放射線測定装置
【課題】γ線環境又は人が近づけない環境において、α線及びβ線を測定することのできる放射線測定装置を提供する。
【解決手段】放射線測定装置は、α線が透過する遮光膜4と、透過したα線により発光するα線シンチレータ1と、α線シンチレータの発光を伝送する光ファイバ80と、α線シンチレータ1と光ファイバ80の一端との間に介在し発光を集光する集光手段2と、α線シンチレータ1、集光手段2及び光ファイバ80の端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱9と、光ファイバ80の他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する光電子増倍手段10と、検出された検出信号を増幅する増幅手段14,15と、増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段16,17と、波高分析されたα線による信号をノイズと区別するデータ処理手段18と、を有する。
【解決手段】放射線測定装置は、α線が透過する遮光膜4と、透過したα線により発光するα線シンチレータ1と、α線シンチレータの発光を伝送する光ファイバ80と、α線シンチレータ1と光ファイバ80の一端との間に介在し発光を集光する集光手段2と、α線シンチレータ1、集光手段2及び光ファイバ80の端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱9と、光ファイバ80の他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する光電子増倍手段10と、検出された検出信号を増幅する増幅手段14,15と、増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段16,17と、波高分析されたα線による信号をノイズと区別するデータ処理手段18と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ線環境又は人が近づけない環境においてα線及びβ線を測定する放射線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なα線の測定装置として、汚染検査に使用されているα線サーベイメータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の放射線測定装置について、図11を用いて説明する。図11は、従来の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。
【0004】
本図に示すように、この放射線測定装置は、α線により発光するα線シンチレータ1、この発光を検出する光電子増倍管、この検出された発光パルスからの線量を演算する測定回路系を備えている。このα線シンチレータ1はZnS(Ag)より作製され、外側には遮光材70を有し、内側には蛍光性光ファイバ67を有している。この蛍光性光ファイバ67は、コア65と、この外側のクラッド66とを有し、このコア65の一端は、光コネクタ68を介して伝送用光ファイバ69に接続されている。この伝送用光ファイバ69の他端には図示しない光電子増倍管が接続されている。
【0005】
他方、γ線環境においてα汚染の測定が可能な手法として、スミヤ法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
このスミヤ法は、測定対象の表面をろ紙で拭取り、このろ紙に付着したα汚染の線量を別途測定する手法である。この手法は、簡易的かつ安価な手法である。
【特許文献1】特開平9−123456号公報
【特許文献2】特開平7−5264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の放射線測定装置であるα線サーベイメータは、α線により発光するα線シンチレータ1、この発光を検出する光電子増倍管、この検出された発光パルスからの線量を演算する測定回路系を備えている。
【0008】
しかし、このα線サーベイメータの発光を検出する光電子増倍管は、γ線によってノイズが発生する、さらにはγ線によって故障又は破壊に至るときがあり、γ線環境においては、α線サーベイメータを使用することが困難であるという課題があった。
【0009】
一方、スミヤ法は、測定対象の表面をろ紙で拭取り、このろ紙に付着したα汚染の線量を別途測定する手法である。この手法は、簡易的かつ安価な手法である。
【0010】
しかし、このスミヤ法においては、ろ紙のα汚染を別途測定する必要があり時間がかかるという課題があった。
【0011】
また、このスミヤ法においては、ろ紙に付着した線量を測定するために測定対象の汚染状態を判別できないという課題もあった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものでγ線環境又は人が近づけない環境において、α線及びβ線を測定することのできる放射線測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の放射線測定装置においては、α線が透過する遮光膜と、この透過したα線により発光するα線シンチレータと、このα線シンチレータの発光を伝送する光ファイバと、前記α線シンチレータとこの光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する集光手段と、前記α線シンチレータ、前記集光手段及び前記光ファイバの端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱と、前記光ファイバの他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する光電子増倍手段と、この光電子増倍手段で検出された検出信号を増幅する増幅手段と、この増幅手段で増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段と、この波高分析されたα線による信号をノイズと区別するデータ処理手段と、を有することを特徴とするものである。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の放射線測定装置においては、α線を遮断しβ線が透過する遮光膜と、この透過したβ線により発光するβ線シンチレータと、このβ線シンチレータの発光を伝送する光ファイバと、前記β線シンチレータとこの光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する集光手段と、前記β線シンチレータ、前記集光手段及び前記光ファイバの端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱と、前記光ファイバの他端に接続され伝送された光を光電変換して検出する光電子増倍手段と、この検出された検出信号を増幅する増幅手段と、この増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段と、この波高分析されたβ線による信号をノイズと区別するデータ処理手段と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の放射線測定装置によれば、α線シンチレータによる発光を効率的に光ファイバ伝送できるため、γ線に影響を受ける光電子増倍手段をα線シンチレータから隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る放射線測定装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。
【0018】
まず、放射線測定装置の基本構成について、図1を用いて説明する。
【0019】
本図に示すように、測定対象5から放出されるα線をセンサであるα線シンチレータ1まで減衰が小さくかつ外部の光を遮光する遮光膜4が設けられている。この遮光膜4は、例えばアルミニウムが付着したアルミマイラから作製される。
【0020】
この遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。このα線により蛍光を発生するα線シンチレータ1として、例えば、ZnS(Ag)、ZnO(Zn)、ZnO(Ga)、ZnSSe(Ag)やY2O2S(Eu)のような蛍光体が、例えば、3mg/cm2又は重くとも30mg/cm2ものが、例えば厚さ0.25mmの透明ポリエステルフィルムの片面に付着したものを用いることができる。このときは、蛍光体の付着面が測定対象5の側に設置される。
【0021】
このα線シンチレータ1で発光した光は、円錐形状や角錐形状のガイド型集光手段2で集光される。ガイド型集光手段2は、この光が進行するにつれて断面積が減少する例えば透明アクリルで作製される。
【0022】
このガイド型集光手段2で集光されたα線は、光ファイバ80を介して伝送される。光ファイバ80は、屈折率の異なるコアと呼ばれる光ファイバコア6とそれを覆うクラッドと呼ばれる光ファイバクラッド7の二重構造になっている。クラッドよりもコアの屈折率を高くすることで、全反射によりコアに光を閉じ込めて伝搬させる構造になっている。コアは、使用する光に対して透過率が非常に高いガラスまたはプラスチックでできている。この光ファイバクラッド7の外側面には、外部からの光を遮断するために遮光手段8が設けられている。
【0023】
このガイド型集光手段2の外側面には、例えば、アルミニウム膜のような光反射手段3が設けられ、光を反射している。
【0024】
上記α線シンチレータ1、ガイド型集光手段2及び光ファイバクラッド7の端面を雰囲気環境から遮光するために遮光箱9が設けられている。
【0025】
また、この光ファイバ80の他端には、光電子増倍手段10が設けられている。この光電子増倍手段10において、光ファイバ80で伝送された光を光電変換して検出信号として検出し増倍している。この光電子増倍手段10には、接続手段11を介して電源供給手段13より給電される。この光電子増倍手段10及び接続手段11を雰囲気環境から遮断するために遮蔽箱12が設けられている。
【0026】
この検出された検出信号は、増幅手段である前置増幅手段14及び増幅手段15に伝送されて増幅される。
【0027】
この増幅された検出信号は波高を分析する波高分析手段に伝送される。この波高分析手段は、AD変換手段16及び記憶手段17を備えている。
【0028】
この波高分析手段で波高分析された信号は、データ処理手段18に伝送される。このデータ処理手段18は、波高分析された信号からα線信号とノイズとに弁別してα線量を算出する機能を備えている。
【0029】
ここで、ガイド型集光手段2等について説明する。
【0030】
このα線シンチレータ1で発光した光は、円錐形状や角錐形状のガイド型集光手段2で集光される。ガイド型集光手段2は、この光が進行するにつれて断面積が減少する例えば透明アクリル、石英ガラス等で作製される。
【0031】
このように、ガイド型集光手段2は、円錐の頂上部が平面になった円錐台の形状であり、α線シンチレータ1で発光した光が効率的に透過する材料で構成される。ガイド型集光手段2の形状は、多角錐でもよく、また、直線の回転でできた円錐から派生して、単純減少の曲線の回転からできた断面の減少する立体でもよい。このガイド型集光手段2は、円錐のときは、以下の(1)式が示すように、導かれる光ファイバの開口数(全角)の2倍以内の角度で集光するものとする。好ましくは、光ファイバの開口数(全角)と同一とする。
開口数(全角)=2(n12−n22)1/2 (1)
ここに、n1:光ファイバのコアの屈折率
n2:光ファイバのクラッドの屈折率
この開口数(全角)は、円錐台の場合には円錐と仮想した場合の角度、多角錐の場合は頂点を含む断面の頂点の角度の最大角度とする。
【0032】
また、ガイド型集光手段2の入射部、出射部又はこの両方に、α線シンチレータ1の発光波長に応じた反射防止膜を形成することができる。
【0033】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は遮光膜4を透過しα線シンチレータ1に入射して発光する。この発光は、円錐台形状のガイド型集光手段2に入射される。このガイド型集光手段2は、反射防止膜によって入射部及び出射部の伝送損失が少なく、また伝送用光ファイバクラッドに向けて細くなっており、光反射手段3で反射する光も含め、効率的に光ファイバコア6へ入射することができる。光ファイバコア6に入射した光は、反射防止膜によって入射部及び出射部の伝送損失が極めて少なく、光電子増倍手段10へ伝送されて検出される。検出信号は、前置増幅手段14や増幅手段15で増幅され、AD変換手段16及び記憶手段17において波高分析がされる。続いて、データ処理手段18により、測定されたα線スペクトルからのノイズ成分を除去してα線による信号成分の計数を算出し、計数率に変換した後に事前に求めた計数率からα放射能への換算定数を乗算することによりα放射能が求められる。
【0034】
本実施の形態によれば、α線シンチレータ1による発光を、ガイド型集光手段2を介して効率的に光ファイバ80を介して伝送できるために、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0035】
図2は、本発明の第2の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1の放射線測定装置にガイド型集光手段2の代わりに屈折型集光手段19を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0036】
本図に示すように、測定対象5から放出されるα線をα線シンチレータ1まで減衰が小さくかつ外部の光を遮光する遮光膜4が設けられている。
【0037】
この遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。
【0038】
このα線シンチレータ1で発光した光は、屈折型集光手段19で集光される。屈折型集光手段19は、球面両凸レンズや非球面レンズ等の単レンズ、各種レンズを組合せた複合レンズで構成される。
【0039】
この屈折型集光手段19で集光されたα線は、光ファイバ80を介して伝送される。光ファイバ80は、この入射部、出射部又は両方において、意識的にこの端面を平面にしないようにする。例えば、凸形状、凹凸形状、斜面状等の形状が挙げられる。
【0040】
上記α線シンチレータ1、屈折型集光手段19及び光ファイバ80の端面を雰囲気環境から遮光するために遮光箱9が設けられている。
【0041】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は、遮光膜4を透過してα線シンチレータ1に入射されて発光する。この発光した光は、屈折型集光手段19により効率的に光ファイバ80に入射される。この入射された光は、光ファイバ80の他端に設けられた光電子増倍手段10で検出される。このとき、光ファイバ80の端面の形状が平面では無いために、端面で反射して、さらに他の表面で反射した後に、再び光ファイバ80に入射されることがないので、光電子増倍手段10の出力が安定する。これにより、α放射能を求めることができる。
【0042】
本実施の形態によれば、α線シンチレータ1による発光を、屈折型集光手段19を介して効率的に光ファイバ80を介して伝送できるために、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0043】
図3は、本発明の第3の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1の放射線測定装置のガイド型集光手段2の代わりに反射型集光手段22を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0044】
本図に示すように、測定対象5から放出されるα線をα線シンチレータ1まで減衰が小さくかつ外部の光を遮光する遮光膜4が設けられている。
【0045】
この遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。
【0046】
このα線シンチレータ1で発光した光は、反射型集光手段22で集光される。この反射型集光手段22は、対向して設置されα線シンチレータ1より小さい凸面反射手段20と、中心部に光ファイバ80への透過孔を有する凹面反射手段21とを備えている。
【0047】
この反射型集光手段22で集光された発光は、光ファイバ80を介して伝送される。
【0048】
上記α線シンチレータ1、反射型集光手段22及び光ファイバ80の端面を雰囲気環境から遮光するために遮光箱9が設けられている。
【0049】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は、遮光膜4を透過し、α線シンチレータ1に入射して蛍光を発生する。この蛍光は、凹面反射手段21で反射された後に、凸面反射手段20でさらに反射して、光ファイバ80へ効率的に集光される。その後は、図1と同様にして、分析、データ処理が行われ、α放射能が求められる。
【0050】
本実施の形態によれば、反射型集光手段22を設けることにより、α線シンチレータ1による発光を効率的に光ファイバ80を介して伝送できるために、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0051】
図4は、本発明の第4の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1のα線シンチレータ1の代わりにβ線シンチレータ23を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0052】
本図に示すように、測定対象5から放出されるβ線をセンサであるβ線シンチレータ23まで減衰が小さくかつ外部の光を遮光する遮光膜81が設けられている。
【0053】
この遮光膜81を透過したβ線は、β線シンチレータ23に到達し発光する。
【0054】
このβ線シンチレータ23で発光した光は、集光手段の一種である屈折型集光手段19で集光される。屈折型集光手段19は、この発光が進行するにつれて断面積が減少する例えば透明アクリルで作製される。屈折型集光手段19は、球面両凸レンズや非球面レンズ等の単レンズ、各種レンズを組合せた複合レンズで構成される。
【0055】
この屈折型集光手段19で集光されたα線は光ファイバ80を介して伝送される。
【0056】
上記β線シンチレータ23、屈折型集光手段19及び光ファイバ80の端部を雰囲気環境から遮光するために遮光箱9が設けられている。
【0057】
光ファイバ80の他端には、光電子増倍手段10が設けられている。この光電子増倍手段10において、光ファイバ80で伝送された光を光電変換して検出信号として検出し増倍している。
【0058】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線及びβ線は、遮光膜81を透過するとα線は遮蔽され、β線は透過し、β線シンチレータ23に入射して蛍光を発生する。このβ線による蛍光は、屈折型集光手段19により効率的に光ファイバ80に入射するため、β放射能を求めることができる。
【0059】
本実施の形態によれば、α線及びβ線を弁別し、β線シンチレータ23による発光を、屈折型集光手段19を介して効率的に光ファイバ80を介して伝送できるために、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をβ線シンチレータ23から隔離することができ、γ線環境においてβ線の高感度検出が可能となる。
【0060】
図5は、本発明の第5の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1のガイド型集光手段2と光ファイバ80の間に集光性用光ファイバ82を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0061】
本図に示すように、α線を透過しかつ遮光する遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。このα線シンチレータ1で発光した光は、円錐形状や角錐形状のガイド型集光手段2で集光される。このガイド型集光手段2で集光されたα線は、集光用光ファイバ82を介して光ファイバ80を介して伝送される。
【0062】
光ファイバ80は、屈折率の異なるコアと呼ばれる光ファイバコア6とそれを覆うクラッドと呼ばれる光ファイバクラッド7の二重構造になっている。この光ファイバクラッド7の外側面には、外部からの光を遮断するために遮光手段8が設けられている。
【0063】
上述のように、ガイド型集光手段2と光ファイバ80との間に、この光ファイバ80の光ファイバクラッド7の外側表面に設けられた遮光手段8を光反射材24で覆った集光用光ファイバ82をさらに備えている。
【0064】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は、遮光膜4を透過し、α線シンチレータ1に入射して発光する。この発光は、ガイド型集光手段2により光ファイバ80へ入射してファイバ伝送される。
【0065】
従来の光ファイバ80においては、光反射手段24を持たないので、光ファイバクラッド7に入射した発光は伝送されない。これに対して、本実施の形態においては、光反射手段24によって光ファイバクラッド7に入射した発光の一部もファイバ伝送され、α線シンチレータ1による発光を効率的にファイバ伝送できる。
【0066】
本実施の形態によれば、集光用光ファイバ82を設けることにより、α線シンチレータ1による発光を効率的にファイバ伝送できるため、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0067】
図6は、本発明の第6の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1の光ファイバ80の光ファイバコア6の代わりに光ファイバ中空コア25を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0068】
本図に示すように、α線を透過しかつ遮光する遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。このα線シンチレータ1で発光した光は、円錐形状や角錐形状のガイド型集光手段2で集光される。このガイド型集光手段2で集光されたα線は、光ファイバ83を介して伝送される。
【0069】
この光ファイバ83は、細管27と、この細管27の内側に形成された光反射膜26と、この光反射膜26より形成されコアがない光ファイバ中空コア25とを備えている。この光ファイバクラッド7の外側面には、外部からの光を遮断するために遮光手段8が設けられている。
【0070】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は、遮光膜4を透過し、α線シンチレータ1に入射して発光する。この発光は、ガイド型集光手段2により光ファイバ83の光ファイバ中空コア25へ入射されファイバ伝送される。
【0071】
従来の光ファイバ80では、光ファイバコア6がガラスやプラスチックで形成されているので、α線シンチレータ1による発光が短波長であるときには、コア材料による伝送損失がある。これに対して、本実施の形態においては、コアが中空である光ファイバ中空コア25より形成されるために、発光を効率的にファイバ伝送でき、α放射能を求めることができる。
【0072】
本実施の形態によれば、光ファイバ中空コア25を使用することにより、α線シンチレータ1による発光を効率的にファイバ伝送できるため、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0073】
また、γ線環境では、図1の光ファイバコア6がγ線により発光してノイズ光となるが、本実施の形態においては、光ファイバ中空コア25を用いることによってノイズを低減することも可能となる。
【0074】
図7は、本発明の第7の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す説明図で、(a)はその低γ線量率のα線スペクトル模式図、(b)はその高γ線量率のα線スペクトル模式図、(c)はその概略構成を示すブロック図である。
【0075】
図7(c)に示すように、例えば、図1のα線シンチレータ1を介して測定したα線スペクトルからγ線のノイズを検出する手段28を備え、この検出されたγ線のノイズレベルに相当するチャンネル数が決定される決定手段29を備えている。
【0076】
また、この算出したγ線ノイズレベルとα線スペクトルデータからγ線計数を算出する手段30を備え、この算出したγ線ノイズレベルとα線スペクトルデータからα線計数を算出する手段31を備えている。
【0077】
また、この算出されたγ線計数からγ線量率への換算定数を用いてγ線量率を計算する手段32を備え、この算出されたα線計数からα放射能への換算定数を用いてα放射能を計算する手段33を備えている。
【0078】
そして、この計算されたα放射能及びγ線量率を表示する手段34を備えている。
【0079】
ここで、図7(a)、(b)を用いて、α放射能及びγ線量率の算出について説明する。図7(a)、(b)は、異なるγ線量率において測定されたα線スペクトルを示し、横軸はエネルギーを表わし、縦軸はその計数である。α線とγ線のスペクトルは重畳するため、両者を分離することはできない。
【0080】
そこで、本実施の形態においては、下記の手順によってα放射能及びγ線量率を求める。
【0081】
第一に、γ線ノイズ検出手段28によってγ線スペクトルの上限が決定される。γ線ノイズ検出手段28おいては、γ線スペクトルの微分又は積分、最大エネルギー等によってγ線スペクトルの上限が求められる。
【0082】
第二に、γ線ノイズレベル決定手段29により、上限チャンネル:inが決定される。γ線ノイズレベル決定手段29おいては、各手法により求めたγ線スペクトルの上限から、平均、重み付け平均等によって上限チャンネル:inが決定される。
【0083】
第三に、γ線計数計算手段30により、以下の(2)式が示すように、γ線計数Cγを計算する。
in
Cγ= Σ(Cγ(i)+Cα(i)) (2)
i=i0
【0084】
そして、以下の(3)式が示すように近似する。
in
Cγ= Σ Cγ(i) (3)
i=i0
【0085】
第四に、α線計数を計算する手段31により、以下の(4)式が示すように、α線計数Cαを計算する。
in
Cα= Σ Cα(i) (4)
i=i0
【0086】
第五に、γ線量率を計算する手段32により、計算されたγ線計数を測定時間で除算してγ線計数率を求め、この値にγ線計数率からγ線量率への換算定数を乗算してγ線量率を算出する。
【0087】
第六に、α放射能を計算する手段33により、計算されたα線計数を時間で除算してα線計数率を求め、この値にα線計数率からα放射能への換算定数を乗算してα放射能を算出する。
【0088】
そして、γ線量率及びα線計数率を記憶し、α放射能及びγ線量率を表示する手段34によって表示する。
【0089】
本実施の形態によれば、α線スペクトルからγ線のノイズを検出する手段28を用いることにより、γ線環境において、α線の高感度検出が可能となる一方で、γ線量率の測定が可能となる。
【0090】
図8は、本発明の第8の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1の放射線測定装置に位置決め手段38を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0091】
本図に示すように、この放射線測定装置は、測定対象5から放出されるα線を検出するα線検出部35を有している。このα線検出部35は、図1に示すように、α線が透過する遮光膜4と、α線により蛍光を発生するα線シンチレータ1と、α線シンチレータ1で発光した光を光ファイバコア6に集光させるガイド型集光手段2等を備えている。このガイド型集光手段2で集光されたα線は、光ファイバ80を介して伝送される。
【0092】
α線検出部35には、測定対象5とα線検出部35の検出面36との距離を一定に保つために位置決め手段38が設けられている。この位置決め手段38は、一例として、ボールキャスタ等の部品から構成される。この位置決め手段38は、測定対象5の表面を移動する際に、表面に傷を付けないように複数個の車輪及びキャタピラで構成されものを使用してもよい。
【0093】
また、マニプレータアーム40に取り付けられたグリップ41が確実かつ容易に保持できるように、一例として、このグリップ41の外形の寸法以上の溝と案内用の切込がついたグリップ位置決め手段39を備えている。
【0094】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5の表面とα線検出部35の検出面36の距離が一定となるように、位置決め操作手段38がα線検出部35に取り付けられる。
【0095】
α線検出部35に連結したマイプレータ位置決め手段39をグリップ41で把持し、α線検出部35を測定対象5に押付けると、測定対象5の表面とα検出部35の検出面36を一定に保つことができる。通常、α線の飛程は数cmであり、この距離以内に検出面36を保持する必要がある。
【0096】
本実施の形態によれば、位置決め操作手段38を設けることにより、測定対象5の表面とα検出部35の検出面36との距離を一定に保つことができるので、走査時においてもα放射能を求めることができ、例えば高γ線量の施設であるホットセル内の適用が可能となる。
【0097】
図9は、本発明の第9の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1のα線シンチレータ1を含むα線検出部35を少なくとも2個以上設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0098】
本図に示すように、この放射線測定装置は、測定対象5のα線源43から放出されるα線を検出するα線検出部集合体42を有している。このα線検出部集合体42は、少なくとも2個以上のα線検出部35から構成される。例えば、図示されているように、2×2個のα線検出部35a〜35dより構成される。このα線検出部35は、図1に示すように、α線が透過する遮光膜4と、α線により蛍光を発生するα線シンチレータ1と、このα線シンチレータ1で発光した光を光ファイバコア6に集光させるガイド型集光手段2等からなる。
【0099】
このα線検出部35a〜35dで検出された光信号は、4本の光ファイバ37a〜37dを集めた光ファイバ集合体44に接続され伝送される。この光ファイバ集合体44で伝送された4系統の発光は、光測定手段集合体45に伝達される。この光測定手段集合体45は、図1に示す光電変換して増倍する光電子増倍手段10の集合体と、増幅手段の集合体及び波高分析手段の集合体で構成されている。
【0100】
この光測定手段集合体45で光電変換して増倍されたα線による信号は、データ処理手段46に伝送される。このデータ処理手段46において、測定された4系統のα線による信号をノイズと区別してα放射能を算出しデータが記憶される。
【0101】
また、測定対象5の表面を撮影する、例えばデジタル式ビデオカメラのような撮像手段48と、この撮影した画像とその部位に対応する放射能強度分布を表示するα放射能分布表示手段47とを備えている。
【0102】
ここで、α線検出部35の配置は、m、nを任意の整数とすると、m×nの配置でもよい。また、m×n個のα線検出部35のα線シンチレータはm×n個の代わりに、同等面積を有する一枚のα線シンチレータでもよい。
【0103】
また光測定手段集合体45は、一つの光測定手段を切り替えて用いることもできる。
【0104】
このように構成された本実施の形態において、α線検出部集合体42により測定対象5の2×2個の領域のα線を検出する。これらの検出された4系統の検出信号は光ファイバ集合体44を介して伝送し、4系統の光測定手段集合体45において4系統のα線信号を測定し、データ処理手段46により領域のα放射能強度が算出される。
【0105】
さらにデータ処理手段46により、撮像手段48により撮影された測定対象5の表面画像の部位に前記放射能分布データを重ね合わせる処理を行い、α放射能分布をα放射能分布表示手段47に表示する。
【0106】
本実施の形態によれば、少なくとも2個以上のα線検出部35から構成されるα線検出部集合体42を設けることにより、γ線環境においてα線の強度分布を分かり易く表示することができる。
【0107】
図10は、本発明の第10の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1のα線シンチレータ1を含む第1の検出手段84の他に第2の検出手段85設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0108】
本図に示すように、第1の検出手段84と、第2の検出手段85と、データ処理手段64と、を備えている。
【0109】
この第1の検出手段84は、α線及びβ線が透過し遮光する遮光膜4と、α線により蛍光を発生する例えばY2O2S(Eu)のような第1のシンチレータ49と、を有している。この第1のシンチレータ49で発光した光を選択的に透過する例えば赤色を透過させる赤色フィルタのような第1の光フィルタ51と、第1のシンチレータ49の発光を第1のファイバ55のコアに集光させる例えば円錐台形状のライトガイドのような第1の集光手段53を有している。
【0110】
第1の光ファイバ55を伝送した発光は、この第1の光電子増倍手段57において、光ファイバ55で伝送された光を光電変換して検出信号として検出し増倍している。この検出された検出信号は、第1の増幅手段60に伝送されて増幅される。この増幅された検出信号は波高を分析する第1の波高分析手段62に伝送される。この光電子増倍手段57には、電源供給手段59より給電される。
【0111】
次に、第2の検出手段85は、α線及びβ線が透過し遮光する遮光膜4と、β線により蛍光を発生する例えばプラスチックシンチレータのような第2のシンチレータ50を有している。この第2のシンチレータ50で発光した光を選択的に透過する例えば青色を透過させる青色フィルタのような第2の光フィルタ52を有している。この第2のシンチレータ50で発光した光を第2の光ファイバ56のコアに集光させる例えば円錐台形状のライトガイドのような第2の集光手段54を有している。
【0112】
第2の光ファイバ56を伝送した発光は、この第2の光電子増倍手段58において、光ファイバ55で伝送された光を光電変換して検出信号として検出し増倍している。この検出された検出信号は、第2の増幅手段61に伝送されて増幅される。この増幅された検出信号は波高を分析する第2の波高分析手段63に伝送される。
【0113】
また、第1の波高分析手段62で分析された信号をノイズと区別してα線強度を求めると共に、第2の波高分析手段63で分析された信号をノイズと区別してβ線強度を求めるデータ処理手段64を有している。
【0114】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線及びβ線は遮光膜4を透過し、α線は第1のシンチレータ49のY2O2S(Eu)に入射し、626nmの波長の赤色発光をする。一方、β線は、第1のシンチレータ49を透過して第2のシンチレータ50のプラスチックシンチレータに入射し、370nmの波長の青色発光をする。赤色発光は、赤色透過の第1のフィルタ51を透過し、第1の集光手段53で第1の光ファイバ55に集光されて伝送される。伝送された光は、第1の光電子増倍手段57で検出され、第1の波高分析手段62でα放射能が求められる。一方、青色光は、青色透過の第2のフィルタ52を透過し、第2の集光手段54で第2の光ファイバ56に集光されて伝送され、第2の波高分析手段63でβ放射能が求められる。これにより、α放射能及びβ放射能を同時に求めることができる。
【0115】
本実施の形態によれば、α線シンチレータ1を含む第1の検出手段84の他にβ線シンチレータを含む第2の検出手段85設けることにより、γ線環境において、α線及びβ線を高感度に検出することができる。
【0116】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、各実施の形態の構成を組み合わせて、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第1の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図4】本発明の第4の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図5】本発明の第5の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図6】本発明の第6の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図7】本発明の第7の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す説明図で、(a)はその低γ線量率のα線スペクトル模式図、(b)はその高γ線量率のα線スペクトル模式図、(c)はその概略構成を示すブロック図。
【図8】本発明の第8の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図9】本発明の第9の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図10】本発明の第10の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図11】従来の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【符号の説明】
【0118】
1…α線シンチレータ、2…ガイド型集光手段、3…光反射手段、4…遮光膜、5…測定対象、6…光ファイバコア、7…光ファイバクラッド、8…遮光手段、9…遮光箱、10…光電子増倍手段、11…接続手段、12…遮蔽箱、13…電源供給手段、14…前置増幅手段、15…増幅手段、16…AD変換手段、17…記憶手段、18…データ処理手段、19…屈折型集光手段、20…凸面反射手段、21…凹面反射手段、22…反射型集光手段、23…β線シンチレータ、24…光反射手段、25…光ファイバ中空コア、26…光反射薄膜、27…細管、28…γ線ノイズ検出手段、29…γ線ノイズレベル決定手段、30…γ線計数計算手段、31…α線計数計算手段、32…γ線計数率計算手段、33…α放射能計算手段、34…α放射能とγ線量率を表示する手段、35,35a〜35d…α線検出部、36…検出面、37a〜37d…光ファイバ、38…位置決め手段、39…グリップ位置決め手段、40…マニプレータアーム、41…グリップ、42…α線検出部集合体、43…α線源、44…集合光ファイバ、45…光測定手段集合体、46…データ処理手段、47…α放射能分布表示手段、48…撮像手段、49…第1のシンチレータ、50…第2のシンチレータ、51…第1の光フィルタ、52…第2の光フィルタ、53…第1の集光手段、54…第2の集光手段、55…第1の光ファイバ、56…第2の光ファイバ、57…第1の光電子増倍手段、58…第2の光電子増倍手段、59…電源供給手段、60…第1の増幅手段、61…第2の増幅手段、62…第1の波高分析手段、63…第2の波高分析手段、64…データ処理手段、65…コア、66…クラッド、67…蛍光性光ファイバ、68…光コネクタ、69…伝送用光ファイバ、70…遮光材、80…光ファイバ、81…遮光膜、82…集光性用光ファイバ、83…光ファイバ、84…第1の検出手段、85…第2の検出手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ線環境又は人が近づけない環境においてα線及びβ線を測定する放射線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なα線の測定装置として、汚染検査に使用されているα線サーベイメータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の放射線測定装置について、図11を用いて説明する。図11は、従来の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。
【0004】
本図に示すように、この放射線測定装置は、α線により発光するα線シンチレータ1、この発光を検出する光電子増倍管、この検出された発光パルスからの線量を演算する測定回路系を備えている。このα線シンチレータ1はZnS(Ag)より作製され、外側には遮光材70を有し、内側には蛍光性光ファイバ67を有している。この蛍光性光ファイバ67は、コア65と、この外側のクラッド66とを有し、このコア65の一端は、光コネクタ68を介して伝送用光ファイバ69に接続されている。この伝送用光ファイバ69の他端には図示しない光電子増倍管が接続されている。
【0005】
他方、γ線環境においてα汚染の測定が可能な手法として、スミヤ法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
このスミヤ法は、測定対象の表面をろ紙で拭取り、このろ紙に付着したα汚染の線量を別途測定する手法である。この手法は、簡易的かつ安価な手法である。
【特許文献1】特開平9−123456号公報
【特許文献2】特開平7−5264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の放射線測定装置であるα線サーベイメータは、α線により発光するα線シンチレータ1、この発光を検出する光電子増倍管、この検出された発光パルスからの線量を演算する測定回路系を備えている。
【0008】
しかし、このα線サーベイメータの発光を検出する光電子増倍管は、γ線によってノイズが発生する、さらにはγ線によって故障又は破壊に至るときがあり、γ線環境においては、α線サーベイメータを使用することが困難であるという課題があった。
【0009】
一方、スミヤ法は、測定対象の表面をろ紙で拭取り、このろ紙に付着したα汚染の線量を別途測定する手法である。この手法は、簡易的かつ安価な手法である。
【0010】
しかし、このスミヤ法においては、ろ紙のα汚染を別途測定する必要があり時間がかかるという課題があった。
【0011】
また、このスミヤ法においては、ろ紙に付着した線量を測定するために測定対象の汚染状態を判別できないという課題もあった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものでγ線環境又は人が近づけない環境において、α線及びβ線を測定することのできる放射線測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の放射線測定装置においては、α線が透過する遮光膜と、この透過したα線により発光するα線シンチレータと、このα線シンチレータの発光を伝送する光ファイバと、前記α線シンチレータとこの光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する集光手段と、前記α線シンチレータ、前記集光手段及び前記光ファイバの端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱と、前記光ファイバの他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する光電子増倍手段と、この光電子増倍手段で検出された検出信号を増幅する増幅手段と、この増幅手段で増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段と、この波高分析されたα線による信号をノイズと区別するデータ処理手段と、を有することを特徴とするものである。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の放射線測定装置においては、α線を遮断しβ線が透過する遮光膜と、この透過したβ線により発光するβ線シンチレータと、このβ線シンチレータの発光を伝送する光ファイバと、前記β線シンチレータとこの光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する集光手段と、前記β線シンチレータ、前記集光手段及び前記光ファイバの端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱と、前記光ファイバの他端に接続され伝送された光を光電変換して検出する光電子増倍手段と、この検出された検出信号を増幅する増幅手段と、この増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段と、この波高分析されたβ線による信号をノイズと区別するデータ処理手段と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の放射線測定装置によれば、α線シンチレータによる発光を効率的に光ファイバ伝送できるため、γ線に影響を受ける光電子増倍手段をα線シンチレータから隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る放射線測定装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。
【0018】
まず、放射線測定装置の基本構成について、図1を用いて説明する。
【0019】
本図に示すように、測定対象5から放出されるα線をセンサであるα線シンチレータ1まで減衰が小さくかつ外部の光を遮光する遮光膜4が設けられている。この遮光膜4は、例えばアルミニウムが付着したアルミマイラから作製される。
【0020】
この遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。このα線により蛍光を発生するα線シンチレータ1として、例えば、ZnS(Ag)、ZnO(Zn)、ZnO(Ga)、ZnSSe(Ag)やY2O2S(Eu)のような蛍光体が、例えば、3mg/cm2又は重くとも30mg/cm2ものが、例えば厚さ0.25mmの透明ポリエステルフィルムの片面に付着したものを用いることができる。このときは、蛍光体の付着面が測定対象5の側に設置される。
【0021】
このα線シンチレータ1で発光した光は、円錐形状や角錐形状のガイド型集光手段2で集光される。ガイド型集光手段2は、この光が進行するにつれて断面積が減少する例えば透明アクリルで作製される。
【0022】
このガイド型集光手段2で集光されたα線は、光ファイバ80を介して伝送される。光ファイバ80は、屈折率の異なるコアと呼ばれる光ファイバコア6とそれを覆うクラッドと呼ばれる光ファイバクラッド7の二重構造になっている。クラッドよりもコアの屈折率を高くすることで、全反射によりコアに光を閉じ込めて伝搬させる構造になっている。コアは、使用する光に対して透過率が非常に高いガラスまたはプラスチックでできている。この光ファイバクラッド7の外側面には、外部からの光を遮断するために遮光手段8が設けられている。
【0023】
このガイド型集光手段2の外側面には、例えば、アルミニウム膜のような光反射手段3が設けられ、光を反射している。
【0024】
上記α線シンチレータ1、ガイド型集光手段2及び光ファイバクラッド7の端面を雰囲気環境から遮光するために遮光箱9が設けられている。
【0025】
また、この光ファイバ80の他端には、光電子増倍手段10が設けられている。この光電子増倍手段10において、光ファイバ80で伝送された光を光電変換して検出信号として検出し増倍している。この光電子増倍手段10には、接続手段11を介して電源供給手段13より給電される。この光電子増倍手段10及び接続手段11を雰囲気環境から遮断するために遮蔽箱12が設けられている。
【0026】
この検出された検出信号は、増幅手段である前置増幅手段14及び増幅手段15に伝送されて増幅される。
【0027】
この増幅された検出信号は波高を分析する波高分析手段に伝送される。この波高分析手段は、AD変換手段16及び記憶手段17を備えている。
【0028】
この波高分析手段で波高分析された信号は、データ処理手段18に伝送される。このデータ処理手段18は、波高分析された信号からα線信号とノイズとに弁別してα線量を算出する機能を備えている。
【0029】
ここで、ガイド型集光手段2等について説明する。
【0030】
このα線シンチレータ1で発光した光は、円錐形状や角錐形状のガイド型集光手段2で集光される。ガイド型集光手段2は、この光が進行するにつれて断面積が減少する例えば透明アクリル、石英ガラス等で作製される。
【0031】
このように、ガイド型集光手段2は、円錐の頂上部が平面になった円錐台の形状であり、α線シンチレータ1で発光した光が効率的に透過する材料で構成される。ガイド型集光手段2の形状は、多角錐でもよく、また、直線の回転でできた円錐から派生して、単純減少の曲線の回転からできた断面の減少する立体でもよい。このガイド型集光手段2は、円錐のときは、以下の(1)式が示すように、導かれる光ファイバの開口数(全角)の2倍以内の角度で集光するものとする。好ましくは、光ファイバの開口数(全角)と同一とする。
開口数(全角)=2(n12−n22)1/2 (1)
ここに、n1:光ファイバのコアの屈折率
n2:光ファイバのクラッドの屈折率
この開口数(全角)は、円錐台の場合には円錐と仮想した場合の角度、多角錐の場合は頂点を含む断面の頂点の角度の最大角度とする。
【0032】
また、ガイド型集光手段2の入射部、出射部又はこの両方に、α線シンチレータ1の発光波長に応じた反射防止膜を形成することができる。
【0033】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は遮光膜4を透過しα線シンチレータ1に入射して発光する。この発光は、円錐台形状のガイド型集光手段2に入射される。このガイド型集光手段2は、反射防止膜によって入射部及び出射部の伝送損失が少なく、また伝送用光ファイバクラッドに向けて細くなっており、光反射手段3で反射する光も含め、効率的に光ファイバコア6へ入射することができる。光ファイバコア6に入射した光は、反射防止膜によって入射部及び出射部の伝送損失が極めて少なく、光電子増倍手段10へ伝送されて検出される。検出信号は、前置増幅手段14や増幅手段15で増幅され、AD変換手段16及び記憶手段17において波高分析がされる。続いて、データ処理手段18により、測定されたα線スペクトルからのノイズ成分を除去してα線による信号成分の計数を算出し、計数率に変換した後に事前に求めた計数率からα放射能への換算定数を乗算することによりα放射能が求められる。
【0034】
本実施の形態によれば、α線シンチレータ1による発光を、ガイド型集光手段2を介して効率的に光ファイバ80を介して伝送できるために、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0035】
図2は、本発明の第2の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1の放射線測定装置にガイド型集光手段2の代わりに屈折型集光手段19を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0036】
本図に示すように、測定対象5から放出されるα線をα線シンチレータ1まで減衰が小さくかつ外部の光を遮光する遮光膜4が設けられている。
【0037】
この遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。
【0038】
このα線シンチレータ1で発光した光は、屈折型集光手段19で集光される。屈折型集光手段19は、球面両凸レンズや非球面レンズ等の単レンズ、各種レンズを組合せた複合レンズで構成される。
【0039】
この屈折型集光手段19で集光されたα線は、光ファイバ80を介して伝送される。光ファイバ80は、この入射部、出射部又は両方において、意識的にこの端面を平面にしないようにする。例えば、凸形状、凹凸形状、斜面状等の形状が挙げられる。
【0040】
上記α線シンチレータ1、屈折型集光手段19及び光ファイバ80の端面を雰囲気環境から遮光するために遮光箱9が設けられている。
【0041】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は、遮光膜4を透過してα線シンチレータ1に入射されて発光する。この発光した光は、屈折型集光手段19により効率的に光ファイバ80に入射される。この入射された光は、光ファイバ80の他端に設けられた光電子増倍手段10で検出される。このとき、光ファイバ80の端面の形状が平面では無いために、端面で反射して、さらに他の表面で反射した後に、再び光ファイバ80に入射されることがないので、光電子増倍手段10の出力が安定する。これにより、α放射能を求めることができる。
【0042】
本実施の形態によれば、α線シンチレータ1による発光を、屈折型集光手段19を介して効率的に光ファイバ80を介して伝送できるために、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0043】
図3は、本発明の第3の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1の放射線測定装置のガイド型集光手段2の代わりに反射型集光手段22を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0044】
本図に示すように、測定対象5から放出されるα線をα線シンチレータ1まで減衰が小さくかつ外部の光を遮光する遮光膜4が設けられている。
【0045】
この遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。
【0046】
このα線シンチレータ1で発光した光は、反射型集光手段22で集光される。この反射型集光手段22は、対向して設置されα線シンチレータ1より小さい凸面反射手段20と、中心部に光ファイバ80への透過孔を有する凹面反射手段21とを備えている。
【0047】
この反射型集光手段22で集光された発光は、光ファイバ80を介して伝送される。
【0048】
上記α線シンチレータ1、反射型集光手段22及び光ファイバ80の端面を雰囲気環境から遮光するために遮光箱9が設けられている。
【0049】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は、遮光膜4を透過し、α線シンチレータ1に入射して蛍光を発生する。この蛍光は、凹面反射手段21で反射された後に、凸面反射手段20でさらに反射して、光ファイバ80へ効率的に集光される。その後は、図1と同様にして、分析、データ処理が行われ、α放射能が求められる。
【0050】
本実施の形態によれば、反射型集光手段22を設けることにより、α線シンチレータ1による発光を効率的に光ファイバ80を介して伝送できるために、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0051】
図4は、本発明の第4の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1のα線シンチレータ1の代わりにβ線シンチレータ23を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0052】
本図に示すように、測定対象5から放出されるβ線をセンサであるβ線シンチレータ23まで減衰が小さくかつ外部の光を遮光する遮光膜81が設けられている。
【0053】
この遮光膜81を透過したβ線は、β線シンチレータ23に到達し発光する。
【0054】
このβ線シンチレータ23で発光した光は、集光手段の一種である屈折型集光手段19で集光される。屈折型集光手段19は、この発光が進行するにつれて断面積が減少する例えば透明アクリルで作製される。屈折型集光手段19は、球面両凸レンズや非球面レンズ等の単レンズ、各種レンズを組合せた複合レンズで構成される。
【0055】
この屈折型集光手段19で集光されたα線は光ファイバ80を介して伝送される。
【0056】
上記β線シンチレータ23、屈折型集光手段19及び光ファイバ80の端部を雰囲気環境から遮光するために遮光箱9が設けられている。
【0057】
光ファイバ80の他端には、光電子増倍手段10が設けられている。この光電子増倍手段10において、光ファイバ80で伝送された光を光電変換して検出信号として検出し増倍している。
【0058】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線及びβ線は、遮光膜81を透過するとα線は遮蔽され、β線は透過し、β線シンチレータ23に入射して蛍光を発生する。このβ線による蛍光は、屈折型集光手段19により効率的に光ファイバ80に入射するため、β放射能を求めることができる。
【0059】
本実施の形態によれば、α線及びβ線を弁別し、β線シンチレータ23による発光を、屈折型集光手段19を介して効率的に光ファイバ80を介して伝送できるために、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をβ線シンチレータ23から隔離することができ、γ線環境においてβ線の高感度検出が可能となる。
【0060】
図5は、本発明の第5の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1のガイド型集光手段2と光ファイバ80の間に集光性用光ファイバ82を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0061】
本図に示すように、α線を透過しかつ遮光する遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。このα線シンチレータ1で発光した光は、円錐形状や角錐形状のガイド型集光手段2で集光される。このガイド型集光手段2で集光されたα線は、集光用光ファイバ82を介して光ファイバ80を介して伝送される。
【0062】
光ファイバ80は、屈折率の異なるコアと呼ばれる光ファイバコア6とそれを覆うクラッドと呼ばれる光ファイバクラッド7の二重構造になっている。この光ファイバクラッド7の外側面には、外部からの光を遮断するために遮光手段8が設けられている。
【0063】
上述のように、ガイド型集光手段2と光ファイバ80との間に、この光ファイバ80の光ファイバクラッド7の外側表面に設けられた遮光手段8を光反射材24で覆った集光用光ファイバ82をさらに備えている。
【0064】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は、遮光膜4を透過し、α線シンチレータ1に入射して発光する。この発光は、ガイド型集光手段2により光ファイバ80へ入射してファイバ伝送される。
【0065】
従来の光ファイバ80においては、光反射手段24を持たないので、光ファイバクラッド7に入射した発光は伝送されない。これに対して、本実施の形態においては、光反射手段24によって光ファイバクラッド7に入射した発光の一部もファイバ伝送され、α線シンチレータ1による発光を効率的にファイバ伝送できる。
【0066】
本実施の形態によれば、集光用光ファイバ82を設けることにより、α線シンチレータ1による発光を効率的にファイバ伝送できるため、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0067】
図6は、本発明の第6の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1の光ファイバ80の光ファイバコア6の代わりに光ファイバ中空コア25を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0068】
本図に示すように、α線を透過しかつ遮光する遮光膜4を透過したα線は、α線シンチレータ1に到達し発光する。このα線シンチレータ1で発光した光は、円錐形状や角錐形状のガイド型集光手段2で集光される。このガイド型集光手段2で集光されたα線は、光ファイバ83を介して伝送される。
【0069】
この光ファイバ83は、細管27と、この細管27の内側に形成された光反射膜26と、この光反射膜26より形成されコアがない光ファイバ中空コア25とを備えている。この光ファイバクラッド7の外側面には、外部からの光を遮断するために遮光手段8が設けられている。
【0070】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線は、遮光膜4を透過し、α線シンチレータ1に入射して発光する。この発光は、ガイド型集光手段2により光ファイバ83の光ファイバ中空コア25へ入射されファイバ伝送される。
【0071】
従来の光ファイバ80では、光ファイバコア6がガラスやプラスチックで形成されているので、α線シンチレータ1による発光が短波長であるときには、コア材料による伝送損失がある。これに対して、本実施の形態においては、コアが中空である光ファイバ中空コア25より形成されるために、発光を効率的にファイバ伝送でき、α放射能を求めることができる。
【0072】
本実施の形態によれば、光ファイバ中空コア25を使用することにより、α線シンチレータ1による発光を効率的にファイバ伝送できるため、γ線に影響を受ける光電子増倍手段10をα線シンチレータ1から隔離することができ、γ線環境においてα線の高感度検出が可能となる。
【0073】
また、γ線環境では、図1の光ファイバコア6がγ線により発光してノイズ光となるが、本実施の形態においては、光ファイバ中空コア25を用いることによってノイズを低減することも可能となる。
【0074】
図7は、本発明の第7の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す説明図で、(a)はその低γ線量率のα線スペクトル模式図、(b)はその高γ線量率のα線スペクトル模式図、(c)はその概略構成を示すブロック図である。
【0075】
図7(c)に示すように、例えば、図1のα線シンチレータ1を介して測定したα線スペクトルからγ線のノイズを検出する手段28を備え、この検出されたγ線のノイズレベルに相当するチャンネル数が決定される決定手段29を備えている。
【0076】
また、この算出したγ線ノイズレベルとα線スペクトルデータからγ線計数を算出する手段30を備え、この算出したγ線ノイズレベルとα線スペクトルデータからα線計数を算出する手段31を備えている。
【0077】
また、この算出されたγ線計数からγ線量率への換算定数を用いてγ線量率を計算する手段32を備え、この算出されたα線計数からα放射能への換算定数を用いてα放射能を計算する手段33を備えている。
【0078】
そして、この計算されたα放射能及びγ線量率を表示する手段34を備えている。
【0079】
ここで、図7(a)、(b)を用いて、α放射能及びγ線量率の算出について説明する。図7(a)、(b)は、異なるγ線量率において測定されたα線スペクトルを示し、横軸はエネルギーを表わし、縦軸はその計数である。α線とγ線のスペクトルは重畳するため、両者を分離することはできない。
【0080】
そこで、本実施の形態においては、下記の手順によってα放射能及びγ線量率を求める。
【0081】
第一に、γ線ノイズ検出手段28によってγ線スペクトルの上限が決定される。γ線ノイズ検出手段28おいては、γ線スペクトルの微分又は積分、最大エネルギー等によってγ線スペクトルの上限が求められる。
【0082】
第二に、γ線ノイズレベル決定手段29により、上限チャンネル:inが決定される。γ線ノイズレベル決定手段29おいては、各手法により求めたγ線スペクトルの上限から、平均、重み付け平均等によって上限チャンネル:inが決定される。
【0083】
第三に、γ線計数計算手段30により、以下の(2)式が示すように、γ線計数Cγを計算する。
in
Cγ= Σ(Cγ(i)+Cα(i)) (2)
i=i0
【0084】
そして、以下の(3)式が示すように近似する。
in
Cγ= Σ Cγ(i) (3)
i=i0
【0085】
第四に、α線計数を計算する手段31により、以下の(4)式が示すように、α線計数Cαを計算する。
in
Cα= Σ Cα(i) (4)
i=i0
【0086】
第五に、γ線量率を計算する手段32により、計算されたγ線計数を測定時間で除算してγ線計数率を求め、この値にγ線計数率からγ線量率への換算定数を乗算してγ線量率を算出する。
【0087】
第六に、α放射能を計算する手段33により、計算されたα線計数を時間で除算してα線計数率を求め、この値にα線計数率からα放射能への換算定数を乗算してα放射能を算出する。
【0088】
そして、γ線量率及びα線計数率を記憶し、α放射能及びγ線量率を表示する手段34によって表示する。
【0089】
本実施の形態によれば、α線スペクトルからγ線のノイズを検出する手段28を用いることにより、γ線環境において、α線の高感度検出が可能となる一方で、γ線量率の測定が可能となる。
【0090】
図8は、本発明の第8の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1の放射線測定装置に位置決め手段38を設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0091】
本図に示すように、この放射線測定装置は、測定対象5から放出されるα線を検出するα線検出部35を有している。このα線検出部35は、図1に示すように、α線が透過する遮光膜4と、α線により蛍光を発生するα線シンチレータ1と、α線シンチレータ1で発光した光を光ファイバコア6に集光させるガイド型集光手段2等を備えている。このガイド型集光手段2で集光されたα線は、光ファイバ80を介して伝送される。
【0092】
α線検出部35には、測定対象5とα線検出部35の検出面36との距離を一定に保つために位置決め手段38が設けられている。この位置決め手段38は、一例として、ボールキャスタ等の部品から構成される。この位置決め手段38は、測定対象5の表面を移動する際に、表面に傷を付けないように複数個の車輪及びキャタピラで構成されものを使用してもよい。
【0093】
また、マニプレータアーム40に取り付けられたグリップ41が確実かつ容易に保持できるように、一例として、このグリップ41の外形の寸法以上の溝と案内用の切込がついたグリップ位置決め手段39を備えている。
【0094】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5の表面とα線検出部35の検出面36の距離が一定となるように、位置決め操作手段38がα線検出部35に取り付けられる。
【0095】
α線検出部35に連結したマイプレータ位置決め手段39をグリップ41で把持し、α線検出部35を測定対象5に押付けると、測定対象5の表面とα検出部35の検出面36を一定に保つことができる。通常、α線の飛程は数cmであり、この距離以内に検出面36を保持する必要がある。
【0096】
本実施の形態によれば、位置決め操作手段38を設けることにより、測定対象5の表面とα検出部35の検出面36との距離を一定に保つことができるので、走査時においてもα放射能を求めることができ、例えば高γ線量の施設であるホットセル内の適用が可能となる。
【0097】
図9は、本発明の第9の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1のα線シンチレータ1を含むα線検出部35を少なくとも2個以上設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0098】
本図に示すように、この放射線測定装置は、測定対象5のα線源43から放出されるα線を検出するα線検出部集合体42を有している。このα線検出部集合体42は、少なくとも2個以上のα線検出部35から構成される。例えば、図示されているように、2×2個のα線検出部35a〜35dより構成される。このα線検出部35は、図1に示すように、α線が透過する遮光膜4と、α線により蛍光を発生するα線シンチレータ1と、このα線シンチレータ1で発光した光を光ファイバコア6に集光させるガイド型集光手段2等からなる。
【0099】
このα線検出部35a〜35dで検出された光信号は、4本の光ファイバ37a〜37dを集めた光ファイバ集合体44に接続され伝送される。この光ファイバ集合体44で伝送された4系統の発光は、光測定手段集合体45に伝達される。この光測定手段集合体45は、図1に示す光電変換して増倍する光電子増倍手段10の集合体と、増幅手段の集合体及び波高分析手段の集合体で構成されている。
【0100】
この光測定手段集合体45で光電変換して増倍されたα線による信号は、データ処理手段46に伝送される。このデータ処理手段46において、測定された4系統のα線による信号をノイズと区別してα放射能を算出しデータが記憶される。
【0101】
また、測定対象5の表面を撮影する、例えばデジタル式ビデオカメラのような撮像手段48と、この撮影した画像とその部位に対応する放射能強度分布を表示するα放射能分布表示手段47とを備えている。
【0102】
ここで、α線検出部35の配置は、m、nを任意の整数とすると、m×nの配置でもよい。また、m×n個のα線検出部35のα線シンチレータはm×n個の代わりに、同等面積を有する一枚のα線シンチレータでもよい。
【0103】
また光測定手段集合体45は、一つの光測定手段を切り替えて用いることもできる。
【0104】
このように構成された本実施の形態において、α線検出部集合体42により測定対象5の2×2個の領域のα線を検出する。これらの検出された4系統の検出信号は光ファイバ集合体44を介して伝送し、4系統の光測定手段集合体45において4系統のα線信号を測定し、データ処理手段46により領域のα放射能強度が算出される。
【0105】
さらにデータ処理手段46により、撮像手段48により撮影された測定対象5の表面画像の部位に前記放射能分布データを重ね合わせる処理を行い、α放射能分布をα放射能分布表示手段47に表示する。
【0106】
本実施の形態によれば、少なくとも2個以上のα線検出部35から構成されるα線検出部集合体42を設けることにより、γ線環境においてα線の強度分布を分かり易く表示することができる。
【0107】
図10は、本発明の第10の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図である。本図は、図1のα線シンチレータ1を含む第1の検出手段84の他に第2の検出手段85設けたものであり、図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0108】
本図に示すように、第1の検出手段84と、第2の検出手段85と、データ処理手段64と、を備えている。
【0109】
この第1の検出手段84は、α線及びβ線が透過し遮光する遮光膜4と、α線により蛍光を発生する例えばY2O2S(Eu)のような第1のシンチレータ49と、を有している。この第1のシンチレータ49で発光した光を選択的に透過する例えば赤色を透過させる赤色フィルタのような第1の光フィルタ51と、第1のシンチレータ49の発光を第1のファイバ55のコアに集光させる例えば円錐台形状のライトガイドのような第1の集光手段53を有している。
【0110】
第1の光ファイバ55を伝送した発光は、この第1の光電子増倍手段57において、光ファイバ55で伝送された光を光電変換して検出信号として検出し増倍している。この検出された検出信号は、第1の増幅手段60に伝送されて増幅される。この増幅された検出信号は波高を分析する第1の波高分析手段62に伝送される。この光電子増倍手段57には、電源供給手段59より給電される。
【0111】
次に、第2の検出手段85は、α線及びβ線が透過し遮光する遮光膜4と、β線により蛍光を発生する例えばプラスチックシンチレータのような第2のシンチレータ50を有している。この第2のシンチレータ50で発光した光を選択的に透過する例えば青色を透過させる青色フィルタのような第2の光フィルタ52を有している。この第2のシンチレータ50で発光した光を第2の光ファイバ56のコアに集光させる例えば円錐台形状のライトガイドのような第2の集光手段54を有している。
【0112】
第2の光ファイバ56を伝送した発光は、この第2の光電子増倍手段58において、光ファイバ55で伝送された光を光電変換して検出信号として検出し増倍している。この検出された検出信号は、第2の増幅手段61に伝送されて増幅される。この増幅された検出信号は波高を分析する第2の波高分析手段63に伝送される。
【0113】
また、第1の波高分析手段62で分析された信号をノイズと区別してα線強度を求めると共に、第2の波高分析手段63で分析された信号をノイズと区別してβ線強度を求めるデータ処理手段64を有している。
【0114】
このように構成された本実施の形態において、測定対象5から放出されたα線及びβ線は遮光膜4を透過し、α線は第1のシンチレータ49のY2O2S(Eu)に入射し、626nmの波長の赤色発光をする。一方、β線は、第1のシンチレータ49を透過して第2のシンチレータ50のプラスチックシンチレータに入射し、370nmの波長の青色発光をする。赤色発光は、赤色透過の第1のフィルタ51を透過し、第1の集光手段53で第1の光ファイバ55に集光されて伝送される。伝送された光は、第1の光電子増倍手段57で検出され、第1の波高分析手段62でα放射能が求められる。一方、青色光は、青色透過の第2のフィルタ52を透過し、第2の集光手段54で第2の光ファイバ56に集光されて伝送され、第2の波高分析手段63でβ放射能が求められる。これにより、α放射能及びβ放射能を同時に求めることができる。
【0115】
本実施の形態によれば、α線シンチレータ1を含む第1の検出手段84の他にβ線シンチレータを含む第2の検出手段85設けることにより、γ線環境において、α線及びβ線を高感度に検出することができる。
【0116】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、各実施の形態の構成を組み合わせて、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第1の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図4】本発明の第4の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図5】本発明の第5の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図6】本発明の第6の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図7】本発明の第7の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す説明図で、(a)はその低γ線量率のα線スペクトル模式図、(b)はその高γ線量率のα線スペクトル模式図、(c)はその概略構成を示すブロック図。
【図8】本発明の第8の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図9】本発明の第9の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図10】本発明の第10の実施の形態の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【図11】従来の放射線測定装置の概略構成を示す構成図。
【符号の説明】
【0118】
1…α線シンチレータ、2…ガイド型集光手段、3…光反射手段、4…遮光膜、5…測定対象、6…光ファイバコア、7…光ファイバクラッド、8…遮光手段、9…遮光箱、10…光電子増倍手段、11…接続手段、12…遮蔽箱、13…電源供給手段、14…前置増幅手段、15…増幅手段、16…AD変換手段、17…記憶手段、18…データ処理手段、19…屈折型集光手段、20…凸面反射手段、21…凹面反射手段、22…反射型集光手段、23…β線シンチレータ、24…光反射手段、25…光ファイバ中空コア、26…光反射薄膜、27…細管、28…γ線ノイズ検出手段、29…γ線ノイズレベル決定手段、30…γ線計数計算手段、31…α線計数計算手段、32…γ線計数率計算手段、33…α放射能計算手段、34…α放射能とγ線量率を表示する手段、35,35a〜35d…α線検出部、36…検出面、37a〜37d…光ファイバ、38…位置決め手段、39…グリップ位置決め手段、40…マニプレータアーム、41…グリップ、42…α線検出部集合体、43…α線源、44…集合光ファイバ、45…光測定手段集合体、46…データ処理手段、47…α放射能分布表示手段、48…撮像手段、49…第1のシンチレータ、50…第2のシンチレータ、51…第1の光フィルタ、52…第2の光フィルタ、53…第1の集光手段、54…第2の集光手段、55…第1の光ファイバ、56…第2の光ファイバ、57…第1の光電子増倍手段、58…第2の光電子増倍手段、59…電源供給手段、60…第1の増幅手段、61…第2の増幅手段、62…第1の波高分析手段、63…第2の波高分析手段、64…データ処理手段、65…コア、66…クラッド、67…蛍光性光ファイバ、68…光コネクタ、69…伝送用光ファイバ、70…遮光材、80…光ファイバ、81…遮光膜、82…集光性用光ファイバ、83…光ファイバ、84…第1の検出手段、85…第2の検出手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α線が透過する遮光膜と、
この透過したα線により発光するα線シンチレータと、
このα線シンチレータの発光を伝送する光ファイバと、
前記α線シンチレータとこの光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する集光手段と、
前記α線シンチレータ、前記集光手段及び前記光ファイバの端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱と、
前記光ファイバの他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する光電子増倍手段と、
この光電子増倍手段で検出された検出信号を増幅する増幅手段と、
この増幅手段で増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段と、
この波高分析されたα線による信号をノイズと区別するデータ処理手段と、
を有することを特徴とする放射線測定装置。
【請求項2】
前記集光手段は、前記α線シンチレータの発光を前記光ファイバの開口数の2倍以内の角度で集光し円錐台形状より形成されるガイド型集光手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
【請求項3】
前記ガイド型集光手段の外側面は光反射手段で覆って形成されること、を特徴とする請求項2記載の放射線測定装置。
【請求項4】
前記集光手段は、前記α線シンチレータの発光を屈折させて前記光ファイバに集光する屈折型集光手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
【請求項5】
前記集光手段は、前記α線シンチレータの発光を反射させて前記光ファイバに集光する反射型集光手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
【請求項6】
前記α線シンチレータは、ZnS(Ag)、ZnO(Zn)、ZnO(Ga)、ZnSSe(Ag)及びY2O2S(Eu)のうち少なくとも1種から作製されること、を特徴とする請求項1乃至5記載の放射線測定装置。
【請求項7】
α線を遮断しβ線が透過する遮光膜と、
この透過したβ線により発光するβ線シンチレータと、
このβ線シンチレータの発光を伝送する光ファイバと、
前記β線シンチレータとこの光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する集光手段と、
前記β線シンチレータ、前記集光手段及び前記光ファイバの端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱と、
前記光ファイバの他端に接続され伝送された光を光電変換して検出する光電子増倍手段と、
この検出された検出信号を増幅する増幅手段と、
この増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段と、
この波高分析されたβ線による信号をノイズと区別するデータ処理手段と、
を有することを特徴とする放射線測定装置。
【請求項8】
前記集光手段と前記光ファイバとの間に、前記光ファイバのクラッドの外側面を光反射材で覆った集光用光ファイバをさらに具備すること、を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項9】
前記光ファイバのコアが中空コアで作製されること、を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項10】
前記α線シンチレータを介して測定したα線スペクトルからγ線のノイズを検出する手段と、
この検出されたγ線ノイズレベルと前記α線スペクトルのデータからγ線計数を計算する手段と、
この検出されたγ線ノイズレベルと前記α線スペクトルのデータからα線計数を計算する手段と、
この算出されたγ線計数からγ線量率への換算定数を用いてγ線量率を算出する手段と、
前記算出されたα線計数からα放射能への換算定数を用いてα放射能を算出する手段と、
この算出されたα放射能及びγ線量率を表示する手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至6、8、9のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項11】
前記測定対象との距離を一定に保つ位置決め手段と、マニプレータの保持部位を含むマニプレータ位置決め手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7、8乃至10のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項12】
前記α線シンチレータを含むα線検出部を少なくとも2個以上を有するα線検出部集合体と、
このα線検出部で検出された光信号を伝送する光ファイバ集合体と、
この光ファイバ集合体の伝送光を検出する光電子増倍手段集合体、増幅手段集合体及び波高分析手段集合体を含む光測定手段集合体と、
この測定された少なくとも2個以上のα線による信号をノイズと区別してα放射能を算出しデータを記憶するデータ処理手段と、
この記憶されたα放射能のデータを分布として表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6、8乃至11のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項13】
前記α線により発光する第1のシンチレータと、この第1のシンチレータの発光を選択的に透過させる第1の光フィルタと、この第1の光フィルタを透過した発光を伝送する第1の光ファイバと、前記第1のシンチレータとこの第1の光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する第1の集光手段と、前記第1の光ファイバの他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する第1の光電子増倍手段と、この第1の光電子増倍手段で検出された検出信号を増幅する第1の増幅手段と、この第1の増幅手段で増幅された検出信号の波高を分析する第1の波高分析手段と、を有する第1の検出手段と、
β線により発光する第2のシンチレータと、この第2のシンチレータの発光を選択的に透過させる第2の光フィルタと、この第2の光フィルタを透過した発光を伝送する第2の光ファイバと、前記第2のシンチレータとこの第2の光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する第2の集光手段と、前記第2の光ファイバの他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する第2の光電子増倍手段と、この第2の光電子増倍手段で検出された検出信号を増幅する第2の増幅手段と、この第2の増幅手段で増幅された検出信号の波高を分析する第2の波高分析手段と、を有する第2の検出手段と、
前記第1の波高分析手段で分析された信号をノイズと区別してα線強度を求め、前記第2の波高分析手段で分析された信号をノイズと区別してβ線強度を求めるデータ処理手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6、8乃至12のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項14】
測定サンプルの可視画像を撮影する撮像手段と、可視画像とα放射能の測定結果を重畳して表示する放射能分布表示手段と、をさらに有することを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項15】
前記α線シンチレータ又はβ線シンチレータによる発光を伝送する前記光ファイバの外側面の入射部及び出射部の少なくとも一方に前記シンチレータの発光波長に応じた反射防止膜を設けて形成されること、を特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項16】
前記α線シンチレータ又はβ線シンチレータによる発光を伝送する前記光ファイバの入射部及び出射部の端面の少なくとも一方を平面にしないように形成されること、を特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項17】
前記ガイド型集光手段の外側面の入射部及び出射部の少なくとも一方に前記シンチレータの発光波長に応じた反射防止膜を設けて形成されること、を特徴とする請求項2記載の放射線測定装置。
【請求項1】
α線が透過する遮光膜と、
この透過したα線により発光するα線シンチレータと、
このα線シンチレータの発光を伝送する光ファイバと、
前記α線シンチレータとこの光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する集光手段と、
前記α線シンチレータ、前記集光手段及び前記光ファイバの端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱と、
前記光ファイバの他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する光電子増倍手段と、
この光電子増倍手段で検出された検出信号を増幅する増幅手段と、
この増幅手段で増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段と、
この波高分析されたα線による信号をノイズと区別するデータ処理手段と、
を有することを特徴とする放射線測定装置。
【請求項2】
前記集光手段は、前記α線シンチレータの発光を前記光ファイバの開口数の2倍以内の角度で集光し円錐台形状より形成されるガイド型集光手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
【請求項3】
前記ガイド型集光手段の外側面は光反射手段で覆って形成されること、を特徴とする請求項2記載の放射線測定装置。
【請求項4】
前記集光手段は、前記α線シンチレータの発光を屈折させて前記光ファイバに集光する屈折型集光手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
【請求項5】
前記集光手段は、前記α線シンチレータの発光を反射させて前記光ファイバに集光する反射型集光手段を具備すること、を特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
【請求項6】
前記α線シンチレータは、ZnS(Ag)、ZnO(Zn)、ZnO(Ga)、ZnSSe(Ag)及びY2O2S(Eu)のうち少なくとも1種から作製されること、を特徴とする請求項1乃至5記載の放射線測定装置。
【請求項7】
α線を遮断しβ線が透過する遮光膜と、
この透過したβ線により発光するβ線シンチレータと、
このβ線シンチレータの発光を伝送する光ファイバと、
前記β線シンチレータとこの光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する集光手段と、
前記β線シンチレータ、前記集光手段及び前記光ファイバの端面を雰囲気環境から遮光する遮光箱と、
前記光ファイバの他端に接続され伝送された光を光電変換して検出する光電子増倍手段と、
この検出された検出信号を増幅する増幅手段と、
この増幅された検出信号の波高を分析する波高分析手段と、
この波高分析されたβ線による信号をノイズと区別するデータ処理手段と、
を有することを特徴とする放射線測定装置。
【請求項8】
前記集光手段と前記光ファイバとの間に、前記光ファイバのクラッドの外側面を光反射材で覆った集光用光ファイバをさらに具備すること、を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項9】
前記光ファイバのコアが中空コアで作製されること、を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項10】
前記α線シンチレータを介して測定したα線スペクトルからγ線のノイズを検出する手段と、
この検出されたγ線ノイズレベルと前記α線スペクトルのデータからγ線計数を計算する手段と、
この検出されたγ線ノイズレベルと前記α線スペクトルのデータからα線計数を計算する手段と、
この算出されたγ線計数からγ線量率への換算定数を用いてγ線量率を算出する手段と、
前記算出されたα線計数からα放射能への換算定数を用いてα放射能を算出する手段と、
この算出されたα放射能及びγ線量率を表示する手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至6、8、9のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項11】
前記測定対象との距離を一定に保つ位置決め手段と、マニプレータの保持部位を含むマニプレータ位置決め手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7、8乃至10のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項12】
前記α線シンチレータを含むα線検出部を少なくとも2個以上を有するα線検出部集合体と、
このα線検出部で検出された光信号を伝送する光ファイバ集合体と、
この光ファイバ集合体の伝送光を検出する光電子増倍手段集合体、増幅手段集合体及び波高分析手段集合体を含む光測定手段集合体と、
この測定された少なくとも2個以上のα線による信号をノイズと区別してα放射能を算出しデータを記憶するデータ処理手段と、
この記憶されたα放射能のデータを分布として表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6、8乃至11のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項13】
前記α線により発光する第1のシンチレータと、この第1のシンチレータの発光を選択的に透過させる第1の光フィルタと、この第1の光フィルタを透過した発光を伝送する第1の光ファイバと、前記第1のシンチレータとこの第1の光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する第1の集光手段と、前記第1の光ファイバの他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する第1の光電子増倍手段と、この第1の光電子増倍手段で検出された検出信号を増幅する第1の増幅手段と、この第1の増幅手段で増幅された検出信号の波高を分析する第1の波高分析手段と、を有する第1の検出手段と、
β線により発光する第2のシンチレータと、この第2のシンチレータの発光を選択的に透過させる第2の光フィルタと、この第2の光フィルタを透過した発光を伝送する第2の光ファイバと、前記第2のシンチレータとこの第2の光ファイバの一端との間に介在し前記発光を集光する第2の集光手段と、前記第2の光ファイバの他端に接続され伝送された発光を光電変換して検出する第2の光電子増倍手段と、この第2の光電子増倍手段で検出された検出信号を増幅する第2の増幅手段と、この第2の増幅手段で増幅された検出信号の波高を分析する第2の波高分析手段と、を有する第2の検出手段と、
前記第1の波高分析手段で分析された信号をノイズと区別してα線強度を求め、前記第2の波高分析手段で分析された信号をノイズと区別してβ線強度を求めるデータ処理手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6、8乃至12のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項14】
測定サンプルの可視画像を撮影する撮像手段と、可視画像とα放射能の測定結果を重畳して表示する放射能分布表示手段と、をさらに有することを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項15】
前記α線シンチレータ又はβ線シンチレータによる発光を伝送する前記光ファイバの外側面の入射部及び出射部の少なくとも一方に前記シンチレータの発光波長に応じた反射防止膜を設けて形成されること、を特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項16】
前記α線シンチレータ又はβ線シンチレータによる発光を伝送する前記光ファイバの入射部及び出射部の端面の少なくとも一方を平面にしないように形成されること、を特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の放射線測定装置。
【請求項17】
前記ガイド型集光手段の外側面の入射部及び出射部の少なくとも一方に前記シンチレータの発光波長に応じた反射防止膜を設けて形成されること、を特徴とする請求項2記載の放射線測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−133759(P2009−133759A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310975(P2007−310975)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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