説明

放射線モニタ

【課題】プローブが取替え可能であって、本体がプローブの種類を自動的に認識し判別することにより、1台で各種放射線を測定することができる放射線モニタを提供する。
【解決手段】各種の放射線を検出するプローブと、そのプローブに無線又は有線で接続され、前記プローブで測定した放射線量を計数する本体とを備えているものであって、前記本体は前記プローブの種類を自動認識するように構成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、身の回りに存在する環境放射線をモニタリングする放射線モニタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間が生活している環境においては、宇宙や土・岩石等の大地、大気、コンクリートや木材等の建材、更に食物や人体の骨等、自然界のあらゆる物体・物質から一日中、途切れることなく自然放射線が放出されている。自然放射線は、あらゆる方向から飛んできており、大部分は体を通りぬけてしまうが、一部は体に吸収されて消えてしまう。このとき、体は放射線のエネルギーを吸収して、影響を受ける。放射線には、α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線、X(エックス)線等、いろいろな種類があり、体にあたえる影響の度合いはそれぞれ異なる。例えば、α線はγ線の20倍の度合いで人の体に影響する。更に、自然放射線だけでなく、人工的な放射線も人間の生活環境に放射されており、これらの放射線を総称して環境放射線という。
【0003】
従来の放射線モニタは、放射線検出部を備えているプローブと演算処理や測定結果を表示する本体とは一体になっており、複数種類の放射線を測定するためには、複数台の放射線モニタが必要である。また、プローブと本体とが分離可能なものも存在するが、いずれもプローブと本体とは1対になっており、複数種類の放射線を測定するためにはやはり複数台の放射線モニタが必要である(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−4757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、プローブが取替え可能であって、本体がプローブの種類を自動的に認識し判別することにより、1台で各種放射線を測定することができる放射線モニタを提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る放射線モニタは、各種の放射線を検出するプローブと、そのプローブに無線又は有線で接続され、前記プローブで測定した放射線量を計数する本体とを備えているものであって、前記本体は前記プローブの種類を自動認識するように構成したことを特徴とする。
【0007】
このような構成を有する放射線モニタであれば、本体に接続したプローブの種類を本体が自動的に認識し判別するので、複数種類のプローブを用意し交換して使用することで、1台の放射線モニタで各種の放射線を検出し測定することができる。また、何れかの機器に不具合が生じた場合も、メンテナンスや修理は個別に行えばよく、コストの低減に寄与することができる。なお、本発明に係る放射線モニタは、プローブと本体とが無線で接続されている場合はもちろん、有線で接続されている場合もプローブと本体とは分離可能である。
【0008】
前記プローブは複数種類用意して適宜交換して使用することができ、例えば、α線、β線、γ線又はX線を検出するものが好適に用いられる。
【0009】
前記本体がプローブの種類を自動認識するには、例えばプローブがプローブの種類ごとに異なるプローブ認識用信号を出力するものであることが好ましい。このようなプローブ認識用信号としては、例えばプローブ認識用の電圧が挙げられる。
【0010】
このような本発明に係る放射線モニタに用いる本体及びプローブもまた、本発明の1つである。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、1台の放射線モニタで各種の放射線を検出し測定することができ、メンテナンスや修理が容易で、コストの低減に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態に係る放射線モニタ1は、図1に示すように、各種放射線を検出するプローブ2と、そのプローブ2に有線ケーブルCLで接続された本体3とを備えたものである。
【0014】
各部を詳述する。プローブ2は測定目的に応じて、α線測定用プローブ、β線測定用プローブ、γ線測定用プローブ、X線測定用プローブ等が用意してあり、測定目的に対応するプローブ2を適宜選択し本体3に接続して使用するものである。
【0015】
プローブ2は、図2及び図3に示すように、各種放射線を検出する放射線検出器21と、その放射線検出器21から出力される微弱な信号を増幅する電荷増幅器22と、電荷増幅器22から出力される信号を増幅し波形整形する主増幅・波形整形器23と、更にプローブの種類毎に異なった信号を出力するプローブ認識用信号発生器24を備えている。
【0016】
本実施形態におけるプローブ認識用信号発生器24は、プローブ2の種類に応じて基板上の異なった位置に設けられた信号ピンを、ジャンパピンにより結線しスイッチをオンにし、各プローブ毎に異なった抵抗が生じるようにしている。このため、本体3に備えた電源37からプローブ認識用信号発生器24に定電流を流すとプローブの種類ごとに異なった電圧が発生する。
【0017】
本体3は、図2及び図3に示すように、ハードウェア構成として、放射線計数器31、A/D変換器32、CPU33、記憶装置34、入力手段35、表示器36等を一体的に備えた専用のものである。そしてCPU33や必要に応じてその周辺機器が、記憶装置34に格納したプログラムに基づいて動作することにより、プローブ認識部41、データ処理部42及び電圧データ格納部43としての機能を発揮する。
【0018】
放射線計数器31は、プローブ2から出力された電圧パルスをカウントするものである。
【0019】
プローブ認識部41は、プローブ認識用信号発生器24からの出力信号、即ちプローブ認識用信号発生器24が発した電圧信号を受け取ると、各種類のプローブに対応する電圧データを予め格納している電圧データ格納部43にアクセスし、本体3に接続したプローブ2の種類を判別し、その結果を信号としてデータ処理部42に送信するものである。
【0020】
データ処理部42は、放射線計数器31からの出力信号、即ち放射線計数器31でカウントされた電圧パルスを、プローブ認識部41で判別されたプローブ2の種類に応じて適宜処理し、その結果を信号として表示器36に送信するものである。
【0021】
表示器36は、データ処理部42から送信された結果を表示するものである。この際、入力手段35を操作することにより測定された放射線データを吸収線量(Gy)や線量当量(Sv)に換算したものを、一定時間あたりの値や積算値等のさまざまな形式で表示することができる。
【0022】
このように構成した本実施形態よれば、ジャンパスイッチを用いたプローブ認識用信号発生器24がプローブ2の種類毎に異なった電圧を発生し、本体3が備えたプローブ認識部41が各電圧に対応するプローブ2の種類を判別して、判別されたプローブ2の種類に応じたデータ処理を行うことができる。このため、1台の本体3を用い、接続するプローブ2の種類を変えることにより、各種の放射線の測定を行うことができる。また、本体3又はプローブ2に不具合が生じた場合は、メンテナンスや修理は個別に行えばよく、本体3に搭載したプロブラムを更新する場合も、本体3のみを交換すればよいため、コストの低減に寄与することができる。
【0023】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば、プローブ2と本体3とは無線により接続されていてもよい。
【0024】
プローブ認識用信号発生器24は、プローブ2の種類に応じて異なる信号を出力するものであればよく、ジャンパスイッチを用いたものに限定されない。
【0025】
また、プローブ2はプローブ認識用信号発生器24を有しておらず、本体3にプローブ2の種類に応じた切換えスイッチが備わっていて、このスイッチを切り替えることにより、各プローブ2に対応したデータ処理が行われるよう動作するものであってもよい。
【0026】
更に、本体3は出力端子を備え、外部のモニターや情報処理装置等に接続可能なものであってもよい。例えば測定対象場所の放射線濃度が高く測定者が長時間滞在するのが困難である場合、本発明に係る放射線モニタ1を測定対象場所に設置して、それを無線又はケーブルで離れた場所にあるコンピュータと接続し放射線モニタ1を遠隔操作してもよい。
【0027】
また、本体3が測定データ格納部を有しており、測定した放射線データを一旦測定データ格納部に格納し、適宜編集等してもよい。
【0028】
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、1台で各種の環境放射線を測定することができる放射線モニタを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る放射線モニタを示す全体構成図。
【図2】同実施形態における放射線モニタのハードウェア構成を示すハードウェア構成図。
【図3】同実施形態における放射線モニタの機能ブロック図。
【符号の説明】
【0031】
1・・・放射線モニタ
2・・・プローブ
3・・・本体
31・・・放射線計数器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の放射線を検出するプローブと、そのプローブに無線又は有線で接続され、前記プローブで測定した放射線量を計数する本体とを備えているものであって、
前記本体は前記プローブの種類を自動認識するように構成したことを特徴とする放射線モニタ。
【請求項2】
前記プローブは、α線、β線、γ線又はX線を検出するものである請求項1記載の放射線モニタ。
【請求項3】
前記プローブは、プローブの種類ごとに異なるプローブ認識用信号を出力するものである請求項1又は2記載の放射線モニタ。
【請求項4】
前記プローブ認識用信号は、プローブ認識用の電圧である請求項3記載の放射線モニタ。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の放射線モニタに用いる本体。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4記載の放射線モニタに用いるプローブ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−101432(P2007−101432A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293374(P2005−293374)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】