説明

放射線ビーム分析器及び放射線ビーム分析方法

サイバーナイフ(登録商標)によって生成される放射線の分布及び強度を測定する放射線ビーム分析器である。当該分析器は、センサが配されている小さな水タンクを使用する。センサと放射線源との間の距離は変化しない。水タンクがセンサに対して上昇及び下降させられて、患者の体内の疾患の位置がシュミレーションされる。このタンクの移動は、サイバーナイフ(登録商標)からの放射線が、患者内の疾患の適切な治療のために適切にキャリブレーション及び調整されることを可能にする。第2の実施形態において、放射線ビーム分析器は、放射線源によって生成された放射線の分布及び強度を測定する。分析器は、センサまたは検出器が配される小さな水タンクを使用する。センサと放射線源との間の距離は変化しない。SAD(線源と軸との距離)を一定に維持する2つの方法が存在する。第1の方法は、検出器を保持するホルダを用いて検出器の位置を固定し、小さな水タンクを上昇または下降させる方法である。第2の方法は、上昇及び下降機構を用いて検出器を上方または下方に一方の方向に移動させ、同時に、他の上昇及び下降機構を用いて小さな水タンクを逆の方向に移動させる方法である。第2の方法もSADを一定に維持する。これらの方法は、放射線源に対して検出器を位置決めして、患者の体内の疾患の位置をシミュレートする。このタンクの移動は、放射線ビーム源が、適切にアイソセントリックに測定されることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線形加速器または他の放射線生成デバイスの目標位置における放射線量を測定する方法及びデバイスに関し、特に、衰弱した肺、脳、脊椎骨、肝臓、膵臓及び腎臓を含む人体の至る所の癌性腫瘍及び非癌性腫瘍の非侵襲性治療のための放射線治療システムと共に使用されるサイバーナイフ(登録商標)、線形加速器または他の放射線生成デバイスからの放射線量の監視及び測定に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍の治療のための様々な周知の医療技術は、放射線の使用を伴う。放射線源(例えば、医療用線形加速器)が、患者の特定の目標領域に向けられた放射線を生成するのに通常は使用されている。患者の悪性腫瘍領域に向けられた放射線の適正量は、最も重要である。適正に照射された場合、放射線は、患者の悪性組織にイオン化効果をもたらすので、悪性細胞が破壊される。照射された放射線の用量決定が適切に監視されている限り、悪性腫瘍は、周囲の健康な身体組織に障害をもたらすことなく治療される。これらの治療の目標は、周囲の健康な組織の放射線の被爆を最小限にしつつ、腫瘍または悪性細胞に大量の放射線を集中させることである。加速器を使用して放射線を供給してもよい。異なった加速器は、様々な特性及び出力レベルを有している。最も一般的なタイプの加速器は、パルス放射を生成する。出力ビームは、断面において矩形形状を有し、断面領域は、通常は1から1600平方センチメートル(cm2)の間である。好ましくは、断面領域または場(field)の大きさは、1×1平方センチメートル(cm2)と40×40平方センチメートル(cm2)との間である。矩形または正方形の断面形状は、モールド成形もしくはキャスト成形のリードまたはセロベンド(cerrobend)材料を用いて、しばしば、任意の所望の断面形状に変更される。さらに、高度な加速器は、マルチリーフコリメータを用いている。他の加速器は、コバルト放射線装置のように連続的すなわち非パルスである。いくつかの加速器は、電磁場変更手段によって治療範囲全体に亘って非常に細い電子ビームを送る、掃引電子ビームを用いる。
【0003】
適切な用量決定(dosimetry)を保証するために、悪性腫瘍の治療に使用される線形加速器はキャリブレーションされなければならない。電子放射及び光子放射の両方は、適切に測定されて特定のデバイスと関連付けられなければならない。技術を有している施術者は、放射線治療の強度及び時間の両方が注意深く計算されて管理され、患者の安全が維持されつつ所望の治療結果がもたらされることを保証しなければならない。平坦度、対称性、放射線及び光線範囲アラインメント等のパラメータは、一般的に規定されている。過度の放射線の使用は、実際上、副作用をもたらし、周囲の組織に有害な効果をもたらす。不十分な量の放射線の使用は、悪性腫瘍を除去・消滅させるのに効果的な放射線量をもたらすことができない。従って、特定の装置によって生成される正確な放射線量、及び放射線の患者の体内での分布態様を判定可能にすることが重要である。
【0004】
目標領域において患者が受ける放射線の正確な評価をもたらすために、患者の体内の様々な位置におけるいくつかの放射線パターンまたはマップが生成されるべきである。これらのプロファイルは、1)深部量百分率プロファイルをもたらす、水深に伴う放射線量の変化、2)クロス(断面)ビームプロファイル(cross beam profile)をもたらす、放射線源に垂直な平面の放射線量の変化、及び3)SAD(線源と軸との距離)が一定のプロファイルである場合に深部量百分率及びTMR/TPR(組織最大線量比/組織ファントム線量比)をもたらす、水深に伴う放射線量の変化と相関する。これらの特定のクロスビームプロファイル測定が、本発明において特に検討される事項である。他の分析にも有用であるが、放射方向平面及び横方向平面の両方におけるクロスプロファイルのアラインメントが本発明の中心である。
【0005】
病院及び治療センターにキャリブレーションサービスを提供する会社が存在する。これらの物理学者は、施設を訪問して自分たちの装置で放射線源のキャリブレーションを実施しなければならない。このことは、軽量で、容易に携帯でき、扱い難くなく、現場で迅速に組み立て可能でかつ解体可能な放射線測定デバイスを必要とする。実際の検査は、迅速であり、短時間で取得可能な結果を伴うべきである。このような装置は、物理学者の効率をさらに向上させ、短時間でさらに多くの放射線装置をキャリブレーション可能にする。
【0006】
医療用線形加速器によって生成される放射線の測定のための従来のシステムは、水で満たされている約50cm×50cm×50cmの大きなタンクを使用する。モータによって制御されているコンピュータのグループが、水面の真下にある単一軸に沿って、プログラミングされた一連のステップを通して放射線検出器を移動させる。人体の密度が水の密度に非常に近いため、水で満たされたタンクは、患者の身体の中で起きるだろう放射線の分布及び強度の両方のシミュレーションを生成する適切な媒体を提供する。上述のタンクは、一般的に水ファントムと称される。線形加速器によって生成される放射線は、ファントムタンク内の水の中に向けられ、水の中の様々な深さ及び位置における放射線の強度が放射線検出器で測定され得る。放射線が水に進入すると、直進ビームすなわち一次ビームは、放射線ビームが人体に当たった場合とほぼ同様に、水によって散乱させられる。散乱させられた放射線及び一次放射線は、放射線検出器の一部であるイオンチャンバによってまたは放射線感知ダイオードによって検出される。
【0007】
イオンチャンバは、本質的には、その体積の中で生成されるイオンの数に対応する電流を生成するオープンエア型のキャパシタである。検出器がファントムタンク内の測定点に降下させられて、測定が特定時間に亘って行われる。その後、検出器は、測定が行われる他の測定点に移動させられて、検出器が第2の点で保持され得る。測定点の各々において、検出器が固定保持されつつ、統計的に有意な数のサンプルが取得される。
【0008】
放射線治療及び放射線手術において、例えば、腫瘍は、腫瘍内の細胞を殺すイオン化放射線ビームによって、非侵襲に破壊されてもよい。放射線ビームを腫瘍のみに当てて、腫瘍の周囲の健康な組織に当てないことが望ましい。従って、腫瘍に向けたビームの正確な照準がこれらの放射線治療において非常に重要である。目標は、周囲の健康な組織の放射線被曝を最小限にしつつ、腫瘍に高線量の放射線を集中させることである。腫瘍に対する放射線量を適切な分布にするために、通常は、放射線ビームの方向が治療の間に調整されて腫瘍が追跡される。
【0009】
アキュレイ社のサイバーナイフ(登録商標)ロボティックラジオサージェリーシステム等の最も高度で最新の放射線手術システムは、治療の間、ステレオオンライン(stereo online)X線撮像を使用して、放射線治療の精度を向上させる。患者の骨の目標物(例えば、頭蓋骨)の位置は、サイバーナイフ(登録商標)ステレオX線カメラシステムを用いることによって、高い精度で判定可能である。従って、この高精度のX線カメラシステムは、骨の目標物と目標領域との相対的位置が一定である場合に、目標領域を治療するために使用可能である。しかし、X線カメラシステムは、目標(例えば、腫瘍)がX線画像内で通常は視覚できない故に目標領域と骨の目標物との相対位置が変化する場合、目標領域の位置を判定するために使用することはできない。例えば、患者の腹部及び胸部内の目標領域は、この方法のみでは治療できない。
【0010】
画像誘導システムは、サイバーナイフ(登録商標)システムの適切な操作に必要不可欠である。画像誘導システムを制御するために開発された第1の方法は、6Dまたは頭蓋骨ベース追跡として知られていた。X線カメラが画像を生成し、当該画像は、患者人体デジタル再構築放射線写真(DDR)のコンピュータ生成画像のライブラリと比較され、コンピュータアルゴリズムが、患者の移動の故に、どの動作補正がロボットに与えられなければならないのかを判定する。この撮像システムは、サイバーナイフ(登録商標)に、患者の頭蓋骨に取り付けられる機械的なクランプを使用すること無しに、0.5mmの精度で放射線を供給することを可能とする。画像誘導される技術の使用は、無フレーム定位固定放射線手術と称される。この方法は、補正が3つの並進動作(X、Y及びZ)及び3つの回転動作に関してなされる故に、6Dと称される。
【0011】
従来技術の説明
いくつかの従来技術のデバイスは、特定の加速器の使用法に加えて特定の加速器の適切な用量決定を確実にする教育システムにおいて知られている。
【0012】
sofieldによる米国特許第5,621,214号及び5,627,367号は、ピーク検出法を使用する放射線ビームスキャナシステムに関する。この装置は、水ファントム内に設けられている単一の軸を含んでいる。使用において、水ファントムは水平にされなければならず、基準検出器は、電気ステッパモータによって信号検出器が当該単一の軸に沿って上昇及び下降させられている間、ビーム内のある点に固定され続けている。これらの装置が水ファントムを使用する限り、信号検出器の移動は単一の軸に沿った移動に限定され、これらの装置は、ビームの平面的スキャンしか提供できない。
【0013】
Gentry等による米国特許出願公開第2006/0033044 A1号は、マルチエネルギ電子ビーム放射線治療のための治療計画ツールに関する。このシステムは、標準的な単一の電子ビーム放射線治療装置を用いたマルチエネルギ電子ビーム治療を可能にするスタンドアローン型の計算機からなり、より良い放射線量プロファイルを提供する。ユーザが規定した深度−放射線量プロファイルを使用することによって、計算機は、現在の標準的な幅広い種類の電子ビーム放射線治療システムと共に機能し得る。
【0014】
本願発明の発明者であるNavarroによる米国特許第6,225,622号(特許取得日2001年5月1日)には、固定放射線ビームを通してイオンチャンバを移動させて、ビームの領域内の様々な点における放射線強度の測定値を収集するダイナミック放射線測定装置が記載されている。当該特許の開示内容は、参照することによって本明細書に包含されている。
【0015】
Westerlundによる米国特許第4,988,866号(特許取得日1991年1月29日)は、放射線治療に使用される治療機器からの放射線場(radiation field)をチェックする測定装置に関する。この装置は、カバープレートの真下に配されている放射線検出器を含む測定ブロックを含み、かつ放射線場マーキングライン及びエネルギフィルタを備えている。検出器は、信号を処理して測定値を表示する読み出しユニットに接続されている。放射線量監視キャリブレーション検出器は、特定の幾何学的パターンで固定され、放射線場の一様性を判定する。使用において、この測定デバイスは、測定ブロック内の一定位置にある単一の放射線源によって放射されている放射線の総量を同時にチェック可能である。
【0016】
Schmidt等による米国特許出願公開第2005/0173648 A1号は、高エネルギ治療放射線に関するワイヤフリーのデュアルモードキャリブレーション機器に関する。この装置は、対向する第1及び第2の面を有して、当該第1の面と第2の面との間に検出器のセットを保持するハウジングを含む。電子のための第1のキャリブレーション材が配されて、第1の面を通過して検出器に向かう電子が途中で捕捉され、光子のための第2のキャリブレーション材が配されて、第2の面を通過して当該検出器に向かう光子が途中で捕捉される。
【0017】
これらの装置は、水ファントムを使用せず、さらに全てのイオン化検出器が1つの平面になければならない。このことは、放射線治療下で人体に垂直に当たる散乱及び直接放射線の組み合わせの適切な三次元評価をもたらさない。従って、実際の状況における正確な放射線測定は、これらの装置を用いては容易には確実にすることはできない。
【0018】
Attixによる米国特許第5,006,714号(特許取得日1991年4月9日)は、放射線を直接は測定しないが、放射線源の比例光出力を測定する特定のタイプのシンチレータ線量測定プローブを使用する。このプローブは、原子番号及び電子密度が水または筋肉組織に近いポリマ材内に設けられる。Attixは、このような検出器の使用が、ファントム水タンク内における摂動を最小化することを示している。
【0019】
さらに、従来の水ファントムよりも小さい体積の水を使用するウェルホーファーボトルシップ(wellhofer bottle-ship)と称される装置も存在する。このウェルホーファーデバイスは、タイミングベルトとモータの組み合わせを使用して、水の中の検出器を移動させるので、長い初期始動時間が必要である。
【0020】
従って、携帯可能な、モジュール式の放射線ビーム測定デバイスへの必要性が存在する。このデバイスは、様々な場所で使用して様々なサイバーナイフ(登録商標)システムをキャリブレーションするために、迅速な組立及び解体が可能であるべきである。このデバイスは、サイバーナイフ(登録商標)から発せられる放射線の繰り返しの正確な検出が可能であるべきである。サイバーナイフ(登録商標)と治療される部分(例えば、腫瘍)との間の距離が、このシステムによって一定に維持されるので、このデバイスは、比較的小さな体積の水または他の流体を使用すべきである。
【0021】
上述の従来技術のデバイスには、深度によるTMR/TPR(組織最大線量比/組織ファントム線量比)の直接測定値及びアイソセントリック(isocentric)クロスプロファイルをもたらす、高速かつ正確なアイソセントリック測定の実施を可能にするものがない。携帯可能な、モジュール式の放射線ビーム測定デバイスへの必要性も存在する。このデバイスは、様々な場所で使用して様々なアイソセントリック放射線ビームシステムをキャリブレーションするために、迅速な組立及び解体が可能であるべきである。アイソセントリック放射線ビーム源と治療される部分(例えば、腫瘍)との間の距離が、このシステムによって一定に維持されるので、このデバイスは、比較的小さな体積の水を使用すべきである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の実施形態は、サイバーナイフ(登録商標)によって生成される放射線の分布及び強度を測定する放射線ビーム分析器を取り入れている。分析器は、比較的小型の水タンクを用いており、当該タンク内部にセンサが配されている。センサと放射線源との間の距離は変化させられない。水タンクがセンサに対して持ち上げられかつ下に降ろされて、患者の体内の疾患の位置がシミュレーションされる。タンクのこの動きは、サイバーナイフ(登録商標)からの放射線が、患者内の疾患の適切な治療のために適切にキャリブレーションされかつ調整されることを可能にする。
【0023】
本発明の他の実施形態は、放射線源によって生成される放射線の分布及び強度を測定する放射線ビーム分析器を取り入れている。この分析器は、比較的小型の水タンクを用いており、当該タンク内部にセンサまたは検出器が配されている。センサと放射線源との間の距離は変化させられない。SAD(線源から軸の距離)を一定に維持する2つの方法が存在する。第1の方法は、検出器の位置を固定維持して、検出器を保持するためのホルダを使用し、小型の水タンクを上昇または下降させる方法である。第2の方法は、上昇及び下降機構を用いて検出器を上方または下方に一方の方向に移動させ、他の上昇及び下降機構を用いて、小型の水タンクを他方の方向に同期的に移動させる方法である。第2の方法も、SADを一定に維持する。これらの方法は、放射線源に対して検出器を位置決めし、患者体内の疾患の位置をシミュレーションする。このタンクの移動は、アイソセントリック放射線ビーム源からの放射線が適切にアイソセントリックに測定されることを可能にする。
【0024】
従って、本発明の目的は、放射線手術を実施するためまたは疾患を治療するために使用される線形加速器またはサイバーナイフ(登録商標)からの放射線の正確な測定をもたらすことである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、患者の身体内の疾患に対して、線形加速器またはサイバーナイフ(登録商標)を正確に位置決めすることである。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、疾患の治療のために必要とされる適切な放射線の量を判定するために、固定されたセンサに対して移動させられる比較的小型の水タンクを含むモジュラー式放射線デバイスを提供することである。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、水タンクの移動及びサイバーナイフ(登録商標)からの放射線の測定を電気的に制御するシステム及び方法を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、放射線検出器を正確に位置決めすること及び測定の高い再現性を得ることである。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、疾患の治療のために必要とされる適切な放射線の量を判定するために、固定された検出器またはセンサに対して移動させられる比較的小型の水タンクを含むモジュラー式放射線デバイスを提供することである。
【0030】
本発明のさらに他の目的は、比較的小型の水タンクの移動、及びアイソセントリック放射線ビーム源からの放射線の測定のために当該タンク内に設けられている検出器またはセンサの移動を電気的に制御するシステム及び方法を提供することである。
【0031】
本発明の他の目的及び利点は、本発明のいくつかの実施形態が説明及び例示によって記載されている、添付の図面とともになされる以下の説明から明らかになるだろう。本出願に含まれている図面は、この明細書の一部を構成し、本発明の例示の実施形態を含みかつ本発明の様々な物体及び特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、サイバーナイフ(登録商標)からの放射線の測定に使用している本発明の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の前面図である。
【図3】図3は、本発明の側面図である。
【図4】図4は、本発明の上面斜視図である。
【図5】図5は、本発明の拡大前面図である。
【図6】図6は、本発明の測定タンクのみの拡大前面斜視図である。
【図7】図7は、アイソセントリック放射線ビーム源を使用して患者を治療する従来の放射線治療システムの斜視図である。
【図8】図8は、小型のタンクを含みかつ持ち上げられた位置にある検出器を有する本発明の第2の実施形態の前面図である。
【図9】図9は、小型のタンクを含みかつ下に降ろされた位置にあるセンサを有する本発明の第2の実施形態の前面図である。
【図10】図10は、持ち上げられた位置にある検出器を有する小型のタンクを含む本発明の第2の実施形態の側面図である。
【図11】図11は、持ち上げられた位置にある検出器を有する本発明の第2の実施形態の小型のタンクの側面図である。
【図12】図12は、下に降ろされた位置にある検出器を有する本発明の第2の実施形態の小型のタンクの側面図である。
【図13】図13は、下に降ろされた位置にある検出器を有する本発明の第2の実施形態の小型のタンクの背面斜視図である。
【図14】図14は、下に降ろされた位置にある検出器を有する本発明の第2の実施形態の小型のタンクの背面斜視図である。
【図15】図15は、アイソセントリック放射線ビーム源からの放射線の測定に使用されている本発明の第2の実施形態の斜視図である。
【図16A−16B】図16A及び16Bは、アイソセントリック深度スキャン(TMP)及び断面プロファイルの結果である。
【図17】図17は、本発明の第3の実施形態の斜視図である。
【図18】図18は、本発明の第3の実施形態の端面図である。
【図19】図19は、本発明の第3の実施形態の前面図である。
【図20】図20は、本発明の第3の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は様々な態様で実施可能であり、現在好ましい実施形態だが限定するものではない実施形態が図面内に示されかつ以下に説明され、本開示は本発明の例示として考えられるべきであり、かつ本開示が本発明を、説明されている特定の実施形態に限定することを目的としていないことが理解される。
【0034】
本発明は、正確に、精度良くかつ迅速に、サイバーナイフ(登録商標)によって生成される放射線を測定するように構成されている。放射線手術に使用されるデバイスからの放射線のダイナミックファントム(Dynamic phantom)及びダイレクトTMP/TPR直接測定(Direct TMP/TRP Direct Measurement)は、本明細書において参照されている本願出願人に関連する特許出願において以前に記載されている。これら2つの測定方法の組み合わせ、及びこれらの測定方法の特徴のいくつかの変更は、以下に説明される本発明をもたらす。
【0035】
ダイナミックファントム及びダイレクトTMR/TPR直接測定の基本概念は同一であるが、本発明は、ダイナミックファントムと同様であるがTMR/TPRとは異なり、水を必要とするが固体水は必要としない。放射線は、タンク頂部の放射線源から与えられ、本願出願人の以前のTMR/TPR測定のように横方向に与えられはしない。本発明は、非常に小さな容積を有するタンクの使用も可能にする。従来技術のタンク容量が100リットルに対し、好ましい実施形態において、タンクの容量は2.5リットルである。
【0036】
図1−6を参照すると、放射線手術システム内のサイバーナイフ(登録商標)12によって生成された放射線の分布及び強度を測定するためのモジュラー式放射線ビーム分析器10を含む本発明の第1の実施形態が示されている。放射線ビーム14は、サイバーナイフ(登録商標)12から、実質的に垂直方向に発射される。ビーム14は、非常にシャープであり、1ミリメートル未満の精度で患者において位置決めされることが可能である。ビーム14は、最小場サイズ直径0.5cmで最大場サイズ直径6cmを有するのが好ましい患者の領域を治療するために使用される。サイバーナイフ(登録商標)が使用されている放射線手術システムは、アイソセントリック法またはTMR/TPR(組織最大線量比/組織ファントム線量比)の直接測定を用いて行われるすべての放射線測定を必要とする。さらに、この放射線手術治療の精度の故に、放射線の測定は、非常に高い精度を必要とする。
【0037】
本発明の比較的小型のタンクは、実質的に比較的大型のタンク30を使用する測定デバイスのキャリッジ18上に配されている。大きな測定デバイスは、キャリッジ18が3つの異なった軸、X、Y及びZ方向に移動することを許容する。X軸は、タンク30の水平部に沿って伸長しており、図2において見ることが可能である。Y軸は、垂直方向に伸長しており、図2において見ることが可能である。Z軸は、タンク30の背部壁に向かってかつ背部壁から離れる方向に伸長しており、図3において見ることが可能である。ステッパモータ等の小型のモータが、3つの軸全てに沿ってキャリッジ18を移動させる。本発明は、Y方向のみに移動可能な第2のタンク16を含んでいる。ステッパモータは好ましい実施形態であるが、3つの軸の各々に沿ってキャリッジ18を移動させることが可能な任意のタイプのモータまたはデバイスが使用可能である。
【0038】
サイバーナイフ(登録商標)を使用する放射線手術システムにおいて、サイバーナイフ(登録商標)と、患者の治療される疾患(腫瘍等)との間の距離は一定に維持される。従って、治療される腫瘍または他の疾患が位置している患者の身体内の異なった位置または深度をシミュレーションするために、患者の身体内の部分の深度をシミュレーションする水の相対的な深度のみが、変化させられる必要がある。センサ32を第2のタンク16内の水の中の特定の深さに移動させることによって患者の身体内の正確な深度または位置がシミュレーションされると、サイバーナイフ(登録商標)からの放射線の量が調整されて腫瘍または疾患が適切に治療されることが可能になる。本発明は、第2のタンク16をY軸に沿って垂直に上方及び下方に移動させることでこのことを達成する。
【0039】
センサ32は、サポート34内に設けられるかまたは位置決めされる(図4、5及び6)。サポート34は、実質的に垂直なロッドまたはサポート36上に固定されている。同様に、サポート36は、実質的に水平なロッドまたはサポート38に接続されかつ支持されている。サポート36及び38に横方向に力を加える好ましい接続デバイス40が示されているが、任意の他のタイプの接続デバイス40も使用可能である。サポートまたはロッド38は、ガイドウェイ42に設けられている接続デバイス44を用いて、ガイドウェイ42に接続されている(図3)。サポート34は、サイバーナイフ(登録商標)12とセンサ32との距離が調整されて、サイバーナイフ(登録商標)12と治療される疾患との距離がシミュレーションされることを可能にする。サポート38及び34は、センサ32が、サイバーナイフ(登録商標)12からの放射線ビーム14にアラインメントされることを可能にする。
【0040】
ステッパモータまたは他の同様なデバイス(図示せず)は、Y軸に沿ってキャリッジ18を移動させる。このことは、疾患が患者の身体内部において配されている深度または高さをシミュレーションする。キャリッジ18は、キャリッジ18に固定されているサポートプレートまたはプラットフォーム44を有している(図5)。第2のタンク16の下部は、プラットフォーム44に移動自在に固定されているので、本発明の動作の間、タンクはキャリッジ18から脱落しない。第2のタンク16をプラットフォーム44に固定する様々な方法が存在し、当該方法は、締結、接着、溶接等を含むがこれらに限定されない。好ましい実施形態において、第2のタンク16はプラットフォーム44に取り外し可能に固定されているが、取り外せない態様で取り付けられていてもよい。
【0041】
第2のタンクは、実質的に、断面において正方形にかつ高さ方向において矩形に表されているが、好ましい実施形態は円筒状である。この円筒は、好ましくは、直径19cmで高さ40cmである。これは透明なアクリル材で形成される。様々な他の寸法及び重量を有しているタンクも使用可能である。タンクは、様々な他の材料からも形成可能である。
【0042】
本発明のこの実施形態は、本願出願人による米国特許出願シリアルナンバ第61/083,740号(出願日2008年7月25日、発明名称「Modular Radiation Beam Analyzer Software」)及び米国特許出願シリアルナンバ第11/510,275号(出願日2006年8月25日、発明名称「Convertible Radiation Beam Analyzer System」)のソフトウェア及びプログラムを使用して、ガイドウェイを操作するモータを制御し、データを取得し、当該データを分析し、当該データのグラフィック表示を提供し、適切な変更を伴ったデータを伝送する。
【0043】
本発明の実施形態は、単一のイオンチャンバまたはイオンチャンバのアレイとともに使用され得る。本発明の実施形態は、複数のダイオードとともに使用されてもよい。本発明は、従来の放射線治療とともに使用されてもよい。従来の放射線治療と共に使用される場合、第2のタンク16の寸法は、長さ14cm、幅14cm、高さ40cmである。
【0044】
本発明の他の実施形態は、正確に、精度良くかつ迅速に、放射線ビーム源によって生成された放射線ビームをアイソセントリックに測定するように設計されている。本発明の第2の実施形態も、サイバーナイフ(登録商標)放射線システムとともに使用され得る。放射線手術において用いられるデバイスからの放射線のダイナミックファントム測定及びTMR/TPR(組織最大線量比/組織ファントム線量比)関数の直接測定は、本明細書において参照されている本願出願人の関連特許出願において以前に説明されている。これらの2つの測定方法の組み合わせ、及びこれらの測定方法の特徴のいくつかの変更は、以下に説明されている本発明をもたらす。アイソセントリック放射線治療システムは、放射線源と患者の疾患との間の距離を一定に維持する。換言すれば、SAD(線源から軸までの距離)が一定である。放射線源は、図7及び図15に示しているように、マニピュレータ116を使用して、患者の周囲を旋回可能である。
【0045】
SAD(線源から軸までの距離)を一定に維持する方法は2つ存在する。第1の方法は、検出器を保持するホルダを使用して検出器の位置を固定して、小型の水タンクを上昇または下降させる。第2の方法は、上昇及び下降機構を用いて、検出器を一方の方向に上昇または下降移動させ、小型の第2の水タンクを、他の上昇及び下降機構を用いて、反対方向に同時に移動させる。第2の方法も、SADを一定に維持する。これらの方法は、放射線源に対して検出器を位置決めし、患者の体内の疾患の位置をシミュレーションする。タンクのこの移動は、放射線ビーム源からの放射線が、適切にアイソセントリックに測定されることを可能にする。
【0046】
ダイナミックファントム測定、及びTMR/TPR関数の直接測定の2つの基本概念は同一であるが、本発明のこの実施形態は、ダイナミックファントム測定と同様に固体水の代わりに水を使用してクロスビームプロファイルを測定可能である。本発明のこの第2の実施形態も、本願出願人の以前のTMR/TPR測定と同様の横方向ではなく、タンクの頂部にある線源から与えられる放射線を用いて、TMR/TPRの直接測定を実施可能である。最後に、これら2つの概念を組み合わせると、単一のデバイスを用いて相対深度放射線量(TMR/TPR)及びクロスビームプロファイルがアイソセントリックに測定可能である。以前の発明を用いると、2つの異なったデバイスが必要とされる。本発明のこの第2の実施形態も、従来技術の測定システムにおいて使用されていたものよりも著しく小さな容積を有する水タンクの使用を可能にする。好ましい実施形態において、従来技術のタンクの容量が100リットルであったのに対し、タンクの容積は2.5リットルである。
【0047】
図7−15を参照すると、従来技術のアイソセントリック放射線治療装置110が図7に示されている。図7に示されているアイソセントリック放射線治療装置は、放射線生成ユニット112、可変コリメータ114、マニピュレータ116、可動テーブル118、診断撮像装置120、及び制御ユニット122を含み、放射線ビーム124を生成する。放射線手術システムにおけるアイソセントリック放射線ビーム124によって生成される放射線の分布及び強度を測定する、本発明のモジュール式の放射線分析器126が図15に示されている。放射線ビーム124は、アイソセントリック放射線ビーム源によって実質的に垂直方向に射出される。放射線ビーム124は、非常にシャープであり、1ミリメートル未満の精度で患者において位置決めされ得る。ビーム124が使用されて、好ましくは最小場サイズ半径0.5cm及び最大場サイズ6cmを有する患者の領域が治療される。アイソセントリック放射線ビームが使用される放射線手術システムは、放射線測定の全てが、本発明のTMR/TPR(組織最大線量比/組織ファントム線量比)の直接測定のアイソセントリックな方法を用いて行われることを必要とする。さらに、この放射線手術治療の精度の故に、患者に与えられる放射線の測定は、非常に高い精度を要求する。
【0048】
本発明の第2の実施形態の比較的小型のタンク128は、測定デバイスのキャリッジ130上に配される。ポータブル折り畳みフレーム131は、システム全体を保持する。モジュール式の放射線ビーム分析器126は、キャリッジ130が3つの異なった軸X、Y及びZにおいて移動させられることを可能にする。X軸は、垂直方向に伸長し、図8及び15において見ることができる。Y軸は、タンク132の背部壁に向かってかつそこから離間して伸長しており、図4及び9において見ることができる。ステッパモータ用の小型モータは、3つの軸全てに沿ってキャリッジ130を移動させる。ステッパモータが好ましい実施形態であるが、キャリッジ118を単独で3つの軸の各々に沿って移動させることが可能な、任意のタイプのモータまたはデバイスも使用可能である。
【0049】
本発明のこの第2の実施形態は、Y方向に移動自在な小型タンク128、及びY方向に移動自在な検出器またはセンサ134を含む。ステッパモータ等の136等の小型モータは、図11及び12に示されているように、時計回り及び反時計回り方向の両方にスクリュ138を回転させる。設置サポート140は、検出器またはセンサ134を固定位置に保持する。設置サポート140は、スクリュ138に固定されかつスクリュ138上に支持されるので、スクリュが一方の方向に回転する場合、設置サポート140は、タンク132の底部に対して上昇させられ、スクリュが他方の方向に回転する場合、スクリュは降下させられる。検出器またはセンサ134に横方向に力を与える好ましい設置サポート140が示されているが、任意の他のタイプの設置サポート140も使用可能である。設置サポート140は、アイソセントリック放射線ビーム源112と検出器またはセンサ134との間の距離が調整されて、業務用のアイソセントリック放射線ビームと上述の放射線手術システムを使用して治療される個人または患者の疾患との間の距離がシミュレーションされることを可能にする。設置サポート140も、検出器またはセンサ134が、アイソセントリック放射線ビーム源112からの放射線ビーム112にアラインメントされることを可能にする。
【0050】
アイソセントリック放射線ビームを使用する放射線手術システムにおいて、アイソセントリック放射線ビーム源112と腫瘍等の患者の治療される疾患との間の距離は一定に維持される。従って、治療される腫瘍または他の疾患が位置している患者の身体における異なった位置及び深度をシミュレーションするために、患者の身体内の部分の深度をシミュレーションする水の相対深度のみが変更される必要がある。検出器またはセンサ134をタンク128内の水の中の特定の深度に移動することによって、患者の身体内の正確な深度または位置がシミュレーションされると、放射線源からの放射線量が腫瘍または疾患を適切の治療するために調整されることが可能になる。本発明のこの第2の実施形態は、2つの方法のうちの1つを使用することによってこのことを達成する。第1の方法は、検出器を保持するホルダ140を用いて検出器134の位置を固定維持して、小型水タンク128を上昇または下降させる。第2の方法は、上昇及び下降機構を用いて、検出器またはセンサ134を一方の方向に上昇または下降移動し、同時に、他の上昇及び下降機構を用いて、小型の水タンクを他方の方向に移動する。第2の方法も、SADを一定に維持する。これらの方法は、放射線源に対して検出器を位置決めして、患者の身体内の疾患の位置をシミュレーションする。このタンクの移動は、アイソセントリック放射線ビーム源からの放射線が適切にアイソセントリックに測定されることを可能にする。2つの方法の主たる差異は:第2の方法が追加のモータを使用して3つの軸X、Y、Zに操作機能を拡張して、深さ、半径横断及び対角線方向にスキャンすることである。第1の方法は、深さ、及び横方向にしかスキャンできない。
【0051】
第1の方法は、キャリッジ130を上昇及び/または下降させることが可能なステッパモータまたは同様のデバイスを用いて、キャリッジ130を上昇及び/または下降させることによって水タンク128を上昇及び/下降させる。第2の方法は、スクリュ機構、及び設置サポート140を上昇及び/または下降させることが可能なステッパモータまたは他の同様なデバイスを用いて、設置サポート140を上昇及び/または下降させることによって、検出器またはセンサ134を上昇及び/または下降させる。同時に、上述されたように、タンク128は、キャリッジ130を上昇及び/または下降させることによって、上昇及び/または下降させられる。設置サポート140を上昇及び/または下降させるモータ(1または複数)またはデバイス(1または複数)、及びキャリッジ130を上昇及び/または下降させるモータ(1または複数)またはデバイス(1または複数)は、同期化されて、検出器またはセンサ134が放射線源に対して固定位置に維持される。換言すれば、SADが一定に維持される。
【0052】
上述のように、タンク128は、長さ8cm、幅8cm、高さ40cmである。このタンクは、2.5リットルの容積を有している。このタンクは、透明なアクリル材から形成されている。様々な他の寸法及び重量を有しているタンクも使用可能である。タンクは、様々な他の材料からなっていてもよい。
【0053】
ワイヤまたはケーブル142が、放射線源によって特定のポイントに送られる放射線の量を測定及び記録するために、検出器またはセンサから記録デバイスに伸長している。他のワイヤまたはケーブル144は、制御ボックス146から伸長している(図9)。制御ボックスは、X、T及びZ方向においてキャリッジ130の移動を制御する。他のワイヤまたはケーブル148は、モータ136から制御デバイス150まで伸長している。この制御デバイスは、キャリッジ130と設置サポート140との間の移動を同期化して、放射線源に対して固定位置に検出器またはセンサを維持する。
【0054】
本発明のこの実施形態は、本願出願人による米国特許出願シリアルナンバ第61/083,740号(出願日2008年7月25日、発明名称「Modular Radiation Beam Analyzer Software」)及び米国特許出願シリアルナンバ第11/510,275号(出願日2006年8月25日、発明名称「Convertible Radiation Beam Analyzer System」)のソフトウェア及びプログラムを使用して、ガイドウェイを操作するモータを制御し、データを取得し、当該データを分析し、当該データのグラフィック表示を提供し、適切な変更を伴ったデータを伝送する。
【0055】
本発明の実施形態は、単一のイオンチャンバまたはイオンチャンバのアレイとともに使用され得る。本発明の実施形態は、単一のダイオードまたはダイオードのアレイとともに使用されてもよい。本発明の実施形態は、サイバーナイフ(登録商標)または従来の放射線治療とともに使用されてもよい。従来の放射線治療とともに使用される場合、タンク128の寸法は、長さ14cm、幅14cm、高さ40cmである。しかし、主たる応用例は、サイバーナイフ(登録商標)機器及び定位固定治療における応用のような、小さい場の測定である。
【0056】
Z方向におけるスキャンの場合、アイソセントリックスキャンは、TMR/TPR関数を生成する。このことは、上述の2つの方法のうちのいずれか1を使用することで達成される。このことは、SADを一定に保てずにPDD(深部量百分率)関数を生成する従来のスキャナとは異なる。TMR(組織最大線量比)が、プロファイル全体をアイソセントリックにスキャン不可能なことに留意すべきである。ダイナミックファントム測定が、深度をアイソセントリックにスキャン不可能なことにもさらに留意する。アイソセントリック深度スキャン(TMR)及びクロスプロファイルの結果は、図16A及び16Bに示されている。
【0057】
図17−20を参照すると、本発明の第3の実施形態が記載されている。この第3の実施形態が最初の2つの実施形態と同様の態様にて使用されて、タンク228の頂部にある線源(図示せず)から与えられている放射線を用いてTMP/TPR_SADの直接測定(アイソセントリック測定と同等)が行われる。放射線源は、図1及び7の各々に示されている12及び112と同一であり得る。タンク228が118と同様の可動テーブルに配されて、図7に示されているように、放射線手術システムにおける放射線ビームの分布及び強度が測定される。
【0058】
タンク228は、X方向において横方向に移動自在であり、回転テーブル229によってZ軸周りに回転させられ得る。回転テーブル229は、モータによって動作させられる(図示せず)。複数の垂直サポート231がレール233上に設けられている。レール233は、垂直サポート231を互いに対して保持して位置決めする。レール233は、回転テーブル229に設けられ、デバイス全体がZ軸周りに回転することを可能にする。レールの第2のセット235は、垂直サポート231上に、レール233と実質的に平行でかつレール233から垂直に離間させられて設けられている。レールの第2のセット235は、タンク228の支持部をもたらす。
【0059】
自動化された機構は、タンク228をX方向に移動させる。このことは、検出器またはセンサ234がX軸に沿って横方向に移動することを可能にする。代替的に、接続デバイス242が、ガイドウェイ244に沿って移動させられ得る。このことは、自動的にまたは手動で達成させられ得る。このことは、検出器234もX軸に沿って移動させる。検出器またはセンサ234は、サポート240に設けられる。サポート240は、自動的または手動で、Z軸に沿って上方及び下方に垂直に移動させられ得る。
【0060】
第3の実施形態は、大きな水タンクを使用せずに、実質的に最初の2つの実施形態よりも大きな場の測定を可能にする。このことは、タンク228を、第1の位置から第2の位置まで90度だけ回転することによって達成される。この移動は、大きなタンクを使用せずに、検出器234が実質的に大きな領域に亘って移動することを可能にする。回転ベース上の小型タンク228の使用は、大きな場において測定を行うのに必要とされるタンクのサイズ及び水の体積の著しい低減をもたらす。このことは、使用される水が比較的少ない(従来のタンク内の45ガロンに対して11ガロン)故に、著しい重量低減ももたらす。好ましいタンクは、長さ35cm、幅30cm、高さ40cmで、アクリル材から生成される。
【0061】
本明細書において言及されている全ての特許及び公報は、本発明に関連する分野の当業者の水準を示すものである。全ての特許及び公報は、ここの公報の各々が具体的かつ個別的に示されて参照によって含まれるのと同一の範囲まで、参照されることによって本明細書に含まれている。
【0062】
本発明の特定の形式が示されているが、本発明が、本明細書に記載されかつ示されている特定の形式または構成に限定されないことが理解されるべきである。様々な変更が本発明の範囲から逸脱せずになされることが可能であり、本発明が、本明細書に含まれている説明及び任意の図面内に図示及び記載されているものに限定されるとみなされないことは、当業者に明らかである。
【0063】
当業者は、本発明が、目的を達成しかつ言及された結果及び利点を得るように構成されていること並びにこれらに内在するものを容易に理解するだろう。本明細書に記載されている実施形態、方法、手順及び技術は、好ましい実施形態の現在の典型例であり、例示とされることを目的としており、かつ本発明の範囲を限定することを目的としていない。本発明の趣旨に含まれておりかつ添付の特許請求の範囲によって画定されている変更及び他の使用法は、当業者によって想到されるだろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、特許請求の範囲に記載されている本発明は、これらの特定の実施形態に不当に限定されるべきではない。実際、本発明を実施するための上述の形態の、当業者に自明な様々な変形例は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療装置から軸に沿って射出されるビームの線量を検出測定する放射線スキャンシステムであって、
人体の密度に近い密度を有する材料で形成されたダイナミックボディファントムと、
光子及び電子を感知するように構成されて配置されかつ前記ダイナミックボディファントム内に位置決めされている少なくとも1つの線量測定プローブと、
前記ダイナミックボディファントムを支持するキャリッジと、
前記キャリッジが固定されているガイドウェイと、を含み、
前記ダイナミックボディファントムは前記キャリッジ上に位置決めされており、
さらに、前記キャリッジ及び前記ダイナミックボディファントムを前記ガイドウェイに対して増分的に(incrementally)移動させる機構を含み、
一連の位置を通過する前記ダイナミックボディファントムの移動が行われて、放射線治療に必要とされる放射線の適切な量を判定するのに十分なデータが提供されることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線スキャンシステムであって、前記線量測定プローブがイオンチャンバであることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線スキャンシステムであって、前記ダイナミックボディファントムが、アクリル材から形成されたタンクを含んでいることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の放射線スキャンシステムであって、前記移動がアイソセントリックであることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の放射線スキャンシステムであって、前記放射線治療装置が、線形加速器であることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項6】
放射線治療装置から軸に沿って射出されるビームの線量を検出測定する放射線スキャンシステムであって、
人体の密度に近い密度を有する材料で形成されたダイナミックボディファントムと、
光子及び電子を感知するように構成されて配置されかつ前記ダイナミックボディファントム内に位置決めされている少なくとも1つの線量測定プローブと、
前記ダイナミックボディファントムを支持するキャリッジと、
前記キャリッジが固定されているガイドウェイと、を含み、
前記ダイナミックボディファントムは前記キャリッジ上で位置決めされており、
さらに、前記ダイナミックボディファントム内の前記少なくとも1つの線量測定プローブを前記ガイドウェイに対して増分的に移動させる機構を含み、
一連の位置を通過する前記少なくとも1つの線量測定プローブの移動が行われて、放射線治療に必要とされる放射線の適切な量を判定するのに十分なデータが提供されることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の放射線スキャンシステムであって、前記線量測定プローブがイオンチャンバであることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項8】
請求項6に記載の放射線スキャンシステムであって、前記ダイナミックボディファントムが、アクリル材から形成されたタンクを含んでいることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項9】
請求項6に記載の放射線スキャンシステムであって、前記移動がアイソセントリックであることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項10】
請求項6に記載の放射線スキャンシステムであって、前記放射線治療装置が、線形加速器であることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項11】
放射線治療装置から軸に沿って射出されるビームの線量を検出測定する放射線スキャンシステムであって、
人体の密度に近い密度を有する材料で形成されたダイナミックボディファントムと、
光子及び電子を感知するように構成されて配置されかつ前記ダイナミックボディファントム内に配されている少なくとも1つの線量測定プローブと、
前記ダイナミックボディファントムを支持するキャリッジと、
前記キャリッジが固定されているガイドウェイと、を含み、
前記ダイナミックボディファントムは前記キャリッジ上に位置決めされており、
さらに、前記キャリッジ及び前記ダイナミックボディファントムを前記ガイドウェイ似対して増分的に移動させる機構と、
前記ダイナミックボディファントムを垂直軸周りに増分的に回転させる機構と、を含み、
一連の位置を通過する前記ダイナミックボディファントムの移動が行われて、放射線治療に必要とされる放射線の適切な量を判定するのに十分なデータが提供されることを特徴とする放射線スキャンシステム。
【請求項12】
放射線治療装置をキャリブレーションする方法であって、
人体の密度に近い密度を有する材料で形成されたダイナミックボディファントムを提供するステップと、
光子及び電子を感知するように構成されて配置される少なくとも1つの線量測定プローブを提供するステップと、
前記少なくとも1つの線量測定プローブを前記ダイナミックボディファントム内で位置決めするステップと、
キャリッジに前記ダイナミックボディファントムを支持するステップと、
前記キャリッジをガイドウェイに固定するステップと、
前記キャリッジにおいて前記ダイナミックボディファントムを位置決めするステップと、
前記キャリッジ及び前記ダイナミックファントムボディを前記ガイドウェイに対して増分的に移動させるステップと、を含み、
一連の位置を通過する前記ダイナミックボディファントムの移動が行われて、放射線治療に必要とされる放射線の適切な量を判定するのに十分なデータが提供されることを特徴とする放射線スキャンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A−16B】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−510351(P2012−510351A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539695(P2011−539695)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/066586
【国際公開番号】WO2010/065740
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511134702)
【Fターム(参考)】