説明

放射線画像変換パネルの製造方法

【課題】発光輝度や経時変化に対する特性の低下を防止する。
【解決手段】本発明に係る輝尽性蛍光体パネルの製造方法では、所定の基板2上に気相堆積法で輝尽性蛍光体層3が形成された蛍光体パネル4を2枚のフィルム10,20間に配置し、そのフィルム10,20間を1000〜30000Paに減圧しながらフィルム10,20の側縁部同士を融着し、フィルム10,20間に蛍光体パネル4を封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の放射線画像を形成する際に用いられる放射線画像変換パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に、増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史のなかで高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、いまなお、世界中の医療現場で用いられている。近年では、輝尽性蛍光体パネルを放射線画像変換パネルの一要部として用いたコンピューテッドラジオグラフィー(CR(computed radiography))も商品化され、高感度化及び画質の改善が日夜続けられている。
【0003】
上記「輝尽性蛍光体パネル」というのは、被写体を透過した放射線を蓄積して、励起光の照射等により、蓄積した放射線をその線量に応じた強度で輝尽発光するものであり、所定の基板上に輝尽性蛍光体が層状に形成された構成を有している。そのような輝尽性蛍光体パネルの製造方法の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の製造方法では、公知の気相堆積法により所定の基板上に輝尽性蛍光体層を形成してその基板を熱処理している。(段落番号0034,0035参照)。
【特許文献1】特開2003−279696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記輝尽性蛍光体パネルを放射線画像変換パネルとして使用する場合には、輝尽性蛍光体パネルを2枚のフィルム間に挟んで当該フィルム間を減圧しながら当該フィルム間に蛍光体パネルを封止するのが一般的となっている。ここで、適切な減圧度でフィルム間を減圧しないと、輝尽性蛍光体の層を形成している結晶が損傷して発光輝度(輝尽発光量)が低下する可能性があり、更に経時変化に対しても輝尽性蛍光体層の特性が低下する可能性がある。
本発明の目的は、発光輝度や経時変化に対する特性の低下を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明の放射線画像変換パネルの製造方法は、
所定の基板上に気相堆積法で輝尽性蛍光体層が形成された蛍光体パネルを2枚のフィルム間に配置し、前記フィルム間を1000〜30000Paに減圧しながら前記フィルムの側縁部同士を融着し、前記フィルム間に前記蛍光体パネルを封止することを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記フィルム間を3500〜10000Paに減圧しながら前記フィルムの側縁部同士を融着することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記輝尽性蛍光体層が多数の柱状結晶から構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記各柱状結晶が後記一般式(1)で表される化合物から構成されていることを特徴としている。
1X・aM2X’2・bM3X’’3:eA … (1)
(前記一般式(1)中、「M1」はLi,Na,K,Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、「M2」はBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、「M3」はSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga及びInからなる群から選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、「X,X’,X’’」はF,Cl,Br及びIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、「A」はEu,Tb,In,Ga,Cs,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属であり、「a,b,e」はそれぞれ0≦a<0.5,0≦b<0.5,0<e≦0.2の範囲の数値を示す。)
【0009】
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「M1」がK,Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であることを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、
請求項4又は5に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「M2」がBe,Mg,Ca,Sr及びBaから選ばれる少なくとも一種の二価金属であることを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載の発明は、
請求項4〜6のいずれか一項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「M3」がY,La,Ce,Sm,Eu,Gd,Lu,Al,Ga及びInからなる群から選ばれる少なくとも一種の三価金属であることを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の発明は、
請求項4〜7のいずれか一項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「X」がBr及びIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンであることを特徴としている。
【0013】
請求項9に記載の発明は、
請求項4〜8のいずれか一項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「A」がEu,Cs,Sm,Tl及びNaからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属であることを特徴としている。
【0014】
請求項10に記載の発明は、
請求項4〜9のいずれか一項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「b」が0≦b≦10-2の範囲の数値を示すことを特徴としている。
【0015】
請求項11に記載の発明は、
請求項3に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記各柱状結晶が主成分として後記一般式(2)で表される化合物から構成されていることを特徴としている。
CsX:A … (2)
(前記一般式(2)中、「X」はBr又はIを表し、「A」はEu,In,Ga又はCeを表す。)
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜11に記載の発明では、発光輝度や経時変化に対する特性の低下を防止することができる(下記実施例参照)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0018】
図1は放射線画像変換パネル1の断面図である。
図1に示す通り、放射線画像変換パネル1は、所定の基板2上に輝尽性蛍光体層3が形成された蛍光体パネル4を有している。
【0019】
基板2は短形状を呈している。基板2は、高分子材料,ガラス,金属等で構成されており、特に、セルロースアセテートフィルム,ポリエステルフィルム,ポリエチレンテレフタレート,ポリアミドフィルム,ポリイミドフィルム,トリアセテートフィルム,ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、石英,ホウ珪酸ガラス,化学的強化ガラス等の板ガラス、又はアルミニウム,鉄,銅,クロム等の金属シート若しくはそれら金属酸化物の被覆層を有する金属シートで構成されているのが好ましい。
【0020】
基板2の表面2a(図1中上面)は滑面であってもよいし、マット面であってもよい。基板2の表面2a上には、輝尽性蛍光体層3との接着性を向上させる目的で下引層を設けてもよいし、基板2を透過して輝尽性蛍光体層3に励起光が入射するのを防止する目的で光反射層が設けられていてもよい。
【0021】
輝尽性蛍光体層3はCsBr:Eu等の公知の輝尽性蛍光体から構成されており、蒸着法,スパッタリング法,CVD(Chemical Vapor Deposition)法,PVD(Physical Vapor Deposition)法,イオンプレーティング法等の公知の気相堆積法で形成されている。輝尽性蛍光体層3は1層で構成されていてもよいし、2以上の層で構成されていてもよい。
【0022】
図2は蛍光体パネル4の拡大断面図であって輝尽性蛍光体層3を巨視的にみた断面図である。
図2に示す通り、輝尽性蛍光体層3は、輝尽性蛍光体から構成された多数の柱状結晶3a,3a,…が互いに間隔をあけて並んだ柱状構造を有している。各柱状結晶3aは基板2の表面2aの法線Rに対し所定角度で傾斜している。図2では、輝尽性蛍光体層3は多数の柱状結晶3a,3a,…からなる1層で構成されているが、当該輝尽性蛍光体層3は多数の柱状結晶3a,3a,…からなる層が2層以上積層された層状構造を有していてもよく、その層数にかかわらず、総層厚が50μm以上、好ましくは300〜500μmに形成されているのがよい。
【0023】
ここで、輝尽性蛍光体層3を構成する輝尽性蛍光体について詳しく説明する。
【0024】
当該輝尽性蛍光体としては下記一般式(1)で表される化合物を使用することができる。
1X・aM2X’2・bM3X’’3:eA … (1)
【0025】
上記一般式(1)中、「M1」はLi,Na,K,Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、特にK,Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であることが好ましい。
【0026】
上記一般式(1)中、「M2」はBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、特に、Be,Mg,Ca,Sr及びBaから選ばれる少なくとも一種の二価金属であることが好ましい。
【0027】
上記一般式(1)中、「M3」はSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga及びInからなる群から選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、特にY,La,Ce,Sm,Eu,Gd,Lu,Al,Ga及びInからなる群から選ばれる少なくとも一種の三価金属であることが好ましい。
【0028】
上記一般式(1)中、「X,X’,X’’」はF,Cl,Br及びIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、特にXはBr及びIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンであることが好ましい。
【0029】
上記一般式(1)中、「A」はEu,Tb,In,Ga,Cs,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属であり、特にEu,Cs,Sm,Tl及びNaからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属であることが好ましい。
【0030】
上記一般式(1)中、「a,b,e」はそれぞれ0≦a<0.5,0≦b<0.5,0<e≦0.2の範囲の数値を示し、特にbは0≦b≦10-2の範囲の数値を示すことが好ましい。
【0031】
この中でも特に、輝尽性蛍光体として下記一般式(2)で表される化合物を有することが好ましい。
CsX:A … (2)
【0032】
上記一般式(2)中、「X」はBr又はIを表し、「A」はEu,In,Ga又はCeを表す。特にEuを賦活剤とするとX線変換効率が向上することが期待できる。
【0033】
上記の輝尽性蛍光体は、例えば下記(a)〜(d)の蛍光体原料を用いて以下に述べる製造方法により製造される。
【0034】
(a)LiF,LiCl,LiBr,LiI,NaF,NaCl,NaBr,NaI,KF,KCl,KBr,KI,RbF,RbCl,RbBr,RbI,CsF,CsCl,CsBr及びCsIからなる群から選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上の化合物。
【0035】
(b)BeF2,BeCl2,BeBr2,BeI2,MgF2,MgCl2,MgBr2,MgI2,CaF2,CaCl2,CaBr2,CaI2,SrF2,SrCl2,SrBr2,SrI2,BaF2,BaCl2,BaBr2,BaI2,ZnF2,ZnCl2,ZnBr2,ZnI2,CdF2,CdCl2,CdBr2,CdI2,CuF2,CuCl2,CuBr2,CuI2,NiF2,NiCl2,NiBr2及びNiI2からなる群から選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上の化合物。
【0036】
(c)ScF3,ScCl3,ScBr3,ScI3,YF3,YCl3,YBr3,YI3,LaF3,LaCl3,LaBr3,LaI3,CeF3,CeCl3,CeBr3,CeI3,PrF3,PrCl3,PrBr3,PrI3,NdF3,NdCl3,NdBr3,NdI3,PmF3,PmCl3,PmBr3,PmI3,SmF3,SmCl3,SmBr3,SmI3,EuF3,EuCl3,EuBr3,EuI3,GdF3,GdCl3,GdBr3,GdI3,TbF3,TbCl3,TbBr3,TbI3,DyF3,DyCl3,DyBr3,DyI3,HoF3,HoCl3,HoBr3,HoI3,ErF3,ErCl3,ErBr3,ErI3,TmF3,TmCl3,TmBr3,TmI3,YbF3,YbCl3,YbBr3,YbI3,LuF3,LuCl3,LuBr3,LuI3,AlF3,AlCl3,AlBr3,AlI3,GaF3,GaCl3,GaBr3,GaI3,InF3,InCl3,InBr3及びInI3からなる群から選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上の化合物。
【0037】
(d)Eu,Tb,In,Ga,Cs,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu及びMgからなる群から選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上の金属。
【0038】
始めに、上記(a)〜(d)の蛍光体原料を上記一般式(1)のa,b,eの範囲を満たすように秤量して純水にて混合する。この際。乳鉢,ボールミル,ミキサーミル等を用いて充分に混合してもよい。
【0039】
次に、得られた混合液のpH値Cを0<C<7に調整するように所定の酸を加えた後、水分を蒸発気化させる。
【0040】
次に、得られた原料混合物を石英ルツボ,アルミナルツボ等の耐熱性容器に充填して電気炉内で焼成を行う。焼成温度は500〜1000℃が好ましい。焼成時間は原料混合物の充填量,焼成温度等によって異なるが、0.5〜6時間が好ましい。
【0041】
焼成雰囲気としては少量の水素ガスを含む窒素ガス雰囲気,少量の一酸化炭素を含む炭酸ガス雰囲気等の弱還元性雰囲気、窒素ガス雰囲気,アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、又は少量の酸素ガスを含む弱酸化性雰囲気が好ましい。
【0042】
なお、前記の焼成条件で一度焼成した後、焼成物を電気炉から取り出して粉砕し、しかる後、焼成物粉末を再び耐熱性容器に充填して電気炉に入れ、前記と同じ焼成条件で再焼成を行えば輝尽性蛍光体の発光輝度を更に高めることができる。また、焼成物を焼成温度より室温に冷却する際、焼成物を電気炉から取り出して空気中で放冷することによっても所望の輝尽性蛍光体を得ることができるが、焼成時と同じ、弱還元性雰囲気,中性雰囲気又は弱酸化性雰囲気のままで冷却してもよい。
【0043】
また、焼成物を電気炉内で加熱部より冷却部へ移動させて、弱還元性雰囲気,中性雰囲気又は弱酸化性雰囲気で急冷することにより、得られた輝尽性蛍光体の輝尽による発光輝度をより一層高めることができる。
【0044】
上記構成を具備する蛍光体パネル4は、図1に示す通り、輝尽性蛍光体層3上に配置された防湿性の第1の保護フィルム10と、基板2下に配置された防湿性の第2の保護フィルム20との間に介在している。
【0045】
第1の保護フィルム10は蛍光体パネル4よりやや大きな面積を有しており、蛍光体パネル4の輝尽性蛍光体層3と実質的に接着していない状態でその周縁部が蛍光体パネル4の周縁部より外側に延出している。「第1の保護フィルム10が輝尽性蛍光体層3と実質的に接着していない状態」とは、第1の保護フィルム10と輝尽性蛍光体層3とが光学的に一体化していない状態をいい、具体的には、第1の保護フィルム10と輝尽性蛍光体層3との接触面積が輝尽性蛍光体層3の表面(第1の保護フィルム10に対向する面)の面積の10%以下である状態をいう。
【0046】
他方、第2の保護フィルム20も蛍光体パネル4よりやや大きな面積を有しており、その周縁部が蛍光体パネル4の周縁部より外側に延出している。
【0047】
放射線画像変換パネル1では、第1,第2の保護フィルム10,20の各周縁部同士が全周にわたって融着されており、第1,第2の保護フィルム10,20が蛍光体パネル4を完全に封止した構成を有している。第1,第2の保護フィルム10,20は、蛍光体パネル4を封止することにより、蛍光体パネル4への水分の浸入を確実に防止して当該蛍光体パネル4を保護するようになっている。
【0048】
図1中上部の拡大図に示す通り、第1の保護フィルム10は、第1の層11、第2の層12、第3の層13の3層を積層した積層構造を有している。
【0049】
第1の層11は、空気層14を介して蛍光体パネル4の輝尽性蛍光体層3と対向する層であり、熱融着性を有する樹脂で構成されている。「熱融着性を有する樹脂」としては、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA),キャスティングポリプロピレン(CPP),ポリエチレン(PE)等が挙げられる。
【0050】
第2の層12はアルミナ,シリカ等の金属酸化物で構成された層であり、公知の蒸着法により第3の層13下に蒸着されている。第2の層12は、第1の保護フィルム10の防湿性能を強化するものであるが、なくてもよい。
【0051】
第3の層13は第2の層12上に積層されており、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂で構成されている。
【0052】
このように、金属酸化物で構成された第2の層12を有する第1の保護フィルム10は、加工性や透明性に優れており、防湿性及び酸素透過性の性質の面で温度や湿度の影響を受けにくい。そのため、当該第1の保護フィルム10は、環境によらずに安定した画像品質が要求される輝尽性蛍光体利用型の医療用放射線画像変換パネル1に好適である。
【0053】
なお、第3の層13上には、第1の層11と同様の層、第2の層12と同様の層、第3の層13と同様の層又は第1の層11、第3の層13とは異なる樹脂で構成された層が1層又は2層以上積層されてもよい。
【0054】
特に、第3の層13上に、アルミナ,シリカ等の金属酸化物で構成された第2の層12と同様の層を積層すると、第1の保護フィルム10は、その第2の層12に相当する層の積層数に応じた最適な防湿性能を発揮するようになっている。第2の層12又はこれと同様の層の積層方法としては、公知の方法であればどのような方法でも適用可能であるが、ドライラミネート方式に従う方法を適用するのが作業性の面で好ましい。
【0055】
図1中下部の拡大図に示す通り、第2の保護フィルム20は、第1の層21、第2の層22、第3の層23の3層を積層した積層構造を有している。
【0056】
第1の層21は空気層24を介して蛍光体パネル4の基板2と対向している。第1の層21は上記第1の保護フィルム10の第1の層11と同様の樹脂で構成され、その周縁部において第1の保護フィルム10の第1の層11と融着している。
【0057】
第2の層22は第1の層21下にラミネートされた層であり、アルミニウムで構成されている。第2の層22は、第2の保護フィルム20における防湿性能を向上させるものであるが、なくてもよい。
【0058】
第3の層23は第2の層22下に積層されており、PET等の樹脂で構成されている。
【0059】
なお、第3の層23下には、第1の層21と同様の層、第2の層22と同様の層、第3の層23と同様の層又は第1の層11、第3の層13とは異なる樹脂で構成された層が1層又は2層以上積層されてもよい。
【0060】
続いて、蛍光体パネル4を第1,第2の保護フィルム10,20間に封止する封止処理装置について説明する。
【0061】
図3は封止処理装置30の概略構成を示す図面である。
封止処理装置30は、蛍光体パネル4と第1,第2の保護フィルム10,20とを所定位置に設置可能な封止処理容器31を有している。封止処理容器31の内部には第1の保護フィルム10と第2の保護フィルム20との周縁部同士を融着するインパルスシーラ32,32が配されている。封止処理装置30では、各インパルスシーラ32間に第1の保護フィルム10の周縁部と第2の保護フィルム20との周縁部とを配置して各インパルスシーラ32を作動させることで、第1の保護フィルム10と第2の保護フィルム20との周縁部同士を融着することができるようになっている。
【0062】
封止処理容器31の図3中左側部には、開閉自在なバルブ33付きのガス導入管34が接続されており、バルブ33を開けた状態でガス導入管34から封止処理容器31の内部にガスを導入することができるようになっている。導入用のガスとしては、窒素,ヘリウム,アルゴン,ラドン,ネオン等の不活性ガスや大気(空気)が適用可能である。
【0063】
封止処理容器31の図3中右側部には、開閉自在なバルブ35付きの吸引管36の一端部が接続されており、吸引管36の他端部には真空ポンプ37が接続されている。すなわち、バルブ35付き吸引管36を介して封止処理容器31と真空ポンプ37とが接続されている。封止処理装置30では、バルブ35を開けた状態で真空ポンプ37を作動させると、吸引管36に吸引圧が生じて封止処理容器31の内部を減圧することができるようになっている。
【0064】
なお、封止処理容器31の図3中上部には真空計38が配されており、封止処理容器31の内部の真空度(減圧度)を計測することができるようになっている。
【0065】
続いて、本発明に係る放射線画像変換パネル1の製造方法について説明する。
【0066】
図4は、放射線画像変換パネル1の製造方法の各工程を経時的に表現した概略図面である。
始めに、所定の基板2を準備してその基板2上に公知の気相堆積法で輝尽性蛍光体層3を形成する。
【0067】
例えば、複数存在する公知の気相堆積法のうち、蒸着法で輝尽性蛍光体層3を形成する場合について簡単に説明すると、図4(a)に示す通り、基板2を蒸着装置内の基板ホルダに固定・設置し、当該蒸着装置内を排気して真空状態とする。その後、抵抗加熱法,エレクトロンビーム法等の方法により輝尽性蛍光体を蒸着源として当該輝尽性蛍光体を加熱・蒸発させ、基板2の表面2a上に輝尽性蛍光体を所望の厚さになるまで成長させ、輝尽性蛍光体層3を基板2上に形成する。
【0068】
ここで、図2に示す通り、蒸着装置内の基板ホルダに固定した基板2の表面2aの法線Rに対し、輝尽性蛍光体の蒸気流の入射角度をθ2とし、形成しようとする柱状結晶3aの傾斜角度をθ1とすると、経験的に傾斜角度θ1は入射角度θ2の約半分となり、入射角度θ2に応じた傾斜角度θ1で多数の柱状結晶3a,3a,…が形成される。すなわち、入射角度θ2=60°で輝尽性蛍光体の蒸気流を基板2の表面2aに入射させれば、当該基板2の表面2aには傾斜角度θ1=30°の多数の柱状結晶3a,3a,…を形成することができる。
【0069】
基板2の表面2aに対し輝尽性蛍光体の蒸気流を所定の入射角度で供給する方法としては、蒸着源に対し基板2を傾斜させるように配置する方法や、基板2と蒸着源とを互いに平行に設置してスリット等で輝尽性蛍光体の蒸気流の斜め成分のみを蒸着面から蒸発させる方法等がある。
【0070】
基板2上に輝尽性蛍光体層3を形成したら、図4(b)に示す通り、輝尽性蛍光体層3が形成された基板2(蛍光体パネル4)をバルブ40付きの恒温槽41の内部に設置し、当該蛍光体パネル4(輝尽性蛍光体層3)を有機溶剤ガス雰囲気下で加熱する。
【0071】
具体的には、蛍光体パネル4を恒温槽41の内部に設置して当該恒温槽41内を0.1Pa程度の真空度とし、次いでバルブ40を閉じた状態で有機溶剤を導入して大気圧まで戻し、100℃以上(好ましくは100〜160℃)で加熱する。
【0072】
ここで、使用される「有機溶剤」について説明する。
当該有機溶剤としてはハロゲン系溶剤を用いるのが好ましい。ハロゲン系溶剤とは、炭化水素化合物において水素原子の少なくとも1つがF,Cl,Br,I等のハロゲンに属する原子で置換された化合物を含む溶剤である。当該ハロゲン系溶剤は構造的には各元素同士の結合が飽和結合だけで構成された化合物であってもよいし、不飽和結合を含む化合物であってもよいし、環状の化合物であってもよいし、鎖状の化合物であってもよいし、化合物中の原子又は分子が水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基で置換された化合物であってもよい。
【0073】
当該ハロゲン系溶剤として好ましい化合物としては、
(1)加熱処理に供される点(引火性や爆発性等に関わる消防法的な観点から引火点をもたない等の特性が要求される点)の観点から、引火点をもたない不燃性溶剤を適用するのがよい。この場合、使用しようとするハロゲン系溶剤の種類を考慮せずに加熱温度を任意に設定することができるが、加熱温度を引火点以下の温度で行うのが好ましい。
【0074】
さらに上記(1)の観点を含めて、
(2)環境適性
(3)生体への有害性
等の観点から、昨今話題にのぼるフロン代替素材が有用であると考えられている。その中でも上記(2),(3)に優れた最新のフロン代替素材である「HFE(ハイドロフルオロエーテル)」を当該ハロゲン系溶剤として好適に用いることができる。
【0075】
HFEは、炭素、フッ素、水素、1つ以上のエーテル酸素原子からなり、さらに炭素主鎖中に組み込まれた1つ以上のさらなるヘテロ原子、例えば、硫黄又は三価窒素原子を含んでいてもよい。HFEは直鎖状を呈していてもよいし、枝分かれ状を呈していてもよいし、環状を呈していてもよいし、又はそれらの組み合わせで構成された構造を有していてもよく、例えば、アルキル脂環式であってもよい。ただし、HFEは不飽和結合を含まないことが好ましい。
【0076】
具体的なHFEとして、下記一般式(3)によって示される化合物をその一例として用いることができる。
【0077】
(R4−O)a−R5 … (3)
【0078】
上記一般式(3)中、「a」は1〜3の数であり、「R4」及び「R5」はアルキル基及びアリール基からなる群より選択される基であり、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。「R4」及び「R5」のうち少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子と、少なくとも1個の水素原子とを含むものであり、「R4」及び「R5」のいずれか一方又は両方が1個以上の鎖中ヘテロ原子を含んでもよく、HFEは当該HFE中のフッ素原子の総数が水素原子の総数以上であるのが好ましい。「R4」及び「R5」は直鎖状を呈していてもよいし、枝分かれ状を呈していてもよいし、環状を呈してもいてもよく、さらに言えば1個以上の不飽和の炭素−炭素結合を含んでいてもよいが、「R4」及び「R5」が両方とも各元素同士で飽和結合した原子団であるのが好ましい。
【0079】
このような性質を有するHFEとしては、例えば住友スリーエム株式会社製のノベック(登録商標)HFE−7100,7100DL,7200やダイキン工業株式会社製のHFE−S7(商品名)等があり、これら市販のHFEを有機溶剤ガス雰囲気加熱工程で使用可能なハロゲン系溶剤として好適に用いることができる。
【0080】
有機溶剤ガス雰囲気下での熱処理をおこなったら、バルブ40を開き、恒温槽41の内部の有機溶剤ガスを抜き、有機溶剤ガス雰囲気下の気圧を大気圧に調整する。その後、蛍光体パネル4を恒温槽41の内部で1時間程度放置冷却する。有機溶剤ガス雰囲気下での熱処理の後で、ガス抜きを行ってから蛍光体パネル4を放置冷却するのは、各柱状結晶3aに付着した、又は各柱状結晶3a中に閉じ込められた有機溶剤ガスが液体に戻るのを防ぐためである。
【0081】
蛍光体パネル4を放置冷却したら、図4(c)に示す通り、蛍光体パネル4を第1,第2の保護フィルム10,20間に挟んだ状態で蛍光体パネル4と第1,第2の保護フィルム10,20とを封止処理装置30の封止処理容器31の内部に設置する。
【0082】
その後、バルブ33を開けた状態で不活性ガス又は大気をガス導入管34から封止処理容器31中に導入し、かつ、バルブ35を開けた状態で真空ポンプ37を作動させ、封止処理容器31の内部を1000〜30000Pa(好ましくは3500〜10000Pa)に減圧・調整する。このとき、封止処理容器31の内部の減圧環境に応じて第1,第2の保護フィルム10,20間の減圧度が封止処理容器31の内部と同等となる。
【0083】
この状態において各インパルスシーラ5を作動させ、第1の保護フィルム10と第2の保護フィルム20との周縁部同士を加熱・融着し、第1,第2の保護フィルム10,20間に蛍光体パネル4を封止する。以上の各工程を経ることで放射線画像変換パネル1を製造することができる。
【0084】
なお、封止処理容器31の内部の減圧・調整工程では、封止処理容器31の内部の減圧度を所定の減圧度以下にしてから、不活性ガス又は大気をガス導入管34から封止処理容器31の内部に導入して封止処理容器31の内部を目的の減圧度に調整してもよい。
【実施例】
【0085】
本実施例では、放射線画像変換パネルを想定した複数種類の試料を作製し、それら各試料について輝度変化率や鮮鋭性を測定・評価した。
【0086】
(1)試料1〜6,10,11の作製
基板として、20cm×20cmからなる正方形状で厚さが500μmのアルミを8枚準備し、各基板の一方の面に光反射層を形成した。光反射層の形成は、周知の蒸着装置を用いて酸化チタン(フルウチ化学社製)と酸化ジルコニウム(フルウチ化学社製)とを基板上に蒸着することでおこなった。
【0087】
その後、各基板の光反射層上にCsBr:Euからなる輝尽性蛍光体を蒸着し、各基板の光反射層上に輝尽性蛍光体層を形成した。具体的には、始めに、各基板の光反射層を形成した面を蒸着装置の蒸着源に向けた状態で蒸着装置内の真空チャンバー内に各基板を固定して真空チャンバー内を240℃に加温し、その状態で真空チャンバー内に窒素ガスを導入して真空チャンバー内を真空度0.1Paとした。このとき、蒸着源と基板との距離を60cmとした。
【0088】
その後、基板の光反射層を形成した面の法線方向に対して30°の角度で輝尽性蛍光体の蒸気が入射するように、蒸着源と基板との間にアルミニウム製のスリットを配置した。その後、基板を面方向に搬送しながら蒸着をおこない、500μm厚の柱状構造を有する輝尽性蛍光体層を各基板の光反射層上に形成し、8枚の蛍光体パネルを製造した。
【0089】
その後、製造済みの8枚の各蛍光体パネルを周知の恒温槽中に設置して住友スリーエム(株)製ノベックHFE−7100(C4F9OCH3)の有機溶剤ガス雰囲気下において100℃で1時間加熱した。
【0090】
その後、厚さ14μmのPET層と厚さ30μmのCPP層とを積層した第1の保護フィルムと、厚さ188μmのPET層と厚さ30μmのCPP層とを積層した第2の保護フィルムとを準備して、各蛍光体パネルの輝尽性蛍光体層に第1の保護フィルムのCPP層を、各蛍光体パネルの基板に第2の保護フィルムのCPP層を対向させ、その状態で第1,第2の保護フィルムを互いに重ね合わせた。
【0091】
その後、第1,第2の保護フィルムで囲まれた空間を下記表1に示す各減圧度に減圧・調整し、その状態で第1,第2の各保護フィルムの周縁部をインパルスシーラで加熱・融着し、蛍光体パネルを第1,第2の保護フィルムで封止した。そしてこれらの製造物を減圧度に応じて「試料1〜6,10,11」とした。
【0092】
なお、第1,第2の保護フィルム同士の融着に際し、インパルスシーラとしてヒータが3mmのものを使用し、第1の保護フィルムと第2の保護フィルムとの融着部から蛍光体パネルの周縁部までの間隔が3mmとなるように処理した。
【0093】
(2)試料1〜6,10,11の評価
(2−1)輝度変化率の測定
各試料に対して管電圧80kVpのX線を裏面(輝尽性蛍光体層が形成されていない面)から照射した。その後、半導体レーザを各試料の表面(輝尽性蛍光体層が形成された面)上で走査して当該輝尽性蛍光体層を励起させ、当該輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光の光量(光強度)を試料ごとに受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で測定してその測定値を「第1の輝度」とした。
【0094】
その後、各試料を温度40℃,相対湿度90%の温湿環境下に24時間放置し、放置後の各試料に対して上記と同様の処理を施し、各試料の輝尽発光の光量(光強度)を試料ごとに測定してその測定値を「第2の輝度」とした。そして試料ごとに、第1の輝度に対する第2の輝度の割合(=(第2の輝度)/(第1の輝度))を算出して輝度変化率を求めた。算出した輝度変化率を下記表1に示す。ただし、表1中の輝度変化率は、「1.0」であれば輝尽発光量に全く又はほとんど変化がないことを示し、その値が小さいほど輝尽発光量の低下度が大きいことを示している。
【0095】
(2−2)鮮鋭性の評価
各試料に対し、鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を裏面(輝尽性蛍光体層が形成されていない面)から照射し、その後、He−Ne半導体レーザを表面(輝尽性蛍光体層が形成された面)上で走査して蛍光体層を励起させた。その後、当該輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して電気信号に変換し、その電気信号をアナログ/デジタル変換してハードディスクに記録した。
【0096】
その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数(MTF(Modulation Transfer Function))を調査した。その調査結果(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値(%))を「初期MTF値」として下記表1に示す。表1中の調査結果において、MTF値が高いほど鮮鋭性に優れている。
【0097】
その後、各試料を温度40℃,相対湿度90%の温湿環境下に1ヶ月間放置し、放置後の各試料に対して上記と同様の処理を施し、各試料のMTFを試料ごとに調査してその調査結果を「第2のMTF値」とした。そして試料ごとに、初期MTF値に対する第2のMTF値の割合(=(第2のMTF値)/(初期MTF値))を算出してMTF値変化率を求めた。算出したMTF値変化率を下記表1に示す。ただし、表1中のMTF値変化率は、「1.0」であればMTF値に全く又はほとんど変化がなく鮮鋭性に衰えがないことを示し、その値が小さいほどMTF値の低下度が大きく鮮鋭性の衰えが著しいことを示している。
【0098】
【表1】

【0099】
表1に示す通り、第1,第2の保護フィルム間の減圧度を500Paに調整した試料10では、高湿環境での経時変化に対して輝度,MTF値がともに大きく低下し、その結果は良好ではない。減圧度を50000Paに調整した試料11では、第1の保護フィルムと輝尽性蛍光体層との密着が不十分なため、初期MTF値が小さく、実用に供するには不十分である。
【0100】
これに対し、第1,第2の保護フィルム間の減圧度を1000〜30000Paに調整した試料1〜6では、高湿環境での経時変化に対して輝度,MTF値がほとんど変化せず、高湿環境での経時変化に対し耐性を有しており、更に初期MTF値も小さくはなく実用レベルに達している。以上から、第1,第2の保護フィルム間を1000〜30000Paに減圧・調整して蛍光体パネルを封止することが、発光輝度や経時変化に対する特性の低下を防止するのに有用であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】放射線画像変換パネル1の断面図である。
【図2】輝尽性蛍光体パネル4の拡大断面図である。
【図3】封止処理装置30の概略構成を示す図面である。
【図4】放射線画像変換パネル1の製造方法を経時的に表現した概略図面である。
【符号の説明】
【0102】
1 放射線画像変換パネル
2 基板
3 輝尽性蛍光体層
4 輝尽性蛍光体パネル
10,20 保護フィルム
30 封止処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の基板上に気相堆積法で輝尽性蛍光体層が形成された蛍光体パネルを2枚のフィルム間に配置し、前記フィルム間を1000〜30000Paに減圧しながら前記フィルムの側縁部同士を融着し、前記フィルム間に前記蛍光体パネルを封止することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記フィルム間を3500〜10000Paに減圧しながら前記フィルムの側縁部同士を融着することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記輝尽性蛍光体層が多数の柱状結晶から構成されていることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記各柱状結晶が後記一般式(1)で表される化合物から構成されていることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
1X・aM2X’2・bM3X’’3:eA … (1)
(前記一般式(1)中、「M1」はLi,Na,K,Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、「M2」はBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、「M3」はSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga及びInからなる群から選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、「X,X’,X’’」はF,Cl,Br及びIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、「A」はEu,Tb,In,Ga,Cs,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属であり、「a,b,e」はそれぞれ0≦a<0.5,0≦b<0.5,0<e≦0.2の範囲の数値を示す。)
【請求項5】
請求項4に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「M1」がK,Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「M2」がBe,Mg,Ca,Sr及びBaから選ばれる少なくとも一種の二価金属であることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「M3」がY,La,Ce,Sm,Eu,Gd,Lu,Al,Ga及びInからなる群から選ばれる少なくとも一種の三価金属であることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「X」がBr及びIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンであることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか一項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「A」がEu,Cs,Sm,Tl及びNaからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属であることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれか一項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記一般式(1)中、「b」が0≦b≦10-2の範囲の数値を示すことを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【請求項11】
請求項3に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、
前記各柱状結晶が主成分として後記一般式(2)で表される化合物から構成されていることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
CsX:A … (2)
(前記一般式(2)中、「X」はBr又はIを表し、「A」はEu,In,Ga又はCeを表す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−125932(P2006−125932A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312560(P2004−312560)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】