説明

故障予測装置、故障予測方法および故障予測プログラム

【課題】レーザダイオードの故障予測を自動的にかつ正確に行うこと。
【解決手段】故障予測部180は、あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する実測情報入力部500と、実測情報入力部500によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する実測情報格納部510と、実測情報格納部510によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する変化点検出部530と、変化点検出部530によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、検出された電流の値の測定時刻以降であって前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する予測曲線生成部560と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置に用いられるレーザダイオードの故障予測を行う故障予測装置、故障予測方法および故障予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光伝送装置では、光信号をレーザダイオードから発振されるレーザ光によって増幅し、光信号の光レベルを一定に保っている。そのために、光伝送装置は、常に光信号の光レベルを監視して、光レベルが一定でない場合は、レーザダイオードに流れる電流の値を調整することにより、光レベルを一定にする。
【0003】
光信号の光レベルを一定にするために必要な電流の値は、一般的に、レーザダイオードの置かれた環境または劣化などにより増減するものである。そして、光伝送装置では、電流の値の変化を逐次モニタに出力し、保守者が、経験により決定する電流の閾値とレーザダイオードに流れる電流の値との比較により、レーザダイオードの交換時期または予備系への切り替え時期の予測を行っている。
【0004】
また、光伝送装置における子局は、レーザダイオードに流れる電流の変化を検出して、その電流の変化成分を光信号の一部として変調し、光伝送装置における親局に伝送することにより、親局では、レーザダイオードの劣化などを監視する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
さらに、機器診断システムでは、オフラインであっても機器が設置された現地で保守者が機器の点検をするために、収集された点検データと機器について余寿命を推定する関係式などから機器の余寿命を予測する技術が開示されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭58−75336号公報
【特許文献2】特開平7−55868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光伝送装置にはレーザダイオードの劣化による故障時期を自動的に、かつ、正確に予測することができないという問題がある。すなわち、保守者が、経験により決定する電流の閾値とレーザダイオードを流れる電流の値との比較により、レーザダイオードの故障時期を予測するため、光伝送装置は、レーザダイオードの故障時期を自動的に予測することができないとともに、故障時期の特定について正確さに欠ける。
【0008】
また、光伝送装置は、何らかの事情によりレーザダイオードの劣化が予想以上に早く進み、保守者が経験により予測した故障時期よりも早期に、レーザダイオードに故障が発生すると、正常な光伝送をすることができず、社会的にも影響が大きいという問題がある。
【0009】
また、上述した特許文献1では、光伝送装置における親局は、レーザダイオードに流れる電流の変化を監視することはできるが、レーザダイオードの故障時期を自動的に予測することはできない。
【0010】
さらに、上述した特許文献2では、機器診断システムは、機器の余寿命を予測することができるが、この余寿命の予測は現地で運転可否などについての一応の診断を下す目的でなされるものであり、正確な余寿命を推測することはできない。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光伝送装置に用いられるレーザダイオードの故障予測を自動的にかつ正確に行う故障予測装置、故障予測方法および故障予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題を解決し、目的を達成するために、故障予測装置は、レーザダイオードの故障を予測する故障予測装置であって、あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶手段と、前記記憶手段によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、故障予測装置は、測定された電流の値が直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している時刻以降のレーザダイオードの使用開始からの経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成することによって、レーザダイオードを流れる電流の値が、レーザダイオードが耐えうる電流の限界値を示す過電流限界値に至るまでの電流の予測を自動的に行うことができ、結果的にレーザダイオードの故障時期を予測することができる。
【0014】
また、上記の構成において、故障予測装置は、前記生成手段が、前記検出手段によって検出された電流の値と、レーザダイオードの部品特性に基づきあらかじめ定められた特性情報であって前記経過時間に対応したレーザダイオードの故障に至るまでの電流の値の変化を表す特性情報と、に基づき、予測曲線を生成することを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、故障予測装置は、あらかじめ定められた特性情報に基づき、経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成することによって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値が初めて検出された場合であっても、実測情報に依存しないで、正確にレーザダイオードの故障時期を予測することができる。
【0016】
また、上記の構成において、故障予測装置は、前記生成手段が、前記検出手段によって検出された電流の値および直前の測定時刻における電流の値の差分と、前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻までの前記経過時間と、を対にした差分情報を記憶する差分情報記憶手段と、前記検出手段によって検出された電流の値と、当該電流の値の測定時刻に対応する既に生成された予測曲線の電流の値と、の差分が所定値以上であるか否かを判定する曲線判定手段と、前記曲線判定手段によって差分が所定値以上であると判定されるとき、前記差分情報記憶手段によって記憶された差分情報の数が所定の数以上であるか否かを判定する情報数判定手段と、前記情報数判定手段によって差分情報の数が所定の数以上と判定されるとき、前記差分情報記憶手段の差分情報に基づき前記予測曲線を修正し、前記情報数判定手段によって差分情報の数が所定の数未満と判定されるとき、前記特性情報に基づき前記予測曲線を修正する予測曲線修正手段と、を含むことを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、故障予測装置は、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値が、既に生成された予測曲線上に存在しない場合は、予測曲線の修正を行うことによって、現状のレーザダイオードの置かれた環境および劣化により変化する電流の値に対応した予測曲線を生成することができ、レーザダイオードの故障時期を正確に予測することができる。また、故障予測装置は、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値と直前の測定時刻における電流の値との差分情報を記憶し、当該差分情報の数が所定の数以上であるときは、当該差分情報に基づき予測曲線の修正を行うことによって、実測値に基づき予測曲線を修正することができ、レーザダイオードの故障時期をさらに正確に予測することができる。
【0018】
また、上記の構成において、故障予測装置は、前記生成手段が、前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻までの経過時間が、当該電流の値に対応する前記特性情報に表された時間より短いとき、前記特性情報および前記経過時間に基づき予測曲線を生成することを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、故障予測装置は、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値に対応する経過時間を考慮して予測曲線を生成することによって、現状のレーザダイオードの置かれた環境および劣化により変化する電流の値に対応した予測曲線を生成することができ、予想外のレーザダイオードの早期劣化に対しても故障時期を正確に予測することができる。
【0020】
また、故障予測方法は、レーザダイオードの故障を予測する故障予測方法であって、あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力工程と、前記入力工程によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶工程と、前記記憶工程によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出工程と、前記検出工程によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出工程によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
かかる方法によれば、故障予測方法は、測定された電流の値が直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している時刻以降のレーザダイオードの使用開始からの経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成することによって、レーザダイオードを流れる電流の値が、レーザダイオードが耐えうる電流の限界値を示す過電流限界値に至るまでの電流の予測を自動的に行うことができ、結果的にレーザダイオードの故障時期を予測することができる。
【0022】
また、上記の方法において、故障予測方法は、前記生成工程が、前記検出工程によって検出された電流の値と、レーザダイオードの部品特性に基づきあらかじめ定められた特性情報であって前記経過時間に対応したレーザダイオードの故障に至るまでの電流の値の変化を表す特性情報と、に基づき、予測曲線を生成することを特徴とする。
【0023】
かかる方法によれば、故障予測方法は、あらかじめ定められた特性情報に基づき、経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成することによって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値が初めて検出された場合であっても、実測情報に依存しないで、正確にレーザダイオードの故障時期を予測することができる。
【0024】
また、上記の方法において、故障予測方法は、前記生成工程が、前記検出工程によって検出された電流の値および直前の測定時刻における電流の値の差分と、前記検出工程によって検出された電流の値の測定時刻までの経過時間と、を対にした差分情報を記憶する差分情報記憶工程と、前記検出工程によって検出された電流の値と、当該電流の値の測定時刻に対応する既に生成された予測曲線の電流の値と、の差分が所定値以上であるか否かを判定する曲線判定工程と、前記曲線判定工程によって差分が所定値以上であると判定されるとき、前記差分情報記憶工程によって記憶された差分情報の数が所定の数以上であるか否かを判定する情報数判定工程と、前記情報数判定工程によって差分情報の数が所定の数以上と判定されるとき、前記差分情報記憶工程の差分情報に基づき前記予測曲線を修正し、前記情報数判定工程によって差分情報の数が所定の数未満と判定されるとき、前記特性情報に基づき前記予測曲線を修正する予測曲線修正工程と、を含むことを特徴とする。
【0025】
かかる方法によれば、故障予測方法は、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値が、既に生成された予測曲線上に存在しない場合は、予測曲線の修正を行うことによって、現状のレーザダイオードの置かれた環境および劣化により変化する電流の値に対応した予測曲線を生成することができ、レーザダイオードの故障時期を正確に予測することができる。また、故障予測装置は、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値と直前の測定時刻における電流の値との差分情報を記憶し、当該差分情報の数が所定の数以上であるときは、当該差分情報に基づき予測曲線の修正を行うことによって、実測値に基づき予測曲線を修正することができ、レーザダイオードの故障時期をさらに正確に予測することができる。
【0026】
また、上記の方法において、故障予測方法は、前記生成工程が、前記検出工程によって検出された電流の値の測定時刻までの経過時間が、当該電流の値に対応する前記特性情報に表された時間より短いとき、前記特性情報および前記経過時間に基づき予測曲線を生成することを特徴とする。
【0027】
かかる方法によれば、故障予測方法は、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値に対応する経過時間を考慮して予測曲線を生成することによって、現状のレーザダイオードの置かれた環境および劣化により変化する電流の値に対応した予測曲線を生成することができ、予想外のレーザダイオードの早期劣化に対しても故障時期を正確に予測することができる。
【0028】
また、故障予測プログラムは、レーザダイオードの故障を予測する故障予測装置において用いられる故障予測プログラムであって、あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力手順と、前記入力手順によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶手順と、前記記憶手順によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出手順と、前記検出手順によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出手順によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0029】
かかるプログラムによれば、故障予測プログラムは、測定された電流の値が直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している時刻以降のレーザダイオードの使用開始からの経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成することによって、レーザダイオードを流れる電流の値が、レーザダイオードが耐えうる電流の限界値を示す過電流限界値に至るまでの電流の予測を自動的に行うことができ、結果的にレーザダイオードの故障時期を予測することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上により、故障予測装置、故障予測方法および故障予測プログラムは、光伝送装置に用いられるレーザダイオードの故障予測を自動的にかつ正確に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明にかかる故障予測装置、故障予測方法および故障予測プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
図1は、本実施例にかかる光伝送システムの全体構成の一例を示す図である。同図に示すように、光伝送システムは、光伝送装置1〜3を備えて構成される。そして、光伝送装置1は、n台の光送信器100−1〜nと接続され、光伝送装置2と光ファイバ200で接続されている。さらに、光伝送装置3は、光伝送装置2と光ファイバ300で接続され、n台の光スイッチ370−1〜nを介して光受信器380−1〜nと接続されている。
【0033】
光送信器100−1〜nは、光信号を送信する装置である。光送信器100−1〜nは、光信号の光レベルが一定の基準レベルになるように波長ごとに光信号を分離して多重化して、光信号を光伝送装置1に送信する。
【0034】
光スイッチ110は、光信号を変換することなく光信号の経路を切り替えるスイッチであり、光送信器100−1〜nが送信した光信号をそれぞれ光減衰器120−1〜nに送信する。
【0035】
光減衰器120−1〜nは、光スイッチ110が送信した光信号の光レベルをあらかじめ設定された大きさの光レベルに減衰し、光受信器130−1〜nに送信する。
【0036】
光受信器130−1〜nは、光減衰器120−1〜nから送信された光信号を受信し、光合波器140に送信する。
【0037】
光合波器140は、複数の光ケーブルによって光受信器130−1〜nから分離して送信された光信号を1本の光ケーブルに波長多重し、光スイッチ150に送信する。
【0038】
光スイッチ150は、光合波器140から送信された波長多重された光信号を光信号のまま光増幅器160に送信する。
【0039】
光増幅器160は、低レベルの光信号を光信号のまま増幅して光信号の光レベルを一定の基準レベルにする装置である。光増幅器160は、レーザダイオードに電流を流すことによってレーザ光を発振させて光信号を増幅させる。光増幅器160は、増幅した光信号を一定にするために、レーザダイオードに流れる電流を調整してレーザダイオードから発振するレーザ光の増幅レベルを増減することにより、光信号の光レベルを一定にする。
【0040】
ここで、レーザダイオードは、継続的な使用により徐々に劣化するため、光信号の光レベルを一定にするためには、流れる電流の値を上げる必要がある。そして、レーザダイオードに流れる電流の値が、レーザダイオードが耐えうる電流の限界値を示す過電流限界値に達すると、レーザダイオードは、故障し、一定の基準レベルの光信号を伝送することができなくなる。そこで、早期にレーザダイオードの故障時期を予測する故障予測部180が必要となる。
【0041】
光合波器170は、光増幅器160から送信された光レベルが一定の基準レベルに達した光信号を光ファイバ200で接続された光伝送装置2の光増幅器210に送信する。
【0042】
故障予測部180は、光増幅器160と接続され、光増幅器160に含まれるレーザダイオードの故障の予測を行う。故障予測部180は、あらかじめ定められた時間ごとに光増幅器160からレーザダイオードに流れる電流の値を測定時刻とともに入力し、入力されたある時点の測定時刻の電流の値が、直前の測定時刻の電流の値から所定値以上変化している時点を検出し、検出された電流の値とレーザダイオードに流れる電流の値の変化情報と、に基づき、検出された時点以降における経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する。ここで、変化情報とは、レーザダイオードの部品特性に基づきあらかじめ定められた特性情報または入力された測定時刻の電流の値を記憶する実測情報であり、故障予測部180は、実測情報の数が所定の数未満のとき、特性情報を用い、実測情報の数が所定の数以上のとき、実測情報を用いる。そして、故障予測部180は、生成された予測曲線を端末に出力する。この故障予測部180の詳細については、後述する。
【0043】
故障予測部180は、予測曲線を生成することによって、レーザダイオードの使用開始から過電流限界値となる時間までの電流の予測を自動的に行うことができ、結果的にレーザダイオードの故障時期を予測することができる。
【0044】
光伝送装置2の光増幅器210は、光伝送装置1の光合波器170から送信された光信号を受信し、光ファイバ200内で弱まった光レベルを一定の基準レベルにする。そして、光増幅器210は、光レベルが一定の基準レベルに達した光信号を光ファイバ300で接続された光伝送装置3の分散補償器310を介して光分波器320に送信する。
【0045】
故障予測部220は、光増幅器210に接続され、光増幅器210に含まれるレーザダイオードの故障の予測を行う。なお、故障予測部220は、故障予測部180と同様の構成を有するので、説明は省略する。
【0046】
分散補償器310は、光信号が光ファイバ300を通る間に発生する波形の歪みを修正し、光信号を正常な波形に戻す。
【0047】
光分波器320は、正常な波形に戻された光信号を光増幅器330に送信する。
【0048】
光増幅器330は、光分波器320から送信された光信号を受信し、光ファイバ300内で弱まった光レベルを一定の基準レベルにする。また、光増幅器330に接続された故障予測部360は、光増幅器330に含まれるレーザダイオードの故障の予測を行う。なお、故障予測部360は、故障予測部180と同様の構成を有するので、説明は省略する。
【0049】
光分波器340は、光増幅器330から送信された、1本の光ケーブルに波長多重され光レベルが一定の基準レベルに達した光信号を波長ごとに分離して、光スイッチ350に送信する。
【0050】
光スイッチ350は、光分波器340から分離して送信された光信号を光信号のまま外部のn個に分かれた光スイッチ370−1〜nに切り替えて送信する。
【0051】
光スイッチ370−1〜nは、光伝送装置3の光スイッチ350から送信された光信号を光信号のまま、それぞれ接続された光受信器380−1〜nに送信する。
【0052】
光受信器380−1〜nは、光スイッチ370−1〜nから送信された光信号を受信する装置である。光受信器380−1〜nは、それぞれ光信号の光レベルが目標のレベルとなった光信号を受信する。
【0053】
次に、本実施例にかかる故障予測部180により故障予測を行うレーザダイオードを含む光増幅器160の構成について図2を参照しながら説明する。図2は、本実施例にかかる光増幅器の構成を示す図である。同図に示すように、光増幅器160は、分岐カプラ400と、光アイソレータ410と、入力モニタ用フォトダイオード420と、制御回路430と、電源440と、ポンプ用レーザダイオード450と、WDMカプラ460と、光アイソレータ470と、分岐カプラ480と、出力モニタ用フォトダイオード490と、を備えて構成される。
【0054】
分岐カプラ400は、光信号である入力信号40を外部から入力して、波長多重された光信号を光アイソレータ410および入力モニタ用フォトダイオード420に一定の比率で分岐させる。
【0055】
光アイソレータ410は、分岐カプラ400によって送信された光信号をWDMカプラ460に送信し、光コネクタなどの部品に僅かに反射するなど何らかの事情により逆方向に戻る光信号を阻止する。
【0056】
入力モニタ用フォトダイオード420は、分岐カプラ400によって送信された光信号の光レベルを測定し、測定結果が基準値よりも大きいとき、制御回路430に電流を下げるように指示する。なお、測定結果が基準値よりも小さいときは、増幅された光信号の光レベルを測定する出力モニタ用フォトダイオード490が制御回路430に電流を上げるように指示するため、入力モニタ用フォトダイオード420は、制御回路430に指示をしない。
【0057】
制御回路430は、ポンプ用レーザダイオード450に流す電流を制御する回路である。制御回路430は、ポンプ用レーザダイオード450から発振するレーザ光によって光信号を増幅し、入力信号40の光レベルを一定にさせるために、電源440に対してポンプ用レーザダイオード450に流す電流の増減を指示する。
【0058】
具体的には、制御回路430は、入力モニタ用フォトダイオード420または後述する出力モニタ用フォトダイオード490から電流を下げるように指示されたとき、電源440に対して電流を下げるように指示する。これにより、ポンプ用レーザダイオード450に流れる電流が下がり、レーザ光の増幅レベルが下がることによって、制御回路430は、光信号である入力信号40の光レベルを一定にすることができる。一方、制御回路430は、後述する出力モニタ用フォトダイオード490から電流を上げるように指示されたとき、電源440に対して電流を上げるように指示する。これにより、ポンプ用レーザダイオード450に流れる電流が上がり、レーザ光の増幅レベルが上がることによって、制御回路430は、光信号である入力信号40の光レベルを一定にすることができる。
【0059】
また、制御回路430は、故障予測部180と接続され、あらかじめ定められた時間ごとに電源440からレーザダイオード450に供給する電流の値を測定して、故障予測部180に送信する。故障予測部180は、測定された電流の値を入力し、測定された電流の値と、ポンプ用レーザダイオード450に流れる電流の値の変化情報と、に基づいて、ポンプ用レーザダイオード450の使用開始からの経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する。
【0060】
電源440は、制御回路430から電流の増減の指示を受けて、ポンプ用レーザダイオード450に対して現在供給している電流より大きいまたは小さい電流を供給する。なお、制御回路430から指示がまったくないときは、現状維持のまま電流を供給する。
【0061】
ポンプ用レーザダイオード450は、電源440によって供給された電流によりレーザ光を発振させ、発振させたレーザ光をWDMカプラ460に送信する。これにより、ポンプ用レーザダイオード450は、光信号を増幅させる。
【0062】
WDMカプラ460は、光アイソレータ410から送信された光信号である入力信号40とポンプ用レーザダイオード450から送信されたレーザ光を1本の光ファイバに多重化して光アイソレータ470に送信する。
【0063】
光アイソレータ470は、WDMカプラ460によって送信された光信号を分岐カプラ480に送信し、何らかの事情により逆方向に戻る光信号を阻止する。
【0064】
分岐カプラ480は、光アイソレータ470から送信された光信号を、一定の比率で外部に対して出力信号41として分岐させ、出力モニタ用フォトダイオード490に対して残りの比率で分岐させる。
【0065】
出力モニタ用フォトダイオード490は、分岐カプラ480によって送信された光信号の光レベルを測定し、測定結果が基準値よりも大きいとき、制御回路430に電流を下げるように指示し、測定結果が基準値よりも小さいとき、制御回路430に電流を上げるように指示する。
【0066】
次に、本実施例にかかる故障予測部180の構成について図3を参照しながら説明する。図3は、故障予測部の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、故障予測部180は、実測情報入力部500と、実測情報格納部510と、実測情報記憶部520と、変化点検出部530と、差分情報記憶部540と、特性情報記憶部550と、予測曲線生成部560と、出力部570と、を備えて構成される。
【0067】
実測情報入力部500は、実測情報である制御回路430によってあらかじめ定められた時間ごとに測定されたポンプ用レーザダイオード450(以下、レーザダイオードと略する)に流れる電流の値を測定時刻とともに取り込む。なお、実測情報入力部500は、実測情報をリアルタイムに取り込んでも良いし、一括して取り込んでも良い。
【0068】
実測情報格納部510は、実測情報入力部500によって取り込まれた電流の値を測定時刻と対にして実測情報記憶部520に記憶する。このとき、実測情報格納部510は、レーザダイオードの置かれた場所の温度を、実測情報記憶部520に記憶する。実測情報格納部510は、この温度を、実測情報入力部500によって実測情報として取り込んでも良いし、別途取り込んでも良い。
【0069】
実測情報記憶部520は、制御回路430によってあらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を測定日時と対にして記憶する。ここで、実測情報記憶部520のデータ構造について図4を参照しながら説明する。同図に示すように、実測情報記憶部520は、固有情報と、実測情報と、を備えて構成される。
【0070】
固有情報は、使用するレーザダイオードの識別番号を示すレーザダイオード識別番号と、レーザダイオードの種類を示す部品種別と、レーザダイオードの稼動開始日を示す稼動開始日と、を備えて構成され、レーザダイオードが稼動開始された日に記憶される。また、実測情報は、実測情報入力部500によって取り込まれた制御回路430が測定した測定日時と、レーザダイオードの置かれた場所の温度と、実測情報入力部500によって取り込まれた制御回路430が測定した電流値と、レーザダイオードから発振されるレーザによって増幅された光信号の光レベルを示す出力光パワーと、を含む。なお、温度は、レーザダイオードに可能な限り近い距離にある温度計によって測定されることが好ましい。
【0071】
図3に戻って、変化点検出部530は、実測情報格納部510によって記憶された今回の測定時刻における電流の値であって、前回の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する。以下、この検出された電流の値の測定時刻の時点を変化点というものとする。なお、変化点検出部530は、実測情報入力部500が、測定された電流の値を一括して取り込むとき、任意の測定時刻の電流の値であって直前の測定時刻の電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出しても良い。
【0072】
差分情報記憶部540は、変化点検出部530によって検出された電流の値および直前の測定時刻における電流の値の差分情報を記憶する。ここで、差分情報記憶部540のデータ構造について図5を参照しながら説明する。同図に示すように、差分情報記憶部540は、固有情報と、差分情報と、を備えて構成される。
【0073】
固有情報は、レーザダイオードの種類を示す部品種別を含み、レーザダイオードが稼動開始される前にあらかじめ記憶される。また、差分情報は、変化点の測定日時と、変化点の測定日時のレーザダイオードが置かれた場所の温度と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間と、変化点における電流の値と直前の測定時刻における電流の値の差分である電流の差分値と、変化点における出力光パワーの値と直前の測定時刻における出力光パワーの値の差分である出力光パワーの差分値と、を含む。
【0074】
特性情報記憶部550は、変化点における電流の値と、レーザダイオードの部品特性に基づきあらかじめ定められた特性情報であって経過時間に対応したレーザダイオードの故障に至るまでの電流の値の変化を表す特性情報を記憶する。すなわち、特性情報記憶部550は、レーザダイオードの使用開始前にされたレーザダイオードの加速試験およびレーザダイオードの部品特性情報によって取得された平均的な故障進行状況を記憶し、レーザダイオードの部品種別ごと且つレーザダイオードが置かれた温度ごとに特性情報を記憶する。ここで、特性情報記憶部550のデータ構造について図6を参照しながら説明する。なお、特性情報記憶部550は、レーザダイオードが置かれた温度ごとに特性情報を記憶しているが、これに限定するものではない。
【0075】
同図に示すように、特性情報記憶部550は、固有情報と、特性情報と、を備えて構成される。固有情報は、レーザダイオードの種類を示す部品種別を含む。また、特性情報は、レーザダイオードが置かれた場所の温度、変化前の電流の値、最初の変化点の経過時間である変化開始時間、最初の変化点以降の変化点における経過時間と電流値、レーザダイオードが耐えうる電流の限界値を示す過電流限界値、および、レーザダイオードを流れる電流の値が過電流限界値となるまでの時間を示す過電流限界到達時間、を備えて構成される。
【0076】
図3に戻って、予測曲線生成部560は、差分情報格納部561と、初回判定部562と、予測曲線決定部563と、予測曲線修正判定部564と、差分情報数判定部565と、予測曲線修正部566と、変化点時期判定部567と、予測曲線シフト部568と、故障予測時期算出部569と、を備えて構成される。
【0077】
差分情報格納部561は、変化点検出部530によって検出された電流の値および直前の測定時刻における電流の値の差分と、検出された電流の値の測定時刻に対応するレーザダイオードの使用開始からの経過時間と、を対にした差分情報を差分情報記憶部540に記憶する。
【0078】
初回判定部562は、変化点の検出回数が初回であるか否かを判定する。初回判定部562は、変化点の検出回数が初回であるか否かを、図示しないメモリに設定されたフラグによって判定しても良い。すなわち、故障予測部180を立ち上げた初期状態のとき、故障予測部180は、初回判定のフラグに、初回を示すOFF(“0”)を記憶し、初回判定部562は、当該フラグを参照することにより、初回であるか否かを判定する。また、初回判定部562は、初回であるか否かの判定後、初回判定のフラグに、初回の判定完了を示すON(“1”)を記憶する。
【0079】
予測曲線決定部563は、初回判定部562によって変化点の検出回数が初回であると判定されたとき、変化点検出部530によって検出された電流の値と、特性情報記憶部550に記憶された特性情報と、に基づき、変化点以降における経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する。また、予測曲線決定部563は、後述する差分情報数判定部565によって差分情報の数が所定の数未満であると判定されるとき、変化点検出部530によって検出された電流の値と、特性情報記憶部550に記憶された特性情報と、に基づき、既に生成された予測曲線を修正する。
【0080】
具体的には、予測曲線決定部563は、実測情報格納部510によって実測情報記憶部520に記憶された温度に基づいて、特性情報記憶部550の特性情報を読み込む。そして、予測曲線決定部563は、読み込んだ特性情報のうち変化開始時間から過電流限界値となる過電流限界到達時間までの経過時間と電流の値との関係を示す曲線式を算出する。この曲線式は、たとえば、多項式近似法を用いて求めることができる。また、予測曲線決定部563は、過電流限界値および曲線式を図示せぬメモリに記憶する。
【0081】
これにより、予測曲線決定部563は、特性情報記憶部550の特性情報に基づき、経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成することによって、変化点の検出回数が初回であっても、実測情報に依存しないで正確にレーザダイオードの故障時期を予測することができる。また、予測曲線決定部563は、予測曲線の修正を行うことによって、現状のレーザダイオードの置かれた環境および劣化により変化する電流の値に対応した予測曲線を生成することができ、レーザダイオードの故障時期を正確に行うことができる。
【0082】
予測曲線修正判定部564は、初回判定部562によって変化点の検出回数が初回でないと判定されるとき、変化点検出部530によって検出された電流の値と、当該電流の値の測定時刻に対応する既に生成された曲線式の電流の値と、の差分が所定値以上であるか否かを判定する。
【0083】
差分情報数判定部565は、予測曲線修正判定部564によって差分が所定値以上であると判定されるとき、差分情報記憶部540によって記憶された差分情報の数が所定の数以上であるか否かを判定する。
【0084】
予測曲線修正部566は、差分情報数判定部565によって差分情報が所定の数以上であると判定されるとき、変化点検出部530によって検出された電流の値と、差分情報記憶部540の差分情報と、に基づき、曲線式を修正する。具体的には、予測曲線修正部566は、実測情報格納部510によって実測情報記憶部520に記憶された温度に基づいて、差分情報記憶部540から差分情報を読み込む。そして、予測曲線修正部566は、変化点検出部530によって検出された変化点における電流の値と、複数の差分情報のうち変化点に対応する電流の差分値と、から前回の経過時間における電流の値を求める。そして、予測曲線修正部566は、求めた電流の値と、差分情報のうち前回の経過時間に対応する電流の差分値と、から前前回の経過時間における電流の値を求め、複数の差分情報分、過去の変化点の電流の値の算出を繰り返す。予測曲線修正部566は、算出した過去の変化点の電流の値を用いて、初回の変化点以降における経過時間および電流の値との関係を示す曲線式を算出する。この曲線式は、たとえば、多項式近似法を用いて求めることができる。
【0085】
これにより、予測曲線修正部566は、予測曲線の修正を行うことによって、現状のレーザダイオードの置かれた環境および劣化により変化する電流の値に対応した予測曲線を生成することができ、レーザダイオードの故障時期を正確に予測することができる。また、予測曲線修正部566は、差分情報記憶部540の差分情報に基づき予測曲線の修正を行うことによって、実測値に基づき予測曲線を修正することができ、レーザダイオードの故障時期をさらに正確に予測することができる。
【0086】
変化点時期判定部567は、変化点検出部530によって検出された電流の値に対応するレーザダイオードの使用開始から測定時刻までの経過時間が、当該電流の値に対応する特性情報記憶部550の特性情報に表された時間より短いか否かを判定する。具体的には、変化点時期判定部567は、変化点検出部530によって検出された電流の値の測定時刻をレーザダイオードの使用開始からの経過時間に換算する。そして、変化点時期判定部567は、検出された電流の値に対応する特性情報記憶部550の特性情報に記憶された経過時間を求める。そして、変化点時期判定部567は、換算した経過時間が、特性情報により求めた経過時間より短いか否かを判定する。
【0087】
予測曲線シフト部568は、変化点時期判定部567によって換算された経過時間が特性情報により求められた経過時間より短いと判定されたとき、予測曲線決定部563によって生成された曲線式を変化点時期判定部567によって換算された経過時間に対応した曲線式に修正する。具体的には、予測曲線シフト部568は、特性情報記憶部550の特性情報に表された経過時間を、変化点時期判定部567によって換算された経過時間に移動して、変化開始時間から過電流限界値となる過電流限界到達時間までの経過時間と電流の値との関係を示す曲線式を修正する。
【0088】
これにより、予測曲線シフト部568は、測定された電流の値を考慮して予測曲線を修正することによって、現状のレーザダイオードの置かれた環境および劣化により変化する電流の値に対応した予測曲線を生成することができ、予想外のレーザダイオードの早期劣化に対しても故障時期を正確に予測することができる。
【0089】
故障予測時期算出部569は、予測曲線決定部563、予測曲線修正部566または予測曲線シフト部568によって生成された曲線式と、変化点検出部530によって検出された変化点における経過時間と、に基づいて、レーザダイオードの故障時期を算出する。具体的には、故障予測時期算出部569は、生成された曲線式から図示せぬメモリに記憶された過電流限界値に対応する経過時間を求め、その経過時間から変化点における経過時間を減算して、故障時期を求める。
【0090】
出力部570は、予測曲線決定部563、予測曲線修正部566または予測曲線シフト部568によって生成された曲線式および図示せぬメモリに記憶された過電流限界値に基づいて、変化点以降における経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を出力する。また、出力部570は、故障予測時期算出部569によって算出された故障時期を出力する。
【0091】
このようにして、故障予測部180は、変化点以降における経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成することによって、レーザダイオードの使用開始からレーザダイオードが電流の値に耐えうる電流の限界値を示す過電流限界値となる時間までの電流の予測を自動的に行うことができ、結果的に、レーザダイオードの故障時期を自動的に予測することができる。
【0092】
また、光伝送装置は、故障予測部180によってレーザダイオードの故障時期を知ることができ、レーザダイオードを含んだ光増幅器を2重化したとき、その故障時期以前の時刻を設定することにより自動的に予備系に切り替えることができ、高い信頼性を保持することができる。なお、保守者が、予測された故障時期以前に手動で予備系に切り替えることとしても良い。
【0093】
次に、本実施例にかかる故障予測部180の処理手順について、図7を参照して説明する。図7は、故障予測部180の処理手順を示すフローチャート図である。
【0094】
まず、制御回路430によって測定された電流測定値は、実測情報入力部500に入力される(S100)。このとき、実測情報入力部500は、電流測定値が測定された測定時刻をともに取り込む。
【0095】
次に、実測情報入力部500によって入力された電流測定値は、実測情報格納部510によって、実測情報記憶部520に記憶される(S101)。このとき、実測情報格納部510は、実測情報入力部500によってともに取り込まれた測定時刻およびレーザダイオードが置かれた場所の温度を実測情報記憶部520に記憶する。なお、実測情報格納部510は、この温度を別途取り込むものとしても良い。
【0096】
次に、実測情報格納部510によって記憶された電流測定値は、変化点検出部530によって、変化点であるか否か判定される(S102)。具体的には、変化点検出部530は、実測情報記憶部520の実測情報から前回の測定時刻における電流測定値を読み込む。そして、変化点検出部530は、実測情報格納部510によって記憶された今回の測定時刻における電流測定値が前回の測定時刻における電流測定値から所定値以上変化しているか否かを判定する。
【0097】
実測情報格納部510によって記憶された電流測定値が、変化点検出部530によって、変化点でないと判定されたとき(S102No)、処理は終了される。
【0098】
一方、実測情報格納部510によって記憶された電流測定値が、変化点検出部530によって、変化点であると判定されたとき(S102Yes)、変化点検出部530によって検出された電流測定値と前回の測定時刻における電流測定値との差分情報が、差分情報格納部561によって、差分情報記憶部540に記憶される(S103)。このとき、差分情報格納部561は、変化点検出部530によって検出された電流測定値の測定時刻に対応するレーザダイオードの使用開始からの経過時間を差分情報に含めて記憶する。
【0099】
次に、変化点検出部530によって変化点が検出されると、初回判定部562によって、変化点の検出回数が初回であるか否かが判定される(S104)。具体的には、初回判定部562は、変化点の検出回数が初回であるか否かを示す初回判定フラグを参照して、初回を示すOFF(“0”)であるときは、初回であると判定し、初回の判定完了を示すON(“1”)であるときは、初回でないと判定する。なお、初回判定部562は、初回であるか否かの判定後、初回判定フラグにON(“1”)を記憶する。
【0100】
変化点検出部530によって検出された変化点の検出回数が、初回判定部562によって初回であると判定されたとき(S104Yes)、変化点検出部530によって検出された電流測定値から、予測曲線決定部563によって、変化点以降における経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線が決定される(S105)。具体的には、予測曲線決定部563は、実測情報記憶部520に記憶された温度に基づいて、特性情報記憶部550から特性情報を読み込む。そして、予測曲線決定部563は、読み込んだ特性情報のうち変化開始時間から過電流限界値となる過電流限界到達時間までの経過時間と電流の値との関係を示す曲線式を算出する。このとき、予測曲線決定部563は、算出された曲線式および過電流限界値を図示せぬメモリに記憶する。
【0101】
次に、変化点検出部530によって検出された変化点における測定時刻は、変化点時期判定部567によって、所定時刻よりも早期であるか否かが判定される(S109)。具体的には、変化点時期判定部567は、変化点検出部530によって検出された変化点の測定時刻を経過時間に換算する。そして、変化点時期判定部567は、特性情報記憶部550の特性情報から、変化点における電流の値と一致する経過時間を求める。そして、変化点時期判定部567は、換算した経過時間が、特性情報により求めた経過時間より短いか否かを判定する。
【0102】
変化点時期判定部567によって、変化点における測定時刻が早期であると判定されたとき(S109Yes)、変化点における経過時間から、予測曲線シフト部568によって、予測曲線が修正される(S110)。具体的には、予測曲線シフト部568は、特性情報記憶部550の特性情報により求めた経過時間を、変化点における経過時間に移動して、曲線式を修正する。
【0103】
一方、変化点検出部530によって検出された変化点の検出回数が、初回判定部562によって初回でないと判定されたとき(S104No)、予測曲線修正判定部564によって、変化点における電流測定値が、予測曲線上にあるか否かが判定される(S106)。具体的には、予測曲線修正判定部564は、変化点における電流測定値と、当該電流測定値の測定時刻に対応する既に生成された予測曲線の曲線式の電流の値と、の差分が所定値以上であるか否かを判定する。
【0104】
変化点検出部530によって検出された変化点における電流測定値が、予測曲線修正判定部564によって、予測曲線上にあると判定されたとき(S106Yes)、処理は終了される。
【0105】
一方、変化点検出部530によって検出された変化点における電流測定値が、予測曲線修正判定部564によって、予測曲線上にないと判定されたとき(S106No)、差分情報数判定部565によって、差分情報記憶部540に、差分情報が所定の数分存在するか否かが判定される(S107)。
【0106】
差分情報数判定部565によって、差分情報が所定の数分存在すると判定されたとき(S107Yes)、変化点検出手段530によって検出された電流測定値から、予測曲線修正部566によって、予測曲線が修正される(S108)。具体的には、予測曲線修正部566は、差分情報記憶部540から差分情報を読み込む。そして、予測曲線修正部566は、変化点検出部530によって検出された電流測定値と、読み込まれた差分情報に属する経過時間および電流の差分値と、によって、予測曲線の曲線式を修正する。
【0107】
一方、差分情報数判定部565によって、差分情報が所定の数分存在しないと判定されたとき(S107No)、変化点検出部530によって検出された電流測定値から、予測曲線決定部563によって、再度、予測曲線が決定される(S105)。なお、予測曲線決定部563の詳細は、前述したとおりである。
【0108】
次に、変化点検出部530によって検出された変化点における測定時刻が、変化点時期判定部567によって、所定時刻よりも早期であるか否かが判定される(S109)。なお、変化点時期判定部567の詳細は、前述したとおりである。
【0109】
次に、変化点時期判定部567によって、変化点における測定時刻が早期であると判定されたとき(S109Yes)、変化点における経過時間から、予測曲線シフト部568によって、予測曲線が修正される(S110)。なお、予測曲線シフト部568の詳細は、前述したとおりである。
【0110】
次に、予測曲線の曲線式および変化点検出部530によって検出された変化点における経過時間から、故障予測時期算出部569によって、故障予測時期が算出される(S111)。具体的には、故障予測時期算出部569は、決定または修正された予測曲線の曲線式から図示せぬメモリに記憶された過電流限界値に対応する経過時間を求め、その経過時間から変化点における経過時間を減算する。
【0111】
次に、予測曲線の曲線式および故障予測時期算出部569によって算出された故障予測時期は、出力部570によって、図示せぬ端末に出力される(S112)。
【0112】
次に、本実施例にかかる故障予測部180が入力するレーザダイオードに流れる電流の値によって故障予測を行う原理を、図8を参照して説明する。図8は、本発明にかかる故障予測の原理を示す図である。同図に示すように、図8は、X軸は時間、Y軸は電流の値を示している。
【0113】
実測情報入力部500は、制御回路の増減の指示によってレーザダイオードに流れる補正された電流であるバイアス電流80の値を測定時刻とともに取り込む。取り込んだバイス電流80の値が直前の測定時刻における電流の値から所定値以内である時間が続く。このとき、光信号の光レベルを示す光Power81の出力は、ある一定の水準の出力を持続する。そして、変化点検出部530は、ある測定時刻におけるバイアス電流80の値であって、直前の測定時刻におけるバイアス電流80の値から所定値以上変化している電流の値に対応する時点を示す変化点82を検出する。そして、予測曲線決定部563または予測曲線修正部566は、この変化点82以降におけるレーザダイオードの使用開始からの時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する。
【0114】
予測曲線のバイアス電流80の値は、変化点82以降、時間の経過とともに増加する。一方、光信号の光レベルを示す光Power81の出力は、変化点82以降、時間の経過とともに減少する。そして、故障予測時期算出部569は、予測曲線からレーザダイオードが耐えうる電流の限界値を示す過電流限界値84に対応する時間を算出し、その時間を故障予測時刻85とする。このとき、レーザダイオードは、故障発生83する。そして、故障予測時期算出部569は、故障予測時刻85から変化点82の時間を減算し、その結果を変化点82からの故障予測時期を示す予測残存寿命86とする。
【0115】
次に、図9は、本実施例にかかる故障予測部180の初回の故障予測を示す図である。同図に示すように、図9は、X軸は時間、Y軸は電流の値を示している。
【0116】
具体的には、予測曲線決定部563は、変化点82のバイアス電流80の値と、レーザダイオードの部品特性に基づきあらかじめ定められた特性情報記憶部550と、に基づき、変化点82以降におけるレーザダイオードの使用開始からの時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する。光信号の光レベルを一定にするために必要なバイアス電流80の値は、一般的に、レーザダイオードの置かれた温度により増減する。そのため、たとえば、レーザダイオードが置かれた場所の温度が25℃のときよりも50℃のときの方が、より早く変化点82に到達する。
【0117】
次に、図10は、本実施例にかかる故障予測部180の2回目以降の故障予測を示す図である。同図に示すように、図10は、X軸は時間、Y軸は電流の値を示している。
【0118】
具体的には、まず、初回判定部562によって初回であると判定されたときに、予測曲線決定部563は、1回目の変化点a82以降の予測曲線を生成する。次に、初回判定部562によって2回目以降である(初回でない)と判定されたとき、且つ、差分情報数判定部565によって差分情報記憶部540に記憶された差分情報の数が所定の数未満のとき、特性情報記憶部550に基づいて、2回目の変化点b87以降における予測曲線を修正する。また、初回判定部562によって2回目以降である(初回でない)と判定されたとき、且つ、差分情報数判定部565によって差分情報記憶部540に記憶された差分情報の数が所定の数以上のとき、差分情報記憶部540に基づいて、2回目の変化点b87以降における予測曲線を修正する。
【0119】
次に、図11は、本実施例にかかる故障予測部180の使用例を示す図である。図11は、X軸は時間、Y軸は電流の値を示している。
【0120】
具体的には、故障予測部180は、変化点82以降の生成された予測曲線および故障予測時期算出部569によって算出された変化点82以降の故障予測時期を示す予測残存寿命90を、たとえば端末に出力する。このため、保守者は、出力された予測残存寿命90を知ることができるとともに、さらに、予測曲線からある時点の傾きを求めて、ある時点からの予測残存寿命91を求めることができる。
【0121】
また、図12は、本実施例にかかる故障予測部180の使用例であり、実測値による変化点がネットワーク設計時の変化点よりも早い場合を示す図である。同図に示すように、図12は、X軸は時間、Y軸は電流の値を示している。
【0122】
故障予測部180は、実測値による変化点92以降の生成された予測曲線および実測値による予測残存寿命93を、たとえば端末に出力する。このため、保守者は、生成された予測曲線における予測残存寿命93と、ネットワーク設計時にあらかじめ予測した変化点94以降の予測残存寿命95を照合させることにより、レーザダイオードがネットワーク設計時よりも早期に劣化していることを知ることができる。なお、故障予測部180は、ネットワーク設計時の変化点94以降の電流の値および時間をあらかじめ記憶して、実測値による変化点92がネットワーク設計時の変化点94より短いとき、たとえば、アラームを端末に出力しても良い。
【0123】
以上のように本実施例によれば、故障予測部180は、あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力し、入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶し、記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出し、検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、検出された電流の値の測定時刻以降における経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する。
【0124】
このため、故障予測部180は、レーザダイオードを流れる電流の値が、レーザダイオードが耐えうる電流の限界値を示す過電流限界値に至るまでの電流の予測を自動的に行うことができ、結果的にレーザダイオードの故障時期を予測することができる。
【0125】
また、故障予測部180は、検出された電流の値および直前の測定時刻における電流の値の差分と、検出された電流の値の測定時刻までの経過時間と、を対にした差分情報を記憶し、検出された電流の値と、当該電流の値の測定時刻に対応する既に生成された予測曲線の電流の値と、の差分が所定値以上であるか否かを判定し、その差分が所定値以上であると判定されるとき、差分情報記憶部540によって記憶された差分情報の数が所定の数以上であるか否かを判定し、差分情報の数が所定の数以上と判定されるとき、差分情報記憶部540の差分情報に基づき予測曲線を修正し、差分情報の数が所定の数未満と判定されるとき、特性情報記憶部550の特性情報に基づき予測曲線を修正する。
【0126】
このため、故障予測部180は、予測曲線の修正を行うことによって、現状のレーザダイオードの置かれた環境および劣化に対応した予測曲線を修正することができ、レーザダイオードの故障時期を正確に予測することができる。
【0127】
以上の実施例を含む実施形態に関し、以下の付記を開示する。
【0128】
(付記1)レーザダイオードの故障を予測する故障予測装置であって、
あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成手段と
を備えたことを特徴とする故障予測装置。
【0129】
(付記2)前記生成手段は、
前記検出手段によって検出された電流の値と、レーザダイオードの部品特性に基づきあらかじめ定められた特性情報であって前記経過時間に対応したレーザダイオードの故障に至るまでの電流の値の変化を表す特性情報と、に基づき、予測曲線を生成することを特徴とする付記1に記載の故障予測装置。
【0130】
(付記3)前記生成手段は、
前記検出手段によって検出された電流の値および直前の測定時刻における電流の値の差分と、前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻までの前記経過時間と、を対にした差分情報を記憶する差分情報記憶手段と、
前記検出手段によって検出された電流の値と、当該電流の値の測定時刻に対応する既に生成された予測曲線の電流の値と、の差分が所定値以上であるか否かを判定する曲線判定手段と、
前記曲線判定手段によって差分が所定値以上であると判定されるとき、前記差分情報記憶手段によって記憶された差分情報の数が所定の数以上であるか否かを判定する情報数判定手段と、
前記情報数判定手段によって差分情報の数が所定の数以上と判定されるとき、前記差分情報記憶手段の差分情報に基づき前記予測曲線を修正し、前記情報数判定手段によって差分情報の数が所定の数未満と判定されるとき、前記特性情報に基づき前記予測曲線を修正する予測曲線修正手段と、
を含むことを特徴とする付記2に記載の故障予測装置。
【0131】
(付記4)前記生成手段は、
前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻までの経過時間が、当該電流の値に対応する前記特性情報に表された時間より短いとき、前記特性情報および前記経過時間に基づき予測曲線を生成すること
を特徴とする付記2に記載の故障予測装置。
【0132】
(付記5)レーザダイオードの故障を予測する故障予測方法であって、
あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力工程と、
前記入力工程によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶工程と、
前記記憶工程によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出工程と、
前記検出工程によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出工程によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成工程と、
を含むことを特徴とする故障予測方法。
【0133】
(付記6)前記生成工程は、
前記検出工程によって検出された電流の値と、レーザダイオードの部品特性に基づきあらかじめ定められた特性情報であって前記経過時間に対応したレーザダイオードの故障に至るまでの電流の値の変化を表す特性情報と、に基づき、予測曲線を生成することを特徴とする付記5に記載の故障予測方法。
【0134】
(付記7)前記生成工程は、
前記検出工程によって検出された電流の値および直前の測定時刻における電流の値の差分と、前記検出工程によって検出された電流の値の測定時刻までの前記経過時間と、を対にした差分情報を記憶する差分情報記憶工程と、
前記検出工程によって検出された電流の値と、当該電流の値の測定時刻に対応する既に生成された予測曲線の電流の値と、の差分が所定値以上であるか否かを判定する曲線判定工程と、
前記曲線判定工程によって差分が所定値以上であると判定されるとき、前記差分情報記憶工程によって記憶された差分情報の数が所定の数以上であるか否かを判定する情報数判定工程と、
前記情報数判定工程によって差分情報の数が所定の数以上と判定されるとき、前記差分情報記憶工程の差分情報に基づき前記予測曲線を修正し、前記情報数判定工程によって差分情報の数が所定の数未満と判定されるとき、前記特性情報に基づき前記予測曲線を修正する予測曲線修正工程と、
を含むことを特徴とする付記6に記載の故障予測方法。
【0135】
(付記8)前記生成工程は、
前記検出工程によって検出された電流の値の測定時刻までの経過時間が、当該電流の値に対応する前記特性情報に表された時間より短いとき、前記特性情報および前記経過時間に基づき予測曲線を生成すること
を特徴とする付記6に記載の故障予測方法。
【0136】
(付記9)レーザダイオードの故障を予測する故障予測装置において用いられる故障予測プログラムであって、
あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力手順と、
前記入力手順によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶手順と、
前記記憶手順によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出手順と、
前記検出手順によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出手順によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする故障予測プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0137】
以上のように、本発明にかかる故障予測装置、故障予測方法および故障予測プログラムは、レーザダイオードの故障を予測するのに有用であり、特に、レーザダイオードを用いた光伝送装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本実施例にかかる光伝送システムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】本実施例にかかる光増幅器の構成を示す図である。
【図3】本実施例にかかる故障予測部の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施例にかかる実測情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図5】本実施例にかかる差分情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】本実施例にかかる特性情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図7】本実施例にかかる故障予測部の処理手順を示すフローチャート図である。
【図8】本実施例にかかる故障予測の原理を示す図である。
【図9】初回の故障予測を示す図である。
【図10】2回目以降の故障予測を示す図である。
【図11】本実施例にかかる故障予測部の使用例を示す図である。
【図12】実測値による変化点がネットワーク設計時の変化点よりも早い場合を示す図である。
【符号の説明】
【0139】
180 故障予測部
500 実測情報入力部
510 実測情報格納部
520 実測情報記憶部
530 変化点検出部
540 差分情報記憶部
550 特性情報記憶部
560 予測曲線生成部
561 差分情報格納部
562 初回判定部
563 予測曲線決定部
564 予測曲線修正判定部
565 差分情報数判定部
566 予測曲線修正部
567 変化点時期判定部
568 予測曲線シフト部
569 故障予測時期算出部
570 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザダイオードの故障を予測する故障予測装置であって、
あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成手段と
を備えたことを特徴とする故障予測装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記検出手段によって検出された電流の値と、レーザダイオードの部品特性に基づきあらかじめ定められた特性情報であって前記経過時間に対応したレーザダイオードの故障に至るまでの電流の値の変化を表す特性情報と、に基づき、予測曲線を生成することを特徴とする請求項1に記載の故障予測装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記検出手段によって検出された電流の値および直前の測定時刻における電流の値の差分と、前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻までの経過時間と、を対にした差分情報を記憶する差分情報記憶手段と、
前記検出手段によって検出された電流の値と、当該電流の値の測定時刻に対応する既に生成された予測曲線の電流の値と、の差分が所定値以上であるか否かを判定する曲線判定手段と、
前記曲線判定手段によって差分が所定値以上であると判定されるとき、前記差分情報記憶手段によって記憶された差分情報の数が所定の数以上であるか否かを判定する情報数判定手段と、
前記情報数判定手段によって差分情報の数が所定の数以上と判定されるとき、前記差分情報記憶手段の差分情報に基づき前記予測曲線を修正し、前記情報数判定手段によって差分情報の数が所定の数未満と判定されるとき、前記特性情報に基づき前記予測曲線を修正する予測曲線修正手段と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の故障予測装置。
【請求項4】
前記生成手段は、
前記検出手段によって検出された電流の値の測定時刻までの経過時間が、当該電流の値に対応する前記特性情報に表された時間より短いとき、前記特性情報および前記経過時間に基づき予測曲線を生成すること
を特徴とする請求項2に記載の故障予測装置。
【請求項5】
レーザダイオードの故障を予測する故障予測方法であって、
あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力工程と、
前記入力工程によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶工程と、
前記記憶工程によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出工程と、
前記検出工程によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出工程によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成工程と、
を含むことを特徴とする故障予測方法。
【請求項6】
レーザダイオードの故障を予測する故障予測装置において用いられる故障予測プログラムであって、
あらかじめ定められた時間ごとに測定されたレーザダイオードに流れる電流の値を入力する入力手順と、
前記入力手順によって入力された電流の値を測定時刻と対にして記憶する記憶手順と、
前記記憶手順によって記憶されたいずれか一つの測定時刻における電流の値であって、直前の測定時刻における電流の値から所定値以上変化している電流の値を検出する検出手順と、
前記検出手順によって検出された電流の値と、レーザダイオードの使用開始からの経過時間に対応した電流の値の変化情報と、に基づき、前記検出手順によって検出された電流の値の測定時刻以降における前記経過時間と電流の値との関係を示す予測曲線を生成する生成手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする故障予測プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−182471(P2009−182471A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18166(P2008−18166)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】