放射線検出方法及び放射線検出装置、並びにこれを有する陽電子断層撮影装置
【課題】臭化タリウム放射線検出器を用いた放射線検出装置における同時計数の時間分解能を上げることができる放射線検出方法及び放射線検出装置、並びにこれを有する陽電子断層撮影装置を提供する。
【解決手段】ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を電流増幅型前置増幅器に入力して得た立ち上がり信号を、同時計数のためのタイミング信号として利用する放射線検出方法及びガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器と該臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を出力する電流増幅型前置増幅器、該立ち上がり信号をタイミング信号として利用する同時計数回路、該電流増幅型前置増幅器からの信号を積分型増幅器で受けてその出力信号をエネルギー弁別に使用する回路とを備えた。
【解決手段】ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を電流増幅型前置増幅器に入力して得た立ち上がり信号を、同時計数のためのタイミング信号として利用する放射線検出方法及びガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器と該臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を出力する電流増幅型前置増幅器、該立ち上がり信号をタイミング信号として利用する同時計数回路、該電流増幅型前置増幅器からの信号を積分型増幅器で受けてその出力信号をエネルギー弁別に使用する回路とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出方法及び放射線検出装置、並びに放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置(PET)に関する。
【背景技術】
【0002】
PET等の検出部には、シンチレーション検出器と半導体検出器が使用されている。高空間分解能を得るためには、検出器サイズを小さくできる半導体検出器が用いられており、テルル化カドミウム結晶を用いた放射線検出器が使用されている。ところがテルル化カドミウム結晶は、共有結合結晶であり、融点が高く、また作製費が高いという問題点がある。例えば装置1台当たりの結晶のみの価格が数億円と高価になっている。
このためテルル化カドミウムに代わるものとして臭化タリウムが注目されている。
臭化タリウムは、その高い原子番号(Tl: 81、Br: 35)及び高密度(7.56g/cm3)、広いギャップ・エネルギー(2.68eV)及び高い光子阻止能により室温放射線検出器の素材として魅力的な半導体である。
【0003】
臭化タリウム結晶と電荷有感型前置増幅器を用いた放射線検出装置の原理図を図13に示す。臭化タリウム結晶の対向する面にTl等の電極が形成されており、臭化タリウム放射線検出器を構成する。そして電極間には、バイアス電圧が印加されており、臭化タリウム結晶にガンマ線が入射するとこれにより電子及び正孔が生成され、これが電荷有感型前置増幅器により増幅されて出力信号として検出される。
【0004】
臭化タリウム放射線検出器は、テルル化カドミウム放射線検出器に比べて次のような点で優れている。
(1)臭化タリウムは、イオン結合結晶であり、融点が低く、安価に作製できる。このため臭化タリウム結晶は、テルル化カドミウム結晶と比較し、100分の1程度の値段で作製できる。
(2)臭化タリウム結晶はテルル化カドミウム結晶よりもガンマ線を止める能力が高く、テルル化カドミウムの半分程度の大きさで同程度の効果が発揮できる。このため検出器を薄くすることができる。
【0005】
ところが臭化タリウム放射線検出器は、このようにガンマ線の検出効率が非常に高い反面、臭化タリウム結晶中にガンマ線入射でできた電子と空孔の移動速度が極度に遅いため同時計数時間分解能が悪いというPET応用に対しては重大な問題がある。同時計数時間分解能を上げるためには、負荷電圧方向の結晶の厚さを薄くし、且つ負荷電圧を高くするという相反的条件を課すため検出器の長期使用には適さないため、上記(1)及び(2)に挙げた利点を有するにもかかわらず、臭化タリウム放射線検出器のPET等への実用化が阻害されていた。
【特許文献1】特開2005−156252号公報
【非特許文献1】Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 436 (1996) 160-164
【非特許文献2】Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 458 (2001) 365-369
【非特許文献3】Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 568 (2006) 433-436
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は上記の問題点を解決し、臭化タリウム放射線検出器を用いた放射線検出装置における同時計数の時間分解能を上げることができる放射線検出方法及び放射線検出装置、並びにこれを有する陽電子断層撮影装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明は、次のような放射線検出方法及び放射線検出装置、並びに放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置を提供するものである。
(1)ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を電流増幅型前置増幅器に入力して得た立ち上がり信号を、同時計数のためのタイミング信号として利用することを特徴とする放射線検出方法。
(2)さらに上記臭化タリウム放射線検出器からの検出信号を電荷有感型前置増幅器に入力して得た信号を、エネルギー弁別に利用することを特徴とする(1)に記載の放射線検出方法。
(3)ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器と該臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を出力する電流増幅型前置増幅器と該立ち上がり信号をタイミング信号として利用する同時計数回路とを備えた放射線検出装置。
(4)上記臭化タリウム放射線検出器からの検出信号を増幅する電荷有感型前置増幅器をさらに備えた(3)に記載の放射線検出装置。
(5)上記臭化タリウム放射線検出器の一方の電極に電流増幅型前置増幅器を接続し、他方の電極に電荷有感型前置増幅器を接続することを特徴とする(4)に記載の放射線検出装置。
(6)上記臭化タリウム放射線検出器に印加する電圧の極性を切り替えるとともに、電流増幅型前置増幅器及び電荷有感型前置増幅器が臭化タリウム放射線検出器に接続するそれぞれの接続電極を相互に切り替えることを特徴とする(5)に記載の放射線検出装置。
(7)上記臭化タリウム放射線検出器の一方の電極に電流増幅型前置増幅器と積分回路を直列に接続し、電流増幅型前置増幅器からはタイミング信号を積分回路からはエネルギーを取得でき、且つ他方の電極に検出器バイアスだけを負荷できることを特徴とする(3)に記載の放射線検出装置。
(8)上記臭化タリウム放射線検出器に印加する電圧の極性を切り替えることにより臭化タリウムの分極効果による検出器性能の劣化を解消することを特徴とする(7)に記載の放射線検出装置。
(9)上記臭化タリウム放射線検出器は、検出器群においてすべての一方の電極を1つの直流型定電圧電源に接続し、片方を各々の増幅回路に接続することを特徴とする(7)又は(8)に記載の放射線検出装置。
(10)(3)乃至(9)のいずれかに記載の放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を電流増幅型前置増幅器に入力して得た立ち上がり信号を、同時計数のためのタイミング信号として利用することにより、臭化タリウム放射線検出器に対して低バイアス電圧で速いタイミング信号が取得できる。
また本発明によれば、実用に耐える同時計数の時間分解能を備えた臭化タリウム放射線検出器を用いた放射線検出装置、並びに放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について、以下図面を引用して説明する。本明細書では、臭化タリウム放射線検出器をTlBr検出器と略称する。なお本発明は以下の説明に例示したものに限定されないことは、いうまでもないことである。
【0010】
(本発明に係る知見)
図1の左図は3mmφ×0.5mm厚の臭化タリウムに、また右図は3mmφ×1mm厚の臭化タリウムにそれぞれバイアス電圧100Vを印加したときに、臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を出力する電荷有感型前置増幅器としてのオペアンプ580Hからの出力信号を図示したものである。図1に示すようにその出力信号は、電離箱における誘導電荷による電圧変化と同じように直線的に立ち上がることが分かる。
また、3mmφ×0.5mm厚のTlBr検出器と3mmφ×1mm厚のTlBr検出器とでは、出力信号の形は大きく異なる。この出力信号の10%〜90%の立ち上がりを測定し、そのヒストグラムを取ると、0.5mm厚のTlBr検出器は、その立ち上がりは0.6μsec〜7μsecの間に、1mm厚のTlBr検出器の場合は、3.5μsec〜35μsecの間に分布している。ヒストグラムは2成分を示し、ピークを為し速く立ち上がる成分と、速い立ち上がりから遅い立ち上がりまで広がっている成分が認められた(図2参照)。
【0011】
22Naからの一対の陽電子消滅ガンマ線をBaF2検出器と、TlBr検出器及び電荷有感型前置増幅器で同時計数を行ったところ、0.5mm厚のTlBr検出器の場合は49nsecFWHMが得られた。
TlBr検出器及び電荷有感型前置増幅器からの出力信号が直線的に立ち上がることに注目し、TlBr検出器(3mmφ×0.5mm厚及び3mmφ×1mm厚)の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を図3に示すようにように電流増幅型前置増幅器としてのオペアンプA250に入力した。ここで図3左図は、定圧電源に接続された電極側からの信号抽出、右図は、定圧電源に接続されてない電極側から信号抽出をそれぞれ行うものである。
その結果を図4及び図5に示す。図4は帰還抵抗値Rが3MΩ、図5は帰還抵抗値Rが300kΩのものである。図4及び図5の結果から、電荷有感型前置増幅器を用いた場合よりも速く立ち上がることが分かった。
【0012】
この出力信号の10%〜90%の立ち上がりを測定し、そのヒストグラムを取ると、帰還抵抗値R=3MΩの場合、0.5mm厚のTlBr検出器は、その立ち上がりが0.2μsec〜0.7μsec、1mm厚のTlBr検出器は、0.6μsec〜5μsecと、その信号の立ち上がりは速くなり、その分布も非常に狭くなることが分かった(図6参照)。
さらに、帰還抵抗値R=330kΩと下げると、0.5mm厚のTlBr検出器は、その立ち上がりが0.16μsec〜0.32μsec、1mm厚のTlBr検出器は、0.18μsec〜0.6μsecとさらに改善されることが分かった(図7参照)。
【0013】
図6及び図7より、電流増幅型前置増幅器の信号は、タイミング信号として電荷有感型前置増幅器のものより大きく改善されていることが分かる。
以上の平均立ち上がり時間についての結果を表1に整理する。
【0014】
【表1】
【0015】
(本発明に係る放射線検出装置)
表1から分かるように、0.5mm厚のTlBr検出器及び電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=330kΩ)を用いると、平均316nsecと他の場合よりも速い立ち上がりが得られる。
22Naからの一対の陽電子消滅ガンマ線をBaF2検出器と0.5mm厚のTlBr検出器及び電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=330kΩ)で同時計数を行ったところ、23nsecFWHMとPETに使用できる時間分解能が得られた(図8参照)。
この値は、非特許文献2でも得られているが(21.3nsec)が、検出器のサイズは3×4×0.45mmと同じであるが、電荷有感型前置増幅器を用いたもので、この値を得るのにバイアス電圧400Vを必要し、本発明が100Vで得られたのに対し、実に4倍の電圧で検出器に大きな負荷を与えている。この方法では、検出器の厚さを薄くし、しかも高電圧をかけるために検出器の耐性が損なわれる。
【0016】
図9及び図10にTlBr検出器とそのエネルギー信号及びタイミング信号同時取得回路を有する放射線検出装置の原理図を例示する。
電流増幅型前置増幅器は同時計数のためのタイミング信号取得に利用できるが、エネルギー弁別を行うことはできない。そこで、図9に示すように、もう一方の電極に電荷有感型前置増幅器をつなげ、エネルギー信号をとり、これを用いて同時計数のエネルギー閾値に使用する。TlBr検出器は、TlBr結晶自体の分極現象のために、使用途中で電極を逆転する必要がある。このため増幅系と電圧電源とは切り替えスイッチにより同時に配線を切り替えるようにする。
また、図10に示すように、電流増幅型前置増幅器の後段に積分型増幅器を接続し、エネルギー信号とタイミング信号を同時に取り出すことができる。この場合、TlBr結晶自体の分極現象に対して、結晶への負荷電圧の極性を変えるだけで、信号取り出し系の回路を変更する必要がなく、複数の検出器に対して共通のバイアス電圧をかけることができる。但し、バイアス電圧の極性切り替えとともにタイミング信号、エネルギー信号の符号が逆転する。
【0017】
(本発明に係る放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置)
次に本発明に係る臭化タリウム放射線検出装置のPETへの適用について説明する。
PET用検出器としては、偶発同時計数を極力抑えるのに十分な同時計数の時間分解能を有していなければならない。 このためTlBr結晶の電極間を薄くして高時間分解能を得る必要がある。ところが結晶が薄くなると、ガンマ線を検出できる体積が減るため、TlBr結晶を積み重ねた多層のTlBr検出器が必要となる。
【0018】
図11及び図12に多層TlBr検出器とそのエネルギー信号及びタイミング信号同時取得回路を有する放射線検出装置の原理図を例示する。
PETにおいては、多数の検出器が実装され、そのバイアス電圧は一つの電源から供給される。このため、図9の方法では、各々の検出器に独立した定電圧電源が必要とされるが、図10の方法では、一つの定電圧電源から各々の検出器に供給できる。ある程度の大きさを持ったTlBr検出器を図11のように、一方の電極に溝を入れることにより、小型のTlBr検出器の配列を作り、そのそれぞれに電流増幅型前置増幅器と積分型増幅器を直列に繋げると、各々の検出器からタイミング信号とエネルギー信号を同時に得ることができるだけでなく、どの検出器でガンマ線が検出されたか同定できる。もう片方の電極は共通のバイアス電極として使用できる。
バイアス電圧は切り替えスイッチで付加電圧を逆転することにより、分極効果による検出器性能の劣化の解消に対応でき、永久使用可能な放射線検出装置が実現できる。この極性切り替えで信号の符号も反転する。
図11で示した検出器列を図12のように、増幅器への配線が両面にプリントされた非常に薄い絶縁樹脂に両側から接着させ、この検出器層をさらに、その各々のバイアス電圧用電極面を接着せ、重ね合わせることにより、有感率の高い検出器ブロックが実現できる。
以上により、高空間分解能、高検出効率で永久使用できるTlBr検出器使用のPETが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電荷有感型前置増幅器からの出力信号
【図2】電荷有感型前置増幅器からの出力信号の10%〜90%の立ち上がり時間のヒストグラム
【図3】電流増幅型前置増幅器を用いた放射線検出装置の原理図
【図4】電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=3MΩ)からの出力信号
【図5】電流増幅型前置増幅器(R=330kΩ)からの出力信号
【図6】電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=3MΩ)からの出力信号の10%〜90%の立ち上がり時間のヒストグラム
【図7】電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=330kΩ)からの出力信号の10%〜90%の立ち上がり時間のヒストグラム
【図8】BaF2検出器とTlBr検出器−電流型前置増幅器(帰還抵抗値R=330kΩ)の同時計数時間スペクトル
【図9】TlBr検出器の一方の電極からエネルギー信号を他方の電極からタイミング信号を同時取得する回路を有する放射線検出装置の原理図
【図10】TlBr検出器の一方の電極からエネルギー信号もタイミング信号も同時取得する回路を有する放射線検出装置の原理図
【図11】TlBr検出器の配列を用いた放射線検出装置の原理図
【図12】多層のTlBr検出器配列とそのエネルギー信号及びタイミング信号同時取得回路及び検出器バイアス負荷回路を有する放射線検出装置の原理図
【図13】電荷有感型前置増幅器を用いた放射線検出装置の原理図
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出方法及び放射線検出装置、並びに放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置(PET)に関する。
【背景技術】
【0002】
PET等の検出部には、シンチレーション検出器と半導体検出器が使用されている。高空間分解能を得るためには、検出器サイズを小さくできる半導体検出器が用いられており、テルル化カドミウム結晶を用いた放射線検出器が使用されている。ところがテルル化カドミウム結晶は、共有結合結晶であり、融点が高く、また作製費が高いという問題点がある。例えば装置1台当たりの結晶のみの価格が数億円と高価になっている。
このためテルル化カドミウムに代わるものとして臭化タリウムが注目されている。
臭化タリウムは、その高い原子番号(Tl: 81、Br: 35)及び高密度(7.56g/cm3)、広いギャップ・エネルギー(2.68eV)及び高い光子阻止能により室温放射線検出器の素材として魅力的な半導体である。
【0003】
臭化タリウム結晶と電荷有感型前置増幅器を用いた放射線検出装置の原理図を図13に示す。臭化タリウム結晶の対向する面にTl等の電極が形成されており、臭化タリウム放射線検出器を構成する。そして電極間には、バイアス電圧が印加されており、臭化タリウム結晶にガンマ線が入射するとこれにより電子及び正孔が生成され、これが電荷有感型前置増幅器により増幅されて出力信号として検出される。
【0004】
臭化タリウム放射線検出器は、テルル化カドミウム放射線検出器に比べて次のような点で優れている。
(1)臭化タリウムは、イオン結合結晶であり、融点が低く、安価に作製できる。このため臭化タリウム結晶は、テルル化カドミウム結晶と比較し、100分の1程度の値段で作製できる。
(2)臭化タリウム結晶はテルル化カドミウム結晶よりもガンマ線を止める能力が高く、テルル化カドミウムの半分程度の大きさで同程度の効果が発揮できる。このため検出器を薄くすることができる。
【0005】
ところが臭化タリウム放射線検出器は、このようにガンマ線の検出効率が非常に高い反面、臭化タリウム結晶中にガンマ線入射でできた電子と空孔の移動速度が極度に遅いため同時計数時間分解能が悪いというPET応用に対しては重大な問題がある。同時計数時間分解能を上げるためには、負荷電圧方向の結晶の厚さを薄くし、且つ負荷電圧を高くするという相反的条件を課すため検出器の長期使用には適さないため、上記(1)及び(2)に挙げた利点を有するにもかかわらず、臭化タリウム放射線検出器のPET等への実用化が阻害されていた。
【特許文献1】特開2005−156252号公報
【非特許文献1】Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 436 (1996) 160-164
【非特許文献2】Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 458 (2001) 365-369
【非特許文献3】Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 568 (2006) 433-436
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は上記の問題点を解決し、臭化タリウム放射線検出器を用いた放射線検出装置における同時計数の時間分解能を上げることができる放射線検出方法及び放射線検出装置、並びにこれを有する陽電子断層撮影装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明は、次のような放射線検出方法及び放射線検出装置、並びに放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置を提供するものである。
(1)ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を電流増幅型前置増幅器に入力して得た立ち上がり信号を、同時計数のためのタイミング信号として利用することを特徴とする放射線検出方法。
(2)さらに上記臭化タリウム放射線検出器からの検出信号を電荷有感型前置増幅器に入力して得た信号を、エネルギー弁別に利用することを特徴とする(1)に記載の放射線検出方法。
(3)ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器と該臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を出力する電流増幅型前置増幅器と該立ち上がり信号をタイミング信号として利用する同時計数回路とを備えた放射線検出装置。
(4)上記臭化タリウム放射線検出器からの検出信号を増幅する電荷有感型前置増幅器をさらに備えた(3)に記載の放射線検出装置。
(5)上記臭化タリウム放射線検出器の一方の電極に電流増幅型前置増幅器を接続し、他方の電極に電荷有感型前置増幅器を接続することを特徴とする(4)に記載の放射線検出装置。
(6)上記臭化タリウム放射線検出器に印加する電圧の極性を切り替えるとともに、電流増幅型前置増幅器及び電荷有感型前置増幅器が臭化タリウム放射線検出器に接続するそれぞれの接続電極を相互に切り替えることを特徴とする(5)に記載の放射線検出装置。
(7)上記臭化タリウム放射線検出器の一方の電極に電流増幅型前置増幅器と積分回路を直列に接続し、電流増幅型前置増幅器からはタイミング信号を積分回路からはエネルギーを取得でき、且つ他方の電極に検出器バイアスだけを負荷できることを特徴とする(3)に記載の放射線検出装置。
(8)上記臭化タリウム放射線検出器に印加する電圧の極性を切り替えることにより臭化タリウムの分極効果による検出器性能の劣化を解消することを特徴とする(7)に記載の放射線検出装置。
(9)上記臭化タリウム放射線検出器は、検出器群においてすべての一方の電極を1つの直流型定電圧電源に接続し、片方を各々の増幅回路に接続することを特徴とする(7)又は(8)に記載の放射線検出装置。
(10)(3)乃至(9)のいずれかに記載の放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を電流増幅型前置増幅器に入力して得た立ち上がり信号を、同時計数のためのタイミング信号として利用することにより、臭化タリウム放射線検出器に対して低バイアス電圧で速いタイミング信号が取得できる。
また本発明によれば、実用に耐える同時計数の時間分解能を備えた臭化タリウム放射線検出器を用いた放射線検出装置、並びに放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について、以下図面を引用して説明する。本明細書では、臭化タリウム放射線検出器をTlBr検出器と略称する。なお本発明は以下の説明に例示したものに限定されないことは、いうまでもないことである。
【0010】
(本発明に係る知見)
図1の左図は3mmφ×0.5mm厚の臭化タリウムに、また右図は3mmφ×1mm厚の臭化タリウムにそれぞれバイアス電圧100Vを印加したときに、臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を出力する電荷有感型前置増幅器としてのオペアンプ580Hからの出力信号を図示したものである。図1に示すようにその出力信号は、電離箱における誘導電荷による電圧変化と同じように直線的に立ち上がることが分かる。
また、3mmφ×0.5mm厚のTlBr検出器と3mmφ×1mm厚のTlBr検出器とでは、出力信号の形は大きく異なる。この出力信号の10%〜90%の立ち上がりを測定し、そのヒストグラムを取ると、0.5mm厚のTlBr検出器は、その立ち上がりは0.6μsec〜7μsecの間に、1mm厚のTlBr検出器の場合は、3.5μsec〜35μsecの間に分布している。ヒストグラムは2成分を示し、ピークを為し速く立ち上がる成分と、速い立ち上がりから遅い立ち上がりまで広がっている成分が認められた(図2参照)。
【0011】
22Naからの一対の陽電子消滅ガンマ線をBaF2検出器と、TlBr検出器及び電荷有感型前置増幅器で同時計数を行ったところ、0.5mm厚のTlBr検出器の場合は49nsecFWHMが得られた。
TlBr検出器及び電荷有感型前置増幅器からの出力信号が直線的に立ち上がることに注目し、TlBr検出器(3mmφ×0.5mm厚及び3mmφ×1mm厚)の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を図3に示すようにように電流増幅型前置増幅器としてのオペアンプA250に入力した。ここで図3左図は、定圧電源に接続された電極側からの信号抽出、右図は、定圧電源に接続されてない電極側から信号抽出をそれぞれ行うものである。
その結果を図4及び図5に示す。図4は帰還抵抗値Rが3MΩ、図5は帰還抵抗値Rが300kΩのものである。図4及び図5の結果から、電荷有感型前置増幅器を用いた場合よりも速く立ち上がることが分かった。
【0012】
この出力信号の10%〜90%の立ち上がりを測定し、そのヒストグラムを取ると、帰還抵抗値R=3MΩの場合、0.5mm厚のTlBr検出器は、その立ち上がりが0.2μsec〜0.7μsec、1mm厚のTlBr検出器は、0.6μsec〜5μsecと、その信号の立ち上がりは速くなり、その分布も非常に狭くなることが分かった(図6参照)。
さらに、帰還抵抗値R=330kΩと下げると、0.5mm厚のTlBr検出器は、その立ち上がりが0.16μsec〜0.32μsec、1mm厚のTlBr検出器は、0.18μsec〜0.6μsecとさらに改善されることが分かった(図7参照)。
【0013】
図6及び図7より、電流増幅型前置増幅器の信号は、タイミング信号として電荷有感型前置増幅器のものより大きく改善されていることが分かる。
以上の平均立ち上がり時間についての結果を表1に整理する。
【0014】
【表1】
【0015】
(本発明に係る放射線検出装置)
表1から分かるように、0.5mm厚のTlBr検出器及び電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=330kΩ)を用いると、平均316nsecと他の場合よりも速い立ち上がりが得られる。
22Naからの一対の陽電子消滅ガンマ線をBaF2検出器と0.5mm厚のTlBr検出器及び電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=330kΩ)で同時計数を行ったところ、23nsecFWHMとPETに使用できる時間分解能が得られた(図8参照)。
この値は、非特許文献2でも得られているが(21.3nsec)が、検出器のサイズは3×4×0.45mmと同じであるが、電荷有感型前置増幅器を用いたもので、この値を得るのにバイアス電圧400Vを必要し、本発明が100Vで得られたのに対し、実に4倍の電圧で検出器に大きな負荷を与えている。この方法では、検出器の厚さを薄くし、しかも高電圧をかけるために検出器の耐性が損なわれる。
【0016】
図9及び図10にTlBr検出器とそのエネルギー信号及びタイミング信号同時取得回路を有する放射線検出装置の原理図を例示する。
電流増幅型前置増幅器は同時計数のためのタイミング信号取得に利用できるが、エネルギー弁別を行うことはできない。そこで、図9に示すように、もう一方の電極に電荷有感型前置増幅器をつなげ、エネルギー信号をとり、これを用いて同時計数のエネルギー閾値に使用する。TlBr検出器は、TlBr結晶自体の分極現象のために、使用途中で電極を逆転する必要がある。このため増幅系と電圧電源とは切り替えスイッチにより同時に配線を切り替えるようにする。
また、図10に示すように、電流増幅型前置増幅器の後段に積分型増幅器を接続し、エネルギー信号とタイミング信号を同時に取り出すことができる。この場合、TlBr結晶自体の分極現象に対して、結晶への負荷電圧の極性を変えるだけで、信号取り出し系の回路を変更する必要がなく、複数の検出器に対して共通のバイアス電圧をかけることができる。但し、バイアス電圧の極性切り替えとともにタイミング信号、エネルギー信号の符号が逆転する。
【0017】
(本発明に係る放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置)
次に本発明に係る臭化タリウム放射線検出装置のPETへの適用について説明する。
PET用検出器としては、偶発同時計数を極力抑えるのに十分な同時計数の時間分解能を有していなければならない。 このためTlBr結晶の電極間を薄くして高時間分解能を得る必要がある。ところが結晶が薄くなると、ガンマ線を検出できる体積が減るため、TlBr結晶を積み重ねた多層のTlBr検出器が必要となる。
【0018】
図11及び図12に多層TlBr検出器とそのエネルギー信号及びタイミング信号同時取得回路を有する放射線検出装置の原理図を例示する。
PETにおいては、多数の検出器が実装され、そのバイアス電圧は一つの電源から供給される。このため、図9の方法では、各々の検出器に独立した定電圧電源が必要とされるが、図10の方法では、一つの定電圧電源から各々の検出器に供給できる。ある程度の大きさを持ったTlBr検出器を図11のように、一方の電極に溝を入れることにより、小型のTlBr検出器の配列を作り、そのそれぞれに電流増幅型前置増幅器と積分型増幅器を直列に繋げると、各々の検出器からタイミング信号とエネルギー信号を同時に得ることができるだけでなく、どの検出器でガンマ線が検出されたか同定できる。もう片方の電極は共通のバイアス電極として使用できる。
バイアス電圧は切り替えスイッチで付加電圧を逆転することにより、分極効果による検出器性能の劣化の解消に対応でき、永久使用可能な放射線検出装置が実現できる。この極性切り替えで信号の符号も反転する。
図11で示した検出器列を図12のように、増幅器への配線が両面にプリントされた非常に薄い絶縁樹脂に両側から接着させ、この検出器層をさらに、その各々のバイアス電圧用電極面を接着せ、重ね合わせることにより、有感率の高い検出器ブロックが実現できる。
以上により、高空間分解能、高検出効率で永久使用できるTlBr検出器使用のPETが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電荷有感型前置増幅器からの出力信号
【図2】電荷有感型前置増幅器からの出力信号の10%〜90%の立ち上がり時間のヒストグラム
【図3】電流増幅型前置増幅器を用いた放射線検出装置の原理図
【図4】電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=3MΩ)からの出力信号
【図5】電流増幅型前置増幅器(R=330kΩ)からの出力信号
【図6】電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=3MΩ)からの出力信号の10%〜90%の立ち上がり時間のヒストグラム
【図7】電流増幅型前置増幅器(帰還抵抗値R=330kΩ)からの出力信号の10%〜90%の立ち上がり時間のヒストグラム
【図8】BaF2検出器とTlBr検出器−電流型前置増幅器(帰還抵抗値R=330kΩ)の同時計数時間スペクトル
【図9】TlBr検出器の一方の電極からエネルギー信号を他方の電極からタイミング信号を同時取得する回路を有する放射線検出装置の原理図
【図10】TlBr検出器の一方の電極からエネルギー信号もタイミング信号も同時取得する回路を有する放射線検出装置の原理図
【図11】TlBr検出器の配列を用いた放射線検出装置の原理図
【図12】多層のTlBr検出器配列とそのエネルギー信号及びタイミング信号同時取得回路及び検出器バイアス負荷回路を有する放射線検出装置の原理図
【図13】電荷有感型前置増幅器を用いた放射線検出装置の原理図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を電流増幅型前置増幅器に入力して得た立ち上がり信号を、同時計数のためのタイミング信号として利用することを特徴とする放射線検出方法。
【請求項2】
さらに上記臭化タリウム放射線検出器からの検出信号を電荷有感型前置増幅器に入力して得た信号を、エネルギー弁別に利用することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出方法。
【請求項3】
ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器と該臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を出力する電流増幅型前置増幅器と該立ち上がり信号をタイミング信号として利用する同時計数回路とを備えた放射線検出装置。
【請求項4】
上記臭化タリウム放射線検出器からの検出信号を増幅する電荷有感型前置増幅器をさらに備えた請求項3に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
上記臭化タリウム放射線検出器の一方の電極に電流増幅型前置増幅器を接続し、他方の電極に電荷有感型前置増幅器を接続することを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
上記臭化タリウム放射線検出器に印加する電圧の極性を切り替えるとともに、電流増幅型前置増幅器及び電荷有感型前置増幅器が臭化タリウム放射線検出器に接続するそれぞれの接続電極を相互に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
上記臭化タリウム放射線検出器の一方の電極に電流増幅型前置増幅器と積分回路を直列に接続し、電流増幅型前置増幅器からはタイミング信号を積分回路からはエネルギーを取得でき、且つ他方の電極に検出器バイアスだけを負荷できることを特徴とする請求項3に記載の放射線検出装置。
【請求項8】
上記臭化タリウム放射線検出器に印加する電圧の極性を切り替えることにより臭化タリウムの分極効果による検出器性能の劣化を解消することを特徴とする請求項7に記載の放射線検出装置。
【請求項9】
上記臭化タリウム放射線検出器は、検出器群においてすべての一方の電極を1つの直流型定電圧電源に接続し、片方を各々の増幅回路に接続することを特徴とする請求項7又は8に記載の放射線検出装置。
【請求項10】
請求項3乃至9のいずれか1項に記載の放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置。
【請求項1】
ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を電流増幅型前置増幅器に入力して得た立ち上がり信号を、同時計数のためのタイミング信号として利用することを特徴とする放射線検出方法。
【請求項2】
さらに上記臭化タリウム放射線検出器からの検出信号を電荷有感型前置増幅器に入力して得た信号を、エネルギー弁別に利用することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出方法。
【請求項3】
ガンマ線を検出する臭化タリウム放射線検出器と該臭化タリウム放射線検出器の電極面に発生した誘導電荷の信号を入力して得た立ち上がり信号を出力する電流増幅型前置増幅器と該立ち上がり信号をタイミング信号として利用する同時計数回路とを備えた放射線検出装置。
【請求項4】
上記臭化タリウム放射線検出器からの検出信号を増幅する電荷有感型前置増幅器をさらに備えた請求項3に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
上記臭化タリウム放射線検出器の一方の電極に電流増幅型前置増幅器を接続し、他方の電極に電荷有感型前置増幅器を接続することを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
上記臭化タリウム放射線検出器に印加する電圧の極性を切り替えるとともに、電流増幅型前置増幅器及び電荷有感型前置増幅器が臭化タリウム放射線検出器に接続するそれぞれの接続電極を相互に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
上記臭化タリウム放射線検出器の一方の電極に電流増幅型前置増幅器と積分回路を直列に接続し、電流増幅型前置増幅器からはタイミング信号を積分回路からはエネルギーを取得でき、且つ他方の電極に検出器バイアスだけを負荷できることを特徴とする請求項3に記載の放射線検出装置。
【請求項8】
上記臭化タリウム放射線検出器に印加する電圧の極性を切り替えることにより臭化タリウムの分極効果による検出器性能の劣化を解消することを特徴とする請求項7に記載の放射線検出装置。
【請求項9】
上記臭化タリウム放射線検出器は、検出器群においてすべての一方の電極を1つの直流型定電圧電源に接続し、片方を各々の増幅回路に接続することを特徴とする請求項7又は8に記載の放射線検出装置。
【請求項10】
請求項3乃至9のいずれか1項に記載の放射線検出装置を有する陽電子断層撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−264813(P2009−264813A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112152(P2008−112152)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】
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