説明

散乱媒体の動的性質のトモグラフィ画像化システム及び方法

【課題】人体の組織などの媒体の吸収及び散乱特性を検出し3次元画像化するシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】本発明によるシステムは、光エネルギを少なくとも1つのソースから混乱した媒体の方向に導き、少なくとも1つの検出器(106)を用いて複数の位置におけるその混乱した媒体からの光エネルギを検出する。媒体(102)から生じる光エネルギは、元来はソースから発せられて検出器(106)に入るが、媒体(102)の中で散乱される。システムは、混乱した媒体の内部構造を表す画像を、媒体(102)から生じ検出された光エネルギに基づいて発生する。画像の発生には、時系列解析が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散乱媒体の動的性質のトモグラフィ画像化(tomographic imaging)のためのシステム及び方法に関し、これは、医療における画像化、特に、近赤外エネルギを用いて組織の光学的性質の時間変動を画像化するトモグラフィ画像化システム及び方法への格別の応用を有しうる。
【0002】
本発明は、国立ガン研究所によって与えられた契約番号CA―RO166184−02Aである米国政府からのサポートを用いてなされたものである。米国政府は本発明の一部の権利を有している。
【0003】
この出願は、35U.S.Cセクション120を根拠として、先の米国特許仮出願である1999年9月14日に出願され「散乱媒体における動的トモグラフィ」と題する第60/153,926号と1999年9月15日に出願され「散乱媒体における動的トモグラフィ」と称する第60/154,099号とに基づく。
【0004】
この出願は、発明者バーバー(R. Barbour)による「散乱媒体の動的要素の画像化方法及びシステム」と題する同日に出願された米国特許出願と関連している。この同時継続中の米国出願は、本出願において援用する。以下では、この同時継続中の出願を「バーバー4147PC2出願」と呼ぶことにする。
【0005】
また、この出願は、発明者バーバー(R. Barbour)及びペイ(Y. Pei)による「散乱媒体の向上された画像化方法及びシステム」と題する同日に出願された米国特許出願と関連している。この同時継続中の米国出願も、本出願において援用する。以下では、この同時継続中の出願を「バーバー4149PC1出願」と呼ぶ。
【0006】
更に、この出願は、発明者バーバー(R. Barbour)による「相対的検出器値を用いた散乱媒体の画像化」と題する同日に出願された米国特許出願と関連している。この同時継続中の米国出願も本出願において援用する。以下では、この同時継続中の出願を「バーバー4149PC2出願」と呼ぶ。
【背景技術】
【0007】
イオン化放射及び/又は毒性/放射性対照剤の使用に依拠する画像化方法とは異なり、近赤外(NIR)画像化方法は、患者に害を与える危険があるとは考えられていない。用いられる光学的強度の線量は、熱損傷のスレショルドよりもはるかに低く、従って、安全である。用いられる波長/強度/電力の範囲では、全体の照射時間に起因するNIR線量の増加と共に累積するような影響が患者の組織に及ぶことはない。
【0008】
光学的トモグラフィに関係する一般的は技術は、既に開発済みであり理解されているから、MRIやX線CTなどそれ以外の断面画像化技術と比較すると、要求される費用も適度なものに過ぎず、装置のサイズも比較的小型である。光学的トモグラフィは、小型で経済的であるが強力な半導体レーザ(レーザ・ダイオード)の開発と、これに応用するのに適しており高度に統合され経済的であっていつでも入手できるデータ処理用電子装置の利用可能性とに依存することが特に大きい。更に、強力であるが安価なコンピュータを利用できることによって、光学的トモグラフィはいっそう魅力的なものとなる。というのは、イメージの再構築とデータ解析との両方に、著しい計算量が必要となりうるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光学的トモグラフィは、他の画像化方法からは得られない解剖学及び生理学への洞察を与えてくれる。その理由は、生理学的なプロセスの基礎にある生化学的な活動は、ほぼ必ず、組織の光学的性質に変化をもたらすからである。例えば、血液の内容と酸素添加とが関心対象であるとする。この場合には、血液は、NIR領域において著しい吸収スペクトルと管の動的な変化を示し血液の酸素添加は生理学/病理学において大きな役割を演じる。
【0010】
しかし、大きな組織構造における動的な特徴の断面又は容積測定の画像化は、現在の光学的画像化方法では用いることができない。現在では、画像化及び非画像化の様式を含む様々な方法を脈管構造の特定の特徴を評価するために用いることができるが、これらの方法はどれも、ヘモグロビン状態の尺度に基づいて尺度となる動的性質を評価していない。例えば、比較的大きな脈管(直径が>1mm)を含む管構造の詳細な画像は、x線エンハンス型のコントラスト画像化又はMR血管造影法を用いて得ることができる。しかし、そのような方法ヘモグロビン状態を感知することはできず、血流の変化の尺度を間接的に提供するだけである。後者の方法は、比較的大きな管の場合にはドップラ超音波を用い、表面に近いマイクロベッセルの場合にはレーザ・ドップラ測定を用いて達成される。ただし、これらは、共に、組織の血液容積又は血液酸素化の変動を感知することはできない。また、超音波測定は、骨を貫通する能力によって制限を受ける。これ以外の方法も利用でき(例えば、パルス体積記録、磁気共鳴(MR)BOLD法、ラジオシンチグラフィ法など)、それぞれ、示されている所望の尺度の一部だけを直接又は間接にサンプリングすることができる。
【0011】
従って、大きな組織構造における動的性質の断面に関する又は容積測定的な画像化を行うことができるデータ収集システム及び方法に対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、散乱媒体における動的性質の画像を発生するシステム及び方法を提供する。このシステムは、NIR放射源などのエネルギ源と、受け取ったエネルギを測定する検出器システムとを含む。ある実施例では、この検出器システムは、フォトダイオードなどの光検出器を少なくとも1つと、信号ゲインを迅速に調節する手段と、組織の光学的性質における動的変動を調査するために測定された応答を保持する装置とを有する。実現例によっては、検出器システムは、更に、複数のエネルギ源が動じに用いられる時には光検出器からの複数の信号分離する手段を少なくとも1つ含むことがある。このような複数のエネルギ源の同時使用により、異なる波長及び/又は異なるソース位置を同時に用いることが可能になる。
【0013】
光学的トモグラフィ画像化を用いる実現例では、試料が、少なくとも1つのレーザ・ダイオードから放出されるNIR光に露出される。更に、少なくとも1つのソース位置及び/又は媒体に対する少なくとも1つの検出器位置を位置決めする手段を含む画像化ヘッドを用いることもある。エネルギ検出器は、受け取ったエネルギを伝送する光ファイバなど、エネルギ収集要素を用いることもある。エネルギ検出器は、試料から生じるエネルギ又は光に応答する。本発明によると、検出器からの信号は、ゲインが選択的に増加されることにより、動的な測定範囲を拡大することができる。本発明による方法は、更に、複数のエネルギ源によって発生された複数の信号を、少なくとも1つのロックイン増幅器を介して分離するステップを含みうる。更に、本発明による方法によると、複数の検出器ファイバが用いられている時には、サンプル・ホールド回路を用いることで、NIRによって生じた信号の同時的な測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるシステムのある実施例のブロック図である。
【図2】図1のシステムのある実現例を図解するブロック図である。
【図3】本発明において有用なサーボ・モータ装置の全体図であり、単一のエネルギ源を備えた多数のファイバ束を図解している。
【図4】人間の胸部など人体組織を検査するための配置を示す概略的な図解である。
【図5】本発明のある実施例において有用な平坦(プレーナ)な画像化ヘッドの写真である。
【図6】図5に示された画像化ヘッド上のソース検出器構成のある実施例である。
【図7】本発明を実現する際に有用な球形の画像化ヘッドの図解である。
【図8】本発明を実現する際に有用な検出器チャネルのブロック図である。
【図9】図1のシステムにおいて用いられるタイミング方式のある実現例のグラフィカルな表現である。
【図10】本発明のマルチチャネル式の実施例におけるいくつかのイベントのシーケンスを図解している図である。
【図11】本発明の好適実施例において用いられる複数の検出器チャネルの物理的構成を示す概略的な図解である。
【図12】図11において用いられている1つの検出器チャネルの回路図である。
【図13】図12において用いられているロックイン・モジュールのある実現例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明をその様々な特徴及び効果と共によりよく理解するため、以下で行う好適実施例の詳細な説明では、添付の図面を参照すべきである。
【0016】
本発明の目的は、散乱媒体の性質における動的要素(dynamics)を抽出することができるシステム及び方法を提供することである。本発明によるシステム及び方法の使用は、限定を意味するものではないが、医療における画像化の応用を含む。この出願において説明される方法は、光学的なトモグラフィを用いたヘモグロビン状態及び組織の動的性質のトモグラフィ画像化に注目しており、画像化ソースはNIR領域における複数の波長を発生している。しかし、本発明は、任意のエネルギ源から伝搬するエネルギを散乱させることができる任意の媒体に応用できることを理解すべきである。ここでいうエネルギ源は、媒体の外に存在する外部ソースや媒体の中に存在する内部ソースを含むものとする。例えば、これ以外の媒体としては、限定を意図するものではないが、ほ乳類、植物、海洋生物又は無脊椎動物や、海洋又は水性の物体、霧状又は気体状の大気、地球層、工業的物質、人工的に又は自然に生じる化学物質などからの媒体が含まれる。エネルギ源には、限定を意図するものではないが、LEDや高圧白熱灯などの非レーザ光源、レーザ・ダイオードなどのレーザ源、チタン・サファイア・レーザ、ルビー・レーザ、ダイ・レーザなどのソリッドステート・レーザ、それ以外の電磁気的なソース、音響エネルギ、光エネルギによって生じる音響エネルギ、光エネルギ、そして以上の組合せなどが含まれる。
【0017】
同様に、エネルギ源が生じる信号を検出する手段は、以下で更に説明する好適実施例の1つで論じられるフォトダイオードによる実現例に限定されない。本発明と共に、媒体の動的性質のトモグラフィ画像化を行う目的で、それ以外の検出器を用いることができる。そのような検出器には、例えば、限定を意図するものではないが、フォトダイオード、PINダイオード(PIN)、アバランシェ・フォトダイオード(APD)、電荷結合素子(CCD)、電荷誘導素子(CID)、光電増倍管(PMT)、マルチチャネル・プレート(MCP)、音響トランスデューサなどが含まれる。
【0018】
本発明は、「ランダム媒体の画像化方法」と題する米国特許第5,137,355号(355特許)と、「NIR臨床用光走査システム」と題する米国特許第6,081,322号(322特許)とにおける先行する開示に基づいている。これら355及び322特許の開示は、この出願において援用する。これらの米国特許には、光学的なトモグラフィへのアプローチと、そのようなトモグラフィを達成するのに必要な装置とが開示されている。本発明における修正により、データ取得の高速化と、新たな画像化ヘッドのデザインとが提供される。高速なデータ取得によって、動的性質の正確なサンプリングが可能になる。画像化ヘッドの修正により、サイズが異なるターゲット(例えば、胸部)への対応、動きを伴う人工物に対するターゲットの安定化、ターゲットの単純で明確な幾何学的配置への一致、ターゲット上での又はターゲットの周辺でのソース及び検出器の位置決めに関する知識などが可能になる。ここで列挙した画像化ヘッドのための特徴は、すべてが、正確な画像の再構築にとって重要である。
【0019】
更に、本発明は、信号強度への測定レンジを迅速に適応させることにより全体的なダイナミック・レンジを向上させる検出器回路を用いる。ここでの説明における「ダイナミック・レンジ」とは、検出可能な最高の信号と最低の信号との間の比率を意味する。これによって、データ収集の間に著しく変動する可能性があるソース・検出器間の距離における使用に適した回路が得られ、従って、広い視野角にわたる高速なデータ取得が可能になる。例えば、我々は、高密度の散乱媒体の動的性質は単一のソースと単一の検出器とを相互の距離が固定された状態で用いて測定を行うことが得られることを知っている。実現例に応じて、そのような構成は、比較的ダイナミック・レンジが小さい検出器を用いて得られる。そのような測定が有用でありうることは知っているのであるが、本発明によれば、広範囲の距離(例えば、5cm程度又はそれよりも大きな距離)にわたるソース・検出器対を用いて高密度の散乱媒体の光学的性質における動的要素を測定することが可能になる。このような完全なトモグラフィ測定によって、画像の再構築における精度を改善することが可能になる。
【0020】
実現例に応じるが、ソース・検出器間の距離が限定されており従って高速でのゲイン調節が要求されないような実施例も、本発明の範囲に属する。例えば、ある実施例では、本発明によるシステムは、ソースから固定距離にある検出器ファイバを測定に用いるときに(例えば、検出器とソースとが対向している)、ダイナミック・レンジが小さな検出器チャネルを用いて動作させることもできる。
【0021】
この出願に開示されている本発明によるデータ収集方式は、更なる画像再構築を全く伴うことなく散乱媒体の動的性質に関する有用な情報を提供する生のデータ・セットの時系列を提供する。例えば、生のデータをカラー・マッピング・フォーマットで表示することにより、1回の視覚的な確認で抽出することができる。それに加え、限定を意味しないが、線形及び非線形の時系列解析又はパターン認識方法など様々なタイプの解析アルゴリズムを、一連の生のデータに適用することができる。これらの解析方法を用いることの効果は、信号における動的な性質を明らかにする能力が向上する点である。
【0022】
他の実現例では、イメージ再構築方法を生のデータの組に適用することにより、散乱媒体の断面図の時系列が得られる。これらの実現例では、限定を意味しないが、線形及び非線形の時系列解析、フィルタリング又はパターン認識方法など様々なタイプの解析方法を適用することが可能である。このような解析を用いる効果としては、断面図などの動的性質の抽出が改善されることにより、診断における感知性及び特定性が向上することがある。これらの方法については、355特許及び322特許に詳細な説明がある。これらの米国特許は、この出願において援用する。
【0023】
本発明は、リアルタイムでの空間時間的な動的要素の測定を明らかにする。実現例に応じて、限定を意図するものではないが、人体の脈管構造など散乱媒体の動的な光学的性質の画像化が得られる。この技術は、損傷を与えることのない近赤外の光源を用いた安価でコンパクトな装置を用い、広範囲に及ぶ解剖学的な部位の調査を可能にするいくつかの異なる画像化ヘッドを特徴としている。
【0024】
他の実現例では、本発明の原理を、吸収性及び蛍光性のエージェントなど対照剤と共に用いることもできる。別の変形例では、本発明は、温度変化に起因する光学的性質の変化の断面測定を可能にする。この変形例の効果は、限定を意図しないが、冷凍手術を用いる場合に見ることができる。
【0025】
本発明の方法に関してここで論じられる及び修正された構成を用いたシステムは、様々な組織構造(例えば、四肢、胸部、頭部、首など)における脈管の反応に付随するリアルタイムのイベントの断面図を生じさせることを可能にする。このような測定によれば、様々な生理学的操作、薬剤又は病理学的条件によって影響を受けることがある局所的な血流力学的な状態の十分な解析が可能となる。測定可能な病理学的なパラメータとしては、組織血液容量、血液酸素化、竜率の評価、組織の酸素消費などの局所的かつ動的な変動が含まれる。特に注意すべきことは、同じ媒体上の複数位置での測定ができる点である。異なる位置の間でのデータ相関も、本発明による方法を用いれば可能である。
【0026】
また、本発明は、線形及び非線形両方の事件列解析を提供し、管のツリー構造の様々な構成要素の位置特定的な機能を明らかにする。従って、主な静脈、動脈及び微細な循環に関連する構造の応答特性を、ある範囲の刺激への応答として評価することができる。
【0027】
高速でのデータ収集は特に有用なのであるが、その理由は、管の応答の空間的動的性質に特定の影響を与える疾病状態が多く存在するからである。従って、はるかに大きな対照機構を設定して、はるかに大きな診断上の感度を得ることができるということがわかる。これは、データを時間領域において収集し評価することによって達成される。これらの結果は、静的な画像化の検討からでは得られない。
【0028】
動的性質の重要性は、管システムの広く知られている生理学的反応の理解から直接的に導かれる。周辺部の脈管構造の制御は、中立的で体液に関する代謝的な要因によって仲介される。中立的な制御とは、主に、自律的活動を通じたものである。これらの性質の詳細は、広く知られているものであるから、いくつかの医用生理学の教科書の任意のものにおいて見つけることができる。自律的な制御の損失は、様々な疾病プロセスにおいて生じるが、とりわけ、糖尿病において生じる。常に、この制御の損失は、局所的な灌流状態に悪影響を与える。本発明は、管充足性(vascular sufficiency)として知られているコンセプトを直接的に評価する能力を有する。この用語は、他にも多くの役割があるのだが、脈管構造(vasculature)は組織にとっての必須栄養素、特に酸素を配送し、代謝による老廃物を除去することに関して唯一責任を負っている。供給と需要とが不均衡になると、相対的な低酸素状態に至り、これは、多くの場合、臨床的に深刻な意味を有する。
【0029】
図1は、本発明のある実施例を図解している。示されているのは、媒体102を備えたシステム100である。媒体は、用いられているソースのエネルギのその中での伝搬が散乱によって強く影響されるものであれば、どのような媒体でもよい。
【0030】
ソース・モジュール101から、エネルギは媒体102に向けられ、媒体から出てくるエネルギは検出器106を用いて測定される。検出器については、後述する。既に論じたように、本発明の原理と共に用いることができるソース、媒体及び検出器には、様々なものがある。以下で論じるのは、本発明がいかにして実現されるのかを述べるためのそれら構成要素の例である。これらの例は、いかなる意味でも、本発明が以下で述べる実現例に限定されることを意味するものではないし、そのような限定を意図するものでもない。この出願に記載されている構成要素の変形例もまた、本発明の原理を利用するものであり得る。
【0031】
ある実現例では、媒体の光学的性質における動的要素(dynamics)の測定は、光源エネルギを用い、媒体への吸収プロセスによって生じる音響エネルギの高速な検出を実行することによって、達成される。これは、パルス及び調和両方の変調光源を用いて実現することができる。後者の場合には、ロックイン検出が可能となる。検出器は、これに限定されるのではないが、PZT結晶やPVDF薄片などの圧電トランスデューサであり得る。
【0032】
別の変形例では、タイミング及び制御装置104を用いて、ソースと検出器との動作を調整する。この調整については、後述する。装置116は、検出器106によって測定されるデータの取得及び記憶を提供する。実現例に応じて、システムのコンポーネントの制御及びタイミングは、コンピュータによって提供される。ここで、コンピュータは、中央処理装置(CPU)、揮発性及び不揮発性メモリ、データ入力及び出力ポート、固定式又は着脱自在な媒体上のデータ及びプログラム・コード記憶装置などを含む。それぞれの主たるコンポーネントについては、以下でより詳細に述べる。
【0033】
図2は、本発明の好適実施例の別の実現例を図解している。示されているのは、少なくとも1つの波長測定を組み入れたシステム及び方法である。実現例に応じて、この測定は、複数のダイオード・レーザからの光を円形の幾何学的配置に構成された伝送用ファイバの中に交互に結合することによって達成される。
【0034】
更に図2を参照すると、システム200は、エネルギ源を含むが、このエネルギ源は、この実現例では、1又は複数のレーザ101を含む。基準検出器202は、レーザ101の実際の出力パワーをモニタするのに用いられ、データ取得ユニット116に結合される。このレーザは、NIR領域におけるレーザ・ダイオードでよい。レーザは、変調手段203によって輝度変調され、日光などの背景エネルギ源の分離手段を提供する。変調信号は、また、位相シフタ204にも送られる。位相シフタの目的については、後述する。レーザ101によって発生される光エネルギは、その詳細は後述する光デマルチプレクス装置300の中に導かれる。回転ミラー305を用いて、光は、光エネルギを媒体102に配送するのに用いられる複数の光源ファイバ束306の中の1つに導かれる。よい光学的接触と測定の忠実度とを提供するために、後述する可能性のある複数の画像化ヘッド206の中の1つが用いられる。モータ・コントローラ201がデマルチプレクス装置300に結合され、回転ミラー305の動きを制御する。また、モータ・コントローラ201もタイミング・コントロール104と連絡しており、ミラー305の動きのタイミングを制御する。
【0035】
測定ヘッド206は2分岐(bifurcated)光ファイバ束の共通端部で構成され、2分岐光ファイバ束の分岐側の端部はソース・ファイバ束306と検出器ファイバ束207とによって形成される。ソース・ファイバ束306と検出器ファイバ束207とは、共通端部ではブルズアイ(bulls eye)状の幾何学的配置を形成する。他の実施例では、ソース及び検出器束は、共通端部において異なる構成を有している(例えば、束フィラメントの逆幾何学的配列又は任意の構成)。2分岐光ファイバ束の共通端部は媒体と接触するのが好ましいが、この実施例は媒体との接触に限定されない。例えば、共通端部は、単に媒体の周囲に配置されていることもあり得る。信号は、検出器ファイバ束207から、後述する少なくとも1つの検出器チャネル205を備えた検出器ユニット106に伝送される。検出器チャネル205は、データ取得ユニット116とタイミング制御ユニット104とに結合されている。位相シフタ204は、実現例に応じて用いられる場合も用いられない場合もあるが、束207から受け取られた信号をフィルタリングするための基準信号を提供するために検出器ユニット106に結合される。
【0036】
この実現例として、散乱媒体の動的性質の測定装置が図3に図解されている。この測定は、入射源に45度の角度で設置された回転可能な前面ミラー306から、この回転している光学装置を中心とする円形の幾何学的配置に構成されているソース・ファイバ306の中に光302をシーケンシャルに反射させることによって、実行される。この回転はミラー308によって行われ、このミラー308にはシャフトが取り付けられている。この実施例は、伝送用ファイバの間での高速スイッチングが可能となるという効果を有する。特に、この実施例によると、反射させるミラーと伝送用のファイバとの間にビームを形成する光学装置を導くことによってファイバに結合されるのに使用できる照射エリアを精密に調節することが可能になるという効果が得られる。これは便利である。というのは、そのために、反射を行う光学装置の回転速度(すなわち、スイッチング速度)と、それぞれの伝送用ファイバ束に許容される照射時間とを独立に調節することが可能になるからである。したがって、ある範囲の照射周波数を用いながら、同時に、それぞれのソース位置における照射時間を細かく調節することで、適切な信号対雑音比を有するデータを収集できることになる。
【0037】
レーザ101からの光は、これに限定はされないが光ファイバと自由伝搬ビームとを含む伝送用光学装置303を用いることにより、ユニット300まで伝送される。別のビーム形成光学装置301を用いて、伝送用ファイバの中への結合効率を最適化することもできる。ユニット303及び301は、ミラー309に対するその位置に関して、機械的な精密な調節が行える。
【0038】
モータ308は、運動制御装置201の制御によって動作され、正確な位置決め及びタイミングが可能となる。これにより、このモータを、所望の位置で停止するような始動及び停止態様などの複雑な運動プロトコルの下で動作させることができ、それによって、伝送用ファイバ束への光の安定した結合が可能となる。このソース位置での測定が実行されると、モータは、次の伝送用ファイバまで移動する。運動制御装置は、タイミング制御装置104と双方向に通信することで、この手順の正確なタイミングが可能となる。運動制御装置により、ミラーの相対的及び/又は絶対的位置を指定し、ファイバ束の物理的位置に対してミラーを正確に位置合わせすることが可能になる。ミラー306の周囲には円筒形の囲い(シュラウド)309が設けられ、迷光を遮断しクロストークを防止するようになっている。この囲いにはアパーチャ310が設けられ、光ビーム302がこれを通過し伝送用ファイバに進む。これ以外の方式を用いて(例えば、光ファイバ・スイッチング素子を用いるなど)光を伝送用ファイバの中にシーケンシャルに結合させることも考え得ることができ、そのような考えもこの出願に組み込まれている。
【0039】
同様の実施例では、ソース位置の高速でのスイッチングが、電子的手段によって相互に独立にオン・オフに切り換えることができる伝送用ファイバ306の1つにそれぞれが結合されている多数の光源を用いることによって、達成される。
【0040】
この装置は、ビーム・ステアリング光学装置を備えた図3のサーボ・モータ制御システム308を用いて、ソース光学装置から生じる光エネルギを直径が1mmである光ファイバ束306にシーケンシャルに導く。光ファイバ束306は、多重化入力カプラ300において円形のアレイとして取り付けられている。伝送用光ファイバ306は、典型的には長さが2ないし3メートルであり、命綱の形態で構成され画像化ヘッド206で終端している。
【0041】
実現例によっては、本発明による装置は、時系列画像化のために要求され、幾何学的に適応的な測定ヘッドすなわち画像化ヘッドを用いるための値を用いる。本発明の画像化ヘッドは、これに限定されることはないが、以下に列挙するものを含むような特徴を提供する。すなわち、例えば、1)サイズの異なるターゲット(例えば、胸部)に対応する、2)移動している人工物との関係でターゲットを安定化する、3)ターゲットを明確な幾何学的配置に一致させる、4)ソース及び検出器のための位置に関する正確な知識を提供する、という特徴である。安定性と既知の幾何学的配置とは、共に、効率的な数値解析的方法を用いるのに有益である。
【0042】
本発明の原理を利用することができるデータ収集のための画像化ヘッドには、いくつかの異なる実施例が存在する。例えば、アイリスの画像化ヘッドを用いることは、上述したこの出願において援用される322特許及び355特許に既に開示されているが、本発明の原理と共にも用いることができる。
【0043】
以下で、2つの例示的な画像化ヘッドについて説明を行うが、その説明では、本発明が任意のタイプの画像化ヘッドを用いる又は用いないことが了解されている。しかし、画像化ヘッドが用いられる場合には、その画像化ヘッドは既に述べた特徴を与えることになる。
【0044】
図4に図解されているように、アイリス・ユニットを、容積画像化の検討を可能にするアイリス402、404、406の並列アレイとして用いることができる。図4には、画像化ヘッド408を用い、これをどのように構成することによって媒体410を調べることができるのかが図解されている。この例では、媒体410は人間の胸部である。既に述べたように、本発明において用いられる媒体は、エネルギの散乱を許容する任意の媒体でありうる。
【0045】
図5に図解された画像化ヘッドのある実現例では、可撓性パッドの構成である。この平坦な画像化ユニットは、変形可能なアレイとして機能し、伝送の測定を許容するのは大きすぎるような身体構造を調べるのに適している(例えば、頭部と首、胴体など)。このタイプの画像化ヘッドを用いて、光学的な測定が背面反射モードで行われる。光多重化入力カプラ112(他の箇所で説明される)から生じている光ファイバ束502は、変形可能アレイ又は可撓性パッド500において終端する。パッドは、黒いゴム製などの任意の可撓性を有する材料で作られている。光ファイバ束は2つに分岐し、光の送信及び受信の両方を行う複数の端部を有することもある。複数のパッドが用いられることも用いられないこともあるが、本発明の目的のためには、又は、媒体の他の部分又は同じ媒体に測定のために適用するためには、追加的なパッドは不要である。例えば、胸部の検査の場合には、両方のパッドを同じ側の胸に適用し、1つのパッドをその胸の上側にもう1つのパッドをその胸の下側に配置することができる。更に、1つのパッドを胸の周囲に合わせて変形させることにより、そのパッドを右の胸に適用することもできる。同様にして、他方のパッドを左の胸に適用する。この構成によれば、両方の胸を同時に検査することができる。更に、情報を、ある母集団の中の2つの異なる構成員から収集されたデータの間で相関させることもできる。この場合も、本発明は、他の媒体にも適用することができ、人体の一部に限定されることはない。したがって、異なる媒体の間の相関関係をこの技術を用いて収集することも可能である。
【0046】
図5に更に示されているように、追加的なパッドは、上述したパッドと類似する機能を有し、上述したパッドの場合と類似する光ファイバ束503、可撓性パッド505及び2分岐した光ファイバ束の端部501を含む。アレイ自体は、画像化を行う曲線を含む媒体(例えば、胴体の一部)の表面と一致するように変形させることができる。変形可能なアレイ型の光エネルギ源及び受信機のデザインには、実現例に応じて、図6に図解されているような7x9アレイ(束の全体で63)の光ファイバ束を含む。ある変形例では、それぞれの束は、典型的には、直径が3mmである。実現例に応じて、63のファイバ束の中の18本を、光エネルギ源すなわちエネルギ送信機と受信との両方として機能し光を指定されたターゲットまでシーケンシャルに運び生じる光エネルギを受け取るアレイとして構成することができる。この実現例では、残りの45本のファイバ束は、生じる光エネルギの受信機としてのみ機能する。
【0047】
照射アレイの幾何学的形状は任意ではない。例示的な図解として図6に示されているデザインは、他の実現例と同じように、データ解析に必要となるそれ以降の数値的な作業を最小化し、同時に、このアレイによってカバーされるソース密度が最大化されるように構成されている。ファイバ束は、図6に図解されているような交互のパターンで構成されており、ここでは、「X」及び「0」という記号を用いて示されている。ある実現例では、00X000X00、X000X000Xというパターンを画像化ヘッド上で用いることができる。「X」はソース/受信機ファイバ束であり、「0」は受信機のみ又は受信機又は検出器であるファイバ束である。基本的には、このデザインにより、18の点のソース測定からの二次元(2D)画像の再生問題を独立に解くことが可能になる。結果として、ターゲットの表面と垂直方向の2D画像のアレイを重畳させることから、複合的な3次元(3D)画像を計算することができる。この幾何学的形状の別の効果としては、検査対象の容積全体を考慮しなくとも並列計算技術を容易に用いることが可能であるという点がある。
【0048】
この幾何学的形状の効果は、それぞれの再構築データ・セットがソース・検出器ファイバの単一の線形アレイから導かれ、従って、過渡な物理的近似を強制することなく2D問題が解決されることである。1つのアレイに属するソース・検出器ファイバの数は、変えることが可能である。図6に図解されている2Dアレイを用いて得られる走査速度は、2Dアレイを備えている他の画像化ヘッドの場合と同じである。というのは、走査速度は、入力カプラの特性にのみ依存するからである。従って、3D画像の作成のために走査速度を上昇させることは可能である。
【0049】
別の実現例として、図7には、「ホバーマン(Hoberman)」球の幾何学的形状に基づく画像化ヘッドが図解されている。ホバーマン構造では、幾何学的形状は、台形二十四面体(trapezoidal icosatetrahedron)と称される折りたたみ(folding)式の多面体を生じる八面体との交差部分に基づいている。この構造は、半球型の幾何学的形状を有する画像化ヘッドの形状に修正し実現することができる。本発明の複数の目的のためには、拡張型構造を有するホバーマン・コンセプトに基づく滑らかに変動する面であるデザインの特徴を用いるのが適切である。実現例によっては、これ以外の多面体又は球型の形状を、他の画像化ヘッドのデザインの場合には、本発明の原理と共に用いることができる。図7の装置を調節することにより、一様な膨張又は収縮が生じ、それによって、半球型の幾何学的形状が常に保存される。画像化ヘッド700は、「ホバーマン」の幾何学的形状への修正の一例を図解している。ファイバ束701のための容器が、画像化ヘッド700の周囲に配置されている。この幾何学的形状は、頭部や女性の胸部などのある種の組織の検査に適している。実現例によっては、光ファイバを半球の頂点に取り付けることにより、17のソースx17の検出器までの測定が可能になる。検出器すなわちエネルギ受信機は球型の画像化ヘッドの周囲に配置され、検出器は拡張する画像化ヘッドの内側に接するように配置される。追加的なファイバ束を相互固定用のジョイントに取り付けると、49のソースx49の検出器までの測定が可能になる。
【0050】
実現例によっては、ターゲット媒体から収集された光は、任意の数の光検出器方式を用いて測定される。ある実施例では、電荷結合型検出器(CCD)アレイに結合されているファイバ・テーパを用いる。ファイバ・テーパの前端部は、収集ファイバからの光を受け取るように機能する。これらのファイバは、光ファイバであることが好ましいが、信号の送信及び受信を許容する任意の手段でかまわない。ファイバ・テーパの後端部は、2Dの電荷結合型検出器(CCD)アレイに結合されている。実際には、このアプローチを用いる場合には、追加的な信号減衰モジュールが必要になるのが一般的である。
【0051】
別の検出方式では、それぞれのファイバ束に対して1つの離散的な光検出器のアレイを用いる。このユニットは、位相固定モードで動作させることができるので、周辺の光信号の除去を向上させ、また、複数の同時に動作しているエネルギ源を排除することが可能である。
【0052】
別の実施例では、この装置での所望の生理学的な研究によって求められる要求を満たすには、以下の特徴を用いて検出器システムを特徴付けることになる。すなわち、スケーラブルなマルチチャネル・デザイン(1ユニット当たり32までの検出器チャネル)と、高い感知感度(10pW未満)と、大きなダイナミック・レンジ(最小で、1:10)と、複数波長での動作と、周辺光に対する免疫と、高速のデータ取得(100Hzのオーダーの全チャネル同時捕捉速度)とである。
【0053】
これを達成するには、検出器システムは、それぞれの検出器ファイバ(以下では、検出又は検出器チャネルと称する)に対して、電子的なゲイン・スイッチングと位相感知性の検出(ロックイン増幅)とを含む信号再生技術とフォトダイオードとを用いて、所望のデータ取得速度での大きなダイナミック・レンジを確保する。位相感知性の信号再生方式は、電子的なノイズを所望のレベルまで抑制するだけでなく、背景光によって与えられる障害を除去し、複数のエネルギ源を同時に用いることを可能にする。信号を同時に動作しているソースから分離することは、異なる信号が十分に分離された変調周波数で符号化されている限り、達成することができる。ノイズ低減技術は、検出帯域幅の低減に基づくから、このシステムは、所望の測定速度を維持するように設計されている。チャネルの同時的な読出しを可能にするタイミング方式を達成するには、サンプル・ホールド回路(S/H)がそれぞれの検出チャネル出力に対して用いられる。検出器チャネルによって提供されるアナログ信号は、データ取得システム116を用いて、サンプリングされ、デジタル化され、記憶される。1つの側面として、検出装置の柔軟性及びスケーラビリティがある。検出器チャネルは単一で同一のモジュールとして構成されているだけでなく、2つのロックイン増幅器をそれぞれが含む位相検出段がカードとして追加される。このようにして、既存の設定は、検出器チャネルの数に関して、及び/又は、用いられている波長の数に関して(4まで)、既存のハードウェアの一部をクローニングすることによって容易に更新することができる。
【0054】
図8は、検出器チャネルのある実現例のブロック図を示している。この実現例では、2つのエネルギ源が用いられている。光検出器802によって光入力801において光を検出した後で、信号は、相互インピーダンス増幅器803に与えられる。803の相互インピーダンス値は、デジタル信号によって外部から設定可能である(PTA=プログラマブル相互インピーダンス増幅器)。これによって、様々な信号レベルへの適用が可能となり、検出器チャネルのダイナミック・レンジが増加する。信号は、後に、プログラマブル・ゲイン増幅器(PGA)によって増幅される。この増幅器のゲインは、デジタル信号814によって外部から設定することができる。これにより、最低の信号レベル(例えば、ある実現例では、〜pW−nW)に対して追加的なゲインを与え、従って、検出器チャネルのダイナミック・レンジを増加させる。
【0055】
ある実施例では、少なくとも1つのエネルギ源が用いられ、信号はロックイン増幅器(LIA)805、809の少なくとも一方に送られる。ロックイン増幅器は、それぞれが、図2の位相シフタ204によって発生される基準信号のための入力808、812を備えている。ロックイン検出の後では、復調された信号は、プログラマブル・ゲイン増幅器(PGA)806、810によってゲインが適切にブーストされ、更なる信号伝送の間のノイズ免疫が最大化され、デジタルされるときのデジタル分解能が改善される。PGA806、810は、デジタル信号によって設定される。
【0056】
それぞれの出力において、サンプル・ホールド回路(S/H)807、811が用いられ、ここで述べている目的のために、信号816によるデジタル・タイミングの下で信号を固定する。
【0057】
ある実施例では、信号815が並列的に806、810に送られる。また、ある実施例では、信号816が並列的に807、811に送られる。
【0058】
図1において先に図解されていたように、チャネル出力のそれぞれによって提供されるアナログ信号は、データ取得システム116ごとにサンプリングされる。ある実施例では、PCの拡張ボードがこの目的のために用いられることがある。また、PCの拡張ボードは、ゲイン設定やサンプル・ホールドなどの機能のタイミングを制御するデジタル出力を提供する。
【0059】
既に述べたように、所望の画像捕捉速度を提供し、検出器間での時間的スキューに起因する誤った読出しを防止するには、タイミングが重要である。図9には、他のタイミング方式よりも本発明が改善されている様子が示されている。高速でのゲイン設定が適応可能ではないシステム(いくつかのCCDベースのシステムなど)では、905によるスケジュールが実現されなければならない。図9における実現例では、プロセス904におけるシリコン・フォトダイオードの使用が図解されているが、上述した様々な検出器をその代わりに用いることもできる。データの時系列が、ある固定されたソース位置に対して得られる。このタスクが終了すると、ソースは、ターゲット901に関して移動され(902)、別の一連のデータが収集される。このようにして、すべてのソース位置に対する測定が行われる。再構築されたイメージの結果的に得られる時系列におけるイメージ903は、どれもが、それぞれのソース位置に対するデータを合併したデータ・セットから再構築されている。このスケジュールは、媒体におけるすべての生理学的プロセスのリアルタイムでの捕捉を可能にするということはなく、従って、あるモードの調査に適用されるだけである。例えば反復可能な操作に対する応答をモニタする際に、我々はそのような方式を使用しているということを承知しているが、本発明のタイミング方式は、この状況を著しく改善する。
【0060】
本発明によれば高速のソース・スイッチングや大きなダイナミック・レンジ及び高速でのデータ取得が可能になるので、904によって示されるスケジュールが実行される。ここでは、関心対象の動的な性質と比較して、ソース位置が高速でスイッチングされ、瞬間的なマルチチャネル検出がそれぞれのソース位置において実行される。次に、イメージ903が、媒体の動的性質の瞬間的な状態を表すデータ・セットから再構築される。全データ・セット(すなわち、すべてのソース位置及びすべての検出器位置)のただ1つの時系列だけが記録される。媒体の高速な動的要素(例えば、より高速な1Hz)のリアルタイムでの測定が、本発明によって提供される。
【0061】
図10は、あるソース位置におけるデータの収集とこのプロセスの時間的進行1002とに関係するシステム・タスク1001の詳細なスケジュール及びシーケンスのある実施例を示している。タスク1003は、光学的デマルチプレクサを予定されているソース位置に設定し、検出器のゲインを適切に設定することである。ソース位置は、ある時間期間の間照射されるが、この間はロックイン増幅器は安定している(1005)。S/Hが信号をサンプリングするのに要する時間1006が経過した後で、信号は、すべてのチャネルがデータ取得によって読み出される時間期間1007の間保持される。S/Hの読出しの間に、光源の移動、新たなソース位置のための検出器ゲインの設定及びロックインの安定化のようなそれ以外のタスクのスケジュールが決定される。こうして、この装置によって達成可能なデータ取得速度が著しく向上する。
【0062】
モジュラ・システムに関するこのコンセプトは、図11に更に図解されている。32までの検出器モジュール1100(それぞれが、2つの変調周波数のそれぞれに対する2つのロックイン・モジュールを備えている)が、エンクロージャ1102を用いて構成されている。また、このキャビネットは2つまでの位相シフト・モジュール1104、1106を運ぶことができ、それぞれのモジュールはコンピュータ制御された2つのデジタル位相シフタを含む。信号に対して基準位相を調節する能力が必要となるが、その理由は、信号における不可避的な位相シフトが生じると最適でないロックイン検出や更には出力信号の消滅が生じうるからである。データ、電源及び信号ラインの整備は、2つのバックプレーン1108、1110によって与えられる。
【0063】
実現に応じて、図8に図解されている検出器システムのデザインにより、1つのキャビネットが、128のアナログ・デジタル回路(ADC)ボードの入力チャネルを必要とする4つの異なるソースを備えた32の検出器という容量で動作することが可能となる。上側110及び下側1110のバックプレーンは、電源、制御及び信号電圧の間での適切な分配を提供するには、同一のレイアウトを有しリンクされていなければならない。これは、両方のプレーンを背後から適合させる6Uモジュールを用いて達成されるが、というのは、それによって、必要な電気的なリンク経路と制御及び信号ラインへのインターフェースとが提供されるからである。
【0064】
図12は、チャネル・モジュールのある実現例の回路図を示している。この実現例では、シリコン・フォトダイオード1206が光検出器として用いられている。プログラマブル相互インピーダンス増幅器(PTA)1201が、演算増幅器1204と、抵抗1201及び1202と、電子スイッチ1205とによって形成されている。ここで、最後の電子スイッチ1205は、ミニチュア・リレーを用いて実現されている。アナログ・スイッチなどこれ以外の形態の電子スイッチを用いることもできる。リレー1205は、この回路を接続又は切断(1203)して1201の相互インピーダンス値を変化させるために用いられる。ハイパス・フィルタ(R2、C5)は、それ以降のプログラマブル・ゲイン構成の増幅器IC2(バーブラウン社製のPGA202)をAC結合させDCオフセットを除去するのに用いられる。2つのロックイン・モジュールのためのボード間のコネクタは、「スロットA」1210及び「スロットB」1212と称されている。バックプレーンへのメイン・コネクタは、96極のDINプラグ1220である。
【0065】
図13には、ロックイン・モジュール1210、1212の電気回路が図解されている。信号は更に分割され、それぞれがこの実験において用いられるソースに従ってある特定の基準信号を取得する2つの同一なロックイン増幅器に与えられる。信号は、最初にバッファされIC1、IC7(ADLF111)、次にAD630二重平衡型ミキサIC2、IC8を用いて復調される。
【0066】
不所望のAC成分を除去するために、復調された信号は、アクティブな4極ベッセル型フィルタIC3、IC4、IC9、IC10(バーブラウン社製のUAF42)を通過する。ベッセル型のフィルタが選択されているのは、与えられた帯域幅に対するロックイン増幅器の最も高速な安定化を得るためである。ベッセル・フィルタは低速なストップバンド変化しか示さないため、4極フィルタを用いて、異なる(すなわち、変調周波数が異なる)ソースから発生する信号の間のクロストークが十分に抑制されることを保証する。フィルタは140Hzで3dBポイントを有し、その結果として、ステップ応答に対して6msの安定化時間を生じる(実際の値からのずれは1%未満)。1kHzだけ離間された周波数の分離は54dBである。フィルタの次にはプログラマブル・ゲイン増幅器IC5、IC11が続く。その一般的な機能は上述したとおりである。最後の段は、サンプル・ホールド・チップ(S/H)IC6、IC12(ナショナル社製のLF398)によって形成されている。
【0067】
他の実現例では、位相感知性の検出は、デジタル信号処理(DSP)用のコンポーネント及びアルゴリズムを用いたデジタル的な方法によって達成することができる。本発明の原理と共にDSPを用いることの長所は、電子的な性能が改善されシステムの柔軟性が向上する点にある。
【0068】
更に別の実現例では、アナログ・デジタル・コンバータがそれぞれの検出器チャネルに用いられ、それによって、信号のノイズ免疫が改善される。
【0069】
以上では例示的な実施例を詳細に説明してきたが、この技術分野の当業者であれば理解するように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変更を加えることが可能である。更に、特に明示されない限りは、この出願において用いられている用語及び表現は、説明目的のものであって制限のためのものではなく、冒頭の特許請求の範囲に記載されているシステム及び方法のどのような均等物をも排除することを意図することはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散乱媒体のトモグラフィ画像化に用いるシステムであって、
信号を放出し、少なくとも1つのエネルギ送信機が結合されているエネルギ源と、
前記エネルギ源に結合されており、前記散乱媒体の動的性質を測定する少なくとも1つのエネルギ受信機を含む検出器システムと、
複合3次元(3D)画像を生成するために、データ解析及び画像再構成を提供するコンピュータと、
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、それを保持する前記エネルギ送信機及び受信機として結合された画像化ヘッドを更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記検出器システムは少なくとも1つのエネルギ源によって放出される信号を分離する少なくとも1つのロックイン増幅器を更に備えていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムにおいて、前記検出器システムは当該検出器システムのダイナミック・レンジを増加させる少なくとも1つのゲイン調節手段を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムにおいて、前記検出器システムは前記エネルギ源によって放出された信号を固定するサンプル・ホールド回路を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムにおいて、前記サンプル・ホールド回路はそれぞれの検出器ファイバに対する同時的な読出しを可能にするロジックを更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムにおいて、前記エネルギ源は、非レーザ光源、LED及び高圧白熱ランプ、レーザ・ダイオード、ソリッドステート・レーザ、チタン・サファイア・レーザ、ルビー・レーザ、ダイ・レーザ、電磁的ソース、音響エネルギ、光エネルギによって生じた音響エネルギ、光エネルギ及び以上の組合せの中の少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムにおいて、前記検出器システムからのデータ取得は約150Hzであることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムにおいて、前記エネルギ源は複数の波長を送信する複数の近赤外レーザ・ダイオードを含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
散乱媒体の動的性質に関するデータを収集して、3次元画像を生成する画像再構成システムであって、
エネルギ源からの信号を検出する少なくとも1つのエネルギ受信機と、
前記散乱媒体の動的性質に関する高速なデータ取得を提供する信号のダイナミック・レンジを増加させるプログラマブル・ゲイン計測増幅器と、
複数の2D画像の重ね合わせから複合3次元(3D)画像を生成するために、データ解析及び画像再構成を提供するコンピュータと、
を備えていることを特徴とする画像再構成システム。
【請求項11】
請求項10記載の画像再構成システムにおいて、前記エネルギ受信機は、フォトダイオード、PINダイオード、アバランシェ・ダイオード、電荷結合素子、電荷誘導素子、光乗算器管、マルチチャネル板、音響トランスデューサ及び以上の任意の組合せの中の少なくとも1つを含むことを特徴とする画像再構成システム。
【請求項12】
請求項10記載の画像再構成システムにおいて、前記プログラマブル・ゲイン計測増幅器に結合されており前記エネルギ源からの複数の信号の同時的な読出しを可能にするサンプル・ホールド回路を更に含むことを特徴とする画像再構成システム。
【請求項13】
散乱媒体の光学的トモグラフィ画像化において用いられるシステムであって、
エネルギ源に結合された少なくとも1つのエネルギ送信性ファイバ束と、
前記エネルギ送信性ファイバ束を保持する画像化ヘッドと、
前記散乱媒体の光学的動的性質に関するデータを収集する検出器システムと、
複合3次元(3D)画像を生成するために、データ解析及び画像再構成を提供するコンピュータと、
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13記載のシステムにおいて、前記ファイバ束はエネルギを送信し検出するように2分岐していることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項13記載のシステムにおいて、前記ファイバ束はエネルギの送信のみを行うことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項13記載のシステムにおいて、前記画像化ヘッドは折りたたみ式(folding)の球又は多角形であることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16記載のシステムにおいて、前記多角形は、多面体、台形二十四面体又は半台形(hemitrapezoidal)二十四面体であることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項16記載のシステムにおいて、前記ファイバ束は前記画像化ヘッドの周囲に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項13記載のシステムにおいて、前記ファイバ束は約3mmの直径を有していることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項13記載のシステムにおいて、前記画像化ヘッドは、サイズの異なる媒体を提供し、前記媒体を運動アーティファクトに対して安定化し、ターゲットを単純で明確な幾何学的形状に一致させ、前記エネルギ源に結合された少なくとも1つのエネルギ送信機の位置に対する前記複数の検出器の位置に関する情報を提供する調節手段を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項21】
光学的トモグラフィ画像化を用いる方法であって、
(a)散乱媒体を近赤外光に露光させ、散乱媒体の動的性質に関するデータを収集するステップと、
(b)検出器システムによって光を検出するステップと、
(c)前記散乱媒体の動的性質を測定するためにプログラマブル・ゲイン計測増幅器を通過するゲインを向上させるステップと、
(d)データ解析及び画像再構成を提供するコンピュータを用いることによって、複合3次元(3D)画像を生成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記散乱媒体は管組織であることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、前記媒体を通過して伝送される複数の波長を少なくとも1つのロックイン増幅器を介して分離するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21記載の方法において、信号の同時的な読出しからデータを収集するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
媒体の光学的トモグラフィ画像化システムであって、
光エネルギを媒体の中に導くように配置されている少なくとも1つのソースと前記媒体からの光エネルギを受け取るように配置されている複数の検出器とを有する画像化ヘッドであって、前記検出器手段は前記ソースからの複数の距離に配置され前記媒体を通過する前記検出器と前記ソースとの間の複数の距離を構成し、前記ソースと前記検出器とはそれぞれのソース・検出器対を形成する、画像化ヘッドと、
前記ソース・検出器対の少なくとも1つの信号を増幅するように接続されているプログラマブル・ゲイン増幅器と、
前記プログラマブル・ゲイン増幅器から前記信号を受け取り前記媒体の画像を再構築するデータ取得ボードを有するコンピュータと、
複合3次元(3D)画像を生成するために、データ解析及び画像再構成を提供するコンピュータと、
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項25記載のシステムにおいて、前記光エネルギはエネルギの少なくとも2つの異なる輝度変調された波長の光エネルギを含むことを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26記載のシステムにおいて、輝度変調されたエネルギの波長に対応する信号を分離するフィルタリング手段を更に備えていることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項25記載のシステムにおいて、前記媒体の動的性質の測定に用いるために所望の信号を保持するサンプル・ホールド回路を更に備えていることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項25記載のシステムにおいて、前記ソースはエネルギ放出源に結合されたエネルギ伝送ファイバを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項25記載のシステムにおいて、前記ソースは複数の光エネルギ源を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項25記載のシステムにおいて、前記ソースは複数のレーザ・ダイオードを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項25記載のシステムにおいて、前記検出器は光エネルギ検出器に結合されたファイバであることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項25記載のシステムにおいて、前記検出器は光エネルギ検出器であることを特徴とするシステム。
【請求項34】
パッドと、光エネルギを媒体に配送する複数のソース手段と、媒体から生じる光エネルギを検出する複数の検出器手段とを備えた画像化ヘッドであって、
前記ソース手段と前記検出器手段とは複数のロー及びカラムとして前記パッドに取り付けられ、前記複数のソース手段は少なくとも2つの一意的な画像化平面を形成するように構成され、その間に、1つの画像化平面が、前記パッドと実質的に垂直であり少なくとも2つのソース手段と1つの検出器手段とを通過する平面によって画定されていることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項35】
請求項34記載の画像化ヘッドにおいて、複数のソース手段と検出器手段とが結合して連結型ソース検出器手段を形成し、前記連結型ソース検出器手段と検出器手段とは第1のパターンと第2のパターンとを交互に有するローとして構成され、前記第1のパターンは、順に、1つの連結型ソース検出器手段、3つの検出器手段、1つの連結型ソース検出器手段、3つの検出器手段及び1つの連結型ソース検出器手段を備え、前記第2のパターンは、順に、2つの検出器手段、1つの連結型ソース検出器手段、3つの検出器手段、1つの連結型ソース検出器手段及び2つの検出器手段を備えていることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項36】
請求項34記載の画像化ヘッドにおいて、前記ソース手段は光エネルギ源に結合されたファイバであることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項37】
請求項34記載の画像化ヘッドにおいて、前記ソース手段は光エネルギ源であることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項38】
請求項34記載の画像化ヘッドであって、前記ソース手段はレーザ・ダイオードであることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項39】
請求項34記載の画像化ヘッドであって、前記検出器手段は光エネルギ検出器に結合されたファイバであることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項40】
請求項34記載の画像化ヘッドにおいて、前記検出器手段は光エネルギ検出器であることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項41】
請求項34記載の画像化ヘッドであって、前記検出器手段はフォトダイオードであることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項42】
同一の固定角度のトラス要素を有する複数のはさみ対によって確定される折りたたみ式多角形構造の調節可能な画像化ヘッドであって、
それぞれのトラス要素は直線上にない中央ピボット点と内部終端ピボット点と外部終端ピボット点とを有し、それぞれの支柱(strut)はその中央ピボット点によってその対の他方にピボット的に結合され、それぞれの支柱は前記内部終端ピボット点と外部終端ピボット点とによって別のはさみ対の前記内部終端ピボット点と外部終端ピボット点とにそれぞれピボット的に結合され、それによって、主たる頂点の調節可能なリングは内部終端ピボット点によって形成され、また、調節により主たる頂点の一様な動きが生じる調節可能な画像化ヘッドにおいて、
光エネルギを媒体の中に配送する少なくとも1つのソース手段と媒体から生じる光エネルギを検出する少なくとも1つの検出器手段とを有しており、
前記ソース手段と前記検出器手段とは前記主たる頂点に取り付けられており、
前記少なくとも1つのソース手段は前記リングの中心にある媒体に実質的に向かって光エネルギを導くように向いており、
前記少なくとも1つの検出器手段は前記リングの中心にある媒体から実質的生じる光エネルギを受け取るように向いている
ことを特徴とする調節可能な画像化ヘッド。
【請求項43】
請求項42記載の調節可能な画像化ヘッドにおいて、
トラス要素と連絡するマウントを更に備えており、前記マウントはこの画像化ヘッドを支持し前記調節可能なリングのサイズを統制することを特徴とする調節可能な画像化ヘッド。
【請求項44】
請求項42記載の調節可能な画像化ヘッドにおいて、
第1の組の直径方向に対向する外部終端ピボット点と連絡する第1の組のマウントと、
第2の組の直径方向に対向する外部終端ピボット点と連絡する第2の組のマウントであって、前記第1の組の直径方向に対向する外部終端ピボット点は、第2の組の直径方向に対向する外部終端ピボット点と直交する、第2の組のマウントと、
前記第1及び第2の組のマウントの少なくとも一方における少なくとも1つのマウントと連絡する駆動システムであって、前記調節可能なリングのサイズを統制する駆動システムと、
を更に備えていることを特徴とする調節可能な画像化ヘッド。
【請求項45】
請求項42記載の画像化ヘッドにおいて、前記ソース手段は光エネルギ源に結合されたファイバであることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項46】
請求項42記載の画像化ヘッドにおいて、前記ソース手段は光エネルギ源であることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項47】
請求項42記載の画像化ヘッドであって、前記ソース手段はレーザ・ダイオードであることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項48】
請求項42記載の画像化ヘッドであって、前記検出器手段は光エネルギ検出器に結合されたファイバであることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項49】
請求項42記載の画像化ヘッドにおいて、前記検出器手段は光エネルギ検出器であることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項50】
請求項42記載の画像化ヘッドであって、前記検出器手段はフォトダイオードであることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項51】
光学的トモグラフィにおいて用いられる画像化ヘッドであって、
少なくとも1つのエネルギ受信機と、
媒体の異なるサイズを提供する調節手段と、
散乱媒体の動的性質の測定において用いるために、この画像化ヘッドから検出器システムまで信号を伝送する通信手段と、
を備えていることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項52】
請求項49記載の画像化ヘッドにおいて、少なくとも1つのエネルギ送信機を更に含むことを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項53】
請求項52記載の画像化ヘッドにおいて、前記エネルギ送信機はデータ解析に要求されるそれ以降の数値的作業を最小化するように構成された照射アレイを画定し、前記アレイによってカバーされるソース密度を最大化することを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項54】
請求項53記載の画像化ヘッドにおいて、2次元画像のアレイの重畳から三次元画像を計算することができることを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項55】
請求項10記載の検出器システムにおいて、エネルギ受信機が、前記エネルギ源によって励振された蛍光放射をも検出することを特徴とする検出器システム。
【請求項56】
請求項10記載の検出器システムにおいて、前記エネルギ受信機が、光源によって前記散乱媒体に生成された音響エネルギをも検出することを特徴とする検出器システム。
【請求項57】
請求項13記載のシステムにおいて、前記ファイバ束がエネルギの検出のみを行うことを特徴とするシステム。
【請求項58】
請求項13記載のシステムにおいて、前記送信性ファイバ束が前記散乱媒体の内側で終端することを特徴とするシステム。
【請求項59】
請求項21記載の方法において、粉末、気体、液体、多孔性材料及びそれらの組み合わせからなる群から選択された材料に対して、工業用混合プロセスにおいて動的性質を評価するステップを更に備えることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項21記載の方法において、気象学のための霧状大気における動的性質を評価するステップを更に備える方法。
【請求項61】
請求項21記載の方法において、海又は水塊の動的性質を評価するステップを更に備える方法。
【請求項62】
請求項1記載のシステムにおいて、サイズの異なる媒体を提供し、前記媒体を運動アーティファクトに対して安定化し、ターゲットを単純で明確な幾何学的形状に一致させ、前記少なくとも1つのエネルギ送信機の位置に対する前記少なくとも1つのエネルギ受信機の位置に関する情報を提供する調節手段を有する画像化ヘッドを更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項63】
請求項10記載の画像再構成システムにおいて、サイズの異なる媒体を提供し、前記媒体を運動アーティファクトに対して安定化し、ターゲットを単純で明確な幾何学的形状に一致させ、前記エネルギ源に結合された前記少なくとも1つのエネルギ送信機の位置に対する前記少なくとも1つのエネルギ受信機の位置に関する情報を提供する調節手段を有する画像化ヘッドを更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項64】
請求項21記載の方法において、前記近赤外光が、少なくとも1つのエネルギ送信機を介して前記散乱媒体へ送信され、前記近赤外光が、少なくとも1つのエネルギ受信機を介して前記検出器システムによって検出され、
前記少なくとも1つのエネルギ受信機と前記少なくとも1つのエネルギ送信機とが画像化ヘッド上に配置され、
前記画像化ヘッドが、サイズの異なる媒体を提供し、前記媒体を運動アーティファクトに対して安定化し、ターゲットを単純で明確な幾何学的形状に一致させ、前記少なくとも1つのソースの位置に対する前記複数の検出器の位置に関する情報を提供する調節手段を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項25記載のシステムにおいて、前記画像化ヘッドが、サイズの異なる媒体を提供し、前記媒体を運動アーティファクトに対して安定化し、ターゲットを単純で明確な幾何学的形状に一致させ、前記ソースの位置に対する前記検出器手段の位置に関する情報を提供する調節手段を有することを特徴とするシステム。
【請求項66】
請求項34記載の画像化ヘッドであって、サイズの異なる媒体を提供し、前記媒体を運動アーティファクトに対して安定化し、ターゲットを単純で明確な幾何学的形状に一致させ、前記複数のソース手段の位置に対する前記複数の検出器手段の位置に関する情報を提供する調節手段を有することを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項67】
請求項42記載の調節可能な画像化ヘッドであって、サイズの異なる媒体を提供し、前記媒体を運動アーティファクトに対して安定化し、ターゲットを単純で明確な幾何学的形状に一致させ、前記少なくとも1つのソース手段の位置に対する前記複数の検出器手段の位置に関する情報を提供する調節手段を有することを特徴とする調節可能な画像化ヘッド。
【請求項68】
請求項51記載の画像化ヘッドにおいて、前記調節手段が更に、前記媒体を運動アーティファクトに対して安定化し、ターゲットを単純で明確な幾何学的形状に一致させ、前記少なくとも1つのエネルギ送信機の位置に対する前記少なくとも1つのエネルギ受信機の位置に関する情報を提供することを特徴とする画像化ヘッド。
【請求項69】
請求項1記載のシステムにおいて、別の信号を放出する少なくとも1つの別のエネルギ源を更に備え、前記エネルギ源からの前記信号の放出と、前記少なくとも1つの別のエネルギ源からの前記別の信号の放出とが同時に行われるよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項70】
請求項10記載の画像再構成システムにおいて、別のエネルギ源からの別の信号を検出するよう構成された別のエネルギ受信機を更に備え、前記別の信号の検出が、前記少なくとも1つのエネルギ受信機による前記エネルギ源からの前記信号の検出と同時に行われることを特徴とする画像再構成システム。
【請求項71】
請求項1記載のシステムにおいて、前記複合3次元(3D)画像が、複数の2D画像の重ね合わせから生成されることを特徴とするシステム。
【請求項72】
請求項10記載の画像再構成システムにおいて、前記複合3次元(3D)画像が、複数の2D画像の重ね合わせから生成されることを特徴とする画像再構成システム。
【請求項73】
請求項13記載のシステムにおいて、前記複合3次元(3D)画像が、複数の2D画像の重ね合わせから生成されることを特徴とするシステム。
【請求項74】
請求項21記載の方法において、前記複合3次元(3D)画像が、複数の2D画像の重ね合わせから生成されることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項25記載のシステムにおいて、前記複合3次元(3D)画像が、複数の2D画像の重ね合わせから生成されることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−53053(P2012−53053A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234271(P2011−234271)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【分割の表示】特願2001−523841(P2001−523841)の分割
【原出願日】平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願人】(508095256)ザ リサーチ ファウンデーション オブ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク (11)
【Fターム(参考)】