説明

放電灯点灯装置および照明装置

【課題】放電灯が外れても残りの放電灯の点灯は維持でき、外れた放電灯の出力端子間への高周波2次電圧の発生を防止して、安全性を維持できる放電灯点灯装置および照明装置を提供する。
【解決手段】放電灯点灯装置10および照明装置1は、直流電源回路11と、高周波変換回路12と、高周波変換回路12の出力に1次巻線を接続され、複数の2次巻線を個別に有するトランスTと、複数の2次巻線の各々に対して限流要素Z,Z,Zおよび放電灯LA1,LA2,LA3を有してなる負荷回路14,15,16を接続し、各負荷回路14,15,16に双方向スイッチング素子Q11,Q12,Q13を備え、双方向スイッチング素子Q11,Q12,Q13によって、負荷回路14,15,16への高周波電力の供給を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ等の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高周波電圧を出力するインバータ手段と、トランスと、限流素子および放電灯からなる負荷回路を備える放電灯点灯装置および照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−283284号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図4に示すように、複数の放電灯LA101〜LANを駆動するために、直流電源Eの直流電圧をインバータ回路102により高周波の出力に変換する放電灯点灯装置100が提案されている。
このような従来の放電灯点灯装置100は、インバータ回路102の出力端にトランスTの1次巻線T1を接続し、トランスTの2次巻線T2に発生した電圧を、放電灯LA101〜LANに供給する。
【0005】
しかし、このような従来の放電灯点灯装置100は、回路に電源を投入した時、全ての放電灯LA101〜LANを点灯させるために、トランスTの2次巻線T2に発生する電圧が十分に高くなければならない。
また、このような従来の放電灯点灯装置100は、無負荷時の2次電圧が非常に高くなるために、安全面に関して問題がある。
さらに、このような従来の放電灯点灯装置100は、放電灯LA101〜LANのうちの任意のものが外れると、他の放電灯に高周波電流が流れる経路が形成されないために、他の放電灯が消灯してしまう。
【0006】
一方、特許文献1の放電灯点灯装置110は、図5に示すように、直流電源Eの直流電圧をインバータ回路111により高周波の出力に変換し、インバータ回路111の出力端にトランスTの1次巻線T1を接続する。
特許文献1の放電灯点灯装置110は、トランスTの2次巻線T2の巻数比を変えることにより、出力比を変化させて、消費電力の異なる放電灯LA112,放電灯LA113,放電灯LA114,放電灯LANに対応する。
特許文献1の放電灯点灯装置110は、任意の放電灯が外された場合、他の放電灯は点灯を維持できる。
【0007】
しかし、特許文献1の放電灯点灯装置110は、例えば、放電灯LA112が外れた場合、端子115と端子116との間に、高周波の2次電圧が発生する。
従って、特許文献1の放電灯点灯装置110は、万が一に、人が端子115や端子116に触れた場合に、人体を介して高周波電流が流れることがあり、安全面に関して万全とは云えない。
【0008】
また、特許文献1の放電灯点灯装置110は、放電灯LA112,放電灯LA113,放電灯LA114,放電灯LANの一端を共通接続している。
そのため、特許文献1の放電灯点灯装置110は、放電灯LA112,放電灯LA113,放電灯LA114,放電灯LANの基準電位を一定にする作用があり、放電灯の負荷異常時に対応する。
【0009】
本発明の目的は、放電灯が外れても残りの放電灯の点灯は維持でき、外れた放電灯の出力端子間への高周波2次電圧の発生を防止して安全性を維持できる放電灯点灯装置および照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る放電灯点灯装置は、交流電源から直流電圧を生成する直流電源回路と、前記直流電圧を高周波電圧に変換する高周波変換回路と、前記高周波変換回路の出力に1次巻線が接続され、複数の2次巻線を個別に有するトランスと、前記複数の2次巻線の各々に対して限流要素および放電灯と、を有してなる負荷回路を接続し、前記各負荷回路に双方向スイッチング素子を備え、前記双方向スイッチング素子によって、前記放電灯を含む前記負荷回路への高周波電力の供給を遮断する。
【0011】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記トランスの前記2次巻線の出力に並列に、前記双方向スイッチング素子と前記限流要素と前記放電灯との直列回路が接続される。
【0012】
本発明に係る放電灯点灯装置は、交流電源から直流電圧を生成する直流電源回路と、前記直流電圧を高周波電圧に変換する高周波変換回路と、を有し、前記高周波変換回路は、放電灯および限流素子よりなる負荷回路を複数有し、前記各負荷回路に双方向スイッチング素子を備え、前記双方向スイッチング素子によって、前記放電灯を含む前記負荷回路への高周波電力の供給を遮断する。
【0013】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記負荷回路の入力端子の一方と前記高周波変換回路の出力端子の一方とは、前記直流電源回路の低圧側に接続され、前記高周波変換回路の出力端子の他方は、前記双方向スイッチング素子を介して、前記負荷回路の入力端子の他方に接続される。
【0014】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記高周波変換回路は、前記直流電源回路に並列接続された直列接続の2つのスイッチング素子を有して構成されるハーフ・ブリッジ・インバータであり、前記ハーフ・ブリッジ・インバータを構成する前記2つのスイッチング素子のうちの、前記直流電源回路の低圧側に接続された一方のスイッチング素子に、前記双方向スイッチング素子と前記負荷回路との直列接続回路が並列接続される。
【0015】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記ハーフ・ブリッジ・インバータを構成する前記2つのスイッチング素子の接続点に、前記双方向スイッチング素子の一方の端子が接続され、前記双方向スイッチング素子の他方の端子が前記負荷回路に接続される。
【0016】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記高周波変換回路は、前記放電灯を含むインダクタンス素子およびコンデンサを有してなる直列共振回路と、前記放電灯に有するフィラメントに電力を供給する予熱回路と、前記高周波変換回路の発振周波数を変化させることにより前記放電灯の高周波出力を変化させる制御回路とを有する。
【0017】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記予熱回路は、前記負荷回路を構成するインダクタンス素子に磁気結合した巻線を電源として、フィラメント予熱電力を供給する。
【0018】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記直流電源回路は、昇圧チョッパ回路である。
【0019】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記直流電源回路または前記高周波変換回路に、GaN半導体またはSiC半導体からなるワイドギャップ半導体を具備する。
【0020】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記ワイドギャップ半導体は、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVである。
【0021】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記高周波変換回路を構成するスイッチング素子は1つである。
【0022】
本発明に係る照明装置は、複数の前記放電灯点灯装置を有する照明装置と、制御装置とを組合わせる。
【0023】
本発明に係る照明装置は、前記制御装置の出力は直流電圧であり、前記直流電圧に重畳された信号によって、前記放電灯点灯装置および前記照明装置が点灯制御される。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る放電灯点灯装置および照明装置によれば、放電灯が外れても残りの放電灯の点灯は維持でき、外れた放電灯の出力端子間への高周波2次電圧の発生を防止して、安全性を維持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る第1実施形態の放電灯点灯装置および照明装置の回路構成図
【図2】本発明に係る第2実施形態の放電灯点灯装置および照明装置の回路構成図
【図3】本発明に係る第3実施形態の放電灯点灯装置および照明装置の回路構成図
【図4】従来の放電灯点灯装置および照明装置の回路構成図
【図5】図4とは異なる従来の放電灯点灯装置および照明装置の回路構成図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る複数の実施形態の放電灯点灯装置および照明装置について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の放電灯点灯装置10が適用される照明装置1は、複数の放電灯点灯装置10を有し、放電灯点灯装置10が制御装置2に組合わされる。
照明装置1は、制御装置2の出力が直流電圧であり、直流電圧に重畳された信号によって、放電灯点灯装置10および照明装置1が点灯制御される。
【0027】
放電灯点灯装置10は、交流電源ACより直流電圧を生成する直流電源回路11と、直流電圧を高周波電圧に変換する高周波変換回路(インバータ回路)12と、インバータ制御回路13とを備える。
放電灯点灯装置10は、高周波変換回路12の出力に1次巻線T1を接続され、複数の2次巻線T2を個別に有するトランスTを備える。
【0028】
放電灯点灯装置10は、トランスTの複数の2次巻線T2の各々に対して、限流要素Zおよび放電灯LA1からなる負荷回路14と、限流要素Zおよび放電灯LA2からなる負荷回路15とが接続される。
放電灯点灯装置10は、トランスTの2次巻線T2に対して、限流要素Zおよび放電灯LA3からなる負荷回路16が接続される。
【0029】
放電灯点灯装置10は、負荷回路14に双方向スイッチング素子Q11を備え、負荷回路15に双方向スイッチング素子Q12を備え、負荷回路16に双方向スイッチング素子Q13を備える。
【0030】
放電灯点灯装置10は、トランスTの2次巻線T2の出力に並列に、双方向スイッチング素子Q11と限流要素Zと放電灯LA1とからなる負荷回路14の直列回路が接続される。
負荷回路14は、出力端子T11および出力端子T12が放電灯LA1に接続される。
双方向スイッチング素子Q11は、放電灯LA1を含む負荷回路14への高周波電力の供給を遮断する。
【0031】
放電灯点灯装置10は、トランスTの2次巻線T2の出力に並列に、双方向スイッチング素子Q12と限流要素Zと放電灯LA2とからなる負荷回路15の直列回路が接続される。
負荷回路15は、出力端子T21および出力端子T22が放電灯LA2に接続される。
双方向スイッチング素子Q12は、放電灯LA2を含む負荷回路15への高周波電力の供給を遮断する。
【0032】
放電灯点灯装置10は、トランスTの2次巻線T2の出力に並列に、双方向スイッチング素子Q13と限流要素Zと放電灯LA3とからなる負荷回路16の直列回路が接続される。
負荷回路16は、出力端子T31および出力端子T32が放電灯LA3に接続される。
双方向スイッチング素子Q13は、放電灯LA3を含む負荷回路16への高周波電力の供給を遮断する。
【0033】
放電灯点灯装置10は、直流電源回路11または高周波変換回路12に、GaN半導体またはSiC半導体等からなるワイドギャップ半導体を具備する。
放電灯点灯装置10は、ワイドギャップ半導体は、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVである。
放電灯点灯装置10は、高周波変換回路12を構成するスイッチング素子が1つである。
【0034】
ワイドギャップ半導体は、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVであるために、従来用いられているシリコン系の半導体よりも導通損失が1桁から2桁小さい。
そのため、電力損失を、ほぼ無視できるレベルにできる。
従って、放電灯点灯装置10は、電力損失が少なくなって高効率にできる。
【0035】
放電灯点灯装置10は、例えば、放電灯LA1が故意に外された場合に、インバータ制御回路13の制御信号によって、双方向スイッチング素子Q11をオープン状態として、放電灯LA1を含む負荷回路14への高周波電力の供給が遮断される。
そのため、放電灯点灯装置10は、外された放電灯LA1の出力端子T11,出力端子T12に対する高周波の2次電圧の発生を確実に抑制できる。
【0036】
また、放電灯点灯装置10は、トランスTの2次巻線T2からの高周波電流の供給の経路を双方向スイッチング素子Q11で遮断できる。
従って、放電灯点灯装置10は、万が一に、人が、出力端子T11や出力端子T12に触れた場合においても、人体を介する高周波電流を防止でき、安全性を維持できる。
【0037】
そして、放電灯点灯装置10は、放電灯LA1が装着された状態で、双方向スイッチング素子Q11をオープン状態にすることによって、放電灯LA1への高周波電力を遮断して消灯できる。
従って、放電灯点灯装置10は、放電灯LA1を外さずに、間引き点灯をして、消費電力を低減できる。
【0038】
以上、説明したように第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、放電灯LA1が外れても残りの放電灯の点灯は維持でき、外れた放電灯の出力端子T11および出力端子T12間への高周波2次電圧の発生を防止して安全性を維持できる。
【0039】
また、第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、トランスTの2次巻線T2の出力に並列に、双方向スイッチング素子Q1と限流要素Zと放電灯LA1との直列回路が接続されるために、簡単な回路構成で安全性を維持できる。
【0040】
そして、第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、直流電源回路11または高周波変換回路12に、GaN半導体またはSiC半導体等からなるワイドギャップ半導体を具備するために、電力損失が少なくなって高効率にできる。
【0041】
さらに、第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、ワイドギャップ半導体は、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVであるために、電力損失が少なくなって高効率にできる。
【0042】
さらにまた、第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、高周波変換回路12を構成するスイッチング素子が1つであるために、簡素な回路構成にできる。
【0043】
そしてさらに、第1実施形態の照明装置1によれば、放電灯LA1が外れても残りの放電灯の点灯は維持でき、外れた放電灯の出力端子T11および出力端子T12間への高周波2次電圧の発生を防止できる放電灯点灯装置10が装備される。
従って、第1実施形態の照明装置1によれば、安全性を維持できる。
【0044】
加えて、第1実施形態の照明装置1によれば、制御装置2の出力は直流電圧であり、直流電圧に重畳された信号によって、放電灯点灯装置10および照明装置1が点灯制御されるために、制御を簡単にできる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の放電灯点灯装置および照明装置について説明する。
なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0046】
図2に示すように、本発明に係る第2実施形態の照明装置3に適用される放電灯点灯装置20は、2つの整流ダイオードD1,ダイオードD2と、2つの電解コンデンサC1,電解コンデンサC2とを有してなる倍電圧整流回路で構成された直流電源回路21を備える。
【0047】
放電灯点灯装置20は、高周波変換回路22が、直流電源回路21に並列接続された直列接続の2つのスイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2を有して構成されるハーフ・ブリッジ・インバータである。
放電灯点灯装置20は、調光回路23を備え、高周波変換回路22に、インバータ制御回路24と、共振電流検出回路25と、平滑電圧検出回路26とを含む。
【0048】
ハーフ・ブリッジ・インバータを構成する2つのスイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2のうち、直流電源回路21の低圧側と接続されたスイッチング素子Q2に、負荷回路27が接続される。
負荷回路27は、双方向スイッチング素子Q20とコンデンサC3と共振チョークコイルLCと共振コンデンサC4と放電灯LA1とを有してなり、これらの直列接続回路がスイッチング素子Q2に並列接続される。
スイッチング素子Q2には、複数の負荷回路28,負荷回路29,負荷回路30が並列接続される。
そして、双方向スイッチング素子Q21に、コンデンサC3Nと共振チョークコイルLCNと共振コンデンサC4Nと放電灯LANとを有してなる複数の負荷回路Nが並列接続される。
【0049】
放電灯点灯装置20は、高周波変換回路22、放電灯LA1を含むインダクタンス素子である共振チョークコイルLCと共振コンデンサC4とを有してなる直列共振回路31を含む。
放電灯点灯装置20は、放電灯LA1に有するフィラメントに電力を供給する予熱回路32を備える。
予熱回路32は、負荷回路27を構成する共振チョークコイルLCに磁気結合した巻線を電源として、フィラメント予熱電力を供給する。
インバータ制御回路24は、高周波変換回路22の発振周波数を変化させることにより放電灯LA1の高周波出力を変化させる。
【0050】
放電灯点灯装置20は、共振コンデンサC4に流れる高周波電流が、放電灯LA1のフィラメントに電力を供給することにより予熱回路32を構成している。
放電灯点灯装置20は、インバータ制御回路24の制御により、放電灯LA1を点灯させる前に、放電灯LA1のフィラメントを十分に予熱する。
その後、インバータ制御回路24は、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2のスイッチング周波数を負荷回路27の共振コンデンサC4と共振チョークコイルLCの共振周波数に近づける。
これにより、放電灯LA1の両端電圧が上昇されて放電灯LA1が点灯される。
【0051】
放電灯点灯装置20は、高周波変換回路22に入力される直流電源回路21の直流電圧が変動しても、高周波変換回路22の共振電流を検出し、この検出レベルが一定になるようにハーフ・ブリッジ・インバータのスイッチング周波数が調整される。
そのため、放電灯LA1のランプ電流出力が一定になるようにインバータ制御回路24が、フィードバック制御を行う。
【0052】
放電灯点灯装置20は、放電灯LA1が外された場合に、インバータ制御回路24の制御信号によって、双方向スイッチQ20をオープン状態にし、放電灯LA1を含む負荷回路27への高周波電力の供給が遮断される。
そのため、放電灯点灯装置20は、外された放電灯LA1の出力端子T11および出力端子T12に発生する高周波電圧を確実に抑制できる。
【0053】
また、放電灯点灯装置20は、ハーフ・ブリッジ・インバータからの高周波電流の供給の経路を双方向スイッチング素子Q20により遮断できる。
従って、万が一に、人が出力端子T11や出力端子T12あるいは放電灯LA1に触れた場合でも、人体を介する高周波電流を防止でき、安全性を維持できる。
る。
【0054】
そして、放電灯点灯装置20は、放電灯LA1が装着された状態で、双方向スイッチング素子Q20をオープン状態にすることによって、放電灯LA1への高周波電力を遮断して消灯できる。
従って、放電灯点灯装置20は、放電灯LA1を外さずに、間引き点灯をして、消費電力を低減できる。
【0055】
第2実施形態の放電灯点灯装置20によれば、放電灯LA1が外れても残りの放電灯の点灯は維持でき、外れた放電灯の出力端子T11および出力端子T12間への高周波2次電圧の発生を防止して安全性を維持できる。
【0056】
また、第2実施形態の放電灯点灯装置20によれば、複数の負荷回路27,負荷回路28,負荷回路29,負荷回路30を簡単に駆動できる。
【0057】
そして、第2実施形態の放電灯点灯装置20によれば、高周波変換回路22が、直流電源回路21に並列接続されたハーフ・ブリッジ・インバータであるために、簡素な回路構成にできる。
【0058】
さらに、第2実施形態の放電灯点灯装置20によれば、ハーフ・ブリッジ・インバータを構成する2つのスイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2のうち、直流電源回路21の低圧側と接続されたスイッチング素子Q2に、負荷回路27が接続される。
また、第2実施形態の放電灯点灯装置20によれば、負荷回路27は、双方向スイッチング素子Q20とコンデンサC3と共振チョークコイルLCと共振コンデンサC4と放電灯LA1とを有してなり、これらの直列接続回路がスイッチング素子Q2に並列接続される。
従って、第2実施形態の放電灯点灯装置20によれば、簡素な構造にできる。
【0059】
さらにまた、第2実施形態の放電灯点灯装置20によれば、高周波変換回路22の発振周波数を変化させることによりインバータ制御回路24が放電灯LA1の高周波出力を変化させるために、放電灯LA1の点灯を簡単に制御できる。
【0060】
加えて、第2実施形態の放電灯点灯装置20によれば、予熱回路32が、負荷回路27を構成する共振チョークコイルLCに磁気結合した巻線を電源として、フィラメント予熱電力を供給するために、確実に予熱できる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の放電灯点灯装置および照明装置について説明する。
図3に示すように、本発明に係る第3実施形態の照明装置4に適用される放電灯点灯装置40は、直流電源回路41と、高周波変換回路42とを含む。
そして、直流電源回路41は、整流ダイオードブリッジDBと、コンデンサC1と、ダイオードD1と、チョッパチョークL1と、スイッチング素子Q3とを有してなる昇圧チョッパ回路を採用している。
【0062】
第3実施形態の放電灯点灯装置40によれば、交流電源ACが変動しても、安定した直流電圧を高周波変換回路に供給できる。
【0063】
なお、本発明の放電灯点灯装置および照明装置においてトランス,放電灯,インバータ制御回路等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1,3,4 照明装置
10,20,40 放電灯点灯装置
11,21,41 直流電源回路
12,22,42 高周波変換回路
14,15,16,27,28,29,30,N 負荷回路
LA1,LA2、LA3,LAN 放電灯
Q11,Q12,Q13,Q20,Q21 双方向スイッチング素子
T トランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から直流電圧を生成する直流電源回路と、
前記直流電圧を高周波電圧に変換する高周波変換回路と、
前記高周波変換回路の出力に1次巻線が接続され、複数の2次巻線を個別に有するトランスと、
前記複数の2次巻線の各々に対して限流要素および放電灯と、を有してなる負荷回路を接続し、
前記各負荷回路に双方向スイッチング素子を備え、前記双方向スイッチング素子によって、前記放電灯を含む前記負荷回路への高周波電力の供給を遮断する放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放電灯点灯装置において、
前記トランスの前記2次巻線の出力に並列に、前記双方向スイッチング素子と前記限流要素と前記放電灯との直列回路が接続される放電灯点灯装置。
【請求項3】
交流電源から直流電圧を生成する直流電源回路と、
前記直流電圧を高周波電圧に変換する高周波変換回路と、を有し、
前記高周波変換回路は、放電灯および限流素子よりなる負荷回路を複数有し、
前記各負荷回路に双方向スイッチング素子を備え、
前記双方向スイッチング素子によって、前記放電灯を含む前記負荷回路への高周波電力の供給を遮断する放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放電灯点灯装置において、
前記負荷回路の入力端子の一方と前記高周波変換回路の出力端子の一方とは、前記直流電源回路の低圧側に接続され、
前記高周波変換回路の出力端子の他方は、前記双方向スイッチング素子を介して、前記負荷回路の入力端子の他方に接続される放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の放電灯点灯装置において、
前記高周波変換回路は、前記直流電源回路に並列接続された直列接続の2つのスイッチング素子を有して構成されるハーフ・ブリッジ・インバータであり、
前記ハーフ・ブリッジ・インバータを構成する前記2つのスイッチング素子のうちの、前記直流電源回路の低圧側に接続された一方のスイッチング素子に、前記双方向スイッチング素子と前記負荷回路との直列接続回路が並列接続される放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項5に記載の放電灯点灯装置において、
前記ハーフ・ブリッジ・インバータを構成する前記2つのスイッチング素子の接続点に、前記双方向スイッチング素子の一方の端子が接続され、前記双方向スイッチング素子の他方の端子が前記負荷回路に接続される放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の放電灯点灯装置において、
前記高周波変換回路は、
前記放電灯を含むインダクタンス素子およびコンデンサを有してなる直列共振回路と、
前記放電灯に有するフィラメントに電力を供給する予熱回路と、
前記高周波変換回路の発振周波数を変化させることにより前記放電灯の高周波出力を変化させる制御回路とを有する放電灯点灯装置。
【請求項8】
請求項7に記載の放電灯点灯装置において、
前記予熱回路は、前記負荷回路を構成するインダクタンス素子に磁気結合した巻線を電源として、フィラメント予熱電力を供給する放電灯点灯装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1項に記載の放電灯点灯装置において、
前記直流電源回路は、昇圧チョッパ回路である放電灯点灯装置
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1項に記載の放電灯点灯装置において、
前記直流電源回路または前記高周波変換回路に、GaN半導体またはSiC半導体からなるワイドギャップ半導体を具備する放電灯点灯装置。
【請求項11】
請求項10に記載の放電灯点灯装置において、
前記ワイドギャップ半導体は、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVである放電灯点灯装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1項に記載の放電灯点灯装置において、
前記高周波変換回路を構成するスイッチング素子は1つである放電灯点灯装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のうちのいずれか1項に記載の複数の前記放電灯点灯装置を有する照明装置と、制御装置とを組合わせる照明装置。
【請求項14】
請求項13に記載の照明装置において、
前記制御装置の出力は直流電圧であり、前記直流電圧に重畳された信号によって、前記放電灯点灯装置および前記照明装置が点灯制御される照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−221845(P2012−221845A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88436(P2011−88436)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】