説明

放送記録装置

【課題】ユーザーの好みにあった番組の放送データを漏れなく記録することが可能な放送記録装置を提供する。
【解決手段】記録しようとする第2放送データ12bに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データの傾向とデータベース12cとが所定の類似基準12eよりも類似しているとき、当該第2放送データ12bの記録を許可する(削除しない)と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放送記録装置に関し、特に放送データを受信して記録する放送記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CMを利用して録画を行うか否かを判定する関連技術として、番組予告CMが再生された場合に予告された番組を録画する録画装置が提案されている(特許文献1、参照。)。
かかる構成によれば、ユーザーが特に録画予約の操作を行うことなく、ユーザーの好みの番組について録画を行うことができる。
【特許文献1】特開2004−120408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した技術では、番組予告をするCMをする番組しか録画することができないという課題があった。ユーザーの好みは様々であるため、番組予告をしないような番組であってもユーザーが視聴したいということも十分考えられ、ユーザーが好む番組を漏れなく録画することができない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、ユーザーの好みにあった番組の放送データを漏れなく記録することができる放送記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために請求項2にかかる発明は、放送データを受信して記録する放送記録装置において、ユーザーから指定された上記放送データを記録する第1の記録手段と、上記第1の記録手段が記録した上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データを集計したデータベースを作成するデータベース作成手段と、記録しようとする上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データの傾向と上記データベースとが所定の類似基準よりも類似しているとき、当該放送データの記録を許可すると判定する判定手段と、上記判定手段が記録を許可すると判定したとき当該放送データを記録する第2の記録手段とを具備する構成としてある。
【0005】
上記のように構成した請求項2の発明では、第1の記録手段がユーザーから指定された上記放送データを記録する。例えば、ある番組を録画したい場合に、ユーザーが録画開始時間と録画終了時間とチャンネルを指定したり、これらの情報を特定するコードを入力したり、番組を指定したりすることによって録画する放送データを特定する。これらの指定によればユーザーの好みの放送データのみを録画することができる。データベース作成手段は、上記第1の記録手段が記録した上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データを集計したデータベースを作成する。すなわち、ユーザーの好みに即した上記放送データに含まれる各CMの特徴データが集計される。このデータベースによれば、ユーザーの好みの番組中に放送される各CMの傾向を把握することができる。
【0006】
判定手段は、記録しようとする上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データの傾向と上記データベースとが所定の類似基準よりも類似しているとき、当該放送データの記録を許可すると判定する。すなわち、ユーザーが好んで記録した上記放送データにおけるCMの傾向と、放送されている上記放送データにおけるCMの傾向とが所定の類似基準よりも類似している場合に限り、放送されている上記放送データの録画を許可する。CMは番組の内容にマッチした特定の視聴者層をターゲットとして放送されるため、ユーザーが好んで記録した上記放送データの番組と視聴者層が似通った番組についての記録を許可することができる。そして、上記判定手段が記録を許可すると判定した上記放送データについては第2の記録手段が記録を行う。ここで、第2の記録手段が行う記録とは、最終的に記録されていれることを意味し、例えば予め一時記録しておき、上記判定手段の許可判定に基づき一時記録した上記放送データを保持することも概念として含まれる。逆に、上記判定手段の不許可判定に基づき一時記録した上記放送データを消去することは、“記録しない”ことの概念として含まれる。
【0007】
また、請求項3にかかる発明は、現在から遡って所定期間の間に放送された上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データのいずれにも一致しない上記特徴データを上記データベースから破棄するデータベース管理手段を具備する構成としてある。
【0008】
上記のように構成した請求項3の発明では、データベース管理手段は、現在から遡って所定期間の間に放送された上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを監視し、そのいずれにも一致しない上記特徴データが上記データベースに含まれる場合、当該一致しない上記特徴データを上記データベースから破棄する。同一のCMが長期間にわたって放送されることは希であるため、現在から遡って所定期間の間に放送された最近のCMの上記特徴データのみ上記データベースでは有効とされる。
【0009】
また、請求項4にかかる発明は、上記第2の記録手段が記録した上記放送データが所定期間再生されないとき、当該放送データを削除する削除手段を具備する構成としてある。
【0010】
上記のように構成した請求項4の発明では、CMの傾向が似ていてもユーザーが好まない番組が記録される可能性もあるため、上記第2の記録手段が記録した上記放送データが所定期間再生されないとき、当該放送データをユーザーの好みに合わないものと判断し、削除する。
【0011】
さらに、請求項5にかかる発明では、上記類似基準は、上記データベースが有する各CMの上記特徴データと、記録しようとする上記放送データから抽出された各CMの上記特徴データとの一致数または一致率で規定される構成としてある。
【0012】
上記のように構成した請求項5の発明では、上記データベースが有する各CMの上記特徴データと、記録しようとする上記放送データから抽出された各CMの上記特徴データとの一致数または一致率によって上記類似基準が規定される。同じCMがどれだけの数含まれるか、あるいは、同じCMがどれだけの比率で含まれるかということが類似性の基準とされる。ただし、類似性の上記類似基準は一致数や一致率に限られず、他の統計的手法に基づいて類似性を判定することも可能である。
【0013】
また、請求項6にかかる発明では、ユーザーの指定に基づき上記類似基準を変更する基準変更手段を具備する構成としてある。
【0014】
上記のように構成した請求項6にかかる発明において、上記類似基準がユーザーの指定によって変更される。従って、ユーザーの判断によって、精度を重視して記録量を抑えたり、漏れのない記録を行うため記録量を増加させたりすることができる。
【0015】
また、請求項7にかかる発明では、上記判定手段は、記録しようとする上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データの傾向と上記データベースとが所定の類似基準よりも類似しており、かつ、当該特徴データに特定の特徴データと一致するものが含まれないとき、当該放送データの記録を許可すると判定する構成としてある。
【0016】
上記のように構成した請求項7の発明においては、CMの傾向が類似していると判断される場合であって、さらに記録しようとする上記放送データに含まれるCMの特徴データに特定の特徴データと一致するものが含まれないときに限り、記録を許可する。これにより、CMの傾向が類似していると判断される場合であっても、ある特定のCMが放送される場合には記録を回避することができる。
【0017】
また、請求項8にかかる発明では、上記判定手段は、記録しようとする上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データの傾向と上記データベースとが所定の類似基準よりも類似しており、かつ、当該特徴データに特定の特徴データと一致するものが含まれるとき、当該放送データの記録を許可すると判定しつつ、上記第2の記録手段に対して当該放送データを記録する際の記録品質を低下させるよう指示する構成としてある。例えば、ユーザーが見たくない番組に挿入されるCMの特徴データを特定の特徴データとしておくことにより、当該番組の上記放送データを記録対象から除外することができる。
【0018】
上記のように構成した請求項8の発明においては、記録しようとする上記放送データに含まれるCMの特徴データに特定の特徴データと一致するものが含まれるときでも、CMの傾向が類似していると判断される場合には、一応は記録を許可する。ただし、記録容量の浪費する可能性が高いため、ビットレート等の記録品質を低下させて記録容量の浪費を防止する。
【0019】
以上の構成をさらに具体化した画像データ圧縮伸長装置によっても本発明を実現することができ、その具体例として請求項1にかかる発明は、放送データを受信するチューナと、上記チューナが受信した上記放送データを復調する復調回路と、上記復調回路にて復調された上記放送データを所定の記録媒体に記録する記録部を具備する放送記録装置において、ユーザーから指定された上記放送データを記録する第1の記録手段と、上記第1の記録手段が記録した上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データを集計したデータベースを作成するデータベース作成手段と、上記データベースが有する各CMの上記特徴データと、記録しようとする上記放送データから抽出された各CMの上記特徴データの傾向とが、双方の上記特徴データの一致数または一致率で規定される類似基準よりも類似しているとき、当該放送データの記録を許可すると判定する判定手段と、上記判定手段が記録を許可すると判定したとき当該放送データを記録する第2の記録手段と、現在から遡って所定期間の間に放送された上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データのいずれにも一致しない上記特徴データを上記データベースから破棄するデータベース管理手段と、上記第2の記録手段が記録した上記放送データが所定期間再生されないとき、当該放送データを削除する削除手段と、ユーザーの指定に基づき上記類似基準を変更する基準変更手段とを具備する構成としてある。
【0020】
かかる構成においても請求項2から請求項6の各発明の発明特定事項が含まれるため、請求項2から請求項6の各発明の単独または相乗的な作用効果が実現できることはいうまでもない。
【発明の効果】
【0021】
請求項1および請求項2の発明によれば、ユーザーの好みにあった番組の放送データを漏れなく記録することができる。
請求項3の発明によれば、データベースを最新の状態に更新することができる。
請求項4の発明によれば、記録容量の浪費を防止することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、類否判断の基準を規定することができる。
請求項6の発明によれば、記録量を調整することができる。
請求項7の発明によれば、見たくない番組の記録を回避することができる。
請求項8の発明によれば、記録容量の浪費を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態について説明する。
(1)第1の実施形態:
(1−1)通常録画処理:
(1−2)自動録画処理:
(1−3)削除処理:
(1−4)データベース管理処理:
(1−5)各種設定:
(2)変形例:
【0024】
(1)第1の実施形態
図1は、本発明の一例としてのHDDビデオレコーダの全体構成を示している。同図において、HDDビデオレコーダ10はマイコン11とHDD12とデジタルチューナ13と復調回路14とリモコン受信部15とリモコン送信器16と再生回路17を有しており、テレビジョン20が接続されている。マイコン11はROMやHDD12に記憶された制御プログラムに基づいて後述する各処理を実行する。本実施形態においては記録媒体としてHDDに記録を行うようにしたが、本発明の記録媒体として種々の記録媒体を適用することができる。デジタルチューナ13は、地上波等のデジタルテレビジョン放送波から所望の周波数帯を選局し、放送データを受信する。
【0025】
受信した放送データは、復調回路14に入力され、復調回路14にて多重化が解除され、さらにMPEG2形式等のビデオデータに復調される。このようにしてビデオデータに復調された放送データをHDD12に記憶する。マイコン11は、リモコン送信器16とリモコン受信部15を介してユーザーからの指示を受け付ける。再生回路17はHDD12に記録された放送データを取得し、当該放送データをデコードした再生画像をテレビジョン20に出力する。この再生履歴は、HDD12において再生履歴データ12dとして記録される。
【0026】
(1−1)通常録画処理
図2は、マイコン11が実行する通常録画処理(第1の記録手段)の流れを示している。同図において、ステップS110では、ユーザーがリモコン送信器16とリモコン受信部15を介し、録画開始時刻と録画終了時刻とチャンネルとを指示する。むろん、録画開始時刻と録画終了時刻とチャンネルとを直接指示する必要はなく、電子番組情報等によって間接的に指定すればよい。ステップS120では録画開始時刻が経過するまで待機し、録画開始時刻が経過するとステップS130にて録画を開始する。具体的には、指定されたチャンネルの放送周波数をデジタルチューナ13が選局し、復調回路14が指定されたチャンネルのMPEG2ビデオデータに復調する。このように復調された放送データをHDD12に第1放送データ12aとして記録する。ステップS140にて、録画開始時刻が経過すると、録画を停止する。
【0027】
録画を停止すると、ステップS150にて録画した第1放送データ12aから各CMの特徴データを抽出する。番組本編とCMとの間には画像や音声レベルの大きな変動があるため、この変動に基づいて番組本編とCMとを分離することができる。さらに、各CM間の画像や音声レベルの大きな変動に基づいて各CMを分離する。通常、1つの番組の間に複数のCMが放送されるため、複数のCMに対応するビデオデータに分離されることとなる。さらにCMごとに分離したビデオデータからそれぞれ特徴データを抽出する。特徴データが、各CMの特徴を示すデータであればよく、種々のデータを採用することができる。
【0028】
各CMは固有の映像と音声を有しているため、映像と音声から特徴データを抽出することができる。例えば、CM画像の平均輝度の時間推移や色の時間推移やシーンチェンジの時間等を特徴データとしてもよいし、音声レベルの時間推移や音声レベルピークの時刻を特徴データとして抽出してもよい。各CM全体の特徴を抽出するとデータ量が膨大となるため、例えばCM開始から数秒間の時間推移のみを抽出したり、フーリエ変換によりスペクトルを抽出するなどしてもよい。なお、本実施形態では、音声レベルピークの時間推移を特徴データとして抽出するものとして以下説明する。以上のように、各CMの特徴データが抽出できると、ステップS160にて各CMの特徴データをHDD12のデータベース12cに更新する(データベース作成手段)。以上の通常録画処理を順次行うことによって、HDD12にユーザーが好む番組が含まれた第1放送データ12aを蓄積していくことができる。また、ユーザーが好む第1放送データ12aに含まれるCMの特徴データが蓄積されたデータベース12cが作成されることとなる。
【0029】
図3は、データベース12cを示している。同図において、音声レベルの時間推移を示す特徴データが模式的に示されており、各特徴データの出現度数が集計されている。また、出現度数に関して各特徴データがソートされている。ステップS160にて各CMの特徴データをHDD12のデータベース12cに更新する際には、すでに記録されている特徴データとの同一性を判定し、同一である場合には出現度数を1つ加算する。同一の特徴データがデータベース12cにない場合には、新たな特徴データとしてデータベース12cに追記する。このようなデータベース12cによれば、ユーザーが好む番組に挿入されるCMの傾向を把握することができる。また、各CMについて最終放送日が記憶可能となっている。
【0030】
(1−2)自動録画処理
図4は、自動録画処理(第2の記録手段)の流れを示している。ステップS200においては、番組の開始時刻とともに録画を開始し、HDD12に第2放送データ12bを記憶する。第2放送データ12bは、第1放送データ12aと同様に復調されたMPEG2データであり、例えば所定のヘッダを添付することにより、第1放送データ12aと第2放送データ12bとが識別される。番組の開始時刻と終了時刻は、例えば電子番組表や放送信号から取得することができる。番組の終了時刻が経過するとステップS210にて録画を停止させる。ステップS220では、ステップS200〜S210にて自動録画した第2放送データ12bに含まれる各CMの特徴データを抽出する。ここでの処理は、上述したステップS150と同様である。これによって、自動録画した第2放送データ12bにおけるCMの傾向を把握することができる。
【0031】
ステップS230においては、ユーザーの指示により録画された第1放送データ12aにおけるCMの傾向と、自動録画した第2放送データ12bにおけるCMの傾向とが類似しているか否かが所定のHDD12に記録された類似基準12eに基づき判定される(判定手段)。この類否判定は種々の手法を適用することができ、類似基準12eも種々の基準を適用することができる。以下、その例を説明する。
【0032】
図5は、データベース12cに蓄積されたCMの特徴データの傾向と、ステップS220にて抽出した第2放送データ12bにおけるCMの傾向とを比較している。同図の左側においては、データベース12cに蓄積されたCMが出現度数の高い順(ランク)にソートされている。一方、ステップS220にて抽出した第2放送データ12bにおける各CMについて同一の特徴データを有するもの同士がまとめられ、同図の右側ではその出現度数および出現率が示されている。そして、ステップS220にて抽出した第2放送データ12bに含まれるCMのうち、データベース12cに蓄積されたCMと特徴データが一致するCMについては一致性の欄に○(ランクが10位以内は◎)が示され、第2放送データ12bの録画時刻が最終放送日として更新される。データベース12cに予め特徴データを登録しておくことにより、特徴データの一致性からCMの一致性を判断することができる。
【0033】
類似基準12eの一例として、一致するCMの個数(一致数)を使用することができる。例えば、ステップS220にて抽出した第2放送データ12bに含まれ、かつ、データベース12cに蓄積されたCMと一致するCM(○が示されたCM)が、データベース12cにおける出現度数の上位10位に何個入っている(◎が示されたCM)かによって判定することができる。例えば、一致するものが10位以内に2個以上入ることを判断基準とすることができる。別の類似基準12eの一例として、一致するCMの比率(一致率)を使用することができる。例えば、ステップS220にて抽出した第2放送データ12bに含まれ、かつ、データベース12cに蓄積されたCMと一致するCM(○が示されたCM)の出現率の累計が30%以上である場合に、データベース12cに蓄積されたCMの特徴データの傾向と、ステップS220にて抽出した第2放送データ12bにおけるCMの傾向とが類似すると判定できる。
【0034】
類似しないと判定されると、ステップS240にて当該第2放送データ12bをHDD12から削除する。すなわち、当該第2放送データ12bに含まれるCMの傾向がユーザーの好む番組に挿入されるCMの傾向(データベース12c)に類似しておらず、当該第2放送データ12bに含まれる番組自体もユーザーの好みでないと推定し、削除(実質的に録画を許可しない。)する。なお、本処理において記録を許可しないことと削除することは実質的に同じことを意味し、記録を許可することと第2放送データ12bを保持することも実質的に同じことを意味する。一方、類似すると判定されると、ステップS250にて特定の許否CMが含まれていないかどうかを判定する。
【0035】
許否CMは、当該許否CMが挿入される番組をユーザーが視聴したくないときに設定するCMであり、ここではCM20が許否CMとして設定されており、その特徴データが許否特徴データ12fとして記録されているものとする。図5の右側において示されているステップS220にて抽出した第2放送データ12bに含まれるCMには、CM20が含まれていないため、許否CMが含まれていないと判定される。ステップS220にて抽出した第2放送データ12bに含まれるCMの特徴データと、許否特徴データ12fとを比較することより、許否CMが含まれているかいないかを判定することができる。許否CMが含まれている場合には、ステップS240にて当該第2放送データ12bをHDD12から削除(実質的に録画を許可しない。)する。これにより、許否CMが挿入される番組を含む第2放送データ12bが記録されるのが防止できる。
【0036】
一方、許否CMが含まれていない場合には、ステップS260にて当該第2放送データ12bのヘッダに録画日を書き加え、自動録画処理を終了させる。このようにすることにより、第2放送データ12bとして仮録画した放送データに含まれるCMが、ユーザーの好みが反映されたデータベース12cが示すCMの傾向に類似する場合に限り、第2放送データ12bをHDD12に保持することができる。従って、ユーザーが好む番組のみをHDD12に記録することができる。例えば、通常録画処理においてアニメ番組を多く録画した場合には、子供向けのCMがデータベース12cの上位を占めることとなる。これに対して、記録しようとする第2放送データ12bもアニメ番組を含むものである場合には同様の子供向けのCMが多く含まれることとなる。
【0037】
従って、これらのCMのうちいくつかは一致する可能性が高く、ある一致数あるいは一致率を超えた場合には、削除することなくHDD12に記録したままにする。結果的にユーザーが好むアニメ番組が多く記録されることとなる。以上のような自動録画処理を常時行うことにより、例えば、アニメ番組の放送時間が変更された場合でも挿入されるCMが変わることはないため、追従して録画することができる。また、全く異なる時間帯に再放送がされた場合でも、追従して録画することができる。また、同一のCMが複数の放送局にまたがって放送されることは通常であり、放送番組のジャンルと挿入されるCMの対応関係も放送局が変わっても同じであるということができる。従って、複数のチャンネルにまたがって自動録画処理を実行した場合でも、同様にユーザーが好む番組を録画することができる。従って、デジタルチューナ13を複数備えたり、時分割的に複数チャンネルを巡回したりすることにより、多チャンネルにまたがった並行的な自動録画処理を行うことも可能である。
【0038】
(1−3)削除処理
しかしながら、番組に挿入されるCMには不確定要素があり、必ずしもユーザーの意向に沿った第2放送データ12bが記録されるとは限らない。そこで、図6に示す削除処理(削除手段)を定期的に実行する。ステップS300においては、HDD12に記録された第2放送データ12bのうち、記録されてから1週間以上再生されていないものを検知する。自動録画処理におけるステップS260では最終的に第2放送データ12bのヘッダに録画日を書き加えているため、記録から1週間経過したか否かを判定することができる。再生履歴データ12dには各第2放送データ12bの再生履歴が記録されているため、再生履歴データ12dを参照して記録から1週間以上再生されていない第2放送データ12bを検出することができる。放送データのすべての記録時間を再生することは希であるため、例えば記録時間のうち数10%再生されたことをもって、再生されたと判定するようにしてよい。
【0039】
ステップS310においては、記録から1週間以上の期間再生されていない第2放送データ12bを削除する。これにより、ユーザーの好みにそぐわない第2放送データ12bを削除し、HDD12の記録容量を確保することができる。一方、記録から1週間以内に再生された第2放送データ12bについては、ステップS320にてそのヘッダを書き換えることにより第1放送データ12aに変換する。すなわち、記録から1週間以内に再生された第2放送データ12bは、ユーザーが好んで録画指定した第1放送データ12aと同視することができ、第1放送データ12aに変換する。ステップS330では変換された第1放送データ12aに含まれる各CMについてステップS150と同様に特徴データを抽出し、ステップS340ではステップS160と同様にデータベース12cを更新する。
【0040】
(1−4)データベース管理処理
以上のようにすることにより、最近録画した好みの番組に含まれるCMの特徴データをデータベース12cに追加していくことができる。しかしながら、同一のCMが放送される期間は有限であり、データベース12cを記録するHDD12の記録容量も有限であるため、無駄な特徴データはできるだけデータベース12cから破棄しておくことが望ましい。そこで、図7に示すデータベース管理処理(データベース管理手段)を実行する。ステップS400においては、データベース12cを読み出して、各CMの最終放送日を取得する。自動録画処理におけるステップS230においてCMの一致性を判定する際に、一致するCMについてはデータベース12cにおける最終放送日を更新しているため、自動録画処理において最後に受信された放送日時を取得することができる。ステップS410においては、最終放送日が現在から遡って1ヶ月以上前であるCMを検出し、当該CMをステップS420にてデータベース12cから削除する。これによって、データベース12cに無駄なデータが蓄積することが防止できる。
【0041】
(1−5)各種設定
図8は、類似基準12eを設定するためのUI画面(基準変更手段)を示している。当該UI画面はマイコン11によってテレビジョン20の画面に表示される。ここでは、CMの一致率と一致数のいずれかで類否判断を行うかを指定するためのチェックボックスと、いずれかを選択した場合に一致率または一致数の具体的数値を入力することが可能となっている。これらの指定は、リモコン送信器16とリモコン受信部15を介してマイコン11が受け付ける。以上のUI画面での指定が受け付けられると、受け付けられた内容で類似基準12eがHDD12にて更新される。これにより、以降実行される自動録画処理のステップS230の類否判断に、更新後の類似基準12eが反映される。例えば、ユーザーが好みでない第2放送データ12bが多く記録されていると感じた場合には、一致率と一致数を上方修正すれば保持される第2放送データ12bを抑えることができる。
【0042】
図9は、リモコン送信器16を示している。同図においては、許否CMを指定するための許否CMボタン16aが設けられている。例えば、テレビジョン20を視聴中にユーザーが不快な番組であると感じたときに許否CMボタン16aを押す。すると、当該番組をHDDビデオレコーダ10が仮録画するとともに、その中に含まれるCMの特徴データを抽出する。そして、抽出した特徴データを許否特徴データ12fとしてHDD12に記憶させる。これにより、自動録画処理のステップS250においてユーザーの意図する許否特徴データ12fを使用して、録画を制限することができる。
【0043】
(2)変形例
以上は本発明の一例に過ぎず、指定録画した番組に含まれるCMの傾向と同様のCMの傾向を有する番組を自動的に録画するという本発明の範囲において種々の実施形態を採用することができる。例えば、上述した実施形態では、第2放送データ12bの録画が完了した時点で保持するか削除するかを判定するようにしたが、録画の途中段階でCMの傾向を比較し、録画を継続するか中断するかを判定するようにしてもよい。また、デジタル放送を一例として挙げたが、アナログ放送においても同様にCMが挿入されるため、当然として本発明を適用することができる。むろん、記録するデータはデジタルデータに限られず、ビデオテープ等にアナログ記録するものであってもよい。また、テレビジョン放送に限られずラジオ放送においてもCMが挿入されるため、ラジオが受信可能なオーディオレコーダにおいても本発明を適用することもできる。
【0044】
上述した実施形態では許否CMが第2放送データ12bに含まれる場合、当該第2放送データ12bを削除(録画しない)ようにしたが、記憶容量に余裕がある場合等には記録するようにしてもよい。図10は、自動録画処理の変形例を示している。ステップS250にて特定の許否CMが含まれると判断された場合、ステップS270に進み、当該許否CMを含む第2放送データ12bのビットレートを低下させる変換を行う。このように、CMの傾向は似ているが、好ましくないCMが一部含まれる場合には、念のため録画を行うとともに、記録容量を浪費しないように記録品質を低下させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】HDDビデオレコーダのブロック図である。
【図2】通常録画処理のフローチャートである。
【図3】データベースを示す図である。
【図4】自動録画処理のフローチャートである。
【図5】CM傾向の類否判定を説明する図である。
【図6】削除処理のフローチャートである。
【図7】データベース管理処理のフローチャートである。
【図8】類似基準を設定するUI画面を示す図である。
【図9】リモコン送信器の斜視図である。
【図10】変形例にかかる自動録画処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
10…HDDビデオレコーダ、11…マイコン、12…HDD,12a…第1放送データ、12b…第2放送データ、12c…データベース、12d…再生履歴データ、12e…類似基準、12f…許否特徴データ、13…デジタルチューナ、14…復調回路、15…リモコン受信部、16…リモコン送信器、16a…許否CMボタン、17…再生回路、20…テレビジョン。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送データを受信するチューナと、上記チューナが受信した上記放送データを復調する復調回路と、上記復調回路にて復調された上記放送データを所定の記録媒体に記録する記録部を具備する放送記録装置において、
ユーザーから指定された上記放送データを記録する第1の記録手段と、
上記第1の記録手段が記録した上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データを集計したデータベースを作成するデータベース作成手段と、
上記データベースが有する各CMの上記特徴データと、記録しようとする上記放送データから抽出された各CMの上記特徴データの傾向とが、上記特徴データの一致数または一致率で規定される類似基準よりも類似しているとき、当該放送データの記録を許可すると判定する判定手段と、
上記判定手段が記録を許可すると判定したとき当該放送データを記録する第2の記録手段と、
現在から遡って所定期間の間に放送された上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データのいずれにも一致しない上記特徴データを上記データベースから破棄するデータベース管理手段と、
上記第2の記録手段が記録した上記放送データが所定期間再生されないとき、当該放送データを削除する削除手段と、
ユーザーの指定に基づき上記類似基準を変更する基準変更手段とを具備することを特徴とする放送記録装置。
【請求項2】
放送データを受信して記録する放送記録装置において、
ユーザーから指定された上記放送データを記録する第1の記録手段と、
上記第1の記録手段が記録した上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データを集計したデータベースを作成するデータベース作成手段と、
記録しようとする上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データの傾向と上記データベースが示す傾向とが所定の類似基準よりも類似しているとき、当該放送データの記録を許可すると判定する判定手段と、
上記判定手段が記録を許可すると判定したとき当該放送データを記録する第2の記録手段とを具備することを特徴とする放送記録装置。
【請求項3】
現在から遡って所定期間の間に放送された上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データのいずれにも一致しない上記特徴データを上記データベースから破棄するデータベース管理手段を具備することを特徴とする請求項2に記載の放送記録装置。
【請求項4】
上記第2の記録手段が記録した上記放送データが所定期間再生されないとき、当該放送データを削除する削除手段を具備することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の放送記録装置。
【請求項5】
上記類似基準は、
上記データベースが有する各CMの上記特徴データと、記録しようとする上記放送データから抽出された各CMの上記特徴データとの一致数または一致率で規定されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の放送記録装置。
【請求項6】
ユーザーの指定に基づき上記類似基準を変更する基準変更手段を具備することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の放送記録装置。
【請求項7】
上記判定手段は、
記録しようとする上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データの傾向と上記データベースとが所定の類似基準よりも類似しており、かつ、当該特徴データに特定の特徴データと一致するものが含まれないとき、当該放送データの記録を許可すると判定することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の放送記録装置。
【請求項8】
上記判定手段は、
記録しようとする上記放送データに含まれる各CMの特徴を示す特徴データを抽出し、当該特徴データの傾向と上記データベースとが所定の類似基準よりも類似しており、かつ、当該特徴データに特定の特徴データと一致するものが含まれるとき、当該放送データの記録を許可すると判定しつつ、上記第2の記録手段に対して当該放送データを記録する際の記録品質を低下させるよう指示することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の放送記録装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−123617(P2008−123617A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306699(P2006−306699)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】