放電灯点灯装置
【課題】スイッチ素子の数を削減し、トランスコアサイズを小さくしてコストを低減できる放電灯点灯装置。
【解決手段】第1周波数を有する第1基準信号と第1周波数を超える第2周波数を有する第2基準信号とに基づき第2周波数でスイッチング動作することにより直流電圧を第1周波数を有するスイッチング信号に変換するスイッチング電源部1と、スイッチング電源部1で変換されたスイッチング信号に含まれる直流成分を除去して交流電圧を抽出する直流除去部3と、直流除去部3で得られた交流電圧を昇圧し、昇圧された交流電圧を第1周波数を有する出力信号として放電灯7a,7bに出力する昇圧部5とを有し、スイッチング電源部は、第2周波数でスイッチング動作するスイッチ素子SW1と、スイッチ素子のオンデューティを制御することによりスイッチング電源部の出力電圧を制御する駆動回路14とを有する。
【解決手段】第1周波数を有する第1基準信号と第1周波数を超える第2周波数を有する第2基準信号とに基づき第2周波数でスイッチング動作することにより直流電圧を第1周波数を有するスイッチング信号に変換するスイッチング電源部1と、スイッチング電源部1で変換されたスイッチング信号に含まれる直流成分を除去して交流電圧を抽出する直流除去部3と、直流除去部3で得られた交流電圧を昇圧し、昇圧された交流電圧を第1周波数を有する出力信号として放電灯7a,7bに出力する昇圧部5とを有し、スイッチング電源部は、第2周波数でスイッチング動作するスイッチ素子SW1と、スイッチ素子のオンデューティを制御することによりスイッチング電源部の出力電圧を制御する駆動回路14とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の冷陰極放電灯(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)、外部電極蛍光灯や蛍光灯等の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷陰極放電灯は、一般的に、放電灯点灯装置により、数10kHzの周波数で且つ数百V〜千数百Vの電圧が印加されることにより点灯する。また、外部電極蛍光灯(EEFL:External Electrode Fluorescent Lamp)と呼ばれる蛍光管もある。外部電極蛍光灯と冷陰極放電灯とは電極の構造が相違し、それ以外の相違はほとんどなく、発光原理も冷陰極放電灯と同じである。このため、外部電極蛍光灯や冷陰極放電灯を点灯させるための放電灯点灯装置は、原理的には同じである。このため、以下、冷陰極放電灯(放電灯と略称する。)を用いて説明する。
【0003】
放電灯と放電灯点灯装置は、液晶TV、液晶モニタ、照明装置、液晶表示装置、看板などに用いられている。放電灯点灯装置に求められる特性としては、(a)出力電圧周波数が50kHz程度であり、(b)放電灯に印加される電圧は交流電圧で、正負対称の波形である。
【0004】
(a)について、放電灯に印加される電圧周波数は、一般的におおよそ10kHz〜100kHz程度である。これは、放電灯の輝度特性や効率特性、放電灯をセットに組み込んだときの輝度特性など、様々な特性を考慮し、ユーザーが決定する。放電灯点灯装置は、決定された周波数、又はその付近の周波数で駆動される。このため、放電灯点灯装置の都合で周波数を設定、変化させることができないことが多い。液晶TVや液晶モニタ、照明装置などではおおよそ50kHz付近で用いられることが多いので、以下、50kHzの放電灯点灯装置を用いるものとする。
【0005】
(b)について、一般的に、放電灯に印加される電圧は交流電圧で、正負対称の波形である必要がある。放電灯はガラスのチューブ状になっており、内部には水銀、希ガス等が封入されている。この放電灯に直流電圧を印加しても発光はする。しかし、内部の水銀が片方に片寄ってしまい、次第に放電灯両端での輝度に差が出てきてしまうため、寿命が著しく短くなる。このため、放電灯には交流電圧を印加するが、交流電圧であっても電圧波形の正負の形に違いがあれば、水銀分布の偏りが生じてしまう可能性がある。このため、正負対称の波形を印加することが求められる。また、理想的には正弦波や台形波が良く、実際にも正弦波電圧を印加するシステムが多い。
【0006】
従来の放電灯点灯装置の回路構成を図28に示す。この放電灯点灯装置は、4個のスイッチ素子SW1〜SW4を用いたフルブリッジ方式と呼ばれるもので、交流電源25の交流電圧を全波整流回路26及び平滑コンデンサ27で整流平滑して得られた直流電圧をスイッチ素子SW1〜SW4でスイッチングして50kHzの正負対称の矩形波信号を生成し、この矩形波信号を絶縁トランスT10で絶縁し、昇圧トランスT20で昇圧して、交流電圧として正負対称の正弦波を得ている。また、2個のスイッチ素子を用いたハーフブリッジでもフルブリッジ構成と同様に構成できる。
【0007】
これらの放電灯点灯装置は、(c)2個以上のスイッチ素子を用いて正負対称の波形を得ている。(d)絶縁トランス(又はトランス)を50kHzで動作させている。
【0008】
(c)について、スイッチ素子の数に応じて、ハイサイドドライバ、ロードサイドドライバ、絶縁素子など、スイッチ素子の駆動回路が増加する。このため、部品コスト、製造コスト、実装面積も増加する。また、スイッチ素子自体の部品コストも増大する。
【0009】
(d)について、50kHzでトランスを設計して、トランスのコアサイズを決定する。トランスのコアサイズは駆動周波数が高いほど小さくできる。しかし、放電灯点灯装置の場合、駆動周波数は50kHz付近で決定されてしまうことが多いので、それ以上に駆動周波数を高くできない。このため、トランスのコアサイズも小さくできず、トランスのコストも低減できない。
【0010】
また、例えば、図28のスイッチ素子SW1のみを用い、且つスイッチ素子SW2の箇所にダイオードを接続した構成では、正負対称の波形を生成することはできない。その理由を以下に説明する。スイッチ素子SW1を例えば50kHzでオン、オフさせて矩形波信号を発生させ、絶縁トランスT10に入力する。矩形波信号は、リアクトルL1とコンデンサC2のフィルタ作用により正弦波になる。この回路において、スイッチ素子がオンデューティ50%で動作したときには、出力電圧として正負対称の波形が得られる。
【0011】
しかし、オンデューティ50%固定では、出力電圧を制御できない。放電灯の輝度を制御する場合、放電灯に印加する電圧や流れる電流を制御する必要がある。その場合、スイッチ素子SW1のオンデューティを制御する。オンデューティが50%以下の場合には、正負対称の波形が得られないため、2個以上のスイッチ素子を用いる必要がある。なお、従来の技術として例えば、特許文献1がある。
【特許文献1】特開平8−162280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、スイッチ素子の数は2個以上必要であり、トランスコアサイズは出力電圧周波数である50kHzで設計しなければならないが、これらは、部品実装面積、部品コスト、製造コストが増加する。
【0013】
本発明は、スイッチ素子の数を削減し、トランスコアサイズを小さくすることによりコストを低減できる放電灯点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、第1周波数を有する第1基準信号と前記第1周波数を超える第2周波数を有する第2基準信号とに基づき前記第2周波数でスイッチング動作することにより直流電圧を前記第1周波数を有するスイッチング信号に変換するスイッチング電源部と、前記スイッチング電源部で変換された前記スイッチング信号に含まれる直流成分を除去して交流電圧を抽出する直流除去部と、前記直流除去部で得られた交流電圧を昇圧し、昇圧された交流電圧を前記第1周波数を有する出力信号として放電灯に出力する昇圧部とを有し、前記スイッチング電源部は、前記第2周波数でスイッチング動作する第1スイッチ素子と、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することにより前記スイッチング電源部の出力電圧を制御する制御回路とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載の放電灯点灯装置において、前記スイッチング電源部は、前記第1スイッチ素子に直列に接続されたトランスの1次巻線と、前記トランスの2次巻線に発生する前記第2周波数を有する電圧を整流平滑して前記第1周波数を有する前記スイッチング信号を生成する整流平滑回路とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置において、前記スイッチング電源部の出力両端に接続された第2スイッチ素子を有し、前記第2スイッチ素子は、前記第1周波数を有する第1基準信号に同期してオン/オフすることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の放電灯点灯装置において、前記第1周波数を有する第1基準信号を発生する信号発生器と、前記信号発生器の第1基準信号の第1周波数を周波数逓倍することにより前記第2周波数を有する第2基準信号を生成する逓倍回路とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の放電灯点灯装置において、前記第2周波数を有する第2基準信号を発生する信号発生器と、前記信号発生器の第2基準信号の第2周波数を分周することにより前記第1周波数を有する第1基準信号を生成する分周回路とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の放電灯点灯装置において、前記放電灯又は前記直流除去部に流れる電流を検出する電流検出回路を有し、前記制御回路は、前記電流検出回路で検出された電流の値が所定値になるように、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の放電灯点灯装置において、前記昇圧部の出力両端又は前記スイッチング電源部の出力両端又は前記直流除去部の出力両端の電圧を検出する電圧検出回路を有し、前記制御回路は、前記電圧検出回路で検出された電圧の値が所定値になるように、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、スイッチング電源部は、第1スイッチ素子が第2周波数でスイッチング動作することにより直流電圧を第1周波数を有するスイッチング信号に変換し、直流除去部は、スイッチング信号に含まれる直流成分を除去して交流電圧を抽出し、昇圧部は、交流電圧を昇圧し、昇圧された交流電圧を第1周波数を有する出力信号として放電灯に出力する。制御回路は、第1スイッチ素子のオンデューティを制御することによりスイッチング電源部の出力電圧を制御するので、昇圧部の出力電圧を制御できる。これにより、スイッチ素子の数を削減でき、しかも昇圧部の出力電圧周波数(第1周波数)を超える第2周波数でスイッチング電源部を動作させるので、スイッチング電源部を小型化でき、コストを低減できる。
【0022】
請求項2の発明によれば、第1スイッチ素子を第2周波数でスイッチング動作することにより、トランスも第2周波数で動作するので、トランスを小型化できる。
【0023】
請求項3の発明によれば、スイッチング電源部の出力両端に接続された第2スイッチ素子は、第1周波数を有する第1基準信号に同期してオン/オフするので、第2スイッチ素子がオン時にスイッチング電源部の出力両端の電圧をゼロにすることができる。
【0024】
請求項4の発明、請求項5の発明によれば、第1周波数を有する第1基準信号と第2周波数を有する第2基準信号とを同期させることができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、制御回路は、第1スイッチ素子のオンデューティを制御することにより、電流検出回路で検出された電流の値を所定値にすることができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、制御回路は、第1スイッチ素子のオンデューティを制御することにより、電圧検出回路で検出された電圧の値を所定値にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の放電灯点灯装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、50kHzの出力電圧周波数を用いる。なお、50kHzの周波数は一例であり、本発明はこの周波数に限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明の放電灯点灯装置の発明原理図である。図2は図1に示す放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【0029】
図1に示す放電灯点灯装置は、直流電源Vin、スイッチング電源部(SW電源部)1、直流除去部3、昇圧部5を有する。
【0030】
SW電源部1は、例えば50kHz(第1周波数)を有する第1基準信号と第1周波数を超える例えば500kHz(第2周波数)を有する第2基準信号とに基づき500kHzでスイッチング動作することにより直流電源Vinの直流電圧を50kHzの矩形波状のスイッチング信号V1に変換する。
【0031】
直流除去部3は、SW電源部1で変換されたスイッチング信号V1に含まれる直流成分を除去して50kHzの矩形波状の交流電圧V3を抽出する。昇圧部5は、直流除去部3で得られた50kHzの矩形波状の交流電圧V3を昇圧し、昇圧された50kHzの矩形波状の交流電圧V3に対してリアクトルとコンデンサとによるフィルタ処理を行い、50kHzの正弦波状の出力信号V5を放電灯に出力する。
【0032】
図3は本発明の実施例1の放電灯点灯装置の構成を示す図である。実施例1のスイッチング電源部1は、他励駆動方式のフォワード型と呼ばれるもので、直流電源Vinの両端にはトランスT1(絶縁トランス)の1次巻線P1とMOSFET等からなるスイッチ素子SW1(第1スイッチ素子)との直列回路が接続されている。
【0033】
また、500kHzの矩形波状の基準信号を発生する第1発振器11と、50kHzの矩形波状の基準信号を発生する第2発振器12と、500kHzの矩形波状の基準信号と50kHzの矩形波状の基準信号との論理積を取るアンド回路13と、アンド回路13の出力によりスイッチ素子SW1を駆動させる駆動回路14とが設けられている。
【0034】
スイッチ素子SW1は、駆動回路14により駆動され、所望の周波数である50kHzよりも高い500kHzでスイッチング動作し且つオンデューティ50%程度の50kHzで間欠発振する。
【0035】
トランスT1の2次巻線S1の両端にはダイオードD1とダイオードD2との直列回路が接続され、ダイオードD2の両端にはリアクトルL1とコンデンサC3との直列回路が接続されている。コンデンサC3の両端にはコンデンサC1とトランスT2の1次巻線P2との直列回路が接続され、リアクトルL2はトランスT2の1次巻線P2及び2次巻線S2間のリーケージインダクタンスを利用しても良い。その場合、削除、または小型化できる。トランスT2の2次巻線S2の両端にはコンデンサC2が接続されるとともに、コンデンサCaと放電灯7aとの直列回路と、コンデンサCbと放電灯7bとの直列回路とがそれぞれ接続されている。
【0036】
駆動回路14、スイッチ素子SW1、トランスT1、ダイオードD1,D2、リアクトルL1、コンデンサC3はSW電源部1を構成し、コンデンサC1は直流除去部3を構成し、トランスT2、コンデンサC2は昇圧部5を構成する。
次に図4を参照しながら実施例1の放電灯点灯装置の動作を説明する。
【0037】
まず、第1発振器11からの500kHzの矩形波状の基準信号V11と、第2発振器12からの50kHzの矩形波状の基準信号V12とがアンド回路13に入力されると、アンド回路13は、500kHzの矩形波状の基準信号V11と50kHzの矩形波状の基準信号V12との論理積を取ることにより、論理積信号V13を駆動回路14に出力する。
【0038】
スイッチ素子SW1は、論理積信号V13により動作し、500kHzでスイッチング動作し且つオンデューティ50%程度の50kHzで間欠発振する。このため、トランスT1の2次巻線S1にも、500kHzでスイッチング動作し且つオンデューティ50%程度の50kHzで間欠発振する信号が得られる。得られた信号は、ダイオードD1,D2、リアクトルL1、コンデンサC3による整流平滑回路により整流平滑される。
【0039】
すると、スイッチング電源部1の出力であるA点には、オンデューティ50%程度の矩形波状(あるいは台形波状、あるいは正弦波の半波整流波形状)の電圧VAが得られる。この場合、50kHzの矩形波状の電圧VAが得られるように、リアクトルL1、コンデンサC3の時定数を調整する必要がある。この電圧VAには直流成分が付加されているため、コンデンサC1により直流成分が除去され、B点には、50kHzの矩形波状の交流電圧VBが得られる。
【0040】
この交流電圧VBはトランスT2に入力され、トランスT2により昇圧されるとともに、リアクトルL1とコンデンサC2とによるフィルタ作用により、50kHzの周波数で正負対称の交流電圧波形が出力電圧(C点の電圧VC)として得られる。
【0041】
ここで、第2発振器12の50kHzの基準信号のオンデューティにより、出力電圧の正の期間、負の期間の比が決定される。即ち、出力電圧波形が正負対称であるかどうかは、第2発振器12のオンデューティによるところが大きい。原理的にはオンデューティは50%で良いが、信号の遅れや歪みなどがあるため、オンデューティの調整が必要な場合もある。
【0042】
このように実施例1によれば、スイッチ素子の数を1つに削減でき、しかも昇圧部5の出力電圧周波数である50kHzを超える500kHzでスイッチ素子SW1をスイッチング動作することにより、トランスT1も500kHzで動作するので、トランスT1を小型化できる。これにより、コストを低減できる。
【0043】
また、駆動回路(制御回路)14は、500kHzでスイッチング動作するスイッチ素子SW1のオンデューティを制御することによりスイッチング電源部1の出力電圧を制御する。スイッチング電源部1の出力電圧は、スイッチ素子SW1の駆動信号のオンデューティを変化させることで行うことができる。即ち、スイッチング電源部1の出力であるA点の電圧VA(コンデンサC3の電圧)の電圧振幅値を変化させることにより、出力電圧を制御できる。図5に示すように、スイッチ素子SW1のオンデューティが大きい場合には、電圧VAは大きく、オンデューティが小さい場合には、電圧VAは小さくなっている。
【実施例2】
【0044】
図6は本発明の実施例2の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図6に示す実施例2は、図3に示す実施例1の第1発振器11とアンド回路13とに代えて、500kHzの三角波信号を発生する第1発振器11aと、コンパレータCMPとを設けたことを特徴とする。
【0045】
コンパレータCMPは、図7のタイミングチャートに示すように、第1発振器11aからの500kHzの三角波信号(第1発振器の出力)と第2発振器12からの50kHzの矩形波状の信号(第2発振器の出力)とを入力する。コンパレータCMPは、三角波信号の振幅値が矩形波状の信号の振幅値以上のときにHレベルとなり三角波信号の振幅値が矩形波状の信号の振幅値未満のときにLレベルとなる比較出力信号CMPを駆動回路14に出力する。
【0046】
比較出力信号CMPは、第2発振器12からの50kHzの矩形波状の信号の振幅値がLレベルの時に、500kHzの矩形波状の信号のオンデューティが大きく、第2発振器12からの50kHzの矩形波状の信号の振幅値がHレベルの時に、500kHzの矩形波状の信号のオンデューティが小さくなる。
【0047】
実施例1では、スイッチ素子SW1は、図4に示すように、オンデューティ50%程度の50kHzで間欠発振したが、実施例2では、500kHzの矩形波状の信号のオンデューティが小さい期間においては、ゼロでない正の電圧VAが発生する。ゼロでない正の電圧VAがあっても、コンデンサC1により直流成分を除去できるので、必ずしもA点の電圧VAをゼロまで落とす必要はない。その他の動作は実施例1の動作と同様であり、同様な効果が得られる。
【0048】
図8は本発明の実施例2の変形例の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。図6に示す実施例2では、第2発振器12が矩形波状の信号であったが、図8に示す実施例2の変形例では、第2発振器が台形波状の信号を用いた場合の例である。台形波の場合、矩形波に比較して、A点の電圧VAの上昇、下降を緩やかにすることができる。これにより、発生するノイズを抑制できる。
【0049】
また、図示していないが、第2発振器の信号として正弦波状の信号を用いても同様な効果が得られる。
【実施例3】
【0050】
図9はフライバック型電源を用いた実施例3の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図9に示す実施例3は、図3に示す実施例1に対して、トランスT1aの1次巻線P1と2次巻線S1との極性を逆極性とし、整流平滑回路としてダイオードD1とコンデンサC3のみを用いた点が異なる。
【0051】
実施例3では、スイッチング電源部1aの出力である点Aに50kHzの波形を発生させるため、出力段のフィルタの時定数は相応に小さくすることが求められる。即ち、コンデンサC3の容量は小さくすることが求められる。
【0052】
フライバック型電源はその回路原理上、コンデンサC3に流れるリップル電流が大きいが、この点を除けば、実施例1の効果と同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0053】
図10は自励発振の電源を用いた実施例4の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図10では、図3に示す第1発振器11を用いずに、自励発振を用いている。即ち、図10に示す実施例3では、1次巻線P1と2次巻線S1と巻線P3とを有するトランスT1bを設け、巻線P3に発生した電圧により自励用駆動回路14aが500kHzでスイッチ素子SW1をスイッチング動作させるとともに、第2発振器12からの50kHzの矩形波状の信号でスイッチ素子SW1を間欠発振させる。このため、第1発振器1を削減できる。
【0054】
なお、自励発振の電源は、フライバック型電源に限らず他の電源方式でも同様に適用できる。また、他励駆動であっても発振器を使用せず、スイッチ素子SW1の電流の大きさを検出してオン/オフを決定するいわゆる電流モードと呼ばれる駆動方式にも本発明は適用できる。即ち、自励発振、他励発振に関係なく、所望の周波数(例えば50kHz)より高い周波数でスイッチング電源部1を駆動すれば良い。
【実施例5】
【0055】
図11はハーフブリッジ型の電源を用いた実施例5の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図11において、直流電源Vinの両端には、MOSFETからなるスイッチ素子SW1とMOSFETからなるスイッチ素子SW2との直列回路が接続されている。スイッチ素子SW2の両端には、トランスT1aの1次巻線P1と電流共振コンデンサCriとの直列回路が接続されている。トランスT1aの2次巻線S1の両端にはダイオードD1とコンデンサC3との直列回路が接続されている。
【0056】
このようなハーフブリッジ型の電源を用いた実施例5でも実施例1の効果と同様な効果が得られる。
【実施例6】
【0057】
実施例6の説明に先立って、図3に示す実施例1の構成の問題点について説明する。
【0058】
まず、図12に示すように、スイッチ素子SW1をオン/オフさせるための信号(500kHzでスイッチング動作し且つ50kHzで間欠発振)を期間TM1と期間TM2を分けて考える。
【0059】
図13(a)は期間TM1の電流経路を示し、図13(b)は期間TM2の電流経路を示す。期間TM1では、トランスT1の2次巻線S1に発生した電圧により、コンデンサC1が充電されながらトランスT2の1次巻線P2に電流が流れる。
【0060】
期間TM2では、スイッチ素子SW1の動作が停止するため、A点の電位VAがゼロになろうとする。このため、コンデンサC1のエネルギーが放電されながらトランスT2に逆向きに電流が流れる。コンデンサC1の充電及び放電の作用により、直流成分が除去される。
【0061】
しかし、期間TM2において、図14に示すように、コンデンサC1のエネルギーはコンデンサC3を通る。即ち、コンデンサC1とコンデンサC3は直列に接続されているため、A点の電圧VAはゼロまで落ちない。期間TM2において、コンデンサC1とコンデンサC3に電流Icという電流が流れた場合、A点の電圧VA、即ち、コンデンサC3の電圧Vc3は、式(1)で表される。
【数1】
【0062】
ここで、C3はコンデンサC3の容量値、Icは流れる電流、fは周波数である。式(1)からわかるように、コンデンサC3の容量が十分に大きければ、A点の電圧VAはゼロに近づく。
【0063】
しかし、前述の通り、50kHzの矩形波を出力するSW電源部1bのため、出力段のフィルタであるリアクトルL1、コンデンサC3の時定数は相応に小さくする必要がある。このため、コンデンサC3の容量は小さくする必要がある。よって、図14に示すように、A点の電圧VAがゼロまで落ちず、50kHzの矩形波の最大値と最小値との差を表す振幅は、小さくなってしまうという問題がある。
【0064】
そこで、実施例6では、上記問題を解決したものである。図15は本発明の実施例6の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図15に示す実施例6では、図13に示す実施例5の構成に対して、SW電源部1の出力であるコンデンサC3の両端にスイッチ素子SW2(第2スイッチ素子)を設けている。スイッチ素子SW2は、50kHzを有する信号に同期してオン/オフする。
【0065】
図16は実施例6の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。図15(a)は期間TM1の電流経路を示し、図15(b)は期間TM2の電流経路を示す。期間TM1では、トランスT1の2次巻線S1に発生した電圧により、コンデンサC1が充電されながらトランスT2の1次巻線P2に電流が流れる。
【0066】
期間TM2では、スイッチ素子SW2をオンさせることにより、コンデンサC1の放電電流を全てスイッチ素子SW2に流す。これにより、この期間TM2においてA点の電圧VAをゼロまで落とすことができる。
【0067】
また、スイッチ素子SW2のオン/オフのシーケンスを決定する駆動信号の生成については、図17に示す変形例1、図18に示す変形例2、図19に示す変形例3がある。
【0068】
図17に示す変形例1では、トランスT1の1次巻線S1の500kHzの矩形波の電圧をダイオードD1,D2で整流して得られた50kHzの矩形波の電圧を検出回路制御回路15で検出し、駆動回路16は、検出回路制御回路15からの50kHzの矩形波の電圧によりスイッチ素子SW2を駆動する。期間TM2でスイッチ素子SW2をオンさせることにより、実施例6の効果と同様な効果が得られる。
【0069】
図18に示す変形例2では、1次巻線としてのリアクトルL1と2次巻線L1Sとを有するトランスT4を設け、検出回路制御回路15は、リアクトルL1に流れる電流を2次巻線L1Sから検出し、駆動回路16は、検出回路制御回路15で検出した電流が所定期間(期間TM2)だけゼロになった時にスイッチ素子SW2をオンさせる。これにより、実施例6の効果と同様な効果が得られる。
【0070】
図19に示す変形例3では、第2発振器12からの50kHzの矩形波信号を検出回路制御回路15aで検出し、駆動回路16は、検出回路制御回路15aからの50kHzの矩形波信号によりスイッチ素子SW2を駆動する。期間TM2でスイッチ素子SW2をオンさせることにより、実施例6の効果と同様な効果が得られる。
【0071】
このようにスイッチ素子SW2を設けることにより、コンデンサC3の容量値を小さくすることができ、極限としてコンデンサC3がなくても動作させることができる。
【実施例7】
【0072】
次に実施例7の放電灯点灯装置を説明する。まず、第1発振器11の周波数が500kHz、第2発振器12の周波数が50kHzである場合、図20に示すように、1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数は5回である。ここで、第1発振器11の周波数が400kHzに変動とすると、1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数は4回になる。スイッチ素子SW1のオン時間が同じとすると、20%のエネルギーの変動(減少)が発生し、出力電圧も大きく変動する。
【0073】
また、2つの周波数の変動がなかったとしても、例えば490kHzと50kHz等、1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数が整数でない場合も、1周期毎に出力電圧が変動する可能性がある。
【0074】
この出力電圧の変動を改善する方法として、図21に示すように、第1発振器11の周波数と第2発振器12の周波数との同期をとる方法がある。ここで、同期とは、1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数を一定に保つことである。1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数が一定であるため、出力変動を小さく抑えることができる。
【0075】
同期をとった2信号は、例えば、フリップフロップ、タイマ、カウンタ等を用いた分周回路、倍周回路などで容易に生成可能である。
【0076】
図22に示す例では、10逓倍回路17が、第2発振器12の基準信号の50kHzを10倍だけ周波数逓倍することにより500kHzを有する基準信号を生成する。
【0077】
図23に示す例では、分周回路18が、第1発振器11の信号の500kHzを1/10分周することにより50kHzを有する基準信号を生成する。
【0078】
図22、図23に示す例では、第1発振器11、第2発振器12の発振周波数や分周回路、逓倍回路の分周比や逓倍を変えることにより、任意の周波数で同期の取れた2つの信号を容易に生成することができる。
【0079】
結果としてスイッチSW1の駆動と出力電圧周波数との同期が取れれば良く、発振器出力同士の同期はその一例に過ぎない。
【実施例8】
【0080】
放電灯点灯装置は、放電灯に流れる電流を検出して検出された電流を所定値に制御することにより放電灯を安定に点灯させる。その方法として放電灯に流れる電流を検出する方法がよく用いられる。
【0081】
しかし、アプリケーション上の制約、構造上の制約等により必ずしも放電灯電流を検出できない場合もある。この場合、他の電気量を検出して制御することもできる。以下に、いくつかの具体例を挙げて説明する。
【0082】
図24に示す具体例1では、放電灯7a,7bに直列に接続された電流検出回路20が放電灯7a,7bに流れる電流を検出する。オンデューティ調整回路21は、アンド回路13と駆動回路14bとの間に接続され、電流検出回路20で検出された電流が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させる。
【0083】
図25に示す具体例2では、トランスT2の2次巻線S2の両端間に接続された電圧検出回路23が、トランスT2の2次巻線電圧を検出する。オンデューティ調整回路21は、アンド回路13と駆動回路14bとの間に接続され、電圧検出回路23で検出された電圧が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させる。
【0084】
また、図示しないが、直流除去部の出力電圧(B点の電圧)を電圧検出回路23で検出して、オンデューティ調整回路21が、電圧検出回路23で検出された電圧が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させても良い。また、図示しないが、SW電源部1の出力電圧(A点の電圧)を電圧検出回路23で検出して、オンデューティ調整回路21が、電圧検出回路23で検出された電圧が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させても良い。
【0085】
さらに、図示しないが、トランスT2の1次巻線P2に流れる電流を電流検出回路20で検出して、オンデューティ調整回路21が、電流検出回路20で検出された電流が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させても良い。さらに、図示しないが、スイッチ素子SW1に流れる電流を電流検出回路20で検出して、オンデューティ調整回路21が、電流検出回路20で検出された電流が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させても良い。
【実施例9】
【0086】
図26は本発明の実施例9の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図26に示す実施例9は、図3に示す実施例1に対してフィードバック制御を具体化したもので、電流検出回路20と、電流検出回路20で検出した電流に応じた電流を流すフォトカプラPC1、フォトカプラPC1に流れる電流に応じてスイッチ素子SW1のオンデューティを制御するコントローラ30、コントローラ30からの信号によりスイッチ素子SW1を駆動するローサイドドライバ28を有している。
【0087】
図29は従来の放電灯点灯装置のより具体的な構成を示す図である。図29に示す従来例は、ハーフブリッジ型電源であり、スイッチ素子SW1,SW2、ハイサイドドライバ31a,ローサイドドライバ31bを有する。
【0088】
図26と図29とを参照して、実施例9と従来例との比較を行うと、図26に示す実施例9では、1個のスイッチ素子SW1で済む。また、スイッチ素子が1個で済むので、ハイサイドドライバ31a、ダイオードD1、D2、D3、D4が不要になる。
【0089】
また、図26に示す実施例9では、図29に示す従来例に比べてトランスT1の駆動周波数が高いので、コアサイズを小型化できる。実装面積、コストにおいて非常に有利である。従来例のトランスT10が例えば、EER35クラスであると、実施例9のトランスT1はEER25〜28クラスが使用できる。
【0090】
また、実施例9では、信号絶縁素子がトランス(図29に示す従来例ではトランス34a,34b)ではなくフォトカプラPC1を用いることができる。従来例では、トランス34a,34bは、スイッチ素子SW1、SW2を駆動する信号をそのまま伝送する必要があるため、高い周波数(例えば50kHz)の絶縁・伝達が必要であった。このため、高価な高速フォトカプラやトランス34a,34bのようにパルストランスを用いていた。
【0091】
これに対して、実施例9では、検出量そのものを絶縁・伝達するため、安価な汎用フォトカプラを使用できる。
【実施例10】
【0092】
図27は本発明の実施例10の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図27に示す実施例10は、図16に示す実施例9の構成に対して、さらに、トランスT2(昇圧トランス)の1次巻線P2に並列に1次巻線P3が接続されたトランスT3(昇圧トランス)を設けて、複数の放電灯を点灯させるものである。
【0093】
トランスT2の2次巻線S2の両端には放電灯7aと電流検出回路20aとの直列回路が接続されている。トランスT3の2次巻線S3の両端には放電灯7bと電流検出回路20bとの直列回路が接続されている。
【0094】
コントローラ30は、フォトカプラPC1を介して電流検出回路20aからの電流と電流検出回路20bからの電流とに応じてスイッチ素子SW1のオンデューティを制御する。
【0095】
実施例10では、放電灯が2灯の例であるが、昇圧トランスを増やすことにより、さらに多くの放電灯を同時に点灯することができる。
【0096】
また、図示しないが、図27に示す実施例10の放電灯7a,7bに代えて、トランスT2の高圧側とトランスT3の高圧側との間に、1灯又は複数灯の放電灯を接続し、2個のトランスT2,T3で1灯又は複数灯の放電灯を点灯させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の放電灯点灯装置の発明原理図である。
【図2】図1に示す放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施例1の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施例1の放電灯点灯装置のインバータ出力の制御方法の一例を示す各部のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施例2の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例2の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施例2の変形例の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図9】フライバック型電源を用いた実施例3の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図10】自励発振の電源を用いた実施例4の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図11】ハーフブリッジ型の電源を用いた実施例5の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図12】ハーフブリッジ型の電源を用いた実施例5の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図13】実施例1の放電灯点灯装置の期間TM1の電流経路と期間TM2の電流経路とを示す図である。
【図14】実施例1の放電灯点灯装置の期間TM2の電流経路の詳細を示す図である。
【図15】本発明の実施例6の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図16】実施例6の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図17】本発明の実施例6の変形例1の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図18】本発明の実施例6の変形例2の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図19】本発明の実施例6の変形例3の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図20】本発明の放電灯点灯装置の第1発振器の周波数が変動した場合の各部のタイミングチャートである。
【図21】本発明の放電灯点灯装置の第1発振器の周波数と第2発振器の周波数との同期を取った実施例7の各部のタイミングチャートである。
【図22】実施例7の放電灯点灯装置の同期の取れた2つの信号の生成方法の一例を示す図である。
【図23】実施例7の放電灯点灯装置の同期の取れた2つの信号の生成方法の他の一例を示す図である。
【図24】本発明の実施例8の具体例1の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図25】本発明の実施例8の具体例2の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図26】本発明の実施例9の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図27】本発明の実施例10の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図28】従来の放電灯点灯装置の一例の構成を示す図である。
【図29】従来の放電灯点灯装置の他の一例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
T1,T1a,T1b,T2,T3,T4 トランス
P1,P2,P3 1次巻線
S1,S2,S3 2次巻線
C1,C2,C3,Ca,Cb コンデンサ
D1,D2 ダイオード
SW1,SW2 スイッチ素子
L1,L2 リアクトル
Cri 電流共振コンデンサ
Vin 直流電源
PC1 フォトカプラ
CMP コンパレータ
1 SW電源部
3 直流除去部
5 昇圧部
7a,7b 放電灯
11,11a 第1発振器
12 第2発振器
13 アンド回路
14,14b,16,16a 駆動回路
14a 自励用駆動回路
15,15a 検出回路制御回路
17 10逓倍回路
18 1/10分周回路
20,20a,20b 電流検出回路
21 オンデューティ調整回路
23 電圧検出回路
25 交流電源
26 全波整流回路
27 平滑コンデンサ
28 ローサイドドライバ
30 コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の冷陰極放電灯(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)、外部電極蛍光灯や蛍光灯等の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷陰極放電灯は、一般的に、放電灯点灯装置により、数10kHzの周波数で且つ数百V〜千数百Vの電圧が印加されることにより点灯する。また、外部電極蛍光灯(EEFL:External Electrode Fluorescent Lamp)と呼ばれる蛍光管もある。外部電極蛍光灯と冷陰極放電灯とは電極の構造が相違し、それ以外の相違はほとんどなく、発光原理も冷陰極放電灯と同じである。このため、外部電極蛍光灯や冷陰極放電灯を点灯させるための放電灯点灯装置は、原理的には同じである。このため、以下、冷陰極放電灯(放電灯と略称する。)を用いて説明する。
【0003】
放電灯と放電灯点灯装置は、液晶TV、液晶モニタ、照明装置、液晶表示装置、看板などに用いられている。放電灯点灯装置に求められる特性としては、(a)出力電圧周波数が50kHz程度であり、(b)放電灯に印加される電圧は交流電圧で、正負対称の波形である。
【0004】
(a)について、放電灯に印加される電圧周波数は、一般的におおよそ10kHz〜100kHz程度である。これは、放電灯の輝度特性や効率特性、放電灯をセットに組み込んだときの輝度特性など、様々な特性を考慮し、ユーザーが決定する。放電灯点灯装置は、決定された周波数、又はその付近の周波数で駆動される。このため、放電灯点灯装置の都合で周波数を設定、変化させることができないことが多い。液晶TVや液晶モニタ、照明装置などではおおよそ50kHz付近で用いられることが多いので、以下、50kHzの放電灯点灯装置を用いるものとする。
【0005】
(b)について、一般的に、放電灯に印加される電圧は交流電圧で、正負対称の波形である必要がある。放電灯はガラスのチューブ状になっており、内部には水銀、希ガス等が封入されている。この放電灯に直流電圧を印加しても発光はする。しかし、内部の水銀が片方に片寄ってしまい、次第に放電灯両端での輝度に差が出てきてしまうため、寿命が著しく短くなる。このため、放電灯には交流電圧を印加するが、交流電圧であっても電圧波形の正負の形に違いがあれば、水銀分布の偏りが生じてしまう可能性がある。このため、正負対称の波形を印加することが求められる。また、理想的には正弦波や台形波が良く、実際にも正弦波電圧を印加するシステムが多い。
【0006】
従来の放電灯点灯装置の回路構成を図28に示す。この放電灯点灯装置は、4個のスイッチ素子SW1〜SW4を用いたフルブリッジ方式と呼ばれるもので、交流電源25の交流電圧を全波整流回路26及び平滑コンデンサ27で整流平滑して得られた直流電圧をスイッチ素子SW1〜SW4でスイッチングして50kHzの正負対称の矩形波信号を生成し、この矩形波信号を絶縁トランスT10で絶縁し、昇圧トランスT20で昇圧して、交流電圧として正負対称の正弦波を得ている。また、2個のスイッチ素子を用いたハーフブリッジでもフルブリッジ構成と同様に構成できる。
【0007】
これらの放電灯点灯装置は、(c)2個以上のスイッチ素子を用いて正負対称の波形を得ている。(d)絶縁トランス(又はトランス)を50kHzで動作させている。
【0008】
(c)について、スイッチ素子の数に応じて、ハイサイドドライバ、ロードサイドドライバ、絶縁素子など、スイッチ素子の駆動回路が増加する。このため、部品コスト、製造コスト、実装面積も増加する。また、スイッチ素子自体の部品コストも増大する。
【0009】
(d)について、50kHzでトランスを設計して、トランスのコアサイズを決定する。トランスのコアサイズは駆動周波数が高いほど小さくできる。しかし、放電灯点灯装置の場合、駆動周波数は50kHz付近で決定されてしまうことが多いので、それ以上に駆動周波数を高くできない。このため、トランスのコアサイズも小さくできず、トランスのコストも低減できない。
【0010】
また、例えば、図28のスイッチ素子SW1のみを用い、且つスイッチ素子SW2の箇所にダイオードを接続した構成では、正負対称の波形を生成することはできない。その理由を以下に説明する。スイッチ素子SW1を例えば50kHzでオン、オフさせて矩形波信号を発生させ、絶縁トランスT10に入力する。矩形波信号は、リアクトルL1とコンデンサC2のフィルタ作用により正弦波になる。この回路において、スイッチ素子がオンデューティ50%で動作したときには、出力電圧として正負対称の波形が得られる。
【0011】
しかし、オンデューティ50%固定では、出力電圧を制御できない。放電灯の輝度を制御する場合、放電灯に印加する電圧や流れる電流を制御する必要がある。その場合、スイッチ素子SW1のオンデューティを制御する。オンデューティが50%以下の場合には、正負対称の波形が得られないため、2個以上のスイッチ素子を用いる必要がある。なお、従来の技術として例えば、特許文献1がある。
【特許文献1】特開平8−162280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、スイッチ素子の数は2個以上必要であり、トランスコアサイズは出力電圧周波数である50kHzで設計しなければならないが、これらは、部品実装面積、部品コスト、製造コストが増加する。
【0013】
本発明は、スイッチ素子の数を削減し、トランスコアサイズを小さくすることによりコストを低減できる放電灯点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、第1周波数を有する第1基準信号と前記第1周波数を超える第2周波数を有する第2基準信号とに基づき前記第2周波数でスイッチング動作することにより直流電圧を前記第1周波数を有するスイッチング信号に変換するスイッチング電源部と、前記スイッチング電源部で変換された前記スイッチング信号に含まれる直流成分を除去して交流電圧を抽出する直流除去部と、前記直流除去部で得られた交流電圧を昇圧し、昇圧された交流電圧を前記第1周波数を有する出力信号として放電灯に出力する昇圧部とを有し、前記スイッチング電源部は、前記第2周波数でスイッチング動作する第1スイッチ素子と、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することにより前記スイッチング電源部の出力電圧を制御する制御回路とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載の放電灯点灯装置において、前記スイッチング電源部は、前記第1スイッチ素子に直列に接続されたトランスの1次巻線と、前記トランスの2次巻線に発生する前記第2周波数を有する電圧を整流平滑して前記第1周波数を有する前記スイッチング信号を生成する整流平滑回路とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置において、前記スイッチング電源部の出力両端に接続された第2スイッチ素子を有し、前記第2スイッチ素子は、前記第1周波数を有する第1基準信号に同期してオン/オフすることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の放電灯点灯装置において、前記第1周波数を有する第1基準信号を発生する信号発生器と、前記信号発生器の第1基準信号の第1周波数を周波数逓倍することにより前記第2周波数を有する第2基準信号を生成する逓倍回路とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の放電灯点灯装置において、前記第2周波数を有する第2基準信号を発生する信号発生器と、前記信号発生器の第2基準信号の第2周波数を分周することにより前記第1周波数を有する第1基準信号を生成する分周回路とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の放電灯点灯装置において、前記放電灯又は前記直流除去部に流れる電流を検出する電流検出回路を有し、前記制御回路は、前記電流検出回路で検出された電流の値が所定値になるように、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の放電灯点灯装置において、前記昇圧部の出力両端又は前記スイッチング電源部の出力両端又は前記直流除去部の出力両端の電圧を検出する電圧検出回路を有し、前記制御回路は、前記電圧検出回路で検出された電圧の値が所定値になるように、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、スイッチング電源部は、第1スイッチ素子が第2周波数でスイッチング動作することにより直流電圧を第1周波数を有するスイッチング信号に変換し、直流除去部は、スイッチング信号に含まれる直流成分を除去して交流電圧を抽出し、昇圧部は、交流電圧を昇圧し、昇圧された交流電圧を第1周波数を有する出力信号として放電灯に出力する。制御回路は、第1スイッチ素子のオンデューティを制御することによりスイッチング電源部の出力電圧を制御するので、昇圧部の出力電圧を制御できる。これにより、スイッチ素子の数を削減でき、しかも昇圧部の出力電圧周波数(第1周波数)を超える第2周波数でスイッチング電源部を動作させるので、スイッチング電源部を小型化でき、コストを低減できる。
【0022】
請求項2の発明によれば、第1スイッチ素子を第2周波数でスイッチング動作することにより、トランスも第2周波数で動作するので、トランスを小型化できる。
【0023】
請求項3の発明によれば、スイッチング電源部の出力両端に接続された第2スイッチ素子は、第1周波数を有する第1基準信号に同期してオン/オフするので、第2スイッチ素子がオン時にスイッチング電源部の出力両端の電圧をゼロにすることができる。
【0024】
請求項4の発明、請求項5の発明によれば、第1周波数を有する第1基準信号と第2周波数を有する第2基準信号とを同期させることができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、制御回路は、第1スイッチ素子のオンデューティを制御することにより、電流検出回路で検出された電流の値を所定値にすることができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、制御回路は、第1スイッチ素子のオンデューティを制御することにより、電圧検出回路で検出された電圧の値を所定値にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の放電灯点灯装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、50kHzの出力電圧周波数を用いる。なお、50kHzの周波数は一例であり、本発明はこの周波数に限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明の放電灯点灯装置の発明原理図である。図2は図1に示す放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【0029】
図1に示す放電灯点灯装置は、直流電源Vin、スイッチング電源部(SW電源部)1、直流除去部3、昇圧部5を有する。
【0030】
SW電源部1は、例えば50kHz(第1周波数)を有する第1基準信号と第1周波数を超える例えば500kHz(第2周波数)を有する第2基準信号とに基づき500kHzでスイッチング動作することにより直流電源Vinの直流電圧を50kHzの矩形波状のスイッチング信号V1に変換する。
【0031】
直流除去部3は、SW電源部1で変換されたスイッチング信号V1に含まれる直流成分を除去して50kHzの矩形波状の交流電圧V3を抽出する。昇圧部5は、直流除去部3で得られた50kHzの矩形波状の交流電圧V3を昇圧し、昇圧された50kHzの矩形波状の交流電圧V3に対してリアクトルとコンデンサとによるフィルタ処理を行い、50kHzの正弦波状の出力信号V5を放電灯に出力する。
【0032】
図3は本発明の実施例1の放電灯点灯装置の構成を示す図である。実施例1のスイッチング電源部1は、他励駆動方式のフォワード型と呼ばれるもので、直流電源Vinの両端にはトランスT1(絶縁トランス)の1次巻線P1とMOSFET等からなるスイッチ素子SW1(第1スイッチ素子)との直列回路が接続されている。
【0033】
また、500kHzの矩形波状の基準信号を発生する第1発振器11と、50kHzの矩形波状の基準信号を発生する第2発振器12と、500kHzの矩形波状の基準信号と50kHzの矩形波状の基準信号との論理積を取るアンド回路13と、アンド回路13の出力によりスイッチ素子SW1を駆動させる駆動回路14とが設けられている。
【0034】
スイッチ素子SW1は、駆動回路14により駆動され、所望の周波数である50kHzよりも高い500kHzでスイッチング動作し且つオンデューティ50%程度の50kHzで間欠発振する。
【0035】
トランスT1の2次巻線S1の両端にはダイオードD1とダイオードD2との直列回路が接続され、ダイオードD2の両端にはリアクトルL1とコンデンサC3との直列回路が接続されている。コンデンサC3の両端にはコンデンサC1とトランスT2の1次巻線P2との直列回路が接続され、リアクトルL2はトランスT2の1次巻線P2及び2次巻線S2間のリーケージインダクタンスを利用しても良い。その場合、削除、または小型化できる。トランスT2の2次巻線S2の両端にはコンデンサC2が接続されるとともに、コンデンサCaと放電灯7aとの直列回路と、コンデンサCbと放電灯7bとの直列回路とがそれぞれ接続されている。
【0036】
駆動回路14、スイッチ素子SW1、トランスT1、ダイオードD1,D2、リアクトルL1、コンデンサC3はSW電源部1を構成し、コンデンサC1は直流除去部3を構成し、トランスT2、コンデンサC2は昇圧部5を構成する。
次に図4を参照しながら実施例1の放電灯点灯装置の動作を説明する。
【0037】
まず、第1発振器11からの500kHzの矩形波状の基準信号V11と、第2発振器12からの50kHzの矩形波状の基準信号V12とがアンド回路13に入力されると、アンド回路13は、500kHzの矩形波状の基準信号V11と50kHzの矩形波状の基準信号V12との論理積を取ることにより、論理積信号V13を駆動回路14に出力する。
【0038】
スイッチ素子SW1は、論理積信号V13により動作し、500kHzでスイッチング動作し且つオンデューティ50%程度の50kHzで間欠発振する。このため、トランスT1の2次巻線S1にも、500kHzでスイッチング動作し且つオンデューティ50%程度の50kHzで間欠発振する信号が得られる。得られた信号は、ダイオードD1,D2、リアクトルL1、コンデンサC3による整流平滑回路により整流平滑される。
【0039】
すると、スイッチング電源部1の出力であるA点には、オンデューティ50%程度の矩形波状(あるいは台形波状、あるいは正弦波の半波整流波形状)の電圧VAが得られる。この場合、50kHzの矩形波状の電圧VAが得られるように、リアクトルL1、コンデンサC3の時定数を調整する必要がある。この電圧VAには直流成分が付加されているため、コンデンサC1により直流成分が除去され、B点には、50kHzの矩形波状の交流電圧VBが得られる。
【0040】
この交流電圧VBはトランスT2に入力され、トランスT2により昇圧されるとともに、リアクトルL1とコンデンサC2とによるフィルタ作用により、50kHzの周波数で正負対称の交流電圧波形が出力電圧(C点の電圧VC)として得られる。
【0041】
ここで、第2発振器12の50kHzの基準信号のオンデューティにより、出力電圧の正の期間、負の期間の比が決定される。即ち、出力電圧波形が正負対称であるかどうかは、第2発振器12のオンデューティによるところが大きい。原理的にはオンデューティは50%で良いが、信号の遅れや歪みなどがあるため、オンデューティの調整が必要な場合もある。
【0042】
このように実施例1によれば、スイッチ素子の数を1つに削減でき、しかも昇圧部5の出力電圧周波数である50kHzを超える500kHzでスイッチ素子SW1をスイッチング動作することにより、トランスT1も500kHzで動作するので、トランスT1を小型化できる。これにより、コストを低減できる。
【0043】
また、駆動回路(制御回路)14は、500kHzでスイッチング動作するスイッチ素子SW1のオンデューティを制御することによりスイッチング電源部1の出力電圧を制御する。スイッチング電源部1の出力電圧は、スイッチ素子SW1の駆動信号のオンデューティを変化させることで行うことができる。即ち、スイッチング電源部1の出力であるA点の電圧VA(コンデンサC3の電圧)の電圧振幅値を変化させることにより、出力電圧を制御できる。図5に示すように、スイッチ素子SW1のオンデューティが大きい場合には、電圧VAは大きく、オンデューティが小さい場合には、電圧VAは小さくなっている。
【実施例2】
【0044】
図6は本発明の実施例2の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図6に示す実施例2は、図3に示す実施例1の第1発振器11とアンド回路13とに代えて、500kHzの三角波信号を発生する第1発振器11aと、コンパレータCMPとを設けたことを特徴とする。
【0045】
コンパレータCMPは、図7のタイミングチャートに示すように、第1発振器11aからの500kHzの三角波信号(第1発振器の出力)と第2発振器12からの50kHzの矩形波状の信号(第2発振器の出力)とを入力する。コンパレータCMPは、三角波信号の振幅値が矩形波状の信号の振幅値以上のときにHレベルとなり三角波信号の振幅値が矩形波状の信号の振幅値未満のときにLレベルとなる比較出力信号CMPを駆動回路14に出力する。
【0046】
比較出力信号CMPは、第2発振器12からの50kHzの矩形波状の信号の振幅値がLレベルの時に、500kHzの矩形波状の信号のオンデューティが大きく、第2発振器12からの50kHzの矩形波状の信号の振幅値がHレベルの時に、500kHzの矩形波状の信号のオンデューティが小さくなる。
【0047】
実施例1では、スイッチ素子SW1は、図4に示すように、オンデューティ50%程度の50kHzで間欠発振したが、実施例2では、500kHzの矩形波状の信号のオンデューティが小さい期間においては、ゼロでない正の電圧VAが発生する。ゼロでない正の電圧VAがあっても、コンデンサC1により直流成分を除去できるので、必ずしもA点の電圧VAをゼロまで落とす必要はない。その他の動作は実施例1の動作と同様であり、同様な効果が得られる。
【0048】
図8は本発明の実施例2の変形例の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。図6に示す実施例2では、第2発振器12が矩形波状の信号であったが、図8に示す実施例2の変形例では、第2発振器が台形波状の信号を用いた場合の例である。台形波の場合、矩形波に比較して、A点の電圧VAの上昇、下降を緩やかにすることができる。これにより、発生するノイズを抑制できる。
【0049】
また、図示していないが、第2発振器の信号として正弦波状の信号を用いても同様な効果が得られる。
【実施例3】
【0050】
図9はフライバック型電源を用いた実施例3の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図9に示す実施例3は、図3に示す実施例1に対して、トランスT1aの1次巻線P1と2次巻線S1との極性を逆極性とし、整流平滑回路としてダイオードD1とコンデンサC3のみを用いた点が異なる。
【0051】
実施例3では、スイッチング電源部1aの出力である点Aに50kHzの波形を発生させるため、出力段のフィルタの時定数は相応に小さくすることが求められる。即ち、コンデンサC3の容量は小さくすることが求められる。
【0052】
フライバック型電源はその回路原理上、コンデンサC3に流れるリップル電流が大きいが、この点を除けば、実施例1の効果と同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0053】
図10は自励発振の電源を用いた実施例4の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図10では、図3に示す第1発振器11を用いずに、自励発振を用いている。即ち、図10に示す実施例3では、1次巻線P1と2次巻線S1と巻線P3とを有するトランスT1bを設け、巻線P3に発生した電圧により自励用駆動回路14aが500kHzでスイッチ素子SW1をスイッチング動作させるとともに、第2発振器12からの50kHzの矩形波状の信号でスイッチ素子SW1を間欠発振させる。このため、第1発振器1を削減できる。
【0054】
なお、自励発振の電源は、フライバック型電源に限らず他の電源方式でも同様に適用できる。また、他励駆動であっても発振器を使用せず、スイッチ素子SW1の電流の大きさを検出してオン/オフを決定するいわゆる電流モードと呼ばれる駆動方式にも本発明は適用できる。即ち、自励発振、他励発振に関係なく、所望の周波数(例えば50kHz)より高い周波数でスイッチング電源部1を駆動すれば良い。
【実施例5】
【0055】
図11はハーフブリッジ型の電源を用いた実施例5の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図11において、直流電源Vinの両端には、MOSFETからなるスイッチ素子SW1とMOSFETからなるスイッチ素子SW2との直列回路が接続されている。スイッチ素子SW2の両端には、トランスT1aの1次巻線P1と電流共振コンデンサCriとの直列回路が接続されている。トランスT1aの2次巻線S1の両端にはダイオードD1とコンデンサC3との直列回路が接続されている。
【0056】
このようなハーフブリッジ型の電源を用いた実施例5でも実施例1の効果と同様な効果が得られる。
【実施例6】
【0057】
実施例6の説明に先立って、図3に示す実施例1の構成の問題点について説明する。
【0058】
まず、図12に示すように、スイッチ素子SW1をオン/オフさせるための信号(500kHzでスイッチング動作し且つ50kHzで間欠発振)を期間TM1と期間TM2を分けて考える。
【0059】
図13(a)は期間TM1の電流経路を示し、図13(b)は期間TM2の電流経路を示す。期間TM1では、トランスT1の2次巻線S1に発生した電圧により、コンデンサC1が充電されながらトランスT2の1次巻線P2に電流が流れる。
【0060】
期間TM2では、スイッチ素子SW1の動作が停止するため、A点の電位VAがゼロになろうとする。このため、コンデンサC1のエネルギーが放電されながらトランスT2に逆向きに電流が流れる。コンデンサC1の充電及び放電の作用により、直流成分が除去される。
【0061】
しかし、期間TM2において、図14に示すように、コンデンサC1のエネルギーはコンデンサC3を通る。即ち、コンデンサC1とコンデンサC3は直列に接続されているため、A点の電圧VAはゼロまで落ちない。期間TM2において、コンデンサC1とコンデンサC3に電流Icという電流が流れた場合、A点の電圧VA、即ち、コンデンサC3の電圧Vc3は、式(1)で表される。
【数1】
【0062】
ここで、C3はコンデンサC3の容量値、Icは流れる電流、fは周波数である。式(1)からわかるように、コンデンサC3の容量が十分に大きければ、A点の電圧VAはゼロに近づく。
【0063】
しかし、前述の通り、50kHzの矩形波を出力するSW電源部1bのため、出力段のフィルタであるリアクトルL1、コンデンサC3の時定数は相応に小さくする必要がある。このため、コンデンサC3の容量は小さくする必要がある。よって、図14に示すように、A点の電圧VAがゼロまで落ちず、50kHzの矩形波の最大値と最小値との差を表す振幅は、小さくなってしまうという問題がある。
【0064】
そこで、実施例6では、上記問題を解決したものである。図15は本発明の実施例6の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図15に示す実施例6では、図13に示す実施例5の構成に対して、SW電源部1の出力であるコンデンサC3の両端にスイッチ素子SW2(第2スイッチ素子)を設けている。スイッチ素子SW2は、50kHzを有する信号に同期してオン/オフする。
【0065】
図16は実施例6の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。図15(a)は期間TM1の電流経路を示し、図15(b)は期間TM2の電流経路を示す。期間TM1では、トランスT1の2次巻線S1に発生した電圧により、コンデンサC1が充電されながらトランスT2の1次巻線P2に電流が流れる。
【0066】
期間TM2では、スイッチ素子SW2をオンさせることにより、コンデンサC1の放電電流を全てスイッチ素子SW2に流す。これにより、この期間TM2においてA点の電圧VAをゼロまで落とすことができる。
【0067】
また、スイッチ素子SW2のオン/オフのシーケンスを決定する駆動信号の生成については、図17に示す変形例1、図18に示す変形例2、図19に示す変形例3がある。
【0068】
図17に示す変形例1では、トランスT1の1次巻線S1の500kHzの矩形波の電圧をダイオードD1,D2で整流して得られた50kHzの矩形波の電圧を検出回路制御回路15で検出し、駆動回路16は、検出回路制御回路15からの50kHzの矩形波の電圧によりスイッチ素子SW2を駆動する。期間TM2でスイッチ素子SW2をオンさせることにより、実施例6の効果と同様な効果が得られる。
【0069】
図18に示す変形例2では、1次巻線としてのリアクトルL1と2次巻線L1Sとを有するトランスT4を設け、検出回路制御回路15は、リアクトルL1に流れる電流を2次巻線L1Sから検出し、駆動回路16は、検出回路制御回路15で検出した電流が所定期間(期間TM2)だけゼロになった時にスイッチ素子SW2をオンさせる。これにより、実施例6の効果と同様な効果が得られる。
【0070】
図19に示す変形例3では、第2発振器12からの50kHzの矩形波信号を検出回路制御回路15aで検出し、駆動回路16は、検出回路制御回路15aからの50kHzの矩形波信号によりスイッチ素子SW2を駆動する。期間TM2でスイッチ素子SW2をオンさせることにより、実施例6の効果と同様な効果が得られる。
【0071】
このようにスイッチ素子SW2を設けることにより、コンデンサC3の容量値を小さくすることができ、極限としてコンデンサC3がなくても動作させることができる。
【実施例7】
【0072】
次に実施例7の放電灯点灯装置を説明する。まず、第1発振器11の周波数が500kHz、第2発振器12の周波数が50kHzである場合、図20に示すように、1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数は5回である。ここで、第1発振器11の周波数が400kHzに変動とすると、1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数は4回になる。スイッチ素子SW1のオン時間が同じとすると、20%のエネルギーの変動(減少)が発生し、出力電圧も大きく変動する。
【0073】
また、2つの周波数の変動がなかったとしても、例えば490kHzと50kHz等、1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数が整数でない場合も、1周期毎に出力電圧が変動する可能性がある。
【0074】
この出力電圧の変動を改善する方法として、図21に示すように、第1発振器11の周波数と第2発振器12の周波数との同期をとる方法がある。ここで、同期とは、1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数を一定に保つことである。1周期当たりのスイッチ素子SW1のオン回数が一定であるため、出力変動を小さく抑えることができる。
【0075】
同期をとった2信号は、例えば、フリップフロップ、タイマ、カウンタ等を用いた分周回路、倍周回路などで容易に生成可能である。
【0076】
図22に示す例では、10逓倍回路17が、第2発振器12の基準信号の50kHzを10倍だけ周波数逓倍することにより500kHzを有する基準信号を生成する。
【0077】
図23に示す例では、分周回路18が、第1発振器11の信号の500kHzを1/10分周することにより50kHzを有する基準信号を生成する。
【0078】
図22、図23に示す例では、第1発振器11、第2発振器12の発振周波数や分周回路、逓倍回路の分周比や逓倍を変えることにより、任意の周波数で同期の取れた2つの信号を容易に生成することができる。
【0079】
結果としてスイッチSW1の駆動と出力電圧周波数との同期が取れれば良く、発振器出力同士の同期はその一例に過ぎない。
【実施例8】
【0080】
放電灯点灯装置は、放電灯に流れる電流を検出して検出された電流を所定値に制御することにより放電灯を安定に点灯させる。その方法として放電灯に流れる電流を検出する方法がよく用いられる。
【0081】
しかし、アプリケーション上の制約、構造上の制約等により必ずしも放電灯電流を検出できない場合もある。この場合、他の電気量を検出して制御することもできる。以下に、いくつかの具体例を挙げて説明する。
【0082】
図24に示す具体例1では、放電灯7a,7bに直列に接続された電流検出回路20が放電灯7a,7bに流れる電流を検出する。オンデューティ調整回路21は、アンド回路13と駆動回路14bとの間に接続され、電流検出回路20で検出された電流が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させる。
【0083】
図25に示す具体例2では、トランスT2の2次巻線S2の両端間に接続された電圧検出回路23が、トランスT2の2次巻線電圧を検出する。オンデューティ調整回路21は、アンド回路13と駆動回路14bとの間に接続され、電圧検出回路23で検出された電圧が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させる。
【0084】
また、図示しないが、直流除去部の出力電圧(B点の電圧)を電圧検出回路23で検出して、オンデューティ調整回路21が、電圧検出回路23で検出された電圧が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させても良い。また、図示しないが、SW電源部1の出力電圧(A点の電圧)を電圧検出回路23で検出して、オンデューティ調整回路21が、電圧検出回路23で検出された電圧が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させても良い。
【0085】
さらに、図示しないが、トランスT2の1次巻線P2に流れる電流を電流検出回路20で検出して、オンデューティ調整回路21が、電流検出回路20で検出された電流が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させても良い。さらに、図示しないが、スイッチ素子SW1に流れる電流を電流検出回路20で検出して、オンデューティ調整回路21が、電流検出回路20で検出された電流が所定値になるようにスイッチ素子SW1のオンデューティを変化させても良い。
【実施例9】
【0086】
図26は本発明の実施例9の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図26に示す実施例9は、図3に示す実施例1に対してフィードバック制御を具体化したもので、電流検出回路20と、電流検出回路20で検出した電流に応じた電流を流すフォトカプラPC1、フォトカプラPC1に流れる電流に応じてスイッチ素子SW1のオンデューティを制御するコントローラ30、コントローラ30からの信号によりスイッチ素子SW1を駆動するローサイドドライバ28を有している。
【0087】
図29は従来の放電灯点灯装置のより具体的な構成を示す図である。図29に示す従来例は、ハーフブリッジ型電源であり、スイッチ素子SW1,SW2、ハイサイドドライバ31a,ローサイドドライバ31bを有する。
【0088】
図26と図29とを参照して、実施例9と従来例との比較を行うと、図26に示す実施例9では、1個のスイッチ素子SW1で済む。また、スイッチ素子が1個で済むので、ハイサイドドライバ31a、ダイオードD1、D2、D3、D4が不要になる。
【0089】
また、図26に示す実施例9では、図29に示す従来例に比べてトランスT1の駆動周波数が高いので、コアサイズを小型化できる。実装面積、コストにおいて非常に有利である。従来例のトランスT10が例えば、EER35クラスであると、実施例9のトランスT1はEER25〜28クラスが使用できる。
【0090】
また、実施例9では、信号絶縁素子がトランス(図29に示す従来例ではトランス34a,34b)ではなくフォトカプラPC1を用いることができる。従来例では、トランス34a,34bは、スイッチ素子SW1、SW2を駆動する信号をそのまま伝送する必要があるため、高い周波数(例えば50kHz)の絶縁・伝達が必要であった。このため、高価な高速フォトカプラやトランス34a,34bのようにパルストランスを用いていた。
【0091】
これに対して、実施例9では、検出量そのものを絶縁・伝達するため、安価な汎用フォトカプラを使用できる。
【実施例10】
【0092】
図27は本発明の実施例10の放電灯点灯装置の構成を示す図である。図27に示す実施例10は、図16に示す実施例9の構成に対して、さらに、トランスT2(昇圧トランス)の1次巻線P2に並列に1次巻線P3が接続されたトランスT3(昇圧トランス)を設けて、複数の放電灯を点灯させるものである。
【0093】
トランスT2の2次巻線S2の両端には放電灯7aと電流検出回路20aとの直列回路が接続されている。トランスT3の2次巻線S3の両端には放電灯7bと電流検出回路20bとの直列回路が接続されている。
【0094】
コントローラ30は、フォトカプラPC1を介して電流検出回路20aからの電流と電流検出回路20bからの電流とに応じてスイッチ素子SW1のオンデューティを制御する。
【0095】
実施例10では、放電灯が2灯の例であるが、昇圧トランスを増やすことにより、さらに多くの放電灯を同時に点灯することができる。
【0096】
また、図示しないが、図27に示す実施例10の放電灯7a,7bに代えて、トランスT2の高圧側とトランスT3の高圧側との間に、1灯又は複数灯の放電灯を接続し、2個のトランスT2,T3で1灯又は複数灯の放電灯を点灯させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の放電灯点灯装置の発明原理図である。
【図2】図1に示す放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施例1の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施例1の放電灯点灯装置のインバータ出力の制御方法の一例を示す各部のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施例2の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例2の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施例2の変形例の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図9】フライバック型電源を用いた実施例3の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図10】自励発振の電源を用いた実施例4の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図11】ハーフブリッジ型の電源を用いた実施例5の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図12】ハーフブリッジ型の電源を用いた実施例5の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図13】実施例1の放電灯点灯装置の期間TM1の電流経路と期間TM2の電流経路とを示す図である。
【図14】実施例1の放電灯点灯装置の期間TM2の電流経路の詳細を示す図である。
【図15】本発明の実施例6の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図16】実施例6の放電灯点灯装置の各部のタイミングチャートである。
【図17】本発明の実施例6の変形例1の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図18】本発明の実施例6の変形例2の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図19】本発明の実施例6の変形例3の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図20】本発明の放電灯点灯装置の第1発振器の周波数が変動した場合の各部のタイミングチャートである。
【図21】本発明の放電灯点灯装置の第1発振器の周波数と第2発振器の周波数との同期を取った実施例7の各部のタイミングチャートである。
【図22】実施例7の放電灯点灯装置の同期の取れた2つの信号の生成方法の一例を示す図である。
【図23】実施例7の放電灯点灯装置の同期の取れた2つの信号の生成方法の他の一例を示す図である。
【図24】本発明の実施例8の具体例1の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図25】本発明の実施例8の具体例2の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図26】本発明の実施例9の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図27】本発明の実施例10の放電灯点灯装置の構成を示す図である。
【図28】従来の放電灯点灯装置の一例の構成を示す図である。
【図29】従来の放電灯点灯装置の他の一例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
T1,T1a,T1b,T2,T3,T4 トランス
P1,P2,P3 1次巻線
S1,S2,S3 2次巻線
C1,C2,C3,Ca,Cb コンデンサ
D1,D2 ダイオード
SW1,SW2 スイッチ素子
L1,L2 リアクトル
Cri 電流共振コンデンサ
Vin 直流電源
PC1 フォトカプラ
CMP コンパレータ
1 SW電源部
3 直流除去部
5 昇圧部
7a,7b 放電灯
11,11a 第1発振器
12 第2発振器
13 アンド回路
14,14b,16,16a 駆動回路
14a 自励用駆動回路
15,15a 検出回路制御回路
17 10逓倍回路
18 1/10分周回路
20,20a,20b 電流検出回路
21 オンデューティ調整回路
23 電圧検出回路
25 交流電源
26 全波整流回路
27 平滑コンデンサ
28 ローサイドドライバ
30 コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数を有する第1基準信号と前記第1周波数を超える第2周波数を有する第2基準信号とに基づき前記第2周波数でスイッチング動作することにより直流電圧を前記第1周波数を有するスイッチング信号に変換するスイッチング電源部と、
前記スイッチング電源部で変換された前記スイッチング信号に含まれる直流成分を除去して交流電圧を抽出する直流除去部と、
前記直流除去部で得られた交流電圧を昇圧し、昇圧された交流電圧を前記第1周波数を有する出力信号として放電灯に出力する昇圧部とを有し、
前記スイッチング電源部は、前記第2周波数でスイッチング動作する第1スイッチ素子と、
前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することにより前記スイッチング電源部の出力電圧を制御する制御回路と、
を有することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記スイッチング電源部は、前記第1スイッチ素子に直列に接続されたトランスの1次巻線と、
前記トランスの2次巻線に発生する前記第2周波数を有する電圧を整流平滑して前記第1周波数を有する前記スイッチング信号を生成する整流平滑回路と、
を有することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記スイッチング電源部の出力両端に接続された第2スイッチ素子を有し、
前記第2スイッチ素子は、前記第1周波数を有する第1基準信号に同期してオン/オフすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記第1周波数を有する第1基準信号を発生する信号発生器と、
前記信号発生器の第1基準信号の第1周波数を周波数逓倍することにより前記第2周波数を有する第2基準信号を生成する逓倍回路と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記第2周波数を有する第2基準信号を発生する信号発生器と、
前記信号発生器の第2基準信号の第2周波数を分周することにより前記第1周波数を有する第1基準信号を生成する分周回路と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記放電灯又は前記直流除去部に流れる電流を検出する電流検出回路を有し、
前記制御回路は、前記電流検出回路で検出された電流の値が所定値になるように、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記昇圧部の出力両端又は前記スイッチング電源部の出力両端又は前記直流除去部の出力両端の電圧を検出する電圧検出回路を有し、
前記制御回路は、前記電圧検出回路で検出された電圧の値が所定値になるように、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
【請求項1】
第1周波数を有する第1基準信号と前記第1周波数を超える第2周波数を有する第2基準信号とに基づき前記第2周波数でスイッチング動作することにより直流電圧を前記第1周波数を有するスイッチング信号に変換するスイッチング電源部と、
前記スイッチング電源部で変換された前記スイッチング信号に含まれる直流成分を除去して交流電圧を抽出する直流除去部と、
前記直流除去部で得られた交流電圧を昇圧し、昇圧された交流電圧を前記第1周波数を有する出力信号として放電灯に出力する昇圧部とを有し、
前記スイッチング電源部は、前記第2周波数でスイッチング動作する第1スイッチ素子と、
前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することにより前記スイッチング電源部の出力電圧を制御する制御回路と、
を有することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記スイッチング電源部は、前記第1スイッチ素子に直列に接続されたトランスの1次巻線と、
前記トランスの2次巻線に発生する前記第2周波数を有する電圧を整流平滑して前記第1周波数を有する前記スイッチング信号を生成する整流平滑回路と、
を有することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記スイッチング電源部の出力両端に接続された第2スイッチ素子を有し、
前記第2スイッチ素子は、前記第1周波数を有する第1基準信号に同期してオン/オフすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記第1周波数を有する第1基準信号を発生する信号発生器と、
前記信号発生器の第1基準信号の第1周波数を周波数逓倍することにより前記第2周波数を有する第2基準信号を生成する逓倍回路と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記第2周波数を有する第2基準信号を発生する信号発生器と、
前記信号発生器の第2基準信号の第2周波数を分周することにより前記第1周波数を有する第1基準信号を生成する分周回路と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記放電灯又は前記直流除去部に流れる電流を検出する電流検出回路を有し、
前記制御回路は、前記電流検出回路で検出された電流の値が所定値になるように、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記昇圧部の出力両端又は前記スイッチング電源部の出力両端又は前記直流除去部の出力両端の電圧を検出する電圧検出回路を有し、
前記制御回路は、前記電圧検出回路で検出された電圧の値が所定値になるように、前記第1スイッチ素子のオンデューティを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
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【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−87553(P2009−87553A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251732(P2007−251732)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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