説明

放射線架橋性および熱架橋性のイソシアネート反応性ブロックコポリマーをベースとするPU系

本発明は、放射線および熱作用によって架橋により硬化するポリウレタン系およびホログラフィック媒体の製造のためのその使用に関する。本発明のポリウレタン組成物は、A)ポリイソシアネート、B)イソシアネート反応性ブロックコポリマー、C)化学線への暴露によりエチレン性不飽和化合物と重合を伴って反応する基を有する化合物、D)必要に応じてフリーラジカル安定剤、およびE)光開始剤を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線および熱作用によって架橋して硬化するポリウレタン系およびホログラフィック媒体の製造のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック媒体の製造においては、US6743552に記載されているように、情報は、実質的に、マトリックスポリマーおよびその中に均一に分散された極めて特別なモノマーからなるポリマー層中に記憶される。該マトリックスポリマーは、ポリウレタンをベースとし得る。これは、通常、ポリオール、例えばポリエーテルまたはポリエステルなどとウレタン構造を伴って架橋するNCO官能性プレポリマーから出発して製造される。
【0003】
しかしながら、光学的障害、例えば記憶層の不透明性現象などが、そのようなウレタンマトリックスと放射線硬化性モノマーとの間の不適合性により頻繁に生じることが問題である。
【0004】
ポリイソシアネート、ポリオールおよび放射線硬化性化合物、例えば光化学架橋性反応性希釈剤などを含む系は、被覆技術の分野から個々の場合において既知である(US4247578、DE19709560)。記載のポリオール成分は、実質的にポリエーテル系またはポリエステル系のポリオールまたはポリアクリレートポリオールである。同様に存在するオレフィン性不飽和化合物、例えばアクリレート系反応性希釈剤などとそれとの適合性については何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6743552号明細書
【特許文献2】米国特許第4247578号明細書
【特許文献3】独国特許第19709560号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ホログラフィック記憶媒体用の記憶層の製造に適した、ポリウレタンマトリックスポリマーとその中に存在するオレフィン性不飽和放射線硬化性モノマーとの光学的に十分な適合性を有するポリウレタン系を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
マトリックスポリマーと不飽和モノマーとの優れた適合性は、正確には、イソシアネート反応性ブロックコポリマーをマトリックスポリマー用のビルディングブロックとして用いる場合に得られることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、
A)ポリイソシアネート、
B)イソシアネート反応性ブロックコポリマー、
C)化学線への暴露によりエチレン性不飽和化合物と重合を伴って反応する基(放射線硬化性基)を有する化合物、
D)必要に応じて、フリーラジカル安定剤、および
E)光開始剤
を含むポリウレタン系に関する。
【0009】
本明細書および請求の範囲に使用されているように、実施例に使用されているものを含み、かつ特記のない限り、全ての数値は、「約」という語が特に記載されていない場合でもその語が前置きされているように理解され得る。さらに、本明細書に記載されているあらゆる数値範囲は、その中に含まれる全ての部分範囲を包含することを意図している。
【0010】
本発明においては、ブロックコポリマーは、モノマーに対して均一であり、好適には直鎖状に、互いに化学結合しているポリマー鎖をいずれの場合にも有する2以上のブロックからなるポリマー化合物を意味すると理解される。
【0011】
用い得る成分A)のポリイソシアネートは、当業者に自体既知の全ての化合物またはその混合物であり、これらは1分子あたり2以上のNCO官能基を平均して有する。これらは、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式のベースを有し得る。不飽和基を含有するモノイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを少量で併用することもできる。
【0012】
例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび任意の所望の異性体含量を有するその混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフレチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはトリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートは適当である。
【0013】
ウレタン、ウレア、カルボジイミエド、アクリルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマーのジイソシアネートまたはトリイソシアネートの誘導体の使用も可能である。
【0014】
脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはトリイソシアネートをベースとするポリイソシアネートの使用は好適である。
【0015】
成分A)のポリイソシアネートは特に好適には、二量化またはオリゴマー化された脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはトリイソシアネートである。
【0016】
HDI、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタンまたはその混合物をベースとする、イソシアヌレート、ウレットジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオンは極めて特に好適である。
【0017】
成分A)は、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートをベースとする少なくとも60重量%のポリイソシアネートを好適に有する。
【0018】
成分A)のポリイソシアネートのNCO基を工業的に自体既知のブロック剤で完全にまたは部分的にブロック化することもできる。これらは、例えば、アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アセト酢酸アルキル、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えばブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、イプシロン−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルまたはこれらのブロック剤の任意の所望の混合物である。
【0019】
全てのヒドロキシ官能性ブロックコポリマーを成分B)に用いることができる。これらは、例えば、2以上のポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはポリウレタンのブロック状に配置されたセグメントを含有し得る。
【0020】
ポリエステルセグメントは、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族のジカルボン酸またはポリカルボン酸またはその無水物と2以上のOH官能価を有する多価アルコールとから既知の方法で得られる直鎖状ポリエステルジオールまたは分枝状ポリエステルポリオールから誘導され得る。
【0021】
このようなジカルボン酸またはポリカルボン酸または無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸および酸無水物、例えばo−フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物など、または任意の所望の互いのこれらの混合物である。
【0022】
適当なアルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたは任意の所望の互いのこれらの混合物である。
【0023】
ポリエステルセグメントは、天然原料、例えばヒマシ油などをベースとしていてもよい。ポリエステルセグメントがラクトンのホモポリマーまたはコポリマーをベースとすることもできるが、これは、ラクトンまたはラクトン混合物の付加反応、例えば、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトンと、ヒドロキシ官能性化合物、例えば上記の型の2以上のOH官能価を有する多価アルコールなどまたは該ポリマーのヒドロキシ官能性セグメントとの付加反応によって好適に得ることができる。
【0024】
ポリエステルセグメントがベースとするポリオールは、好適には400〜4000g/mol、特に好適には500〜2000g/molの数平均モル質量を有する。そのOH官能価は好適には1.5〜3.5、特に好適には1.8〜3.0である。
【0025】
ポリカーボネートセグメントは通常、ポリオールをベースとするが、これは有機カーボネートまたはホスゲンをジオールまたはジオール混合物と反応させることによって自体既知の方法により得ることができる。
【0026】
適当な有機カーボネートはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジフェニルカーボネートである。
【0027】
適当なジオールまたはジオール混合物は、ポリエステルセグメントに関してそれ自体記載の2以上のOH官能価を有する多価アルコール、好適には1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/または3−メチル−1,5−ペンタンジオールを含んでなる。
【0028】
ポリカーボネートセグメントがベースとするポリオールは、好適には400〜4000g/mol、特に好適には500〜2000g/molの数平均モル質量を有する。これらのポリオールのOH官能価は好適には1.8〜3.2、特に好適には1.9〜3.0である。
【0029】
ポリエーテルセグメントは通常、環式エーテルとOH−またはNH−官能性開始剤分子とのポリ付加物をベースとするが、ポリ付加物は必要に応じてブロック構造を有する。
【0030】
適当な環状エーテルは、例えばスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよび任意の所望のこれらの混合物である。
【0031】
用い得る開始剤は、ポリエステルセグメントに関してそれ自体記載の2以上のOH官能価を有する多価アルコールおよび第一級または第二級アミンおよびアミノアルコールである。ポリマーのヒドロキシ官能性セグメントは、ポリエーテルブロック用の開始剤として働くこともできる。
【0032】
ポリエーテルセグメントがベースとするポリオールは、好適には250〜10000g/mol、特に好適には500〜4000g/mol、極めて特に好適には600〜2000g/molの数平均モル質量を有する。OH官能価は好適には1.5〜4.0、特に好適には1.8〜3.0である。
【0033】
ブロックコポリマーは通常、セグメントに関して記載の種類のジヒドロキシ官能性またはポリヒドロキシ官能性の化合物から出発して合成され、次いで、これとさらなるブロックを重付加または重縮合する。OH官能価およびその後のブロック状付加または縮合工程の数に応じて、2−ブロック、3−ブロック、テトラ−ブロックまたはマルチ−ブロックコポリマーが得られる。
【0034】
合成は、好適には、セグメントに関する上記の種類のポリカーボネート系、ポリエーテル系またはポリエステル系ジヒドロキシ官能性化合物であり、これとラクトン、例えばブチロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、γ−フェニル−ε−カプロラクトンまたはε−デカノラクトンをブロック状付加反応させる。
【0035】
合成は、好適には、セグメントに関する上記の種類のポリカーボネート系、ポリエーテル系またはポリエステル系ジヒドロキシ官能性化合物であり、これとラクトン、例えばブチロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、γ−フェニル−ε−カプロラクトンまたはε−デカノラクトンをブロック状付加反応させる。こうして、直鎖状の3−以上のブロックコポリマーは、例えば、末端ヒドロキシル基を有する組成ポリ(ラクトン)ブロック−ポリ(カーボネート)ブロック−ポリ(ラクトン)またはポリ(ラクトン)ブロック−ポリ(エーテル)ブロック−ポリ(ラクトン)またはポリ(ラクトン)−ロック−ポリ(エステル)ブロック−ポリ(ラクトン)を形成する。
【0036】
特に好適には、本発明のブロックコポリマーのためのベースである二官能性ポリエーテルであり、これとラクトンを、末端ヒドロキシル基を有する直鎖状ポリ(ラクトン)ブロック−ポリ(エーテル)ブロック−ポリ(ラクトン)ポリオールが生じるようにブロック状付加反応させる。
【0037】
内部ポリエーテルセグメントは、好適にはエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはテトラヒドロフラン、特に好適にはテトラヒドロフランをベースとする。これは、250g/mol〜2000g/mol、好適には500〜1500g/mol、特に好適には600〜1100g/molの数平均モル質量を有する。
【0038】
好適には、ラクトンブロックは、ε−カプロラクトンをベースとするものであり、いずれの場合にも、好適には114g/mol〜1500g/mol、特に好適には114g/mol〜1000g/mol、極めて特に好適には114g/mol〜700g/molの数平均モル質量を有する。
【0039】
極めて特に好適なブロックコポリマーは、末端ヒドロキシル基および500g/mol〜5000g/mol、好適には600g/mol〜4000g/mol、特に好適には700g/mol〜3000g/molの数平均モル質量を有する直鎖状のポリ(ε−カプロラクトン)ブロック−ポリ(テトラヒドロフラン)ブロック−ポリ(ε−カプロラクトン)ポリオールであり、ポリ(テトラヒドロフラン)ブロックの平均質量分率は、数平均ブロックコポリマーを基準として0.1〜0.8、好適には0.2〜0.5、特に好適には0.3〜0.4である。
【0040】
本発明によるブロックコポリマーは、例えば、以下のブロックを上記の方法によりジヒドロキシ官能性ポリオールブロックと付加または縮合反応させることによって得られる。ラクトンブロックの場合には、適当なラクトンを付加させ、適当な重合用の触媒を添加する。適当な触媒は、エステル化に適当な全てのものであり、例えばオクタン酸錫、塩化錫およびp−トルエンスルホン酸などである。本発明においては、触媒は、50〜1000ppm、好適には100〜800ppm、特に好適には150〜500ppmの濃度で用いられる。
【0041】
重付加は、90〜260℃、好適には100〜180℃の温度で行う。系に応じて、反応の時間は、1〜15時間、好適には2〜10時間である。反応の進度は、固形分、すなわち、非不揮発性分の決定によって定期的に監視され、重合は、95重量%、好適には99.5重量%の固形分に達すると、室温に冷却することによって停止する。
【0042】
本発明に必要なブロックコポリマーおよびその混合物に加えて、さらなるポリオールを本発明によるPU系に存在させてもよい。これらは、好適には、2〜4のOH官能価および250〜5000g/mol、好適には400〜3000g/mol、特に好適には500〜2000g/molの数平均モル質量を有するポリ(プロピレンオキシド)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドおよび/またはポリ(テトラヒドロフラン)である。
【0043】
用いる場合、ブロックコポリマーの割合は、成分B)およびさらなるポリオールの量の合計を基準として1〜100重量%、好適には20〜100重量%、特に好適には60〜100重量%である。
【0044】
成分C)において、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えばアクリレート、メタアクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミドおよびさらにビニルエーテル、プロピレンエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル単位を含有する化合物およびオレフィン性不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルカルバゾール、オレフィン、例えば1−オクテンおよび/または1−デセン、ビニルエステル、例えばShell製のVeoVa(登録商標)9および/またはVeoVa(登録商標)10など、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸および任意の所望のこれらの混合物を用い得る。アクリレートおよびメタクリレートは好適であり、アクリレートは特に好適である。
【0045】
アクリル酸またはメタクリル酸のエステルは概して、アクリレートまたはメタクリレートと称される。用い得るアクリレートおよびメタクリレートの例は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、p−クロロフェニルメタクリレート、p−ブロモフェニルアクリレート、p−ブロモフェニルメタクリレート、トリクロロフェニルアクリレート、トリクロロフェニルメタクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、1,4−ビス−(2−チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、1,4−ビス−(2−チオナフチル)−2−ブチルメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレートおよび/または2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレートである。
【0046】
成分C)としても適するエポキシアクリレートは、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびカルボン酸との反応生成物として得ることができるが、ビスフェノールAジグリシジルエーテルは、まずヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、ルイス酸による触媒作用により反応させ、次いでヒドロキシル官能性反応生成物を、当業者に既知の方法によってカルボン酸とエステル化させる。ビスフェノールAジグリシジルエーテル自体および臭素化された異形、例えばテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル(Dow Chemical製、D.E.R. 542)などをジエポキシドとして有利に用いることができる。上記の全てのヒドロキシル官能性アクリレートを、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして、特に2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートおよびポリ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレートを用いることができる。全ての単官能性カルボン酸は原理上、カルボン酸として、特に芳香族置換基を有するものが適当である。プロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレートは、エポキシアクリレートのこの種の化合物として好適であることが証明されている。
【0047】
成分C)に適したビニル芳香族は、スチレン、スチレンのハロゲン化誘導体、例えば、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、p−(クロロメチル)スチレン、p−(ブロモメチル)スチレンまたは1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、2−ビニルアントラセン、N−ビニルピロリドン、9−ビニルアンタルセン、9−ビニルカルバゾールまたは二官能性化合物、例えばジビニルベンゼンなどである。ビニルエーテル、例えばブチルビニルエーテルなども適当である。
【0048】
成分C)の好適な化合物は、9−ビニルカルバゾール、ビニルナフタレン、ビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、1,4−ビス−(2−チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ナフチルアクリレートおよびプロパン−2,2−ジイルビス[(2.6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレートである。
【0049】
1以上のフリーラジカル安定剤を成分D)として用いる。「Methoden der organischen Chemie」(Houben−Weyl)、第4版、第XIV/1巻、第433頁以下参照、Georg Thieme Verlag、シュツットガルト、1961年に記載の開始剤および抗酸化剤は適当である。適当な物質の種類は、例えば、フェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなど、クレゾール、ヒドロキノン、ベンジルアルコール、例えばベンズヒドロールなど、必要に応じてキノン、例えば2,5−ジ−tert−ブチルキノンなど、必要に応じて芳香族アミン、例えばジイソプロピルアミンまたはフェノチアジンなどである。好適なフリーラジカル安定剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジンおよびベンズヒドロールである。
【0050】
1以上の光開始剤を成分E)として用いる。これらは、化学線によって活性化され、相当する重合可能な基のフリーラジカル重合を開始することができる通常の開始剤である。光開始剤は、自体既知の市販されている化合物であり、単分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤との間に区別がなされている。(I型)系は、例えば、芳香族ケトン化合物、例えば、第3級アミンと組み合わせたベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記種類の混合物である。(II型)開始剤、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)およびα−ヒドロキシアルキルフェノンがさらに適当である。EP−A0223587に記載された、アンモニウムアリールボレートおよび1以上の染料の混合物からなる光開始剤系は、光開始剤として用いてもよい。例えば、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス−(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラメチルアンモニウムトリス−(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートは、アンモニウムアリールボレートとして適している。適当な染料は、例えば、新メチレンブルー、チオニン、ベーシックイエロー、ピナシアノールクロリド、ローダミン 6G、ガロシアニン、エチルバイオレット、ビクトリアブルー R、セレスチンブルー、キナルジンレッド、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、アストラゾンオレンジ G、ダロウレッド、ピロニンY、ベーシックレッド29、ピリリウム I、シアニン、メチレンブルーおよびアズールAである。
【0051】
これらの化合物の混合物を用いることも有利であり得る。硬化するための放射線源に応じて、種類と濃度を当業者に既知の方法で光開始剤に適合させなければならない。さらなる詳細は、例えば、P.K.T.Oldring編、Chemical&Technology of UV&EB Formulations for Coatings,Inks&Paints、第3巻、1991年、SITA Technology、ロンドン、第61〜328頁に記載されている。
【0052】
好適な光開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)およびテトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート、テトラメチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルホレートと染料、例えば、メチレンブルー、新メチレンブルー、アズールA、ピリリウム I、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレットおよびチオニンなどとの混合物である。
【0053】
さらに、1以上の触媒を本発明によるPU系に用い得る。これらは、ウレタン形成を好適に触媒する。アミンおよび金属錫、亜鉛、鉄、ビスマス、モリブデン、コバルト、カルシウム、マグネシウムおよびジルコニウムの金属化合物はかかる目的に好適である。オクタン酸錫、オクタン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫カルボキシレート、鉄(III)アセチルアセトネート、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、10〜20個の炭素原子および必要に応じてOH側基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、オクタン酸鉛または第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、N−メチル−またはN−エチルモルホリン、N,N’−ジモルホリノ−ジエチルエーテル(DMDEE)、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ペンタメチル−ジエチレントリアミン、ジメチルピペラジン、N−ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−ヒドロキシプロピルイミダゾール、1−アザビシクロ[2.2.0]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.0]オクタン(Dabco)またはアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチル−およびN−エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、またはN−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えばN,N’,N−トリス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンなどは特に好適である。
【0054】
特に好適な触媒は、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジカルボキシレート、鉄(III)アセチルアセトネート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンおよび1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンである。
【0055】
さらに、さらなる補助剤および添加剤を本発明によるPU系に存在させてもよい。これらは、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤、消泡剤または接着促進剤であり、ポリウレタン、熱可塑性ポリマー、オリゴマー、および官能基、例えばアセタール基、エポキシド基、オキセタン基、オキサゾリン基、ジオキソラン基および/または親水性基などを有するさらなる化合物、例えば塩および/またはポリエチレンオキシドなどである。
【0056】
好適に用いる溶媒は、本発明による2成分処方物と良好な相溶性を有する易揮発性溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルまたはアセトンである。
【0057】
良好な溶解特性、低揮発性および高沸点を有する液体は、可塑剤として好適に用いられる;これらは、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジブチル、非ヒドロキシ官能性ポリエーテル、例えば250g/mol〜2000g/molの数平均モル質量を有するポリエチレングリコールジメチルエーテルまたはポリプロピレングリコールおよび前記化合物の混合物などであり得る。
【0058】
1種類の添加剤を複数同時に用いることも有利であり得る。当然、複数の種類の添加剤を複数用いることも有利であり得る。
【0059】
成分B)〜E)および必要に応じて触媒、および補助剤および添加剤の混合物は、通常、
24.999〜99.899重量%の成分B)
0.1〜75重量%の成分C)、
0〜3重量%の成分D)、
0.001〜5重量%の成分E)
0〜4重量%の触媒
0〜50重量%の補助剤および添加剤
からなる。
【0060】
該混合物は、好適には、
86.998〜97.998重量%の成分B)
2〜13重量%の成分C)、
0.001〜1重量%の成分D)、
0.001〜1重量%の成分E)
0〜2重量%の触媒
0〜15重量%の補助剤および添加剤
からなる。
【0061】
該混合物は、より好適には、
44.8〜87.8重量%の成分B)
12.5〜55重量%の成分C)、
0.1〜3重量%の成分D)、
0.1〜3重量%の成分E)
0〜3重量%の触媒
0〜50重量%の補助剤および添加剤
からなる。
【0062】
OHに対するNCOのモル比は、典型的には0.5〜2.0、好適には0.90〜1.25である。
【0063】
本発明によるPU系は通常、まず、ポリイソシアネートA)を除く全ての成分を互いに混合させる手順によって得られる。これは、全ての方法、および混合技術から当業者に自体既知の装置、例えば撹拌容器または動的および静的ミキサーなどによって達成することができる。該手順の間の温度は、0〜100℃、好適には10〜80℃、特に好適には20〜60℃である。該混合物を、直ちにさらに処理することもできるし、または貯蔵安定性中間体として必要に応じて数ヶ月間貯蔵することもできる。
【0064】
必要に応じて、脱気を例えば1mbarの真空下で実施してもよい。
【0065】
次いで、ポリイソシアネート成分A)との混合は塗布直前に行い、従来法による混合技術を用いることも可能である。しかしながら、いかなるデッドスペースも有さない、またはほんの僅かなデッドスペースしか有さない装置は好適である。さらに、極めて短時間におよび2つの混合成分を極めて強力に混合しながら混合を達成する方法は好適である。動的ミキサー、とりわけ、まず、成分A)およびB)乃至E)をミキサー中で互いに接触させるものは、この目的に特に適している。該混合は、0〜80℃、好適には5〜50℃、特に好適には10〜40℃の温度で行われる。2成分AおよびBの混合は、残留ガスの除去およびポリマー層中での気泡形成の防止のために、例えば1mbarの真空下での混合後、必要に応じて脱気してもよい。混合によって、組成物に応じて、数秒〜数時間内に室温で硬化する透明な液体処方物が得られる。
【0066】
本発明によるPU系は、室温での硬化を数分〜1時間以内に開始するように好適に調節する。硬化は、混合後の処方物を30〜180℃、好適には40〜120℃、特に好適には50〜100℃の間の温度に加熱することによって促進させる。
【0067】
全成分の混合直後、本発明によるポリウレタン系は、典型的には10〜100000mPa・s、好適には100〜20000mPa・s、特に好適には500〜10000mPa・sの室温での粘度を有するので、溶媒を含有しない形態でさえ極めて良好な加工特性を有する。適当な溶媒による溶液中においては、10000mPa・s未満、好適には2000mPa・s未満、特に好適には500mPa・s未満の室温での粘度を得ることができる。
【0068】
本発明は、本発明によるPU系から得られるポリマーにさらに関する。
【0069】
前記ポリマーは、−10℃未満、好適には−25℃未満、特に好適には−40℃未満のガラス転移温度を有する。
【0070】
好適な方法によれば、本発明による処方物は、混合直後に基材に塗布し、被覆技術において当業者に既知の全ての従来法を用いることができ、とりわけ、被覆物はナイフ塗布法、キャスト法、印刷法、スクリーン印刷法、スプレー法またはインクジェット印刷法によって塗布できる。
【0071】
基材は、プラスチック、金属、木材、紙、ガラス、セラミックおよび複数のこれらの材料を含む複合材料であってよく、好適な実施態様においては、基材はシート形態である。
【0072】
好適な実施態様においては、本発明による処方物での基材の被覆は、連続法で実施する。通常、本発明による処方物は、5mm〜1μm、好適には500μm〜5μm、特に好適には50μm〜8μm、極めて特に好適は25μm〜10μmの厚さを有するフィルムとして基材に塗布する。
【0073】
基材としてシートの場合、柔軟性の被覆シートはこのようにして得られ、シートは、連続法の場合には、硬化後巻き取り、数ヶ月にわたって貯蔵することができる。
【0074】
さらに好適な実施態様においては、処方物は、透明な基材、とりわけプラスチックまたはガラスによって両側が覆われるように塗布し、このために、該処方物は、1〜2mm、好適には1.2〜1.8mm、特に好適には1.4〜1.6mm、とりわけ1.5mmの正確な間隔で保持する基材の間に注ぎ、基材は、処方物が完全に固化され、もはや流動できなくなるまで正確な間隔で保持する。
【0075】
基材として用いる物質は、当然、複数の層を有してよい。基材を複数の異なった物質の層から構成すること、および基材に、例えば、さらなる特性、例えば向上した接着性、強化された疎水性または親水性の特性、向上した耐引掻性、特定の波長における反射防止特性、向上した表面の均一性などを有する被覆物をさらに付与することも可能である。
【0076】
次いで、記載の方法の1つによって得られる材料は、ホログラムの記録に用いることができる。この目的のため、2つの光線が、ホログラフィーの当業者に既知の方法によって物質中において阻害され(P.Hariharan、Optical Holography 2nd Edition、Cambridge University Press、1996年)、ホログラムが生じる。ホログラムの暴露は、連続的におよびパルス照射によって達成することができる。必要に応じて、同一の物質中および同一点での暴露によって1以上のホログラムを製造することも可能であるが、例えばホログラフィーの当業者に既知の角多重化法を用いることもできる。ホログラムの暴露後、該物質は必要に応じて、強力な広帯域光源に暴露してもよく、次いで、該ホログラムはさらなる処理工程を必要とせず用いられる。ホログラムは、必要に応じて、さらなる処理工程、例えば他の基材への移動、変形、挿入成形、他の表面への接着または耐引掻被覆物での被覆によってさらに処理してよい。
【0077】
記載された方法の一つによって製造されるホログラムは、データ貯蔵用、例えば人物または物体の三次元表示用および人物または記事の確認用として働くイメージの表示、レンズ、鏡、フィルター、散乱スクリーン、回折素子、光学導波管および/またはマスクとして働く光学部品の製造に役立ち得る。
【0078】
従って、本発明は、ホログラフィック媒体の製造における本発明によるPU系の使用、およびホログラフィック媒体自体にさらに関する。
【実施例】
【0079】
固形分は、いずれの場合にも以下の方法によって決定した:
【0080】
約1gの物質を、予め正確に計量したアルミニウム製皿上に正確に計量した。次いで、試料が一定量であると判明するまで140℃で乾燥秤上で乾燥させた。その後、アルミニウム製皿を計量し、固形分を、乾燥後の物質の質量を乾燥前の物質の質量で割った商として算出した。
【0081】
ブロックコポリマーA:
まず、0.10gのオクタン酸錫、64.56gのε−カプロラクトンおよび135.34gの三官能性ポリプロピレンオキシドポリエーテルポリオール(OHの当量239g/mol)を250mlフラスコ中に導入し、150℃に加熱し、この温度で固形分(不揮発性構成成分の割合)が99.5重量%以上になるまで維持した。次いで、冷却を行い、生成物を粘性の液体として得た。
【0082】
ブロックコポリマーB:
まず、0.25gのオクタン酸錫、172.29gのε−カプロラクトンおよび327.46gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(OHの当量325g/mol)を1Lフラスコ中に導入し、120℃に加熱し、この温度で固形分(不揮発性構成成分の割合)が99.5重量%以上になるまで維持した。次いで、冷却を行い、生成物を粘性の液体として得た。
【0083】
ブロックコポリマーC:
まず、0.18gのオクタン酸錫、374.81gのε−カプロラクトンおよび327.46gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(OHの当量500g/mol)を1Lフラスコ中に導入し、120℃に加熱し、この温度で固形分(不揮発性構成成分の割合)が99.5重量%以上になるまで維持した。次いで、冷却を行い、生成物を粘性の液体として得た。
【0084】
ブロックコポリマーD:
まず、0.37gのオクタン酸錫、428.14gのε−カプロラクトンおよび321.48gの二官能性ポリエステルポリオール(アジピン酸、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールから構成、OHの当量214g/mol)を1Lフラスコ中に導入し、150℃に加熱し、この温度で固形分(不揮発性構成成分の割合)が99.5重量%以上になるまで維持した。次いで、冷却を行い、該生成物を粘性の液体として得た。
【0085】
ブロックコポリマーE:
まず、0.249gのオクタン酸錫、325gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(OHの当量325g/mol)及び172.2gのγ−ブチロラクトンを1L三口フラスコ中に導入し、160℃に加熱し、該温度で約60時間撹拌した。残留するγ−ブチロラクトンを90℃、0.1mbarで蒸留する。得られるブロックコポリマーは、モノマーγ−ブチロラクトンを含有せず、OH価162.5を有する。
【0086】
PU処方物A:
イソシアネート反応性成分を6.159gのブロックコポリマーA、0.500gのベンジルメタクリレート、0.015gのDarocure TPO(Ciba Specialty Chemicals製の生成物)および0.050gのベンズヒドロールから、透明な溶液が存在するまで該混合物を50℃で撹拌することによって調製した。用いるイソシアネート成分は高ウレットジオン含量を有するヘキサンジイソシアネートから得られたポリイソシアネートであった(Desmodur N3400、Bayer MaterialScience AG製の市販製、NCO含量:21.6%)。
【0087】
PU処方物B:
イソシアネート反応性成分を7.446gのブロックコポリマーA、0.493gの1,4−ビス(チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、0.037gのIrgacure OXE 01(Ciba Specialty Chemicals製の生成物)および0.025gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールから、透明な溶液が存在するまで該混合物を50℃で撹拌することによって調製した。用いるイソシアネート成分は高オキサジアジン含量を有するヘキサンジイソシアネートから得られたポリイソシアネートであった(Desmodur VP LS 2294、Bayer MaterialScience AG製の試験生成物、NCO含量:23.2%)。
【0088】
PU処方物C:
イソシアネート反応性成分を9.049gのブロックコポリマーB、0.660gのプロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、0.026gのDarocure TPO(Ciba Specialty Chemicals製の生成物)、0.079gのベンズヒドロールおよび0.396gのジブチルフタレートから、透明な溶液が存在するまで該混合物を50℃で撹拌することによって調製した。用いるイソシアネート成分は高オキサジアジン含量を有するヘキサンジイソシアネートから得られたポリイソシアネートであった(Desmodur XP 2410、Bayer MaterialScience AG製の試験生成物、NCO含量:23.5%)。
【0089】
PU処方物D:
イソシアネート反応性成分を8.015gのブロックコポリマーC、0.800gのプロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、0.015gのDarocure TPO(Ciba Specialty Chemicals製の生成物)および0.050gのベンズヒドロールから、透明な溶液が存在するまで該混合物を50℃で撹拌することによって調製した。用いるイソシアネート成分は高オキサジアジン含量を有するヘキサンジイソシアネートから得られたポリイソシアネートであった(Desmodur XP 2410、Bayer MaterialScience AG製の試験生成物、NCO含量:23.5%)。
【0090】
PU処方物E:
イソシアネート反応性成分を6.650gのブロックコポリマーD、0.800gのプロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、0.015gのDarocure TPO(Ciba Specialty Chemicals製の生成物)および0.050gのベンズヒドロールから、透明な溶液が存在するまで該混合物を50℃で撹拌することによって調製した。用いるイソシアネート成分は高オキサジアジン含量を有するヘキサンジイソシアネートから得られたポリイソシアネートであった(Desmodur XP 2410、Bayer MaterialScience AG製の試験生成物、NCO含量:23.5%)。
【0091】
PU処方物F:
イソシアネート反応性成分を6.201gのブロックコポリマーE、0.500gのプロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、0.020gのDarocure TPO(Ciba Specialty Chemicals製の生成物)および0.060gのベンズヒドロールから、該混合物を50℃で撹拌することによって調製した。次いで、ジブチルフタレートを添加した。用いるイソシアネート成分は高オキサジアジン含量を有するヘキサンジイソシアネートから得られたポリイソシアネートであった(Desmodur XP 2410、Bayer MaterialScience AG製の試験生成物、NCO含量:23.5%)。
【0092】
比較例:PU処方物G:
イソシアネート反応性成分を13.955gの直鎖状二官能性ポリ(テトラヒドロフラン)(Terathane 650、Invista製の製品、OH325g/mol)、0.929gの1,4−ビス(チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、0.070gのIrgacure OXE 01(Ciba Specialty Chemicals製の生成物)および0.046gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールから、透明な溶液が存在するまで該混合物を50℃で撹拌することによって調製した。用いるイソシアネート成分は高オキサジアジン含量を有するヘキサンジイソシアネートから得られたポリイソシアネートであった(Desmodur XP 2410、Bayer MaterialScience AG製の試験生成物、NCO含量:23.5%)。
【0093】
試験試料を表に示すPU処方物から、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を記載した割合で、ウレタン化触媒としてジメチルジカルボキシレート(Fomrez UL 28、GE Siliconesの生成物)の記載量を添加して混合することによって製造した。
【0094】
【表1】

【0095】
次いで、各処方物をガラス板に塗布し、2枚のガラス板を適当な間隔(例えば250μm)に保持するスペーサーを有する第2ガラス板でカバーし、該混合物でガラス板の2枚の内部表面を完全に湿潤させた。硬化するため、まず、このように調製した試料を30分間室温で貯蔵し、次いで2時間、50℃または60℃で硬化した。光学的透明度を、室温硬化の開始、30分室温硬化の終わりおよび2時間50度の強制硬化の終わりに評価した。評価は以下の体系を基準とした:
1=透明
2=軽微な不透明
3=完全に不透明
【0096】
以下の値を記載の実施例の処方物のために得た:
【0097】
【表2】

【0098】
次いで、光学特性のさらなる試験のため、処方物A、B、E及びFの試験試料を2つのレーザー光線(λ=405nm)により部分的に暴露し、試験試料中において干渉させた。次いで、試料の外観を以下の等級に従って評価した:
【0099】
1=露光領域は、特定の観察時間後、肉眼で検出することは極めて困難である
2=露光領域は、肉眼ですぐに容易に見ることができる
3=露光領域は、強い不透明なハローを示す
【0100】
【表3】

【0101】
上記のように、本発明による2成分処方物A〜Fが全ての評価基準において比較例Gより実質的に高い透明度を有することを見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)1以上のポリイソシアネート、
B)1以上のイソシアネート反応性ブロックコポリマー、
C)化学線への暴露によってエチレン性不飽和化合物と重合を伴って反応する基を有する1以上の化合物、
D)必要に応じて、1以上のフリーラジカル安定剤、および
E)光開始剤
を含んでなるポリウレタン組成物。
【請求項2】
成分A)のポリイソシアネートの少なくとも60重量%は、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートをベースとする、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
成分A)のポリイソシアネートは、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートのオリゴマーである、請求項2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
B)に用いるブロックコポリマーは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはポリウレタンのブロック状に配置されたセグメントを有する、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
B)に用いるブロックコポリマーは、内部ブロックとしてポリカーボネート系、ポリエーテル系またはポリエステル系のジヒドロキシ官能性化合物をベースとし、そのヒドロキシル基は、ラクトンとブロック付加反応して3−ブロックまたはマルチ−ブロックコポリマーを生じるものである、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
内部ブロックとしてのジヒドロキシ官能性化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはテトラヒドロフランに基づくポリエーテルジオールをベースとする、請求項5に記載のポリウレタン組成物。
【請求項7】
ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、γ−フェニル−ε−カプロラクトン、ε−デカノラクトンまたはこれらの混合物をラクトンとして用いる、請求項5に記載のポリウレタン組成物。
【請求項8】
内部ポリエーテルブロックは、250g/mol〜2000g/molの数平均モル質量を有する、請求項5に記載のポリウレタン組成物。
【請求項9】
ラクトンブロックはε−カプロラクトンをベースとし、それぞれ114g/mol〜700g/molの数平均モル質量を有する、請求項5に記載のポリウレタン組成物。
【請求項10】
末端ヒドロキシル基および500g/mol〜5000g/molの数平均モル質量を有する直鎖状ポリ(ε−カプロラクトン)ブロック−ポリ(テトラヒドロフラン)ブロック−ポリ(ε−カプロラクトン)ポリオールはブロックコポリマーとしてB)に存在し、ポリ(テトラヒドロフラン)ブロックの平均質量分率は、数平均ブロックコポリマーを基準として0.2〜0.9であり、2つのポリ(ε−カプロラクトン)ブロックの平均質量分率は、数平均ブロックコポリマーを基準として0.1〜0.8である、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項11】
ポリウレタン組成物中のOH基に対するNCOのモル比は0.90〜1.25である、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項12】
9−ビニルカルバゾール、ビニルナフタレン、ビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ナフチルアクリレートおよびプロパン−2,2−ジイルビス[(2.6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレートからなる群の1以上の化合物をC)に用いる、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項13】
請求項1に記載のポリウレタン組成物から製造されるポリマープラスチック。
【請求項14】
ポリマープラスチックは層または成形品である、請求項13に記載のポリマープラスチック。
【請求項15】
ポリマープラスチックは−40℃未満のガラス転移温度を有する、請求項13に記載のポリマープラスチック。
【請求項16】
請求項1に記載のポリウレタン組成物から製造されるホログラフィック媒体。
【請求項17】
請求項13に記載の少なくとも1つのポリマープラスチックを含んでなるホログラフィック媒体。

【公表番号】特表2010−523774(P2010−523774A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502437(P2010−502437)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002465
【国際公開番号】WO2008/125200
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【出願人】(501182197)インフェイズ テクノロジーズ インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】