説明

放送受信装置

【課題】電源投入後からIP放送を表示するまでの時間を短くすることができる放送受信装置を提供する。
【解決手段】放送受信装置1は、起動後に、DNSサーバのアドレスの設定を含むインターネットプロトコル(IP)に関する設定を自動的に行い、指定したチャンネルのIP放送をマルチキャスト通信にて受信するものであって、DNSサーバのアドレスの設定処理の進行状況に係わらず、予め記憶した、指定したチャンネルに対応するマルチキャストアドレスを指定して、IP網4を介したIP放送サーバ53aからのIP放送の受信を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP放送を受信する放送受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IP(Internet Protocol)を使ったサービスを受けるには、IPインタフェースの設定を行う必要がある。手動でのIPインタフェースの設定は、煩雑かつ専門知識が必要であったりするため、自動設定の仕組みを利用して設定を行うのが一般的である。IPを使ったサービスを利用するために最低限必要な設定は、IPアドレス/ネットマスク/デフォルトゲートウェイ/DNS(Domain Name Service/Server)アドレスの4つが必要である。図5は、パーソナルコンピュータ(PC)等における一般的なIPインタフェースの自動設定方法を説明する図である。
【0003】
IPv4(Internet Protocol version 4)では、図5(A)に示すように、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を用い、この4つを設定する(ステップS101)。これに失敗した場合(ステップS102、NO)でも、ローカルネット内でのサービスを受けられるようにするために、AutoIP(APIPA:Automatic Private IP Addressing)によって、ローカルネット内でのみ通用するIPアドレス/ネットマスクを割り当てるように設定する(ステップS103)。
【0004】
一方、IPv6(Internet Protocol version 6)では、図5(B)に示すように、ルータ広告(RA:Router Advertisement)によってIPアドレス/ネットマスク/デフォルトゲートウェイの設定を行い(ステップS111)、DHCPv6(Dynamic Host Configuration Protocol for IPv6)によってDNSアドレスの設定を行う(ステップS112)(なお、DHCPv6によってIPアドレス等の設定も可能であるがアドレスはRAを利用するのが一般的である)。
【0005】
近年では、ネットワークのブロードバンド化に伴い、IP(Internet Protocol)を使ったサービスとして、IP放送が提案されている。IP放送に用いられる放送受信装置としては、STB(Set Top Box)等の専用機器が一般的であり、ユーザは、この専用機器を経由して一般のテレビ受像機(TV受像機)でコンテンツの視聴が可能となっている。また、IP放送用の放送受信装置を内蔵させたテレビ受像機やレコーダも提案されている。
IP放送は、IPマルチキャストの仕組みを用いており、また、マルチキャスト通信にはIPv6が好適であることもあるため、IP放送用の放送受信装置では、IPv6が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−104099号公報
【特許文献2】特開2007−251447号公報
【特許文献3】池田 博樹、「GPONを用いたIP放送アーキテクチャの検討」、電子情報通信学会技術研究報告、2007年6月8日、第107巻、第91号、p.5−10
【特許文献4】特開2007−158634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PC等の場合は、起動画面を持っているため、ネットワーク設定(IPインタフェース設定)自体を後回しにできるが、テレビ受像機等の場合、IP放送を受信・表示するよう起動させたときに、何らかの映像を直ちに映す必要があるため、起動時のネットワーク設定は必須である。そのため、従来のテレビ受像機は、起動された後、図6に示すように、IPインタフェースの自動設定を開始し、上述のようにRAによる設定を行い(ステップS121)、DHCPによる設定を行う(ステップS122)。そして、IPインタフェースの設定が全て終了した後、IP放送を受信し、IP放送サービスを開始させていた。
【0008】
しかし、この自動設定の仕組みは、「起動した装置がインタフェースを介して、設定要求を投げ、タイムアウト待ちをし、リプライを受けたうえで設定が完了する」、という流れのため、設定完了までに時間がかかることが多い。特にテレビ受像機においては、電源を投入してから映像が出るまでの時間が非常に重要で、ミリ秒単位の突き詰めを行う上でこの待ち時間は非常に問題となる。
【0009】
本発明は、上述のような実情を考慮してなされたものであり、電源投入後からIP放送を表示するまでの時間を短くすることができる放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、起動後に、DNSサーバのアドレスの設定を含むインターネットプロトコルに関する設定を自動的に行い、指定したチャンネルのIP放送をマルチキャスト通信にて受信する放送受信装置であって、前記DNSサーバのアドレスの設定処理の進行状況に係わらず、予め記憶した、前記指定したチャンネルに対応するマルチキャストアドレスを指定して、前記IP放送の受信を開始することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の技術手段は、前記IP放送を初めて受信するときにチャンネルサーチを行い、前記マルチキャストアドレスを前記チャンネルに対応づけて事前に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の放送受信装置によれば、電源投入後からIP放送を表示するまでの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の放送受信装置が適用されたテレビ受像機が組み込まれたIP放送システムの構成の一例を示す概略図である。
【図2】図1のテレビ受像機の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1のテレビ受像機における起動時の処理を説明するための図である。
【図4】図1のテレビ受像機を起動した際にテレビ受像機‐ルータ間で送受信される情報やメッセージと、その際にルータで行われる処理について説明するための図である。
【図5】従来のPC等におけるIPインタフェースの設定方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】従来のテレビ受像機における起動時の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る放送受信装置は、IP放送を受信可能な装置であり、表示装置を内蔵したテレビ受像機に好適に適用可能なものであり、その他、レコーダ等の様々な機器に適用可能である。本明細書では、本発明に係る放送受信装置を、表示装置を内蔵したテレビ受像機に適用した例で説明する。
図1は、本発明の放送受信装置が適用されたテレビ受像機が組み込まれたIP放送システムの構成の一例を示す概略図である。また、図2は、図1のテレビ受像機の構成の一例を示すブロック図である。なお、本テレビ受像機は、IPとしては、全ての通信においてIPv6を採用するものとして説明する。
【0015】
IP放送システムは、例えば、図1に示すように、表示装置30とスピーカ40を有しリモコン2によりユーザに操作されるテレビ受像機1と、ルータ3を備えており、テレビ受像機1にルータ3及びIP網4を介してCDN(Contents Delivery Network)5が接続されて成る。このCDN5は、配信事業者のグループであるPF(Platform)51,52からなり、各PF51,52がIP放送サーバ53a及びポータルサーバ53bを有し、各IP放送サーバ53a及びポータルサーバ53bがIP網4に接続されている。
【0016】
IP放送サーバ53aは、IP放送を放送するためのサーバ装置であり、RTP(Real-time Transfer Protocol)に従って、放送データをIP網4に、チャンネル毎に異なるマルチキャストアドレスで出力する。RTPの場合のトランスポート層としては、後述するように、UDP(User Datagram Protocol)が用いられる。テレビ受像機1は、これらIP放送サーバ53aよりルータ3を介してIP放送を受信して、表示装置30やスピーカ40を用いて再生する。
【0017】
ポータルサーバ53bは、テレビ受像機1からのサイト情報送信要求を受信したとき、XML形式やHTML形式でサイト情報を提供する。このときの通信プロトコルには、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)が用いられる。なお、サイト情報とは、ポータルサーバ53bが提供するサービスのためのサイト(例えば、IP放送を含むIPTVサービスの案内や契約等を行うサイト)をWebブラウザ等で表示するのに必要な情報をいう。
【0018】
また、CDN5は、上記のサーバ以外に、後述のCDN構成情報を記憶するサーバや、後述のPF構成情報を記憶するサーバを有する。これらサーバは、互いに一体のサーバであってもよいし、IP放送サーバ53aやポータルサーバ53bと一体のサーバであってもよい。このCDN構成情報やPF構成情報は、例えば、XML形式で記述されたメタデータであり、該当するサーバからHTTPで送信され、受信したテレビ受像機1では、後述のチャンネルサーチ等に用いられる。
【0019】
続いて、テレビ受像機1の基本的な構成について説明する。
テレビ受像機1は、図2に示すように、IP放送を受信可能とするため、例えば、LAN(Local Area Network)6に接続され、IP放送サーバ53aからLAN6を介してIP放送のUDPパケットを受信するネットワークインタフェース(ネットワークI/F)11と、ネットワークI/F11を介してUDPパケットで受信したIP放送をTSパケットに変換するIP放送チューナ部12と、後述する選局部13とを備える。
【0020】
チューニング(選局)を行う選局部13におけるIP放送の選局処理としては、マルチキャストアドレス群の中から、ユーザ選択されたIP放送チャンネルに該当するマルチキャストアドレスを指定し、ネットワークI/F11に伝える。ネットワークI/F11は、選局部13によって設定されたマルチキャストアドレスで動作し、放送されているネットワークストリーム(UDPパケット)を受信しIP放送チューナ部12へ伝送する。IP放送チューナ部12は、ネットワークストリームをTSパケットに変換し、映像/音声ストリームやSI(Service Information)専用ストリームとして後述のDMUX14へ出力する。このように、映像・音声ストリーム、SI専用スストリームのいずれにおいても、選局部13におけるIP放送の選局動作は、ネットワークI/F11に対してマルチキャストアドレスを設定することで行われる。
【0021】
テレビ受像機1は、さらに、IP放送ストリームからの番組データの抽出や、復調されたデータの分離を行う分離部(DMUX:Demultiplexer)14と、分離されたIP放送のビデオデータ及びオーディオデータをそれぞれビデオ信号及びオーディオ信号にデコードするAVデコード部15と、ビデオ信号及びオーディオ信号を出力用のものに変換するAV出力変換部16と、を備える。
【0022】
また、放送受信装置10は、さらに、放送受信装置10全体の制御を実行するCPU17と、任意のアドレスを指定して読み書きすることが可能な半導体メモリであってCPU17の作業領域となって不揮発性メモリに格納されたプログラムを読み出したり、処理中のデータを一時的に格納したりするRAM18と、を備える。また、放送受信装置10は、放送受信装置10全体の制御を行うための制御プログラムや、通信用の設定情報等の各種情報が格納される書換え可能な不揮発性メモリ19を、備える。
【0023】
テレビ受像機1において、放送受信装置10は、液晶表示装置等の表示装置30と、音声出力用のスピーカ40とに接続されている。表示装置30は、AV出力変換部16から出力されたビデオ信号に基づき、映像を表示し、スピーカ40は、AV出力変換部16から出力された出力信号に基づき音声を出力する。
【0024】
また、リモコン2には、例えば、テレビ受像機1の電源のON/OFFを操作する電源ボタンや、チャンネル番号を選択する操作を行うためのチャンネル選択ボタン、チャンネル番号を上方向及び下方向に操作して選択するチャンネル上下ボタン、テレビ受像機1の各種設定を行うメニュー画面を表示する操作を行うためのメニュー画面表示ボタン、メニューをはじめ設定時のカーソル位置の左右上下方向への移動操作や決定操作を行うための移動・決定ボタン等が設けられている。リモコン2は、設けられたボタンの押下によって操作信号を生成し、テレビ受像機1のリモコン受光部20へその操作信号を送信する。
【0025】
テレビ受像機1は、ユーザが操作するリモコン2からの操作信号を受信するリモコン受光部20を備える。CPU17は、その操作信号をリモコン受光部20から受け取り、テレビ受像機1の現在の動作状態に応じた動作を実行するようテレビ受像機1内の各部を制御する。
【0026】
このような構成により、テレビ受像機1では、IP放送を受信し、受信したものを表示等することができる。
【0027】
また、テレビ受像機1は、ネットワークI/F11を介した通信を制御する通信制御部21を備える。通信制御部21は、IP放送のためのUDP/IP通信に用いられ、また、このIP放送のための通信を可能にする設定を行うための通信にも用いられる。
【0028】
次に、本発明の特徴である、テレビ受像機1において起動時に行う処理について説明する。
【0029】
IP放送は、IPTVサービスの一例であり、IPTVサービスには、その他にVOD(Video On Demand)サービスやポータルサービスがあるが、テレビ受像機として基本となるサービスは、IP放送である。IP放送ではIPv6のマルチキャストの仕組みを用いている。
テレビ受像機1において、IPv6を用いたIP放送を受信できるようになるまでの処理・手順(例えば、受信契約や後述のチャンネルサーチ)には、IPインタフェースの設定として、IPアドレス/ネットマスク/デフォルトゲートウェイ/DNSアドレスの全てが必要である。しかし、テレビ受像機1では、IP放送のチャンネルに対応したマルチキャストアドレスを記憶しているので、チャンネルサーチまで終わり、すでに受信できる状態にあれば、IPアドレス/ネットマスク/デフォルトゲートウェイだけでサービス受信を開始することができる。
【0030】
そこで、テレビ受像機1は起動時に以下の図3のように動作する。テレビ受像機1は、電源OFF状態にあったとき、リモコン2の電源ボタンや表示装置の前面に設けられた電源ボタン等が押下されたことを検知すると、テレビ受像機1が起動されたものと判断し、IPを使ったサービスのために、IPインタフェースの設定を開始する。開始後、テレビ受像機1は、通信制御部21及びネットワークI/F11を制御して、ICMPv6(Internet Control Message Protocol for IPv6)の近隣探索機能を用いて、LANに接続されたルータ(ルータ機能を持ったサーバ)からRAを受信し、RAに基づき、IPアドレス/ネットマスク/デフォルトゲートウェイ(ステップS1)を設定し、通信制御部21のメモリや不揮発性メモリ19に記憶する。
【0031】
そして、DNSアドレスの設定完了前(DNSアドレスを設定する前または設定中)に、選局部13を用いて、既にチャンネルサーチにより不揮発性メモリ19に記憶したマルチキャストアドレス群の中から、指定したチャンネルに対応するマルチキャストアドレス、すなわち、ユーザ選択された又は前回電源OFF時のIP放送チャンネルに該当するマルチキャストアドレスを指定し、ネットワークI/F11に対して、指定したマルチキャストアドレスを設定する。IP放送チャンネルに対応したマルチキャストアドレスを記憶する方法については後述する。
【0032】
さらに、ネットワークI/F11が、ステップS1で設定したIPアドレス/ネットマスク/デフォルトゲートウェイと上記マルチキャストアドレスによって、放送されているストリームを受信する。このようにして、テレビ受像機1は、IP放送サービスを開始することができる。
【0033】
また、テレビ受像機1は、DHCPv6によってDNSアドレスを設定し、通信制御部21のメモリや不揮発性メモリ19に記憶する(ステップS2)が、この設定は、IP放送の受信・表示処理のバックグランドで行う。こうすることで、ユーザからみた電源投入からサービス開始までの時間を大幅に短縮することができる。
【0034】
テレビ受像機1を起動した際にテレビ受像機‐ルータ間で送受信される情報やメッセージと、ルータで行われる処理について、図4を用いて説明する。
起動されたテレビ受像機1は、通信制御部21及びネットワークI/F11を制御して、リンク内のルータを探索するために、RAを要求するRA要求(ルータ要請メッセージ)を、リンクローカルなマルチキャストアドレスを指定して送信する(S11)。ルータは、ルータ要請メッセージに応答して、RA(メッセージ)を送信する(S12)。RAには、例えば、ネットワークプレフィックスや送信元ルータのIPアドレスの情報が含まれる。この例では、テレビ受像機1は、例えば、ネットワークプレフィックス情報等に基づいて、リンクローカルユニキャストアドレス及びグローバルユニキャストアドレス(IPアドレス)並びにネットマスクを設定し、RAの送信元ルータのIPアドレスをデフォルトゲートウェイとして設定する。
【0035】
テレビ受像機1は、RAの送信元のルータに、MLD(Multicast Listener Discovery)プロトコルで、受信するIP放送チャンネルに対応するマルチキャストアドレスが示されたマルチキャスト要求を送信する(S13)。ルータでは、マルチキャスト要求に基づいて、サーバから送信されたIPパケットを受信し、IPパケットを複製する。そして、ルータは、テレビ受像機1により指定されたマルチキャストアドレスのグループにIPパケットを送信する(S14)。これにより、テレビ受像機1は、マルチキャストアドレスに応じてサーバからのIP放送することができ、IP放送が開始されたことになる。
【0036】
また、テレビ受像機1では、S13のマルチキャスト要求を行うタイミングと同様なタイミングで、DNSアドレスを設定するために、DHCPv6要求を、リンクローカルなマルチキャストアドレスを指定して送信する(S15)。このとき、ルータがDHCPv6サーバ機能を有していれば、DHCPv6応答を返信(送信)する。DHCPv6応答には、DNSアドレスが示されており、これに基づき、テレビ受像機1では、DNSアドレスを設定することができる。
【0037】
以上のように、テレビ受像機1では、IPインタフェースの設定として、IPアドレス/ネットマスク/デフォルトゲートウェイの3つの設定が終わった後に、チャンネルサーチで取得したマルチキャストアドレスを用いて、DNSアドレスの設定の完了を待たずに、IP放送の受信を開始するので、起動してから映像を表示するまでの時間を早くすることができる。
【0038】
以下では、チャンネルサーチについて説明する。
IP放送を視聴するには、テレビ受像機1の設置・設定の際に(つまり、テレビ受像機1で初めてIP放送を受信する前に)、チャンネルサーチとよばれる手順を踏む。このチャンネルサーチは、一般的なアナログ放送やデジタルでのチャンネルに周波数を合わせるチャンネルサーチと同等の処理である。一連のチャンネルサーチのシーケンスを行うには、IPインタフェースの設定は全て終わっており、IPアドレス、DNSアドレスの両方が揃っている必要があるため、テレビ受像機1では、チャンネルサーチの前に、例えば、従来の図5(B)に示した方法と同様にして、IPインタフェースの設定を行う。
【0039】
テレビ受像機1は、チャンネルサーチでは、まず、通信制御部21及びネットワークI/F11を制御して、CDN構成情報を記憶しているサーバ(CDN構成情報記憶サーバ)からそのCDN構成情報を取得する。CDN構成情報は、後述のPF構成情報が取得できるサーバ(PF構成情報記憶サーバ)の情報を示すものであり、例えば、XMLで記述されたメタデータで構成される。CDN構成情報が取得できるサーバは、そのURI(Uniform Resource Identifier)がURL(Uniform Resource Locator)で固定で指定されており、テレビ受像機1では、このサーバのURLを予め(例えば、製品出荷時)に記憶している。テレビ受像機1では、このURLに基づいて、DNS引きによって、CDN構成情報記憶サーバのIPアドレスを取得し、取得したIPアドレスに基づいて、CDN構成情報記憶サーバへアクセスし、CDN構成情報を取得する。この際の通信プロトコルには、HTTPが用いられる。
【0040】
次いで、テレビ受像機1は、CDN構成情報には、PF構成情報記憶サーバの情報としてURIがURLで示されているので、PF構成情報記憶サーバのURLに基づいて、DNS引きによって、PF構成情報記憶サーバのIPアドレスを取得する。そして、取得したIPアドレスに基づいて、PF構成情報記憶サーバへアクセスし、PF構成情報を取得する。PF構成情報は、CDNを構成するPFがどのようなものであるか、また、各PFがどのように構成されているかを示すものであり、例えば、XMLで記述されたメタデータで構成される。また、PF構成情報には、後述のSI専用ストリームのマルチキャストアドレスが示されている。なお、PF構成情報の取得の際にも、通信プロトコルとしてHTTPが用いられる。
【0041】
そして、テレビ受像機1は、PF構成情報に記述されたマルチキャストアドレスをネットワークI/F11に指定し、SI専用マルチキャストストリームを受信する。このSI専用マルチキャストストリームを受信することによって、全てのPFで提供されるIP放送サービスの情報(マルチキャストアドレス、チャンネル番号等)を取得することができる。テレビ受像機1では、電波による放送でのチャンネル番号と周波数の対応と同様に、チャンネル番号とマルチキャストアドレスを対応させられるように、取得した情報をチャンネルデータとして不揮発性メモリ(VMRAM)19へ記録する。IP放送サービスを受信する際は、テレビ受像機1は、このチャンネルデータを読み出して行う。
【0042】
上述のように、チャンネルサーチを行うには、IP設定は全て終わっており、IPアドレス、DNSアドレス両方が揃っている必要がある。しかし、チャンネルサーチを行った結果は、不揮発性メモリ(NVRAM:Non-Volatile RAM)19へ記録するため、一度電源を切っても使用できる。また、マルチキャストアドレスはDNS引きする必要のない生のアドレスデータとして取得するため、チャンネルサーチ後のIP放送受信に当たっては、DNS引きを必要としない。チャンネルサーチは初めてIP放送を受信するときにのみ行い、後は、自動で定期的に更新は行うが、起動直後に必要となることはなく、IP放送サービスを受信する際は、テレビ受像機1は、不揮発性メモリ19に蓄えられたチャンネルデータのみを使用し行う。
よって、起動直後にIP放送の動画を表示するためにはDNS設定は必要なく、IPアドレスの設定が終わっていればよい。
【0043】
家電においては、電源投入直後に即、サービスが利用できることが要求され、なおかつ起動時間(電源投入からサービスが受けられるまでの時間)に対する要求もシビアである。ところが、ネットワークサービスは要求を投げ、タイムアウト待ちをするという仕組みであり、サーバの即時応答も期待できないため、DNSアドレス取得処理のために数秒以上の時間を浪費する可能性がある。サービス受信までに必要な処理を一つでも省略できることの意味は大きい。
【0044】
なお、IP放送の受信のためのマルチキャスト要求の送信タイミング(Join開始タイミング)及びDNSサーバアドレスの設定(DHCP)のタイミングについて補足しておく。
上述のようにJoin開始にDNSサーバアドレス設定の完了を前提としないシステムにおいては、テレビ受像機1は、DHCPの開始をJoinの前に行い、DHCP処理の完了を前提とせずにJoinを開始させ、JoinとDHCPを並行処理してもよい。また、DHCPの開始前にJoinを行う場合は、Joinの処理が完了した後にDHCPを開始してもよいし、Joinの処理の完了を待たずしてDHCPを並列処理してもよい。並列処理を可能としておけば、JoinとDHCPの処理の開始のタイミングを、ネットワーク状態その他の要因によって可変とすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1…テレビ受像機、2…リモコン、3…ルータ、4…IP網、5…CDN、6…LAN、10…放送受信装置、11…ネットワークI/F、12…IP放送チューナ部、13…選局部、14…DMUX、15…AVデコード部、16…AV出力変換部、17…CPU、18…RAM、19…不揮発性メモリ、20…リモコン受光部、21…通信制御部、30…表示装置、40…スピーカ、51,52…PF、53a…IP放送サーバ、53b…ポータルサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動後に、DNSサーバのアドレスの設定を含むインターネットプロトコルに関する設定を自動的に行い、指定したチャンネルのIP放送をマルチキャスト通信にて受信する放送受信装置であって、
前記DNSサーバのアドレスの設定処理の進行状況に係わらず、予め記憶した、前記指定したチャンネルに対応するマルチキャストアドレスを指定して、前記IP放送の受信を開始することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記IP放送を初めて受信するときにチャンネルサーチを行い、前記マルチキャストアドレスを前記チャンネルに対応づけて事前に記憶することを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−217191(P2012−217191A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136500(P2012−136500)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2009−543865(P2009−543865)の分割
【原出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】