説明

放出を加減した製剤

本発明は、プラミペキソール用の徐放性製剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プラミペキソール用の徐放性錠剤の使用に向けられる。
【0002】
(発明の背景)
プラミペキソールは、ドーパミンD2受容体アゴニストとして知られる。これは、麦角から誘導される薬物、例えばブロモクリプチン又はペルゴリドとは構造的に異なる。これは、完全作用薬であり及びドーパミン受容体のドーパミンD2ファミリーに対する受容体選択性を有する点で、薬理学的に独特でもある。
プラミペキソールは、(S)-2-アミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-6-(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールとして化学的に指定され、かつ分子式C10H17N3S及び211.33の相対分子量を有する。化学式は以下の通りである:
【化1】

【0003】
通常使用される塩形態は、プラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレート(分子式C10H21Cl2N3OS;相対分子量302.27)である。プラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートは、白色から灰色がかった白色の、無味の結晶質の粉末である。溶融は、分解を伴いながら、296℃から301℃の範囲で起こる。プラミペキソールは、1つのキラル中心を有するキラル化合物である。純粋な(S)-エナンチオマーは、合成の間の1の中間体をキラル再結晶することによる合成方法で得られる。
プラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートは、高い溶解性の化合物である。水溶解性は20mg/mlより高く、緩衝媒体における溶解性は、一般的にpH2からpH7.4の間で10mg/mlより高い。プラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートは、吸湿性ではなく、高い結晶性のものである。製粉における、結晶の修飾(モノハイドレート)は変化しない。プラミペキソールは、固形物の状態で非常に安定性である一方で、溶液状態では光に対して敏感である。
【0004】
プラミペキソール即放性(IR)錠剤は、1997年に米国で最初に認可され、次いで翌年に欧州(EU)、スイス、カナダ及び南アメリカ、さらに東欧、中近東及びアジアで市場で認可された。
プラミペキソールIR錠剤は、初期パーキンソン病か、又は進行したパーキンソン病の徴候及び症状の、レボドパと組み合わせた治療に関して、EU及び米国において示された。典型的な即放性錠剤(例えば、商品名Sifrol、ドイツで知られるもの)は、不活性成分として、マンニトール、トウモロコシデンプン、コロイド状二酸化ケイ素、ポビドン及びステアリン酸マグネシウム、並びに0.125mg、0.25mg、0.5mg又は1.0mgのプラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートを含む。プラミペキソールの即放性製剤が参照され、及び他に定義がない場合はいつでも、このような錠剤を文中で意味する。IR錠剤は、1日3回摂取されなければならない。
薬物動態学的な観点から、プラミペキソールIR錠剤は、経口投与に続いて、急速かつ完全に吸収される。絶対的バイオアバイラビリティは90%より高く、かつ最大血漿濃度は1から3時間中に起こる。吸収の速度は、食品の摂取により減少するが、吸収の全体的な程度は減少しない。プラミペキソールは、直線的な動態及び患者間において比較的小さい血漿レベルの変動を示す。排泄半減期(t1/2[h])は、若者の8時間から老人の12時間の間で変動する。
【0005】
一般的に知られるように、活性成分(群)の加減した放出は、推奨される一日投与量を削減することにより患者の投与計画を単純化することができ、患者の遵守を向上し及び有害事象、例えば高い血漿ピークに関係する有害事象を弱めることができる。放出を加減した製剤は、導入された活性成分又は活性成分群の長期間に亘る放出を調節し、制御された、延長した、持続した、遅らせた、ゆっくりした又は延長した放出を伴う製剤を含み、これにより、これらは、通常の投与形態、例えば溶液又は即座に溶解する投与形態によっては与えられない、治療又は利便性の目標を達成する。
医薬製剤からの変更した又は延長した活性成分(群)の放出は、物理的又は化学的な絡み合いにより、イオン性又は結晶性の相互作用により、複合体形成により、水素結合又はファンデルワールス力により結合させて、溶解性、部分的に溶解性又は不溶性である粘性の親水性ポリマーのネットワークである親水性のマトリックス中に、前記活性成分(群)を均一に埋め込むことにより達成されるであろう。前記親水性マトリックスは、水との接触により膨潤し、それにより保護ゲル層が作り出され、活性成分(群)が、ポリマーネットワークを介して拡散することによるか、ゲル層の浸食によるか、ポリマーの溶解によるか又は前記放出メカニズムの組み合わせにより、適時に遅く、徐々に、継続的に放出される。
【0006】
しかしながら、医薬品が比較的高い溶解性を有するものである場合、加減した、延長した又は持続した放出と取扱特性の適切な組み合わせを有する錠剤を処方することは困難であることが明らかであろう。
プラミペキソールの放出が持続する錠剤組成物を提供する、先行技術において述べられたアプローチが、多く存在する:
WO2004/010997は、錠剤を代表する固形物画分で、親水性ポリマー及び少なくとも約0.15kNcm-2、好ましくは少なくとも約0.175kNcm-2、及びより好ましくは少なくとも約0.2kNcm-2の引っ張り強度を有するデンプンを含むマトリックス中に分散された、プラミペキソールの水溶解性塩を含む経口送達可能な錠剤の形態にある放出が持続する医薬組成物を記載する。開示は、特にコーティング層を塗布する間の浸食に抵抗するため、高速錠剤化操作の間に充分な固さを生じる組成物を提供することに注力している。好ましい態様に従って、(a)錠剤の約35質量%から約50質量%の量のHPMCタイプ2208、及び(b)錠剤の約45質量%から約65質量%の、0.8の固形物画分で、少なくとも約0.15kNcm-2の引っ張り強度を有するアルファ化したデンプンを含むマトリックス中に分散された、約0.375、0.75、1.5、3又は4.5mgの量のプラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートを含むコアを有する、経口送達可能な錠剤の形態にある医薬組成物を提供する:前記コアは、錠剤の約2質量%から約7質量%を構成するコーティングで実質的に取り囲まれ、前記コーティングは、エチルセルロースベースの疎水性又は水不溶性成分、及びエチルセルロースベースの成分の約10質量%から約40質量%の量のHPMCベースの細孔形成成分を含む。
【0007】
さらに、WO2004/010999は、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩の治療効量及び少なくとも1つの医薬品として許容される賦形剤を含む経口送達可能な医薬組成物を開示し、前記組成物は以下の少なくとも1つを示す:(a)平均で約20%以下のプラミペキソールが、標準的な溶解試験において、組成物の配置の後に、2時間の間で溶解する生体外における放出特性;(b)平均で20%吸収に至る時間が約2時間より長い及び/又は平均で40%吸収に至る時間が約4時間より長い、健康な成人に対する一回投与の経口投与に従う生体内におけるプラミペキソールの吸収特性。しかしながら、実際的な使用において、1日1回投与が指示され、延長され又は制御された放出特性を有するいかなる製剤も上記の要件を満たすと考えられ、その要件を前記特性に適合させるための一般的な教示を欠いている。
本発明の目的は、1日1回の経口投与に対して適応する、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩の、放出が制御された錠剤組成物を提供することである。さらなる目的は、pH値に依存した又はpH値に依存しない選択された放出特性に従って、活性成分の放出特性の調整を可能とする、1日中続く治療作用を提供し、かつ1日1回投与で患者の症状を治療することを患者に許容するであろう、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩を含む錠剤組成物を提供することである。さらに、錠剤の製造方法が提供される。
【0008】
(本発明の説明)
驚くことに、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩を一日一回の延長した(又はゆっくりとした)放出錠剤として処方することにおいて使用し、二つの別々の処方原理が、pH値に依存した又はpH値に依存しない異なる放出速度のタイプを許容することが見出された。
本発明は、アルファ化したデンプン以外の少なくとも一つの水膨潤性ポリマーを含んだマトリックス中に、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩を含んだ、徐放性錠剤に関する。
好ましくは、本発明は、徐放性錠剤に関しており、ここで、マトリックスは、アルファ化したデンプン以外の少なくとも二つの水膨潤性ポリマーを含み、及び少なくとも二つのポリマーの内の少なくとも一つがアニオン性ポリマーである。
さらに好ましいのは、アニオン性ポリマーが、任意で架橋しても良いアクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アルギネート及びカルボキシメチルセルロースから選択される、徐放性錠剤である。
さらに好ましいのは、アニオン性ポリマーが任意で架橋しても良いアクリル酸ポリマーであり、及びマトリックス中における任意で架橋されても良いアクリル酸ポリマーの含有量が、約0.25wt%から約25wt%、好ましくは約0.5wt%から約15wt%及び好ましくは約1wt%から約10wt%である、徐放性錠剤である。
【0009】
さらに好ましいのは、少なくとも二つのポリマーの内の少なくとも一つのポリマーが、アルファ化したデンプン以外の実質的に中性のポリマーである、徐放性錠剤である。
さらに好ましいのは、実質的に中性のポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、徐放性錠剤である。
特に好ましいのは、実質的に中性のポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、かつヒドロキシプロピルメチルセルロースのマトリックス中における含有量が、約10wt%から約75wt%、好ましくは約25wt%から約65wt%である、徐放性錠剤である。
特に好ましいのは、マトリックスが以下を含む、徐放性錠剤である:
(a)プラミペキソール又はその塩 0.05から5wt%
(b)アニオン性水膨潤性ポリマー(群) 0.25から25wt%
(c)中性水膨潤性ポリマー(群) 10から75wt%
(d)さらなる賦形剤 残部
【0010】
特に好ましいのは、プラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレート、ヒプロメロース(Hypromellose)2208、トウモロコシデンプン、カルボマー(Carbomer)941、コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムから成る徐放性錠剤である。
本発明の好ましい態様は、以下を含むマトリックス中に、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩を含んだ、徐放性錠剤に関する
(a)アルファ化したデンプン以外の少なくとも一つの水膨潤性ポリマー及び任意で賦形剤、得られる錠剤は、pH1から7.5の範囲でpH非依存性の生体外での放出特性を与える、又は
(b)少なくとも一つの水膨潤性アニオン性ポリマー及び任意で賦形剤、結果得られる錠剤は、pH4.5より低い範囲でより早い放出特性を有するpH依存性の放出特性を与え、及びpH4.5から7.5の範囲で、よりゆっくりとしたかつ更にpH非依存性の放出特性を与える。
最も好ましくは、本発明は、アルファ化したデンプン以外の少なくとも一つの水膨潤性ポリマー、好ましくは水膨潤性の実質的に中性のポリマー、水膨潤性のアニオン性ポリマー、及び任意で賦形剤を含んだ徐放性錠剤のマトリックスに関しており、結果得られる錠剤はpH4.5より低い範囲でより早い放出特性を有するpH依存性の放出特性を与え、及びpH4.5から7の範囲で、よりゆっくりとしたかつ更にpH非依存性の放出特性を与える。
【0011】
経口投与することを意図する本発明による延長した放出の製剤は、製剤の体外における放出特性及びタイミングが、好ましくは1日1回の投与で、体内における所望の血漿特性を達成するために最も適切であることを選択し及び評価することを許容する。従って、いくつかの変形を有する処方原理が、単一ユニットマトリックス錠剤に関して開発されてきており、すなわち異なる放出速度のタイプを有する製剤が与えられ、及び異なるpH依存性が利用可能である。これら代わりの製剤は患者にとって有利であり、それは、徐放性医薬品の送達が、単一の一日投与量で患者の症状を治療することができ、それにより患者の利便性及び遵守が向上するからである。
本明細書における前記又は後に使用する用語“生体外における放出特性”は、徐放性製剤から活性成分を放出できる、生体外における試験に対して通常使用されるある種の液状媒体において、すなわち、例えば生体外における溶解媒体中においてだけでなく、体液又は擬似体液中において、より具体的には胃腸液中において得られる放出特性に向けられている。
【0012】
本発明との関係において、用語“延長した”放出は、即時放出とは対照的に、活性成分が、徐々に、長期間継続的に解放され、時により遅く又はより速く、pH値に依存し又はpH値に依存しない放出であると理解されなければならない。特に、この用語は、製剤が、経口投与の後直ちに、活性成分の全ての投与量を放出せず、かつ、製剤が投与の頻度の減少を可能にすることを示しており、遅い放出と互換性のある延長した放出に対する定義に従う。長期の作用、持続した放出又は変更した放出と同義的に用いられる、遅い放出又は延長した放出の投与形態は、通常の投与形態(例えば、溶液又は通常は固形の投与形態である即時の医薬品放出)として存在するものと比較して、投与頻度における削減又は患者の遵守性又は治療的な性能における顕著な増加を可能にする投与形態である。
pH非依存性である放出特性は、放出特性が、異なるpH媒体においてほぼ同じであることを指す。
本発明の教示によると、徐放性錠剤は、生体外における異なる放出特性を与える。
【0013】
本発明の徐放性錠剤は、膨潤及び部分的に浸食されたポリマーマトリックスを適用すると考えられる。推測されるメカニズムに基づいて、放出特性は、生体外における放出特性の指数に対する時間の平方根におおよそ従う。具体的な態様に従って、製剤a)は広い範囲で、好ましくはpH1から7.5の範囲においてpH値に実質的に依存しない、及び製剤b)は、4.5より低いpH、好ましくは4より低いpHを有する擬似胃液中でより早いが、広い範囲、好ましくは4.5から7.5の範囲においてpH値に実質的に依存しない。腸液中におけるよりゆっくりした放出に対する擬似胃液中のより早い放出は、投与形態からの負荷投与効果が望まれる場合利点となり得る一方で、より広い又は実質的にpH非依存性の放出特性は、投与ダンピング及び摂食効果のリスクを有利に減少する。放出特性に対するpHの影響を定義する文章における“実質的”、例えば“実質的に依存しない”又は“pH放出特性に実質的に影響する”等は、好ましくは、pH4.5及びpH6.8での平均放出特性の相違が、25%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下であることを意味する。パーセント(%)は、放出する前の製剤における、申告したプラミペキソール又は使用するプラミペキソール塩の量を放出するプラミペキソール又は使用するプラミペキソール塩の量を言う。
【0014】
本発明によると、“製剤a)”において、マトリックスがa)で定義されたような組成を含む錠剤が理解され、及び“製剤b)”において、マトリックスがb)で定義されたような組成を含む錠剤が理解される。
本発明の水膨潤性ポリマーは、活性成分としてのプラミペキソール又はその塩をゆっくり放出する、徐放性マトリックスを構成する、少なくとも一つの親水性水膨潤性ポリマーを表す。そのポリマーは、投与に続いて水性液体と接触して膨潤し、粘度が高い、医薬品の放出を調整するゲル層をもたらす。ポリマーの粘度は、好ましくは、150から100,000mPa・s(20℃での2%水溶液の見掛け粘度)の範囲で好ましく変動する。
【0015】
このようなポリマーの例は、水膨潤性で実質的に中性のポリマー、又は水膨潤性アニオン性ポリマーである。本発明の用語“水膨潤性で実質的に中性のポリマー”は、以下を含む;
アルキルセルロース、例えばメチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;他の天然の、半合成又は合成のジ−、オリゴ−及び多糖類、例えばガラクトマンナン、トラガカント、寒天、グアールガム及びポリフルクタン;メタクリレートコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー;ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組み合わせ;ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、好ましくはセルロースエーテル誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース。
【0016】
本発明の用語“水膨潤性アニオン性ポリマー”は、アクリル酸重合体(polymerisate)、メタクリル酸コポリマー、アルギネート、カラギーナン、アカシアゴム、キサンタンガム、キチン誘導体、例えばキトサン、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、好ましくはアクリル酸重合体を含む。
ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの異なる粘度グレードが市場で入手可能である。本発明で好ましく使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、約3,500mPa.sから約100,000mPa・sの範囲、具体的には約4,000mPa・sから約20,000mPa・sの範囲、最も具体的には約6,500mPa・sから約15,000mPa・s(20℃の2%水溶液における見掛け粘度)の範囲で変動する粘度グレードを有し、例えばヒプロメロース2208又は2206(ダウ、アントワープ、ベルギー)を有する。HPMCタイプ2208は、メトキシ基を19-24質量%、ヒドロキシプロポキシ基を4-12質量%含む。
【0017】
1,500mPa・s(20℃の1%水溶液における見掛け粘度)より高い粘度を有するヒドロキシプロピオルセルロースが好ましく、具体的には約1500から約3000mPa・s、好ましくは4000から6500mPa・s(2%水溶液)の範囲における粘度を有するヒドロキシプロピルセルロース、例えばクルセル(Klucel)シリーズ、例えばクルセルM(ヘルクルス(Hercules)、ウィルミントン、アメリカ)が好ましい。
理論に拘束されることを好まないが、プラミペキソール又はその塩を親水性マトリックスから放出できる主な3つのメカニズムが存在すると考えられる;溶解、浸食及び拡散。プラミペキソール又はその塩が溶解性ポリマーのマトリックスネットワーク中に均一に分散される場合、プラミペキソール又はその塩は、溶解メカニズムにより放出されるであろう。ネットワークは、徐々に消化管中で溶解し、それにより徐々にその含有物を放出する。マトリックスポリマーは、時間内にプラミペキソール又はその塩が放出されるように、マトリックスの表面から徐々に浸食されても良い。プラミペキソールが不溶性のポリマーから成るマトリックス中に処理される場合、プラミペキソールは拡散により放出されるであろう:胃腸液は、不溶性でスポンジ状のマトリックスに浸透し、医薬品の入ったバックアウト(back out)を拡散する。
【0018】
従って、マトリックスを構成する水膨潤性ポリマーは、特に製剤a)のマトリックス中で、主に、製剤の制御された薬物動態学的な放出を提供する。製剤中に処理された水膨潤性ポリマー(群)の量に依存して、放出特性を調節でき、すなわち、大量の膨潤性ポリマーは、より顕著に持続した放出効果を提供し、逆もまた同様である。好ましくは、本発明の製剤における水膨潤性ポリマーの量は、約10質量%から約80質量%の間で変動する。
加えて、ポリマー群の組み合わせを使用する場合、前記ポリマーの比率も、製剤の放出特性に影響を与える。異なるポリマーの組み合わせは、異なるメカニズムの組み合わせの可能性を提供し、それによりプラミペキソールがマトリックスから放出される。このような組み合わせは、任意に製剤の薬物動態学的な放出特性の制御を促進する。例えば、1以上の水膨潤性ポリマー、具体的にはヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用する場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの質量パーセンテージは、25%から約62%の範囲で好ましく変動する;ヒドロキシプロピルセルロースの質量パーセンテージは、0%から約16%で好ましく変動する。ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むマトリックスからのプラミペキソール又はその塩の放出は、放出メカニズムの組み合わせたセットにより起こる。ヒドロキシプロピルセルロースと比較してより高いヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解性に起因して、前者が徐々に溶解してマトリックスに浸食するのに対して、後者は、主に拡散により活性成分を放出する、スポンジのようなマトリックスフォーマーとして機能するであろう。
【0019】
製剤a)による徐放性錠剤は、pH非依存性である。従って、食物の関係する投与量の急速放出(dose-dumping)に遭遇するであろう不利な点が避けられる。摂取する患者における食物の関係する投与量の急速放出の問題は、多くの要因、例えばその含有物、及び摂取した製剤上に胃によりかけられる機械的な力、加えて消化管の異なるpH領域に起因するであろう。消化管において遭遇するpH値が、消化管の領域だけでなく、食物の摂取とともに変動するため、徐放性製剤は、好ましくは徐放性特性を与え、具体的には、患者が絶食中か又は摂食した状態であるかにかかわらず投与量の急速放出を避けなければならない。
本発明によると、経口の徐放性製剤a)は、消化管を介したその経路に沿って、その薬物動態学的な放出特性を保持し、それにより医薬品の血漿濃度における望まれない変動又は完全な投与量の急速放出を避け、又は具体的には消化管の異なる領域における投与量の急速放出を避ける。
プラミペキソール又はその塩、及び水膨潤性ポリマー(群)の他に、本発明の製剤は、任意で、さらなる賦形剤、すなわち医薬品として許容される処方剤を含んで、製剤の製造、圧縮性、外観及び味を改良しても良い。これら処方剤は、例えば希釈剤又はフィラー、流動促進剤、結合剤、錠剤化剤、アンチケーキング剤、滑剤、香料、染料及び防腐剤を含む。他の本技術で知られる賦形剤も含むこともできる。
【0020】
フィラーは、溶解性フィラー、例えばスクロース、ラクトース、具体的にはラクトースモノハイドレート、トレハロース、マルトース、マンニトール及びソルビトールから選択して良い。ラクトースの異なるグレードを使用できる。本発明で好ましく使用されるラクトースの1種は、モノハイドレート200メッシュである。他のラクトースモノハイドレート、例えばタイプDCL11のラクトースモノハイドレートも使用できる。表記法DCLは、“直接圧縮ラクトース(Direct Compression Lactose)”を言う。本発明で記載するもののような水溶解性活性成分の場合において、より好ましくは水不溶性フィラー、例えばアルファ化したデンプン以外のデンプン及びデンプン誘導体、例えばトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、米デンプン又は小麦デンプン、微結晶セルロース、二塩基カルシウムホスフェートジハイドレート及び無水二塩基カルシウムホスフェート、好ましくはトウモロコシデンプンは、水溶解性フィラーに加えて、又はこの代わりに使用できる。フィラーの合計質量パーセンテージは、約5質量%から約75質量%で変動する。
流動促進剤は、錠剤化の前又はその間の粉体の流動特性を向上し、ケーキングを減少させるために使用できる。適切な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、マグネシウムトリシリケート、粉末化したセルロース、タルク、三塩基カルシウムホスフェート等を含む。コロイド状二酸化ケイ素は、流動促進剤として、錠剤の最大約2質量%、好ましくは約0.2質量%から約0.8質量%の量で好ましく含まれる。
【0021】
滑剤は、例えばアッパーパンチ(“ピッキング”)又はロウアーパンチ(“スティッキング”)の面に対して付着することを避けることにより、錠剤を形成する器具から錠剤を放出することを向上するために使用できる。適切な滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、キャノーラ油、グリセリルパルミトステアレート、水素化した植物油、酸化マグネシウム、鉱油、ポロキサマー(poloxamer)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムステアリルフマレート、ステアリン酸、タルク、水素化した植物油、亜鉛ステアレート等を含む。一態様において、ステアリン酸マグネシウムを、滑剤として、錠剤の約0.1質量%から約1.5質量%、好ましくは約0.3質量%から約1質量%の量で含む。
マトリックス製剤中に更に含んでも良い任意の処方剤として、以下のものが挙げられる:ポリビドン;コポビドン;デンプン;アカシア;ゼラチン;海草誘導体、例えばアルギン酸、ナトリウム及びカルシウムアルギネート;ドライ又はウェット結合及び錠剤特性を有するセルロース、好ましくは微結晶セルロース、セルロース誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;及び付着防止剤、例えばタルク及びステアリン酸マグネシウム。
【0022】
本発明の好ましい態様により、代替的なa)の徐放性錠剤のマトリックスは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばヒプロメロース、及びさらなる賦形剤を含み、又は実質的にこれらからなる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、好ましくは、10から75質量%、特に好ましくは25から65質量%、最も好ましくは35から55質量%の範囲である。さらなる賦形剤の量は、好ましくは、90から25質量%、特に好ましくは75から35質量%、最も好ましくは65から45質量%である。
表現“実質的になる”は、上記必須成分に加えて、他の成分の存在、製剤の本質的な性質に影響しない物の存在を除外しないこととしておおむね理解される。
本発明のいくつかの態様において、pH依存性の放出特性が提供され、錠剤からのプラミペキソール又はその塩の放出、次いで血流中への吸収が、消化管に沿った投与形態の通過の間に変動し得る。従って、製剤b)は、4.5より低いpHの範囲における放出特性がより早く、及び4.5から7.5のpH範囲における、よりゆっくりしたかつ更にpH非依存性の放出特性である、pH依存性の放出特性を与える。
【0023】
水膨潤性ポリマー及び任意の賦形剤の選択及び種類に関する上記詳細は、製剤b)に対しても適用して良い。
更に、アニオン性水膨潤性ポリマー、好ましくはアクリル酸重合体は、製剤b)中に必須に存在し、この樹脂は、高い分子量を有するアクリル酸重合体として知られる、カルボマー又はカルボポール(登録商標)(carbopol)シリーズから好ましく選択される。特に好ましいのは、例えばカルボマー941(カルボポール(登録商標)71G、カルボポール(登録商標)971)及びカルボマー934(カルボポール(登録商標)974)である。アクリル酸重合体は、好ましくは、0.25から25質量%、特に好ましくは0.5から15質量%、最も好ましくは1から10質量%の範囲で存在する。製剤b)のpH依存性は、アニオン性水膨潤性ポリマーの存在、特に好ましくは4.5より高いpH範囲及びアルカリpH範囲でより高い程度で膨潤することが意図される、アクリル酸重合体の存在に起因する。
【0024】
アクリル酸の量の増加は、放出速度の減少を招く。従って、アクリル酸重合体の量の調整は、望まれるような溶解特性を更に調整することを可能とする。0.25から25質量%の好ましい範囲にアクリル酸重合体の量を調整することで、所望され、それぞれ適合する溶解特性が、ゲル形成剤、水膨潤性ポリマー、フィラー及び乾燥結合剤の異なる量及び/又は異なる種類から形成される製剤の多様性のために調整でき、それぞれ維持できるというさらなる利点が提供される。
本発明の好ましい態様により、徐放性錠剤のマトリックスは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸重合体及びさらなる賦形剤を含み、又は実質的にこれらからなる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、好ましくは、10から75質量%、特に好ましくは25から65質量%、最も好ましくは35から55質量%の範囲である。アクリル酸重合体の量は、好ましくは上記の通りである。さらなる賦形剤の量は、好ましくは、90から25質量%、特に好ましくは75から35質量%、最も好ましくは65から45質量%の範囲である。任意で、カルボキシメチルセルロースナトリウムを、更に、5から50質量%、特に好ましくは10から40質量%、最も好ましくは15から30質量%の範囲で存在しても良い。
【0025】
活性成分として、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩は、患者の所望の治療に対して適切であるいかなる量で存在して良い。プラミペキソールの好ましい塩は、ジヒドロクロライド塩、最も好ましくはモノハイドレートの形態である。通常の量は、約0.1から約5mgのプラミペキソール塩である。特に好ましい態様により、例えば、0.524mg無水ベースに対応する、0.750mgのプラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートは、本発明による徐放性錠剤において使用される。しかしながら、プラミペキソール又はその塩が1回で投与されるべき錠剤の、1個又は数個の、例えば1個から約4個において、1日投与量を提供するために充分であることを唯一の条件として、治療に適切な活性成分の他のいかなる量を使用しても良い。好ましくは、全ての1日投与が、単一の錠剤で送達される。錠剤当たり約0.1から約10mg、又は組成物の約0.05質量%から約5質量%のプラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートの同等物として表現される、プラミペキソール塩の量が、一般的に適しているであろう。好ましくは、錠剤当たり約0.2から約6mgの量、より好ましくは約0.3から約5mgの量が存在する。錠剤当たりの特定の投与量は、例えば0.375、0.5、0.75、1.0、1.5、3.0及び4.5mgのプラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートを含む。治療効量を構成する量は、治療される状態、前記状態の重症度、及び治療される患者に従って変動する。
【0026】
本発明による徐放性錠剤は、以下の組成を好ましく有する:
プラミペキソール又はその塩 0.05から5質量%
水膨潤性ポリマー(群) 10から75質量%
アクリル酸重合体 0から25質量%
任意のさらなる賦形剤(群) 残部。
従って、本発明の特に好ましい徐放性錠剤は、以下からなる;
0.1から2質量%のプラミペキソール又はその塩;
25から65質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
0から40質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム;
0から75質量%のアルファ化したデンプン以外のトウモロコシデンプン;
0から15質量%のアクリル酸重合体、好ましくはカルボマー941;
0.5から50質量の、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ラクトースモノハイドレート、マンニトール、微結晶セルロース、二塩基性無水カルシウムホスフェート、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、コポビドン、タルク、マクロゴール、ナトリウムドデシルサルフェート、酸化鉄及び二酸化チタンから成る群より好ましく選択される賦形剤。
【0027】
本発明によると、存在する場合、アルファ化したデンプン以外のデンプン、好ましくはトウモロコシデンプンは、同時にいくつかの機能、例えばフィラー、流動促進剤等の機能を与えても良い。しかしながら、本発明による錠剤からは完全にデンプンを除くことが好ましく、上記他の賦形剤(群)の1以上で置き換えて良い。
本発明による錠剤上にはいかなるコーティングも存在しないことが好ましい。しかしながら、本発明の徐放性錠剤は、非機能的なコーティングを含んでも良い。非機能的なコーティングは、ポリマー成分、例えばHPMCを、任意の他の賦形剤、例えば1以上の可塑剤、着色剤と共に含むことができる。本発明の文脈における用語“非機能的な”は、錠剤の放出特性に全く影響を有しないことを意味し、コーティングは他の有用な目的を果たす。例えば、このようなコーティングは、錠剤に独特の外観を与え、充填及び輸送の間の損耗に対する保護を与え、嚥下の容易さを向上し及び/又は他の利点を有することができる。非機能的なコーティングは、錠剤を完全に被覆するために十分な量で適用されるべきである。典型的には、全体として錠剤の質量により、約1質量%から約10質量%、より典型的には、約2質量%から約5質量%の量が適切である。
【0028】
本発明の錠剤は、いかなる適切なサイズ及び形状であっても良く、例えば円形、楕円形、多角形又は枕状の形態であってよく、及び任意で非機能的な表面模様を有して良い。本発明によると、徐放性錠剤は、白色又は灰色がかった白色でかつ楕円又は円形の両凸面の形状であることが好ましい。
本発明の錠剤は、関連情報、例えば投与量及び投与の情報、禁忌、安全上の注意、薬物間相互作用及び副作用の添付文書を添えた容器中に充填できる。
本発明は、更に、本発明による徐放性錠剤の、以下のいかなる病気の治療に対する使用に向けられる:躁うつ病、繊維筋痛、下肢静止不能症候群、パーキンソン病、具体的には突発性のパーキンソン病、より具体的にはかなり進行した段階にある突発性のパーキンソン病。躁うつ病は、躁状態、抑うつ状態及び混合状態が起こるような躁うつ病である。病気は、人の気分、活力及び機能するための能力における普通ではない変動で特徴付けられる。誰もが経験する通常の高揚及び落ち込みとは異なり、躁うつ病の症状は重度である。これらは、関係、乏しい仕事又は学校の成績における損害、さらには自殺をもたらし得る。化学的な一つは、躁うつ病I、躁うつ病II、循環気質及び他に特定されない躁うつ病に分類される。躁うつ病Iにおいて、本格的な躁病及び重大なうつ病が交互に起こる。躁うつ病Iに関する基準は以下のものである:単一の躁病症状の発現、低躁(hypomanic)の最も最近の症状発現、躁病の最も最近の症状発現、混合の最も最近の症状発現、うつ病の最も最近の症状発現、特定されていない最も最近の症状発現。躁うつ病Iは、普通うつ病を伴って開始し、発生している間の少なくとも1回の躁病又は興奮した期間により特徴付けられる。うつ病相は、躁病の直接の前触れ又は後遺症であり得、又はうつ病及び躁病は数ヶ月又は数年により分けることができる。
【0029】
躁うつ病IIは、低躁症状の発現を伴う、再発の重大なうつ病の症状を発現により特徴付けられる。シクロシミダ(cyclothymida)病は、慢性の、低躁症状の期間を含んだ流動的な気分の障害、及びうつ病症状の期間である。
躁うつ病IIにおいて、通常うつ病の症状発現は、低躁(比較的穏やかで、普通1週間より短い非精神病性の期間)と交互に起こる。低躁期間の間、気分は明るくなり、睡眠欲は低下し、及び患者の普通のレベルを超えて精神運動活動は促進される。しばしば、スイッチは、24時間周期の因子により誘発される(例えば、低躁状態における抑制された就寝又朝の散歩)。睡眠過剰及び過食が特徴付けられ及び季節柄起こりえる(例えば、秋又は冬);不眠症及び食欲不振はうつ病相の間起こる。人によっては、低躁期間に適応でき、それは低躁期間は高い活力、自信及び平均以上の社会生活機能に関連するからである。通常はうつ病の終期で、気分の喜ばしい向上を経験する多くの患者は、具体的に質問されるまでそれを報告しない。巧みな質問は、病的な徴候、例えば出費における過剰、衝動的な性的な逃避及び覚醒剤の悪用を排除するだろう。このような情報は、血縁者によりもたらされるだろう。
【0030】
主なうつ病の症状発現を有する及び躁うつ病の家系を有する患者(非公式に躁うつ病IIIと呼ばれる)は、しばしばわずかな低躁の傾向を阻害する;これらの気質は、ハイパーシミック(hyperthymic)と言われる(すなわち、衝動、渇望された、及び達成志向)。
繊維筋痛は、広範囲に及ぶ筋骨格のうずき、痛み及び凝り、軟組織の圧痛、一般的な疲れ及び睡眠障害により特徴付けられる、益々認識される慢性の痛みの病気である。痛みの最も普通の箇所は、くび、背中、肩、下肢帯及び手を含むが、いかなる体の部分も含み得る。繊維筋痛の患者は、長期間にわたり増大し及び減弱する変動する激しさの症状の範囲を経験する。
病気は、多くの圧痛点の存在及び症状の位置により特徴付けられる。患者は、多くは筋肉内で上昇すると考えられる、体の全ての部分に関して広い範囲の痛みを有する。痛みは深く、広い範囲であり及び慢性である。痛みは、深い筋肉のうずき、ずきずきする痛み、痙攣、突き刺すような痛み及び打たれたような痛みとして述べられる。精神的な苦情、例えばしびれ感、うずき及び熱が多くの場合存在し、患者の不快症状に加わる。痛み及び凝りの重症度は、しばしば朝により悪化する。痛みに影響する悪化させる要因は、寒い/湿気の多い天気、回復しない睡眠(non-restrative sleep)、肉体的及び精神的疲労、過剰な身体活動、運動不足、不安及びストレスを含む。痛みに加えて、患者は通常、日々の最も単純な活動でさえ妨げる極度の疲労を全て取り込んだ形態の疲れを訴える。症状の範囲内では、活力の減少した感覚、睡眠障害、記憶及び集中力の問題、並びに不安及びうつ病の変動する程度である。更に、あるほかの医学的状態は、通常、繊維筋痛に関連し、このような医学的状態は例えば;緊張性頭痛、偏頭痛、過敏性腸症候群、過活動膀胱、骨盤痛、月経前緊張症候群、寒冷不耐性、皮膚の感性及び皮膚発疹、ドライアイ及び口の乾燥、不安、憂うつ、耳鳴り、目まい、視覚問題、レイノー症候群、神経症状、協調運動障害及び下肢静止不能症候群である。従来のリウマチ関節炎、狼瘡(SLE)及びシェーグレン症候群を有する患者は、それらの病気の進行の間、多くの場合繊維筋痛を進行する。
【0031】
RLSとしても知られる下肢静止不能症候群、脛骨不安、むずむず足症候群(Syndrom Wittmaack-Ekcom-Syndrome)又は異常錯覚感(喜ばしくない知覚異常)は、足の感覚障害、例えばうずき、無気力、引き裂くような痛み、そう痒、熱、痙攣又は痛みとしてそれ自身主として明らかとなる神経障害であり、影響を受けるこれら箇所は、動きに対する抵抗できない強い欲望のきっかけを与える。これら感覚は、通常足、かかと及びくるぶしの間の深い内部で起こる;よりまれに、これらは、足、もも、腕及び手に起こる。感覚は体のほんの一側面に起こりえるが、これらは最も頻繁には両方の面に影響する。
しばしば、これら疾患は、影響を受ける人が休憩している時に発生する。特に夜、眠っている間、これらの感覚障害及び結果として生じる強制的な運動は、静止不能及び睡眠障害をもたらす。結果として、RLSを有するほとんどの人は、眠りに落ちること及び睡眠を持続することが難しい。治療せずにおくと、状況は極度の疲労及び昼間の疲れを起こす。RLSを有する多くの人は、彼らの仕事、人間関係及び日常生活の活気が、これらの極度の疲労の結果として強く影響される。彼らはしばしば、集中することができず、記憶障害を有し又は日々の職務を遂行することに失敗する。
【0032】
RLSの症状は、人によって重症度及び継続時間が変動する。中程度のRLSは、睡眠開始の穏やかな途絶を伴って一時的に発生し、及びわずかな疲労を発生する。中程度の重傷の場合において、症状は1週間にわずか1回又は2回発生するが、日常機能のいくらかの混乱を伴って、睡眠開始の顕著な遅れをもたらす。重度のRLS場合において、症状は、1週間に2回以上発生し、睡眠の厄介な中断及び日常機能の障害をもたらす。
病気は人生のいかなる時でも開始する。老人は、若者よりもより頻繁に影響を受ける。通常、病気は軽傷型で開始する慢性の病気であるが、通常は症状は長期に亘り拡大する。
病気はさらなる状況に関連し又は患者にはさらなる状況に進行し、患者は断続的な腕の運動障害(PLMD)に罹患するであろう。PLMDは、典型的には10から60秒毎、しばしば一晩中起こる、睡眠中の無意識の足の痙攣又は痙動により特徴付けられる。症状は、繰り返された起床及び深刻に中断された睡眠を起こす。RLSと異なり、PLMDで起こる動きは無意識であり、これは患者がこれを全く制御することができないことを意味する。RLSに罹患した多くの患者がPLMDも発現するが、PLMDに罹患するほとんどの人はRLSを経験しない。本発明は、子供におけるRLSにも関する。
【0033】
突発性のパーキンソン病における進行した段階は運動障害が付随し、それはパーキンソン病が運動系の病気であると考えられるためである。PDの最も頻繁に起こる症状は、震え、硬直/運動不能、器用さの消失、手書きの妨害、歩行困難、動作緩慢、姿勢の不安定、嚥下及び咀嚼の困難さ、話すことの困難さ、泌尿器系の問題、便秘及び/又はその他のものである。運動機能は、病気の進行に伴い進行する。このような変化は、多くの場合、PDの後期(運動)合併症と言われる。このような後期運動機能及び運動障害合併症は、突発性起源を有し、さらにこれらは、例えばL-DOPAを用いた長期のドーパミン作用性の治療により起こりえる。ドーパミン作動薬を用いた治療の進行において、副作用は長期に亘り典型的に増加し、及び病気は多くの場合、医薬品が単純に予想できない持続時間に対して機能しない場合、進行した患者における“オン−オフ”症候群("on-off" syndrome)を明白に示す。このような段階において、制御できない動きと通常の動きの間の急速な変動の期間がおこり、通常はL-DOPAの長期の使用後に起こる。進行した患者は、多くの場合、1日当たり、2時間より長く、より多くの場合3時間より長く、更により多くの場合4時間より長いオフタイムを有する。
本発明は、痴呆を伴うパーキンソン病に罹患した患者を治療することに対しても興味を引く。このような患者のある症例では、磁気共鳴映像法(MIR)、T1-加重した画像(T1-weighted image)又はコンピュータ断層撮影法(CT)画像が、大脳白質における領域を明らかにする。これらは、痴呆を伴わないパーキンソン病患者には見られない。
【0034】
パーキンソン病の段階を定義するための更にシステマチックなアプローチは、変形したヘーンアンドヤールスケール(Hoehn and Yahr scale)又は統一したパーキンソン病評定尺度(UPDRS)である。
変形したヘーンアンドヤールシステムに従った少なくとも2から3、好ましくは3より好ましくは4のスコアを有する患者は、本発明の関係におけるパーキンソン病の進行した段階にあると考えられる。5つの段階の能力的な障害スケールにおいて、段階の1はより軽い重症度を意味し、段階の5は最も重症であることを意味する。
段階1の症状は、一面だけにおける徴候及び症状であり、症状は穏やかで、症状は不便であるが、無力にせず、通常は一つの腕の震えを伴って存在し、仲間は姿勢、移動運動及び表情における変化を観察する。
段階2の症状は、二者間の、最小の無力、影響を受けた姿勢及び歩き方である。
段階3の症状は、体の動きの顕著な速度低下、歩行又は直立における均衡の初期欠陥、適度な重症度である全身の機能障害である。
段階4の症状は、重傷の症状であり、さらに限定された範囲、硬直及び動作緩慢で歩くことができるが、最早単独で生きることができず、震えは初期段階よりも少なくなっているであろう。
段階5の症状は、悪液質の段階であり、完全に病弱であり、立つこと又は歩くことができず、コンスタントな看護人のケアを要求する。
【0035】
統一したパーキンソン病評定尺度は、パーキンソン病の経時的経過に従う評定ツールである。これは以下のセクションで成り立つ:1)精神作用、振る舞い及び気分、2)日々の生活の活気、及び3)運動。病気の重症度に対するこの系統的にするためのやり方は、先行技術から得ることができる。このシステムは、本発明によるパーキンソン病の進行した段階を定義するために使用しても良い。一態様において、本発明の製剤を使用して、抑制された気分が最も厄介な症状であるパーキンソン病患者を治療することができる。一方で、製剤は、パーキンソン病の運動症状を治療するために有用である。
病気に罹患したどの種類の患者が、活性成分プラミペキソール、プラミペキソールジヒドロクロライド又はこれらの他の塩をそれぞれ用いて治療することを望むかは、どの種類であるかは、医師に従って評価されるであろう。選ばれた患者の年齢に従って、特に子供を治療しなければならない場合、本発明の製剤における投与量の調整が必要であろう。
【0036】
本発明は、1日3回投与される即放性の製剤よりもより少ない副作用を示すと考えられ、比較の条件下においてプラミペキソールの同じ平均血漿濃度を与える。
用語“比較の条件”は、例えば経口の即放性投与形態が、最大で1日3回投与されなければならないSifrol(登録商標)錠剤であることを意味する。24時間の間に亘りコンスタントである間隔で1日3回投与した場合、平均の血液血漿濃度は、24時間に亘る放出特性を有する徐放性製剤と比較できる。
Sifrol(登録商標)は、0.125mg、0.25mg、0.5mg又は1.0mgのプラミペキソールハイドロクロライドモノハイドレートを、マンニトール、トウモロコシデンプン、コロイド状二酸化ケイ素、ポビドン及びステアリン酸マグネシウムを含む、経口投与錠剤である。
従って、徐放性製剤は、同じ期間において1回摂取された徐放性錠剤の放出期間に亘り、同じ平均血液血漿濃度を与えるのに必要な回数摂取される即放性錠剤と比較して、眠気及び/又は幻覚及び/又は目まい及び/又は頭痛及び/又は運動障害及び/又は便秘及び/又は末梢浮腫及び/又は吐き気の点で、減少した副作用特性を有する、プラミペキソール又はこれらの薬品として許容される塩を含んだ薬物の製造のために適している。
【0037】
さらに、本発明は、以下の工程を含んだ直接圧縮法を介した、徐放性錠剤の製造方法に好ましく向けられる;
(1)プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩を、一部の水膨潤性ポリマー(群)及び/又はさらなる賦形剤(群)とミキサー中でプレブレンドすることにより、活性成分がプラミペキソール又はその医薬品として許容される塩である活性成分の粉砕物を製造する工程であって、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩を、使用する前に製粉し、好ましくはピンミルにかける工程;
(2)工程(1)の活性成分の粉砕物、水膨潤性ポリマー(群)の主要部分及び/又は賦形剤をミキサー中でプレミックスし、プレ混合物を得る工程;
(3)任意で、ふるいを通してプレ混合物を乾燥ふるい分けして、粘着粒子を除去し及び含有物の均一性を向上させる工程;
(4)任意で残りの賦形剤を混合物に対して添加することにより、工程(2)又は(3)のプレ混合物をミキサー中で混合し、及び混合を継続する工程;及び
(5)最終的な混合物を、適切な打錠機上で圧縮することにより、最終的な混合物を錠剤化してマトリックス錠剤を製造する工程。
【0038】
従って、錠剤は、プラミペキソールの徐放性マトリックス錠剤の両方のタイプに適用される、直接圧縮法を介して製造される。低い医薬品負荷製剤において適切な含有物の均一性を達成するために、活性成分は好ましくピンミルにかけられる。好ましくは、ドライディスペンシングシステムを用いたレーザー回折により測定されたものとして、ピンミルにかけられた医薬品の粒子径分布は、直径において、90%(V/V)の粒子画分が100μmより小さく、好ましくは90%(V/V)の粒子画分が75μmより小さい事により特徴付けられる。
同様に、通常の湿式造粒法及び回転造粒のような他の方法が、プラミペキソールの徐放性錠剤の製造に適用できる。湿式造粒法の場合、好ましくは、プラミペキソールは、適切なフィラー類、例えばアルファ化したデンプン以外のデンプン、微結晶セルロース、ラクトースモノハイドレート又は無水第二リン酸カルシウム及び活性成分を濃縮する吸湿剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、コポビドン及びデンプンペーストと共に造粒し、乾燥及び乾燥ふるい分け後、ゲル形成賦形剤、例えば原理を遅らせると言われる前記のものの主要な画分と混合する。回転造粒の場合、すなわち乾式造粒の場合、プラミペキソールと直接圧縮法において使用された賦形剤の一部のプレミックスか、又は全ての賦形剤を含む完全な混合物を、通常のローラーコンパクター(roller compactor)を通して処理し、リボンを形成し、次いで粒のために篩にかけ、最終的に他の賦形剤、例えば流動促進剤、滑剤及び防腐剤と混合する。
【0039】
図1は、実施例1及び2の徐放性錠剤の製造を例示的に示すフローチャートを参照して、製造方法の好ましい態様を説明する。図1は、詳細な工程段階及び実施された処理中の制御を示す。工程段階1は任意である。除く場合には、工程段階1で記載する製剤の成分は、前粉砕を行わず、工程段階2の残りの成分と共にプレミックスしてよい。
工程段階(1)は、活性成分の粉砕に向けられており、すなわち、本発明の場合には、プラミペキソールの塩である、プラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートを、ピンミルにかけられた品質において、ポリマーの一部、この場合においてはヒドロキシプロピルメチルセルロースと、通常知られるミキサー中でプレブレンドする。フローチャートにおいて、タービュラーフリーフォールミキサー又はブレンダーが使用される。混合時間は数分、本発明の場合には好ましくは10分である。
フローチャートに従う工程段階(2)においてプレミキシングが行われ、ここで活性成分粉砕物及び水膨潤性ポリマー(群)の主要部分及び賦形剤が数分間プレミックスされ、プレ混合物が得られる。本発明の場合において、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hypromellose)、トウモロコシデンプン、カルボマー941及びコロイド状二酸化ケイ素が、上記タービュラーミキサー又はブレンダー中で5分間プレミックスされる。
【0040】
続く工程段階(3)に従って、乾燥ふるい分けを任意で行ってよい。プレ混合物は、ふるい、例えば0.8mmメッシュサイズのふるいを通して手動でふるいにかけられ、粘着性粒子を分離し、含有物の均一性を向上させてもよい。
続く工程段階(4)において、主要な混合処理が行われ、これによりふるい分けの後タービュラーミキサー中で、成分を数分、好ましくは5分間攪拌することに従って行われる。任意でさらなる賦形剤をこの時点で添加しても良く、フローチャートにおいては成分のステアリン酸マグネシウムを主要な混合物に対して添加し、及びさらなる混合を数分、例えば3分間、タービュラーミキサー中で行い(最終混合)、最終混合物を得る。
本発明に従う方法の工程段階(5)は、錠剤化である。最終混合物を、適切な打錠機上で圧縮し、例えば長楕円形のマトリックス錠剤(ER錠剤=徐放性錠剤(extended release tablet))を製造する。所望の品質を制御及び維持するために、得られたマトリックス錠剤を、続いて処理中の制御:錠剤質量、固さ、錠剤高さ及び破砕性にかける。
【0041】
本発明の得られたプラミペキソールの徐放性錠剤を、次いで、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)瓶中に充填しても良い。瓶は、スクリューキャップでしっかりと閉じられ、適切なラベルがされ、全ての充填された及びラベルのされた活性は、cGMP規則に従って行われる。代わりに、ブリスター包装を使用でき、例えばアルミニウム/アルミニウムホイルブリスターを使用できる。
図2は、本発明に従ったマトリックス錠剤の溶解特性を説明するグラフを表す。マトリックス錠剤は、4質量%のcarbopol(登録商標)を含み、詳細な組成は実施例2において与えられる。3つのpHが異なる媒体中におけるマトリックス錠剤の放出特性、すなわち0.05Mリン酸緩衝液、pH=6.8、n=xにおける、擬似胃液、pH=1.2、n=xにおける、及びMcIlvaine緩衝液、pH=4.5、n=xにおける放出特性が示される(xは試験された単位の数を表す)。放出された活性成分の値パーセントは、時間(h)に対してプロットされる。
【0042】
図3は、本発明に従う3つのマトリックス錠剤の溶解特性を説明するグラフを表す。マトリックス錠剤は、それぞれ全くcarbopol(登録商標)を含まない、1質量%のcarbopol(登録商標)、又は4質量%のcarbopol(登録商標)を含む。媒体は0.05Mリン酸緩衝液、pH=6.8である。放出された活性成分の値パーセントが、時間(h)に対してプロットされる。
図2は、4.5より低いpHの範囲における放出特性がcarbopol(登録商標)が存在する場合により早いpH依存性の放出特性を示す。図3は、carbopol(登録商標)の量の増加が、放出速度を低下させることを示す。
【0043】
本発明の利点は、多様である:
本発明に従って、プラミペキソール又はその塩を含む徐放性錠剤は、生体外における異なった放出特性を示すものとして利用できる。患者の要求、症状及び観察された臨床像に対してぴったり合わせた放出特性を選択することが可能である。
プラミペキソールに対する主な適用であるパーキンソン病は、年齢が進むにつれてより蔓延し、かつ記憶における衰えをしばしば伴う苦痛である。従って、プラミペキソール又はその塩の延長した又は遅い放出を提供する、本発明に従ったマトリックス錠剤は、要求される一日投与の量を減少することにより患者の投与計画を単純にし、かつ患者の遵守性、特に高齢者の患者に関する遵守性を向上することを許容する。本発明の徐放性錠剤は、好ましくは1回で投与される一日投与を提供する。
【0044】
さらに、本発明の錠剤は、両方の種類の徐放性マトリックス錠剤に適用される直接圧縮、湿式又は乾式造粒法を介して製造されても良い。
説明した本発明は、以下の種々の態様の例により説明され、本明細書から当業者に明確となる。しかしながら、例及び説明は、単なる説明であることを意図し、本発明の範囲を制限するものとみなしてはならないことを、明確に指摘する。
【0045】
(実施例)
本発明に従って、プラミペキソールの徐放性錠剤が製造された。例の錠剤は、白色から灰色がかった白色、14×6.8mm長楕円形、両凸面の錠剤である。錠剤は、経口投与することを意図しており、及び半分に分割されないものとする。例におけるプラミペキソール錠剤は、無水ベースでの遊離のプラミペキソールの0.524mgに対応する、0.75mgのプラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートを含む。
【0046】
実施例1
【表1】

【0047】
実施例2
【表2】

【0048】
実施例3
【表3】

【0049】
実施例4
【表4】

【0050】
実施例5
本発明によるプラミペキソールの徐放性錠剤の質的及び量的な組成の一態様を、表1に示す。
表5:プラミペキソールの徐放性錠剤の質的及び量的な組成
【表5】

【0051】
実施例6
本発明のプラミペキソールの徐放性錠剤の質的及び量的な組成のさらなる態様を、表2に示す。
表6;プラミペキソールの徐放性錠剤の質的及び量的な組成
【表6】

【0052】
実施例7
実施例1及び2の2つのプラミペキソール錠剤に対するバッチ形態を、表3に示す。最終混合物のバッチサイズは、2000錠剤のバッチサイズに対応する。
表7:プラミペキソール0.75mgER錠剤のバッチ当たりの組成
【表7】

【0053】
実施例8
以下の実施例6から14は、4.5より低いpHに対して、より早い放出特性を与える製剤b)に対応するプラミペキソール錠剤を示す。
【表8】

【0054】
実施例9
【表9】

【0055】
実施例10
【表10】

【0056】
実施例11
【表11】

【0057】
実施例12
【表12】

【0058】
実施例13
【表13】

【0059】
実施例14
以下の例は、1から7.5のpH範囲で依存しない放出特性を与える製剤a)に対応した、プラミペキソール錠剤を示す。
【表14】

【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明に従った直接圧縮法の好ましい態様を説明するフローチャートである。
【図2】図2は、3つの異なるpH媒体中における、4質量%のcarbopol(登録商標)を含んだ本発明に従うマトリックス錠剤の溶解特性を説明するグラフである。
【図3】図3は、それぞれ0質量%、1質量%及び4質量%のcarbopol(登録商標)を含む、本発明に従う3つのマトリックス錠剤の溶解特性を説明するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ期間において1回摂取された徐放性錠剤の放出期間に亘り、同じ平均血液血漿濃度を与えるのに必要な回数摂取される即放性錠剤と比較して、眠気及び/又は幻覚及び/又は目まい及び/又は頭痛及び/又は運動障害及び/又は便秘及び/又は末梢浮腫及び/又は吐き気から選ばれる少なくとも1つの状態の点で減少した副作用特性を有する、プラミペキソール又はその薬品として許容される塩を含んだ薬物の製造のための徐放性製剤の使用。
【請求項2】
ドーパミン作用薬の治療に応答する病気、好ましくは躁うつ病、繊維筋痛、突発性RLS(下肢静止不能症候群)、突発性のパーキンソン病、具体的にはかなり進行した段階にある突発性のパーキンソン病の群から選択される病気の治療のための薬物の製造のための、プラミペキソール、プラミペキソールジクロライドモノハイドレート又は他の医薬品として許容されるプラミペキソールの塩を含んだ、少なくとも部分的なpH依存性の放出特性、好ましくは少なくとも1.0から4.0、より好ましくは2.0から4.0の間でpH依存性を有する徐放性製剤の使用。
【請求項3】
pH依存性の放出特性が、4.5より低いpHの範囲においてより早い放出特性を有し、pH4.5から7.5の範囲においてpH非依存性の放出特性に基づいたよりゆっくりとしたさらなる放出特性を有する、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
薬物が、同じ期間において1回摂取された徐放性錠剤の放出期間に亘り、同じ平均血液血漿濃度を与えるのに必要な回数摂取される即放性錠剤と比較して、眠気及び/又は幻覚及び/又は目まい及び/又は頭痛及び/又は運動障害及び/又は便秘及び/又は末梢浮腫及び/又は吐き気から選択される少なくとも一つの状況の点で、減少した副作用特定を示す、請求項2又は3に記載の使用。
【請求項5】
薬剤又は薬物が、突発性のパーキンソン病、特に進行したパーキンソン病の治療用である、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
薬剤又は薬物が、非運動症状を有する突発性パーキンソン病の治療用である、請求項1から5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
薬剤又は薬物が、突発性パーキンソン病の治療用であり、治療を他の抗パーキンソンベースライン治療、特にL-DOPAベースライン治療に加える、請求項1から6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
患者が、抑うつ症状を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
薬剤又は薬物が、運動症状を有する突発性パーキンソン病の治療用である、請求項1から5及び7及び8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
薬剤又は薬物が、突発性RLSの治療用である、請求項1から3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
薬剤又は薬物が、繊維筋痛の治療用である、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
薬剤又は薬物が、躁うつ病の治療用である、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
徐放性製剤が、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩を、アルファ化したデンプン以外の少なくとも一つの水膨潤性ポリマーを含んだマトリックス中に含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
マトリックスが、アルファ化したデンプン以外の少なくとも2つの水膨潤性ポリマーを含み、少なくとも2つのポリマー中の少なくとも一つのポリマーが、アニオン性ポリマーである、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
アニオン性ポリマーが、任意で架橋しても良いアクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アルギネート及びカルボキシメチルセルロースの群より選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
アニオン性ポリマーが、任意で架橋しても良いアクリル酸ポリマーであり、かつ任意で架橋しても良いアクリル酸ポリマーのマトリックス中における含有量が、約0.25質量%から約25質量%、及び好ましくは約0.5質量%から約15質量%、及び好ましくは約1質量
%から約10質量%である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
少なくとも2つのポリマーの内の少なくとも一つのポリマーが、アルファ化したデンプン以外の実質的に中性のポリマーである、請求項13に記載の使用。
【請求項18】
実質的に中性のポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
実質的に中性のポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのマトリックス中における含有量が、約10質量%から約75質量%、好ましくは約25質量%から約65質量%である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
マトリックスが以下を含む、請求項13に記載の使用:
(a)プラミペキソール又はその塩 0.05から5質量%
(b)アニオン性水膨潤性ポリマー(群) 0.25から25質量%
(c)中性水膨潤性ポリマー(群) 10から75質量%
(d)さらなる賦形剤 残部
【請求項21】
製剤が、以下を含むマトリックス中に、プラミペキソール又はその医薬品として許容される塩を含んだ錠剤である、請求項13に記載の使用:
(a)アルファ化したデンプン以外の少なくとも一つの水膨潤性ポリマー及び任意で賦形剤、得られる錠剤は、pH1から7.5の範囲でpH非依存性の生体外での放出特性を与える、又は
(b)少なくとも一つの水膨潤性アニオン性ポリマー及び任意で賦形剤、結果得られる錠剤は、pH4.5より低い範囲でより早い放出特性を有するpH依存性の放出特性を与え、及びpH4.5から7.5の範囲で、よりゆっくりとしたかつ更にpH非依存性の放出特性を与える。
【請求項22】
徐放性製剤が、一日一回投与用である、請求項1から21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
参照される即放性錠剤が、不活性成分として、マンニトール、トウモロコシデンプン、コロイド状二酸化ケイ素、ポビドン及びステアリン酸マグネシウム、並びに0.125mg、0.25mg、0.5mg又は1.0mg又は1.5mg又は任意でそれ以上の量で活性成分としてプラミペキソールジヒドロクロライドモノハイドレートを含む錠剤である、請求項1及び4から22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
徐放性製剤が、錠剤の形態にある、請求項1から23のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
徐放性製剤が、非機能的なコーティングを有する形態にある、請求項1から24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
ドーパミン作用性の治療に応答する病気の治療、好ましくは躁うつ病、繊維筋痛、突発性RLS、突発性のパーキンソン病、具体的にはかなり進行した段階にある突発性のパーキンソン病から選択される病気の治療のための医薬品の製造のための、プラミペキソール又はプラミペキソールジクロライドモノハイドレート又は他の医薬品として許容されるプラミペキソールの塩を含んだ、少なくとも部分的にpH非依存性である生体外の放出特性を有する徐放性製剤の使用。
【請求項27】
放出特性が、pH1から7.5、好ましくは4.0から7.5、より好ましくは4.5から7.5の間に対してpH非依存性である、請求項27に記載の使用。
【請求項28】
製剤が、好ましくはアルファ化したデンプン以外の少なくとも一つの水膨潤性ポリマーを、好ましくは10質量%から80質量%の量で含む、請求項26又は27に記載の使用。
【請求項29】
水膨潤性ポリマーが、実質的に中性である、請求項26から28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
水膨潤性ポリマーが、アルキルセルロース、例えばメチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;他の天然の、半合成又は合成のジ−、オリゴ−及び多糖類、例えばガラクトマンナン、トラガカント、寒天、グアールガム及びポリフルクタン;メタクリレートコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー;ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組み合わせ;ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーの群から選択され、好ましくはセルロースエーテル誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースであり、最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項26から28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
製剤が、プラミペキソール又はプラミペキソールジクロライドモノハイドレートと、水膨潤性ポリマー、希釈剤又はフィラー、流動促進剤、結合剤、錠剤化剤、アンチケーキング剤、滑剤、香料、染料及び防腐剤、コーティング剤の群から選択される少なくとも1つの添加剤を含み、pH放出特性に実質的に影響する量でイオン性、好ましくはアニオン性水膨潤性ポリマーを含まない、より好ましくはこのようなポリマーを含まない、請求項26から28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
薬物が、同じ期間において1回摂取された徐放性錠剤の放出期間に亘り、同じ平均血液血漿濃度を与えるのに必要な回数摂取される即放性錠剤と比較して、眠気及び/又は幻覚及び/又は目まい及び/又は頭痛及び/又は運動障害及び/又は便秘及び/又は末梢浮腫及び/又は吐き気から選択される少なくとも1つの状況の点で、減少した副作用特性を示す、請求項26から31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
薬剤又は薬物が、突発性パーキンソン病、特に進行したパーキンソン病の治療用である、請求項26から32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
薬剤又は薬物が、非運動症状を有する突発性パーキンソン病の治療用である、請求項26から32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
薬剤又は薬物が、突発性パーキンソン病の治療用であり、治療を他の抗パーキンソンベースライン治療、特にL-DOPAベースライン治療に加える、請求項26から32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
患者が抑うつ症状を有する、請求項26から32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項37】
薬剤又は薬物が、運動症状を有する突発性パーキンソン病の治療用である、請求項26から32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項38】
薬剤又は薬物が、突発性RLSの治療用である、請求項26から32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項39】
薬剤又は薬物が、繊維筋痛の治療用である、請求項26から32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
薬剤又は薬物が、躁うつ病の治療用である、請求項26から32のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−526021(P2009−526021A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553772(P2008−553772)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051255
【国際公開番号】WO2007/090881
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】