説明

放射線撮影装置

【課題】被写体が撮影台と重なった状態であっても、操作者が、放射線検出器のサイズ、設置位置、及び放射線曝射範囲を目視で簡単に確認することのできる放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】サイズの異なる放射線検出器のそれぞれに対して、それらを設置可能な複数の設置位置が予め決められている撮影台14と、放射線検出器16のサイズ及び設置位置を入力する操作入力部24と、撮影台14上に放射線検出器16の設置範囲を照射可能な第1の光源部18と、放射線の曝射範囲を照射可能な第2の光源部20と、放射線源12と、これらをそれぞれ制御する撮影制御部22とを備え、第1の光源部18は、第1の光源18bと第1の光源絞り18aとを有し、また、第2の光源部20は、第2の光源20bと第2の光源絞り20aとを有し、第2の光源絞り20aは、放射線源12の光源絞りとしても機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器のサイズ、放射線検出器の設置位置、及び放射線の曝射範囲が確認可能な放射線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サイズのそれぞれ異なる放射線検出器を設置可能な撮影台を備える放射線撮影装置において、一旦撮影台に放射線検出器を設置してしまうと、また、被写体が放射線検出器の前に立ってしまうと、放射線検出器のサイズ及び設置位置(設置範囲)を簡単に目視で確認することができず、技師が撮影台まで移動して、撮影台を横から覗き込んで、放射線検出器のサイズ及び設置位置を確認するなど、放射線検出器のサイズ及び設置位置の確認に非常に手間が掛かっていた。
【0003】
以下の特許文献1には、放射線変換パネル(放射線検出器)を設置するカセッテのケーシングであって、その側面に放射線変換パネルの設置位置を示す指標が表示されているケーシングを備える放射線撮影装置が記載されている。
【0004】
また、以下の特許文献2には、固体平面検出器(放射線検出器)のサイズを検出可能なX線診断装置であって、検出された検出器のサイズに応じてX線(放射線)の光源絞りを調整するX線診断装置が記載されている。
【0005】
また、以下の特許文献3には、X線(放射線)照射野と同じ範囲を可視光によって照射することができる投光照準機構を備えたX線稼働絞り装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−82372号公報
【特許文献2】特許第3388139号公報
【特許文献3】特開平7−148159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明では、カセッテのケーシング内におけるパネル設置位置は確認可能なものの、カセッテ前に被写体が立った場合に、被写体とパネル設置位置の関係、放射線の照射野とパネル設置位置の関係を目視で確認することが困難である。
また、特許文献2に記載の発明は、放射線検出器のサイズの検出装置や、検出された放射線検出器のサイズをX線源(放射線源)に伝える機構が必要となる分、装置が大掛かりとなり、また、被写体と放射線検出器との関係を目視で確認することができない。
また、特許文献3に記載の発明は、X線(放射線)の照射野については目視で確認可能だが、放射線検出器のサイズ及び設置位置については、何ら考慮されておらず、記載も示唆もされていない。
【0008】
本発明の目的は、放射線撮影の際に、被写体が撮影台と重なった状態であっても、操作者(技師)が、放射線検出器のサイズ、放射線検出器の設置位置、及び放射線の曝射範囲を目視で簡単に確認することのできる放射線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、サイズの異なる放射線検出器のそれぞれに対して、それらを設置可能な複数の設置位置が予め決られている撮影台と、前記撮影台に設置される前記放射線検出器の前記サイズ及び前記設置位置(設置範囲)を入力する操作入力部と、入力された前記放射線検出器の前記設置範囲に基づいて、第1の照明光によって前記撮影台上に前記放射線検出器の前記設置範囲を照射可能な第1の光源部と、第2の照明光によって前記撮影台上に放射線の曝射範囲を照射可能な第2の光源部と、放射線を曝射する放射線源と、前記第1の光源部、前記第2の光源部、及び放射線源からの照射及び曝射をそれぞれ制御する撮影制御部と、を備え、前記第1の光源部は、前記第1の照明光を照射する第1の光源とその照射野を調整する第1の光源絞りとを有し、また、前記第2の光源部は、前記第2の照明光を照射する第2の光源とその照射野を調整する第2の光源絞りとを有し、前記第2の光源絞りは、前記放射線源の光源絞りとしても機能し、前記第1の光源絞り及び前記第2の照射絞りの開口部の調整、前記第1の光源及び前記第2の光源からの照射、並びに前記放射線源からの曝射は、前記操作入力部からの指示により、前記撮影制御部によってそれぞれ制御されることを特徴とする放射線撮影装置を提供する。
【0010】
また、前記第2の光源絞りは、鉛成分を含み、放射線を遮断することが好ましい。
【0011】
また、前記第1の光源からの前記第1の照明光と前記第2の光源からの前記第2の照明光とは、その色が異なり、前記撮影台上に同時に照射することで、その色差に基づいて前記放射線検出器の前記設置範囲と前記放射線の曝射範囲とを同時に表示可能であることが好ましい。
【0012】
また、前記第1の光源からの前記第1の照明光と前記第2の光源からの前記第2の照明光とは、その照射強度が異なり、前記撮影台上に同時に照射することで、その照射強度差に基づいて前記放射線検出器の前記設置範囲と前記放射線の曝射範囲とを同時に表示可能であることが好ましい。
【0013】
また、前記撮影台における前記放射線検出器の前記設置可能な複数の設置位置は、前記放射線検出器の1つのサイズに対して、鉛直方向(検出器上端、検出器中央、検出器下端)3通り、水平方向(検出器左端、検出器中央、検出器右端)3通りの合計9箇所であることが好ましい。
【0014】
さらに、前記操作入力部は、前記撮影台上に前記放射線検出器の前記設置範囲を照射する第1のスイッチと、前記撮影台上に前記放射線の前記曝射範囲を照射する第2のスイッチと、前記放射線を曝射する第3のスイッチとを有することが好ましい。
【0015】
また、さらに、前記操作入力部は、前記撮影台上に、前記放射線検出器の前記設置範囲と前記前記放射線の前記曝射範囲とを交互に照射する第4のスイッチを備えることが好ましい。
【0016】
また、さらに、前記操作入力部は、3段式スイッチを有し、前記3段式スイッチは、第1段目において、前記撮影台上に前記放射線検出器の前記設置範囲を照射し、第2段目において、前記撮影台上に、前記放射線検出器の前記設置範囲に重ねて、前記放射線の前記曝射範囲を照射し、第3段目において、前記放射線を曝射することが好ましい。
【0017】
また、さらに、前記操作入力部は、3段式スイッチを有し、前記3段式スイッチは、第1段目において、前記撮影台上に、前記放射線の前記曝射範囲を照射し、第2段目において、前記撮影台上に、前記放射線の前記曝射範囲に重ねて、前記放射線検出器の前記設置範囲を照射し、第3段目において、前記放射線を曝射することが好ましい。
【0018】
また、前記3段式スイッチは、第1段目若しくは第2段目において所定時間停止した場合に、又は、第1段目、第2段目、及び第3段目のいずれにも該当しない箇所で所定時間停止した場合に、前記撮影台上に、前記放射線検出器の前記設置範囲と前記前記放射線の前記曝射範囲とを交互に繰り返し照射することが好ましい。
【0019】
また、前記放射線源から曝射され、前記第2の光源絞りを通過した放射線の光束は、前記第1の光源絞りの開口部内に含まれることが好ましい。
【0020】
さらに、前記撮影台上において、前記第2の光源部からの前記第2の照明光の前記照射範囲が、前記第1の光源部からの前記第1の照明光の前記照射範囲から外れる場合には、警告を行う警告手段を備えることが好ましい。
【0021】
また、前記警告がなされた場合に、前記警告手段は、前記撮影制御部を通じて前記放射線源からの前記放射線の曝射を停止することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、撮影台上に可視光によって放射線検出器のサイズ及び設置位置を表示するため、操作者(技師)が目視で放射線検出器のサイズ及び設置位置を確認することができ、また、被写体が撮影台と重なった状態であっても放射線検出器のサイズ及び設置位置を確認することができる。
また、放射線検出器のサイズ及び設置位置を示す可視光に重ねて放射線の曝射範囲を示す可視光を照射することで、放射線検出器のサイズ及び設置位置と同時に放射線の曝射範囲を目視で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る放射線撮影装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る放射線撮影装置の撮影台上における、放射線検出器のサイズ及び設置位置、並びに放射線の曝射範囲を示す説明図である。
【図3】本発明に係る放射線撮影装置において、撮影台の前に被写体が立った場合の放射線検出器のサイズ及び設置位置、並びに放射線の曝射範囲を示す説明図である。
【図4】本発明に係る放射線撮影装置の可動式の光源絞りと照射野との関係を説明する説明図である。
【図5】本発明に係る放射線撮影装置の第2の光源部及び放射線源の概略構成を示す説明図である。
【図6】本発明に係る放射線撮影装置の操作入力部に設置された3段式スイッチの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る放射線撮影装置を、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0025】
<放射線撮影装置の構成>
図1は、本発明の放射線撮影装置の構成を表す一実施形態の模式図である。
図1に示すとおり、本発明の放射線撮影装置10は、放射線を曝射する放射線源12と、放射線源12を高さ方向に移動させる線源移動機構13と、サイズのそれぞれ異なる放射線検出器を、複数の異なる設置位置に設置可能な撮影台14と、撮影台に設置され、曝射された放射線を検出する放射線検出器16と、撮影台に対して放射線検出器16の設置範囲に第1の照明光(可視光)を照射する第1の光源部18と、撮影台に対して放射線源12の放射線の曝射範囲(照射野)に第2の照明光(可視光)を照射する第2の光源部20と、放射線源12からの放射線の曝射と、第1の光源部18からの第1の照明光及び第2の光源部20からの第2の照明光の照射とをそれぞれ制御する撮影制御部22と、放射線検出器16のサイズ及び設置位置(設置範囲)と、放射線源12、第1の光源部18、及び第2の光源部20の操作指示を入力する操作入力部24とを備える。
【0026】
放射線源12は、撮影台14に向けて所定の位置に固定されており、その曝射範囲は、後述する第2の光源部20の光源絞り20aによって調整される。操作者(技師)は、操作入力部24を指示することにより、放射線源12から放射線を曝射し、放射線撮影を行う。
なお、放射線源12は、高さ調整手段13を備え、放射線源12の高さ(z方向位置)は、撮影台14の高さ(z方向位置)に連動して移動される。
【0027】
撮影台14は、サイズの異なる放射線検出器(パネル)16を複数の異なる設置位置に設置可能である。図2に示すように、撮影台14には、所定のパネルサイズとそのパネルサイズに応じた複数の設置位置が予め点線で記入されている。
パネル16の設置位置は、1つのサイズに対して、例えば、撮影台14の縦方向(鉛直方向)に3種類(上端、中央、下端)、撮影台14の横方向(水平方向)に3種類(左端、中央、右端)、合計9種類の設置位置が設けられていてもよい。よって、撮影台に記入された設置位置は、この場合、(パネルサイズの種類数)×9種類あることになる。なお、図2では、パネル16を中央・右端に設置している。
操作者は、パネル16のパネルサイズを確認し、パネル16を撮影台14に設けられた点線に従って設置することで、所望の位置にパネル16を簡易に設置することができる。
なお、撮影台14におけるパネル16の設置は、例えば、撮影台14の裏に、パネル16を支えることのできる稼働式のレールが付いており、そのレールを固定することで、パネル16を設置してもよい。パネル16の設置方法については、種々の公知の手法を用いることができる。
また、撮影台14は、被写体Pの体格や撮影部位に応じて高さ方向(z方向)に移動可能である。例えば、撮影台14を支える支持柱にレールが設置されており、また、撮影台14には支持柱との間に車輪が付いており、これらレールと車輪によって、撮影台14を手動で上下に移動できてもよい。
【0028】
パネル16は、撮影台14の背後に設置され、放射線源12より曝射され、被写体を透過した放射線を検出する。パネル16は、例えば、放射線フィルムとそれを内部に設置した可搬型フィルムカセッテでも良く、また、可搬型のIP(Imaging Plate)カセッテでも良い。公知の種々の放射線検出器を用いることができる。
また、パネル16のパネルサイズは、六切、四切、大角、半切等、一般的に用いられる様々なサイズのパネルを利用することができ、また、上述の撮影台14にも、上述のとおり、これらのサイズごとに予め複数の設置位置が設けられており、その設置位置が撮影台14上に点線で示されている。
【0029】
なお、本実施例においては、放射線源12及び撮影台14の移動は高さ方向の移動のみを考慮し、SID(放射線源12と放射線検出器16との間の距離)は原則固定されているが、もちろん、これに限定されず、SIDが変化してもよい。SIDが変化する場合、後述する操作入力部より、パネル16のサイズ及び設置位置を入力するだけでなく、SIDの変化量も入力する必要がある。第1の照明光がパネル16の設置範囲に照射されるように、後述する光源制御部22により、変化したSIDに基づいて、後述する第1の光源絞り18aの開口部18dの大きさを変化させる必要があるためである。なお、SIDが大きくなればなるほど、開口部18dの大きさは小さくなり、SIDが小さくなればなるほど、開口部18dの大きさは大きくなる。
【0030】
第1の照明光を照射する第1の光源部18は、照射光の照射野を絞る第1の光源絞り18aと、可視光である照明光を照射する第1の光源18bと、第1の光源18bからの照明光を撮影台方向に反射するハーフミラー18cとを備える。
後述する操作入力部24へ、パネル16のパネルサイズ及び撮影台14における設置位置(パネル16の設置範囲)の情報が操作者により入力されると、後述する撮影制御部22は、これらの情報に基づいて第1の光源絞り18aを制御して、図2に示すように、撮影台14上にパネル16の設置位置であって、パネル16と同じ大きさの照明光を照射する。
また、図3に示すように、被写体Pが撮影台14の前に立ったとしても、第1の照明光によりパネル16の設置位置を示すことができる。
【0031】
なお、第1の光源絞り18aは、図4に示すように、1組の光源絞りリーフ18aA(18aA、18aA)、及び1組の光源絞りリーフ18aB(18aB、18aB)のそれぞれの間隔を変えることで、所望の大きさの開口部18dを作り、第1の光源18bに撮影台14上の所望の範囲を照射させる。なお、図4において、Sは線源(ここでは、第1の光源18b)の位置を示す。
第1の光源絞り18aを構成する1組の光源絞りリーフ18aA及び18aBは、第1の光源18bが可視光を遮断する部材であればよく、種々の公知の部材が用いられる。
また、1組の光源絞りリーフ18aA及び18aBは、片側の光源絞りリーフ(例えば、18aA)が一方向に所定距離移動されると、それと同じくもう一方の光源絞りリーフ(例えば、18aA)が反対方向に等距離移動される図示しないリーフ駆動機構を備える。
また、第1の光源絞り18aは、図4に示す構造に限らず、種々の公知の光源絞りを用いることができる。
【0032】
第1の光源18bは、第1の照明光として、可視光を照射する光源であればよく、通常の白色光源(白熱電球、白色LED等)はもちろん、例えば、所定波長の光を照射する色付きの光源であってもよく、また、白色光源に対して、途中に所定の波長帯域の光を通すフィルタ設けて、その照明光の色を変えても良い。第1の光源18bの光は、ハーフミラー18cによって反射され、第1の光源絞り18aの方向(つまり、撮影台14の方向)へ向けられる。
なお、ハーフミラー18cは、撮影台14方向の面を表面と、また、放射線源12方向の面を裏面とし、表面からの光を反射し、裏面からの光を透過するハーフミラーである。
【0033】
第2の照明光を照射する第2の光源部20は、第1の光源部18と同様、照射光の照射野を絞る第2の光源絞り20aと、可視光である照明光を照射する第2の光源20bと、第2の光源20bからの照明光を撮影台方向に反射するハーフミラー20cとを備える。
後述する操作入力部24へ、放射線の曝射に関する情報が入力されると、後述する撮影制御部22は、これらの情報に基づいて第2の光源絞り20aを制御して、図2に示すように、撮影台14上に放射線の曝射範囲と同じ大きさの照明光を照射する。
また、同様に、図3に示すように、被写体Pが撮影台14の前に立ったとしても、第2の照明光により放射線の曝射範囲を示すことができる。
【0034】
なお、第2の光源絞り20aは、第1の光源絞り18aと異なり、上述のとおり放射線源12の光源絞りとしても働くため、放射線を遮断する鉛等を含む材料で構成される必要がある。
【0035】
図5は、本発明の放射線撮影装置10において、第2の光源部20及び放射線源12部分の構成を示す抜粋図である。図5に示すように、放射線源12からハーフミラー20cまでの距離Lと、第2の光源20bからハーフミラー20cまでの距離Lとは、同じである必要がある。ハーフミラー20cに対して、放射線源12と第2の光源20bとが光学的に等しい距離に無いと、第2の照射光及び放射線がハーフミラー20cから離れるにつれて、それぞれの照射野の大きさ(光束の大きさ)がずれてしまうからである。
【0036】
撮影制御部22は、後述する操作入力部24からの指示により、第1の光源部18、第2の光源部20、及び放射線源12を制御する。操作入力部24に入力されたパネル16のサイズ及び設置位置に基づいて、上述のとおり第1の光源絞り18aを制御してその開口部18dの形状を変え、また、操作入力部24からの指示により、第1の光源18bから第1の照明光を照射する。
また、撮影制御部22は、操作入力部24に入力された放射線の曝射条件に基づいて、上述のとおり第2の光源絞り20aを制御してその開口部20dの形状を変え、また、操作入力部24からの指示により、第2の光源部20bから第2の照明光を照射し、必要に応じて、放射線源12から放射線を曝射する。
ここで、曝射条件とは、操作入力部24より入力される、撮影部位、被写体Pの体厚、SID(放射線源12と放射線検出器16との間の距離)、放射線強度、及び曝射時間等を含む放射線曝射の条件である。
【0037】
なお、第1の光源絞り18aの開口部18dと第2の光源絞り20aの開口部20dとでは、当然第1の光源絞り18aの開口部18dの方が大きく設定される。パネル16より放射線の曝射範囲が大きい必要はないためである。
この場合、図2及び図3に示すように、放射線の曝射範囲はパネル設置範囲に含まれるため、放射線源12から曝射される放射線は、第1の光源絞り18aの開口部18d内を通過し、被写体Pに照射される。
【0038】
また、第1の光源18bからの第1の照明光と、第2の光源20bからの第2の照明光とは、その照明光の色が異なるようにフィルタ等を設置しても良い。第1の照明光と第2の照明光との色を変えることで、図2及び図3に示すように、第1の照明光と第2の照明光を同時に照射することで、パネル16のサイズ及び設置位置と放射線の曝射範囲とを同時に確認することができる。
【0039】
また、第1の光源18bからの第1の照明光と第2の光源20bからの第2の照明光とは、その照射強度が異なるように設定されていてもよい。例えば、第1の照明光の照射強度が低く、第2の照明光の照射強度が高ければ、同時に照射した場合に、第2の照明光の照射範囲が明るく照らされ、第1の照明光の照射範囲がそれよりも暗く照らされることで、パネル16のサイズ及び設置位置と、放射線の曝射範囲とを同時に確認することができる。
【0040】
また、撮影制御部22は、放射線の曝射範囲がパネル16の設置範囲から外れる場合には、その旨を警告する警告手段を備えても良い。警告手段による警告としては、例えば、撮影制御部22の図示しない表示手段(例えば、モニタ等)にその旨を表示してもよいし、また、後述する操作入力部24からの放射線の曝射指示にもかかわらず、放射線源12からの放射線の曝射自体が停止されてもよい。
【0041】
なお、撮影制御部22は、具体的には、CPU(中央処理装置)、RAM(主記憶装置)、ハードディスク等で構成されるコンピュータによって構成され、実際には、操作入力部24からの指示により、上述のCPU(中央処理装置)、RAM(主記憶装置)、ハードディスク等が連動して、第1の光源部18、第2の光源部20、及び放射線源12の制御を行っている。
【0042】
操作入力部24は、パネル16のパネルサイズ(六切、四切、大角、半切など)及びパネル設置位置((上端、中央、下端)×(左端、中央、右端)など)を入力し、また、第1の光源18bからの第1の照明光の照射、第2の光源20bからの第2の照明光の照射、及び放射線源12からの放射線の曝射などの指示を入力する。
また、操作入力部26は、具体的には、キーボード及びマウスなどの入力装置や、ICカードリーダやバーコードリーダ等の読み取り装置を備えてもよい。
【0043】
また、第1の光源18b及び第2の光源20bからの照明光の照射、並びに放射線源12からの放射線の曝射について、操作入力部24には、それぞれ個別のスイッチ(第1の照明光を照射する第1のスイッチ、第2の照明光を照射する第2のスイッチ、及びX線を照射する第3のスイッチ)が設けられてもよく、また、第1の照明光と第2の照明光とを交互に照射するスイッチ(第4のスイッチ)が設けられてもよい。
なお、上述の例と逆で、第1の照明光を照射するのが、第2のスイッチであり、第2の照明光を照射するのが第1のスイッチでもよい。
【0044】
また、図6に示すように、単一の3段式スイッチ24aを操作入力部24に設置して、第1段目を第1の照明光(パネル16の設置範囲)の照射、第2段目を第2の照明光(放射線の曝射範囲)の照射、第3段目を放射線の曝射として、照明光の照射及び放射線の曝射を段階的に進めてもよい。なお、上述の3段式スイッチ24aは、第1段目を第2の照明光の照射、第2段目を第1の照明光の照射としてもよい。
また、3段式スイッチ24を第1段目若しくは第2段目で所定時間停止させた場合、又は、第1段目、第2段目、及び第3段目のいずれにも該当しない箇所で所定時間停止させた場合、第1の照明光と第2の照明光とが所定間隔で交互に照射されてもよい。
【0045】
以上が、図1に示す本発明の放射線撮影装置10の一実施形態の構成である。上述の構成は一例であり、各構成は上述の例に限定されず他の種々の公知の技術を用いることができる。
【0046】
<放射線撮影装置の動作>
次に、本発明の放射線撮影装置10において放射線撮影を行う場合の動作について説明する。
【0047】
操作者である技師は、被写体Pの撮影部位に応じて、所定のパネルサイズ(例えば、四切サイズ)のIPカセッテを放射線検出器(パネル)16として、撮影台14の所定位置(例えば、図2及び図3では、右端中央)に設置する。
そして、操作者は、設置したパネル16のパネルサイズ(四切サイズ)と設置位置(右端中央)とを操作入力部24により撮影制御部22へ入力する。
【0048】
撮影制御部22は、操作入力部24で入力されたパネル16のパネルサイズ及び設置位置に基づいて、第1の光源部18の第1の光源絞り18aを制御して、第1の光源18bから第1の照明光を照射した際に、撮影台14上に放射線検出器16の設置範囲を照射するように開口部18dの大きさを調整する。
また、第2の光源部20では、同様に第2の光源絞り20aを制御して、第2の光源20bからの第2の照明光及び放射線源12からの放射線が撮影台14上の所定範囲に照射されるよう、開口部20dの大きさを調整する。
【0049】
上述のとおり、操作入力部24によりパネルサイズ及び設置位置を入力した後、操作者は、被写体Pを撮影台の前に立たせ、撮影の際の所定の姿勢を保持させる。
【0050】
被写体Pを撮影台の前に立たせた後、操作者は、操作入力部24のスイッチ24aを第1段まで押して、第1の光源18bより第1の照明光を照射して、被写体Pの上から撮影台14上のパネル16のパネルサイズ及び設置位置を確認する。
【0051】
次に、操作者は、スイッチ24aを第2段まで押して、更に、第2の光源20bより第2の照明光を照射して、上述の撮影台上のパネル16の設置範囲(第1の照明光の照射範囲)に重ね、被写体Pの上から放射線の曝射範囲(第2の照明光の照射範囲)を確認する。
ここで、第1の照明光の色と第2の照明光の色とが異なると、パネル16の設置範囲と、放射線の曝射範囲(照射野)とを重ねて照射することで、一目で判断することができるため、第1の照明光の色と第2の照明光の色とは異なることが好ましい。
また、上述のとおり、第1の照明光と第2の照明光との照射強度が異なってもよい。例えば、第1の照明光の照射強度が第2の照明光の照射強度よりも低い場合には、色が異なる場合と同様、パネル16の設置範囲と、放射線の曝射範囲とを一目で判断することができる。
また、上述のように、第1の照明光と第2の照明光とを交互に点滅(つまり、照射)させてもよい。上述と同様、パネル16の設置範囲と、放射線の曝射範囲とを一目で判断することができる。
【0052】
最後に、操作者は、パネル16の設置範囲、放射線の曝射範囲を目視で確認し、スイッチ24aを第3段まで押して放射線を曝射する。
なお、放射線源12の放射線強度及び曝射時間は、撮影部位及び曝射範囲に応じて予め操作入力部24に入力されている。
【0053】
なお、撮影制御部22が警告手段を備える場合であって、放射線の照射がパネル設置位置から外れている場合には、撮影制御部22の図示しない表示部にその旨の警告が表示され、また、放射線の曝射が停止され、スイッチ24aを第3段まで押しても、放射線が曝射されない。
【0054】
放射線曝射後、撮影台14より、IPカセッテ16を取り出し、専用の再生装置で再生することで、操作者は放射線画像を取得することができる。
以上が本発明の放射線撮影装置10の動作である。
【0055】
以上、本発明の放射線撮影装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 放射線撮影装置
12 放射線源
13 線源移動機構
14 撮影台
16 放射線検出器(パネル)
18 第1の光源部
18a 第1の光源絞り
18aA、18aB、20aA、20aB 1組の光源絞りリーフ
18b 第1の光源
18c 第1のハーフミラー
18d、20d 開口部
20 第2の光源部
20a 第2の光源絞り
20b 第2の光源
20c 第2のハーフミラー
22 撮影制御部
24 操作入力部
24a 3段スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイズの異なる放射線検出器のそれぞれに対して、それらを設置可能な複数の設置位置が予め決られている撮影台と、
前記撮影台に設置される前記放射線検出器の前記サイズ及び前記設置位置(設置範囲)を入力する操作入力部と、
入力された前記放射線検出器の前記設置範囲に基づいて、第1の照明光によって前記撮影台上に前記放射線検出器の前記設置範囲を照射可能な第1の光源部と、
第2の照明光によって前記撮影台上に放射線の曝射範囲を照射可能な第2の光源部と、
放射線を曝射する放射線源と、
前記第1の光源部、前記第2の光源部、及び放射線源からの照射及び曝射をそれぞれ制御する撮影制御部と、を備え、
前記第1の光源部は、前記第1の照明光を照射する第1の光源とその照射野を調整する第1の光源絞りとを有し、
また、前記第2の光源部は、前記第2の照明光を照射する第2の光源とその照射野を調整する第2の光源絞りとを有し、
前記第2の光源絞りは、前記放射線源の光源絞りとしても機能し、
前記第1の光源絞り及び前記第2の照射絞りの開口部の調整、前記第1の光源及び前記第2の光源からの照射、並びに前記放射線源からの曝射は、前記操作入力部からの指示により、前記撮影制御部によってそれぞれ制御されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記第2の光源絞りは、鉛成分を含み、放射線を遮断することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記第1の光源からの前記第1の照明光と前記第2の光源からの前記第2の照明光とは、その色が異なり、前記撮影台上に同時に照射することで、その色差に基づいて前記放射線検出器の前記設置範囲と前記放射線の曝射範囲とを同時に表示可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記第1の光源からの前記第1の照明光と前記第2の光源からの前記第2の照明光とは、その照射強度が異なり、前記撮影台上に同時に照射することで、その照射強度差に基づいて前記放射線検出器の前記設置範囲と前記放射線の曝射範囲とを同時に表示可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記撮影台における前記放射線検出器の前記設置可能な複数の設置位置は、前記放射線検出器の1つのサイズに対して、鉛直方向(検出器上端、検出器中央、検出器下端)3通り、水平方向(検出器左端、検出器中央、検出器右端)3通りの合計9箇所であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
さらに、前記操作入力部は、前記撮影台上に前記放射線検出器の前記設置範囲を照射する第1のスイッチと、前記撮影台上に前記放射線の前記曝射範囲を照射する第2のスイッチと、前記放射線を曝射する第3のスイッチとを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
さらに、前記操作入力部は、前記撮影台上に、前記放射線検出器の前記設置範囲と前記前記放射線の前記曝射範囲とを交互に照射する第4のスイッチを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
さらに、前記操作入力部は、3段式スイッチを有し、
前記3段式スイッチは、第1段目において、前記撮影台上に前記放射線検出器の前記設置範囲を照射し、第2段目において、前記撮影台上に、前記放射線検出器の前記設置範囲に重ねて、前記放射線の前記曝射範囲を照射し、第3段目において、前記放射線を曝射することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
さらに、前記操作入力部は、3段式スイッチを有し、
前記3段式スイッチは、第1段目において、前記撮影台上に、前記放射線の前記曝射範囲を照射し、第2段目において、前記撮影台上に、前記放射線の前記曝射範囲に重ねて、前記放射線検出器の前記設置範囲を照射し、第3段目において、前記放射線を曝射することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記3段式スイッチは、第1段目若しくは第2段目において所定時間停止した場合に、又は、第1段目、第2段目、及び第3段目のいずれにも該当しない箇所で所定時間停止した場合に、前記撮影台上に、前記放射線検出器の前記設置範囲と前記前記放射線の前記曝射範囲とを交互に繰り返し照射することを特徴とする請求項8又は9に記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記放射線源から曝射され、前記第2の光源絞りを通過した放射線の光束は、前記第1の光源絞りの開口部内に含まれることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
さらに、前記撮影台上において、前記第2の光源部からの前記第2の照明光の前記照射範囲が、前記第1の光源部からの前記第1の照明光の前記照射範囲から外れる場合には、警告を行う警告手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項13】
前記警告がなされた場合に、
前記警告手段は、前記撮影制御部を通じて前記放射線源からの前記放射線の曝射を停止することを特徴とする請求項12に記載の放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−17630(P2013−17630A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153018(P2011−153018)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】