説明

放送受信装置、放送受信装置の制御方法、及びそのコンピュータプログラム

【課題】複数の番組を表示している時に、録画したい番組の冒頭部分を録画し損なうことなく、録画したい番組の録画の開始を瞬時に実行する放送受信装置、放送受信装置の制御方法、及びそのコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】
TV受像機のシステムコントローラ12が、各々の放送番組データに係る番組映像がともに画面表示されている状態で録画開始操作がなされた時に、画面表示されている全ての番組のHDD10への録画を開始する。そして、システムコントローラ12が、録画開始後に録画を続行する対象の番組を選択し、選択されなかった番組の録画を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組録画機能を有する放送受信装置、放送受信装置の制御方法、及びそのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送の多チャンネル化等を背景に、一度に複数の番組を視聴可能なマルチウインドウTV(Television)が存在する。マルチウインドウTVは、複数の受信回路と、画面縮小機能と画面合成機能を備えることにより、複数の放送番組映像を同時に表示させる。
【0003】
図9は、番組映像の画面表示例を示す図である。例えば、図9(A)に示すように、マルチウインドウTVは、2つの画面を並べて表示したり、図9(B)に示すように、一方を子画面として表示したり、或いは図9(C)に示すように、一部をオーバーラップさせて2画面を表示する。また、マルチウインドウTVは、図9(D)に示すように、3つの画面を一度に並べることもある。また、近年、HDD(Hard Disk Drive )を用いた録画方式が実用化され、TV放送受像機に録画機能を内蔵した製品も存在する。
【0004】
ここで、録画機能を搭載したマルチウインドウTVにおいて、表示画面に複数の番組映像を表示している状態で、ユーザがその番組を急に録画したくなったとする。その場合には、ユーザは複数の表示ウインドウから録画を希望するウインドウを選択する操作をなした後に、録画開始操作を行なわなければならない。そして、その操作は、リモコン送信機からなされる場合が多く、一般的に録画開始を指示する為のボタンは赤く目立ち易いのに対し、画面選択の為のボタンは、左右方向を指示するボタン等他の機能操作ボタンとも共用しており、目立ち難いことが多い。番組視聴中に録画操作がなされる場合では、ユーザは直ちに録画を開始したい場合がほとんどである。ユーザが目立ち難いボタンを押してからでなければ録画操作出来ないのでは、とっさの録画開始に支障をきたす。また、ユーザが、画面選択のボタンを用いて、画面選択機能とは異なる他の機能の操作、例えば階層構造のメニュー画面操作などを行なっている最中である場合がある。この場合、そのメニュー画面操作の状態から抜けない限り、画面選択操作も実行出来ない。このような場合においても、とっさの録画開始には支障をきたしてしまう。
【0005】
なお、リモコンの表示部にTV本体での画面分割パターンと同じ分割枠を表示し、そのウインドウ枠を指で押すことにより、その番組の録画を開始するリモートコントロール装置が提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−42520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載されたリモートコントロール装置では、TV画面の分割パターンが複数種類存在する場合、これら全てに対応しようとすると、リモコンの機能も多くなり、高価なものとなってしまう。またリモコン側で全ての操作を行なうので、リモコン側はTV画面の画面分割状態を把握しているはずであるとの前提がある。しかし、赤外線リモコンの場合、リモコンからのコマンドコードが確実に本体側に届いたかは不明である。その結果、TV本体側での実際の画面分割状態と、リモコン側での枠表示が一致しなくなる恐れもある。そのような状況下では、録画開始指示がTV本体側に正しく伝わらなくなってしまうので、十分な解決策とは言えない。
【0008】
上述したように、従来、マルチウインドウTVに複数の番組映像を表示している状態で録画操作をなすためには、録画操作をなす前に、複数枚の表示画像から録画を所望する番組の選択操作を行なうことが必要であった。そのため、録画開始までに時間がかかってしまい、番組の冒頭部分を録画し損なう可能性が高かった。
上記の課題を鑑み、本発明は、複数の番組映像を表示している時に、録画したい番組の冒頭部分を録画し損なうことなく、録画したい番組の録画の開始を瞬時に実行する放送受信装置、放送受信装置の制御方法、及びそのコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明に係る放送受信装置は、放送番組データを受信する放送受信装置であって、それぞれ放送番組データを受信する複数の放送受信手段と、前記複数の放送受信手段によって受信された各々の放送番組データに係る番組映像を、表示画面上の互いに異なる表示領域にともに表示する画面表示手段と、前記各々の放送番組データに係る番組映像がともに前記表示画面上に表示されている状態で録画開始操作がなされた場合に、前記表示画面上に表示されている複数の番組の記録手段への録画を開始する制御手段とを備え、前記制御手段は、録画開始後に録画を続行する対象の番組を前記複数の番組の中から選択し、前記複数の番組のうち選択されなかった番組の録画を中止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の放送受信装置によれば、各々の番組が表示画面上にともに表示されている状態で録画開始操作がなされた場合に、暫定的に表示している全ての番組の録画を開始しその後に録画する番組を選択することができる。その結果、録画したい番組の冒頭部分を録画し損なうことなく、録画したい番組の録画の開始を瞬時に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による放送受信装置の第1の実施形態を示す図である。
【図2】リモコン送信機の操作ボタンの配列を示す図である。
【図3】システムコントローラの動作処理フローの例を示す図である。
【図4】番組映像の画面表示例を示す図である。
【図5】番組映像の画面表示例を示す図である。
【図6】本発明による放送受信装置の第2の実施形態を示す図である。
【図7】システムコントローラの動作処理フローの例を示す図である。
【図8】番組映像の画面表示例を示す図である。
【図9】番組映像の画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面等を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明による放送受信装置の第1の実施形態を示す図である。図1では、放送受信装置として、放送番組データを受信するTV受像機を例にとって説明する。図1では、TV受像機の、放送受信、描画、録画に関わる機能のみを示す。
【0013】
図1に示すTV受像機は、RF(Radio Frequency)入力端子1、RF分配器2、第1のデジタルTV受信回路3、第2のデジタルTV受信回路4、第1のデジタルTV信号復号器5、第2のデジタルTV信号復号器6を備える。また、このTV受像機は、画面合成回路7、表示用ディスプレイ8、HDD−IF(Interface )回路9、HDD10、GUI発生回路11、システムコントローラ12、リモコン信号受信部13、リモコン送信機14を備える。RF入力端子1には放送受信波が入力される。RF分配器2は、RF入力端子1に入力された放送受信波を第1並びに第2のデジタルTV受信回路3,4に同時に入力する。第1並びに第2のデジタルTV受信回路3,4は、RF分配器2から入力された放送受信波を受信/選局/復調する。すなわち、第1並びに第2のデジタルTV受信回路3,4は、それぞれ放送番組データを受信する第1及び第2の放送受信手段である。第1のデジタルTV信号復号器5、第2のデジタルTV信号復号器6は、それぞれ、第1のデジタルTV受信回路3、第2のデジタルTV受信回路4の復調結果をTS(Transport Stream)データに復号する。
【0014】
復号されたTSデータは次段の画面合成回路7に送られると共に、HDD−I/F回路9を介してHDD10に記録される。画像合成回路7は、TSデータに基づいて、複数の画像信号に拡大/縮小処理を施して1枚の画像に合成する。表示用ディスプレイ8は、合成された画像を表示する、HDD−IF回路9は、HDD10への書き込み/読み出しを行なう。HDD10はTSデータを記録する記憶手段である。GUI発生回路11は、ユーザへの画像メッセージであるGUI(Graphical User Interface )を発生させる。システムコントローラ12は、システムステム全体を制御する。システムコントローラ12は、CPU(Central Processing Unit )やメモリを備える。リモコン信号受信部13はリモコン送信機14からの制御信号を受信し、システムコントローラ12に通知する。リモコン送信機14は、ユーザの操作に応じた制御信号をリモコン信号受信部13に送信する。
【0015】
本実施形態において、HDD10は、同時に2つのコンテンツ録画が可能であるものとする。また、HDD10から読み出されたTSデータも、HDD−I/F回路9を介して画面合成回路7に送られる。そして、GUI発生回路11にて作られたGUIデータも画面合成回路7に送られる。画面合成回路7は、システムコントローラ12からの指示(画面構成指示)に従って、これら画像データを1画面に合成する。そして、表示用ディスプレイ8が、合成された画像を描画する。すなわち、画面合成回路7及び表示用ディスプレイ8は、第1並びに第2のデジタルTV受信回路3,4によって受信された各々の放送番組データに係る番組映像を、表示画面上の互いに異なる表示領域にともに画面表示する画面表示手段である。
【0016】
なお、システムコントローラ12は画面合成回路7に対する画面構成指示以外にも、様々な制御を行なう。例えば、リモコン信号受信部13はユーザ操作によるリモコン送信機14からの信号を受け、その指示内容をシステムコントローラ12に伝える。システムコントローラ12は、このユーザ指示に基づき、第1並びに第2のデジタルTV受信回路3,4への選局指示や、HDD−I/F回路9を介してのHDD10に対する録画/再生制御、GUI発生回路11へのGUI作成命令を行なう。また、システムコントローラ12は、第1並びに第2のデジタルTV信号復号器5,6が復号したTSデータから番組情報を読み出して、読み出した番組情報を記憶するとともに、録画予約の制御を行なう。
【0017】
具体的には、システムコントローラ12は各々の放送番組データに係る番組映像がともに表示用ディスプレイ8上に画面表示されている状態で録画開始操作がなされた場合に、画面表示されている全ての番組の記録手段への録画を開始する制御手段として機能する。そして、システムコントローラは、録画開始後に録画を続行する対象の番組を画面表示されている複数の番組の中から選択し、上記複数の番組のうち選択されなかった番組の録画を中止する。
本発明の放送番組データを受信する放送受信装置の制御方法は、図1に示すTV受像機によって実現される。また、本発明のコンピュータプログラムは、上記放送受信装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0018】
図2は、図1に示すリモコン送信機14の操作ボタンの配列を示す図である。
リモコン送信機14は、電源ON/OFFスイッチボタン141、テンキーボタン142、上下左右キー並びに決定キーボタン143、メニュー関連操作ボタン144、録画/再生系操作ボタン145、チャンネル/音量のアップ/ダウンキーボタン146を備える。例えばメニュー関連操作ボタン144の内のメニューを呼び出す為のボタンが押下されたとすると、システムコントローラ12は、その操作に応じてGUI発生回路11へのGUI作成命令を行なう。ユーザは、作成されたGUIを見ながら上下左右キー並びに決定キーボタン143を操作し、所望の指示を行なう。
【0019】
ここで、ユーザにより2画面合成の指示がなされた時には、システムコントローラ12は、画面合成回路7に2画面合成の指示を行なう。その結果、表示用ディスプレイ8は、図9(A)に示すように、2つの番組映像を互いに異なる表示領域に同時に画面表示する。この画面表示状態を、以下では2画面表示状態と記述する。第1のデジタルTV受信回路3にて受信し第1のデジタルTV信号復号器5にて復号した画像が富士山の画像、第2のデジタルTV受信回路4にて受信し第2のデジタルTV信号復号器6にて復号した画像がネコの画像とする。この両者の画像のTSデータを画面合成回路7にて縮小し、富士山の画像を画面左側に、ネコの画像を画面右側に配置し、表示用ディスプレイ8に表示する。
【0020】
図9(A)に示す画面表示状態において、録画/再生系操作ボタン145のうち、録画開始を指示する為のボタン操作がなされたものとする。システムコントローラ12は以下の図3に示すフローチャートが示す処理を開始する。
【0021】
図3は、システムコントローラの動作処理フローの例を示す図である。まず、Step101において、システムコントローラ12は、処理を開始する。Step102において、システムコントローラ12は、2画面表示状態であるか否かを確認する。システムコントローラ12が、1画面表示状態であると判断した場合、システムコントローラ12は、Step121において表示中の番組の録画を開始する。そして、GUI発生回路11が、表示中の画面が録画中である旨の表示(Rec表示)を行なう。図4(A)は、Rec表示の例を示す図である。一方、Step102において、システムコントローラ12が、2画面表示状態であると判断した場合、Step103において、表示されている両方の番組の録画を開始する。そして、Step104において、GUI発生回路11が、図4(B)に示すような、両画面が録画中である旨の表示を行なう。次に、Step105において、システムコントローラ12は、2画面の内どちらの画面を録画したいのかをユーザに問うために、図4(C)中に示すような表示を行なう。
【0022】
そして、Step106に進んで、システムコントローラ12は、ユーザの選択操作を待つ。この選択操作は、リモコン送信機の上下左右キー並びに決定キーボタン143の押し下げによってなされる。ユーザは、左右キーいずれかで録画したい画面を選び、決定キーでそれを確定する。この選択操作がなされたら、Step131に進み、システムコントローラ12は、選択されなかった方の番組録画を中止する。すなわち、システムコントローラ12は、ユーザの選択操作に応じて録画を続行する対象の番組を選択する。システムコントローラ12が、上記録画を中止した番組のデータをHDD10から消去するようにしてもよい。
そして、システムコントローラ12は、Step132において、例えば図5(A)に示すように、選択された方の画面にのみ録画中の表示を残す。図5(A)に示す例では、右側のネコの番組、つまり第2のデジタルTV受信回路4にて受信し第2のデジタルTV信号復号器6にて復号した画像を録画している。
【0023】
Step106において、ユーザの選択操作が行われなかった場合には、Step107において、システムコントローラ12は、放送波に重畳されたEPG(Electric Program Guide)データを確認する。そして、EPGデータから録画中の番組の終了時刻を検出する。すなわち、システムコントローラ12は、録画中の番組に係る番組情報から録画終了時刻を取得する。また、システムコントローラ12は、Step108において、番組の録画予約状況を確認する。この録画予約状況を示す、番組の録画予約データは、ユーザの操作に従って、例えば録画予約リストの形式で予め設定されているものとする。そして、Step109において、システムコントローラ12は、取得した番組の終了時刻と録画予約データとに基づいて、録画予約の実行に支障があるかを判断する。
【0024】
具体的には、システムコントローラ12は、録画予約データが示す番組の開始時刻までに録画中の番組が終了するかを判断する。システムコントローラ12は、上記開始時刻までに録画中の番組が終了する場合に、録画予約の実行に支障がないと判断する。システムコントローラ12は、上記開始時刻までに録画中の番組が終了しない場合に、録画予約の実行に支障があると判断する。録画予約の実行に支障があると判断された場合には、Step141に進む。システムコントローラ12が、録画予約の実行に支障がないと判断した場合には、Step110において、システムコントローラ12は、番組終了時刻に基づいて、HDD10の容量が両番組録画に不足しないかを判断する。システムコントローラ12が、HDD10の容量が不足すると判断した場合には、Step141に進む。
【0025】
Step141は、2つの番組を同時に録画し続けることが困難な場合に進むステップである。Step141において、システムコントローラ12は、図5(B)に示すような、2番組同時録画を中止することを示す表示を行なう。システムコントローラ12は、Step142において、所定の時間、例えば30秒程度待つ。そして、Step143において、システムコントローラ12は、所定の番組の録画を中止し、他の番組を、録画を続行する対象の番組として選択する。システムコントローラ12は、例えば、右側の番組、つまり第2のデジタルTV受信回路4にて受信し第2のデジタルTV信号復号器6にて復号したネコの番組録画を中止する。そして、Step144において、システムコントローラ12は、Step132における処理を行なう場合と同様に、録画が中止されなかった方の画面にのみ録画中の表示を残す。本実施形態のTV受像機によれば、録画予約に支障があると判断された場合に、該判断結果に基づいて、いずれかの番組の録画を中止することができる。
【0026】
Step143においては、所定の番組を、録画を中止する番組とし、他の番組を、録画を続行する対象の番組として選択したが、システムコントローラ12は、例えば以下の(1)〜(8)に示すような判断基準に基づいて、どの番組を残すかを決定してもよい。
(1)表示用ディスプレイ8上の番組映像が表示される表示領域の表示サイズ(面積)の大きさに基づいて、録画を続行する対象の番組を選択する。例えば、表示面積が大きい表示領域に表示されている番組を、録画を続行する対象の番組として選択する。これにより、表示領域のサイズに応じて録画を続行する対象の番組を選択することができる。
(2)番組の表示位置に応じて、録画を続行する対象の番組を選択する。例えば、表示用ディスプレイ8上の特定の表示位置に表示されている番組を、録画を続行する対象の番組として選択する。これにより、番組の表示位置に応じて録画を続行する対象の番組を選択することができる。
(3)表示用ディスプレイ8上の番組映像が表示される表示領域(ウインドウ)の他の表示領域との重なり状況に応じて録画を続行する対象の番組を選択する。例えば、システムコントローラ12が、図9(C)のように各々の放送番組データに係る番組映像が表示される表示領域を配置するものとする。図9(C)において、ネコの放送番組映像が表示される表示用ディスプレイ8上の表示領域が他方の表示領域(富士山の番組の表示領域)の一部を被っている。システムコントローラ12は、例えば、上側に配置されたネコの番組の方を、録画を続行する対象の番組として選択する。これにより、表示領域の他の表示領域との重なり状況に応じて録画を続行する対象の番組を選択することができる。
(4)ユーザが視聴又は録画した番組について、コンテンツに付随して放送される番組情報である番組メタ情報を取得する。そして、番組メタ情報に基づいて、過去の視聴/録画履歴を所定の記憶手段に記憶する。そして、記憶された視聴/録画履歴に基づいて、番組に対するユーザの嗜好度を算出し、算出された嗜好度が高い番組を、録画を続行する対象の番組として選択する。これにより、番組に対するユーザの嗜好度に応じて録画を続行する対象の番組を選択することができる。
(5)音声を再生している方を、録画を続行する対象の番組として選択する。これにより、音楽を再生している番組を、録画を続行する対象の番組として選択することができる。
(6)チャンネル選局操作がなされた時系列順に応じて番組を選択する。具体的には、最後に選局操作がなされたチャンネルの方を、録画を続行する対象の番組として選択する。これにより、チャンネル選局操作がなされた時系列順に応じて録画を続行する対象の番組を選択することができる。
(7)録画操作後にチャンネル変更操作がなされた場合、変更操作がなされたチャンネルは不要と判断し、変更操作がなされなかったチャンネルの番組を、録画を続行する対象の番組として選択する。これにより、録画操作後のチャンネル変更操作の有無に応じて録画を続行する対象の番組を選択することができる。
(8)特別な操作をせずとも常にいずれかのウインドウが選択されていて、その選択されている方を、録画を続行する対象の番組として選択する。これにより、予め選択されたウインドウに表示されている番組を録画を続行する対象の番組として選択することができる。
システムコントローラ12は、上記(1)〜(8)のいずれか1つ、あるいはいずれか複数を組み合わせた基準に基づいて録画を続行する対象の番組を決定してもよい。
【0027】
Step110において、システムコントローラ12が、HDD10の容量が足りると判断した場合、Step111において、システムコントローラ12は、番組メタ情報に基づいて、録画中の2番組が終了したかを判断する。システムコントローラ12が、いずれの番組も未だ終了していないと判断した場合にはStep106に戻り、Step106〜Step111の処理を繰り返す。ここで、Step106〜Step111の処理を繰り返し、幾度もEPGデータの確認を行なうのは、突発的な番組時間の変更が発生してもこれに対応出来るようにするためである。
【0028】
上記Step111において、システムコントローラ12が、いずれか一方の番組が終了したと判断した場合には、Step112に進み、Step132,Step144と同様に、録画を継続する方の番組にのみ録画中の表示を残す。Step113に進むのは、1つの番組のみの録画に移行した時であり、ここで録画中の番組が終了するのを待ちつづける。そして、番組が終了した時に、システムコントローラ12は、Step114において録画を終了し、Step115において一連の処理を終了する。
以上、図9(A)に示した2画面表示パターンを前提として説明したが、2画面表示のパターンが図9(A)に示すパターンに限定されるものでは無いことは言うまでも無い。本実施形態のシステムコントローラ12の処理は、図9(B)又は図9(C)のような表示パターンに対しても適用することができる。
【0029】
本実施形態におけるリモコン送信機14とリモコン信号受信部13との間の通信は、赤外線を用いたものであっても、あるいは無線通信によるものであってもよい。また、図1に示す回路ブロック例では、TV受信回路とTV信号復号器から成る受信系を2系統備えているが、TV受像機が受信系を3系統備えるようにしてもよい。そして、TV受像機が、図9(D)に示すような3画面表示をし、表示されている3画面についての番組録画を開始した上で、録画を中止する番組を選択するようにしてもよい。なお、TV受像機が、TV受信回路として地上波用と衛星放送用とをそれぞれ複数備えるようにしてもよい。また、TV受像機が、録画媒体として内蔵したHDD10に番組を記録する場合について説明してきたが、TV受像機が、例えばUSB等で外部接続された記憶装置に番組を記録するようにしてもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の放送受信装置は、各々の番組映像を表示画面上の互いに異なる表示領域にともに表示している状態で録画開始操作がなされた場合に、暫定的に表示している全ての番組の録画を開始する。そして、その後にどの番組の録画を選択するかを決定し、選択した番組以外の録画を中止する。その結果、所望の番組の冒頭部分を録画し損ねることなく録画することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図6は、本発明による放送受信装置の第2の実施形態を示す図である。図6においても、放送受信装置として、TV受像機を例にとって説明する。図6では、TV受像機の、放送受信、描画、録画に関わる機能のみを示す。図6に示すTV受像機が備える処理部のうち、図1に示すTV受像機が備える処理部と同一の符号が付されたものは、図1に示すTV受像機が備える処理部と同様の機能を有する。
【0032】
図6に示すTV受像機は、図1に示すTV受像機に加えて、メモリ15を備える。メモリ15は、録画するTSデータを一旦蓄えるための記憶手段である。メモリ15は、30秒程度分のTSデータ記録容量を必要とし、数百Mバイト程度の容量である。第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、第2の実施形態は、HDD10に対して一度に1つの番組しか録画できないという制約下での実施形態である点である。
【0033】
図6に示す第1のデジタルTV受信回路3と第1のデジタルTV信号復号器5からなる受信系は主たる受信回路であり、第2のデジタルTV受信回路4と第2のデジタルTV信号復号器6から成る受信系はサブ受信回路である。主たる受信回路3,5は視聴用、サブ受信回路4,6は裏番組の録画用として用いる。サブ受信回路4,6からのTSデータはHDD−I/F回路9を介してHDD10に直接録画できるが、主たる受信回路3,5からのTSデータは一旦メモリ15に蓄え、これを読み出した後にHDD−I/F回路9を介してHDD10に録画できる。
【0034】
システムコントローラ12は、2画面表示時には、図9(B)に示すようなサブ画面(図9(B)に示す例では子画面)を用いて2つの番組データに係る番組映像を同時に表示する。例えば、主たる受信回路3,5からの画像(富士山の画像)を全画面表示し、その一部に設けた子画面にサブ受信回路4,6からの画像(ネコの画像)を表示する。
ここで、リモコン送信機14にある録画/再生系操作ボタン145のうちの録画開始を指示するためのボタン操作がなされたとする。システムコントローラ12は、以下の図7に示すフローチャートが示す処理を開始する。
【0035】
図7は、システムコントローラの動作処理フローの例を示す図である。
まず、Step201において、システムコントローラ12は処理を開始する。Step102において、システムコントローラ12は、2画面表示状態であるかを判断する。システムコントローラ12が、1画面表示であると判断した場合、Step221において、システムコントローラ12は、第2のデジタルTV受信回路4に対し、第1のデジタルTV受信回路3と同じチャンネルを選局(チューナー選局)させる。そして、システムコントローラ12は、Step222において、サブ受信回路4,6からのTSデータの直接録画(サブ画面録画)を開始する。そして、システムコントローラ12は、Step223において、図8(A)に示すように、サブ画面に表示されている番組(ネコの画像)を録画中である旨の表示(Rec表示)を行ない、Step209に進む。
【0036】
システムコントローラ12が、2画面表示であると判断した場合、Step203において、2コンテンツの録画を開始する。具体的には、システムコントローラ12は、サブ受信回路4,6からのTSデータのHDD10への直接録画とともに、主たる受信回路3,5からのTSデータのメモリ15への蓄え(主画面録画)を開始する。そして、Step204において、システムコントローラ12は、図8(B)に示すように、主画面Aとサブ画面(子画面B)という2つの画面を録画中である旨の表示と、どちらの番組を録画するかの選択をユーザに促す表示を行なう。その選択操作は、ユーザが、例えば図2に示すリモコン送信機14のテンキー142で録画したい画面を選び、決定キー143でそれを確定することによって行われる。
【0037】
Step205及び206において、システムコントローラ12は、ユーザの選択操作を所定の時間(例えば30秒間)待つ。ユーザが主画面を選択した場合には、Step231において、システムコントローラ12は、サブ受信回路4,6からの直接録画を中止する。Step231においては、システムコントローラ12は、更に、メモリ15に蓄えられた主画面のTSデータ(富士山の画像)をHDD10へ移し始める。以降、主画面のTSデータはメモリ15へ蓄えられつつHDD10へ移される。また、Step231において、システムコントローラ12は、サブ画面におけるRec表示を中止し、Step209に進む。
【0038】
一方、ユーザがサブ画面(ネコの画像)を選択した場合、もしくは上記所定の時間が経過してしまった場合には、Step207において、システムコントローラ12は、主たる受信回路3,5からのTSデータのメモリ15への蓄えを中止する。そして、システムコントローラ12は、サブ受信回路4,6からのTSデータ(ネコの画像)のHDD10への直接録画のみを継続する。そして、システムコントローラ12は、Step208において、図8(C)に示すように、主画面を録画中である旨の表示を中止し、子画面の画像(ネコの画像)を録画中である旨の表示を行なう。
Step209へは、主画面の画像又はサブ画面の画像のうち、いずれの画像を録画するかが確定した段階で進んでくる。Step209において、システムコントローラ12は、番組メタ情報からEPGデータを取得し、録画している番組の終了時刻を確認し、Step210において一連の処理を終了する。
【0039】
すなわち、システムコントローラ12は、各々の放送番組データに係る番組映像がともに画面表示されている状態で録画開始操作された場合に、一部の番組(サブ画面の番組)について第1の記録手段(HDD10)への録画を開始する。また、システムコントローラ12は、上記複数の番組のうちの残りの番組(主画面の番組)について第2の記録手段(メモリ15)への録画を開始する。そして、システムコントローラ12は、録画開始後に録画を続行する対象の番組を選択し、選択されなかった番組の録画を中止する。
【0040】
Step209の処理以降に、前述した第1の実施の形態と同様に、システムコントローラ12が、HDD10の残容量や録画予約状況等に基づいて、更なる録画の選択等を行なうようにしてもよい。また、Step206において所定の時間内にユーザの選択操作がなされなかった場合、所定の判断基準にてどちらの番組の録画を続行するかを決定しても良い。例えば、機械的に一方(図7に示す処理フローの例では、サブ画面の画像)を残すのでは無く、図3のStep143における処理に関して前述したような判断基準に基づいて、録画を続行する対象の番組を選択するようにしてもよい。
また、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、2画面表示パターンは、図9(B)に示すような子画面表示パターンに限定されるものでは無い。TV受像機が、3系統又は3系統以上の受信系を備えるようにしてもよい。例えば、TV受像機が受信系を3系統備える場合には、TV受像機がメモリ15をもう1つ備えるようにする。そして、HDD10には1系統の受信系からのTSデータを、2つのメモリには残る2系統の受信系からのTSデータを蓄える様にする。このような構成を有するTV受像機は、図9(D)に示すような表示パターンに対しても適用可能である。
【0041】
なお、第2の実施の形態においても、HDD10が内蔵されたものでは無く、外部接続された記憶装置であってもよい。また、例えばTV受像機が、2つのコンテンツまで同時録画が可能なHDD10と、3つの受信系を備えるようにしてもよい。HDD10には2系統の受信系からのTSデータを記録し、メモリには残る1系統の受信系からのTSデータを蓄えるようにすれば、表示されている全ての番組の録画を開始した上で、録画を続行する対象の番組を選択することができる。更には、記録媒体がHDDでは無く、光ディスクのように、記録回数に制限のある媒体である場合には、全ての放送を一旦メモリに蓄え、録画すべき番組が確定した後にメモリから記録媒体に移すことも可能である。
【0042】
第2の実施の形態の放送受信装置は、n本のコンテンツを同時に録画可能な記録媒体を備えるとともに、複数画面表示可能なTV受像機である。この放送受信装置は、n+α本の番組データに係る番組映像を同時に表示している状況で録画開始操作がなされた場合に、n本の番組データに係る番組映像についてはHDD等の記録媒体に録画を開始する。また、残りのα本の番組データに係る番組映像も暫定的にメモリに蓄え、その直後に録画する番組を選択する。従って、同時にHDD等に録画可能なコンテンツ数を上回る本数の番組データに係る番組映像を同時表示している状況でも、表示されている全ての番組映像の録画を開始した上で、録画を続行する対象の番組の選択をすることができる。その結果、番組を録画したい時に瞬時に対応することが可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。また、本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記録媒体を介して取得したソフトウェア(コンピュータプログラム)をパーソナルコンピュータ等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することで実現することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 RF入力端子
2 RF分配器
3 第1のデジタルTV受信回路
4 第2のデジタルTV受信回路
5 第1のデジタルTV信号復号器
6 第2のデジタルTV信号復号器
7 画面合成回路
8 表示用ディスプレイ
10 HDD
12 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送番組データを受信する放送受信装置であって、
それぞれ放送番組データを受信する複数の放送受信手段と、
前記複数の放送受信手段によって受信された各々の放送番組データに係る番組映像を、表示画面上の互いに異なる表示領域にともに表示する画面表示手段と、
前記各々の放送番組データに係る番組映像がともに前記表示画面上に表示されている状態で録画開始操作がなされた場合に、前記表示画面上に表示されている複数の番組の記録手段への録画を開始する制御手段とを備え、
前記制御手段は、録画開始後に録画を続行する対象の番組を前記複数の番組の中から選択し、前記複数の番組のうち選択されなかった番組の録画を中止することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記各々の放送番組データに係る番組映像がともに前記表示画面上に表示されている状態で録画開始操作がなされた場合に、前記表示画面上に表示されている複数の番組のうちの一部の番組について第1の記録手段への録画を開始するとともに、前記複数の番組のうちの残りの番組について第2の記録手段への録画を開始することを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、ユーザの選択操作に応じて前記録画を続行する対象の番組を選択し、
前記ユーザの選択操作が行われなかった場合には、録画中の番組に係る番組情報から該番組の終了時刻を取得し、取得した番組の終了時刻と録画予約データとに基づいて、録画予約の実行に支障があるかを判断し、該判断結果に基づいて、前記録画を続行する対象の番組を前記複数の番組の中から選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、ユーザの選択操作に応じて前記録画を続行する対象の番組を選択し、
前記ユーザの選択操作が行われなかった場合には、前記表示画面上の特定の表示位置に表示されている番組を、前記録画を続行する対象の番組として選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記制御手段は、ユーザの選択操作に応じて前記録画を続行する対象の番組を選択し、
前記ユーザの選択操作が行われなかった場合には、前記表示画面上の表示サイズの大きさに基づいて、前記録画を続行する対象の番組を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記画面表示手段は、前記表示画面上の一方の表示領域が他方の表示領域の一部を被うように、前記各々の放送番組データに係る番組映像が表示される表示領域を配置し、
前記制御手段は、ユーザの選択操作に応じて前記録画を続行する対象の番組を選択し、
前記ユーザの選択操作が行われなかった場合には、前記表示画面上の前記表示領域の重なり状況に応じて、前記録画を続行する対象の番組を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項7】
放送番組データを受信する放送受信装置の制御方法であって、
複数の放送番組データを受信し、
前記受信された各々の放送番組データに係る番組映像を、表示画面上の互いに異なる表示領域にともに表示し、
前記各々の放送番組データに係る番組映像がともに前記表示画面上に表示されている状態で録画開始操作がなされた場合に、前記表示画面上に表示されている複数の番組の記録手段への録画を開始し、
録画開始後に録画を続行する対象の番組を前記複数の番組の中から選択し、前記複数の番組のうち選択されなかった番組の録画を中止することを特徴とする放送受信装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載した放送受信装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−278757(P2010−278757A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129193(P2009−129193)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】