソードに供給させるカソードガスポンプ72(カソードガス搬送源)が設けられている。収容室10内の空気(カソードガス)は改質装置4およびスタック7からの放熱で暖められているため、発電反応の効率が高められる。スタック7のカソードで発電反応を終えたカソードオフガスは、収容室10に配置されているカソードオフガス通路73を介してカソードオフガス排出口74から外部14に排出される。
【0020】
図1に示すように、筐体1は箱状をなしており、天井壁1uと底壁1dと第1側面壁1eと第2側面壁1fとを少なくとも有する。第1側面壁1eの下部には、外気を収容室10の下部に吸引できるように吸気口11が形成されている。第2側面壁1fの上部には、収容室10の上部の空気を外部14に放出できるように排気口12が形成されている。換気装置6は、換気羽根60と、換気羽根60を回転駆動させる駆動部とを有しており、筐体1の吸気口11に直接または他の部材を介して対向するように配置されており、外部14の空気を収容室10に吸引させ易くしている。換気装置6が作動して換気羽根60が回転すると、換気装置6のうち吸気口11側の背面6r側において吸引作用が発生する。このため筐体1の外部14の空気が筐体1の吸気口11から矢印X1方向に収容室10に吸引され、収容室10を流れ、排気口12から矢印X2方向に向けて筐体1の外部14に排出される。これにより収容室10の換気が実行される。図1に示すように、空気供給装置3は、筐体1の吸気口11と換気装置6との間に配置されている。従って、空気供給装置3の吸引口31は、筐体1の吸気口11と換気装置6との間に配置されている。このため、換気装置6が作動して外部14の新鮮な空気を矢印X1方向に収容室10に吸引させるとき、酸素濃度が高い新鮮な空気を吸引口31から空気供給装置3に良好に吸い込むことができる。この場合、燃焼器2における燃焼効率が高くなる。
【0021】
一般的には、改質システムが改質運転しているとき、すなわち、燃料電池システムの運転時(発電運転しているときに限らず、起動運転、及び停止(冷却)処理運転をしているときにも、換気装置6を作動させることが好ましい)において、換気装置6は作動し、収容室10の空気を上記したように換気させている。このため万一、配管からガス漏れが発生するときであっても、洩れたガスは、換気装置6の換気作用により希釈されて排気口12から外部14に直ちに排出されるため、安全性が高められている。
【0022】
改質装置4には給水通路44が延設されている。給水通路44には、システムで生成された凝縮水等の原水を溜めると共にイオン交換樹脂等の精製材で原水を精製させる精製器45と、精製器45で精製された純度が高い水を改質用水として溜めるタンク46とを有する。図略の給水ポンプが作動すると、タンク46の水は給水通路44を介して改質水として改質装置4の蒸発部に供給され、水蒸気化される。生成された水蒸気は改質装置4の改質部に供給される。更に水蒸気は、改質用燃料通路40から改質装置4に供給される燃料原料を改質させる。
【0023】
さて、改質システムつまり燃料電池システムが運転されるときには、可燃性をもつ燃料が燃焼用燃料通路20を介して燃焼器2に供給される。更に、空気供給装置3が作動するため、空気供給装置3の吸引口31から収容室10の空気が空気供給通路34を介して燃焼器2に供給される。これにより燃焼器2において燃焼用の燃料が空気により燃焼する。このように収容室10内の空気は燃焼用空気として燃焼器2に供給される。ここで、収容室10内の空気は改質装置4およびスタック7からの放熱で暖められているため、燃焼器2における燃焼効率が高められる。
【0024】
上記したように燃焼器2において燃焼用燃料が燃焼されるため、改質装置4の改質部は改質反応に適するように高温に加熱される。この状態で、改質用燃料が改質用燃料通路40から改質装置4に供給されると共に、タンク46に溜められている水が改質用水として改質装置4の蒸発部に供給されて水蒸気化される。生成された水蒸気は、改質装置4の改質部において改質用燃料を改質させる。これにより水素を主要成分とするアノードガスが生成される。生成されたアノードガスはアノードガス通路78および入口バルブ79iを介してスタック7のアノードに供給され、発電反応に使用される。発電反応を経たアノードオフガスは、水素などの可燃成分を残留させているため、出口バルブ79pおよびアノードオフガス通路77を介して燃焼器2に供給され、燃焼器2において燃焼され、燃焼排ガスとして燃焼器2の図略の排気口から外部14に放出される。なお、スタック7のアノードの入口は入口バルブ79iにより開閉可能である。アノードの出口は出口バルブ79pにより開閉可能である。
【0025】
システムの運転時には、カソードガスポンプ72(カソードガス搬送源)が作動するため、収容室10の空気が入口72iからカソードガスとして加湿器71を介してスタック7のカソードに供給される。このように改質システムつまり燃料電池システムが運転されるとき、換気装置6が作動して換気羽根60が回転し、換気装置6のうち吸気口11側の背面6r側において吸引作用が発生する。このため、筐体1の外部14の空気が筐体1の吸気口11から矢印X1方向に収容室10に吸引され、収容室10を流れ、排気口12から矢印X2方向に向けて筐体1の外部14に排出される。これにより収容室10の換気が実行される。
【0026】
このように改質システムつまり燃料電池システムが運転されているとき、予想外の事情等が発生する可能性がある。このため、空気供給装置3において不具合が発生する可能性がないとはいえない。このようにシステムが運転されている場合において、何らかの事情により空気供給装置3に不具合が発生するとき、空気供給装置3の空気供給力が低下または消失するおそれがある。このとき、換気装置6が正常であり、換気装置6の換気羽根60が継続して回転作動する場合には、換気装置6の換気羽根60の回転作動により換気装置6の背面6r側において吸引作用が継続して発生する。この場合、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが空気供給装置3の吸引口31から収容室10に向けて矢印R方向に逆流するおそれがある。
【0027】
すなわち、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが空気供給通路34を介して空気供給装置3の吸引口31から収容室10に矢印R方向に逆流し、空気供給装置3の吸引口31から収容室10に放出される可能性がある。殊に、図1に示すように、空気供給装置3の吸引口31が筐体1の吸気口11と換気装置6との間に位置しているときには、換気装置6のうち空気放出側の前面6fに対して反対側に位置する背面6r側には、吸引作用が発生する。このため、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼ガスが空気供給通路34を介して空気供給装置3の吸引口31から収容室10に向けて矢印R方向に逆流し、収容室10に放出される可能性がある。この場合、改質システムつまり燃料電池システムの円滑な運転には、好ましくない。
【0028】
そこで本実施形態によれば、空気供給装置3に不具合が発生し、空気供給装置3の空気供給力が低下または消失するとき、制御部100はシステム異常と判定し、システムを停止させる停止処理に移行し、スタック7の発電を停止させる。この場合、改質装置4への燃料原料および改質用水の供給を停止させる。これによりスタック7のアノードへのアノードガスの供給も停止される。カソードガスポンプ72の作動も停止させ、スタック7のカソードへのカソードガスの供給を停止させる。この場合、バルブ79i,79pを閉鎖させることが好ましい。
【0029】
上記した空気供給装置3に不具合が発生し、空気供給装置3の空気供給力が低下または消失するとき、制御部100は、換気装置6の作動を停止させる指令を換気装置6に出力する。このため換気装置6の換気羽根60による吸引作用の発生が抑えられる。よって筐体1の吸気口11と換気装置6との間に吸引作用(負圧)が発生することが抑制される。この結果、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが空気供給装置3の吸引口31から収容室10側に矢印R方向に逆流するおそれが抑えられる。このため改質システムつまり燃料電池システムにおける保護性を高めることができる。
【0030】
収容室10の上部にはガス洩れセンサ100mが配置されている。万一、収容室10内の配管等からガス漏れが発生したときには、ガス洩れセンサ100mにより検知される。更に、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが空気供給通路34を介して空気供給装置3の吸引口31から収容室10に向けて矢印R方向に逆流したときには、逆流した燃料または燃焼排ガスはガス洩れセンサ100mにより検知されるはずである。
【0031】
本実施形態によれば、空気供給装置3に不具合が発生するときには、ガス洩れセンサ100mのガス洩れ検知の有無にかかわらず、制御部100は、換気装置6の作動を停止させる指令を換気装置6に速やかに出力する。このためガス洩れセンサ100mの検知にかかわらず、換気装置6の換気羽根60が停止され、換気羽根60の回転作動による吸引作用の発生が抑えられる
ところで、システムを通常に停止処理させるときには、制御部100は、空気供給装置3の単位時間あたりの出力を増加させ、空気供給装置3の単位時間あたり空気供給力を高め、収容室10の空気を燃焼器2に強制的に供給する。これにより燃焼器2に残留している可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスを燃焼器2および改質装置4から追い出すエアパージ処理を実行する。しかしながら前述したように空気供給装置3が故障しているときには、空気供給装置3の空気供給力が制限されるため、上記したエアパージ処理が制限される。従って、燃焼器2側に残留する燃料または燃焼排ガスが空気供給通路34および空気供給装置3の吸引口31から筐体1の収容室10側に向けて矢印R方向に逆流するおそれがある。そこで前述したように換気装置6の作動を停止させることは、上記逆流を防止させるためには有効である。
【0032】
図1に示すように、燃焼器2に空気を供給する空気供給装置3の不具合を検知するセンサ38が不具合検知要素として収容室10内の空気供給通路34に設けられている。センサ38の信号は制御部100に入力される。センサ38としては、空気供給装置3が燃焼器2に向けて供給する空気の流量を測定する流量センサ、空気供給装置3が燃焼器2に向けて供給する空気の圧力を検知する圧力センサ等のうちの少なくとも一つを採用できる。なお、不具合を検知するセンサ38としては、空気供給通路34に設けられるもの以外に、空気供給装置3に内蔵されている送風羽根を回転させる駆動部の単位時間あたりの回転数を検知する回転数センサを使用してもよい。これらのセンサ38の検知した物理量に基づいて、制御部100は、センサ38の信号に基づいて、空気供給装置3において不具合が発生していると判定することができる。
【0033】
制御部100は、センサ38の信号に基づいて空気供給装置3の不具合を検知したら、直ちに換気装置6の換気作動を停止させることが好ましい。場合によっては、制御部100は、センサ38の信号に基づいて空気供給装置3の作動の不具合を検知したら、換気装置6の出力を所定速度で低下させて吸引作用を次第に低下させつつ、最終的に、不具合を検知した時刻から所定時間(例えば30秒以内,20秒以内,10秒以内)以内に換気装置6の換気作動を停止させることにしても良い。
【0034】
なお、上記した操作では、逆流を抑えるために換気羽根60の作動を停止させているが、場合によっては、換気装置6の換気羽根60の回転を逆方向に作動(逆動)させれば、換気装置6の作動による換気装置6の背面6r側における吸引作用の発生が抑えられ、そればかりか、換気装置6のうち空気供給装置3の吸引口31に近い部位である背面6r側の正圧化を促進できる。よって、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが矢印R方向に逆流するおそれが効果的に抑えられる。この場合には、外部14の空気が筐体1の排気口12から吸引され、筐体1の収容室10を流れ、吸気口11から外部14に放出されるように、収容室10が換気される。上記したように換気装置6を逆動させるときには、入口バルブ79iを閉鎖させることが好ましく、殊に、入口バルブ79iおよび出口バルブ79pを閉鎖させることが好ましい。逆動時間としては適宜設定できる。
【0035】
図2は、制御部100が実行する制御則の一例をあらわすフローチャートを示す。フローチャートはこれに限定されるものではない。まず、制御部100は、システムの発電情報を読み込み(ステップS100)、システムが運転中か否かを判定する(ステップS102)。運転中であれば(ステップS102のYES)、センサ38の信号を読み込み(ステップS104)、センサ38の信号に基づいて空気供給装置3の作動が正常であるか否かを判定する(ステップS106)。空気供給装置3の作動が正常でなければ(ステップS106のNO)、制御部100は、システムの運転を停止させる停止処理を実行する(ステップS108)。この場合、スタック7のアノードの入口バルブ79iおよび出口バルブ79pを閉鎖させることが好ましい。但し、アノードの入口バルブ79iおよび出口バルブ79pを閉鎖させるにしても、改質用燃料をスタック7のアノードに流入させてパージするときには、入口バルブ79iを所定時間だけ開放させておいても良い。更に、空気供給装置3の作動が正常でなければ(ステップS106のNO)、換気装置6の作動を停止させる指令を換気装置6に出力して換気装置6の作動を停止させ(ステップS110)、ユーザ側およびまたはメンテナンス者側の警報機に報知し、メインルーチンにリターンする。上記した運転は、発電運転でも良いし、起動運転でも良いし、システムの運転を停止させるための停止処理運転でも良い。本実施形態では、固体高分子形の燃料電池に適用しているが、これに限らず、固体酸化物形の燃料電池に適用することもできる。但しこの場合には加湿器71を廃止することができる。なお換気装置6を排気口12に設けても良い。
【0036】
(実施形態2)
図3は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図3に示すように、筐体1の吸気口11と換気装置6との間には、インバータを含む電気系部品8が配置されている。電気系装置である電気系部品8のうち筐体1の吸気口11に対して近い側の面8rではなく、吸気口11に対して遠ざかる側の面8fに換気装置6が設けられている。改質システムつまり燃料電池システムが運転されるときには、換気装置6が作動して換気羽根60が回転するため、換気装置6のうち吸気口11側の背面6r側において吸引作用が発生する。電気系部品8のハウジングは、空気がハウジング内を通過する通路の入口および出口を有する。このため、換気装置6の吸引作用は、電気系部品8のハウジングの内部を貫通してハウジングの面8r側にも及ぶ。よって、換気装置6の作動により空気は、電気系部品8のハウジングの内部を流れることができる。
【0037】
ここで、吸引作用により、筐体1の外部14の空気が筐体1の吸気口11から矢印X1方向に収容室10に吸引され、収容室10を流れ、排気口12から矢印X2方向に向けて筐体1の外部14に排出される。これにより収容室10の換気が実行される。このように換気装置6の換気羽根60が回転作動すると、吸気口11から収容室10に吸引された新鮮な空気は、電気系部品8のハウジングの内部を通過し、ハウジング内の部品に積極的に接触する。このため電気系部品8の冷却が促進され、電気系部品8の過熱が抑制される。
【0038】
本実施形態においても、システムの運転中において、予想外の事情等により空気供給装置3に不具合が発生し、空気供給装置3の空気供給力が低下または消失するおそれがある。この場合、空気供給装置3に不具合が発生すると、制御部100は、センサ38の信号に基づいてシステム異常と判定し、システムの運転を停止させる停止処理に移行する。更に制御部100は、換気装置6の作動を停止させる指令を換気装置6に出力する。このため換気装置6の換気羽根60の回転が停止、換気羽根60による吸引作用の発生が抑えられる。よって筐体1の吸気口11と換気装置6の間に吸引作用(負圧)が発生することが抑制される。この結果、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが空気供給通路34を介して空気供給装置3の吸引口31から収容室10側に矢印R方向に逆流するおそれが抑えられる。このため改質システムつまり燃料電池システムにおける保護性を高めることができる。なお、空気供給装置3に不具合が発生するとき、制御部100は、換気装置6の作動を逆動させる指令を換気装置6に出力しても良い。
【0039】
このようにシステムの運転を停止させる停止処理に移行させ逆流を抑制させるときであっても、換気装置6を逆動させれば、外部14の空気が排気口12から矢印X2方向と反対方向に収容室10に向けて吸引され、収容室10を流れ、吸気口11から矢印X1方向と反対方向に外部14に向けて放出される。このように換気装置6を逆動させれば、電気系部品8が冷却され、電気系部品8の過熱が抑制され、電気系部品8の保護性を高めることができる。
【0040】
(実施形態3)
図4は実施形態3を示す。本実施形態は上記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図4に示すように、筐体1の吸気口11に対向する位置に換気装置6が設けられている。換気装置6のうち吸気口11と反対側に、インバータを含む電気系部品8が配置されている。電気系部品8のうち吸気口11に対して遠い側の面8fではなく、吸気口11に対して近い側の面8rに、換気装置6が設けられている。本実施形態においても、改質システムつまり燃料電池システムが運転されるとき、換気装置6が作動して換気羽根60が回転し、換気装置6のうち吸気口11側の背面6r側において吸引作用が発生する。このため、筐体1の外部14の空気が筐体1の吸気口11から矢印X1方向に収容室10に吸引され、更にその空気は電気系部品8を通過し、排気口12から矢印X2方向に向けて筐体1の外部14に排出される。これにより収容室10の換気が実行される。このように換気装置6の換気羽根60が回転作動すると、収容室10に吸引された空気は電気系部品8に接触するため、電気系部品8の冷却が促進され、電気系部品8の過熱が抑制される。
【0041】
本実施形態においても、空気供給装置3に不具合が発生し、空気供給装置3の空気供給力が低下または消失するとき、制御部100は、センサ38の信号に基づいてシステム異常と判定し、システムを停止させる停止処理に移行する。更に制御部100は、換気装置6の作動を停止させる指令を換気装置6に出力する。このため換気装置6の換気羽根60による吸引作用(負圧)の発生が抑えられる。この結果、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが空気供給装置3の吸引口31から収容室10側に矢印R方向に逆流するおそれが抑えられる。このため改質システムつまり燃料電池システムにおける保護性を高めることができる。なお換気装置6の作動が停止するため、換気による電気系部品8の空冷は抑制される。
【0042】
なお、空気供給装置3に不具合が発生するとき、制御部100は、換気装置6の停止ではなく、換気装置6の作動を逆動させる指令を換気装置6に出力しても良い。換気装置6を逆動させれば、外部14の空気が排気口12から収容室10に吸引され、収容室10を流れ、吸気口11から外部14に放出される。このため電気系部品8が冷却され、電気系部品8の過熱が抑制され、その長寿命化に貢献できる。
【0043】
(実施形態4)
図5は実施形態4を示す。本実施形態は上記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図5に示すように、筐体1の吸気口11と換気装置6との間には、インバータを含む電気系部品8が配置されている。筐体1の吸気口11と換気装置6との間には導風ダクト15が設けられている。導風ダクト15は収容室10に配置されており、電気系部品8の外郭を形成するハウジング80の連通口80aと吸気口11とを連通させる第1導風ダクト15fと、第1導風ダクト15fの分岐部15mから分岐され空気供給装置3の吸引口31に連通された第2導風ダクト15sとを有する。電気系部品8のハウジングは、これの内部に連通する入口および出口を有する。
【0044】
本実施形態においても、改質システムつまり燃料電池システムが運転されるとき、換気装置6が作動して換気羽根60が回転し、換気装置6のうち吸気口11側の背面6r側において吸引作用が発生する。この吸引作用が電気系部品8のハウジングの内部に及ぶ。そして吸引作用により、筐体1の外部14の空気が筐体1の吸気口11から矢印X1方向に収容室10内の第1導風ダクト15f内に吸引され、更にその空気は電気系部品8のハウジングの入口、内部を流れ、電気系部品8を冷却させつつ通過し、ハウジングの出口に対面する換気羽根60から収容室10に放出される。更に、空気は、排気口12から矢印X2方向に向けて筐体1の外部14に排出される。これにより収容室10の換気が実行される。このように換気装置6の換気羽根60が回転作動すると、外部14の空気は第1導風ダクト15fの内部に吸引され、電気系部品8に接触するため、電気系部品8の冷却が促進され、電気系部品8の過熱が抑制される。第1導風ダクト15fの内部に吸引された空気は、分岐されて第2導風ダクト15s内を流れ、空気供給装置3の吸引口31から空気供給通路34を経て燃焼器2に供給され、燃焼器2における燃焼反応に燃焼用空気として使用される。
【0045】
本実施形態においても、システムが運転しているとき、予想外の事情等により空気供給装置3に不具合が発生し、空気供給装置3の空気供給力が低下または消失するおそれがある。この場合、制御部100は、センサ38の信号に基づいてシステム異常と判定し、システムを停止させる停止処理に移行させる。更に制御部100は、換気装置6の作動を停止させる指令を換気装置6に出力する。このため換気装置6の換気羽根60による吸引作用の発生が抑えられる。よって筐体1の吸気口11と換気装置6の間に存在する導風ダクト15における吸引作用(負圧)が発生することが抑制される。この結果、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが空気供給装置3の吸引口31から導風ダクト15に矢印R方向に逆流するおそれが抑えられる。さらには、燃料または燃焼排ガスが電気系部品8および収容室10側に逆流するおそれが抑えられる。このため改質システムつまり燃料電池システムにおける保護性を高めることができる。
【0046】
なお、空気供給装置3に不具合が発生するとき、制御部100は、換気装置6の換気羽根60の回転を逆動させる指令を換気装置6に出力しても良い。このように換気装置6を逆動させれば、外部14の空気が排気口12から収容室10に吸引され、収容室10を流れ、換気装置6および電気系部品8を通過し、第1導風ダクト15fを介して吸気口11から外部14に放出される。これにより第1導風ダクト15fおよび第2導風ダクト15sの内圧の正圧化を促進できる。この結果、燃焼器2側に存在する可燃性をもつ燃料または燃焼排ガスが空気供給通路34を介して空気供給装置3の吸引口31から第1導風ダクト15f内に矢印R方向に逆流するおそれが抑えられる。このため改質システムつまり燃料電池システムにおける保護性を高めることができる。逆動させるとき、バルブ79i,79pを閉鎖させてスタック7のアノードにガスを進入させないことが好ましい。但し、これに限定されるものではない。
【0047】
換気装置6を逆動させる時間としては適宜選択でき、燃焼器2側に残留する燃料または燃焼排ガスを燃焼器2側の排出口から排出できる程度の所定時間(例えば5分間、10分間、20分間)逆動させても良い。あるいは、空気供給装置3の不具合に対してメンテナンスされるまで、電気系部品8の空冷を兼用しつつ、換気装置6の逆動を継続させても良い。
【0048】
また、定格運転時おける換気装置6の出力をP1とし、逆動時における換気装置6の出力をP2とすると、P1=P2、P1≒P2、P1>P2、P2>P1のいずれとしても良い。P1>P2であれば、適度な逆流防止効果と適度な電気系部品8の空気冷却性が得られ、換気装置6を逆動させる電気エネルギも節約できる。P2>P1では逆流防止効果が高いし、逆動時において、電気系部品8に接触する単位時間当たりの空気量を増加でき、電気系部品8の空気冷却性を高め得る。
【0049】
(実施形態5)
図6は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図6に示すように、筐体1の収容室10は、下側の第1収容室10fと上側の第2収容室10sとに仕切壁18により分割されている。第1収容室10fは吸気口11に連通する。第2収容室10sは排気口12に連通する。仕切壁18には換気装置6が設けられている。第2収容室10sには、発電モジュール9が収容されている。発電モジュール9は、複数の燃料電池を組み付けて形成されたスタック7と、改質用燃料原料を水蒸気で改質させて水素を主要成分とするアノードガスを生成させる改質装置4と、改質装置4とスタック7との間に位置する燃焼用空間を形成する燃焼器2と、燃焼器2、スタック7および改質装置4を外側から覆う高い断熱性をもつ断熱壁90とを有する。スタック7を構成する燃料電池は固体酸化物形であり、その発電運転時のおける作動温度は400℃以上、500℃以上、600℃以上と高温である。
【0050】
図6において、第1収容室10fに配置されている空気供給装置3が作動すると、第1収容室10fの空気は空気供給装置3の吸引口31から空気供給通路34に搬送され、更に、発電モジュール9の断熱壁90内に燃焼用空気またはカソードガスとして供給される。
【0051】
図6に示すように、改質装置4は、改質用水から水蒸気を生成させる蒸発部410と、改質触媒を有する改質部420とを有する。改質用燃料は、改質用燃料通路40から蒸発部410を介して改質部420に供給される。改質部420に供給された改質用燃料は、蒸発部410で生成された水蒸気により改質され、水素を含むアノードガスとなる。改質部420で生成されたアノードガスは、アノードガス通路78を介してスタック7のアノードに供給され、発電反応に使用されると共に、スタック7の上側の燃焼器2に上昇し、燃焼器2において燃焼用燃料として燃焼用空気により燃焼され燃焼火炎を形成する。このように燃焼器2における燃焼火炎は、改質装置4の蒸発部410および改質部420を加熱させる。
【0052】
システムが運転されているとき、換気装置6が作動して換気羽根60が回転し、換気装置6の背面6r側において吸引作用が発生する。すると、外部14の新鮮な空気が筐体1の吸気口11から第1収容室10fに吸引され、仕切壁18の開口19を矢印X5方向に沿って流れて第2収容室10sに進入し、更に第2収容室10sにおいて発電モジュール9の断熱壁90に接触して発電モジュール9を冷却させた後、排気口12から外部14に矢印X2方向に放出される。このようにシステムが運転されているときには、換気装置6が作動して第1収容室10fおよび第2収容室10sの換気が実行される。
【0053】
さて本実施形態においても、上記したようにシステムが運転しているとき、空気供給装置3に不具合が発生し、空気供給装置3の空気供給力が低下または消失するおそれがある。この場合、換気装置6が継続して回転作動して換気装置6の背面6r側に吸引作用を発生させていると、発電モジュール9内に存在する燃料(アノードガス)または燃焼排ガス、すなわち、燃焼器2等における燃料または燃焼排ガスが、空気供給通路34を介して空気供給装置の吸引口31から第1収容室10f側に向けて矢印R方向に逆流するおそれがある。
【0054】
このため、上記したようにシステムが運転しているときにおいて、空気供給装置3に不具合が発生し、空気供給装置3の空気供給力が低下または消失することがセンサ38により検知されるときには、制御部100は、センサ38の信号に基づいてシステム異常と直ちに判定し、システムを停止させる停止処理に移行させる。更に、制御部100は、換気装置6の作動を停止させる指令を換気装置6に直ちに速やかに出力する。このため換気装置6の換気羽根60による吸引作用の発生が抑えられる。
【0055】
よって第1収容室10fにおいて換気装置6の背面6r側に吸引作用(負圧)が発生することが抑制される。すなわち、第1収容室10fにおいて、筐体1の吸気口11と換気装置6との間に吸引作用(負圧)が発生することが抑制される。この結果、発電モジュール9内に存在する燃料または燃焼排ガス、すなわち、燃焼器2等における燃料または燃焼排ガスが、空気供給通路34を介して空気供給装置の吸引口31から収容室10側に矢印R方向に逆流するおそれが抑えられる。このため改質システムつまり燃料電池システムにおける保護性を高めることができる。
【0056】
なお、上記したように空気供給装置3に不具合が発生することがセンサ38により検知されるときには、制御部100は、換気装置6の換気羽根60の回転を逆動させる指令を換気装置6に出力しても良い。このように換気装置6の換気羽根60を逆動させれば、外部14の空気が排気口12から矢印X2方向と反対方向に沿って第2収容室10sに吸引され、更に、発電モジュール9の断熱壁90を冷却させつつ、仕切壁18の開口19を矢印X5方向と反対方向に流れ、更に第1収容室10fを流れ、吸気口11から矢印X1方向と反対方向に沿って筐体1の外部14に向けて放出される。これにより第1収容室10fの正圧化を促進できる。すなわち、空気供給装置の吸引口31の正圧化を促進できる。
【0057】
この結果、燃焼器2側に存在する燃料または燃焼排ガスが空気供給装置3の吸引口31から第1収容室10f側に矢印R方向に逆流するおそれが一層抑えられる。このため改質システムつまり燃料電池システムにおける保護性を高めることができる。なお、本実施形態では、空気供給装置3は、筐体1の吸気口11と換気装置6との間に配置されているが、換気装置6を筐体1の吸気口11と空気供給装置3との間に配置してもよい。
【0058】
(実施形態6)
本実施形態は上記した各実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図6を準用できる。空気供給装置3に不具合が発生するとき、換気装置6の作動を停止させるとしても、換気装置6の順方向に回転している換気羽根60の慣性力が影響することがある。この場合、換気装置6への給電を停止させたとしても、換気装置6の構造および方式の如何によっては、慣性力により換気羽根60が順方向に少なからず回転するおそれがある。この場合、燃焼器2側に存在する燃料が空気供給装置3の吸引口31から収容室10側に矢印R方向に逆流するおそれがある。このため、空気供給装置3に不具合が発生するとき、換気装置6の作動を停止させるとしても、制御部100は、まず、換気装置6の換気羽根60の回転を所定時間(微小時間)逆動させる第1指令を換気装置6に出力し、慣性力と反対の方向の回転力を与えて慣性力を実質的に相殺させる。その後、制御部100は、換気装置6の換気羽根60の回転を停止させる第2指令を換気装置6に出力する。これにより換気装置6の慣性力が無視できない場合であっても、逆流が発生することが抑制される。
【0059】
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した各実施形態は燃料電池のスタックをもつ燃料電池システムに適用しているが、これに限らず、スタックを有していない方式、すなわち燃料原料を改質させる改質システムに適用しても良い。実施形態1では、固体高分子形の燃料電池に適用しているが、これに限らず、固体酸化物形の燃料電池に適用することもできる。更に、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池に適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は例えば定置用、車両用、電気機器用、電子機器用、可搬用の燃料電池システム等に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1は筐体、10は収容室、11は吸気口、12は排気口、15は導風ダクト、18は仕切壁、2は燃焼器、3は空気供給装置、31は吸引口、4は改質装置、6は換気装置、8は電気系部品、100は制御部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性をもつ燃料を空気で燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器に空気を供給させる空気供給装置と、
前記燃焼器に基づく加熱により改質用燃料を改質させる改質装置と、
前記燃焼器、前記空気供給装置および前記改質装置を収容する収容室をもつ筐体と、
外部の空気を前記収容室に吸引し、前記収容室の空気を外部に放出させて前記収容室を換気させる換気装置と、
前記空気供給装置に不具合が発生するとき、前記燃焼器側の燃料または燃焼排ガスが前記収容室に逆流することを抑制するように前記換気装置の作動を停止または逆動させる制御部とを具備する改質システム。
【請求項2】
請求項1において、前記空気供給装置における不具合の発生を検知する不具合検知要素が設けられており、前記不具合検知要素の不具合検知信号が前記制御部に入力されると、前記制御部は前記換気装置の作動を停止または逆動させる指令を前記換気装置に出力する改質システム。
【請求項3】
可燃性をもつ燃料を空気で燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器に空気を供給させる空気供給装置と、
前記燃焼器に基づく加熱により改質用燃料を改質させる改質装置と、
前記改質装置で改質されたガスをアノードガスとして供給されて発電する燃料電池と、
前記燃焼器、前記空気供給装置、前記改質装置および前記燃料電池を収容する収容室をもつ筐体と、
外部の空気を前記収容室に吸引し、前記収容室の空気を外部に放出させて前記収容室を換気させる換気装置と、
前記空気供給装置に不具合が発生するとき、前記燃焼器側の燃料または燃焼排ガスが前記収容室に逆流することを抑制するように前記換気装置の作動を停止または逆動させる制御部とを具備する燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−269954(P2010−269954A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121575(P2009−121575)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】