説明

放送受信装置

【課題】 EPG表示機能を有するデジタルテレビ受信機において、文字列を画面に表示する際のプログラムの効率化を図ることである。
【解決手段】 EPG表示機能を有するデジタルテレビ受信機において、CPU6は、受信される放送波に多重されている元データであって、一端受信されてメモリ9(DRAM)に保存されているデータを解析し、表示可能な文字コード等に変換してメモリ9に記憶させる。また端子5からのユーザ情報に基づいてEPG表示画面を制御すると共にユーザが希望する番組を選択するためにチューナ2を制御する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放送受信装置に係り、特にデジタル放送受信装置における電子番組表(Electric Program Guide,以下EPG)に関する受信データの解析処理及び表示方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタル放送は、現在放送されているCSデジタル放送をはじめ、今後開始される放送衛星(BS)デジタル放送や地上波デジタル放送においても、現在のアナログ地上波に比べ、チャンネル数が多い。CSデジタル放送(××××××××××××)を例に挙げると約170チャンネル以上ある。そこで放送業者は映像・音声の番組データの他に番組表データを多重化して送信しており、そのデータを受信し解析することによって番組表等を画面に表示することができ、またユーザがその画面を利用しての番組選択や番組予約などの操作をすることが可能となっている。
【0003】現在地上波で放送されているアナログ放送の場合、新聞や雑誌等に番組表一覧が掲載され、情報を得ることができるが、チャンネル数が多いデジタル放送の場合は、現在放送されている番組の中からユーザが興味ある番組を探すことは手間がかかる。そこで、デジタル放送受信機の多くにはユーザが予め興味のあるチャンネルや契約チャンネル等を登録できる機能があり、登録したチャンネルの番組情報のみを表示することができる。登録方法としてはユーザが任意に好みのチャンネルをリモコン等のインターフェースを利用し、受信機にチャンネルを入力し設定する方法や、今までの視聴時間を換算してデータとして保持し、視聴時間の長いチャンネルを反映させるという方法がある。
【0004】また、上記デジタル放送受信機では、映像や音声に多重された番組情報などのデータは、まず送られてきたデータをそのままDRAM等の記憶媒体(以後ここではDRAMとする)に保存する。そしてそのデータから必要な情報を取り出しやすいように解析し再びDRAMに保存され、画面の表示に必要なものを読み出すという行程を取っている。表示する情報はほとんどが文字情報のため、JISコード等の文字コードに変換される。
【0005】更に、この場合、EPGを画面に表示するとき、1行に表示できる文字数は放送業者により規定されている(×××××××××××!の場合全角換算で20文字)。表示する文字が規定数より多い場合、改行をして次行に表示しなければならない。文字列から規定数に収まる文字数をカウントし、それを表示し改行操作をする。そしてカウントをリセットし、次の文字から再びカウントし表示するという行程を繰り返している。文字列の中に改行コードがあると、その時点で改行し、次の行の先頭から文字を表示する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに上述した従来のデジタル放送受信機において、ユーザが好みのチャンネルとして受信機に登録する場合、前述のようにデジタル放送の場合はチャンネル数が多く、登録に時間がかかる。また、一度設定すると再設定をしない限りそのままのデータを保持することとなり、ユーザの好みが変わったり、チャンネルの契約を変更した時などはもう一度設定をし直す必要が出てくる。
【0007】視聴時間を換算してデータとして保持する方法の場合、視聴する番組により一般的に放送時間が長いもの(映画、スポーツ中継等)と短いもの(音楽番組等)があり、同じ1番組を選択してもデータに反映される時間は数倍もの開きが出てくる可能性がある。例えば、サッカーの試合や映画を見た場合は2時間の視聴時間、歌番組を見た場合は1時間の視聴時間となり、視聴回数が同じでもデータではサッカーなどの方が2倍多く見たというような計算になってしまい、そのチャンネルを見た回数との誤差が生じる可能性がある。
【0008】また、元データを解析する際に、必要なデータを取り出し保存するが、文字データはそのままの状態でJISコード等に変換せず再び保存されている。そのため、EPGの文字情報を画面に表示する時にJISコード等の文字コードに変換してから文字フォントを呼び出しているため、文字数が多くなると表示速度が遅くなる場合がある。また、1行の文字表示については、元データを解析する段階では、元データにデータとして入っている改行コード以外は入れておらず、画面に表示する段階で解析データの文字列から規定数ごとに文字数をカウントし表示するという行程を繰り返すので効率が悪い。
【0009】本発明の目的は、上述した従来のデジタル放送受信機の問題を解決するため、EPG画面表示のためのプログラム処理の効率化を図ると共に、チャンネル検索の手段としてユーザが日常的に選択しているチャンネルを保持し、選択回数の多いチャンネルを画面の上位に表示することによりチャンネル選択の際に好みのチャンネルを迅速に選択可能な機能をも有する放送受信装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の放送受信装置は、受信した放送信号に多重されていて、表示する上でデータ変更が必要な受信データを記憶してからその記憶したデータを読み出して情報表示を行う放送受信装置において、前記受信データを解析して表示可能なデータに予め変更して、変更後のデータを記憶させるデータ解析手段を備えたことを要旨とする。
【0011】本発明において、前記データ解析手段は、前記表示可能なデータとしての文字データが1行で表示できる規定数になったら改行コードを挿入し記憶させるようにしてもよい。
【0012】更に本発明において、前記受信データに含まれる番組情報に基づき電子番組表の作成/表示手段を行う電子番組作成/表示手段を有し、該電子番組作成/表示手段は、ユーザの視聴情報を記憶しておき、前記視聴情報に基づいて前記電子番組表を作成/表示するようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態としての、EPG表示機能を有するデジタルテレビ受信機の概略構成を示す。同図において、1は受信信号入力端子で、受信されたデジタルテレビ放送信号が入力される。2は受信信号を復調するためのチューナ、3は復調出力から表示フォーマットに応じた映像信号に変換するための映像処理回路である。
【0014】4はEPG表示画面を生成するためのEPG表示信号生成回路、5はリモコンのキー入力等のユーザインターフェースによって番組選択情報が入力されるユーザ情報入力端子、6はCPUで、受信される放送波に多重されているデータ(元データ)であって、一端受信されてメモリ9(DRAM)に保存されているデータを解析し、表示可能な文字コード等に変換してメモリ9に記憶させ、また端子5からのユーザ情報に基づいて前記EPG表示画面を制御すると共にユーザが希望する番組を選択するためにチューナ2を制御する等の機能を有する。7は、CPU6からの制御信号によって映像処理回路の出力信号及びEPG表示信号生成回路4のいずれか一方を選択出力するマルチプレクサ、8はCRTディスプレイである。10はROMであって、元データ解析用プログラム及びEPG表示用プログラム等が格納されている。
【0015】本発明では、従来のように表示の際に元データを解析するのではなく、予め元データを解析して表示可能なデータに変換して記憶しておき表示の際にはその表示可能データを読み出すようにしているので、表示速度が早くなる。
【0016】即ち、元データを解析する段階で従来は文字コード変換を行っていなかったのに対し、本発明では文字コード変換も含め解析し、再びメモリ9(DRAM)に保存するようにした。これにより画面に表示する段階では文字コードの解析をする必要が無く、文字フォントをコード通りに読み出して表示するだけでよいので、表示速度が速くなる。通常の場合、元データの解析はユーザが番組を見ているときに行われるので、解析する時間は考慮しなくてもよい。
【0017】1行の文字表示について、放送波に多重されているデータ(以下、元データ)を一端受信し、メモリ9に保存する。そして、そのデータを解析し番組情報などの文字コードに変換する(以下、解析データ)。番組詳細情報などは文字数が多く、文字コードに変換する際に1行で表示できる文字の規定数になったら改行コードを挿入するようにしている。
【0018】従来のプログラムに比べると元データを解析する行程では少し複雑になるが、解析した文字を画面に表示する行程では改行などの操作をしなくてもよいことになる。
【0019】表示の際に改行コードがあると、無条件で次の行の先頭に移らなければならず、本発明はこれを利用し、予めデータを解析する段階において、1行で表示できる規定数になったら改行コードを挿入するようなプログラムとした。これにより、従来文字の1行の文字を表示するごとに文字数をカウントしていた部分が省略できる。
【0020】図2は本発明におけるデータ解析のフローチャートを示す。同図において、ステップS1で文字数カウントをリセットしてから、元データを読み込み(ステップS2)、その元データのアドレスポインタをインクイメントする(ステップS3)。そしてステップS4で元データである文字コードを解析し、表示可能コードに変換(JIS変換)し、データをメモリ9に格納する(ステップS5)。ステップS6では、格納したデータが改良コードであるか否かを判定し、改行コードであるとステップS1に戻るが、改行コードでなければ、ステップS7で1行の規定文字数に達したか否かを判定する。達していれば、解析データに改行コードを格納して(ステップS8)からステップS1に戻るが、達していなければ、ステップS9で文字データ終了を判定し、終了していなければステップS2に戻る。
【0021】図3は本発明における画面表示のフローチャートを示す。同図において、ステップS10では、メモリ9から解析データを読み込み、ステップS11で格納したデータが改行コードであるか否か判定し、改行コードであれば表示位置を1行改行する(ステップS12)が、改行コードでなければ、画面表示位置に文字を表示する(ステップS13)。そしてステップS14でポインタアドレスをインクイメントしてからステップS15で文字データの終了を判定し、終了していなければステップS10に戻る。
【0022】次に本発明による文字データの解析についてより詳細に説明する。EPGなどで使用するデータは放送波に多重化されて送られてくる。そのデータの中にはデータ量を少なくするなどの目的のため、通常JIS第1水準等で規格されている2byteの文字コードではなく、よく使用されるひらがななどは放送事業者が独自の1byteの文字コードを使用している場合がある。
【0023】従来、データをメモリに格納する際には独自文字コードのまま格納して、画面に表示する段階でJISコードに変換し、文字フォントROMにアクセスしていたが、本発明では独自文字コードをJIS文字コードに変換してから格納する。また同時に画面に表示する1行の文字数が放送事業者によって規格されている場合、その文字数で改行を行わなければならないが、その改行コードも付加してメモリに格納する。従来方法に比べ、変換してからメモリに格納するとき時間がかかるが、視聴者が映像を見ているバックグランドで処理できるため、視聴者には影響は少ない。そして、視聴者がEPG等を画面に表示する際には、格納された文字コードを単純に読み出し、文字フォントROMにアクセスするだけでよく、表示時間が短縮される。
【0024】一例として、独自文字コードがあ:0xa0 (JIS:0x2422)
い:0xa1 (JIS:0x2424)
う:0xa2 (JIS:0x2426)
え:0xa3 (JIS:0x2428)
お:0xa4 (JIS:0x242a)
と放送事業者で定義され、また1行の文字数が全角20文字とされている場合において、あいうえお あいうえお あいうえお あいうえおというデータを取り込むとすると、従来の場合メモリには下記表1のように格納される(スペースはJISコードで0x2121)。
【0025】
【表1】


【0026】本発明の場合、独自コードはJISコードに変換され、所定の文字数に対し改行も付加され、下記表2のようにメモリに格納される。
【0027】
【表2】


【0028】図4に元データ、図5に解析データで、データは16進数で表示され、改行コードは0x0eとし、斜線文字はアドレス番号である。斜線で示される改行コード(0x0e)は元データに入っているものであり、これはそのまま解析データに書き込む。×印で表される改行コードは、元データを解析した際に1行に表示できる規定数毎に挿入したものである。これにより表示の際には文字数を気にすることなく表示することができる。
【0029】なお、本発明では、ユーザが選択したチャンネルをカウントし、そのカウント数の上位チャンネルをユーザデータとして保持し、好みのチャンネル表示に使用することができる。
【0030】あるチャンネルを選択した場合、チャンネルデータ(以後、chデータ)にチャンネル選択方法を問わず過去x日間(ユーザが設定可)にユーザがn分(ユーザが設定可)以上視聴したチャンネルをカウントし、そのデータを保持する。n分以内の視聴時間の場合、カウントしない機能を設け、試しにチャンネルを選択した場合などのカウントを除くようにする。これによりユーザが視聴したチャンネルを正確にカウントすることができる。
【0031】図6にチャンネルを選択してからの流れを示す。まず、ステップT1でチャンネルを選択し、ステップT2でそのチャンネルの番組がn分以上視聴されたかの判断をする。次に、n分以上視聴されている場合、ステップT3ですでに保持してあるchデータの中に選択されたチャンネルが登録されているかを判定し存在すればデータを更新し(ステップT4)、存在してなければデータを新たに保持する。このときステップT5でchデータの未登録領域を判定し空きがない場合はステップT6で最下位のデータを削除し、選択されたチャンネルを登録する。また空きがあれば、そのエリアにデータ保持する(ステップT7)。これにより直前に選択したチャンネルのデータがchデータに残ることになり、再度検索する必要が無くなる。次にステップT8でchデータの中にn日以上前のデータが存在するかを判定し、存在する場合は、ステップT9で削除しデータを更新してからステップT10に進む。存在しなければそのままステップT10に進む。ステップT10では登録チャンネルのチャンネルデータの多い順にソートする。そして、最終的にn日間のユーザが選択したチャンネルのデータが画面に表示されることになる。
【0032】図7にEPG画面の一例を示す。選択回数が多いチャンネルから上位に表示し、一番最後に選択されたチャンネルを下位に表示する。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、表示の前に元データの解析を行い表示可能データに変換して保持しているので、特に文字データを表示する際のプログラムの効率を図ることができる。また、ユーザが普段からよく見るチャンネルを自動的にカウントし、チャンネル選択画面に表示して好みのチャンネルの検索を容易にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明におけるデータ解析のフローチャートである。
【図3】本発明における画面表示のフローチャートである。
【図4】元データの一例を示す図である。
【図5】解析データの一例を示す図である。
【図6】チャンネル選択のフローチャートである。
【図7】EPG画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 受信信号入力端子
2 チューナ
3 映像処理回路
4 EPG表示信号生成回路
5 ユーザ情報入力端子
6 CPU
7 マルチプレクサ
8 CRTディスプレイ
9 メモリ(DRAM)
10 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】 受信した放送信号に多重されていて、表示する上でデータ変更が必要な受信データを記憶してからその記憶したデータを読み出して情報表示を行う放送受信装置において、前記受信データを解析して表示可能なデータに予め変更して、変更後のデータを記憶させるデータ解析手段を備えたことを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】 前記データ解析手段は、前記表示可能なデータとしての文字データが1行で表示できる規定数になったら改行コードを挿入し記憶させるようになっていることを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。
【請求項3】 前記受信データに含まれる番組情報に基づき電子番組表の作成/表示手段を行う電子番組作成/表示手段を有し、該電子番組作成/表示手段は、ユーザの視聴情報を記憶しておき、前記視聴情報に基づいて前記電子番組表を作成/表示するようになっている請求項1又は2記載の放送受信装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2001−257649(P2001−257649A)
【公開日】平成13年9月21日(2001.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−66465(P2000−66465)
【出願日】平成12年3月10日(2000.3.10)
【公序良俗違反の表示】特許法第64条第2項ただし書の規定により×印の部分及び図面第7図の一部は不掲載とした。
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】