説明

放射線画像撮影方法および装置

【課題】グリッドを用いてステレオ撮影を行う放射線画像撮影装置において、グリッドによる放射線のケラレの影響を低減するとともに、散乱線の影響によるS/Nの劣化も低減する。
【解決手段】2つの撮影方向のうちの一方の撮影方向についてはグリッド30を用いて撮影を行い、他方の撮影方向についてはグリッド30を用いずに撮影を行うとともに、グリッド30を用いない撮影において検出画素信号に基づいて立体視観察用画像信号を構成する単位画素信号を取得する際、グリッド30を用いた撮影において検出画素信号に基づいて単位画素信号を取得する場合よりも多い数の検出画素信号を用いて単位画素信号を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に対して互いに異なる複数の撮影方向から放射線をそれぞれ照射し、撮影方向毎の放射線画像を検出する放射線画像撮影方法および装置に関し、特に、被写体による散乱線を除去するためのグリッドを用いた撮影を行う放射線画像撮影方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の画像を組み合わせて表示することにより、視差を利用して立体視できることが知られている。このような立体視できる画像(以下、立体視画像またはステレオ画像という)は、同一の被写体を異なる方向から撮影して取得された互いに視差のある複数の画像に基づいて生成される。
【0003】
そして、このような立体視画像の生成は、デジタルカメラやテレビなどの分野だけでなく、放射線画像撮影の分野においても利用されている。すなわち、被検者に対して互いに異なる方向から放射線を照射し、その被検者を透過した放射線を放射線画像検出器によりそれぞれ検出して互いに視差のある複数の放射線画像を取得し、これらの放射線画像に基づいて立体視画像を生成することが行われている。そして、このように立体視画像を生成することによって奥行感のある放射線画像を観察することができ、より診断に適した放射線画像を観察することができる。
【0004】
ここで、一般的に放射線画像撮影装置においては、被写体において散乱した散乱線が放射線画像検出器内に入射するのを防止するため、放射線画像検出器の検出面側に、散乱線を除去するためのグリッドが配置される。
【0005】
このような散乱線の問題は、立体視画像を撮影する放射線画像撮影装置においても同様であり、たとえば、特許文献1においては、グリッドを使用してステレオ撮影を行う放射線画像撮影装置が提案されている。
【0006】
しかしながら、ステレオ撮影を行う放射線画像撮影装置においてグリッドを用いた場合、そのグリッドにおける放射線の透過方向に対して放射線の照射方向が傾いている場合には、グリッドによって放射線がケラレてしまうため、放射線画像検出器に照射される放射線の線量が少なくなり、S/Nの低下した放射線画像となってしまう。また、このようなS/Nの低下を防止するために放射線の線量を増加させたのでは被写体の被曝量が増加してしまう。特に、ステレオ撮影の場合には複数枚の放射線画像の撮影が必要なため、被写体の被曝量が多くなるので、上述したような被曝量の増加は好ましくない。
【0007】
そこで、特許文献1においては、グリッドを使用してステレオ撮影を行う際、たとえば、撮影角度が10°を超える場合には、グリッドにおける放射線のケラレによって放射線画像検出器に到達する放射線の線量が減少してしまうことを考慮してグリッドを用いずに撮影を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−233858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のように単純にグリッドなしでの撮影を行うようにしたのでは、やはり散乱線による影響によって放射線画像のS/Nが劣化してしまい好ましくない。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑み、上述したようなグリッドによる放射線のケラレの影響を低減することができるとともに、さらに散乱線の影響によるS/Nの劣化も低減させることができる放射線画像撮影方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の放射線画像撮影装置は、互いに異なる2つの撮影方向からの被写体への放射線の照射による撮影方向毎の放射線画像をそれぞれ検出し、各放射線画像に応じた複数の検出画素信号からなる放射線画像信号をそれぞれ出力する放射線画像検出器と、放射線画像検出器から出力される各放射線画像信号に基づいて、複数の単位画素信号からなる立体視観察用画像信号をそれぞれ取得する立体視画像取得部とを備え、被写体と放射線画像検出器との間に被写体によって発生した散乱線を除去するグリッドが設けられた放射線画像撮影装置において、上記2つの撮影方向のうちの一方の撮影方向についてはグリッドを用いて撮影を行い、他方の撮影方向についてはグリッドを用いずに撮影を行うものであるとともに、立体視画像取得部が、グリッドを用いない撮影において検出画素信号に基づいて単位画素信号を取得する際、グリッドを用いた撮影において検出画素信号に基づいて単位画素信号を取得する場合よりも多い数の検出画素信号を用いて単位画素信号を取得するものであることを特徴とする。
【0012】
また、上記本発明の放射線画像撮影装置においては、立体視画像取得部を、複数の検出画素信号に対して画素密度変換処理を施して単位画素信号を生成するものとできる。
【0013】
また、放射線画像検出器を、複数の検出画素信号を1つの単位画素信号としてまとめて読出し可能なものとするとともに、立体視画像取得部を、放射線画像検出器からの検出画素信号の読出しを制御する読出制御部を備えたものとし、その読出制御部を、グリッドを用いた撮影における単位画素信号に対応する検出画素信号の読出数よりもグリッドを用いない撮影における単位画素信号に対応する検出画素信号の読出数の方が多くなるように放射線画像検出器を制御するものとできる。
【0014】
また、上記2つの撮影方向のうち、その撮影方向と放射線画像検出器の検出面の垂線とのなす角がより大きい方の撮影方向についてグリッドを用いずに撮影を行うものとできる。
【0015】
また、上記一方の撮影方向と放射線画像検出器の検出面の垂線とのなす角を0°とし、上記他方の撮影方向と放射線画像検出器の検出面の垂線とのなす角を4°とすることができる。
【0016】
また、グリッドを移動させるための移動機構を設けることができる。
【0017】
また、グリッドを用いない撮影を行うか否かの選択指示を受け付ける選択指示受付部を設け、選択指示受付部においてグリッドを用いない撮影を行う指示が受け付けられた場合に、上記他方の撮影方向についてはグリッドを用いない撮影を行うものとできる。
【0018】
また、被写体に放射線を照射する放射線照射部を設け、その放射線照射部を、グリッドを用いた撮影の際の放射線の線量よりもグリッドを用いない撮影の際の放射線の線量を低くするものとできる。
【0019】
本発明の放射線画像撮影方法は、互いに異なる2つの撮影方向からの被写体への放射線の照射によって撮影方向毎の放射線画像を放射線画像検出器によってそれぞれ検出し、放射線画像検出器から出力される各放射線画像に応じた複数の検出画素信号からなる各放射線画像信号に基づいて、複数の単位画素信号からなる立体視観察用画像信号をそれぞれ取得する放射線画像撮影方法であって、被写体と放射線画像検出器との間に被写体による散乱線を除去するグリッドを設けて放射線画像の撮影を行う放射線画像撮影方法において、上記2つの撮影方向のうちの一方の撮影方向についてはグリッドを用いて撮影を行い、他方の撮影方向についてはグリッドを用いずに撮影を行うとともに、グリッドを用いない撮影において検出画素信号に基づいて単位画素信号を取得する際、グリッドを用いた撮影において検出画素信号に基づいて単位画素信号を取得する場合よりも多い数の検出画素信号を用いて単位画素信号を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の放射線画像撮影方法および装置によれば、2つの撮影方向のうちの一方の撮影方向についてはグリッドを用いて撮影を行い、他方の撮影方向についてはグリッドを用いずに撮影を行うとともに、グリッドを用いない撮影において検出画素信号に基づいて立体視観察用画像信号を構成する単位画素信号を取得する際、グリッドを用いた撮影において検出画素信号に基づいて単位画素信号を取得する場合よりも多い数の検出画素信号を用いて単位画素信号を取得するようにしたので、グリッドを用いない撮影において、グリッドによる放射線のケラレの影響を低減することができるとともに、散乱線の影響によるS/Nの劣化を低減することができる。
【0021】
なお、グリッドを用いない撮影においては、散乱線の影響によって放射線画像の鮮鋭度も低下することになり、この鮮鋭度の低下については単位画素信号を生成する際に用いられる検出画素信号の数を増やしたとしても改善することはできない。
【0022】
しかしながら、立体視の場合には、一方の目で鮮鋭度が高い画像を見て、他方の目で鮮鋭度が低い画像を見た場合、鮮鋭度が高い画像の方がより強く認識されるので、鮮鋭度が低い画像の影響を抑制することができる。すなわち、グリッドを用いない撮影によって取得された放射線画像よりもグリッドを用いた撮影によって取得された放射線画像の方がより強く認識されるので、グリッドを用いない撮影によって取得された放射線画像の鮮鋭度の低下は特に問題はない。
【0023】
また、本発明の放射線画像撮影方法および装置において、グリッドを用いない撮影を行うか否かの選択指示を受け付け、グリッドを用いない撮影を行う指示が受け付けられた場合に、上記他方の撮影方向についてはグリッドを用いない撮影を行うようにしたので、グリッドを用いない撮影を行うか否かを使用者が任意に選択することができ、撮影対象や用途や使用者の要望に応じた撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の放射線画像撮影装置の一実施形態を用いた乳房画像撮影表示システムの概略構成図
【図2】図1に示す乳房画像撮影表示システムにおいて放射線源ユニットを移動させた状態を示す図
【図3】図1に示す乳房画像撮影表示システムのコンピュータ内部の概略構成を示すブロック図
【図4】本発明の放射線画像撮影装置の一実施形態を用いた乳房画像撮影表示システムの作用を説明するためのフローチャート
【図5】本発明の放射線画像撮影装置のその他の実施形態を用いた乳房画像撮影表示システムにおけるコンピュータ内部の概略構成を示すブロック図
【図6】本発明の放射線画像撮影装置のその他の実施形態を用いた乳房画像撮影表示システムの作用を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の放射線画像撮影装置の一実施形態を用いた乳房画像撮影表示システムについて説明する。図1は、本実施形態の乳房画像撮影表示システム全体の概略構成を示す図である。
【0026】
本実施形態の乳房画像撮影表示システム1は、図1に示すように、乳房画像撮影装置10と、乳房画像撮影装置10に接続されたコンピュータ2と、コンピュータ2に接続されるモニタ3および入力部4とを備えている。
【0027】
乳房画像撮影装置10は、図1に示すように、基台11と、基台11に対し上下方向(Z方向)に移動可能であり、かつ回転可能な回転軸12と、回転軸12により基台11と連結されたアーム部13を備えている。図2には、図1の右方向から見たアーム部13を示している。
【0028】
アーム部13はアルファベットのCの形をしており、その一端には乳房が設置される撮影台14が、その他端には撮影台14と対向するように放射線源ユニット16が取り付けられている。アーム部13の上下方向の移動は、基台11に組み込まれたアームコントローラ31により制御される。
【0029】
撮影台14の内部には、フラットパネルディテクタ等の放射線画像検出器15と、放射線が乳房に照射されることによって発生した散乱線を除去するためのグリッド30と、放射線画像検出器15からの電荷信号の読み出しなどを制御する検出器コントローラ33が備えられている。
【0030】
また、撮影台14の内部には、放射線画像検出器15から読み出された電荷信号を電圧信号に変換するチャージアンプや、チャージアンプから出力された電圧信号をサンプリングする相関2重サンプリング回路や、電圧信号をデジタル信号に変換するAD変換部などが設けられた回路基板なども設置されている。
【0031】
放射線画像検出器15は、放射線画像の記録と読出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生する、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷信号に変換する、いわゆる間接型の放射線画像検出器を用いるようにしてもよい。また、放射線画像信号の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチをオン・オフされることによって放射線画像信号が読みだされる、いわゆるTFT読出方式のものや、読取光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることができる。また、間接型の放射線画像検出器としては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いたものや、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)を用いたものを利用するようにしてもよい。
【0032】
そして、放射線画像検出器15がTFTスイッチやCOMSセンサやCCDを用いたものなど多数の画素回路を2次元状に配列したものである場合には、その各画素回路からそれぞれ検出画素信号が出力される。また、放射線画像検出器15が、光読出方式のものである場合には、点状または線状の読取光の走査によって各読取画素領域からそれぞれ検出画素信号が出力される。この読取画素領域は、読取光の読取ピッチと電荷信号が流れだす線状電極のピッチとによって決定されるものである。
【0033】
なお、上述した放射線画像検出器の詳細な構成については、既に公知であるので省略するものとする。
【0034】
グリッド30は、上述したように散乱線を除去するためのものであり、放射線を吸収する部材と、放射線を透過する部材とが縞状または格子状となるように交互に配置されて形成されたものである。
【0035】
また、撮影台14内には、グリッド30を図1に示す矢印A方向に移動させるグリッド移動機構35(図1においては図示省略、図3参照)が設けられている。グリッド移動機構35は、グリッド30を用いた撮影を行う際には、図1において実線で示す位置にグリッド30を移動し、グリッド30を用いない撮影を行う際には、図1において点線で示す位置にグリッド30を移動させるものである。なお、アーム部13には、図1において点線で示す位置にグリッド30が待避可能なように所定のスペースが設けられているものとする。グリッド移動機構35としては、既知のアクチュエータを用いることができる。グリッド移動機構35の制御方法については、後で詳述する。
【0036】
放射線源ユニット16の中には放射線源17と放射線源コントローラ32とが収納されている。放射線源コントローラ32は、放射線源17から放射線を照射するタイミングと、放射線源17における放射線発生条件(管電流、時間、管電圧等)を制御するものである。
【0037】
また、アーム部13の中央部には、撮影台14の上方に配置され、乳房を押さえつけて圧迫する圧迫板18と、その圧迫板18を支持する支持部20と、支持部20を上下方向に移動させる移動機構19が設けられている。圧迫板18の位置、圧迫圧は、圧迫板コントローラ34により制御される。
【0038】
コンピュータ2は、中央処理装置(CPU)および半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイスなどを備えており、これらのハードウェアによって、図3に示すような制御部40、放射線画像記憶部41および表示制御部42が構成されている。
【0039】
制御部40は、各種のコントローラ31〜34に対して所定の制御信号を出力し、システム全体の制御を行うものである。具体的な制御方法については後で詳述する。
【0040】
放射線画像記憶部41は、互いに異なる2つの撮影方向からの撮影によって放射線画像検出器15によって検出された2枚の放射線画像信号を記憶するものである。
【0041】
表示制御部42は、放射線画像記憶部41から読み出された放射線画像信号に基づいて、ステレオ画像を表示するためのステレオ観察用画像信号を取得するものである。
【0042】
そして、本実施形態の表示制御部42は、図3に示すように、画素密度変換部42aを備えている。この画素密度変換部42aは、放射線画像記憶部41から読み出された放射線画像信号に対して画素密度変換処理を施すものであるが、上述したグリッド30を用いないで撮影して取得された放射線画像信号に対しては画素密度変換処理を施し、グリッド30を用いて撮影して取得された放射線画像信号に対しては画素密度変換処理を施さないものである。
【0043】
そして、グリッド30を用いないで撮影して取得された放射線画像信号に対して施される画素密度変換処理は、たとえば、2×2などの予め設定された複数の検出画素信号を平均化などすることによって、ステレオ観察用画像信号を構成する1つの単位画素信号を生成する処理である。このような画素密度変換処理を施すことによって単位画素信号の実効的な画素サイズが大きくなることになる。
【0044】
なお、単位画素信号を生成するために用いられる検出画素信号の数は2×2に限らず、3×3、4×4など使用者によって任意に設定可能であるものとする。また、複数の検出画素信号を用いて1つの単位画素信号を生成する方法としては、上述したような平均化に限らず、たとえば所定の重み付け係数をそれぞれに掛け合わせて加算するようにしてもよいし、複数の検出画素信号のうちの1つの検出画素信号を代表値とし、この代表値を1つの単位画素信号として用いるようにしてもよい。
【0045】
そして、本実施形態の表示制御部42は、上述したようにグリッド30を用いて撮影して取得された放射線画像信号については、画素密度変換処理を施すことなく、放射線画像信号を構成する1つの検出画素信号を用いてステレオ観察用画像信号を構成する1つの単位画素信号を生成するものである。
【0046】
すなわち、本実施形態の表示制御部42は、グリッド30を用いないで撮影して取得された放射線画像信号については、複数の検出画素信号を用いて1つの単位画素信号を生成し、グリッド30を用いて撮影して取得された放射線画像信号については、1つの検出画素信号を用いて1つの単位画素信号を生成するものである。
【0047】
そして、表示制御部42は、上述したようにして生成した多数の単位画素信号からなるステレオ観察用画像信号に対して所定の信号処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号を用いてモニタ3に乳房のステレオ画像を表示させるものである。なお、このとき、2つの撮影方向からの撮影によって取得された各放射線画像は、モニタ3において同じ大きさとなるように表示される。具体的には、グリッド30を用いないで撮影して取得された放射線画像信号について、たとえば2×2の検出画素信号を平均化などして1つの単位画素信号を取得するようにした場合には、その単位画素信号をモニタ3における2×2の表示画素に割り当てて表示させ、一方、グリッド30を用いて撮影して取得された放射線画像信号については、1つの単位画素信号をモニタ3における1つの表示画素に割り当てて表示させることによって、2つの放射線画像を同じ大きさで表示させる。このように2つの放射線画像の大きさを一致させることによって立体視を適切に行うことができる。
【0048】
入力部4は、たとえば、キーボードやマウスなどのポインティングデバイスから構成されるものであり、所定の撮影条件などの使用者による入力を受け付けるものである。
【0049】
モニタ3は、コンピュータ2において生成された表示制御信号に基づいて、ステレオ画像を表示可能なように構成されたものである。ステレオ画像を表示する構成としては、たとえば、2つの画面を用いて2つの放射線画像をそれぞれ表示させて、これらをハーフミラーや偏光グラスなどを用いることで一方の放射線画像は観察者の右目に入射させ、他方の放射線画像は観察者の左目に入射させることによってステレオ画像を表示する構成を採用することができる。または、たとえば、2つの放射線画像を所定の視差量だけずらして重ね合わせて表示し、これを偏光グラスで観察することでステレオ画像を生成する構成としてもよいし、もしくはパララックスバリア方式およびレンチキュラー方式のように、2つの放射線画像を立体視可能な3D液晶に表示することによってステレオ画像を生成する構成としてもよい。
【0050】
なお、図3に示すグリッド移動機構35は、上述したように図1に示す撮影台14内に設けられるものであり、コンピュータ2の制御部40から出力された制御信号に基づいてグリッド30を移動させるものである。
【0051】
次に、本実施形態の乳房画像撮影表示システムの作用について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0052】
まず、撮影台14の上に被検者Mの乳房が設置され、圧迫板18により乳房が所定の圧力によって圧迫される(S10)。次に、このときグリッド30の位置が、図1に示す点線の位置、すなわちアーム部13内に待避している状態である場合には、グリッド30は、グリッド移動機構35によって図1に示す実線位置、すなわち乳房と放射線画像検出器15の間に移動して設置される(S12)。
【0053】
そして、使用者によって撮影開始指示が入力されると、ステレオ画像を構成する2枚の放射線画像のうちの1枚目の放射線画像の撮影が行われる(S14)。
【0054】
具体的には、まず、制御部40が、予め設定されたステレオ画像の撮影のための撮影角度θを読み出し、その読み出した撮影角度θの情報をアームコントローラ31に出力する。なお、本実施形態においては、撮影角度θの情報としてθ=0°とθ=4°が予め記憶されているものとするが、これに限らず、使用者によって入力部4において任意の撮影角度を設定可能である。特に、θ=4°については、4°以上のその他の撮影角度を設定するようにしてもよい。
【0055】
そして、アームコントローラ31において、制御部40から出力された撮影角度θ=0°とθ=4°の情報が受け付けられ、制御部40から出力された制御信号に応じてアームコントローラ31は、まず、θ=0°の情報に基づいて、図2に示すようにアーム部13が撮影台14に対して垂直な方向となるように制御信号を出力する。
【0056】
そして、このアームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が、撮影台14に対して垂直な方向となった状態において、制御部40は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と放射線画像信号の読出しを行うよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が射出され、その放射線は乳房およびグリッド30を透過する。
【0057】
そして、このような乳房への放射線の照射によって、乳房を0°方向から撮影した放射線画像が放射線画像検出器15によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線画像信号が読み出され、その読み出された放射線画像信号はコンピュータ2の放射線画像記憶部41に記憶される(S16)。
【0058】
続いて、制御部40は撮影角度θ=4°の放射線画像の撮影を行うが、このとき制御部40は、グリッド移動機構35に制御信号を出力し、図1に示す点線位置までグリッド30を移動させて待避させる(S18)。
【0059】
そして、制御部40は、上述したようにグリッド30を待避させた後、撮影角度θ=4°の放射線画像の撮影を行う(S20)。
【0060】
具体的には、まず、制御部40から出力された制御信号に応じてアームコントローラ31が、図2に示すように、アーム部13を撮影台14に垂直な方向に対して+θ°回転するよう制御信号を出力する。すなわち、本実施形態においては、アーム部13を撮影台14に垂直な方向に対して4°回転するよう制御信号を出力する。
【0061】
そして、アームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が4°回転した状態において、制御部40は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と放射線画像信号の読出しを行うよう制御信号を出力する。
【0062】
そして、この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が射出され、乳房を4°方向から撮影した放射線画像が放射線画像検出器15によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線画像信号が読み出され、その読み出された放射線画像信号はコンピュータ2の放射線画像記憶部41に記憶される(S22)。
【0063】
上述したようにして放射線画像記憶部41に記憶された2枚の放射線画像信号は、表示制御部42によって読み出される。そして、表示制御部42は、上述したようにグリッド30を用いないで撮影して取得された放射線画像信号に対しては、すなわち4°方向からの撮影によって取得された放射線画像信号に対しては画素密度変換処理を施してステレオ観察用画像信号を生成する(S24)。一方、グリッド30を用いて撮影して取得された放射線画像信号に対しては、すなわち0°方向からの撮影によって取得された放射線画像信号に対しては画素密度変換処理を施さずにステレオ観察用画像信号を生成する。
【0064】
そして、表示制御部42は、上述したようにして生成した2枚のステレオ観察用画像信号に基づいて表示制御信号を生成し、その表示制御信号をモニタ3に出力する。
【0065】
モニタ3は、入力された表示制御信号に基づいて右目用放射線画像と左目用放射線画像とをそれぞれ表示することによって乳房のステレオ画像を表示する(S26)。
【0066】
上記実施形態の乳房画像撮影表示システムによれば、θ=0°の撮影についてはグリッド30を用いて撮影を行い、θ=4°の撮影についてはグリッド30を用いずに撮影を行うとともに、グリッド30を用いない撮影において検出画素信号に基づいてステレオ観察用画像信号を構成する単位画素信号を取得する際、グリッド30を用いた撮影において検出画素信号に基づいて単位画素信号を取得する場合よりも多い数の検出画素信号を用いて単位画素信号を取得するようにしたので、グリッド30を用いない撮影において、グリッドによる放射線のケラレの影響を低減することができるとともに、散乱線に起因するS/Nの劣化を低減することができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、グリッド30を用いて撮影して取得された放射線画像信号に対しては画素密度変換処理を施さないようにしたが、必ずしもこれに限らず、グリッド30を用いて撮影して取得された放射線画像信号に対しても画素密度変換処理を施すようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態においては、放射線画像検出器15から読み出された放射線画像信号に対して画素密度変換処理を施すことによって複数の検出画素信号から1つの単位画素信号を生成するようにしたが、上述したように画素密度変換処理を行うのではなく、放射線画像検出器15において検出された各検出画素信号を読み出す際に、いわゆるビニング読出しを行うことによって複数の検出画素信号から1つの単位画素信号を取得するようにしてもよい。なお、たとえば放射線画像検出器15としてTFTスイッチやCMOSスイッチやCCDを用いたものを利用する場合には、複数の画素回路によって検出された検出画素信号を1つの単位画素信号としてまとめて読み出すことによって上述したビニング読出しを行うことができる。また、放射線画像検出器15として光読出方式のものを利用する場合には、読取光の照射範囲あるいは信号読取時間を制御することによって上述したビニング読出しを行うことができる。
【0069】
または、放射線画像検出器15から検出画素信号を読み取るときには1画素ずつ読み取り、その読み取った検出画素信号に対して補正処理を施して補正画像を作成する際に、複数の検出画素信号を用いて補正処理済の1つの単位画素信号を取得するようにしてもよい。
【0070】
図5は、上述したビニング読出しを行う場合のコンピュータ2の構成を示すブロック図である。図5に示すように制御部40に読出制御部40aを設け、この読出制御部40aによって上記ビニング読出しを制御する。以下、図6に示すフローチャートを参照しながら、図5に示す構成の乳房画像撮影表示システムの作用について説明する。
【0071】
まず、被検者Mの乳房の設置およびグリッド30の設置については、図4に示すフローチャートのS10〜S12と同様である(S30,S32)
そして、使用者によって撮影開始指示が入力されると、ステレオ画像を構成する2枚の放射線画像のうちの1枚目の放射線画像の撮影が行われる(S34)。
【0072】
具体的には、上記実施形態と同様にして、アームコントローラ31において、制御部40から出力された撮影角度θ=0°とθ=4°の情報が受け付けられ、制御部40から出力された制御信号に応じてアームコントローラ31は、まず、θ=0°の情報に基づいて、図2に示すようにアーム部13が撮影台14に対して垂直な方向となるように制御信号を出力する。
【0073】
そして、このアームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が、撮影台14に対して垂直な方向となった状態において、制御部40は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と放射線画像信号の読出しを行うよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が射出され、その放射線は乳房およびグリッド30を透過する。
【0074】
そして、このような乳房への放射線の照射によって、乳房を0°方向から撮影した放射線画像が放射線画像検出器15によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線画像信号が読み出されるが、このとき読出制御部40aはビニング読出しを行わないように検出器コントローラ33に制御信号を出力する。すなわち、放射線画像検出器15において検出された各検出画素信号をそのまま読み出すように検出器コントローラ33に制御信号を出力する。そして、検出器コントローラ33によって各検出画素信号がそのまま読出され、その読み出された多数の検出画素信号からなる放射線画像信号がコンピュータ2の放射線画像記憶部41に記憶される(S36)。
【0075】
続いて、制御部40は撮影角度θ=4°の放射線画像の撮影を行うが、このとき制御部40は、上記実施形態と同様に、グリッド移動機構35に制御信号を出力し、図1に示す点線位置までグリッド30を移動させて待避させる(S38)。
【0076】
そして、制御部40は、上述したようにグリッド30を待避させた後、撮影角度θ=4°の放射線画像の撮影を行う(S40)。
【0077】
具体的には、まず、制御部40から出力された制御信号に応じてアームコントローラ31が、図2に示すように、アーム部13を撮影台14に垂直な方向に対して+θ°回転するよう制御信号を出力する。すなわち、本実施形態においては、アーム部13を撮影台14に垂直な方向に対して4°回転するよう制御信号を出力する。
【0078】
そして、アームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が4°回転した状態において、制御部40は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と放射線画像信号の読出しを行うよう制御信号を出力する。
【0079】
そして、この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が射出され、乳房を4°方向から撮影した放射線画像が放射線画像検出器15によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線画像信号が読み出されるが、このとき読出制御部40aはビニング読出しを行うように検出器コントローラ33に制御信号を出力する(S42)。すなわち、放射線画像検出器15において検出された各検出画素信号を読み出す際、ビニング読出しを行うように検出器コントローラ33に制御信号を出力する。ここでいうビニング読出しとは、放射線画像検出器15から検出画素信号を読み出す際に、複数の検出画素信号を1つの単位画素信号を生成するものとしてまとめて読み出す方法であり、たとえば、2×2の4つの検出画素信号をまとめて読み出すようにする。
【0080】
そして、検出器コントローラ33によってビニング読出しが行われることにより、複数の検出画素信号が1つの単位画素信号を生成するものとしてまとめて読み出され、その単位画素信号からなるステレオ観察用画像信号がコンピュータ2の放射線画像記憶部41に記憶される(S44)。なお、このときビニング読出しによって取得されたステレオ観察用画像信号は、そのままの画像サイズで記憶するようにしてもよいし、もう一方のビニング読出しを行うことなく取得されたステレオ観察用画像信号に合わせた画像サイズに変換して記憶するようにしてもよい。たとえば2×2の4つの検出画素信号をビニング読出しして1つの単位画素信号を取得するようにした場合には、その単位画素信号を4つの表示画素の画素値にして記憶するようにしてもよい。
【0081】
次に、表示制御部42は、ビニング読出しを行うことなく放射線画像検出器15から読み出されて放射線画像記憶部41に記憶された放射線画像信号をステレオ観察用画像信号として読み出すとともに、ビニング読出しを行って放射線画像検出器15から読み出されて放射線画像記憶部41に記憶されたステレオ観察用画像信号とを読み出し、これらのステレオ観察用画像信号に基づいて表示制御信号を生成し、その表示制御信号をモニタ3に出力する。
【0082】
モニタ3は、入力された表示制御信号に基づいて右目用放射線画像と左目用放射線画像とをそれぞれ表示することによって乳房のステレオ画像を表示する(S46)。このとき、ビニング読出しによって取得された放射線画像は、ビニング読出しを行うことなく取得された放射線画像と同じ大きさとなるように表示される。
【0083】
また、上記実施形態においては、グリッド30を用いた撮影によって検出された検出画素信号を読み出す際にはビニング読出しを行わないようにしたが、必ずしもこれに限らず、グリッド30を用いた撮影によって検出された検出画素信号を読み出す際にもビニング読出しを行うようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、撮影角度θ=4°の撮影の際にグリッド30を用いないようにしたが、さらに、グリッドを用いない撮影を行うか否かの選択指示を入力部4において受け付けるようにし、入力部4においてグリッド30を用いない撮影を行う指示が受け付けられた場合に、撮影角度θ=4°についてグリッド30を用いない撮影を行うようにしてもよい。そして、入力部4においてグリッド30を用いない撮影を行なわない指示が受け付けられた場合には、撮影角度θ=4°についても撮影角度θ=0°の撮影と同様に、グリッド30を用いた撮影を行うようにしてもよい。このようにグリッド無しの撮影を行うか否かを選択可能にすることによって、撮影対象の種類や使用者の要望に応じて、より適切な撮影方法を選択することができる。なお、撮影角度θ=4°についても撮影角度θ=0°の撮影と同様に、グリッド30を用いた撮影を行う場合には、上述したような画素密度変換処理やビニング読出しは行わないものとする。
【0085】
また、上記実施形態においては、撮影角度θ=0°と撮影角度θ=4°とについて撮影を行うようにし、撮影角度θ=4°についてグリッド30を用いない撮影を行うようにしたが、たとえば2つの撮影角度として別の撮影角度を採用した場合には、2つの撮影角度のうち、放射線画像検出器15の検出面の垂線とのなす角がより大きい方の撮影角度についてグリッド30を用いない撮影を行うようにすることが望ましい。なお、2つの撮影角度として、たとえば±2°といったように同じ大きさの撮影角度を採用するようにしてもよく、この場合には、グリッド30を用いない撮影はどちらの撮影角度で行うようにしてもよい。ただし、上述した画素密度変換処理やビニング読出しについては、グリッド30を用いない撮影の際に行うものとする。
【0086】
また、上記実施形態において、グリッド30を用いた撮影の際に乳房に照射される放射線の線量よりもグリッド30を用いない撮影の際に乳房に照射される放射線の線量の方が低くなるように放射線源17を制御するようにしてもよい。なお、通常、放射線の線量を低くした場合には放射線画像の粒状劣化が生じるが、上記実施形態のように画素密度変換処理やビニング読出しを行った場合には、この粒状劣化を抑制することができる。また、上述したように放射線の線量を低くすることによって被検者の被曝量を低減することができる。
【0087】
また、上記実施形態においては、本発明の放射線画像撮影装置を乳房画像撮影表示システムに適用するようにしたが、被写体は乳房に限定されるものではなく、乳房以外の胸部撮影用などのいわゆる一般撮影用の放射線画像撮影装置に適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 乳房画像撮影表示システム
2 コンピュータ
3 モニタ
4 入力部
10 乳房画像撮影装置
13 アーム部
15 放射線画像検出器
16 放射線源ユニット
17 放射線源
18 圧迫板
30 グリッド
35 グリッド移動機構
40 制御部
40a 読出制御部
41 放射線画像記憶部
42 表示制御部
42a 画素密度変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる2つの撮影方向からの被写体への放射線の照射による前記撮影方向毎の放射線画像をそれぞれ検出し、前記各放射線画像に応じた複数の検出画素信号からなる放射線画像信号をそれぞれ出力する放射線画像検出器と、該放射線画像検出器から出力される各放射線画像信号に基づいて、複数の単位画素信号からなる立体視観察用画像信号をそれぞれ取得する立体視画像取得部とを備え、前記被写体と前記放射線画像検出器との間に前記被写体によって発生した散乱線を除去するグリッドが設けられた放射線画像撮影装置において、
前記2つの撮影方向のうちの一方の撮影方向については前記グリッドを用いて撮影を行い、他方の撮影方向については前記グリッドを用いずに撮影を行うものであるとともに、
前記立体視画像取得部が、前記グリッドを用いない撮影において前記検出画素信号に基づいて前記単位画素信号を取得する際、前記グリッドを用いた撮影において前記検出画素信号に基づいて前記単位画素信号を取得する場合よりも多い数の前記検出画素信号を用いて前記単位画素信号を取得するものであることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記立体視画像取得部が、複数の前記検出画素信号に対して画素密度変換処理を施して前記単位画素信号を生成するものであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記放射線画像検出器が、複数の前記検出画素信号を1つの前記単位画素信号としてまとめて読出し可能なものであるとともに、
前記立体視画像取得部が、前記放射線画像検出器からの前記検出画素信号の読出しを制御する読出制御部を備え、
該読出制御部が、前記グリッドを用いた撮影における前記単位画素信号に対応する前記検出画素信号の読出数よりも前記グリッドを用いない撮影における前記単位画素信号に対応する前記検出画素信号の読出数の方が多くなるように前記放射線画像検出器を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記2つの撮影方向のうち、該撮影方向と前記放射線画像検出器の検出面の垂線とのなす角がより大きい方の撮影方向について前記グリッドを用いずに撮影を行うものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記一方の撮影方向と前記放射線画像検出器の検出面の垂線とのなす角が0°であり、前記他方の撮影方向と前記放射線画像検出器の検出面の垂線とのなす角が4°であることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記グリッドを移動させるための移動機構を備えたものであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記グリッドを用いない撮影を行うか否かの選択指示を受け付ける選択指示受付部を備え、
前記選択指示受付部において前記グリッドを用いない撮影を行う指示が受け付けられた場合に、前記他方の撮影方向については前記グリッドを用いない撮影を行うものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記被写体に前記放射線を照射する放射線照射部を備え、
該放射線照射部が、前記グリッドを用いた撮影の際の前記放射線の線量よりも前記グリッドを用いない撮影の際の前記放射線の線量を低くするものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
互いに異なる2つの撮影方向からの被写体への放射線の照射によって前記撮影方向毎の放射線画像を放射線画像検出器によってそれぞれ検出し、前記放射線画像検出器から出力される前記各放射線画像に応じた複数の検出画素信号からなる各放射線画像信号に基づいて、複数の単位画素信号からなる立体視観察用画像信号をそれぞれ取得する放射線画像撮影方法であって、前記被写体と前記放射線画像検出器との間に前記被写体による散乱線を除去するグリッドを設けて前記放射線画像の撮影を行う放射線画像撮影方法において、
前記2つの撮影方向のうちの一方の撮影方向については前記グリッドを用いて撮影を行い、他方の撮影方向については前記グリッドを用いずに撮影を行うとともに、
前記グリッドを用いない撮影において前記検出画素信号に基づいて前記単位画素信号を取得する際、前記グリッドを用いた撮影において前記検出画素信号に基づいて前記単位画素信号を取得する場合よりも多い数の前記検出画素信号を用いて前記単位画素信号を取得することを特徴とする放射線画像撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−492(P2013−492A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137154(P2011−137154)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】