説明

放射源、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法

【課題】EUV放射源の集光ミラー上へのイオン、原子、分子及び粒状デブリなどの堆積率を減少させるための汚染バリアを有する放射源を提供する。
【解決手段】放射源は、燃料が放射ビームと接触してプラズマを形成するプラズマ形成部位を含む。ミラー付きコレクタは、第1焦点で生成されたEUV放射を集めて第2焦点に向かって反射させる。汚染バリアは、汚染バリアの周縁部が第2焦点においてミラーによって規定される立体角のうちの50%より多くを閉塞しないように位置決めされ、それによって、集光ミラーによって反射したEUV放射は汚染バリアを通り抜けることによって過度に減衰されない。汚染バリアは、プラズマからのイオン、原子、分子又はナノ小滴などの燃料材料をトラップする働きをし、集光ミラー上への堆積を防ぐ。ガス抽出口は、集光ミラーに向かう燃料デブリ及び汚染の拡散を抑制するためにプラズマ形成部位付近に設けられてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、放射源、リソグラフィ装置及びデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、又は1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0003】
[0003] 公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するいわゆるステッパ、及び放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行又は逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
[0004] リソグラフィは、ICならびに他のデバイス及び/又は構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは、小型ICあるいは他のデバイス及び/又は構造を製造できるようにするための最も重要な要因になりつつある。
【0005】
[0005] パターンプリンティングの限界の理論的な推測は、式(1)で示される解像度についてのレイリー基準によって与えられ得る:
【数1】


上の式で、λは、使用される放射の波長であり、NAPSは、パターンを印刷するために使用される投影システムの開口数である。k1は、レイリー定数とも呼ばれているプロセス依存調整係数であり、CDは、印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(又はクリティカルディメンジョン)である。式(1)から、フィーチャの最小印刷可能サイズの縮小は、3つの方法:露光波長λを短くすることによって、開口数NAPSを大きくすることによって、あるいはk1の値を小さくすることによって達成することができる、と言える。
【0006】
[0006] 露光波長を縮小するため、したがって、最小印刷可能サイズを縮小させるためには、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射源は、約13nmの放射波長を出力するように構成されている。したがって、EUV放射源は、小さなフィーチャの印刷を達成するための重大なステップを構成し得る。そのような放射は、極限紫外線又は軟X線と呼ばれ、可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、又は電子蓄積リングからのシンクロトロン放射が挙げられる。
【0007】
[0007] そのような放射を生成するためには、レーザを燃料小滴(典型的にはスズ小滴)に合焦させることによってプラズマをいわゆるレーザ生成プラズマ(LPP)源において生成することができ、それによって小滴を極端紫外線生成プラズマへと変化させる。多くの場合、いわゆるコレクタ又は集光ミラーは、プラズマによって生成された放射を集めて放射を焦点に合焦させるために使用されてもよい。プラズマを生成するためにスズなどの燃料小滴を燃料として使用する放射源では、集光ミラー上への燃料(例えばスズ)の堆積率は高くなることがあり、これはコレクタの寿命を減少し得る。
【発明の概要】
【0008】
[0008] EUV放射源の集光ミラー上へのイオン、原子、分子及び粒状デブリ(例えばナノ小滴)の形態を有する堆積を含むプラズマ燃料材料(例えばスズ)の堆積率を減少させることが望ましい。集光ミラー上へのプラズマ燃料小滴の堆積率を減少させる一方、汚染バリアによって吸収、散乱又は偏向されるEUV放射の量を最小限にするために汚染バリアを提供することも望ましい。
【0009】
[0009] したがって、特に、集光ミラーに対して改善された寿命を有するEUV放射源を提供することが本発明の実施形態の一態様である。
【0010】
[0010] 本発明の一態様は、極端紫外線を生成するように構成された放射源であって、放射源は、燃料が放射ビームと接触してプラズマを形成する位置に配置されたプラズマ形成部位と、プラズマ形成部位で形成された極端紫外線を集めるように構成されたコレクタであって、コレクタは極端紫外線を第2焦点に反射させるためにミラーを含み、プラズマ形成部位の位置は、第1焦点及び第2焦点によって画定された光軸に沿って測定されたコレクタからの焦点距離Fにおけるコレクタの第1焦点にある、コレクタと、周縁部を有し、かつプラズマ形成部位とコレクタとの間に配置された汚染バリアであって、汚染バリアの周縁部は、第2焦点においてミラーによって規定される立体角のうちの50%より多くは閉塞しない、汚染バリアとを含む放射源を提供する。
【0011】
[0011] 汚染バリアの周縁部は第2焦点においてミラーによって規定される立体角のうちの、例えば、40%、20%又は10%より多くを閉塞しない。
【0012】
[0012] 望ましくは、汚染バリアの周縁部は第2焦点においてミラーによって規定される立体角を閉塞しない。この場合、プラズマ形成からのEUV光は、コレクタまでの経路のみ汚染バリアを通り抜け、集光ミラーによる反射の後の第2焦点に向かう経路では通り抜けない。
【0013】
[0013] 焦点距離Fは、第1焦点から、集光ミラーの外挿(extrapolated)反射面が光軸と交わる点までが測定される。
【0014】
[0014] 汚染バリアの周縁部は、プラズマ形成部位から測定されるような汚染バリアの最も外側部分を繋げる仮想面であり得る表面である。
【0015】
[0015] 第2焦点は、典型的には、第1焦点からの有限距離における実点であるが、一部の構成では第2焦点は無限大に位置付けされてもよい。
【0016】
[0016] コレクタは、放射ビームがプラズマ形成部位における燃料と接触するためにコレクタを通り抜けることを可能にするように構成されたアパーチャを含んでもよい。汚染バリアは、第2焦点においてアパーチャによって規定される立体図形内に完全に(entirely)適切に位置付けされてもよい。
【0017】
[0017] 放射ビームは、ふさわしくは、固体レーザデバイスなどからのレーザビームである。
【0018】
[0018] コレクタは、ガス流をプラズマ形成部位に向かって誘導するように構成されたガス入口及びガス出口を有するノズルを含んでもよい。典型的には、そのようなガス流は水素からなる。プラズマを形成するために使用される放射ビームがコレクタを通り抜けることを可能にするアパーチャがノズルのガス入口であるように構成されてもよい。ノズルは、ふさわしくは、円錐形である。
【0019】
[0019] 汚染バリアは都合良くノズルに取り付けられてよく、例えばノズルによって支えられてもよい。特に、汚染バリアはノズルのガス出口に取り付けられてもよい。
【0020】
[0020] 汚染バリアは、コレクタに対して動かないようにコレクタに対して静的であってよく、又はコレクタに対して回転可能であってもよい。
【0021】
[0021] 放射源は、プラズマ形成部位付近からガスを抽出するように位置決め及び構成されたガス抽出口を含んでもよい。ふさわしくは、ガス抽出口は、プラズマ形成部位の0.5F内、例えばプラズマ形成部位の0.3F以内又は0.2F以内に配置される。
【0022】
[0022] ガス抽出口の配置は、抽出口の入口エリアの重心によって決定されてよい。
【0023】
[0023] ガス抽出口は、第2焦点と光軸に対して垂直であり、かつプラズマ形成部位を通り抜ける平面との間に配置されてもよい。
【0024】
[0024] 本発明の一態様は、極端紫外線を生成するように構成された放射源であって、放射源は、燃料が放射ビームと接触してプラズマを形成する位置に配置されたプラズマ形成部位と、プラズマ形成部位で形成された極端紫外線を集めるように構成されたコレクタであって、コレクタは極端紫外線を第2焦点に反射させるためにミラーを含み、プラズマ形成部位の位置は、第1焦点及び第2焦点によって画定された光軸に沿って測定されたコレクタからの焦点距離Fにおけるコレクタの第1焦点にある、コレクタと、プラズマ形成部位付近からガスを抽出するように位置決め及び構成されたガス抽出口とを含む、放射源を提供する。
【0025】
[0025] ガス抽出口は、プラズマ形成部位の0.5F以下内、例えばプラズマ形成部位の0.3F以内又は0.2F以内に配置されてもよい。ガス抽出口は、第2焦点と光軸に対して垂直であり、かつプラズマ形成部位を通り抜ける平面との間に配置されてもよい。
【0026】
[0026] 本発明の一態様は、基板をパターン付けするように構成されたリソグラフィ装置を提供する。リソグラフィ装置は、以前に詳述した本発明の態様による放射源と、第2焦点に向かって誘導される放射源からの極端紫外線をパターン付けするように構成されたパターニングデバイスを支持するように構成されたサポートと、基板にパターン付けされたビームを投影するように構成された投影システムとを含む。
【0027】
[0027] 本発明の一態様は、プラズマ形成部位で極端紫外線を生成することと、周縁部を有し、かつプラズマ形成部位とミラーを含むコレクタとの間に配置された汚染バリアを用いてプラズマ形成部位からの極端紫外線によって生成された汚染をかき集めることと、コレクタを用いて汚染バリアを通り抜けた極端紫外線を集めることと、ミラーを用いて極端紫外線を第2焦点に向かって反射させることと、パターニングデバイスを用いて第2焦点に向かって反射した極端紫外線をパターン付けすることと、パターン付けされた極端紫外線を基板上に投影することとを含み、汚染バリアの周縁部は、第2焦点においてミラーによって規定される立体角のうちの50%より多くは閉塞しない、デバイス製造方法を提供する。
【0028】
[0028] 本発明の一態様は、プラズマ形成部位で極端紫外線を生成することと、ミラーを含むコレクタを用いて汚染バリアを通り抜けた極端紫外線を集めることと、ミラーを用いて極端紫外線を第2焦点に向かって反射させることと、パターニングデバイスを用いて第2焦点に向かって反射した極端紫外線をパターン付けすることと、パターン付けされた極端紫外線を基板上に投影することと、ガス抽出口を用いてプラズマ形成部位付近からガスを抽出することとを含む、デバイス製造方法を提供する。
【0029】
[0029] 本発明の放射源に対して以前に詳述された特徴は、本発明のデバイス製造方法にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
[0030] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【図1】[0031] 図1は、リソグラフィ装置の概略図を示す。
【図2】[0032] 図2は、図1のリソグラフィ装置の放射源の一実施形態の概略図を示す。
【図3】[0033] 図3は、図1のリソグラフィ装置における使用に適した本発明の一実施形態による放射源のさらなる詳細図を示す。
【図4】[0034] 図4は、図1のリソグラフィ装置における使用に適した本発明の一実施形態による放射源のさらなる詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0035] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、EUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構成され、かつパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに接続されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影レンズシステム)PSとを含む。
【0032】
[0036] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型若しくは他のタイプの光コンポーネントといったさまざまなタイプの光コンポーネント、又はそれらのあらゆる組合せを含んでもよい。
【0033】
[0037] サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び、パターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を使用することができる。サポート構造は、フレームでもテーブルでもよく、例えば必要に応じ固定式でも可動式でもよい。サポート構造は、パターニングデバイスが、例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証してもよい。
【0034】
[0038] 「パターニングデバイス」という用語は、放射ビームの断面にパターンを付けて基板のターゲット部分にパターンを生成するために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームに付けられたパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応することになる。
【0035】
[0039] パターニングデバイスは透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトといったマスクタイプ、ならびに種々のハイブリッドマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型ミラーのマトリクス配置が用いられており、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、各小型ミラーを個別に傾斜させることができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射させられる放射ビームにパターンを付ける。
【0036】
[0040] 「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射に適切な、又は液浸液の使用や真空の使用といった他の要因に適切な、例えば屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型及び静電型の光学システムを含むあらゆるタイプの投影システム、又はそれらのあらゆる組み合わせを包含していると広く解釈されるべきである。EUV又は電子ビーム放射に対しては真空を使用することが望ましい場合がある。というのは、他のガスは放射又は電子を吸収しすぎてしまう場合があるからである。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビームパス全体に提供され得る。
【0037】
[0041] 本明細書で示すように、装置は反射タイプのもの(例えば反射型マスクを採用する)である。また、装置は透過タイプのもの(例えば、透過型マスクを採用する)であってもよい。
【0038】
[0042] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用することができ、又は予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使用することもできる。
【0039】
[0043] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成物であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを含むビームデリバリシステムの助けにより、送られる。その他の場合、例えば放射源が水銀ランプであるとき、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0040】
[0044] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含んでもよい。一般に、少なくともイルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータ及びコンデンサといったさまざまな他のコンポーネントを含んでもよい。イルミネータは、放射ビームを調整して、その断面に所望の均一性と強度分布をもたせるように使用されてもよい。
【0041】
[0045] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されるパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点を合わせる。第2ポジショナPW及び位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は静電容量センサ)の助けにより、例えば異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPM及び別の位置センサIF1を使用し、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを、放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2と、基板アラインメントマークP1、P2とを使用して、位置合わせされてもよい。
【0042】
[0046] 図示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つにて使用できる。
【0043】
[0047] 1.ステップモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTが基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付けられたパターン全体が一度にターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。基板テーブルWTはその後、別のターゲット部分Cを露光できるように、X方向及び/又はY方向に移動される。
【0044】
[0048] 2.スキャンモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTが同期スキャンされる一方、放射ビームに付けられたパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決定され得る。
【0045】
[0049] 3.別のモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTがプログラマブルパターニングデバイスを保持したまま基本的に静止状態に維持され、かつ基板テーブルWTが移動またはスキャンされる一方、放射ビームに付けられているパターンがターゲット部分Cに投影される。このモードでは、一般にパルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの各移動後に又はスキャン中の連続する放射パルス間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述したタイプのプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0046】
[0050] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0047】
[0051] 図2は、法線入射コレクタ10を含む放射源SOの一実施形態を断面図で示す。コレクタ10は、2つの自然楕円焦点F1及びF2を有する楕円状の構成を有する。特に、法線入射コレクタは、楕円体の部分の形状を有する単一の放射集光面11を有するコレクタを含む。言い換えると、楕円放射集光面部分は、仮想楕円体(図面において点線Eで示されている部分)に沿って延在する。
【0048】
[0052] 当業者に理解されるように、集光ミラー10が楕円状(すなわち、楕円体に沿って延在する反射面又はミラー11を含む)であった場合、集光ミラー10は、1つの焦点F1から別の焦点F2へと放射を合焦させる。焦点は、楕円の中心から距離f=(a2−b2)1/2において楕円体の長軸上に配置され、ここで、2a及び2bは、それぞれ、長軸及び短軸の長さである。レーザ生成プラズマ(LPP)放射源SOを含む図1に示されるリソグラフィ装置の一実施形態では、コレクタは図2に示されるような単一の楕円ミラーであってもよく、ここでは、放射を生成するプラズマ12は1つの焦点(F1)として考えられ得るプラズマ形成部位に位置決めされ、第2焦点F2はミラーの他方の焦点(F2)で確立される。第1の焦点(F1)におけるプラズマ形成部位に配置されたプラズマから反射面又はミラー11に向かって放出され、その表面に反射して第2の焦点F2に向かう放射は、図面中線rで示されている。例えば、一実施形態によると、上述の第2焦点F2は、リソグラフィ装置のコレクタとイルミネータILとの間に配置されてもよく、あるいは、望ましい場合、照明システムILに配置されてもよい。コレクタ内のアパーチャ13は、放射ビームがコレクタ10を通り抜けることを可能にし、プラズマ形成部位及び/又はプラズマ12に供給される燃料を励起する。
【0049】
[0053] 例えば、イオン、原子、分子及び粒状デブリ(例えばナノ小滴)の形態を有する、プラズマを生成するために使用される燃料材料(例えばスズ−Sn)がミラー表面11上に堆積しないように抑制するためには、ガス流が放射源へと導入されてもよく、それによってプラズマ形成部位からコレクタへと向かう燃料原子及びイオン(例えば、スズ原子及びイオン)の拡散を抑制する。より少ない程度に、そのような流れはプラズマ形成部位からコレクタへと向かう粒状デブリの拡散も抑制し得る。抑制ガス流スキームは、大量のスズ原子が集光ミラー表面に届くことを防ぐのに十分でない場合があり、その結果その場所で堆積する。さらに、速いイオンを減速させるためには、プラズマとコレクタの間は、一定の最小ガス密度積分であることが望ましい。特別に留意しなくても、プラズマからガスへの高い電力負荷によってガスの温度が有意に高くなるかもしれず、それによってガス密度が減少し得る。
【0050】
[0054] 図3は、単一パスフォイルトラップの形態を有する汚染バリア20を使用する本発明の一実施形態を示している。コレクタの一部のみが示されており、光軸の片側のみが示されている。コレクタ10は、図2に示されるような楕円状の表面Eの一部である。コレクタ10内のアパーチャ13は、放射ビーム(図示せず)がコレクタを通り抜けることを可能にしてF1のプラズマ形成部位におけるEUV放射の形成を励起させるためにコレクタ10に設けられている。コレクタ10の内面はミラー11である。フォイルトラップ20は、プラズマ12とコレクタ10との間に構成及び位置決めされ、それによってプラズマ12によって生成されるEUV放射はフォイルトラップ20の少なくとも一部を一度だけ通り抜ける。具体的には、汚染バリアの周縁部は、第2焦点F2におけるミラー11によって規定される立体角を閉塞しない。フォイルトラップ20は、プラズマ膨張に対するバリアになるように設計されており、コレクタ10へと向かう燃料材料の拡散を妨げる。フォイルトラップ20は、プラズマ領域を効果的に冷却するために用いられてもよい。一実施形態では、フォイルトラップ20の内側半径は約20mmであってよく、外側半径は約34mmであってよい。一実施形態では、フォイルトラップ20は、各々が約0.1mmの厚さを有する36個のフォイルを有してもよい。そのような実施形態に対する可能な光の損失は、フォイル上のEUV放射の正面吸収によって約4.3%であり得る。この光の損失は、かなり低いガス密度及び/又はかなり低い分圧のクリーニング化学物質を放射源で使用することができるという事実によって十分に補償され得る。これらの後者2つの効果は、ガスが単一パスフォイルトラップ20とコレクタ10との間及びコレクタ10と第2焦点F2との間(図2参照)にEUVを透過させる能力を高めることができる。
【0051】
[0055] 単一パスフォイルトラップ20は、第2焦点F2においてコレクタ10内のアパーチャ13によって規定される領域を越えて延在しないフォイルだけに対して単一のパスである。これは図3における光線7によって範囲が定められており、図示されている実施形態では、ミラー11によって反射したEUV放射は第2焦点F2へと向かう経路では汚染バリア20を再度通り抜けない。しかしながら、この領域の外のフォイル又はサポート構造の拡張の限界は想定することができる。これは、特に、(図3で8として表されている光線によって示されている)プラズマからコレクタのエッジゾーンへと向かうEUV放射の方向において有益であり得る。この角度では、最大可能なフォイルトラップ長さは反射した内側光線7によって制限され得る。この方向におけるフォイルトラップの拡張の限界は内角における光透過に影響を与えるが、フォイルはその時点ではより一層離れているため、この内側光線の第1パス中より程度は小さい。
【0052】
[0056] 他の実施形態ではフォイルトラップは他のあらゆる適切な形を有してもよいが、一実施形態では、フォイルトラップ20は実質的に円い形を有してもよい。
【0053】
[0057] 図3はフォイルトラップ20の二次元図を示している。角度及び測定は方位角で変化してもよく、それによってフォイルトラップ及び他のあらゆる構造は円形対称又は非円形対称の任意の形を有してもよい。
【0054】
[0058] 単一パスフォイルトラップは静的であるように作られてよく、これはフォイルトラップを冷却するために有益である。さらに、フォイルトラップ20は、回転するように形成されてよく、またガス入口ノズル(例えば、図3には図示されていないが、アパーチャ13によってその入口が形成されて設けられるガス入口円錐)と一緒に回転するように形成されてもよい。言い換えると、汚染バリアは回転するように構成されたガス入口ノズルに接続されてもよく、又は汚染バリアは回転するためにそのものの手段を用いてもよい。回転する単一パスフォイルトラップは遠心力による液体燃料(例えば溶融Sn)除去に対して有益であり得る。そこでは、スピンオフされた(spun off)されたあらゆる液体燃料がコレクタ10上に堆積しないが、その代わりに回転する単一パスフォイルトラップのすぐ近く又はさらに外側に配置された適切な燃料キャッチ(catch)構造上に堆積するように特別な注意がとられてもよい。燃料キャッチ構造は図に示されていない。回転する単一パスフォイルトラップのフォイルは、燃料がフォイルの一特定箇所でスピンオフされるように整形されてもよく、それによって燃料キャッチ構造の構成を簡略化することができる。
【0055】
[0059] 図4に概略的に示された本発明の一実施形態では、プラズマ12付近(近く)のポイントに配置されたガス抽出口21及び22を有するガス抽出器が設けられており、それによって、プラズマ形成部位及びプラズマを直接通る抽出を伴わずにコレクタ10からプラズマ形成部位F1に向かうガス流を確立することができる。これは、プラズマの動圧が高すぎるためにコレクタ領域内の高圧累積という結果となり、高密度ガスを通るEUV透過の減少という結果となり得る場合において有用である。コレクタ10からプラズマ領域12に向かう流れを有することも望ましくある。というのは、これはコレクタ10へと向かう汚染及びデブリの拡散を抑制することができるからである。汚染バリアを通るガス流を確実にすることも望ましくあり得る。図4は、追加のガス抽出器21及び22の抽出口に対する可能な配置を示している。放射源の利用可能な量及び仕様によって、ガス抽出口21及び22はEUV放射パスの中又は外に配置されるように選択されてもよい。各ガス抽出器は、チャンバ10の外にガスを送り出すように構成されたポンプを含んでもよい。各ポンプは、約10Pa〜400Paの間の望ましい範囲内、より具体的には約20Pa〜200Paの間の範囲内のレベルで圧力を維持するためにポンプを制御するように構成された圧力コントローラによって制御されてもよい。比較的高い動作温度により、そのようなガス圧は、特にガスが水素であった場合、極端紫外線に対するシステムの透過率を損なわない場合がある。任意の上述したガス抽出口は、例えば、プラズマ形成部位から焦点距離Fの0.5倍又は焦点距離Fの0.3倍の距離内に配置されてよい。ガス抽出口は、第2焦点と光軸に対して垂直であり、かつプラズマ形成部位を通り抜ける平面との間に配置されてもよい。
【0056】
[0060] 本発明の実施形態は、汚染バリア20上に堆積し得る燃料(例えばSn)材料がコレクタ10に届くことですら実質的に防ぐことができる。汚染バリア20は、膨張するプラズマからのショック波を減衰することができ、それによってプラズマがコレクタ10に向かって移動しないように、又は少なくともより小さな度合いで移動するようにする。汚染バリア20はプラズマ形成部位及び周辺領域を冷却することができ、これはプラズマ形成部位からのガス流の抑制をより効果的にし得る。排出ガスの冷却はプラズマ形成部位からのガス流の除去を(例えば、より小さなパイプ直径及び/又はより少ない又は小さいポンプによって)より簡単にし得る。提供された速いイオン減衰によって、コレクタの寿命を延ばすことができる。コレクタ上の燃料材料の堆積率が十分に小さくなった場合、追加のクリーニング剤を減少又は排除すらすることができる。
【0057】
[0061] 本明細書では、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及されているかもしれないが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を含み得ると理解されるべきである。
【0058】
[0062] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。
【0059】
[0063] 本明細書で使用される用語「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はおよそこれらの値の波長を有する)及び極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含する。
【0060】
[0064] 用語「レンズ」は、文脈によっては、屈折型、反射型、磁気型、電磁型及び静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つ又はこれらの組み合わせを指すことができる。
【0061】
[0065] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、上記とは異なる態様でも本発明を実践できることが理解されよう。
【0062】
[0066] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外線を生成するように構成された放射源であって、
燃料が放射ビームと接触してプラズマを形成する位置に配置されたプラズマ形成部位と、
前記プラズマ形成部位で形成された極端紫外線を集めるように構成されたコレクタであって、前記コレクタは前記極端紫外線を第2焦点に反射させるためにミラーを含み、前記プラズマ形成部位の位置は、第1焦点及び前記第2焦点によって画定された光軸に沿って測定された前記コレクタからの焦点距離Fにおける前記コレクタの第1焦点にある、コレクタと、
周縁部を有し、かつ前記プラズマ形成部位と前記コレクタとの間に配置された汚染バリアであって、前記汚染バリアの前記周縁部は、前記第2焦点において前記ミラーによって規定される立体角のうちの50%より多くは閉塞しない、汚染バリアと、
を備える放射源。
【請求項2】
前記汚染バリアの前記周縁部は、前記第2焦点において前記ミラーによって規定される前記立体角を閉塞しない、
請求項1に記載の放射源。
【請求項3】
前記コレクタは、前記放射ビームが前記プラズマ形成部位における前記燃料と接触するためにコレクタを通り抜けることを可能にするように構成されたアパーチャを含む、
請求項1又は2に記載の放射源。
【請求項4】
前記汚染バリアは、前記第2焦点において前記アパーチャによって規定される前記立体角内に完全に位置付けられている、
請求項3に記載の放射源。
【請求項5】
前記コレクタは、ガス流を前記プラズマ形成部位に向かって誘導するように構成されたガス入口及びガス出口を有するノズルを含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項6】
前記アパーチャは、前記ノズルの前記ガス入口であるように構成されている、
請求項5に記載の放射源。
【請求項7】
前記汚染バリアは、前記ノズルに取り付けられている、
請求項5又は6に記載の放射源。
【請求項8】
前記汚染バリアは、前記ノズルの前記ガス出口に取り付けられている、
請求項7に記載の放射源。
【請求項9】
前記汚染バリアは、前記コレクタに対して回転する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項10】
前記プラズマ形成部位付近からガスを抽出するように位置決めおよび構成されたガス抽出口をさらに含む、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項11】
前記ガス抽出口は、前記第2焦点と前記光軸に対して垂直であり、かつ前記プラズマ形成部位を通り抜ける平面との間に配置される、
請求項10に記載の放射源。
【請求項12】
極端紫外線を生成するように構成された放射源であって、
燃料が放射ビームと接触してプラズマを形成する位置に配置されたプラズマ形成部位と、
前記プラズマ形成部位で形成された極端紫外線を集めるように構成されたコレクタであって、前記コレクタは前記極端紫外線を第2焦点に反射させるためにミラーを含み、前記プラズマ形成部位の前記位置は、第1焦点及び前記第2焦点によって画定された光軸に沿って測定された前記コレクタからの焦点距離Fにおける前記コレクタの第1焦点にある、コレクタと、
前記プラズマ形成部位付近からガスを抽出するように位置決め及び構成されたガス抽出口と、
を備える放射源。
【請求項13】
基板をパターン付けするように構成されたリソグラフィ装置であって、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の放射源と、
前記第2焦点に向かって誘導される前記放射源からの極端紫外線をパターン付けするように構成されたパターニングデバイスを支持するように構成されたサポートと、
前記基板に前記パターン付けされたビームを投影するように構成された投影システムと、
を備えるリソグラフィ装置。
【請求項14】
プラズマ形成部位で極端紫外線を生成することと、
周縁部を有し、かつ前記プラズマ形成部位とミラーを含むコレクタとの間に配置された汚染バリアを用いて前記プラズマ形成部位からの前記極端紫外線によって生成された汚染をかき集めることと、
前記コレクタを用いて前記汚染バリアを通り抜けた前記極端紫外線を集めることと、
前記ミラーを用いて前記極端紫外線を第2焦点に向かって反射させることと、
パターニングデバイスを用いて前記第2焦点に向かって反射した前記極端紫外線をパターン付けすることと、
前記パターン付けされた極端紫外線を基板上に投影することと、
を含み、
前記汚染バリアの前記周縁部は、前記第2焦点において前記ミラーによって規定される立体角のうちの50%より多くは閉塞しない、
デバイス製造方法。
【請求項15】
プラズマ形成部位で極端紫外線を生成することと、
ミラーを含むコレクタを用いて汚染バリアを通り抜けた前記極端紫外線を集めることと、
前記ミラーを用いて前記極端紫外線を第2焦点に向かって反射させることと、
パターニングデバイスを用いて前記第2焦点に向かって反射した前記極端紫外線をパターン付けすることと、
前記パターン付けされた極端紫外線を基板上に投影することと、
ガス抽出口を用いて前記プラズマ形成部位付近からガスを抽出することと、
を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−199582(P2012−199582A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−129640(P2012−129640)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2009−281085(P2009−281085)の分割
【原出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】