説明

放射線撮影装置

【課題】グリッドを移動させるための動力をグリッドに伝達する伝達機構が、グリッドの退避動作を妨げることを抑制する。
【解決手段】載置面と放射線検出器との間の第1位置に配置され、放射線の乳房への透過により発生する当該放射線の散乱成分が前記放射線検出器へ入射するのを阻止するグリッドと、撮影台に対して正対した状態における被験者から前記グリッドが離れるように、当該被験者の前方に向けて前記第1位置から第2位置へ前記グリッドを退避させる退避機構と、当該被験者の左右方向に沿って前記グリッドを移動させるための動力を発生させる動力発生機構と、前記動力発生機構と結合して当該動力発生機構からの動力を前記第1位置におけるグリッドへ伝達し、前記グリッドの退避動作に伴って前記動力発生機構と離間して当該動力発生機構からの動力を前記第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる伝達機構と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像を撮影する放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駆動力を伝達する伝達機構(伝達部材)としてのチューブワイヤを用いて、グリッドを往復運動させる乳房撮影装置が開示されている。なお、グリッドを往復運動させるのは、乳房撮影装置で撮影される放射線画像にグリッドが写り込まないようにするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開2008/0037704号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の乳房撮影装置においては、チューブワイヤの一端側が駆動モータに結合されると共に、チューブワイヤの他端側がグリッドに結合されたままの状態で、グリッドの往復運動方向と直交する方向へグリッドが退避する。このため、グリッドの退避動作において、チューブワイヤが弛んで他の部材に引っ掛かるなどして、グリッドの退避動作を妨げる事態が生じていた。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、グリッドを移動させるための動力をグリッドに伝達する伝達機構が、グリッドの退避動作を妨げることを抑制できる放射線撮影装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、被験者が正対した状態で当該被験者の乳房が載置面に載せられる撮影台と、前記撮影台に載せられた乳房に放射線を照射する照射部と、前記照射部から照射されて前記乳房を透過した放射線を検出する放射線検出器と、前記載置面と前記放射線検出器との間の第1位置に配置され、前記放射線の前記乳房への透過により発生する当該放射線の散乱成分が前記放射線検出器へ入射するのを阻止するグリッドと、前記撮影台に対して正対した状態における被験者から前記グリッドが離れるように、当該被験者の前方に向けて前記第1位置から第2位置へ前記グリッドを退避させる退避機構と、当該被験者の左右方向に沿って前記グリッドを移動させるための動力を発生させる動力発生機構と、前記動力発生機構と結合して当該動力発生機構からの動力を前記第1位置におけるグリッドへ伝達し、前記グリッドの退避動作に伴って前記動力発生機構と離間して当該動力発生機構からの動力を前記第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる伝達機構と、を備えた放射線撮影装置である。
【0007】
請求項1の構成によれば、被験者が正対した状態で、被験者の乳房が撮影台の載置面に載せられる。撮影台に載せられた乳房には、照射部から放射線が照射される。照射部から照射されて乳房を透過した放射線は、放射線検出器によって検出される。
【0008】
一方、放射線の乳房への透過により発生する放射線の散乱成分は、グリッドによって、放射線検出器へ入射するのを阻止される。グリッドは、退避機構によって、被験者から離れるように、被験者の前方に向けて第1位置から第2位置へ退避する。
【0009】
ここで、請求項1の構成では、動力発生機構が、被験者の左右方向に沿ってグリッドを移動させるための動力を発生させる。そして、伝達機構が、動力発生機構と結合して、動力発生機構からの動力を第1位置におけるグリッドへ伝達し、グリッドの退避動作に伴って動力発生機構と離間して、動力発生機構からの動力を第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる。
【0010】
このように、請求項1の構成では、伝達機構が、グリッドの退避動作に伴って動力発生機構と離間する。従って、請求項1の構成によれば、前述の特許文献1に示す構成と異なり、グリッドの退避動作は、動力発生機構と伝達機構が結合された状態のままで行われるわけではないので、グリッドを移動させるための動力をグリッドに伝達する伝達機構がグリッドの退避動作を妨げることを抑制できる。
【0011】
また、伝達機構は、動力発生機構と離間して動力発生機構からの動力を第2位置におけるグリッドへ伝達不能となるので、第2位置に退避したグリッドに動力が伝達されることがない。
【0012】
請求項2の発明は、前記グリッドは、前記撮影台に対して正対した状態における被験者の前後方向に沿って設けられ放射線を遮蔽する遮蔽部材が、当該被験者の左右方向に沿って間隔をあけながら複数配置されて構成されている請求項1に記載の放射線撮影装置である。
【0013】
請求項3の発明は、前記動力発生機構は、前記グリッドの退避方向への移動をせず、前記伝達機構は、前記第2位置へ退避するグリッドと一体に移動して前記動力発生機構に対し前記退避方向へ離間し、当該動力発生機構からの動力を前記第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる請求項1又は2に記載の放射線撮影装置である。
【0014】
請求項3の構成によれば、動力発生機構は、グリッドの退避方向への移動をせず、伝達機構は、第2位置へ退避するグリッドと一体に移動して動力発生機構に対し退避方向へ離間する。
【0015】
これにより、動力発生機構は退避方向へ移動しないので、動力発生機構を移動させるための構成及び移動スペースが不要となる。また、伝達機構はグリッドと一体に移動させればよいので、別体で移動させる構成に比べて、伝達機構を動力発生機構と離間させるための構成が簡易でコンパクトになる。
【0016】
請求項4の発明は、前記動力発生機構は、駆動部の駆動力によって前記被験者の左右方向に沿って移動する左右方向移動部材と、前記左右方向移動部材の移動力を、前記動力として出力する出力部と、を有し、前記伝達機構は、前記グリッドと一体に移動する移動部材又は前記グリッドに設けられ、前記出力部からの移動力が入力される入力部を有し、前記入力部が前記出力部と結合して当該出力部からの移動力を前記第1位置におけるグリッドへ伝達し、前記入力部が前記第2位置へ退避するグリッドと一体に移動して前記出力部と離間し、当該出力部からの移動力を前記第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置である。
【0017】
請求項4の構成によれば、動力発生機構は、駆動モータが回転力を発生させる。駆動モータにより発生した回転力によって、左右方向移動部材が、被験者の左右方向に沿って移動する。左右方向移動部材の移動力は、出力部によって出力される。
【0018】
そして、伝達機構は、入力部が出力部と結合して出力部からの移動力を第1位置におけるグリッドへ伝達し、入力部が第2位置へ退避するグリッドと一体に移動して出力部と離間し、出力部からの移動力を第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる。
【0019】
このように、伝達機構は、動力発生機構が発生させた移動力を伝達するので、伝達機構で回転力を移動力で変換してグリッドへ伝達する構成に比べて、伝達機構の構成が簡易でコンパクトになる。
【0020】
請求項5の発明は、前記出力部は、前記左右方向移動部材に設けられ、凸部、及び該凸部が入り込んで結合されると共に該凸部が抜け出して離間する凹部の一方であり、前記入力部は、当該凸部及び当該凹部の他方である請求項4に記載の放射線撮影装置である。
【0021】
請求項5の構成によれば、出力部及び入力部の一方である凸部が、出力部及び入力部の他方である凹部に入り込んで結合され、当該凸部が凹部から抜け出して離間する。
【0022】
このように、凸部と凹部による機械的な結合及び離間であるので、駆動制御を伴って結合及び離間がなされる構成に比べて、構成が簡易となる。
【0023】
請求項6の発明は、前記動力発生機構は、回転力を発生させる前記駆動部としての駆動モータと、前記駆動モータにより発生した回転力によって回転するピニオンと、前記ピニオンと噛み合い、前記ピニオンの回転運動を直線運動に変換する前記左右方向移動部材としてのラックと、を備えている請求項4又は5に記載の放射線撮影装置である。
【0024】
請求項6の構成によれば、ピニオンが、駆動モータにより発生した回転力によって回転する。このピニオンと噛み合うラックが、ピニオンの回転運動を直線運動に変換する。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、上記構成としたので、グリッドを移動させるための動力をグリッドに伝達する伝達機構がグリッドの退避動作を妨げることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】放射線撮影装置の構成を示す側面図である。
【図2】放射線撮影装置の構成を示す側面図である。
【図3】放射線撮影装置の構成を示す正面図である。
【図4】グリッドの駆動機構を示す斜視図である。
【図5】動力発生機構を示す斜視図である。
【図6】ピン及び溝部の構成を示す斜視図である。
【図7】動力発生機構及び伝達機構を簡略化して概念的に示す概念図である。
【図8】第1変形例に係る構成を簡略化して概念的に示す概念図である。
【図9】第2変形例に係る構成を簡略化して概念的に示す概念図である。
【図10】第3変形例に係る構成を簡略化して概念的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(放射線撮影装置の構成)
まず、本実施形態に係る放射線撮影装置の構成を説明する。図1〜図3は、本実施形態に係る放射線撮影装置の構成を示す図である。図中の「○」の中に「×」が記載されたものは、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味し、図中の「○」の中に「・」が記載されたものは、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、図中において、Y方向・−Y方向は上下方向を示し、Z方向・−Z方向は、被験者Lの前後方向を示し、X方向・−X方向は、被験者Lの左右方向を示す。なお、ここでいう被験者Lとは、CC撮影時において放射線撮影装置10(具体的には後述の撮影台22の胸壁当接部30)に正対した状態(図1に示す状態)の被験者Lである。以下同様に、「被験者L」は、CC撮影時における放射線撮影装置10に正対した状態の被験者Lを意味するものとして説明する。また、放射線撮影装置10における矢印−Z方向側が、被験者Lに近い手前側(装置正面側)であり、放射線撮影装置10における矢印Z方向側が、被験者Lから離れた奥側(装置背面側)である。
【0028】
放射線撮影装置10は、図1に示すように、立位状態の被験者Lの乳房Nを放射線で撮影する装置(所謂、マンモグラフィ)であり、CC(頭尾方向。(Cranio&Caudal))撮影とMLO(内外斜位方向。Medial−Lateral−Oblique)撮影との両者を行うことができる装置とされている。
【0029】
放射線としては、例えば、X線、γ線などが適用される。また、放射線撮影装置10としては、被験者Lがいす等に座った座位状態において、その被験者Lの乳房Nを撮影可能な装置であってもよく、少なくとも被験者Lの上半身が立位した状態でその被験者Lの乳房Nが撮影される装置であればよい。
【0030】
放射線撮影装置10は、図1に示すように、被験者Lが正対した状態で被験者Lの乳房Nが載せられる撮影台22と、乳房Nを撮影台22へ圧迫する圧迫部材(圧迫板)34と、撮影台22と圧迫部材34とを支持する撮影台支持部28と、を備えている。
【0031】
圧迫部材(圧迫板)34は、駆動部34Aからの駆動力によって上下方向に移動可能に構成されている。
【0032】
撮影台22の上面には、被験者Lの乳房Nが載せられる平面状の載置面20が形成されている。撮影台22の側面(装置正面側(−Z方向側)の面)には、CC撮影時において被験者Lの乳房Nよりも下方の胸部分(胸壁)を当接させる胸壁当接部30が設けられている。
【0033】
また、撮影台22には、後述の放射線照射装置24から照射されて乳房Nを透過した放射線を検出する放射線検出器32と、放射線の乳房Nへの透過により発生する放射線の散乱成分が放射線検出器32へ入射するのを阻止するグリッド40と、グリッド40を駆動する駆動機構42と、が設けられている。グリッド40の駆動機構42については後述する。
【0034】
放射線撮影装置10では、放射線検出器32が検出した放射線が可視化されて放射線画像が生成されるようになっている。
【0035】
グリッド40は、載置面20と放射線検出器32との間において、放射線の散乱成分が放射線検出器32へ入射するのを阻止可能な第1位置(以下、阻止可能位置という)に配置されている。さらに、グリッド40は、図2に示すように、被験者Lの前方(Z方向)に向けて阻止可能位置から第2位置(以下、退避位置いう)へ退避可能とされている。
【0036】
グリッド40は、図3に示すように、例えば、Z方向に延び、放射線を遮蔽する遮蔽部材40A(例えば、鉛・銅などの箔)が、放射線照射装置24から輻射状に照射される放射線に対して平行に間隔をあけながら複数配置された構造をしている。すなわち、遮蔽部材40Aは、放射線照射装置24から輻射状に照射される放射線の照射方向と一致する収束角を有している。グリッド40の物理的構造を支持するため、複数の遮蔽部材40Aの間には、放射線を透過する透過部材40B(例えば、樹脂・木材・アルミなど)が設けられている。
【0037】
遮蔽部材40Aが、放射線の乳房Nへの透過により発生する放射線の散乱成分の通過を阻止する非透過部とされ、透過部材40Bが、乳房を透過して直進した放射線を通過させる透過部とされる。なお、透過部には、透過部材40Bがなく、空洞とされた構成であってもよい。
【0038】
グリッド40では、上記の構成により、放射線照射装置24から乳房Nを通過して減衰しながら直進した放射線は、透過部材40Bを通過して放射線検出器32に至るが、乳房Nで散乱して遮蔽部材40Aと平行ではなくなった散乱成分は、透過部材40Bを通過できずに遮蔽部材40Aで遮蔽されるようになっている。
【0039】
撮影台22の上方には、撮影台22に載せられた乳房Nに放射線を照射する照射部の一例としての放射線照射装置24が設けられている。具体的には、放射線照射装置24は、圧迫部材34によって撮影台22に圧迫された状態の乳房Nに放射線を照射するようになっている。また、放射線照射装置24は、放射線源としての管球(図示省略)を備えており、この管球(図示省略)から放射線を照射する構成とされている。
【0040】
撮影台支持部28の装置背面側(Z方向側)には、放射線照射装置24を支持する側面視(X方向視)略L字状の照射装置支持部29が設けられている。照射装置支持部29は、撮影台22(具体的には、載置面20)と放射線照射装置24とが所定間隔離れるように放射線照射装置24を支持するように構成されている。
【0041】
照射装置支持部29の装置背面側(Z方向側)には、撮影台支持部28及び照射装置支持部29を回動可能に支持する基台部14が設けられている。基台部14は、照射装置支持部29に固定された回動軸16を回動可能に支持することで、照射装置支持部29を回動可能に支持している。
【0042】
撮影台支持部28は、回動軸16と連結されて照射装置支持部29と一体に回動する回動状態と、回動軸16と分離されて回動軸16が撮影台支持部28に対して空転する空転状態と、に切り替え可能とされている。具体的には、回動軸16及び撮影台支持部28にそれぞれギヤが設けられ、このギヤ同士の噛合状態・非噛合状態を切替えるようになっている。すなわち、当該ギヤ同士が噛み合うことで上記回動状態となり、その噛み合いが解除されることで上記空転状態となるように構成されている。なお、上記回動状態・上記空転状態の切替えは、種々の機械要素を用いて実現することができる。
【0043】
上記空転状態において照射装置支持部29を回動させることで、撮影台22の載置面20に対する放射線の照射方向の角度を変更することができる。これにより、複数の角度から撮影された放射線画像から立体画像を得ることができる。すなわち、所謂、ステレオ撮影、トモシンセンス撮影が行えるようになっている。
【0044】
なお、放射線撮影装置10としては、撮影台支持部28が照射装置支持部29に固定されて、撮影台支持部28と照射装置支持部29とが常に一体に回動する構成であってもよい。
【0045】
(グリッド40の駆動機構42の構成)
次に、本実施形態に係るグリッド40の駆動機構42の構成について説明する。
【0046】
グリッド40の駆動機構42は、図4に示すように、被験者Lからグリッド40が離れるように、被験者Lの前方に向けて阻止可能位置(図1、図4及び図7(A)に示す位置)から退避位置(図2及び図7(B)に示す位置)へグリッド40を退避させる退避機構50を備えている。
【0047】
なお、グリッド40の退避は、例えば、グリッド40の遮蔽部材40Aの収束角が、放射線照射装置24から輻射状に照射される放射線の照射方向と一致しなくなる場合に行われる。当該一致しなくなる場合とは、例えば、ステレオ撮影などにおいて、撮影台22の載置面20に対する放射線の照射方向の角度を変更する場合がある。
【0048】
退避機構50は、阻止可能位置と退避位置との間を被験者Lの前後方向へ移動可能にグリッド40を支持する支持部としての支持フレーム48と、被験者Lの前後方向へ移動させるための駆動力を出力する駆動部52と、駆動部52の駆動力をグリッド40に伝達する伝達部60と、を備えて構成されている。
【0049】
支持フレーム48は、具体的には、伝達部60及び後述のグリッド側移動部材82を介して、グリッド40を支持している。また、支持フレーム48には、後述のグリッド側移動部材82を被験者Lの前後方向へ案内する案内部としてのガイド47(図7参照)が設けられている。
【0050】
支持フレーム48は、撮影台22の筐体22A(図1参照)に対して直接的又は間接的に固定されており、撮影台22に対して位置不動に(位置が変化しないように)構成されている。また、支持フレーム48は、上下方向に厚みを有する板状に形成されている。
【0051】
支持フレーム48は、矩形状に形成された本体部48Aと、本体部48Aの幅方向一端部(Z方向側端部)から前方(Z方向)へ突出する一対の突出部48Bと、を備えて構成されている。一対の突出部48Bは、本体部48Aの長さ方向(X方向・−X方向)へ間隔をおいて、本体部48Aの長さ方向一端側(X方向側)と長さ方向他端側(−X方向)とにそれぞれ配置されており、一対の突出部48Bの間には、空間が形成されている。
【0052】
駆動部52は、支持フレーム48の突出部48Bの上面に設けられている。なお、駆動部52は、支持フレーム48のいずれの部位に設けられていてもよい。駆動部52は、正転及び逆転して駆動軸52Aから回転力を出力する駆動モータで構成されている。
【0053】
伝達部60は、駆動部52の駆動軸52Aに取り付けられた歯車51と、歯車51に噛み合う歯車59と、外周に形成された歯で歯車59と噛み合う環状の歯付ベルト53と、歯付ベルト53が巻き掛けられ歯付ベルト53の内周側の歯で噛み合う一対の歯車55A・55Bと、一端部に歯車55Aが固定され歯車55Aと一体に回転する回転軸58と、一方の歯車56Aが回転軸58の他端部に固定された一対の歯車56A・56Bと、一対の歯車56A・56Bに巻き掛けられ一対の歯車56A・56Bと内周側の歯で噛み合う環状の歯付ベルト54と、を備えて構成されている。
【0054】
歯付ベルト53及び歯付ベルト54には、それぞれ、グリッド側移動部材82の突出部82Bが取付部材96を介して、取り付けられている。グリッド側移動部材82の突出部82Bは、取付部材96に対して、−X方向及びX方向に移動可能とされている。
【0055】
この伝達部60では、駆動部52が正転して駆動軸52Aから出力された回転力により歯車51及び歯車59が回転し、歯車59が回転することで、歯付ベルト53が循環移動(回転)する。歯付ベルト53が循環移動することにより、歯車55A・回転軸58・歯車56Aが一体に回転し、歯車56Aが回転することにより、歯付ベルト54が歯付ベルト53と同一方向へ循環移動(回転)する。これにより、グリッド40が阻止可能位置(図1、図4及び図7(A)に示す位置)から退避位置(図2及び図7(B)に示す位置)へ退避するようになっている。なお、駆動部52を逆転させることで、グリッド40は、退避位置(図2及び図7(B)に示す位置)から阻止可能位置(図1、図4及び図7(A)に示す位置)へ移動するようになっている。
【0056】
なお、退避機構50としては、上記の構成に限られるものではなく、ワイヤ・プーリー・ボールネジ等の機械要素を用いた種々の構成とすることが可能である。
【0057】
グリッド40の駆動機構42は、図4に示すように、退避機構50に加えて、被験者Lの左右方向に沿ってグリッド40を往復移動(移動の一例)させるための動力を発生させる動力発生機構70と、動力発生機構70と結合して動力発生機構70からの動力を阻止可能位置におけるグリッド40へ伝達し、グリッド40の退避動作に伴って動力発生機構70と離間して動力発生機構70からの動力を退避位置におけるグリッド40へ伝達不能となる伝達機構80と、を備えている。なお、グリッド40の往復移動は、放射線撮影装置10で撮影される放射線画像にグリッド40の遮蔽部材40Aが写り込まないようにするために行われるものであり、グリッド40が阻止可能位置に位置する場合に行われる。
【0058】
動力発生機構70は、図5に示すように、回転力を発生させる駆動モータ72(駆動部の一例)と、駆動モータ72により発生した回転力によって回転するピニオン74と、ピニオン74と噛み合いピニオン74の回転運動を往復運動(直線運動の一例)に変換するラック76と、を備えている。
【0059】
ラック76は、駆動部の駆動力によって被験者の左右方向に沿って移動する左右方向移動部材として機能するようになっている。
【0060】
駆動モータ72は、動力発生機構70の構成部品が取り付けられる取付部としての取付フレーム71の側板71Aに固定されている。駆動モータ72の回転力は、伝達部材としてのギヤ列73を介してピニオン74に伝達されるようになっている。ギヤ列73は、駆動モータ72における回転力を出力する駆動軸72Aに設けられたギヤ73Aを含む複数のギヤを備えて構成されている。
【0061】
ギヤ列73及びピニオン74は、取付フレーム71の側板71Aに回転可能に取り付けられている。ラック76は、取付フレーム71の底板71Bに−X方向及びX方向へ移動可能に取り付けられている。なお、取付フレーム71は、図示はしないが、例えば、突出部48Bを介して支持フレーム48に固定されている。
【0062】
動力発生機構70は、さらに、ラック76と一体に移動する移動部材78(以下、ラック側移動部材78という)と、ラック側移動部材78に設けられたピン79(凸部の一例)と、を備えている。
【0063】
ピン79は、後述の溝部84へラック76の往復移動力(移動力の一例)を出力する出力部として機能するようになっている。
【0064】
ラック側移動部材78は、具体的には、平面視L字状に形成されると共に、上下方向に厚みを有する板状の部材で構成されている。ラック側移動部材78は、ラック76の底面に固定されており、ラック76と一体に往復移動するようになっている。
【0065】
取付フレーム71は、例えば、支持フレーム48に固定されており、動力発生機構70を構成する駆動モータ72・ピニオン74・ラック76・ラック側移動部材78・ピン79は、グリッド40の退避方向への移動をしないようになっている。すなわち、グリッド40の退避方向における位置が変化しないようになっている。
【0066】
なお、動力発生機構70は、ピニオン74とラック76との噛み合い部分で生じるバックラッシュを抑制するためにラック76を−X方向側へ付勢する付勢部材としての引っ張りバネ75と、ラック76のホームポジション(ストローク(往復移動の移動量)を決定するための基準となる位置)を検出するための検出センサ77(図7参照)と、を備えている。
【0067】
伝達機構80は、図4に示すように、グリッド40と一体に移動する移動部材82(以下、グリッド側移動部材82という)と、グリッド側移動部材82に設けられピン79が入り込んで結合されると共にピン79が抜け出して離間する溝部84(凹部の一例)が形成された形成部位としての形成部材86と、を備えて構成されている。溝部84は、ピン79からの往復移動力が入力される入力部として機能するようになっている。
【0068】
グリッド側移動部材82は、被験者Lの左右方向に長さを有すると共にグリッド40の前端部(Z方向側端部)に固定される固定部82Aと、固定部82Aの長さ方向(−X方向・X方向)両端部から前方(Z方向)へ突出する一対の突出部82Bと、を備えて構成されている。グリッド側移動部材82は、全体として平面視コの字状(Uの字状)とされると共に、上下方向に厚みを有する板状に形成されている。
【0069】
一対の突出部82Bは、固定部82Aの長さ方向(X方向・−X方向)へ間隔をおいて、固定部82Aの長さ方向一端側(X方向側)と長さ方向他端側(−X方向)とにそれぞれ配置されており、一対の突出部82Bの間には、空間が形成されている。
【0070】
形成部材86は、X方向側の突出部82Bの上面に設けられている。溝部84は、形成部材86の装置正面側(−Z方向側)に向かって開口しており、ピン79が溝部84に対して装置正面側から抜き差し可能に構成されている。
【0071】
図6(A)に示すように、ピン79が溝部84に入り込んだ状態において、ピン79が形成部材86に挟持され、ピン79と溝部84とが結合されるようになっている。この状態において、形成部材86及びグリッド側移動部材82は、ラック側移動部材78と一体に移動して動力発生機構70からの往復移動力を阻止可能位置におけるグリッド40へ伝達するようになっている。すなわち、ピン79と溝部84とが結合された状態は、動力発生機構70とグリッド40とが連結され、動力発生機構70からグリッド40までの駆動力伝達経路が形成された状態となる。
【0072】
また、形成部材86及びグリッド側移動部材82は、退避位置へ退避するグリッド40と一体に移動することで、図6(B)に示すように、ピン79が溝部84から抜け出してピン79と溝部84とが離間し、ピン79と溝部84とが離間した状態においては、ピン79からの往復移動力を退避位置におけるグリッド40へ伝達不能となる。すなわち、ピン79と溝部84とが離間した状態は、動力発生機構70とグリッド40とが分断され、動力発生機構70からグリッド40までの駆動力伝達経路が開放された(形成されていない)状態となる。
【0073】
このように、伝達機構80は、退避位置へ退避するグリッド40と一体に移動して動力発生機構70に対し退避方向へ離間し、動力発生機構70からの動力を退避位置におけるグリッド40へ伝達不能となる。
【0074】
(放射線撮影装置10の作用)
次に、放射線撮影装置10の作用を説明する。図7には、(A)グリッド40の阻止可能位置に位置する状態と、(B)グリッド40の退避位置に位置する状態と、が示されている。なお、図7は、動力発生機構70及び伝達機構80を簡略化して概念的に示す概念図である。
【0075】
放射線撮影装置10によれば、被験者Lが撮影台22の胸壁当接部30に正対した状態で、被験者Lの乳房Nが撮影台22の載置面20に載せられる。撮影台22に載せられた乳房Nには、放射線照射装置24から放射線が照射される。放射線照射装置24から照射されて乳房Nを透過した放射線は、放射線検出器32によって検出される。そして、放射線検出器32が検出した放射線が可視化されて放射線画像が生成される。
【0076】
一方、放射線の乳房Nへの透過により発生する放射線の散乱成分は、阻止可能位置に位置するグリッド40によって、放射線検出器32へ入射するのを阻止される。グリッド40が阻止可能位置に位置する場合では、図7(A)に示すように、動力発生機構70では、駆動モータ72により発生した回転力によってピニオン74が回転し、ピニオン74と噛み合ったラック76が、ピニオン74の回転運動を往復運動に変換する。ラック76と一体に移動するラック側移動部材78を通じて、ピン79から往復移動力が出力される。
【0077】
このピン79が溝部84に入り込んでピン79と溝部84とが結合されており、ピン79から出力された往復移動力は、溝部84・形成部材86・グリッド側移動部材82を通じて、阻止可能位置におけるグリッド40へ伝達され、グリッド40が往復移動する。これにより、放射線撮影装置10で撮影された放射線画像へのグリッド40の遮蔽部材40Aの写り込みが抑制される。
【0078】
放射線撮影装置10において、ステレオ撮影等により、撮影台22の載置面20に対する放射線の照射方向の角度を変更する場合には、図7(B)に示すように、グリッド40が退避機構50によって、被験者Lから離れるように、被験者Lの前方(Z方向)に向けて阻止可能位置から退避位置へ退避する。
【0079】
ここで、本実施形態の構成では、グリッド40が退避位置に移動すると、形成部材86及びグリッド側移動部材82がグリッド40と一体に退避位置へ移動する。これにより、ピン79が溝部84から抜け出してピン79と溝部84が離間し、ピン79と溝部84とが離間した状態においては、ピン79からの往復移動力を退避位置におけるグリッド40へ伝達不能となる。
【0080】
従って、本実施形態の構成によれば、前述の特許文献1に示す構成と異なり、グリッド40の退避動作は、動力発生機構70と伝達機構80が結合された状態のままで行われるわけではないので、伝達機構80がグリッド40の退避動作を妨げることを抑制できる。
【0081】
また、伝達機構80は、動力発生機構70と離間して動力発生機構70からの動力を退避位置におけるグリッド40へ伝達不能となるので、退避位置に退避したグリッド40に動力が伝達されることがない。
【0082】
また、本実施形態の構成では、動力発生機構70は退避方向へ移動しない構成なので、動力発生機構70を移動させるための構成及び移動スペースが不要となる。このため、乳房Nを圧迫部材34で圧迫する際に、技師が手を入れるための空間S(図1参照)が増大する。
【0083】
また、伝達機構80はグリッド40と一体に移動させればよいので、別体で移動させる構成に比べて、伝達機構80を動力発生機構70と離間させるための構成が簡易でコンパクトになる。
【0084】
また、本実施形態の構成では、伝達機構80は、動力発生機構70が発生させた往復移動力を伝達するので、伝達機構80で回転力を往復移動力で変換してグリッド40へ伝達する構成に比べて、伝達機構80の構成が簡易でコンパクトになる。
【0085】
また、本実施形態の構成では、ピン79と溝部84による機械的な結合及び離間であるので、駆動制御を伴って結合及び離間がなされる構成に比べて、構成が簡易となる。
【0086】
本実施形態では、グリッド40のZ方向に延びる遮蔽部材40Aの放射線画像への写り込みが抑制されるように、グリッド40を連続的にX方向・−X方向へ往復移動させていたが、これに限られず、例えば、以下のように、グリッド40を連続的に往復移動させない構成としてもよい。
本実施形態のように、通常、グリッド40の遮蔽部材40Aは、Z方向に延びている。従って、グリッド40を連続的にX方向・−X方向へ往復移動させない場合では、グリッド40の遮蔽部材40Aの直下の部分は、遮蔽部材40Aに放射線が遮られて撮影されない。そこで、グリッド40は、遮蔽部材40Aに対して垂直な、即ち、X方向又は−X方向に動かして複数枚撮影する必要がある。すなわち、例えば、グリッド40をX方向又は−X方向へずらして複数枚撮影して、グリッド40の遮蔽部材40Aが放射線画像の異なる位置に写り込むようにして、その放射線画像を合成することで、グリッド40の遮蔽部材40Aがない画像を生成することができる。
特に、図3のように、放射線照射装置24をX方向又は−X方向に回動させて、例えば、立体撮影する場合では、グリッド40の遮蔽部材40Aは、Z方向に延びていなければならない。従って、上記のように、グリッド40をX方向又は−X方向に動かして複数枚撮影する必要がある。
このように、本実施形態の構成であれば、Z方向のみならずX方向にも、グリッド40を動かす事が出来る。そして、撮影時にのみX方向を動かす必要があるので、X方向にも、グリッド40を動かせる。更に、前述の特許文献1に示す構成のように内部でチューブワイヤが引っかかる事もない。
【0087】
また、本実施形態では、動力発生機構70の一部を構成するラック側移動部材78にピン79が設けられ、伝達機構80の一部を構成するグリッド側移動部材82に溝部84が設けられていたが、ラック側移動部材78に溝部84が設けられ、グリッド側移動部材82にピン79が設けられる構成であってもよい。
【0088】
凹部としては、溝部84に限られず、例えば、穴状をしたものであってもよく、凸部が入り込んで結合されるものであればよい。また、凸部としては、ピン79に限られず、凹部に入り込んで結合されるものであればよい。
【0089】
ピン79は、ラック側移動部材78に設けられていたが、直接、ラック76に設けられる構成であってもよい。
【0090】
また、グリッド40の退避動作に伴って溝部84とピン79とが離間する限りにおいては、溝部84がグリッド40と一体に移動する構成に限られず、グリッド40の退避動作に連動してグリッド40の退避方向とは異なる方向や、グリッド40の退避量と異なる移動量移動する構成であってもよい。
【0091】
また、グリッド40の退避動作に伴って溝部84とピン79とが離間する限りにおいては、動力発生機構70におけるグリッド40の退避方向への移動は、許容される。
【0092】
また、動力発生機構70において往復移動力を出力する構成としては、ピニオン74及びラック76による構成に限られず、他の機械要素による構成、他のアクチュエータを用いてもよい。
【0093】
また、動力発生機構70における出力部・伝達機構80の入力部としては、ピン79及び溝部84に限られず、例えば、以下の第1変形例及び第2変形例に示すように、種々の構成とすることができる。
【0094】
(第1変形例)
第1変形例では、図8に示すように、伝達機構80の入力部としての磁性体186が、グリッド側移動部材82に設けられている。磁性体186としては、例えば、鉄、永久磁石が用いられる。磁性体186は、後述の電磁石179よりも重量が軽くされている。
【0095】
また、第1変形例では、動力発生機構70における出力部としての電磁石179がラック側移動部材78に設けられている。電磁石179は、非通電状態において磁力が発生して磁性体186を吸着し、通電状態において磁力が発生せず磁性体186を吸着しない構成とされている。すなわち、永久磁石内蔵型の電磁石であって、通電により磁場を生じさせて永久磁石の磁力をキャンセルする構成とされている。
【0096】
第1変形例に構成では、グリッド40が阻止可能位置に位置する場合において、電磁石179が非通電状態となり、電磁石179が磁性体186を吸着して結合される。この状態において、形成部材86及びグリッド側移動部材82は、ラック側移動部材78と一体に移動して、動力発生機構70からの往復移動力を阻止可能位置におけるグリッド40へ伝達するようになっている。
【0097】
また、電磁石179が通電状態になると共に、形成部材86及びグリッド側移動部材82が退避位置へ退避するグリッド40と一体に移動することで、電磁石179と磁性体186とが離間し、電磁石179と磁性体186とが離間した状態においては、動力発生機構70からの往復移動力を退避位置におけるグリッド40へ伝達不能となる。
【0098】
(第2変形例)
第2変形例では、図9に示すように、伝達機構80の入力部としての第1圧接部材286が、グリッド側移動部材82に設けられている。動力発生機構70における出力部としての第2圧接部材279がラック側移動部材78に設けられている。第1圧接部材286を第2圧接部材279に加圧接触させて、摩擦によりグリップ(結合)させるようになっている。
【0099】
第1圧接部材286及び第2圧接部材279としては、例えば、ゴムなど、摩擦係数が摩擦によりグリップ(結合)可能な程度に高いものが用いられる。
【0100】
第2変形例に構成では、グリッド40が阻止可能位置に位置する場合において、第1圧接部材286を第2圧接部材279に加圧接触させて、摩擦によりグリップ(結合)させる。この状態において、形成部材86及びグリッド側移動部材82は、ラック側移動部材78と一体に移動して、動力発生機構70からの往復移動力を阻止可能位置におけるグリッド40へ伝達するようになっている。
【0101】
また、形成部材86及びグリッド側移動部材82が退避位置へ退避するグリッド40と一体に移動することで、第1圧接部材286と第2圧接部材279とが離間し、第1圧接部材286と第2圧接部材279とが離間した状態においては、動力発生機構70からの往復移動力を退避位置におけるグリッド40へ伝達不能となる。
【0102】
また、本実施形態では、動力発生機構70では、ピニオン74及びラック76によって、回転運動を往復運動に変換して往復移動力を出力していたが、以下の第3変形例に示すように、動力発生機構70において回転力を出力し、伝達機構80において往復運動に変化する構成であってもよい。
【0103】
(第3変形例)
【0104】
第3変形例では、動力発生機構370は、前述の動力発生機構70においてラック76・ラック側移動部材78・引っ張りバネ75を有さない構成とされている。動力発生機構370では、ピニオン74は、伝達機構380へ回転力を出力する出力部として機能するようになっている。
【0105】
一方、伝達機構380は、伝達機構80における形成部材86に替えて、動力発生機構70におけるラック76がグリッド側移動部材82に設けられている。伝達機構380では、ラック76は、回転力が入力され当該回転力を往復移動力に変換する入力部として機能するようになっている。
【0106】
第3変形例に構成では、グリッド40が阻止可能位置に位置する場合において、ピニオン74の歯がラック76の歯に差し込まれて結合される。この状態において、ピニオン74からの回転力がラック76に伝達され、ラック76及びグリッド側移動部材82が往復移動して、この往復移動力が阻止可能位置におけるグリッド40へ伝達されるようになっている。
【0107】
また、グリッド側移動部材82が退避位置へ退避するグリッド40と一体に移動することで、ピニオン74の歯がラック76の歯から抜けて、ピニオン74とラック76とが離間し、ピニオン74とラック76とが離間した状態においては、動力発生機構70からの回転力がラック76へ伝達されず、ラック76の往復移動力は、退避位置におけるグリッド40へ伝達不能となる。
【0108】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0109】
10 放射線撮影装置
20 載置面
22 撮影台
24 放射線照射装置(照射部の一例)
32 放射線検出器
40 グリッド
50 退避機構
70 動力発生機構
72 駆動モータ
74 ピニオン
76 ラック(左右方向移動部材の一例)
79 ピン(出力部の一例、凸部の一例)
80 伝達機構
84 溝部(入力部の一例、凹部の一例)
179 電磁石(出力部の一例)
186 磁性体(入力部の一例)
279 圧接部材(出力部の一例)
286 圧接部材(入力部の一例)
370 動力発生機構
380 伝達機構
L 被験者
N 乳房

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者が正対した状態で当該被験者の乳房が載置面に載せられる撮影台と、
前記撮影台に載せられた乳房に放射線を照射する照射部と、
前記照射部から照射されて前記乳房を透過した放射線を検出する放射線検出器と、
前記載置面と前記放射線検出器との間の第1位置に配置され、前記放射線の前記乳房への透過により発生する当該放射線の散乱成分が前記放射線検出器へ入射するのを阻止するグリッドと、
前記撮影台に対して正対した状態における被験者から前記グリッドが離れるように、当該被験者の前方に向けて前記第1位置から第2位置へ前記グリッドを退避させる退避機構と、
当該被験者の左右方向に沿って前記グリッドを移動させるための動力を発生させる動力発生機構と、
前記動力発生機構と結合して当該動力発生機構からの動力を前記第1位置におけるグリッドへ伝達し、前記グリッドの退避動作に伴って前記動力発生機構と離間して当該動力発生機構からの動力を前記第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる伝達機構と、
を備えた放射線撮影装置。
【請求項2】
前記グリッドは、
前記撮影台に対して正対した状態における被験者の前後方向に沿って設けられ放射線を遮蔽する遮蔽部材が、
当該被験者の左右方向に沿って間隔をあけながら複数配置されて構成されている
請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記動力発生機構は、前記グリッドの退避方向への移動をせず、
前記伝達機構は、前記第2位置へ退避するグリッドと一体に移動して前記動力発生機構に対し前記退避方向へ離間し、当該動力発生機構からの動力を前記第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる請求項1又は2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記動力発生機構は、
駆動部の駆動力によって前記被験者の左右方向に沿って移動する左右方向移動部材と、
前記左右方向移動部材の移動力を、前記動力として出力する出力部と、
を有し、
前記伝達機構は、
前記グリッドと一体に移動する移動部材又は前記グリッドに設けられ、前記出力部からの移動力が入力される入力部を有し、
前記入力部が前記出力部と結合して当該出力部からの移動力を前記第1位置におけるグリッドへ伝達し、
前記入力部が前記第2位置へ退避するグリッドと一体に移動して前記出力部と離間し、当該出力部からの移動力を前記第2位置におけるグリッドへ伝達不能となる請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記出力部は、
前記左右方向移動部材に設けられ、凸部、及び該凸部が入り込んで結合されると共に該凸部が抜け出して離間する凹部の一方であり、
前記入力部は、
当該凸部及び当該凹部の他方である請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記動力発生機構は、
回転力を発生させる前記駆動部としての駆動モータと、
前記駆動モータにより発生した回転力によって回転するピニオンと、
前記ピニオンと噛み合い、前記ピニオンの回転運動を直線運動に変換する前記左右方向移動部材としてのラックと、
を備えている請求項4又は5に記載の放射線撮影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate