説明

放射線画像照射装置、及び放射線画像検出システム

【課題】大きさの異なる全てのカセッテと安定して電気的に接続して、充電又は放射線画像の出力を行う。
【解決手段】放射線照射装置14は、放射線を被写体19に照射する放射線照射部17と、データの送信先を示すコンソールIDを含む情報を受信する制御部34のI/Oポートと、放射線照射装置14から照射されて被写体19を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データを生成する放射線検出器25、コンソールIDを記憶するHDD55b、コンソールIDがHDD55bに記憶されるように制御するCPU55c、及び生成した画像データをHDD55bに記憶されたコンソールIDで示される送信先に送信する通信部53を備えた電子カセッテ12がカセッテ装着部38に装着されているときに、受信されたコンソールIDがHDD55bに記憶されるように制御する制御手段としての変調回路48、LEDドライバ50、及びLED61とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線画像照射装置、及び放射線画像検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin film transistor)アクティブマトリクス基板上にX線感応層を配置し、X線を直接デジタルデータに変換できるFPD(flat panel detector)が実用化されており、このFPD等を用いて被検体等の被写体を透過して照射された放射線により表わされる放射線画像を示す画像データを生成し、生成した画像データを記憶する可搬型放射線画像検出装置(以下「電子カセッテ」とも呼ぶ)が実用化されている。
【0003】
電子カセッテを用いた放射線画像検出システムでは、コントローラ(以下「コンソール」とも呼ぶ)等から入力された撮像条件などの情報に基づいて撮像を行い、電子カセッテで生成された画像データをコントローラへ送信し、コントローラで受信した画像データに基づく画像をディスプレイ等に表示することにより、撮像した画像を確認することが行われている。
【0004】
ここで、電子カセッテは、可搬性を有し取り扱いも容易であるため、同時に複数の電子カセッテを使用することができ、また、コントローラも同一場所に複数設置されている場合があり、その場合には、どの電子カセッテの画像データをどのコントローラへ送信するかを特定してから送信する必要がある。
【0005】
そこで、従来の放射線画像撮影システムでは、撮影に使用するカセッテに内蔵されている輝尽性蛍光体シートを識別するためのシートID番号を示すバーコードをコントローラで読み取り、コントローラを識別するためのコントローラIDと共にサーバへ記憶しておき、カセッテから画像データを読み出して送信する際には、画像読取装置でシートIDを読み取り、サーバへ記憶されているシートIDと対応付けられているコントローラIDを取得し、コントローラIDが示すコントローラへ画像データを送信することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、特許文献1の放射線画像撮影システムでは、コントローラ側から受信したい画像データを保持しているカセッテが挿入されている画像読取装置へコントローラIDを送信し、画像データの返送を要求することにより、特定のコントローラへ画像データを送信することが提案されている。
【特許文献1】特開2002−159476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の放射線画像撮影システムでは、電子カセッテ毎にコントローラIDの登録を行う必要があり、特に、撮影室とコントローラの設置場所とが離れている場合などには煩雑である。また、コントローラIDを登録するために電子カセッテを持ち運ぶのは非常に面倒である。更に、一旦電子カセッテに登録したコントローラIDを保持して、常に特定のコントローラに対しては同じ電子カセッテを使用するようにすると、電子カセッテの柔軟な使用が妨げられる、という問題がある。
【0008】
また、コントローラ側から所望の画像データを保持している電子カセッテを指定する場合では、電子カセッテが撮影室の各所または別の部屋に存在する場合や、電子カセッテの機種が同じで一見して識別困難な場合などには、電子カセッテの指定に誤りが生じる場合があり、その場合には、結果として特定のコントローラへ画像データを送信できない、という問題がある。
【0009】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、電子カセッテ(放射線画像検出装置)で生成された画像データを受信可能な装置が複数存在する場合であっても、簡易かつ確実に特定の装置へ画像データを送信することができる放射線照射装置、及び放射線画像検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る放射線照射装置は、放射線を被写体に照射する放射線照射手段と、データの送信先を示す識別情報を含む情報を受信する受信手段と、前記放射線照射手段から照射されて被写体を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データを生成する画像データ生成手段、前記識別情報を記憶する記憶手段、前記識別情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する記憶制御手段、及び前記生成した画像データを前記記憶手段に記憶された識別情報で示される送信先に送信する送信手段を備えた放射線画像検出装置が装着されているときに、前記受信手段で受信された識別情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する制御手段とを含んで構成されている。
【0011】
第1の発明に係る放射線照射装置によれば、データの送信先を示す識別情報を含む情報が、装着された放射線画像検出装置の記憶手段に記憶されるように制御するので、放射線検出装置を持ち歩くことなく、放射線検出装置が画像データを送信する際の送信先の情報を記憶しておくことができ、これにより、放射線画像検出装置で生成された画像データを受信可能な装置が複数存在する場合であっても、簡易かつ確実に特定の装置へ画像データを送信することができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、第2の発明に係る放射線照射装置は、放射線を被写体に照射する放射線照射手段と、データの送信先を示す識別情報を含む情報を受信する受信手段と、前記放射線照射手段から照射された放射線の放射野を確認するための光を照射する光照射手段と、前記放射線照射手段から照射されて被写体を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データを生成する画像データを生成する画像データ生成手段、光を受光する受光手段、前記識別情報を記憶する記憶手段、前記受光手段で受光された光に重畳された識別情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する記憶制御手段、及び前記生成した画像データを前記記憶手段に記憶された識別情報で示される送信先に送信する送信手段を備えた放射線画像検出装置が装着されているときに、前記受信手段で受信された識別情報が重畳された光が照射されるように前記光照射手段を制御する制御手段とを含んで構成されている。
【0013】
第2の発明に係る放射線照射装置によれば、放射線画像検出装置が装着されているときに、データの送信先を示す識別情報が重畳された光が照射される。このとき、放射線画像検出装置では、この照射された光が受光され、受光された光に重畳された識別情報を記憶手段に記憶するように制御されるので、放射線検出装置を持ち歩くことなく、放射線検出装置が画像データを送信する際の送信先の情報を記憶しておくことができ、これにより、放射線画像検出装置で生成された画像データを受信可能な装置が複数存在する場合であっても、簡易かつ確実に特定の装置へ画像データを送信することができる。
【0014】
また、上記目的を達成するために、第3の発明に係る放射線画像検出システムは、放射線を被写体に照射する放射線照射手段、データの送信先を示す識別情報を含む情報を受信する受信手段、前記放射線照射手段から照射された放射線の放射野を確認するための光を照射する光照射手段、及び前記受信手段で受信された識別情報が重畳された光が照射されるように前記光照射手段を制御する第1の制御手段を備えた放射線照射装置と、前記放射線照射手段から照射されて被写体を透過した放射線の照射量に応じた画像を示す画像データを生成する画像データ生成手段、光を受光する受光手段、前記識別情報を記憶する記憶手段、前記受光手段で受光された光に重畳された識別情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する第2の制御手段、及び前記生成した画像データを前記記憶手段に記憶された識別情報で示される送信先に送信する送信手段を備えた放射線画像検出装置とを含んで構成されている。
【0015】
第3の発明に係る放射線画像検出システムによれば、放射線画像検出装置が装着されているときに、データの送信先を示す識別情報が重畳された光が照射される。このとき、放射線画像検出装置では、この照射された光が受光され、受光された光に重畳された識別情報を記憶手段に記憶するように制御されるので、放射線検出装置を持ち歩くことなく、放射線検出装置が画像データを送信する際の送信先の情報を記憶しておくことができ、これにより、放射線画像検出装置で生成された画像データを受信可能な装置が複数存在する場合であっても、簡易かつ確実に特定の装置へ画像データを送信することができる。
【0016】
また、前記第2の制御手段は、前記受光手段で光が受光された場合に、前記画像データ生成手段及び前記送信手段に動作するための動作電力が供給されるように制御し、前記送信手段による画像データの送信が完了した場合には、前記画像データ生成手段及び前記送信手段に供給される電力が前記動作電力より小さい電力が供給されるように制御することができる。これにより、画像データを生成し、生成した画像データを送信する動作を行う場合のみ動作電力が供給され、この場合以外では供給される電力が、動作電力より小さい電力であるので、動作電力を必要としないときに不必要な電力を供給せずにすみ、省エネを図ることができる。
【0017】
また、前記第1の制御手段は、更に、前記画像データ生成手段によって画像データが生成されてから前記送信手段によって画像データが送信されるまでの1つのジョブを特定するための情報が重畳された光が送信されるように前記光照射手段を制御することができる。この1つのジョブを特定するための情報に、前記被写体を識別するための識別情報及び撮影条件を表す情報の少なくとも一方の情報を含めるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る放射線照射装置、及び放射線画像検出システムによれば、放射線画像検出装置で生成された画像データを受信可能な装置が複数存在する場合であっても、簡易かつ確実に特定の受信装置へ画像データを送信することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る放射線画像検出システム10は、可搬性を有し、画像情報を担持した放射線が照射される毎に画像情報を画像データに変換して記憶し、画像データを無線によって送信可能な電子カセッテ12と、放射線照射装置14と、コンソール16とを備えている。なお、電子カセッテ12は、本発明に係る放射線画像検出装置に対応する。
【0021】
図2(A)に示すように、電子カセッテ12は、放射線画像の撮影時に、放射線照射装置14のカセッテ装着部15に装着されることにより、エックス線(X線)等の放射線を照射する放射線照射部17と間隔を空けて配置される。このときの放射線照射部17と電子カセッテ12との間は、被写体19が位置するための撮影位置とされており、放射線画像の撮影が指示されると、放射線照射部17は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線を射出する。放射線照射部17から射出された放射線は、撮影位置に位置している被写体19を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ12に照射される。
【0022】
図2(B)に示すように、電子カセッテ12は、放射線Xを透過させる材料から成り厚みを有する矩形平板状のケーシング(筐体)20によって覆われており、ケーシング20の内部には、ケーシング20のうち放射線Xが照射される照射面22側から順に、被写体19を透過することに伴って生ずる放射線Xの散乱線を除去するグリッド23、放射線Xを検出する放射線検出器(放射線検出パネル)25、及び放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板27が配設されている。なお、ケーシング20の照射面22をグリッド23で構成してもよい。また、ケーシング20の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む各種回路(後述)を収容するケース31が配置されている。ケース31内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース31の照射面22側には鉛板等を配設しておくことが望ましい。
【0023】
電子カセッテ12の放射線検出器25は、図3に示すTFTアクティブマトリクス基板33上に、放射線を吸収して電荷に変換する電荷発生層が積層されて構成されている。電荷発生層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)から成り、放射線が照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線を電荷へ変換する。また、TFTアクティブマトリクス基板33上には、電荷発生層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量35と、蓄積容量35に蓄積された電荷を読み出すためのTFT37を備えた画素部39(図3では個々の画素部39に対応する光電変換層を光電変換部41として模式的に示している)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ12への放射線の照射に伴って電荷発生層で発生された電荷は、個々の画素部39の蓄積容量35に蓄積される。これにより、電子カセッテ12に照射された放射線に担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器25に保持される。
【0024】
また、TFTアクティブマトリクス基板33には、一定方向(行方向)に延設され個々の画素部39のTFT37をオンオフさせるための複数本のゲート配線43と、ゲート配線43と直交する方向(列方向)に延設されオンされたTFT37を介して蓄積容量35から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線45が設けられている。個々のゲート配線43はゲート線ドライバ47に装着されており、個々のデータ配線45は信号処理部49に装着されている。個々の画素部39の蓄積容量35に電荷が蓄積されると、個々の画素部39のTFT37は、ゲート線ドライバ47からゲート配線43を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT37がオンされた画素部39の蓄積容量35に蓄積されている電荷は、電荷信号としてデータ配線45を伝送されて信号処理部49に入力される。従って、個々の画素部39の蓄積容量35に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0025】
図示は省略するが、信号処理部49は、個々のデータ配線45毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線45を伝送された電荷信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D変換器が順に装着されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。信号処理部49には画像メモリ51が装着されており、信号処理部49のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ51に順に記憶される。画像メモリ51は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ51に順次記憶される。なお、放射線検出器25、TFTアクティブマトリクス基板33、蓄積容量35、TFT37、画素部39、光電変換部41、ゲート配線43、データ配線45、ゲート線ドライバ47、及び信号処理部49は、本発明の画像データ生成手段に対応する。
【0026】
また、電子カセッテ12は、コンソール16との間で無線通信によりデータの送受信を行うための通信部53、制御部55、放射線照射装置14との間で光通信によりデータの受信を行うための光通信部(光受信部)57を備えている。
【0027】
通信部53は、無線電波を送受信するためのアンテナ53a、及びRF(Radio Frequency)回路53bを備えている。RF回路53bは、所定の周波数帯におけるデータの送受信を行う送受信回路を有する。RF回路53bは、アンテナ53aを介して受信した無線電波の信号を増幅、周波数変換、及び復調して制御装置55に出力する処理(いわゆる受信処理)、及び制御装置55から入力されたデータを変調、周波数変換及び増幅を行ってアンテナ53aを介して無線電波として出力する処理(いわゆる送信処理)を行うことにより、無線通信処理を行う。
【0028】
光通信部57は、受光素子57a、増幅回路57b、及び復調回路57cを備えている。受光素子57aは、電子カセッテ12がカセッテ装着部15に装着されているときに、放射線照射装置14から照射された光を受光可能な位置に設けられており、受光した光を電気信号に変換して出力する。なお、受光素子57aは、例えばフォトダイオードを含んで構成される。増幅回路57bは、受光素子57aに接続されており、受光素子57aからの電気信号を増幅して出力する。復調回路57cは、増幅回路57bに接続されており、増幅された電気信号を復調して、受光素子57aで受光した光に重畳されたデータを出力する。したがって、光通信部57によって放射線照射装置14から照射された光に重畳されたデータを取り出すことが可能となる。
【0029】
制御部55は、ROM(Read Only Memory)55a、HDD(Hard Disk Drive)55b、CPU(Central Processing Unit)55c、RAM(Random Access Memory)55d、及びI/O(入出力)ポート55eを備えている。これらROM55a、HDD55b、CPU55c、RAM55d、及びI/Oポート55eは互いにバス55fで接続されている。
【0030】
記憶媒体としてのROM55aには、OS等の基本プログラム、及び各種処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0031】
記憶媒体としてのHDD55bには、詳細を以下で説明する画像データ送信処理の処理ルーチンを実行するためのプログラムが記憶されている。
【0032】
CPU55cは、プログラムをROM55a及びHDD55bから読み出して実行する。
【0033】
RAM55dには、各種データが一時的に記憶される。
【0034】
I/Oポート55eには、上述した画像メモリ51、受光素子57a、増幅回路57b、復調回路57c、RF回路53b、及びその他各種回路・素子が接続されている。
【0035】
また、電子カセッテ12には、電子カセッテ12を動作させるために各種回路・素子へ電力を供給する電源部80が更に設けられている。この電源部80は、I/Oポート55eに接続されており、制御部55の制御によって、電源部80により各種回路・素子へ供給される電力の電力量が制御される。電源部80としては、電子カセッテ12の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵し、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する構成が好適であるが、バッテリとして一次電池を用いてもよいし、商用電源に常時装着され商用電源から供給された電力を整流、変圧して各種回路・素子へ電力を供給する構成であってもよい。
【0036】
コンソール16は、モニタ24、ユーザの指示等を受け付けるための入力装置26、無線電波を送受信するためのアンテナ28、RF(Radio Frequency)回路30、及びコンソール制御装置32を備えている。
【0037】
モニタ24は、入力された情報に基づいた画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)を含んで構成されている。
【0038】
入力装置26は、キーボードやマウスから構成されており、このキーボードやマウスをユーザが操作することによって、ユーザの指示等を受け付ける。
【0039】
RF回路30は、所定の周波数帯におけるデータの送受信を行う送受信回路を有する。RF回路30は、アンテナ28を介して受信した無線電波の信号を増幅、周波数変換、及び復調してコンソール制御装置32に出力する処理(いわゆる受信処理)、及びコンソール制御装置32から入力されたデータを変調、周波数変換及び増幅を行ってアンテナ28を介して無線電波として出力する処理(いわゆる送信処理)を行うことにより、無線通信処理を行う。
【0040】
コンソール制御装置32は、ROM(Read Only Memory)32a、HDD(Hard Disk Drive)32b、CPU(Central Processing Unit)32c、RAM(Random Access Memory)32d、及びI/O(入出力)ポート32eを備えている。これらROM32a、HDD32b、CPU32c、RAM32d、及びI/Oポート32eは互いにバス32fで接続されている。
【0041】
記憶媒体としてのROM32aには、OS等の基本プログラムが記憶されている。
【0042】
記憶媒体としてのHDD32bには、詳細を以下で説明するX線照射処理、及び画像データ受信処理の各処理ルーチンを実行するための各プログラムが記憶されている。
【0043】
CPU32cは、プログラムをROM32a及びHDD32bから読み出して実行する。
【0044】
RAM32dには、各種データが一時的に記憶される。
【0045】
I/Oポート32eには、上述したモニタ24、入力装置26、及びRF回路30が接続されている。また、I/Oポート32eには、放射線照射装置14が接続されている。
【0046】
放射線照射装置14は、制御部34、放射線(本実施の形態ではX線)を照射する照射系36、カセッテ装着部15、放射線照射制御部42、フィルタ制御部44、可動絞り制御部46、変調回路48、LEDドライバ50、及び操作パネル52を備えている。
【0047】
照射系36は、放射線としてX線を照射する放射線照射部17、放射されたX線を線質硬化させるフィルタ40、及びX線の出力範囲を制御する可動絞り装置54を備えている。
【0048】
放射線照射部17は、高電圧発生装置(図示せず)から高電圧の印可を受けると、X線を発生する。このX線の発生オペレーションは、放射線照射制御部42及び制御部34により制御されている。
【0049】
フィルタ40は、検査目的や撮影しようとする被写体19の部位の特性に応じた線質硬化を得るために、種々の金属板等でできたフィルタを挿入引抜して、自由に差替え可能に構成される。このフィルタの交換等は、フィルタ制御部44により駆動・制御される。
【0050】
可動絞り装置54は、図4に示すように、光照射野Lを形成する光照射野形成部56、X線照射野Xを制限するX線照射野制限部58、及び反射鏡59の位置を検出して可動絞り装置54の安全性を確認する反射鏡位置検出部60を備えている。光照射野形成部56、X線照射野制限部58、及び反射鏡位置検出部60の各々は、可動絞り装置54全体を制御する可動絞り制御部46に接続されている。
【0051】
放射線照射装置14はこのように構成されるので、X線は、まず、放射線照射部17のX線窓から放出され、線質を硬化させるフィルタ40と、X線照射野Xを必要最低限に絞って被曝量低減を促進するための可動絞り装置54とを通過して、被写体19に照射される。そして、被写体19を透過したX線は、カセッテ装着部15に装着された電子カセッテ12に照射されて、電子カセッテ12で、被写体を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データが生成される。
【0052】
前述の光照射野形成部56は、放射線照射部17から照射される放射線の放射野を確認するための光を照射する光照射手段としてのLED61、LED61からの光の放射範囲制限用のマスク62、反射鏡59及び反射鏡駆動部63とを備える。
【0053】
反射鏡59は、その設置位置において照射野全範囲を覆う大きさをもつ、X線が透過しやすい薄いガラスなどにアルミ蒸着により反射面を作ってなるもので、放射線照射部17のX線放射窓から所定距離離れた照射野全範囲を覆う位置に、X線中心軸と45゜の傾斜角度をもって反射面をLED61側に向けて設置されている。
【0054】
また、この反射鏡59は回転軸64を有し、モータまたはソレノイド等を備える反射鏡駆動部63によりこの回転軸64廻りを、X線経路内の正規位置とX線経路外の退避位置との間で回動する。そして、操作パネル52からの入力指示等により制御部34を介して、可動絞り制御部46の制御に基づいて、X線経路内の正規位置に駐止したり、またはX線経路外の退避位置に駐止したりさせることができる。
【0055】
LED61は、その中心位置が放射線照射部17の焦点Fから反射鏡59の背面までの距離と等しく、かつその光中心軸がX線中心軸に直交するように向けて、すなわち共役な位置に、設置されている。なお、LED61が共役な位置にあれば、反射鏡59は必ずしもX線中心軸と45゜の傾斜角度をもつ必要はない。
【0056】
マスク62は、上記のようにLED61及び反射鏡59が設置されたときに、X線照射野とLED61からの可視光照射野の大きさが一致するように光の放射範囲(角度)を制限する。
【0057】
これにより、X線を実際に照射することなく、照射目的物上でのX線照射野(照射範囲)を可視光(可視光照射野)にて確認することができる。
【0058】
X線照射野制限部58は、複数枚の絞り羽根65と絞り羽根65を広狭可変に設定する絞り羽根駆動部66とを備える。
【0059】
絞り羽根65は、X線遮蔽材からなり、移動可能に備えられる。この複数枚の絞り羽根65の配置関係を、操作パネル52からの入力指示により、制御部34を介して可動絞り制御部46の制御に基づいて調整することにより所望の開度が得られ、上記X線照射野Xを得ることができる。
【0060】
反射鏡位置検出部60は、図3に示すように、レーザ光を発生させるレーザ光発生素子67と、反射鏡59により反射されたレーザ光を受光する受光素子68a,68bと、この受光素子68a,68bの出力信号の有無を検出して反射鏡59の位置を検出する信号検出回路69a,69bとを備えている。なお、レーザ光発生素子67は例えばレーザダイオードを含んで構成され、受光素子68a,68bは例えばフォトダイオードを含んで構成される。
【0061】
反射鏡59は、レーザ光発生素子67から入射するレーザ光を反射する。
【0062】
信号検出回路69aは、まず、受光素子68aからの受光信号を増幅する。次に、増幅された出力信号の包絡線検波と、それにより得られた整流出力を閾値演算し、整流出力のレベルが閾値以上の時にZa=1(論理値1)を出力し、整流出力のレベルが閾値未満の時にZa=0(論理値0)を出力する。同様に、信号検出回路69bは、まず、受光素子68bからの受光信号を増幅する。次に、増幅された出力信号の包絡線検波と、それにより得られた整流出力を閾値演算し、整流出力のレベルが閾値以上の時にZb=1(論理値1)を出力し、整流出力のレベルが閾値未満の時にZb=0(論理値0)を出力する。
【0063】
したがって、レーザ光発生素子67から照射されたレーザ光は、反射鏡59が光照射野Lを設定する正規位置(図3参照)にある場合は、反射鏡59で反射されて受光素子68aに入射する。そして、反射鏡59がX線照射時にあるべき退避位置(図3参照)にある場合は、反射光は受光素子68bに入射する。また、反射鏡59が正規位置、退避位置のいずれの位置にもない場合は、反射光はいずれの受光素子68a,68bでも受光されない。受光素子68a,68bの受光出力は、信号検出回路69a,69bに送出されて、増幅される。
【0064】
そして、可動絞り制御部46は、公知の技術、例えば特開2005−006971号公報に記載の技術を用いて、Za=1の場合には反射鏡59が正規位置にあると判断し、Zb=1の場合には反射鏡59が待避位置にあると判断し、Za=Zb=0の場合には反射鏡59の位置は正規位置でも待避位置でもないと判断して、各々の場合における適切な処理を実行する。
【0065】
変調回路48は、制御部34に接続されており、制御部34から入力されたデータを、光通信により送信するために変調して、変調データを出力する。なお、本実施の形態では、変調の方式として、デジタル変調方式を用いることとする。LEDドライバ50は、LED61及び変調回路48に接続されており、変調回路48から入力された変調データに基づいてLED61を点滅させる。これにより、LED61からは、制御部34から入力されたデータ(情報)が重畳された光が照射される。なお、変調回路48及びLEDドライバ50は、本発明の制御手段に対応する。
【0066】
また、放射線照射装置14には、電子カセッテ12が装着可能であり、電子カセッテ12が装着されたときに照射系36から照射されて被写体19を透過した放射線が電子カセッテ12に照射されるように設けられたカセッテ装着部15が設けられている。このカセッテ装着部15には、電子カセッテ12が装着されているときには、装着されていることを示す信号(例えば、オン信号)を出力し、電子カセッテ12が装着されていないときには、装着されていないことを示す信号(例えば、オフ信号)を出力するセンサ15aが設けられている。このセンサ15aは、制御部34と接続されている。
【0067】
制御部34は、OS(Operating System)等の基本プログラム、詳細を以下で説明する放射線出力処理の処理ルーチンを実行するためのプログラム、及び各種処理の処理ルーチンを実行するための各プログラムが記憶された記憶媒体としてのROM(図示せず)、ROMからプログラムを読み出して実行することにより放射線照射装置14の制御を司るCPU(図示せず)、各種データを一時的に記憶するRAM(図示せず)、I/Oポート(図示せず)、及び各種情報が記憶された記憶手段としてのメモリを含んだマイクロコンピュータで構成されている。制御部34は、コンソール16と接続されており、放射線照射装置14の制御を司る。
【0068】
次に、コンソール16のコンソール制御装置32のCPU32cが実行するX線照射処理の処理ルーチンについて図5を参照して説明する。なお、本実施の形態において、X線照射処理は、入力装置26から放射線画像の撮影指示が入力され、かつ制御部34を介してセンサ15aから取り込んだ信号が電子カセッテ12が装着されていることを示す信号(例えば、オン信号)である場合に実行される。
【0069】
まず、ステップ100で、可動絞り制御部46及び制御部34を介して信号検出回路69aからの信号Zaを取り込み、取り込んだ信号Zaが1(Za=1)であるか否かを判定することにより、反射鏡59が正規位置にあるか否かを判定する。
【0070】
ステップ100で、信号Zaが1でないと判定した場合には、反射鏡59が正規位置にないと判断して、次のステップ102へ進む。
【0071】
次のステップ102では、反射鏡59を正規位置に移動させるように、反射鏡59を正規位置に移動させる指示を制御部34に出力する。これにより、制御部34は、可動絞り制御部46及び反射鏡駆動部63を介して反射鏡59が正規位置に移動するように、反射鏡59を制御する。そして、次のステップ104へ進む。
【0072】
一方、ステップ100で、信号Zaが1であると判定した場合には、反射鏡59が正規位置にあると判断して、次のステップ104へ進む。
【0073】
ステップ104では、放射線照射装置14によって被写体19に放射線を照射してから、電子カセッテ12によって被写体19を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データを生成し、コンソール16に生成した画像データを送信するまでの1つのジョブを特定するための情報として、例えば、被写体19を識別するための情報(例えば、被写体19の名前)が入力装置26から入力されたか否かを判定する。
【0074】
ステップ104では、上記の1つのジョブを特定するための情報が入力されるまで待機し、入力されたと判定された場合には、次のステップ106へ進む。
【0075】
ステップ106では、入力された1つのジョブを特定するための情報、及びコンソール16を識別するための自己のコンソールIDを示す送信データを生成する。なお、このコンソールIDは、電子カセッテ12が生成した画像データを送信する際の送信先のコンソールを示す識別情報である。
【0076】
次のステップ108では、上記ステップ106で生成した送信データ(画像データの送信先を示す識別情報であるコンソールID、及び1つのジョブを特定するための情報を含むデータ)、及び送信データを光通信によって送信する指示を放射線照射装置14の制御部34に出力する。これにより、制御部34は、送信データ及び指示を制御部34のI/Oポート(本発明の受信手段に対応)によって受信し、送信データを変調回路48に出力することにより、送信データが重畳された光がLED61から照射される。なお、ステップ108は、本発明の制御手段に対応する。
【0077】
次のステップ110では、X線を照射する指示を放射線照射装置14の制御部34に出力する。これにより、制御部34は、放射線照射制御部42を介して、X線を照射するように放射線照射部17を制御して、放射線照射部17からX線が照射される。なお、このときの撮影条件(撮影部位等)は、本実施の形態では、予め操作パネル52から入力されており、この予め入力された撮影条件を用いることとする。そして、X線照射処理を終了する。
【0078】
次に、電子カセッテ12の制御部55のCPU55cが実行する画像データ送信処理の処理ルーチンについて図6を参照して説明する。なお、本実施の形態において、画像データ送信処理は、電子カセッテ12の電源を投入するスイッチ(図示せず)がオンされた場合に所定時間間隔毎に実行される。
【0079】
まず、ステップ200で、受光素子57aからの信号を取り込む。
【0080】
次のステップ202では、上記ステップ200で取り込んだ受光素子57aからの信号に基づいて、受光素子57aで光を受光したか否かを判定することにより、省エネモードから通常モードに切り替える(復帰する)のか否かを判断する。
【0081】
ステップ202で、光を受光していないと判定された場合には、省エネモードから通常モードに切り替える必要がないと判断して、上記ステップ200に戻る。
【0082】
一方、ステップ202で、光を受光したと判定された場合には、受光した光に重畳された情報を取り出すために通常モードに復帰する必要があると判断して、次のステップ204へ進む。
【0083】
ステップ204では、通常モードに復帰する。すなわち、ステップ204では、放射線検出器25(TFTアクティブマトリクス基板33、蓄積容量35、TFT37、画素部39、光電変換部41、ゲート配線43、データ配線45、ゲート線ドライバ47、及び信号処理部49)、増幅回路57b、復調回路57c、及びRF回路53bの各々の回路・素子が動作するための動作電力が各々の回路・素子に供給されるように電源部80を制御する。なお、これら放射線検出器25、増幅回路57b、復調回路57c、及びRF回路53bの各々の回路・素子は、電子カセッテ12が放射線画像検出装置として用いられない場合には、その動作が可能でなくても、電子カセッテ12が放射線画像検出装置として用いられる際に、動作電力が供給されることによりその動作が可能となれば、不都合なく、電子カセッテ12が放射線画像検出装置としての機能を果たせる場合の回路・素子である。
【0084】
ステップ206では、光を受光した受光素子57aからの電気信号を増幅するように、増幅回路57bを制御する。これにより、増幅回路57bによって電気信号が増幅されて出力される。
【0085】
次のステップ208では、増幅回路57bから出力された電気信号を復調して、受光素子57aで受光した光に重畳されたデータを出力するように、復調回路57cを制御する。受光素子57aで受光した光には、上記1つのジョブを特定するための情報、及びコンソールIDを示す送信データが重畳されているので、ステップ206及びステップ208での処理によって、上記1つのジョブを特定するための情報、及びコンソールIDを示す送信データを取り出すことができる。
【0086】
次のステップ210では、画像メモリ51に画像データが記憶されているか否かを判定する。
【0087】
ステップ210では、画像メモリ51に画像データが記憶されていると判定されるまで待機し、ステップ210で、画像メモリ51に画像データが記憶されていると判定された場合には、次のステップ212へ進む。
【0088】
ステップ212では、上記ステップ208で取り出した、1つのジョブを特定するための情報、及びコンソールIDとを対応付けて記憶するように、記憶手段としてのHDD55bを制御する。これにより、HDD55bには、1つのジョブを特定するための情報、及びコンソールIDとが対応付けられて記憶される。
【0089】
ステップ214では、画像メモリ51に記憶されている画像データを読み込んで、読み込んだ画像データに、1つのジョブを特定するための情報、コンソールID、電子カセッテ12を識別するための自己のカセッテIDを付加したデータ(情報)を、このコンソールIDが示す送信先のコンソールに対して送信するように、通信部53のRF回路53bを制御する。これにより、画像データに、1つのジョブを特定するための情報、コンソールID、及びカセッテIDを付加したデータが、コンソールIDが示す送信先のコンソールに送信される。なお、このカセッテIDは、コンソール16に画像データを送信した電子カセッテ12を識別するためのID情報である。
【0090】
次のステップ216では、ステップ214でのデータの送信が完了したので、省エネモードに遷移する。すなわち、ステップ216では、放射線検出器25(TFTアクティブマトリクス基板33、蓄積容量35、TFT37、画素部39、光電変換部41、ゲート配線43、データ配線45、ゲート線ドライバ47、及び信号処理部49)、増幅回路57b、復調回路57c、及びRF回路53bの各々の回路・素子に供給される電力を各々の動作電力より小さくするか、または各々の回路・素子に電力を供給しないように電源部80を制御する。これにより、電子カセッテ12が放射線画像検出装置として用いられない場合には、消費電力を少なくすることができ、電子カセッテ12の電池の寿命が長くなる。そして、画像データ送信処理を終了する。
【0091】
次に、コンソール16のコンソール制御装置32のCPU32cが実行する画像データ受信処理の処理ルーチンについて図7を参照して説明する。なお、本実施の形態において、画像データ受信処理は、コンソール16の電源を投入するスイッチ(図示せず)がオンされた場合に所定時間間隔毎に実行される。
【0092】
まず、ステップ300で、電子カセッテ12が送信した画像データを受信したか否かを判定する。
【0093】
ステップ300では、画像データを受信したと判定されるまで待機し、ステップ300で画像データを受信したと判定された場合には、次のステップ302へ進む。
【0094】
ステップ302では、受信した画像データ、画像データに付加されたカセッテID、コンソールID、及び1つのジョブを特定するための情報を対応付けて記憶するように記憶手段としてのHDD32bを制御する。これにより、HDD32bには、受信した画像データ、画像データに付加されたカセッテID、コンソールID、及び1つのジョブを特定するための情報が対応付けられて記憶される。そして、画像データ受信処理を終了する。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態の放射線照射装置14は、放射線を被写体19に照射する放射線照射手段としての放射線照射部17と、データの送信先を示す識別情報であるコンソールIDを含む情報を受信する受信手段としての制御部34のI/Oポートと、放射線照射装置14から照射されて被写体19を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データを生成する画像データ生成手段としての放射線検出器25、コンソールIDを記憶する記憶手段としてのHDD55b、コンソールIDがHDD55bに記憶されるように制御する記憶制御手段としてのCPU55c、及び生成した画像データをHDD55bに記憶されたコンソールIDで示される送信先に送信する通信部53を備えた放射線画像検出装置としての電子カセッテ12がカセッテ装着部38に装着されているときに、受信されたコンソールIDがHDD55bに記憶されるように制御する制御手段としての変調回路48、LEDドライバ50、及びLED61とを含んで構成されている。
【0096】
本実施の形態に係る放射線照射装置14によれば、データの送信先を示す識別情報であるコンソールIDを含む情報が、装着された電子カセッテ12のHDD55bに記憶されるように制御するので、電子カセッテ12を持ち歩くことなく、電子カセッテ12が画像データを送信する際の送信先の情報を記憶しておくことができ、これにより、電子カセッテ12で生成された画像データを受信可能な装置が複数存在する場合であっても、簡易かつ確実に特定の装置へ画像データを送信することができる。
【0097】
また、本実施の形態に係る放射線照射装置14によれば、放射線を被写体19に照射する放射線照射部17と、データの送信先を示す識別情報であるコンソールIDを含む情報を受信する制御部34のI/Oポートと、放射線照射部17から照射された放射線の放射野を確認するための光を照射する光照射手段としてのLED61と、放射線照射部17から照射されて被写体19を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データを生成する放射線検出器25、光を受光する受光手段としての受光素子57a、コンソールIDを記憶するHDD55b、受光素子57aで受光された光に重畳されたコンソールIDがHDD55bに記憶されるように制御するCPU55c、及び生成した画像データをHDD55bに記憶されたコンソールIDで示される送信先に送信する通信部53を備えた電子カセッテ12が装着されているときに、受信されたコンソールIDが重畳された光が照射されるようにLED61を制御する制御手段としての変調回路48及びLEDドライバ50を含んで構成されている。
【0098】
本実施の形態に係る放射線照射装置14によれば、電子カセッテ12がカセッテ装着部15に装着されているときに、データの送信先を示すコンソールIDが重畳された光が照射される。このとき、電子カセッテ12では、この照射された光が受光され、受光された光に重畳されたコンソールIDをHDD55bに記憶するように制御されるので、電子カセッテ12を持ち歩くことなく、電子カセッテ12が画像データを送信する際の送信先の情報を記憶しておくことができ、これにより、電子カセッテ12で生成された画像データを受信可能な装置が複数存在する場合であっても、簡易かつ確実に特定の装置へ画像データを送信することができる。
【0099】
また、本実施の形態に係る放射線画像検出システム10によれば、電子カセッテ12が装着されているときに、データの送信先を示すコンソールIDが重畳された光が照射される。このとき、電子カセッテ12では、この照射された光が受光され、受光された光に重畳されたコンソールIDをHDD55bに記憶するように制御されるので、電子カセッテ12を持ち歩くことなく、電子カセッテ12が画像データを送信する際の送信先の情報を記憶しておくことができ、これにより、電子カセッテ12で生成された画像データを受信可能な装置が複数存在する場合であっても、簡易かつ確実に特定の装置へ画像データを送信することができる。
【0100】
なお、本実施の形態では、放射線照射装置14から光通信を行う例について説明したが、指向性の高い無線通信でもよい。
【0101】
また、1つのジョブを特定するための情報として、被写体19を識別するための情報を例として挙げ、その被写体19を識別するための情報の例として、被写体19の名前を挙げたが、被写体19を識別するための情報として、例えば、被写体19の患者コード、被写体19の誕生日、被写体19の性別、または被写体19の年齢を用いてもよい。また、1つのジョブを特定するための情報として、撮影条件を表す情報、例えば、受付番号、検査番号、診断タイプ、技師名、撮影部位、または術式を用いてもよい。また、1つのジョブを特定するための情報に、上記被写体19を識別するための情報及び上記撮影条件を表す情報の少なくとも一方の情報を含ませるようにしてもよい。
【0102】
また、電子カセッテ12の外装の全てに、照射された光を受光素子57aに光学的に繋げるライトパイプの機能をもたせて、送信データが重畳された光を外装のどの部分で受けても、その光が受光素子57aに導かれるようにしてもよい。これにより、より確実に光通信を行うことが可能となる。
【0103】
また、放射線検出器25が、光を受光する受光素子としての機能を兼ねてもよい。例えば、ケーシング20に窓を設けて、この窓から光を受光するようにしてもよい。
【0104】
また、本実施の形態では、光通信としてデジタル変調方式を用いた例について説明したが、光の強弱から対応する電気信号を生成するアナログ変調方式を用いてもよい。
【0105】
また、図8に示すように、可動絞り装置54及び可動絞り制御部46によって、光の照射野が変更(調整)された場合であっても、LED61から照射される光が必ず照射される領域が存在するように放射線照射装置14を構成し、その光が必ず照射される領域に光を受光する受光素子(受光部)が設けられるようにしてもよい。これにより、より確実に光通信を行うことが可能となる。また、その光が必ず照射される領域は、図9(A)、図9(B)に示すように、照射可能な範囲の辺縁部になるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本実施の形態に係る放射線画像取扱システムの概略構成を示す図である。
【図2】(A)は放射線画像撮影時の電子カセッテの配置を示す概略図、(B)は電子カセッテの内部構造を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る電子カセッテの概略構成を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る放射線照射装置の概略構成を示す図である。
【図5】本実施の形態に係るコンソールが実行するX線照射処理の処理ルーチンのフローチャートを示す図である。
【図6】本実施の形態に係る電子カセッテが実行する画像データ送信処理の処理ルーチンのフローチャートを示す図である。
【図7】本実施の形態に係るコンソールが実行する画像データ受信処理の処理ルーチンのフローチャートを示す図である。
【図8】本実施の形態の変形例を説明するための図である。
【図9】本実施の形態の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0107】
10 放射線画像取扱システム
12 電子カセッテ
14 放射線照射装置
17 放射線照射部
25 放射線検出器
34 制御部
38 カセッテ装着部
48 変調回路
50 LEDドライバ
55b HDD
55c CPU
61 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を被写体に照射する放射線照射手段と、
データの送信先を示す識別情報を含む情報を受信する受信手段と、
前記放射線照射手段から照射されて被写体を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データを生成する画像データ生成手段、前記識別情報を記憶する記憶手段、前記識別情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する記憶制御手段、及び前記生成した画像データを前記記憶手段に記憶された識別情報で示される送信先に送信する送信手段を備えた放射線画像検出装置が装着されているときに、前記受信手段で受信された識別情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する制御手段と、
を含む放射線照射装置。
【請求項2】
放射線を被写体に照射する放射線照射手段と、
データの送信先を示す識別情報を含む情報を受信する受信手段と、
前記放射線照射手段から照射された放射線の放射野を確認するための光を照射する光照射手段と、前記放射線照射手段から照射されて被写体を透過した放射線の放射量に応じた画像を示す画像データを生成する画像データ生成手段、光を受光する受光手段、前記識別情報を記憶する記憶手段、前記受光手段で受光された光に重畳された識別情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する記憶制御手段、及び前記生成した画像データを前記記憶手段に記憶された識別情報で示される送信先に送信する送信手段を備えた放射線画像検出装置が装着されているときに、前記受信手段で受信された識別情報が重畳された光が照射されるように前記光照射手段を制御する制御手段と、
を含む放射線照射装置。
【請求項3】
放射線を被写体に照射する放射線照射手段、データの送信先を示す識別情報を含む情報を受信する受信手段、前記放射線照射手段から照射された放射線の放射野を確認するための光を照射する光照射手段、及び前記受信手段で受信された識別情報が重畳された光が照射されるように前記光照射手段を制御する第1の制御手段を備えた放射線照射装置と、
前記放射線照射手段から照射されて被写体を透過した放射線の照射量に応じた画像を示す画像データを生成する画像データ生成手段、光を受光する受光手段、前記識別情報を記憶する記憶手段、前記受光手段で受光された光に重畳された識別情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する第2の制御手段、及び前記生成した画像データを前記記憶手段に記憶された識別情報で示される送信先に送信する送信手段を備えた放射線画像検出装置と、
を含む放射線画像検出システム。
【請求項4】
前記第2の制御手段は、前記受光手段で光が受光された場合に、前記画像データ生成手段及び前記送信手段に動作するための動作電力が供給されるように制御し、前記送信手段による画像データの送信が完了した場合には、前記画像データ生成手段及び前記送信手段に供給される電力が前記動作電力より小さい電力が供給されるように制御する請求項3記載の放射線画像検出システム。
【請求項5】
前記第1の制御手段は、更に、前記画像データ生成手段によって画像データが生成されてから前記送信手段によって画像データが送信されるまでの1つのジョブを特定するための情報が重畳された光が送信されるように前記光照射手段を制御する請求項2〜4の何れか1項記載の放射線画像検出システム。
【請求項6】
前記1つのジョブを特定するための情報は、前記被写体を識別するための識別情報及び撮影条件を表す情報の少なくとも一方の情報を含む請求項5記載の放射線画像検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−276390(P2009−276390A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124966(P2008−124966)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】