説明

改質材およびその用途

【課題】成形性および機械的強度に優れる分岐型ポリオレフィンを用いた樹脂改質材を提供すること。
【解決手段】エチレンから導かれる繰り返し単位50〜100モル%と、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位0〜50モル%とからなり、流動の活性化エネルギー(Ea(KJ/mol))とα-オレフィン含量(C(重量%))とが特定の関係を満たし、メルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR(g/10分))とが特定の関係を満たす分岐型ポリオレフィンを改質材として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の性質を有するポリマーの改質材用途に関する。特にポリプロピレンなどのポリマーに添加して成形性の改良や衝撃強度改良、潤滑油などの油に添加して粘度特性の改良に適する改質材に関する。本発明は、従来の同等の主骨格の繰り返し単位、分子量、分子量分布、及び結晶化度が実質的に同じポリマーに比べ、メルトテンションは同等または小さいと共に流動の活性化エネルギーの値の大きい新規のポリマーの改質材用途に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・α-オレフィン共重合体などのポリマーをポリプロピレンなどの他の樹脂に添加して衝撃強度などを改質することは知られている。しかし、衝撃強度を得るためには比較的に高分子量の改質材が必要であり、比較的に高分子量の改質材を用いた場合は、改質材を含む樹脂組成物の成形性が劣るといった問題点があった。また潤滑油などの油に添加して粘度特性を改良する試みをなされているが、まだ低温粘度と高温粘度のバランスが十分ではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記のような課題、すなわち、ポリプロピレンなどのポリマーに添加して成形性の改良や衝撃強度改良を行うことや、油に添加して低温粘度と高温粘度のバランスが優れる潤滑油を得るための改質材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は特定の性質を有するポリマーを改質材として用いることで達成される。すなわち、
1、主骨格の繰り返し単位、分子量、分子量分布、及び結晶化度が実質的に同じポリマーに比べて、メルトテンション(MT(g))が実質的に同じであるかまたはそれ以下であり、流動の活性化エネルギー(Ea(KJ/mol)が当該ポリマーのEaの値に5KJ/molを加えた値よりも大きいことを特徴とするポリマーを含むことを特徴とする改質材。
【0005】
2、エチレンから導かれる繰り返し単位50〜100モル%と、炭素原子数3〜7のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位0〜50モル%とからなり、流動の活性化エネルギー(Ea(KJ/mol))とα-オレフィン含量(C(重量%))とがα-オレフィンの炭素原子数が3でかつC≧10重量%の場合:Ea≧0.130×C+28.7α-オレフィンの炭素原子数が4〜7でかつC≧4.1重量%の場合:Ea≧0.385×C+28.7α-オレフィンの炭素原子数が3でかつC<10重量%の場合(α-オレフィン含量が0の場合を含む。)およびα-オレフィンの炭素原子数が4〜7でかつC<4.1重量%の場合:Ea≧30で示される関係を満たし、メルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR(g/10分))とがMT≦2.2×MFR-0.88で示される関係を満たすことを特徴とする分岐型ポリオレフィンを含むことを特徴とする改質材。
【0006】
3、(i)エチレンおよび炭素原子数3〜7のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、(ii)エチレンから導かれる繰り返し単位を50〜100モル%、炭素原子数4〜7のオレフィンから導かれる繰り返し単位を50〜0モル%の割合で含有し、重量平均分子量が600〜3,500の範囲にあり、13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1,000個当たり0.1個未満であるビニル末端マクロモノマーから導かれる繰り返し単位とからなることを特徴とする請求項4に記載の分岐型ポリオレフィン。主骨格の繰り返し単位が、炭素、水素、あるいはさらに酸素から構成されており、実質的に熱可塑性であるポリマーを含むことを特徴とする改質材。
【0007】
4、請求項1乃至3に記載の改質材と他のポリマーとを少なくとも含む樹脂組成物。
【0008】
5、請求項1乃至3に記載の改質材と他のポリオレフィンとを少なくとも含む樹脂組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る改質材を構成する分岐状ポリオレフィンは、成形性および機械的強度に優れる。本発明に係る分岐状ポリオレフィンは、粘度の温度依存性が大きいので樹脂温度が高いダイス近傍では粘度が低いため容易に伸ばされる。一方、ダイス近傍から離れると樹脂温度が下がることで急激に粘度が上昇し、多少温度ムラがあってもダイス近傍との粘度比が大きいのでダイスから離れた部分では温度ムラを反映したような延伸はされずに、結果として延伸ムラが無いフィルムなどが製造可能である。また本発明に係る分岐状ポリオレフィンは、メルトテンションが低いことから、延伸しても歪み硬化しにくい。よってドローダウンし易いので、高速で引き取ることが可能である。
本発明に係る改質材を用いることでポリプロピレンなどのポリマーに添加して成形性の改良や衝撃強度改良を行うことや、油に添加して低温粘度と高温粘度のバランスが優れる潤滑油を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の改質剤(改質材とも記載)は以下の性質を有するポリマーが用いられる。以下、本発明の改質剤(改質材とも記載)係るポリマーは分岐型ポリオレフィンをはじめとするポリマーを含む。なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
本発明に係る改質材に用いられるポリマーは、主骨格の繰り返し単位、分子量、分子量分布、及び結晶化度が実質的に同じポリマーに比べて、メルトテンション(MT(g))が実質的に同じであるかまたはそれ以下であり、流動の活性化エネルギー(Ea(KJ/mol)が当該ポリマーのEaの値に5KJ/molを加えた値よりも大きいことを特徴とするポリマーである。以下、「本発明のポリマー」とは「本発明の改質剤(改質材とも記載)係るポリマー」を意味する。
【0011】
ここで実質的に同じとは、本発明のポリマーと比較して、繰り返し単位の種類が同一であり、分子量は重量平均分子量において。相違が±30%の範囲内であり、分子量分布(Mw/Mn)の相違が±30%の範囲内であり、結晶化度の相違が±10%の範囲内であることをいう。結晶化度はX線回折法(S.L.AGGARWAL;J.Polymer Sci.18,17(1955)に準ずる。)等の方法によって製造することができる。
【0012】
このようなポリマーの主骨格の繰り返し単位は、特に限定されるものではなく、重合可能な種々の繰り返し単位が例示される。なかでも、炭素、水素、あるいはさらに酸素から構成される繰り返し単位が好ましく、実質的に熱可塑性であることが望ましい。繰り返し単位としては、α-オレフィン、環状オレフィン、ジオレフィン、芳香族基含有ビニル化合物などのオレフィン類が例示される。これらの中でも、炭素原子数2〜8のオレフィン類が望ましい。
【0013】
本発明の一の態様に係る分岐型ポリオレフィンの一番目の態様では、エチレンから導かれる繰り返し単位と、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位とからなる。ここで炭素原子数3〜20のオレフィンとしては、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどの炭素原子数4〜20の環状オレフィンが挙げられる。これらの炭素原子数3〜20のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位は、分岐型ポリオレフィン中に2種以上含まれていてもよい。
【0014】
本発明に係る分岐型ポリオレフィンは、エチレンから導かれる繰り返し単位50〜100モル%と、炭素原子数3〜7のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位0〜50モル%とからなる場合は、流動の活性化エネルギー(Ea(KJ/mol))とα-オレフィン含量(C(重量%))とがα-オレフィンの炭素原子数が3でかつC≧10重量%の場合:Ea≧0.130×C+28.7好ましくは Ea≧0.144×C+28.7より好ましくは Ea≧0.178×C+28.7α-オレフィンの炭素原子数が4〜7でかつC≧4.1重量%の場合:Ea≧0.385×C+28.7好ましくは Ea≧0.425×C+28.7より好ましくは Ea≧0.528×C+28.7α-オレフィンの炭素原子数が3でかつC<10重量%の場合(α-オレフィン含量が0の場合を含む。)およびαオレフィンの炭素原子数が4〜7でかつC<4.1重量%の場合:Ea≧30好ましくは Ea≧35より好ましくは Ea≧40で示される関係を満たし、メルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR(g/10分))とがMT≦2.2×MFR-0.88好ましくはMT≦2.0×MFR-0.88で示される関係を満たす。
【0015】
上記のような分岐型ポリオレフィンの1番目の態様は、例えば(i)エチレンおよび炭素原子数3〜7のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、(ii)エチレンから導かれる繰り返し単位を50〜100モル%、炭素原子数4〜7のオレフィンから導かれる繰り返し単位を50〜0モル%の割合で含有し、重量平均分子量が600〜3,500の範囲にあり、13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1,000個当たり0.1個未満であるビニル末端マクロモノマーから導かれる繰り返し単位とからなる。
【0016】
このビニル末端マクロモノマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が、通常600〜3,500、好ましくは700〜3500、より好ましくは800〜3500でありMw/Mn(Mnは数平均分子量)は、通常1.5以上4.0未満、好ましくは1.8以上3.8未満である。
【0017】
またこのビニル末端マクロモノマーは、13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1,000個当たり通常0.1個未満、好ましくは0.08個未満であり、より好ましくは0.05個未満である。このビニル末端マクロマーは、例えば後述するような遷移金属化合物(B)を含む触媒を用いてエチレンと炭素原子数4〜7のオレフィンとを共重合またはエチレンを単独で重合させることにより製造することができる。
【0018】
このような分岐型ポリオレフィンは、重量平均分子量が通常3万〜50万、好ましくは5万〜20万の範囲にあり、MFRが通常0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜10g/10分の範囲にある。また本発明に係る分岐型ポリオレフィンの2番目の態様では、エチレンから導かれる繰り返し単位50〜100モル%と、炭素原子数8〜20のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位0〜50モル%とからなる場合は、流動の活性化エネルギー(Ea(KJ/mol))とα-オレフィン含量(C(重量%))とがC≧4.1重量%の場合:Ea≧0.385×C+28.7好ましくは Ea≧0.425×C+28.7より好ましくは Ea≧0.528×C+28.7C<4.1重量%の場合:Ea≧30好ましくは Ea≧35より好ましくはEa≧40で示される関係を満たし、メルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR(g/10分))とがMT≦2.2×MFR-0.88好ましくはMT≦2.0×MFR-0.88で示される関係を満たす。
上記のような分岐型ポリオレフィンの2番目の態様は、例えば(i)エチレンおよび炭素原子数8〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、(ii)エチレンから導かれる繰り返し単位を50〜100モル%、炭素原子数3〜20のオレフィンから導かれる繰り返し単位を50〜0モル%の割合で含有し、重量平均分子量が600〜3,500の範囲にあり、13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1,000個当たり0.1個未満であるビニル末端マクロモノマーから導かれる繰り返し単位とからなる。
【0019】
このビニル末端マクロモノマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が、通常600〜3,500、好ましくは700〜3500、より好ましくは800〜3500であり、Mw/Mn(Mnは数平均分子量)は、通常1.5以上4.0未満、好ましくは1.8以上3.8未満である。
またこのビニル末端マクロモノマーは、13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1,000個当たり通常0.1個未満、好ましくは0.08個未満であり、より好ましくは0.05個未満である。このビニル末端マクロマーは、例えば後述するような遷移金属化合物(B)を含む触媒を用いてエチレンと炭素原子数8〜20のオレフィンとを共重合またはエチレンを単独で重合させることにより製造することができる。
【0020】
このような分岐型ポリオレフィンは、重量平均分子量が通常3万〜50万、好ましくは5万〜20万の範囲にあり、MFRが通常0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜10g/10分の範囲にある。Eaが大きいということは分岐型ポリオレフィンの粘度の温度依存性が大きいことを意味し、Eaが大きい分岐型ポリオレフィンを押し出し成形するとダイス近傍では粘度が低いため容易に成形でき、その後冷やされると粘度が急上昇するので延伸されにくくなることから延伸ムラができにくい。
【0021】
また本発明に係る分岐型ポリオレフィンは、MTが低いことからドローダウン性(高速で引き取れる)がよく溶融状態で高速で引き取っても切断しにくい。また本発明の他の態様に係る分岐型ポリオレフィンの3番目の態様は、(i)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、(ii)重量平均分子量が600〜200,000、好ましくは1,000〜100,000であって13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1,000個当たり0.1個未満であるビニル末端マクロモノマーから導かれる繰り返し単位とからなる。
【0022】
上記繰り返し単位(i)と繰り返し単位(ii)とからなる分岐型ポリオレフィンの3番目の態様は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、上記ビニル末端マクロモノマーとが共重合されてなる。ここで炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、例えばエチレンおよび上述した炭素原子数3〜20のオレフィンが挙げられる。これらのなかでは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、ノルボルネンから選ばれるものが好ましい。これらの炭素原子数2〜20のオレフィンは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
また、ビニル末端マクロモノマーは、エチレンから導かれる繰り返し単位を主とする(共)重合体であり、エチレンから導かれる繰り返し単位が、通常50〜100モル%、好ましくは55〜100モル%、より好ましくは65〜100モル%、最も好ましくは70〜100モル%の割合で存在し、炭素原子数4〜20のオレフィンから導かれる繰り返し単位は0〜50モル%、好ましくは0〜45モル%、より好ましくは0〜35モル%、特に好ましくは0〜30モル%の割合で存在することが望ましい。
【0024】
炭素原子数4〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレンを除く上記と同様の直鎖状または分岐状のα-オレフィンおよび環状オレフィンが挙げられ、これらのなかでは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、ノルボルネンから選ばれるものが好ましい。このビニル末端マクロモノマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜9,000、より好ましくは2,000〜8,000、さらに好ましくは2,500〜7,000である。
【0025】
またビニル末端マクロモノマーは、13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1,000個当たり通常0.1個未満、好ましくは0.08個未満であり、より好ましくは0.05個未満である。さらにMw/Mn(Mnは数平均分子量)は、通常1.5以上4.0未満、好ましくは1.8以上3.8未満である。
【0026】
ビニル末端マクロマーは、例えば後述するような遷移金属化合物(B)を含む触媒を用いてエチレンと炭素原子数4〜20のオレフィンとを共重合またはエチレンを単独で重合させることにより製造することができる。この分岐型ポリオレフィンの3番目は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィン(i)と、上記のようなビニル末端マクロモノマー(ii)とが共重合されてなるポリオレフィンであり、重量平均分子量が通常30,000〜10,000,000、好ましくは50,000〜5,000,000の範囲にあり、Mw/Mnが通常1.5〜20、好ましくは1.8〜10、より好ましくは2〜4の範囲にあり、かつ主鎖炭素原子1,000当たり側鎖が通常0.01〜60本、好ましくは0.1〜50本、より好ましくは1〜40本、さらに好ましくは6〜30本の割合で存在する。
【0027】
本発明に係る分岐型ポリオレフィンは、主鎖が炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの(共)重合体、好ましくは炭素原子数3〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを必須とする(共)重合体であり、側鎖がエチレン単独重合体であることが好ましい。次に、流動の活性化エネルギー、α-オレフィン含量、メルトテンションおよびメルトフローレートの測定法について説明する。
(流動の活性化エネルギー(Ea))レオメトリックス社製レオメーターRDS-IIを用い、貯蔵弾性率(G’(dyne/cm2))の角速度(ω(rad/秒))分散を測定した。サンプルホルダーは25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みは約2mmとした。測定温度は140、170、200、230℃とし、各温度で0.04≦ω≦400の範囲でG’を測定した。測定点はω一桁当たり5点とした。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、2〜25%の範囲で適宜選択した。測定後に140℃を基準温度として4つの温度条件のフローカーブを重ね合わせ、シフトファクターのアレニウス型プロットからEaを求めた。計算は、マイクロソフト社製表計算ソフトウェアexcelTMで作図して計算した。まず両対数で4つの測定温度で測定したデータを横軸ω、縦軸G’でプロットする。測定温度140℃のフローカーブに重なるように他の測定温度のフローカーブを横軸に沿ってシフトさせ、このときのシフト量をlog(aT)とする。測定温度(測定実温度を絶対温度で記述)の逆数に対してlog(aT)をプロットして、最小二乗法(線形近似)により傾きを求める。この時、相関係数R2が0.995以下ならば、フローカーブのシフトをやり直した。この傾きをAとする。
【0028】
Ea=2.303×8.314×A×(−1)/1000(KJ/mol)
(2.303はln10、8.314は気体定数)
なお、長い分岐があると低ω領域で重ね合わせが悪いことがある。その場合には、ω≧10rad/sec程度よりも高ω領域で重なるようにシフトさせた。
(α-オレフィン含量)α-オレフィン含量は13C-NMRにより求めた。
【0029】
(メルトテンション(MT))溶融させたポリマーを一定速度で延伸した時の応力を測定することにより決定される。すなわち、共重合体の造粒ペレットを測定試料とし、東洋精機製作所製、MT測定機を用い、樹脂温度190℃、バレル径9.55mmφ、押し出し速度15mm/分、巻取り速度10〜20m/分、ノズル径2.095mmφ、ノズル長さ8mmの条件で行われる。
【0030】
なお、MTの値が4程度以下の場合には、フルスケールレンジを5gとし、その場合には小数点以下2桁で表示し、MTの値が4〜9程度の場合には、フルスケールレンジを10gとし、その場合には小数点以下1桁で表示し、MTの値が9〜18程度の場合には、フルスケールレンジを20gとし、その場合には小数点以下1桁で表示した。
【0031】
(メルトフローレート(MFR))ASTM D-1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定した。
【0032】
(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Mw/Mn)
ウォーターズ社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgelGMH6−HTおよびTSKgel GMH6−HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。分子量計算は、ユニバーサル校正して、PEとして換算して求めた値である。
ピーク分離は東ソー社製解析装置SC8010を用い、以下のようにして行った。ピーク間の極小点を図より決定し、この点からベースラインに向け垂線を引き、それぞれのピークにおけるMw、Mn、Mw/Mn、ピーク強度比を算出した。
【0033】
(メチル分岐数、ヘキシル分岐数の測定)13C-NMRによりポリマー分子鎖中における1,000カーボン当たりのメチル分岐数を測定した。測定は日本電子(株)社製Lambda500型核磁気共鳴装置(1H:500MHz)を用いた。積算回数1万〜3万回にて測定した。なお、化学シフト基準として主鎖メチレンのピーク(29.97ppm)を用いた。直径10mmの市販のNMR測定石英ガラス管中に、試料250〜400mgと和光純薬工業(株)社製特級o-ジクロルベンゼン:ISOTEC社製ベンゼン−d6=5:1(体積比)の混合液3mlを入れ、120℃にて加熱、均一分散させることにより行う。NMRスペクトルにおける各吸収の帰属は、化学に領域増刊141号NMR−総説と実験ガイド[I]、132頁〜133頁に準じて行う。1,000カーボン当たりのメチル分岐数は、5〜45ppmの範囲に現れる吸収の積分総和に対する、メチル分岐由来のメチル基の吸収(19.9ppm)の積分強度比より算出する。1,000カーボン当たりのヘキシル(以上)分岐数は、32.2ppmに現れるメチレン(C6+3)の積分強度より算出する。
【0034】
製造方法本発明に係る分岐型ポリオレフィンは、例えば(A)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、(B)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
【0035】
【化1】


【0036】
(C)(C-1) 有機金属化合物、(C-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(C-3) 遷移金属化合物(A)または遷移金属化合物(B)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなるオレフィン重合触媒を用いて製造することができる。遷移金属化合物(A)、遷移金属化合物(B)、(C)(C-1) 有機金属化合物、(C-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(C-3) 遷移金属化合物(A)または遷移金属化合物(B)と反応してイオン対を形成する化合物については特開2002-105132号公報に詳細に記載されている。
【0037】
重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などが挙げられ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0038】
上記のようなオレフィン重合触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)は、反応容積1リットル当たり、通常10-8〜1モル、好ましくは10-7〜0.5モルになるような量で用いられ、成分(B)は、反応容積1リットル当たり、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。また、成分(A)および成分(B)は、成分(B)と成分(A)とのモル比(B/A)が、通常0.00001〜100、好ましくは0.00005〜10、さらに好ましくは0.000075〜1、より好ましくは0.0001〜0.5となるような量で用いられる。
【0039】
成分(C-1)は、成分(C-1)と、成分(A)および成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比(C-1/M)が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。成分(C-2)は、成分(C-2)中のアルミニウム原子と、成分(A)および成分(B)中の遷移金属原子(M)とのモル比(C-2/M)が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。
成分(C-3)は、成分(C-3)と、成分(A)および成分(B)中の遷移金属原子(M)とのモル比(C-3/M)が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。成分(E)が用いられる場合は、成分(E)は、成分(C)が成分(C-1)の場合には、モル比(E/C-1)が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(C)が成分(C-2)の場合には、モル比(E/C-2)が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(C)が成分(C-3)の場合には、モル比(E/C-3)が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜9.8MPa(100kg/cm2)、好ましくは常圧〜4.9MPa(50kg/cm2)の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。得られる分岐型ポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(C)の違いにより調節することもできる。
【0040】
重合に用いられるオレフィンとしては、上述したような炭素原子数2〜20のオレフィンが挙げられる。これらのオレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明では上記遷移金属化合物(A)および遷移金属化合物(B)を含むオレフィン重合触媒の存在下に1種の反応条件でオレフィンの重合を行うことにより分岐状ポリオレフィンを製造することができ、また上記オレフィン重合触媒の存在下に少なくとも2種の反応条件でオレフィンの重合を行うことにより分岐状ポリオレフィンを製造することもできる。
【0041】
遷移金属化合物(A)および遷移金属化合物(B)を含むオレフィン重合触媒の存在下にオレフィンの重合を行うと、遷移金属化合物(B)により上記ビニル末端マクロマーが製造され、遷移金属化合物(A)によりオレフィンとビニル末端マクロマーとが共重合されて分岐状ポリオレフィンが製造されるものと考えられる。
【0042】
遷移金属化合物(A)は、分子量の大きな重合体を製造することができ、ビニル末端マクロマーを成長するポリマー鎖に組み入れることができる。遷移金属化合物(B)は、比較的分子量の小さな重合体を製造する傾向にあり、ビニル末端マクロマーを成長するポリマー鎖に組み入れない。また遷移金属化合物(B)は、メチル分岐の極めて少ないポリエチレンを製造することができ、エチレンを含むオレフィンを重合した場合に、エチレンを選択的に重合する傾向がある。
【0043】
本発明では分岐状ポリオレフィンの製造は、反応条件の異なる2段以上に分けて連続的に行うことが好ましく、1段の重合器で少なくとも2種類の反応条件での重合を連続的に行うことが好ましい。少なくとも2種類の反応条件で重合を連続的に行う際には、遷移金属化合物(B)によって生成する重合体の収量が遷移金属化合物(A)によって生成する重合体の収量を上回る条件での重合(以下「重合B」ということがある。)と、遷移金属化合物(A)によって生成する重合体の収量が遷移金属化合物(B)によって生成する重合体の収量を上回る条件での重合(以下「重合A」ということがある。)とが含まれることが好ましい。この際、重合Bが重合Aの前に行われることが好ましい。
【0044】
このように重合Bと重合Aとが含まれる条件で重合を行うと、高い収率で分岐型ポリオレフィンを製造することができ、この際、重合Bが重合Aの前に行われるとさらに収率よく分岐型ポリオレフィンを製造することができる。さらに、重合B終了後、析出した重合体を重合溶媒に溶解させるか、または重合時に重合溶媒に溶解している重合体を析出させないように高温で保持し、次いで重合Aを行うことがより好ましい。
【0045】
このようにして重合を行うと上記ビニル末端マクロモノマーが重合溶媒中により均質に分散するので、より収率よく分岐型ポリオレフィンを製造することができる。遷移金属化合物(B)によって生成する重合体の収量が遷移金属化合物(A)によって生成する重合体の収量を上回る条件での重合と、遷移金属化合物(A)によって生成する重合体の収量が遷移金属化合物(B)によって生成する重合体の収量を上回る条件での重合とが含まれる分岐型ポリオレフィンの製造方法としては以下のようなものが挙げられる。
【0046】
(1)遷移金属化合物(A)、遷移金属化合物(B)および成分(C)の存在下にエチレン単独またはエチレンが主となる組成で2種以上のオレフィンを重合(前段)させた後に、プロピレン単独またはプロピレンが主となる組成で2種以上のオレフィンを重合(後段)させる。この際、前段においては遷移金属化合物(B)によって生成する重合体の収量が遷移金属化合物(A)によって生成する重合体の収量を上回り、かつ、後段においては遷移金属化合物(A)によって生成する重合体の収量が遷移金属化合物(B)によって生成する重合体の収量を上回るようなモル比(B/A)とする。具体的には遷移金属化合物(B)と遷移金属化合物(A)とのモル比(B/A)を1/1〜1/1000、好ましくは1/10〜1/500とする。また各段の重合温度、重合圧力、触媒成分の使用量などの重合条件は上記の範囲である。
【0047】
(2)遷移金属化合物(B)および成分(C)の存在下にエチレン単独またはエチレンが主となる組成で2種以上のオレフィンを重合(前段)させた後に遷移金属化合物(A)を加え、次いで、プロピレン単独またはプロピレンが主となる組成で2種以上のオレフィンを重合(後段)させる。この際、後段においては遷移金属化合物(A)によって生成する重合体の収量が(B)によって生成する重合体の収量を上回るようなモル比(B/A)とする。具体的には遷移金属化合物(B)と遷移金属化合物(A)とのモル比(B/A)を1/1〜1/1000、好ましくは1/10〜1/500とする。また各段の重合温度、重合圧力、触媒成分の使用量などの重合条件は上記の範囲である。
【0048】
(3)前述の遷移金属化合物(B)および成分(C)の存在下にエチレン単独またはエチレンが主となる組成で2種以上のオレフィンを重合(前段)させた後に、生成スラリーの一部を採取して後段の重合溶媒で希釈して溶解させて遷移金属化合物(A)を加える。次いで、エチレン単独またはエチレンが主となる組成で2種以上のオレフィンを重合(後段)させる。この際、後段においては遷移金属化合物(A)によって生成する重合体の収量が遷移金属化合物(B)によって生成する重合体の収量を上回るようなモル比(B/A)とする。具体的には遷移金属化合物(B)と遷移金属化合物(A)とのモル比(B/A)を1/1〜1/1000、好ましくは1/10〜1/500とする。また各段の重合温度、重合圧力、触媒成分の使用量などの重合条件は上記の範囲である。
なお、各段における各遷移金属化合物による収量は、遷移金属化合物(A)のみを含まない、または遷移金属化合物(B)のみを含まないこと以外は上記と同じ条件での重合を行うことによって算出することができる。上記のようにしてオレフィンを重合することにより本発明に係る分岐型ポリオレフィンが得られるが、得られたポリマーにビニル末端マクロモノマーが共重合されているかどうかの判定は、例えば以下のような方法により行うことができる。
【0049】
(1)ビニル末端マクロモノマーの存在下にオレフィンの重合を行って得たポリマーのMwが、ビニル末端マクロモノマーが存在しないこと以外は同一の条件でオレフィンの重合を行って得たポリマーのMwよりも高い。
【0050】
(2)ビニル末端マクロモノマーの存在下にオレフィンの重合を行って得たポリマーについて13C-NMRで測定したヘキシル以上の長さの炭素原子が、ビニル末端マクロモノマーが存在しないこと以外は同一の条件でオレフィンの重合を行って得たポリマーについて13C-NMRで測定したヘキシル以上の長さの炭素原子よりも多い。
【0051】
(3)ビニル末端マクロモノマーの存在下にオレフィンの重合を行って得たポリマーの融点(Tm)が、ビニル末端マクロモノマーが存在しないこと以外は同一の条件でオレフィンの重合を行って得たポリマーのTmよりも1℃以上低い。
【0052】
(4)ビニル末端マクロモノマーの存在下にオレフィンの重合を行って得たポリマーの特定の温度での特定の溶媒に対する溶解度が、ビニル末端マクロモノマーが存在しないこと以外は同一の条件でオレフィンの重合を行って得たポリマーと前記重合時に存在していた量と同量のビニル末端マクロモノマーとの混合物との溶解度に比べて変化している。
【0053】
(5)溶融粘度、溶融張力などのポリマーの溶融物性が、ビニル末端マクロモノマーの存在下にオレフィンの重合を行って得たポリマーと、ビニル末端マクロモノマーが存在しないこと以外は同一の条件でオレフィンの重合を行って得たポリマーとの比較で異なっている。
【0054】
これらの判定方法の中では、(1)ないし(3)の方法で判定することが好ましい。なお、前記(2)に記載の13C-NMRで測定したヘキシル以上の長さの炭素原子は例えば上述した方法で算出する。また、前記(3)に記載の融点(Tm)は、例えば以下のようにして測定する。
【0055】
(融点(Tm)の測定)示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度を融点(Tm)とする。測定は、試料をアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、20℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の、すなわち2ndランの吸熱曲線より求める。
【0056】
本発明の改質剤は上記のポリマー(分岐状ポリオレフィン)を用いることで達成される。改質材の具体的な用途は、
・ ポリプロピレン等のポリマーに添加して、成形性、衝撃強度改良を行うこと。
【0057】
・ 潤滑油などの油に添加して低温粘度と高温粘度のバランスに優れた潤滑油を得ること。
【0058】
・ 他の2種の樹脂の改質材、具体的には他の2種の樹脂の相溶化剤として用いること
である。
【0059】
ポリマーの改質材
本発明の改質剤をポリマーの改質材として用いる場合、改質に用いられるポリマーは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂など特に限定なく用いられる。特に熱可塑性樹脂に好適に用いられ、特にポリオレフィンの改質に好適に用いられる。ポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン極性モノマー共重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン共重合体などが上げられ、特にポリプロピレン、ポリエチレンの改質に好適に用いられる。ポリプロピレンの改質に用いられると、成形性を悪化させることなくポリプロピレンの衝撃強度特に低温衝撃強度の向上に効果がある。この場合、成形性とは、メルトフロー比(MFR21/MFR2)の大きさや、成形体の外観などで比較することができる。衝撃強度はIzod衝撃強度などで評価できる。ポリプロレンの改質に用いる場合、ポリプロピレンはホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンのいずれも用いられる。ポリオレフィンの改質に用いる場合、ポリオレフィン100重量部に対して、改質材を0.01〜1000重量部、好ましくは0.1〜100重量部添加すると好ましい。
【0060】
脂組成物
本発明の樹脂組成物は上記のポリマー(分岐状ポリオレフィン)を改質材として用い、ポリオレフィンなどの他の樹脂にブレンドして樹脂組成物として用いられる。
【0061】
本発明においては、本発明の成形用樹脂組成物としての性能を損なわない範囲で、必要に応じて他の合成樹脂やゴム、または酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、結晶核剤、顔料、塩酸吸収剤の添加物や無機フィラーを含んでいてもよい。
前記各成分および必要に応じて各種添加剤、改質材を、例えばヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、タンブラーミキサー等の混合機でブレンドした後、一軸ないしは二軸の押出機を用いてペレット状として後述のブロー成形に使用することも可能であるが、前記成分をブレンドした状態でシート成形機や射出成形機等の公知の成形機に供することも可能である。
また、本発明においては、前記各成分をブレンドする方法以外に、重合の段階で各成分を製造するいわゆる多段重合の方法によっても樹脂組成物を得ることもできる。
【0062】
潤滑油改質材
本発明の改質材を潤滑油改質材(この場合潤滑油添加材とも言う)として用いると、低温粘度と高温粘度のバランスに優れる。すなわち、本発明の改質材を潤滑油添加材として用いると低温での粘度上昇が抑制され、高温での粘度低下が抑制される効果を有する。
【0063】
本発明の改質材を潤滑油改質材として用いる場合、油に添加する量は特に制限はない。
【0064】
相溶化剤
本発明の改質材を他の2種以上の樹脂の改質材(この場合相溶化剤ともいう)として用いる場合、他の2種以上の樹脂としてはポリエチレンとゴムが好適に用いられる。ポリエチレンとしては高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが用いられ、ゴムとしてはエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体(EPDM)などが好適に用いられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主骨格の繰り返し単位、分子量、分子量分布、及び結晶化度が実質的に同じポリマーに比べて、メルトテンション(MT(g))が実質的に同じであるかまたはそれ以下であり、流動の活性化エネルギー(Ea(KJ/mol)が当該ポリマーのEaの値に5KJ/molを加えた値よりも大きいことを特徴とするポリマーを含むことを特徴とする改質材。
【請求項2】
エチレンから導かれる繰り返し単位50〜100モル%と、炭素原子数3〜7のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位0〜50モル%とからなり、流動の活性化エネルギー(Ea(KJ/mol))とα-オレフィン含量(C(重量%))とがα-オレフィンの炭素原子数が3でかつC≧10重量%の場合:Ea≧0.130×C+28.7α-オレフィンの炭素原子数が4〜7でかつC≧4.1重量%の場合:Ea≧0.385×C+28.7α-オレフィンの炭素原子数が3でかつC<10重量%の場合(α-オレフィン含量が0の場合を含む。)およびα-オレフィンの炭素原子数が4〜7でかつC<4.1重量%の場合:Ea≧30で示される関係を満たし、メルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR(g/10分))とがMT≦2.2×MFR-0.88で示される関係を満たすことを特徴とする分岐型ポリオレフィンを含むことを特徴とする改質材。
【請求項3】
(i)エチレンおよび炭素原子数3〜7のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、(ii)エチレンから導かれる繰り返し単位を50〜100モル%、炭素原子数4〜7のオレフィンから導かれる繰り返し単位を50〜0モル%の割合で含有し、重量平均分子量が600〜3,500の範囲にあり、13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1,000個当たり0.1個未満であるビニル末端マクロモノマーから導かれる繰り返し単位とからなることを特徴とする請求項4に記載の分岐型ポリオレフィン。主骨格の繰り返し単位が、炭素、水素、あるいはさらに酸素から構成されており、実質的に熱可塑性であるポリマーを含むことを特徴とする改質材。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の改質材と他のポリマーとを少なくとも含む樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至3に記載の改質材と他のポリオレフィンとを少なくとも含む樹脂組成物。


【公開番号】特開2007−39540(P2007−39540A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224775(P2005−224775)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】