放射線モニタ
【課題】バグソースを使用しないで、かつ、放射線に対する検出器の直接的な応答により、検出器の動作を確認できる放射線モニタを提供する。
【解決手段】放射線モニタは、天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、を有する。放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生する。
【解決手段】放射線モニタは、天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、を有する。放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所のエリアモニタ等に使用される放射線モニタに関わり、特に、放射線モニタの健全性確認に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電所等のエリアモニタ等に使用される放射線モニタでは、動作の健全性を確認するために、バグソースと呼ばれる微弱な放射性物質を放射線検出器近傍に設置している。しかしながら、バグソースは放射線源であるため、取扱いに様々な制限があり、不便である。
【0003】
特許文献1には、バグソースを使用しない放射線モニタとして、自然界由来の放射線による計数の揺らぎを利用することで動作の健全性を確認する方法が記載されている。特許文献2には、バグソースの代わりに、発光ダイオードで発生させた光を放射線検出器に入射させることで、動作の健全性を確認する方法が記載されている。また、特許文献3には、少ない放射線量のバグソースで動作の健全性を確認するために、バグソースを放射線検出素子の近傍に設置する構造の放射線モニタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−214039号公報
【特許文献2】特開平2−128184号公報
【特許文献3】特願2006−22796
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された方法は、揺らぎ検出のために特殊な検出系が必要になる。また、この方法では、放射線検出器外部の自然放射線による計数を利用するため、計数率が少なく動作の健全性確認に時間がかかる。特許文献2に記載された方法は、発光ダイオードで発生させた光子による放射線検出器の応答を放射線による応答の代替として利用する。そのため、放射線に対する動作の健全性を直接的に確認することができない。特許文献3に記載された方法も、放射線検出素子の外部に設置した放射線源を利用する。そのため、取扱いに様々な制限を受ける。
【0006】
本発明の目的は、バグソースを使用しないで、かつ、放射線に対する検出器の直接的な応答により、検出器の動作を確認できる放射線モニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、放射線モニタは、天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、を有する。
【0008】
放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バグソースを用いることなく、放射線に対する動作の健全性の確認ができる取扱いが簡便な放射線モニタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の放射線モニタの第1の例の構成図である。
【図2】本発明の放射線モニタの放射線検出素子及び光電子増倍管の構成例を示す図である。
【図3】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの一例を示す図である。
【図4】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の一例を示す図である。
【図5】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図6】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図7】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図8】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図9】本発明の放射線モニタの第2の例の構成図である。
【図10】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの一例を示す図である。
【図11】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の一例を示す図である。
【図12】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図13】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図14】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図15】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して本発明の放射線モニタの構成例を説明する。本例の放射線モニタは、放射性物質を含む放射線検出素子1、放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管2、光電子増倍管からの電気信号を増幅する増幅器3、ピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器4、1つまたは複数の波高領域中の計数をカウントするカウンター5、各カウンターからの各領域の計数を計数率に変換する計数率計6、及び、各領域の計数率を表示するモニタ7を有する。
【0012】
放射線検出素子1は、放射線物質によって構成される。この放射性物質は、自身から発生するアルファ線またはガンマ線により、そのエネルギーに応じた強度の光を発生する。また、この放射線物質は、外部からガンマ線等の放射線9が入射した場合も、入射した放射線のエネルギーに応じた強度の光を発生する。このような放射線物質として、臭化ランタン(LaBr3(Ce))、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))等がある。臭化ランタンに含まれるランタンには、質量数が137と138の二種類が天然に存在する。質量数が138のランタン138は、エネルギー0.79MeVと1.44MeVのγ線を放出する放射性物質である。また、臭化ランタンの製造過程で、ポロニウム214等のアルファ線放出核種が自然に含まれる。珪酸ルテチウムに含まれるルテチウムには、質量数が175と176の二種類が天然に存在する。質量数が176のルテチウム176は、エネルギー0.08MeV、0.20MeV、及び、0.31MeVのγ線を放出する放射性物質である。
【0013】
放射線検出素子1は、外部からの放射線9又は内部にて放射された放射線に起因して、光を発生する。この光は、光電子増倍管2によって、電気信号に変換され、増幅器3によって増幅され、波高弁別器4に送られる。波高弁別器4は、増幅器からの信号を、波高値領域毎に弁別する。波高値は、アルファ線またはガンマ線のエネルギーに応じた値にピークを有する。カウンター5は、所定の幅の波高値領域毎に、計数をカウントし、波高値領域毎に計数率を算出する。計数率は、単位時間当たりの計数である。この波高値領域毎の計数率の時間変化のグラフは、モニタ7に表示される。本例では、波高値領域毎に計数率を算出するため、図3に示す波高値スペクトルを求める必要がない。
【0014】
ユーザは、モニタ7に表示された波高値領域毎の計数率の時間変化のグラフから、放射線モニタが正常に作動しているか否かを判定することができる。
【0015】
図2を参照して放射線検出素子1及び光電子増倍管2の構造の例を説明する。光電子増倍管2は、円筒形のガラス管206を有し、その内部は真空排気されている。ガラス管206内には、光を電子に変換する光電陰極202、光電子を収束させる収束電極203、二次電子を放出する複数の金属板204、二次電子を受け入れる陽極205を有する。光電子増倍管2の光電陰極202側の端面には窓201が形成されている。この窓201を覆うように、円柱形の放射線検出素子1が装着されている。
【0016】
放射線検出素子1は、上述のように、臭化ランタン(LaBr3(Ce))、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))等の放射線物質からなる。
【0017】
放射線検出素子1及び光電子増倍管2の外面は、光を遮蔽する遮蔽膜によって覆われている。しかしながら、外部からの放射線9は、この遮蔽膜を通過する。
【0018】
放射線検出素子1は、外部からの放射線9又は内部にて放射された放射線に起因して、光を発生する。この光は、光電子増倍管2の端面の窓201を介して光電陰極202によって受光され、電子に変換される。この電子が、最初の金属板204に衝突すると二次電子が発生する。この二次電子が次の金属板204に衝突すると更に二次電子が発生する。こうして、複数の金属板204によって次々と二次電子が発生し、最後に、陽極205に到達する。
【0019】
図3に、放射線検出素子1が発生する光の波高値スペクトルの一例を示す。横軸は波高値、縦軸は計数である。波高値は、放射線のエネルギーに比例する。波高値が大きいほど、放射線のエネルギーが大きい。計数は、光電子増倍管2が検出した光電子の計数値であり、放射線の強度を表す。放射線検出素子の外部からの放射線9は、放射線のエネルギーに応じて、波高値スペクトル内にピークを形成する。そのピークが現れる波高値領域を領域a1、領域a2、及び、領域a3とする。また、放射線検出素子の内部に含まれる放射性物質からの放射線も、放射線のエネルギーに応じて、波高値スペクトル内にピークを形成する。そのピークが現れる波高値領域を領域b1、領域b2、及び、領域cとする。波高値領域の幅は予め設定されている。波高弁別器4によって、これらのピークが現れる波高値領域が分別される。
【0020】
ここで、放射線検出素子1として、臭化ランタン(LaBr3(Ce))を用いた場合を説明する。領域b1及びb2は、ガンマ線によるピークの領域である。臭化ランタンに自然に含まれるランタン138からのガンマ線のエネルギーは、0.79MeV、及び、1.44MeVである。従って、ピークの領域b1及びb2は、外部放射線に起因するピークと同程度の波高値領域に現れる。領域cは、アルファ線によるピークの領域である。臭化ランタンの製造過程で自然に含まれるポロニウム214からのアルファ線のエネルギーは、7.7MeVと非常に高い。従って、ピークの領域cは、外部放射線に起因するピークと比較して高い波高値領域に現れる。
【0021】
図3に示した波高値スペクトルは単位時間毎に求めることができる。それより、波高値スペクトルの時間変化を得ることができる。波高値スペクトルの時間変化の例を以下に説明する。
【0022】
図4に波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の一例を示す。横軸は時間、縦軸は計数率である。計数率は、単位時間当たりの計数である。外部からの放射線9に対応する領域a1、領域a2、及び、a3領域と、放射線検出素子1の内部からの放射線に対応する領域b1、領域b2、領域cのいずれの領域においても、計数率は一定である。従って、放射線モニタが正常に機能していると判定できる。
【0023】
図5に波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す。横軸は時間、縦軸は計数率である。領域a1と領域b1の計数率が時刻t1において瞬間的に増加したが、他の領域の計数率は一定である。これは、領域a1にピークを有する外部放射線の強度が、時刻t1において強くなり、この外部放射線のコンプトン散乱分が領域b1に加算されたと考えられる。従って、放射線モニタが領域a1にピークを有する外部放射線の強度が強くなったことを正常に検出した、と判定できる。
【0024】
図6に波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す。横軸は時間、縦軸は計数率である。領域a1と領域b1の計数率が時刻t2から除々に増加しているが、他の領域の計数率は一定である。これは、図5の場合と同様に、領域a1にピークを有する外部放射線が時刻t2から、除々に強度が強くなっていると考えられる。従って、放射線モニタが領域a1にピークを有する外部放射線の強度が強くなったことを正常に検出した、と判定できる。
【0025】
図7に、波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す。横軸は時間、縦軸は計数率である。全領域の計数率が時刻t3においてゼロになっている。これは、放射線モニタが時刻t3にて故障を起こした、と判定できる。
【0026】
図8に、波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す。全領域の計数率が時刻t4から増加している。外部放射線の強度が強くなっても、放射線検出素子1に含まれる天然の放射性物質からのアルファ線による領域cの計数率は変化しないことが知られている。従って、時刻t4にて放射線モニタに故障が生じたと判定できる。
【0027】
以上のように、各波高値領域の計数率の時間変化のグラフから、放射線モニタが正常に測定しているか、又は、故障が起きたかを確認できる。
【0028】
図9を参照して本発明の放射線モニタの他の構成例を説明する。本例の放射線モニタは、放射性物質を含む放射線検出素子1、放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管2、光電子増倍管からの電気信号を増幅する増幅器3、増幅した信号の波高値を弁別する波高弁別器4、波高弁別器で弁別された波高値スペクトルの各ピークにおける正味の計数率を算出するピーク計数率測定器8、及び、各ピークの正味の計数率を表示するモニタ7を有する。
【0029】
ピーク計数率測定器8は、図3に示した波高値スペクトルにおいて、各ピークの正味計数率を算出する。正味計数率は、各ピークよりバックグラウンドを引き算し、残余のピーク部(山形の部分)の面積の単位時間当たりの値である。本例では、波高値スペクトルからピークの面積を求めるため、図10に示す波高値スペクトルを求める必要がある。
【0030】
図10に、放射線検出素子1が発生する光の波高値スペクトルの他の一例を示す。横軸は波高値、縦軸は計数である。放射線検出素子の外部からの放射線9は、放射線のエネルギーに応じて、波高値スペクトル内にピークを形成する。そのピークをピークd1、ピークd2、及び、ピークd3とする。また、放射線検出素子の内部に含まれる放射性物質からの放射線も、放射線のエネルギーに応じて、波高値スペクトル内にピークを形成する。そのピークをピークe1、ピークe2、及び、ピークe3とする。波高弁別器4によって、これらのピークが分別される。
【0031】
ここで、放射線検出素子1として、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))を用いた場合を説明する。ピークe1、ピークe2、及び、ピークe3は、ガンマ線によるピークである。珪酸ルテチウムに自然に含まれるルテチウム176からのガンマ線のエネルギーは、エネルギー0.08MeV、0.20MeV、及び、0.31MeVである。従って、ピークe1、ピークe2、及び、ピークe3は、外部放射線に起因するピークと同程度の波高値領域に現れる。
【0032】
図11に波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の一例を示す。外部からの放射線9に対応するピークd1、ピークd2、及び、ピークd3と、放射線検出素子1の内部からの放射線に対応するピークe1、ピークe2、及び、ピークe3のいずれのピークにおいても正味の計数率は一定である。従って、放射線モニタは、正常に機能していると判断できる。
【0033】
図12に波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す。ピークd1の正味の計数率は、時刻t5において瞬間的に増加しているが、他のピークの正味の計数率は一定である。これは、ピークd1を有する外部放射線の強度が時刻t5において強くなったと考えられる。従って、放射線モニタが正常に機能している、と判定できる。
【0034】
図13に波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す。ピークd1の計数率が、時刻t6から除々に増加しているが、他のピークの計数率は一定である。これは、ピークd1を有する外部放射線の強度が時刻t6から、除々に強くなっていると考えられる。従って、放射線モニタは正常に機能している、と判定できる。
【0035】
図14に、波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す。全ピークの計数率が時刻t7においてゼロになっている。これは、時刻t7にて放射線モニタに故障が生じた、と判定できる。
【0036】
図15に、波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す。全ピークの計数率が、時刻t8から増加している。ピークe1、ピークe2、及び、ピークe3は、放射線検出素子の内部に自然に存在する放射性物質からの放射線によるピークである。これらのピークe1、ピークe2、及び、ピークe3の正味の計数率は、正常時には変化しないことが知られている。従って、時刻t8にて、放射線モニタに故障が生じたと判断できる。
【0037】
以上のように、各ピークの正味の計数率の時間変化のグラフから、放射線モニタが正常に測定しているか、又は、故障が起きたかを確認できる。
以上のように、本例によると、正常測定と検出器故障の確認ができる。
【0038】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0039】
1…放射線検出素子、2…光電子増倍管、3…増幅器、4…波高弁別器、5…カウンター、6…計数率計、7…動作確認モニタ、8…ピーク計数率測定器、9…外部放射線
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所のエリアモニタ等に使用される放射線モニタに関わり、特に、放射線モニタの健全性確認に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電所等のエリアモニタ等に使用される放射線モニタでは、動作の健全性を確認するために、バグソースと呼ばれる微弱な放射性物質を放射線検出器近傍に設置している。しかしながら、バグソースは放射線源であるため、取扱いに様々な制限があり、不便である。
【0003】
特許文献1には、バグソースを使用しない放射線モニタとして、自然界由来の放射線による計数の揺らぎを利用することで動作の健全性を確認する方法が記載されている。特許文献2には、バグソースの代わりに、発光ダイオードで発生させた光を放射線検出器に入射させることで、動作の健全性を確認する方法が記載されている。また、特許文献3には、少ない放射線量のバグソースで動作の健全性を確認するために、バグソースを放射線検出素子の近傍に設置する構造の放射線モニタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−214039号公報
【特許文献2】特開平2−128184号公報
【特許文献3】特願2006−22796
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された方法は、揺らぎ検出のために特殊な検出系が必要になる。また、この方法では、放射線検出器外部の自然放射線による計数を利用するため、計数率が少なく動作の健全性確認に時間がかかる。特許文献2に記載された方法は、発光ダイオードで発生させた光子による放射線検出器の応答を放射線による応答の代替として利用する。そのため、放射線に対する動作の健全性を直接的に確認することができない。特許文献3に記載された方法も、放射線検出素子の外部に設置した放射線源を利用する。そのため、取扱いに様々な制限を受ける。
【0006】
本発明の目的は、バグソースを使用しないで、かつ、放射線に対する検出器の直接的な応答により、検出器の動作を確認できる放射線モニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、放射線モニタは、天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、を有する。
【0008】
放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バグソースを用いることなく、放射線に対する動作の健全性の確認ができる取扱いが簡便な放射線モニタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の放射線モニタの第1の例の構成図である。
【図2】本発明の放射線モニタの放射線検出素子及び光電子増倍管の構成例を示す図である。
【図3】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの一例を示す図である。
【図4】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の一例を示す図である。
【図5】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図6】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図7】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図8】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図9】本発明の放射線モニタの第2の例の構成図である。
【図10】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの一例を示す図である。
【図11】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の一例を示す図である。
【図12】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図13】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図14】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【図15】本発明の放射線モニタによって得られた波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して本発明の放射線モニタの構成例を説明する。本例の放射線モニタは、放射性物質を含む放射線検出素子1、放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管2、光電子増倍管からの電気信号を増幅する増幅器3、ピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器4、1つまたは複数の波高領域中の計数をカウントするカウンター5、各カウンターからの各領域の計数を計数率に変換する計数率計6、及び、各領域の計数率を表示するモニタ7を有する。
【0012】
放射線検出素子1は、放射線物質によって構成される。この放射性物質は、自身から発生するアルファ線またはガンマ線により、そのエネルギーに応じた強度の光を発生する。また、この放射線物質は、外部からガンマ線等の放射線9が入射した場合も、入射した放射線のエネルギーに応じた強度の光を発生する。このような放射線物質として、臭化ランタン(LaBr3(Ce))、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))等がある。臭化ランタンに含まれるランタンには、質量数が137と138の二種類が天然に存在する。質量数が138のランタン138は、エネルギー0.79MeVと1.44MeVのγ線を放出する放射性物質である。また、臭化ランタンの製造過程で、ポロニウム214等のアルファ線放出核種が自然に含まれる。珪酸ルテチウムに含まれるルテチウムには、質量数が175と176の二種類が天然に存在する。質量数が176のルテチウム176は、エネルギー0.08MeV、0.20MeV、及び、0.31MeVのγ線を放出する放射性物質である。
【0013】
放射線検出素子1は、外部からの放射線9又は内部にて放射された放射線に起因して、光を発生する。この光は、光電子増倍管2によって、電気信号に変換され、増幅器3によって増幅され、波高弁別器4に送られる。波高弁別器4は、増幅器からの信号を、波高値領域毎に弁別する。波高値は、アルファ線またはガンマ線のエネルギーに応じた値にピークを有する。カウンター5は、所定の幅の波高値領域毎に、計数をカウントし、波高値領域毎に計数率を算出する。計数率は、単位時間当たりの計数である。この波高値領域毎の計数率の時間変化のグラフは、モニタ7に表示される。本例では、波高値領域毎に計数率を算出するため、図3に示す波高値スペクトルを求める必要がない。
【0014】
ユーザは、モニタ7に表示された波高値領域毎の計数率の時間変化のグラフから、放射線モニタが正常に作動しているか否かを判定することができる。
【0015】
図2を参照して放射線検出素子1及び光電子増倍管2の構造の例を説明する。光電子増倍管2は、円筒形のガラス管206を有し、その内部は真空排気されている。ガラス管206内には、光を電子に変換する光電陰極202、光電子を収束させる収束電極203、二次電子を放出する複数の金属板204、二次電子を受け入れる陽極205を有する。光電子増倍管2の光電陰極202側の端面には窓201が形成されている。この窓201を覆うように、円柱形の放射線検出素子1が装着されている。
【0016】
放射線検出素子1は、上述のように、臭化ランタン(LaBr3(Ce))、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))等の放射線物質からなる。
【0017】
放射線検出素子1及び光電子増倍管2の外面は、光を遮蔽する遮蔽膜によって覆われている。しかしながら、外部からの放射線9は、この遮蔽膜を通過する。
【0018】
放射線検出素子1は、外部からの放射線9又は内部にて放射された放射線に起因して、光を発生する。この光は、光電子増倍管2の端面の窓201を介して光電陰極202によって受光され、電子に変換される。この電子が、最初の金属板204に衝突すると二次電子が発生する。この二次電子が次の金属板204に衝突すると更に二次電子が発生する。こうして、複数の金属板204によって次々と二次電子が発生し、最後に、陽極205に到達する。
【0019】
図3に、放射線検出素子1が発生する光の波高値スペクトルの一例を示す。横軸は波高値、縦軸は計数である。波高値は、放射線のエネルギーに比例する。波高値が大きいほど、放射線のエネルギーが大きい。計数は、光電子増倍管2が検出した光電子の計数値であり、放射線の強度を表す。放射線検出素子の外部からの放射線9は、放射線のエネルギーに応じて、波高値スペクトル内にピークを形成する。そのピークが現れる波高値領域を領域a1、領域a2、及び、領域a3とする。また、放射線検出素子の内部に含まれる放射性物質からの放射線も、放射線のエネルギーに応じて、波高値スペクトル内にピークを形成する。そのピークが現れる波高値領域を領域b1、領域b2、及び、領域cとする。波高値領域の幅は予め設定されている。波高弁別器4によって、これらのピークが現れる波高値領域が分別される。
【0020】
ここで、放射線検出素子1として、臭化ランタン(LaBr3(Ce))を用いた場合を説明する。領域b1及びb2は、ガンマ線によるピークの領域である。臭化ランタンに自然に含まれるランタン138からのガンマ線のエネルギーは、0.79MeV、及び、1.44MeVである。従って、ピークの領域b1及びb2は、外部放射線に起因するピークと同程度の波高値領域に現れる。領域cは、アルファ線によるピークの領域である。臭化ランタンの製造過程で自然に含まれるポロニウム214からのアルファ線のエネルギーは、7.7MeVと非常に高い。従って、ピークの領域cは、外部放射線に起因するピークと比較して高い波高値領域に現れる。
【0021】
図3に示した波高値スペクトルは単位時間毎に求めることができる。それより、波高値スペクトルの時間変化を得ることができる。波高値スペクトルの時間変化の例を以下に説明する。
【0022】
図4に波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の一例を示す。横軸は時間、縦軸は計数率である。計数率は、単位時間当たりの計数である。外部からの放射線9に対応する領域a1、領域a2、及び、a3領域と、放射線検出素子1の内部からの放射線に対応する領域b1、領域b2、領域cのいずれの領域においても、計数率は一定である。従って、放射線モニタが正常に機能していると判定できる。
【0023】
図5に波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す。横軸は時間、縦軸は計数率である。領域a1と領域b1の計数率が時刻t1において瞬間的に増加したが、他の領域の計数率は一定である。これは、領域a1にピークを有する外部放射線の強度が、時刻t1において強くなり、この外部放射線のコンプトン散乱分が領域b1に加算されたと考えられる。従って、放射線モニタが領域a1にピークを有する外部放射線の強度が強くなったことを正常に検出した、と判定できる。
【0024】
図6に波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す。横軸は時間、縦軸は計数率である。領域a1と領域b1の計数率が時刻t2から除々に増加しているが、他の領域の計数率は一定である。これは、図5の場合と同様に、領域a1にピークを有する外部放射線が時刻t2から、除々に強度が強くなっていると考えられる。従って、放射線モニタが領域a1にピークを有する外部放射線の強度が強くなったことを正常に検出した、と判定できる。
【0025】
図7に、波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す。横軸は時間、縦軸は計数率である。全領域の計数率が時刻t3においてゼロになっている。これは、放射線モニタが時刻t3にて故障を起こした、と判定できる。
【0026】
図8に、波高値スペクトルの各領域の計数率の時間変化の他の一例を示す。全領域の計数率が時刻t4から増加している。外部放射線の強度が強くなっても、放射線検出素子1に含まれる天然の放射性物質からのアルファ線による領域cの計数率は変化しないことが知られている。従って、時刻t4にて放射線モニタに故障が生じたと判定できる。
【0027】
以上のように、各波高値領域の計数率の時間変化のグラフから、放射線モニタが正常に測定しているか、又は、故障が起きたかを確認できる。
【0028】
図9を参照して本発明の放射線モニタの他の構成例を説明する。本例の放射線モニタは、放射性物質を含む放射線検出素子1、放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管2、光電子増倍管からの電気信号を増幅する増幅器3、増幅した信号の波高値を弁別する波高弁別器4、波高弁別器で弁別された波高値スペクトルの各ピークにおける正味の計数率を算出するピーク計数率測定器8、及び、各ピークの正味の計数率を表示するモニタ7を有する。
【0029】
ピーク計数率測定器8は、図3に示した波高値スペクトルにおいて、各ピークの正味計数率を算出する。正味計数率は、各ピークよりバックグラウンドを引き算し、残余のピーク部(山形の部分)の面積の単位時間当たりの値である。本例では、波高値スペクトルからピークの面積を求めるため、図10に示す波高値スペクトルを求める必要がある。
【0030】
図10に、放射線検出素子1が発生する光の波高値スペクトルの他の一例を示す。横軸は波高値、縦軸は計数である。放射線検出素子の外部からの放射線9は、放射線のエネルギーに応じて、波高値スペクトル内にピークを形成する。そのピークをピークd1、ピークd2、及び、ピークd3とする。また、放射線検出素子の内部に含まれる放射性物質からの放射線も、放射線のエネルギーに応じて、波高値スペクトル内にピークを形成する。そのピークをピークe1、ピークe2、及び、ピークe3とする。波高弁別器4によって、これらのピークが分別される。
【0031】
ここで、放射線検出素子1として、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))を用いた場合を説明する。ピークe1、ピークe2、及び、ピークe3は、ガンマ線によるピークである。珪酸ルテチウムに自然に含まれるルテチウム176からのガンマ線のエネルギーは、エネルギー0.08MeV、0.20MeV、及び、0.31MeVである。従って、ピークe1、ピークe2、及び、ピークe3は、外部放射線に起因するピークと同程度の波高値領域に現れる。
【0032】
図11に波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の一例を示す。外部からの放射線9に対応するピークd1、ピークd2、及び、ピークd3と、放射線検出素子1の内部からの放射線に対応するピークe1、ピークe2、及び、ピークe3のいずれのピークにおいても正味の計数率は一定である。従って、放射線モニタは、正常に機能していると判断できる。
【0033】
図12に波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す。ピークd1の正味の計数率は、時刻t5において瞬間的に増加しているが、他のピークの正味の計数率は一定である。これは、ピークd1を有する外部放射線の強度が時刻t5において強くなったと考えられる。従って、放射線モニタが正常に機能している、と判定できる。
【0034】
図13に波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す。ピークd1の計数率が、時刻t6から除々に増加しているが、他のピークの計数率は一定である。これは、ピークd1を有する外部放射線の強度が時刻t6から、除々に強くなっていると考えられる。従って、放射線モニタは正常に機能している、と判定できる。
【0035】
図14に、波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す。全ピークの計数率が時刻t7においてゼロになっている。これは、時刻t7にて放射線モニタに故障が生じた、と判定できる。
【0036】
図15に、波高値スペクトルの各ピークの正味の計数率の時間変化の他の一例を示す。全ピークの計数率が、時刻t8から増加している。ピークe1、ピークe2、及び、ピークe3は、放射線検出素子の内部に自然に存在する放射性物質からの放射線によるピークである。これらのピークe1、ピークe2、及び、ピークe3の正味の計数率は、正常時には変化しないことが知られている。従って、時刻t8にて、放射線モニタに故障が生じたと判断できる。
【0037】
以上のように、各ピークの正味の計数率の時間変化のグラフから、放射線モニタが正常に測定しているか、又は、故障が起きたかを確認できる。
以上のように、本例によると、正常測定と検出器故障の確認ができる。
【0038】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0039】
1…放射線検出素子、2…光電子増倍管、3…増幅器、4…波高弁別器、5…カウンター、6…計数率計、7…動作確認モニタ、8…ピーク計数率測定器、9…外部放射線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、前記放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、前記光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて生成された、波高値のピークの計数率の時間変化を表すグラフを表示するモニタと、を有し、前記放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項2】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて、所定の幅の波高領域毎に波高値の計数をカウントするカウンターと、該カウンターからの波高領域毎の計数を計数率に変換する計数率計と、を有し、前記モニタは、波高領域毎の波高値の計数率の時間変化を表すグラフを表示することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項3】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて、波高値のピーク毎に正味の計数率を算出するピーク計数率測定器と、を有し、前記モニタは、波高値のピーク毎の正味の計数率の時間変化を表すグラフを表示することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項4】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記放射線検出素子は前記光電子増倍管の端面に装着され、該前記光電子増倍管の端面には、前記放射線検出素子によって発生した光が通過するための窓が形成されていることを特徴とする放射線モニタ。
【請求項5】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記放射線検出素子及び前記光電子増倍管の外面は、光を遮断するが放射線を通す遮蔽膜によって覆われていることを特徴とする放射線モニタ。
【請求項6】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記放射線検出素子は、アルファ線とガンマ線の少なくとも一方を放射する放射性物質を含むことを特徴とする放射線モニタ。
【請求項7】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記放射線検出素子は、臭化ランタン(LaBr3(Ce))、又は、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))によって形成されていることを特徴とする放射線モニタ。
【請求項8】
天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子を光電子増倍管の端面に装着することと、
前記光電子増倍管によって前記放射線検出素子からの光を電気信号に変換することと、
前記光電子増倍管からの波高値スペクトルより、ピークが現れる波高値の計数率の時間変化を表すグラフを生成することと、
前記グラフをモニタによって表示することと、
を有し、
前記放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生することを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項9】
請求項8記載の放射線モニタ方法において、前記グラフは、波高領域毎の波高値の計数率の時間変化を表すグラフであることを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項10】
請求項8記載の放射線モニタ方法において、前記グラフは、波高値のピーク毎の正味の計数率の時間変化を表すグラフであることを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項11】
請求項8記載の放射線モニタ方法において、前記放射線検出素子は、アルファ線とガンマ線の少なくとも一方を放射する放射性物質を含むことを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項12】
請求項8記載の放射線モニタ方法において、前記放射線検出素子は、臭化ランタン(LaBr3(Ce))、又は、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))によって形成されていることを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項13】
天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、前記放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、前記光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて、所定の幅の波高領域毎に波高値の計数をカウントするカウンターと、該カウンターからの波高領域毎の計数を計数率に変換する計数率計と、前記波高領域毎の波高値の計数率の時間変化を表すグラフを表示するモニタと、を有し、前記放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項14】
天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、前記放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、前記光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて、波高値のピーク毎に正味の計数率を算出するピーク計数率測定器と、前記波高値のピーク毎の正味の計数率の時間変化を表すグラフを表示するモニタと、を有し、前記放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項1】
天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、前記放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、前記光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて生成された、波高値のピークの計数率の時間変化を表すグラフを表示するモニタと、を有し、前記放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項2】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて、所定の幅の波高領域毎に波高値の計数をカウントするカウンターと、該カウンターからの波高領域毎の計数を計数率に変換する計数率計と、を有し、前記モニタは、波高領域毎の波高値の計数率の時間変化を表すグラフを表示することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項3】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて、波高値のピーク毎に正味の計数率を算出するピーク計数率測定器と、を有し、前記モニタは、波高値のピーク毎の正味の計数率の時間変化を表すグラフを表示することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項4】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記放射線検出素子は前記光電子増倍管の端面に装着され、該前記光電子増倍管の端面には、前記放射線検出素子によって発生した光が通過するための窓が形成されていることを特徴とする放射線モニタ。
【請求項5】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記放射線検出素子及び前記光電子増倍管の外面は、光を遮断するが放射線を通す遮蔽膜によって覆われていることを特徴とする放射線モニタ。
【請求項6】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記放射線検出素子は、アルファ線とガンマ線の少なくとも一方を放射する放射性物質を含むことを特徴とする放射線モニタ。
【請求項7】
請求項1記載の放射線モニタにおいて、前記放射線検出素子は、臭化ランタン(LaBr3(Ce))、又は、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))によって形成されていることを特徴とする放射線モニタ。
【請求項8】
天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子を光電子増倍管の端面に装着することと、
前記光電子増倍管によって前記放射線検出素子からの光を電気信号に変換することと、
前記光電子増倍管からの波高値スペクトルより、ピークが現れる波高値の計数率の時間変化を表すグラフを生成することと、
前記グラフをモニタによって表示することと、
を有し、
前記放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生することを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項9】
請求項8記載の放射線モニタ方法において、前記グラフは、波高領域毎の波高値の計数率の時間変化を表すグラフであることを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項10】
請求項8記載の放射線モニタ方法において、前記グラフは、波高値のピーク毎の正味の計数率の時間変化を表すグラフであることを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項11】
請求項8記載の放射線モニタ方法において、前記放射線検出素子は、アルファ線とガンマ線の少なくとも一方を放射する放射性物質を含むことを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項12】
請求項8記載の放射線モニタ方法において、前記放射線検出素子は、臭化ランタン(LaBr3(Ce))、又は、珪酸ルテチウム(Lu2SiO5(Ce))によって形成されていることを特徴とする放射線モニタ方法。
【請求項13】
天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、前記放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、前記光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて、所定の幅の波高領域毎に波高値の計数をカウントするカウンターと、該カウンターからの波高領域毎の計数を計数率に変換する計数率計と、前記波高領域毎の波高値の計数率の時間変化を表すグラフを表示するモニタと、を有し、前記放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生することを特徴とする放射線モニタ。
【請求項14】
天然に存在する放射性物質を含む放射線検出素子と、前記放射線検出素子からの光を電気信号に変換する光電子増倍管と、前記光電子増倍管によって出力された電気信号よりピークが現れる波高値を弁別する波高弁別器と、前記波高弁別器によって弁別された波高値に基づいて、波高値のピーク毎に正味の計数率を算出するピーク計数率測定器と、前記波高値のピーク毎の正味の計数率の時間変化を表すグラフを表示するモニタと、を有し、前記放射線検出素子は、自身に含まれる天然に存在する放射線物質からの放射線に起因した光と、外部からの放射線に起因した光を発生することを特徴とする放射線モニタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−271153(P2010−271153A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122668(P2009−122668)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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