説明

放射線検出装置

【課題】個々の放射線検出素子に対する個々の光検出素子の有効面積を大きくする。
【解決手段】放射線の入射を検出する放射線検出素子アレイ13と、少なくとも放射線検出素子アレイ13への放射線の入射位置を検出するフォトダイオード122と、フォトダイオード122と電気的に接続されたアノード端子125と、を備える検出基板12と、配線端子111と、配線端子111に電気的に接続された端子ピン113と、を備える配線基板11と、アノード端子125と配線端子111とを電気的に接続するはんだ16と、を備える。アノード端子125は、検出基板12の主面における1つの端に配置される。検出基板12は、1つの端を配線基板11に向けた状態で主面が配線基板11に対して実質的に垂直となるように搭載される。放射線検出素子アレイ13は、検出基板12の主面に対向配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の放射線検出素子が2次元マトリクス状に配列した構成を備える放射線検出器が存在する。このような放射線検出器は、2次元の放射線像を検出することが可能でありな、たとえば一回のX線照射によって複数のスライス画像を得るマルチスライスX線CT装置などの検出器として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6114703号明細書
【特許文献2】特開平6−109855号公報
【特許文献3】特開平2−59694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような放射線検出器では、たとえばシンチレータなどの放射線検出部からの光をフォトダイオードなどの光検出部で検出する。そこで、放射線に対する検出精度を高めるためには、放射線の入射に対する放射線検出部の有効面積を大きくすることが1つの有効な手段である。
【0005】
本発明の一態様は、個々の放射線検出素子に対する個々の光検出素子の有効面積を大きくすることが可能な放射線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明の一態様による放射線検出装置は、放射線の入射を検出する第1検出部と、少なくとも前記第1検出部への前記放射線の入射位置を検出する第2検出部と、該第2検出部と電気的に接続された第1端子と、を備える板状の検出基板と、第2端子と、該第2端子に電気的に接続された外部端子と、を備える配線基板と、前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続する接続部材と、を備える。前記第1端子は、前記板状の検出基板の主面における1つの端に配置される。前記検出基板は、前記1つの端を前記配線基板に向けた状態で前記主面が該配線基板に対して実質的に垂直となるように搭載される。前記第1検出部は、前記検出基板の前記主面に対向配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、放射線の入射を検出する第1検出部への放射線の入射位置を検出する板状の検出基板を配線基板に対して略垂直に配置することが可能となるため、放射線の検出領域における検出基板の占有面積を低減できる。これにより、放射線の入射に対する第1検出部の有効面積を大きくすることが可能な放射線検出装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1による放射線検出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本実施の形態1において例示する放射線検出素子アレイの概略構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、本実施の形態1による検出基板の一方の主面の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施の形態1による検出基板の他方の主面の概略構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、本実施の形態1による放射線検出ユニットの端子側の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、本実施の形態1による配線基板の搭載面の概略構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、本実施の形態1による配線基板における端子面の概略構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、本実施の形態1による放射線検出装置の製造方法の一例を説明するための部分斜視図である(その1)。
【図9】図9は、本実施の形態1による放射線検出装置の製造方法の一例を説明するための部分斜視図である(その2)。
【図10】図10は、本実施の形態1による放射線検出装置の製造方法の一例を説明するための部分斜視図である(その3)。
【図11】図11は、本実施の形態1の変形例1−1による放射線検出素子アレイの概略構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、本実施の形態1の変形例1−1による検出基板の一方の主面の概略構成を示す斜視図である。
【図13】図13は、本実施の形態1の変形例1−1による検出基板の他方の主面の概略構成を示す斜視図である。
【図14】図14は、本実施の形態1の変形例1−2による放射線検出装置の製造方法におけるはんだ付け工程を説明するための模式図である。
【図15】図15は、本実施の形態1の変形例1−2による配線端子およびアノード端子の接続部分の一例を示す部分斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態2による放射線検出装置の製造方法の一例を説明するための部分斜視図である。
【図17】図17は、本実施の形態2において配線基板に検出基板を接続した際の概略構成を示す模式断面図である。
【図18】図18は、本実施の形態2の変形例2による放射線検出装置の製造方法の他の一例を説明するための部分斜視図である。
【図19】図19は、本実施の形態2の変形例2において配線基板に検出基板を接続した際の概略構成を示す模式断面図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態3による配線基板の概略構成を示す斜視図である。
【図21】図21は、本実施の形態3において配線基板に検出基板を接続した際の概略構成を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
【0010】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1による放射線検出装置を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施の形態1による放射線検出装置の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態1による放射線検出装置1は、上面(これを搭載面SAとする)の端子(不図示)から裏面(これを端子面SBとする)の端子ピン(不図示)までを電気的に接続する配線が内部に形成された配線基板11と、配線基板11の搭載面SAに実装された放射線検出ユニット10と、を備える。放射線検出ユニット10は、たとえば四角柱の放射線検出素子アレイ13と板状の検出基板12とが、放射線検出素子アレイ13の長手方向と垂直な方向に交互に配列した構成を備える。ただし、交互の配列における一方の端の検出基板12は、放射線検出素子アレイ13を保持するためのダミー基板15に置き換えることができる。
【0011】
ここで、放射線検出素子アレイ13の一例を、図面を用いて詳細に説明する。図2は、本実施の形態1において例示する放射線検出素子アレイの概略構成を示す斜視図である。図2に示すように、放射線検出素子アレイ13は、複数の放射線検出素子131が放射線検出素子アレイ13の長手方向に沿って一列に配列した構成を備える。各放射線検出素子131には、たとえば、CWOなどの無機結晶や、プラスチックシンチレータなどの有機化合物など、放射線の入射によって蛍光する各種シンチレータを用いることができる。
【0012】
各放射線検出素子131の形状は、たとえば直方体である。ただし、これに限定されず、たとえば円柱形状等、種々変形可能である。また、各放射線検出素子131において、放射線が入射した際に発生する光を取り出す面、すなわち光出射面SDは、放射線検出素子131へ放射線が入射する面(放射線入射面SC)に対してたとえば略垂直である。このような構成において、光出射面SDの面積は、たとえば放射線入射面SCの面積よりも大きい。言い換えれば、放射線検出素子131は、たとえば放射線入射面SCを上面とした縦長の直方体の形状を備える。これにより、より多くの光を光出射面SDから取り出せる場合がある。
【0013】
複数の放射線検出素子131は、たとえばエポキシ系樹脂等、放射線検出素子131が発する光を透過することが可能な透明樹脂132によって、一列に配列した状態を維持するようにモールドされている。ただし、これに限定されず、たとえば放射線検出素子131の形状に型抜きされた透明の枠に放射線検出素子131を嵌め込んだ構成であってもよい。このほか、たとえば放射線検出素子131に液体シンチレータを用いた場合では、たとえば一列に配列する容器を備えた石英製等のカートリッジの各容器内に液体シンチレータを封入した構成であってもよい。
【0014】
一列に配列する複数の放射線検出素子131の放射線入射面SCは、同一面側を向いている。同様に、一列に配列する複数の放射線検出素子131の光出射面SDは、同一面側を向いている。放射線検出素子アレイ13の光出射面SDが配列する面には、各放射線検出素子131から出射した光を検出する検出基板12が配設される。
【0015】
ここで、図3および図4を用いて、本実施の形態1による検出基板12を説明する。図3は、本実施の形態1による検出基板の一方の主面の概略構成を示す斜視図である。図4は、本実施の形態1による検出基板の他方の主面の概略構成を示す斜視図である。
【0016】
図3に示すように、検出基板12は、たとえばシリコンなどよりなる半導体基板121に、1つの放射線検出素子アレイ13が備える放射線検出素子131の数に応じた数のフォトダイオード122が形成された構成を備える。複数のフォトダイオード122は、検出基板12を放射線検出素子アレイ13に貼り合わせた際に個々の放射線検出素子131と1対1に対向するように、一列に配列している。この構成によれば、いずれのフォトダイオード122で放射線の入射が検出されたかを特定することで、放射線検出素子アレイ13のいずれの放射線検出素子131に入射したかを特定することが可能となる。この結果、放射線検出素子アレイ13への放射線の入射位置を検出することが可能となる。
【0017】
そこで、これらのアノード123には、たとえば放射線検出素子131からの光を透過することができる金属または導電体が用いられる。また、アノード123は、板状の半導体基板121の主面における1つの端に配列する複数のアノード端子125に配線124を介してそれぞれ電気的に接続される。少なくともアノード端子125の表面には、後述するはんだ16等に対するぬれ性を考慮して、金(Au)などの金属材料が用いられるとよい。ただし、これに限らず、配線基板11と検出基板12との機械的および/または電気的な接続に使用する接着剤に対するぬれ性が高い材料であれば、如何なるものを使用してもよい。
【0018】
また、アノード端子125および配線124は、たとえば半導体基板121におけるアノード123が形成された一方の主面に限らず、アノード123が形成された主面と反対側の主面にアノード端子125が設けられていてもよい。この場合、配線124は、半導体基板121を貫通するか半導体基板121の端を経由してアノード123とアノード端子125とを電気的に接続する。
【0019】
また、図4に示すように、半導体基板121におけるアノード123が形成された主面と反対側の主面には、複数のフォトダイオード122で共通のカソード126が設けられる。カソード126は、たとえば複数のアノード端子125が配列する端側であってカソード126が形成された主面と同じ主面に形成された1つ以上のカソード端子128に配線127を介して電気的に接続される。アノード端子125と同様に、少なくともカソード端子128の表面には、後述するはんだ16等に対するぬれ性を考慮して、金(Au)などの金属材料が用いられるとよい。ただし、これに限らず、配線基板11と検出基板12との機械的および/または電気的な接続に使用する接着剤に対するぬれ性が高い材料であれば、如何なるものを使用してもよい。また、アノード123が形成された主面にカソード端子128が設けられていてもよい。この場合、配線127は、半導体基板121を貫通するか半導体基板121の端を経由してカソード126とカソード端子128とを電気的に接続する。
【0020】
つづいて、本実施の形態1による放射線検出ユニット10の端子側の構成、および、配線基板11における搭載面SAの構成を、図面を用いて詳細に説明する。図5は、本実施の形態1による放射線検出ユニットの端子側の概略構成を示す斜視図である。図6は、本実施の形態1による配線基板の搭載面の概略構成を示す斜視図である。
【0021】
まず、図5に示すように、放射線検出ユニット10は、各放射線検出素子131の光出射面SDと各フォトダイオード122のアノード123とが1対1に対向するように、放射線検出素子アレイ13と検出基板12とを交互に貼り合わせた構成を備える。この際、各検出基板12のアノード端子125およびカソード端子128が同一の側に揃うように、放射線検出素子アレイ13と検出基板12とが組み合わせられる。放射線検出素子アレイ13と検出基板12との接合には、たとえばエポキシ系樹脂など、放射線検出素子131が発する光を透過することが可能な接着材料を用いることができる。ただし、放射線検出素子アレイ13と検出基板12とは、必ずしも互いに固着されていなくてもよい。たとえば、放射線検出素子アレイ13と検出基板12とを光学グリースを用いて光学的に連続させつつ貼り合わせてもよい。
【0022】
一方、図6に示すように、配線基板11の搭載面SAには、2次元マトリクス状に配列する複数の配線端子111および複数のアース端子112が設けられる。配線端子111は、搭載面SAに搭載された放射線検出ユニット10のアノード端子125とたとえば1対1に接続される。アース端子112は、同じく搭載面SAに搭載された放射線検出ユニット10のカソード端子128とたとえば1対1に接続される。各配線端子111およびアノード端子125、ならびに、各アース端子112およびカソード端子128は、それぞれたとえばはんだ16等の接着性を備えた導電性材料によって接続される。これにより、各端子間が電気的に接続されるとともに、各検出基板12が配線基板11に固着される。この結果、放射線検出ユニット10が、配線基板11に対して機械的および電気的に接続される。ただし、これに限らず、端子間の電気的な接続とは別に、絶縁性の接着剤を用いて放射線検出ユニット10を配線基板11に固着してもよい。
【0023】
また、図7は、本実施の形態1による配線基板における端子面の概略構成を示す斜視図である。図7に示すように、配線基板11の端子面SBには、これの搭載面SAに設けられた配線端子111およびアース端子112とたとえば1対1に対応する外部端子である端子ピン113が設けられる。これらの端子ピン113は、たとえば不図示の回路基板等に設けられたソケットに差し込むことができる。
【0024】
以上のような構成において、放射線が放射線入射面SCから各放射線検出素子131に入射すると、各放射線検出素子131は、入射した放射線のエネルギーや量に応じた光を放射する。この放射された光は、光出射面SDから出射し、この光出射面SDに対向配置されたフォトダイオード122に入射する。フォトダイオード122は、入射した光を光電変換することで、放射線検出素子131から入射した光の量に応じた電流信号を発生する。この電流信号は、配線124、アノード端子125、配線端子111および配線基板11内の配線(不図示)を介して、配線基板11の端子面SBに設けられた端子ピン113に伝達され、この端子ピン113から不図示の検出回路へ入力される。この結果、検出回路において、いずれの放射線検出素子131にどの程度のエネルギーおよび量の放射線が入射したかが検出される。
【0025】
つづいて、本実施の形態1による放射線検出装置1の製造方法を、図面を用いて詳細に説明する。図8〜図10は、本実施の形態1による放射線検出装置の製造方法の一例を説明するための部分斜視図である。なお、本実施の形態1による放射線検出装置1の製造方法では、配線基板11に対して検出基板12を機械的および物理的に接続する工程と、検出基板12に対して放射線検出素子アレイ13を接着する工程とを、交互に所定回数繰り返す。
【0026】
具体的には、まず、図8に示すように、配線基板11に対して略垂直に検出基板12を配置する。この際、検出基板12の各アノード端子125が配線基板11の各配線端子111に、ならびに、検出基板12の各カソード端子128が配線基板11の各アース端子112に、それぞれ位置整合されるように、検出基板12を配線基板11に対して配置する。ただし、アノード端子125と配線端子111とは、接触していなくともよい。つづいて、アノード端子125と配線端子111とが電気的および機械的に接続されるように、たとえば既存のはんだ付けロボットを用いてハンダ付けを行う。このはんだ付け工程では、アノード端子125と配線端子111との接触部または近接部に、はんだ付けロボットのノズル160先端から溶融したはんだ16が圧出される。その後、はんだ16が固化することで、検出基板12と配線基板11とが電気的および機械的に接続される。
【0027】
図8を用いて説明したはんだ付けを、1つの検出基板12の全てのアノード端子125およびカソード端子128に対して行うと、つぎに、はんだ16が固化するまで冷めた後、図9に示すように、配線基板11の搭載面SAに、放射線検出素子アレイ13の各放射線検出素子131を検出基板12の各フォトダイオード122に位置合わせするためのガラスビーズなどのスペーサ14を載置する。つづいて、放射線検出素子アレイ13と固定済み検出基板12との接触面に、たとえばエポキシ系樹脂など、放射線検出素子131が発する光を透過することが可能な接着材17を塗布し、つづいて、放射線検出素子アレイ13をスペーサ14に載せつつ、接着剤17によって検出基板12に接着させる。これにより、固定済み検出基板12と対をなす放射線検出素子アレイ13が、検出基板12および配線基板11に対して固定される。なお、接着剤17を塗布する面は、放射線検出素子アレイ13の面であっても、検出基板12の面であっても、その両方であってもよい。また、検出基板12と放射線検出素子アレイ13との接触面全体に接着材17を塗布する必要はなく、その一部であってもよい。
【0028】
以上のように、ペアとなる検出基板12および放射線検出素子アレイ13を配線基板11に対して固定すると、つぎに、図10に示すように、検出基板12と固定済みの放射線検出素子アレイ13との接触面に接着材17を塗布し、つづいて、図8と同様に、各端子同士が位置整合されるように、検出基板12を配線基板11の搭載面SAに載置する。つづいて、図8と同様に、アノード端子125と配線端子111とが電気的および機械的に接続されるように、たとえば既存のはんだ付けロボットを用いてハンダ付けを行う。
【0029】
その後、図9を用いて説明した工程と図10に示した工程とを交互に繰り返すことで、所定数の検出基板12と放射線検出素子アレイ13とを配線基板11に接続する。ただし、最後に放射線検出素子アレイ13に接合される基板は、たとえば放射線検出素子アレイ13を保持するためのダミー基板15である。このダミー基板15は、たとえば絶縁性の接着剤を用いて配線基板11に固着される。その他、配線基板11に対して検出基板12および放射線検出素子アレイ13を固定する際、検出基板12および/または放射線検出素子アレイ13の長手方向における一端または両端を、たとえばガラス基板の部材で支持してもよい。
【0030】
(変形例1−1)
また、上述の実施の形態1による放射線検出素子アレイは、同一もしくは異なる種類の放射線検出素子が2列以上に配列した構成であってもよい。図11は、本実施の形態1の変形例1−1による放射線検出素子アレイの概略構成を示す斜視図である。図12は、本実施の形態1の変形例1−1による検出基板の一方の主面の概略構成を示す斜視図である。図13は、本実施の形態1の変形例1−1による検出基板の他方の主面の概略構成を示す斜視図である。
【0031】
図11に示すように、本変形例1−1による放射線検出素子アレイ23は、放射線検出素子アレイ23の長手方向に沿って上段に一列に配列する複数の放射線検出素子231aと、同じく放射線検出素子アレイ23の長手方向に沿って下段に一列に配列する複数の放射線検出素子231bと、を備える。複数の放射線検出素子231aおよび231bは、放射線検出素子アレイ13と同様、たとえばエポキシ系樹脂等、放射線検出素子231aおよび231bが発する光を透過することが可能な透明樹脂232によって、一列に配列した状態を維持するようにモールドされている。上段の放射線検出素子231aの個数と、下段の放射線検出素子231bの個数とは、たとえば同じである。言い換えれば、放射線検出素子アレイ23は、たとえば、上下一対の放射線検出素子231aおよび231bが横方向に一列に配列した構成を備える。なお、放射線検出素子231aおよび231bは、互いに同種であっても異種であってもよい。
【0032】
以上のような放射線検出素子アレイ23に対し、放射線は、まず、上段の放射線検出素子231aに入射し、放射線検出素子231aを蛍光させる。ただし、放射線は、エネルギー等によっては放射線検出素子231aを通過し、下段の放射線検出素子231bに入射してこれを蛍光させる。
【0033】
一方、本変形例1−1による検出基板22は、図12に示すように、たとえばシリコンなどによる半導体基板221に、放射線検出素子231aおよび231bの対の数に応じた数のフォトダイオード対222が形成された構成を備える。各フォトダイオード対222は、上下一対の放射線検出素子231aおよび231bそれぞれと対応する上下一対のフォトダイオードを備える。上段のフォトダイオードのアノード223aは、板状の半導体基板221の主面における1つの端に配列する複数のアノード端子225aに配線224aを介してそれぞれ電気的に接続される。同様に、下段のフォトダイオードのアノード223bは、アノード端子225aが配列する端と同じ端にアノード端子225aとともに一列に配列する複数のアノード端子225bに配線224bを介してそれぞれ電気的に接続される。アノード端子225aとアノード端子225bとは、交互に配列していなくてもよい。また、少なくともアノード端子225aおよび225bの表面には、アノード端子125と同様に、はんだ16等に対するぬれ性を考慮して、金(Au)などの金属材料が用いられるとよい。ただし、これに限らず、配線基板と検出基板22との機械的および/または電気的な接続に使用する接着剤に対するぬれ性が高い材料であれば、如何なるものを使用してもよい。その他の構成は、たとえば放射線検出素子アレイ13と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0034】
また、図13に示すように、半導体基板221におけるアノード224aおよび224bが形成された主面と反対側の主面には、上段のフォトダイオードで共通のカソード226aと、下段のフォトダイオードで共通のカソード226bとが、それぞれ設けられる。カソード226aおよび226bは、たとえば複数のアノード端子225aおよび225bが配列する端側であってカソード226aおよび226bが形成された主面と同じ主面に形成された1つ以上のカソード端子228aまたは228bに、それぞれ配線227aまたは227bを介して電気的に接続される。アノード端子225aおよび225bと同様に、少なくともカソード端子228aおよび228bの表面には、はんだ16等に対するぬれ性を考慮して、金(Au)などの金属材料が用いられるとよい。ただし、これに限らず、配線基板11と検出基板12との機械的および/または電気的な接続に使用する接着剤に対するぬれ性が高い材料であれば、如何なるものを使用してもよい。その他の構成は、たとえば検出基板12と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0035】
(変形例1−2)
また、検出基板のアノード端子および/またはカソード端子と配線基板の配線端子および/またはアース端子との電気的および機械的な接続には、マイクロソルダリング技術を用いることもできる。図14は、本実施の形態1の変形例1−2による放射線検出装置の製造方法におけるはんだ付け工程を説明するための模式図である。
【0036】
図14に示すように、検出基板12を配線基板11にはんだ付けする工程では、マイクロソルダリング装置30が用いられる。マイクロソルダリング装置30は、たとえば、溶融したはんだをたとえば直径が80μm程度のマイクロソルダボール36としてはんだ供給管32へ供給するマイクロソルダボール供給機構31を備える。はんだ供給管32の先端には、マイクロソルダボール36を吐出するノズル33が設けられる。はんだ供給管32の内部空間は、ノズル33内部の空洞に連結している。ノズル33内部の空洞には、上流からたとえば窒素(N)ガスが供給される。これにより、ノズル33内部に供給されたマイクロソルダボール36がノズル33先端から不図示のステージへ向けて押出される。
【0037】
マイクロソルダリング装置30のステージ上には、配線基板11が検出基板12と略垂直に組み合わされた状態で載置される。配線基板11は、たとえば、配線端子111とアノード端子125と接触または近接部分あるいはアース端子112とカソード端子128との接触または近接部分がノズル33の先端を向くように、ステージ上面SFに対して傾いた状態で支持される。これにより、ノズル33先端から吐出したマイクロソルダボール36がアノード端子125と配線端子111との両方に付着し、固化したマイクロソルダボール36によって検出基板12が配線基板11に機械的および電気的に接続される。
【0038】
また、図15は、本変形例1−2による配線端子およびアノード端子の接続部分の一例を示す部分斜視図である。図15に示すように、各配線端子111およびアノード端子125、および/または、各アース端子112およびカソード端子128は、複数(たとえば2つ)のマイクロソルダボール36によって機械的および電気的に接続されてもよい。これにより、各端子間の接続をより確実なものとすることができるとともに、検出基板12と配線基板11との接続強度を向上することが可能となる。
【0039】
<実施の形態2>
つぎに、本発明の実施の形態2による放射線検出装置を、図面を用いて詳細に説明する。本実施の形態2では、リフロー方式にて配線基板に検出基板を電気的および機械的に接続する。図16は、本実施の形態2による放射線検出装置の製造方法の一例を説明するための部分斜視図である。図17は、本実施の形態2において配線基板に検出基板を接続した際の概略構成を示す模式断面図である。なお、本実施の形態1では、上述した実施の形態1と同様の配線基板、検出基板および放射線検出素子アレイを用いた場合を例に挙げる。
【0040】
図16に示すように、本実施の形態2では、組み立て前の配線基板11の配線端子111およびアース端子112、ならびに、組み立て前の検出基板12のアノード端子125およびカソード端子128に、それぞれ、はんだ46をあらかじめ塗布しておく。ただし、はんだ46に限らず、その他の熱可塑性の導電性材料や、紫外線などの光の照射によって硬化する導電性樹脂など、種々の導電性接着材料を用いることができる。
【0041】
はんだ46が予め塗布された検出基板12は、同じくはんだ46が予め塗布された配線基板11に対して、各配線端子111のはんだ46とアノード端子125のはんだ46とが接触し且つ各アース端子112のはんだ46とカソード端子128のはんだ46とが接触するように載置される。このように組み合わせられた配線基板11および検出基板12は、リフロー処理される。これにより、各端子のはんだ46が溶融して結合し、その後、冷めることにより固化する。この結果、図17に示すように、固定したはんだ46によって、検出基板12が配線基板11に対して電気的および機械的に接続される。
【0042】
つづいて、上述の実施の形態1において図9を用いて説明した工程と同様の工程を用いて、配線基板11に放射線検出素子アレイ13を搭載し、その後、同様の工程を交互に繰り返すことで、所定数の検出基板12と放射線検出素子アレイ13とを配線基板11に接続する。ただし、最後に放射線検出素子アレイ13に接合される基板は、たとえば放射線検出素子アレイ13を保持するためのダミー基板15であってもよい。このダミー基板15は、たとえば絶縁性の接着剤を用いて配線基板11に固着されてもよい。また、配線基板11に対して検出基板12および放射線検出素子アレイ13を固定する際、検出基板12および/または放射線検出素子アレイ13の長手方向における一端または両端を、たとえばガラス基板の部材で支持してもよい。その他の構成および製造方法は、たとえば上述した実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
(変形例2)
また、リフロー方式を用いた配線基板と検出基板との他の接続方法を、以下に本実施の形態2の変形例2として、図面を用いて詳細に説明する。図18は、本実施の形態2の変形例2による放射線検出装置の製造方法の他の一例を説明するための部分斜視図である。図19は、本実施の形態2の変形例2において配線基板に検出基板を接続した際の概略構成を示す模式断面図である。
【0044】
図18に示すように、本変形例2では、たとえば組み立て前の検出基板12のアノード端子125およびカソード端子128に、突起状のバンプ56を形成しておく。バンプ56は、たとえば金バンプを複数積み重ねたものを使用してもよい。ただし、これに限定されず、たとえばバンプ56をアノード端子125およびカソード端子128に対するぬれ性が高い導電性材料を用いて構成することもできる。または、棒状の導電性部材よりなるバンプをはんだや導電性接着剤などでアノード端子125およびカソード端子128それぞれに接着した構成であってもよい。
【0045】
バンプ56が各端子に設けられた検出基板12は、配線基板11の各端子に予め塗布されているはんだ46にバンプ56が接触するように、配線基板11の搭載面SAに載置される。このように組み合わせられた配線基板11および検出基板12は、リフロー処理される。これにより、配線基板11側のはんだ46が溶融してバンプ56と密着し、その後、冷めることにより固化する。この結果、図19に示すように、固化したはんだ46がバンプ56を固定することで、検出基板12が配線基板11に対して電気的および機械的に接続される。
【0046】
つづいて、上述の実施の形態1において図9を用いて説明した工程と同様の工程を用いて、配線基板11に放射線検出素子アレイ13を搭載し、その後、同様の工程を交互に繰り返すことで、所定数の検出基板12と放射線検出素子アレイ13とを配線基板11に接続する。ただし、最後に放射線検出素子アレイ13に接合される基板は、たとえば放射線検出素子アレイ13を保持するためのダミー基板15であってもよい。このダミー基板15は、たとえば絶縁性の接着剤を用いて配線基板11に固着されてもよい。また、配線基板11に対して検出基板12および放射線検出素子アレイ13を固定する際、検出基板12および/または放射線検出素子アレイ13の長手方向における一端または両端を、たとえばガラス基板の部材で支持してもよい。その他の構成および製造方法は、たとえば上述した実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0047】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3による放射線検出装置を、図面を用いて詳細に説明する。図20は、本実施の形態3による配線基板の概略構成を示す斜視図である。図21は、本実施の形態3において配線基板に検出基板を接続した際の概略構成を示す模式断面図である。なお、以下の説明において、上述の実施の形態またはその変形例と同様の構成については、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0048】
図20に示すように、本実施の形態3では、配線基板11の搭載面SAに検出基板12の一部が差し込まれるスリット116、および、ダミー基板15が差し込まれるスリット117が設けられている。そこで、検出基板12のアノード端子125およびカソード端子128は、端からスリット116の深さ程度離れた位置に設けられる。言い換えれば、図21に示すように、検出基板12のアノード端子125およびカソード端子128が配列する端には、スリット116へ嵌め込むための領域129が確保されている。その他の構成は、上述の実施の形態またはその変形例と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
以上のような、上記した実施の形態またはその変形例によれば、放射線検出素子アレイへの放射線の入射位置を検出する板状の検出基板を配線基板に対して略垂直に配置することが可能となる。このため、放射線の入射面に対して検出基板が占める割合を低減できる。これにより、放射線の入射に対する放射線検出素子の有効面積を大きくすることが可能となる。
【0050】
また、上記実施の形態およびその変形例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。例えば各実施の形態に対して適宜例示した変形例は、他の実施の形態に対して適用することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 放射線検出装置
10 放射線検出ユニット
11 配線基板
12 検出基板
13 放射線検出素子アレイ
14 スペーサ
15 ダミー基板
16、46 はんだ
17 接着材
22 検出基板
23 放射線検出素子アレイ
30 マイクロソルダリング装置
31 マイクロソルダボール供給機構
32 はんだ供給管
33 ノズル
36 マイクロソルダボール
56 バンプ
111 配線端子
112 アース端子
113 端子ピン
121 半導体基板
122 フォトダイオード
123 アノード
124 配線
125 アノード端子
126 カソード
127 配線
128 カソード端子
129 領域
131 放射線検出素子
132 透明樹脂
160 ノズル
221 半導体基板
222 フォトダイオード対
223a、223b アノード
224a、224b 配線
225a、225b アノード端子
226a、226b カソード
227a、227b 配線
228a、228b カソード端子
231a、231b 放射線検出素子
232 透明樹脂
SA 搭載面
SB 端子面
SC 放射線入射面
SD 光出射面
SE 光入射面
SF ステージ上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の入射を検出する第1検出部と、
少なくとも前記第1検出部への前記放射線の入射位置を検出する第2検出部と、該第2検出部と電気的に接続された第1端子と、を備える板状の検出基板と、
第2端子と、該第2端子に電気的に接続された外部端子と、を備える配線基板と、
前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続する接続部材と、
を備え、
前記第1端子は、前記板状の検出基板の主面における1つの端に配置され、
前記検出基板は、前記1つの端を前記配線基板に向けた状態で前記主面が該配線基板に対して実質的に垂直となるように搭載され、
前記第1検出部は、前記検出基板の前記主面に対向配置されたことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記接続部材は、前記配線基板に前記検出基板を固定することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記第2検出部は、それぞれ前記第1検出部への前記放射線の入射位置を検出する検出面を備えた複数の検出回路と、該複数の検出回路にそれぞれ電気的に接続された複数の前記第1端子と、を備え、
前記複数の検出回路の前記検出面は、前記主面において前記1つの端に実質的に平行に一列に配列し、
前記複数の第1端子は、前記1つの端に配列し、
前記配線基板は、複数の前記第2端子を備え、
前記接続部材は、前記複数の第1端子と前記複数の第2端子とをそれぞれ電気的に接続することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記主面の垂直方向に各主面が平行となるように配列する複数の前記検出基板と、
各検出基板の前記主面に対向配置された複数の前記第1検出部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記第1検出部は、前記放射線の入射を検出する一列に配列した複数の検出素子を備え、
前記第2検出部は、前記複数の検出素子のいずれに前記放射線が入射したかを検出することで前記放射線の入射位置を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記接続部材は、はんだよりなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の放射線検出装置。
【請求項7】
前記接続部材は、マイクロソルダボールであることを特徴とする請求項6に記載の放射線検出装置。
【請求項8】
前記第1および第2端子の少なくとも一方の表面は、金よりなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の放射線検出装置。
【請求項9】
前記第1検出部は、シンチレータよりなり、
前記第2検出部は、フォトダイオードよりなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の放射線検出装置。
【請求項10】
前記配線基板の前記検出基板が搭載される面には、スリットが形成され、
前記検出基板は、一部が前記スリットに嵌め込まれていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の放射線検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−18062(P2012−18062A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155118(P2010−155118)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(392028099)日本結晶光学株式会社 (13)
【Fターム(参考)】