放射線検出装置用収容具
【課題】保管及び撮影準備時等における放射線変換パネルに対するしわや折れの発生を確実に防止する。
【解決手段】可撓性を有する放射線検出装置10を収容可能な収容具22は、一組の第1及び第2プレート18、20と、該第1及び第2プレート18、20の端部同士を接続する接続部24とを備え、前記第1プレート18と第2プレート20とを互いに離間させた状態で、その間に前記放射線検出装置10を載置し、該第1及び第2プレート18、20を互いに接近させるように回動させる。これにより、収容具22を構成する第1プレート18と第2プレート20との間に放射線検出装置10が挟まれた状態で保管される。
【解決手段】可撓性を有する放射線検出装置10を収容可能な収容具22は、一組の第1及び第2プレート18、20と、該第1及び第2プレート18、20の端部同士を接続する接続部24とを備え、前記第1プレート18と第2プレート20とを互いに離間させた状態で、その間に前記放射線検出装置10を載置し、該第1及び第2プレート18、20を互いに接近させるように回動させる。これにより、収容具22を構成する第1プレート18と第2プレート20との間に放射線検出装置10が挟まれた状態で保管される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線を検出し、検出した前記放射線を放射線画像情報に変換する放射線変換パネルを備えた放射線検出装置を収容するための放射線検出装置用収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像情報を撮影する放射線画像撮影システムが広汎に使用されている。前記放射線変換パネルとしては、前記放射線画像情報が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像情報としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像情報を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。
【0003】
これらの放射線変換パネルは、前記放射線画像情報が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
【0004】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像情報を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器が開発されている。
【0005】
放射線検出器(放射線変換パネル)を収納する放射線検出装置に関し、特許文献1には、可撓性を有する放射線検出器を患者の表面形状に合わせて配置することが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−70776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に係る従来技術においては、放射線検出装置が可撓性を有しているため、例えば、放射線画像の撮影前や撮影後に保管する際、しわや折れが生じて品質の低下を招くことが懸念される。
【0008】
また、放射線検出装置をベッド上に横臥した患者と該ベッドとの間に設置する際、可撓性を有しているためその設置が困難である。
【0009】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、可撓性を有した放射線変換パネルにおいて、しわや折れの発生を確実に防止して品質の維持された状態で保管及び撮影に供することが可能な放射線検出装置用収容具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換し、且つ、可撓性を有した放射線変換パネルが内部に収納され、該放射線変換パネルが収容された状態で剛性を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、可撓性を有する放射線変換パネルを放射線検出装置用収容具の内部に収容することにより、剛性を有した前記放射線検出装置用収容具によって前記放射線変換パネルに対するしわや折れの発生を確実に防止し、品質の維持された状態で好適に保管及び撮影を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0013】
すなわち、可撓性を有した放射線変換パネルを内部に収納可能な放射線検出装置用収容具によって、該放射線変換パネルにおけるしわや折れの発生を確実に防止し、品質の維持された状態で好適に保管及び撮影を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具に収容される放射線検出装置(以下、放射線検出カセッテともいう)10の外観斜視図である。
【0015】
この放射線検出カセッテ10は、放射線12を透過させる材料からなる筐体としてのスクリーン14を備え、該スクリーン14は、可撓性を有し、患者16に対する放射線12の非照射時(非撮影時)には、例えば、2枚の第1及び第2プレート18、20からなる収容具22(図2A及び図2B参照)の内部に収納可能であり、一方で、患者16に対する放射線12の照射時(撮影時)に患者16に対して略平面状に展開される(図4参照)。
【0016】
この収容具22は、図2A及び図2Bに示されるように、一組の第1及び第2プレート18、20と、該第1及び第2プレート18、20の端部同士を接続する接続部24とからなる。第1及び第2プレート18、20は、所定厚さを有した平面状の板材からなり、その面積は、放射線検出カセッテ10を構成するスクリーン14の面積と略同等若しくは若干大きく設定される。そして、第1プレート18と第2プレート20とは、互いに対向するように配置され、その間にスクリーン14を挟むことにより保持する。なお、接続部24は、例えば、第1及び第2プレート18、20の長手方向に沿って所定間隔離間して一組設けられ、前記第1プレート18と第2プレート20とが離間してしまうのを防止すると共に、常に対向する位置へと回動自在に位置決めしている。
【0017】
また、収容具22は、放射線検出カセッテ10を保持する際に照射面(撮影面)34側となる第1プレート18が、放射線12を透過させる材料(例えば、カーボン等)から形成される。
【0018】
この第1プレート18の表面には、放射線12の照射面34側を示し、且つ、撮影領域に相当する枠(マーク)25aや、該撮影領域の中心を示すマーク25bを、放射線12を透過する材質でプリントしておくとよい。これにより、放射線検出カセッテ10が収容具22に収容された後でも、照射面34の方向を確認することが容易となる。
【0019】
一方、図3及び図4に示されるように、放射線検出カセッテ10を構成するスクリーン14の内部には、患者16による放射線12の散乱線を除去するグリッド26、患者16を透過した放射線12を検出する放射線検出器28を構成するセンサ基板30、及び、放射線12のバック散乱線を吸収する鉛シート32が、患者16側の照射面(撮影面)34に対して順に配設される。なお、これらグリッド26、放射線検出器28及び鉛シート32も可撓性を有する。また、スクリーン14の照射面34をグリッド26として構成してもよい。
【0020】
図5に示すように、センサ基板30は、患者16を透過した放射線12を一旦可視光に変換するGOS(Gd2O2S)又はCsI等の蛍光体からなるシンチレータ36と、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)38(図6参照)のアレイが形成され、放射線12及び可視光を透過可能なTFT層40と、アモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう)42を用いて前記可視光を電気信号に変換する光電変換層44とを、基板45上に順に積層することにより形成される。
【0021】
また、スクリーン14の内部には、放射線検出カセッテ10の電源であるバッテリ46と、バッテリ46から供給される電力により放射線検出器28を駆動制御するカセッテ制御部48と、放射線検出器28によって検出した放射線12の情報を含む信号をコンソール(図示せず)との間で送受信する送受信機(無線通信手段)50とが収容される。
【0022】
なお、カセッテ制御部48及び送受信機50には、放射線12が照射されることによる損傷を回避するため、スクリーン14の照射面34側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。また、バッテリ46は、放射線検出カセッテ10内の放射線検出器28、カセッテ制御部48及び送受信機50に電力を供給する。
【0023】
図6は、放射線検出器28の回路構成ブロック図である。放射線検出器28は、可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素42が形成された光電変換層44を、行列状のTFT38のアレイ(TFT層40)の上に配置した構造を有する。この場合、各画素42では、可視光を電気信号に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各行毎にTFT38を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
【0024】
各画素42に接続されるTFT38には、行方向と平行に延びるゲート線52と、列方向と平行に延びる信号線54とが接続される。各ゲート線52は、ライン走査駆動部56に接続され、各信号線54は、マルチプレクサ58に接続される。ゲート線52には、行方向に配列されたTFT38をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部56から供給される。この場合、ライン走査駆動部56は、ゲート線52を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ60とを備える。アドレスデコーダ60には、カセッテ制御部48からアドレス信号が供給される。
【0025】
また、信号線54には、列方向に配列されたTFT38を介して各画素42に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器62によって増幅される。増幅器62には、サンプルホールド回路63を介してマルチプレクサ58が接続される。マルチプレクサ58は、信号線54を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ64とを備える。アドレスデコーダ64には、カセッテ制御部48からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ58には、A/D変換器66が接続され、A/D変換器66によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部48に供給される。なお、増幅器62、サンプルホールド回路63、マルチプレクサ58及びA/D変換器66は、読出回路部68を構成する。
【0026】
送受信機50は、カセッテIDメモリ(図示せず)に記憶されたカセッテID情報及び画像メモリに記憶された放射線画像情報を無線通信によりコンソール(図示せず)に送信する。
【0027】
本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具22に収容される放射線検出カセッテ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0028】
先ず、手術室、検診又は病院内での回診等において、放射線画像情報の撮影を行う場合、医師又は放射線技師は、図示しない保管箱等から放射線検出カセッテ10を取り出し、収容具22を構成する第1プレート18と第2プレート20とが接続部24を介して互いに離間させた状態とする。その後、第2プレート20の上面に放射線検出カセッテ10を載置し、該放射線検出カセッテ10が前記第2プレート20の端部から外側へとはみ出すことがないことを確認した後、接続部24を支点とするように第1プレート18を第2プレート20側へと回動させて重ね合わせる。
【0029】
これにより、図7A及び図7Bに示されるように、放射線検出カセッテ10が第1プレート18と第2プレート20との間に挟持され、剛性を有する収容具22によって前記放射線検出カセッテ10が変形してしまうことなく把持できる。また、この放射線検出カセッテ10は、第1及び第2プレート18、20によって挟持されているため、しわや折れ等が生じることなく、収容具22の内部に品質の維持された状態で保持される。
【0030】
そして、図4に示されるように、放射線検出カセッテ10の収容された収容具22を、例えば、患者16とベッドとの間の所定位置に、照射面34を放射線源76側とした状態で設置する。この場合も、可撓性を有した放射線検出カセッテ10が、剛性を有する収容具22によって変形することなく設置され、その設置時におけるしわや折れ等の発生が回避される。
【0031】
次に、放射線源76を放射線検出カセッテ10及び収容具22に対向する位置に適宜移動させた後、医師又は放射線技師は、放射線源76の撮影スイッチを操作して撮影を行う。前記撮影スイッチの操作に起因して、放射線源76は、無線通信により、コンソール(図示せず)に対して撮影条件の送信を要求し、コンソールは、受信した前記要求に基づいて、当該患者16の撮影部位に係る撮影条件を、放射線源76に送信する。放射線源76は、前記撮影条件を受信すると、当該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線12を患者16に照射する。
【0032】
患者16を透過した放射線12は、放射線検出カセッテ10のグリッド26によって散乱線が除去された後、放射線検出器28に照射される。放射線検出器28を構成するシンチレータ36は、放射線12の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層44を構成する各画素42は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素42に保持された患者16の放射線画像情報である電荷情報は、カセッテ制御部48を構成するアドレス信号発生部(図示せず)からライン走査駆動部56及びマルチプレクサ58に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0033】
すなわち、ライン走査駆動部56のアドレスデコーダ60は、図示しないアドレス信号発生部から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線52に接続されたTFT38のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ58のアドレスデコーダ64は、アドレス信号発生部から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部56によって選択されたゲート線52に接続された各画素42に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線54を介して順次読み出す。
【0034】
放射線検出器28の選択されたゲート線52に接続された各画素42から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路63によってサンプリングされ、マルチプレクサ58を介してA/D変換器66に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部48の画像メモリ(図示せず)に一旦記憶される。
【0035】
同様にして、ライン走査駆動部56のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線52に接続されている各画素42に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線54を介して読み出し、マルチプレクサ58及びA/D変換器66を介してカセッテ制御部48の画像メモリに記憶させる。
【0036】
図示しない画像メモリに記憶された放射線画像情報は、送受信機50を介して、無線通信によりコンソール(図示せず)に送信される。このコンソールは、受信した放射線画像情報に対して所定の画像処理を施した後、登録されている患者16の患者情報と関連付けて該放射線画像情報を記憶する。なお、画像処理の施された放射線画像情報は、コンソールから図示しない表示装置に送信され、該表示装置は、放射線画像情報を表示する。
【0037】
患者16に対する撮影が完了した後、放射線検出カセッテ10が収容された収容具22を該患者16とベッドとの間から取り出す。この際も、収容具22が剛性を有しているため、医師又は放射線技師が前記収容具22を介して放射線検出カセッテ10を容易に把持して取り出すことができる。また、可撓性を有する放射線検出カセッテ10が、剛性を有した収容具22によって覆われているため、該放射線検出カセッテ10を取り出す際に、しわや折れ等が生じることが回避される。
【0038】
そして、収容具22における第1プレート18と第2プレート20とをその接続部24を支点として互いに離間させるように回動させることにより開き、その内部に収容されていた放射線検出カセッテ10を取り出して図示しない保管箱等に収容して保管する。
【0039】
一方、上述した放射線検出カセッテ10は、収容具22の内部に収容され、患者16とベッドとの間に設置されて用いられる場合に限定されるものではなく、例えば、前記放射線検出カセッテ10を収容具22から取り出し、図8に示されるように、例えば、患者16の腕部16aに対して直接密着させるように用いてもよい。この場合、放射線検出カセッテ10の照射面34側が患者16側となるように設置される。
【0040】
すなわち、放射線検出カセッテ10が可撓性を有しているため、平面状ではない患者16の患部(例えば、腕部、脚部、腹部、脇腹等)に対してフィットするように変形させることが可能となる。そして、患者16を挟んで放射線検出カセッテ10の反対側となる位置から放射線源76によって放射線12を照射し、放射線画像の撮影が行われる。これにより、可撓性を有した放射線検出カセッテ10を用いて、患者16の患部を好適に撮影することができる。
【0041】
以上のように、第1の実施の形態では、可撓性を有する放射線検出カセッテ10を内部に収容可能な収容具22を設け、該収容具22を構成し、剛性を有した第1プレート18と第2プレート20との間に前記放射線検出カセッテ10を挟んで保持することにより、放射線検出カセッテ10を、例えば、患者16とベッドとの間に設置して撮影を行う際においても、可撓性を有した放射線検出カセッテ10に対してしわや折りが生じることを防止できる。その結果、放射線検出カセッテ10の品質を確実且つ好適に維持することができ、しわや折り等が生じることによって撮影不能となる無駄な放射線検出カセッテ10の発生が回避され、該放射線検出カセッテ10を効率的に利用することが可能となる。
【0042】
また、放射線検出カセッテ10を、その撮影前や撮影後に収容具22に収容することにより、前記放射線検出カセッテ10の保管中におけるしわや折り等の発生を好適に防止し、品質の維持された状態で保管することが可能となる。
【0043】
さらに、放射線検出カセッテ10は、可撓性を有しているため、図8に示されるように、例えば、患者16の患部(例えば、腹部、脇腹、腕等)に密着させ、放射線画像の撮影を行うことが可能である。これにより、可撓性を有した放射線検出カセッテ10を用いて、平面状ではない患者16の患部を好適に撮影することができる。
【0044】
さらに、第1の実施の形態では、放射線検出カセッテ10を図9の構成に代えてもよい。図9では、基板45から照射面34側に向かって、TFT層40、光電変換層44及びシンチレータ36の順に積層されている。この場合でも、シンチレータ36で変換された可視光を光電変換層44にて電気信号に変換することが可能であるので、上述した各効果が得られることは勿論である。
【0045】
次に、第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具80を図10に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
この第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具80では、図10A及び図10Bに示されるように、放射線検出カセッテ10を内部に収容可能な空間部を有した構造としている点で、第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具10と相違している。
【0047】
この収容具80は、断面略台形状に形成された第1ケーシング82と、該第1ケーシング82の端部に開閉自在に接続された第2ケーシング84とからなり、前記第1及び第2ケーシング82、84には、互いに対向する前面82a、84aに、放射線検出カセッテ10の収容される凹部86a、86bがそれぞれ形成されている。この凹部86a、86bは、放射線検出カセッテ10と同一面積で形成され、第1及び第2ケーシング82、84の前面82a、84aに対して所定深さだけ窪んで形成される。そして、放射線検出カセッテ10を収容具80の内部へと収容する際、一方の凹部86aと他方の凹部86bとから画成される空間部に放射線検出カセッテ10が収容されて固定される。すなわち、放射線検出カセッテ10は、凹部86a、86b内に収容されることによって収容具80内において位置決めされる(図11B参照)。
【0048】
また、第1ケーシング82の表面には、放射線12の照射面34側を示し、且つ、撮影領域に相当する枠(マーク)25aや、該撮影領域の中心を示すマーク25bが放射線12を透過する材質でプリントされる。
【0049】
次に、第3の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具100を図11に示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具10、80と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0050】
この第3の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具100では、図11A及び図11Bに示されるように、2辺が開口した略長方形の袋状に形成され、その開口部102から放射線検出カセッテ10を内部に収容するようにしている点で、第1及び第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具10、80と相違している。なお、この収容具100では、該収容具100の面積が、放射線検出カセッテ10の面積より大きく設定される。
【0051】
この第3の実施の形態に係る収容具100では、簡素な構成で放射線検出カセッテ10を収容することができるため、コストの削減を図ることができると共に、放射線検出カセッテ10を収容する際に開口部102を通じて内部に挿入するだけであるため、簡便に収容・取り出し作業を行うことが可能となる。
【0052】
なお、本発明に係る放射線検出装置用収容具は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具に収容される放射線検出装置の外観斜視図である。
【図2】図2A及び図2Bは、図1の放射線検出装置が内部に収容される放射線検出装置用収容具を示す斜視図である。
【図3】図1の放射線検出装置の一部省略斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図1の放射線検出器の回路構成ブロック図である。
【図7】図7Aは、図2Bに示す放射線検出装置用収容具及び放射線検出装置の平面図を示し、図7Bは、前記放射線検出装置用収容具及び放射線検出装置の側面図である。
【図8】図1の放射線検出器を患者の腕部に密着させた状態を示す斜視図である。
【図9】図3のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図10A及び図10Bは、第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具の示す斜視図である。
【図11】図11A及び図11Bは、第3の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具の示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
10…放射線検出装置 12…放射線
14…スクリーン 18…第1プレート
20…第2プレート 22、80、100…収容具
24…接続部 26…グリッド
28…放射線検出器 30…センサ基板
32…鉛シート 34…照射面
36…シンチレータ 46…バッテリ
48…カセッテ制御部 50…送受信機
76…放射線源 102…開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線を検出し、検出した前記放射線を放射線画像情報に変換する放射線変換パネルを備えた放射線検出装置を収容するための放射線検出装置用収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像情報を撮影する放射線画像撮影システムが広汎に使用されている。前記放射線変換パネルとしては、前記放射線画像情報が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像情報としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像情報を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。
【0003】
これらの放射線変換パネルは、前記放射線画像情報が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
【0004】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像情報を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器が開発されている。
【0005】
放射線検出器(放射線変換パネル)を収納する放射線検出装置に関し、特許文献1には、可撓性を有する放射線検出器を患者の表面形状に合わせて配置することが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−70776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に係る従来技術においては、放射線検出装置が可撓性を有しているため、例えば、放射線画像の撮影前や撮影後に保管する際、しわや折れが生じて品質の低下を招くことが懸念される。
【0008】
また、放射線検出装置をベッド上に横臥した患者と該ベッドとの間に設置する際、可撓性を有しているためその設置が困難である。
【0009】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、可撓性を有した放射線変換パネルにおいて、しわや折れの発生を確実に防止して品質の維持された状態で保管及び撮影に供することが可能な放射線検出装置用収容具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換し、且つ、可撓性を有した放射線変換パネルが内部に収納され、該放射線変換パネルが収容された状態で剛性を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、可撓性を有する放射線変換パネルを放射線検出装置用収容具の内部に収容することにより、剛性を有した前記放射線検出装置用収容具によって前記放射線変換パネルに対するしわや折れの発生を確実に防止し、品質の維持された状態で好適に保管及び撮影を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0013】
すなわち、可撓性を有した放射線変換パネルを内部に収納可能な放射線検出装置用収容具によって、該放射線変換パネルにおけるしわや折れの発生を確実に防止し、品質の維持された状態で好適に保管及び撮影を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具に収容される放射線検出装置(以下、放射線検出カセッテともいう)10の外観斜視図である。
【0015】
この放射線検出カセッテ10は、放射線12を透過させる材料からなる筐体としてのスクリーン14を備え、該スクリーン14は、可撓性を有し、患者16に対する放射線12の非照射時(非撮影時)には、例えば、2枚の第1及び第2プレート18、20からなる収容具22(図2A及び図2B参照)の内部に収納可能であり、一方で、患者16に対する放射線12の照射時(撮影時)に患者16に対して略平面状に展開される(図4参照)。
【0016】
この収容具22は、図2A及び図2Bに示されるように、一組の第1及び第2プレート18、20と、該第1及び第2プレート18、20の端部同士を接続する接続部24とからなる。第1及び第2プレート18、20は、所定厚さを有した平面状の板材からなり、その面積は、放射線検出カセッテ10を構成するスクリーン14の面積と略同等若しくは若干大きく設定される。そして、第1プレート18と第2プレート20とは、互いに対向するように配置され、その間にスクリーン14を挟むことにより保持する。なお、接続部24は、例えば、第1及び第2プレート18、20の長手方向に沿って所定間隔離間して一組設けられ、前記第1プレート18と第2プレート20とが離間してしまうのを防止すると共に、常に対向する位置へと回動自在に位置決めしている。
【0017】
また、収容具22は、放射線検出カセッテ10を保持する際に照射面(撮影面)34側となる第1プレート18が、放射線12を透過させる材料(例えば、カーボン等)から形成される。
【0018】
この第1プレート18の表面には、放射線12の照射面34側を示し、且つ、撮影領域に相当する枠(マーク)25aや、該撮影領域の中心を示すマーク25bを、放射線12を透過する材質でプリントしておくとよい。これにより、放射線検出カセッテ10が収容具22に収容された後でも、照射面34の方向を確認することが容易となる。
【0019】
一方、図3及び図4に示されるように、放射線検出カセッテ10を構成するスクリーン14の内部には、患者16による放射線12の散乱線を除去するグリッド26、患者16を透過した放射線12を検出する放射線検出器28を構成するセンサ基板30、及び、放射線12のバック散乱線を吸収する鉛シート32が、患者16側の照射面(撮影面)34に対して順に配設される。なお、これらグリッド26、放射線検出器28及び鉛シート32も可撓性を有する。また、スクリーン14の照射面34をグリッド26として構成してもよい。
【0020】
図5に示すように、センサ基板30は、患者16を透過した放射線12を一旦可視光に変換するGOS(Gd2O2S)又はCsI等の蛍光体からなるシンチレータ36と、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)38(図6参照)のアレイが形成され、放射線12及び可視光を透過可能なTFT層40と、アモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう)42を用いて前記可視光を電気信号に変換する光電変換層44とを、基板45上に順に積層することにより形成される。
【0021】
また、スクリーン14の内部には、放射線検出カセッテ10の電源であるバッテリ46と、バッテリ46から供給される電力により放射線検出器28を駆動制御するカセッテ制御部48と、放射線検出器28によって検出した放射線12の情報を含む信号をコンソール(図示せず)との間で送受信する送受信機(無線通信手段)50とが収容される。
【0022】
なお、カセッテ制御部48及び送受信機50には、放射線12が照射されることによる損傷を回避するため、スクリーン14の照射面34側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。また、バッテリ46は、放射線検出カセッテ10内の放射線検出器28、カセッテ制御部48及び送受信機50に電力を供給する。
【0023】
図6は、放射線検出器28の回路構成ブロック図である。放射線検出器28は、可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素42が形成された光電変換層44を、行列状のTFT38のアレイ(TFT層40)の上に配置した構造を有する。この場合、各画素42では、可視光を電気信号に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各行毎にTFT38を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
【0024】
各画素42に接続されるTFT38には、行方向と平行に延びるゲート線52と、列方向と平行に延びる信号線54とが接続される。各ゲート線52は、ライン走査駆動部56に接続され、各信号線54は、マルチプレクサ58に接続される。ゲート線52には、行方向に配列されたTFT38をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部56から供給される。この場合、ライン走査駆動部56は、ゲート線52を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ60とを備える。アドレスデコーダ60には、カセッテ制御部48からアドレス信号が供給される。
【0025】
また、信号線54には、列方向に配列されたTFT38を介して各画素42に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器62によって増幅される。増幅器62には、サンプルホールド回路63を介してマルチプレクサ58が接続される。マルチプレクサ58は、信号線54を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ64とを備える。アドレスデコーダ64には、カセッテ制御部48からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ58には、A/D変換器66が接続され、A/D変換器66によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部48に供給される。なお、増幅器62、サンプルホールド回路63、マルチプレクサ58及びA/D変換器66は、読出回路部68を構成する。
【0026】
送受信機50は、カセッテIDメモリ(図示せず)に記憶されたカセッテID情報及び画像メモリに記憶された放射線画像情報を無線通信によりコンソール(図示せず)に送信する。
【0027】
本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具22に収容される放射線検出カセッテ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0028】
先ず、手術室、検診又は病院内での回診等において、放射線画像情報の撮影を行う場合、医師又は放射線技師は、図示しない保管箱等から放射線検出カセッテ10を取り出し、収容具22を構成する第1プレート18と第2プレート20とが接続部24を介して互いに離間させた状態とする。その後、第2プレート20の上面に放射線検出カセッテ10を載置し、該放射線検出カセッテ10が前記第2プレート20の端部から外側へとはみ出すことがないことを確認した後、接続部24を支点とするように第1プレート18を第2プレート20側へと回動させて重ね合わせる。
【0029】
これにより、図7A及び図7Bに示されるように、放射線検出カセッテ10が第1プレート18と第2プレート20との間に挟持され、剛性を有する収容具22によって前記放射線検出カセッテ10が変形してしまうことなく把持できる。また、この放射線検出カセッテ10は、第1及び第2プレート18、20によって挟持されているため、しわや折れ等が生じることなく、収容具22の内部に品質の維持された状態で保持される。
【0030】
そして、図4に示されるように、放射線検出カセッテ10の収容された収容具22を、例えば、患者16とベッドとの間の所定位置に、照射面34を放射線源76側とした状態で設置する。この場合も、可撓性を有した放射線検出カセッテ10が、剛性を有する収容具22によって変形することなく設置され、その設置時におけるしわや折れ等の発生が回避される。
【0031】
次に、放射線源76を放射線検出カセッテ10及び収容具22に対向する位置に適宜移動させた後、医師又は放射線技師は、放射線源76の撮影スイッチを操作して撮影を行う。前記撮影スイッチの操作に起因して、放射線源76は、無線通信により、コンソール(図示せず)に対して撮影条件の送信を要求し、コンソールは、受信した前記要求に基づいて、当該患者16の撮影部位に係る撮影条件を、放射線源76に送信する。放射線源76は、前記撮影条件を受信すると、当該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線12を患者16に照射する。
【0032】
患者16を透過した放射線12は、放射線検出カセッテ10のグリッド26によって散乱線が除去された後、放射線検出器28に照射される。放射線検出器28を構成するシンチレータ36は、放射線12の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層44を構成する各画素42は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素42に保持された患者16の放射線画像情報である電荷情報は、カセッテ制御部48を構成するアドレス信号発生部(図示せず)からライン走査駆動部56及びマルチプレクサ58に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0033】
すなわち、ライン走査駆動部56のアドレスデコーダ60は、図示しないアドレス信号発生部から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線52に接続されたTFT38のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ58のアドレスデコーダ64は、アドレス信号発生部から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部56によって選択されたゲート線52に接続された各画素42に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線54を介して順次読み出す。
【0034】
放射線検出器28の選択されたゲート線52に接続された各画素42から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路63によってサンプリングされ、マルチプレクサ58を介してA/D変換器66に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部48の画像メモリ(図示せず)に一旦記憶される。
【0035】
同様にして、ライン走査駆動部56のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線52に接続されている各画素42に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線54を介して読み出し、マルチプレクサ58及びA/D変換器66を介してカセッテ制御部48の画像メモリに記憶させる。
【0036】
図示しない画像メモリに記憶された放射線画像情報は、送受信機50を介して、無線通信によりコンソール(図示せず)に送信される。このコンソールは、受信した放射線画像情報に対して所定の画像処理を施した後、登録されている患者16の患者情報と関連付けて該放射線画像情報を記憶する。なお、画像処理の施された放射線画像情報は、コンソールから図示しない表示装置に送信され、該表示装置は、放射線画像情報を表示する。
【0037】
患者16に対する撮影が完了した後、放射線検出カセッテ10が収容された収容具22を該患者16とベッドとの間から取り出す。この際も、収容具22が剛性を有しているため、医師又は放射線技師が前記収容具22を介して放射線検出カセッテ10を容易に把持して取り出すことができる。また、可撓性を有する放射線検出カセッテ10が、剛性を有した収容具22によって覆われているため、該放射線検出カセッテ10を取り出す際に、しわや折れ等が生じることが回避される。
【0038】
そして、収容具22における第1プレート18と第2プレート20とをその接続部24を支点として互いに離間させるように回動させることにより開き、その内部に収容されていた放射線検出カセッテ10を取り出して図示しない保管箱等に収容して保管する。
【0039】
一方、上述した放射線検出カセッテ10は、収容具22の内部に収容され、患者16とベッドとの間に設置されて用いられる場合に限定されるものではなく、例えば、前記放射線検出カセッテ10を収容具22から取り出し、図8に示されるように、例えば、患者16の腕部16aに対して直接密着させるように用いてもよい。この場合、放射線検出カセッテ10の照射面34側が患者16側となるように設置される。
【0040】
すなわち、放射線検出カセッテ10が可撓性を有しているため、平面状ではない患者16の患部(例えば、腕部、脚部、腹部、脇腹等)に対してフィットするように変形させることが可能となる。そして、患者16を挟んで放射線検出カセッテ10の反対側となる位置から放射線源76によって放射線12を照射し、放射線画像の撮影が行われる。これにより、可撓性を有した放射線検出カセッテ10を用いて、患者16の患部を好適に撮影することができる。
【0041】
以上のように、第1の実施の形態では、可撓性を有する放射線検出カセッテ10を内部に収容可能な収容具22を設け、該収容具22を構成し、剛性を有した第1プレート18と第2プレート20との間に前記放射線検出カセッテ10を挟んで保持することにより、放射線検出カセッテ10を、例えば、患者16とベッドとの間に設置して撮影を行う際においても、可撓性を有した放射線検出カセッテ10に対してしわや折りが生じることを防止できる。その結果、放射線検出カセッテ10の品質を確実且つ好適に維持することができ、しわや折り等が生じることによって撮影不能となる無駄な放射線検出カセッテ10の発生が回避され、該放射線検出カセッテ10を効率的に利用することが可能となる。
【0042】
また、放射線検出カセッテ10を、その撮影前や撮影後に収容具22に収容することにより、前記放射線検出カセッテ10の保管中におけるしわや折り等の発生を好適に防止し、品質の維持された状態で保管することが可能となる。
【0043】
さらに、放射線検出カセッテ10は、可撓性を有しているため、図8に示されるように、例えば、患者16の患部(例えば、腹部、脇腹、腕等)に密着させ、放射線画像の撮影を行うことが可能である。これにより、可撓性を有した放射線検出カセッテ10を用いて、平面状ではない患者16の患部を好適に撮影することができる。
【0044】
さらに、第1の実施の形態では、放射線検出カセッテ10を図9の構成に代えてもよい。図9では、基板45から照射面34側に向かって、TFT層40、光電変換層44及びシンチレータ36の順に積層されている。この場合でも、シンチレータ36で変換された可視光を光電変換層44にて電気信号に変換することが可能であるので、上述した各効果が得られることは勿論である。
【0045】
次に、第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具80を図10に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
この第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具80では、図10A及び図10Bに示されるように、放射線検出カセッテ10を内部に収容可能な空間部を有した構造としている点で、第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具10と相違している。
【0047】
この収容具80は、断面略台形状に形成された第1ケーシング82と、該第1ケーシング82の端部に開閉自在に接続された第2ケーシング84とからなり、前記第1及び第2ケーシング82、84には、互いに対向する前面82a、84aに、放射線検出カセッテ10の収容される凹部86a、86bがそれぞれ形成されている。この凹部86a、86bは、放射線検出カセッテ10と同一面積で形成され、第1及び第2ケーシング82、84の前面82a、84aに対して所定深さだけ窪んで形成される。そして、放射線検出カセッテ10を収容具80の内部へと収容する際、一方の凹部86aと他方の凹部86bとから画成される空間部に放射線検出カセッテ10が収容されて固定される。すなわち、放射線検出カセッテ10は、凹部86a、86b内に収容されることによって収容具80内において位置決めされる(図11B参照)。
【0048】
また、第1ケーシング82の表面には、放射線12の照射面34側を示し、且つ、撮影領域に相当する枠(マーク)25aや、該撮影領域の中心を示すマーク25bが放射線12を透過する材質でプリントされる。
【0049】
次に、第3の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具100を図11に示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具10、80と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0050】
この第3の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具100では、図11A及び図11Bに示されるように、2辺が開口した略長方形の袋状に形成され、その開口部102から放射線検出カセッテ10を内部に収容するようにしている点で、第1及び第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具10、80と相違している。なお、この収容具100では、該収容具100の面積が、放射線検出カセッテ10の面積より大きく設定される。
【0051】
この第3の実施の形態に係る収容具100では、簡素な構成で放射線検出カセッテ10を収容することができるため、コストの削減を図ることができると共に、放射線検出カセッテ10を収容する際に開口部102を通じて内部に挿入するだけであるため、簡便に収容・取り出し作業を行うことが可能となる。
【0052】
なお、本発明に係る放射線検出装置用収容具は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具に収容される放射線検出装置の外観斜視図である。
【図2】図2A及び図2Bは、図1の放射線検出装置が内部に収容される放射線検出装置用収容具を示す斜視図である。
【図3】図1の放射線検出装置の一部省略斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図1の放射線検出器の回路構成ブロック図である。
【図7】図7Aは、図2Bに示す放射線検出装置用収容具及び放射線検出装置の平面図を示し、図7Bは、前記放射線検出装置用収容具及び放射線検出装置の側面図である。
【図8】図1の放射線検出器を患者の腕部に密着させた状態を示す斜視図である。
【図9】図3のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図10A及び図10Bは、第2の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具の示す斜視図である。
【図11】図11A及び図11Bは、第3の実施の形態に係る放射線検出装置用収容具の示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
10…放射線検出装置 12…放射線
14…スクリーン 18…第1プレート
20…第2プレート 22、80、100…収容具
24…接続部 26…グリッド
28…放射線検出器 30…センサ基板
32…鉛シート 34…照射面
36…シンチレータ 46…バッテリ
48…カセッテ制御部 50…送受信機
76…放射線源 102…開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換し、且つ、可撓性を有した放射線変換パネルが内部に収納され、該放射線変換パネルが収容された状態で剛性を有することを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項2】
請求項1記載の収容具において、
少なくとも放射線の照射される撮影面側が、該放射線を透過させる材料からなることを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の収容具において、
前記放射線変換パネルの撮影面及び該撮影面とは反対側の面に密着する保持面をそれぞれ有することを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項4】
請求項3記載の収容具において、
一方の保持面を有する第1プレートと、他方の保持面を有する第2プレートと、前記第1プレートと第2プレートとを接続する接続部とを備えることを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項5】
請求項3記載の収容具において、
一方の保持面を有する第1保持部と、他方の保持面を有する第2保持部とを備え、前記第1保持部と第2保持部とが開閉自在に接合されることを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項1】
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換し、且つ、可撓性を有した放射線変換パネルが内部に収納され、該放射線変換パネルが収容された状態で剛性を有することを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項2】
請求項1記載の収容具において、
少なくとも放射線の照射される撮影面側が、該放射線を透過させる材料からなることを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の収容具において、
前記放射線変換パネルの撮影面及び該撮影面とは反対側の面に密着する保持面をそれぞれ有することを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項4】
請求項3記載の収容具において、
一方の保持面を有する第1プレートと、他方の保持面を有する第2プレートと、前記第1プレートと第2プレートとを接続する接続部とを備えることを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【請求項5】
請求項3記載の収容具において、
一方の保持面を有する第1保持部と、他方の保持面を有する第2保持部とを備え、前記第1保持部と第2保持部とが開閉自在に接合されることを特徴とする放射線検出装置用収容具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−85206(P2010−85206A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253640(P2008−253640)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]