説明

放射線イメージング装置、方法及びプログラム

【課題】関心領域の画質を他の領域と比較して良好にすること。
【解決手段】実施の形態の放射線イメージング装置は、被検体の形態画像を予め記憶する。また、放射線イメージング装置は、被検体の形態画像を撮像する。また、放射線イメージング装置は、被検体について予め記憶された形態画像を記憶部から取得し、取得した形態画像である取得形態画像内の位置であって、取得形態画像と紐づけて撮像された機能画像において特定される関心領域に対応する位置を取得する。そして、放射線イメージング装置は、撮像された形態画像である撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係に基づいて、取得した取得形態画像内の位置を撮像形態画像内の位置に変換する。そして、放射線イメージング装置は、変換結果となる撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と被検体との位置関係を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、放射線イメージング装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガンマカメラ、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置などの核医学イメージング装置がある。核医学イメージング装置は、放射線を検出する検出器を有する。核医学イメージング装置では、生体組織に取り込まれた同位元素又は標識化合物から放射される放射線を検出器が検出し、検出器により検出された放射線の線量分布を画像化することで生体組織の機能情報を提供する核医学画像を再構成する。
【0003】
例えば、被検体は、腫瘍組織によって高頻度に取り込まれる標識化合物を含む放射性薬剤を予め体内に投与される。そして、核医学イメージング装置は、標識化合物から放出された放射線を所定の時間検出し、標識化合物を取り込んだ被検体の腫瘍組織の分布が描出された核医学画像を再構成することで、被検体の生体組織における機能情報を提供する。
【0004】
また、近年、機能情報を提供する核医学イメージング装置と、形態情報を提供するX線CT(X線コンピュータ断層撮影、X-Ray Computed Tomography)装置とが一体化された装置がある。例えば、PETとX線CT装置を一体化したPET―CT装置や、SPECT装置とX線CT装置とを一体化したSPECT―CT装置などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−107995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術では、PET画像内において、関心領域の画質が他の領域よりも低いことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態の放射線イメージング装置は、記憶部と、形態画像撮像部と、画像取得部と、位置取得部と、変換部と、位置関係調整部とを有する。記憶部は、被検体の形態画像を予め記憶する。形態画像撮像部は、前記被検体の形態画像を撮像する。画像取得部は、前記形態画像撮像部により撮像される撮像被検体について予め記憶された形態画像を前記記憶部から取得する。位置取得部は、前記画像取得部により取得された形態画像である取得形態画像内の位置であって、当該取得形態画像と関連づけて撮像された機能画像において特定される関心領域に対応する位置を取得する。変換部は、前記形態画像撮像部により撮像された形態画像である撮像形態画像内の位置と前記取得形態画像内の位置との対応関係に基づいて、前記位置取得部により取得された当該取得形態画像内の位置を当該撮像形態画像内の位置に変換する。位置関係調整部は、前記変換部による変換結果となる前記撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と前記被検体との位置関係を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1おけるPET−CT装置の構成の全体像について示す図である。
【図2】図2は、実施例1におけるPETスキャナとX線CTスキャナとの関係の一例を示す図である。
【図3】図3は、実施例1におけるPETスキャナの構成について示す図である。
【図4】図4は、実施例1における検出器の構造の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1におけるアンガー型の検出器により検出される情報を示す図である。
【図6】図6は、実施例1におけるPETスキャナの有効視野について示す図である。
【図7】図7は、実施例1におけるPETスキャナの検出感度について示す図である。
【図8】図8は、実施例1におけるコンソール装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図9は、実施例1における過去画像テーブルに記憶された形態画像の一例を示す図である。
【図10】図10は、スキャノ画像を撮像する点について示す図である。
【図11】図11は、撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係を識別する点について示す図である。
【図12】図12は、実施例1における位置の変換について示す図である。
【図13】図13は、実施例1に係るPET−CT装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、過去画像テーブルを用いないコンソール装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図15】図15は、過去画像テーブルを用いない場合における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
以下では、放射線イメージング装置の一例として、核医学イメージング装置であるPET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置を用いて説明する。
【0010】
図1は、実施例1おけるPET−CT装置の構成の全体像について示す図である。図1において、100はPET−CT装置を示し、200はPETスキャナを示し、300はX線CTスキャナを示し、400は寝台を示し、401は被検体が載せられる天板を示し、402は、被検体を示す。図1に示すように、PET−CT装置100は、PETスキャナ200と、X線CTスキャナ300と、寝台400と、コンソール装置500とを有する。図1におけるX方向は、図1の天板401に載せられた被検体402の体軸方向を示す。Y方向は、X方向と直行する水平面上の方向を示す。Z方向は、垂直方向を示す。
【0011】
寝台400は、被検体402が載せられる天板401を有する。また、図1には図示していないが、寝台400は、天板401を移動させる寝台制御部を有する。寝台制御部は、コンソール装置500により制御され、天板401に載せられた被検体402をPET−CT装置100の撮影口内に移動させる。また、以下では、寝台制御部は、コンソール装置500により制御され、天板401の位置をX軸方向に移動し、Y軸方向に移動し、Z軸方向に移動する場合を用いて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、寝台制御部は、コンソール装置500により制御され、X軸方向とY軸方向とZ軸方向とのうち、一部の方向について寝台400を移動させても良い。
【0012】
PETスキャナ200は、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器210を複数有する。複数ある検出器210は、被検体402の体軸を中心としてリング上に配置される。例えば、検出器210は、天板401に載せられた被検体402の体外から、被検体402の生体組織内に取り込まれた標識化合物から放出された一対のガンマ線を検出する。
【0013】
具体的には、PETスキャナ200は、検出器210がガンマ線を検出するごとに、ガンマ線を検出した検出器210の位置を示す検出位置と、ガンマ線が検出器210に入射した時点におけるエネルギー値と、検出器210がガンマ線を検出した検出時間とを収集する。PETスキャナ200により収集される情報を「計数情報」とも称する。
【0014】
ここで、検出器210により検出されるガンマ線と、被検体402の生体組織内に取り込まれた標識化合物から放出された一対のガンマ線との関係について説明する。検出器210は、標識化合物から放出された一対のガンマ線の双方を検出するとは限らない。例えば、検出器210は、標識化合物から一対のガンマ線が1つ放出された場合に、一対のガンマ線のうち片方のみを検出することがあり、一対のガンマ線のうち両方を検出することがあり、一対のガンマ線の両方を検出しないことがある。
【0015】
標識化合物は、例えば、陽電子放出核種である「18F(フッ素)」で標識された18F標識デオキシグルコースが該当する。標識化合物は、PET−CT装置100による測定前に被検体402に投与される。ただし、18F標識デオキシグルコースに限定されるものではなく、任意の標識化合物を用いて良い。
【0016】
X線CTスキャナ300は、X線CT画像を生成するためのX線を照射するX線管301と、X線管301により照射されたX線を検出するX線検出器302とを有する。X線CTスキャナ300では、X線管301がX線を被検体402に照射し、被検体402を透過したX線をX線検出器302が検出する。具体的には、X線CTスキャナ300は、被検体402の体軸を中心として回転しながら、X線管301がX線を照射し、X線検出器302がX線を検出する。言い換えると、X線CTスキャナ300は、被検体402の体軸を中心として回転しながら照射することで多方向からX線を被検体402に照射し、被検体402を透過することで被検体402に吸収されて減弱したX線を検出する。X線検出器302により検出されたX線に対して増幅処理やAD変換処理などを行うことで生成されるデータを「投影データ」とも称する。X線CTスキャナ300は、X線検出器302により検出されたX線の投影データと、投影データを生成する際に用いられたX線を検出した検出位置とを収集する。
【0017】
図2は、実施例1におけるPETスキャナとX線CTスキャナとの関係の一例を示す図である。図2では、Y軸方向に見た場合におけるPETスキャナ200とX線CTスキャナ300との断面図を示した。図2において、200は、PETスキャナを示し、210は、検出器を示し、300は、X線CTスキャナを示し、301は、X線管を示し、302はX線検出器を示し、303は、X線管301により照射されたX線を示す。図2では、説明の便宜上、PETスキャナ200とX線CTスキャナ300とに加えて、寝台400と天板401とを併せて示した。
【0018】
図2に示すように、PETスキャナ200では、X軸方向に複数の検出器210が配置される。また、複数の検出器210は、被検体402の体軸をリング状に取り囲むように配置される。図2に示すように、X線CTスキャナ300は、X線管301とX線検出器302とを有する。X線管301とX線検出器302とは、測定時に被検体402が載せられる天板401を挟んで対向する位置に配置される。
【0019】
図3は、実施例1におけるPETスキャナの構成について示す図である。図3において、400は寝台を示し、401は天板を示し、402は被検体を示し、210は検出器を示す。図3では、X軸方向に見たPETスキャナ200の断面図を示した。図3では、説明の便宜上、PETスキャナ200に加えて、被検体402と、寝台400と、天板401とを併せて示した。
【0020】
図3に示すように、PETスキャナ200は、複数の検出器210が被検体402の周囲をリング状に取り囲むように配置される。検出器210は、例えば、フォトンカウンティング(Photon Counting)方式の検出器が該当する。
【0021】
図4は、実施例1における検出器の構造の一例を示す図である。図4において、211はシンチレータを示し、212はライトガイドを示し、213は光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)を示す。
【0022】
図4に示すように、検出器210は、シンチレータ211と、ライトガイド212と、光電子増倍管213とを有する。シンチレータ211は、被検体402から放出されて検出器210に入射されたガンマ線を可視光に変換し、可視光を出力する。シンチレータ211は、例えば、ガンマ線を可視光に変換するNaIやBGOなどで形成される。また、シンチレータ211は、図4に示すように、2次元に配列される。シンチレータ211により出力された可視光を「シンチレーション光」とも称する。ライトガイド212は、シンチレータ211から出力された可視光を光電子増倍管213に伝達する。ライトガイド212は、例えば、光透過性に優れたプラスチック素材などで形成される。光電子増倍管213は、シンチレータ211によって出力された可視光をライトガイド212を介して受信し、受信した可視光を電気信号に変換する。光電子増倍管213は、複数個配置される。
【0023】
光電子増倍管213について更に説明する。光電子増倍管213は、シンチレーション光を受信して光電子を発生させる光電陰極と、光電陰極により発生された光電子を加速する電場を与える多段のダイノードと、電子の流れ出し口である陽極とを有する。光電効果により光電陰極から放出された電子は、ダイノードに向かって加速されてダイノードの表面に衝突し、複数の電子をたたき出す。ダイノードの表面にて複数の電子がたたき出される現象が多段のダイノードに渡って繰り返されることで、電子数がなだれ的に増える。
【0024】
例えば、陽極は、シンチレーション光を1つ受信した場合に、約100万もの電子を出力する。シンチレーション光を1つ受信した場合に陽極から得られる電子の数を「光電子増倍管の利得率」とも称する。この場合、光電子増倍管213の利得率は「100万倍」となる。なお、電子数をなだれ的に増やす際には、ダイノードと陽極との間には、通常、1000ボルト以上の電圧が印加される。
【0025】
このように、検出器210では、シンチレータ211がガンマ線を可視光に変換し、光電子増倍管213が可視光を電気信号に変換することで、被検体402から放出されたガンマ線を検出する。
【0026】
上述したように、PETスキャナ200は、検出器210がガンマ線を検出するごとに、検出位置とエネルギー値と検出時間とを収集する。ここで、図5を用いて、複数の隣接する検出器210が同時にガンマ線を検出した場合における検出位置とエネルギー値とを計算する処理の一例について簡単に説明する。図5は、実施例1におけるアンガー型の検出器により検出される情報を示す図である。
【0027】
例えば、PETスキャナ200は、アンガー型位置計算処理を行うことで、検出位置を確定する。また、例えば、PETスキャナ200は、光電子増倍管213が位置検出型の光電子増倍管である場合には、位置検出型の光電子増倍管213を用いて検出位置を収集する。図5の(1)に示すように、3つの光電子増倍管213が、同じタイミングにてシンチレーション光を電気信号に変換して出力した場合を用いて説明する。この場合、PETスキャナ200は、同時に電気信号を出力した光電子増倍管213の位置を取得し、同時に電気信号を出力した光電子増倍管213から出力された電気信号のエネルギー値各々を取得する。そして、PETスキャナ200は、取得したエネルギー値から重心の位置を算出し、算出した重心の位置に対応するシンチレータ211を特定する。また、PETスキャナ200は、同じタイミングにてシンチレーション光を電気信号に変換して出力した各光電子増倍管213が出力した電気信号のエネルギー値を積分し、積分結果となるエネルギー値を検出器210に入射したガンマ線のエネルギー値とする。
【0028】
図5の(2)に示すように、検出器210がガンマ線を検出するごとに、PETスキャナ200は、シンチレータ211を一意に識別する「シンチレータ番号」と、「エネルギー値」と、「検出時間」とを収集する。図5の(2)に示す例では、「シンチレータ番号」「エネルギー値」「検出時間」に加えて、更に、検出器210を一意に特定する情報である「モジュールID」を出力する場合を示した。
【0029】
ここで、検出時間は、時刻などの絶対時間であっても良く、PET画像の撮影開始時点からの経過時間であっても良い。検出器210は、例えば、10−10〜12sec(psec)単位の精度にて検出時間を収集する。なお、その後、コンソール装置500が、計数情報をPETスキャナ200から受信して同時計数情報を生成し、生成した同時計数情報を用いてPET画像を再構成する。
【0030】
ここで、計数情報から生成される同時計数情報について簡単に説明した後に、実施例1におけるPETスキャナ200の有効視野と検出感度とについて説明する。陽電子放出核種からは一対のガンマ線が放出され、一対のガンマ線の双方を検出器210が検出した場合には、陽電子放出核種からガンマ線が放出されるごとに2つの計数情報が検出器210にて収集される。同時計数情報は、陽電子放出核種からガンマ線が放出されるごとに収集される2つの計数情報の組み合わせを示す。すなわち、同時計数情報に含まれる2つの計数情報に含まれる検出位置各々を結んだ直線上のいずれかの点において、一対のガンマ線が放出されたことになる。PET画像は、同時計数情報に含まれる2つの検出位置各々を結んだ直線上に一対のガンマ線を放出した放出核があることを用いて、再構成される。この結果、同時計数情報の数が多ければ多いほどPET画像の画質は良くなり、同時計数情報の数が少なければ少ないほどPET画像の画質は悪くなる。また、同時計数情報は、陽電子放出核種からガンマ線が放出されるごとに2つの計数情報を含む。この結果、一対のガンマ線の双方を検出器210が検出した場合に生成され、一対のガンマ線の片方を検出器210が検出した場合には生成されない。
【0031】
図6は、実施例1におけるPETスキャナの有効視野について示す図である。図6では、PETスキャナ200をY軸方向に見た場合におけるXZ平面の断面図を示した。図6において、210は検出器を示す。210aは、図6の上部にある検出器210群のうち左端にある検出器210を示し、210bは、図6の上部にある検出器210群のうち右端にある検出器210を示し、210cは、図6の下部にある検出器210群のうち左端にある検出器210を示し、210dは、図6の下部にある検出器210群のうち右端にある検出器210を示す。220は、PETスキャナ200の有効視野を示す。
【0032】
一対のガンマ線の双方を検出器210が検出されなければ、同時計数情報は生成されない。このことを踏まえると、図6に示すPETスキャナ200が一対のガンマ線の双方を検出可能な範囲は、図6の220に示すように、検出器210aと検出器210cとを結ぶ直線と、検出器210bと検出器210dとを結ぶ直線とで囲まれる範囲となる。
【0033】
図7は、実施例1におけるPETスキャナの検出感度について示す図である。図7では、PETスキャナ200をY軸方向に見た場合におけるXZ平面の断面図を示した。図7において、231〜233は、有効視野内にある任意の位置を示す。位置231は、PETスキャナ200の有効視野の端にあり、検出器210aと検出器210cとを結んだ直線上にある。位置232は、PETスキャナ200の有効視野の端にあり、検出器210bと検出器210dを結んだ直線上にある。位置233は、PETスキャナ200の有効視野の中心にあり、検出器210aと検出器210dとを結んだ直線と、検出器210bと検出器210cとを結んだ直線とが交差する位置にある。234は、図6の上部又は下部にある検出器210群と、検出器210aと検出器210dとを結んだ直線と、検出器210bと検出器210cとを結んだ直線とで囲まれる領域を示し、235は、検出器210aと検出器210cとを結んだ直線又は検出器210bと検出器210dとを結んだ直線と、検出器210aと検出器210dとを結んだ直線と、検出器210bと検出器210cとを結んだ直線とで囲まれる領域を示す。
【0034】
図7に示す例では、位置231にて一対のガンマ線が放出された場合には、一対のガンマ線がそれぞれ検出器210aと検出器210cとに向かって放出され、検出器210aと検出器210cとが検出した場合に初めて、同時計数情報が生成される。言い換えると、位置231にて一対のガンマ線が放出されたとしても、一対のガンマ線が向かう方向に検出器210aや検出器210cがなければ、位置231にて放出された一対のガンマ線の双方を検出器210が検出することはなく、同時計数情報は生成されない。位置232についても同様である。
【0035】
一方、位置233にて一対のガンマ線が放出された場合には、一対のガンマ線が向かう方向が領域234であれば、一対のガンマ線の双方をPETスキャナ200の検出器210が検出でき、同時計数情報が生成される。すなわち、図7に示す例では、PETスキャナ200は、位置231や位置232と異なり、上部にある検出器210すべてと下部にある検出器210すべてを用いて、位置233にて放出されたガンマ線を検出できることになる。
【0036】
このように、PETスキャナ200では、有効視野の中心にある位置と比較して、有効視野の中心から外れた位置では、検出される一対のガンマ線の数が減少する。また、検出されるガンマ線の数が減少すると、PET画像の画質が劣化する。言い換えると、検出されるガンマ線の数が減少すると、検出感度が低下する。すなわち、PETスキャナ200では、有効視野の中心にある位置から離れれば離れるほど、検出感度が低下する。
【0037】
図8は、実施例1におけるコンソール装置の構成の一例を示すブロック図である。以下に詳細に説明するように、コンソール装置500は、PETスキャナ200の有効視野の中心に関心領域を位置させた上でPETスキャナ200に計数情報を収集させ、PETスキャナ200に収集させた計数情報から同時計数情報を生成してPET画像を再構成する。
【0038】
図8に示す例では、説明の便宜上、コンソール装置500に加えて、PETスキャナ200とX線CTスキャナ300とを併せて示した。図8に示す例では、コンソール装置500は、入出力部501と、記憶部510と、制御部520とを有する。
【0039】
入出力部501は、制御部520と接続される。入出力部501は、PET−CT装置100を利用する利用者から各種指示を受け付け、受け付けた各種指示を制御部520に送信する。また、入出力部501は、制御部520から情報を受信し、受信した情報を利用者に出力する。例えば、入出力部501は、キーボードやマウス、マイクなどが該当し、モニタやスピーカなどが該当する。なお、入出力部501によって受け付けられる情報や指示の詳細や、入出力部501によって出力される情報の詳細については、ここでは説明を省略し、関係する各部について説明する際に併せて説明する。
【0040】
記憶部510は、制御部520と接続される。記憶部510は、制御部520による各種処理に用いるデータを記憶する。記憶部510は、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置が該当する。図8に示す例では、記憶部510は、過去画像テーブル511を有する。
【0041】
過去画像テーブル511は、被検体の形態画像と機能画像とを対応付けて予め記憶する。具体的には、過去画像テーブル511は、被検体を識別する識別情報に対応付けて、被検体について過去に撮像されたX線CT画像とPET画像とを記憶する。過去画像テーブル511に対応付けて記憶されたX線CT画像とPET画像とは、例えば、同じ被検体についてPET−CT装置100により過去に撮像されたX線CT画像とPET画像とが該当し、形態画像内の位置と機能画像内の位置とは、紐付けられている。言い換えると、機能画像内の位置を1つ指定すると、指定された位置に対応する形態画像内の位置が特定される。
【0042】
図9は、実施例1における過去画像テーブルに記憶された形態画像の一例を示す図である。図9において、601は、被検体のアキシャル面におけるX線CT画像を示し、602は、被検体のコロナル面におけるX線CT画像を示し、603は、被検体のサジタル面におけるX線CT画像を示す。言い換えると、601は、図1におけるYX平面における被検体の断面画像を示し、602は、XY平面における被検体の画像を示し、603は、XZ平面における被検体の画像を示す。以下では、被検体のアキシャル面におけるX線CT画像を「アキシャル画像」とも称し、被検体のコロナル面におけるX線CT画像を「コロナル画像」とも称し、被検体のサジタル面におけるX線CT画像を「サジタル画像」とも称する。
【0043】
図9に示す例では、過去画像テーブル511は、被検体を識別する識別情報に対応付けて、形態画像として、アキシャル画像とコロナル画像とサジタル画像とを記憶する。ただし、過去画像テーブル511は、アキシャル画像とコロナル画像とサジタル画像とを記憶する場合に限定されるものではない。例えば、過去画像テーブル511は、アキシャル画像とコロナル画像とサジタル画像とのうち、一部の画像について記憶しなくても良い。また、例えば、過去画像テーブル511は、X線CTスキャナ300により得られる投影データそのものを記憶し、制御部520が、過去画像テーブル511に記憶された投影データからアキシャル画像とコロナル画像とサジタル画像とを再構成しても良い。
【0044】
ここで、過去画像テーブル511に記憶される画像は、PET−CT装置100により過去に撮像された画像であっても良く、他の装置により撮像された画像であっても良い。
【0045】
制御部520は、入出力部501及び記憶部510と接続される。制御部520は、各種の処理手順などを規定したプログラムを記憶する内部メモリを有し、種々の処理を制御する。制御部520は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路が該当する。図8に示す例では、制御部520は、PET画像再構成部521と、X線CT画像撮像処理部522と、画像取得部523と、位置取得部524と、変換部525と、位置関係調整部526とを有する。
【0046】
PET画像再構成部521は、PETスキャナ200により収集された計数情報を受信し、受信した計数情報に基づいてPET画像を再構成する。具体的には、PET画像再構成部521は、受信した計数情報に含まれるエネルギー値と検出時間とに基づいて、一対のガンマ線を示す計数情報の組み合わせを検索し、同時計数情報を生成する。そして、PET画像再構成部521は、生成した同時計数情報を用いてPET画像を再構成する。なお、一対のガンマ線を示す計数情報の組み合わせを検索することを「Coincidence Finding」とも称する。また、PET画像再構成部521により生成された同時計数情報のリストを「Coincidence List」とも称する。また、PET画像再構成部521は、時系列に沿って一部位についてのPET画像を複数枚撮影するPETダイナミック撮影を行う。
【0047】
後述するように、制御部520では、X線CT画像撮像処理部522と画像取得部523と位置取得部524と変換部525と位置関係調整部526とが協同することで、PETスキャナ200の有効視野の中心に関心領域を位置させた上でPETスキャナ200に計数情報を収集させる。言い換えると、PETスキャナ200は、被検体の関心領域から放出される一対の放射線の検出効率が、被検体の他の領域から放出される一対の放射線の検出効率と比較して高くなる状態にて、計数情報を収集する。この結果、PET画像再構成部521は、PETスキャナ200から受信する計数情報に基づいてPET画像を再構成することで、関心領域における画質が他の領域と比べて高いPET画像を再構成する。なお、PET画像再構成部521によるPET画像再構成処理については、例えば、逐次近似法などの任意の手法を用いて良く、詳細な説明については省略する。
【0048】
図8の説明に戻る。以下に説明するように、制御部520は、X線CT画像撮像処理部522と画像取得部523と位置取得部524と変換部525と位置関係調整部526とが協同することで、PETスキャナ200の有効視野の中心に関心領域を位置させた上でPETスキャナ200に計数情報を収集させる。
【0049】
X線CT画像撮像処理部522は、被検体のPET画像を撮像する旨の撮像指示を入出力部501を介して利用者から受け付けると、X線CTスキャナ300を動作させ、X線CT画像を撮像する。具体的には、X線CT画像撮像処理部522は、X線CTスキャナ300から投影データを受信し、受信した投影データを再構成することでX線CT画像を撮像する。X線CT画像撮像処理部522により撮像された形態画像を「撮像形態画像」とも称する。
【0050】
例えば、X線CT画像撮像処理部522は、X線CTスキャナ300を動作させ、X線CTスキャナ300により収集されたX線の投影データとX線検出位置とを受信する。ここで、例えば、X線CT画像撮像処理部522は、図8に図示されない記憶部510のテーブルにX線の投影データとX線検出位置とを格納する。そして、X線CT画像撮像処理部522は、受信したX線の投影データとX線検出位置とを用いてX線CT画像を再構成することで、被検体のアキシャル画像とコロナル画像とサジタル画像とを再構成する。
【0051】
ただし、X線CT画像撮像処理部522による形態画像撮像処理はこれに限定されるものではない。例えば、X線CT画像撮像処理部522は、X線CTスキャナ300のX線管301に、被検体402の体軸を中心として回転することなく被検体402の体軸に沿って移動しながらX線を照射させることで、スキャノ画像を撮像しても良い。具体的には、X線CT画像撮像処理部522は、コロナル面におけるスキャノ画像を撮像し、サジタル面におけるスキャノ画像を撮像しても良い。
【0052】
図10は、スキャノ画像を撮像する点について示す図である。図10において、304は、被検体402の体軸を中心としてX線管301が回転する場合における軌跡を示す。X線CTスキャナ300のX線管301が被検体402の体軸を中心として回転しながらX線を照射する場合には、軌跡304をX線管301が移動する。図10において、305は、スキャノ画像を撮像する場合におけるX線管301の移動方向を示す矢印である。
【0053】
図10の矢印305に示すように、スキャノ画像を撮像する場合には、X線管301は、回転することなくX軸方向に移動しながらX線を照射する。図10に示す例では、X線管301が被検体にZ軸方向に向かってX線を照射する場合を示した。このため、図10に示す例では、X線CT画像撮像処理部522は、XY平面における被検体402のコロナル面におけるスキャノ画像を撮像する。なお、ZX平面における被検体402のサジタル面におけるスキャノ画像を撮像する場合には、X線管301は、被検体402の側面にて、Y軸方向に向かってX線を照射しながらX軸上を移動しながらX線を照射する。
【0054】
図8の説明に戻る。画像取得部523は、被検体のPET画像を撮像する旨の撮像指示を入出力部501を介して利用者から受け付けると、PET−CT装置100により撮像される被検体について予め記憶された形態画像を過去画像テーブル511から取得する。例えば、画像取得部523は、入出力部501を介して利用者から被検体を識別する識別情報を受信すると、受信した識別情報に対応付けられたアキシャル画像とコロナル画像とサジタル画像とを取得する。言い換えると、画像取得部523は、被検体について過去に撮像されたアキシャル画像とコロナル画像とサジタル画像とを取得する。画像取得部523により取得された形態画像を「取得形態画像」とも称する。PET−CT装置100により撮像される被検体を「撮像被検体」とも称する。
【0055】
位置取得部524は、画像取得部523により取得された形態画像である取得形態画像内の位置であって、取得形態画像と紐づけて撮像された機能画像において特定される関心領域に対応する位置を取得する。例えば、位置取得部524は、画像取得部523により取得された形態画像に対応付けられた機能画像を過去画像テーブル511から取得し、取得した機能画像における関心領域の位置を取得する。
【0056】
より詳細な一例をあげて説明すると、位置取得部524は、画像取得部523により取得された形態画像に対応付けられたPET画像を過去画像テーブル511から取得する。そして、位置取得部524は、PET画像において他の領域と比較して画素値が高い領域を特定し、特定したPET画像内の位置に紐付けられた取得形態画像内の位置を取得する。
【0057】
変換部525は、撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係に基づいて、位置取得部524により取得された取得形態画像内の位置を撮像形態画像内の位置に変換する。つまり、変換部525は、過去の形態画像内の位置を、現在撮像した形態画像内の位置に変換する。
【0058】
具体的には、変換部525は、撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係を識別する。つまり、変換部525は、被検体について予め撮像されて画像テーブル511に記憶された形態画像内の位置と、被検体について新たに撮像された形態画像内の位置との対応関係を識別する。図11は、撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係を識別する点について示す図である。図11において、601〜603は、過去画像テーブル511に予め記憶された取得形態画像を示す。言い換えると、601〜603は、例えば、被検体について過去に撮像された形態画像を示す。604〜606は、X線CT画像撮像部により撮像された撮像形態画像を示す。言い換えると、604〜606は、被検体について新たに撮像されたえ形態画像を示す。601は、アキシャル画像であり、602と605とは、コロナル画像であり、603と606とは、サジタル画像である。図11に示す例では、X線CT画像撮像処理部522が、コロナル面におけるスキャノ画像を撮像し、サジタル面におけるスキャノ画像を撮像した場合を示した。言い換えると、X線CT画像撮像処理部522がアキシャル画像を新たに撮像していない場合を示した。
【0059】
例えば、変換部525は、撮像形態画像内において、被検体の特徴部分を識別する。図11に示す例では、変換部525は、被検体の肩骨の位置611と背骨の位置612とをコロナル画像602にて識別し、被検体の肩骨の位置611と背骨の位置612とをサジタル画像603にて識別する。そして、例えば、変換部525は、取得形態画像内において、被検体の特徴部分を識別する。図11に示す例では、変換部525は、被検体の肩骨の位置621と背骨の位置622とをコロナル画像605にて識別し、被検体の位置621と背骨の位置622とをサジタル画像606にて識別する。
【0060】
また、例えば、変換部525は、撮像形態画像において識別した被検体の特徴部分の位置と、取得形態画像内において識別した被検体の特徴部分の位置とを対応付けることで、撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係を識別する。図11に示す例では、取得形態画像内における位置621が撮像形態画像内における位置611に対応すると識別し、取得形態画像内における位置622が撮像形態画像内における位置612に対応すると識別する。また、変換部525は、取得形態画像内における位置612や612以外の位置についても、位置611や612からの距離に基づいて、撮像形態画像内における位置との対応関係を識別する。
【0061】
この際、変換部525は、取得撮像画像内の被検体のスケールと、撮像形態画像内の被検体のスケールとが異なる場合には、スケールの違いを考慮したうえで、対応関係を識別する。
【0062】
また、具体的には、変換部525は、識別した対応関係に基づいて、位置取得部524により取得された取得形態画像内の位置を撮像形態画像内の位置に変換する。ここで、位置取得部524により取得された取得形態画像内の位置は、関心領域を示す位置である。このため、言い換えると、変換部525は、新たに撮像された形態画像内における関心領域の位置を取得する。
【0063】
図12は、実施例1における位置の変換について示す図である。図12において、631は、関心領域に対応する取得形態画像内の位置を示す。言い換えると、631は、例えば、被検体について過去に撮像された形態画像にある関心領域の位置を示す。632は、位置631に対応する撮像形態画像内の位置を示す。641は、位置631と位置611との間のX軸上における距離を示し、642は、位置631と位置612との間のY軸上における距離を示し、643は、位置631と位置612との間のZ軸上における距離を示す。651は、位置632と位置621との間のX軸上における距離を示し、652は、位置632と位置622との間のY軸上における距離を示し、653は、位置632と位置622との間のZ軸上における距離を示す。
【0064】
取得形態画像と撮像形態画像とのスケールが同一である場合を用いて説明する。例えば、変換部525は、距離641と距離642と距離643とを識別する。そして、例えば、変換部525は、撮像形態画像において、X軸上における位置611からの距離が距離641であり、Y軸上における位置612からの距離が距離632であり、Z軸上における位置612からの距離が距離643となる位置を識別する。言い換えると、変換部525は、撮像形態画像において、距離641と距離651とが等しくなり、距離642と距離652とが等しくなり、距離643と距離653とが等しくなる位置を識別する。そして、変換部525は、識別した位置を変換後の位置とする。
【0065】
位置関係調整部526は、変換部525による変換結果となる撮像形態画像内の位置に基づいて、検出器210と被検体との位置関係を調整する。具体的には、位置関係調整部526は、変換部525による変換結果となる位置にて陽電子放出核種から放出される一対の放射線の検出効率が、他の位置における検出効率と比較して高くなるように位置関係を調整する。言い換えると、位置関係調整部526は、変換部525による変換結果となる位置が、PETスキャナ200の有効視野の中心に位置するように調整する。
【0066】
より詳細には、位置関係調整部526は、寝台400の天板401の位置をX軸方向とY軸方向とZ軸方向とに移動することで、変換部525による変換結果となる位置が有効視野の中心に位置するようにする。例えば、図12に示す例を用いて説明すると、位置関係調整部526は、位置632が有効視野の中心に位置するように、天板401を移動する。この結果、PET−CT装置100では、関心領域が有効視野の中心に位置することになり、関心領域における画質が他の領域と比べて高くなる。
【0067】
[PET−CT装置による処理]
図13を用いて、実施例1に係るPET−CT装置100による処理の流れの一例を示す。図13は、実施例1に係るPET−CT装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0068】
図13に示すように、PET−CT装置100では、撮像指示を受信すると(ステップS101肯定)、X線CT画像撮像処理部522が、X線CTスキャナ300を動作させ、X線CT画像を撮像する(ステップS102)。つまり、X線CT画像撮像処理部522は、撮像形態画像を撮像する。例えば、X線CT画像撮像処理部522は、コロナル面におけるスキャノ画像を撮像し、サジタル面におけるスキャノ画像を撮像する。
【0069】
また、画像取得部523は、予め記憶された形態画像を画像取得部523から取得する(ステップS103)。つまり、画像取得部523は、取得形態画像を取得する。例えば、画像取得部523は、被検体について過去に撮像されたアキシャル画像とコロナル画像とサジタル画像とを取得する。
【0070】
そして、位置取得部524は、関心領域に対応する取得形態画像内の位置を取得する(ステップS104)。例えば、位置取得部524は、取得形態画像に対応付けられたPET画像にて他の領域と比較して画素値が高い領域を特定し、特定したPET画像内の位置に紐付けられた取得形態画像内の位置を取得する。
【0071】
そして、変換部525は、撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係を識別する(ステップS105)。例えば、変換部525は、被検体の肩骨の位置611と背骨の位置612とを撮像形態画像内にて識別し、被検体の肩骨の位置621と背骨の位置622とを取得形態画像内にて識別する。そして、変換部525は、撮像形態画像において識別した位置と、取得形態画像内において識別した位置とを対応付けることで、撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係を識別する。そして、変換部525は、識別した対応関係に基づいて、位置取得部524により取得された取得形態画像内の位置を撮像形態画像内の位置に変換する(ステップS106)。
【0072】
そして、位置関係調整部526は、変換部525による変換結果となる撮像形態画像内の位置に基づいて、検出器210と被検体との位置関係を調整する(ステップS107)。例えば、位置関係調整部526は、変換部525による変換結果となる撮像形態画像内の位置がPETスキャナ200の有効視野の中心に位置するように調整する。
【0073】
そして、PET画像再構成部521は、PETスキャナ200を動作させてPET画像を再構成する(ステップS108)。
【0074】
なお、上記の処理手順は、上記の順番に限定されるものではなく、処理内容を矛盾させない範囲で適宜変更しても良い。例えば、上記のステップS102をS101の前に実行しても良く、並行して実行しても良い。
【0075】
[実施例1の効果]
上述したように、実施例1によれば、PET−CT装置100は、被検体の形態画像を予め記憶する。また、PET−CT装置100は、被検体について予め記憶された形態画像を過去画像テーブル511から取得し、得された形態画像である取得形態画像内の位置であって、取得形態画像と紐づけて撮像された機能画像において特定される関心領域に対応する位置を取得する。そして、PET−CT装置100は、撮像した形態画像である撮像形態画像内の位置と取得形態画像内の位置との対応関係に基づいて、取得した取得形態内の位置を撮像形態画像内の位置に変換する。そして、PET−CT装置100は、変換結果となる撮像形態画像内の位置に基づいて、検出器210と被検体との位置関係を調整する。この結果、関心領域にて陽電子放出核種から放出される一対の放射線の検出効率が、他の位置における検出効率と比較して高くでき、関心領域の画質を他の領域と比較して良好にすることが可能である。
【0076】
また、上述したように、実施例1によれば、PET−CT装置100は、位置変換部による変換結果となる位置がPSTスキャナ200の有効視野の中心になるように位置関係を調整する。この結果、関心領域にて陽電子放出核種から放出される一対の放射線の検出効率が、他の位置における検出効率と比較して高くでき、関心領域の画質を他の領域と比較して良好にすることが可能である。
【実施例2】
【0077】
さて、これまで実施例1について説明したが、その他の実施形態にて実施されても良い。そこで、以下では、その他の実施例について説明する。
【0078】
[形態画像]
例えば、上述した実施例では、X線CTスキャナ300を用いて被検体の形態画像を撮像する場合を用いて説明した。ただし、X線CTスキャナ300を用いて形態画像を撮像しなくても良く、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)を用いて形態画像を撮像して良く、任意の装置を用いて形態画像を撮像して良い。
【0079】
また、上述した実施例では、過去画像テーブル511が形態画像としてX線CT画像を記憶する場合を用いて説明した。ただし、過去画像テーブル511がX線CT画像を記憶しなくても良く、例えば、MRI画像を記憶しても良く、任意の形態画像を記憶して良い。
【0080】
[過去画像テーブル]
また、例えば、上述した実施例では、過去画像テーブル511が形態画像と機能画像とを記憶する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、過去画像テーブル511は、形態画像と、形態画像内にある関心領域の位置とを対応付けて記憶しても良い。形態画像内にある関心領域の位置は、形態画像と紐づけて撮像された機能画像において特定される。
【0081】
また、例えば、過去画像テーブル511は形態画像のみを記憶しても良い。この場合、例えば、PET−CT装置100は、過去画像テーブル511により記憶された形態画像内の位置であって関心領域に対応する位置を利用者から受け付ける。
【0082】
[関心領域の位置]
また、例えば、上述した実施例では、位置取得部524がPET画像において他の領域と比較して画素値が高い領域を特定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、位置取得部524は、画像取得部523により取得された形態画像に対応付けられた機能画像を過去画像テーブル511から取得し、取得した機能画像を利用者に出力しても良い。この場合、位置取得部524は、出力した機能画像内にある関心領域の位置を利用者から受け付け、受け付けた位置に紐付けられた形態画像内の位置を取得しても良い。
【0083】
[X線の線量]
また、例えば、X線CT画像撮像処理部522は、X線CTスキャナ300により放出される放射線の線量を通常よりも低く設定した上で、X線CT画像やスキャノ画像を取得しても良い。上述したように、X線CT画像撮像処理部522により取得される形態画像は、位置合わせに用いられるに留まるからである。この結果、被検体の被ばく量を抑えることが可能である。
【0084】
[対応関係]
また、例えば、上述した実施例では、変換部525が被検体の特徴部分を識別して用いることで、対応関係を識別する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、変換部525は、取得形態画像と撮像形態画像とを利用者に出力し、取得形態画像と撮像形態画像との対応関係を利用者が設定しても良い。
【0085】
[天板の位置]
また、例えば、上述した実施例では、天板の位置をX軸方向とY軸方向とZ軸方向とに移動する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、天板の位置がX軸方向とY軸方向とに移動する一方、Z軸方向に移動しない場合には、X軸方向とY軸方向とに移動しても良い。
【0086】
[関心領域が複数ある場合]
また、例えば、位置関係調整部526は、関心領域が複数あり位置取得部524により複数の位置が取得された場合に、複数の位置の重心を算出し、算出された重心の位置がPETスキャナ200の有効視野の中心になるように位置関係を調整しても良い。また、操作者が複数の位置から重要と判断した一つの位置を指定しても良い。この結果、複数ある関心領域各々についての機能画像を精度良く撮像可能である。
【0087】
[計数情報]
また、例えば、上述した実施例では、コンソール装置500がPETスキャナ200から計数情報を受信して用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コンソール装置500は、PETスキャナ200から検出器210による検出結果そのものを受信しても良い。この場合、コンソール装置500は、光電子増倍管213から出力される波形データそのものを受信し、受信した波形データから計数情報を生成する。
【0088】
[同時計数情報]
また、例えば、上述した実施例では、コンソール装置500がPETスキャナ200から計数情報を受信し同時計数情報を生成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、PETスキャナ200は、計数情報から同時計数情報を生成し、生成した同時計数情報をコンソール装置500に送信しても良い。
【0089】
[放射線イメージング装置]
また、例えば、上述した実施例では、PET−CT装置を用いて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、SPECT―CT装置でも良く、PET―MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置でも良く、SPECT―MRI装置でも良く、任意の装置であって良い。
【0090】
[過去画像テーブルを用いない手法]
また、例えば、放射線イメージング装置は、過去画像テーブル511を用いることなく、検出器と被検体との位置関係を調整しても良い。図14は、過去画像テーブルを用いないコンソール装置の構成の一例を示すブロック図である。以下では、図8に示した実施例1におけるコンソール装置と同様の点については、同一の符号を用いた上で、説明を省略する。
【0091】
図14に示す例では、説明の便宜上、コンソール装置700に加えて、PETスキャナ200とX線CTスキャナ300とを併せて示した。図14に示す例では、コンソール装置500は、入出力部501と、記憶部710と、制御部720とを有する。記憶部710は、制御部720と接続される。記憶部710は、制御部720による各種処理に用いるデータを記憶する。
【0092】
制御部720は、入出力部501及び記憶部710と接続される。制御部720は、各種の処理手順などを規定したプログラムを記憶する内部メモリを有し、種々の処理を制御する。制御部720は、例えば、ASIC、FPGA、CPU、MPUなどの電子回路が該当する。図14に示す例では、制御部720は、PET画像再構成部521と、X線CT画像撮像処理部522と、特定部721と、位置関係調整部722とを有する。
【0093】
特定部721は、撮像された撮像形態画像において、関心領域の位置を特定する。例えば、特定部721は、撮像形態画像における関心領域の位置を特定する特定操作を該利用者から受け付けることで、関心領域の位置を特定する。
【0094】
より詳細な一例をあげて説明する。X線CT画像撮像処理部は、スキャノ画像やX線CT画像を撮像する。ここで、特定部721は、X線CT画像撮像処理部により撮像されたスキャノ画像やX線CT画像を入出力部501を介して利用者に出力し、出力されたスキャノ画像やX線CT画像内の位置を特定する特定操作を入出力部501を介して利用者から受け付ける。そして、特定部721は、利用者から受け付けた特定操作により特定される位置を関心領域の位置として特定する。
【0095】
また、例えば、特定部721は、撮像形態画像内における位置を特定する特定情報を予め記憶しておき、特定情報に基づいて撮像形態画像における関心領域の位置を特定しても良い。特定部721は、特定情報として、例えば、「頭部」や「耳」、「心臓」などの被検体の部位の名称を記憶する。そして、特定部721は、特定情報により示される部位の位置を撮像形態画像から特定する。
【0096】
位置関係調整部722は、特定部721により特定された撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と被検体との位置関係を調整する。
【0097】
図15は、過去画像テーブルを用いない場合における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0098】
図15に示すように、撮像指示を受信すると(ステップS201肯定)、X線CT画像撮像処理部522が、X線CTスキャナ300を動作させ、X線CT画像を撮像する(ステップS202)。つまり、X線CT画像撮像処理部522は、撮像形態画像を撮像する。例えば、X線CT画像撮像処理部522は、被検体のスキャノ画像を撮像する。
【0099】
そして、特定部721は、撮像された撮像形態画像において、関心領域の位置を特定する(ステップS203)。例えば、スキャノ画像内における位置を利用者から受け付けることで、関心領域の位置を特定する。
【0100】
そして、位置関係調整部526は、特定部721により特定された撮像形態画像内の位置に基づいて、検出器210と被検体との位置関係を調整する(ステップS204)。例えば、位置関係調整部526は、特定部721により特定された関心領域の位置がPETスキャナ200の有効視野の中心に位置するように調整する。
【0101】
そして、PET画像再構成部521は、PETスキャナ200を動作させてPET画像を再構成する(ステップS205)。
【0102】
上述したように、過去画像テーブルを用いない手法では、過去画像テーブルを用いることなく、関心領域の画質を他の領域と比較して良好にすることが可能である。
【0103】
[システム構成]
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については(図1〜図15)、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0104】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、上述した実施例では、コンソール装置500が、PET画像やX線CT画像を再構成し、放射線を検出した回数に基づいた判定を実行する場合を例に示したが、これに限定されるものではない。例えば、PET画像を再構成する制御部がコンソール装置500とは別装置であっても良い。この場合、PET画像を再構成する制御部は、PET−CT装置100の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしても良い。
【0105】
[その他]
なお、本実施例で説明したPET−CT装置100の制御プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0106】
[実施例の効果]
上述したように、実施例1や2によれば、関心領域の画質を他の領域と比較して良好にすることが可能である。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0108】
100 PET−CT装置
200 PETスキャナ
210 検出器
211 シンチレータ
212 ライトガイド
213 光電子増倍管
300 X線CTスキャナ
301 X線管
302 X線検出器
400 寝台
401 天板
402 被検体
500 コンソール装置
501 入出力部
510 記憶部
511 過去画像テーブル
520 制御部
521 PET画像再構成部
522 X線CT画像撮像処理部
523 画像取得部
524 位置取得部
525 変換部
526 位置関係調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の形態画像を予め記憶する記憶部と、
前記被検体の形態画像を撮像する形態画像撮像部と、
前記形態画像撮像部により撮像される撮像被検体について予め記憶された形態画像を前記記憶部から取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された形態画像である取得形態画像内の位置であって、当該取得形態画像と関連づけて撮像された機能画像において特定される関心領域に対応する位置を取得する位置取得部と、
前記形態画像撮像部により撮像された形態画像である撮像形態画像内の位置と前記取得形態画像内の位置との対応関係に基づいて、前記位置取得部により取得された当該取得形態画像内の位置を当該撮像形態画像内の位置に変換する変換部と、
前記変換部による変換結果となる前記撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と前記被検体との位置関係を調整する位置関係調整部と
を備えたことを特徴とする放射線イメージング装置。
【請求項2】
前記位置関係調整部は、前記変換部による変換結果となる位置が前記検出器の有効視野の中心になるように前記位置関係を調整することを特徴とする請求項1に記載の放射線イメージング装置。
【請求項3】
前記位置関係調整部は、前記位置取得部により複数の位置が取得された場合に、当該複数の位置の重心を算出し、算出された重心の位置が前記検出器の有効視野の中心になるように前記位置関係を調整することを特徴とする請求項2に記載の放射線イメージング装置。
【請求項4】
前記位置関係調整部は、前記位置取得部により複数の位置が取得された場合に、当該複数の位置のうち操作者に選択した位置が前記検出器の有効視野の中心になるように前記位置関係を調整することを特徴とする請求項2に記載の放射線イメージング装置。
【請求項5】
コンピュータが、
前記被検体の形態画像を撮像する形態画像撮像ステップと、
前記形態画像撮像ステップにより撮像される撮像被検体について所定の記憶部に予め記憶された形態画像を前記記憶部から取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにより取得された形態画像である取得形態画像内の位置であって、当該取得形態画像と関連づけて撮像された機能画像において特定される関心領域に対応する位置を取得する位置取得ステップと、
前記形態画像撮像ステップにより撮像された形態画像である撮像形態画像内の位置と前記取得形態画像内の位置との対応関係に基づいて、前記位置取得ステップにより取得された当該取得形態画像内の位置を当該撮像形態画像内の位置に変換する変換ステップと、
前記変換ステップによる変換結果となる前記撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と前記被検体との位置関係を調整する位置関係調整ステップと
を実行することを特徴とする制御方法。
【請求項6】
前記被検体の形態画像を撮像する形態画像撮像手順と、
前記形態画像撮像手順により撮像される撮像被検体について所定の記憶部に予め記憶された形態画像を前記記憶部から取得する画像取得手順と、
前記画像取得手順により取得された形態画像である取得形態画像内の位置であって、当該取得形態画像と関連づけて撮像された機能画像において特定される関心領域に対応する位置を取得する位置取得手順と、
前記形態画像撮像手順により撮像された形態画像である撮像形態画像内の位置と前記取得形態画像内の位置との対応関係に基づいて、前記位置取得手順により取得された当該取得形態画像内の位置を当該撮像形態画像内の位置に変換する変換手順と、
前記変換手順による変換結果となる前記撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と前記被検体との位置関係を調整する位置関係調整手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項7】
被検体の形態画像を撮像する形態画像撮像部と、
前記形態画像撮像部により撮像された撮像形態画像において、関心領域の位置を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と前記被検体との位置関係を調整する位置関係調整部と
を備えたことを特徴とする放射線イメージング装置。
【請求項8】
前記特定部は、前記撮像形態画像における前記関心領域の位置を特定する特定操作を該利用者から受け付けることで、該関心領域の位置を特定することを特徴とする請求項7に記載の放射線イメージング装置。
【請求項9】
コンピュータが、
被検体の形態画像を撮像する形態画像撮像ステップと、
前記形態画像撮像ステップにより撮像された撮像形態画像において、関心領域の位置を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定された前記撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と前記被検体との位置関係を調整する位置関係調整ステップと
を実行することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
被検体の形態画像を撮像する形態画像撮像手順と、
前記形態画像撮像手順により撮像された撮像形態画像において、関心領域の位置を特定する特定手順と、
前記特定手順により特定された前記撮像形態画像内の位置に基づいて、核医学画像を生成するための放射線を検出する検出器と前記被検体との位置関係を調整する位置関係調整手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−13680(P2012−13680A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106280(P2011−106280)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】