説明

放電素子、および該放電素子を備える帯電装置、画像形成装置

【課題】複数の放電電極から任意の放電電極を容易に交換できるようにする。
【解決手段】放電素子100は、絶縁性を有する基板105と、基板105上に設けられる共通電極103と、共通電極103に電気的に接続する複数の放電電極101とを有する。放電電極101は、抵抗体により形成されている。これにより放電電極101を共通電極103に接触させることで放電させることができる。複数の放電電極101は、基板105の所定位置に設けられた複数の孔部にそれぞれ挿嵌され、挿脱自在になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナ放電によって被帯電物を帯電させる帯電装置に備える放電素子、および該放電素子を備える帯電装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式を用いる画像形成装置において、感光体を帯電させる帯電装置、トナー像を記録用紙に静電的に転写させる転写装置、記録用紙を静電的に剥離させる剥離装置などに、コロナ放電によって被帯電物を帯電させる帯電装置(コロナ放電装置)がよく用いられている。
【0003】
このような帯電装置としては、感光体、記録用紙などの被帯電物に対向する開口部を有するシールドケースと、このシールドケース内部に設けられる、複数の針状の放電電極を有する放電素子と、放電電極と被帯電物との間に設けられるグリッド電極とを備えるスコロトロンが一般に知られている。スコロトロンは、放電電極に高電圧が印加されることにより発生するコロナ放電によって被帯電物を一様に帯電させる。
【0004】
コロナ放電装置の放電素子として、放電電極が取り付けられる基板の端部から、放電電極の先端が飛び出さないように構成された放電素子が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の放電素子を備えるコロナ放電装置によれば、放電素子の保守を容易にできるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−185223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放電電極は、製作する過程において、破損、汚染などが生じることがある。また、帯電装置を使用し続けることによって、放電電極に、破損、汚染などが生じることもある。破損、汚染などの不具合はすべての放電電極に生じるとは限らず、大抵の場合、複数の放電電極のうち数本のみである。
【0007】
特許文献1のコロナ放電装置は、放電電極と基板とが一体となっており、放電電極の交換の際には、基板ごと、すべての放電電極を新しい放電電極に交換する必要がある。しかしながら、上述したように、放電電極の不具合は、大抵の場合、数本に生じる程度であるので、すべての放電電極を新しい放電電極に交換する必要はない。交換する必要のない放電電極、基板などを、すべて新しいものへと交換することは、時間的および経済的負担を伴うものである。
【0008】
さらに、特許文献1に記載の放電素子は、放電電極の先端が飛び出さないように構成されているので、コロナ放電装置の放電特性は劣化してしまう。
さらに、特許文献1に記載の放電素子は、放電電極と抵抗体とが接続される構成となっているので、放電電極を交換する際には、抵抗体の接続を切断するなど交換が容易ではない。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、複数の放電電極から任意の放電電極を容易に交換できる放電素子、および該放電素子を備える帯電装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、絶縁性を有する基板と、該基板上に設けられる共通電極と、該共通電極に着脱自在に接続する複数の放電電極とを有する放電素子であって、前記放電電極は、抵抗体により形成されていることを特徴とする放電素子である。また、本発明は、前記複数の放電電極が、前記基板の所定位置に設けられた複数の孔部にそれぞれ挿嵌された部材として構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記複数の放電電極が前記孔部から個別に挿脱が可能であり、前記孔部に挿嵌可能な2つの突起部を対称形状で両端に有し、前記2つの突起部のいずれが前記孔部に挿嵌された状態であっても孔部に挿嵌された突起部の反対側の突起部から放電が可能であることを特徴とする。
また、本発明は、平板状の前記突起部の先端が楕円形状を有し、もしくは、平板状の突起部の先端が針状の尖形形状を有することを特徴とする。
さらに、本発明は、上記の放電素子を備える帯電装置と、該帯電装置を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放電電極を抵抗体で形成することにより、支持基板上の共通電極と接触するだけで放電電極と共通電極とを接続させることができるため、個々の放電電極の交換が容易となる。
【0013】
また、本発明によれば、複数の放電電極が基板の所定位置に設けられた複数の孔部にそれぞれ挿嵌されているので、放電電極を共通電極に接触した状態で固定することができる。つまり、放電電極は、接着剤やねじなどによって共通電極と固定されるものではないので、基板から放電電極を容易に取り外すことができる。
【0014】
さらに本発明よれば、複数の放電電極が基板に設けられた孔部から個別に挿脱が可能であり、孔部に挿嵌可能な2つの突起部を対称形状で両端に有し、2つの突起部のいずれが孔部に挿嵌された状態であっても放電を可能としたことより、基板に対して放電電極を容易に取り付けることができ、任意の放電電極を容易に交換することができる。また、放電電極の両端を放電に使用することができ、損傷や汚染などで一端が使用できなくなっても、他端を使用することができるので、放電素子を安価に構成することができる。
【0015】
さらに本発明によれば、放電電極の突起部の先端を楕円形状とすることにより、放電電極の製造が容易となる。また、放電電極の突起部の先端を針状の尖形形状とすることにより、放電しやすくなって、低電圧で放電が可能となる。
【0016】
さらに本発明によれば、本発明に係る放電素子を備えることによって、任意の放電電極を容易に交換することができる帯電装置を提供することができる。
また、本発明によれば、本発明に係る帯電装置を備えることによって、帯電装置の任意の放電電極を容易に交換することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成例を模式的に示す概略図である。
【図2】本発明に係る帯電装置の内部構成を示す要部斜視概略図である。
【図3】本発明に係る帯電装置の断面を模式的に示す概略図である。
【図4】本発明に適用可能なグリッド電極の概略構成を示す平面図である。
【図5】放電素子構成を一部分解して示す斜視図である。
【図6】放電電極を取り付けた放電素子の要部断面形状を示す図である。
【図7】放電電極の一部を取り外した状態の放電素子の要部断面形状を示す図である。
【図8】放電電極の一部の上下を入れ替えた状態の放電素子の要部断面形状を示す図である。
【図9】放電電極の先端形状の構成例を示す斜視図である。
【図10】放電電極の更に他の構成例を示す斜視図である。
【図11】図10に示す放電電極を使用した放電素子の要部構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、本発明に係る帯電装置とを備える。本発明に係る帯電装置は、本発明に係る放電素子を備えている。
図1は、本発明に係る画像形成装置1の構成例を模式的に示す概略図である。画像形成装置1は、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、およびブラック(b)の4色のトナー像を順次重ね合わせて多色トナー像を形成し、該多色トナー像を記録材に定着させることで画像を形成する、タンデム構成の電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置1は、トナー像形成部2と、中間転写部3と、2次転写部4と、記録材供給部5と、定着部6と、スキャナ部7と、図示しない制御ユニット部とを含む。
【0019】
スキャナ部7は、原稿台と、光源と、CCD(電荷結合素子)イメージセンサ9とを含む。原稿台の上面には、複写すべき原稿が載置される。原稿台には、透明ガラスなどの透明性材料からなる板状部材が用いられる。光源は、原稿台に載置される原稿を照明する。CCDイメージセンサ9は、光源によって照明される原稿からの反射光を光電変換することで、反射光を画像情報(アナログ信号)に変換する。
【0020】
CCDイメージセンサ9は、変換部と転送部と出力部とを含む。変換部は、反射光である光信号を電気信号に変換する。転送部は、クロックパルスに同期して、電気信号を順次出力部へ転送する。出力部は、電気信号を電圧信号に変換し、増幅し、低インピーダンス化して出力する。
【0021】
画像形成装置1の全動作を制御する制御ユニット部は、後述するように制御部と演算部と記憶部とを含み、上記のようにして得られたアナログ信号に、公知の画像処理を行ってデジタル信号に変換する。スキャナ部7によって読み取られた原稿の画像情報は、制御ユニット部に送られて各種画像処理が施され、デジタル信号に変換された後、制御ユニット部の記憶部に記憶される。記憶部に記憶された画像情報は、出力指示に応じて記憶部から読み出され、後述する光走査ユニット13に転送される。
【0022】
スキャナ部7によれば、原稿台に載置された原稿は光源によって照明され、照明された原稿からの反射光が、CCDイメージセンサ9によってアナログの画像情報に変換される。アナログ信号の画像情報は、制御ユニット部によってデジタル信号化され、記憶部に記憶される。
【0023】
トナー像形成部2は、可視像形成ユニット10y,10m,10c,10bと、光走査ユニット13とを含む。可視像形成ユニット10y,10m,10c,10bは、後述する中間転写ベルト21の回転駆動方向、すなわち矢符27の方向における上流側からこの順番で一列に配置される。可視像形成ユニット10y,10m,10c,10bは、デジタル信号として入力される各色の画像情報に対応する静電潜像を形成し、静電潜像にトナーを供給して各色のトナー像を形成する。
【0024】
可視像形成ユニット10yは、イエロー(y)の画像情報に対応するトナー像を形成し、可視像形成ユニット10mは、マゼンタ(m)の画像情報に対応するトナー像を形成し、可視像形成ユニット10cは、シアン(c)の画像情報に対応するトナー像を形成し、可視像形成ユニット10bは、ブラック(b)の画像情報に対応するトナー像を形成する。このように、各色に応じて設けられる可視像形成ユニット10y,10m,10c,10bについて、色ごとに区別する場合は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付し、総称する場合は、参照符号の末尾にアルファベットを付さないこととする。可視像形成ユニット10を構成する各部材についても同様とする。
【0025】
可視像形成ユニット10は、感光体ドラム11と、帯電装置12と、現像部14と、ドラムクリーナ15と、1次転写前帯電部16と、1次転写部22と、感光体除電部33とを含む。
【0026】
感光体ドラム11は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に支持されるローラ状部材である。感光体ドラム11は、感光層を含み、感光層の表面において、静電潜像ひいてはトナー像を担持する像担持体である。
【0027】
感光体ドラム11には、たとえば、アルミニウムなどからなる導電性基体と、導電性基体表面に形成される感光層とからなるものを使用できる。導電性基体には、円筒状、円柱状、シート状などの導電性基体を使用でき、その中でも円筒状の導電性基体を好ましく使用できる。感光層としては、有機感光層、無機感光層などが挙げられる。
【0028】
有機感光層としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、または、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層などが挙げられる。無機感光層としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む樹脂層が挙げられる。
導電性基体と感光層との間には、下地層が介在してもよい。また、感光層の表面には感光層を保護するための表面層(保護層)が設けられてもよい。
【0029】
帯電装置12は、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電装置12は、感光体ドラム11に臨む位置に、感光体ドラム11の長手方向に沿って、感光体ドラム11表面から離隔するように設置される。帯電装置12は、現像部14、ドラムクリーナ15などとともに、感光体ドラム11の周囲に設置される。帯電装置12は、現像部14、ドラムクリーナ15などよりも、感光体ドラム11に近い位置に設置されることが好ましい。これによって、感光体ドラム11の帯電不良の発生を確実に防止することができる。
【0030】
光走査ユニット13は、帯電状態にある感光体ドラム11y,11m,11c,11b表面に、各色の画像情報に対応するレーザ光13y,13m,13c,13bをそれぞれ照射し、感光体ドラム11y,11m,11c,11bそれぞれの表面に、各色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。光走査ユニット13には、半導体レーザなどを使用できる。
【0031】
現像部14は、現像ローラと、現像ブレードと、現像槽と、攪拌ローラとを含む。現像ローラは、現像槽によって軸線回りに回転可能に支持されるローラ状部材である。現像ローラは、現像槽の感光体ドラム11に臨む面に形成される開口部から、その一部が外方に向けて突出して感光体ドラム11表面に近接するように設けられる。
【0032】
現像ローラは、図示しない固定磁極を内包しており、この固定磁極によって、現像ローラ表面に現像剤を担持する。現像ローラは、現像ローラと感光体ドラム11との近接部(現像ニップ部)において、担持した現像剤を感光体ドラム11表面の静電潜像に供給する。現像ローラは、感光体ドラム11と逆方向に回転駆動する。したがって、現像ニップ部においては、現像ローラ表面と感光体ドラム11表面とが同じ方向に移動する。
現像ローラは、図示しない電源と接続され、該電源から直流電圧(現像電圧)が印加される。これによって、現像ローラ表面の現像剤は、静電潜像に円滑に供給される。
【0033】
現像ブレードは、一端が現像槽によって支持され、他端が現像ローラ表面に対して間隙を有して離隔するように設けられる板状部材である。現像ブレードは、現像ローラ表面に担持される現像剤層の層厚を均一化する。
現像槽は、感光体ドラム11に臨む面に開口部が形成され、内部空間を有する容器状部材である。現像槽は、その内部空間に攪拌ローラを備え、現像剤を貯留する。現像槽には、現像剤の消費状況に応じて、図示しない現像剤補充手段から現像剤が補充される。現像剤としては、この分野で常用されるものを使用できる。現像剤は、トナーのみからなる1成分現像剤であっても、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤であってもよい。
【0034】
攪拌ローラは、現像槽の内部空間において軸線回りに回転駆動可能に支持されるスクリュー状部材である。攪拌ローラは、回転駆動によって、現像槽内の現像剤を現像ローラの表面周辺に送給する。
【0035】
現像部14によれば、現像槽内の現像剤が、攪拌ローラによって現像ローラ表面に送給され、該表面に現像剤層が形成される。この現像剤層は、現像ブレードによって層厚が均一化される。その後、感光体ドラム11との電位差によって、感光体ドラム11表面の静電潜像に現像剤が選択的に供給され、感光体ドラム11表面に画像情報に対応するトナー像が形成される。
【0036】
1次転写前帯電部16は、感光体ドラム11表面に形成されたトナー像を帯電させる帯電装置である。1次転写前帯電部16としては、帯電装置12と同じものを使用できる。
1次転写部22は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。1次転写部22は、中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム11に対向し、かつ中間転写ベルト21の感光体ドラム11と接する面とは反対側の面に圧接する。1次転写部22には、たとえば、金属製軸体と、該金属製軸体の表面を被覆する導電性層とを含むローラ状部材が用いられる。
【0037】
上記の金属製軸体は、たとえば、ステンレス鋼などの金属によって形成される。また、導電性層は、導電性の弾性体などによって形成される。導電性の弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カーボンブラックなどの導電剤を含む、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどが挙げられる。
【0038】
1次転写部22は、図示しない高圧電源と接続される。1次転写部22には、高圧電源から、感光体ドラム11の表面に形成されるトナー像の帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、感光体ドラム11表面に形成されるトナー像は、中間転写ベルト21の表面に転写される。
ドラムクリーナ15は、感光体ドラム11表面のトナー像が中間転写ベルト21に転写した後に、感光体ドラム11表面に残存する現像剤を除去、回収する。
感光体除電部33は、ドラムクリーナ15によって現像剤が回収された後の感光体ドラム11を除電する。感光体除電部33にはランプなどの照明手段を用いることができる。
【0039】
トナー像形成部2によれば、帯電装置12によって感光体ドラム11が帯電する。光走査ユニット13は、記憶部に記憶されるデジタル信号の画像情報に対応するレーザ光を、帯電した感光体ドラム11に照射し、静電潜像を形成する。現像部14は、静電潜像に現像剤を供給し、感光体ドラム11表面にトナー像を形成する。このトナー像は、1次転写部22によって、中間転写ベルト21に1次転写される。
【0040】
中間転写部3は、転写ベルトクリーナ17と、転写ベルト除電部18と、中間転写ベルト21と、支持ローラ23,24,25とを含む。中間転写ベルト21は、支持ローラ23,24,25の間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材である。中間転写ベルト21は、感光体ドラム11から転写したトナー像を担持しながら、感光体ドラム11と略同一の周速度で矢符27の方向に回転移動する。中間転写ベルト21は、たとえば、167〜225mm/secで回転移動する。
【0041】
中間転写ベルト21には、たとえば、厚さ100μmのポリイミドフィルムを使用できる。中間転写ベルト21の材料はポリイミドに限定されず、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンなどの合成樹脂、各種ゴムなどからなるフィルムを使用できる。合成樹脂または各種ゴムからなるフィルム中には、中間転写ベルト21の電気抵抗値を調整するために、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、グラファイトカーボンなどの導電材が配合される。
【0042】
支持ローラ23,24,25は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。支持ローラ23,24,25には、たとえば、アルミニウム製円筒体(パイプ状ローラ)が用いられる。
【0043】
支持ローラ24は、感光体ドラム11bより中間転写ベルト21の回転駆動方向下流側に設けられる。支持ローラ24は、中間転写ベルト21を介して後述する2次転写ローラ28に圧接し、2次転写ニップ部を形成する。また、支持ローラ24は、電気的に接地される。支持ローラ24は、中間転写ベルト21を張架する役割とともに、中間転写ベルト21上のトナー像を記録材8に2次転写させる役割を有する。
【0044】
転写ベルトクリーナ17は、支持ローラ24より中間転写ベルト21の回転駆動方向下流側に設けられる。転写ベルトクリーナ17は、中間転写ベルト21上のトナー像が記録材に転写された後に、中間転写ベルト21上に残存するトナーを除去する部材である。
【0045】
転写ベルトクリーナ17は、クリーニングブレードと、図示しないトナー貯留容器とを含む。クリーニングブレードは、中間転写ベルト21の、トナー像を担持する面に圧接し、該面上の残存トナーなどを掻き取る板状部材である。クリーニングブレードには、たとえば、弾性を有するゴム材料(ウレタンゴムなど)などを使用できる。トナー貯留容器は、クリーニングブレードによって掻き取られたトナーなどを一時的に貯留する容器状部材である。
【0046】
転写ベルト除電部18は、転写ベルトクリーナ17より中間転写ベルト21の回転駆動方向下流側、かつ、感光体ドラム11yより上流側に設けられる。転写ベルト除電部18は、中間転写ベルト21上の残存トナーが転写ベルトクリーナ17によって除去された後に、中間転写ベルト21を除電するブラシ状部材である。
【0047】
中間転写部3によれば、感光体ドラム11y,11m,11c,11b上に形成される各色のトナー像が、中間転写ベルト21のトナー像を担持する面における所定位置に重ね合わされて、多色トナー像が形成される。この多色トナー像は、後述する2次転写ニップ部において記録材に2次転写される。2次転写後、中間転写ベルト21上に残留するトナー、オフセットトナー、紙粉などは転写ベルトクリーナ17によって除去される。残留トナーなどの除去後、中間転写ベルト21は転写ベルト除電部によって除電される。
【0048】
記録材供給部5は、レジストローラ19a,19bと、ピックアップローラ20と、記録材カセット26とを含む。記録材カセット26は記録材8を貯留する。記録材8には、たとえば、普通紙、コート紙、カラーコピー専用用紙、OHP用フィルム、葉書などがある。記録材8のサイズには、A4、A3、B5、B4、葉書サイズなどがある。
【0049】
ピックアップローラ20は、記録材8を搬送路Pに1枚ずつ送給するローラ状部材である。レジストローラ19a,19bは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。レジストローラ19a,19bは、中間転写ベルト21上の多色トナー像が2次転写ニップ部に搬送されるのに同期して、2次転写ニップ部に記録材8を送給する。
【0050】
記録材供給部5によれば、記録材カセット26内に貯留される記録材8が、ピックアップローラ20によって1枚ずつ搬送路Pに送給され、さらに、レジストローラ19a,19bによって2次転写ニップ部に送給される。
2次転写部4は、2次転写前帯電部32と、2次転写ローラ28とを含む。2次転写前帯電部32は、中間転写ベルト21上に担持された多色トナー像を帯電させる帯電装置である。2次転写前帯電部32としては、帯電装置12と同じものを使用できる。
【0051】
2次転写ローラ28は、中間転写ベルト21を介して支持ローラ24に圧接するように設けられるローラ状部材である。2次転写ローラ28は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動する。2次転写ローラ28は、たとえば、金属製軸体と、該金属製軸体の表面を被覆する導電性層とを含むローラ状部材が用いられる。
【0052】
金属製軸体は、たとえば、ステンレス鋼などの金属によって形成される。導電性層は、導電性の弾性体などによって形成される。導電性の弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カーボンブラックなどの導電剤を含む、EPDM、発泡EPDM、発泡ウレタンなどが挙げられる。
【0053】
2次転写ローラ28は、図示しない高圧電源と接続される。2次転写ローラ28には、高圧電源から、中間転写ベルト21上に担持される多色トナー像の帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト21上に担持される多色トナー像は、2次転写ニップ部において、記録材8の表面に転写される。
【0054】
2次転写部4によれば、中間転写ベルト21上の多色トナー像は、記録材供給部5から送給される記録材8に2次転写される。未定着の多色トナー像を担持する記録材8は、定着部6に搬送される。
【0055】
定着部6は、排紙部29と、定着ローラ30と、加圧ローラ31とを含む。定着ローラ30は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に支持されるローラ状部材である。定着ローラ30の内部には、ハロゲンランプなどの加熱手段が設けられる。定着ローラ30は、記録材8に担持される未定着の多色トナー像を構成するトナーを加熱溶融させて記録材8に定着させる。
【0056】
定着ローラ30としては、たとえば、芯金と、弾性体層と、表面層とからなるローラ状部材を使用できる。芯金を形成する金属には熱伝導率の高い金属を使用でき、たとえば、アルミニウム、鉄などが挙げられる。芯金の形状としては、円筒状、円柱状などが挙げられるが、芯金からの放熱量が少ない円筒状の方が好ましい。
【0057】
弾性体層を構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はないけれども、耐熱性に優れるものが好ましい。このような材料の具体例としては、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、特にゴム弾性に優れるシリコーンゴムが好ましい。
【0058】
表面層を構成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れ、トナーの吸着性が低いものであれば特に制限されない。たとえば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料、フッ素ゴムなどが挙げられる。
【0059】
加圧ローラ31は、定着ローラ30の鉛直方向下方において、定着ローラ30に圧接された状態で回転自在に設けられるローラ状部材である。定着ローラ30と加圧ローラ31との圧接部が定着ニップ部である。加圧ローラ31は、定着ローラ30の回転駆動に従動して回転する。加圧ローラ31は、多色トナー像の記録材8への加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーを記録材8に対して押圧することによって、多色トナー像の記録材8への定着を促進する。
【0060】
加圧ローラ31としては、たとえば、芯金と、弾性体層と、表面層とからなるローラ状部材が使用できる。芯金、弾性体層および表面層としては、それぞれ、定着ローラ30の芯金、弾性体層および表面層と同じものを使用できる。また、加圧ローラ31の内部には、定着ローラ30と同様に、加熱手段が設けられてもよい。
【0061】
排紙部29は、多色トナー像が定着した記録材8を貯留するトレイ状部材である。
定着部6によれば、記録材8に担持される未定着の多色トナー像は加熱溶融し、記録材8に定着する。多色トナー像が定着した記録材8は、排紙部29に排紙され、画像形成は完了する。
【0062】
また、画像形成装置1は、図示しない制御ユニット部を含む。制御ユニット部は、たとえば、画像形成装置1の内部空間における鉛直方向上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御ユニット部の記憶部には、画像形成装置1の鉛直方向上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置1内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種処理を実行するプログラムが書き込まれる。各種処理とは、たとえば、記録媒体判定処理、付着量制御処理、定着条件制御処理などである。
【0063】
記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置1に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)レコーダ、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。
【0064】
演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種処理のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。
【0065】
制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御ユニット部は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御ユニット部だけでなく、画像形成装置1内部における各部材にも電力を供給する。
【0066】
(帯電装置および放電素子の構成)
図2は、本発明に係る帯電装置の内部構成を示す要部斜視概略図で、上記図1の画像形成装置に使用される帯電装置12の構成を示すものである。また、図3は、帯電装置12の断面を模式的に示す概略図である。
帯電装置12は、本発明に係る放電素子の実施形態である放電素子100と、グリッド電極107と、シールドケース108と、基板取付部106とを含む。放電素子100は、放電電極101と、共通電極103と、基板105とを含む。放電素子100から放電電極101を除いた構成、つまり基板105と共通電極103とによる構成を支持体109と呼ぶ。
【0067】
シールドケース108は、内部空間を有する直方体形状であって、直方体外壁面から直方体内壁面までを貫通する開口部110を有する容器状の部材である。この開口部110は、シールドケース108の長手方向に沿って設けられる。また、シールドケース108は、その内部空間に基板取付部106および放電素子100を収容する。ここでは、シールドケース108は、開口部110が設けられる壁部とは反対側の壁部の内壁面に基板取付部106が取り付けられる。
【0068】
シールドケース108は、ステンレス鋼(SUS)、鉄の表面にニッケルをめっきしたものなどで形成される。また、シールドケース108は、板状材料をプレス打ち抜きなどで所定の形状に打ち抜き、打ち抜いたものを折り曲げることによって作製することができる。
【0069】
基板取付部106は、たとえば、矩形平面をもつ板状の部材である。基板取付部106は、その長手方向とシールドケース108の長手方向とが一致し、基板取付部106の矩形平面とシールドケース108の内壁面とが接するように、シールドケース108の内壁面に取り付けられる。この基板取付部106は、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁性の合成樹脂から形成される。また、セラミック製であってもよい。
【0070】
基板105は、たとえば、板状の部材である。基板105は、その長手方向と基板取付部106の長手方向とが一致するように、基板取付部106に取り付けられる。基板105は、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁性の合成樹脂またはセラミックから形成され、その上に、たとえばプリント配線基板の作製手法によって共通電極103が形成される。また、基板105は、ステンレス鋼(SUS)、あるいは鉄の表面にニッケルをめっきしたものなどで形成され、共通電極103と一体となってもよい。基板105は、注型成型などで所定の形状に作製することができる。
【0071】
基板105には、たとえばプリント配線基板の作製手法によって、共通電極103が形成される。共通電極103は、基板105の長手方向に沿って設けられる。共通電極103には、銅、SUS、金などの導電性および耐腐食性を有するものが用いられる。
【0072】
放電電極101は、電気抵抗を有する部材である抵抗体により形成されている。抵抗を有する放電電極101の電気抵抗値は、たとえば、グリッド電極107と放電電極101の距離が2mmである場合、放電電極の先端と共通電極103との間の電気抵抗値は300MΩ〜500MΩとなるように設定される。又、グリッド電極107と放電電極101の距離が4mmである場合、放電電極の先端と共通電極103との間の電気抵抗値は500MΩ〜1000MΩとなるように設定される。さらに、グリッド電極107と放電電極101の距離が7mmである場合、放電電極の先端と共通電極103との間の電気抵抗値は1000MΩ〜1500MΩとなるように設定される。
好適な一実施形態では、グリッド電極107と放電電極101の距離が4mmで、放電電極の先端と共通電極103との間の電気抵抗値は500MΩである。この放電電極101は、絶縁性無機質材料に導電材を混練することによって作製することができる。絶縁性無機質材料としては、たとえば、ステアタイト、フォルステライト、コージュライト、ジルコニア、窒化アルミニウムなどのセラミック粉末を適用することができる。導電材は、たとえば、カーボンブラック、金属粉などである。
【0073】
放電電極101を作製するに際しては、絶縁性無機質粒子とカーボンブラック粉末を混練した混練物は注型成型などによって、任意の形状に成形し、成形体を乾燥する。次いで大気あるいは窒素ガスなどの不活性雰囲気に保持されたトンネル炉などで、1000℃以上、好ましくは1200℃程度の高温で上記の成形体を焼成する。ここでは放電を安定させるため、得られた焼結体の両端面にアルミニウムなどの金属を溶射して電極を形成してもよい。
【0074】
放電電極101は、その先端においてコロナ放電を生じる部材であって、放電素子100に複数設けられる。放電電極101は、平板部101aと突起部101bとを含む電極であり、突起部101bの先端は針状または楕円状の形状を有している。複数の放電電極101は、基板105の長手方向に沿って並列して設けられる。ここでは各放電電極101は、互いに離隔して設けられる。
【0075】
また、シールドケース108内の基板取付部106の取り付け面から開口部110に向かう方向Hを高さ方向とするとき、放電電極101の突起部101bは、基板105の上側端縁から高さ方向に突出するように設けられる。ここでは放電電極101の平板部101aが支持体109に固定される。また、複数の放電電極101は、突起部101bの先端が略一直線上に並列するように設けられることが好ましい。
【0076】
放電電極101の突起部101bの厚さtは、突起部101bの鋭利性が維持される範囲で、50μm以上200μm以下の厚さから選択され、突起部101bの高さhは、1mm以上8mm以下の範囲内で適宜設定される。また、平板部101aの厚さ(高さ方向の長さ)は、0.5mm以上5mm以下の範囲内で設定され、平板部101aの並列方向Rの長さは、0.5mm以上2mm以下の範囲内でそれぞれ適宜設定される。また、放電電極101の設置ピッチ(隣接する突起部101bの先端間の距離)は、1mm以上8mm以下の範囲内で設定される。
【0077】
好適な一実施形態では、放電電極101の突起部101bの厚さtは0.1mm、突起部101bの高さは2mmである。また、放電電極101の総数は162個であり、放電電極101の設置ピッチは2mmである。
【0078】
図4は、グリッド電極107の概略構成を示す平面図である。グリッド電極107は、コロナ放電の際に被帯電物表面の帯電状態のばらつきを調整し、被帯電物表面の帯電電位を均一化する部材である。グリッド電極107は、厚み方向に貫通するように形成された複数の図示しない貫通孔を有する多孔性薄板状部材で、開口部107aと、2つの嵌合孔107bとを有している。開口部107aは、互いに平行に形成される複数の貫通孔を所定のピッチで有する。また、嵌合孔107bは、グリッド電極107の長手方向両端部に形成される。
【0079】
グリッド電極107は、放電素子100と被帯電物との間で、その長手方向が放電素子100の長手方向と一致するように設けられる。また、グリッド電極107は、2つの嵌合孔107bを、シールドケース108の内部空間に設けられる図示しない支持部材に嵌合させることよって、シールドケース108に対して着脱自在に設けられる。グリッド電極107は、2mm以上7mm以下の範囲内で、放電電極101の突起部101bから離隔して設けられる。本発明の好適な一実施形態では、グリッド電極107は、放電電極101の突起部101bから4mm離隔して設けられる。
【0080】
グリッド電極107は、公知の製造方法によって作製することができる。たとえば、化学研磨工程、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程および純水浸漬工程を含む製造方法によって、グリッド電極用板金からグリッド電極107を作製することができる。化学研磨工程においては、グリッド電極用板金に多数の貫通孔を形成するために、マスキングおよびエッチングが行われる。
上記のグリッド電極用板金は、たとえば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などの金属材料からなる。そしてグリッド電極107には、放電電極101と同様に、必要に応じて、ニッケルめっき、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)含有ニッケルめっき、金めっきなどを施してもよい。
【0081】
帯電装置12は、グリッド電極107を備えたいわゆるスコロトロンであるが、帯電装置12としては、グリッド電極107を備えない、いわゆるコロトロンであってもよい。
上記のように構成される帯電装置12は、被帯電物を帯電させるために、図示しない電源と接続される。
【0082】
共通電極103は、図示しない第1の電源と接続される。第1の電源は、高圧電源である。第1の電源から共通電極103に対して高電圧が印加されることによって、抵抗体により形成された放電電極101に高電圧が印加される。放電電極101は、高電圧が印加されることによって、突起部の先端においてコロナ放電を生じる。被帯電物を正負いずれの極性に帯電させる場合であっても、コロナ放電によって被帯電物に向かうイオン流が生じ、これによって、被帯電物が帯電する。
【0083】
第1の電源からの印加電圧は、被帯電物をいずれの極性で帯電させるかによってその極性が異なるが、印加電圧の絶対値としては、3kV〜10kVの範囲内で制御される。この範囲内において、共通電極103に流れる電流量の絶対値が200μA〜1000μAの範囲内の所定の値となるように印加電圧が制御される(定電流制御)。また、放電電極101と帯電装置12の他の部材との距離によっても必要な印加電圧は異なるが、トランスコストの観点および安全性の観点から、印加電圧の最大値(絶対値)は10kV以下とすることが好ましい。本発明の好適な一実施形態では、共通電極103には、700μAの定電流が流れるように、3kV〜7kVの範囲内の電圧が印加される。
【0084】
シールドケース108は、接地されるか、または図示しない第2の電源と接続される。第2の電源と接続される場合、シールドケース108には、放電電極101に印加される電圧と同極性の電圧が印加される。この電圧の絶対値は、0kv〜1kVの範囲内である。
【0085】
グリッド電極107は、図示しない第3の電源と接続される。グリッド電極107には、第3の電源から、放電電極101に印加される電圧とは同極性の電圧が印加される。電圧の絶対値は、300V〜1kVの範囲内である。本発明の好適な一実施形態では、グリッド電極107には、第3の電源から620Vの電圧が印加される。
【0086】
図2に示すように、複数の突起部101bを有する放電素子100を備える帯電装置12は、コロナ放電を生じる放電ポイントが突起部101bの先端に限られるため、ワイヤ状の放電電極を備える他の帯電装置と比較して、オゾンが発生しにくいという利点を有する。
また、本発明の実施形態に係る放電素子100は、放電電極101が電気抵抗を有する抵抗体で形成されるとともに、接着剤やねじなどを介さずに共通電極103に接触した状態で固定されるという特徴を有する。
【0087】
図5は、放電素子100を一部分解して示す斜視図である。支持体109の共通電極103上に複数配設される放電素子100は、支持体109に設けられた孔部105aに挿脱自在に挿嵌されて固定されている。ここでは、基板105と共通電極103よりなる支持体109には、それぞれの放電素子100の配設すべき位置に対応させて孔部105aが設けられている。
【0088】
図5に示すように、放電電極101は、平板部101aの上に突起部101bが設けられているが、さらに平板部101aの下側にも、突起部101bと同形状の突起部101b´が形成されている。つまり、放電電極101は、平板部101aの両側に対称形に突起部101b,101b´を備えた形状となっている。従って、放電電極101の突起部101b、101b´のいずれにおいても、支持体の孔部105aに挿入することができる。このときに孔部105aの内部に挿入した放電電極101の深さは、平板部101aで規制されるため、複数の放電電極101が全て同じ挿入深さで配設される。従って、複数の放電電極101の上側の突起部の先端位置が揃えられる。
【0089】
また、個々の孔部105aの両側には、支持体109に突設された放電電極固定部111が設けられる。放電電極固定部111は、基板105に対して突起部として突設されたもので、共通電極103を貫通して共通電極上に突き出ている。そして放電電極101の平板部101aには、放電電極固定部111の位置に対応した貫通孔101cが設けられている。放電電極101の突起部101b,101b´のいずれかを支持体109の孔部105aに挿入したときに、平板部101aの貫通孔101cに放電電極固定部111が嵌合し、放電電極101が所定位置で固定される。
【0090】
このように放電電極固定部111は、支持体109に一体的に設けられているが、その構造としては、基板105を成形するときに放電電極固定部111を一体的に突設し、その後共通電極103を形成したものであってもよく、あるいは、平板上に形成した基板105に対して、別に成形した放電電極固定部111を接着等により取り付けるようにしてもよい。この場合、放電電極固定部111は、金属、樹脂、ゴムなどによって形成することができる。放電電極固定部111を基板105と一体的に形成すれば、放電素子100の製造をより容易に行うことができる。また、放電電極固定部111を基板105とは別に成形すれば、放電素子100の使用によって放電電極固定部111が破損しても、新たな放電電極固定部111を取り付けることが容易となる。
【0091】
図6は、放電電極を取り付けた放電素子の要部断面形状を示す図である。図6に示すように、放電素子100の支持体109には、放電電極101の突起部101b、101b´の一方を挿入するための孔部105aが設けられている。孔部105aに対して放電電極101の一方の突起部(ここでは突起部101b´とする)を挿入したとき、放電電極101の平板部101aにより挿入深さが規制され、孔部105aの内部に挿入される突起部101b´の深さは一定となる。
【0092】
ここで、孔部105aの深さは、挿入された突起部101b´の先端が孔部105aの底に接触しないように、平板部101aの共通電極103への接触面から突起部101b´の先端までの長さよりも長く(深く)なっている。放電電極101は対称形の形状を有しているため、もう一方の突起部101bを挿入した場合にも同様の配置となる。これにより、放電電極101の突起部101b、101b´の先端の破損を防止することができる。
【0093】
図7は、放電電極の一部を取り外した状態の放電素子の要部断面形状を示す図で、図8は、放電電極の1つの上下を入れ替えて取り付けた状態の要部断面形状を示す図である。
複数の放電電極101を配設した放電素子100において、特定の放電電極101に汚染や破損等の不具合が生じた場合、その放電電極101を取り外すことができる。この状態を図7に示す。取り外した放電電極101は、その上下を入れ替えて放電に使用していた突起部(ここでは突起部101b)を孔部105aに挿入し、放電に使用していなかった他方の突起部(ここでは突起部101b´)を放電に使用することができる。この状態を図8に示す。
【0094】
各放電電極101は、対称形に備えられている2つの突起部101b,101b´の両方を放電に使用することができ、一方に汚染や破損等の不具合が生じた場合でも、上下を反転させることで他方の突起部を使用することができる。
このときに、平板部103aから突起部101bの先端までの長さを同じにしておく。例えば図7に示すように、平板部101aが共通電極103に接触する接触面から突起部先端までの長さH1,H2を同じにしておくことで、上下を入れ替えても放電を行う突起部先端の位置を一定とすることができ、またいずれの突起部を用いた場合にも抵抗値を一定とすることができる。
【0095】
図9は、放電電極の先端形状の構成例を示す斜視図である。放電電極101は、図9(A)に示すように、2つの突起部101b,101b´の先端を楕円形状に形成することができる。この場合、平板上に形成された突起部101b、101b´の先端が楕円形状になっている。このとき、各突起部101b、101b´の先端部にアルミニウムなどを溶射することで、放電が行われやすくするようにしてもよい。放電電極101の突起部の先端を楕円形状とすることにより、放電電極101の製造が容易となる。
【0096】
図9(B)は放電電極101の他の構成例を示す図で、2つの突起部101b,101b´の先端を針状の尖形形状に形成している。この場合、平板上に形成された突起部101b、101b´の先端が針状の尖形形状になっている。放電電極101の突起部の先端を針状の尖形形状とすることにより、放電しやすくなって、低電圧で放電を可能とすることができる。
【0097】
図10は、放電電極の更に他の構成例を示す図で、放電電極101の側面図と正面図をそれぞれ図10(A)、図10(B)に示すものである。
本構成例の放電電極101は、上記の例と同様の抵抗体材料で放電電極101の板状の本体を作製する。このとき、支持体109に接触させる平板部101aは、上記板状の本体に一体的に設ける。そして、図10に示すように、抵抗体材料で作製した板状の本体の各突起部101b,101b´の先端部、および平板部101aのMで示す部分に、スパッタリング、蒸着、溶射などによるコーティングや焼結により、金属導体(Au,Ag,Cu,Alなど)の被膜を形成する。
【0098】
この例では、平板部101aには、図5に示すような放電電極固定部111を嵌合させる貫通孔は設けられていない。従って支持体109側にも放電電極固定部111は必要がない。また、平板部101aが共通電極103に接触する接触面から突起部先端までの長さH1,H2を同じにしておく。さらに、各突起部101b,101b´において、金属導体の形成部分を除く抵抗体の露出部分の長さL1,L2を同じにしておく。
そして、本例の放電電極101を支持体109の孔部に挿入することで、放電を行う突起部101b(または101b´)の高さを規制することができ、また、放電電極の配列方向の間隔も孔部のピッチで規定することができる。
【0099】
図11は、図10に示す放電電極を使用した放電素子の要部構成例を示す図である。上記の構成例と同様に、放電素子100の支持体109には放電電極101の突起部101b、101b´の一方を挿入するための孔部105aが設けられているが、本例では、孔部105aの内部に共通電極103の材料を充填し、放電電極101の突起部101b(または101b´)の先端形状に合うように形成しておく。これにより、孔部105aに挿入した放電電極101の突起部101b(または101b´)の放電を完全に防止することができ、電気的な問題が生じることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0100】
1…画像形成装置、2…トナー像形成部、3…中間転写部、4…次転写部、5…記録材供給部、6…定着部、7…スキャナ部、8…記録材、9…イメージセンサ、10…可視像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電装置、13…光走査ユニット、14…現像部、15…ドラムクリーナ、16…次転写前帯電部、17…転写ベルトクリーナ、18…転写ベルト除電部、19a,19b…レジストローラ、20…ピックアップローラ、21…中間転写ベルト、22…次転写部、23,24,25…支持ローラ、26…記録材カセット、28…次転写ローラ、29…排紙部、30…定着ローラ、31…加圧ローラ、32…次転写前帯電部、33…感光体除電部、100…放電素子、101…放電電極、101a…平板部、101b…突起部、101c…貫通孔、103…共通電極、103a…平板部、105…基板、105a…孔部、106…基板取付部、107…グリッド電極、107a…開口部、107b…嵌合孔、108…シールドケース、109…支持体、110…開口部、111…放電電極固定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する基板と、該基板上に設けられた共通電極と、該共通電極に着脱自在に接続する複数の放電電極とを有する放電素子であって、
前記放電電極は、抵抗体により形成されていることを特徴とする放電素子。
【請求項2】
前記共通電極が設けられた基板の所定位置に複数の孔部が設けられ、前記複数の放電電極は、前記複数の孔部にそれぞれ挿嵌された部材として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放電素子。
【請求項3】
前記複数の放電電極は、前記孔部から個別に挿脱が可能であり、前記孔部に挿嵌可能な2つの突起部を対称形状で両端に有し、前記2つの突起部のいずれが前記孔部に挿嵌された状態であっても前記孔部に挿嵌された突起部の反対側の突起部から放電が可能であることを特徴とする請求項2に記載の放電素子。
【請求項4】
前記突起部は平板形状を有し、前記平板形状の先端が楕円形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の放電素子。
【請求項5】
前記突起部は平板形状を有し、前記平板形状の先端が針状の尖形形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の放電素子。
【請求項6】
前記抵抗体は、絶縁性無機質材料に導電材料を混練してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の放電素子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の放電素子を備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項8】
静電潜像を担持する像担持体と、請求項7に記載の帯電装置とを備え、前記帯電装置によって、前記像担持体を帯電させることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−145500(P2011−145500A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6556(P2010−6556)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】